(第1実施形態)
以下、本発明に関するレーザ加工装置及びレーザ加工装置の制御方法を、レーザ加工装置100に具体化した実施形態(第1実施形態)について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
(レーザ加工装置の概略構成)
先ず、第1実施形態に関するレーザ加工装置100の概略構成について、図面を参照しつつ詳細に説明する。レーザ加工装置100は、レーザ加工ユニット1と、PC7を有しており、PC7によって作成された加工データに従って、レーザ加工ユニット1を制御することで、加工対象物としてのワークWの表面に対して、レーザ光Lを2次元走査してマーキング加工を行うように構成されている。
(レーザ加工装置の概略構成)
次に、レーザ加工装置100を構成するレーザ加工ユニット1の概略構成について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1に示すように、第1実施形態に関するレーザ加工ユニット1は、レーザ加工装置本体部2と、レーザコントローラ5と、電源ユニット6を有して構成されている。
レーザ加工装置本体部2は、ワークWに対してレーザ光Lを照射し、当該レーザ光Lを2次元走査して、ワークWの表面上にマーキング加工を行い得る。そして、レーザコントローラ5は、コンピュータで構成され、PC7と双方向通信可能に接続されると共に、レーザ加工装置本体部2及び電源ユニット6と電気的に接続されている。PC7は、パーソナルコンピュータ等から構成され、加工データの作成やレーザ加工装置100における加工に関する各種指示情報の入力等に用いられる。そして、レーザコントローラ5は、PC7から送信された加工データ、制御パラメータ、各種指示情報等に基づいてレーザ加工装置本体部2及び電源ユニット6を駆動制御する。
尚、図1は、レーザ加工装置100及びレーザ加工ユニット1の概略構成を示すものであるため、レーザ加工装置本体部2を模式的に示している。従って、当該レーザ加工装置本体部2の具体的な構成については、後述する。
(レーザ加工装置本体部の概略構成)
次に、レーザ加工装置本体部2の概略構成について、図1〜図4に基づいて説明する。尚、レーザ加工装置本体部2の説明において、図1の左方向、右方向、上方向、下方向が、それぞれレーザ加工装置本体部2の前方向、後方向、上方向、下方向である。従って、レーザ発振ユニット12におけるレーザ光Lの出射方向が前方向である。本体ベース11及びレーザ光Lに対して垂直な方向が上下方向である。そして、レーザ加工装置本体部2の上下方向及び前後方向に直交する方向が、レーザ加工装置本体部2の左右方向である。そして、図4は、レーザ加工装置本体部2の概略構成を模式的に示しており、レーザヘッド部3における各構成の配置は、実際の配置を厳密に示すものではない。例えば、図4におけるガイド光部16の配置は、図示の関係上の表現であって、実際には図3に示す配置に従っている。
図2に示すように、レーザ加工装置本体部2は、レーザ光Lとガイド光Mをfθレンズ20から同軸上に出射するレーザヘッド部3と、レーザヘッド部3が上面に固定される略箱体状の加工容器4とから構成されている。
図3に示すように、レーザヘッド部3は、本体ベース11と、レーザ光Lを出射するレーザ発振ユニット12と、光シャッター部13と、光ダンパー14と、ハーフミラー15と、ガイド光部16と、反射ミラー17と、光センサ18と、ガルバノスキャナ19と、fθレンズ20と、ポインタ光出射部39等を有して構成され、略直方体形状の筐体カバー3A(図2、図4参照)で覆われている。
レーザ発振ユニット12は、レーザ発振器21と、ビームエキスパンダ22を有して構成されており、取付台23及び取付ネジ25を介して、本体ベース11に対して着脱可能に構成されている。レーザ発振器21は、ファイバコネクタと、集光レンズと、反射鏡と、レーザ媒質と、受動Qスイッチと、出力カプラーと、ウィンドウとをケーシング内に有している。ファイバコネクタには、光ファイバFが接続されており、電源ユニット6を構成する励起用半導体レーザ部40から出射された励起光が、光ファイバFを介して入射される。
集光レンズは、ファイバコネクタから入射された励起光を集光する。そして、反射鏡は、集光レンズによって集光された励起光を透過すると共に、レーザ媒質から出射されたレーザ光を高効率で反射する。レーザ媒質は、励起用半導体レーザ部40から出射された励起光によって励起されてレーザ光Lを発振する。レーザ媒質としては、例えば、レーザ活性イオンとしてネオジウム(Nd)が添加されたネオジウム添加ガドリニウムバナデイト(Nd:GdVO4)結晶を用いることができる。
受動Qスイッチは、レーザ媒質によって発振されたレーザ光をパルス状のパルスレーザとするQスイッチとして機能する。受動Qスイッチとしては、例えば、クローム添加YAG(Cr:YAG)結晶を用いることができる。
出力カプラーは、反射鏡とレーザ共振器を構成する。出力カプラーは、例えば、表面に誘電体層膜をコーティングした凹面鏡により構成された部分反射鏡で、例えば、波長1064nmでの反射率は、80%〜95%である。ウィンドウは、誘電体多層膜等で形成された合成石英等から形成され、出力カプラーから出射されたレーザ光Lを外部へ透過させる。従って、レーザ発振器21は、受動Qスイッチを介してパルスレーザを発振し、ワークWを加工するためのレーザ光Lとして、パルスレーザを出力する。
ビームエキスパンダ22は、レーザ光Lのビーム径を変更するものであり、レーザ発振器21と同軸に設けられている。取付台23は、本体ベース11の前後方向中央位置よりも後側の上面に対して固定されている。当該取付台23には、レーザ発振ユニット12が各取付ネジ25によって、レーザ光Lの光軸を調整可能に取り付けられている。
そして、当該レーザ加工装置100においては、レーザ発振ユニット12は、取付台23及び取付ネジ25を介して、本体ベース11に対して着脱可能に構成されている為、異なる波長のレーザ光Lを出射可能な複数のレーザ発振ユニット12を、ワークWの材質、加工の内容等に応じて適宜選択・交換することができる(図4参照)。第1実施形態においては、レーザ発振ユニット12として、第1レーザ発振ユニット12Aと、第2レーザ発振ユニット12Bと、第3レーザ発振ユニット12Cとを交換して利用することができ、初期状態においては、第1レーザ発振ユニット12Aが取り付けられているものとする(図1、図3等参照)。
第1レーザ発振ユニット12Aは、レーザ発振器21と、ビームエキスパンダ22を有しており、レーザ光Lとして赤外線レーザを出射可能に構成されている。第1レーザ発振ユニット12Aから出射されるレーザ光Lは、所定の波長λaを有しており、例えば、1064nmであって不可視の赤外光である。これは主として金属製のワークWに対する加工に有用である。
図4に示すように、第2レーザ発振ユニット12Bは、レーザ発振器21と、ビームエキスパンダ22を有しており、レーザ光Lとして可視光線レーザを出射可能に構成されている。第2レーザ発振ユニット12Bから出射されるレーザ光Lは、所定の波長λbを有しており、例えば、532nmであって緑色を呈する可視光である。そして、第2レーザ発振ユニット12Bから出射されるレーザ光Lは、金属製、紙製、布製のワークWに対する加工に有用であるという特徴を有している。
そして、第3レーザ発振ユニット12Cは、第1レーザ発振ユニット12Aと同様に、レーザ発振器21とビームエキスパンダ22を有しており、レーザ光Lとして紫外線レーザを出射可能に構成されている。第3レーザ発振ユニット12Cから出射されるレーザ光Lは、所定の波長λcを有しており、例えば、266nmである。そして、第3レーザ発振ユニット12Cによるレーザ光Lは、半導体、フィルム、樹脂、化学繊維、ボトル等をワークWとする加工に有用である。
又、第1レーザ発振ユニット12A〜第3レーザ発振ユニット12Cには、レーザ情報がそれぞれ割り当てられている。当該レーザ情報は、レーザ発振ユニット12から出力されるレーザ光Lの波長や、レーザ光Lの種別等を示す情報であり、第1レーザ発振ユニット12A〜第3レーザ発振ユニット12Cのユニット交換時に、交換後のユニットに係るレーザ情報がPC7に対して入力される。
図3に示すように、光シャッター部13は、ステッピングモータやロータリーソレノイド等で構成されるシャッターモータ26と、平板状のシャッター27とを有している。シャッター27は、シャッターモータ26のモータ軸に取り付けられ、レーザ光Lの光路を遮る位置に回転した際には、光ダンパー14へレーザ光Lを反射する。一方、シャッター27がレーザ光Lの光路上に位置しないように回転した場合、当該レーザ光Lは、ハーフミラー15に入射する。
光ダンパー14は、シャッター27で反射されたレーザ光Lを吸収する。ハーフミラー15は、後側から入射されたレーザ光Lのほぼ全部を透過する。又、ハーフミラー15は、後側から入射されたレーザ光Lの一部を、45度の反射角で反射ミラー17へ反射する。反射ミラー17は、ハーフミラー15のレーザ光Lが入射される後側面の略中央位置に対して左方向に配置される。
ガイド光部16は、可視レーザ光として、例えば、赤色レーザ光を出射する可視半導体レーザ28と、可視半導体レーザ28から出射されたガイド光Mを平行光に収束するレンズ群(図示せず)とから構成されている。ガイド光Mは、レーザ発振器21から出射されるレーザ光Lと異なる波長である。ガイド光部16は、ハーフミラー15の略中央位置に対して右方向に配置されており、ガイド光Mは、ハーフミラー15によって、レーザ光Lの光路上に反射される。即ち、可視半導体レーザ28は、ガイド光Mをレーザ光Lの光路上に出射する。
反射ミラー17には、ハーフミラー15の後側面において反射されたレーザ光Lの一部が、反射面の略中央位置に対して45度の入射角で入射される。そして、反射ミラー17は、反射面に対して入射されたレーザ光Lを、45度の反射角で前側方向へ反射する。光センサ18は、フォトダイオード等で構成され、反射ミラー17で反射されたレーザ光Lが入射される。従って、当該レーザ加工装置100は、光センサ18を介して、レーザ発振器21から出力されるレーザ光Lの強度を検出することができる。
ガルバノスキャナ19は、本体ベース11の前側端部に形成された貫通孔29の上側に取り付けられ、レーザ発振ユニット12から出射されたレーザ光Lと、ハーフミラー15で反射されたガイド光Mとを下方へ2次元走査する。ガルバノスキャナ19は、ガルバノX軸ミラーを有するガルバノX軸モータ31と、ガルバノY軸ミラーを有するガルバノY軸モータ32と、本体部33により構成されている。ガルバノX軸モータ31とガルバノY軸モータ32は、それぞれのモータ軸が互いに直交するように外側からそれぞれの取付孔に嵌入、保持されて本体部33に取り付けられている。
ガルバノX軸モータ31において、ガルバノX軸ミラーは、走査ミラーとして、モータ軸の先端部に取り付けられており、レーザ光Lとガイド光Mを、ワークW表面上の加工領域においてX軸方向に走査する際に用いられる。そして、ガルバノY軸モータ32において、ガルバノY軸ミラーは、走査ミラーとして、モータ軸の先端部に取り付けられており、ガルバノX軸ミラーによって反射されたレーザ光L及びガイド光Mを、ワークW表面上の加工領域においてY軸方向に走査する際に用いられる。
当該ガルバノスキャナ19においては、ガルバノX軸モータ31、ガルバノY軸モータ32の各モータ軸の先端部に取り付けられた走査ミラーが内側で互いに対向している。そして、ガルバノX軸モータ31、ガルバノY軸モータ32の回転をそれぞれ制御して、各走査ミラー(即ち、ガルバノX軸ミラー、ガルバノY軸ミラー)を回転させることによって、レーザ光Lとガイド光Mとを下方へ2次元走査する。この2次元走査方向は、ワークW表面の加工領域において、前後方向(X軸方向)と左右方向(Y軸方向)である。
fθレンズ20は、レーザヘッド部3の本体ベース11に対して取り付けられており、下方に配置されたワークW表面の加工領域に対して、ガルバノスキャナ19によって2次元走査されたレーザ光Lとガイド光Mとを、夫々同軸に集光する。そして、当該fθレンズ20は、レーザ光Lやガイド光M等を集光した焦点を、平面状の焦点面とすると共に、レーザ光Lやガイド光Mの走査速度が一定になるように補正する。従って、当該レーザ加工装置100によれば、ガルバノX軸モータ31、ガルバノY軸モータ32の回転を制御することによって、レーザ光Lとガイド光Mを、ワークW表面上において、所望の加工パターンで前後方向(X方向)と左右方向(Y方向)に2次元走査することができる。即ち、当該レーザ加工装置100は、ガイド光Mによって、ワークW表面上におけるレーザ光Lによる加工位置を示すことができる。
そして、レーザヘッド部3の本体ベース11には、ポインタ光出射部39が配設されており、当該ポインタ光出射部39は、fθレンズ20によって収束されたレーザ光Lの焦点位置(合焦位置)で、ガイド光Mと交差するように、可視光であるポインタ光Pを出射する。当該ポインタ光出射部39は、本体箱部35内部の上方において、本体ベース11に対して配設されており、本体ベース11と平行な上面を有するワーク載置部35Eに対する入射角度が所定の傾斜角度θ(図4参照)を為すように、ポインタ光Pを出射する。
次に、加工容器4の概略構成について、図面に基づいて説明する。図2に示すように、加工容器4は、前面側が開放された略箱体状の本体箱部35と、本体箱部35の前面側を覆う観音開きの各扉36とを有して構成されている。本体箱部35と各扉36は、ワークW上で反射されたレーザ光Lを遮光する鉄やステンレス等の材料で形成されている。本体箱部35は、上面板部35Aと、背面板部35Bと、一対の側面板部35Cと、底面部35Dとから構成されており、前面に開口部を有する略直方体状の箱体を為している。
本体箱部35の内部には、ワークWを載置する為のワーク載置部35Eが、底面部35D上に配設されている。当該ワーク載置部35Eは、加工容器4の本体箱部35内部において、上下方向(即ち、Z方向)へ移動可能に配設されており(図4参照)、その上面はワークWを載置可能なように、XY方向に伸びる平面状に形成されている。即ち、上述したレーザ光L及びガイド光Mは、fθレンズ20を通過すると、ワーク載置部35E上面に対して照射されることになり、ポインタ光Pは、傾斜角度θをもってワーク載置部35E上面に入射される。そして、当該レーザ加工ユニット1は、レーザコントローラ5を介して、当該ワーク載置部35Eの上下方向の移動を制御することによって、ワーク載置部35E上に載置されたワークWと、レーザ光Lの焦点面の相対位置を調整し得る(図4参照)。
各扉36は、本体箱部35前面側の開口部を左右対称に覆うと共に、各蝶番を介して、観音開きに取り付けられている。各扉36における把手36Aの下側には、一対の透孔36Bが上下に隣接して形成されている。各一対の透孔36Bは、透明なガラスやアクリル板等で形成され、可視光を概略透過する一方で加工光の波長を透過しない透過板によって閉塞されている。そして、底面部35Dの下面の四隅には、脚部材37が夫々配設されており、レーザヘッド部3及び加工容器4は、これら脚部材37を介して床等の上に配置される。又、各側面板部35Cの上端部には、把持部材38が嵌め込まれている。
(電源ユニットの概略構成)
次に、レーザ加工ユニット1における電源ユニット6の概略構成について、図1を参照しつつ説明する。図1に示すように、電源ユニット6は、励起用半導体レーザ部40と、レーザドライバ51と、電源部52と、冷却ユニット53とを、ケーシング55内に有している。電源部52は、励起用半導体レーザ部40を駆動する駆動電流を、レーザドライバ51を介して励起用半導体レーザ部40に供給する。レーザドライバ51は、レーザコントローラ5から入力される駆動情報に基づいて、励起用半導体レーザ部40を直流でオンオフ駆動する。
励起用半導体レーザ部40は、光ファイバFによってレーザ発振器21に光学的に接続されている。従って、レーザ発振器21には、励起用半導体レーザ部40からの励起光が光ファイバFを介して入射される。
冷却ユニット53は、電源部52及び励起用半導体レーザ部40を、所定の温度範囲内に調整する為のユニットであり、例えば、電子冷却方式により冷却することで、励起用半導体レーザ部40の温度制御を行っており、励起用半導体レーザ部40の発振波長を微調整する。
(レーザ加工装置の制御系)
次に、レーザ加工装置100を構成するレーザ加工ユニット1の制御系構成について、図面を参照しつつ説明する。図5に示すように、レーザ加工ユニット1は、レーザ加工ユニット1の全体を制御するレーザコントローラ5と、レーザドライバ51と、ガルバノコントローラ56と、ガルバノドライバ57と、ガイド光ドライバ58と、ポインタ光ドライバ59と、光センサ18等を有して構成されている。レーザコントローラ5には、レーザドライバ51と、ガルバノコントローラ56と、光センサ18と、ガイド光ドライバ58と、ポインタ光ドライバ59等が電気的に接続されている。
レーザコントローラ5は、レーザ加工ユニット1の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU61、RAM62、ROM63、時間を計測するタイマー65等を備えている。
RAM62は、CPU61により演算された各種の演算結果や加工走査パターンのXY座標データ等を一時的に記憶させておくためのものである。ROM63は、各種のプログラムを記憶させておくものであり、PC7から送信された加工データに基づいて加工走査パターンのXY座標データを算出してRAM62に記憶する等の各種プログラムが記憶されている。
そして、CPU61は、ROM63に記憶されている各種の制御プログラムに基づいて各種の演算及び制御を行なうものである。例えば、CPU61は、PC7から入力された加工データを構成する各加工点のXY座標データや、ガルバノ走査速度情報等をガルバノコントローラ56に出力する。又、CPU61は、PC7から入力された加工データに基づいて設定した励起用半導体レーザ部40の励起光出力、励起光の出力期間等の励起用半導体レーザ部40の駆動情報をレーザドライバ51に出力する。又、CPU61は、加工走査パターンのXY座標データ、ガルバノスキャナ19のON・OFFを指示する制御信号等をガルバノコントローラ56に出力する。
レーザドライバ51は、レーザコントローラ5から入力された励起用半導体レーザ部40の励起光出力、励起光の出力期間等のレーザ駆動情報等に基づいて、励起用半導体レーザ部40を駆動制御する。具体的には、レーザドライバ51は、レーザコントローラ5から入力されたレーザ駆動情報の励起光出力に比例した電流値のパルス状の駆動電流を発生し、レーザ駆動情報の励起光の出力期間に基づく期間、励起用半導体レーザ部40に出力する。これにより、励起用半導体レーザ部40は、励起光出力に対応する強度の励起光を出力期間の間、光ファイバF内に出射する。
ガルバノコントローラ56は、レーザコントローラ5から入力された加工データにおける各加工点のXY座標データ、ガルバノ走査速度情報等に基づいて、ガルバノX軸モータ31とガルバノY軸モータ32の駆動角度、回転速度等を算出して、駆動角度、回転速度を表すモータ駆動情報をガルバノドライバ57へ出力する。
ガルバノドライバ57は、ガルバノコントローラ56から入力された駆動角度、回転速度を表すモータ駆動情報に基づいて、ガルバノX軸モータ31とガルバノY軸モータ32を駆動制御して、レーザ光Lを2次元走査する。
ガイド光ドライバ58は、レーザコントローラ5から出力される制御信号に基づいて、可視半導体レーザ28を含むガイド光部16の制御を行い、例えば、制御信号に基づいて、可視半導体レーザ28から出射されるガイド光Mの発光タイミングや光量を制御する。そして、ポインタ光ドライバ59は、レーザコントローラ5から出力される制御信号に基づいて、ポインタ光出射部39の制御を行い、ポインタ光Pの出射制御を行う。
図1、図5に示すように、レーザコントローラ5には、PC7が双方向通信可能に接続されており、PC7から送信された加工内容を示す加工データ、レーザ加工装置本体部2の制御パラメータ、ユーザからの各種指示情報等を受信可能に構成されている。
続いて、レーザ加工装置100を構成するPC7の制御系構成について、図面を参照しつつ説明する。図5に示すように、PC7は、PC7の全体を制御する制御部70と、マウスやキーボード等から構成される入力操作部76と、液晶ディスプレイ77と、CD−ROM79に対する各種データ、プログラム等の書き込み及び読み込みを行うためのCD−R/W78等から構成されている。
制御部70は、PC7の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU71と、RAM72と、ROM73と、時間を計測するタイマー74と、HDD75等を備えている。
RAM72は、CPU71により演算された各種の演算結果等を一時的に記憶させておくためのものである。ROM73は、各種の制御プログラムやデータテーブルを記憶させておくものである。ROM73には、焦点距離情報が記憶されており、当該焦点距離情報は、レーザヘッド部3を構成するfθレンズ20の焦点距離と、レーザ光Lの波長との関係を示している。従って、当該レーザ加工装置100によれば、レーザ発振ユニット12の交換によりレーザ光Lの波長が変更された場合であっても、変更後の波長を特定することによって、変更後のレーザ光Lに関する焦点距離を特定することができる。
そして、HDD75は、各種アプリケーションソフトウェアのプログラム、各種データファイルを記憶する記憶装置である。当該HDD75は、ワークW上におけるレーザ加工の加工内容を示す加工データを作成する為のデータ作成処理プログラムや、後述するレーザ加工処理プログラム(図6参照)や焦点距離補正処理プログラム(図8参照)等を記憶している。
又、HDD75は、レーザヘッド部3におけるレーザ発振ユニット12の交換等によって、レーザ光Lの波長が変更された場合に参照されるデータベース75Aを有している。当該データベース75Aは、レーザ光Lの波長に対応する加工環境に設定する為の種々のデータを、レーザ光Lの波長(例えば、波長λa〜波長λc等)に対応付けて構成されている(図7参照)。具体的には、データベース75Aは、レーザ光Lの波長(例えば、波長λa〜波長λc等)毎に、歪補正データ、ガイド光補正データ、レーザ出力強度補正データ等を対応付けて構成されている。歪補正データ、ガイド光補正データ、レーザ出力強度補正データの詳細については、後に詳細に説明する。
そして、CD−R/W78は、アプリケーションプログラム、各種データテーブル、データベース75Aを構成する各データ群を、CD−ROM79から読み込む、又は、CD−ROM79に対して書き込む。
尚、PC7においては、データ作成処理プログラム、レーザ加工処理プログラム(図6参照)や焦点距離補正処理プログラム(図8参照)等のアプリケーションプログラムや、各種データテーブル、データベース75Aを、ROM73に記憶しても良いし、CD−ROM79等の記憶媒体から読み込むように構成しても良い。又、インターネット等のネットワーク(図示せず)を介して、ダウンロードするように構成してもよい。
そして、PC7には、入出力インターフェース(図示せず)を介して、マウスやキーボード等から構成される入力操作部76と、液晶ディスプレイ77等が電気的に接続されている。
(第1実施形態におけるレーザ加工処理プログラムの処理内容)
続いて、PC7において実行されるレーザ加工処理プログラムの処理内容について、図面を参照しつつ詳細に説明する。上述したように、当該レーザ加工処理プログラムは、PC7のHDD75に記憶されており、CPU71によって読み出されて実行される。
レーザ加工処理プログラムの実行を開始すると、CPU71は、先ず、レーザ発振ユニット12が使用可能であるか否かを判断する(S1)。具体的には、CPU71は、レーザヘッド部3における所定位置に、レーザ発振ユニット12が使用可能な状態でセットされているか否かを、レーザヘッド部3内部に配設されたセンサの検出信号等に基づいて判断する。レーザ発振ユニット12が使用可能な状態である場合(S1:YES)、CPU71は、S3に処理を移行する。一方、レーザ発振ユニット12が使用可能な状態ではない場合(S1:NO)、CPU71は、確認要求処理(S2)に処理を移行する。
S2においては、CPU71は、確認要求処理を実行し、レーザ発振ユニット12の配設状況の確認をユーザに要求する。具体的には、CPU71は、「現状、レーザ発振ユニット12が正しく配設されておらず、使用不能な状況である旨」のメッセージを液晶ディスプレイ77上に表示する。確認要求処理(S2)を終了すると、CPU71は、S1に処理を戻す。
S3に移行すると、CPU71は、ワークWの加工に用いられるレーザ光Lが変更されたか否かを判断する。この判断処理においては、レーザ光Lの波長が変更されたか否かを判断するものとし、第1実施形態では、レーザヘッド部3におけるレーザ発振ユニット12が交換されたか否かを判断する。そして、CPU71は、PC7に対して入力されたレーザ情報が変更されたか否かにより、S3の判断処理を行う。レーザ光Lが変更された場合(S3:YES)、CPU71は、S4に処理を移行する。一方、レーザ光Lが変更されていない場合(S3:NO)、CPU71は、S9に処理を移行する。
S4では、CPU71は、変更後のレーザ発振ユニット12に係るレーザ情報を読み込み、RAM72に格納する。上述したように、当該レーザ情報は、変更後のレーザ発振ユニット12から出射されるレーザ光Lの波長(例えば、波長λa、波長λb、波長λcの何れか)を示す情報を含んでいる。変更後のレーザ発振ユニット12に係るレーザ情報をRAM72に格納した後、CPU71は、S5に処理を移行する。
S5においては、CPU71は、S4で読み込んだレーザ情報と、データベース75Aの記憶内容に基づいて、ワークWに対してレーザ光Lによる加工を行う際に用いる歪補正データを、変更後のレーザ光Lの波長に対応する歪補正データに更新する。図7に示すように、データベース75Aにおいては、レーザ光Lの波長(波長λa〜波長λc)に対して、夫々歪補正データが対応付けられている為、CPU71は、レーザ情報に基づいて、レーザ光Lの波長を特定し、特定したレーザ光Lの波長に対応する歪補正データを、データベース75Aから読み出して設定する。
ここで、当該歪補正データは、加工領域上の各位置を擬似的に把握するために規定された直交座標系上の各座標位置(直交座標系において、相互に直交する2本のグリッドの交点)毎に対応付けられた複数の射影変換係数(即ち、「a」〜「h」、「α」)によって構成されている。当該歪補正データに係る各射影変換係数は、所定の波長のレーザ光Lを加工領域上に照射した場合に、直交座標系上の各座標位置に生じる歪を後述する射影変換処理によって相殺する為に必要な値を示し、実測等により求めた各座標位置に生じる歪と、各座標位置の座標値により算出される。
尚、当該射影変換処理で用いられる変換式は、下記の通りである。
(座標位置のX座標(x´))=(a*x+b*y+c)/(g*x+h*y+α)
(座標位置のY座標(y´))=(d*x+e*y+f)/(g*x+h*y+α)
そして、当該射影変換係数における「α」は、「+1」又は「−1」の何れかを示す。
その後、CPU71は、レーザ光Lに生じる歪の補正に用いる歪補正データとして、変更後のレーザ光Lの波長に対応する歪補正データを設定し、S6に処理を移行する。
S6に移行すると、CPU71は、S4で読み込んだレーザ情報と、データベース75Aの記憶内容に基づいて、ワーク載置部35E(又はワークW)に対してガイド光Mを照射する際に用いるガイド光補正データを、変更後のレーザ光Lの波長に対応するガイド光補正データに更新する。図7に示すように、データベース75Aにおいては、レーザ光Lの波長(波長λa〜波長λc)に対して、夫々、ガイド光補正データが対応付けられている為、CPU71は、レーザ情報に基づいて、レーザ光Lの波長を特定し、特定したレーザ光Lの波長に対応するガイド光補正データを、データベース75Aから読み出して設定する。
上述した歪補正データと同様に、ガイド光補正データは、直交座標系上の座標位置毎に対応付けられた複数の射影変換係数(即ち、「a」〜「h」、「α」)によって構成されている。当該ガイド光補正データに係る各射影変換係数は、所定の波長のレーザ光Lを加工領域上に照射した場合に、直交座標系上の各座標位置に生じる歪を後述する射影変換処理によって相殺する為に必要な値を示し、実測等により求めた各座標位置に生じる歪と、各座標位置の座標値により算出される。
尚、当該射影変換処理で用いられる変換式は、歪補正データの場合と同様であり、当該射影変換係数における「α」は、「+1」又は「−1」の何れかを示す。
その後、CPU71は、ガイド光Mに生じる歪の補正に用いるガイド光補正データとして、変更後のレーザ光Lの波長に対応するガイド光補正データを設定し、S7に処理を移行する。
S7では、CPU71は、S4で読み込んだレーザ情報と、データベース75Aの記憶内容に基づいて、ワークWに対してレーザ光Lによる加工に際して、レーザ光Lの出力強度を補正する為のレーザ出力強度補正データを、変更後のレーザ光Lの波長に対応するレーザ出力強度補正データに更新する。図7に示すように、データベース75Aにおいては、レーザ光Lの波長(波長λa〜波長λc)に対して、夫々レーザ出力強度補正データが対応付けられている為、CPU71は、レーザ情報に基づいて、レーザ光Lの波長を特定し、特定したレーザ光Lの波長に対応するレーザ出力強度補正データを、データベース75Aから読み出して設定する。
ここで、当該レーザ加工装置100において、レーザ光Lは、ハーフミラー15及びガルバノスキャナ19におけるガルバノX軸ミラー、ガルバノY軸ミラーを経由して、ワーク載置部35Eに到達する為、レーザ光Lの強度は、ハーフミラー15及びガルバノスキャナ19におけるガルバノX軸ミラー、ガルバノY軸ミラーに係る分光反射率の影響を受ける。従って、レーザ発振ユニット12の交換等に伴ってレーザ光Lの波長が変更された場合、レーザ光LがワークWに与えるエネルギー量が、変更後のレーザ光Lの波長と、ハーフミラー15等の分光反射率との関係によって変化してしまう。
当該レーザ出力強度補正データは、出射時におけるレーザ光Lの出力強度を補正することによって、レーザ光Lの波長が変更された場合であっても、レーザ光LがワークWに与えるエネルギー量を、ワークWの加工に適した状態にする為に規定される。例えば、レーザ光Lの波長を変更した結果、レーザ光LがワークWに与えるエネルギー量が低下してしまう場合、レーザ出力強度補正データは、出射時におけるレーザ光Lの出力強度を高めるように補正する。これにより、レーザ光Lの波長が変更された場合であっても、レーザ光LがワークWに与えるエネルギー量を維持し得る。その後、CPU71は、S8に処理を移行する。
S8においては、CPU71は、レーザ発振ユニット12の交換に伴うレーザ光Lの波長の変更に従って、焦点距離補正処理を実行する。ここで、当該レーザ発振ユニット12の交換によってレーザ光Lの波長が変更されると、fθレンズ20によるレーザ光Lの焦点面は、レーザ光Lの波長に対応する位置に変化してしまう。この場合、レーザ光Lの集光度合も、変更前の波長では焦点面上に焦点を形成した最適な状態であったとしても、変更後のLでは、ピントがずれた状態に変化してしまう為、高い加工品質でマーキング加工を施す為には、ワークWが載置されたワーク載置部35Eの位置を、変更後の焦点面に応じて調整することが重要となる。
上述したように、当該ポインタ光出射部39は、所定の傾斜角度θを為すようにポインタ光Pを出射するように配設されており、fθレンズ20によって収束されたレーザ光Lの焦点位置(合焦位置)で、ガイド光Mとポインタ光Pが交差することで、レーザ光Lの焦点面の位置を示している(図4参照)。以下、ガイド光Mとポインタ光Pが交差して合致する状態となりレーザ光Lの焦点面を示す位置を、Z調整位置という。レーザ光Lの波長の変更に伴って焦点面の位置が変更されると、XY平面をなす焦点面上におけるポインタ光Pの照射位置も変化する為、Z調整位置を変更する必要が生じる。
焦点距離補正処理(S8)では、CPU71は、HDD75から焦点距離補正処理プログラム(図8参照)を読み出して実行することによって、レーザ発振ユニット12の交換に伴うレーザ光Lの波長の変更に従って、ガイド光M及びポインタ光Pの交点を為すZ調整位置を変更する。
(焦点距離補正処理プログラムの処理内容)
図8に示すように、焦点距離補正処理(S8)に移行すると、CPU71は、先ず、S4で読み込んだレーザ情報と、ROM73に記憶されている焦点距離情報とに基づいて、変更後のレーザ光Lの波長に関する焦点距離を特定する(S21)。変更後のレーザ光Lの波長に係る焦点距離を特定した後、CPU71は、波長変更後の焦点距離情報をRAM72に格納し、S22に処理を移行する。
S22においては、CPU71は、先ず、RAM72に格納されている焦点距離情報を読み出し、波長の変更に伴う焦点距離の差分を算出する。次に、算出した焦点距離の差分と、ROM73に格納されているポインタ光Pの傾斜角度θを示す情報とを用いて、変更後の焦点面上におけるポインタ光Pの照射位置(即ち、Z調整位置)を求める。続いて、CPU71は、ガイド光Mの照射位置が変更後の焦点面上におけるポインタ光Pの照射位置と合致するように、ガルバノスキャナ19におけるガルバノX軸ミラー及びガルバノY軸ミラーの角度を算出し、Z調整モードにおけるガルバノ駆動情報としてRAM72に格納する。その後、CPU71は、焦点距離補正処理プログラムを終了し、レーザ加工処理プログラムのS9に処理を移行する。
図6に示すように、S9に移行すると、CPU71は、加工データ生成処理を実行する。当該加工データ生成処理(S9)においては、CPU71は、データ作成処理プログラムを読み出して実行することによって、レーザ光Lによる加工の内容を示す加工データを生成する。当該加工データは、マーキング加工によって、ワークW表面の加工領域に描画される加工内容を示し、レーザ光Lによる加工位置に対応する複数の加工点や、複数の加工点の集合によって構成される線要素等を含んで構成される。そして、当該加工データを構成する各加工点は、直交座標系上の各座標位置(直交座標系において、相互に直交する2本のグリッドの交点)に割り付けられる。データ作成プログラムに従って、加工データを生成した後、CPU71は、S10に処理を移行する。
S10においては、CPU71は、入力操作部76からの操作信号に基づいて、レーザ光Lの焦点面と、ワークWとの位置関係を調整する為のZ調整モードを実行するか否かを判断する。具体的には、CPU71は、入力操作部76を用いた所定のZ調整モード実行操作が行われたか否かを判断する。Z調整モードを実行する場合(S10:YES)、CPU71は、S11に処理を移行する。一方、Z調整モードを実行しない場合(S10:NO)、CPU71は、S12に処理を移行する。
S11では、CPU71は、ガイド光部16、ガルバノスキャナ19及びポインタ光出射部39を制御することによって、ガイド光Mとポインタ光Pとの交点(Z調整位置)を表示し、現在の波長に係るレーザ光Lの焦点面の位置を提示する。第1実施形態においては、CPU71は、焦点距離補正処理(S8)で設定されたガルバノ駆動情報に従って、ガルバノスキャナ19を制御しつつ、ガイド光部16及びポインタ光出射部39から、ガイド光M及びポインタ光Pを出射させる。この結果、ガイド光Mは、ガルバノスキャナ19において、ガルバノ駆動情報に基づく角度を為すガルバノX軸ミラー及びガルバノY軸ミラーにおいて反射して、レーザ光Lの焦点面上におけるポインタ光Pの照射位置(Z調整位置)に向かって照射される。
そして、当該レーザ加工装置100においては、ユーザは、ワークWが載置されたワーク載置部35Eを上下動させ、ワークW表面においてガイド光Mとポインタ光Pの交点が形成されるように、ワーク載置部35Eの位置を調整する。これにより、当該レーザ加工装置100は、マーキング加工が行われるワークW表面を、レーザ光Lの焦点面に一致させるように調整することができる。Z調整位置の表示を終了すると、CPU71は、S12に処理を移行する。
S12においては、CPU71は、入力操作部76からの操作信号に基づいて、ガイド表示を実行するか否かを判断する。具体的には、CPU71は、入力操作部76を用いた所定のガイド表示実行操作が行われたか否かを判断する。ガイド表示を実行する場合(S12:YES)、CPU71は、S13に処理を移行する。一方、ガイド表示を実行しない場合(S12:NO)、CPU71は、S14に処理を移行する。
S13に移行すると、CPU71は、加工データ生成処理(S9)において生成された加工データに従って、加工データの加工内容をガイド表示する。具体的には、CPU71は、加工データ生成処理(S9)で生成された加工データに従って、ガイド光部16及びガルバノスキャナ19を制御することによって、ワークW表面上に、ガイド光Mによって加工内容を表示する。このガイド表示に先立って、CPU71は、S6で更新されたガイド光補正データを用いた補正処理(射影変換処理)を実行する。尚、ガイド表示の態様は、加工内容をそのまま描画する態様であってもよいし、当該加工内容を簡略化した態様(例えば、加工内容のアウトライン)を描画してもよい。その後、CPU71は、S14に処理を移行する。
S14では、CPU71は、入力操作部76からの操作信号に基づいて、レーザ光Lによるレーザ加工(マーキング加工)を実行するか否かを判断する。具体的には、CPU71は、入力操作部76を用いた所定のレーザ加工実行操作が行われたか否かを判断する。レーザ加工を実行する場合(S14:YES)、CPU71は、S15に処理を移行する。一方、レーザ加工を実行しない場合(S14:NO)、CPU71は、S16に処理を移行する。
S15においては、CPU71は、加工実行処理を実行し、加工データ生成処理(S9)で生成された加工データに従って、レーザ光Lを用いたレーザ加工を行う。具体的には、加工データ生成処理(S9)で生成された加工データに従って、レーザ発振ユニット12及びガルバノスキャナ19を制御することによって、ワークW表面上に、レーザ光Lによって加工内容を描画する。レーザ加工の実行開始に先立って、CPU71は、当該加工データにおける加工点のX座標値、Y座標値と、S5で更新された歪補正データにおける当該加工点の射影変換係数と、上述した変換式とを用いた補正処理(射影変換処理)を実行することによって、レーザ光Lの加工位置に生じる歪を補正する。又、レーザ加工の実行に際して、CPU71は、加工データ生成処理(S9)で生成された加工データに規定されたレーザ光Lの出力強度を、S7で更新されたレーザ出力強度補正データに従って補正する。加工データの加工内容に関するレーザ加工を完了すると、CPU71は、加工実行処理を終了し、S16に処理を移行する。
S16に移行すると、CPU71は、入力操作部76からの操作信号に基づいて、終了指示があったか否かを判断する。終了指示は、レーザ加工処理プログラムの終了を指示する制御指示であり、入力操作部76を用いた所定の終了操作を条件に出力される。終了指示があった場合(S16:YES)、CPU71は、レーザ加工処理プログラムを終了する。一方、終了指示がない場合(S16:NO)、CPU71は、S1に処理を戻す。
(第1実施形態に係るレーザ光Lの波長の変化とZ位置調整)
続いて、上述のように構成された第1実施形態に係るレーザ加工装置100におけるレーザ発振ユニット12の交換と、Z位置調整の内容について、図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、この説明においては、レーザヘッド部3を構成するレーザ発振ユニット12は、第1レーザ発振ユニット12Aから第2レーザ発振ユニット12Bに交換されたものとする。
先ず、レーザヘッド部3におけるレーザ発振ユニット12として、第1レーザ発振ユニット12Aが配設されている場合のZ位置調整について、図9を参照しつつ説明する。上述したように、第1レーザ発振ユニット12Aは、初期状態におけるレーザ発振ユニット12として、レーザヘッド部3に配設されており、波長λaの赤外線レーザであるレーザ光Lを出射する。波長λaのレーザ光Lについての焦点面は、第1焦点面FAである(図9参照)。
この場合、CPU71は、ガイド光部16、ガルバノスキャナ19及びポインタ光出射部39を制御することによって、ガイド光Mとポインタ光Pとの交点(Z調整位置)を表示し、波長λaに係るレーザ光Lの第1焦点面FAを提示する(S11)。具体的には、CPU71は、焦点距離補正処理(S8)で設定されたガルバノ駆動情報に従って、ガルバノスキャナ19を制御しつつ、ガイド光部16及びポインタ光出射部39から、ガイド光M及びポインタ光Pを出射させる。この結果、ガイド光Mは、ガルバノスキャナ19において、ガルバノ駆動情報に基づく角度を為すガルバノX軸ミラー及びガルバノY軸ミラーにおいて反射して、第1焦点面FA上におけるポインタ光Pの照射位置(Z調整位置)に向かって照射される。
次に、レーザヘッド部3におけるレーザ発振ユニット12が、第1レーザ発振ユニット12Aから第1レーザ発振ユニット12Aに交換され、レーザ光Lの波長が波長λaから波長λbに変更された場合のZ位置調整について、図9を参照しつつ説明する。
第2レーザ発振ユニット12Bは、波長λbの可視光線レーザであるレーザ光Lを出射する。波長λbのレーザ光Lについての焦点面は、第2焦点面FBであり、第1焦点面FAよりもfθレンズ20側に位置する。そして、S5〜S8の処理が実行されることによって、歪補正データ、ガイド光補正データ、レーザ出力強度補正データ及び焦点距離情報は、データベース75Aにおける第1レーザ発振ユニット12Aに係る波長λaに対応するデータ群から、第2レーザ発振ユニット12Bに係る波長λbに対応するデータ群に更新されている。
この場合におけるS11においては、CPU71は、ガイド光部16、ガルバノスキャナ19及びポインタ光出射部39を制御することによって、ガイド光Mとポインタ光Pとの交点(Z調整位置)を表示し、波長λbに係るレーザ光Lの第2焦点面FBを提示する。具体的には、CPU71は、焦点距離補正処理(S8)で設定されたガルバノ駆動情報に従って、ガルバノスキャナ19を制御しつつ、ガイド光部16及びポインタ光出射部39から、ガイド光M及びポインタ光Pを出射させる。この結果、ガイド光Mは、ガルバノスキャナ19において、ガルバノ駆動情報に基づく角度(第1レーザ発振ユニット12A配設時とは異なる角度)を為すガルバノX軸ミラー及びガルバノY軸ミラーにおいて反射して、第2焦点面FB上におけるポインタ光Pの照射位置(Z調整位置)に向かって照射される(図9参照)。
尚、第2レーザ発振ユニット12Bは、波長λbの可視光線レーザを出射するので、第2レーザ発振ユニット12Bを取り付けた場合には、CPU71は、S11において、ガイド光部16の制御を停止して、第2レーザ発振ユニット12B、ガルバノスキャナ19及びポインタ光出射部39を制御することによって、可視光線レーザとしてのレーザ光Lとポインタ光Pとの交点(Z調整位置)を表示し、第2焦点面FBを提示することも可能である。この可視光線レーザのレーザ光Lを用いて、Z調整位置を表示する場合、CPU71は、可視光線レーザであるレーザ光Lの出力強度を、ワークWの加工が施されないように低下させることが望ましい。
以上、図9を用いて説明したように、当該レーザ加工装置100によれば、レーザ発振ユニット12から出射されるレーザ光Lの波長が変更された場合に、当該レーザ光Lの波長に対応して、前記ガイド光部16から出射される前記ガイド光Mと、前記ポインタ光出射部39から出射される前記ポインタ光Pとの交点を、変更後のレーザ光Lに係る焦点面の位置とする制御(S11)がなされる為、ユーザは、レーザ光Lの波長が変更された場合であっても、ガイド光Mとポインタ光Pとの交点を基準として、当該レーザ光Lに係る焦点面(例えば、第1焦点面FA、第2焦点面FB)の位置を正確に把握することができ、もって、当該レーザ光Lの焦点面の位置とワークWとの位置関係を適切に調整することができる。
以上説明したように、第1実施形態に関するレーザ加工装置100は、レーザ発振ユニット12と、ガルバノスキャナ19と、fθレンズ20と、ガイド光部16と、ポインタ光出射部39と、レーザコントローラ5と、PC7とを有しており、レーザ発振ユニット12から出射されたレーザ光Lを、ガルバノスキャナ19によって走査することで、ワークW表面にマーキング加工を施すことができる。
当該レーザ加工装置100において、レーザヘッド部3のレーザ発振ユニット12として、赤外線レーザ(波長λa)のレーザ光Lを出射可能な第1レーザ発振ユニット12A、可視光線レーザ(波長λb)のレーザ光Lを出射可能な第2レーザ発振ユニット12B、紫外線レーザ(波長λc)のレーザ光Lを出射可能な第3レーザ発振ユニット12Cの何れかを利用可能に構成されており、レーザ発振ユニット12を交換することによってレーザ光Lの波長を変更し得る(図4参照)。即ち、レーザ加工装置100は、種々の材質のワークWに対応する波長のレーザ光Lを用いて、ワークWのマーキング加工を実現し得る。
又、当該レーザ加工装置100及びレーザ加工装置100の制御方法(以下、レーザ加工装置100等)によれば、レーザ発振ユニット12から出射されるレーザ光Lの波長が変更された場合に、当該レーザ光Lの波長に対応して、前記ガイド光部16から出射される前記ガイド光Mと、前記ポインタ光出射部39から出射される前記ポインタ光Pとの交点を、変更後のレーザ光Lに係る焦点面の位置とする制御(S11)がなされる為、ユーザは、レーザ光Lの波長が変更された場合であっても、ガイド光Mとポインタ光Pとの交点を基準として、当該レーザ光Lに係る焦点面(例えば、第1焦点面FA、第2焦点面FB)の位置を正確に把握することができ、もって、当該レーザ光Lの焦点面の位置とワークWとの位置関係を適切に調整することができる。
即ち、当該レーザ加工装置100等によれば、レーザ光Lの波長が変更された場合であっても、そのレーザ光Lの焦点面の位置を、ガイド光Mとポインタ光Pとの交点によって提示することで、ワークWの位置調整に関する基準を、ユーザに明確に把握させることができ、もって、ワークWの位置調整に関する利便性を向上させ得る。そして、当該レーザ加工装置100等によれば、レーザ光Lの焦点面と、ワークWとの位置調整に関する精度を高めることができる為、もって、レーザ光LによるワークWの加工に関する加工品質の向上に貢献し得る。
そして、当該レーザ加工装置100等においては、前記レーザ光Lの波長が変更された場合(S3:YES)に、変更後のレーザ光Lの波長に関する焦点距離補正処理(S8)を実行し、変更後のレーザ光Lの波長に対応して、前記ガルバノミラーによる前記ガイド光Mの反射角度を制御し、ガルバノミラーによって反射された前記ガイド光Mと、前記ポインタ光出射部39から出射された前記ポインタ光Pの交点によって、波長が変更されたレーザ光Lに係る焦点面の位置を示す(S11)。即ち、当該レーザ加工装置100等によれば、レーザ光Lの走査に用いられるガルバノスキャナ19を利用して、ガイド光Mの光路を調整することで、波長が変更されたレーザ光Lに係る焦点面の位置を示すことができ、コストを増大させることなく、レーザ光Lの波長の変更に対応し得る。
当該レーザ加工装置100においては、前記レーザ発振ユニット12から前記レーザ光Lによる加工位置へ至る過程で、前記加工位置には歪が生じ、当該歪の大きさは、レーザ光Lの波長に応じて異なってしまう。又、当該レーザ加工装置100によれば、ガイド光Mは、ガルバノスキャナ19、fθレンズ20を介してワークWに向かって照射される為、レーザ光Lと同様に歪が生じる。
この点、当該レーザ加工装置100等によれば、前記レーザ光Lの波長が変更された場合(S3:YES)、変更後のレーザ光Lの波長に対応する歪補正データを設定し(S5)、歪補正データを用いて、前記レーザ光Lの加工位置に生じる歪を補正する(S15)。これにより、当該レーザ加工装置100等によれば、レーザ光Lの波長が変更された場合であっても、変更後のレーザ光Lの焦点面を高精度に示すことができる。そして、そのレーザ光Lの焦点面の位置を、ガイド光M及びポインタ光Pによって高い精度をもって示すことで、ワークWの位置調整に関する利便性を更に向上させることができ、もって、レーザ光LによるワークWの加工に関する加工品質の更なる向上に貢献し得る。
又、当該レーザ加工装置100等によれば、S4で読み込んだレーザ情報に基づいて、レーザ発振ユニット12から出射されるレーザ光Lが可視光線レーザであるか否かを判定することができる。そして、可視光線レーザがレーザ光Lとして出射されると判定され、且つ、S11の処理を行う場合、CPU71は、ガイド光部16によるガイド光Mの出射を停止すると共に、レーザ発振ユニット12から出射される前記レーザ光Lと、前記ポインタ光出射部39から出射される前記ポインタ光Pの交点によって、当該レーザ光Lに係る焦点面の位置を示す。即ち、当該レーザ加工装置100等によれば、ガイド光部16の駆動を停止した状態で、レーザ発振ユニット12から出射される可視光線レーザとしてのレーザ光Lと、ポインタ光出射部39のポインタ光Pを用いて、波長が変更されたレーザ光Lに係る焦点面の位置を示す為、ガイド光部16の消耗を抑え、レーザ加工装置100に係る省電力化に貢献し得る。
(第2実施形態)
次に、上述した第1実施形態と異なる実施形態(第2実施形態)について、図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、第2実施形態に関するレーザ加工装置100は、ポインタ光出射部39の構成を除き、上述した第1実施形態に関するレーザ加工装置100と同一の基本的構成を有しており、焦点距離補正処理(S8)の処理内容、S11の処理内容が相違する。従って、第1実施形態と同一の構成、処理内容に関する説明は省略する。
(第2実施形態に係るポインタ光出射部の構成)
第2実施形態に係るレーザ加工装置100において、ポインタ光出射部39は、ステッピングモータ等により構成される駆動部を介して、レーザヘッド部3の本体ベース11に配設されており、fθレンズ20によって収束されたレーザ光Lの焦点位置(合焦位置)で、ガイド光Mと交差するように、可視光であるポインタ光Pを出射する。第2実施形態に係るポインタ光出射部39は、駆動部の駆動制御を行うことによって、本体ベース11と平行な上面を有するワーク載置部35Eに対するポインタ光Pの入射角度である傾斜角度θを変更可能に構成されている(図10参照)。
(第2実施形態に係る焦点距離補正処理の処理内容)
第2実施形態に係る焦点距離補正処理(S8)においては、CPU71は、第1実施形態と同様に、HDD75から焦点距離補正処理プログラム(図8参照)を読み出して実行し、S4で読み込んだレーザ情報と、ROM73に記憶されている焦点距離情報とに基づいて、変更後のレーザ光Lの波長に関する焦点距離を特定する(S21)。ここまでの処理は、第1実施形態と同様である為、詳細な説明は省略する。
そして、第2実施形態に係る焦点距離補正処理プログラムのS22においては、CPU71は、先ず、RAM72に格納されている焦点距離情報を読み出し、変更後の焦点面上におけるガイド光Mの照射位置(即ち、Z調整位置)を求める。次に、CPU71は、ポインタ光Pの照射位置が変更後の焦点面上におけるガイド光Mの照射位置と合致するように、ポインタ光出射部39の傾斜角度θを算出し、Z調整モードにおけるポインタ光出射部39の駆動情報としてRAM72に格納する。その後、CPU71は、第2実施形態に係る焦点距離補正処理プログラムを終了し、S9に処理を移行する。
(第2実施形態に係るS11の処理内容)
続いて、第2実施形態に係るS11の処理内容について説明する。第2実施形態に係るS11では、CPU71は、ガイド光部16及びポインタ光出射部39を制御することによって、ガイド光Mとポインタ光Pとの交点(Z調整位置)を表示し、現在の波長に係るレーザ光Lの焦点面の位置を提示する。第2実施形態においては、CPU71は、焦点距離補正処理(S8)で設定されたポインタ光出射部39の駆動情報に従って、ポインタ光出射部39の駆動部を制御しつつ、ガイド光部16及びポインタ光出射部39から、ガイド光M及びポインタ光Pを出射させる。この結果、ポインタ光Pは、焦点距離補正処理(S8)で設定された傾斜角度θをもって、ワーク載置部35Eに入射するように、ポインタ光出射部39から出射され、変更後の波長に係るレーザ光Lの焦点面上で、ガイド光Mと交差する。
従って、第2実施形態に係る当該レーザ加工装置100においても、ユーザは、ワークWが載置されたワーク載置部35Eを上下動させ、ワークW表面においてガイド光Mとポインタ光Pの交点が形成されるように、ワーク載置部35Eの位置を調整する。これにより、当該レーザ加工装置100は、マーキング加工が行われるワークW表面を、レーザ光Lの焦点面に一致させるように調整することができる。Z調整位置の表示を終了すると、CPU71は、S12に処理を移行する。
(第2実施形態に係るレーザ光Lの波長の変化とZ位置調整)
続いて、上述のように構成された第2実施形態に係るレーザ加工装置100におけるレーザ発振ユニット12の交換と、Z位置調整の内容について、図10面を参照しつつ詳細に説明する。
尚、この説明においても、第1実施形態と同様に、レーザヘッド部3におけるレーザ発振ユニット12は、第1レーザ発振ユニット12Aから第2レーザ発振ユニット12Bに交換されたものとし、第1レーザ発振ユニット12Aが配設されている場合のZ位置調整に関しては、その説明を省略する。そして、図10においては、第1レーザ発振ユニット12Aが配設されている場合のポインタ光Pを、第1ポインタ光PAといい、第2レーザ発振ユニット12Bが配設されている場合のポインタ光Pを、第2ポインタ光PBという。
上述したように、第2レーザ発振ユニット12Bは、波長λbの可視光線レーザであるレーザ光Lを出射し、波長λbのレーザ光Lの焦点面は、第2焦点面FBである。そして、S5〜S8の処理が実行されることによって、歪補正データ、ガイド光補正データ、レーザ出力強度補正データ及び焦点距離情報は、データベース75Aにおける第1レーザ発振ユニット12Aに係る波長λaに対応するデータ群から、第2レーザ発振ユニット12Bに係る波長λbに対応するデータ群に更新されている。
第2実施形態におけるS11においては、CPU71は、ガイド光部16及びポインタ光出射部39を制御することによって、ガイド光Mと第2ポインタ光PBとの交点(Z調整位置)を表示し、波長λbに係るレーザ光Lの第2焦点面FBを提示する。具体的には、CPU71は、焦点距離補正処理(S8)で設定されたポインタ光出射部39の駆動情報に従って、ポインタ光出射部39の駆動部を制御しつつ、ガイド光部16及びポインタ光出射部39から、ガイド光M及び第2ポインタ光PBを出射させる。この結果、ポインタ光出射部39は、第1焦点面FA上のZ調整位置を通過する傾斜角度から、焦点距離補正処理(S8)で設定されたポインタ光Pの傾斜角度θに変化し、第2ポインタ光PBは、第2焦点面FB上におけるポインタ光Pの照射位置(Z調整位置)に向かって照射される(図10参照)。
以上説明したように、第2実施形態に関するレーザ加工装置100は、第1実施形態と同様に、レーザ加工装置100は、レーザ発振ユニット12と、ガルバノスキャナ19と、fθレンズ20と、ガイド光部16と、ポインタ光出射部39と、レーザコントローラ5と、PC7とを有しており、レーザ発振ユニット12から出射されたレーザ光Lを、ガルバノスキャナ19によって走査することで、ワークW表面にマーキング加工を施し得る。
又、第2実施形態に係るレーザ加工装置100においても、レーザヘッド部3のレーザ発振ユニット12として、第1レーザ発振ユニット12A、第2レーザ発振ユニット12B、第3レーザ発振ユニット12Cの何れかを利用可能に構成されており、レーザ発振ユニット12を交換することによってレーザ光Lの波長を変更し得る(図4参照)。即ち、当該レーザ加工装置100は、種々の材質のワークWに対応する波長のレーザ光Lを用いて、ワークWのマーキング加工を実現し得る。
第2実施形態に係るレーザ加工装置100等によれば、レーザ発振ユニット12から出射されるレーザ光Lの波長が変更された場合に、当該レーザ光Lの波長に対応して、前記ガイド光部16から出射される前記ガイド光Mと、前記ポインタ光出射部39から出射される前記ポインタ光Pとの交点を、変更後のレーザ光Lに係る焦点面の位置とする制御(S11)がなされる為、ユーザは、レーザ光Lの波長が変更された場合であっても、ガイド光Mとポインタ光Pとの交点を基準として、当該レーザ光Lに係る焦点面(例えば、第1焦点面FA、第2焦点面FB)の位置を正確に把握することができ(図10参照)、もって、当該レーザ光Lの焦点面の位置とワークWとの位置関係を適切に調整することができる。
即ち、第2実施形態に係るレーザ加工装置100等によれば、レーザ光Lの波長が変更された場合であっても、そのレーザ光Lの焦点面の位置を、ガイド光Mとポインタ光Pとの交点によって提示することで、ワークWの位置調整に関する基準を、ユーザに明確に把握させることができ、もって、ワークWの位置調整に関する利便性を向上させ得る。そして、当該レーザ加工装置100等によれば、レーザ光Lの焦点面と、ワークWとの位置調整に関する精度を高めることができる為、もって、レーザ光LによるワークWの加工に関する加工品質の向上に貢献し得る。
そして、第2実施形態に係るレーザ加工装置100において、前記ポインタ光出射部39は、前記ワーク載置部35Eに対する前記ポインタ光Pの傾斜角度θを変更可能に構成されている。そして、当該レーザ加工装置100等においては、前記レーザ光Lの波長が変更された場合(S3:YES)に、変更後のレーザ光Lの波長に対応して、前記ポインタ光出射部39における前記傾斜角度θを制御して、前記ガイド光Mと、前記ポインタ光出射部39から出射された前記ポインタ光Pの交点によって、波長が変更されたレーザ光Lに係る焦点面の位置を示す(S11)。即ち、第2実施形態に係るレーザ加工装置100等によれば、前記ワーク載置部35Eに対する前記ポインタ光Pの傾斜角度θを変更可能に構成されたポインタ光出射部39を用いて、ポインタ光Pの光路を調整することで、波長が変更されたレーザ光Lに係る焦点面の位置を示すことができる(図10参照)。
尚、上述した実施形態において、レーザ加工装置100は、本発明におけるレーザ加工装置の一例であり、ワーク載置部35Eは、本発明におけるワーク載置部の一例である。そして、レーザ発振ユニット12、第1レーザ発振ユニット12A、第2レーザ発振ユニット12B、第3レーザ発振ユニット12Cは、本発明におけるレーザ光出射部の一例であり、ガルバノスキャナ19は、本発明におけるガルバノスキャナの一例である。又、fθレンズ20は、本発明における光学部の一例であり、ガイド光部16は、本発明におけるガイド光出射部の一例である。そして、ポインタ光出射部39は、本発明におけるポインタ光出射部の一例であり、制御部70、レーザコントローラ5は、本発明における制御部、判断部、焦点面提示制御部、補正部、判定部の一例である。そして、ROM73、HDD75、データベース75Aは、本発明における記憶部の一例であり、レーザ光Lは、本発明におけるレーザ光の一例である。そして、ガイド光Mは、本発明におけるガイド光の一例であり、ポインタ光Pは、本発明におけるポインタ光の一例である。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。例えば、上述した実施形態においては、レーザヘッド部3を構成するレーザ発振ユニット12を、第1レーザ発振ユニット12A〜第3レーザ発振ユニット12Cの何れかに交換することによって、レーザ光Lの波長を変更していたが、この態様に限定されるものではなく、レーザ光Lの波長を変更することができれば、種々の態様を採用し得る。
例えば、レーザ発振ユニット12を構成するレーザ発振器21のみを交換することで、レーザ光Lの波長を変更する構成とすることもできる。この場合、レーザ発振器21の交換に伴い、ビームエキスパンダ22の構成(例えば、ビームエキスパンダ22内部に配設される一対のレンズの間隔等)を、変更後のレーザ光Lの波長に応じて変更することが望ましい。
又、励起用半導体レーザ部40に対する駆動電流を制御することによって、励起光を介して、レーザ発振ユニット12から出射されるレーザ光Lの波長を変更することも可能である。この場合、CPU71は、励起用半導体レーザ部40に対する駆動電流の制御に関する情報を参照することによって、レーザ光Lの波長が変更されたか否か(S3)を判断する。
そして、上述した実施形態においては、レーザ光Lの波長を、波長λa、波長λb、波長λcの3種類の何れかに変更可能なものとして説明していたが、本発明は、この態様に限定されるものではない。レーザ光Lの波長を、2種類以上に変更可能な構成であれば良く、より多種類の波長に変更可能な構成とすることも可能である。
又、上述した実施形態では、ガイド光Mとポインタ光Pは、Z調整位置を表示して調整する場合に、その初期位置において、互いに同一平面上に位置するように構成することが望ましい。
そして、上述した実施形態においては、PC7のCPU71によって、S3〜S11に係る処理を実行していたが、レーザコントローラ5のCPU61によって、これらの処理を実行する構成とすることも可能である。
又、上述した実施形態においては、ワーク載置部35Eは、加工容器4の本体箱部35内部において、上下方向(即ち、Z方向)へ移動可能に配設されており、ガイド光Mとポインタ光Pの交点に関する表示を基準として、その移動を制御することによって、ワークW表面とレーザ光Lの焦点面との位置調整を行っていたが、この態様に限定されるものではない。ワーク載置部35Eの移動に関しては、手動により行ってもよいし、ステッピングモータ等の駆動制御によって行ってもよい。そして、ワークW表面上でガイド光Mとポインタ光Pの交点を為したか否かの判断(即ち、ワークW表面の位置がレーザ光Lの焦点面と一致したか否かの判断)を、ユーザの目視によって行ってもよいし、撮像手段(カメラ等)の撮像結果に基づいて、CPU71等が自動的に判断する構成としてもよい。