以下、本発明に関するレーザ加工装置を、レーザ加工装置1を含むレーザ加工システム100として具体化した実施形態(第1実施形態)について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
(レーザ加工システム100の概略構成)
先ず、第1実施形態に関するレーザ加工システム100の概略構成について、図1を参照しつつ詳細に説明する。レーザ加工システム100は、レーザ加工装置1と、PC7を有しており、PC7によって作成された描画データに従って、レーザ加工装置1を制御することで、加工対象物(例えば、ワークW)の表面上に対して、レーザ光としてのパルスレーザLを二次元走査してマーキング加工を行うように構成されている。
(レーザ加工装置の概略構成)
次に、レーザ加工システム100を構成するレーザ加工装置1の概略構成について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1に示すように、第1実施形態に関するレーザ加工装置1は、レーザ加工装置本体部2と、レーザコントローラ5と、電源ユニット6により構成されている。
レーザ加工装置本体部2は、加工対象物(例えば、ワークW)に対して、パルスレーザLを照射し、当該パルスレーザLを二次元走査して、加工対象物の表面上にマーキング加工を行う。レーザコントローラ5は、コンピュータで構成され、PC7と双方向通信可能に接続されると共に、レーザ加工装置本体部2及び電源ユニット6と電気的に接続されている。PC7は、パーソナルコンピュータによって構成されており、加工対象物表面にマーキング加工を行う際の描画データの作成、加工条件に応じた制御パラメータの設定を行う際や、実行中のマーキング加工を中断する場合等に用いられる。そして、レーザコントローラ5は、PC7から送信された描画データ、制御パラメータ、各種指示情報等に基づいてレーザ加工装置本体部2及び電源ユニット6を駆動制御する。尚、ワークWは、加工対象物であるワークWの一例に該当する。
尚、図1は、レーザ加工システム100及びレーザ加工装置1の概略構成を示すものであるため、レーザ加工装置本体部2を模式的に示している。従って、当該レーザ加工装置本体部2の具体的な構成については、後述する。
(レーザ加工装置本体部2の概略構成)
次に、レーザ加工装置本体部2の概略構成について、図1、図2に基づいて説明する。尚、レーザ加工装置本体部2の説明において、図1の左方向、右方向、上方向、下方向が、それぞれレーザ加工装置本体部2の前方向、後方向、上方向、下方向である。従って、レーザ発振器21のパルスレーザLの出射方向が前方向である。本体ベース11及びパルスレーザLに対して垂直な方向が上下方向である。そして、レーザ加工装置本体部2の上下方向及び前後方向に直交する方向が、レーザ加工装置本体部2の左右方向である。
レーザ加工装置本体部2は、パルスレーザLと可視レーザ光Mをfθレンズ20から同軸上に出射するレーザヘッド部3(図2参照)と、レーザヘッド部3が上面に固定される略箱体状の加工容器(図示せず)とから構成されている。
図2に示すように、レーザヘッド部3は、本体ベース11と、パルスレーザLを出射するレーザ発振ユニット12と、光シャッター部13と、光ダンパー14と、ハーフミラー15と、ガイド光部16と、反射ミラー17と、光センサ18と、ガルバノスキャナ19と、fθレンズ20等から構成され、略直方体形状の筐体カバー(図示せず)で覆われている。
レーザ発振ユニット12は、レーザ発振器21と、ビームエキスパンダ22と、取付台23とから構成されている。レーザ発振器21は、ファイバコネクタと、集光レンズと、反射鏡と、レーザ媒質と、受動Qスイッチと、出力カプラーと、ウィンドウとをケーシング内に有している。ファイバコネクタには、光ファイバFが接続されており、電源ユニット6を構成する励起用半導体レーザ部40から出射された励起光が、光ファイバFを介して入射される。
集光レンズは、ファイバコネクタから入射された励起光を集光する。反射鏡は、集光レンズによって集光された励起光を透過すると共に、レーザ媒質から出射されたレーザ光を高効率で反射する。レーザ媒質は、励起用半導体レーザ部40から出射された励起光によって励起されてレーザ光を発振する。レーザ媒質としては、例えば、レーザ活性イオンとしてネオジウム(Nd)が添加されたネオジウム添加ガドリニウムバナデイト(Nd:GdVO4)結晶や、ネオジウム添加イットリウムバナデイト(Nd:YVO4)結晶や、ネオジウム添加イットリウムアルミニウムガーネット(Nd:YAG)結晶等を用いることができる。
受動Qスイッチは、内部に蓄えられた光エネルギーが或る一定値を超えたとき、透過率が高くなるという性質を持った結晶である。従って、受動Qスイッチは、レーザ媒質によって発振されたレーザ光をパルス状のパルスレーザLとして発振するQスイッチとして機能する。受動Qスイッチとしては、例えば、クローム添加YAG(Cr:YAG)結晶やCr:MgSiO4結晶等を用いることができる。
出力カプラーは、反射鏡とレーザ共振器を構成する。出力カプラーは、例えば、表面に誘電体多層膜をコーティングした凹面鏡により構成された部分反射鏡で、波長1064nmでの反射率は、80%〜95%である。ウィンドウは、合成石英等から形成され、出力カプラーから出射されたレーザ光を外部へ透過させる。従って、レーザ発振器21は、受動Qスイッチを介してパルスレーザを発振し、ワークW表面にマーキング加工を行うためのレーザ光として、パルスレーザLを出力する。
ビームエキスパンダ22は、パルスレーザLのビーム径を変更するものであり、レーザ発振器21と同軸に設けられている。取付台23は、レーザ発振器21がパルスレーザLの光軸を調整可能に取り付けられ、本体ベース11の前後方向中央位置よりも後側の上面に対して、各取付ネジ25によって固定されている。
光シャッター部13は、シャッターモータ26と、平板状のシャッター27とから構成されている。シャッターモータ26は、ステッピングモータ等で構成されている。シャッター27は、シャッターモータ26のモータ軸に取り付けられて同軸に回転する。シャッター27は、ビームエキスパンダ22から出射されたパルスレーザLの光路を遮る位置に回転した際には、パルスレーザLを光シャッター部13に対して右方向に設けられた光ダンパー14へ反射する。一方、シャッター27がビームエキスパンダ22から出射されたパルスレーザLの光路上に位置しないように回転した場合には、ビームエキスパンダ22から出射されたパルスレーザLは、光シャッター部13の前側に配置されたハーフミラー15に入射する。
光ダンパー14は、シャッター27で反射されたパルスレーザLを吸収する。尚、光ダンパー14の発熱は、本体ベース11に熱伝導されて冷却される。ハーフミラー15は、パルスレーザLの光路に対して斜め左下方向に45度の角度を形成するように配置される。ハーフミラー15は、後側から入射されたパルスレーザLのほぼ全部を透過する。又、ハーフミラー15は、後側から入射されたパルスレーザLの一部を、45度の反射角で反射ミラー17へ反射する。反射ミラー17は、ハーフミラー15のパルスレーザLが入射される後側面の略中央位置に対して左方向に配置される。
ガイド光部16は、可視レーザ光として、例えば、赤色レーザ光を出射する可視半導体レーザ28と、可視半導体レーザ28から出射された可視レーザ光Mを平行光に収束するレンズ群(図示せず)とから構成されている。可視レーザ光Mは、レーザ発振器21から出射されるパルスレーザLと異なる波長である。ガイド光部16は、ハーフミラー15のパルスレーザLが出射される略中央位置に対して右方向に配置されている。この結果、可視レーザ光Mは、ハーフミラー15のパルスレーザLが出射される略中央位置において、ハーフミラー15の前側面にあたる反射面に対して45度の入射角で入射され、45度の反射角でパルスレーザLの光路上に反射される。即ち、可視半導体レーザ28は、可視レーザ光MをパルスレーザLの光路上に出射する。
反射ミラー17は、パルスレーザLの光路に対して平行な前後方向に対して斜め左下方向に45度の角度を形成するように配置され、ハーフミラー15の後側面において反射されたパルスレーザLの一部が、反射面の略中央位置に対して45度の入射角で入射される。そして、反射ミラー17は、反射面に対して45度の入射角で入射されたパルスレーザLを、45度の反射角で前側方向へ反射する。
光センサ18は、パルスレーザLの発光強度を検出するフォトダイオード等で構成され、反射ミラー17のパルスレーザLが反射される略中央位置に対して、図2中、前側方向に配置されている。この結果、光センサ18は、反射ミラー17で反射されたパルスレーザLが入射され、この入射されたパルスレーザLの出力強度を検出する。従って、光センサ18を介してレーザ発振器21から出力されるパルスレーザLの強度を検出することができる。
ガルバノスキャナ19は、本体ベース11の前側端部に形成された貫通孔29の上側に取り付けられ、レーザ発振ユニット12から出射されたパルスレーザLと、ハーフミラー15で反射された可視レーザ光Mとを下方へ二次元走査する。ガルバノスキャナ19は、ガルバノX軸モータ31と、ガルバノY軸モータ32と、本体部33により構成されており、ガルバノX軸モータ31とガルバノY軸モータ32は、それぞれのモータ軸が互いに直交するように外側からそれぞれの取付孔に嵌入、保持されて本体部33に取り付けられている。従って、当該ガルバノスキャナ19においては、各モータ軸の先端部に取り付けられた走査ミラーが内側で互いに対向している。そして、ガルバノX軸モータ31、ガルバノY軸モータ32の回転をそれぞれ制御して、各走査ミラーを回転させることによって、パルスレーザLと可視レーザ光Mとを下方へ二次元走査する。この二次元走査方向は、前後方向(X方向)と左右方向(Y方向)である。
fθレンズ20は、下方に配置された加工対象物(ワークW等)の表面に対して、ガルバノスキャナ19によって二次元走査されたパルスレーザLと可視レーザ光Mとを同軸に集光する。そして、当該fθレンズ20は、パルスレーザLや可視レーザ光M等を収束した焦点を、平面状の焦点面とすると共に、パルスレーザLや可視レーザ光Mの走査速度が一定になるように補正する。従って、ガルバノX軸モータ31、ガルバノY軸モータ32の回転を制御することによって、パルスレーザLと可視レーザ光Mが、ワークW表面上において、所望の加工パターンで前後方向(X方向)と左右方向(Y方向)に二次元走査される。
(電源ユニットの概略構成)
次に、レーザ加工装置1における電源ユニット6の概略構成について、図1を参照しつつ説明する。図1に示すように、電源ユニット6は、励起用半導体レーザ部40と、レーザドライバ51と、電源部52と、冷却ユニット53とを、ケーシング55内に有している。電源部52は、励起用半導体レーザ部40を駆動する駆動電流を、レーザドライバ51を介して励起用半導体レーザ部40に供給する。レーザドライバ51は、レーザコントローラ5から入力される駆動情報に基づいて、励起用半導体レーザ部40を直流でオンオフ駆動する。
励起用半導体レーザ部40は、光ファイバFによってレーザ発振器21に光学的に接続されている。励起用半導体レーザ部40は、レーザドライバ51から入力されるパルス状の駆動電流に対して、レーザ光を発生する閾値電流を超えた電流値に比例した出力の波長のレーザ光である励起光を、光ファイバF内に出射する。従って、レーザ発振器21には、励起用半導体レーザ部40からの励起光が光ファイバFを介して入射される。励起用半導体レーザ部40には、例えば、GaAsを用いたバー型半導体レーザを用いることができる。
冷却ユニット53は、電源部52及び励起用半導体レーザ部40を、所定の温度範囲内に調整する為のユニットであり、例えば、電子冷却方式により冷却することで、励起用半導体レーザ部40の温度制御を行っており、励起用半導体レーザ部40の発振波長を微調整する。尚、冷却ユニット53は、水冷式の冷却ユニットや、空冷式の冷却ユニット等を用いるようにしてもよい。
(レーザ加工システム100の制御系)
次に、レーザ加工システム100を構成するレーザ加工装置1の制御系構成について、図面を参照しつつ説明する。図3に示すように、レーザ加工装置1は、レーザ加工装置1の全体を制御するレーザコントローラ5と、レーザドライバ51と、ガルバノコントローラ56と、ガルバノドライバ57と、可視光レーザドライバ58等を有して構成されている。レーザコントローラ5には、レーザドライバ51と、ガルバノコントローラ56と、光センサ18と、可視光レーザドライバ58等が電気的に接続されている。
レーザコントローラ5は、レーザ加工装置1の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU61、RAM62、ROM63、時間を計測するタイマ64等を備えている。又、CPU61、RAM62、ROM63、タイマ64は、バス線(図示せず)により相互に接続されて、相互にデータのやり取りが行われる。
RAM62は、CPU61により演算された各種の演算結果や描画パターンのXY座標データ等を一時的に記憶させておくためのものである。ROM63は、各種のプログラムを記憶させておくものであり、PC7から送信された描画データに基づいて描画パターンのXY座標データを算出してRAM62に記憶する等の各種プログラムが記憶されている。ROM63には、フォントの種類別に、直線と楕円弧とで構成された各文字のフォントの始点、終点、焦点、曲率等のデータが記憶されている。
そして、CPU61は、ROM63に記憶されている各種の制御プログラム(例えば、図4、図5等参照)に基づいて各種の演算及び制御を行なうものである。例えば、CPU61は、PC7から入力された描画データに基づいて算出した描画パターンのXY座標データ、ガルバノ走査速度情報等をガルバノコントローラ56に出力する。又、CPU61は、PC7からの制御信号に基づいて、パルスレーザLによるマーキング加工の中断制御や、励起用半導体レーザ部40からの励起光出力、励起光の出力期間等の情報を、レーザドライバ51に出力する。又、CPU61は、描画パターンのXY座標データ、ガルバノスキャナ19のON・OFFを指示する制御信号等をガルバノコントローラ56に出力する。
レーザドライバ51は、レーザコントローラ5から入力された励起用半導体レーザ部40に関する制御パラメータに基づいて、励起用半導体レーザ部40を駆動制御する。具体的には、レーザドライバ51は、レーザコントローラ5から入力された駆動電流の電流値に関する制御パラメータに基づいて、パルス状の駆動電流を発生して、励起用半導体レーザ部40に供給する。
ガルバノコントローラ56は、レーザコントローラ5から入力された描画パターンのXY座標データ、ガルバノ走査速度情報等に基づいて、ガルバノX軸モータ31とガルバノY軸モータ32の駆動角度、回転速度等を算出して、駆動角度、回転速度を表すモータ駆動情報をガルバノドライバ57へ出力する。
ガルバノドライバ57は、ガルバノコントローラ56から入力された駆動角度、回転速度を表すモータ駆動情報に基づいて、ガルバノX軸モータ31とガルバノY軸モータ32を駆動制御して、パルスレーザLを二次元走査する。
可視光レーザドライバ58は、レーザコントローラ5から出力される制御信号に基づいて、可視半導体レーザ28を含むガイド光部16の制御を行い、例えば、制御信号に基づいて、可視半導体レーザ28から出射される可視レーザ光Mの発光タイミングや光量を制御する。
図1、図3に示すように、レーザコントローラ5には、PC7が双方向通信可能に接続されており、PC7から送信された加工内容を示す描画データ、レーザ加工装置本体部2の制御パラメータ、ユーザからの各種指示情報等を受信可能に構成されている。
(PCの制御系)
続いて、レーザ加工システム100を構成するPC7の制御系構成について、図面を参照しつつ説明する。図3に示すように、PC7は、PC7の全体を制御する制御部70と、マウスやキーボード等から構成される入力操作部76と、液晶ディスプレイ77と、CD−ROM79に対する各種データ、プログラム等の書き込み及び読み込みを行うためのCD−R/W78等から構成されている。
制御部70は、PC7の全体の制御を行うと共に、レーザコントローラ5を介して、レーザ加工システム100全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU71と、RAM72と、ROM73と、時間を計測するタイマ74と、HDD75等を備えている。又、CPU71と、RAM72と、ROM73と、タイマ74は、バス線(図示せず)により相互に接続されて、相互にデータのやり取りが行われる。又、CPU71とHDD75は、入出力インターフェース(図示せず)を介して接続され、相互にデータのやり取りが行われる。
RAM72は、CPU71により演算された各種の演算結果等を一時的に記憶させておくためのものである。ROM73は、各種の制御プログラムやデータテーブルを記憶させておくものである。
そして、HDD75は、各種アプリケーションソフトウェアのプログラム、各種データファイルを記憶する記憶装置であり、描画データを作成する為の描画データ処理プログラム等の制御プログラムや、種々のデータテーブルやデータベースを記憶している。
そして、CD−R/W78は、アプリケーションプログラム、各種データテーブル等のデータ群を、CD−ROM79から読み込む、又は、CD−ROM79に対して書き込む。即ち、PC7は、CD−R/W78を介して、種々の制御プログラムや、データベースをCD−ROM79から読み込み、HDD75に格納する。
PC7には、入出力インターフェース(図示せず)を介して、マウスやキーボード等から構成される入力操作部76と、液晶ディスプレイ77等が電気的に接続されている。従って、PC7は、入力操作部76や、液晶ディスプレイ77を用いて、描画データの生成処理や、マーキング加工の実行を中断する際に利用される。
本実施形態においては、マーキング加工による描画内容を示す描画データは、PC7で描画データ処理プログラムを実行することによって作成される。そして、当該描画データは、文字、図形、記号や画像などを示す描画オブジェクトを含んでおり、各描画オブジェクトは、複数の線分(輪郭線LOやペイント線LP)によって構成されている(図7等参照)。ここで、輪郭線LOは、描画内容を構成する各描画オブジェクトの外郭を構成する線分である。そして、ペイント線LPは、輪郭線LOによって構成される輪郭内部に亘って配置されることによって、輪郭内部を塗りつぶす線分である。そして、当該描画データは、描画内容に基づく座標データと、描画内容を描画する際のパルスレーザLのレーザ強度データと、描画内容を描画する際の描画所要時間データ等の各項目を含んでいる。
(第1実施形態に係るレーザ加工処理プログラムの処理内容)
次に、第1実施形態におけるレーザ加工システム100で、ワークWに対してマーキング加工を行う際に、レーザコントローラ5のCPU61によって実行されるレーザ加工処理プログラムの処理内容について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
ワークWに対してマーキング加工を行う際に、レーザ加工処理プログラムの実行を開始すると、CPU61は、S1において、PC7から送信された描画データを受信し、RAM62に格納する。この時、受信した描画データは、描画内容に基づく座標データと、描画内容を描画する際のパルスレーザLのレーザ強度データと、描画内容を描画する際の描画所要時間データと、描画オブジェクトの種類を示すオブジェクト種類情報等を含んでいる。受信した描画データをRAM62に格納した後、CPU61は、S2に処理を移行する。
S2に移行すると、CPU61は、受信した描画データに基づいて、レーザドライバ51、ガルバノドライバ57に制御信号を出力して、ワークW表面に対して、パルスレーザLによるマーキング加工を開始する。マーキング加工を開始した後、CPU61は、S3に処理を移行する。
S3においては、CPU61は、通信可能に接続されたPC7から、加工中断指示を受けたか否かを判断する。当該加工中断指示は、PC7の入力操作部76を用いた所定の操作が行われた場合に、PC7からレーザコントローラ5に対して出力される。加工中断指示を受けた場合(S3:YES)、CPU61は、S4に処理を移行する。一方、加工中断指示を受けていない場合(S3:NO)、CPU61は、S9に処理を移行する。
S4では、CPU61は、加工中断指示を受信した時点と、描画データに含まれる描画所要時間データに基づいて、加工中断指示の受信した時点から描画を完了するまでの間の所要時間を示す完了所要時間を算出し、完了所要時間が所定時間以上であるか否かを判断する。完了所要時間が所定時間以上である場合(S4:YES)、CPU61は、S5に処理を移行する。一方、完了所要時間が所定時間よりも短い場合(S4:NO)、CPU61は、S10に処理を移行する。
S5においては、CPU61は、完了所要時間が所定時間以下であり(S4:YES)、加工中断指示に対応してマーキング加工を中断する為に、中断移行処理を実行する。中断移行処理(S5)では、CPU61は、中断移行処理プログラムを実行する。
(中断移行処理プログラムの処理内容)
図5に示すように、中断移行処理プログラムの実行を開始すると、CPU61は、先ず、描画データにおけるレーザ強度が加工レベルであるか否かを判断する(S11)。ここで、図6に示すように、レーザ強度が加工レベルであれば、パルスレーザLは、ワークW表面にマーキング加工を行い得る状態にある。描画データにおけるレーザ強度が加工レベルである場合(S11:YES)、CPU61は、S12に処理を移行する。一方、描画データにおけるレーザ強度が加工レベルでない場合(S11:NO)、CPU61は、処理を待機する。
S12においては、CPU61は、描画データにおけるレーザ強度が励起レベルであるか否かを判断する。ここで、図6に示すように、励起レベルとは、レーザ発振器21のレーザ媒質を励起状態に維持した状態ではあるものの、ワークW表面にマーキング加工を行い得ない状態のレーザ強度を意味する。当該レーザ加工システム100においては、ガルバノスキャナ19の走査によって、描画オブジェクトを構成する加工中の一線分の終点位置に到達した時点で、レーザ強度は、加工レベルから励起レベルに変更され得る。換言すると、S12では、描画オブジェクトを構成する加工中の一線分の終点位置までのマーキング加工を完了したか否かを判断している。レーザ強度が励起レベルである場合(S12:YES)、CPU61は、S13に処理を移行する。一方、レーザ強度が励起レベルでない場合(S12:NO)、CPU61は、処理を待機する。
S13では、CPU61は、描画オブジェクトを構成し、前記終点位置に係る一線分に続いて描画される線分の開始位置に対するパルスレーザLの照射位置の走査を完了したか否かを判断する。パルスレーザLの照射位置に関して、次の線分の開始位置への走査を完了している場合(S13:YES)、CPU61は、S14に処理を移行する。一方、次の線分の開始位置への走査を完了していない場合(S13:NO)、CPU61は、処理を待機し、ガルバノスキャナ19を継続的に制御することで、パルスレーザLの照射位置を、次の線分の開始位置へ継続的に走査する。
S14に移行すると、CPU61は、レーザ発振器21から出射されるパルスレーザLのレーザ強度を0レベルとする。レーザ強度を0レベルにした後、CPU61は、中断移行処理プログラム(図5参照)を終了し、レーザ加工処理プログラムのS6に処理を移行する。
中断移行処理(S5)を終了し、S6に移行すると、CPU61は、中断移行処理(S6)を経て、パルスレーザLによるマーキング加工を中断する。この時、CPU61は、マーキング加工の中断に関する種々の情報(例えば、中断位置を示す座標データ、残りの所要時間を示すデータ等)をRAM62に格納し、S7に処理を移行する。
S7では、CPU61は、中断されているマーキング加工の再開を指示する中断解除指示を、PC7から受信したか否かを判断する。当該中断解除指示は、PC7の入力操作部76を用いた所定の操作が行われた場合に、PC7からレーザコントローラ5に対して出力される。中断解除指示を受けた場合(S7:YES)、CPU61は、S8に処理を移行する。一方、中断解除指示を受けていない場合(S7:NO)、CPU61は、処理を待機して、マーキング加工を中断した状態を維持する。
S8においては、CPU61は、中断解除指示に基づいてマーキング加工の中断状態を解除し、RAM62に格納されている中断に関する種々の情報を参照して、パルスレーザLによるマーキング加工を再開する。その後、CPU61は、S9に処理を移行する。
S9に移行すると、CPU61は、描画データに係る全ての描画オブジェクトに対するマーキング加工を完了したか否かを判断する。描画データに基づくマーキング加工を完了している場合(S9:YES)、CPU61は、レーザ加工処理プログラムを終了する。一方、描画データに基づくマーキング加工を完了していない場合(S9:NO)、CPU61は、S3に処理を戻し、描画データに基づくマーキング加工を継続する。
S10においては、CPU61は、加工中断指示の受信した時点からの完了所要時間が所定時間よりも短い為(S4:NO)、加工中断指示に基づくマーキング加工の中断を行うことなく、描画データに係る全ての描画オブジェクトに対するマーキング加工を完了するまで、マーキング加工を継続する。描画データに基づくマーキング加工を継続して、描画データに係る全てのマーキング加工を完了すると、CPU61は、レーザ加工処理プログラムを終了する。
(第1実施形態に係るマーキング加工に関する一例)
ここで、第1実施形態に係るレーザ加工システム100におけるマーキング加工について、加工中断を含むマーキング加工処理の一例を挙げて説明する。図7に示す例においては、描画データDのオブジェクト種類として「文字列」が用いられた場合のマーキング加工の内容を示し、当該文字列は、輪郭線LOによって文字の輪郭を構成し、ペイント線LPを用いて輪郭内部を塗りつぶしたフォント(例えば、True Typeフォント)を用いて構
成されている(図7(C)参照)。
当該レーザ加工システム100において、このオブジェクト種類に係るマーキング加工を行う場合、図7に示すように、当該文字の輪郭を構成する輪郭線LOを随時描画していく(図7(A)参照)。文字の輪郭の描画を完了した後、複数のペイント線LPを、文字の輪郭内部に順次描画していくことによって、文字の輪郭内部を塗りつぶす(図7(B)、(C)参照)。
第1実施形態に係るレーザ加工システム100において、図7に示す文字に関するマーキング加工の中断及び中断解除に関して説明する。この図7(B)に示す場合は、「A」の文字に係る輪郭線LOの描画を完了し、「A」の文字の輪郭内部に複数のペイント線LPを配置していく過程で、一のペイント線LPを描画している途中で、加工中断指示を受け付けた場合を示している。
尚、図7(B)においては、加工中断指示を受け付けた時点で、マーキング加工をしているペイント線LP上の位置を、「中断指示受付位置PR」として示している。図7(B)に示すように、この中断指示受付位置PRでマーキング加工を中断した場合、パルスレーザLのレーザ強度は、中断に伴って低下してしまう。そして、中断解除に伴いマーキング加工を再開する場合には、十分にレーザ強度が上がるまでに時間を要する為、中断指示受付位置PRでマーキング加工を中断してしまうと、中断指示受付位置PRにおいて、ペイント線LPにおける加工品質が低下してしまい、加工品質の低下した部分が目立ってしまう。
この点、第1実施形態に係るレーザ加工システム100では、図7(B)に示す中断指示受付位置PRをマーキング加工している時点で、加工中断指示を受け付けた場合(S3:YES)、CPU71は、中断移行処理(S5)を実行することにより、マーキング加工が中断される描画中断位置PIを、当該輪郭線LOの終了位置(輪郭線LOの交点近傍)とすることができる。これにより、第1実施形態に係るレーザ加工システム100によれば、ペイント線LPに係るマーキング加工を行っている時点で、マーキング加工の加工中断指示があった場合でも、図7(C)に示すように、マーキング加工の中断に伴う加工品質の低下を抑制することができる。
以上説明したように、第1実施形態に関するレーザ加工システム100において、レーザ加工装置1は、レーザ発振ユニット12と、ガルバノスキャナ19と、を有しており、レーザコントローラ5と、電源ユニット6と、PC7と接続されている。当該レーザ加工装置1によれば、ガルバノスキャナ19によって、レーザ発振ユニット12からのパルスレーザLを走査することで、ワークW表面に加工を施すことができる。
そして、当該レーザ加工システム100におけるレーザ加工装置1は、描画データに従って、前記ワークWに対してパルスレーザLによるマーキング加工を実行している過程で、PC7の入力操作部76を用いた加工中断指示を受け付けた場合に、前記描画データに基づいて、加工中断指示に対応する描画中断位置PIを決定する(S4〜S6)。図7に示すように、当該レーザ加工装置1によれば、マーキング加工の中断が生じた場合であっても、図7(B)に示すように、描画データの内容に応じた適切な位置(例えば、ペイント線LPの終端位置)でマーキング加工を中断することができ、もって、加工品質を適切に維持することができる。
又、当該レーザ加工装置1において、描画データに規定された加工所要時間に基づいて、完了所要時間を算出し、当該完了所要時間が所定時間以上であるか否かを判断し(S4)、前記完了所要時間が所定時間以上である場合(S4:YES)、前記描画データの描画内容を構成する線分の内、現在描画中の線分における終端部を、前記描画中断位置PIに決定する(S5)。当該レーザ加工装置1によれば、描画データにおける描画内容の全てをマーキング加工することはできなくとも、現在描画中の線分の描画を完了し、加工を再開する際には、新たな線分の描画から開始することになる為、描画内容における中断部分が目立つことを抑制することができ、加工品質の低下を抑制することができる。
又、当該レーザ加工装置1において、完了所要時間が所定時間よりも長くない場合(S4:NO)、前記描画データにおける描画内容の加工完了に対応するまで、マーキング加工を継続し、描画データにおける完了位置を、前記描画中断位置PIに決定する為、描画内容における加工品質の低下を抑制することができる。
(第2実施形態)
次に、上述した第1実施形態と異なる実施形態(第2実施形態)について、図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、第2実施形態に関するレーザ加工装置1は、上述した第1実施形態に関するレーザ加工装置1と同一の基本的構成を有しており、描画データ処理プログラムの処理内容と、レーザ加工処理プログラムの処理内容が相違する。従って、第1実施形態と同一の構成、処理内容に関する説明は省略する。
(第2実施形態に関する描画データ処理プログラムの処理内容)
上述したように、当該レーザ加工システム100においては、描画データは、PC7において生成されて、レーザコントローラ5に対して出力される。ここで、第2実施形態に係るレーザ加工システム100において、描画データは、図8に示す描画データ処理プログラムをCPU71で実行することによって作成される。
図8に示すように、描画データを作成する為に描画データ処理プログラムの実行が開始されると、CPU71は、先ず、描画オブジェクトの種類を特定する(S31)。第2実施形態においては、描画オブジェクトとしては、文字列、二次元コード、バーコード、画像の4種類から特定することができる。これらの描画オブジェクトから所望の種類を特定して、特定した描画オブジェクトに係る所望の描画オブジェクトを作成すると、CPU71は、S32に処理を移行する。
S32においては、CPU71は、S31で特定された描画オブジェクトの種類が画像であるか否かを判断する。描画オブジェクトの種類が画像でない場合(S32:NO)、即ち、文字列、二次元コード、バーコードの何れかである場合、CPU71は、S33に処理を移行する。一方、描画オブジェクトの種類が画像である場合(S32:YES)、CPU71は、S35に処理を移行する。
S33では、CPU71は、文字列、二次元コード、バーコードの何れかの種類を示す描画オブジェクトに対して、当該描画オブジェクトの種類に対応するパターンテーブルを読み出す。オブジェクト種類ごとのパターンテーブルは、HDD75に格納されている。
その後、S34に移行すると、CPU71は、対応する描画オブジェクト種類のパターンテーブルの適用を実行することにより、描画オブジェクトを構成する複数の構成要素(例えば、文字や、二次元コードのセル、切り出しシンボル等)を、構成要素単位に抽出する。そして、CPU71は、各描画オブジェクトから抽出された構成要素単位で、ポーズインデックスを付与し、構成単位ごとに識別可能な状態にする(図9〜図11参照)。各構成要素を抽出し、個別にポーズインデックスを付与した後、CPU71は、S36に処理を移行する。
S35においては、CPU71は、画像を示す描画オブジェクトに関し、解析アルゴリズムを実施する。描画オブジェクトに係る画像に解析アルゴリズムを実行することによって、画像を構成する輪郭線LOの抽出、画像を構成する複数のペイント線LPの抽出や、同一座標上の線分の抽出を行う。そして、抽出した輪郭線LO、ペイント線LP単位で、ポーズインデックスを付与し、構成単位ごとに識別可能な状態にする(図12参照)。各構成要素を抽出し、個別にポーズインデックスを付与した後、CPU71は、S36に処理を移行する。
S36では、CPU71は、S31〜S35の処理内容で特定された内容に基づいて、描画データを生成する。この描画データは、描画内容に基づく座標データと、描画内容を描画する際のパルスレーザLのレーザ強度データと、描画内容を描画する際の描画所要時間データ等の各項目を含んで生成される。描画データを生成した後、CPU71は、S37に処理を移行する。
S37に移行すると、CPU71は、S31で特定された描画オブジェクトの種類を示すオブジェクト種類情報を作成し、当該オブジェクト種類情報をレーザコントローラ5に対して送信する。オブジェクト種類情報を送信した後、CPU71は、S38に処理を移行する。
S38においては、CPU71は、S36で生成した描画データを、レーザコントローラ5に対して送信する。描画データを送信した後、CPU71は、第2実施形態に係る描画データ処理プログラムを終了する。
(オブジェクト種類が文字列である場合)
ここで、第2実施形態に係るレーザ加工システム100において、PC7で文字列をオブジェクト種類とする描画データが作成される場合について、図9を参照しつつ詳細に説明する。第2実施形態における描画オブジェクトの種類を文字列とする場合、当該文字列を構成するフォントとして、第1フォントと、第2フォントとを用いることができる。
第1フォントは、輪郭線LOのみで各文字を表現するフォントであり、例えば、所謂、ストロークフォントを含んでいる。そして、第2フォントは、図7に示すように、輪郭線LOによって各文字の輪郭を構成し、当該文字の輪郭の内部を、ペイント線LPで塗りつぶして表現するフォントである。当該第2フォントとしては、例えば、True Typeフォン
トを挙げることができる。
第2実施形態において、図9(A)に示すように、第1フォント又は第2フォントにより構成される文字列が描画オブジェクトの種類として特定された場合、文字列に係るパターンテーブルがHDD75から読み出される(S33)。図9(B)に示すように、文字列に係るパターンテーブルには、アルファベット等の種々の文字が一文字単位で規定されて構成されている。そして、文字列に係るパターンテーブルを、描画データを構成する描画オブジェクトに対して適用することで、図9(C)に示すように、描画オブジェクトを構成する各文字を抽出することができ、文字毎にポーズインデックスを付与することができる(S34)。
(オブジェクト種類が二次元コードである場合)
次に、PC7で二次元コードをオブジェクト種類とする描画データが作成される場合について、図10を参照しつつ詳細に説明する。
第2実施形態における描画オブジェクトの種類である二次元コードは、図10(A)に示すように、水平方向と垂直方向に情報を持つ表示方式のコードであり、上下左右にマトリックス状に配列させた小さな正方形状のセルと、二次元コードを読み取る際に読取範囲を特定する為の切り出しシンボル等を含んで構成されている。セルは、輪郭線LOによって構成される当該セルの輪郭の内部を、ペイント線LPで塗りつぶして表現される。切り出しシンボルは、輪郭線LOのみで表現される。
そして、二次元コードが描画オブジェクトの種類として特定された場合、二次元コードに係るパターンテーブルがHDD75から読み出される(S33)。図10(B)に示すように、二次元コードに係るパターンテーブルには、二次元コードを構成するセルや切り出しシンボル等の構成要素が、それぞれ構成要素毎に規定されている。そして、二次元コードに係るパターンテーブルを、描画データを構成する描画オブジェクトに対して適用することで、図10(C)に示すように、描画オブジェクトを構成する二次元コードのセルや切り出しシンボル等の構成要素を抽出することができ、各構成要素に対してポーズインデックスを付与することができる(S34)。
(オブジェクト種類がバーコードである場合)
続いて、PC7でバーコードをオブジェクト種類とする描画データが作成される場合について、図11を参照しつつ詳細に説明する。
第2実施形態における描画オブジェクトの種類であるバーコードは、図11(A)に示すように、縞模様状の線の太さによって数値や文字を表す識別子であり、数字、文字、記号などの情報を一定の規則に従い一次元のコードに変換して形成される。バーコードを構成するバーは、輪郭線LO及びペイント線LPによって構成されている。具体的には、太さの細いバーについては、輪郭線LOのみで構成されており、所定以上の太さを有するバーは、輪郭線LOによって構成されるバーの輪郭内部を、ペイント線LPで塗りつぶして表現される。
そして、バーコードが描画オブジェクトの種類として特定された場合、バーコードに係るパターンテーブルがHDD75から読み出される(S33)。図11(B)に示すように、バーコードに係るパターンテーブルには、バーコードを構成する太さの異なるバーからなる構成要素が、それぞれ構成要素毎に規定されている。そして、バーコードに係るパターンテーブルを、描画データを構成する描画オブジェクトに対して適用することで、図11(C)に示すように、描画オブジェクトを構成するバーコードの各バーからなる構成要素を抽出することができ、各構成要素に対してポーズインデックスを付与することができる(S34)。
(オブジェクト種類が画像である場合)
次に、PC7で画像をオブジェクト種類とする描画データが作成される場合について、図12を参照しつつ詳細に説明する。
第2実施形態における描画オブジェクトの種類である画像は、図12(A)に示すように、直線及び/又は曲線を為す輪郭線LOによって描画される輪郭と、当該輪郭内部に配置されるペイント線LPによって構成される。即ち、当該画像は、輪郭線LOによって構成される領域の輪郭内部を、ペイント線LPで塗りつぶした物の集合体として表現される。
そして、画像が描画オブジェクトの種類として特定された場合、描画オブジェクトである画像に対して解析アルゴリズムを実施する(S35)。描画オブジェクトに係る画像に解析アルゴリズムを実行することによって、画像を構成する輪郭線LOの抽出、画像を構成する複数のペイント線LPの抽出や、同一座標上の線分の抽出を行う(図12(B)参照)。そして、抽出した輪郭線LO、ペイント線LP単位で、ポーズインデックスを付与し、構成単位ごとに識別可能な状態にする(図12(C)参照)。
(第2実施形態におけるレーザ加工処理プログラムの処理内容)
次に、第2実施形態に係るレーザ加工処理プログラムの処理内容について、図13を参照しつつ詳細に説明する。当該レーザ加工処理プログラムは、上述した第1実施形態と同様に、ワークWに対してマーキング加工を行う際に、レーザコントローラ5のCPU61によって実行される。
S51においては、CPU61は、PC7から送信されたオブジェクト種類情報を受信し、RAM62に格納する。当該オブジェクト種類情報は、描画データ処理プログラム(図8)のS37において、PC7から送信される。オブジェクト種類情報をRAM62に格納した後、CPU61は、S52に処理を移行する。
S52では、CPU61は、第1実施形態におけるS1と同様に、PC7から送信された描画データを受信し、RAM62に格納する。描画データをRAM62に格納した後、CPU61は、S53に処理を移行する。
S53においては、CPU61は、第1実施形態におけるS2と同様に、受信した描画データに基づいて、レーザドライバ51、ガルバノドライバ57に制御信号を出力して、ワークW表面に対して、パルスレーザLによるマーキング加工を開始する。マーキング加工を開始した後、CPU61は、S54に処理を移行する。
S54に移行すると、CPU61は、第1実施形態におけるS3と同様に、加工中断指示を受けたか否かを判断する。加工中断指示を受けた場合(S54:YES)、CPU61は、S55に処理を移行する。一方、加工中断指示を受けていない場合(S54:NO)、CPU61は、S63に処理を移行する。
S55では、CPU61は、描画オブジェクトの種類と、加工中断指示を受けた時点で描画している線分の種類と、図14に示す中断可否決定テーブルに基づいて、中断可否決定処理を実行する。図14に示すように、中断可否決定テーブルは、各描画オブジェクトの種類及び当該描画オブジェクトを構成する線の種類(輪郭線LO、ペイント線LP)に対して、加工中断の可否を規定して構成されている。
例えば、オブジェクト種類が第1フォント(例えば、ストロークフォント)からなる文字列である場合、輪郭線LOにおける加工中断は禁止されており、オブジェクト種類が第2フォント(例えば、True Typeフォント)からなる文字列である場合、輪郭線LOにお
ける加工中断は禁止されているが、ペイント線LPにおける加工中断は許容されている。
そして、当該中断可否決定テーブルにおいて、オブジェクト種類がバーコード及び二次元コードである場合、輪郭線LO及びペイント線LPの何れについても、加工中断は禁止されている。オブジェクト種類が画像である場合、輪郭線LOにおける加工中断は禁止されているが、ペイント線LPにおける加工中断は許容されている。
従って、CPU61は、加工中断指示を受けた時点で描画している描画オブジェクトの種類と、線分の種類を特定して、中断可否決定テーブルを参照することによって、加工中断指示を受けた時点で描画している線分におけるマーキング加工の中断の可否を判断する。
S56においては、CPU61は、中断可否決定処理(S55)の処理内容に基づいて、加工中断指示に対応するマーキング加工の中断が可能か否かを判断する。マーキング加工の中断が可能である場合(S56:YES)、CPU61は、S59に処理を移行する。一方、マーキング加工の中断が不能である場合(S56:NO)、CPU61は、S57に処理を移行する。
S57に移行すると、CPU61は、ポーズインデックスが変更したか否かを判断する。当該ポーズインデックスは、第2実施形態に係る描画データ処理プログラムのS34、S35において、描画オブジェクトの構成要素ごとに付与された情報である。ポーズインデックスが変更された場合(S57:YES)、CPU61は、構成要素単位でのマーキング加工を完了し、新たな構成要素の加工を開始した状況にあるため、S59に処理を移行する。一方、ポーズインデックスが変更されていない場合(S57:NO)、CPU61は、S58に処理を移行する。
S58では、CPU61は、当該ポーズインデックスに係る構成要素についてのマーキング加工を継続する。その後、CPU61は、中断可否決定処理(S55)に処理を戻す。
S59においては、CPU61は、第1実施形態と同様に、中断移行処理プログラム(図5参照)を実行することによって、中断移行処理を実行する。中断移行処理プログラムの処理内容については、第1実施形態において説明済である為、再度の説明を省略する。中断移行処理プログラムを終了した後、CPU61は、S60に処理を移行する。
S60に移行すると、CPU61は、中断移行処理(S59)を経て、パルスレーザLによるマーキング加工を中断する。その後、CPU61は、マーキング加工の中断に関する種々の情報をRAM62に格納し、S7に処理を移行する。
S61では、CPU61は、第1実施形態に係るS7と同様に、中断解除指示を、PC7から受信したか否かを判断する。中断解除指示を受けた場合(S61:YES)、CPU61は、S62に処理を移行する。一方、中断解除指示を受けていない場合(S61:NO)、CPU61は、処理を待機して、マーキング加工を中断した状態を維持する。
S62においては、CPU61は、第1実施形態に係るS8と同様に、中断解除指示に基づいてマーキング加工の中断状態を解除し、RAM62に格納されている中断に関する種々の情報を参照して、パルスレーザLによるマーキング加工を再開する。その後、CPU61は、S63に処理を移行する。
S63に移行すると、CPU61は、第1実施形態に係るS9と同様に、描画データに係る全ての描画オブジェクトに対するマーキング加工を完了したか否かを判断する。描画データに基づくマーキング加工を完了している場合(S63:YES)、CPU61は、第2実施形態に係るレーザ加工処理プログラムを終了する。一方、描画データに基づくマーキング加工を完了していない場合(S63:NO)、CPU61は、S54に処理を戻し、描画データに基づくマーキング加工を継続する。
以上説明したように、第2実施形態に関するレーザ加工システム100において、レーザ加工装置1は、レーザ発振ユニット12と、ガルバノスキャナ19と、fθレンズ20と、ガイド光部16と、を有しており、レーザコントローラ5と、電源ユニット6と、PC7と接続されている。当該レーザ加工装置1によれば、ガルバノスキャナ19と、fθレンズ20によって、レーザ発振ユニット12からのパルスレーザLを走査することで、ワークW表面に加工を施すことができる。
そして、当該レーザ加工システム100におけるレーザ加工装置1は、描画データに従って、前記ワークWに対してパルスレーザLによるマーキング加工を実行している過程で、PC7の入力操作部76を用いた加工中断指示を受け付けた場合に、前記描画データに基づいて、加工中断指示に対応する描画中断位置PIを決定する(S55〜S60)。当該レーザ加工装置1によれば、マーキング加工の中断が生じた場合であっても、描画データの内容に応じた適切な位置(即ち、中断可否決定テーブルと、中断移行処理プログラムにより定まる位置)でマーキング加工を中断することができ、もって、加工品質を適切に維持することができる。
当該レーザ加工装置1においては、中断可否決定テーブル(図14参照)を参照することによって、オブジェクト種類情報に基づいて特定された描画オブジェクトの種類に応じて規定される前記線分の種類に基づいて、加工中断指示に対応する描画中断位置PIを決定する(S55、S59)。ここで、描画オブジェクトの種類によっては、中断部分が生じたとしても、加工品質に与える影響が小さい部分が異なっていたり、その用途から高い加工品質が要求される部分(例えば、二次元コードの切り出しシンボル等)が存在したりする場合がある。当該レーザ加工装置1によれば、描画オブジェクトの種類に基づく線分の種類に従って描画中断位置PIを決定する為、マーキング加工の中断が生じた場合であっても、描画オブジェクトの種類に応じた適切な加工品質を維持することができる。
又、当該レーザ加工装置1において、オブジェクト種類情報に基づいて、描画オブジェクトの種類が二次元コード(図10参照)であると特定された場合に、中断可否決定テーブル(図14参照)に従って、加工中断指示を受け付けた時点で描画している線分が輪郭線LOであるかペイント線LPであるかに関わらず、描画中の構成要素に関する加工完了に対応する完了位置を、前記加工中断指示に対応する描画中断位置PIに決定する(S59)。二次元コードにおける各構成要素(セルや切り出しシンボル)は比較的加工に要する期間も短い一方で、構成要素の加工中で中断した場合に、二次元コードの読取性能に支障をきたす可能性もある。当該レーザ加工装置1によれば、描画データに基づいて二次元コードを描画している場合には、二次元コードにおける構成要素(セルや切り出しシンボル)の描画を完了した時点で中断する為、二次元コードとして要求される加工品質を維持しつつ、加工の中断に対して適切に対応することができる。
当該レーザ加工装置1において、オブジェクト種類情報に基づいて、前記描画データにおける描画オブジェクトの種類が、例えば、ストロークフォントからなる文字列であると特定された場合に、中断可否決定テーブル(図14参照)に従って、加工中断指示を受け付けた時点で描画している文字の完了位置を、前記加工中断指示に対応する描画中断位置PIに決定する(S59)。ストロークフォントに基づく文字は、輪郭線LOのみで構成されており、一文字を描画に要する時間も比較的短い。当該レーザ加工装置1によれば、描画データに基づいて、ストロークフォントに基づく文字を描画している場合には、描画中のストロークフォントに基づく文字の描画を完了した時点で中断する(S59)為、ストロークフォントに基づく文字の判読性に影響する加工品質を維持しつつ、加工の中断に対して適切に対応することができる。
そして、当該レーザ加工装置1において、オブジェクト種類情報に基づいて、前記描画データにおける描画オブジェクトの種類が、例えば、True Typeフォントからなる文字列
であると特定された場合に、中断可否決定テーブル(図14参照)に従って、加工中断指示を受け付けた時点で描画している文字の輪郭線LOを描画していれば、当該True Type
フォントにおける輪郭線LOの終端部を、加工中断指示に対応する描画中断位置PIに決定する(S59)。この場合、当該レーザ加工装置1によれば、True Typeフォントに基
づく文字の輪郭線LOの描画を完了した後、マーキング加工を中断する為(S60)、True Typeフォントに基づく文字の判読性を維持しつつ、加工中断指示に対応することがで
きる。
又、加工中断指示を受け付けた時点で、True Typeフォントにおける輪郭の内部全体に
亘って配置されるペイント線LPを描画していれば、レーザ加工装置1は、当該ペイント線LPおける終端部を、加工中断指示に対応する描画中断位置PIに決定する(S59)。この場合における描画中断位置PIである輪郭線LOにおける終端部は、図7に示すように、True Typeフォントに基づく文字の輪郭線LO近傍に位置することになる為、当該
レーザ加工装置1は、中断部分を目立たない位置にすることができ、もって、加工の中断に伴う加工品質の低下を抑制することができる。
当該レーザ加工装置1において、オブジェクト種類情報に基づいて、前記描画データにおける描画オブジェクトの種類が画像であると特定された場合に、中断可否決定テーブル(図14参照)に従って、加工中断指示を受け付けた時点で、前記画像の輪郭線LOを描画していれば、当該画像における輪郭線LOの終端部を、加工中断指示に対応する描画中断位置PIに決定する(S59)。この場合、当該レーザ加工装置1によれば、画像の輪郭に関する描画を完了した後、マーキング加工を中断する為、画像の明瞭性を維持しつつ、加工中断指示に対応することができる。
又、加工中断指示を受け付けた時点で、前記画像における輪郭の内部全体に亘って配置されるペイント線LPを描画していれば、当該レーザ加工装置1は、当該ペイント線LPにおける終端部を、加工中断指示に対応する描画中断位置PIに決定する(S59)。この場合における中断位置であるペイント線LPにおける終端部は、画像の輪郭近傍に位置することになる為、当該レーザ加工装置1は、中断部分を目立たない位置にすることができ、もって、マーキング加工の中断に伴う加工品質の低下を抑制することができる。
尚、上述した実施形態において、レーザ発振ユニット12及びレーザ発振器21は、本発明におけるレーザ光出射部の一例であり、ガルバノスキャナ19は、本発明における走査部の一例である。そして、レーザコントローラ5及びPC7は、本発明における制御部の一例である。又、レーザコントローラ5、CPU61は、本発明における加工データ取得部の一例であり、PC7、入力操作部76は、本発明における中断指示出力部の一例である。そして、レーザコントローラ5、CPU61は、本発明における中断位置決定部の一例である。そして、CPU61、RAM62は、本発明における総加工時間特定部の一例であり、本発明における所要時間判断部の一例である。又、CPU61、RAM62は、本発明における加工内容特定部の一例である。そして、輪郭線LOは、本発明における第1線種の一例であり、ペイント線LPは、本発明における第2線種の一例である。又、ストロークフォントは、本発明における第1フォントの一例であり、True Typeフォント
は、本発明における第2フォントの一例である。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。例えば、上述した実施形態においては、加工中断指示は、PC7の入力操作部76による所定操作が行われた場合に、PC7からレーザコントローラ5を送信される構成であったが、この構成に限定されるものではない。例えば、レーザ加工装置1を構成する加工容器の扉が開放された場合や、レーザ加工装置1に供給される電力量が低下した場合等、マーキング加工の実行に不具合が生じた場合に、加工中断指示を出力するように構成することも可能である。又、PC7の入力操作部76を用いた操作に限定されるものではなく、レーザコントローラ5に対する操作が行われたことを条件に、加工中断指示を発生させる構成としてもよい。
又、上述した実施形態においては、描画オブジェクトの種類として、「ストロークフォントからなる文字列」「True Typeフォントからなる文字列」「二次元コード」「バーコ
ード」「画像」を挙げていたが、この態様に限定されるものではない。レーザ加工システム100によってマーキング加工することができれば、種々の描画オブジェクトを採用することができる。この場合、S32〜S35の処理内容や、中断可否決定テーブル(図14参照)の内容については、採用した描画オブジェクトの種類に応じて適宜変更される。
又、本発明における線分は、2つの端点に挟まれた直線に限定されるものではなく、始点、終点に対応する2つの端点に挟まれた線であればよい。即ち、本実施形態に係る輪郭線LOやペイント線LPは、直線、曲線、直線及び曲線で構成されていてもよい。
又、上述した実施形態においては、光シャッター部13は、シャッターモータ26のモータ軸と共に、シャッター27を回転させることで、パルスレーザLの光路を開放・遮断する構成であったが、シャッター27を移動させることで、パルスレーザLの光路を開放・遮断可能な構成であれば、種々の態様を採用することができる。例えば、ソレノイドによって、シャッター27を回転移動させてもよい。又、ソレノイドによって、シャッター27をスライド移動させる構成であってもよい。