JP6287929B2 - レーザ加工データ作成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、レーザ加工装置のレーザ光によって、導線の芯線表面を被覆する被覆層を除去する為のレーザ加工データを作成するレーザ加工データ作成装置に関するものである。
従来、レーザ加工装置は、加工対象物に対して、レーザ光を照射して加工を施すように構成されており、レーザ加工データの動作内容に従って、出射されたレーザ光を加工対象物上の任意の位置となるように順次走査することで、当該加工対象物に加工を施している。
レーザ加工装置における加工の一態様として、芯線及び被覆層を有する導線に対して、レーザ光を照射することによって、当該導線から被覆層を除去するものがあり、この点に関する発明として、特許文献1記載の発明が知られている。特許文献1記載の発明においては、被覆層を有する銅線に対して、所定の周波数のレーザ光を所定のスキャン速度でスキャンさせる第1のスキャン段階を実行させ、その後、第1のスキャン段階を経た銅線に対して、一層高い周波数のレーザ光を、より高速なスキャン速度でスキャンさせる第2のスキャン段階を実行させるように構成されている。当該特許文献1記載の発明においては、第1のスキャン段階と、第2のスキャン段階を実行させることで、レーザ光によって、銅線と被覆層の界面で剥離効果を生じさせ、銅線表面から被覆層を除去している。
特表2007−516083号公報
しかしながら、当該特許文献1記載の発明においては、第1のスキャン段階においては、その条件が具体的に記載されているが、第2のスキャン段階については、レーザ光の周波数やスキャン速度については明示されているものの、レーザ光におけるスキャン方向やスキャン間隔については明示されていない。又、特許文献1記載の発明では、第1のスキャン段階及び第2のスキャン段階に関する諸条件については、一つの例しか記載されていない。
ここで、芯線表面に被覆層を有する導線には、その構成(例えば、芯線の構成材料や径、被覆層の構成材料や厚み等)が相違する多様な種類の導線が含まれている。従って、特許文献1記載の発明では、導線の構成や加工条件によっては、被覆層の除去が十分に行うことができなかったり、十分に被覆層を除去する為に長期の加工時間が必要となったりする場合があった。
本開示は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、レーザ加工装置のレーザ光によって、導線の構成等に応じて、適切かつ効率良く被覆層の除去を実行可能なレーザ加工データを作成し得るレーザ加工データ作成装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明の一側面に係るレーザ加工データ作成装置は、レーザ加工装置のレーザ光を、導電性材料からなる芯線と、前記芯線を被覆すると共に前記レーザ光を透過可能に形成された被覆層とを有する導線に対して照射することによって、前記導線における前記被覆層を除去する為のレーザ加工データを作成するレーザ加工データ作成装置であって、前記導線に関する情報の入力を受け付ける情報入力部と、前記レーザ加工装置の前記レーザ光によって、前記導線に対して所定の第1入熱量を与えつつ、当該レーザ光を第1走査速度で第1方向へ走査させる第1走査を、前記第1方向に交差する方向に異なる位置で複数回走査させる第1工程と、前記第1工程終了後に、前記レーザ光によって、前記第1入熱量よりも小さな第2入熱量を与えつつ、当該レーザ光を、前記第1走査速度よりも高速な第2走査速度で、前記第1方向と交差する第2方向へ走査させる第2走査を、前記第2方向に交差する方向に異なる位置で複数回走査させる第2工程と、を前記レーザ加工装置に実行させる為の前記レーザ加工データの内容を、前記情報入力部によって受け付けられた前記導線に関する情報に基づいて決定する決定部と、前記決定部によって決定された内容に従って、前記レーザ加工データを作成する作成部と、を有し、前記情報入力部は、前記導線に関する情報として、前記被覆層の構成材料に関する情報の入力を受け付け、前記決定部は、前記情報入力部によって受け付けられた前記被覆層の構成材料の耐熱性が高いほど、前記第1入熱量を大きな入熱量に決定ことを特徴とする。
当該レーザ加工データ作成装置は、情報入力部と、決定部と、作成部とを有しており、前記情報入力部によって受け付けられた前記導線に関する情報に基づいて、レーザ加工装置に第1工程と第2工程を実行させる為のレーザ加工データを作成する。当該レーザ加工データにおける第1工程では、レーザ加工装置に、前記レーザ光によって、前記導線に対して所定の第1入熱量を与えつつ、当該レーザ光を第1走査速度で第1方向へ走査させる第1走査を、前記第1方向に交差する方向に異なる位置で複数回走査させる。そして、第1工程終了後に実行される第2工程では、当該レーザ加工装置に、前記レーザ光によって、前記第1入熱量よりも小さな第2入熱量を与えつつ、当該レーザ光を、前記第1走査速度よりも高速な第2走査速度で、前記第1方向と交差する第2方向へ走査させる第2走査を、前記第2方向に交差する方向に異なる位置で複数回走査させる。
当該レーザ加工データ作成装置によれば、レーザ加工装置に第1工程を実行させることで、導体における芯線と被覆層の間の界面を起点として、溶融や脆化等の変質を発生させ、被覆層を膨張させるなどして芯線表面から離間しやすくできる。更に、レーザ加工装置に第2工程を実行させることで、溶融や脆化の変質によって芯線表面から離間しやすくされた被覆層を、レーザ光の第2走査によって、効率よく飛散させることができ、もって、レーザ加工装置に、導線から被覆層を除去させることができる。そして、当該レーザ加工データ作成装置によれば、前記情報入力部によって受け付けられた前記導線に関する情報に基づいて、第1工程、第2工程の内容を決定して、レーザ加工データを作成することができる。従って、当該レーザ加工データ作成装置によれば、導線に関する情報に応じた第1工程及び第2工程を、レーザ加工装置に実行させることができ、もって、適切かつ効率の良い被覆層の除去に貢献し得る。
当該レーザ加工データ作成装置によれば、レーザ加工データの内容における入熱量は、前記被覆層の構成材料に関する情報に基づいて決定される。被覆層の構成材料が相違する場合、被覆層の物性(例えば、耐熱性等)が異なる為、レーザ光による被覆層の溶融や脆化等、変質の生じ易さも相違する。即ち、レーザ加工データ作成装置によれば、レーザ加工データの内容として、導線を構成する被覆層の構成材料に応じた入熱量を決定することができ、もって、適切かつ効率の良い被覆層の除去に貢献し得る。
本発明の他の側面に係るレーザ加工データ作成装置は、請求項1記載のレーザ加工データ作成装置であって、前記情報入力部は、前記導線に関する情報として、前記芯線の構成材料に関する情報の入力を受け付け、前記決定部は、前記情報入力部によって受け付けられた前記芯線の構成材料の吸収率が大きいほど、前記第1入熱量を補正する補正倍率を小さくし、前記第1入熱量を決定することを特徴とする。
当該レーザ加工データ作成装置によれば、レーザ加工データの内容における入熱量は、前記芯線の構成材料に関する情報に基づいて決定される。芯線の構成材料が相違する場合、芯線の物性(例えば、吸収率、熱容量、熱伝導率等)が異なる為、レーザ光による芯線の加熱の速さも相違する。即ち、レーザ加工データ作成装置によれば、レーザ加工データの内容として、導線を構成する芯線の構成材料に応じた入熱量を決定することができ、もって、適切かつ効率の良い被覆層の除去に貢献し得る。
本発明の他の側面に係るレーザ加工データ作成装置は、請求項1乃至請求項3の何れかに記載のレーザ加工データ作成装置であって、前記情報入力部は、前記導線に関する情報として、前記被覆層の厚さに関する情報の入力を受け付け、前記決定部は、前記情報入力部によって受け付けられた前記被覆層の厚さが大きいほど、前記第1入熱量を大きい入熱量に決定することを特徴とする。
当該レーザ加工データ作成装置によれば、レーザ加工データの内容における入熱量は、前記被覆層の厚さに関する情報に基づいて決定される。レーザ光は、被覆層を透過した後、芯線表面と被覆層との間の界面に作用する為、例えば被覆層通過によるレーザパワーの減衰と言う形で,被覆層の厚みは、被覆層の除去容易性に影響を与える。即ち、レーザ加工データ作成装置によれば、レーザ加工データの内容として、被覆層の厚さに応じた入熱量を決定することができ、もって、適切かつ効率の良い被覆層の除去に貢献し得る。
本発明の他の側面に係るレーザ加工データ作成装置は、請求項1乃至請求項の何れかに記載のレーザ加工データ作成装置であって、前記導線における前記被覆層の除去に関する加工条件の入力を受け付ける加工条件入力部を有し、前記決定部は、前記加工条件入力部によって受け付けられた加工条件、前記レーザ加工データに含めることを決定することを特徴とする。
当該レーザ加工データ作成装置は、加工条件入力部を有しており、レーザ加工データの内容を、加工条件入力部によって受け付けられた加工条件に基づいて決定することができる。即ち、当該レーザ加工データ作成装置によれば、情報入力部によって受け付けられた導線に関する情報に加えて、加工条件入力部によって受け付けられた加工条件に従って、レーザ加工データの内容を決定することができるので、被覆層の除去をユーザ所望の態様で実行させることができる。
本発明の他の側面に係るレーザ加工データ作成装置は、請求項1乃至請求項4の何れかに記載のレーザ加工データ作成装置であって、前記情報入力部は、前記導線に関する情報として、前記芯線の径に関する情報の入力を受け付け、前記決定部は、前記情報入力部によって受け付けられた前記芯線の径に関する情報に基づいて、前記第2工程における前記導線の径方向に関する前記レーザ光による入熱量の分布を、前記第2工程における第2走査のピッチが前記芯線の径方向外側に向かうにつれ小さくなるピッチとなる前記第2入熱量の分布に決定することを特徴とする。
当該レーザ加工データ作成装置によれば、レーザ加工データの内容として、前記加工条件入力部によって受け付けられた前記芯線の径に関する情報に基づいて、前記導線の径方向に関して、前記レーザ光による入熱量の分布を決定する。ここで、レーザ光が被覆層を透過して界面に到達するまでの距離は、導線の径方向における位置に対応して変化し、芯線の径の影響を受ける。従って、当該レーザ加工データ作成装置によれば、芯線の径に関する情報に基づいて、前記導線の径方向についての前記レーザ光による入熱量の分布を設定することで、均一に界面効果を発生させることができ、もって、適切かつ効率の良い被覆層の除去に貢献し得る。
当該レーザ加工データ作成装置によれば、前記加工条件入力部に入力された前記芯線の径に基づいて、前記第2工程における第2走査のピッチを、前記芯線表面に対して均一に入熱可能なピッチに設定することができる。ここで、芯線表面と被覆層の界面は、曲面状に構成されている為、レーザ光のピッチを単純に等間隔としても、芯線表面においては、レーザ光による入熱の均一性を確保し得ない。この点、当該レーザ加工データ作成装置によれば、芯線の径に関する情報に基づいて、前記レーザ光を複数回走査する際のピッチを、前記芯線表面に対して均一に入熱可能なピッチに設定することができるので、均一に界面効果を発生させることができ、もって、適切かつ効率の良い被覆層の除去に貢献し得る。
本発明の他の側面に係るレーザ加工データ作成装置は、請求項記載のレーザ加工データ作成装置であって、前記加工条件入力部は、前記加工条件として、前記レーザ光を前記導線に対して走査させる際の走査パターンの種別の入力を受け付け、前記決定部は、前記加工条件入力部に入力された前記走査パターンの種別が第1の種別である場合、前記レーザ加工データにおける走査パターンの内容を、第1走査を前記第1方向の一方側から他方側へ行った後、前記レーザ光の照射を継続して他方側から一方側へ戻りつつ前記第2方向へ異なる位置に移動させる走査パターンに決定前記加工条件入力部に入力された前記走査パターンの種別が第2の種別である場合、前記レーザ加工データにおける走査パターンの内容を、第1走査を前記第1方向の一方側から他方側へ行った後、前記レーザ光の照射を停止して前記第2方向の異なる位置に移動させ、第1走査を前記第1方向の他方側から一方側へ行う走査パターンに決定することを特徴とする。
当該レーザ加工データ作成装置によれば、前記加工条件入力部に入力された前記走査パターンに基づいて、前記レーザ加工データにおける走査パターンの内容を設定することができる。即ち、当該レーザ加工データ作成装置によれば、レーザ加工データにおける走査パターンの内容を設定することで、被覆層の除去に関する迅速性と確実性の優先度を、ユーザ所望の態様に設定することができる。
本発明の他の側面に係るレーザ加工データ作成装置は、請求項7又は請求項に記載のレーザ加工データ作成装置であって、前記加工条件入力部は、前記加工条件として、前記第2工程における第2走査の走査回数の入力を受け付け、前記決定部は、前記加工条件入力部に入力された前記走査回数、前記レーザ加工データにおける第2工程での第2走査の前記第2工程の走査回数決定することを特徴とする。
当該レーザ加工データ作成装置によれば、前記加工条件入力部に入力された前記走査回数に基づいて、前記レーザ加工データにおける前記第2工程での第2走査の走査回数を決定することができる。第2工程における第2走査の走査回数は、第1工程によって芯線表面から離間した被覆層を飛散させる為の走査回数である為、当該レーザ加工データ作成装置によれば、レーザ加工装置における被覆層の除去に関する確実性を、ユーザ所望の態様に設定することができる。
本実施形態に係るレーザ加工システムの概略構成を示す説明図である。 レーザ加工装置におけるレーザヘッド部の構成を示す平面図である。 レーザ加工システムの制御系を示すブロック図である。 加工データ作成処理プログラムのフローチャートである。 本実施形態に係る導線Wの構成を示す説明図である。 導線情報設定ウィンドウの一表示例を示す説明図である。 被覆層材質テーブルの一例を示す説明図である。 芯線材質テーブルの一例を示す説明図である。 被覆層厚テーブルの一例を示す説明図である。 パルスレーザの走査ピッチ(走査軌跡の間隔)の補正に関する説明図である。 加工パラメータ設定処理プログラムのフローチャートである。 パラメータ設定ウィンドウの一表示例を示す説明図である。
以下、本発明に関するレーザ加工データ作成装置を、レーザ加工装置1と共に、レーザ加工システム100を構成するデータ作成装置7に具体化した実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
(レーザ加工システム100の概略構成)
先ず、本実施形態に関するレーザ加工システム100の概略構成について、図1を参照しつつ詳細に説明する。レーザ加工システム100は、レーザ加工装置1と、本発明のレーザ加工データ作成装置に相当するデータ作成装置7を有しており、データ作成装置7によって作成された加工データに従って、レーザ加工装置1を制御することで、加工対象物の表面上に対して、パルスレーザLを2次元走査してマーキング加工を行うように構成されている。本実施形態に係るレーザ加工装置1においては、加工対象物としての導線Wに対して、パルスレーザLを照射して2次元走査することによって、導線Wの被覆層Eを芯線Cの周囲から除去するように構成されている。
(レーザ加工装置の概略構成)
次に、レーザ加工システム100を構成するレーザ加工装置1の概略構成について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1に示すように、本実施形態に関するレーザ加工装置1は、レーザ加工装置本体部2と、レーザコントローラ5と、電源ユニット6により構成されている。
レーザ加工装置本体部2は、加工対象物に対してパルスレーザLを照射し、当該パルスレーザLを2次元走査して、加工対象物の表面上にマーキング加工を行い得る。そして、レーザコントローラ5は、コンピュータで構成され、データ作成装置7と双方向通信可能に接続されると共に、レーザ加工装置本体部2及び電源ユニット6と電気的に接続されている。データ作成装置7は、パーソナルコンピュータ等から構成され、加工データの作成等に用いられる。そして、レーザコントローラ5は、データ作成装置7から送信された加工データ、制御パラメータ、各種指示情報等に基づいてレーザ加工装置本体部2及び電源ユニット6を駆動制御する。
尚、図1は、レーザ加工システム100及びレーザ加工装置1の概略構成を示すものであるため、レーザ加工装置本体部2を模式的に示している。従って、当該レーザ加工装置本体部2の具体的な構成については、後述する。
(レーザ加工装置本体部2の概略構成)
次に、レーザ加工装置本体部2の概略構成について、図1、図2に基づいて説明する。尚、レーザ加工装置本体部2の説明において、図1の左方向、右方向、上方向、下方向が、それぞれレーザ加工装置本体部2の前方向、後方向、上方向、下方向である。従って、レーザ発振器21のパルスレーザLの出射方向が前方向である。本体ベース11及びパルスレーザLに対して垂直な方向が上下方向である。そして、レーザ加工装置本体部2の上下方向及び前後方向に直交する方向が、レーザ加工装置本体部2の左右方向である。
レーザ加工装置本体部2は、パルスレーザLと可視レーザ光Mをfθレンズ20から同軸上に出射するレーザヘッド部3(図2参照)と、レーザヘッド部3が上面に固定される略箱体状の加工容器(図示せず)とから構成されている。
図2に示すように、レーザヘッド部3は、本体ベース11と、パルスレーザLを出射するレーザ発振ユニット12と、光シャッター部13と、光ダンパー14と、ハーフミラー15と、ガイド光部16と、反射ミラー17と、光センサ18と、ガルバノスキャナ19と、fθレンズ20等から構成され、略直方体形状の筐体カバー(図示せず)で覆われている。
レーザ発振ユニット12は、レーザ発振器21と、ビームエキスパンダ22と、取付台23とから構成されている。レーザ発振器21は、ファイバコネクタと、集光レンズと、反射鏡と、レーザ媒質と、受動Qスイッチと、出力カプラーと、ウィンドウとをケーシング内に有している。ファイバコネクタには、光ファイバFが接続されており、電源ユニット6を構成する励起用半導体レーザ部40から出射された励起光が、光ファイバFを介して入射される。
集光レンズは、ファイバコネクタから入射された励起光を集光する。反射鏡は、集光レンズによって集光された励起光を透過すると共に、レーザ媒質から出射されたレーザ光を高効率で反射する。レーザ媒質は、励起用半導体レーザ部40から出射された励起光によって励起されてレーザ光を発振する。レーザ媒質としては、例えば、レーザ活性イオンとしてネオジウム(Nd)が添加されたネオジウム添加ガドリニウムバナデイト(Nd:GdVO4)結晶や、ネオジウム添加イットリウムバナデイト(Nd:YVO4)結晶や、ネオジウム添加イットリウムアルミニウムガーネット(Nd:YAG)結晶等を用いることができる。
受動Qスイッチは、内部に蓄えられた光エネルギーが或る一定値を超えたとき、透過率が高くなるという性質を持った結晶である。従って、受動Qスイッチは、レーザ媒質によって発振されたレーザ光をパルス状のパルスレーザとして発振するQスイッチとして機能する。受動Qスイッチとしては、例えば、クロームYAG(Cr:YAG)結晶やCr:MgSiO4結晶等を用いることができる。
出力カプラーは、反射鏡とレーザ共振器を構成する。出力カプラーは、例えば、表面に誘電体層膜をコーティングした凹面鏡により構成された部分反射鏡で、波長1064nmでの反射率は、80%〜95%である。ウィンドウは、合成石英等から形成され、出力カプラーから出射されたレーザ光を外部へ透過させる。従って、レーザ発振器21は、受動Qスイッチを介してパルスレーザを発振し、導線W表面から被覆層Eを除去するためのパルスレーザLとして、パルスレーザを出力する。
ビームエキスパンダ22は、パルスレーザLのビーム径を変更するものであり、レーザ発振器21と同軸に設けられている。取付台23は、レーザ発振器21がパルスレーザLの光軸を調整可能に取り付けられ、本体ベース11の前後方向中央位置よりも後側の上面に対して、各取付ネジ25によって固定されている。
光シャッター部13は、シャッターモータ26と、平板状のシャッター27とから構成されている。シャッターモータ26は、ステッピングモータ等で構成されている。シャッター27は、シャッターモータ26のモータ軸に取り付けられて同軸に回転する。シャッター27は、ビームエキスパンダ22から出射されたパルスレーザLの光路を遮る位置に回転した際には、パルスレーザLを光シャッター部13に対して右方向に設けられた光ダンパー14へ反射する。一方、シャッター27がビームエキスパンダ22から出射されたパルスレーザLの光路上に位置しないように回転した場合には、ビームエキスパンダ22から出射されたパルスレーザLは、光シャッター部13の前側に配置されたハーフミラー15に入射する。
光ダンパー14は、シャッター27で反射されたパルスレーザLを吸収する。尚、光ダンパー14の発熱は、本体ベース11に熱伝導されて冷却される。ハーフミラー15は、パルスレーザLの光路に対して斜め左下方向に45度の角度を形成するように配置される。ハーフミラー15は、後側から入射されたパルスレーザLのほぼ全部を透過する。又、ハーフミラー15は、後側から入射されたパルスレーザLの一部を、45度の反射角で反射ミラー17へ反射する。反射ミラー17は、ハーフミラー15のパルスレーザLが入射される後側面の略中央位置に対して左方向に配置される。
ガイド光部16は、可視レーザ光として、例えば、赤色レーザ光を出射する可視半導体レーザ28と、可視半導体レーザ28から出射された可視レーザ光Mを平行光に収束するレンズ群(図示せず)とから構成されている。可視レーザ光Mは、レーザ発振器21から出射されるパルスレーザLと異なる波長である。ガイド光部16は、ハーフミラー15のパルスレーザLが出射される略中央位置に対して右方向に配置されている。この結果、可視レーザ光Mは、ハーフミラー15のパルスレーザLが出射される略中央位置において、ハーフミラー15の前側面にあたる反射面に対して45度の入射角で入射され、45度の反射角でパルスレーザLの光路上に反射される。即ち、可視半導体レーザ28は、可視レーザ光MをパルスレーザLの光路上に出射する。
反射ミラー17は、パルスレーザLの光路に対して平行な前後方向に対して斜め左下方向に45度の角度を形成するように配置され、ハーフミラー15の後側面において反射されたパルスレーザLの一部が、反射面の略中央位置に対して45度の入射角で入射される。そして、反射ミラー17は、反射面に対して45度の入射角で入射されたパルスレーザLを、45度の反射角で前側方向へ反射する。
光センサ18は、パルスレーザLの発光強度を検出するフォトダイオード等で構成され、反射ミラー17のパルスレーザLが反射される略中央位置に対して、図2中、前側方向に配置されている。この結果、光センサ18は、反射ミラー17で反射されたパルスレーザLが入射され、この入射されたパルスレーザLの発光強度を検出する。従って、光センサ18を介してレーザ発振器21から出力されるパルスレーザLの強度を検出することができる。
ガルバノスキャナ19は、本体ベース11の前側端部に形成された貫通孔29の上側に取り付けられ、レーザ発振ユニット12から出射されたパルスレーザLと、ハーフミラー15で反射された可視レーザ光Mとを下方へ2次元走査する。ガルバノスキャナ19は、ガルバノX軸モータ31と、ガルバノY軸モータ32と、本体部33により構成されており、ガルバノX軸モータ31とガルバノY軸モータ32は、それぞれのモータ軸が互いに直交するように外側からそれぞれの取付孔に嵌入、保持されて本体部33に取り付けられている。従って、当該ガルバノスキャナ19においては、各モータ軸の先端部に取り付けられた走査ミラーが内側で互いに対向している。そして、ガルバノX軸モータ31、ガルバノY軸モータ32の回転をそれぞれ制御して、各走査ミラーを回転させることによって、パルスレーザLと可視レーザ光Mとを下方へ2次元走査する。この2次元走査方向は、前後方向(X方向)と左右方向(Y方向)である。
fθレンズ20は、下方に配置された加工対象物(例えば、導線W)表面に対して、ガルバノスキャナ19によって2次元走査されたパルスレーザLと可視レーザ光Mとを同軸に集光する。従って、ガルバノX軸モータ31、ガルバノY軸モータ32の回転を制御することによって、パルスレーザLと可視レーザ光Mが、導線W表面上において、所望の加工パターンで前後方向(X方向)と左右方向(Y方向)に2次元走査される。
(電源ユニットの概略構成)
次に、レーザ加工装置1における電源ユニット6の概略構成について、図1を参照しつつ説明する。図1に示すように、電源ユニット6は、励起用半導体レーザ部40と、レーザドライバ51と、電源部52と、冷却ユニット53とを、ケーシング55内に有している。電源部52は、励起用半導体レーザ部40を駆動する駆動電流を、レーザドライバ51を介して励起用半導体レーザ部40に供給する。レーザドライバ51は、レーザコントローラ5から入力される駆動情報に基づいて、励起用半導体レーザ部40を直流でオンオフ駆動する。
励起用半導体レーザ部40は、光ファイバFによってレーザ発振器21に光学的に接続されている。励起用半導体レーザ部40は、レーザドライバ51から入力されるパルス状の駆動電流に対して、レーザ光を発生する閾値電流を超えた電流値に比例した出力の波長のレーザ光である励起光を、光ファイバF内に出射する。従って、レーザ発振器21には、励起用半導体レーザ部40からの励起光が光ファイバFを介して入射される。励起用半導体レーザ部40には、例えば、GaAsを用いたレーザバーを用いることができる。
冷却ユニット53は、電源部52及び励起用半導体レーザ部40を、所定の温度範囲内に調整する為のユニットであり、例えば、電子冷却方式により冷却することで、励起用半導体レーザ部40の温度制御を行っており、励起用半導体レーザ部40の発振波長を微調整する。尚、冷却ユニット53は、水冷式の冷却ユニットや、空冷式の冷却ユニット等を用いるようにしてもよい。
(レーザ加工システム100の制御系)
次に、レーザ加工システム100を構成するレーザ加工装置1の制御系構成について、図面を参照しつつ説明する。図3に示すように、レーザ加工装置1は、レーザ加工装置1の全体を制御するレーザコントローラ5と、レーザドライバ51と、ガルバノコントローラ56と、ガルバノドライバ57と、可視光レーザドライバ58等を有して構成されている。レーザコントローラ5には、レーザドライバ51と、ガルバノコントローラ56と、光センサ18と、可視光レーザドライバ58等が電気的に接続されている。
レーザコントローラ5は、レーザ加工装置1の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU61、RAM62、ROM63、時間を計測するタイマ64等を備えている。又、CPU61、RAM62、ROM63、タイマ64は、バス線(図示せず)により相互に接続されて、相互にデータのやり取りが行われる。
RAM62は、CPU61により演算された各種の演算結果や加工走査パターンのXY座標データ等を一時的に記憶させておくためのものである。ROM63は、各種のプログラムを記憶させておくものであり、データ作成装置7から送信された加工データに基づいて加工走査パターンのXY座標データを算出してRAM62に記憶する等の各種プログラムが記憶されている。
そして、CPU61は、ROM63に記憶されている各種の制御プログラムに基づいて各種の演算及び制御を行なうものである。例えば、CPU61は、データ作成装置7から入力された加工データに基づいて算出した加工走査パターンのXY座標データ、ガルバノ走査速度情報等をガルバノコントローラ56に出力する。又、CPU61は、データ作成装置7から入力された加工データに基づいて設定した励起用半導体レーザ部40の励起光出力、励起光の出力期間等の励起用半導体レーザ部40の駆動情報をレーザドライバ51に出力する。又、CPU61は、加工走査パターンのXY座標データ、ガルバノスキャナ19のON・OFFを指示する制御信号等をガルバノコントローラ56に出力する。
レーザドライバ51は、レーザコントローラ5から入力された励起用半導体レーザ部40の励起光出力、励起光の出力期間等のレーザ駆動情報等に基づいて、励起用半導体レーザ部40を駆動制御する。具体的には、レーザドライバ51は、レーザコントローラ5から入力されたレーザ駆動情報の励起光出力に比例した電流値のパルス状の駆動電流を発生し、レーザ駆動情報の励起光の出力期間に基づく期間、励起用半導体レーザ部40に出力する。これにより、励起用半導体レーザ部40は、励起光出力に対応する強度の励起光を出力期間の間、光ファイバF内に出射する。
ガルバノコントローラ56は、レーザコントローラ5から入力された加工走査パターンのXY座標データ、ガルバノ走査速度情報等に基づいて、ガルバノX軸モータ31とガルバノY軸モータ32の駆動角度、回転速度等を算出して、駆動角度、回転速度を表すモータ駆動情報をガルバノドライバ57へ出力する。
ガルバノドライバ57は、ガルバノコントローラ56から入力された駆動角度、回転速度を表すモータ駆動情報に基づいて、ガルバノX軸モータ31とガルバノY軸モータ32を駆動制御して、パルスレーザLを2次元走査する。
可視光レーザドライバ58は、レーザコントローラ5から出力される制御信号に基づいて、可視半導体レーザ28を含むガイド光部16の制御を行い、例えば、制御信号に基づいて、可視半導体レーザ28から出射される可視レーザ光Mの発光タイミングや光量を制御する。
図1、図3に示すように、レーザコントローラ5には、データ作成装置7が双方向通信可能に接続されており、データ作成装置7から送信された加工内容を示す加工データ、レーザ加工装置本体部2の制御パラメータ、ユーザからの各種指示情報等を受信可能に構成されている。
(データ作成装置の制御系)
続いて、レーザ加工システム100を構成するデータ作成装置7の制御系構成について、図面を参照しつつ説明する。図3に示すように、データ作成装置7は、データ作成装置7の全体を制御する制御部70と、マウスやキーボード等から構成される入力操作部76と、液晶ディスプレイ77と、CD−ROM79に対する各種データ、プログラム等の書き込み及び読み込みを行うためのCD−R/W78等から構成されている。
制御部70は、データ作成装置7の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU71と、RAM72と、ROM73と、時間を計測するタイマ74と、HDD75等を備えている。又、CPU71と、RAM72と、ROM73と、タイマ74は、バス線(図示せず)により相互に接続されて、相互にデータのやり取りが行われる。又、CPU71とHDD75は、入出力インターフェース(図示せず)を介して接続され、相互にデータのやり取りが行われる。
RAM72は、CPU71により演算された各種の演算結果等を一時的に記憶させておくためのものである。ROM73は、各種の制御プログラムやデータテーブルを記憶させておくものである。
そして、HDD75は、各種アプリケーションソフトウェアのプログラム、各種データファイルを記憶する記憶装置である。本実施形態に係るHDD75は、導線Wから被覆層Eを除去する為の加工データを作成する為の加工データ作成処理プログラム(図4参照)や加工パラメータ設定処理プログラム(図10参照)、後述する被覆層材質テーブル(図7参照)、芯線材質テーブル(図8参照)及び被覆層厚テーブル(図9参照)を記憶している。
そして、CD−R/W78は、アプリケーションプログラム、各種データテーブル及びデータベース75Dを構成する各データ群を、CD−ROM79から読み込む、又は、CD−ROM79に対して書き込む。即ち、データ作成装置7は、CD−R/W78を介して、加工データ作成処理プログラム(図4参照)や加工パラメータ設定処理プログラム(図11参照)、被覆層材質テーブル(図7参照)、芯線材質テーブル(図8参照)及び被覆層厚テーブル(図9参照)をCD−ROM79から読み込み、HDD75に格納すると共に、種々のデータ群を記憶することでデータベース75DをHDD75内に形成する。
尚、加工データ作成処理プログラム(図4参照)や加工パラメータ設定処理プログラム(図11参照)、被覆層材質テーブル(図7参照)、芯線材質テーブル(図8参照)及び被覆層厚テーブル(図9参照)は、ROM73に記憶されていても良いし、CD−ROM79等の記憶媒体から読み込まれても良い。又、インターネット等のネットワーク(図示せず)を介して、ダウンロードされてもよい。
そして、データ作成装置7には、入出力インターフェース(図示せず)を介して、マウスやキーボード等から構成される入力操作部76と、液晶ディスプレイ77等が電気的に接続されている。従って、データ作成装置7は、入力操作部76や、液晶ディスプレイ77を用いて、導線Wから被覆層Eを除去する為の加工データの作成や制御パラメータの設定等に利用される。
(データ作成処理プログラムの処理内容)
続いて、データ作成装置7において実行されるデータ作成処理プログラムの処理内容について、図4〜図12を参照しつつ詳細に説明する。当該データ作成処理プログラムは、パルスレーザLを照射することによって、後述する導線Wから被覆層Eを除去し、芯線Cを露出させる為の加工データを作成する為のアプリケーションプログラムであり、データ作成装置7のCPU71によって実行される。
(導線Wの構成)
ここで、本実施形態に係るレーザ加工システム100において、加工対象物として用いられる導線Wの構成について、図5を参照しつつ説明する。当該導線Wは、電気を伝導する為の線であり、芯線Cと、被覆層Eとを有して構成されている。芯線Cは、電気伝導性を有する金属(例えば、銅、アルミ等)によって、芯線外径Dを有する線材として形成されている。被覆層Eは、絶縁性を有する樹脂材(例えば、ポリウレタン、ポリエステル等)によって、パルスレーザLを透過可能に構成されており、芯線Cを絶縁・保護する為に配設されている。当該被覆層Eは、所定の被覆層厚Tをもって、芯線Cの外周面を被覆している。
尚、以下の説明においては、導線Wの径方向に沿ったパルスレーザLの走査方向を「主走査方向」とし、導線Wの軸方向(即ち、主走査方向に直交する方向)を「副走査方向」とする。そして、本実施形態における「主走査方向」は、本発明における第1方向に相当し、「副走査方向」は、本発明における第2方向に相当する。
(導線Wにおける被覆層Eの除去加工に関する基本的工程)
続いて、本実施形態に係るレーザ加工システム100において、データ作成装置7により作成された加工データに基づいて、導線Wに対して実行される被覆層Eの除去加工の内容について説明する。
本実施形態において、データ作成装置7により作成される加工データは、第1工程と、第2工程を含んでおり、第1工程の後、第2工程を実行するように規定されている。加工データに基づく第1工程においては、レーザ加工装置1は、レーザヘッド部3から出射されたパルスレーザLによって、導線Wの芯線Cに対して所定の第1入熱量を付与しつつ、第1走査速度(例えば、10(mm/s))で主走査方向へ走査させる主走査を、副走査方向へ異なる位置で複数回走査させるように制御される。
この第1工程を実行することによって、パルスレーザLは、導線Wの被覆層Eを透過して、芯線Cと被覆層Eとの界面を起点として、芯線Cを構成する金属に入熱することで、被覆層Eの溶融や脆化を発生させる。第1工程が実行されることで、被覆層Eの溶融や脆化が発生し、被覆層Eを膨張させるようにして、芯線Cの外周面から被覆層Eを剥離させることができる。
第1工程に続いて実行される第2工程では、レーザ加工装置1は、レーザヘッド部3から出射されたパルスレーザLによって、前記第1入熱量よりも小さな第2入熱量を与えつつ、パルスレーザLを、前記第1走査速度よりも高速な第2走査速度(例えば、1500(mm/s))で、副走査方向へ走査させる副走査を、前記主走査方向に異なる方向に異なる位置で複数回走査させるように制御される。第2工程における副走査のうち、少なくとも1本の副走査が、主走査方向に異なる位置で走査されていればよい。つまり、第2工程における副走査の一部は同じ位置を走査してもよい。
そして、この第2工程を実行させることで、パルスレーザLは、第1入熱量よりも小さな第2入熱量をもって副走査を行う為、被覆層Eの溶融や変性を発生させることなく、より高速な第2走査速度で副走査を行うことで、溶融や脆化によって芯線C表面から離間した被覆層Eを効率よく飛散させることができる。
本実施形態に係るレーザ加工システム100においては、データ作成装置7により作成された加工データは、第1工程と、第2工程を含んでおり、第1工程の後、第2工程を実行するように規定されている為、第1工程による溶融や脆化によって芯線C表面から離間した被覆層Eを、第2工程によって効率よく飛散させることができ、もって、レーザ加工装置1に、導線Wから被覆層Eを除去させることができる。
(加工データ作成処理プログラムの処理内容)
次に、本実施形態に係るデータ作成装置7において、上述した第1工程及び第2工程を含む加工データを作成する際に実行される加工データ作成処理プログラムの処理内容について、図4を参照しつつ詳細に説明する。当該加工データ作成処理プログラムは、データ作成装置7のHDD75に格納されており、CPU71によって実行される。
図4に示すように、加工データ作成処理プログラムの実行を開始すると、CPU71は、先ず、導線Wに関する種々の構成を示す導線情報を入力する為の導線情報設定ウィンドウ80を、液晶ディスプレイ77に表示する(S1)。導線情報設定ウィンドウ80を液晶ディスプレイ77に表示した後、CPU71は、S2に処理を移行する。
(導線情報設定ウィンドウ80の構成)
ここで、液晶ディスプレイ77上に表示される導線情報設定ウィンドウ80について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図6に示すように、導線情報設定ウィンドウ80は、被覆層材質設定部81と、芯線材質設定部82と、被覆層厚設定部83と、芯線外径設定部84と、加工所要時間設定部85と、決定ボタン86とを有している。
被覆層材質設定部81は、導線情報の一つとして、被覆層Eを構成する材質を入力・設定する際に用いられる。本実施形態において、被覆層材質設定部81は、被覆層Eの材質として、例えば、「UEW(ポリウレタン銅線)」「PEW(ポリエステル銅線)」「HMW(ポリアミドイミド銅線)」等を選択可能に構成されている。従って、ユーザは、データ作成装置7の入力操作部76を用いて、導線情報設定ウィンドウ80の被覆層材質設定部81に対する操作を行うことで、導線Wにおける被覆層Eの材質を、導線情報の一つとして設定し得る。
芯線材質設定部82は、導線情報の一つとして、芯線Cを構成する材質を入力・設定する際に用いられる。本実施形態において、芯線材質設定部82は、芯線Cの材質として、例えば、「銅」「アルミ」等を選択可能に構成されている。従って、ユーザは、データ作成装置7の入力操作部76を用いて、導線情報設定ウィンドウ80の芯線材質設定部82に対する操作を行うことで、導線Wにおける芯線Cの材質を、導線情報の一つとして設定し得る。
被覆層厚設定部83は、導線情報の一つとして、導線Wにおける被覆層Eの厚みである被覆層厚Tを入力・設定する際に用いられる。本実施形態において、被覆層厚設定部83は、「薄い(例えば、0.1mm以下)」「中間(例えば、0.1mmよりも大きく、0.2mm以下)」「厚い(例えば、0.2mmよりも大きく、0.5mm以下)」の3段階から、被覆層厚Tを選択可能に構成されている。従って、ユーザは、データ作成装置7の入力操作部76を用いて、導線情報設定ウィンドウ80の被覆層厚設定部83に対する操作を行うことで、導線Wにおける被覆層厚Tを、導線情報の一つとして設定し得る。
芯線外径設定部84は、導線情報の一つとして、導線Wにおける芯線Cの外径である芯線外径Dを入力・設定する際に用いられる。本実施形態において、芯線外径設定部84は、導線Wの芯線Cについての芯線外径Dの数値を入力可能に構成されている。従って、ユーザは、データ作成装置7の入力操作部76を用いて、導線情報設定ウィンドウ80の芯線外径設定部84に、芯線外径Dを入力することで、導線Wにおける芯線外径Dを、導線情報の一つとして設定し得る。
加工所要時間設定部85は、導線情報の一つとして、導線Wにおける被覆層Eの除去に関する加工所要時間を入力・設定する際に用いられる。加工所要時間設定部85は、「標準」を含む異なる時間から、加工所要時間を選択可能に構成されている。従って、ユーザは、データ作成装置7の入力操作部76を用いて、導線情報設定ウィンドウ80の加工所要時間設定部85に対する操作を行うことで、加工所要時間を、導線情報の一つとして設定し得る。
決定ボタン86は、被覆層材質設定部81、芯線材質設定部82、被覆層厚設定部83、芯線外径設定部84、加工所要時間設定部85に入力された導線情報の入力を確定する際に操作される。従って、本実施形態においては、CPU71は、決定ボタン86の入力操作が行われた時点で、被覆層材質設定部81、芯線材質設定部82、被覆層厚設定部83、芯線外径設定部84、加工所要時間設定部85に入力された内容を導線情報としてRAM72に格納し、S2に処理を移行する。
S2においては、CPU71は、入力操作部76による入力操作に基づいて、導線情報設定ウィンドウ80の被覆層材質設定部81を用いて、被覆層Eの材質を導線情報の一つとして受け付けたか否かを判断する。被覆層Eの材質を導線情報の一つとして受け付けた場合(S2:YES)、CPU71は、S3に処理を移行する。一方、被覆層Eの材質を導線情報の一つとして受け付けていない場合(S2:NO)、CPU71は、被覆層Eの材質を導線情報として受け付けるまで、処理を待機する。
S3では、CPU71は、S2で導線情報として受け付けた被覆層Eの材質に関する情報と、被覆層材質テーブル(図7参照)に基づいて、導線Wにおける被覆層Eの除去加工を行う際に、パルスレーザLによって芯線Cに入熱される基礎入熱量を設定する。設定した基礎入熱量をRAM72に格納した後、CPU71は、S4に処理を移行する。
(被覆層材質テーブルの内容)
ここで、S3において、基礎入熱量を設定する際に参照される被覆層材質テーブルの内容について、図7を参照しつつ詳細に説明する。図7に示すように、被覆層材質テーブルは、被覆層Eの材質に対して、当該導線Wから被覆層Eを除去する際のパルスレーザLによる基礎入熱量を対応付けて構成されている。被覆層Eの材質は、被覆層Eの耐熱性に直接的に関連する。被覆層Eが耐熱性の高い材質で構成されている場合、パルスレーザLによって被覆層Eの溶融や脆化等を発生させる為には、より大きな入熱量を付与する必要が生じる。一方、被覆層Eが耐熱性の低い材質で構成されている場合、小さな入熱量を付与すれば、パルスレーザLによって被覆層Eの溶融や脆化等を発生させることができる。即ち、本実施形態に係る被覆層材質テーブルは、被覆層Eの材質ごとの耐熱性の高低に応じて、当該導線Wから被覆層Eを除去する際のパルスレーザLによる基礎入熱量を対応付けて構成されている。PEWに対応する入熱量は、例えば、スポット径内に入る見かけの投入エネルギーであり、3.3(mJ/PULSE)である。UEWに対応する入熱量は、例えば、スポット径内に入る見かけの投入エネルギーであり、2.8(mJ/PULSE)である。HMWに対応する入熱量は、例えば、スポット径内に入る見かけの投入エネルギーであり、4.7(mJ/PULSE)である。
従って、S3においては、CPU71は、S2で導線情報として受け付けた被覆層Eの材質に関する情報と、被覆層材質テーブル(図7参照)を参照して、基礎入熱量を設定することによって、被覆層Eの材質に応じた適切な基礎入熱量を設定する。
S4では、CPU71は、入力操作部76による入力操作に基づいて、導線情報設定ウィンドウ80の芯線材質設定部82を用いて、芯線Cの材質を導線情報の一つとして受け付けたか否かを判断する。芯線Cの材質を導線情報の一つとして受け付けた場合(S4:YES)、CPU71は、S5に処理を移行する。一方、芯線Cの材質を導線情報の一つとして受け付けていない場合(S4:NO)、CPU71は、芯線Cの材質を導線情報として受け付けるまで、処理を待機する。
S5においては、CPU71は、導線情報の一つとして受け付けた芯線Cの材質に関する情報と、芯線材質テーブル(図8参照)に基づいて、入熱量補正処理を実行することで、芯線Cの材質に基づいて、パルスレーザLによって芯線Cに入熱される入熱量を補正する。具体的には、入熱量補正処理(S5)では、CPU71は、S4で導線情報として受け付けた芯線Cの材質に関する情報と、芯線材質テーブル(図8参照)に基づいて、芯線Cの材質に対応する補正倍率を特定し、S3で設定された基礎入熱量に対して、特定した補正倍率を乗算することで、パルスレーザLによって芯線Cに入熱される入熱量を、被覆層E及び芯線Cに対応した適切な入熱量に補正する。補正した入熱量をRAM72に格納した後、CPU71は、S6に処理を移行する。
(芯線材質テーブルの内容)
次に、S5において、入熱量を補正する為の補正倍率を特定する際に参照される芯線材質テーブルの内容について、図8を参照しつつ詳細に説明する。図8に示すように、芯線材質テーブルは、芯線Cの材質に対して、S3で設定された基礎入熱量を補正する為の補正倍率を対応付けて構成されている。当該補正倍率は、芯線Cの材質に係る密度と、比熱と、吸収率に基づいて算出される。具体的には、各補正倍率は、芯線Cの材質に係る密度と、比熱と、吸収率を乗算した値の逆数を取り、銅を基準として規格化して特定される。
従って、S5においては、CPU71は、S4で導線情報として受け付けた芯線Cの材質に関する情報と、芯線材質テーブル(図8参照)を参照して、芯線Cの材質に対応する補正倍率を特定し、基礎入熱量に対して特定した補正倍率を乗算することで、被覆層E及び芯線Cの材質に応じた適切なパルスレーザLの入熱量を設定することができる。
S6に移行すると、CPU71は、入力操作部76による入力操作に基づいて、導線情報設定ウィンドウ80の被覆層厚設定部83を用いて、被覆層厚Tに関する情報の入力を導線情報の一つとして受け付けたか否かを判断する。被覆層厚Tに関する情報を導線情報の一つとして受け付けた場合(S6:YES)、CPU71は、S7に処理を移行する。一方、被覆層厚Tに関する情報を導線情報の一つとして受け付けていない場合(S6:NO)、CPU71は、被覆層厚Tに関する情報を導線情報として受け付けるまで、処理を待機する。
S7では、CPU71は、導線情報の一つとして受け付けた被覆層厚Tに関する情報と、被覆層厚テーブル(図9参照)に基づいて、入熱量補正処理を実行することで、被覆層厚Tに基づいて、パルスレーザLによって芯線Cに入熱される入熱量を補正する。具体的には、入熱量補正処理(S7)では、CPU71は、S6で導線情報として受け付けた被覆層厚Tに関する情報と、被覆層厚テーブル(図9参照)に基づいて、被覆層厚Tに対応する補正倍率を特定し、S5で補正された入熱量に対して、特定した補正倍率を乗算することで、パルスレーザLによって芯線Cに入熱される入熱量を、被覆層E、芯線C及び被覆層厚Tに対応した適切な入熱量に補正する。補正した入熱量をRAM72に格納した後、CPU71は、S8に処理を移行する。
(被覆層厚テーブルの内容)
続いて、S7において、入熱量を補正する為の補正倍率を特定する際に参照される被覆層厚テーブルの内容について、図9を参照しつつ詳細に説明する。図9に示すように、被覆層厚テーブルは、被覆層厚Tに対して、S5で補正された入熱量を更に補正する為の補正倍率を対応付けて構成されている。被覆層厚Tは、被覆層Eにおける熱の伝導しやすさや、被覆層Eに発生した亀裂の進展しやすさに影響する為、被覆層厚Tに対して夫々補正倍率を対応付けることによって、被覆層厚Tに対応する入熱量をもって、被覆層Eの除去加工を行い得る。
従って、S7においては、CPU71は、S6で導線情報として受け付けた被覆層厚Tに関する情報と、被覆層厚テーブル(図9参照)を参照して、被覆層厚Tに対応する補正倍率を特定し、S5で補正された入熱量に対して特定した補正倍率を乗算することで、被覆層E、芯線Cの材質及び被覆層厚Tに応じた適切なパルスレーザLの入熱量を設定することができる。
S8に移行すると、CPU71は、入力操作部76による入力操作に基づいて、導線情報設定ウィンドウ80の芯線外径設定部84を用いて、芯線外径Dに関する情報を導線情報の一つとして受け付けたか否かを判断する。芯線外径Dに関する情報を導線情報の一つとして受け付けた場合(S8:YES)、CPU71は、S9に処理を移行する。一方、芯線外径Dに関する情報を導線情報の一つとして受け付けていない場合(S8:NO)、CPU71は、芯線外径Dに関する情報を導線情報として受け付けるまで、処理を待機する。
S9においては、CPU71は、導線情報として受け付けた芯線外径Dに関する情報に基づいて、芯線Cの主走査方向におけるパルスレーザLによる入熱量の分布を補正する。具体的には、CPU71は、芯線外径Dに関する情報に基づいて、主走査方向における芯線Cの外表面に対して、均一に入熱可能な入熱量の分布を補正する。
ここで、芯線Cは、図5に示すように、副走査方向に伸びる略円柱形状を為している。そして、上述したように、レーザ加工装置1は、加工容器内に配置された芯線Cに対してパルスレーザLを照射する為、パルスレーザLは、芯線Cの略真上から照射されることになる(図1参照)。この場合において、パルスレーザLの走査を主走査方向に均等なピッチで入熱すると、芯線Cの外周面は曲面である為、芯線C外周面における入熱量は、主走査方向(径方向)における内外位置に応じて変動してしまう。又、パルスレーザLが被覆層Eを透過して界面に到達するまでの距離は、導線Wの径方向における位置に対応して変化し、芯線外径Dの影響を受ける。
この為、入熱量分布の補正(S9)を実行することで、具体的には主走査方向におけるパルスレーザLの走査ピッチ(走査軌跡LSの間隔)を、芯線外径Dに応じて、芯線Cの径方向外側に向かうにつれて小さくする補正する(図10(A)(B)参照)。これにより、図10(C)に示すように、芯線Cの外周面を展開すると、パルスレーザLの走査ピッチ(走査軌跡LSの間隔)を、芯線Cの外周面に対して均等なピッチに補正することができ、芯線C外周面に対して均一に入熱することができる。このようにして、芯線Cの主走査方向におけるパルスレーザLによる入熱量の分布を補正した後、CPU71は、S10に処理を移行する。
S10に移行すると、CPU71は、導線情報として受け付けた芯線外径Dに基づいて、第2工程における複数の副走査を行う際に、主走査方向への走査ピッチの最小値を設定する。具体的には、CPU71は、芯線Cの主走査方向へ異なる位置で、2回の副走査を実行可能なように、第2工程における主走査方向への走査ピッチを設定する。その後、CPU71は、S11に処理を移行する。
ここで、S10の処理に関して説明する。上述したように、第2工程は、第2走査速度で副走査方向に高速走査することで、第1工程を経て芯線C表面から剥離した被覆層Eを飛散させて除去することに重点を置いた工程である。従って、第2工程では、副走査方向へのパルスレーザLの高速走査である、副走査を、主走査方向(即ち、芯線Cの径方向)に異なる位置で複数回行うことが望ましい。S10を実行することで、芯線外径Dに対応する第2工程における主走査方向の走査ピッチを設定することができるので、第2工程において、芯線Cに対して、確実に、パルスレーザLの副走査を複数回行うことが可能となる。
S11では、CPU71は、入力操作部76による入力操作に基づいて、導線情報設定ウィンドウ80の加工所要時間設定部85を用いて、加工所要時間の入力を受け付けたか否かを判断する。加工所要時間の入力を受け付けた場合(S11:YES)、CPU71は、S12に処理を移行する。一方、加工所要時間の入力を受け付けていない場合(S11:NO)、CPU71は、加工所要時間の入力を受け付けるまで、処理を待機する。
S12においては、CPU71は、加工パラメータ設定処理に移行し、導線Wにおける被覆層Eの除去加工に関して、ユーザ所望の加工パラメータの設定を行う。加工パラメータ設定処理(S12)においては、CPU71は、HDD75から加工パラメータ設定処理プログラムを実行する。
(加工パラメータ設定処理プログラムの処理内容)
ここで、加工パラメータ設定処理(S12)で実行される加工パラメータ設定処理プログラムの処理内容について、図11を参照しつつ詳細に説明する。加工パラメータ設定処理(S12)に移行すると、CPU71は、先ず、導線Wにおける被覆層Eの除去加工に関して、ユーザ所望の加工パラメータを設定する為のパラメータ設定ウィンドウ90を、液晶ディスプレイ77に表示する(S21)。パラメータ設定ウィンドウ90を、液晶ディスプレイ77に表示した後、CPU71は、S22に処理を移行する。
(導線情報設定ウィンドウ80の構成)
ここで、液晶ディスプレイ77上に表示されるパラメータ設定ウィンドウ90について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図12に示すように、パラメータ設定ウィンドウ90は、走査パターン設定部91と、走査間隔設定部92と、走査速度設定部93と、反復回数設定部94と、レーザ強度設定部95と、設定完了ボタン96とを有している。
走査パターン設定部91は、第1工程における複数回の主走査を行う際の走査パターンを設定する際に用いられ、「時間優先」という走査パターンと、「品質優先」という走査パターンとを選択可能に構成されている。従って、ユーザは、データ作成装置7の入力操作部76を用いて、パラメータ設定ウィンドウ90の走査パターン設定部91に対する操作を行うことで、加工パラメータの一つとして、所望の走査パターンを設定し得る。
ここで、図12に示すように、「時間優先」という走査パターンは、パルスレーザLを照射しつつ、主走査方向の一方側から他方側へ走査する主走査を行った後、パルスレーザLの照射を継続して、主走査方向の他方側から一方側へ戻りつつ副走査方向へ異なる位置へ移動させる(主走査方向と副走査方向に関して斜めに移動させる)走査パターンである。この「時間優先」に係る走査パターンでは、複数回の主走査の間において、主走査方向と副走査方向に関して斜めに移動させる過程でも、パルスレーザLによる入熱が行われる為、第1工程に要する時間を短縮することができる。尚、この場合、第1工程における芯線Cに対する入熱は不均一になってしまう為、被覆層Eの除去加工に関する加工品質を低下してしまう虞がある。
一方、「品質優先」という走査パターンは、パルスレーザLを照射しつつ、主走査方向の一方側から他方側へ走査する主走査を行った後、パルスレーザLの照射を停止して、副走査方向の異なる位置へ移動させ、その後、パルスレーザLを照射しつつ、主走査方向の他方側から一方側へ走査する主走査を行う走査パターンである。この「品質優先」に係る走査パターンによれば、第1工程において、パルスレーザLによる芯線Cに対する入熱を均一に行うことができる。尚、この場合、第1工程を行う際に主走査方向及び副走査方向への経路が長くなり、且つ、パルスレーザLの出射に関するON・OFFの切替が生じる為、第1工程に要する時間が長期化する場合がある。
走査間隔設定部92は、加工パラメータとして、導線Wに対してパルスレーザLの走査を行う場合の走査間隔(即ち、走査ピッチ)を入力・設定する際に用いられ、所謂、スライダによって構成されている。走査間隔設定部92は、入力操作部76の操作を受け付けることで、最小値から最大値の数値範囲の間における任意の数値を設定することができる。本実施形態において、走査間隔設定部92における最小値は、例えばパルスレーザLのビーム径であり、例えば、50(μm)である。第1工程における最大値は、被覆層Eの除去加工が可能な上限値であり、例えば、150(μm)である。そして、第2工程における最大値は、芯線外径Dの1/2である。従って、ユーザは、データ作成装置7の入力操作部76を用いて、パラメータ設定ウィンドウ90の走査間隔設定部92を操作することで、所望の走査間隔を加工パラメータとして設定することができる。
走査速度設定部93は、加工パラメータとして、第1工程における主走査方向への走査速度(即ち、第1走査速度)を入力・設定する際に用いられ、所謂、スライダによって構成されている。走査速度設定部93は、入力操作部76の操作を受け付けることで、最小値から最大値の数値範囲の間における任意の数値を設定することができる。本実施形態において、走査速度設定部93における最小値は、被覆層Eの除去加工の結果、芯線C表面に、酸化による黒変が生じることがない程度の走査速度を示し、走査速度設定部93の最大値は、被覆層Eの除去加工が可能な上限値であり、例えば、20(mm/s)である。従って、ユーザは、データ作成装置7の入力操作部76を用いて、パラメータ設定ウィンドウ90の走査速度設定部93を操作することで、所望の第1走査速度を加工パラメータとして設定することができる。ここで、本実施形態とは異なるが、走査速度が所定の速度に固定されていてもよい。例えば、第2走査の走査速度は、ある程度以上では除去に対する影響がないとして、第2走査の走査速度が1500(mm/s)に固定されていてもよい。
反復回数設定部94は、加工パラメータとして、第2工程における副走査の反復回数を入力・設定する際に用いられ、所謂、スライダによって構成されている。反復回数設定部94は、入力操作部76の操作を受け付けることで、最小値から最大値の数値範囲の間における任意の数値を設定することができる。本実施形態において、反復回数設定部94における最小値は、被覆層Eの除去加工が可能な下限値であり、例えば、10回を示す。そして、反復回数設定部94の最大値は、被覆層Eの除去加工の結果、芯線C表面に、酸化による黒変が生じることがない程度の反復回数を示す。従って、ユーザは、データ作成装置7の入力操作部76を用いて、パラメータ設定ウィンドウ90の反復回数設定部94を操作することで、加工パラメータとして、第2工程における副走査の反復回数を、所望の回数に設定することができる。ここで、本実施形態とは異なるが、走査の回数が所定の回数に固定されていてもよい。例えば、第1走査の回数が1回に固定されていてもよい。
レーザ強度設定部95は、加工パラメータとして、被覆層Eの除去加工におけるパルスレーザLのレーザ強度を入力・設定する際に用いられ、所謂、スライダによって構成されている。レーザ強度設定部95は、入力操作部76の操作を受け付けることで、最小値から最大値の数値範囲の間における任意の数値を設定することができる。レーザ強度設定部95における最大値は、レーザ加工装置1が出力可能なパルスレーザLのレーザ強度の最大値を示し、本実施形態においては、5(W)である。そして、レーザ強度設定部95における最小値は、例えば、4(W)である。従って、ユーザは、データ作成装置7の入力操作部76を用いて、パラメータ設定ウィンドウ90のレーザ強度設定部95を操作することで、加工パラメータとして、被覆層Eの除去加工におけるパルスレーザLのレーザ強度を、所望のレーザ強度に設定することができる。
設定完了ボタン96は、走査パターン設定部91、走査間隔設定部92、走査速度設定部93、反復回数設定部94、レーザ強度設定部95に入力された加工パラメータの設定を確定する際に操作される。
S22においては、CPU71は、設定入力受付処理を実行することにより、パラメータ設定ウィンドウ90を構成する各部に対する入力を受け付ける。具体的には、CPU71は、データ作成装置7の入力操作部76からの操作信号に基づいて、走査パターン設定部91、走査間隔設定部92、走査速度設定部93、反復回数設定部94、レーザ強度設定部95、設定完了ボタン96に対する入力を受け付ける。その後、CPU71は、S23に処理を移行する。
S23に移行すると、CPU71は、入力操作部76による入力操作に基づいて、パラメータ設定ウィンドウ90の設定完了ボタン96に対する入力操作が行われたか否かを判断する。設定完了ボタン96に対する入力操作が行われた場合(S23:YES)、CPU71は、S24に処理を移行する。一方、設定完了ボタン96に対する入力操作が行われていない場合(S23:NO)、CPU71は、設定入力受付処理(S22)に処理を戻し、走査パターン設定部91、走査間隔設定部92、走査速度設定部93、反復回数設定部94、レーザ強度設定部95、設定完了ボタン96に対する入力を受け付ける。
S24では、CPU71は、設定実行処理を実行することで、パラメータ設定ウィンドウ90の各部における設定内容を、各加工パラメータとして確定する。具体的には、CPU71は、設定完了ボタン96の入力操作が行われた時点で、走査パターン設定部91、走査間隔設定部92、走査速度設定部93、反復回数設定部94、レーザ強度設定部95に入力されている内容を、加工パラメータとしてRAM72に格納する。そして、設定実行処理を終了すると、CPU71は、加工パラメータ設定処理プログラムを終了し、データ作成処理プログラム(図4参照)のS13に処理を移行する。
S13に移行すると、CPU71は、加工実行処理を実行し、導線Wにおける被覆層Eの除去加工の開始を指示する加工開始指示と共に、S1〜S12を経て作成された加工データを、レーザコントローラ5に対して送信する。当該加工データは、S1〜S11までの処理に従って規定された上述した第1工程、第2工程の内容と、S12によって設定された種々の加工パラメータを含んで構成されている。加工開始指示及び加工データを、レーザコントローラ5に対して送信した後、CPU71は、データ作成処理プログラムを終了する。
そして、加工実行処理(S13)で送信された加工開始指示及び加工データを受信すると、レーザコントローラ5のCPU61は、受信した加工データに従って、レーザドライバ51及びガルバノドライバ57を制御する。これにより、本実施形態に係るレーザ加工装置1によれば、導線Wにおける被覆層Eの除去加工を、導線Wの構成に対応した態様で、第1工程及び第2工程の順に行うことができ、もって、適切かつ効率の良い導線Wにおける被覆層Eの除去を実現し得る。
以上説明したように、本実施形態に関するデータ作成装置7によれば、データ作成処理プログラム(図4)に従って、導線情報設定ウィンドウ80を用いて入力された導線情報に基づいて、第1工程及び第2工程を含む加工データを作成することができる。
加工データに基づく第1工程においては、レーザ加工装置1は、レーザヘッド部3から出射されたパルスレーザLによって、導線Wの芯線Cに対して所定の第1入熱量を付与しつつ、第1走査速度(例えば、10(mm/s))で主走査方向へ走査させる主走査を、副走査方向へ異なる位置で複数回走査させるように制御される。第1工程に続いて実行される第2工程では、レーザ加工装置1は、レーザヘッド部3から出射されたパルスレーザLによって、前記第1入熱量よりも小さな第2入熱量を与えつつ、パルスレーザLを、前記第1走査速度よりも高速な第2走査速度(例えば、1500(mm/s))で、副走査方向へ走査させる副走査を、前記主走査方向に異なる方向に異なる位置で複数回走査させるように制御される。
当該データ作成装置7によれば、加工データに従って、レーザ加工装置1に第1工程を実行させることで、導線Wにおける芯線Cと被覆層Eの間の界面を起点として、溶融や脆化等を発生させ、被覆層Eを膨張させるようにして芯線C表面から離間させることができる。そして、レーザ加工装置1に第2工程を実行させることで、溶融や脆化によって芯線C表面から離間した被覆層Eを、レーザ光の副走査によって、効率よく飛散させることができる。当該データ作成装置7によれば、データ作成処理プログラム(図4)に従って、加工データを作成して送信することで、レーザ加工装置1に、導線Wにおける被覆層Eの除去加工を、適切かつ効率の良く実行させることができる。
又、データ作成装置7によれば、導線情報設定ウィンドウ80によって受け付けられた導線情報に基づいて、加工データにおける第1工程、第2工程の内容(パルスレーザLによる入熱量等)を決定して、加工データを作成することができる。当該データ作成装置7によれば、導線情報に基づく導線Wの構成(例えば、芯線C、被覆層Eの材質)に応じた第1工程及び第2工程を、レーザ加工装置1に実行させることができ、もって、適切かつ効率の良い被覆層Eの除去に貢献し得る。
そして、当該データ作成装置7によれば、導線情報設定ウィンドウ80の被覆層材質設定部81で入力された導線情報としての、被覆層Eの構成材料に関する情報と、被覆層材質テーブル(図7参照)に基づいて、パルスレーザLにおける基礎入熱量を決定することができる(S3)。被覆層Eの構成材料が相違する場合、被覆層Eの物性(例えば、耐熱性等)が異なる為、パルスレーザLによる被覆層Eの溶融や脆化等の生じ易さも相違する。即ち、データ作成装置7によれば、加工データの内容として、導線Wにおける被覆層Eの構成材料に応じた基礎入熱量を設定することができ、もって、適切かつ効率の良い被覆層Eの除去に貢献し得る。
又、当該データ作成装置7によれば、加工データにおけるパルスレーザLによる入熱量を、導線情報設定ウィンドウ80の芯線材質設定部82を用いて入力された芯線Cの材質に関する情報と、芯線材質テーブル(図8参照)に基づいて、パルスレーザLによる入熱量を補正し得る(S5)。芯線Cの構成材料が相違する場合、芯線Cの物性(例えば、吸収率、熱容量、熱伝導率等)が異なる為、パルスレーザLによる芯線Cの加熱の速さも相違する。即ち、当該データ作成装置7によれば、加工データの内容として、導線Wにおける芯線Cの構成材料に応じて、パルスレーザLによる入熱量を補正することができ、もって、適切かつ効率の良い被覆層Eの除去加工に貢献し得る。
そして、当該データ作成装置7によれば、加工データに規定されたパルスレーザLによる入熱量を、導線情報設定ウィンドウ80の被覆層厚設定部83を用いて入力された被覆層厚Tに関する情報と、被覆層厚テーブル(図9参照)に基づいて補正し得る。パルスレーザLは、被覆層Eを透過した後、芯線C表面と被覆層Eとの間の界面に作用する為、被覆層厚Tは、被覆層Eの除去に関する容易性に影響を与える。即ち、データ作成装置7によれば、加工データの内容として、被覆層厚Tに応じて、パルスレーザLにおける入熱量を補正することができ、もって、適切かつ効率の良い被覆層Eの除去に貢献し得る。
又、当該データ作成装置7によれば、パラメータ設定ウィンドウ90を用いて、種々の加工パラメータの入力・設定することができ、導線Wにおける被覆層Eの除去加工に関する加工パラメータとして、所望のパラメータを設定することができる。即ち、当該データ作成装置7によれば、導線情報設定ウィンドウ80で入力された導線情報(即ち、導線Wの構成)に加えて、パラメータ設定ウィンドウ90で入力された加工パラメータに従って、加工データの内容を決定することができるので、導線Wにおける被覆層Eの除去をユーザ所望の態様で実行させることができる。
そして、当該データ作成装置7によれば、加工データの内容として、導線情報設定ウィンドウ80の芯線外径設定部84によって受け付けられた芯線外径Dに関する情報に基づいて、芯線Cの径方向(主走査方向)に関して、前記パルスレーザLによる入熱量の分布を補正する(S9)。ここで、パルスレーザLが被覆層Eを透過して界面に到達するまでの距離は、導線Wの径方向における位置に対応して変化し、芯線外径Dの影響を受ける。従って、当該データ作成装置7によれば、芯線外径Dに関する情報に基づいて、前記導線Wの主走査方向(径方向)についてのパルスレーザLによる入熱量の分布を補正することで(S9)、均一に界面効果を発生させることができ、もって、適切かつ効率の良い被覆層Eの除去に貢献し得る。
又、当該データ作成装置7によれば、導線情報設定ウィンドウ80の芯線外径設定部84によって受け付けられた芯線外径Dに関する情報に基づいて、第2工程における複数回の副走査を行う際の走査ピッチを、芯線C表面に対して均一に入熱可能な走査ピッチに設定することができる(S10)。ここで、芯線C表面と被覆層Eの界面は、曲面状に構成されている為、パルスレーザLの走査ピッチを単純に等間隔としても、芯線C表面においては、パルスレーザLによる入熱の均一性を確保し得ない。この点、データ作成装置7によれば、芯線外径Dに関する情報に基づいて、第2工程における複数回の副走査を行う際の走査ピッチを、芯線C表面に対して均一に入熱可能な走査ピッチに設定できるので、均一に界面効果を発生させることができ、もって、適切かつ効率の良い被覆層Eの除去に貢献し得る。
そして、データ作成装置7によれば、パラメータ設定ウィンドウ90の走査パターン設定部91を用いて、第1工程におけるパルスレーザLの走査パターンを、「時間優先」に係る走査パターンと、「品質優先」に係る走査パターンとから選択して、加工パラメータとして、加工データに設定することができる(S12)。即ち、データ作成装置7によれば、加工データにおける第1工程の走査パターンを、加工パラメータとして、所望の走査パターンに設定することができ、被覆層Eの除去に関する迅速性(時間優先)と確実性(品質優先)の優先度を、ユーザ所望の態様に設定することができる。
又、当該データ作成装置7によれば、パラメータ設定ウィンドウ90における反復回数設定部94を用いて、第2工程における副走査に関する反復回数を、所望の回数に設定することができる(S12)。第2工程における副走査の反復回数は、第1工程によって芯線C表面から離間した被覆層Eを飛散させる為の走査回数である為、データ作成装置7によれば、レーザ加工装置1における被覆層Eの除去に関する確実性を、ユーザ所望の態様に設定することができる。
尚、上述した実施形態において、データ作成装置7は、本発明におけるレーザ加工データ作成装置の一例である。そして、レーザ加工装置1及びレーザ加工システム100は、本発明におけるレーザ加工装置の一例であり、入力操作部76、液晶ディスプレイ77、導線情報設定ウィンドウ80は、本発明における情報入力部の一例である。又、制御部70、CPU71、RAM72、HDD75は、本発明における決定部の一例であり、作成部の一例である。そして、入力操作部76、液晶ディスプレイ77、パラメータ設定ウィンドウ90は、本発明における加工条件入力部の一例である。又、導線Wは、本発明における導線の一例であり、芯線Cは、本発明における芯線の一例である。そして、導線Wは、本発明における被覆層の一例である。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。例えば、上述した実施形態においては、データ作成装置7において、導線情報設定ウィンドウ80における導線情報の入力を受け付けると共に、パラメータ設定ウィンドウ90における加工パラメータの入力を受けつけ、入力された内容に基づいて、加工データを作成していた(S13)が、この態様に限定されるものではない。例えば、データ作成装置7において、導線情報や加工パラメータに関する入力を受け付け、その内容をレーザコントローラ5に送信することで、レーザコントローラ5において、導線情報や加工パラメータを反映した加工データを作成するように構成することも可能である。
そして、上述した実施形態における導線情報や、加工パラメータは、夫々一例であり、更に多くの導線情報及び加工パラメータを採用することも可能である。多くの導線情報や加工パラメータを用いることで、より適切かつ効率よく、導線Wにおける被覆層Eの除去加工を実行することができる。
又、上述した実施形態においては、光シャッター部13は、シャッターモータ26のモータ軸と共に、シャッター27を回転させることで、パルスレーザLの光路を開放・遮断する構成であったが、シャッター27を移動させることで、パルスレーザLの光路を開放・遮断可能な構成であれば、種々の態様を採用することができる。例えば、ソレノイドによって、シャッター27を回転移動させてもよい。又、ソレノイドによって、シャッター27をスライド移動させる構成であってもよい。
1 レーザ加工装置
3 レーザヘッド部
5 レーザコントローラ
6 電源ユニット
7 データ作成装置
12 レーザ発振ユニット
19 ガルバノスキャナ
70 制御部
71 CPU
72 RAM
73 ROM
75 HDD
76 入力操作部
77 液晶ディスプレイ
80 導線情報設定ウィンドウ
90 パラメータ設定ウィンドウ
L パルスレーザ
W 導線
C 芯線
E 被覆層

Claims (12)

  1. レーザ加工装置のレーザ光を、導電性材料からなる芯線と、前記芯線を被覆すると共に前記レーザ光を透過可能に形成された被覆層とを有する導線に対して照射することによって、前記導線における前記被覆層を除去する為のレーザ加工データを作成するレーザ加工データ作成装置であって、
    前記導線に関する情報の入力を受け付ける情報入力部と、
    前記レーザ加工装置の前記レーザ光によって、前記導線に対して所定の第1入熱量を与えつつ、当該レーザ光を第1走査速度で第1方向へ走査させる第1走査を、前記第1方向に交差する方向に異なる位置で複数回走査させる第1工程と、前記第1工程終了後に、前記レーザ光によって、前記第1入熱量よりも小さな第2入熱量を与えつつ、当該レーザ光を、前記第1走査速度よりも高速な第2走査速度で、前記第1方向と交差する第2方向へ走査させる第2走査を、前記第2方向に交差する方向に異なる位置で複数回走査させる第2工程と、を前記レーザ加工装置に実行させる為の前記レーザ加工データの内容を、前記情報入力部によって受け付けられた前記導線に関する情報に基づいて決定する決定部と、
    前記決定部によって決定された内容に従って、前記レーザ加工データを作成する作成部と、を有し、
    前記情報入力部は、前記導線に関する情報として、前記被覆層の構成材料に関する情報の入力を受け付け、
    前記決定部は、前記情報入力部によって受け付けられた前記被覆層の構成材料の耐熱性が高いほど、前記第1入熱量を大きな入熱量に決定する
    ことを特徴とするレーザ加工データ作成装置。
  2. 前記情報入力部は、前記導線に関する情報として、前記芯線の構成材料に関する情報の入力を受け付け、
    前記決定部は、前記情報入力部によって受け付けられた前記芯線の構成材料の吸収率が大きいほど、前記第1入熱量を補正する補正倍率を小さくし、前記第1入熱量を決定する
    ことを特徴とする請求項1記載のレーザ加工データ作成装置。
  3. 前記情報入力部は、前記導線に関する情報として、前記芯線の構成材料に関する情報の入力を受け付け、
    前記決定部は、前記情報入力部によって受け付けられた前記芯線の構成材料の吸収率と、密度と、比熱を乗算した値が大きいほど、前記第1入熱量を小さい入熱量に決定する
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のレーザ加工データ作成装置。
  4. 前記情報入力部は、前記導線に関する情報として、前記被覆層の厚さに関する情報の入力を受け付け、
    前記決定部は、前記情報入力部によって受け付けられた前記被覆層の厚さが大きいほど、前記第1入熱量を大きい入熱量に決定する
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載のレーザ加工データ作成装置。
  5. 前記情報入力部は、前記芯線の径に関する情報の入力を受け付け、
    前記決定部は、前記情報入力部によって受け付けられた前記芯線の径に関する情報に基づいて、前記第2工程における前記導線の径方向に関する前記レーザ光による入熱量の分布を、前記第2工程における第2走査のピッチが前記芯線の径方向外側に向かうにつれ小さくなるピッチとなる前記第2入熱量の分布に決定する
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載のレーザ加工データ作成装置。
  6. 前記情報入力部は、前記芯線の径の入力を受け付け、
    前記決定部は、前記情報入力部に入力された前記芯線の径に基づいて、前記第2工程における第2走査のピッチを、前記芯線に対して、前記芯線の径方向へ異なる位置で2回の副走査を実行可能なピッチに決定する
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載のレーザ加工データ作成装置。
  7. 前記導線における前記被覆層の除去に関する加工条件の入力を受け付ける加工条件入力部を有し、
    前記決定部は、前記加工条件入力部によって受け付けられた加工条件、前記レーザ加工データに含めることを決定する
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項の何れかに記載のレーザ加工データ作成装置。
  8. 前記加工条件入力部は、前記加工条件として、前記レーザ光を前記導線に対して走査させる際の走査パターンの種別の入力を受け付け、
    前記決定部は、前記加工条件入力部に入力された前記走査パターンの種別が第1の種別である場合、前記レーザ加工データにおける走査パターンの内容を、第1走査を前記第1方向の一方側から他方側へ行った後、前記レーザ光の照射を継続して他方側から一方側へ戻りつつ前記第2方向へ異なる位置に移動させる走査パターンに決定し、
    前記加工条件入力部に入力された前記走査パターンの種別が第2の種別である場合、前記レーザ加工データにおける走査パターンの内容を、第1走査を前記第1方向の一方側から他方側へ行った後、前記レーザ光の照射を停止して前記第2方向の異なる位置に移動させ、第1走査を前記第1方向の他方側から一方側へ行う走査パターンに決定する
    ことを特徴とする請求項記載のレーザ加工データ作成装置。
  9. 前記加工条件入力部は、前記加工条件として、前記第2工程における第2走査の走査回数の入力を受け付け、
    前記決定部は、前記加工条件入力部に入力された前記走査回数、前記レーザ加工データにおける前記第2工程での第2走査の走査回数決定する
    ことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載のレーザ加工データ作成装置。
  10. レーザ加工装置のレーザ光を、導電性材料からなる芯線と、前記芯線を被覆すると共に前記レーザ光を透過可能に形成された被覆層とを有する導線に対して照射することによって、前記導線における前記被覆層を除去する為のレーザ加工データを作成するレーザ加工データ作成装置であって、
    前記導線に関する情報の入力を受け付ける情報入力部と、
    前記レーザ加工装置の前記レーザ光によって、前記導線に対して所定の第1入熱量を与えつつ、当該レーザ光を第1走査速度で第1方向へ走査させる第1走査を、前記第1方向に交差する方向に異なる位置で複数回走査させる第1工程と、前記第1工程終了後に、前記レーザ光によって、前記第1入熱量よりも小さな第2入熱量を与えつつ、当該レーザ光を、前記第1走査速度よりも高速な第2走査速度で、前記第1方向と交差する第2方向へ走査させる第2走査を、前記第2方向に交差する方向に異なる位置で複数回走査させる第2工程と、を前記レーザ加工装置に実行させる為の前記レーザ加工データの内容を、前記情報入力部によって受け付けられた前記導線に関する情報に基づいて決定する決定部と、
    前記決定部によって決定された内容に従って、前記レーザ加工データを作成する作成部と、を有し、
    前記情報入力部は、前記導線に関する情報として、前記芯線の構成材料に関する情報の入力を受け付け、
    前記決定部は、前記情報入力部によって受け付けられた前記芯線の構成材料の吸収率が大きいほど、前記第1入熱量を補正する補正倍率を小さくし、前記第1入熱量を決定する
    ことを特徴とするレーザ加工データ作成装置。
  11. レーザ加工装置のレーザ光を、導電性材料からなる芯線と、前記芯線を被覆すると共に前記レーザ光を透過可能に形成された被覆層とを有する導線に対して照射することによって、前記導線における前記被覆層を除去する為のレーザ加工データを作成するレーザ加工データ作成装置であって、
    前記導線に関する情報の入力を受け付ける情報入力部と、
    前記レーザ加工装置の前記レーザ光によって、前記導線に対して所定の第1入熱量を与えつつ、当該レーザ光を第1走査速度で第1方向へ走査させる第1走査を、前記第1方向に交差する方向に異なる位置で複数回走査させる第1工程と、前記第1工程終了後に、前記レーザ光によって、前記第1入熱量よりも小さな第2入熱量を与えつつ、当該レーザ光を、前記第1走査速度よりも高速な第2走査速度で、前記第1方向と交差する第2方向へ走査させる第2走査を、前記第2方向に交差する方向に異なる位置で複数回走査させる第2工程と、を前記レーザ加工装置に実行させる為の前記レーザ加工データの内容を、前記情報入力部によって受け付けられた前記導線に関する情報に基づいて決定する決定部と、
    前記決定部によって決定された内容に従って、前記レーザ加工データを作成する作成部と、を有し、
    前記情報入力部は、前記導線に関する情報として、前記芯線の構成材料に関する情報の入力を受け付け、
    前記決定部は、前記情報入力部によって受け付けられた前記被覆層の厚さが大きいほど、前記第1入熱量を大きい入熱量に決定する
    ことを特徴とするレーザ加工データ作成装置。
  12. レーザ加工装置のレーザ光を、導電性材料からなる芯線と、前記芯線を被覆すると共に前記レーザ光を透過可能に形成された被覆層とを有する導線に対して照射することによって、前記導線における前記被覆層を除去する為のレーザ加工データを作成するレーザ加工データ作成装置であって、
    前記導線に関する情報の入力を受け付ける情報入力部と、
    前記レーザ加工装置の前記レーザ光によって、前記導線に対して所定の第1入熱量を与えつつ、当該レーザ光を第1走査速度で第1方向へ走査させる第1走査を、前記第1方向に交差する方向に異なる位置で複数回走査させる第1工程と、前記第1工程終了後に、前記レーザ光によって、前記第1入熱量よりも小さな第2入熱量を与えつつ、当該レーザ光を、前記第1走査速度よりも高速な第2走査速度で、前記第1方向と交差する第2方向へ走査させる第2走査を、前記第2方向に交差する方向に異なる位置で複数回走査させる第2工程と、を前記レーザ加工装置に実行させる為の前記レーザ加工データの内容を、前記情報入力部によって受け付けられた前記導線に関する情報に基づいて決定する決定部と、
    前記決定部によって決定された内容に従って、前記レーザ加工データを作成する作成部と、を有し、
    前記情報入力部は、前記導線に関する情報として、前記芯線の構成材料に関する情報の入力を受け付け、
    前記決定部は、前記情報入力部によって受け付けられた前記芯線の径に関する情報に基づいて、前記第2工程における前記導線の径方向に関する前記レーザ光による入熱量の分布を、前記第2工程における第2走査のピッチが前記芯線の径方向外側に向かうにつれ小さくなるピッチとなる前記第2入熱量の分布に決定する
    ことを特徴とするレーザ加工データ作成装置。
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