JP2017099084A - 多慣性共振システムにおける共振抑制制御装置 - Google Patents

多慣性共振システムにおける共振抑制制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】多慣性共振システムにおいて共振抑制効果を高める。【解決手段】インバータにより駆動されるモータと負荷を軸を介して結合した機械系構成を、モータ慣性モデルおよび負荷慣性モデルを有した2慣性系機械モデル10として表現し、軸ねじれトルクの検出遅れによる無駄時間要素24と、インバータのトルク伝達特性の無駄時間要素27とを考慮し、軸ねじれトルク検出値Tdetをハイパスフィルタ31に通して共振周波数成分を抑制する。トルク指令Tcmdからハイパスフィルタ31の出力を減算し、該減算出力を、伝達関数GPHCが{(αs+ωphc)/(s+ωphc)}(ただし、α:位相補償パラメータ、ωhpf:ハイパスフィルタカットオフ周波数、s:ラプラス演算子)で表される位相補償器33に通して位相補償後トルク指令値T*を求め、該T*をモータトルク指令としてインバータに与える。【選択図】図2

Description

本発明は、多慣性共振系のシステムに対して無駄時間の影響を考慮して共振抑制制御を行う多慣性共振システムにおける共振抑制制御装置に関する。
圧延システムに端を発する軸ねじれ系の振動抑制と外乱抑圧制御は、ビルや橋梁などの大型構造物、ロボットの柔軟関節やアーム、宇宙構造物などのモーションコントロールにおいて重要な課題となっている。このような背景のもとで、柔軟機構を有するシステムの振動制御の問題に対して数多くの研究開発が行われており、状態フィードバックやH∞制御、共振比制御、遅い外乱オブザーバによる制御など様々な手法が提案されている。
一方で、インバータの遅れやセンサによる検出遅れがシステムに存在する場合、制御系の性能が著しく悪化することが知られている。
尚、多慣性共振系のシステムに対して共振抑制制御を実施することは、例えば特許文献1、2に記載されている。
特許4766039号公報 特開2012−68200号公報
しかしながら特許文献1は、上述の無駄時間による悪影響を制御系設計で考慮していないため、無駄時間による位相遅れがフィードバックループに存在すると制御が不安定となる問題がある。
また、特許文献2は、無駄時間を考慮して制御系を設計しているが、無駄時間が極めて大きなシステム(例えば共振周波数付近で位相遅れが90度以上となるような場合)で、実際に適用すると制御が不安定となる問題が発生する。特に高周波帯域に共振点を持つシステムでは、このような問題が顕著となる。
本発明は、上記課題を解決するものであり、その目的は、共振抑制効果を高めた多慣性共振システムにおける共振抑制制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するための請求項1に記載の多慣性共振システムにおける共振抑制制御装置は、モータと負荷を結合軸を介して結合した機械系構成と、前記モータの回転数、トルクを制御するインバータと、前記結合軸に設けられたトルク検出器により検出したトルクおよびモータの回転速度を速度検出器により検出した回転速度に基づいて、軸ねじれ共振を抑制するモータトルク指令を前記インバータに与えるコントローラと、を備えた多慣性共振システムにおいて、
前記コントローラは、
設定したトルク指令から、前記検出したトルクに無駄時間要素が加算された軸ねじれトルク検出値を減算して位相補償前トルク指令値とし、
前記位相補償前トルク指令値を、伝達関数GPHC
Figure 2017099084
(ただし、αは位相補償パラメータ、ωPhcは位相補償フィルタカットオフ周波数、sはラプラス演算子)
で表される位相補償器に通して位相補償後トルク指令値を求め、
前記位相補償後トルク指令値をモータトルク指令としてインバータに与えることを特徴としている。
また、請求項2に記載の多慣性共振システムにおける共振抑制制御装置は、請求項1において、前記機械系構成を、少なくともモータ慣性モデルおよび負荷慣性モデルを有した多慣性系機械モデルとして表現し、
前記モータ慣性モデルは、モータトルクTmからモータトルク外乱Tmdisを減算し、その減算結果から軸ねじれトルクTreacを減算した値に、1/(Jm・s)(Jmはモータ慣性モーメント、sはラプラス演算子)の伝達関数項を通してモータ回転速度ωmとし、該モータ回転速度ωmに1/sの伝達関数項を通してモータ回転位相角θmとする伝達特性を有し、
前記負荷慣性モデルは、前記軸ねじれトルクTreacから負荷トルクTlを減算した値に、1/(Jl・s2)(Jlは負荷慣性モーメント)の伝達関数項を通して負荷回転位相角θlとし、前記モータ回転位相角θmから前記負荷回転位相角θlを減算した値に、Kf(Kfは軸ねじれ剛性(ばね係数)[Nm/rad])の伝達関数項を通して軸ねじれトルクTreacとする伝達特性を有していることを特徴とする。
上記構成において、コントローラは共振抑制制御を行うが、その際、トルク指令を位相補償器に通すことで、インバータに与えるモータトルク指令値を位相補償後のトルク指令としたので、フィードバックループに含まれる無駄時間等の遅れの影響が補償され、システムの安定性が向上する。
また、請求項3に記載の多慣性共振システムにおける共振抑制制御装置は、請求項1又は2において、前記コントローラは、前記軸ねじれトルク検出値を、伝達関数GHPFがs/(s+ωhpf)(ωhpfはハイパスフィルタカットオフ周波数、sはラプラス演算子)である高域通過フィルタに通して新たな軸ねじれトルク検出値とし、前記設定したトルク指令から前記新たな軸ねじれトルク検出値を減算して位相補償前トルク指令値とすることを特徴としている。
上記構成によれば、請求項1による効果を奏し、且つ軸ねじれトルク検出値を高域通過フィルタを通してフィードバックしているので、直流成分には影響を与えずに共振周波数成分を抑制することができる。
また、請求項4に記載の多慣性共振システムにおける共振抑制制御装置は、請求項1又は2において、前記コントローラは、前記軸ねじれトルク検出値を、設定した軸トルクフィードバックゲインkrに通して新たな軸ねじれトルク検出値とし、前記検出された回転速度に無駄時間要素が加算された回転速度検出値ωdetおよび前記位相補償前トルク指令値から、外乱オブザーバによってモータの外乱トルクを推定し外乱トルク推定値T^disを求め、前記設定したトルク指令に前記外乱トルク推定値T^disを加算した値から、前記新たな軸ねじれトルク検出値を減算して位相補償前トルク指令値とすることを特徴としている。
上記構成によれば、請求項1による効果を奏し、且つ軸ねじれトルク検出値を軸トルクフィードバックゲインKrを介してフィードバックすることで共振周波数成分が抑制され、また外乱オブザーバを用いているため外乱抑制効果が得られ、外乱に対してロバストな制御系を構築することができる。
また、請求項5に記載の多慣性共振システムにおける共振抑制制御装置は、モータと負荷を結合軸を介して結合した機械系構成と、前記モータの回転数、トルクを制御するインバータと、前記結合軸に設けられたトルク検出器により検出したトルクおよびモータの回転速度を速度検出器により検出した回転速度に基づいて、軸ねじれ共振を抑制するモータトルク指令を前記インバータに与えるコントローラと、を備えた多慣性共振システムにおいて、
前記コントローラは、
前記検出したトルクに無駄時間要素が加算された軸ねじれトルク検出値を、伝達関数GPHC
Figure 2017099084
(ただし、αは位相補償パラメータ、ωPhcは位相補償フィルタカットオフ周波数、sはラプラス演算子)
で表される第1の位相補償器に通して位相補償後軸ねじれトルク検出値を求め、
設定したトルク指令から前記位相補償後軸ねじれトルク検出値を減算して前記モータトルク指令を求めることを特徴としている。
また、請求項6に記載の多慣性共振システムにおける共振抑制制御装置は、請求項5において、前記機械系構成を、少なくともモータ慣性モデルおよび負荷慣性モデルを有した多慣性系機械モデルとして表現し、
前記モータ慣性モデルは、モータトルクTmからモータトルク外乱Tmdisを減算し、その減算結果から軸ねじれトルクTreacを減算した値に、1/(Jm・s)(Jmはモータ慣性モーメント、sはラプラス演算子)の伝達関数項を通してモータ回転速度ωmとし、該モータ回転速度ωmに1/sの伝達関数項を通してモータ回転位相角θmとする伝達特性を有し、
前記負荷慣性モデルは、前記軸ねじれトルクTreacから負荷トルクTlを減算した値に、1/(Jl・s2)(Jlは負荷慣性モーメント)の伝達関数項を通して負荷回転位相角θlとし、前記モータ回転位相角θmから前記負荷回転位相角θlを減算した値に、Kf(Kfは軸ねじれ剛性(ばね係数)[Nm/rad])の伝達関数項を通して軸ねじれトルクTreacとする伝達特性を有していることを特徴とする。
上記構成において、コントローラは、共振抑制制御を行うが、その際、軸ねじれトルクのフィードバック分のみを位相補償器に通しているため、軸ねじれトルクのフィードバック分のみに位相補償効果が寄与し、トルク指令とは独立して共振抑制制御を調整することができる。
また、請求項7に記載の多慣性共振システムにおける共振抑制制御装置は、請求項5又は6において、前記コントローラは、前記軸ねじれトルク検出値を、伝達関数GHPFがs/(s+ωhpf)(ωhpfはハイパスフィルタカットオフ周波数、sはラプラス演算子)である高域通過フィルタに通して新たな軸ねじれトルク検出値とし、
前記新たな軸ねじれトルク検出値を前記第1の位相補償器に通すことを特徴としている。
上記構成によれば、請求項5による効果を奏し、且つ軸ねじれトルク検出値を高域通過フィルタを通してフィードバックしているので、直流成分には影響を与えずに共振周波数成分を抑制することができる。
また、請求項8に記載の多慣性共振システムにおける共振抑制制御装置は、請求項5又は6において、前記コントローラは、前記軸ねじれトルク検出値を、設定した軸トルクフィードバックゲインkrに通して新たな軸ねじれトルク検出値とし、前記新たな軸ねじれトルク検出値を前記第1の位相補償器に通して位相補償後軸ねじれトルク検出値を求め、
前記検出された回転速度に無駄時間要素が加算された回転速度検出値ωdetおよび位相補償前トルク指令値から、外乱オブザーバによってモータの外乱トルクを推定し外乱トルク推定値T^disを求め、前記外乱トルク推定値T^disを、前記第1の位相補償器と同一に構成した第2の位相補償器に通して位相補償後外乱トルク推定値を求め、
前記設定したトルク指令に前記位相補償後外乱トルク推定値を加算した値から、前記位相補償後軸ねじれトルク検出値を減算して前記モータトルク指令を求めることを特徴としている。
上記構成によれば、請求項5による効果を奏し、且つ軸ねじれトルク検出値のフィードバック分を第1の位相補償器に通し、外乱オブザーバの出力を第2の位相補償器に通しているので、より高い共振抑制および外乱抑制効果が期待できる。
また、請求項9に記載の多慣性共振システムにおける共振抑制制御装置は、請求項1ないし8のいずれか1項において、前記位相補償器は、伝達関数GPHCが、
Figure 2017099084
(ただしωbは1次遅れカットオフ周波数、ωhは1次進みカットオフ周波数、sはラプラス演算子、pは任意の分数次数)
と表される、分数次数を用いた位相補償器で構成されていることを特徴としている。
上記構成によれば、位相補償器は分数次数を用いているので、位相補償量(位相補償の幅)がきめ細かく設定されて共振抑制効果が高められる。
また、請求項10に記載の多慣性共振システムにおける共振抑制制御装置は、請求項1ないし9のいずれか1項において、前記位相補償器の伝達関数GPHCを、
Figure 2017099084
Figure 2017099084
(ただしωbは1次遅れカットオフ周波数、ωhは1次進みカットオフ周波数、sはラプラス演算子、pは任意の分数次数、ωPhCは位相補償フィルタカットオフ周波数、αは位相補償パラメータ)
と定義し、
前記位相補償パラメータαの設定を変更して位相補償量を調整することを特徴としている。
上記構成によれば、位相補償パラメータαを、例えばシミュレーションや実際のシステムの無駄時間等で動作を確認し、それに応じて適切な値に設定することにより、共振抑制効果がより高められ、システムの安定性がさらに向上する。
また、請求項11に記載の多慣性共振システムにおける共振抑制制御装置は、請求項10において、前記ωbとωhを、ωb<ωhに設定することで位相遅れ補償器として機能させ、ωb>ωhに設定することで位相進み補償器として機能させることを特徴としている。
上記構成によれば、位相遅れ補償器、位相進み補償器のいずれかに機能させて、共振抑制効果を高めることができる。
(1)請求項1〜11に記載の発明によれば、フィードバックループに含まれる無駄時間等の遅れの影響が補償され、システムの安定性が向上する。
(2)請求項3、7に記載の発明によれば、軸ねじれトルク検出値を高域通過フィルタを通してフィードバックしているので、直流成分には影響を与えずに共振周波数成分を抑制することができる。
(3)請求項4に記載の発明によれば、軸ねじれトルク検出値を軸トルクフィードバックゲインKrを介してフィードバックすることで共振周波数成分が抑制され、また外乱オブザーバを用いているため外乱抑制効果が得られ、外乱に対してロバストな制御系を構築することができる。
(4)請求項5に記載の発明によれば、軸ねじれトルクのフィードバック分のみを位相補償器に通しているため、軸ねじれトルクのフィードバック分のみに位相補償効果が寄与し、トルク指令とは独立して共振抑制制御を調整することができる。
(5)請求項8に記載の発明によれば、軸ねじれトルク検出値のフィードバック分を第1の位相補償器に通し、外乱オブザーバの出力を第2の位相補償器に通しているので、より高い共振抑制および外乱抑制効果が期待できる。
(6)請求項9に記載の発明によれば、位相補償器は分数次数を用いているので、位相補償量(位相補償の幅)がきめ細かく設定されて共振抑制効果が高められる。
(7)請求項10に記載の発明によれば、位相補償量を調整することができ、位相補償パラメータを適切な値に設定することにより、共振抑制効果がより高められ、システムの安定性がさらに向上する。
(8)請求項11に記載の発明によれば、位相遅れ補償器、位相進み補償器のいずれかに機能させて、共振抑制効果を高めることができる。
本発明が適用される多慣性共振システムの一例を示す構成図。 本発明の実施例1の構成図。 共振抑制無しの場合の共振抑制効果を表し、(a)は軸トルクの波形図、(b)は回転数の波形図。 本発明の実施例1による共振抑制制御を実施した場合の共振抑制効果を表し、(a)は軸トルクの波形図、(b)は回転数の波形図。 本発明の実施例2の構成図。 本発明の実施例2の外乱オブザーバの構成図。 位相補償器無しで一般的な外乱オブザーバを用いた外乱抑制および共振抑制を行った場合の共振抑制効果を表し、(a)は軸トルクの波形図、(b)は回転数の波形図。 本発明の実施例2のように位相補償器有りで外乱抑制および共振抑制を行った場合の共振抑制効果を表し、(a)は軸トルクの波形図、(b)は回転数の波形図。 本発明の実施例3の説明における位相補償器のゲイン線図。 本発明の実施例3において、0.5次の位相遅れ補償器を1次の折れ線近似で再現した際のゲイン線図。 本発明の実施例3において、1.5次の位相遅れ補償器を1次の折れ線近似で再現した際のゲイン線図。 本発明の実施例3において、1.5次の位相遅れ補償器を2次の折れ線近似で再現した際のゲイン線図。 位相補償器に分数次数を設定しない場合の共振抑制効果を表し、(a)は軸トルクの波形図、(b)は回転数の波形図。 本発明の実施例3のように位相補償器に分数次数を設定した場合の共振抑制効果を表し、(a)は軸トルクの波形図、(b)は回転数の波形図。 本発明の実施例5の構成図。 本発明の実施例6の構成図。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明するが、本発明は下記の実施形態例に限定されるものではない。本発明は多慣性の共振システム全般を対象とするが、本実施形態では、図1に示すモータ駆動装置のような回転機械系の軸ねじれ共振システムを代表例として説明する。
図1において、モータ1と負荷2の間は軸3(結合軸)で結合され、軸ねじれ共振が発生する。そこで軸3に軸トルク検出器4を設置して軸トルクを検出する。また速度検出器5を用いてモータ1の回転速度を検出する。
コントローラ6は、軸トルク検出器4で検出された軸ねじれトルク検出値Tdet、速度検出器5で検出された回転速度検出値ωdet等を用いて軸ねじれ共振を抑制する共振抑制制御を実現し、インバータ7にトルク指令T*(モータトルク指令)を与える。
インバータ7は、トルク指令T*に基づいて、モータ1を所望の回転数・トルクで制御する。
以下、コントローラ6内で実施される共振抑制制御を詳細に説明する。
図2は本実施例1の構成を示している。図2において、10は、図1のモータ1、負荷2、軸3の機械系構成を、モータ慣性モデルおよび負荷慣性モデルの2慣性で表現した2慣性系機械モデルである。
2慣性系機械モデル10内のモータ慣性モデルは、モータトルクTm(後述するインバータ遅れによる無駄時間要素27の出力)からモータトルク外乱Tmdisを減算器11によって減算し、その減算結果から減算器12によって軸ねじれトルクTreac(軸3で発生するトルク(軸ねじれ反力に相当))を減算した値に、1/(Jm・s)(Jmはモータ慣性モーメント、sはラプラス演算子)の伝達関数項13を通してモータ回転速度ωmとし、該モータ回転速度ωmに1/sの伝達関数項14を通してモータ回転位相角θmとする伝達特性を有している。
2慣性系機械モデル10内の負荷慣性モデルは、前記軸ねじれトルクTreacから減算器15によって負荷トルクTlを減算した値に、1/(Jl・s2)(Jlは負荷慣性モーメント)の伝達関数項16を通して負荷回転位相角θlとし、前記モータ回転位相角θmから減算器17によって前記負荷回転位相角θlを減算した値に、Kf(Kfは軸ねじれ剛性(ばね係数)[Nm/rad])の伝達関数項18を通して軸ねじれトルクTreacとする伝達特性を有している。
本実施例では、軸トルク検出器4のトルク検出の無駄時間を考慮してトルク検出による無駄時間要素24とし、インバータ遅れによる無駄時間を考慮して無駄時間27としている。前記フィードバックした軸ねじれトルクTreacにトルク検出遅れによる無駄時間要素24を加算して軸ねじれトルク検出値Tdetとしている。
そして、コントローラ6において、軸ねじれトルク検出値Tdetをハイパスフィルタ31(高域通過フィルタ)に通して、トルクの直流成分には影響を与えずに共振周波数成分を抑制する。ハイパスフィルタ31の伝達関数GHPFは例えば下記(1)式のとおりである。
Figure 2017099084
ただし、s:ラプラス演算子、ωhpf:ハイパスフィルタカットオフ周波数。
設定したトルク指令Tcmdから、ハイパスフィルタ31の出力(共振周波数成分が抑制された新たな軸ねじれトルク検出値)が、減算器32において減算される。
減算器32の出力(位相補償前トルク指令値)を伝達関数GPHCの位相補償器33に通して、モータトルク指令T*(補償トルクを含む)が得られる。このモータトルク指令T*にインバータ遅れによる無駄時間要素27を加算してモータトルクTmとしている。
このように、インバータ7に与えるモータトルク指令(T*)に位相補償器33を導入することで、フィードバックループに含まれる無駄時間等の遅れの影響を補償し、システムの安定性を向上させている。
前記位相補償器33の一般的な伝達関数GPHCは例えば下記(2)式のとおりである。
Figure 2017099084
ただし、α;位相補償パラメータ、ωphc:位相補償フィルタカットオフ周波数。
単に軸トルク検出値の共振周波数成分をフィードバックして打ち消す方式では、インバータ7やセンサ(軸トルク検出器4)等の無駄時間や伝達特性による位相遅れの影響を受けて共振抑制制御が不安定となる、あるいは抑制効果が低減する。
そこで、本実施例ではフィードバックループに含まれる無駄時間や伝達特性を考慮して位相補償パラメータαを適宜調整する。これにより、制御の安定性や抑制効果を向上させることができる。
尚、位相補償パラメータαは、α>1のとき位相進み補償器、α<1のとき位相遅れ補償器として機能し、シミュレーションや実際のシステムの無駄時間等で動作を確認して適切なパラメータを決定する。位相補償パラメータは1つであるため、システムの無駄時間や位相遅れに応じて非常に簡単に調整できる。
ここで、位相補償器を用いない共振抑制無しの場合と、(2)式の伝達関数を有した一般的な位相補償器を用いて共振抑制を行った場合とで、共振抑制効果を検証した一例を図3、図4に示す。図3、図4は、回転数を上昇させているときの軸トルク波形(a)および回転数の波形(b)を各々示している。
共振抑制無しの図3の場合、トルクリプル等の外乱が共振周波数と一致したときに、トルクが大きく共振している。一方、共振抑制制御を実施した図4の場合、軸トルクの共振を比較的抑制できていることが分かる。
図5は本実施例2の構成を示しており、図2と同一部分は同一符号をもって示している。
本実施例2では、図2のハイパスフィルタ31に代えて、軸ねじれトルク検出値Tdetを、軸トルクフィードバックゲインKrが設定されたゲイン設定器34を介して新たな軸ねじれトルク検出値としてフィードバックし(加減算器35のマイナス入力とする)、共振周波数成分を抑制する(Krは任意に設定できる)。
また、モータには慣性変動・トルクリプル・摩擦等により生じるモータトルク外乱Tmdisが存在するため、これら外乱を除去・低減する外乱オブザーバ36を併設し、ロバストな制御系を構成する。
すなわち、2慣性系機械モデル10内のモータ回転速度ωmに速度検出遅れによる無駄時間要素25を加算して回転速度検出値ωdetとし、この回転速度検出値ωdetと位相補償前トルク指令値Tcmd’(加減算器35の出力)から、外乱オブザーバ36によってモータの外乱トルクを推定して外乱トルク推定値T^disを求める。そして加減算器35において、トルク指令Tcmdに外乱トルク推定値T^disを加算した値から、ゲイン設定器34の出力(新たな軸ねじれトルク検出値)を減算して位相補償前トルク指令値Tcmd’とする。
上記によって外乱抑制と共振抑制を構成できるが、フィードバックループにはインバータやセンサの遅れ・無駄時間が存在し、そのまま適用すると抑制効果や制御安定性を損ねる。したがって、実施例1の図2と同様にインバータ7に与えるモータトルク指令値(Tcmd’)に位相補償器33を導入し、システムの安定性と抑制効果を向上させる。
外乱オブザーバ36の構成例を図6に示す。外乱トルクTdisは、次の(3)式のように表すことができる。負荷トルクに作用する外乱トルクは軸ねじれトルクTreacに含まれる。
Figure 2017099084
ただし、s:ラプラス演算子、Jmn:モータ慣性モーメントノミナル値、Ginv:インバータ伝達特性、Jm:モータ慣性モーメント、Ginvn:インバータ伝達特性ノミナル値、Tfric:クーロン摩擦トルク、Dm:粘性摩擦係数。
モータトルク指令値T*(Tcmd’)とモータ回転速度ωdetが検出可能であるとき、外乱トルク推定値T^disは(4)式のように1次のローパスフィルタ(カットオフ周波数ωobs[rad/s])を介して推定できる。そのときの制御ブロックは図6のとおりである。
Figure 2017099084
ただし、図5のTmdisは、
mdis=Tfric+Dmωm+Fm(Fmは慣性変動やインバータ特性誤差・トルクリプル等による外乱)とする。
図6において、位相補償前トルク指令値Tcmd’(図5の加減算器35の出力)をインバータ伝達特性ノミナル値Ginvnの伝達関数項41に通した値と、回転速度検出値ωdet(図5の速度検出遅れによる無駄時間要素25の出力)をωobs・Jmnの伝達関数項42に通した値とは加算器43において加算される。
加算器43の出力をωobs/(s+ωobs)の伝達関数項44に通した値から、伝達関数項42の出力を、減算器45で減算して外乱トルク推定値T^disを出力する。
この外乱トルク推定値T^disを図5のようにフィードバックすることにより、外乱に対してロバストな制御系を構築することができる。
本実施例2における位相補償器33は、前記(2)式を伝達関数とする位相補償器を採用するものであり、その動作は実施例1と同様となる。
単に軸トルクフィードバックによる共振抑制と外乱オブザーバによる外乱抑制のみでは、インバータ7やセンサ(軸トルク検出器4)等の無駄時間や伝達特性による位相遅れの影響を受けて共振抑制制御が不安定となる、あるいは抑制効果が低減することがある。
そこで、本実施例ではフィードバックループに含まれる無駄時間や伝達特性を考慮して位相補償パラメータαを適宜調整する。これにより、制御の安定性や抑制効果を向上させることができる。
尚、位相補償パラメータαは、α>1のとき位相進み補償器、α<1のとき位相遅れ補償器として機能し、シミュレーションや実際のシステムの無駄時間等で動作を確認して適切なパラメータを決定する。位相補償パラメータは1つであるため、システムの無駄時間や位相遅れに応じて非常に簡単に調整できる。
ここで、位相補償器無しで単に一般的な外乱オブザーバを用いた外乱抑制および共振抑制を行った場合と、本実施例2(図5)のように位相補償器有りで外乱抑制および共振抑制を行った場合とで、共振抑制効果を検証した一例を図7、図8に示す。図7、図8は、回転数を上昇させているときの軸トルク波形(a)および回転数の波形(b)を各々示している。
位相補償器無しで一般的な外乱オブザーバのみで抑制した図7の場合は、共振をある程度抑制できている。一方、本実施例2の位相補償器を用いた共振抑制制御を実施した図8の場合、軸トルクの共振をより効果的に抑制できていることが分かる。
実施例1、実施例2において、一般的な(2)式の位相補償器を用いると簡単に共振抑制制御を安定化できるが、より抑制効果を高めるには、きめ細やかな位相調整が必要となる。そこで、本実施例では分数次数を適用した位相補償器を導入する。位相遅れ補償器は、下記(5)式のように1次の遅れ要素と進み要素の積としても表現できる。この場合のゲイン線図の例を図9に示す。
Figure 2017099084
ただし、ωb:1次遅れカットオフ周波数、ωh:1次進みカットオフ周波数。
本実施例では、(5)式に分数次数を与えた(6)式を伝達関数とする位相遅れ補償器を採用する。
Figure 2017099084
ただし、p:任意の分数次数。
この(6)式に示す分数次数の位相補償器は、そのままではプログラム実装が困難なため、(7)式に示す折れ線近似式を用いる。
Figure 2017099084
(7)式中のωi、ωi’は(8)、(9)式である。
Figure 2017099084
Figure 2017099084
ただし、N:近似式の次数。
図10に0.5次の位相遅れ補償器を1次の折れ線近似で再現した際のゲイン線図を示す。図10より、−10dB/decでの近似が実現できていることが確認できる。また、図11に1.5次の位相遅れ補償器を1次の折れ線近似で再現した際のゲイン線図を示す。この場合は、−30dB/decでの近似が実現できていることが確認できる。
また、図12に1.5次の位相遅れ補償器を2次の折れ線近似で再現した際のゲイン線図を示す。1次の場合よりも精度良く近似できていることが確認できる。
尚、これら図10〜図12において、「real」は分数次数の周波数特性((6)式の特性)を、「app.」は分数次数を折れ線近似した場合の周波数特性((7)式右辺の特性)を各々表している。
以上のように任意の分数次数pをきめ細かく調整することで、位相補償器による制御の安定化のみでなく共振抑制の効果を高めることができる。
尚、(2)式の位相補償器を分数次数にする場合、(6)式と照らし合わせることで、以下のようにωb、ωhを設定できる。
Figure 2017099084
Figure 2017099084
ここで、位相補償器に分数次数を設定しない場合と、分数次数(p=1.2)を設定した場合とで、共振抑制効果を検証した一例を図13、図14に示す。図13、図14は、回転数を上昇させているときの軸トルク波形(a)および回転数の波形(b)を各々示している。
分数次数p=1.2を設定した図14の場合、分数次数を設定しない図13の場合に比べて軸トルクの波形の共振ピーク値が下っており、抑制効果が高いことが分かる。
実施例3では、位相補償器33において、位相遅れ補償の場合の分数次数を定義したが、本実施例4では位相進み補償器に対して分数次数を適用する。その際、(6)式の定義において、ωb>ωhと定義(設定)することで位相進み補償器として機能させることができる。実装用の式は、(7)式〜(9)式をそのまま流用できる。
本実施例によれば、位相遅れ補償のみでなく、位相進み補償器も同様に分数次数として共振抑制効果を高めることができる。実際の適用にあたっては、共振抑制フィードバックループに含まれる無駄時間の影響度に依存しており、位相遅れ/進み補償のどちらを適用するか任意に選択すれば良い。
実施例1(図2)、実施例2(図5)では、トルク指令Tcmdから新たな軸ねじれトルク検出値を減算した後に位相補償器33を挿入していたが、本実施例5ではこれに代えて図15に示すように位相補償器33を、軸トルクフィードバックループのハイパスフィルタ31の後に挿入し、その出力を減算器32に入力するように構成した。
図15において図2と同一部分は同一符号をもって示しており、同一部分の動作は図2と同様である。
実施例1、2ではトルク指令値Tcmdに対して位相補償器33の伝達特性が影響するが、本実施例5では共振抑制するための軸トルクフィードバックのみに位相補償の効果が寄与するので、トルク指令値と共振抑制制御の調整を独立に制御できる。
また、図15の構成においても、実施例3、4で述べた位相補償器33の分数次数をきめ細かく調整することによって、共振抑制効果が高められる。
本実施例6では、図5の位相補償器33の挿入位置を、図16のように外乱オブザーバの出力部と軸トルクフィードバック部とに変更し、それぞれの位相補償器33a,33bの位相補償パラメータを無駄時間等の位相遅れに応じて調整する。
図16において図5と異なる点は、位相補償器33を削除し、ゲイン設定器34の出力を分数次数型の位相補償器33aに通してその出力を加減算器35に減算分として入力し、外乱オブザーバ36の出力を分数次数型の位相補償器33bに通してその出力を加減算器35に加算分として入力した点にあり、その他の部分は図5と同一に構成されている。
本実施例6によれば、トルク検出遅れと速度検出遅れに対する位相補償器を分割し、それぞれに最適な位相補償パラメータを調整することができるため、より高い共振抑制および外乱抑制効果が期待できる。
また、トルク指令値Tcmd’に対しては位相補償が入らず、共振抑制するための軸トルクフィードバックおよび外乱オブザーバの出力(外乱トルク推定値T^dis)に対してのみに位相補償の効果が寄与するので、トルク指令値と、共振抑制および外乱抑制の調整を独立に制御できる。
尚、本発明は、2慣性の共振システムに限らず3慣性などの多慣性共振システムに適用することができ、この場合も前記と同様の効果が得られる。
1…モータ
2…負荷
3…軸
4…軸トルク検出器
5…速度検出器
6…コントローラ
7…インバータ
10…2慣性系機械モデル
11,12,15,17,32,45…減算器
13,14,16,18,41,42,44…伝達関数項
24,25,27…無駄時間要素
31…ハイパスフィルタ
33,33a,33b…位相補償器
34…ゲイン設定器
35…加減算器
36…外乱オブザーバ
43…加算器

Claims (11)

  1. モータと負荷を結合軸を介して結合した機械系構成と、前記モータの回転数、トルクを制御するインバータと、前記結合軸に設けられたトルク検出器により検出したトルクおよびモータの回転速度を速度検出器により検出した回転速度に基づいて、軸ねじれ共振を抑制するモータトルク指令を前記インバータに与えるコントローラと、を備えた多慣性共振システムにおいて、
    前記コントローラは、
    設定したトルク指令から、前記検出したトルクに無駄時間要素が加算された軸ねじれトルク検出値を減算して位相補償前トルク指令値とし、
    前記位相補償前トルク指令値を、伝達関数GPHC
    Figure 2017099084
    (ただし、αは位相補償パラメータ、ωPhcは位相補償フィルタカットオフ周波数、sはラプラス演算子)
    で表される位相補償器に通して位相補償後トルク指令値を求め、
    前記位相補償後トルク指令値をモータトルク指令としてインバータに与えることを特徴とする多慣性共振システムにおける共振抑制制御装置。
  2. 前記機械系構成を、少なくともモータ慣性モデルおよび負荷慣性モデルを有した多慣性系機械モデルとして表現し、
    前記モータ慣性モデルは、モータトルクTmからモータトルク外乱Tmdisを減算し、その減算結果から軸ねじれトルクTreacを減算した値に、1/(Jm・s)(Jmはモータ慣性モーメント、sはラプラス演算子)の伝達関数項を通してモータ回転速度ωmとし、該モータ回転速度ωmに1/sの伝達関数項を通してモータ回転位相角θmとする伝達特性を有し、
    前記負荷慣性モデルは、前記軸ねじれトルクTreacから負荷トルクTlを減算した値に、1/(Jl・s2)(Jlは負荷慣性モーメント)の伝達関数項を通して負荷回転位相角θlとし、前記モータ回転位相角θmから前記負荷回転位相角θlを減算した値に、Kf(Kfは軸ねじれ剛性(ばね係数)[Nm/rad])の伝達関数項を通して軸ねじれトルクTreacとする伝達特性を有していることを特徴とする請求項1に記載の多慣性共振システムにおける共振抑制制御装置。
  3. 前記コントローラは、前記軸ねじれトルク検出値を、伝達関数GHPFがs/(s+ωhpf)(ωhpfはハイパスフィルタカットオフ周波数、sはラプラス演算子)である高域通過フィルタに通して新たな軸ねじれトルク検出値とし、前記設定したトルク指令から前記新たな軸ねじれトルク検出値を減算して位相補償前トルク指令値とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の多慣性共振システムにおける共振抑制制御装置。
  4. 前記コントローラは、前記軸ねじれトルク検出値を、設定した軸トルクフィードバックゲインkrに通して新たな軸ねじれトルク検出値とし、前記検出された回転速度に無駄時間要素が加算された回転速度検出値ωdetおよび前記位相補償前トルク指令値から、外乱オブザーバによってモータの外乱トルクを推定し外乱トルク推定値T^disを求め、前記設定したトルク指令に前記外乱トルク推定値T^disを加算した値から、前記新たな軸ねじれトルク検出値を減算して位相補償前トルク指令値とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の多慣性共振システムにおける共振抑制制御装置。
  5. モータと負荷を結合軸を介して結合した機械系構成と、前記モータの回転数、トルクを制御するインバータと、前記結合軸に設けられたトルク検出器により検出したトルクおよびモータの回転速度を速度検出器により検出した回転速度に基づいて、軸ねじれ共振を抑制するモータトルク指令を前記インバータに与えるコントローラと、を備えた多慣性共振システムにおいて、
    前記コントローラは、
    前記検出したトルクに無駄時間要素が加算された軸ねじれトルク検出値を、伝達関数GPHC
    Figure 2017099084
    (ただし、αは位相補償パラメータ、ωPhcは位相補償フィルタカットオフ周波数、sはラプラス演算子)
    で表される第1の位相補償器に通して位相補償後軸ねじれトルク検出値を求め、
    設定したトルク指令から前記位相補償後軸ねじれトルク検出値を減算して前記モータトルク指令を求めることを特徴とする多慣性共振システムにおける共振抑制制御装置。
  6. 前記機械系構成を、少なくともモータ慣性モデルおよび負荷慣性モデルを有した多慣性系機械モデルとして表現し、
    前記モータ慣性モデルは、モータトルクTmからモータトルク外乱Tmdisを減算し、その減算結果から軸ねじれトルクTreacを減算した値に、1/(Jm・s)(Jmはモータ慣性モーメント、sはラプラス演算子)の伝達関数項を通してモータ回転速度ωmとし、該モータ回転速度ωmに1/sの伝達関数項を通してモータ回転位相角θmとする伝達特性を有し、
    前記負荷慣性モデルは、前記軸ねじれトルクTreacから負荷トルクTlを減算した値に、1/(Jl・s2)(Jlは負荷慣性モーメント)の伝達関数項を通して負荷回転位相角θlとし、前記モータ回転位相角θmから前記負荷回転位相角θlを減算した値に、Kf(Kfは軸ねじれ剛性(ばね係数)[Nm/rad])の伝達関数項を通して軸ねじれトルクTreacとする伝達特性を有していることを特徴とする請求項5に記載の多慣性共振システムにおける共振抑制制御装置。
  7. 前記コントローラは、前記軸ねじれトルク検出値を、伝達関数GHPFがs/(s+ωhpf)(ωhpfはハイパスフィルタカットオフ周波数、sはラプラス演算子)である高域通過フィルタに通して新たな軸ねじれトルク検出値とし、
    前記新たな軸ねじれトルク検出値を前記第1の位相補償器に通すことを特徴とする請求項5又は6に記載の多慣性共振システムにおける共振抑制制御装置。
  8. 前記コントローラは、前記軸ねじれトルク検出値を、設定した軸トルクフィードバックゲインkrに通して新たな軸ねじれトルク検出値とし、前記新たな軸ねじれトルク検出値を前記第1の位相補償器に通して位相補償後軸ねじれトルク検出値を求め、
    前記検出された回転速度に無駄時間要素が加算された回転速度検出値ωdetおよび位相補償前トルク指令値から、外乱オブザーバによってモータの外乱トルクを推定し外乱トルク推定値T^disを求め、前記外乱トルク推定値T^disを、前記第1の位相補償器と同一に構成した第2の位相補償器に通して位相補償後外乱トルク推定値を求め、
    前記設定したトルク指令に前記位相補償後外乱トルク推定値を加算した値から、前記位相補償後軸ねじれトルク検出値を減算して前記モータトルク指令を求めることを特徴とする請求項5又は6に記載の多慣性共振システムにおける共振抑制制御装置。
  9. 前記位相補償器は、伝達関数GPHCが、
    Figure 2017099084
    (ただしωbは1次遅れカットオフ周波数、ωhは1次進みカットオフ周波数、sはラプラス演算子、pは任意の分数次数)
    と表される、分数次数を用いた位相補償器で構成されていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の多慣性共振システムにおける共振抑制制御装置。
  10. 前記位相補償器の伝達関数GPHCを、
    Figure 2017099084
    Figure 2017099084
    (ただしωbは1次遅れカットオフ周波数、ωhは1次進みカットオフ周波数、sはラプラス演算子、pは任意の分数次数、ωPhCは位相補償フィルタカットオフ周波数、αは位相補償パラメータ)
    と定義し、
    前記位相補償パラメータαの設定を変更して位相補償量を調整することを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の多慣性共振システムにおける共振抑制制御装置。
  11. 前記ωbとωhを、ωb<ωhに設定することで位相遅れ補償器として機能させ、ωb>ωhに設定することで位相進み補償器として機能させることを特徴とする請求項10に記載の多慣性共振システムにおける共振抑制制御装置。
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