JP3943061B2 - サーボ制御装置 - Google Patents

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この発明は、サーボ制御装置に関する。
従来のサーボ制御装置には、制御対象の状態が指令と一致するように制御対象を制御するフィードバック補償部と、指令への応答遅れが少なくなるように指令に対する制御対象の応答の予測に基づいて制御対象を制御するフィードフォワード補償部を持つものがある。例えば、特許文献1に開示されたサーボ制御装置のフィードフォワード補償部は、位置指令の微分結果に符号関数sgnを適用して、機械に加わると予測されるクーロン摩擦の影響を相殺する指令をあらかじめ生成する。このためクーロン摩擦のような外乱があっても、応答遅れの少ない高速高精度な制御ができる。
特開2002−172341号公報(第7頁、図6)
しかし、このようなサーボ制御装置にあっては、高速高加速度で制御対象を駆動する場合、制御対象に加えられる大きな加速度の結果、制御対象の機械剛性が弱い場合には、機械振動が発生する場合があり、精度が悪くなるという課題があった。機械振動の発生を押さえるために、位置指令に含まれる機械の固有振動数成分をノッチフィルタのような振動低減フィルタで除去することも考え得るが、この場合には、振動低減フィルタの固有振動数で振動低減フィルタの出力が微小振動する。この微小振動が、クーロン摩擦を補償する前記符号関数(sgn)等の非線形関数の非線形領域を往復した場合、前記微小振動の振動周波数の成分が拡大されて出力されるために、機械に振動的なトルク指令が入力され、やはり機械が振動し、高精度な制御ができなくなる。
この発明は、上述した課題を解決するためになされたものであって、例えばクーロン摩擦のような非線形な外乱があっても制御対象の機械振動を低減または防止することができ、応答遅れの少ない高速高精度な制御ができるサーボ制御装置を提供することを目的とする。
この発明に係るサーボ制御装置は、制御対象への位置指令を生成する指令生成部と、前記指令生成部で生成される位置指令に基づいて、前記制御対象の振動要因成分を減衰させて前記制御対象を運動させるための第1の駆動指令を生成する第1のフィードフォワード補償部と、前記指令生成部で生成される位置指令に基づいて、前記制御対象の非線形運動を補正するための第2の駆動指令を生成する第2のフィードフォワード補償部と、前記制御対象の状態を計測する状態計測部と、前記第1の駆動指令と、前記第2の駆動指令と、前記状態計測部の計測結果に基づいて、前記制御対象の運動を制御するフィードバック制御部とを備え、前記第1のフィードフォワード補償部は、前記指令生成部から出力される位置指令に含まれる制御対象の振動要因成分を減衰させて前記第1の駆動指令として第1の位置指令を生成する帯域阻止フィルタまたはノッチフィルタにより構成された振動低減フィルタを備え、前記第2のフィードフォワード補償部は、前記位置指令または前記位置指令の処理結果に階段関数または符号関数による非線形関数を適用して前記第2の駆動指令を生成する駆動指令非線形補正部と、前記第1のフィードフォワード補償部の前記振動低減フィルタのフィルタリングの遅延量に等価な遅延量及び前記振動低減フィルタと等価な低域通過特性を持ち、前記駆動指令非線形補正部の非線形補正のタイミングを調整するタイミング補正部とを備えるものである。
この発明によれば、第1のフィードフォワード補償部は、指令生成部から出力される位置指令に含まれる制御対象の振動要因成分を減衰させて第1の駆動指令として第1の位置指令を生成する帯域阻止フィルタまたはノッチフィルタにより構成された振動低減フィルタを備えるので、第1の駆動指令に含まれる振動要因成分が減衰し、制御対象の機械振動が低減または防止され、高速高精度に制御することが可能となる。また、第2のフィードフォワード補償部は、位置指令または位置指令の処理結果に階段関数または符号関数による非線形関数を適用して第2の駆動指令を生成する駆動指令非線形補正部と、第1のフィードフォワード補償部の振動低減フィルタのフィルタリングの遅延量に等価な遅延量及び前記振動低減フィルタと等価な低域通過特性を持ち、前記駆動指令非線形補正部の非線形補正のタイミングを調整するタイミング補正部とを備えるので、例えばクーロン摩擦のような非線形な外乱があっても、第2の駆動指令により制御対象の非線形な動作の補正が可能であり、第2の駆動指令は第1の駆動指令とほぼ同期した適切なタイミングで非線形な動作の補正を行う。第2の駆動指令は、振動低減フィルタとは別系統の第2のフィードフォワード補償部で生成されるので、振動低減フィルタ自体の固有振動数の影響を受けずに、制御対象の機械振動を低減または防止しつつ、非線形な動作の補正を高精度で行うことが可能である。フィードバック補償部は、このような第1のフィードフォワード補償部で生成された第1の駆動指令と、第2のフィードフォワード補償部で生成された第2の駆動指令と、制御対象の状態を計測する状態計測部の計測結果に基づいて制御対象の位置と速度をフィードバック制御するので、第1の駆動指令の効果およびこれとは別個に生成された第2の駆動指令の効果を併有し、かつ制御対象の状態に追従するように位置制御と速度制御を行うことが可能である。すなわち、例えばクーロン摩擦のような外乱があっても制御対象の機械振動を低減または防止することができ、応答遅れの少ない高速高精度な制御ができる。
以下、添付図面を参照しながらこの発明に係る様々な実施の形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるサーボ制御装置を示す図である。図1に示すサーボ制御装置1は、例えばコンピュータのようなディジタル処理装置であり、一定サンプリング周期ごとに変化する位置指令からトルク指令を算出する計算動作を行う。
制御対象2は、位置決めテーブルであるX軸テーブル3、X軸テーブル3を駆動するサーボモータ4、モータ4の回転角からX軸テーブル3の可動部の位置を計測するエンコーダ(状態計測部)5、および入力されたトルク指令Tcxに指定されたトルクをモータ4が発揮するようにモータ4への供給電流を制御するモータドライバ6を備える。
サーボ制御装置1は、指令生成部7、第1のフィードフォワード補償部8、第2のフィードフォワード補償部9およびフィードバック補償部10を備える。これらは実際には処理プログラムに従ったディジタル処理装置の機能を表し、一体としてディジタル処理装置を構成する。指令生成部7は、制御対象2の動作を記述した動作プログラムに基づいて制御対象2に対する位置指令を生成し、前記サンプリング周期ごとに位置指令を第1のフィードフォワード補償部8および第2のフィードフォワード補償部9に供給する。
第1のフィードフォワード補償部8は、位置指令に基づいて、制御対象2の振動要因成分を減衰させて制御対象2を運動させるための第1の駆動指令(この実施の形態では第1の位置指令、第1の速度フィードフォワード指令および第1のトルクフィードフォワード指令)を生成する。振動低減フィルタ11、微分器(微分演算部)12,13および増幅器14,15を有する。振動低減フィルタ11は、例えば帯域阻止フィルタまたはノッチフィルタであり、位置指令に含まれる制御対象2の振動要因成分、特に制御対象2の固有振動数成分を減衰させることにより第1の位置指令を生成する。微分器12は、振動低減フィルタ11が出力した第1の位置指令を微分して速度指令に変換する。さらに微分器13は微分器12が出力した速度指令を微分して加速度指令に変換する。
第1のフィードフォワード補償部8の増幅器14は微分器12が出力した速度指令に定数であるゲインKvx1を乗じ、乗算結果を第1の速度フィードフォワード指令として出力する。ゲインKvx1としては通常1を設定するが、必要に応じて調整してもよい。また、増幅器15は微分器13が出力した加速度指令に定数であるゲインKtx1を乗じ、乗算結果を第1のトルクフィードフォワード指令として出力する。ゲインKtx1は、加速度指令で指定された加速度を実現するために必要なトルクを求めるための定数であり、通常、ゲインKtx1としては制御対象2の総イナーシャに相当する値を設定する。
第2のフィードフォワード補償部9は、位置指令に基づいて、制御対象2の非線形運動を減少させる(つまり非線形運動を補正する)ための第2の駆動指令(この実施の形態では第2のトルクフィードフォワード指令)を生成する。換言すれば、第2のフィードフォワード補償部9は、予測されるクーロン摩擦のような非線形な外乱の影響を最小限にするための指令を生成する。第2のフィードフォワード補償部9は、タイミング補正部16、微分器17、トルク指令非線形補正部(駆動指令非線形補正部)18および増幅器19を有する。タイミング補正部16には、指令生成部7から出力される位置指令が入力され、振動低減フィルタ11のフィルタリングに伴う遅延量とほぼ等価な遅延量で前記位置指令を遅延したタイミング補正位置指令が出力される。微分器17はタイミング補正位置指令を微分して速度指令に変換する。トルク指令非線形補正部18は、微分器17が出力した速度指令に非線形関数(例えば符号関数)を適用してトルク指令の符号を生成する。増幅器19はトルク指令非線形補正部18が出力したトルク指令の符号にゲインKtx2を乗じ、乗算結果を第2のトルクフィードフォワード指令として出力する。なお、ゲインKtx2としては制御対象2のクーロン摩擦係数に対応する値を設定する。以上より明らかなように、タイミング補正部16は、第1のフィードフォワード補償部8の前記振動低減フィルタ11のフィルタリングに伴う遅延量とほぼ等価な遅延量で同期するように第2のトルクフィードフォワード指令を出力する。
フィードバック補償部10は、第1のフィードフォワード補償部8が出力した第1のトルクフィードフォワード指令と、第2のフィードフォワード補償部9が出力した第2のトルクフィードフォワード指令と、エンコーダ5の計測結果に基づいて、制御対象2の運動を制御する。フィードバック補償部10は、減算器(位置誤差算出部)20、位置制御部21、微分器22、加減算器(速度誤差算出部)23、速度制御部24、加算器(トルク指令算出部)25を有する。減算器20は、第1のフィードフォワード補償部8から出力される第1の位置指令とエンコーダ5から出力される位置計測値の差異である位置誤差を計算する。この位置誤差に基づいて、位置制御部21は位置制御演算(比例演算、積分演算および微分演算を含む)を行い、位置誤差を0にするための所望速度値を算出する。
フィードバック補償部10の微分器22は、エンコーダ5が出力した位置計測値を微分して速度計測値に変換する。加減算器23は、位置制御部21が出力した所望速度値と第1のフィードフォワード補償部8からの第1の速度フィードフォワード指令を加算し、さらに微分器22からの速度計測値を減算して、速度誤差を計算する。この速度誤差に基づいて、速度制御部24は速度制御演算(比例演算、積分演算および微分演算を含む)を行い、速度誤差が0になるように所望トルク値を算出する。
フィードバック補償部10の加算器25は、第1のフィードフォワード補償部8からの第1のトルクフィードフォワード指令と、第2のフィードフォワード補償部9からの第2のトルクフィードフォワード指令と、速度制御部24が出力した所望トルク値を加算して、加算結果をモータドライバ6へトルク指令Tcxとして出力する。このようにしてモータ4が駆動される。トルク指令Tcxを適切に逐次制御することで、モータ4の位置、速度および加速度が適切に制御される。
次に第1のフィードフォワード補償部8の振動低減フィルタ11についてさらに詳しく説明する。上記の通り振動低減フィルタ11は、例えば帯域阻止フィルタまたはノッチフィルタであり、位置指令に含まれる制御対象2の振動要因成分、特に制御対象2の固有振動数成分を減衰させることにより第1の位置指令を生成する。帯域阻止フィルタまたはノッチフィルタは、ローパスフィルタと比較して、低周波領域の位相遅れが小さく、帯域阻止周波数付近の振幅特性を急峻に減衰させるので、機械振動を効果的に低減できる。二次の帯域阻止フィルタの伝達関数G1(s)には式(1)に示すものが知られている。
Figure 0003943061
ここで、ζ1は減衰係数、ω1は振動数、sはラプラス演算子である。a0、a1、a2は係数である。式(1)において、a0=1、a1=0、a2=1を代入すれば、ノッチフィルタの伝達関数が実現できる。すなわち式(2)の伝達関数G1によりノッチフィルタが実現できる。
1(s)=(s2+ω1 2)/(s2+2ζ1ω1s+ω1 2) (2)
式(2)で伝達関数G1(s)が表されたノッチフィルタを振動低減フィルタ11に用いた場合、式(2)のω1はノッチフィルタによる減衰量が最も大きいノッチ周波数である。また、図2にこのノッチフィルタの周波数特性を示す。図2において、ω1はノッチ周波数、ωbはノッチフィルタの減衰バンド幅、Abは減衰振幅比であり、これらは制御対象2の振動特性に応じて設定する。ノッチ周波数ω1は、制御対象2の振動を最も抑制すべき振動数に設定する。好ましくは、制御対象2の固有振動数ωpと一致するようにノッチ周波数ω1を設定するとよい。また、ノッチフィルタの減衰バンド幅ωb、減衰振幅比Abは式(2)のζ1を0〜1まで変化させることで、変更することができる。なお、前記振動低減フィルタ11のノッチ周波数の調整は、エンコーダ5の出力に含まれる振動周波数を計測して行うが、制御対象2の可動部分の位置を直接計測できるリニアスケールや、工作機械の精度測定用に用いられるDBB(double ball bar)やグリッドエンコーダのような位置計測装置を用いて振動周波数を計測して行えば、さらに良好な制御結果が得られる。
このような構成によれば、振動低減フィルタ11により、第1のフィードフォワード補償部8から出力される第1の位置指令、第1の速度フィードフォワード指令および第1のトルクフィードフォワード指令に含まれる制御対象2の振動要因成分を減衰することができる。第1の速度フィードフォワード指令および第1のトルクフィードフォワード指令は、制御対象2が第1の位置指令に追従するように大きなトルクを発生するように働くが、第1のトルクフィードフォワード指令中の振動要因成分が減衰されるので、制御対象2の機械振動が低減または防止され、高速高精度に制御することが可能となる。
振動低減フィルタ11としては前記のようなノッチフィルタが好適であるが、制御対象2の固有振動数を含み、しかも高周波域に減衰特性をもつ高周波帯域阻止フィルタを用いてもよい。また、制御対象2に複数の固有振動数がある場合は、複数の固有振動数に対応した複数の減衰周波数を持つ帯域阻止フィルタを用いるとさらに効果的である。
次に第2のフィードフォワード補償部9の動作をさらに詳しく説明する。制御対象2が、例えばクーロン摩擦のような非線形な外乱の影響を受ける場合、モータ速度が正から負、および負から正に反転する時、スティックモーションといわれるモータ位置誤差が発生する。これは、モータ発生トルクがクーロン摩擦力以下の条件ではモータが回転できないために、モータトルクがクーロン摩擦力よりも大きくなるまで制御対象2は位置指令に追従することなく停止状態になる現象である。このような非線形な動作あるいは外乱の影響を補正するため、第2のフィードフォワード補償部9のトルク指令非線形補正部18および増幅器19を用いる。
トルク指令非線形補正部18は微分器17が出力した速度指令に、非線形な動作の補正のための非線形関数を適用してトルク指令の符号を生成する。クーロン摩擦力の影響を相殺する目的のためには、トルク指令非線形補正部18に入力される速度指令が正から負、または負から正に反転する時に、トルク指令非線形補正部18から出力されるトルク指令の符号が不連続に急変する関数を使用すればよい。例えば、階段関数または符号関数を使用するのが好適である。符号関数は、入力される速度指令が正ならば値が1のトルク指令の符号を出力し、入力される速度指令が0ならば値が0のトルク指令の符号を出力し、入力される速度指令が負ならば値が−1のトルク指令の符号を出力する。これによれば、微分器17から出力される速度指令の正負の符号が反転する時に、摩擦力に打ち克つトルクをモータ4が発揮できる。
トルク指令非線形補正部18が使用する非線形関数は、入力される速度指令の正負の符号が反転した場合、出力が不連続に急変するような他の関数であってもよい。また、モータ4のヒステリシス特性(入力の値が同じでも、入力が増加時と減少時では、出力の値が異なる入出力特性)を考慮して、入力される速度指令が負から正に逆転する場合と、正から負に逆転する場合とで異なる関数を使用してもよい。例えば、図3に示すように、入力される速度指令が負から正に逆転する場合には、速度指令が負から増加して0に達し、0よりもわずかに大きくなった場合、トルク指令の符号を−1から1に切り換える階段関数を使用し、入力される速度指令が正から負に逆転する場合には、速度指令が正から減少して0に達し、0よりもわずかに大きくなった場合、トルク指令の符号を1から−1に切り換える階段関数を使用してもよい。
タイミング補正部16は、入力が急峻に立ち上がってもオーバーシュートしないローパスフィルタ(以下、オーバーシュート0フィルタと呼ぶ)であると好ましい。しかもオーバーシュート0フィルタは、低周波領域において、振動低減フィルタ11のフィルタリングに伴う遅延量とほぼ同等の遅延特性を持ち、ひいては振動低減フィルタ11とほぼ同等の低域通過特性を持つものが好ましい。なお、前記低周波領域とは、概ね、前記振動低減フィルタ11のノッチ周波数ω1(ノッチ周波数が複数ある場合は、最も低いノッチ周波数)の1/10以下の周波数領域である。オ―バーシュート0フィルタとしては、一次フィルタ、あるいは減衰係数ζが1の二次フィルタを用いると好ましい。二次のオ―バーシュート0フィルタの伝達関数G2(s)の一例を式(3)に示す。
Figure 0003943061
ここで、ω2は振動数、ζ2は減衰係数であり、オーバーシュート0フィルタを実現するには、典型的にはζ2=1に設定する。b0、b1、b2は係数であり、b0=0、b1=0、b2=1とすればローパス特性が実現できる。すなわち式(4)の伝達関数G2によりローパスフィルタが実現できる。
2(s)=ω2 2/(s2+2ζ2ω1s+ω2 2) (4)
オーバーシュート0フィルタの周波数特性は、振動数ω2を変化させることにより調整することができる。式(4)で伝達関数G2(s)が表されたローパスフィルタを用いる場合は、例えば、ζ2=1に設定し、振動数ω2を変化させて周波数特性を調整する。通常、振動数ω2は、振動低減フィルタ11の振動数ω1の近傍か、ω2>ω1となるように設定する。このように調整することで、第1のフィードフォワード補償部8の微分器12から出力される速度指令の符号が正から負、負から正に反転するタイミングと第2のフィードフォワード補償部9の微分器17から出力される速度指令の符号が正から負、負から正に反転するタイミングをほぼ一致させることができる。従って、トルク指令非線形補正部18の符号関数の出力であるトルク指令の符号が反転するタイミングが適切になる。トルク指令の符号には増幅器19でクーロン摩擦係数に対応した係数Ktx2が乗じられ、第2のトルクフィードフォワード指令としてフィードバック補償部10に供給される。この第2のトルクフィードフォワード指令は、制御対象2に加わるクーロン摩擦力の影響を補正するように働くので制御対象2を高精度に制御することができる。なお、振動低減フィルタ11、オーバシュート0フィルタは、式(1)〜式(4)のように2次のフィルタについて説明したが、一次フィルタや3次以上の高次フィルタであってもかまわない。
上記の通り、タイミング補正部16として使用するオーバーシュート0フィルタが二次フィルタの場合、減衰係数ζ2には1を設定するのが好ましいが、指令生成部7の位置指令の微分値、すなわち速度指令成分が急変しない場合は、式(4)の減衰係数ζ2は、1より小さい値でも前記フィルタの出力がオーバーシュートを起こさない場合が多い。そこで、このような場合は、減衰係数ζ2を0.7〜1の範囲で設定してもよい。
なお、振動数ωの調整方法として、フィードバック補償部10の微分器22の速度計測値あるいはテーブル3の可動部分の位置を直接計測できる装置、例えば、リニアスケールのような装置で計測した位置信号や速度信号を用いて調整してもよい。前記速度計測値や速度信号で調整する場合は、第2のフィードフォワード補償部9の微分器17から出力される速度指令とほぼ同じタイミングで正負の符号が変化するように調整する。これによれば、さらに良好な制御結果が得られる。また、工作機械の精度測定用に用いられるDBB(double ball bar)やグリッドエンコーダのような位置計測装置を用いて、摩擦による位置誤差が小さくなるように調整しても良好な制御結果が得られる。
以下にタイミング補正部16に、オーバーシュート0フィルタを用いる理由を説明する。もし、タイミング補正部16に振動低減フィルタ11と同じ伝達関数を持つ帯域阻止フィルタまたはノッチフィルタを用いると、微分器12から出力される速度指令と微分器17からの速度指令はほぼ同期し、速度指令の正負の符号の反転するタイミングがほぼ一致するが、通常、帯域阻止フィルタまたはノッチフィルタは急峻に変化する信号、例えば、ステップ状の信号が入力されると、フィルタ自身の固有振動数で出力が微小振動する。このため、このようなフィルタに接続された微分器17から出力される速度指令もフィルタの固有振動数で微小振動する。
微分器17から出力される速度指令が微小振動し、しかも、トルク指令非線形補正部18に用いられる非線形関数の非線形領域を往復するような振動であった場合(例えば、符号関数では、非線形領域は0)、トルク指令非線形補正部18は前記微小振動の周波数を持つ矩形波状のトルク信号を出力する。すると、フィードフォワード補償部9の第2のトルクフィードフォワード指令もやはり矩形波状になり、制御対象2に矩形波状に変化するトルクが加わることになる。これにより、制御対象2の機械振動が励起され、良好な制御ができなくなる。オーバーシュート0フィルタを使用すれば、位置指令が急峻な変化を呈しても(高速で位置制御しても)、タイミング補正部16から出力される位置指令が微小振動せず、このため制御対象2の機械振動を減少または防止できる。
以上のように、この実施の形態1によれば、第1のフィードフォワード補償部8は、指令生成部7から出力される位置指令に含まれる制御対象2の振動要因成分を減衰させて第1の位置指令を生成する振動低減フィルタ11を備えるので、第1の位置指令に含まれる振動要因成分が減衰し、制御対象2の機械振動が低減または防止され、高速高精度に制御することが可能となる。第1の位置指令に由来する第1の速度フィードフォワード指令および第1のトルクフィードフォワード指令についても振動要因成分が減衰し、制御対象2の機械振動が低減または防止され、高速高精度に制御することが可能となる。
また、第2のフィードフォワード補償部9は、指令生成部7から出力される位置指令が入力され振動低減フィルタ11によるフィルタリングに伴う遅延量にほぼ等価な遅延量で前記位置指令を遅延したタイミング補正位置指令を出力するタイミング補正部16と、タイミング補正位置指令を微分する微分器17と、微分器17が出力したタイミング補正位置指令の微分結果に非線形関数を適用して第2のトルクフィードフォワード指令を生成するトルク指令非線形補正部18とを備えるので、例えばクーロン摩擦のような非線形な外乱があっても、第2のトルクフィードフォワード指令により制御対象2の非線形な動作の補正が可能である。また、第2のトルクフィードフォワード指令は、振動低減フィルタ11とは別系統の第2のフィードフォワード補償部9で生成されるので、振動低減フィルタ自体の固有振動数の影響を受けずに、制御対象2の非線形な動作の補正を行うことが可能である。
フィードバック補償部10は、このような第1のフィードフォワード補償部8で生成された第1の位置指令、第1の速度フィードフォワード指令、第1のトルクフィードフォワード指令と、第2のフィードフォワード補償部9で生成された第2のトルクフィードフォワード指令と、制御対象2の状態を計測する状態計測部であるエンコーダ5の計測結果に基づいて制御対象2の位置制御あるいは速度制御するので、制御対象の機械振動を低減または防止することができ、例えばクーロン摩擦のような非線形外乱があっても応答遅れの少ない高速高精度な制御ができる。
また、この実施の形態1によれば、第2のフィードフォワード補償部9のタイミング補正部16はオーバーシュートしないフィルタであるため、このサーボ制御装置は、高速位置制御時でもタイミング補正部16自体の固有振動数での微小振動の発生を防止することができ、制御対象2の機械振動をさらに効果的に低減または防止しつつ、非線形な動作の補正をさらに高精度で行うことが可能である。従って、サーボ制御装置全体としてはさらに安定的に高速高精度な制御ができる。
実施の形態2.
図4はこの発明の実施の形態2によるサーボ制御装置を示すブロック図である。図4においては、図1と共通する要素を示すために図1と同一の符号が使用されており、それらの要素の詳細な説明は省略する。図1の実施の形態と異なる点は、実施の形態2のサーボ制御装置が、増幅器30、加算器31、位置指令非線形補正部(駆動指令非線形補正部)33、増幅器34および加減算器(位置誤差算出部)35を有することである。
第1のフィードフォワード補償部8は、増幅器30および加算器31を有する。増幅器30は、第1の位置指令の微分器12による1階微分結果である速度指令にゲインKtx3を乗じて乗算結果を粘性摩擦トルク補正値として出力する。ゲインKtx3は、制御対象2の相対運動要素同士の粘性摩擦係数、具体的にはモータ4内の粘性摩擦とX軸テーブル3の可動部と固定部の間に存在する粘性摩擦を考慮した粘性摩擦係数に対応する。加算器31は、粘性摩擦トルク補正値を第1のトルクフィードフォワード指令に加算し、合計の第1のトルクフィードフォワード指令を出力する。
制御対象2が、粘性摩擦の影響を受ける場合、制御対象2はやはりモータ指令には完全には追従せず位置誤差が発生する。このような非線形な動作あるいは外乱の影響を補正するため、第1のフィードフォワード補償部8の増幅器30および加算器31を用いる。
第2のフィードフォワード補償部9は、位置指令非線形補正部33および増幅器34を有する。位置指令非線形補正部33は、タイミング補正位置指令の微分器17による微分結果である速度指令に非線形関数を適用して位置指令の符号を生成する。増幅器34は位置指令非線形補正部33が出力した位置指令の符号にゲインKpx2を乗じ、乗算結果を制御対象2へのバックラッシュ位置補正のための第2の位置指令として出力する。なお、ゲインKpx2としては制御対象2のモータ4とX軸テーブル3との間の運動伝達機構のバックラッシュに対応する値を設定する。
フィードバック補償部10は加減算器35を有する。加減算器35は、状態計測部であるエンコーダ5の計測結果である位置計測値、第1のフィードフォワード補償部8の振動低減フィルタ11で生成された第1の位置指令、および第2のフィードフォワード補償部9で生成された第2の位置指令に基づいて制御対象2の位置誤差位置誤差を計算する。つまり、加減算器35は、第1の位置指令と第2の位置指令を加算し、加算結果からエンコーダ5の位置計測値を減算することにより位置誤差を計算する。この位置誤差に基づいて、実施の形態1と同様に位置制御部21は位置制御演算(比例演算、積分演算および微分演算を含む)を行い、位置誤差を0にするための所望速度値を算出する。
次に位置指令非線形補正部33および増幅器34の動作をさらに詳しく説明する。制御対象2においては、モータ4とX軸テーブル3との間の運動伝達機構にバックラッシュがある場合には、モータ4が回転を開始しても、X軸テーブル3の可動部の運動が遅延する。つまり、モータ速度が正から負、および負から正に反転する時、バックラッシュのためにX軸テーブル3の動作がモータ回転に直ぐには追従しないことがある。このような非線形な動作あるいは外乱の影響を補正するため、第2のフィードフォワード補償部9の位置指令非線形補正部33を用いる。
位置指令非線形補正部33は微分器17が出力した速度指令に、非線形な動作の補正のための非線形関数を適用して位置指令の符号を生成する。バックラッシュの影響を相殺する目的のためには、位置指令非線形補正部33に入力される速度指令が正から負、または負から正に反転する時に、位置指令非線形補正部33から出力される位置指令の符号が不連続に急変する関数を使用すればよい。例えば、階段関数または符号関数を使用することもできる。符号関数は、入力される速度指令が正ならば値が1の位置指令の符号を出力し、入力される速度指令が0ならば値が0の位置指令の符号を出力し、入力される速度指令が負ならば値が−1の位置指令の符号を出力する。これに前記ゲインKpx2を乗じたものを用いれば、微分器17から出力される速度指令の正負の符号が反転する時に、バックラッシュに相当する角度を急速回転するための位置指令をモータ4が発揮できる。
位置指令非線形補正部33が使用する非線形関数は、入力される速度指令の正負の符号が反転した場合、出力が不連続に急変するような他の関数であってもよい。また、正逆転時の運動伝達機構のバックラッシュのヒステリシス特性を考慮して、入力される速度指令が負から正に逆転する場合と、正から負に逆転する場合とで異なる関数を使用すると好ましい。例えば、図3を参照しながら説明したトルク指令非線形補正部18のバリエーションの動作と同様に、入力される速度指令が負から正に逆転する場合には、速度指令が負から増加して0に達し、0よりもわずかに大きくなった場合、トルク指令の符号を−1から1に切り換える階段関数を使用し、入力される速度指令が正から負に逆転する場合には、速度指令が正から減少して0に達し、0よりもわずかに小さくなった場合、トルク指令の符号を1から−1に切り換える階段関数を使用すると好適である。
この実施の形態2によれば、実施の形態1の効果に加えて、以下の効果が達成される。第1のフィードフォワード補償部8は、第1の位置指令の微分器12による1階微分結果に制御対象2の相対運動要素同士の粘性摩擦係数に対応するゲインを乗じて乗算結果としての粘性摩擦トルク補正値を出力する増幅器30と、粘性摩擦トルク補正値を第1の駆動指令に加算する加算器31をさらに有するので、制御対象2に粘性摩擦によるトルク外乱があっても補正することができる。また、第2のフィードフォワード補償部9は、微分器17によるタイミング補正位置指令の微分結果に非線形関数を適用して制御対象2へのバックラッシュ位置補正のための第2の位置指令を生成する位置指令非線形補正部33をさらに有しており、フィードバック補償部10は、エンコーダ5の計測結果、第1のフィードフォワード補償部8の振動低減フィルタ11で生成された第1の位置指令、および第2のフィードフォワード補償部9で生成された第2の位置指令に基づいて制御対象2の位置誤差を算出する加減算器35と、この位置誤差を低減させる位置制御部21をさらに有するので、制御対象2にバックラッシュがあっても高精度に制御することが可能となる。
実施の形態3.
図5はこの発明の実施の形態3によるサーボ制御装置を示すブロック図である。この実施の形態3のサーボ制御装置1の制御対象42は、物体をそれぞれ異なる方向(X軸方向およびY軸方向)に運動させる複数のモータ4,44を備える。より具体的には、制御対象42は、X軸方向の運動に関するX軸テーブル3、モータ4、エンコーダ5およびモータドライバ6に加えて、Y軸方向の運動に関するY軸テーブル43、モータ44、エンコーダ(状態計測部)45およびモータドライバ46を有する。Y軸テーブル43は位置決めテーブルであり、X軸テーブル3の可動部分に搭載されており、X軸テーブル3とY軸テーブル43でXYテーブルを構成する。図5のY軸テーブル43の可動部分の移動方向(Y軸方向)は紙面に垂直な方向である。X軸テーブル3とY軸テーブル43を駆動することで、二次元の位置決め制御が行える。モータ44はY軸テーブル43を駆動し、エンコーダ45はモータ44の回転角からY軸テーブル43の可動部の位置を計測し、モータドライバ46は入力されたトルク指令Tcyに指定されたトルクをモータ44が発揮するようにモータ44への供給電流を制御する。
これらの複数のモータ4,44を制御するために、サーボ制御装置1はそれぞれのモータ4,44を対応する方向に関して制御する複数の制御系統を備えており、各制御系統が、第1のフィードフォワード補償部8,48と、第2のフィードフォワード補償部9,49と、フィードバック制御部10,50とを備える。図5においては、図1と共通するX軸方向の制御のための要素を示すために図1と同一の符号が使用されており、それらの要素の詳細な説明は省略する。
Y軸制御系統の第1のフィードフォワード補償部48、第2のフィードフォワード補償部49およびフィードバック補償部50はそれぞれ、X軸制御系統の第1のフィードフォワード補償部8、第2のフィードフォワード補償部9およびフィードバック補償部10と同等である。第1のフィードフォワード補償部48の振動低減フィルタ51、微分器52、微分器53、増幅器54および増幅器55はそれぞれ、第1のフィードフォワード補償部8の振動低減フィルタ11、微分器12、微分器13、増幅器14および増幅器15と同様に動作する。また、第2のフィードフォワード補償部49のタイミング補正部56、微分器57、トルク指令非線形補正部(駆動指令非線形補正部)58および増幅器59は、第2のフィードフォワード補償部9のタイミング補正部16、微分器17、トルク指令非線形補正部18および増幅器19と同様に動作する。さらに、フィードバック補償部50の減算器60、位置制御部61、微分器62、加減算器63、速度制御部64および加算器65は、フィードバック補償部10の減算器20、位置制御部21、微分器22、加減算器23、速度制御部24および加算器25と同様に動作する。なお、X軸制御系統で使用するゲインとY軸制御系統で使用するゲインは、添字x,y で区別する(例えば図中の増幅器15,55のゲインKvx1とゲインKvy1)。
図1の指令生成部7に代えて、このサーボ制御装置は、X軸方向とY軸方向の位置指令を出力する指令生成部40を備える。指令生成部40はサンプリング周期ごとに、X軸方向位置指令とY軸方向位置指令を出力する。X軸方向位置指令はX軸制御系統の第1のフィードフォワード補償部8と第2のフィードフォワード補償部9に入力され、Y軸方向位置指令はY軸制御系統の第1のフィードフォワード補償部48と第2のフィードフォワード補償部49に入力される。第1のフィードフォワード補償部48は、Y軸方向位置指令に基づいて、制御対象42の振動要因成分を減衰させて制御対象42を運動させるためのY軸方向の第1の駆動指令(この実施の形態では第1の位置指令、第1の速度フィードフォワード指令および第1のトルクフィードフォワード指令)を生成する。第2のフィードフォワード補償部9は、Y軸方向の位置指令に基づいて、制御対象42の非線形運動を減少させる(つまり非線形運動を補正する)ためのY軸方向の第2の駆動指令(この実施の形態では第2のトルクフィードフォワード指令)を生成する。フィードバック補償部50は、第1のフィードフォワード補償部48が出力した第1の位置指令、第1の速度フィードフォワード指令および第1のトルクフィードフォワード指令と、第2のフィードフォワード補償部49が出力した第2のトルクフィードフォワード指令と、エンコーダ45の計測結果に基づいて、制御対象42のY軸方向の運動を制御するためのモータドライバ46へトルク指令Tcyを生成する。
このようにして、X軸制御系統とY軸制御系統は、X幅のモータ4ひいてはX軸テーブル3、ならびにY軸のモータ44ひいてはY軸テーブル43を駆動するように動作するが、X軸テーブル4とY軸テーブル44の応答特性(時間応答特性および周波数応答特性)を同等に合わせておかないと、XYテーブルに二次元の動作をさせた場合、軌跡誤差が大きいものになってしまう。例えば、X軸とY軸の応答が異なっていると、XYテーブルに円軌道に沿った運動をさせようとしても、結果として得られる軌道は楕円軌道となり、例えばテーブル上の被製造物体の真円度が悪くなる。このため、X軸テーブル4とY軸テーブル44の応答特性を同等に合わせるのが好ましい。
図5のサーボ制御装置1では、テーブルの応答特性に対して振動低減フィルタ11,51が大きな影響を与えるので、振動低減フィルタ11,51のフィルタ特性(時間応答特性および周波数応答特性)を同等に合わせておくことが好ましい。
振動低減フィルタ11,51のフィルタ特性を互いに同等に合わせる方法として、低周波領域における位相遅れ量を同等に調整することが好ましい。低周波領域とは、例えば、前記制御対象の振動要因成分の中でもっとも低い周波数の1/10以下の周波数領域である。あるいは、前記振動要因成分が複数あった場合、振動低減フィルタ11,51で設定する各ノッチ周波数ω1のなかで、もっとも周波数が低いノッチ周波数の1/10以下の周波数領域と考えてもよい。前記低周波領域は、サーボ制御装置で非常に良く使用される周波数領域である。この低周波領域で、振動低減フィルタ11,51のお互いの位相遅れ量の差が±12.6度以下となるように、前記振動低減フィルタ11,51のフィルタ特性を調整する。フィルタ特性の調整には、例えば、帯域阻止フィルタの伝達関数の式1の係数a0、a1、a2およびζ1に対応した振動低減フィルタ11,51の係数を調整する。このようにフィルタ特性を調整することで、例えば、XYテーブルに円軌道に沿った運動をさせた場合に、真円度80%以上の軌道を達成できる。
さらに、振動低減フィルタ11,51のフィルタ特性を同等する簡単な方法として、振動低減フィルタ11,51を同一のフィルタ伝達関数を用いるのが好ましい。例えば、X軸テーブル3の固有振動数ωpxとY軸テーブル43の固有振動数ωpyと異なっていた場合、振動低減フィルタ11,51のフィルタは、各軸について個別に発生する振動数のいずれも低減できる図6に示すようなフィルタ特性を持つものが設定される。振動低減フィルタ11,51の各々は、二つのノッチ周波数(第1のノッチ周波数および第2のノッチ周波数)を有すると仮定する。図6において、ω1xは振動低減フィルタ11,51の第1のノッチ周波数、ω1yは振動低減フィルタ11,51の第2のノッチ周波数、Abxは振動低減フィルタ11,51の第1の減衰振幅比、Abyは振動低減フィルタ11,51の第2の減衰振幅比である。第1のノッチ周波数ω1xは制御対象2のX軸方向の固有振動数ωpxと一致するように設定し、第2のノッチ周波数ω1yは制御対象2のY軸方向の固有振動数ωpyと一致するように設定する。AbxはX軸テーブル3の振動の振幅の大きさに応じて調整し、AbyはY軸テーブルの振動の振幅の大きさに応じて調整する。
なお、前記のように振動低減フィルタ11,51は同一であるのが好ましいが、制御対象2を2次元で駆動した場合の軌道誤差が大きくならない範囲では、フィルタ特性のずれがあってもかまわない。
オーバーシュート0フィルタをタイミング補正部16,56に使用する場合には、これらのフィルタ特性が互いに同等となるように、タイミング補正部16,56で使用する式(4)の変数ζ2,ω2をできるだけ一致させておくのが好ましい。
以上のように、この実施の形態3によれば、物体をそれぞれ異なる方向に運動させる複数のモータ4,44を備えた制御対象42を制御するために、それぞれのモータ4,44を対応する方向に関して制御する複数の制御系統を備えており、各制御系統が、第1のフィードフォワード補償部8または48と、第2のフィードフォワード補償部9または49と、エンコーダ5または45と、フィードバック制御部10または50とを備えるので、XYテーブルのような複数の駆動方向を持つ制御対象42の各駆動方向に例えばクーロン摩擦などの非線形外乱があっても制御対象42の各駆動方向の機械振動を低減または防止することができ、各駆動方向について応答遅れの少ない高速高精度な制御ができる。
また、一方の制御系統の第1のフィードフォワード補償部8の振動低減フィルタ11の前記低周波領域における位相遅れ量と、他方の制御系統の第1のフィードフォワード補償部48の振動低減フィルタ51の前記低周波領域における位相遅れ量との差異を±12.6°以内にし、一方の制御系統の第2のフィードフォワード補償部9のタイミング補正部16のオーバーシュート0フィルタと、他方の制御系統の第2のフィードフォワード補償部49のタイミング補正部56のオーバーシュート0フィルタのフィルタ特性が互いに同等となるようにしたので、二次元形状誤差の少ない高精度な制御が実現できる。
以上、駆動方向がX軸方向とY軸方向である二次元動作を行う制御対象42に使用されるサーボ制御装置1について説明したが、制御系統を増加させることにより三方向以上の駆動方向を有する制御対象にこの発明に係るサーボ制御装置を利用することも可能である。
なお、実施の形態2(図4)をこの実施の形態3に組み合わせることも可能である。すなわち実施の形態2の増幅器30、加算器31、位置指令非線形補正部33、増幅器34および加減算器35を、この実施の形態の各制御系統に設けてもよい。
実施の形態4.
図7はこの発明の実施の形態4によるサーボ制御装置を示すブロック図である。図7においては、図1と共通する要素を示すために図1と同一の符号が使用されており、それらの要素の詳細な説明は省略する。図1の実施の形態と異なる点は、第2のフィードフォワード補償部70の構成である。
第2のフィードフォワード補償部70は、微小振動除去非線形補正部71、トルク指令非線形補正部18および増幅器19を有する。微小振動除去非線形補正部71には、第1のフィードフォワード補償部8の微分器12から出力される速度指令が入力される。微小振動除去非線形補正部71は、微分器12の出力、すなわち振動低減フィルタ11で生成される第1の位置指令の微分結果である速度指令に対して、トルク指令非線形補正部18の非線形領域近傍の微小振動を除去する処理を行う。トルク指令非線形補正部18は、微小振動除去非線形補正部71の処理結果に対して非線形関数(例えば符号関数やヒステリシス関数)を適用してトルク指令の符号を生成する。増幅器19はトルク指令非線形補正部18が出力したトルク指令の符号にゲインKtx2を乗じ、乗算結果を第2のトルクフィードフォワード指令として出力する。なお、ゲインKtx2としては制御対象2のクーロン摩擦係数に対応する値を設定する。
この構成により第2のフィードフォワード補償部70は、制御対象2の非線形運動を補正するための第2の駆動指令(この実施の形態では第2のトルクフィードフォワード指令)を生成する。換言すれば、第2のフィードフォワード補償部70は、予測されるクーロン摩擦のような非線形な外乱の影響を最小限にするための指令を生成する。
次に第2のフィードフォワード補償部70の動作をさらに詳しく説明する。図8は、微小振動除去非線形補正部71の入力出力特性つまり実行する関数を示すグラフである。この関数は階段関数であり、入力される速度指令が0付近の一定範囲(以下、不感帯と呼ぶ)にある場合には0を出力する。不感帯以上の入力があった場合、微小振動除去非線形補正部71は1を出力し、不感帯以下の入力があった場合、微小振動除去非線形補正部71は−1を出力する。図示例のように、正の入力についての不感帯の範囲と負の入力についての不感帯の範囲とが同等であると好ましいが、これに限定されず、両者の範囲がわずかに異なっていてもよい。
実施の形態1に関連して説明したように、通常、帯域阻止フィルタまたはノッチフィルタは急峻に変化する信号、例えば、ステップ状の信号が入力されると、フィルタ自身の固有振動数で出力が微小振動する。このため振動低減フィルタ11の後段の微分器12から出力される速度指令も振動低減フィルタ11の固有振動数で微小振動する。微分器12から出力される速度指令がトルク非線形補正部18の非線形領域近傍で微小振動した場合、微分器12の出力をトルク指令非線形補正部18に入力したのではトルク指令非線形補正部18は微小振動の周波数を持つ矩形波のトルク信号の符号を出力する。
微小振動除去非線形補正部71は、不感帯を有しており、このような小さい振幅の振動が入力されても0を出力するので、このような小さい振幅の振動を除去するように働く。従って、微小振動除去非線形補正部71の不感帯は、微分器12から与えられる速度指令の微小振動の振幅より大きい範囲を持つように設定する。微小振動除去非線形補正部71が出力した処理結果に対しては、トルク指令非線形補正部18および増幅器19では実施の形態1と同等な処理がなされ、これにより第2のトルクフォードフォワード指令が生成され出力される。
なお、微小振動除去非線形補正部71の処理が、トルク指令非線形補正部18の処理を包含する場合(例えば、トルク指令非線形補正部18が符号関数である場合)は、トルク指令非線形補正部18を削除し、微小振動除去非線形補正部71の出力を前記増幅器19に入力してもよい。
以上のように、この実施の形態4によれば、実施の形態1と同様に、第1のフィードフォワード補償部8は、指令生成部7から出力される位置指令に含まれる制御対象2の振動要因成分を減衰させて第1の位置指令を生成する振動低減フィルタ11を備えるので、第1の位置指令に含まれる振動要因成分が減衰し、制御対象2の機械振動が低減または防止され、高速高精度に制御することが可能となる。第1の位置指令に由来する第1の速度フィードフォワード指令および第1のトルクフィードフォワード指令についても振動要因成分が減衰し、制御対象2の機械振動が低減または防止され、高速高精度に制御することが可能となる。
また、第2のフィードフォワード補償部70は、第1のフィードフォワード補償部8の振動低減フィルタ11で生成される第1の位置指令の微分結果に対して、トルク指令非線形補正部18の非線形領域近傍の微小振動を除去処理を行う微小振動除去非線形補正部71と、非線形関数を有するトルク指令非線形補正部18により第2のトルクフィードフォワード指令を生成するようにしたので、例えばクーロン摩擦のような非線形な外乱があっても、第2のトルクフィードフォワード指令により制御対象2の非線形な動作の補正が可能である。第2のトルクフィードフォワード指令は、振動低減フィルタ11とは別系統の第2のフィードフォワード補償部9で生成されるので、振動低減フィルタ11自体の固有振動数の影響を受けずに、制御対象2の機械振動を低減または防止しつつ、非線形な動作の補正を高精度で行うことが可能である。
フィードバック補償部10は、このような第1のフィードフォワード補償部8で生成された第1の位置指令、第1の速度フィードフォワード指令、第1のトルクフィードフォワード指令と、第2のフィードフォワード補償部9で生成された第2のトルクフィードフォワード指令と、制御対象2の状態を計測する状態計測部であるエンコーダ5の計測結果に基づいて制御対象2の位置制御あるいは速度制御するので、制御対象の機械振動を低減または防止することができ、例えばクーロン摩擦のような非線形外乱があっても応答遅れの少ない高速高精度な制御ができる。
実施の形態5.
図9はこの発明の実施の形態5によるサーボ制御装置を示すブロック図である。図9に示すサーボ制御装置は、実施の形態3(図5)の二次元サーボ制御装置の変形例であり、具体的には実施の形態4の微小振動除去非線形補正部を実施の形態3のタイミング補正部16,56と微分器17,57の代わりに使用し、微小振動除去非線形補正部への入力は微分器12,52から行うものである。
図9においては、図5と共通する要素を示すために図5と同一の符号が使用されており、それらの要素の詳細な説明は省略する。図5の実施の形態と異なる点は、第2のフィードフォワード補償部70,80の構成である。従って、このサーボ制御装置1は、X軸方向またはY軸方向の各制御系統が、第1のフィードフォワード補償部8,48と、第2のフィードフォワード補償部70,80と、フィードバック制御部10,50とを備える。図9の第2のフィードフォワード補償部70はX軸方向の制御を行い、図7の第2のフィードフォワード補償部70と同等の構成を有し同等の動作を行う。
Y軸制御系統の第2のフィードフォワード補償部80は、X軸制御系統の第2のフィードフォワード補償部70と同等である。第2のフィードフォワード補償部80の微小振動除去非線形補正部81、トルク指令非線形補正部58および増幅器59は、第2のフィードフォワード補償部70の微小振動除去非線形補正部71、トルク指令非線形補正部18および増幅器19と同様に動作する。従って、第2のフィードフォワード補償部80は、第1のフィードフォワード補償部48の微分器52が出力したY軸方向の速度指令に基づいて、制御対象42の非線形運動を減少させる(つまり非線形運動を補正する)ためのY軸方向の第2の駆動指令(この実施の形態では第2のトルクフィードフォワード指令)を生成する。
実施の形態3と同様に、図9のサーボ制御装置1でも、テーブルの応答特性に対して振動低減フィルタ11,51が大きな影響を与えるので、振動低減フィルタ11,51のフィルタ特性(時間応答特性および周波数応答特性)を同等に合わせておくことが好ましい。少なくとも低周波領域で振動低減フィルタ11,51のお互いの位相遅れ量の差が±12.6度以下となるように、前記振動低減フィルタ11,51のフィルタ特性を調整する。
以上のように、この実施の形態5によれば、物体をそれぞれ異なる方向に運動させる複数のモータ4,44を備えた制御対象42を制御するために、それぞれのモータ4,44を対応する方向に関して制御する複数の制御系統を備えており、各制御系統が、第1のフィードフォワード補償部8または48と、第2のフィードフォワード補償部70または80と、エンコーダ5または45と、フィードバック制御部10または50とを備えるので、XYテーブルのような複数の駆動方向を持つ制御対象42の各駆動方向に例えばクーロン摩擦などの非線形外乱があっても制御対象42の各駆動方向の機械振動を低減または防止することができ、各駆動方向について応答遅れの少ない高速高精度な制御ができる。
また、一方の制御系統の第1のフィードフォワード補償部8の振動低減フィルタ11の低周波領域における位相遅れ量が、他方の制御系統の第1のフィードフォワード補償部48の振動低減フィルタ51の低周波領域における位相遅れ量に対する差異が±12.6度以下にしたので、二次元形状誤差の少ない高精度な制御が実現できる。
以上、駆動方向がX軸方向とY軸方向である二次元動作を行う制御対象42に使用されるサーボ制御装置1について説明したが、制御系統を増加させることにより三方向以上の駆動方向を有する制御対象にこの発明に係るサーボ制御装置を利用することも可能である。
実施の形態1〜5では、モータドライバ6,46にトルク指令が入力されるようになっており、これに対応して各補償部はトルクフィードフォワード指令を生成する。しかし、トルク指令に限らず、モータドライバ6,46にはモータ4,44への供給電流を示す電流指令が駆動指令として入力されるようになっていてもよい。このような場合には、第1のフィードフォワード補償部は第1の駆動指令として第1のトルクフィードフォワード指令に代えて第1の電流フィードフォワード指令を生成し、第2のフィードフォワード補償部は第2の駆動指令として第2のトルクフィードフォワード指令に代えて第2の電流フィードフォワード指令を生成してもよい。また、トルク指令が加速度指令という名称であったとしても、加速度指令を使用する形態がこの発明の範囲に包摂されることはいうまでもない。
また、実施の形態1〜5では、第1の位置指令、第1の速度フィードフォワード指令および第1のトルクフィードフォワード指令が、第1の駆動指令としてフィードバック補償部10,50に入力されて、フィードバック補償に供されるようになっているが、この発明を実施の形態に限定する意図ではなく、例えば次のような形態もこの発明の範囲に包摂される。
第1のフィードフォワード補償部8,48から第1の位置指令のみが第1の駆動指令としてフィードバック補償部10,50に入力されて、フィードバック補償に供される形態。この形態では、微分器12,13,52,53、増幅器14,15,54,55は不要である。
第1のフィードフォワード補償部8,48から第1の位置指令と第1の速度フィードフォワード指令のみが第1の駆動指令としてフィードバック補償部10,50に入力されて、フィードバック補償に供される形態。この形態では、微分器12,53、増幅器15,55は不要である。
また、実施の形態1〜3では、位置指令に基づいてタイミング補正部16が生成したタイミング補正位置指令を微分器17が微分することによりタイミング補正位置指令を生成するが、位置指令を微分した結果をタイミング補正部で処理してタイミング補正位置指令を生成してもよい。
さらには、実施の形態1〜3では、タイミング補正部16,56の出力を微分器17,57が1階微分することにより生成した速度指令にトルク指令非線形補正部18,58が非線形関数を適用して第2のトルクフィードフォワード指令を生成するが、第2のフィードフォワード補償部9で生成される第2の駆動指令をこのような第2のトルクフィードフォワード指令に限定する意図ではない。例えば次のような形態もこの発明の範囲に包摂される。
タイミング補正部16の出力結果(タイミング補正位置指令)に上記と類似の非線形関数を適用して速度指令を生成し、この速度指令にゲインを乗算することにより第2の速度フィードフォワード指令を生成し、この第2の速度フィードフォワード指令を加減算器23,63に供給する形態。この形態では、加減算器23,63が所望速度と速度計測値の差に第1の速度フィードフォワード指令とこのように生成された第2のフィードフォワード指令を加算する。
タイミング補正部16,56の2階微分結果(加速度指令)に上記と類似の非線形関数を適用してトルク指令の符号を生成し、このトルク指令の符号にゲインを乗算することにより第2のトルクフィードフォワード指令を生成し、この第2のトルクフィードフォワード指令を加算器25,65に供給する形態。この形態では、加算器25,65が所望トルクと第1のトルクフィードフォワード指令とこのように生成された第2のトルクフィードフォワード指令を加算することになる。
図4の実施の形態2の変形として、トルク指令非線形補正部18および増幅器19を設けずに第2のトルクフィードフォワード指令を生成せず、位置指令非線形補正部33および増幅器34により生成されたバックラッシュ位置補正のための第2の位置指令のみを第2の駆動指令としてフィードバック補償部10,50に供給する形態。
また、実施の形態1〜5ではモータを最終的に制御するが、モータに限らずリニアアクチュエータを制御する形態もこの発明の範囲に包摂される。
また、実施の形態1〜5を等価変換して得られる形態もこの発明の範囲に包摂される。
この発明の実施の形態1によるサーボ制御装置を示す図である。 図1のサーボ制御装置で使用される振動低減フィルタの周波数特性を示すグラフである。 図1の駆動指令非線形補正部のバリエーションで使用される非線形関数の例を示すグラフである。 この発明の実施の形態2によるサーボ制御装置を示すブロック図である。 この発明の実施の形態3によるサーボ制御装置を示すブロック図である。 図5のサーボ制御装置で使用される振動低減フィルタについて設定される可能性のある周波数特性を示すグラフである。 この発明の実施の形態4によるサーボ制御装置を示すブロック図である。 図7のサーボ制御装置で使用される微小振動除去非線形補正部の入力出力特性つまり実行する関数を示すグラフである。 この発明の実施の形態5によるサーボ制御装置を示すブロック図である。
符号の説明
1 サーボ制御装置、2,42 制御対象、3 X軸テーブル、4,44 モータ(駆動器)、5,45 エンコーダ(状態計測部)、6,46 モータドライバ、7,40 指令生成部、8,48 第1のフィードフォワード補償部、9,49,70,80 第2のフィードフォワード補償部、10,50 フィードバック補償部、11,51 振動低減フィルタ、12,13,52,53 微分器(微分演算部)、14,15,19,30,34,54,55,59 増幅器、20,60 減算器、16,56 タイミング補正部、17,22,57,62 微分器、18,58 トルク指令非線形補正部(駆動指令非線形補正部)、21,61 位置制御部、23,63 加減算器(速度誤差算出部)、24,64 速度制御部、25,31,65 加算器、33 位置指令非線形補正部(駆動指令非線形補正部)、35 加減算器(位置誤差算出部)、43 Y軸テーブル、71,81 微小振動除去非線形補正部。

Claims (4)

  1. 制御対象への位置指令を生成する指令生成部と、
    前記指令生成部で生成される位置指令に基づいて、前記制御対象の振動要因成分を減衰させて前記制御対象を運動させるための第1の駆動指令を生成する第1のフィードフォワード補償部と、
    前記指令生成部で生成される位置指令に基づいて、前記制御対象の非線形運動を補正するための第2の駆動指令を生成する第2のフィードフォワード補償部と、
    前記制御対象の状態を計測する状態計測部と、
    前記第1の駆動指令と、前記第2の駆動指令と、前記状態計測部の計測結果に基づいて、前記制御対象の運動を制御するフィードバック制御部とを備え、
    前記第1のフィードフォワード補償部は、前記指令生成部から出力される位置指令に含まれる制御対象の振動要因成分を減衰させて前記第1の駆動指令として第1の位置指令を生成する帯域阻止フィルタまたはノッチフィルタにより構成された振動低減フィルタを備え、
    前記第2のフィードフォワード補償部は、
    前記指令生成部から出力される前記位置指令または前記位置指令の処理結果に階段関数または符号関数による非線形関数を適用して前記第2の駆動指令を生成する駆動指令非線形補正部と、
    前記第1のフィードフォワード補償部の前記振動低減フィルタのフィルタリングの遅延量に等価な遅延量及び前記振動低減フィルタと等価な低域通過特性を持ち、前記駆動指令非線形補正部の非線形補正のタイミングを調整するタイミング補正部とを備えたサーボ制御装置。
  2. 第2のフィードフォワード補償部のタイミング補正部は、オーバーシュートしないフィルタであることを特徴とする請求項1記載のサーボ制御装置。
  3. 制御対象への位置指令を生成する指令生成部と、
    前記指令生成部で生成される位置指令に基づいて、前記制御対象の振動要因成分を減衰させて前記制御対象を運動させるための第1の駆動指令を生成する第1のフィードフォワード補償部と、
    前記制御対象の非線形運動を補正するための第2の駆動指令を生成する第2のフィードフォワード補償部と、
    前記制御対象の状態を計測する状態計測部と、
    前記第1の駆動指令と、前記第2の駆動指令と、前記状態計測部の計測結果に基づいて、前記制御対象の運動を制御するフィードバック制御部とを備え、
    前記第1のフィードフォワード補償部は、前記指令生成部から出力される位置指令に含まれる制御対象の振動要因成分を減衰させて前記第1の駆動指令として第1の位置指令を生成する帯域阻止フィルタまたはノッチフィルタにより構成された振動低減フィルタを備え、
    前記第2のフィードフォワード補償部は、前記振動低減フィルタの出力または前記振動低減フィルタの出力の処理結果に対して、微小振動成分を除去する処理を行う符号関数による非線形関数を適用して前記第2の駆動指令を生成する微小振動除去非線形補正部を備えたサーボ制御装置。
  4. 物体をそれぞれ異なる方向に運動させる複数の駆動器を備えた制御対象を制御するために、それぞれの駆動器を対応する方向に関して制御する複数の制御系統を備えており、各制御系統が、第1のフィードフォワード補償部と、第2のフィードフォワード補償部と、状態計測部と、フィードバック制御部とを備え、
    一方の制御系統の第1のフィードフォワード補償部の振動低減フィルタの低周波領域における位相遅れ量と、他方の制御系統の第1のフィードフォワード補償部の振動低減フィルタの低周波領域における位相遅れ量との差異が±12.6°以内であることを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載のサーボ制御装置。
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