JP2017096626A - 標識された糖鎖試料の調製方法 - Google Patents

標識された糖鎖試料の調製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 糖鎖を捕捉するための官能基を有するポリマー粒子を利用した標識された糖鎖試料の調製方法において、シアル酸の脱離を抑制することを目的とする。【解決手段】 糖鎖を捕捉するための官能基を有するポリマー粒子を利用した標識された糖鎖試料の調製方法において、糖鎖を当該ポリマー粒子に捕捉する工程、糖鎖を捕捉したポリマー粒子から糖鎖を遊離させる工程、および遊離させた糖鎖を標識する工程の各工程における反応条件を低温化することなどにより、標識された糖鎖試料を調製する際のシアル酸の脱離が効果的に抑制されることを見出した。【選択図】 なし

Description

本発明は、低温化された反応条件による標識された糖鎖試料の調製方法、および該方法により調製された糖鎖の分析方法に関する。
糖鎖、糖タンパク、糖ペプチド、ペプチド、オリゴペプチド、タンパク質、核酸、脂質などといった生体高分子は、医学、細胞工学、臓器工学などのバイオテクノロジー分野において重要な役割を担っており、これら物質による生体反応の制御機構を明らかにすることはバイオテクノロジー分野の発展に繋がることになる。
糖鎖は、グルコース、ガラクトース、マンノース、フコース、キシロース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、シアル酸などの単糖およびこれらの誘導体がグリコシド結合によって鎖状に結合した分子の総称である。生体高分子の中でも、糖鎖は、非常に多様性に富んでおり、天然に存在する生物が有する様々な機能、例えば、細胞間情報伝達や、タンパク質の機能や相互作用の調整などに深く関わっていることが明らかになりつつある。
糖鎖は生体内でタンパク質や脂質などに結合した複合糖質として存在することが多い。糖鎖を有する生体高分子としては、例えば、細胞の安定化に寄与する植物細胞の細胞壁のプロテオグリカン、細胞の分化、増殖、接着、移動などに影響を与える糖脂質、および細胞間相互作用や細胞認識に関与している糖タンパク質などが挙げられる。これらの生体高分子に含まれる糖鎖が、この生体高分子と互いに機能を代行、補助、増幅、調節、あるいは阻害しあいながら高度で精密な生体反応を制御する機構が次第に明らかにされつつある。このような糖鎖と細胞の分化増殖、細胞接着、免疫、および細胞の癌化との関係が明確にされれば、この糖鎖工学と、医学、細胞工学、あるいは臓器工学とを密接に関連させて新たな展開を図ることが期待できる。
糖タンパク質医薬品では、その糖鎖が生物活性発現などに重要な役割を担っている場合が多い。したがって、糖タンパク質医薬品の品質管理のパラメーターとして、糖鎖の評価はきわめて重要である。特に抗体医薬品については、その糖鎖構造が抗体依存性細胞傷害活性(ADCC活性)を左右するとの報告がされており、糖鎖構造解析の重要性が高まっている。
このため、近年、糖鎖構造を迅速、簡便、かつ精度高く解析する方法が求められるようになり、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)、核磁気共鳴法、キャピラリー電気泳動法(CE法)、質量分析法、レクチンアレイ法などの多種多様の方法により糖鎖解析が行われている。
これら種々の手法を用いて糖鎖を解析するためには、あらかじめ生体試料中に含まれるタンパク質、ペプチド、脂質、核酸などと糖鎖を分離・精製することが必要である。これら糖鎖の精製や標識化は時間と工数がかかり、一度に多種多量の試料を調製するのは困難を要する。
この問題を解決する技術として、ヒドラジド基やアミノオキシ基などの糖鎖を捕捉するための官能基を有するポリマー粒子を利用した糖鎖試料の調製方法が報告されている(特許文献1)。
国際公開第2008/018170号
上記の糖鎖を捕捉するための官能基を有するポリマー粒子を利用した糖鎖試料の調製方法において、特に、末端にシアル酸を有する糖鎖(シアロ糖鎖)を含む標識された糖鎖試料を調製しようとする場合、糖鎖からのシアル酸の脱離が生じ易い。そこで、本発明は、糖鎖を捕捉するための官能基を有するポリマー粒子を利用した標識された糖鎖試料の調製方法において、シアル酸の脱離を抑制することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、糖鎖を捕捉するための官能基を有するポリマー粒子を利用した標識された糖鎖試料の調製方法において、糖鎖を当該ポリマー粒子に捕捉する工程、糖鎖を捕捉したポリマー粒子から糖鎖を遊離させる工程、および遊離させた糖鎖を標識する工程の各工程における反応条件を低温化することなどにより、標識された糖鎖試料を調製する際のシアル酸の脱離が効果的に抑制されることを見出した。
すなわち、本発明は、低温化された反応条件による標識された糖鎖試料の調製方法、および該方法により調製された糖鎖の分析方法に関し、より詳しくは、以下の発明を提供するものである。
[1]標識された糖鎖試料の調製方法であって、
(a)糖鎖を含む試料を、糖鎖を捕捉するための官能基を有するポリマー粒子に接触させ、当該糖鎖を当該ポリマー粒子に捕捉する工程、
(b)糖鎖を捕捉したポリマー粒子を洗浄する工程、
(c)糖鎖を捕捉したポリマー粒子から糖鎖を遊離させる工程、
(d)遊離させた糖鎖を標識する工程、
を含み、工程(a)、(c)、および(d)の少なくとも1の工程の反応を、0〜60℃で10秒〜24時間の条件で行う方法。
[2]工程(a)、(c)、および(d)の少なくとも1の工程の反応を、0〜40℃で1分〜16時間の条件で行う、[1]に記載の方法。
[3]工程(a)、(c)、および(d)の反応を、酸を含む溶媒中で行う、[1]または[2]に記載の方法。
[4]ポリマー粒子における糖鎖を捕捉するための官能基がヒドラジド基である、[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5]ポリマー粒子が下記(式1)で表される架橋型ポリマー構造を有するものである、[4]に記載の方法。
(R1,R2は−O−,−S−,−NH−,−CO−,−CONH−で中断されてもよい炭素数1〜20の炭化水素鎖,R3,R4,R5はH,CH3,または炭素数2〜5の炭化水素鎖を示す。m,nはモノマーユニット数を示す。)
[6]ポリマー粒子が下記(式2)で表される架橋型ポリマー構造を有するものである、[4]に記載の方法。
(m,nはモノマーユニット数を示す。)
[7]標識が2−アミノベンズアミドである、[1]〜[6]のいずれかに記載の方法。
[8]試料中の糖鎖の分析方法であって、[1]〜[7]のいずれかに記載の方法により標識された糖鎖を調製する工程、および調製した標識された糖鎖を分析する工程を含む方法。
本発明により、糖鎖を捕捉するための官能基を有するポリマー粒子を利用して、標識された糖鎖試料を調製する際に、シアル酸の脱離を効果的に抑制することが可能となった。
BlotGlyco(住友ベークライト株式会社製)を利用して、ウシ血清由来Fetuinから各反応条件(実施例1、2、比較例1)で標識された糖鎖試料を調製し、HPLCに供した。HPLCチャートから、中性糖鎖に由来するピークの面積(neutral)、シアル酸を1つ持つ糖鎖に由来するピークの面積(1NA)、シアル酸を2つ持つ糖鎖に由来するピークの面積(2NA)、シアル酸を3つ持つ糖鎖に由来するピークの面積(3NA)、およびシアル酸を4つ持つ糖鎖に由来するピークの面積(4NA)を算出し、各反応条件毎に棒グラフで示した。
本発明は、低温化された反応条件による標識された糖鎖試料の調製方法、および試料中の糖鎖の分析方法を提供する。
本発明の方法においては、まず、糖鎖を含む試料を、糖鎖を捕捉するための官能基を有するポリマー粒子に接触させ、当該糖鎖を当該ポリマー粒子に捕捉する(工程(a))。
本発明における「糖鎖を含む試料」は、例えば、生体試料から調製することができる。生体試料としては、例えば全血、血清、血漿、尿、唾液、細胞、組織、ウイルス、植物組織などが挙げられる。また、本発明においては、精製された、あるいは未精製の糖タンパク質を用いることができる。試料は脱脂、脱塩、タンパク質分画、熱変性などの方法により前処理されていてもよい。
糖鎖遊離手段を用いて上記生体試料に含まれる糖鎖を含む分子(例えば、糖タンパク質)から糖鎖を遊離させることができる。糖鎖遊離手段としては、N−グリコシダーゼあるいはO−グリコシダーゼを用いたグリコシダーゼ処理、ヒドラジン分解、アルカリ処理によるβ脱離などの方法を用いることができる。N型糖鎖の分析を行う場合は、N−グリコシダーゼを用いる方法が好ましい。なお、グリコシダーゼ処理に先立って、トリプシンやキモトリプシンなどを用いてプロテアーゼ処理を行ってもよいが、プロテアーゼ失活処理においては試料を高温にさらす必要があり、シアル酸が脱離する可能性があるため、注意が必要である。
こうして調製した試料を、糖鎖を捕捉するための官能基を有するポリマー粒子に接触させることにより、糖鎖を当該ポリマー粒子に捕捉することができる。糖鎖は生体内物質のなかで唯一、アルデヒド基をもつ物質である。糖鎖は水溶液などの状態で環状のヘミアセタール型と、非環状型のアルデヒド型とが平衡で存在する。タンパク質や核酸、脂質など糖鎖以外の生体内物質にはアルデヒド基が含まれていない。このことから、アルデヒド基と特異的に反応して安定な結合を形成するヒドラジド基やアミノオキシ基を有するポリマー粒子を利用すれば、糖鎖のみを選択的に捕捉することが可能である。
「ポリマー粒子」としては、固体粒子やゲル粒子を好適に用いることができる。このようなポリマー粒子を用いれば、ポリマー粒子に糖鎖を捕捉させたのち、遠心分離やろ過などの手段によって、当該ポリマー粒子を容易に回収することができる。また、ポリマー粒子をカラムに充填して用いることも可能である。カラムに充填して用いる方法は、特に連続操作化の観点から重要となる。反応容器としてフィルタープレート(例えば、Millipore社製のMultiScreen Solvinert Filter Plate)を用いることにより、複数のサンプルを同時に処理することが可能となり、例えば、ゲルろ過に代表されるカラム操作による従来の精製手段と比較して、精製のスループットが大幅に向上される。また、当該ポリマー粒子として磁性体ビーズを用いれば、磁力を使って容器壁面などにビーズを集積できるため、ビーズの洗浄を容易に行うことができる。
ポリマー粒子の形状は特に限定しないが、球状またはそれに類する形状が好ましい。ポリマー粒子が球状の場合、平均粒径は好ましくは0.05〜1000μmであり、より好ましくは0.05〜200μmであり、さらに好ましくは0.1〜200μmであり、最も好ましくは0.1〜100μmである。平均粒径が下限値未満では、ポリマー粒子をカラムに充填して用いる際、通液性が悪くなるために大きな圧力を加える必要がある。また、ポリマー粒子を遠心分離やろ過で回収することも困難となる。平均粒径が上限値を超えると、ポリマー粒子と試料溶液の接触面積が少なくなり、糖鎖捕捉の効率が低下する。
ポリマー粒子における「糖鎖を捕捉するための官能基」としては、ヒドラジド基またはアミノオキシ基が好ましい。これら官能基は、糖鎖のアルデヒド基と反応して、ヒドラジド結合またはオキシム結合により糖鎖を捕捉することができる。本発明においては、ヒドラジド基が特に好ましい。
ヒドラジド基を有するポリマー粒子としては、下記(式1)で表される構造を有する架橋型ポリマー粒子が好ましい。
(R1,R2は−O−,−S−,−NH−,−CO−,−CONH−で中断されてもよい炭素数1〜20の炭化水素鎖,R3,R4,R5はH,CH3,または炭素数2〜5の炭化水素鎖を示す。m,nはモノマーユニット数を示す。)
架橋型ポリマー粒子としては、下記(式2)で表される構造を有する架橋型ポリマー粒子が特に好ましい。
(m,nはモノマーユニット数を示す。)
上記の構造を有するポリマー粒子を調製する方法は、例えば、国際公開第2008/018170号公報に記載されている。上記の構造を有するポリマー粒子の製品としては、ヒドラジド基含有ポリマー粒子である「BlotGlyco(R)」(住友ベークライト株式会社製、#BS−45603)を好適に用いることができる。
糖鎖を捕捉する際に用いるポリマー粒子の量は、好ましくは0.1mg〜100mgであり、より好ましくは0.1mg〜10mgである。反応系を小さくすることで、反応時間を短縮することが可能となるため、少量の試料に対しては、0.1mg〜5mgにするのがさらに好ましい。
糖鎖を捕捉する際の溶媒としては、例えば、酸と有機溶媒の混合溶媒を用いることができる。使用する酸としては、特に制限されるものではないが、例えば、酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸、塩酸、クエン酸、リン酸、硫酸が好ましく、より好ましくは酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸、リン酸、さらに好ましくは酢酸、トリフルオロ酢酸が好適に用いられる。有機溶剤としては糖と前記の酸を溶解するものであれば制限はないが、捕捉時に乾固すると捕捉効率が上昇することが多いため、アセトニトリルなど比較的低沸点の有機溶媒が好適に用いられる。酸と有機溶媒の混合比率は、好ましくは0.1:99.9〜10:90、より好ましくは0.5:99.5〜5:95、最も好ましくは1:99〜5:95である。
本発明における糖鎖捕捉時の反応系としては、上記有機溶媒系以外に、水系を用いることもできる。この場合、反応系のpHは、好ましくは2〜9、より好ましくは2〜7であり、さらに好ましくは2〜6である。pH調整のためには、各種緩衝液を用いることができる。
本発明においては、糖鎖捕捉時の反応温度を、0〜60℃とし、反応時間を、10秒〜24時間とすることを特徴とする。反応温度は、好ましくは0〜40℃であり、反応時間は、好ましくは1分〜16時間である。
反応は、糖鎖を遊離させる反応を効率よく行う観点から、開放系で行って溶媒を完全に蒸発させることが好ましい。蒸発を促すために、熱をかけるあるいは真空引きするのが有効である。これにより乾固が促進し、反応時間の短縮が期待される。用いる溶液量は、1μL〜1mLが好ましく、より好ましくは1μL〜500μLである。反応系が小さいほど溶媒の蒸発が速いため、反応系を小さくすることによっても反応時間の短縮が期待される。よって、反応時間を短くする必要がある場合は、用いる溶液量を1μL〜100μL(例えば、1μL〜50μL)にするのがさらに好ましい。
本発明の方法においては、次いで、糖鎖を捕捉したポリマー粒子を洗浄する(工程(b))。
糖鎖を捕捉したポリマー粒子の洗浄により、ポリマー粒子に捕捉された物質のうち糖鎖以外の物質(非特異的に吸着した物質)を除去することができる。
糖鎖以外の物質を除去する方法としては、疎水結合を解離する能力のあるカオトロピック試薬であるグアニジン水溶液で洗浄する方法、界面活性剤水溶液で洗浄する方法、純水や水溶性緩衝液(例えばリン酸緩衝液、トリス緩衝液など)で洗浄する方法を用いることができる。洗浄工程における洗浄条件としては、温度が4〜40℃、洗浄時間が10秒〜30分である。洗浄方法としては、ポリマー粒子は、洗浄液に浸漬し、洗浄液の交換を繰り返すことで洗浄することができる。
具体的には、遠沈管やチューブにポリマー粒子を入れ、洗浄液を加え、振とうの後、遠心操作によりポリマー粒子を沈殿させて、上清を除去する操作を繰り返すことにより洗浄する。例えば、遠心チューブ内にポリマー粒子を入れ、洗浄液を加え、ポリマー粒子を自然沈降、または、遠心分離により強制的に沈降させた後、上清を除去する操作を繰り返すことで洗浄することができる。前記洗浄操作は3〜6回行うことが好ましい。磁性ビーズを用いる場合には、遠心操作は不要であり、簡便である。
また、チューブ状の容器であって、底面部に、液体透過可能で該ポリマー粒子が不透過な孔径を有するフィルターを装着するフィルターチューブを用いることも可能である。該フィルターチューブにポリマー粒子を入れて使用することで、洗浄に要した洗浄液を、フィルターを介して除去することが可能となり、前記の遠心操作後の上清除去の工程が必要なくなり、作業性の向上を図ることができる。
また、6〜384穴のマルチウェルプレートの底部が前記フィルターを装着したものが各種市販されており、これらのプレートを用いることでハイスループット化することが可能である。特に96穴マルチウェルプレートは、溶液分注機器、吸引除去システム、およびプレートの搬送システムなどが開発されており、ハイスループット化に最適である。
ポリマー粒子を充填させたカラムを利用して糖鎖捕捉反応を行った場合には、洗浄処理は、カラムに洗浄溶液を通すことにより、糖鎖捕捉反応から連続的に処理してもよい。また、マルチプレートを用いた場合には、ろ過操作あるいは遠心操作により糖鎖を捕捉したポリマー粒子以外の物質を除去してもよい。
なお、ポリマー粒子上の余剰官能基は、例えば、無水酢酸などを利用してキャッピングすることができる。
本発明の方法においては、次いで、糖鎖を捕捉したポリマー粒子から糖鎖を遊離させる(工程(c))。
ポリマー粒子から糖鎖を切り離すためには、酸処理を行うことが好ましい。本反応には水が必要であり、水の含有率は好ましくは0.1%〜99.9%、より好ましくは1%〜99%、さらに好ましくは5%〜98%である。また、酸と水と有機溶媒の混合溶媒を用いることもできる。さらに、水性緩衝液を含有してもよい。緩衝液の濃度は好ましくは0.1mM〜1M、より好ましくは0.1mM〜500mM、さらに好ましくは1mM〜100mMである。反応溶液のpHは、好ましくは2〜9、より好ましくは2〜7であり、さらに好ましくは2〜6である。使用する酸としては、特に制限されるものではないが、例えば、酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸、塩酸、クエン酸、リン酸、硫酸が好ましく、より好ましくは酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸、リン酸、さらに好ましくは酢酸、トリフルオロ酢酸が好適に用いられる。有機溶剤としては糖と前記の酸を溶解するものであれば制限はないが、捕捉時に乾固すると捕捉効率が上昇することが多いため、アセトニトリルなど比較的低沸点の有機溶媒が好適に用いられる。
本発明においては、糖鎖遊離時の反応温度を、0〜60℃とし、反応時間を、10秒〜24時間とすることを特徴とする。反応温度は、好ましくは0〜40℃であり、反応時間は、好ましくは1分〜16時間である。
反応は、糖鎖を遊離させる反応を効率よく行う観点から、開放系で行って溶媒を完全に蒸発させることが好ましい。蒸発を促すために、熱をかけるあるいは真空引きするのが有効である。これにより乾固が促進し、反応時間の短縮が期待される。用いる溶液量は、1μL〜1mLが好ましく、より好ましくは1μL〜500μLである。反応系が小さいほど溶媒の蒸発が速いため、反応系を小さくすることによっても反応時間の短縮が期待される。よって、反応時間を短くする必要がある場合は、用いる溶液量を1μL〜100μL(例えば、1μL〜50μL)にするのがさらに好ましい。
本発明においては、弱酸性から中性付近で、糖鎖の遊離反応を行うことができるため、従来の強酸性処理、例えば、10%トリフルオロ酢酸処理による切出しのような強酸の存在下での切出し反応に比べて、シアル酸残基の脱離など糖鎖の加水分解などを引き起こすことを抑制することが可能となる。また、低温で反応することにより、よりシアル酸の脱離を抑制することができる。
本発明の方法においては、次いで、遊離させた糖鎖を標識する(工程(d))。
標識化の方法としては、還元的アミノ化法と交換反応法を好適に用いることができる。還元的アミノ化法においては、アミノ基を有する化合物により、糖鎖を標識化する。反応系においては、pH測定した際に得られた結果が、酸性から中性の条件であるのが好ましく、好ましくはpH2〜9、より好ましくは2〜8であり、さらに好ましくは2〜7である。アミノ化合物の濃度は、1mM〜10Mであるのが好ましく、還元剤の濃度は、1mM〜10Mであるのが好ましい。
本発明においては、標識時の反応温度を、0〜60℃とし、反応時間を、10秒〜24時間とすることを特徴とする。反応温度は、好ましくは0〜40℃であり、反応時間は、好ましくは1分〜16時間である。
ここで、アミノ基を有する化合物は、紫外可視吸収特性または蛍光特性を有することが好ましく、具体的には下記の群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
8−アミノピレン−1,3,6−トリスルフォネート(8−Aminopyrene−1,3,6−trisulfonate),8−アミノナフタレン−1,3,6−トリスルフォネート(8−Aminonaphthalene−1,3,6−trisulphonate),7−アミノ−1,3−ナフタレンジスルフォニックアシド(7−amino−1,3−naphtalenedisulfonicacid),2−アミノ9(10H)−アクリドン(2−Amino9(10H)−acridone),5−アミノフルオロセイン(5−Aminofluorescein),ダンシルエチレンジアミン(Dansylethylenediamine),2−アミノピリジン(2−Aminopyridine),7−アミノ−4−メチルクマリン(7−Amino−4−methylcoumarine),2−アミノベンズアミド(2−Aminobenzamide),2−アミノベンゾイックアシド(2−Aminobenzoicacid),3−アミノベンゾイックアシド(3−Aminobenzoicacid),7−アミノ−1−ナフトール(7−Amino−1−naphthol),3−(アセチルアミノ)−6−アミノアクリジン(3−(Acetylamino)−6−aminoacridine),2−アミノ−6−シアノエチルピリジン(2−Amino−6−cyanoethylpyridine),エチルp−アミノベンゾエート(Ethylp−aminobenzoate),p−アミノベンゾニトリル(p−Aminobenzonitrile),および7−アミノナフタレン−1,3−ジスルフォニックアシド(7−aminonaphthalene−1,3−disulfonicacid)。
特に、アミノ化合物が2−アミノベンズアミド(2−aminobenzamide;2AB)の場合の反応条件は以下の通りである。反応系においては、酸と有機溶媒の混合溶媒あるいは酸と水と有機溶媒の混合溶媒を用いることができる。酸と有機溶媒の混合溶媒の場合、酸と有機溶媒の混合比率は、好ましくは1:99〜50:50、より好ましくは5:95〜50:50、最も好ましくは10:90〜50:50である。また、酸と水と有機溶媒の混合溶媒の場合、有機溶媒の比率に関わらずpH測定した際に得られた結果が、酸性から中性の条件であるのが好ましく、好ましくはpH2〜9、より好ましくは2〜8であり、さらに好ましくは2〜7である。アミノ化合物の濃度は1mM〜10M、好ましくは10mM〜10Mで、さらに好ましくは100mM〜5Mである。還元剤の濃度は、1mM〜10M、好ましくは10mM〜10M、さらに好ましくは100mM〜2Mである。反応温度は0〜60℃であり、反応時間は10秒〜24時間である。反応温度は、好ましくは0〜40℃であり、反応時間は、好ましくは1分〜16時間である。
また、還元剤は、例えば、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、メチルアミンボラン、ジメチルアミンボラン、トリメチルアミンボラン、ピコリンボラン、ピリジンボランなどが使用可能であるが、シアノ水素化ホウ素ナトリウムあるいはピコリンボランを使用するのが反応性の面から考えて好ましい。
この工程の後、得られる溶液は標識された糖鎖と過剰量加えた未反応アミノ化合物、還元剤が存在するため、これら余剰試薬を除去する工程を行うのが好ましい。シリカカラムによる除去、ゲル濾過による除去、イオン交換樹脂による除去、いずれの方法を用いても良いが、シアル酸の脱離を防ぐために使用する溶媒は中性であることが好ましい。
一方、交換反応法においては、洗浄操作後、アミノオキシ基を有する化合物を作用させることにより、ヒドラゾン−オキシム交換反応(糖鎖のアルデヒド基と特異的に反応する官能基がヒドラジド基の場合)またはオキシム−オキシム交換反応(糖鎖のアルデヒド基と特異的に反応する官能基がアミノオキシ基の場合)によって糖鎖がポリマー粒子から切り離され、同時にアミノオキシ化合物によって標識化される。よって、本標識方法の場合、糖鎖を捕捉したポリマー粒子から糖鎖を遊離させる工程(工程(c))と遊離させた糖鎖を標識する工程(工程(d))とは一体となる。このため、上記した酸処理などによって糖鎖をポリマー粒子から切り離す操作を別途実施する必要はない。
アミノオキシ基を有する化合物としては、下記の群から選ばれた物質またはその塩であることが好ましい。
O−ベンジルヒドロキシルアミン(O−benzylhydroxylamine),O−フェニルヒドロキシルアミン(O−phenylhydroxylamine),O−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジル)ヒドロキシルアミン(O−(2,3,4,5,6−pentafluorobenzyl)hydroxylamine), O−(4−ニトロベンジル)ヒドロキシルアミン(O−(4−nitrobenzyl)hydroxylamine),2−アミノオキシピリジン(2−aminooxypyridine),2−アミノオキシメチルピリジン(2−aminooxymethylpyridine),4−[(アミノオキシアセチル)アミノ]ベンゾイックアシドメチルエステル(4−[(aminooxyacetyl)amino]benzoic acid methyl ester),4−[(アミノオキシアセチル)アミノ]ベンゾイックアシドエチルエステル(4−[(aminooxyacetyl)amino]benzoic acid ethyl ester),および4−[(アミノオキシアセチル)アミノ]ベンゾイックアシドn−ブチルエステル(4−[(aminooxyacetyl)amino]benzoic acid n−butylester),N−アミノオキシアセチル−トリプトフィル(アルギニンメチルエステル)(N−aminooxyacetyl−tryptophyl(arginine methyl ester))
アミノオキシ基を有する化合物は、アルギニン残基、トリプトファン残基、フェニルアラニン残基、チロシン残基、システイン残基およびこれら誘導体の少なくとも一つからなる部分を含むことが好ましい。特に下記(式3)で表されるN−アミノオキシアセチル−トリプトフィル(アルギニンメチルエステル)が好ましい。
交換反応時の反応系においては、酸と有機溶媒の混合溶媒あるいは酸と水と有機溶媒の混合溶媒を用いることができる。酸と有機溶媒の混合溶媒の場合、酸と有機溶媒の混合比率は、好ましくは0.1:99.9〜10:90、より好ましくは0.5:99.5〜5:95、最も好ましくは1:99〜5:95である。また、酸と水と有機溶媒の混合溶媒の場合、有機溶媒の比率に関わらずpH測定した際に得られた結果がpH2〜7が好ましく、pH3〜6がより好ましく、pH3.5〜5.5が最も好ましい。酢酸/アセトニトリル溶液を加えることにより、反応液を上記のpHに調整することができる。交換反応時の反応温度は0〜60℃であり、反応時間は10秒〜24時間である。反応温度は、好ましくは0〜40℃であり、反応時間は、好ましくは1分〜16時間である。交換反応を効率よく行う観点から、開放系で行って溶媒を完全に蒸発させることが好ましい。蒸発を促すために、熱をかけるあるいは真空引きするのが有効である。これにより乾固が促進し、反応時間の短縮が期待される。用いる溶液量は、1μL〜1mLが好ましく、より好ましくは1μL〜500μLである。反応系が小さいほど溶媒の蒸発が速いため、反応系を小さくすることによっても反応時間の短縮が期待される。よって、反応時間を短くする必要がある場合は、用いる溶液量を1μL〜100μL(例えば、1μL〜50μL)にするのがさらに好ましい。
本発明における試料中の糖鎖の分析方法においては、上記方法により調製した標識された糖鎖を分析する。上記の方法を経て回収した糖鎖溶液はそのまま、あるいは、過剰に含まれる標識化合物を除去したのち、クロマトグラフィ(例えば、HPLC)、質量分析(例えば、MALDI-TOF MS)、クロマトグラフィと質量分析の組み合わせ(例えば、LC−MS)、電気泳動(例えば、キャピラリ電気泳動)などの公知の方法により、糖鎖の分析(例えば、糖鎖の構造や量の分析)に供することができる。糖鎖の分析においては、必要に応じて、各種データベース(例えば、GlycoMod、Glycosuite、SimGlycan(R)など)を参照することができる。
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
(糖鎖サンプルの調製)
ウシ血清由来Fetuin(SIGMA、F3004)1mgを100mM重炭酸アンモニウム(和光純薬、017−02875)50μLに溶解させた後、120mM DTT(ジチオスレイトール、SIGMA、D9779)を5μL加え、60℃で30分間反応させた。反応終了後、123mM IAA(ヨードアセトアミド、和光純薬、093−02152)10μLを加えて遮光下、室温で1時間反応させた。続いて400Uのトリプシン(SIGMA、T0303)によってプロテアーゼ処理をし、タンパク質部分をペプチド断片化した。反応溶液を90℃で5分処理した後、5UのグリコシダーゼF(Roche、1−365−193)による処理を行って糖鎖をペプチドから遊離させ、予備処理済の生体試料を得た。
(糖鎖捕捉担体による糖鎖の捕捉)
糖鎖捕捉用の担体であるヒドラジド基を有する粒子5mg(BlotGlyco(R))、住友ベークライト株式会社製、BS−45603)が入ったディスポカラムに上記糖鎖溶液20μLおよび180μLの2%酢酸/アセトニトリル溶液を加え、37℃で16時間反応させた。反応は開放系で行い、溶媒が完全に蒸発し粒子が乾固した状態であることを目視で確認した。
(洗浄およびキャッピング)
グアニジン溶液、水、メタノール、トリエチルアミノ溶液にて粒子を洗浄後、10%無水酢酸/メタノールを添加し、室温で30分間反応させ、未反応のヒドラジド基をキャッピングした。キャッピング後、メタノール、塩酸水溶液、水にて粒子を洗浄した。
(糖鎖の遊離)
続いて、粒子の入ったディスポカラムに超純水20μLおよび2%酢酸/アセトニトリル溶液180μLを加え、37℃で16時間反応させた。反応は開放系で行い、溶媒が完全に蒸発し粒子が乾固した状態であることを目視で確認した。
(糖鎖の標識)
2−アミノベンズアミド(2−AB、和光純薬、574−92441)による標識を行った。粒子の入ったディスポカラムに、2−ABおよびシアノ水素化ホウ素ナトリウムの終濃度がそれぞれ0.7M、1Mになるように30%酢酸/ジメチルスルホシキド(DMSO)混合溶媒に溶解させて調製した溶液100μLを添加し、37℃で16時間反応させた。
(余剰2ABの除去)
反応溶液50μLを回収し、アセトニトリルで10倍に希釈した後、シリカカラム(BlotGlycoキット付属品)に添加してシリカゲルに標識糖鎖を吸着させた。アセトニトリルにてカラムを洗浄後、超純水50μLにて標識糖鎖を回収した。
(標識化糖鎖の検出)
得られた標識糖鎖をHITACHI HPLC(FL)にて測定した。アミノカラム(Shodex Asahipak NH2P−50)を用いて励起波長330nm、蛍光波長420nmにて測定した。
<実施例2>
(糖鎖サンプルの調整)
実施例1と同様に実施。
(糖鎖捕捉担体による糖鎖の捕捉)
糖鎖捕捉用の担体であるヒドラジド基を有する粒子5mg(BlotGlyco(R))、住友ベークライト株式会社製、BS−45603)が入ったディスポカラムに上記糖鎖溶液20μLおよび180μLの2%酢酸/アセトニトリル溶液を加え、25℃で16時間反応させた。反応は開放系で行い、溶媒が完全に蒸発し粒子が乾固した状態であることを目視で確認した。
(洗浄およびキャッピング)
グアニジン溶液、水、メタノール、トリエチルアミノ溶液にて粒子を洗浄後、10%無水酢酸/メタノールを添加し、室温で30分間反応させ、未反応のヒドラジド基をキャッピングした。キャッピング後、メタノール、塩酸水溶液、水にて粒子を洗浄した。
(糖鎖の遊離)
続いて、粒子の入ったディスポカラムに超純水20μLおよび2%酢酸/アセトニトリル溶液180μLを加え、25℃で16時間反応させた。反応は開放系で行い、溶媒が完全に蒸発し粒子が乾固した状態であることを目視で確認した。
(糖鎖の標識)
2−アミノベンズアミド(2−AB、和光純薬、574−92441)による標識を行った。粒子の入ったディスポカラムに、2−ABおよびシアノ水素化ホウ素ナトリウムの終濃度がそれぞれ0.7M、1Mになるように30%酢酸/ジメチルスルホシキド(DMSO)混合溶媒に溶解させて調製した溶液100μLを添加し、25℃で16時間反応させた。
(余剰2ABの除去)
実施例1と同様に実施した。
(標識化糖鎖の検出)
実施例1と同様に実施した。
<比較例1>
(糖鎖サンプルの調整)
実施例1と同様に実施した。
(糖鎖捕捉担体による糖鎖の捕捉)
糖鎖捕捉用の担体であるヒドラジド基を有する粒子5mg(BlotGlyco(R))、住友ベークライト株式会社製、BS−45603)が入ったディスポカラムに上記糖鎖溶液20μLおよび180μLの2%酢酸/アセトニトリル溶液を加え、80℃で1時間反応させた。反応は開放系で行い、溶媒が完全に蒸発し粒子が乾固した状態であることを目視で確認した。
(洗浄およびキャッピング)
グアニジン溶液、水、メタノール、トリエチルアミノ溶液にて粒子を洗浄後、10%無水酢酸/メタノールを添加し、室温で30分間反応させ、未反応のヒドラジド基をキャッピングした。キャッピング後、メタノール、塩酸水溶液、水にて粒子を洗浄した。
(糖鎖の遊離)
続いて、粒子の入ったディスポカラムに超純水20μLおよび2%酢酸/アセトニトリル溶液180μLを加え、70℃で1.5時間反応させた。反応は開放系で行い、溶媒が完全に蒸発し粒子が乾固した状態であることを目視で確認した。
(糖鎖の標識)
2−アミノベンズアミド(2−AB、和光純薬、574−92441)による標識を行った。粒子の入ったディスポカラムに、2−ABおよびシアノ水素化ホウ素ナトリウムの終濃度がそれぞれ0.7M、1Mになるように30%酢酸/ジメチルスルホシキド(DMSO)混合溶媒に溶解させて調製した溶液100μLを添加し、60℃で2時間反応させた。
(余剰2ABの除去)
実施例1と同様に実施した。
(標識化糖鎖の検出)
実施例1と同様に実施した。
図1に、上記HPLCチャートから読み取ったピークのうち、中性糖鎖に由来するピークの面積、シアル酸を1つ持つ糖鎖に由来するピークの面積(1NA)、シアル酸を2つ持つ糖鎖に由来するピークの面積(2NA)、シアル酸を3つ持つ糖鎖に由来するピークの面積(3NA)、シアル酸を4つ持つ糖鎖に由来するピークの面積(4NA)について実施例と比較例のデータを比較したものを示した。反応温度が低い、実施例1や実施例2では、比較例と比べて3NAや4NAの面積比率が高くなり、シアル酸の脱離が抑制される事が確認された。
本発明の標識された糖鎖試料の調製方法は、特に、シアロ糖鎖を含む糖鎖試料の調製において優れている。本発明は、例えば、シアロ糖鎖の異性体まで含めた解析による癌などの疾患の診断や、シアロ糖鎖を標的とした新たなバイオマーカーの開発、医薬品のスクリーニングや品質管理に有用である。従って、本発明は、例えば、医療分野において大きく貢献しうるものである。

Claims (8)

  1. 標識された糖鎖試料の調製方法であって、
    (a)糖鎖を含む試料を、糖鎖を捕捉するための官能基を有するポリマー粒子に接触させ、当該糖鎖を当該ポリマー粒子に捕捉する工程、
    (b)糖鎖を捕捉したポリマー粒子を洗浄する工程、
    (c)糖鎖を捕捉したポリマー粒子から糖鎖を遊離させる工程、
    (d)遊離させた糖鎖を標識する工程、
    を含み、工程(a)、(c)、および(d)の少なくとも1の工程の反応を、0〜60℃で10秒〜24時間の条件で行う方法。
  2. 工程(a)、(c)、および(d)の少なくとも1の工程の反応を、0〜40℃で1分〜16時間の条件で行う、請求項1に記載の方法。
  3. 工程(a)、(c)、および(d)の反応を、酸を含む溶媒中で行う、請求項1または2に記載の方法。
  4. ポリマー粒子における糖鎖を捕捉するための官能基がヒドラジド基である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. ポリマー粒子が下記(式1)で表される架橋型ポリマー構造を有するものである、請求項4に記載の方法。
    (R1,R2は−O−,−S−,−NH−,−CO−,−CONH−で中断されてもよい炭素数1〜20の炭化水素鎖,R3,R4,R5はH,CH3,または炭素数2〜5の炭化水素鎖を示す。m,nはモノマーユニット数を示す。)
  6. ポリマー粒子が下記(式2)で表される架橋型ポリマー構造を有するものである、請求項4に記載の方法。
    (m,nはモノマーユニット数を示す。)
  7. 標識が2−アミノベンズアミドである、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 試料中の糖鎖の分析方法であって、請求項1〜7のいずれかに記載の方法により標識された糖鎖を調製する工程、および調製した標識された糖鎖を分析する工程を含む方法。
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