JP2017096305A - 駆動力伝達装置及び駆動力伝達制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】貯留室に潤滑油を貯留することによって引き摺りトルクを低減しながらも、必要時にはクラッチの潤滑を適切に行うことが可能な駆動力伝達装置、及びこの駆動力伝達装置を備えた駆動力伝達制御装置を提供する。【解決手段】クラッチハウジング3と共に回転するメインアウタクラッチプレート51とインナシャフト4と共に回転するメインインナクラッチプレート52との摩擦摺動が潤滑油によって潤滑されるメインクラッチ5と、メインクラッチ5に軸方向の押圧力を付与する第1及び第2の押圧機構6,7と、メインクラッチ5を収容するクラッチ収容室8a、及びクラッチ収容室8aから排出された潤滑油を貯留可能な貯留室8bを有するケース8と、クラッチ収容室8aと貯留室8bとの間の潤滑油の流量を調節可能な調節弁9とを備え、調節弁9は、温度変化によって変形することで潤滑油の流量を可変とする弁体91を有する。【選択図】図5

Description

本発明は、潤滑油によって潤滑されるクラッチの摩擦係合力により回転部材間で駆動力を伝達する駆動力伝達装置、及びこの駆動力伝達装置を備えた駆動力伝達制御装置に関する。
従来、潤滑油によって潤滑されるクラッチにより回転部材間で駆動力を伝達する駆動力伝達装置が、例えば四輪駆動状態と二輪駆動状態との切り替えが可能な四輪駆動車に用いられている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の駆動力伝達装置は、第1回転部材と第2回転部材との間で駆動力を伝達するクラッチと、クラッチを収容する収容室を有するケースとを備えている。この駆動力伝達装置は、駆動力伝達系におけるディファレンシャル装置と車輪との間に配置され、四輪駆動状態では第1回転部材と第2回転部材とが同じ方向に回転し、二輪駆動状態では第1回転部材と第2回転部材とが互いに逆方向に回転する。
クラッチは、潤滑油によってクラッチプレート間の摩擦摺動が潤滑される湿式の多板クラッチであり、ケースには、潤滑油を貯留可能な貯留室(タンク部)が設けられている。収容室から貯留室に潤滑油が導入される油導入口は、潤滑油によるクラッチの潤滑が必要ない二輪駆動状態における第1回転部材の回転方向に沿って開口し、この第1回転部材の回転によって掻き上げられた潤滑油が油導入口を経て貯留室に流入する。貯留室の下端部には、貯留室に貯留された潤滑油が収容室に導出される油導出口が設けられている。
この駆動力伝達装置によれば、二輪駆動状態では多くの潤滑油が収容室から貯留室に排出され、クラッチプレート間に介在する潤滑油が減少し、潤滑油の粘性に起因する引き摺りトルクが低減される。また、四輪駆動状態では、収容室に残留する潤滑油が多くなるのでので、クラッチプレート間の潤滑が適切になされ、クラッチプレートの摩耗や過熱が抑えられる。
特開2013−100079号公報
上記のように構成された駆動力伝達装置では、二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替わった際に、貯留室に貯留された潤滑油が速やかに収容室に導出されることが望ましい。このためには、油導出口の開口面積を大きくすることが考えられるが、単に油導出口の開口面積を大きくした場合には、貯留室に貯留される潤滑油が減少し、二輪駆動状態において引き摺りトルクを低減する効果が十分に発揮できなくなってしまう。特許文献1に記載の駆動力伝達装置は、この点においてなお改善の余地を残すものとなっていた。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、貯留室に潤滑油を貯留することによって引き摺りトルクを低減しながらも、必要時にはクラッチの潤滑を適切に行うことが可能な駆動力伝達装置、及びこの駆動力伝達装置を備えた駆動力伝達制御装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記の目的を達成するため、共通の回転軸線を中心として相対回転可能に配置された第1回転部材及び第2回転部材と、前記第1回転部材と共に回転する第1クラッチプレート、及び前記第2回転部材と共に回転する第2クラッチプレートを有し、前記第1クラッチプレートと前記第2クラッチプレートとの摩擦摺動が潤滑油によって潤滑されるクラッチと、前記クラッチに軸方向の押圧力を付与して前記第1クラッチプレートと前記第2クラッチプレートとを摩擦接触させる押圧機構と、前記クラッチを収容するクラッチ収容室、及び前記クラッチ収容室から排出された前記潤滑油を貯留可能な貯留室を有し、前記クラッチ収容室と前記貯留室との間で前記潤滑油を循環させることが可能なケースと、前記クラッチ収容室と前記貯留室との間の前記潤滑油の流量を調節可能な調節弁とを備え、前記調節弁は、温度変化によって変形することで前記潤滑油の流量を可変とする弁体を有する、駆動力伝達装置を提供する。
また、本発明は、上記の駆動力伝達装置と、前記押圧機構を制御する制御部とを備えた駆動力伝達制御装置を提供する。
本発明に係る駆動力伝達装置によれば、貯留室に潤滑油を貯留することによって引き摺りトルクを低減しながらも、必要時にはクラッチの潤滑を適切に行うことが可能となる。
本発明の第1の実施の形態に係る駆動力伝達装置が搭載された四輪駆動車の構成例を示す概略図である。 駆動力伝達装置の構成部材を示す分解斜視図である。 駆動力伝達装置の断面図である。 駆動力伝達装置のケース本体を示す斜視図である。 (a)は二輪駆動時のケース本体における潤滑油の流れを示す説明図であり、(b)は四輪駆動時のケース本体における潤滑油の流れを示す説明図である。 (a)は図5(a)の部分拡大図、(b)は(a)に示す調節弁を貯留室側から見た状態図、(c)は図5(b)の部分拡大図、(d)は(c)に示す調節弁を貯留室側から見た状態図である。 調節弁を示す構成図である。 本発明の第2の実施の形態に係るケース本体を示し、(a)は調節弁が開弁状態にあるときの潤滑油の流れを示す説明図、(b)は調節弁が閉弁状態にあるときの潤滑油の流れを示す説明図である。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る駆動力伝達装置2が搭載された四輪駆動車の構成例を示す概略図である。
この四輪駆動車100には、駆動源としてのエンジン11と、エンジン11の出力(駆動力)を変速するトランスミッション12と、トランスミッション12で変速されたエンジン11の駆動力を受けるフロントディファレンシャル装置13と、フロントディファレンシャル装置13に隣接して配置された噛み合いクラッチ14と、車両前後方向に沿って配置されたプロペラシャフト15と、リヤディファレンシャル装置16と、駆動力伝達制御装置1とが搭載されている。駆動力伝達制御装置1は、入力回転部材から出力回転部材に伝達される駆動力を調節可能な駆動力伝達装置2と、駆動力伝達装置2を制御する制御部20とを備えている。
フロントディファレンシャル装置13は、主駆動輪である前輪17(左前輪17L及び右前輪17R)に駆動力を配分するものであり、外周にリングギヤ130が固定されたデフケース131と、デフケース131と一体に回転するピニオンシャフト132と、ピニオンシャフト132に軸支された一対のピニオンギヤ133と、一対のピニオンギヤ133に噛み合う一対のサイドギヤ134とを有している。一対のサイドギヤ134のうち、一方のサイドギヤ134はドライブシャフト135Lによって左前輪17Lに連結され、他方のサイドギヤ134はドライブシャフト135Rによって右前輪17Rに連結されている。リングギヤ130には、トランスミッション12で変速されたエンジン11の駆動力が入力される。
噛み合いクラッチ14は、第1のスプライン歯部141及び第2のスプライン歯部142にスプライン係合可能な円筒状のスリーブ143の軸方向移動により、フロントディファレンシャル装置13のデフケース131から出力ギヤ140への駆動力伝達を断続可能である。第1のスプライン歯部141はデフケース131に固定され、第2のスプライン歯部142は出力ギヤ140に固定されている。
スリーブ143は、図略のアクチュエータによって、第1のスプライン歯部141及び第2のスプライン歯部142に共に係合する連結位置と、第2のスプライン歯部142のみに係合する非連結位置との間を移動可能である。スリーブ143が連結位置にあるとき、デフケース131と出力ギヤ140とが連結されて一体に回転し、デフケース131から出力ギヤ140へ駆動力が伝達される。スリーブ143が非連結位置にあるときには、デフケース131から出力ギヤ140への駆動力の伝達が遮断される。出力ギヤ140は、プロペラシャフト15の前端部に設けられた入力ギヤ151に噛み合っている。
リヤディファレンシャル装置16は、補助駆動輪である後輪18(左後輪18L及び右後輪18R)に駆動力を配分する。リヤディファレンシャル装置16は、外周にリングギヤ160が固定されたデフケース161と、デフケース161と一体に回転するピニオンシャフト162と、ピニオンシャフト162に軸支された一対のピニオンギヤ163と、一対のピニオンギヤ163に噛み合う一対のサイドギヤ164L,164Rとを有している。リングギヤ160は、プロペラシャフト15の後端部に設けられた出力ギヤ152に噛み合っている。
一対のサイドギヤ164L,164Rのうち、左側のサイドギヤ164Lはドライブシャフト165Lによって左後輪18Lに連結されている。右側のサイドギヤ164Rは、駆動力伝達装置2の入力回転部材(後述するクラッチハウジング3)に連結されている。駆動力伝達装置2の出力回転部材(後述するインナシャフト4)は、ドライブシャフト165Rによって右後輪18Rに連結されている。駆動力伝達装置2の構成の詳細については後述する。
前輪17には、常にエンジン11の駆動力が伝達され、後輪18には、例えば運転者による走行モード選択スイッチの操作によって四輪駆動モードが選択された場合や、前輪17にスリップが発生した場合等の必要時にエンジン11の駆動力が伝達される。エンジン11の駆動力が前輪17にのみ伝達されるとき、四輪駆動車100は二輪駆動状態となり、エンジン11の駆動力が前輪17及び後輪18に伝達されるとき、四輪駆動車100は四輪駆動状態となる。二輪駆動状態では、噛み合いクラッチ14におけるデフケース131と出力ギヤ140との連結が解除されると共に、駆動力伝達装置2によるリヤディファレンシャル装置16から右後輪18Rへの駆動力の伝達も遮断される。
これにより、四輪駆動車100が二輪駆動状態で走行する際には、噛み合いクラッチ14の出力ギヤ140、プロペラシャフト15、及びリヤディファレンシャル装置16のデフケース161の回転が停止し、プロペラシャフト15の入力ギヤ151と噛み合いクラッチ14の出力ギヤ140、及びプロペラシャフト15の出力ギヤ152とリヤディファレンシャル装置16のリングギヤ160との噛み合いによる回転抵抗が発生しないため、四輪駆動車100の燃費性能が向上する。
四輪駆動状態での走行時には、リヤディファレンシャル装置16の一対のサイドギヤ164L,164Rがデフケース161と共に同じ方向に回転する。一方、二輪駆動状態での走行時には、リヤディファレンシャル装置16の左側のサイドギヤ164Lは左後輪18Lと同方向に回転するが、デフケース161の回転が停止するため、右側のサイドギヤ164Rには左側のサイドギヤ164Lの回転力が一対のピニオンギヤ163によって伝達され、左側のサイドギヤ164Lと逆方向に回転する。すなわち、右側のサイドギヤ164Rは、右後輪18Rと逆方向に回転する。
(駆動力伝達装置2の構成)
図2は、駆動力伝達装置2の構成部材を示す分解斜視図である。図3は、駆動力伝達装置2の断面図である。図4は、駆動力伝達装置2のケース本体81を示す斜視図である。図5は、ケース本体81における潤滑油の流れを示す説明図である。
駆動力伝達装置2は、共通の回転軸線Oを中心として相対回転可能に配置された第1回転部材(入力回転部材)としてのクラッチハウジング3、及び第2回転部材(出力回転部材)としてのインナシャフト4と、クラッチハウジング3とインナシャフト4とを駆動力伝達可能に連結するメインクラッチ5と、メインクラッチ5を押圧する第1及び第2の押圧機構6,7と、メインクラッチ5をクラッチハウジング3及びインナシャフト4の一部と共に収容するケース8とを備えている。第1及び第2の押圧機構6,7は、制御部20から供給される電流によって制御される。メインクラッチ5は、請求項に係る発明の「クラッチ」に相当する湿式の多板クラッチである。ケース8には、メインクラッチ5を潤滑する潤滑油が封入されている。
ケース8は、回転軸線Oと平行な軸方向の両端部に開口を有するケース本体81と、ケース本体81の軸方向一側を覆うケース蓋体82と、ケース本体81の軸方向他側を覆い、後述する電磁コイル71を保持する軟磁性体からなるヨーク蓋体83とを有して構成されている。電磁コイル71は、スナップリング711によってヨーク蓋体83に固定され、制御部20から電線712を介して励磁電流が供給される。
ケース本体81及びケース蓋体82は、例えばアルミニウム合金等の非磁性体からなり、複数のボルト84によって結合されている。ヨーク蓋体83は、連結ピン85によってケース本体81に連結されている。ケース本体81とヨーク蓋体83との間には、潤滑油の漏出を防止するOリング86が配置されている。ケース本体81の構成の詳細については後述する。
クラッチハウジング3は、円筒状のクラッチドラム31と、リヤディファレンシャル装置16の右側のサイドギヤ164Rとクラッチドラム31とを一体に回転するように連結する連結シャフト32とを有している。連結シャフト32は、先端部がサイドギヤ164Rに嵌合する軸部321と、軸部321の基端部側に設けられた円盤部322とを一体に有し、円盤部322がクラッチドラム31の一方の開口を覆っている。円盤部322の内周部と外周部との間には、電磁コイル71への通電によって発生する磁束の短絡を防止する非磁性リング323が配置されている。
軸部321は、ヨーク蓋体83に設けられた挿通孔830を挿通し、軸部321の外周面と挿通孔830の内周面との間には、シール部材21及び玉軸受22が配置されている。玉軸受22は、一対のスナップリング221,222により軸方向の位置が固定されている。円盤部322の外周面には、複数の突起324が設けられ、この突起324がクラッチドラム31に形成された切り欠き310に隙間をもって係合する。この隙間は、クラッチドラム31の内外に潤滑油を流動させることが可能である。クラッチドラム31の内周面には、複数のスプライン突起311が形成されている。
インナシャフト4は、クラッチドラム31と対向する外周面に複数のスプライン突起41が形成された円筒状である。インナシャフト4の内周面には、ドライブシャフト165Rが一体回転するように連結されるスプライン嵌合部42が形成されている。これにより、二輪駆動時には、クラッチハウジング3がインナシャフト4とは逆方向に回転する。また、インナシャフト4の内周面には、潤滑油の漏出を防止する栓体40が嵌着されている。インナシャフト4と連結シャフト32との間には、針状ころ軸受23が配置されている。
インナシャフト4は、ケース蓋体82に設けられた挿通孔820を挿通し、インナシャフト4の外周面と挿通孔820の内周面との間には、シール部材24及び玉軸受25が配置されている。玉軸受25は、一対のスナップリング251,252により軸方向の位置が固定されている。
メインクラッチ5は、クラッチハウジング3と共に回転する複数のメインアウタクラッチプレート51と、インナシャフト4と共に回転する複数のメインインナクラッチプレート52とを有している。本実施の形態では、10枚のメインアウタクラッチプレート51と10枚のメインインナクラッチプレート52とが交互に配置されている。メインアウタクラッチプレート51の外周端部には、クラッチドラム31の複数のスプライン突起311に係合する複数の突起511が形成されている。メインインナクラッチプレート52の内周端部には、インナシャフト4の複数のスプライン突起41に係合する複数の突起521が形成されている。
メインクラッチ5は、軸方向に押圧されることによって複数のメインアウタクラッチプレート51と複数のメインインナクラッチプレート52とが摩擦接触して摩擦力が発生し、この摩擦力によりクラッチハウジング3とインナシャフト4との間で駆動力を伝達する。メインクラッチ5が軸方向の押圧力を受けないときは、クラッチハウジング3とインナシャフト4との間の駆動力の伝達が遮断される。メインアウタクラッチプレート51は、請求項に係る発明の第1クラッチプレートに相当し、メインインナクラッチプレート52は、請求項に係る発明の第2クラッチプレートに相当する。メインアウタクラッチプレート51とメインインナクラッチプレート52との摩擦摺動は、潤滑油によって潤滑される。
本実施の形態では、メインクラッチ5が第1の押圧機構6から軸方向の一方(図3における右側から左側)への押圧力を受け、かつ第2の押圧機構7から軸方向の他方(図3における左側から右側)への押圧力を受ける。
第1の押圧機構6は、電動モータ61と、電動モータ61の出力軸610に連結された連結具62と、連結具62によって電動モータ61の出力軸610と一体に回転するギヤ部材63と、ギヤ部材63と噛み合うギヤ部641が環状のカム部640の外周に設けられた第1カム部材64と、第1カム部材64のカム部640と軸方向に並置された第2カム部材65と、第2カム部材65のカム推力をメインクラッチ5に軸方向の押圧力として付与する押圧プレート66と、第2カム部材65と押圧プレート66との間に配置された針状スラストころ軸受67とを有している。
押圧プレート66の内周端部には、インナシャフト4の複数のスプライン突起41に係合する複数の突起661が形成されている。押圧プレート66の外周端部とクラッチドラム31の内周面との間には隙間が形成され、この隙間からクラッチドラム31の内外に潤滑油が流動可能である。
電動モータ61は、複数のボルト611によってケース本体81の外壁810に設けられたモータ取付フランジ810aに取り付けられている。連結具62は、モータ取付フランジ810aに形成された貫通孔810bに収容され、連結具62と貫通孔810bの内面との間は、シール部材26によって封止されている。電動モータ61は、例えばブラシ付き直流モータであり、制御部20からモータ電流が供給されると、出力軸610がモータ電流に応じたトルクで回転する。また、ケース本体81の外壁810には、リヤディファレンシャル装置16を収容する図略のデフキャリアへの固定のための複数の固定フランジ810cが設けられている。
第1カム部材64のカム部640におけるカム面640aは、第2カム部材65のカム面65aと軸方向に向かい合う。これらの両カム面640a,65aは軸方向に対して傾斜しており、第1カム部材64に電動モータ61の回転力が連結具62及びギヤ部材63を介して伝達されると、第1カム部材64が第2カム部材65に対して回転し、第2カム部材65がカム推力によって軸方向に移動する。第1カム部材64は、インナシャフト4に取り付けられた受部材44との間に配置された針状スラストころ軸受26に当接して第2カム部材65から離間する側への軸方向移動が規制される。第2カム部材65は、外周面に突設された突起651を有し、この突起651がケース蓋体82の凹溝821に係合することで、ケース8に対して軸方向移動可能かつ相対回転不能に支持されている。
第2の押圧機構7は、電磁コイル71と、電磁コイル71の磁力を受けて軸方向に移動するアーマチャ72と、アーマチャ72によって押圧される複数のパイロットアウタクラッチプレート73及び複数のパイロットインナクラッチプレート74と、複数のパイロットインナクラッチプレート74にスプライン係合するパイロットカム部材75と、パイロットカム部材75との相対回転によってカム推力を発生させるメインカム部材76と、パイロットカム部材75のカム面75aとメインカム部材76のカム面76aとの間に配置され、これらのカム面75a,76aを転動する複数の球状の転動体77とを有している。メインカム部材76は、カム推力をメインクラッチ5に軸方向の押圧力として付与する。
複数のパイロットアウタクラッチプレート73及び複数のパイロットインナクラッチプレート74は、共に鉄等の軟磁性金属からなり、クラッチハウジング3の回転力の一部をパイロットカム部材75に伝達するパイロットクラッチ70を構成する。本実施の形態では、3枚のパイロットアウタクラッチプレート73と2枚のパイロットインナクラッチプレート74とが、連結シャフト32の円盤部322とアーマチャ72との間に交互に配置されている。
パイロットアウタクラッチプレート73の外周端部には、クラッチドラム31の複数のスプライン突起311に係合する複数の突起731が形成されている。また、アーマチャ72の外周端部には、クラッチドラム31の複数のスプライン突起311に係合する複数の突起721が形成されている。これにより、パイロットアウタクラッチプレート73及びアーマチャ72は、クラッチハウジング3と共に回転する。
パイロットインナクラッチプレート74は、その内周端部にパイロットカム部材75の複数のスプライン突起751に係合する複数の突起741が形成され、パイロットカム部材75と共に回転する。パイロットカム部材75は、メインカム部材76から離間する方向の軸方向移動が、インナシャフト4の端部に設けられた鍔部42との間に配置された針状スラストころ軸受27に当接することで規制されている。
カム面75a,76aは、パイロットカム部材75及びメインカム部材76の周方向に沿って円弧状に形成され、軸方向に対して傾斜している。電磁コイル71に電流が供給されると、図3に破線で示す磁路に磁束が発生し、アーマチャ72がパイロットクラッチ70を押圧する。これにより、クラッチハウジング3の回転力の一部がパイロットクラッチ70を介してパイロットカム部材75に伝達され、パイロットカム部材75がメインカム部材76に対して所定の角度範囲で回転し、転動体77がカム面75a,76aを転動する。転動体77がカム面75a,76aを転動すると、メインカム部材76にカム推力が発生する。第2の押圧機構7は、このカム推力によってメインクラッチ5を押圧する。
複数のメインインナクラッチプレート52には、メインアウタクラッチプレート51と摩擦摺動する部分よりも内側に、複数の貫通孔520が形成されている。同様に、メインカム部材76には、メインインナクラッチプレート52の複数の貫通孔520のそれぞれに対応する位置に、複数の貫通孔760が形成されている。本実施の形態では、12個の貫通孔520,760が、周方向に沿って等間隔に形成されている。
これら12個の貫通孔520,760のうち、半数(6個)の貫通孔520,760は、潤滑油を流動させる油孔として機能する。他の半数(6個)の貫通孔520,760には、柱状のピン28が挿通される。また、ピン28が挿通されたメインインナクラッチプレート52の貫通孔520には、ピン28の外周に配置されたコイルバネ29が挿通される。ピン28は、その長手方向の一方の端部が押圧プレート66に当接し、他方の端部はメインカム部材76の貫通孔760内に配置される。コイルバネ29は、その長手方向の一方の端部が押圧プレート66に当接すると共に、他方の端部がメインカム部材76に当接する。コイルバネ29は、長手方向に圧縮された状態で押圧プレート66とメインカム部材76との間に配置され、その復元力によって押圧プレート66とメインカム部材76との間を押し広げる。
図1では、回転軸線Oよりも上側に駆動力伝達装置2の非連結状態(メインクラッチ5が押圧されていない状態)を示し、回転軸線Oよりも下側に駆動力伝達装置2の連結状態(メインクラッチ5が押圧された状態)を示している。駆動力伝達装置2を非連結状態から連結状態にする際、制御部20は、まず第1の押圧機構6を作動させ、その後に第2の押圧機構7を作動させる。
具体的には、制御部20が電動モータ61にモータ電流を供給することより、押圧プレート66がメインクラッチ5を押圧し、メインクラッチ5のメインアウタクラッチプレート51とメインインナクラッチプレート52との間の隙間が詰まる。その後、制御部20が電磁コイル71に励磁電流を供給することにより、メインカム部材76が励磁電流に応じた押圧力でメインクラッチ5を押圧する。これにより、メインアウタクラッチプレート51とメインインナクラッチプレート52との間に摩擦力が発生し、この摩擦力によってクラッチハウジング3からインナシャフト4に駆動力が伝達される。
なお、第1の押圧機構6を省略し、第2の押圧機構7のみによってメインクラッチ5を押圧するように駆動力伝達装置2を構成してもよい。あるいは、第2の押圧機構7を省略し、第1の押圧機構6のみによってメインクラッチ5を押圧するように駆動力伝達装置2を構成してもよい。ただし、本実施の形態のように、第1の押圧機構6を作動させ、その後に第2の押圧機構7を作動させるようにすれば、非連結状態におけるメインアウタクラッチプレート51とメインインナクラッチプレート52との間隔を広げることができ、潤滑油の粘性によるメインクラッチ5の引き摺りトルクを小さくすることが可能となる。
ケース8は、メインクラッチ5をクラッチドラム31及びインナシャフト4と共に収容するクラッチ収容室8a、及びクラッチ収容室8aから排出された潤滑油を貯留可能な貯留室8bを有し、クラッチ収容室8aと貯留室8bとの間で潤滑油を循環させることが可能である。本実施の形態では、図2に示すようにクラッチ収容室8a及び貯留室8bがケース本体81に設けられている。クラッチ収容室8a及び貯留室8bは、ケース本体81の軸方向一側に開口し、この開口がケース蓋体82によって閉塞されている。
図4は、ケース本体81を示す斜視図である。図5(a)及び(b)は、ケース本体81における潤滑油の流れを示す説明図である。なお、図4及び図5では、図面下側が四輪駆動車100に搭載された状態における鉛直方向の下方にあたる。
ケース本体81は、クラッチ収容室8aと貯留室8bとを区画する隔壁811と、隔壁811の上端部と外壁810とを連結する連結壁812と、潤滑油を貯留室8bに導くガイド壁813とが、外壁810の内側に形成されている。隔壁811及びガイド壁813は、軸方向視において円弧状に形成され、クラッチドラム31の外周面との間に所定の距離を保ってケース本体81の側壁814から軸方向に立設されている。側壁814は、ケース蓋体82によって閉塞される側とは反対側の端部に設けられた平板状の壁であり、クラッチ収容室8a及び貯留室8bの軸方向他側を閉塞している。
ガイド壁813は、外壁810との間に、潤滑油をクラッチ収容室8aから貯留室8bに流通させる第1連通路8cを形成している。連結壁812には、第1連通路8cから貯留室8b内に潤滑油を流入させる複数の流入孔812aが形成されている。流入孔812aは、連結壁812を上下方向に貫通している。
隔壁811の下端部には、貯留室8bからクラッチ収容室8aに潤滑油を流通させる第2連通路8dが形成されている。第2連通路8dは、隔壁811の下端部を水平方向に貫通する貫通孔として形成されている。また、第2連通路8dは、隔壁811の下端部におけるケース蓋体82側の一部に設けられている。第2連通路8dの通路面積は、複数の流入孔812aの通路面積(複数の流入孔812aのそれぞれの断面積を合わせた面積)よりも小さく形成されている。
ガイド壁813の上端部に対向する外壁810の内面は、回転軸線Oを中心とするクラッチドラム31の径方向に対して傾斜した傾斜面810dとして形成されている。この傾斜面810dの傾斜の方向は、二輪駆動時におけるクラッチドラム31の回転方向に沿った方向であり、クラッチドラム31の回転に伴って掻き上げられた潤滑油が第1連通路8cに入りやすくなっている。第1連通路8cには、クラッチドラム31の外周面から飛び散った潤滑油が直接的に、もしくは外壁810の内面を流動して導入される。
図5(a)では、二輪駆動時におけるケース8内の潤滑油の循環経路を太線の矢印で図示している。第1連通路8cの導入口(ガイド壁813の上端部と外壁810の傾斜面810dとの間)から第1連通路8cに導入された潤滑油は、第1連通路8cを下方に移動し、連結壁812の複数の流入孔812aから貯留室8b内に流入する。貯留室8bに流入した潤滑油は、第2連通路8dを経てクラッチ収容室8aに還流するが、第2連通路8dから導出される潤滑油よりも複数の流入孔812aから貯留室8b内に流入する潤滑油の方が多い場合には、その差分に相当する量の潤滑油が貯留室8bに貯留される。
図5(b)では、四輪駆動時におけるケース8内の潤滑油の循環経路を太線の矢印で図示している。前述のように、二輪駆動時と四輪駆動時とではクラッチハウジング3の回転方向が反転するので、クラッチドラム31による潤滑油の掻き上げ方向も逆向きとなる。このため、クラッチドラム31の外周面から飛び散った潤滑油が外壁810に形成された傾斜面810dに付着しても、その潤滑油は傾斜面810dを下方に流れて第1連通路8cには流入しない。これにより、四輪駆動時には貯留室8bに貯留される潤滑油が減少し、二輪駆動時に比較してクラッチ収容室8aに多くの潤滑油が滞留する。
これにより、四輪駆動時にはメインクラッチ5に十分な潤滑油が供給され、メインアウタクラッチプレート51とメインインナクラッチプレート52の摩擦摺動が潤滑される。一方、二輪駆動時には、クラッチ収容室8aの潤滑油が減少するため、メインクラッチ5の引き摺りトルクが小さくなる。四輪駆動車100の駆動状態が二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替わると、貯留室8bに貯留されていた潤滑油がクラッチ収容室8aに供給される。
本実施の形態では、駆動力伝達装置2が、クラッチ収容室8aと貯留室8bとの間の潤滑油の流量を調節可能な調節弁9を備えている。この調節弁9について、図6及び図7を参照して詳細に説明する。
図6(a)は、図5(a)における調節弁9及びその周辺部を拡大して示す拡大図である。図6(b)は、図6(a)に示す調節弁9を貯留室8b側から見た状態図である。図6(c)は、図5(b)における調節弁9及びその周辺部を拡大して示す拡大図である。図6(d)は、図6(c)に示す調節弁9を貯留室8b側から見た状態図である。図6(a)及び(b)では、調節弁9の閉状態を示し、図6(c)及び(d)では、調節弁9の開状態を示している。図7は、調節弁9を正面、側面、及び背面から見た構成図である。
調節弁9は、温度変化によって変形することで潤滑油の流量を可変とする弁体91と、通電により発熱し、弁体91を加熱する発熱部92と有している。本実施の形態では、調節弁9が第2連通路8dに設けられている。発熱部92には、ケーブル90によって制御部20から電流が供給される。ケーブル90は、ケース本体81の外壁810に設けられた図略のケーブル導出孔に装着されたグロメット87(図2,図5に示す)を挿通して、ケース8の外部に導出されている。
弁体91は、熱膨張率が異なる一対の金属板を例えば冷間圧延で貼り合せたバイメタルからなる。本実施の形態では、弁体91が、熱膨張率が比較的高い第1金属板911と、熱膨張率が第1金属板911よりも低い第2金属板912とを貼り合せて形成されている。
発熱部92は、可撓性を有する絶縁体からなるシート状の基材920に電熱線921が設けられたフレキシブル基板からなる。電熱線921は、基材920の表面を蛇行するように形成され、その両端部には、ケーブル90の一対の電線901,902にそれぞれ接続される電極921a,921bが設けられている。また、発熱部92は、第1金属板911に接するように、接着等の固定手段によって弁体91に固定されている。なお、発熱部92の構成としては、図7等に例示したものに限らず、例えば第1金属板911に直接的にニクロム線等からなる電熱線を張り付けてもよい。
本実施の形態では、調節弁9が長方形状であり、第2連通路8dの一部を塞ぐように隔壁811に取り付けられている。調節弁9には、隔壁811への取り付けのためのボルト挿通孔9a,9bが長手方向の一端部に設けられ、このボルト挿通孔9a,9bを挿通する一対のボルト93によって隔壁811に固定されている。ボルト挿通孔9a,9bは、発熱部92の基材920、ならびに弁体91の第1金属板911及び第2金属板912を貫通している。
弁体91は、常温(25℃)では図6(a)に示すように平板状であり、高温(例えば80℃)になると、図6(b)に示すように変形する。具体的には、弁体91の先端部(隔壁811に固定された側とは反対側の長手方向の端部)が第2連通路8dを形成する外壁810の底面810eから離間するように湾曲する。なお、本実施の形態では、常温時に弁体91の先端部と底面810eとの間に潤滑油が流通可能な隙間が形成されるが、常温時において弁体91の先端部が底面810eに接するように調節弁9を取り付けてもよい。この場合でも、貯留室8bに貯留された潤滑油の圧力によって弁体91が変形すると、弁体91の先端部と底面810eとの間に出来る隙間から潤滑油がクラッチ収容室8aへ流出する。
弁体91は、発熱部92の電熱線921の発熱によって加熱される他、発熱部92の非通電時においても、潤滑油の温度が高温になると潤滑油の熱を受けて温度上昇し、湾曲する。弁体91が湾曲することにより、第2連通路8dを潤滑油が流通しやすくなり、貯留室8bに貯留される潤滑油が減少する。すなわち、弁体91は、潤滑油の熱を受けて温度上昇することにより、貯留室8bに貯留される潤滑油の量を減少させるように変形する。
これにより、例えば二輪駆動時において発熱部92に電流が供給されていなくても、車速の上昇に伴ってクラッチハウジング3とインナシャフト4との差動回転速度が上昇し、メインアウタクラッチプレート51とメインインナクラッチプレート52との摺動によって潤滑油が高温となった場合には、弁体91が湾曲して貯留室8bに貯留された潤滑油がクラッチ収容室8aに供給され、この潤滑油によってメインクラッチ5が冷却されて、メインアウタクラッチプレート51やメインインナクラッチプレート52の熱による損傷が抑制される。なお、潤滑油は高温になると粘度が低くなるので、高温時にクラッチ収容室8aに多くの潤滑油が供給されても、引き摺りトルクに与える影響は比較的小さい。
制御部20は、第1及び第2の押圧機構6,7を作動させて四輪駆動車100の駆動状態を二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替えるとき、発熱部92に電流を供給して弁体91を変形(湾曲)させる。弁体91が変形することにより、貯留室8bに貯留された潤滑油がクラッチ収容室8aに供給され、メインクラッチ5におけるメインアウタクラッチプレート51とメインインナクラッチプレート52との摩擦摺動が潤滑される。
この際、制御部20は、弁体91を変形させる第1電流値の電流を発熱部92に供給し、弁体91が変形した後、第1電流値よりも低くかつ弁体91の変形状態を維持することが可能な第2電流値の電流を発熱部92に供給する。具体的には、弁体91を変形させるのに必要な所定時間だけ第1電流値の電流を発熱部92に供給し、所定時間が経過した後には第2電流値の電流を発熱部92に供給する。これにより、消費電力を抑制しながら、弁体91の変形状態を維持できる。
また、制御部20は、第1及び第2の押圧機構6,7を非作動状態として四輪駆動車100の駆動状態を四輪駆動状態から二輪駆動状態に切り替えるときには、発熱部92への電流供給を遮断する。これにより、弁体91の温度が低下し、潤滑油が第2連通路8dを流れにくくなることによって、貯留室8bに潤滑油が貯留される。このためクラッチ収容室8a内の潤滑油が減少してメインクラッチ5の引き摺りトルクが低減される。
以上説明した第1の実施の形態によれば、弁体91が温度変化によって変形することによりクラッチ収容室8aと貯留室8bとの間の潤滑油の流量が変わるので、貯留室8bに潤滑油を貯留することによってメインクラッチ5の引き摺りトルクを低減しながらも、必要時にはメインクラッチ5の潤滑を適切に行うことが可能となる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について、図8を参照して説明する。第1の実施の形態では、調節弁9が第2連通路8dに設けられた場合について説明したが、第2の実施の形態では、調節弁9が第1連通路8cに設けられている。その他の構成は第1の実施の形態と共通である。
図8(a)は、四輪駆動車100の二輪駆動状態において、調節弁9が開弁状態にあるときの潤滑油の流れを太線の矢印で示す説明図である。図8(b)は、同じく四輪駆動車100の二輪駆動状態において、調節弁9が閉弁状態にあるときの潤滑油の流れを太線の矢印で示す説明図である。本実施の形態では、調節弁9の一端部が、第1連通路8cにおいてガイド壁813に対向する外壁810の内面にボルト93によって固定されている。
二輪駆動時には、調節弁9の発熱部92に電流が供給されず、図8(a)に示すように調節弁9が開弁状態となる。これにより、第1の実施の形態と同様に、第1連通路8cに導入された潤滑油が連結壁812の複数の流入孔812aから貯留室8b内に流入し、貯留室8bに貯留される。
しかし、潤滑油の温度が上昇し、弁体91が潤滑油の熱を受けて湾曲すると、弁体91の先端部がガイド壁813に接近し、第1連通路8cに潤滑油が導入されにくくなる。これにより、貯留室8bに貯留される潤滑油が少なくなり、クラッチ収容室8aに多くの潤滑油が滞留して、メインアウタクラッチプレート51やメインインナクラッチプレート52の熱による損傷が抑制される。このように、本実施の形態においても、弁体91は、潤滑油の熱を受けて温度上昇することにより、貯留室8bに貯留される潤滑油の量を減少させるように変形する。
制御部20は、第1及び第2の押圧機構6,7を作動させて四輪駆動車100の駆動状態を二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替えるとき、発熱部92に電流を供給して弁体91を変形(湾曲)させる。弁体91が変形することにより、貯留室8bに貯留される潤滑油が減少し、メインクラッチ5におけるメインアウタクラッチプレート51とメインインナクラッチプレート52との摩擦摺動が潤滑される。
また、二輪駆動時における潤滑油の温度の上昇時には、制御部20から発熱部92に電流を供給することにより、弁体91を変形させてもよい。この場合、制御部20は、例えばケース本体81に設置された温度センサによって潤滑油の温度を測定してもよく、例えば後輪18の回転速度や車速に基づいて潤滑油の温度を推定してもよい。
以上説明した第2の実施の形態によっても、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
(付記)
以上、本発明の駆動力伝達装置及び駆動力伝達制御装置を第1及び第2の実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれら実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。例えば、上記第1及び第2の実施の形態では、リヤディファレンシャル装置16と駆動力伝達装置2とを別個に配置した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、ディファレンシャル装置と駆動力伝達装置とを一体化して実施してもよい。この場合、クラッチ収容室と連通し、クラッチ収容室から排出された滑油を貯留することが可能な貯留室に、ディファレンシャル装置を配置することができる。
また、上記第1及び第2の実施の形態では、電動モータ61の回転力によって作動する第1の押圧機構61、及び電磁コイル71の磁力によって作動する第2の押圧機構71によってメインクラッチ5を押圧するように駆動力伝達装置1を構成したが、第1の押圧機構61及び第2の押圧機構62のうち何れかの押圧機構を、ポンプによって圧力を発生させた流体により押圧力を発生するピストンによって構成してもよい。あるいは、このピストンによって構成された押圧機構のみによってメインクラッチ5を押圧するようにしてもよい。この場合、クラッチドラム31を円筒部及び底部を有する有底円筒状とし、ピストンの押圧力によってメインクラッチ5を底部側に向かって押圧する。
また、上記第1及び第2の実施の形態では、弁体91がバイメタルからなる場合について説明したが、これに限らず、例えば形状記憶合金によって弁体91を形成してもよい。この場合、弁体91が発熱部92又は潤滑油から熱を受け、弁体91の温度が変態点以上の温度になると変形する。なお、弁体91を形状記憶合金によって形成する場合には、弁体91が変態点以下の温度となった時に弁体91を初期の形状に戻すためのバネ等の弾性体が必要となる。
1…駆動力伝達制御装置
2…駆動力伝達装置
20…制御部
3…クラッチハウジング(第1回転部材)
4…インナシャフト(第2回転部材)
5…メインクラッチ(クラッチ)
51…メインアウタクラッチプレート(第1クラッチプレート)
52…メインインナクラッチプレート(第2クラッチプレート)
6…第1の押圧機構
7…第2の押圧機構
8…ケース
811…隔壁
8a…クラッチ収容室
8b…貯留室
8c…第1連通路
8d…第2連通路
9…調節弁
91…弁体
92…発熱部

Claims (6)

  1. 共通の回転軸線を中心として相対回転可能に配置された第1回転部材及び第2回転部材と、
    前記第1回転部材と共に回転する第1クラッチプレート、及び前記第2回転部材と共に回転する第2クラッチプレートを有し、前記第1クラッチプレートと前記第2クラッチプレートとの摩擦摺動が潤滑油によって潤滑されるクラッチと、
    前記クラッチに軸方向の押圧力を付与して前記第1クラッチプレートと前記第2クラッチプレートとを摩擦接触させる押圧機構と、
    前記クラッチを収容するクラッチ収容室、及び前記クラッチ収容室から排出された前記潤滑油を貯留可能な貯留室を有し、前記クラッチ収容室と前記貯留室との間で前記潤滑油を循環させることが可能なケースと、
    前記クラッチ収容室と前記貯留室との間の前記潤滑油の流量を調節可能な調節弁とを備え、
    前記調節弁は、温度変化によって変形することで前記潤滑油の流量を可変とする弁体を有する、
    駆動力伝達装置。
  2. 前記弁体は、前記潤滑油の熱を受けて温度上昇することにより、前記貯留室に貯留される前記潤滑油の量を減少させるように変形する、
    請求項1に記載の駆動力伝達装置。
  3. 前記ケースには、前記クラッチ収容室から前記貯留室に前記潤滑油を流通させる第1連通路、及び前記貯留室から前記クラッチ収容室に前記潤滑油を流通させる第2連通路が形成され、
    前記調節弁は、前記第1連通路又は前記第2連通路に設けられている、
    請求項1又は2に記載の駆動力伝達装置。
  4. 前記ケースは、前記クラッチ収容室と前記貯留室とを区画する隔壁を有し、
    前記調節弁は、前記隔壁に取り付けられている、
    請求項1乃至3の何れか1項に記載の駆動力伝達装置。
  5. 前記調節弁は、通電により発熱し、前記弁体を加熱する発熱部を有する、
    請求項1乃至4の何れか1項に記載の駆動力伝達装置。
  6. 請求項5に記載の駆動力伝達装置と、
    前記押圧機構を制御する制御部をさらに備え、
    前記制御部は、前記押圧機構を作動させるとき、前記弁体を変形させる第1電流値の電流を前記発熱部に供給し、前記弁体が変形した後、前記第1電流値よりも低くかつ前記弁体の変形状態を維持することが可能な第2電流値の電流を前記発熱部に供給する、
    駆動力伝達制御装置。
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