JP2011213190A - ハイブリッド駆動装置 - Google Patents

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悟 糟谷
Hiroshi Kato
博 加藤
Masashi Kito
昌士 鬼頭
Yuichi Seki
祐一 関
佑介 ▲高▼▲橋▼
Yusuke Takahashi
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Abstract

【課題】クラッチの摩擦部材及び回転電機のロータの双方の効率的な冷却。
【解決手段】第一軸Iと第二軸Mとの間に設けられるクラッチCLと、回転電機MGと、ケース2と、を備えたハイブリッド駆動装置。内部に形成される油室内にクラッチCLを収容するクラッチハウジングCHを備え、回転電機MGのロータRoがクラッチハウジングCHの円筒状包囲部49に接して固定され、クラッチCLは、一対の摩擦部材31と、外側支持部材26と、内側支持部材21と、を有し、外側支持部材26の軸方向の一方側端部がクラッチハウジングCHに一体的に形成され、外側支持部材26と円筒状包囲部49との間に隙間Sが形成され、外側支持部材26及び内側支持部材21は外側貫通孔27及び内側貫通孔23をそれぞれ有し、隙間Sは軸方向の他方側に開口部Pを有し、外側貫通孔27と開口部Pとの間の隙間Sが油流通路L2とされている。
【選択図】図3

Description

本発明は、内燃機関に駆動連結される第一軸と、回転電機と、第一軸と同軸上に配置され変速機構に駆動連結される第二軸と、第一軸と第二軸との間の駆動力の伝達及び遮断を切替可能に設けられるクラッチと、第一軸、第二軸、回転電機、及びクラッチを収容するケースと、を備えたハイブリッド駆動装置に関する。
内燃機関に駆動連結される第一軸と、回転電機と、第一軸と同軸上に配置され変速機構に駆動連結される第二軸と、第一軸と第二軸との間の駆動力の伝達及び遮断を切替可能に設けられるクラッチと、第一軸、第二軸、回転電機、及びクラッチを収容するケースと、を備えたハイブリッド駆動装置として、例えば下記の特許文献1に記載された装置が既に知られている。当該特許文献1の図8に示されているように、このハイブリッド駆動装置では、内燃機関(非電気エンジン)に駆動連結される第一軸(パイロットシャフト166)と変速機構に駆動連結される第二軸(トランスミッション入力シャフト140)とを、クラッチ(クラッチパック162)を介して選択的に駆動連結可能に構成されている。クラッチは、カバー127とシールプレート116とからなるクラッチハウジング内に収容され、回転電機のロータ(電気モータロータ182)はクラッチハウジングの一部を構成するカバー127の外周面に接して固定されている。
クラッチは、一対の摩擦部材(駆動プレート150、摩擦プレート152)を有しており、当該一対の摩擦部材の一方(摩擦プレート152)は内側支持部材(カバープレート160)により径方向内側から支持されると共に、一対の摩擦部材の他方は外側支持部材(カバー127)に対して軸方向に摺動自在な状態で当該外側支持部材により径方向外側から支持されている。つまり、この特許文献1に記載されたハイブリッド駆動装置では、クラッチハウジングの一部を構成する外側支持部材の外内周面に、回転電機のロータ及び一対の摩擦部材の他方がそれぞれ固定及びスプライン連結されている。
特開2009−002511号公報
ところで、クラッチが駆動力の伝達及び遮断の切り替えを行う際には、一般に当該クラッチが有する摩擦部材同士がスリップする状態を経ることから、摩擦部材は発熱する。また、回転電機がトルクを出力する際には、いわゆる銅損や鉄損等の発生により当該回転電機は発熱する。クラッチや回転電機の性能を良好に維持するためには、発熱する摩擦部材及び回転電機を効果的に冷却することが望まれる。この点、特許文献1に記載されたハイブリッド駆動装置では、クラッチハウジングの内部には乾燥空間(乾燥チャンバ132)が形成されており、摩擦部材を積極的に冷却するための構造は採用されていない。また、回転電機の冷却に関しても特別な構造は採用されていない。
なお、上記の構成において、例えばクラッチハウジングの内部に形成される空間を常時油で満たし、この油によりクラッチの摩擦部材を常時冷却すると共に、クラッチハウジングを介した熱伝導を利用して当該クラッチハウジングの外周面に固定される回転電機の冷却を行う構成を採用することも考えられる。しかしながら、特許文献1に記載されたハイブリッド駆動装置では、クラッチハウジングの一部を構成する外側支持部材の外内周面に回転電機のロータ及び一対の摩擦部材の他方がそれぞれ固定及びスプライン連結されているため、仮にそのような構成を採用したとしても、摩擦部材の近傍ではクラッチハウジング内を流通する油に淀みが生じ易い。すなわち、油は内側支持部材と外側支持部材との間の空間を一対の摩擦部材の配列方向(ここでは、第一軸及び第二軸の軸方向)に沿って蛇行して流通することになり、流通方向が変化する領域(例えば、外側支持部材の近傍)において淀みが生じ易い。その結果、クラッチが有する摩擦部材や回転電機のロータの冷却効率は低くならざるを得ない。
そこで、クラッチの摩擦部材及び回転電機のロータの双方を効率良く冷却することができるハイブリッド駆動装置の実現が望まれる。
本発明に係る、内燃機関に駆動連結される第一軸と、回転電機と、前記第一軸と同軸上に配置され変速機構に駆動連結される第二軸と、前記第一軸と前記第二軸との間の駆動力の伝達及び遮断を切替可能に設けられるクラッチと、前記第一軸、前記第二軸、前記回転電機、及び前記クラッチを収容するケースと、を備えたハイブリッド駆動装置の特徴構成は、前記クラッチの軸方向両側及び径方向外側を包囲して前記クラッチを収容すると共に、その内部に油で満たされる油室を形成するクラッチハウジングを備え、前記回転電機のロータが、前記クラッチの径方向外側を包囲して前記クラッチハウジングの一部を構成する円筒状包囲部の外周面に接して固定され、前記クラッチは、一対の摩擦部材と、円筒状の外側円筒部により前記一対の摩擦部材の一方を径方向外側から支持する外側支持部材と、円筒状の内側円筒部により前記一対の摩擦部材の他方を径方向内側から支持する内側支持部材と、を有し、前記外側円筒部が前記円筒状包囲部の径方向内側に配置されると共に、前記外側円筒部の軸方向の一方側端部が前記クラッチハウジングに一体的に形成され、前記外側円筒部の外周面と前記円筒状包囲部の内周面との間に隙間が形成され、前記外側円筒部及び前記内側円筒部は、径方向に貫通するように形成された外側貫通孔及び内側貫通孔をそれぞれ有し、前記隙間は軸方向の他方側に開口部を有し、前記外側貫通孔と前記開口部との間の前記隙間が油流通路とされている点にある。
上記の特徴構成によれば、クラッチハウジングの内部に形成される油室が油で満たされるので、多量の油との間の熱伝導により、クラッチハウジング内に収容されるクラッチの摩擦部材を冷却することができる。また、クラッチハウジングの一部を構成する円筒状包囲部の外周面に接して固定された回転電機のロータを、円筒状包囲部を介した上記多量の油との間の熱伝導により冷却することができる。
このとき、外側支持部材の外側円筒部の外周面とクラッチハウジングの円筒状包囲部の内周面との間に隙間が形成されると共に、当該隙間は軸方向の他方側に開口部を有し、更にクラッチを構成する内側支持部材の内側円筒部及び外側支持部材の外側円筒部が内側貫通孔及び外側貫通孔をそれぞれ有するので、外側貫通孔と開口部との間の隙間に、油が流通する油流通路を適切に形成することができる。このような油流通路は外側円筒部の外周面及び円筒状包囲部の内周面に沿った形状を有して形成されるので、当該油流通路やクラッチに備えられる摩擦部材の近傍では淀みが生じにくく、油は円滑に流通し易い。よって、摩擦部材や、円筒状包囲部のうちロータに接する部位の内周面に対して、比較的均等にかつ継続的に、これらを冷却するための油を供給することができる。
従って、上記の特徴構成によれば、クラッチの摩擦部材及び回転電機のロータの双方を効率良く冷却することができるハイブリッド駆動装置を提供することができる。
ここで、前記軸方向の一方側において、前記ロータの軸方向端と軸方向に重複するように、前記外側貫通孔が形成されている構成とすると好適である。
本願において、2つの部材の配置に関して、ある方向に「重複」とは、当該方向の配置に関して2つの部材が同じ位置となる部分を少なくとも一部に有することを指す。また、一の部材と他の部材の所定の位置との配置に関しても同様に考えることができる。すなわち、一の部材と他の部材の所定の位置との配置に関して、ある方向に「重複」とは、当該方向の配置に関して一の部材が他の部材の所定の位置と同じ位置となる部分を有することを指す。
この構成によれば、軸方向の一方側における外側貫通孔の軸方向端の位置は、ロータの軸方向端の位置に等しいか、又は、ロータの軸方向端の位置よりも更に軸方向の一方側となる。よって、外側貫通孔と軸方向の他方側の開口部との間に形成される油流通路を油が流通するとき、少なくとも外側貫通孔の軸方向の一方側端部と開口部との間を流通する油は、軸方向でロータが占める全ての領域において円筒状包囲部の内周面と接することになる。よって、円筒状包囲部を介する油との間の熱伝導により、ロータの全体を冷却することができる。従って、回転電機のロータをより一層効率良く冷却することができる。
また、前記クラッチは、押圧面を介して前記一対の摩擦部材を前記軸方向の他方側に押圧する押圧部材を有すると共に、前記押圧部材は、前記押圧面に対して前記軸方向の一方側に窪みつつ径方向に延びる径方向溝を有し、前記一対の摩擦部材が、互いに係合して一体回転する状態となるように前記押圧部材により押圧された完全係合状態で、前記径方向溝と軸方向に重複するように、前記外側貫通孔が形成されている構成とすると好適である。
完全係合状態では、一対の摩擦部材は押圧部材により互いに係合するように押圧されて一体回転する状態となり、摩擦部材同士の間の軸方向の隙間がなくなっているので、当該軸方向の隙間における、内側貫通孔と外側貫通孔との間での油の径方向の流通が阻害される。その結果、油流通路における油の流通量が低下する可能性がある。
この場合であっても、上記の構成によれば、完全係合状態で径方向溝と軸方向に重複するように外側貫通孔が形成されているので、押圧部材に形成される径方向溝を流通する油を、外側貫通孔へと供給し、更には外側円筒部の外周面と円筒状包囲部の内周面との間に形成される油流通路へと供給することができる。よって、完全係合状態においても油流通路における油の流通量が低下するのを抑制することができる。従って、完全係合状態においても、円筒状包囲部のうち回転電機のロータが固定された部位の内周面に対して、均等にかつ継続的に油を供給することができ、回転電機のロータを効率良く冷却することができる。
また、前記クラッチは、押圧面を介して前記一対の摩擦部材を前記軸方向の他方側に押圧する押圧部材を有すると共に、前記押圧部材は、前記軸方向の一方側と前記軸方向の他方側とを連通する軸方向連通孔を有し、前記一対の摩擦部材が、互いに係合して一体回転する状態となるように前記押圧部材により押圧された完全係合状態で、前記押圧部材の反押圧面側の径方向外側端部と軸方向に重複するように、前記外側貫通孔が形成されている構成とすると好適である。
この構成によれば、完全係合状態で押圧部材の反押圧面側の径方向外側端部と軸方向に重複するように外側貫通孔が形成されているので、軸方向の一方側と軸方向の他方側とを連通するように押圧部材に形成される軸方向連通孔を介して反押圧面側となる軸方向の一方側の空間に到達する油を、外側貫通孔へと供給することができる。これにより、当該油を外側円筒部の外周面と円筒状包囲部の内周面との間に形成される油流通路へと供給することができる。よって、完全係合状態においても油流通路における油の流通量が低下するのを抑制することができる。従って、完全係合状態においても、円筒状包囲部のうち回転電機のロータが固定された部位の内周面に対して、均等にかつ継続的に油を供給することができ、回転電機のロータを効率良く冷却することができる。
また、前記軸方向の一方側において、前記外側貫通孔の軸方向端よりも更に一方側に位置する前記隙間が閉塞されている構成とすると好適である。
この構成によれば、油流通路における油の流通経路を、完全に分岐することなく一方向に流通する一方向流通経路とすることができる。すなわち、軸方向の一方側における外側貫通孔の軸方向端よりも更に軸方向の一方側に向かう油の流れを規制して、軸方向の一方側における外側貫通孔の軸方向端と軸方向の他方側における開口部との間でのみ、油流通路を油が流通する構成を実現することができる。よって、このような分岐することなく一方向に流通する油により、回転電機のロータをより一層効率良く冷却することができる。
また、この構成では、外側貫通孔の軸方向端よりも更に一方側に位置する隙間に微小金属片等の異物が滞留するのを防止することができる。
また、前記外側円筒部は前記外側貫通孔を複数有し、当該複数の外側貫通孔が周方向に分散して形成されていると共に、前記内側円筒部は前記内側貫通孔を複数有し、当該複数の内側貫通孔が周方向に分散して形成されている構成とすると好適である。
この構成によれば、内側円筒部に形成される複数の内側貫通孔と外側円筒部に形成される複数の外側貫通孔との間における径方向の油の流れを、周方向に均等化することが容易となる。よって、クラッチの摩擦部材をより一層効率良く冷却することができる。
また、前記外側貫通孔及び前記内側貫通孔は、軸方向及び周方向にそれぞれ所定幅を有して形成されたスリット状貫通孔である構成とすると好適である。
この構成によれば、外側貫通孔及び内側貫通孔を形成するための外側円筒部及び内側円筒部への加工が比較的容易である。また、軸方向幅及び周方向幅を適宜設定することで、油流通路を流通する油の流量を所望の流量に調節することが容易である。
本発明の実施形態に係るハイブリッド駆動装置の概略構成を示す模式図である。 本発明の実施形態に係るハイブリッド駆動装置の部分断面図である。 クラッチの完全解放時における図2の部分拡大図である。 クラッチの完全係合時における図2の部分拡大図である。 本発明の実施形態に係るクラッチドラム及びピストンの一部斜視図である。 本発明の実施形態に係るクラッチハブの一部斜視図である。
本発明に係るハイブリッド駆動装置の実施形態について、図面を参照して説明する。ハイブリッド駆動装置1は、車両の駆動力源として内燃機関E及び回転電機MGの一方又は双方を用いるハイブリッド車両用の駆動装置である。このハイブリッド駆動装置1は、いわゆる1モータパラレルタイプのハイブリッド駆動装置として構成されている。
本実施形態に係るハイブリッド駆動装置1は、図1に示すように、内燃機関Eに駆動連結される入力軸Iと、回転電機MGと、変速機構TMに駆動連結される中間軸Mと、入力軸Iと中間軸Mとの間の駆動力の伝達及び遮断を切替可能に設けられるクラッチCLと、入力軸I、中間軸M、及びクラッチCL等を収容するケース2と、を備えている。このような構成において、本実施形態に係るハイブリッド駆動装置1は、その内部に油を満たした状態でクラッチCLを収容するクラッチハウジングCHを備える(図2を参照)点、及び、クラッチハウジングCH内における油の流通構造(図3を参照)に特徴を有する。
すなわち、ハイブリッド駆動装置1は、図2及び図3に示すように、クラッチCLの軸方向両側及び径方向外側を包囲してクラッチCLを収容すると共に、その内部に油で満たされる循環油室38を形成するクラッチハウジングCHを備える。回転電機MGのロータRoは、当該クラッチハウジングCHの一部を構成する円筒状包囲部49の外周面に接して固定されている。また、クラッチCLは、一対の摩擦プレート31a、31bと、ドラム側摩擦プレート31bを径方向外側から支持する円筒状のクラッチドラム26と、円筒状部22によりハブ側摩擦プレート31aを径方向内側から支持するクラッチハブ21と、を有する。クラッチドラム26は、径方向に貫通するように形成された外側貫通孔27を有すると共に、クラッチハブ21の円筒状部22は、径方向に貫通するように形成された内側貫通孔23を有する。クラッチドラム26は、円筒状包囲部49の径方向内側に配置されると共に、その軸方向他方側端部はクラッチハウジングCHに一体的に形成されている。更に、クラッチドラム26の外周面と円筒状包囲部49の内周面との間に、軸方向一方側に開口部Pを有する隙間Sが形成されており、この外側貫通孔27と開口部Pとの間の隙間Sが、油流通路としての第二油路L2とされている。これらの特徴的な構成の組み合わせにより、クラッチCLの摩擦プレート31及び回転電機MGのロータRoの双方を効率良く冷却することができるハイブリッド駆動装置1が実現されている。以下では、本実施形態に係るハイブリッド駆動装置1について、詳細に説明する。
なお、以下の説明では、特に断らない限り、同軸上に配置される入力軸I及び中間軸Mの回転軸を基準として、「軸方向」、「周方向」、「径方向」を定義している。これらの回転軸は、クラッチハブ21及びクラッチドラム26の回転軸に一致している。また、以下の説明では、特に断らない限り、図2における右側を「軸方向一方側」とし、図2における左側を「軸方向他方側」とする。本実施形態においては、軸方向他方側が本発明における「軸方向の一方側」に相当し、軸方向一方側が本発明における「軸方向の他方側」に相当する。
1.ハイブリッド駆動装置の全体構成
まず、本実施形態に係るハイブリッド駆動装置1の全体構成について説明する。図1に示すように、このハイブリッド駆動装置1は、車両の第一の駆動力源としての内燃機関Eに駆動連結される入力軸Iと、車両の第二の駆動力源としての回転電機MGと、変速機構TMと、回転電機MGに駆動連結されると共に変速機構TMに駆動連結される中間軸Mと、車輪Wに駆動連結される出力軸Oと、を備えている。また、ハイブリッド駆動装置1は、入力軸Iと中間軸Mとの間の駆動力の伝達及び遮断を切替可能に設けられるクラッチCLと、カウンタギヤ機構Cと、出力用差動歯車装置DFと、を備えている。これらの各構成は、駆動装置ケースとしてのケース2内に収容されている。本実施形態においては、入力軸Iが本発明における「第一軸」に相当し、中間軸Mが本発明における「第二軸」に相当する。
なお、「駆動連結」は、2つの回転要素が駆動力を伝達可能に連結された状態を指し、当該2つの回転要素が一体的に回転するように連結された状態、或いは当該2つの回転要素が一又は二以上の伝動部材を介して駆動力を伝達可能に連結された状態を含む概念として用いている。このような伝動部材としては、回転を同速で又は変速して伝達する各種の部材が含まれ、例えば、軸、歯車機構、ベルト、チェーン等が含まれる。また、「駆動力」はトルクと同義で用いている。また、「回転電機」は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として用いている。
内燃機関Eは、機関内部における燃料の燃焼により駆動されて動力を取り出す装置であり、例えば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の公知の各種エンジンを用いることができる。本例では、内燃機関Eのクランクシャフト等の内燃機関出力軸EoがダンパDを介して入力軸Iに駆動連結されている。また、入力軸IはクラッチCLを介して回転電機MG及び中間軸Mに駆動連結されており、入力軸IはクラッチCLにより選択的に回転電機MG及び中間軸Mに駆動連結される。このクラッチCLの係合状態では、入力軸Iを介して内燃機関Eと回転電機MGとが駆動連結され、クラッチCLの解放状態では内燃機関Eと回転電機MGとが分離される。
回転電機MGは、ステータStとロータRoとを有して構成され、電力の供給を受けて動力を発生するモータ(電動機)としての機能と、動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータ(発電機)としての機能とを果たすことが可能とされている。そのため、回転電機MGは、不図示の蓄電装置と電気的に接続されている。本例では、蓄電装置としてバッテリが用いられている。なお、蓄電装置としてキャパシタ等を用いても好適である。回転電機MGは、バッテリから電力の供給を受けて力行し、或いは、内燃機関Eが出力するトルクや車両の慣性力により発電した電力をバッテリに供給して蓄電させる。回転電機MGのロータRoは、中間軸Mと一体回転するように駆動連結されている。この中間軸Mは、変速機構TMの入力軸(変速入力軸)となっている。
変速機構TMは、中間軸Mの回転速度を所定の変速比で変速して変速出力ギヤGへ伝達する装置である。このような変速機構TMとして、本実施形態では、シングルピニオン型及びラビニヨ型の遊星歯車機構とクラッチ、ブレーキ及びワンウェイクラッチ等の複数の係合装置とを備えて構成され、変速比の異なる複数の変速段を切替可能に備えた自動変速機構が用いられている。なお、変速機構TMとして、その他の具体的構成を備えた自動変速機構や、変速比を無段階に変更可能な自動の無段変速機構、変速比の異なる複数の変速段を切替可能に備えた手動式の有段変速機構等を用いても良い。変速機構TMは、各時点における所定の変速比で、中間軸Mの回転速度を変速するとともにトルクを変換して、変速出力ギヤGへ伝達する。
カウンタギヤ機構Cは、変速出力ギヤGの回転及びトルクを車輪W側へ伝達する。このカウンタギヤ機構Cは、カウンタ軸Csと第一ギヤC1と第二ギヤC2とを有して構成されている。第一ギヤC1は変速出力ギヤGに噛み合っている。第二ギヤC2は、出力用差動歯車装置DFが有する差動入力ギヤDiに噛み合っている。出力用差動歯車装置DFは、差動入力ギヤDiの回転及びトルクを複数の車輪Wに分配して伝達する。本例では、出力用差動歯車装置DFは、互いに噛み合う複数の傘歯車を用いた差動歯車機構とされており、カウンタギヤ機構Cの第二ギヤC2を介して差動入力ギヤDiに伝達されるトルクを分配して、それぞれ出力軸Oを介して左右2つの車輪Wに伝達する。これにより、ハイブリッド駆動装置1は、内燃機関E及び回転電機MGの一方又は双方のトルクを車輪Wに伝達させて車両を走行させる。
なお、本実施形態に係るハイブリッド駆動装置1では、入力軸Iと中間軸Mとが同軸上に配置されると共に、カウンタ軸Csと出力軸Oとが、それぞれ入力軸I及び中間軸Mとは異なる軸上に互いに平行に配置されている。このような構成は、例えばFF(Front Engine Front Drive)車両に搭載されるハイブリッド駆動装置1の構成として適している。
2.ハイブリッド駆動装置の各部の構成
次に、本実施形態に係るハイブリッド駆動装置1の各部の構成について説明する。図2に示すように、ケース2は、その内部に収容される回転電機MGや変速機構TM等の各収容部品の外周を覆うケース周壁3と、当該ケース周壁3の軸方向一方側(内燃機関E側)の開口を塞ぐ第一支持壁4と、当該第一支持壁4よりも軸方向他方側(内燃機関Eとは反対側)において軸方向で回転電機MGと変速機構TMとの間に配置される第二支持壁7と、を備えている。更に、このケース2は、ケース周壁3の軸方向他方側端部を塞ぐ端部支持壁(不図示)を備えている。
第一支持壁4は、少なくとも径方向に延びる形状を有し、本実施形態では径方向及び周方向に延在している。第一支持壁4には軸方向の貫通孔が形成されており、この貫通孔に挿通される入力軸Iが第一支持壁4を貫通してケース2内に挿入されている。第一支持壁4は、軸方向他方側に突出する円筒状(ボス状)の軸方向突出部5に連結されている。軸方向突出部5は、第一支持壁4に一体的に連結されている。本例では、第一支持壁4は、入力軸Iが貫通されている部分において、径方向内側の部位が径方向外側の部位よりも軸方向他方側に位置するように、軸方向他方側に向かって凸となる皿状に湾曲した形状を有する壁部とされている。第一支持壁4は、クラッチハウジングCHに対して軸方向一方側に所定間隔を空けて隣接して配置されている。また、第一支持壁4には、その内部に排出油路72が形成された油路形成部材71が、径方向に沿って取り付けられている。
第二支持壁7は、少なくとも径方向に延びる形状を有し、本実施形態では径方向及び周方向に延在している。第二支持壁7には軸方向の貫通孔が形成されており、この貫通孔に挿通される中間軸Mが第二支持壁7を貫通している。第二支持壁7は、軸方向一方側に突出する円筒状(ボス状)の軸方向突出部8に連結されている。軸方向突出部8は、第二支持壁7に一体的に連結されている。第二支持壁7は、クラッチハウジングCHに対して軸方向他方側に所定間隔を空けて隣接して配置されている。また、第二支持壁7の内部に形成されるポンプ室には、オイルポンプ18が収容されている。本実施形態においては、オイルポンプ18は、インナロータとアウタロータとを有する内接型のギヤポンプとされている。オイルポンプ18のインナロータは、その径方向の中心部でクラッチハウジングCHと一体回転するように駆動連結(ここでは、スプライン連結)されている。クラッチハウジングCHの回転に伴い、オイルポンプ18は油を吐出し、クラッチCLや変速機構TM等に油を供給するための油圧を発生させる。なお、第二支持壁7及び中間軸M等の内部には、それぞれ油路が形成されており、オイルポンプ18により吐出された油は、不図示の油圧制御装置及びこれらの油路を流通して、油供給対象となる各部位に供給される。
入力軸Iは、内燃機関Eのトルクをハイブリッド駆動装置1に入力するための軸であり、軸方向一方側端部において内燃機関Eに駆動連結されている。ここで、入力軸Iは、第一支持壁4を貫通する状態で配設されており、図2に示すように、第一支持壁4の軸方向一方側でダンパDを介して内燃機関Eの内燃機関出力軸Eoと一体回転するように駆動連結されている。ダンパDは、内燃機関出力軸Eoの捩れ振動を減衰させつつ、当該内燃機関出力軸Eoの回転を入力軸Iに伝達する装置であり、各種公知のものを用いることができる。本実施形態では、ダンパDは、周方向に沿って配置された複数のコイルスプリングを有して構成されており、内燃機関出力軸Eoに固定されるドライブプレートDPに固定一体化されると共に、入力軸Iにスプライン連結されている。ダンパDは、全体としてドライブプレートDPよりも小径に形成されており、ドライブプレートDPの軸方向他方側に配置されている。また、入力軸Iと第一支持壁4とに亘って、これらの間を液密状態として軸方向一方側(ダンパD及び内燃機関E側)への油の漏出を抑制するための第三シール部材63が配設されている。
本実施形態では、入力軸Iの軸方向他方側端部の内径部には、軸方向に延びる軸端孔部12が形成されている。この軸端孔部12には、中間軸Mの軸方向一方側端部が軸方向に進入される。また、入力軸Iは、その軸方向他方側端部に、当該入力軸Iから径方向に延びるフランジ部11を有する。フランジ部11は、入力軸Iと一体的に形成されている。フランジ部11は、クラッチハウジングCH内に進入して、当該クラッチハウジングCH内に収容されるクラッチCLのクラッチハブ21に連結されている。フランジ部11の軸方向一方側には、第二軸受52が配設されると共に、フランジ部11の径方向外側であってかつクラッチCLが有するクラッチハブ21の軸方向他方側には、第三軸受53が配設されている。
中間軸Mは、回転電機MGのトルク及びクラッチCLを介する内燃機関Eのトルクの一方又は双方を変速機構TMに入力するための軸であり、クラッチハウジングCHにスプライン連結されている。図2に示すように、この中間軸Mは、第二支持壁7を貫通する状態で配設されている。上記のとおり、第二支持壁7の径方向中心部には軸方向の貫通孔が形成されており、この貫通孔を介して中間軸Mが第二支持壁7を貫通している。中間軸Mは、第二支持壁7に対して回転可能な状態で径方向に支持されている。また、中間軸Mの軸方向一方側端部は入力軸Iの軸端孔部12に軸方向に進入されている。このとき、中間軸Mの軸方向一方側の端面と入力軸Iの軸端孔部12における軸方向の底部を規定する面との間には、所定の隙間が形成されている。本実施形態においては、中間軸Mはその内径部に供給油路15及び排出油路16を含む複数の油路を有する。供給油路15は、中間軸Mの軸方向一方側において、軸方向に延びると共にクラッチCLの作動油室37に連通するように軸方向の所定位置で径方向に延びて中間軸Mの外周面に開口している。排出油路16は、中間軸Mの軸方向一方側において、供給油路15とは周方向の異なる位置を軸方向に延びて軸方向一方側の端面に開口している。
クラッチCLは、上記のとおり入力軸Iと中間軸Mとの間の駆動力の伝達及び遮断を切替可能に設けられ、内燃機関Eと回転電機MGとを選択的に駆動連結する摩擦係合装置である。本実施形態では、クラッチCLは、油が供給される空間内で動作する湿式多板クラッチ機構として構成されている。図3に示すように、クラッチCLは、クラッチハブ21、クラッチドラム26、複数の摩擦プレート31、及びピストン36を備えて構成されている。クラッチハブ21は、入力軸Iと一体回転するように当該入力軸Iのフランジ部11に連結されている。クラッチドラム26は、クラッチハウジングCHを介して中間軸Mと一体回転するように連結されている。クラッチハブ21及びクラッチドラム26に、複数の摩擦プレート31が、それぞれ軸方向に摺動自在に保持されている。複数の摩擦プレート31に対して軸方向一方側には、当該複数の摩擦プレート31同士を係合させる際の押さえ部材として機能するバッキングプレート32が保持されている。このバッキングプレート32は、スナップリング33により軸方向の移動が規制された状態で保持されている。ピストン36は、リターンスプリングにより軸方向他方側に付勢された状態で複数の摩擦プレート31に対して軸方向他方側に配置されている。クラッチCLの構成の詳細については、後述する。
本実施形態では、クラッチドラム26と一体化されたクラッチハウジングCHとピストン36との間には液密状態の作動油室37が形成される。作動油室37は、クラッチCLの係合状態(完全係合、完全解放、又はこれらの間の部分係合)を制御するための油室である。この作動油室37には、オイルポンプ18により吐出され、不図示の油圧制御装置により所定の油圧に調整された圧油が、中間軸Mに形成された供給油路15及びクラッチハウジングCHに形成された連絡油路48を介して供給される。作動油室37の油圧が上昇してリターンスプリングの付勢力よりも大きくなると、ピストン36は作動油室37の容積を広げる方向(本例では、軸方向一方側)に移動して、バッキングプレート32との協働により複数の摩擦プレート31同士を互いに係合させる。その結果、入力軸Iから伝達された内燃機関EのトルクがクラッチCLを介して回転電機MG及び中間軸Mに伝達される。一方、ピストン36に対して作動油室37とは反対側には、循環油室38が形成される。循環油室38は、主にクラッチCLを冷却するための油が循環する油室である。この循環油室38には、オイルポンプ18により吐出され、不図示の油圧制御装置により所定の油圧に調整された圧油が、クラッチハウジングCHに形成された循環油路47(図2を参照)を介して供給される。
図2及び図3に示すように、本実施形態に係るハイブリッド駆動装置1は、クラッチCLを収容するクラッチハウジングCHを更に備えている。クラッチハウジングCHは、入力軸Iに対して相対回転すると共に中間軸Mと一体回転する状態で、入力軸Iと中間軸Mとに亘って配設されている。そして、クラッチハウジングCHは、同軸上に配置される入力軸I及び中間軸Mの径方向外側で、クラッチCLの軸方向両側及び径方向外側を包囲してクラッチCLを収容している。そのため、クラッチハウジングCHは、クラッチCLの軸方向一方側に配置されて径方向に延びる一方側径方向延在部41と、クラッチCLの軸方向他方側に配置されて径方向に延びる他方側径方向延在部45と、一方側径方向延在部41と他方側径方向延在部45とをこれらの径方向外側端部で軸方向に連結する円筒状包囲部49と、を有して構成されている。
一方側径方向延在部41は、少なくとも径方向に延びる形状を有し、本実施形態では径方向及び周方向に延在している。一方側径方向延在部41は、循環油室38の軸方向一方側を区画している。一方側径方向延在部41の径方向中心部には軸方向の貫通孔が形成されており、この貫通孔に挿通される入力軸Iが一方側径方向延在部41を貫通してクラッチハウジングCH内に挿入されている。一方側径方向延在部41は、軸方向一方側に突出する円筒状(ボス状)の軸方向突出部42に連結されている。軸方向突出部42は、入力軸Iの周囲を取り囲むように形成されている。軸方向突出部42と入力軸Iとの間には第五軸受55が配設されている。軸方向突出部42は、一方側径方向延在部41の径方向内側端部において、当該一方側径方向延在部41に一体的に連結されている。本例では、一方側径方向延在部41は、全体として径方向内側の部位が径方向外側の部位よりも軸方向他方側に位置するように、軸方向他方側に向かって凸となる皿状に湾曲した形状を有する部材とされている。一方側径方向延在部41は、第一支持壁4に対して軸方向他方側に所定間隔を空けて隣接すると共に、軸方向突出部42が第一支持壁4の軸方向突出部5に対して径方向内側に所定間隔を空けて隣接する状態で配置されている。更に、一方側径方向延在部41は、クラッチハブ21及び入力軸Iのフランジ部11に対して軸方向一方側に所定間隔を空けて隣接して配置されている。また、軸方向突出部42と第一支持壁4の軸方向突出部5とに亘って、第一軸受51と、これらの間を液密状態として軸方向他方側(回転電機MG側)への油の漏出を抑制するための第一シール部材61と、が配設されている。
円筒状包囲部49は、軸方向及び周方向に延在してクラッチCLの径方向外側を包囲する円筒型の形状を有している。円筒状包囲部49は、一方側径方向延在部41と他方側径方向延在部45とをこれらの径方向外側端部で軸方向に連結している。円筒状包囲部49は、本実施形態では一方側径方向延在部41の径方向外側端部から軸方向他方側に向かって延在している。円筒状包囲部49は、循環油室38の径方向外側を区画している。本例では、円筒状包囲部49は一方側径方向延在部41と一体的に形成されている。また、本実施形態では、円筒状包囲部49は、クラッチドラム26の径方向外側に、当該クラッチドラム26との間に所定間隔を空けて配置されている。すなわち、円筒状包囲部49の内周面とクラッチドラム26の外周面とが径方向に所定間隔を空けて対向するように、円筒状包囲部49が配置されている。
他方側径方向延在部45は、少なくとも径方向に延びる形状を有し、本実施形態では径方向及び周方向に延在している。他方側径方向延在部45は、ピストン36よりも径方向内側部分及び作動油室37よりも径方向外側部分で、循環油室38の軸方向他方側を区画している。本例では、他方側径方向延在部45は、全体として径方向内側の部位が径方向外側の部位よりも軸方向一方側に位置するように、径方向内側部分が径方向外側部分に対して軸方向一方側にオフセットされた形状を有する板状部材とされている。また、他方側径方向延在部45は、径方向外側端部の近傍において円筒状包囲部49の軸方向他方側の部位と溶接等により連結されている。他方側径方向延在部45の径方向中心部には軸方向の貫通孔が形成されており、この貫通孔に挿通される中間軸Mが他方側径方向延在部45を貫通してクラッチハウジングCH内に挿入されている。他方側径方向延在部45は、径方向内側端部においてその内周面が周方向全体に亘って中間軸Mの外周面に当接している。また、他方側径方向延在部45は、軸方向他方側に突出する円筒状(ボス状)の軸方向突出部46に連結されている。軸方向突出部46は、中間軸Mの周囲を取り囲むように形成されている。軸方向突出部46は、他方側径方向延在部45の径方向内側端部において、当該他方側径方向延在部45に一体的に連結されている。
軸方向突出部46は、中間軸Mと一体回転するようにスプライン連結されている。他方側径方向延在部45は、第二支持壁7に対して軸方向一方側に所定間隔を空けて隣接すると共に、軸方向突出部46が第二支持壁7の軸方向突出部8に対して径方向内側に所定間隔を空けて隣接する状態で配置されている。更に、他方側径方向延在部45は、その径方向内側の部位においてクラッチハブ21及び入力軸Iのフランジ部11に対して軸方向他方側に所定間隔を空けて隣接して配置されている。また、軸方向突出部46と第二支持壁7の軸方向突出部8とに亘って、第四軸受54と、これらの間を液密状態として軸方向一方側(回転電機MG側)への油の漏出を抑制するための第二シール部材62と、が配設されている。
なお、本実施形態においては、この他方側径方向延在部45にクラッチドラム26が一体的に形成されている。より具体的には、他方側径方向延在部45の径方向外側端部近傍において、当該他方側径方向延在部45から軸方向一方側に向かって延在するように円筒状のクラッチドラム26が一体形成されている。また、本実施形態においては、他方側径方向延在部45の径方向内側部分とピストン36との間に作動油室37が形成されている。また、他方側径方向延在部45には、供給油路15と作動油室37とを連通するように、径方向に対して軸方向一方側に向かって僅かに傾斜しつつ全体として径方向に延びる連絡油路48が、軸方向突出部46との連結部に形成されている。
クラッチハウジングCHの内部に形成される空間のうち、作動油室37を除いた大部分を占める空間が、先に説明した循環油室38となる。そして、本実施形態においては、オイルポンプ18により吐出されて所定の油圧に調整された油が、軸方向突出部46内を軸方向に延びるように形成された循環油路47を介して循環油室38に供給される。本実施形態においては、軸方向突出部42と入力軸Iとの間に配設される第五軸受55は、ある程度の液密性が確保可能に構成されたシール機能付軸受(ここでは、シールリング付ニードルベアリング)とされている。更に、他方側径方向延在部45は、径方向内側端部においてその内周面が周方向全体に亘って中間軸Mの外周面に当接している。そのため、循環油路47を介して油が循環油室38に供給されることにより、クラッチハウジングCH内の循環油室38は、基本的には常時油で満たされた状態となる。これにより、本実施形態に係るハイブリッド駆動装置1では、クラッチCLに備えられる複数の摩擦プレート31を、循環油室38に常時満たされる多量の油で効果的に冷却することが可能となっている。本実施形態においては、循環油室38が本発明における「油室」に相当する。なお、基本的には常時油で満たされた状態を維持しながらも、循環油室38には油が流通する。この循環油室38内における油の流通構造に関しては、後述する。
図2に示すように、本例では、循環油室38からの油の排出経路は2系統に分かれている。第一の排出経路は、入力軸Iの外周面に開口する径方向の連通孔及び中間軸Mの内径部に形成された排出油路16を介するものである。本実施形態では、中間軸Mの軸方向一方側端部の外径は入力軸Iの軸端孔部12の内径よりも僅かに小さくなるように形成されており、また中間軸Mの軸方向一方側の端面と入力軸Iの軸端孔部12における軸方向の底部を規定する面との間には、所定の隙間が形成されている。これにより、入力軸Iに形成される径方向の連通孔を通って循環油室38から排出される油を、中間軸Mと入力軸Iの軸端孔部12との間に形成される径方向の隙間及び軸方向の隙間を介して排出油路16へと適切に導くことが可能となっている。第二の排出経路は、第五軸受55から軸方向に漏出する油を対象とし、第一支持壁4に取り付けられた油路形成部材71の内部の排出油路72を介するものである。このような第二の排出経路は、入力軸Iと第一支持壁4との間に配設される第三シール部材63、及びクラッチハウジングCHの軸方向突出部42と第一支持壁4の軸方向突出部5との間に配設される第一シール部材61により画定される。これにより、第五軸受55から軸方向に漏出する油を、排出油路72へと適切に導くことが可能となっている。
図2に示すように、回転電機MGは、クラッチハウジングCHの径方向外側に配置されている。回転電機MGは、ケース2に固定されたステータStと、このステータStの径方向内側に回転自在に支持されたロータRoと、を有する。ステータStは、円環板状の電磁鋼板を複数枚積層した積層構造体として構成されて第一支持壁4に固定されるステータコアと、当該ステータコアに巻装されるコイルと、を備えている。なお、コイルのうち、ステータコアの軸方向両側に突出する部分がコイルエンド部Ceである。回転電機MGのロータRoは、円環板状の電磁鋼板を複数枚積層した積層構造体として構成されたロータコアと、当該ロータコアに埋め込まれた永久磁石と、を備えている。
本実施形態においては、回転電機MGは、クラッチハウジングCHと軸方向に重複して配置されている。すなわち、回転電機MGは、径方向から見てクラッチハウジングCHと重複して配置されている。本例では特に、回転電機MGのロータRoが、クラッチハウジングCHを構成する円筒状包囲部49の外周部に固定されている。すなわち、ロータRoのロータコアを構成する複数の電磁鋼板のそれぞれの内周面が、円筒状包囲部49の外周面に接した状態で固定されている。これにより、クラッチハウジングCHはロータRoを支持するロータ支持部材としても機能し、本実施形態ではクラッチハウジングCHとロータ支持部材とが共通化されて形成されていることになる。
また、本実施形態においては、クラッチハウジングCHの軸方向他方側で、ケース2の第二支持壁7及び他方側径方向延在部45の双方に隣接して回転センサ19が設けられている。回転センサ19は、回転電機MGのステータStに対するロータRoの回転位相を検出するためのセンサである。本実施形態では、回転センサ19は、第二支持壁7の内部に収容されたオイルポンプ18の径方向外側に、当該オイルポンプ18と軸方向に重複して配置されている。すなわち、回転センサ19は、径方向から見てオイルポンプ18と重複して配置されている。本例では、第二支持壁7に回転センサ19のセンサステータが固定され、円筒状包囲部49の軸方向他方側端部の内周面に回転センサ19のセンサロータが固定されている。このような回転センサ19としては、例えばレゾルバ等を用いることができる。
また、本実施形態においては、第一支持壁4の軸方向一方側に所定の隙間を空けて、ダンパDが配置されている。ダンパDは、軸方向他方側に向かって凸となる皿状に湾曲した形状を有して形成された第一支持壁4の、軸方向一方側から見て軸方向他方側に引退した空間に配置されている。本例では、更にダンパDは、回転電機MGのステータStの軸方向一方側(内燃機関E側)のコイルエンド部Ceの径方向内側に、当該コイルエンド部Ceと軸方向に重複して配置されている。すなわち、ダンパDは、径方向から見てコイルエンド部Ceと重複して配置されている。
3.クラッチの構成
次に、クラッチCLの構成について説明する。図3に示すように、クラッチCLは、一対の摩擦プレート31(ハブ側摩擦プレート31a及びドラム側摩擦プレート31b)と、ハブ側摩擦プレート31aを径方向内側から支持するクラッチハブ21と、ドラム側摩擦プレート31bを径方向外側から支持するクラッチドラム26と、を有する湿式の摩擦係合装置である。本実施形態においては、クラッチハブ21は入力軸Iのフランジ部11に連結されており、クラッチドラム26は中間軸Mと一体回転するように駆動連結されたクラッチハウジングCHに一体的に形成されている。すなわち、本実施形態では、クラッチハブ21が入力軸Iと一体回転するように駆動連結されると共に、クラッチドラム26が中間軸Mと一体回転するように駆動連結されている。クラッチCLを構成する各部材は、入力軸I及び中間軸Mと同軸状に配置されている。本実施形態においては、ハブ側摩擦プレート31a及びドラム側摩擦プレート31bが本発明における「一対の摩擦部材」に相当する。また、クラッチハブ21が本発明における「内側支持部材」に相当し、クラッチドラム26が本発明における「外側支持部材」に相当する。
クラッチCLは、摩擦プレート31として、対となるハブ側摩擦プレート31aとドラム側摩擦プレート31bとを有する。ここで、クラッチCLは、複数(本例では5枚)のハブ側摩擦プレート31aと、複数(本例では5枚)のドラム側摩擦プレート31bと、を有する。ハブ側摩擦プレート31aとドラム側摩擦プレート31bとは、いずれも円環板状に形成されており、互いに回転軸を一致させて配置されている。また、ハブ側摩擦プレート31aとドラム側摩擦プレート31bとは、軸方向に交互に配置されている。すなわち、ハブ側摩擦プレート31aは2つのドラム側摩擦プレート31bの間に介在するように配置されると共に、ドラム側摩擦プレート31bは2つのハブ側摩擦プレート31aの間に介在するように配置されている。
ハブ側摩擦プレート31a及びドラム側摩擦プレート31bは、互いに対向する軸方向端面が、全体として円環状とされた摩擦当接面とされており、クラッチCLの係合時に双方の摩擦当接面同士が当接可能に対向配置されている。また、ハブ側摩擦プレート31a及びドラム側摩擦プレート31bとの少なくとも一方の軸方向端面には、例えば紙や合成樹脂等を基材とする摩擦材が貼り付けられており、当該摩擦材が摩擦当接面を構成している。例えば、互いに同じ形状を有するセグメント状の複数の摩擦材を周方向に沿って一定の間隔毎に全体として円環状に配置して、摩擦当接面を構成することができる。この場合、周方向に隣接する摩擦材同士の間に放射状の溝状部が形成される。本実施形態では、このような溝状部を介しても、摩擦プレート31間に導入された油を径方向に流通させることができる。
クラッチハブ21は、円筒状に形成され複数のハブ側摩擦プレート31aを径方向内側から保持する円筒状部22と、当該円筒状部22の軸方向一方側端部から径方向内側に延びる円環板状部24と、を有する。本実施形態においては、円筒状部22が本発明における「内側円筒部」に相当する。図6に示すように、円筒状部22の外周面には、軸方向に延びる複数のスプライン溝22aと、周方向に隣接する2つのスプライン溝22aの間に形成されて軸方向に延びる複数のスプライン歯22bと、が周方向に分散して形成されている。スプライン歯22bは、スプライン溝22aの底部に対して径方向外側に突出している。複数のスプライン溝22aは、ハブ側摩擦プレート31aを保持するための溝部である。そして、ハブ側摩擦プレート31aの内周面には、当該スプライン溝22aと係合するスプライン歯(不図示)が形成されており、そのスプライン歯をスプライン溝22aに係合させることで、ハブ側摩擦プレート31aは、クラッチハブ21により径方向内側から支持された状態で当該クラッチハブ21に対して相対回転が規制されると共に軸方向に摺動自在に保持されている。
円筒状部22は、当該円筒状部22の内周面と外周面とを連通して径方向に貫通するように形成された内側貫通孔23を有する。本実施形態においては、このような内側貫通孔23は、複数のスプライン歯22bのそれぞれに形成されている。ここで、上記のとおり複数のスプライン歯22bは円筒状部22の外周面に周方向に分散して形成されているので、これに応じて内側貫通孔23も複数形成されると共に、複数の内側貫通孔23は周方向に分散して配置されている。内側貫通孔23は、スプライン歯22bの中央部に形成されている。また、本実施形態においては、内側貫通孔23は、軸方向及び周方向にそれぞれ所定幅を有して形成されたスリット状貫通孔とされている。本例では、スプライン歯22bの軸方向幅に対して僅かに短い軸方向幅を有すると共に比較的狭い周方向幅を有して形成された、比較的幅狭のスリット状貫通孔とされている。図示の例では、内側貫通孔23は、スプライン歯22bの頂部を構成する平面領域(図6においてドット柄を付して表示)の軸方向幅及び周方向幅を基準として、それぞれ約3/4の軸方向幅及び約1/3の周方向幅を有している。なお、内側貫通孔23の軸方向幅及び周方向幅は、後述する第一油路L1及び第二油路L2を流通する油に求められる流量等を考慮して、適宜設定変更が可能である。
円環板状部24は、円筒状部22の軸方向一方側端部と一体的に形成されており、当該円筒状部22から径方向内側に延びる円環板状の部材である。図3に示すように、円環板状部24の径方向内側端部は、溶接等により入力軸Iのフランジ部11に連結されている。円環板状部24は、円筒状部22及びこの円筒状部22に保持された複数のハブ側摩擦プレート31aを、径方向内側から支持している。
クラッチドラム26は、円筒状に形成されている。クラッチドラム26は、複数のドラム側摩擦プレート31bを径方向外側から保持している。従って、本実施形態においては、外側支持部材としてのクラッチドラム26は、本発明における「外側円筒部」としても機能している。図5に示すように、クラッチドラム26の内周面には、軸方向に延びる複数のスプライン溝26aと、周方向に隣接する2つのスプライン溝26aの間に形成されて軸方向に延びる複数のスプライン歯26bと、が周方向に分散して形成されている。スプライン歯26bは、スプライン溝26aの底部に対して径方向内側に突出している。この複数のスプライン溝26aは、ドラム側摩擦プレート31bを保持するための溝部である。そして、ドラム側摩擦プレート31bの外周面には、当該スプライン溝26aと係合するスプライン歯(不図示)が形成されており、そのスプライン歯をスプライン溝26aに係合させることで、ドラム側摩擦プレート31bは、クラッチドラム26により径方向外側から支持された状態で当該クラッチドラム26に対して相対回転が規制されると共に軸方向に摺動自在に保持されている。なお、ピストン36も同様に、クラッチドラム26に対して相対回転が規制された状態で軸方向に摺動自在である。また、クラッチドラム26の内周面において、スプライン歯26bの軸方向一方側の端部近傍には、スナップリング33を保持するための凹溝28が形成されている。
クラッチドラム26は、当該クラッチドラム26の内周面と外周面とを連通して径方向に貫通するように形成された外側貫通孔27を有する。本実施形態においては、このような外側貫通孔27は、クラッチドラム26が有する複数のスプライン溝26aのそれぞれに形成されている。ここで、上記のとおり複数のスプライン溝26aはクラッチドラム26の内周面に周方向に分散して形成されているので、これに応じて外側貫通孔27も複数形成されると共に、複数の外側貫通孔27は周方向に分散して配置されている。外側貫通孔27は、スプライン溝26aの中央部に形成されている。また、本実施形態においては、外側貫通孔27は、軸方向及び周方向にそれぞれ所定幅を有して形成されたスリット状貫通孔とされている。本例では、スプライン溝26aの軸方向幅に対して僅かに短い軸方向幅を有すると共に比較的広い周方向幅を有して形成された、比較的幅広のスリット状貫通孔とされている。図示の例では、外側貫通孔27は、スプライン溝26aを構成する平面領域(図5においてドット柄を付して表示)の軸方向幅及び周方向幅を基準として、それぞれ約3/4の軸方向幅及び約3/4の周方向幅を有している。なお、外側貫通孔27の軸方向幅及び周方向幅は、後述する第一油路L1及び第二油路L2を流通する油に求められる流量等を考慮して、適宜設定変更が可能である。
このような外側貫通孔27は、軸方向他方側において、回転電機MGのロータRoの軸方向他方側端部と径方向から見て軸方向に重複するようにクラッチドラム26に形成される。すなわち、軸方向における外側貫通孔27の軸方向他方側端部の位置が、回転電機MGのロータRoの軸方向他方側端部の位置に等しいか、又は、ロータRoの軸方向他方側端部の位置よりも更に軸方向他方側となるように、外側貫通孔27が形成される。本例では、図3に示すように、ロータRoの軸方向他方側端部の位置よりも更に軸方向他方側となる、クラッチハウジングCHの他方側径方向延在部46とクラッチドラム26との連結部の近傍に軸方向他方側端部が位置するように、外側貫通孔27が形成されている。なお、本例では、軸方向における外側貫通孔27の軸方向一方側端部は、軸方向でロータRoが占める領域の中央部付近に位置している。
クラッチドラム26は、クラッチハウジングCHの一部を構成する円筒状包囲部49の径方向内側に、当該円筒状包囲部49との間に所定間隔を空けて配置されている。すなわち、クラッチドラム26の外周面と円筒状包囲部49の内周面とが径方向に所定間隔を空けて対向するように、クラッチドラム26が配置されている。言い換えれば、クラッチドラム26の外周面と円筒状包囲部49の内周面との間に径方向の隙間Sが形成されている。この隙間Sにより、軸方向及び周方向に延在する円筒状の空間が形成される。また、本実施形態では、クラッチドラム26は、その軸方向一方側端部をクラッチハウジングCHの一部を構成する一方側径方向延在部41から隔てた状態で配置されている。これにより、上記隙間Sは、クラッチハウジングCH内において軸方向一方側に開口する開口部Pを有している。一方、クラッチドラム26は、その軸方向他方側端部において、クラッチハウジングCHの一部を構成する他方側径方向延在部45に一体的に形成されている。これにより、上記隙間Sの軸方向他方側端部、より具体的には、上記隙間Sのうち外側貫通孔27の軸方向他方側端部よりも更に軸方向他方側の空間は、径方向に沿った断面形状において、クラッチドラム26の外周面、円筒状包囲部49の内周面、及び他方側径方向延在部45の軸方向一方側の面により包囲されたポケット状の空間となっている。
ピストン36は、不図示の油圧制御装置を介して作動油室37へ所定油圧の圧油が供給された際に、油圧に応じて軸方向に摺動して複数の摩擦プレート31を軸方向一方側に押圧するための部材である。本実施形態においては、ピストン36が本発明における「押圧部材」に相当する。図5に示すように、ピストン36の外周部には、複数のスプライン溝36eと、周方向に隣接する2つのスプライン溝36eの間に形成される複数のスプライン歯36fと、が周方向に分散して形成されている。スプライン歯36fは、スプライン溝36aの底部に対して径方向外側に突出している。複数のスプライン歯36fは、クラッチドラム26の複数のスプライン溝26aに係合される。このスプライン歯36fをスプライン溝26aに係合させることで、ピストン36は、クラッチドラム26により径方向外側から支持された状態で当該クラッチドラム26に対して相対回転が規制されると共に軸方向に摺動自在に保持される。
ピストン36は、その軸方向一方側の外周部に、全体として円環状の押圧面36aを有する。この押圧面36aは、クラッチCLの係合時に摩擦プレート31(本例では、ドラム側摩擦プレート31b)の軸方向他方側端面に当接可能に、当該摩擦プレート31に対向配置されている。本実施形態においては、図5に示すように、ピストン36は、押圧面36aに対して軸方向他方側に引退するように凹状に窪んだ形状を有しつつ、径方向に延びる複数の径方向溝36cを有する。本例では、8つ(図5においては、そのうち4つのみを表示)の径方向溝36cが周方向に均等に分散されて形成されている。更に本例では、ピストン36は、軸方向一方側と軸方向他方側とを連通する複数の軸方向連通孔36dを有する。複数の軸方向連通孔36dは、ピストン36内を少なくとも軸方向他方側に延びて、押圧面36a側となる軸方向一方側と反押圧面36b側となる軸方向他方側とを連通する。なお、「反押圧面36b」は、ピストン36の押圧方向における、当該ピストン36を基準とした押圧面36aとは反対側の面であり、本例ではピストン36の軸方向他方側の面である。本例では、反押圧面36b側(軸方向他方側)に向かうに従って径方向外側に向かって傾斜する8つ(図5においては、そのうち4つのみを表示)の軸方向連通孔36dが、周方向に均等に分散されて形成されている。また本例では、クラッチCLの完全解放時においても軸方向連通孔36dの反押圧面36b側の開口部が他方側径方向延在部45の軸方向一方側の面によって塞がれることがないように、図3に示すように、軸方向連通孔36dは、反押圧面36bのうち径方向外側に向かうに従って軸方向一方側に向かうように傾斜する部位に開口している。なお、径方向溝36cの数、幅、深さ等、及び軸方向連通孔36dの数、内径等は、後述する第二油路L2、第三油路L3、及び第四油路L4を流通する油に求められる流量等を考慮して、適宜設定変更が可能である。
4.クラッチハウジング内における油の流通構造
次に、クラッチハウジングCH内(循環油室38内)における油の流通構造について説明する。上記のとおり、循環油室38内においては、基本的には常時油で満たされた状態を維持しながら油が流通している。すなわち、循環油路47(図2を参照)を介して循環油室38に供給された所定油圧の圧油は、クラッチCLの完全解放時の状態を表している図3に示すように、まず他方側径方向延在部45とフランジ部11との間、及びピストン36とクラッチハブ21の円環板状部24との間を通って径方向外側に向かって流れ、クラッチハブ21の円筒状部22に到達する。クラッチハブ21の円筒状部22に到達した油は、当該円筒状部22に形成された内側貫通孔23を介して円筒状部22とクラッチドラム26との間の空間に流入し、その後、第一油路L1及び第二油路L2を通って開口部Pに到達する。開口部Pに到達した油は、バッキングプレート32と一方側径方向延在部41との間、及びクラッチハブ21の円環板状部24と一方側径方向延在部41との間を通って径方向内側に向かって流れ、フランジ部11の基端部に到達する。その後、油は、上述した2系統の排出経路、すなわち、中間軸Mに形成される排出油路16を介した第一の排出経路、及び油路形成部材71に形成される排出油路72を介した第二の排出経路、を介して循環油室38から排出される。なお、油が同時に周方向に流れたり、クラッチハブ21やクラッチドラム26に形成されたスプライン溝の延在方向に沿って軸方向に流れたりする場合も当然あり得るが、径方向及び軸方向の主な流れは上記のようになる。
ここで、第一油路L1は、内側貫通孔23と外側貫通孔27との間における、ハブ側摩擦プレート31aとドラム側摩擦プレート31bとの間の軸方向の隙間として形成される油路である。なお、図3に示すクラッチCLの完全解放時には、隣接する摩擦プレート31間には適正な値のクリアランス(パッククリアランス)が設けられるので、そのような軸方向の隙間が形成され易い。第一油路L1は、少なくとも径方向に延びるように形成されている。すなわち油は、基本的にはハブ側摩擦プレート31a及びドラム側摩擦プレート31bに沿って、これらの間に形成される第一油路L1を径方向に流通する。なお、本例では、複数のハブ側摩擦プレート31aと複数のドラム側摩擦プレート31bとがクラッチCLに備えられており、ハブ側摩擦プレート31aとドラム側摩擦プレート31bとの間の軸方向の隙間も複数存在する。よって、本実施形態においては、軸方向に所定間隔で並んで形成される複数の流路の集合として、第一油路L1が構成されている。この第一油路L1を油が流通する際、摩擦プレート31と油との間の熱伝導により、当該摩擦プレート31が冷却される。よって、例えばクラッチCLの部分係合時に、ハブ側摩擦プレート31aとドラム側摩擦プレート31bとがスリップして発熱したとしても、これらが過熱するのを抑制してクラッチCLの性能を良好に維持することができる。
第二油路L2は、外側貫通孔27と開口部Pとの間における、クラッチドラム26と円筒状包囲部49との間の径方向の隙間Sとして形成される油路である。第二油路L2は、軸方向に延びるように形成されている。すなわち油は、クラッチドラム26の外周面及び円筒状包囲部49の内周面に沿って、これらの間に形成される第二油路L2を軸方向に流通する。本実施形態においては、第二油路L2が、本発明における「外側貫通孔と開口部との間の油流通路」に相当する。この第二油路L2を油が流通する際、円筒状包囲部49と油との間の熱伝導により、当該円筒状包囲部49が冷却される。ここで、本実施形態においては、円筒状包囲部49の外周面に接した状態で、回転電機MGのロータRoが固定されている。そのため、第二油路L2を流通する油により冷却された円筒状包囲部49とロータRoとの間の熱伝導により、当該ロータRoが冷却される。
このように、本実施形態においては、外側貫通孔27を介して互いに連通される第一油路L1及び第二油路L2により形成される油流通路は、循環油室38内における油流通経路に沿った方向で上流側(内側貫通孔23)及び下流側(開口部P)の双方に開口している。また、第一油路L1における油の流通方向は基本的には径方向外側に向かう一方向であると共に、第二油路L2における油の流通方向は軸方向一方側に向かう一方向である。そのため、第一油路L1及び第二油路L2における油の流れは非常に円滑であり、淀みが生じることはほとんどない。よって、摩擦プレート31や、円筒状包囲部49のうち特にロータRoに接する部位の内周面に対して、比較的均等にかつ継続的に、これらを冷却するための油を供給することができる。従って、本実施形態に係る油流通構造によれば、摩擦プレート31及びロータRoの双方を効率良く冷却することが可能である。特に、本実施形態のように、軸方向における外側貫通孔27の軸方向他方側端部の位置が、回転電機MGのロータRoの軸方向他方側端部の位置よりも更に軸方向他方側となるように外側貫通孔27が形成されている場合には、円筒状包囲部49のうちロータRoに接する部位における軸方向の全ての領域で、第二油路L2を流通する油の流れは一方向となり易い。よって、摩擦プレート31及びロータRoの双方を非常に効率良く冷却することが可能である。
ところで、クラッチCLが完全係合状態となる完全係合時には、隣接する摩擦プレート31間のクリアランスが完全に詰まった状態となるので、摩擦プレート31の軸方向端面に形成される溝状部を介した油の流通が主となって、例えばクラッチCLの完全解放時と比較して、第一油路L1における油の流通が阻害される。なお、クラッチCLの「完全係合状態」とは、作動油室37に所定の大きさの圧油が供給されてピストン36によりハブ側摩擦プレート31aとドラム側摩擦プレート31bとが互いに係合して一体回転するように押圧された状態である。もちろん、クラッチCLの完全係合時にはハブ側摩擦プレート31aとドラム側摩擦プレート31bとはスリップすることなく互いに係合して一体回転するので、摩擦プレート31自体はほとんど発熱することはない。しかし、上記のように第一油路L1における油の流通が阻害されると、当該第一油路L1に連通する第二油路L2における油の流通量が低下する可能性がある。第二油路L2における油の流通量が低下すると、それに伴って円筒状包囲部49を介した熱伝導によるロータRoの冷却効率が低下するおそれがある。
そこで本実施形態においては、上述したようにピストン36が径方向溝36cと軸方向連通孔36dとを有して構成されていると共に、クラッチCLの完全係合時に、軸方向他方側においてピストン36の反押圧面36b側の径方向外側端部と径方向から見て軸方向に重複するように、外側貫通孔27がクラッチドラム26に形成されている。すなわち、軸方向における外側貫通孔27の軸方向他方側端部の位置が、ピストン36の反押圧面36b側の径方向外側端部の位置に等しいか、又は、反押圧面36b側の径方向外側端部の位置よりも更に軸方向他方側となるように、外側貫通孔27が形成されている。本例では、クラッチCLの完全係合時の状態を表している図4に示すように、外側貫通孔27の軸方向他方側端部の位置が、ピストン36の反押圧面36b側の径方向外側端部の位置よりも更に軸方向他方側となるように、外側貫通孔27が形成されている。このような外側貫通孔27の配置では、クラッチCLの完全係合時には、外側貫通孔27は軸方向他方側においてピストン36の押圧面36aとも径方向から見て軸方向に重複するように形成されていることになり、径方向溝36cとも径方向から見て軸方向に重複するように形成されていることになる。よって、径方向溝36cの径方向外側端部、及び他方側径方向延在部45とピストン36との間の空間の径方向外側端部の双方は、外側貫通孔27を介して第二油路L2に連通している。
そして、径方向溝36cにより形成される第三油路L3を通って、油が径方向に流通する。また、軸方向連通孔36d及び他方側径方向延在部45とピストン36との間の空間により形成される第四油路L4を通って、油が軸方向及び径方向に流通する。なお、本実施形態では、ピストン36には、反押圧面36b側(軸方向他方側)に向かうに従って径方向外側に向かうように傾斜する形態で軸方向連通孔36dが形成されているので、第四油路L4において油を径方向外側に向かって流通させ易い構造となっている。そして、上記のとおり第三油路L3及び第四油路L4は、それぞれ外側貫通孔27を介して第二油路L2に連通している。そのため、循環油室38内を径方向外側に向かって流れて円筒状部22に到達した油は、第三油路L3及び第四油路L4を介して第二油路L2に到達し、当該第二油路L2においてその流通量を低下させることなく一方向に円滑に流通する。よって、クラッチCLの完全係合時に第一油路L1における油の流通が阻害されたとしても、第三油路L3及び第四油路L4を介して第二油路L2に継続的に供給される油により、ロータRoを効率良く冷却することが可能となっている。なお、上記では特に言及しなかったが、クラッチCLの完全解放時においても、第三油路L3及び第四油路L4を介して、同様に油は流通する。
〔その他の実施形態〕
最後に、本発明に係るハイブリッド駆動装置の、その他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される特徴構成は、その実施形態でのみ適用されるものではなく、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される特徴構成と組み合わせて適用することも可能である。
(1)上記の実施形態においては、軸方向における外側貫通孔27の軸方向他方側端部の位置が回転電機MGのロータRoの軸方向他方側端部の位置よりも更に軸方向他方側となるように、クラッチドラム26に外側貫通孔27が形成されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、軸方向における外側貫通孔27の軸方向他方側端部の位置が回転電機MGのロータRoの軸方向他方側端部の位置に等しくなるように外側貫通孔27が形成された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。また、軸方向における外側貫通孔27の軸方向他方側端部の位置が回転電機MGのロータRoの軸方向他方側端部の位置よりも軸方向一方側となるように外側貫通孔27が形成された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
(2)上記の実施形態においては、ピストン36が複数の径方向溝36cと複数の軸方向連通孔36dとを有して構成されていると共に、クラッチCLの完全係合時に、軸方向他方側においてピストン36の反押圧面36bの径方向外側端部と径方向から見て軸方向に重複するように、外側貫通孔27がクラッチドラム26に形成されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば上記の構成において、ピストン36が、径方向溝36c及び軸方向連通孔36dのうちのいずれか一方のみを備えた構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。この場合において、軸方向連通孔36dを省略してピストン36が径方向溝36cのみを備えた構成とする場合には、クラッチCLの完全係合時には、外側貫通孔27は少なくとも軸方向他方側においてピストン36に形成された径方向溝36cと径方向から見て軸方向に重複するように形成された構成とすると好適である。このような構成とすれば、クラッチCLの完全係合時に第一油路L1における油の流通が阻害されたとしても、少なくとも第三油路L3を介して第二油路L2に継続的に供給される油により、ロータRoを効率良く冷却することが可能である。或いは、ピストン36が、このような径方向溝36c及び軸方向連通孔36dの双方を備えていない構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
(3)上記の実施形態においては、クラッチドラム26と円筒状包囲部49との間の径方向の隙間Sのうち外側貫通孔27の軸方向他方側端部よりも更に軸方向他方側の空間が、径方向に沿った断面形状において、クラッチドラム26の外周面、円筒状包囲部49の内周面、及び他方側径方向延在部45の軸方向一方側の面により包囲されたポケット状の空間となっている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、そのようにして形成されるポケット状の空間が閉塞された構成、すなわち、軸方向他方側において、外側貫通孔27の軸方向端よりも更に軸方向他方側に位置する隙間Sが閉塞された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。このような構成は、例えば他方側径方向延在部45における軸方向一方側の面のうち、上記隙間S(第二油路L2)に面する部位を外側貫通孔27の軸方向他方側の面に揃えて形成したり(図4を参照)、少なくとも上記ポケット状の空間の第二油路L2側に向かって開口する部位を覆うように他の部材を配置したりすることで実現可能である。
このような構成とすれば、外側貫通孔27の軸方向他方側端よりも更に軸方向他方側に向かう油の流れを規制して、クラッチドラム26と円筒状包囲部49との間の径方向の隙間Sを流通する油の流通方向を、完全に軸方向一方側へと向かう一方向とすることができる。よって、このような分岐することなく一方向に流通する油により、回転電機MGのロータRoをより一層効率良く冷却することができる。また、上記ポケット状の空間が形成される場合と比較して、そのような空間に微小金属片等の異物が滞留するのを防止することができる。
(4)上記の実施形態においては、複数の内側貫通孔23がスプライン歯22bのそれぞれに形成されて周方向に分散して配置されていると共に、複数の外側貫通孔27がスプライン溝26aのそれぞれに形成されて周方向に分散して配置されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば内側貫通孔23が、複数(例えば、2つ、3つ等)のスプライン歯22b毎に1つ形成されて周方向に分散して配置された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。同様に、外側貫通孔27が複数(例えば、2つ、3つ等)のスプライン溝26a毎に一つ形成されて周方向に分散して配置された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。また、例えば複数の内側貫通孔23がスプライン溝22aに形成されて周方向に分散して配置された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。同様に、複数の外側貫通孔27がスプライン歯26bに形成されて周方向に分散して配置された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。すなわち、円筒状部22における内側貫通孔23の形成態様、及びクラッチドラム26における外側貫通孔27の形成態様は任意であり、各種の構成を採用することが可能である。
(5)上記の実施形態においては、クラッチハブ21の円筒状部22に形成される内側貫通孔23が単一のスリット状貫通孔とされると共に、クラッチドラム26に形成される外側貫通孔27が単一のスリット状貫通孔とされている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば軸方向に沿って配置される複数(例えば、2つ、3つ等)の貫通孔(例えば、丸穴、角穴等)の集合として内側貫通孔23を構成することも、本発明の好適な実施形態の一つである。同様に、軸方向に沿って配置される複数(例えば、2つ、3つ等)の貫通孔(例えば、丸穴、角穴等)の集合として外側貫通孔27を構成することも、本発明の好適な実施形態の一つである。この場合において、内側貫通孔23を構成する各貫通孔の開口面積の和、及び外側貫通孔27を構成する各貫通孔の開口面積の和は、第一油路L1及び第二油路L2を流通する油に求められる流量等を考慮して設定すると好適である。
(6)上記の実施形態においては、クラッチハブ21が入力軸Iと一体回転するように駆動連結されると共に、クラッチドラム26が中間軸Mと一体回転するように駆動連結されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、クラッチハブ21及びクラッチドラム26の、入力軸I及び中間軸Mとの駆動連結関係を入れ替え、クラッチハブ21が中間軸Mと一体回転するように駆動連結されると共に、クラッチドラム26が入力軸Iと一体回転するように駆動連結された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
(7)上記の実施形態においては、クラッチドラム26が、その軸方向他方側端部において、クラッチハウジングCHの一部を構成する他方側径方向延在部45に一体的に形成されていると共に、クラッチドラム26と円筒状包囲部49との間の径方向の隙間Sが軸方向一方側に開口する開口部Pを有する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えばクラッチドラム26が、その軸方向一方側端部において、クラッチハウジングCHの一部を構成する一方側径方向延在部41に一体的に形成されていると共に、クラッチドラム26と円筒状包囲部49との間の径方向の隙間Sが軸方向他方側に開口する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。この場合、本実施形態における軸方向一方側が本発明における「軸方向の一方側」となり、軸方向他方側が本発明における「軸方向の他方側」となる。
(8)上記の実施形態においては、循環油室38内における油の流通方向が、クラッチハブ21よりも軸方向他方側では径方向外側向き、クラッチハブ21よりも軸方向一方側では径方向内側向きとされており、これに応じて、第一油路L1及び第二油路L2における油の流通方向がそれぞれ径方向外側向き、及び軸方向一方側向きとされている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、循環油室38内における油の流通方向が、クラッチハブ21よりも軸方向一方側では径方向外側向き、クラッチハブ21よりも軸方向他方側では径方向内側向きとなるように循環油室38への油の供給経路及び循環油室38からの油の排出経路を形成し、これに応じて、第二油路L2及び第一油路L1における油の流通方向をそれぞれ軸方向他方側向き、及び径方向内側向きとする構成を採用することも、本発明の好適な実施形態の一つである。
(9)その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、本願の特許請求の範囲に記載された構成及びこれと均等な構成を備えている限り、特許請求の範囲に記載されていない構成の一部を適宜改変した構成も、当然に本発明の技術的範囲に属する。
本発明は、内燃機関に駆動連結される第一軸と、回転電機と、第一軸と同軸上に配置され変速機構に駆動連結される第二軸と、第一軸と第二軸との間の駆動力の伝達及び遮断を切替可能に設けられるクラッチと、第一軸、第二軸、回転電機、及びクラッチを収容するケースと、を備えたハイブリッド駆動装置に好適に利用することができる。
1 ハイブリッド駆動装置
2 ケース
21 クラッチハブ(内側支持部材)
22 円筒状部(内側円筒部)
23 内側貫通孔
26 クラッチドラム(外側支持部材、外側円筒部)
27 外側貫通孔
31 摩擦プレート(摩擦部材)
31a ハブ側摩擦プレート(一対の摩擦部材の他方)
31b ドラム側摩擦プレート(一対の摩擦部材の一方)
36 ピストン(押圧部材)
36a 押圧面
36b 反押圧面
36c 径方向溝
36d 軸方向連通孔
38 循環油室(油室)
49 円筒状包囲部
E 内燃機関
MG 回転電機
Ro ロータ
I 入力軸(第一軸)
M 中間軸(第二軸)
TM 変速機構
CL クラッチ
CH クラッチハウジング
S 隙間
P 開口部
L2 第二油路(油流通路)

Claims (5)

  1. 内燃機関に駆動連結される第一軸と、回転電機と、前記第一軸と同軸上に配置され変速機構に駆動連結される第二軸と、前記第一軸と前記第二軸との間の駆動力の伝達及び遮断を切替可能に設けられるクラッチと、前記第一軸、前記第二軸、前記回転電機、及び前記クラッチを収容するケースと、を備えたハイブリッド駆動装置であって、
    前記クラッチの軸方向両側及び径方向外側を包囲して前記クラッチを収容すると共に、その内部に油で満たされる油室を形成するクラッチハウジングを備え、
    前記回転電機のロータが、前記クラッチの径方向外側を包囲して前記クラッチハウジングの一部を構成する円筒状包囲部の外周面に接して固定され、
    前記クラッチは、一対の摩擦部材と、円筒状の外側円筒部により前記一対の摩擦部材の一方を径方向外側から支持する外側支持部材と、円筒状の内側円筒部により前記一対の摩擦部材の他方を径方向内側から支持する内側支持部材と、を有し、
    前記外側円筒部が前記円筒状包囲部の径方向内側に配置されると共に、前記外側円筒部の軸方向の一方側端部が前記クラッチハウジングに一体的に形成され、
    前記外側円筒部の外周面と前記円筒状包囲部の内周面との間に隙間が形成され、
    前記外側円筒部及び前記内側円筒部は、径方向に貫通するように形成された外側貫通孔及び内側貫通孔をそれぞれ有し、
    前記隙間は軸方向の他方側に開口部を有し、前記外側貫通孔と前記開口部との間の前記隙間が油流通路とされているハイブリッド駆動装置。
  2. 前記軸方向の一方側において、前記ロータの軸方向端と軸方向に重複するように、前記外側貫通孔が形成されている請求項1に記載のハイブリッド駆動装置。
  3. 前記クラッチは、押圧面を介して前記一対の摩擦部材を前記軸方向の他方側に押圧する押圧部材を有すると共に、前記押圧部材は、前記押圧面に対して前記軸方向の一方側に窪みつつ径方向に延びる径方向溝を有し、
    前記一対の摩擦部材が、互いに係合して一体回転する状態となるように前記押圧部材により押圧された完全係合状態で、前記径方向溝と軸方向に重複するように、前記外側貫通孔が形成されている請求項1又は2に記載のハイブリッド駆動装置。
  4. 前記クラッチは、押圧面を介して前記一対の摩擦部材を前記軸方向の他方側に押圧する押圧部材を有すると共に、前記押圧部材は、前記軸方向の一方側と前記軸方向の他方側とを連通する軸方向連通孔を有し、
    前記一対の摩擦部材が、互いに係合して一体回転する状態となるように前記押圧部材により押圧された完全係合状態で、前記押圧部材の反押圧面側の径方向外側端部と軸方向に重複するように、前記外側貫通孔が形成されている請求項1から3のいずれか一項に記載のハイブリッド駆動装置。
  5. 前記軸方向の一方側において、前記外側貫通孔の軸方向端よりも更に一方側に位置する前記隙間が閉塞されている請求項1から4のいずれか一項に記載のハイブリッド駆動装置。
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