JP2017096089A - 水中硬化土嚢及びそれを用いた水際構造物の補修方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】潜水士が鋼矢板護岸の鋼矢板の貫通口の背面にできた空洞部に挿入する簡単な作業で、空洞部の内部で自然に水で膨張し剛性袋体を形成し短時間で空洞部を充填し閉塞することが可能で、作業性や省力生や省資源性に優れた水際構造物の補修方法の提供。【解決手段】護岸構造物や河川堤防等の水際構造物に流水や波浪による浸食で鋼矢板の背面に形成された貫通口の背面にできた空洞部に、a.透水性シート材で形成された内袋体と、b.内袋体の内部に収容された吸水性樹脂を有する吸水体と、c.水中硬化マット材で形成され内袋体を包含し少なくとも1縁部の積層固定で固定された外袋体と、d.外袋体又は前記外袋体及び内袋体を貫通して挿設された通水材と、を備えた水中硬化水土嚢を水中で貫通孔に挿入し水中硬化水土嚢をゲル化膨潤させ硬化させて剛性袋体を形成し該空洞部を充填する構成。【選択図】図8

Description

本発明は、護岸構造物や堤防等の水際構造物に流水や波浪等の浸食で形成された間隙や腐食小穴等の背面の土砂が波浪で洗掘されてできた空洞部の補修に好適な水中硬化土嚢及びそれを用いた水際構造物の補修方法に関する。
近年、護岸構造物や堤防、排水溝等の水際構造物の経年劣化が問題になってきている。護岸に用いられる鋼矢板や鋼管杭は、海面より上部の波浪の飛沫帯は打ち寄せる波が砕けて飛び散る飛沫や紫外線を受けて、非常に腐食しやすい環境にある。飛沫帯の腐食が進むと護岸としての寿命が尽きることになる。例えば、鋼矢板護岸で築造から50年以上経過した鋼矢板護岸は、飛沫帯の経年劣化腐食により腐食小穴や間隙が開き、そこから海水等による浸食でそれらの背後の土砂が洗掘されて空洞部が発生し、それが年々成長して大きな空洞部を形成しその上部の地盤を陥没させその周囲の地盤沈下を引き起こすという問題が生じている。そこで、この問題を解決するために、近年、コンクリートや発泡モルタルを注入し空洞部に充填し補修を行う方法が行われてきている。これらの方法は恒久的に空洞化を防止する優れた方法であるが、かかる注入材は流動性を有するため、海水等の水の出入りにより注入材が固化する前に流出したり、水で希釈されてしまって固化し難いという課題を有していた。
この課題を解決するために、(特許文献1)には、地盤注入材として、セメントミルク、水ガラス等の水硬性硬化剤と水膨潤性繊維との混合物を用いる技術が開示されている。
また、他の方法として(特許文献2)には、鋼矢板により構築された鋼矢板護岸の前面に、所定の透水係数及び体積含水率を有する多孔質焼結体製のセラミック平板により景観修復壁を構築し合わせて鋼矢板護岸を保護する技術が開示されている。
特開平7−34442 特開2003−253647
しかしながら、上記先行技術文献に記載の技術は以下の課題を有していた。
すなわち、(特許文献1)の技術は、水膨潤性繊維が混入されているので、注入箇所に注入材を滞留させ鋼矢板護岸の空洞部を充填し、恒久的に空洞化を防止する優れた方法である。しかし、鋼矢板護岸等の護岸構造物や堤防、排水溝等の水際構造物は永年の波浪腐食や酸化腐食による経年劣化により、断面損傷が発生し、特に、喫水面付近の波による飛沫帯は経年劣化が激しく大小合わせて多数発生した腐食小穴や、堤防や岸壁に台風や地震等による応力で発生した間隙や腐食小穴の背面の空洞部の体積も大小さまざまなので、空洞部の充填作業に要するコンクリート等の注入量の予測が困難なことから作業やコンクリートの無駄が多く作業性に欠けるだけでなく省力性や省資源性にも欠け、また、その作業に伴うコンクリートポンプ車等の機材や人員の手配も予測が困難で、作業性に欠けるという課題を有していた。更に、これらの作業は水中での作業が主要部分を占め、専門の技能を有する潜水士により鋼矢板護岸に、コンクリート等を注入するための注入孔を水中で削孔し、注入孔からコンクリートの水中打設を行うため、多大の労力と時間を要していた。
また、作業が潜水士等の特殊作業員で行われるため、専門の人員が少なく人員の確保が困難で、また費用も高額なため、予算確保も厳しく当面の応急補修が追い付かないという課題を有していた。
更に、鋼矢板護岸における鋼矢板の腐食小穴の背面の空洞部にコンクリートや発泡モルタルを注入充填すると、過剰な注入圧力により地盤の盤膨れが発生し易いという課題があった。
また、該背面空洞部の体積が場所により大きく異なり、更に地上部と空洞部上壁の地盤の厚みもまちまちなため、打設場所ごとに該背面空洞部を細かく計測するとともに、海面の干満圧力の影響も考慮しながら注入圧力を調整する高度な注入管理が必要であり、極めて専門的で多大の時間と労力を要するという課題を有していた。
更に、空洞部の洗掘は腐食小穴の上部が特に激しく洗掘されるが、コンクリートミルクは比重が大きいため腐食小穴の上部の空洞部を充填することが極めて困難という重大な欠点を有していた。
また(特許文献2)の技術は、景観向上のため植物生育を目的の一部としているが、植栽生育のためには植生基盤となる土壌が必要であるが、土壌中には空気中の酸素や水分が常時存在することから、鋼矢板護岸の酸化腐食を促進させる虞がある。また、セラミック平板が、時化や台風等の暴風波浪に対し耐久性があるか、更に波浪によって打ち寄せるガラス瓶や丸太等により破損しないかという課題を有している。更に、経年劣化や酸化腐食による断面損傷や背面の空洞化により強度低下を起こしている既設の鋼矢板護岸が多孔質焼結体や植栽補填材を締結するボルトやアンカーの締め付け圧力に耐えうる構造厚みや強度を備えているかが課題である。
本発明は上記従来の課題を解決するもので、潜水士が鋼矢板護岸等の水際構造物にできた腐食小穴や間隙の背面にできた空洞部に挿入し設置する簡単な作業で、後は空洞部や間隙の内部で自然に水を吸収しゲル化膨潤し短時間で空洞部や間隙を充填し閉塞するので短時間で補修することが可能で、特に、腐食小穴の上部の空洞部も完全に充填し、空洞部上部の地盤の陥没も防ぐことができる作業性や省力性に優れた水中硬化土嚢の提供、および、鋼矢板護岸等の補修作業が簡単でかつ短時間で済み、補修部の経時的安定性に優れ補修後の地盤沈下を防ぐことができる作業性や省力性、省資源性に優れ、また、その作業に伴うコンクリートポンプ車等の機材や人員の手配も不要で、極めて作業効率の高い水際構造物の補修方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は以下の構成を有している。
請求項1に記載の水中硬化土嚢は、a.透水性シート材で形成された内袋体と、b.前記内袋体の内部に収容された吸水性樹脂を有する吸水体と、c.水中硬化マット材で形成され前記内袋体を収納し少なくとも1縁部で積層固定され一体化された外袋体と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下の作用・効果を有する。
(a)水中硬化土嚢の内袋体が透水性シート材で形成されているので、水中で外袋体から滲出してくる水や接合部での毛細管現象で侵入してくる水で内袋体内部の吸水体の吸水性樹脂が短時間で吸水しゲル化膨潤しながら水中硬化土嚢を所定の倍率、形状を有した剛性袋体に膨張させることができる。
(b)水中硬化マット材で形成された外袋体を備えているので、水中で水中硬化マット材の水中硬化性のセメント組成物や石膏系組成物等の水硬性硬化剤が水和反応で硬化して剛性を増強するので、内袋体の吸収体の膨潤により立体形状の剛性袋体に膨張した外袋体で、空洞部の内部の鋭利な凹凸部との摺動摩擦や圧迫圧力により水中硬化土嚢が損傷を受けるのを防ぎ、形状安定性や耐久性を向上させることができる。
(c)外袋体の水中硬化マット材を複数に分けて積層することにより、水中硬化マット材間の隙間から内袋体に迅速に給水することができる。
請求項2に記載の水中硬化土嚢は、請求項1に記載の発明において前記水中硬化マット材がスリットを備えている構成を有している。
この構成により、以下の作用・効果を有する。
(a)内袋体を内包し周囲が該内袋体の縁部で接合され、水中硬化マット材のスリットから侵入する水で内袋体の内部に収容された吸水体の吸水性樹脂が吸水し、水中硬化土嚢を所定の設計値の倍率に膨張させることができる。
請求項3に記載の水中硬化土嚢は、請求項1または2において、前記接合部を貫通して前記内袋体の前記吸水体の内部まで延設された通水材を備えた構成を有している。
この構成によって、請求項1または2の水中硬化土嚢に加えて、以下の作用・効果が得られる。
(a)通水材から外部の水が速やかに内袋体に侵入し内袋体内の吸水性樹脂に直接吸水され水中硬化土嚢を所定の倍率に短時間で膨張させることができる。
ここで、透水性シート材としては、液体は通過させるがポリマーゲルは通過させない通水性の不織布や織布等の他に、軟質合成樹脂製やゴム製のシート等の非透水性シートに多数の微小孔を設けて通水できるようにしたもの等を用いることができる。
不織布としては、スパンボンド法、水流交絡法等により得られるポリプロピレン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリビニールアルコール、アクリル、ポリアミド等の繊維からなるものが使用できる。
織布としては、セルロース繊維、タンパク繊維等の天然繊維を用いたものの他に、ビスコース法レーヨン等の再生繊維、酢酸セルロース繊維等の半合成繊維、ポリアミド、ポリエステル、アクリル等の合成繊維を素材としたものを用いることができる。
また、PETボトル等の合成樹脂を回収して再生したリサイクル品を用いたりして、水中硬化土嚢を環境にも配慮したものとすることができる。
内袋体が透水性シート材で作成されているので、水中で、内袋体内の吸水性樹脂が吸水しゲル化膨潤し、次いで外袋体の水中硬化マット材の水硬性硬化剤が水和反応で硬化して立体形状の剛性袋体を形成するので、波浪による空洞部内の凹凸部との摩擦により、ポリマー間の摩擦でポリマー粒子が微細化され、内袋体からポリマーゲルが抜け出るのを防止できる。
水中硬化土嚢を腐食小穴等の背後の空洞部に挿入するだけで、後は自立して空洞部を充填することができる。
吸水性樹脂は水中硬化土嚢の使用場所により使い分けられる。具体的には、湖沼や河川等の淡水や海岸等の電解質を含む海水に対して各々適合した吸水性樹脂が用いられる。また、水中硬化マット材の使用形態により粒状、顆粒状、繊維状、ペレット状、フレーク状のものが含まれる。
これら吸水性樹脂は自重の数倍から千倍近くまで水分を急速に吸収して、ゲル化し膨潤し、硬化した硬化性組成物の形状を固定化する作用を有する。
水中硬化マット材については、後述する。
請求項4に記載の水中硬化土嚢は、請求項1乃至3のいずれか1において、前記吸水体が、淡水を吸収する吸水性樹脂、又は海水等の電解質水を吸収する吸水性樹脂を有して構成されている。
この構成によって、請求項1乃至3で得られる作用・効果の他、以下の作用・効果が得られる。
補修個所に応じた吸水体を有する水中硬化土嚢を選択することにより、淡水や海水により空洞部や間隙の内部で水中硬化土嚢を膨張させこれらを埋めて補修をすることができる。
ここで、河川や湖沼等の淡水を吸収する吸水性樹脂としては、澱粉にアクリル酸塩をグラフト重合させた澱粉系、カルボキシセルロースにアクリル酸塩をグラフト重合させたセルロース系、アクリル酸・ビニルアルコール共重合体、アクリル酸重合体、アクリル酸・アクリルアミド重合体、ポリエチレンオキサイド変性物等の合成系のカルボキシル基、水酸基、エーテル基、アミド基等の親水性の官能基を有する高分子が用いられる。
海水等の電解質を含む水の場合には、イオン解離するノニオン型高分子、高分子アニオンに解離するアニオン型高分子、高分子カチオンに解離するカチオン型高分子、カチオンとアニオンに解離する基をもつ両性高分子等が用いられる。
具体例としては、合成ポリマー系ではポリアクリル酸塩系、ポリスルホン酸塩系、無水マレイン酸塩系、ポリアクリルアミド系、ポリビニールアルコール系、ポリエチレンオキシド系等が挙げられる。また、天然物由来系としてはポリアスパラギン酸塩系、ポリグルタミン酸塩系、ポリアルギン酸塩系、澱粉系、セルロース系、スルホン酸基含有架橋ポリアクリル酸の部分金属塩等のポリアクリル酸塩をベースとしたもの等が挙げられる。
吸水性樹脂がアルカリ性の水に弱い場合は、水中硬化マット材と内袋体の間に、遮水材として天然ゴムまたは合成ゴムのシートを積層したり、防水剤を塗布するのが好ましい。但し、その場合は、通水材の数を多めに配置するのが好ましい。
請求項5に記載の水中硬化土嚢は、請求項1乃至4のいずれか1において、前記吸水体が前記吸水性樹脂と繊維状通水材の混合物とを含む構成を有している。
これによって、請求項1乃至4のいずれか1で得られる作用・効果の他、以下の作用・効果が得られる。
(a)吸水材が粒状やフレーク状等の吸水性樹脂と繊維状通水材の混合物を含むので、繊維状通水材により内袋体内部の吸水性樹脂の集合体の深部にまで淡水や海水等の水が円滑に供給され,吸水性樹脂をむらなく一体的にゲル化膨潤させることができる。
(b)繊維状通水材を有しているので、短時間に内袋体を所定の大きさで均一にゲル化膨潤させそれに合わせて水中硬化土嚢全体を速やかに膨張させることができ作業性に優れる。
ここで、繊維状通水材としては、短繊維セルロース、吸水性樹脂で成型された紐状物や帯状物等が用いられる。
吸水性樹脂(a)と繊維状通水材(b)の混合比は、a/b=1〜10%好ましくはa/b=3〜7%が用いられる。a/bが3%よりも小さくなるにつれ、水のポリマー間への浸透速度が遅くなるという傾向があり、また、a/bが7%よりも大きくなるにつれ、吸水したゲルの離水が多くなるという傾向があるので好ましくない。特に、a/bが1%よりも小さくなるか、a/bが10%よりも大きくなるにつれこれらの傾向が著しいので好ましくない。
請求項6に記載の水中硬化土嚢は、請求項1又は2に記載の発明において、前記水中硬化マット材が、上下に配設された前記透水性シート材と前記透水性シート材間を所定の位置で連結し内部空間を形成する連結材と、前記内部区間に水硬性硬化剤が内包されマット状に形成された構成を有している。
これによって、請求項1又は2で得られる作用の他、以下の作用が得られる。
(a)水中硬化マット材は、柔軟性を有するので水中で内袋体の吸水性樹脂のゲル化膨潤に合わせて内袋体が膨張しながら外袋体の水中硬化マット材の水硬性硬化剤の水和反応が進行し、空洞部内部の凹凸に沿った立体的形状をした剛性の構造物を形成することができる。
(b)水中硬化マット材の表面は高強度で柔軟性の織布や不織布で形成されているので、波浪等の外力で、水中硬化土嚢が空洞部の内部の瓦礫等による凹凸と衝突や摩擦が原因で、亀裂等の損傷による破袋が生じるのを防止できる。
(c)剛性表面を有する水中硬化土嚢が、空洞部に充填されて固定化されるので、長期間の鋼矢板等の水中構造物の腐食小穴や間隙からの波浪や潮汐による土砂の洗掘を防止することができる。
(d)柔軟性を有する織布又は不織布の間に水中硬化性の水硬性硬化剤を内包しマット状に形成された構成なので、水中硬化マット材から外部の水を、内袋体に滲出させ、内袋体の吸水性樹脂に吸水することができる。
ここで、水中硬化マット材としては、特許第5736024号や特許第5638538号、国際公開第2007−144559号、USP.NO4495235等に開示されているように上下に配置された通水性で柔軟性の織布や不織布とうからなるシートと前記シート間を所定の位置で連結し該水硬性硬化剤が充填される充填空間を形成する連結材を有し、前記シート間に水中硬化性のモルタルセメントやコンクリートセメント等のセメント組成物や石膏系組成物等の水硬性硬化剤を充填したものが挙げられる。具体的には、コンクリート キャンバス テクノロジー リミテッド製のコンクリートキャンバス(登録商標)、石膏系組成物を上下に配置された織布や不織布の間に充填したマット状物等が挙げられる。
請求項7に記載の水中硬化土嚢は、請求項1または2のいずれか1項において、外袋体が外表面に金属系材料又は発泡樹脂製やゴム製で形成された突起物や突条物の表面保護材を備えた構成を有している。
これによって、請求項1又は2得られる作用・効果の他、以下の作用・効果が得られる。
(a)表面保護材が形成されているので、水中硬化土嚢を腐食小穴から護岸等の内部の空洞部に挿入する際や空洞部でゲル化膨張する際に、空洞部内の鋭角を有する凹凸部と接触しても表面保護材が緩衝材となって、水中硬化土嚢が損傷されるのを防止できる。
ここで、表面保護材としては、鉄やアルミニウム等の金属系材料で形成された鋲状、ポッチ状の突起物や、突条等に形成された発泡樹脂やゴム等が用いられる。
請求項8に記載の水中硬化土嚢を用いた水際構造物の補修方法は、護岸構造物や堤防等の水際構造物に流水や波浪による浸食で形成された腐食小穴や間隙の背面に洗掘されてできた空洞部内に、請求項1乃至7の内いずれか1に記載の水中硬化土嚢を水中で腐食小穴や間隙から空洞部内に挿入する挿入工程と、挿入された前記水中硬化土嚢を周囲の水で内袋体の吸水体をゲル化膨潤させるとともに外袋体内の水硬性硬化剤を水和反応させ硬化させて該空洞部や間隙を充填する水中硬化土嚢充填工程を備えた構成を有している。
これによって、以下の作用・効果が得られる。
(a)挿入工程で潜水士が、水際構造物の流水や波浪による浸食で形成された間隙や腐食小穴の背面にできた空洞部内に、空洞部の容積に合わせて1乃至複数の水中硬化土嚢を挿入し配設するだけで、水中硬化土嚢が自立して周囲の水を吸って立体形状の剛性袋体にゲル化膨潤しながら水和反応を起しつつ硬化して空洞部の内部を充填し水中硬化土嚢充填工程で空洞部を埋設し補強し安定化することができる。
(b)水中硬化マット材の外袋体が剛性を有するので、耐摩耗性に優れ、波浪等により繰り返し衝撃を受けても空洞部内の凹凸で損傷することがなく、長期間安定して護岸構造物や堤防等の水際構造物を保護することができる。
(c)補修作業が、水中硬化土嚢を腐食小穴等に挿入し配設するだけなので、従来のような水中でのコンクリート等の注入等の大掛りな作業を省くことができる。また、コンクリート等の注入作業に伴うコンクリートポンプ車等の機材や人員の手配を省くことができる。
(d)空洞部に充填された水中硬化土嚢は、立体形状を有する剛性袋体なので、空洞部の上部の地盤の陥没を防ぎ、地盤沈下を防止することができる。
(e)水中硬化土嚢の内袋体の吸水体が、比重が小さいので、水中硬化土嚢を貫通口や間隙から空洞部内に挿入すると、空洞部内の上部へとゲル化膨張しながら移動するので、空洞部内の上部から充填していくことができる。従来は、貫通口から空洞部にコンクリートミキサーでコンクリートを打設しても貫通口よりも上部の空洞部内にはコンクリートを打設することが不可能で、地盤等の陥没を防ぐことができなかったが、本発明によれば空洞部の上部まで完全に充填することが可能で地盤等の陥没を防ぐことができるようになった。
請求項9に記載の水中硬化土嚢を用いた水際構造物の補修方法は、請求項8において、水中硬化土嚢を水中で挿入し配設する前に、前記水中硬化土嚢が円柱状に丸められ、その外周に水溶性の拘束材で拘束する拘束工程を備えた構成を有している。
これによって、請求項8で得られる作用・効果の他、以下の作用・効果が得られる。
(a)拘束工程で水中硬化土嚢が丸められ拘束されているので嵩張らず、補修現場への持ち運びが容易で、かつ潜水士が水中で腐食小穴や間隙への挿入作業時に挿入が容易で、作業性を著しく高めることができる。
(b)水中硬化土嚢の外周を水溶性の拘束材で拘束しているので、挿入作業終了後には水中で拘束材が溶解し、水中硬化土嚢の拘束が解け、自然に広がりながらゲル化膨潤し立体形状の剛性袋体に膨張し空洞部内の形状に沿ってを充填することができる。
ここで、拘束材としては、水溶性の合成繊維や合成樹脂フィルム等で作成された紐状や帯状のものが用いられる。また、水溶性の合成繊維や合成樹脂フィルム等で袋状物を作成しその中に水中硬化土嚢を丸めて収容してもよい。
水溶性の合成繊維や合成樹脂等としては、デンプンやゼラチン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルアルコールやポリアクリル酸系ポリマー、ポリアクリルアミド等の繊維が好適に用いられる。
請求項10に記載の水中硬化土嚢を用いた水際構造物の補修方法は、請求項8又は9において、前記水中硬化土嚢を、前記空洞部内に挿入した後、前記腐食小穴から前記空洞部内にモルタルやコンクリート、合成樹脂組成物の間隙充填剤を注入し充填する間隙充填剤充填工程を備えた構成を有している。
これによって、請求項8又は9で得られる作用・効果の他、以下の作用・効果が得られる。
(a)水際構造物が鋼板等の金属製やコンクリート製の場合、モルタルのアルカリ性で鋼板やコンクリートの鉄筋の防錆効果を得ることができる。
(b)間隙充填剤がモルタルやコンクリートの場合、セメントのアルカリ性で鋼板の腐食小穴の拡大やコンクリートの鉄筋の腐食の進行を防ぐとともにコンクリートの割れの発生を防ぎ、鋼矢板やコンクリートの耐久性を向上させることができる。
(c)水中硬化土嚢間の空隙にも間隙充填剤が充填されるので高強度で耐久性のある補修工事を行うことができる。
ここで、間隙充填剤としては、モルタル、発泡セメント組成物、水硬性アルミナ、水硬性ポリウレタン系等の水中硬化樹脂と細骨材等の合成樹脂組成物等が用いられる。
請求項11に記載の水中硬化土嚢を用いた水際構造物の補修方法は、請求項9又は10において、水際構造物が、鋼矢板護岸で形成された構成を有している。
これによって、請求項9又は10で得られる作用・効果の他、以下の作用・効果が得られる。
(a)築造から50年以上経過した鋼矢板護岸は、飛沫帯の経年劣化腐食により腐食小穴が開いているが、各腐食小穴の形状に合わせて水中硬化土嚢を丸めたり、折り曲げたり、折り畳んだり、袋に収容したりして、空洞部内部の容積に相当する水中硬化土嚢を簡単に挿入でき、作業性に優れる。
(b)鋼矢板護岸の寿命を著しく延命化できる。
(c)水中硬化土嚢の形状や大きさ、厚みを自由に選択できるので、補修現場に最適な水中硬化土嚢を選択して迅速に作業を進めることができる。
(d)小さい径の貫通口や間隙の大きさに合わせて、水中硬化土嚢を丸めたり折り曲げたりできるので、従来コンクリートの打設が不可能であった補修現場も簡単かつ迅速に補修することができる。
実施の形態1の水中硬化土嚢の内袋体の斜視図 図1のA−A線の断面端面図 外袋体材の斜視図 吸水前の状態を示す水中硬化土嚢の斜視図 図4のB−B線の要部断面端面図 実施の形態1の水中硬化土嚢が水中で吸水し膨張した状態を示す要部側面断面図 水中硬化土嚢を丸め水溶性の拘束材で丸めた状態を示す要部斜視図 水際構造物の1種である鋼矢板護岸の貫通口の後部の空洞部内に水中硬化土嚢を充填している状態を示す模式図 鋼矢板護岸の貫通口の後部の空洞部壁と水中硬化土嚢の間の空隙部にモルタル等の水硬性硬化剤を充填している状態を示す模式図
以下、本発明の実施の形態につき図面を用いて説明する。尚、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1の水中硬化土嚢の内袋体の斜視図であり、図2は図1のA−A線の断面端面図である。
図1及び図2において、1は実施の形態1の水中硬化土嚢の内袋体、2は透水性シート材、3は内部に吸水してゲル化膨潤する吸水性樹脂等からなる吸水体を収容し周辺部が接着や縫合で固定された縁部、4は内袋体1の縁部3を貫通し内部や吸水体の集合部の内部まで挿通された短繊維セルロース等で作成された繊維状の若しくは吸水性合成繊維等で作成された通水材、5は内袋体2に内包された粒状や顆粒状、フレーク状、ペレット状、繊維状の吸水性樹脂等や後述する導水材からなる吸水体、6は吸水体5に混合された短繊維セルロース等からなり吸水体5にまんべんなく水を行き渡らせる導水材である。
ここで、内袋体1は、透水性シート材2で厚みが3〜20mmの矩形状に作成されるのが好ましい。また、吸水時には、厚みが約5〜50倍程度に膨張するように作成されるのが好ましい。
袋状に形成される透水性シート材2は、例えば最終膨張形状より少し大きめ(縫い代分等)の2枚の布地を重ねて縫製又は接着剤を用いて形成される。ここで使用する接着剤には、合成ゴム系接着剤等の他に、熱可塑性樹脂を主成分とするホットメルト型接着剤、エポキシ系接着剤や、シアノアクリレート系接着剤等を用いることも可能である。
透水性シート材2の材質としては、液体は通過させるが吸水性樹脂は通過させない透水性の植物繊維等の天然繊維や、再生、半合成及び合成繊維等の化学繊維の織布や不織布が用いられる。
縁部3は外袋体の縁部と縫合または積層される幅(約4〜20mm)で形成される。
通水材4としては吸水性のフェルト系や不織布、織布の紐状物や帯状物等が用いられる。通水材4は外袋体と内袋体の両者を貫通して挿設される。通水材4の毛細管現象により外袋体の水中硬化マット材の水硬性硬化剤が水和反応して硬化する前に、内袋体の内部の吸水性樹脂に水を速やかに供給しゲル化膨張させることができる。
吸水体5の吸水性樹脂は、水中硬化土嚢の補修現場の電解質の多寡に応じて淡水用や海水用に使い分けられる。
河川や湖沼等の淡水の場合、澱粉にアクリル酸塩をグラフト重合させた澱粉系、カルボキシセルロースにアクリル酸塩をグラフト重合させたセルロース系、アクリル酸・ビニルアルコール共重合体、アクリル酸重合体、アクリル酸・アクリルアミド重合体、ポリエチレンオキサイド変性物等の合成系のカルボキシル基、水酸基、エーテル基、アミド基等の親水性の官能基を有する高分子が用いられる。
海水等の電解質を含む場合には、イオン解離するノニオン型吸水性樹脂、高分子アニオンに解離するアニオン型吸水性樹脂、高分子カチオンに解離するカチオン型吸水性樹脂(ポリアクリルアミド・ターシャリーブチルスルホン酸等)、カチオンとアニオンに解離する基をもつ両性吸水性樹脂等が好適に用いられる。例としては、スルホン酸基含有架橋ポリアクリル酸の部分金属塩等のポリアクリル酸塩やポリエチレンオキサイド系、CMC架橋物、ランエース(登録商標)等の高吸水性樹脂が挙げられる。
なお、吸水性樹脂としては、粒状、顆粒状、繊維状、ペレット状、フレーク状のものが用いられる。
これら吸水性樹脂は自重の数倍から千倍近くまで水分を急速に吸収して、ゲル化膨潤し空洞部の形状等に沿って膨張し水中硬化土嚢を空洞部の所定部に固定化する作用を有する。
導水材6は、短繊維セルロース等の毛細管現象で水を移動させるものであればよく、セルロースパウダー等が用いられる。尚、通水剤と同一の材料を用いても良い。内袋体内部の吸水性樹脂は水中ではその表面から吸水していくので、吸水性樹脂全体が水で飽和するまで時間を要するが、導水材6を混合することにより、吸水性樹脂の集合体の深部まで速やかに水を移動させ吸水性樹脂全体を水で飽和することができる。
図3は外袋体材の斜視図であり、(a)は水中硬化マット材からなる外袋体材、(b)は透水性シート材の一面に積層されたスリットを有する水中硬化マット材で形成された外袋体材、(c)は透水性シート材の一面に所定間隔をあけて積層された水中硬化マット材で形成された外袋体材である。
図3において、7は水中硬化マット材8からなる外袋体材、7aは所定間隔を開けてスリット8aが形成された水中硬化マット材8と透水性シート材2が積層された外袋体材、7bは所定の間隙8bを空けて透水性シート材2に積層された水中硬化マット材8で作成された外袋体材である。
ここで、外袋体材7は透水性の織布や不織布等の布地間にコンクリートやモルタル等のセメント系組成物又は石膏系組成物を内包した可撓性のマット状に形成された水中硬化マット材8で作成されている。
スリット8aや間隙8bは5〜20mmの間隔で形成される。これにより、内袋体の吸水体に速やかに給水することができる。
図4は吸水前の状態を示す水中硬化土嚢の斜視図であり、図5は図4のB−B線の断面端面図である。
図4及び図5において、3aは外袋体9の周囲で内袋体1の縁部3と上下の外袋体材7の縁部を重合させて縫合または接合して形成された土嚢縁部、4は通水材、5は吸水体、6は導水材、9は内袋体1を内蔵した上下2枚の水中硬化マット材8からなる外袋体材7で袋状に形成された外袋体、10は実施の形態1の水中硬化土嚢である。
ここで、土嚢縁部3aは、上下の外袋体9同士又は外袋体9の縁部間に内袋体の縁部3を挟持して縫合または接着等で接合され、内袋体1の膨張圧や波浪等により護岸の鋼矢板等の背面の空洞部内部での凹凸との衝突による外力で破壊されない程度(幅:4〜20mm)に形成されている。
通水材4は、外袋体9の通水性が低いので、外袋体9の外部から吸水体5に迅速に給水して膨張させるために配設されるもので、複数本が外袋体9又は内袋体1及び外袋体9を貫通して吸水体5の内部まで配設固定されている。
水中硬化土嚢10の大きさや厚みは、空洞部や間隙の径や奥行に合わせて選択される。形状は矩形状に作成されるのが好ましい。また、外袋体9は内蔵した内袋体1の吸水時には、内袋体1の吸水性樹脂のゲル化膨潤に応じて外観厚みが約5〜50倍程度に膨張する体積を有するように作成されるのが好ましい。
以上のように構成された本実施の形態の水中硬化土嚢について、以下その作用を図面を用いて説明する。
図6は実施の形態1の水中硬化土嚢が水中で吸水し膨張した状態を示す要部側面断面図である。
水中硬化土嚢10を、海水や淡水の中に沈めると、外袋体9から滲出し透水性シート材で作成された内袋体1に浸透した水が、吸水体5の表面の吸水性樹脂に給水されるとともに、通水材4から通水される水で吸水性樹脂の集合体の深部にも給水される。また吸水体5の内部は導水材6により吸水性樹脂に水が給水される。吸水体5が水を吸収しゲル化膨潤するのに合わせて内袋体1が膨張し合わせて外袋体9が膨張する。また、外袋体9を構成する水中硬化マット材8のセメント系組成物又は石膏系組成物等の水硬性硬化剤8aが周囲の水との水和反応により硬化が進み、水中硬化土嚢10の表面が剛性を有する構造材10aとなる。
次に、実施の形態の水中硬化土嚢を用いた水際構造物の補修方法を、図面を用いて説明する。
図7は水中硬化土嚢を丸め水溶性の拘束材で拘束した状態を示す要部斜視図であり、図8は水際構造物の1種である鋼矢板護岸の貫通口の後部の空洞部内に水中硬化土嚢を充填している状態を示す模式図であり、図9は鋼矢板護岸の貫通口の後部の空洞部壁と水中硬化土嚢の間や水中硬化土嚢間の空隙部にモルタル等の水硬性硬化剤を充填している状態を示す模式図である。
図7乃至図9において、3aは水中硬化土嚢10の土嚢縁部、4は外袋体9及び内袋体1の各縁部に挿通されて吸水性樹脂の集合体の内部まで挿通された通水材、9は水中硬化マット材8で形成された外袋体、10は水中硬化土嚢、11は補修作業を容易にするために丸められた水中硬化土嚢10の外周に巻着され拘束した水溶性の帯状物や紐状物からなる拘束材である。
図8において、20は地表面、21は海水面、22は水際構造物の1種である鋼矢板護岸、23は鋼矢板護岸22の喫水面付近で海水の波の飛沫がかかる飛沫帯、24は波浪腐食や酸化腐食で鋼矢板護岸22の鋼矢板に開いた腐食小穴、25は鋼矢板護岸22の腐食小穴24の背後の軽量混合処理土や裏込石等の盛り土が波浪等で洗掘されてできた空洞部であり腐食小穴24の上部がより大きく洗掘されている。26、27は空洞部25内部の凸部及び凹部、28は補修作業を行っている潜水士である。
図9において、10aは空洞部25内の水中で拘束材11が溶解し水中硬化土嚢10が広がりながら外袋体9から浸透した水で内袋体1の吸水性樹脂5aが膨張しながら外袋体9の内部の水硬性硬化剤8aが水を吸って膨張硬化した構造材、29は補修域近くの地上に設置されたモルタル注入ポンプ、30はモルタル輸送管、31はモルタル注入ガン、32は空洞部25内の凸部26や凹部27等と膨張し固化した構造材10aとの間の間隙部や膨張し固化して構造物となって固定された構造材10a間の間隙部に充填されたモルタルである。
鋼矢板護岸22の補修方法は、まず、補修対象の空洞部25の容積にあった水中硬化土嚢10を準備する。次いで、鋼矢板の腐食小穴24に挿入できるように水中硬化土嚢10を丸め、水溶性の拘束材11で拘束する。次いで、拘束された水中硬化土嚢10を準備し、特殊作業員である潜水士28が補修現場の海域に潜り、該腐食小穴24から空洞部25の中へ吸水して膨張したときの体積が空洞部25の容積にほぼ相当する個数の拘束された水中硬化土嚢10を挿入する(水中硬化土嚢充填工程)。
挿入された水中硬化土嚢10は通水材4から水が浸入し、内袋体1内の吸水体5の吸水性樹脂5aの集合体内部等に水を給水する。又、透水性シート材2で作成された内袋体1の縁部や外袋体9から滲出した水が毛細管現象で内袋体1内の吸水体5の吸水性樹脂5aや導水材6に給水される。吸水した吸水性樹脂5aは、ゲル化膨潤し内袋体1を空洞部25の内部形状に沿って立体形状に膨張する。一方、外袋体9は内袋体1とともに膨張しつつ、外袋体9の水中硬化マット材8の水中硬化型のセメント系組成物や石膏系組成物等からなる水硬性硬化剤は水和反応をしながら硬化し剛性の構造体10aに成長し空洞部25を充填し閉塞する。次いで、必要に応じて、腐食小穴24から陸上のモルタル注入ポンプ29からモルタル輸送菅30をとうして潜水士28がモルタルガン31で水中硬化型の発泡モルタル等を注入し、空洞部25内の凸部26や凹部27等と膨張し固化した構造材10aとの間の間隙部や膨張し固化して構造物となって固定された構造材10a間の間隙部、更に鋼矢板護岸22と盛り土の間にモルタル32を充填(間隙充填剤工程)することにより空洞部25を塞いで補修する。
尚、水中硬化土嚢10の吸水体として、吸水性樹脂5aを単独で用いてもよい。
また、モルタルの代わりにコンクリートミルクや細骨材等と合成樹脂との合成樹脂組成物を使用しても良い。
以上のように、本実施の形態の水中硬化土嚢の補修方法によれば、以下の作用・効果が得られる。
(a)丸めて水溶性の拘束材で拘束された水中硬化土嚢の所定量を、潜水士が鋼矢板の腐食小穴から空洞部内に挿入するだけで、後は自然に任せるだけで、拘束材が水中に溶け、水中硬化土嚢の内袋体内の吸水性樹脂がゲル化膨潤しながら外袋体を膨張させつつ空洞部の形状に沿って立体形状の剛性袋体となり空洞部内を充填するので、短時間で作業が済み作業性に著しく優れる。
(b)通水材を備えているので、吸水性樹脂に速やかに給水でき、作業性を早める。
(c)立体形状で水中で水和反応して硬化してできた剛性袋体の水中硬化土嚢が空洞部の形状に沿って膨張しながら充填され固定化されるので、長期間にわたって腐食小穴からの護岸の洗掘を防止でき、高い補修効果が得られるとともに、鋼矢板護岸の延命化を図ることができる。
(d)空洞部を充填する水中硬化土嚢が剛性袋体となるので、波浪や潮汐による外力で破袋するのを防止できる。
(e)水中硬化土嚢は空洞部内に挿入した当初は比重が軽いので、空洞部内の水中で浮きながら上部へ移動しつつゲル化膨張し剛性の袋体と成長していくので、従来のように、陸上からポンプでコンクリートミルクを充填することが困難であった空洞部上部の洗掘場所を極めて簡単にかつ隙間なく充填し、空洞部内をほぼ完全に充填できるので、空洞部の上部の地盤の陥没を防ぐことができる。
(f)発泡モルタルを水中硬化土嚢が硬化後、充填した場合、空洞部の隅々や膨張した構造材間の隙間を埋めることができ、地盤沈下を防ぐことができる。
(g)アルカリ性の発泡モルタルにより鋼矢板やコンクリートの鉄筋の防錆化を行い、護岸の耐久性を著しく向上させることができる。
(h)水中硬化土嚢が、軽量で運搬し易く取り扱い易いので、少人数で、かつ、短時間で施工でき、省力性や作業性に優れる。
(i)モルタル等の間隙充填剤が鋼矢板護岸の背面と盛り土の隙間にもれなく充填されることにより、海水や、地下水、空気の浸入を防ぎ、塩分や水分、酸素等の鋼矢板護岸の酸化要因を遮断するとともに、セメントモルタルのアルカリ成分が鋼矢板護岸の背面に長期間作用することで鋼矢板護岸の酸化劣化を防ぎ防食効果を持続させることができる。
水中硬化土嚢は、吸水性樹脂等を内蔵した内袋体と、水中硬化性のセメント組成物等の水硬性硬化剤を内包した水中硬化マット材等からなる外袋体とで構成されたマット状なので、波浪腐食や酸化腐食等により鋼矢板護岸の鋼矢板に開いた腐食小穴及びその背面に波浪で洗掘されてできた空洞部に、潜水士が挿入するだけで、吸水性樹脂がゲル化膨潤し内袋体及び外袋体を膨張させながら水中硬化マット材の水硬性硬化剤が硬化し、立体形状の剛性袋体を形成して空洞部を充填するので、少ない人員で、かつ短時間で補修作業が可能なので作業性や省力生に優れるとともに、鋼矢板護岸の耐久性を向上させることができる。
また、水中硬化土嚢を用いた水際構造物の補修方法は、鋼矢板の腐食小穴の径に合わせて水中硬化土嚢を丸めて水溶性の拘束材で拘束し、腐食小穴の背面の空洞部に挿入する作業だけで、空洞部を耐摩擦性等の機械的強度に優れた剛性の袋体で充填し、空洞部の上部の地盤を支えるので地盤の陥没を防ぐことができるので、少人数でかつ短時間に補修作業を行うことができるとともに、鋼矢板護岸等の水際構造物の耐久性を著しく向上させることができる。
1 内袋体
2 透水性シート材
3 縁部
3a 土嚢縁部
4 通水材
5 吸水体
5a 吸水性樹脂
6 導水材
7、7a、7b 外袋体材
8 水中硬化マット材
8a スリット
8b 間隙
8c 水和反応で硬化した水硬性硬化剤
9 外袋体
10 水中硬化土嚢
10a 構造材
11 拘束材
20 地表面
21 海水面
22 鋼矢板護岸
23 飛沫帯
24 腐食小穴
25 空洞部
26 凸部
27凹部
28 潜水士
29 モルタル注入ポンプ
30 モルタル輸送管
31 モルタル注入ガン
32 モルタル

Claims (11)

  1. a.柔軟性を有する透水性シート材で形成された内袋体と、b.前記内袋体の内部に収容された吸水性樹脂を有する吸水体と、c.水中硬化マット材で形成され前記内袋体を収納し少なくとも1縁部で積層固定され一体化された外袋体と、を備えていることを特徴とする水中硬化土嚢。
  2. 前記水中硬化マット材がスリットを備えていることを特徴とする請求項1に記載の水中硬化土嚢。
  3. 前記縁部を貫通して前記内袋体の前記吸水体の内部まで延設された通水材を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の水中硬化土嚢。
  4. 前記吸水体が、淡水を吸収する吸水性樹脂又は海水等の電解質水溶液を吸収する吸水性樹脂を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の水中硬化土嚢。
  5. 前記吸水体が前記吸水性樹脂と繊維状通水材の混合物とを含む構成を有していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1に記載の水中硬化土嚢。
  6. 前記水中硬化マット材が、上下に配設された前記透水性シート材と前記透水性シート材間を所定の位置で連結し内部空間を形成する連結材と、前記内部区間に水硬性硬化剤が内包されマット状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の水中硬化土嚢。
  7. 前記外袋体が外表面に金属系材料又は発泡樹脂製やゴム製で形成された突起状物や突条状物の表面保護材を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の水中硬化土嚢。
  8. 護岸構造物や堤防等の水際構造物に流水や波浪による浸食で形成された腐食小穴や間隙の背面に洗掘されてできた空洞部に、請求項1乃至7の内いずれか1に記載の水中硬化土嚢を水中で前記腐食小穴や間隙から前記空洞部内に挿入し前記水中硬化土嚢を周囲の水でゲル化膨潤させるとともに水硬性硬化剤を水和反応させ硬化させて前記空洞部や間隙を充填させる水中硬化土嚢充填工程備えていることを特徴とする水際構造物の補修方法。
  9. 前記水中硬化土嚢を水中で腐食小穴に挿入する前に、前記水中硬化土嚢が円柱状に丸められ、その外周に水溶性の拘束材で拘束されていることを特徴とする請求項8に記載の水際構造物の補修方法。
  10. 前記水中硬化土嚢を、前記空洞部内に充填した後、前記腐食小穴や前記間隙から前記空洞部内にモルタルや合成樹脂組成物の間隙充填剤を注入し充填する間隙充填剤充填工程を備えていることを特徴とする請求項8又は9に記載の水際構造物の補修方法。
  11. 前記水際構造物が、鋼矢板護岸であることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1に記載の水際構造物の補修方法。
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