JP2017096051A - シリンダ錠 - Google Patents

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周平 佐野
Shuhei Sano
周平 佐野
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Abstract

【課題】ドリルなどの工具を使った不正解錠はもとより、ピッキングによる不正解錠についても防止することができるようにして不正解錠の防止精度を高めたシリンダ錠を提案する。【解決手段】 シリンダにキーを挿入しないときは、シリンダに設けたタンブラがホルダの係止溝に突入して施錠動作、シリンダにキーを挿入することにより、タンブラがホルダの係止溝から脱出して解錠動作となるシリンダ錠において、前記シリンダは、回転軸線Q方向に対して前後に分離して形成した前シリンダ20と後シリンダ30とで構成すると共に、前シリンダ20には回転軸線Qを中心とする回転勢力を与えるねじりコイルスプリング25を設け、シリンダにキーを挿入しないときは、前シリンダ20のキー挿入孔20aと後シリンダ30のキー挿入孔30aとが全体的に重なり合わない構成となっている。【選択図】 図4

Description

本発明は、不正解錠の防止精度を高めたシリンダ錠に関する。
シリンダ錠は、ホルダに回転可能に内装されたシリンダを備え、シリンダにキーを挿入しないときは、シリンダに設けたタンブラがホルダの係止溝に突入し、シリンダの回転を不可として施錠動作、シリンダにキーを挿入することにより、前記タンブラがホルダの係止溝から脱出し、シリンダが回転可能となって解錠動作となる構成のシリンダ錠が広く知られている。
また、このようなシリンダ錠は、ドリルなどの工具をつかってシリンダを破壊し不正解錠されることがあり、この問題を解決する対策として、図9に示したように、キーの挿入方向に対しシリンダを2分割したシリンダ錠が提案されている。
このシリンダ錠は、スプリング11により押圧力を与えた小球12を後シリンダ13bに備え、通常時は上記の小球12を前シリンダ13aの凹部14に突入させ、前シリンダ13aと後シリンダ13bとを一体的に連結させた構成となっている。
したがって、キー挿入孔15にキーを挿入し、タンブラ16を後シリンダ13b内に没入させれば、前シリンダ13aと後シリンダ13bを一体的に回転させることが可能になり、解錠することができる。
一方、ドリルなどを使って強い回転力が前シリンダ13aに加えられた場合は、小球12は凹部14から脱出し、前シリンダ13aと後シリンダ13bとが非連結となるため、前シリンダ13aのみが回転する。
この結果、後シリンダ13bが非回転のまま前シリンダ13aが空転することになり、不正行為による解錠が防止される。
実開昭62−56664号公報
不正解錠には、ドリルなどを使ってシリンダを破壊して解錠されてしまう不正解錠の他に、ピッキングと言う手法によって不正解錠されてしまう場合があるが、上記した従来例のシリンダ錠では、ピッキングによる不正解錠については防止することができない。
すなわち、ピッキングは、ピンセットのような工具をキー挿入孔に差し入れ、この工具でシリンダに回転方向に軽くテンションをかけつつ、キー挿入孔から挿入した棒のようなツールでタンブラを次々と押し下げる。
このとき、押し下げられたタンブラは元の位置に戻ろうとするが、ホルダーの係止溝の角に引っかかり元の位置には戻らなくなるから、全てのタンブラを係止溝の角に引っかけることで、シリンダを回転させ解錠が可能となってしまう。
そこで本発明では上記した実情にかんがみ、ドリルなどの工具を使った不正解錠はもとより、ピッキングによる不正解錠についても防止することができるようにして不正解錠の防止精度を高めたシリンダ錠を提案することを目的とする。
上記した目的を達成するため、本発明では第1の発明として、ホルダと、当該ホルダに回転可能に内装されたシリンダとを備え、シリンダにキーを挿入しないときは、シリンダに設けたタンブラがホルダの係止溝に突入し、シリンダの回転を不可として施錠動作となり、シリンダにキーを挿入することにより、前記タンブラがホルダの係止溝から脱出し、シリンダが回転可能となって解錠動作となるシリンダ錠において、前記シリンダは、回転軸線方向に対して前後に分離して形成した前シリンダと後シリンダとで構成すると共に、前シリンダには回転軸線を中心とする回転勢力を与えるバネ部材を設け、シリンダにキーを挿入しないときは、前シリンダのキー挿入孔と後シリンダのキー挿入孔とが全体的に重なり合わない構成としたことを特徴とするシリンダ錠を提案する。
第2の発明としては、上記した第1の発明のシリンダ錠において、前記バネ部材はねじりコイルスプリングで構成すると共に、その一端部は前記した前シリンダに、その他端部は前記ホルダに各々係止したことを特徴とするシリンダ錠を提案する。
第3の発明としては、上記した第1の発明のシリンダ錠において、前記ホルダは後シリンダを回転可能に内装させたカバー内に固定し、前記した前シリンダは当該カバー内に回転可能に保持する構成とし、さらに、前記バネ部材はねじりコイルスプリングで構成すると共に、その一端部は前記した前シリンダに、その他端部は前記カバーに各々係止したことを特徴とするシリンダ錠を提案する。
第4の発明としては、上記した第3の発明のシリンダ錠において、前記した前シリンダには、前記ねじりコイルスプリングの一端部を係止させるスプリング係止部を設け、前記カバーには、前記した前シリンダがねじりコイルスプリングのバネ勢力に抗して回転し、そのキー挿入孔が後シリンダのキー挿入孔と重なった位置で前記スプリング係止部を当接させて前シリンダの回転を阻止する回転ストッパを設けたことを特徴とするシリンダ錠を提案する。
第1の発明のシリンダ錠は、シリンダが前シリンダと後シリンダとで構成してあり、さらに、前シリンダには回転軸線を中心とする回転勢力を与えるバネ部材を設け、シリンダにキーを挿入しないときは、前シリンダのキー挿入孔と後シリンダのキー挿入孔とが全体的に重なり合わない構成としてある。
すなわち、シリンダにキーを挿入しないときには、前シリンダのキー挿入孔と後シリンダのキー挿入孔とが部分的に重なり合い、これらキー挿入孔が連通する孔部が狭い孔口となる。
そのため、前シリンダと後シリンダのキー挿入孔が部分的に重なる狭い孔口には、ピンセットのような工具や棒のようなツールを差し入れて解錠することが困難となり、また、回転勢力に抗して前シリンダを前記ツールにより回転させながら不正行為を行うのは非常に困難となり、ピッキングにより不正に解錠することができない。
また、ドリルなどの工具を使ってシリンダを破壊しようとする不正行為に対しては、前シリンダが空転するため、後シリンダが破壊されず、不正解錠が確実に防止される。
また、正規キーを使って解錠する場合は、先ず、前シリンダのキー挿入孔にキーを差し入れ、前シリンダをバネ部材の回転勢力に抗して回転させ、前シリンダのキー挿入孔を後シリンダのキー挿入孔に重ね合わせた後、キーを後シリンダのキー挿入孔に差し入れて解錠する。
前シリンダがバネ勢力を受けて戻り回転するので、シリンダからキーを抜き取れば、前シリンダのキー挿入孔が後シリンダのキー挿入孔に対して部分的に重なり合うようになり、前シリンダのキー挿入孔と後シリンダのキー挿入孔の連通部分が狭い孔口となる。
第2の発明のシリンダ錠は、第1の発明のシリンダ錠において、前記したバネ部材をねじりコイルスプリングで構成し、その一端部は前記した前シリンダに、その他端部は前記ホルダに各々係止したことが特徴となっている。
第3の発明のシリンダ錠は、第1の発明のシリンダ錠において、前記ホルダは後シリンダを回転可能に内装させたカバー内に固定し、前記した前シリンダは当該カバー内に回転可能に保持する構成とし、さらに、前記バネ部材はねじりコイルスプリングで構成すると共に、その一端部は前記した前シリンダに、その他端部は前記カバーに各々係止させたことが特徴となっている。
第4の発明のシリンダ錠は、第3の発明のシリンダ錠において、前シリンダにスプリング係止部を設け、前記カバーには、前シリンダのキー挿入孔が後シリンダのキー挿入孔と全体的に重なった位置で前記スプリング係止部を当接させて前シリンダの回転を阻止する回転ストッパを設けたことが特徴なっている。
本発明の一実施形態を示し、キーを挿入しない状態を示したシリンダ錠の正面図である。 前シリンダのキー挿入孔と後シリンダのキー挿入孔とを重なり合わせた状態を示した図1同様のシリンダ錠の正面図である。 上記したシリンダ錠の分解斜視図である。 図2上のA―A線断面図である。 図4上のB―B線に沿って切断した断面図である。 上記したシリンダ錠に備える第1カバーに前シリンダを組付けた状態を後方から見た斜視図である。 上記したシリンダ錠に備える第2カバーに前シリンダを組付けた状態を後方から見た斜視図である。 他の実施形態を示した図5同様の断面図である。 従来例として示したシリンダ錠のシリンダを示す側面図である。
次に、本発明の実施形態について図面に沿って説明する。
図1はシリンダ錠の正面図、図2は前シリンダのキー挿入孔と後シリンダのキー挿入孔とを重なり合わせた状態を示したシリンダ錠の正面図、図3は同シリンダ錠の分解斜視図、図4は図2上のA―A線断面図である。
これらの各図から分かる通り、本実施形態のシリンダ錠は、シリンダの回転軸線Q(図4参照)の前後方向(キーの挿入方向)に対して2分割した前シリンダ20と後シリンダ30とで構成したシリンダ39を備えている。
そして、前シリンダ20には、キー挿入孔20aの他にシャッタ収容部20bが設けてあり、このシャッタ収容部20bには、シャッタ21と、このシャッタ21に閉成勢力を与えるスプリング22とが組付けてある。
なお、図3に示すシャフト23は上記のスプリング22を支持させるものである。
さらに、前シリンダ20には、その前面を覆うシリンダキャップ24が固定してあり、このシリンダキャップ24には前シリンダ20のキー挿入孔20aに対して孔の向きを同じにしたキー挿入孔24aが形成してある。
また、前シリンダ20には、ねじりコイルスプリング(バネ部材)25を備え、このねじりコイルスプリング25によって前シリンダ20に時計方向の回転勢力を与えるようになっている。
そのため、ねじりコイルスプリング25の一端部25aを前シリンダ20のスプリング係止部20cに係止し、その他端部25bを第2カバー42に設けたスプリング係止部42aに係止してある。(図3〜図7参照)
一方、後シリンダ30には、回転軸線Q方向に形成したキー挿入孔30aの他に、タンブラ31が備えてある。
タンブラ31は、タンブラ孔30bに内装させてスプリング32によって突出勢力を与えた公知構成のものである。
また、後シリンダ30を回転可能に内装させたスリーブ(ホルダ)33が備えてあり、このスリーブ33にはタンブラ31の先端側を突入させる係止溝33aが形成してある。
さらに、後シリンダ30には、ねじりコイルバネ34が備えてあり、このねじりコイルバネ34によって後シリンダ30を中立位置に回転付勢している。
なお、上記の後シリンダ30には弾性部材35を介在させてバドル36が連結してある。
このバドル36は、ドアロック装置(図示省略)に連結するものである。
他方、上記した前シリンダ20は、内空のカバー40の先端側内部に配置して回転可能に支持してあり、さらに、上記したスリーブ33はカバー40内に固定してある。
また、カバー40は、対接連結した第1カバー41と第2カバー42とから構成してある。
すなわち、上記した前シリンダ20と後シリンダ30とを内装させてこれら第1カバー41と第2カバー42を対接させ、これらに設けた固定孔41b、42bに固定ピン37を圧入させ、第1カバー41と第2カバー42とを連結固定させてある。
その他、図3に示すピン38は後シリンダ30とバドル36とを連結させるものである。
上記のように構成した本実施形態のシリンダ錠は、キーを挿入しないときは、前シリンダ20がねじりコイルスプリング25のバネ勢力で中立位置に復動しているから、図1に示すように、シリンダキャップ24のキー挿入孔24aが後シリンダ30のキー挿入孔30aに対して直交向きとなっている。
このため、シリンダキャップ24のキー挿入孔24aと後シリンダ30のキー挿入孔30aとが部分的に連通することになるため、外から視認可能な連通する孔部は図示Pで示す正方形部分の狭い孔口となる。
なお、前シリンダ20のキー挿入孔20aは、シリンダキャップ24のキー挿入孔24aと同じ向きとなっているので、後シリンダ30のキー挿入孔30aに対し、上記同様に直交向きとなる。
前シリンダ20の中立位置は、前シリンダ20がねじりコイルスプリング25のバネ勢力で時計方向に回転し、スプリング係止部20cがねじりコイルスプリング25の他端部に当接する位置となる。(図5に点線で示すスプリング係止部20c参照)
このシリンダ錠を解錠する場合は、シリンダキャップ24のキー挿入孔24aよりキーを後シリンダ30に突き当たる位置まで差し入れ、前シリンダ20をキーによって反時計方向に予め回転すると、図5に示すように、スプリング係止部20cが図示点線位置から実線位置まで旋回し、第1カバー41のストッパ部41aに当接することで前シリンダ20の回転が阻止される。
このとき、前シリンダ20が90°回転しているので、そのキー挿入孔20aが後シリンダ30のキー挿入孔30aに対し全体的に重なり合う位置となるから、キーを後シリンダ30のキー挿入孔30a内に挿入することができる。
したがって、キーを後シリンダ30のキー挿入孔30aに挿入すれば、タンブラ31がスリーブ33の係止溝33aから脱出するから、後シリンダ30の回転が可能になり解錠することができる。
後シリンダ30がねじりコイルバネ34のバネ勢力で中立位置に戻り、キーをシリンダ39から抜き出せば、前シリンダ20がねじりコイルスプリング25のバネ勢力を受けて中立位置に戻るから、図1に示すように、シリンダキャップ24のキー挿入孔24aが後シリンダ30のキー挿入孔30aに対して直交向きとなる。
上記したシリンダ錠に対しピッキングの不正行為が行われた場合、前シリンダ20のキー挿入孔20aと後シリンダ30のキー挿入孔30aが部分的に重なり合う狭い正方形部分Pにピンセットのような工具や棒などのツールを差し入れて行うことになり、また、ねじりコイルスプリング25の回転勢力に抗して前シリンダ20を前記ツールにより回転させながら不正行為を行うのは非常に困難であるため、後シリンダ30のタンブラ31を押し下げて不正解錠するピッキングが不可となる。
また、ドリルなどの工具でシリンダ39を破壊して不正解錠しようとすれば、ストッパ部41aに当接したスプリング係止部20cが強い負荷によって破断し、前シリンダ20だけが空転して解錠することができない。
図8は、第1カバー41にストッパ部41aを設けない構成とした他の実施形態を示す図5同様の断面図である。
この実施形態では、前シリンダ20を90°回転させた位置で規制できず、後シリンダ30のキー挿入孔30aへのキーの挿入がしにくくなるが、前シリンダ20の回転が反時計方向または時計方向のいずれでも設定可能となり自由度がある。
以上、好ましい実施形態について説明したが、カバー40に係止溝33aを設ければ、カバー40をホルダとして構成できるから、スリーブ33は必ずしも備える必要がない。
また、本発明を実施するに際しては、シリンダ錠の中立位置において、前シリンダ20のキー挿入孔20aと後シリンダ30のキー挿入孔30aとを必ずしも直交向きとしなくてもよく、これらキー挿入孔20a、30aは部分的に重なり合う構成とすればよい。
上記した通り、本発明のシリンダ錠は、不正解錠防止に高い精度を有しており、エマージェンシー時に使用するシリンダ錠として耐盗難性を重要視した構成としてある。
自動車などの車両に備えるシリンダ錠に適する。
20 前シリンダ
20a キー挿入孔
20b シャッタ収納部
20c スプリング係止部
24 シリンダキャップ
24a キー挿入孔
25 ねじりコイルスプリング
25a 一端部
25b 他端部
30 後シリンダ
30a キー挿入孔
31 タンブラ
33 スリーブ
33a 係止溝
39 シリンダ
40 カバー
41 第1カバー
41a ストッパ部
42 第2カバー
42a スプリング係止部


















Claims (4)

  1. ホルダと、当該ホルダに回転可能に内装されたシリンダとを備え、
    シリンダにキーを挿入しないときは、シリンダに設けたタンブラがホルダの係止溝に突入し、シリンダの回転を不可として施錠動作となり、シリンダにキーを挿入することにより、前記タンブラがホルダの係止溝から脱出し、シリンダが回転可能となって解錠動作となるシリンダ錠において、
    前記シリンダは、回転軸線方向に対して前後に分離して形成した前シリンダと後シリンダとで構成すると共に、前シリンダには回転軸線を中心とする回転勢力を与えるバネ部材を設け、
    シリンダにキーを挿入しないときは、前シリンダのキー挿入孔と後シリンダのキー挿入孔とが全体的に重なり合わない構成としたことを特徴とするシリンダ錠。
  2. 請求項1に記載したシリンダ錠において、
    前記バネ部材はねじりコイルスプリングで構成すると共に、その一端部は前記した前シリンダに、その他端部は前記ホルダに各々係止したことを特徴とするシリンダ錠。
  3. 請求項1に記載したシリンダ錠において、
    前記ホルダは後シリンダを回転可能に内装させてカバー内に固定し、前記した前シリンダは当該カバー内に回転可能に保持する構成とし、
    さらに、前記バネ部材はねじりコイルスプリングで構成すると共に、その一端部は前記した前シリンダに、その他端部は前記カバーに各々係止したことを特徴とするシリンダ錠。
  4. 請求項3に記載したシリンダ錠において、
    前記した前シリンダには、前記ねじりコイルスプリングの一端部を係止させるスプリング係止部を設け、
    前記カバーには、前記した前シリンダがねじりコイルスプリングのばね勢力に抗して回転し、そのキー挿入孔が後シリンダのキー挿入孔と重なった位置で前記スプリング係止部を当接させて前シリンダの回転を阻止する回転ストッパを設けたことを特徴とするシリンダ錠。























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