本発明は、貫通孔を有する第1の基板と、シード膜及び中間層を有する第2の基板と、を接触させて形成された積層体を用意する工程、前記シード膜を起点としてめっき処理により前記貫通孔の内部に導電体を充填する工程を有する貫通配線基板の製造方法である。そして、めっき処理後に、前記貫通孔に充填された前記導電体を、前記中間層と前記第2の基板の界面にて前記第2の基板より分離する工程、を有することを特徴としている。また、貫通孔を有する第1の基板の前記孔が位置する面と、第2の基板に設けられたシード膜と、を接触させ、前記シード膜を起点としてめっき処理により前記貫通孔の内部に導電体を充填して得られる貫通配線基板の製造方法でもある。以下に、本発明の実施形について図を用いて説明するが、本発明はこうした実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
(実施形態)
図1を用いて、本発明の貫通配線基板の製造方法の実施形態を説明する。図1(A)〜(H)は本実施形態を説明するための断面図である。貫通配線基板の製造工程において、1枚の貫通基板上に同時に複数の貫通配線を形成することが一般的であるが、図1では、簡潔にして見やすくするために、2つの貫通配線だけを示している。
まず、図1(A)のように、貫通孔13を有する第1の基板1を用意する。第1の基板1は、例えば、ガラス等の絶縁性基板、またはSiに代表される半導体基板を採用することができる。第1の基板1は、第1の主面である第1の表面1aと、これと反対側に位置する第2の表面1bを有する。第1の基板1の厚さは、例えば、50μm〜1000μmの範囲とすることができる。第1の基板1に第1の表面1a側より第2の表面1b側に貫通する貫通孔13を形成する。貫通孔13の形状、数、配置などは、用途に応じて、フォトレジストパターンで規定する。貫通孔13は、例えば、断面が円形形状で直径が20μm〜100μmの範囲のもので、横方向の周期が200μmで縦方向の周期が2mmの配列で形成される。貫通孔13を形成した後、必要に応じて、貫通孔13の側壁13aに絶縁膜、または金属拡散を防止する拡散防止膜(以下、バリア層と呼ぶことがある。)を形成する。絶縁膜と拡散防止膜の双方を形成することも可能である。こうして貫通基板1sが形成される。
次に、図1(B)に示す第2の基板50を用意する。第2の基板50は、例えば、ガラスを代表とする絶縁性基板、Siを代表とする半導体基板、またはSUSを代表とする金属基板を採用することができる。第2の基板50は、この実施形態で行う工程に対して十分な機械強度を持つものである。第2の基板の厚さは、例えば、100μm〜1000μmの範囲とすることができる。第2の基板50の少なくとも1つの主面50aは、平坦化されていることが望ましく、主面50aの表面粗さRa(算術平均粗さ)は、50nm以下とするのが好適である。次に、図1(C)のように、第2の基板50の主面50aに、中間層51を形成する。中間層51は、第2の基板50との密着性に関して、図1(D)を参照して後述するシード膜52との密着性よりも低いことが望ましい。つまり、中間層51とシード膜52をそれぞれ直接第2の基板50の主面50aに形成される場合、中間層51と主面50aとの密着性は、シード膜52と主面50aとの密着性よりも低いことが望ましい。その理由を図1(G)を参照して説明すると、中間層51と主面50aとの密着性は、図1(F)までのプロセスにおいて中間層51が主面50aから剥がれることがなければ、弱いほど望ましい。当然のことながら、中間層51とシード膜52との密着性は、中間層51と第2の基板50との密着性よりも強いことが必要である。中間層は、導電性の膜で構成することが望ましく、好適には金属材料を含む膜で構成される。金属材料としては、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)等が挙げられる。中間層は、剥離層として機能することから中間層51の厚さは一般的には1nm乃至100nmの範囲内とすることが望ましい。そして、より好ましくは、5nm乃至50nmの範囲内、最適には、10nm乃至20nmの範囲内とするのが望ましい。中間層51の形成において、第2の基板50との間で必要最低限の密着性が確保できれば、より低い密着性が得られる形成方法が望ましい。例えば、中間層51の形成方法として真空蒸着とスパッタ法が挙がられるが、低い密着性を得るという観点ではスパッタ法よりも真空蒸着法が好適である。次に、図1(D)のように、中間層51の上にシード膜52を形成する。シード膜52は電気めっき処理の際のシード膜という観点では、伝導率が高い導電膜で構成され、金属膜とするのが好適である。より望ましくは、シード膜52の主成分は、図1(F)でめっき処理される導電体2の主成分と同じとするのが良い。シード膜52の形成方法としては、真空蒸着やスパッタなどが挙がられる。図1(F)と(G)で後述する理由から、シード膜52の厚さは10nm乃至200nmの範囲とすることが望ましい。こうしてシード基板50sが形成される。ここで、本説明では、第1の基板1の用意を最初に説明し、次いで第2の基板50の用意を説明したが、用意する順序はどちらが先でも両者を同時に用意しても構わない。
次に、図1(E)のように、第1の基板である貫通基板1sとシード基板50sを接触させて積層体を用意する。このとき、貫通孔13の底部に、シード膜52が露出するようにする。つまり、第1の基板1sの孔が位置する面と第2の基板50に設けられたシード膜52とを接触させる。また、貫通基板1sとシード基板50sの間に空隙がないことが望ましい。貫通基板1sとシード基板50sを接触する方法として、機械的な圧着法や、水や有機溶剤に溶解する物質を用いた接着法が挙げられる。接着法を用いる場合、接着後、貫通孔13の底部にある接着用物質を除去して、シード膜52が露出するようにする。
次に、図1(F)のように、積層体の第1の基板における貫通孔13の底部に露出するシード膜52の部分を起点にめっき処理(電気めっき)し、貫通孔13の内部に導電体2(2−1と2−2を含む)を充填する。電気めっきする際、接触した貫通基板1sとシード基板50sをめっき液に浸漬し、貫通孔13の底部に露出するシード膜52の部分が金属板からなる陽極と対向するように配置する。そして、少なくともシード膜52に通電する。めっきムラを低減するために、貫通基板1sのすべての貫通孔13の底部における電流密度が均一であることが望ましい。しかし、シード膜52にしか通電できない場合、シード膜52の全面に均一な電流密度を得るために、シード膜52を厚くする必要がある。貫通基板1sのサイズが大きいほど、シード膜52の面積が大きいので、シード膜52をより厚くする必要がある。シード膜52を厚くすることは、製造コストの向上に繋がるだけではなく、図1(G)の基板分離を難しくするので、望ましくない。よって、本実施形態では、中間層51と第2の基板50を共に金属にする。更に、安価にするため、第2の基板50は、ステンレス(例えば、SUS)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)などの単体または複合体によって構成される金属基板とするのが好適である。第2の基板50は、金属であれば十分に均一な電流密度を得られるので、高純度である必要がない。第2の基板50が導電性を有する場合、貫通孔13の底部に露出するシード膜52の部分を除いた第2の基板50の部分がめっき液と接触しないようにして、不要なめっき成長が起きないようにすることが好適である。また、接着法で貫通基板1sとシード基板50sを接触させる場合、めっき液が基板の周囲の接触界面から浸透して接着に用いる物質を溶解することを防ぐために、基板の周囲の接触界面がめっき液に接触しないようにすることが好適である。電気接続の確実性を確保するため、導電体2のめっき終端面2cが第1の基板1の第1の表面1aより突出するまでめっき処理を行う。終端面2cの突出高さは、めっき処理により充填される導電体の基板内均一性等を考慮して決められるが、例えば、10μm以上とされる。
第2の基板50が金属材料で構成されている場合でも、本発明においては、中間層51とシード膜52とが形成される。その理由は我々の研究によって明らかになった。金属材料で構成される第2の基板50の上に導電体2を直接電気めっき処理する場合、まず、導電体2と第2の基板50の表面との密着性が強くて、めっき後の剥離において、導電体2が応力で破損してしまうことがある。よって、導電体2と第2の基板50との密着性を弱める観点から中間層51が必要になる。つまり、中間層51は、剥離層の役割を果たしている。十分な効果を得るために、中間層51の厚さは1nm以上〜100nmの範囲とし得る。そして、一般的に、安価な金属から第2の基板50は表面状態の均一性が制御しにくくて、その表面に直接に導電体2をめっき処理により形成すると、導電体2のめっきムラが大きい。ここで、第2の基板50の表面状態は、表面の形状、酸化状況及び不純物付着状況等を指している。そして、導電体2のめっきムラは2つのことを指している。一つは、各々の貫通孔において、導電体2のめっき開始端面の形状ムラが発生することである。理想的には、貫通孔の底面において、めっきが均一に開始し、貫通孔の底面とほぼ同様な形状で導電体2がめっき処理にされる。しかし、貫通孔の底面に対応する第2の基板50の表面の状態がミクロオーダーで不均一な場合、めっきの開始タイミングおよび速度が局部的なムラが発生する。その結果、導電体2のめっき開始端面は空洞(ボイドとも呼ぶ)等の欠陥ができてしまい、ムラのある端面になる。もう、一つは、複数の貫通孔の間において、導電体2のめっき終端面2cの高さムラが発生することである。例えば、ある貫通孔における導電体2のめっき終端面2cが第1の基板1の第1の表面1aより高く突出しているが、ある別の貫通孔における導電体2のめっき終端面2cがまだその貫通孔の開口から露出していない場合が想定される。すべての貫通孔において、導電体2のめっき終端面2cが第1の基板1の第1の表面1aより突出して、しかもその突出高さのムラが低減できれば、図1(H)における導電体2のめっき終端面2cの平坦化が行いやすくなる。
本願発明において、めっき処理は、電気めっき(電解めっき)に限定されるものではなく、化学めっき(無電解めっき)を排除するものではないが、化学めっきは析出される金属がニッケル(Ni)等に限定されることや、比較的処理に時間がかかり、高価であること等を考慮すると電気めっきを採用し易い。本願発明において、めっき処理により貫通孔内に充填される金属としては、Cu(銅)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)等の他、これら元素を含有する合金を挙げることができる。この中でもCu(銅)は電気伝導度が高く、また、比較的安価等の理由からCu(銅)及びこれを含有する合金を用いることが好適である。
一般的に、金属基板の表面は酸化、または不純物を吸着しやすい。特に金属基板の材料純度が十分に高くない時、その表面状態を均一に制御することが困難である。また、一般的に、安価な金属基板は、表面の平滑化が難しくで、その表面状態の均一性制御が一層困難である。よって、金属基板の表面に直接導電体2を電気めっき形成する場合、基板間のめっき再現性が低い。本発明では、金属材料で構成される第2の基板50の表面状態の均一性を制御して、均一な導電体2のめっき処理形成を実現するために、第2の基板50の表面に表面状態が制御しやすいシード膜52を設けている。シード膜としての十分な効果を得るために、シード膜52の厚さは10nm以上であることが望ましい。導電体2のめっき処理形成が更に開始しやすいようにするために、シード膜52の主成分を導電体2の主成分と同様にすることが望ましい。
次に、図1(G)のように、中間層51と第2の基板50の界面にて、めっきした導電体2(2−1と2−2を含む)を第2の基板50より分離する。このとき、導電体2は第1の基板1の貫通孔13内に残る。基板剥離のために、機械的な圧着法を用いて第1の基板1と第2の基板50を接触させる場合、まず圧着を解除する。また、水や有機溶剤に溶解する物質による接着法を用いて第1の基板1と第2の基板50を接触させる場合、まず水や有機溶剤で接着に用いる物質を溶解して除去する。この溶解は、主に第1の基板1と第2の基板50の周囲の接触界面からの水や有機溶剤の浸透によって行われる。溶解時間を短縮するため、第1の基板1と第2の基板50の周囲から接触界面に薄板を差し入れて、接触界面の隙間を広げることが効果的である。そうすると、第1の基板1と第2の基板50は、導電体2のめっき開始端面(シード膜52と密接する端面)に対応する中間層51aだけによって連結されていることとなる。この連結する面積は、通常、中間層51全体の面積の10000分の1以下で、中間層51全体の面積より遥かに小さい。よって、中間層51全面からの基板分離に比べて、遥かに小さい応力で中間層51aのところで導電体2を第2の基板50より分離できる。例えば、第1の基板1と第2の基板50の周囲から接触界面に薄板を少しずつ差し込んで、小さい応力をかけるだけで、導電体2と第2の基板50との連結を切断できる。この応力の大きさは、連結面積や、中間層51とシード膜52及び第2の基板50の材質、更に中間層51とシード膜52の厚さ及び形成条件等によるが、1000Pa以下とすることが可能である。
導電体2はシード膜52を起点にめっき成長しているので、シード膜52との密着性が比較的に高い。従って、応力による導電体2と第2の基板50の分離は、導電体2とシード膜52の界面より、密着性が最も低い中間層51aと第2の基板50の界面で起きやすい。そして、中間層51の51a部分と、シード膜52の52a部分だけが導電体2のめっき開始端面に付着した状態で分離がなされる。そのために、中間層51とシード膜52は共に強固な膜ではなく比較的破れやすい膜であることが望ましい。一般的に、同じ材質の膜で比較すると、膜厚が薄いほど、膜は破れやすい。よって、中間層51の厚さは、100nm以下で、シード膜52の厚さは、200nm以下であることが望ましい。
基板分離後、研磨やエッチング等の方法によって、シード膜52と中間層51を除去すれば、シード基板50sは、再度第2の基板50(図1(A)参照)として利用できる。
次に、図1(H)のように、導電体2の端面を平坦化する。このとき、導電体2の端面2−1aと2−2aとが、第1の基板1の第1の表面1aとほぼ同じ高さとなるように平坦化する。また、導電体2の端面2−1bと2−2bとが、第1の基板1の第2の表面1bとほぼ同じ高さとなるように平坦化にする。端面2−1aと2−2aの加工は、第1の表面1a側より行うが、例えば、CMPを用いる。導電体2のめっき終端面2cの平坦化は、2cの突出高さのムラが小さいほど行いやすくなる。特に、2cの突出高さのムラが小さいほど、平坦化後、導電体2の端面(2−1aと2−2aを含む)の第1の基板1の第1の表面1aからの凹み量(以下、ディシング量とも呼ぶ。)のバラつきを小さくすることができる。導電体の端面2−1bと2−2bの加工は、中間層51の51a部分とシード膜52の52a部分の除去、及び導電体2のめっき開始端面の平坦化を含む。中間層51の51a部分とシード膜52の52a部分の除去には、機械研磨やCMP法が用いられる。導電体2のめっき開始端面の平坦化には、CMP法が用いられる。特に、シード膜52の主材料が導電体2の主材料と同様な場合、シード膜52の52a部分の除去は導電体2のめっき開始端面の平坦化と同一工程で行うことができる。導電体2のめっき開始端面のめっきムラが小さいほど、端面2−1bと2−2bのディシング量のバラつき及びボイド等による欠陥を抑えることができる。このように端面を平坦化した導電体2は、第1の基板1内に埋め込まれ基板1の第1の面1aから第2の面1b側に導電体が到達する貫通配線を構成する。即ち、貫通基板1s(図1(D)参照)に導電体(貫通配線)2を形成した貫通配線基板3が得られる。
こうして図1(H)に示した貫通配線基板3が作製できる。シード基板50sとシード膜52との間に、シード基板50sと密着性が弱い中間層(剥離膜)51を設けることによって、めっき後、導電体2を含む貫通配線基板3をシード基板から容易に分離できる。そのため、基板分離による導電体2の損傷が低減できる。また、シード基板50の上にシード膜52を設けることによって、シード基板50sの表面状態を制御しやくにしたため、導電体2形成の際のめっきムラが低減できる。その結果、欠陥が低減された高品質な貫通配線基板3を歩留まり良く作製できる。また、シード膜52と中間層51を設けることによって、シード基板50sを構成するベース基板50に対する品質要求が緩和され、安価な基板(例えば、SUS等の金属基板)の使用と再利用が可能となり、製造コストが低減できる。 本発明の貫通配線基板の製造方法によって得られる貫通配線基板は、電子デバイス、半導体デバイス、光デバイス等の各種デバイスに適用可能である。以下、具体的な実施例挙げて本発明を詳しく説明する。
(実施例1)
図2を用いて、本発明の貫通配線基板の製造方法の実施例を説明する。図2は、本実施例を説明するための断図面である。見やすくするため、図2では、貫通孔及び貫通配線を2つとして示している。
まず、図2(A)及び図2(B)に示すように、貫通孔13を有する第1の基板1(貫通基板1s)を用意する。ここでは第1の基板1としてSi基板を用い、図2(A)のように、第1の基板1に貫通孔13を形成する。第1の基板1は、第1の表面1aと該第1の表面1aの裏側に位置する第2の表面1bを有しており、この2つの面がミラー研磨され、表面粗さRa<2nmとなっている。第1の基板1の抵抗率は、約0.01Ω・cmであり、厚さは約200μmである。第1の基板1の第1の表面1aと第2の表面1bの間を貫通する貫通孔13は、ほぼ円柱形状であり、第1の表面1aと第2の表面1bにおける開口の直径は、約50μmである。貫通孔13は、400μmの周期で第1の基板1中に複数配列されている。貫通孔13の加工は、Siの深堀反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)技術を用いて行う。深堀RIEの後、貫通孔13の内壁13aを平滑化する。平滑化は、Siからなる第1の基板1の表面の熱酸化と熱酸化膜の除去を2回繰り返すことによって行われる。平滑化後、貫通孔13の内壁13aの表面粗さRaは100nm以下となる。次いで、図2(B)に示すように、第1の基板1の第1の表面1a、第2の表面1b及び貫通孔13の内壁13a(図2(A)参照)を含む第1の基板1の表面上に、絶縁膜14を形成する。絶縁膜14は、第1の基板1に酸素雰囲気中での約1000℃の加熱を施すことによって得られる厚さが約1μmのSiの熱酸化膜である。こうして貫通基板1sが形成される。
次いで、図2(C)に示す第2の基板50を用意する。第2の基板50は、厚さが約300μmのSUS基板である。第2の基板50の主面50aは機械研磨によって平坦化され、その表面粗さRaが約20nmである。次に、図2(D)に示すように、第2の基板50の主面50aに、中間層51を形成する。中間層51として、Au(金)の薄膜を真空蒸着法で形成し、Auの薄膜は、厚さが約10nmとする。次に、図2(E)に示すように、中間層51の上に、シード膜52を形成する。シード膜52として、Cuの薄膜を用い、真空蒸着法により厚さが約50nmのCuの薄膜が形成される。こうしてシード基板50sが形成される。
次に、図2(E)に示すように、図2(B)に示す貫通基板1sと図2(E)に示すシード基板50sとを接触させる。ここでは貫通基板1s(第1の基板)の貫通孔13が位置する面とシード基板50s(第2の基板)に設けられたシード膜52とを接触させる。そして、貫通基板1sとシード基板50sのシード膜52との間に空隙が形成されないように、非イオン性界面活性剤を接着層として用いる。非イオン性界面活性剤は、特開2012−28533号公報に開示された例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等を用いることができる。用いる非イオン性界面活性剤は、水またはアセトン等の有機溶剤に溶解し、約40℃の融点を有する。まず、界面活性剤を有機溶剤で溶かし、シード基板50sのシード膜52の表面にスピンコートする。室温放置によって、有機溶剤を蒸発させ、界面活性剤を固形化させる。そして、界面活性剤を介して、貫通基板1sとシード基板50sのシード膜52とを貼り合せる。そして、40〜100℃の加熱により界面活性剤を融解させた状態で、貫通基板1sとシード基板50sに荷重をかけて、貫通基板1sとシード基板50sを密着させる。その後、これを室温まで冷却して、貫通基板1sとシード基板50sとの接着を完了する。尚、貫通基板1sとシード基板50sを貼り合せた後、真空脱泡してから接着を行うと、より空隙の少ない接着が得られる。界面活性材を用いた接着方法では、界面活性剤が貫通孔13の最表面から貫通孔13の内部に多少入り込む。そこで、図2(G)のめっき工程を行う前に、基板接着の状態(図2(F))で、貫通孔13の底部付近の界面活性剤を除去し、シード膜52を露出させることが望ましい。そのため、図2(G)のめっき工程の直前に、接着した貫通基板1sとシード基板50sを水、または水を含むめっき液の中に短時間(例えば、5秒)浸漬し、除去したい界面活性剤の部分を水、または水を含むめっき液の中に溶解させる。次に、図2(G)に示すように、貫通孔13の底部に露出するシード膜52の部分を起点に電気めっきし、貫通孔13の内部に導電体2(2−1と2−2を含む)を充填する。電気めっきする際、接着した貫通基板1sとシード基板50sをめっき液に浸漬し、貫通孔13の底部に露出するシード膜52の部分が金属板からなる陽極と対向するように配置する。導電体2として、Cu(銅)を主材料としてめっきする。めっき液として、硫酸銅を主成分とするCuのめっき液を用いる。めっきの際、シード基板50sの全体に電流を流す。シード基板50sは、SUS基板50、中間層Au51、及びシード膜Cu(銅)52からなり、すべて金属で構成されるので、貫通孔13の底部における電流密度は均一性が高く、均一で良質な導電体を形成するのに都合が良い。Cuのめっきは、導電体2のめっき終端面2cが第1の基板1の第1の表面1aより約30μm突出するまで行う。
次に、図2(H)に示すように、中間層51と第2の基板50の界面にて、めっきした導電体2(2−1と2−2を含む)を第2の基板50より分離する。そのため、まず、第1の基板1と第2の基板50の周囲から接触界面に薄板を差し入れて、接触界面に隙間を作りながら、水で接着物質とした界面活性剤を溶解して除去する。そして、第1の基板1と第2の基板50の周囲から接触界面に薄板を徐々に差し込んで、小さい応力をかける。これにより、導電体2と第2の基板50との連結を切断する。このとき、中間層51はAu(金)であるため、第2の基板(SUS)50との密着力が弱い。また、シード膜52はCu(銅)であり、めっきしたCuからなる導電体2との密着力が強い。さらに、中間層51のAuの厚さは10nmで、シード膜52のCuの厚さは50nmと共に薄いため、破れやすい。よって、導電体2と第2の基板50との分離は、導電体2のめっき開始端面付近のみで起きる。分離後、中間層51の導電体2の直下に位置する51a部分と、同じく導電体2の直下に位置するシード膜52の52a部分だけが導電体2のめっき開始端面に付着してくる。
次に、図2(I)に示すように、Cuからなる導電体2の端面を平坦化する。このとき、導電体2の端面2−1aと2−2aが、第1の基板1の第1の表面1a上に形成した熱酸化膜14とほぼ同じ高さとなるようにする。また、導電体2の端面2−1bと2−2bについても、第1の基板1の第2の表面1b上に形成した熱酸化膜14とほぼ同じ高さとなるようにする。平坦化は、CMP(化学機械的研磨)で行う。導電体2の端面2−1bと2−2bの平坦化において、Auからなる中間層51の51a部分は膜厚が薄く、Cuからなるシード膜52の52a部分及び導電体2のめっき開始端面のCMPで簡単に除去される。よって、ここでは、別途Auからなる中間層51の51a部分を除去する必要がない。このようにして端面を平坦化した導電体2は貫通配線基板3を貫通する貫通配線を構成する。これにより、貫通基板1s(図2(B)参照)に貫通配線2を形成した貫通配線基板3が形成される(図2(I))。
(実施例2)
実施例2では、図3の平面図と図4の断面図を参照して、本発明の貫通配線基板の製造方法を静電容量型トランスデューサ(以下、CMUTとも呼ぶ。)の製造に応用した例を説明する。CMUTは、マイクロマシニング技術によって製造される静電容量型トランスデューサ(CMUT:Capacitive Micromachined Ultrasonic Transducer)である。CMUTは、一対の電極を備えるセルを備え、一対の電極間の静電容量変化に基づいて電気信号を得るトランスデューサである。CMUTによると、振動膜の振動を用いて超音波などの音響波を送信、受信することができ、特に液中において優れた広帯域特性を容易に得ることができる。実用上、図3の平面図に示すように、1つのCMUTデバイスにおいては、2次元アレイ状に配置される複数の振動膜(セルとも呼ぶ)31により1つのエレメント32とし、更に、複数のエレメント32を基板上に並べて素子部30を構成することで、所望の性能を実現している。各エレメント32を独立に制御するためには、それぞれのエレメントに対応して配線部を形成する。CMUTの製造工程を示す図4の断面構造は、図3におけるA−Bの断面を示している。簡明のため、図4においては、CMUTの1つのセル(1つの振動膜)と1対の貫通配線のみが示されている。
本実施例のCMUTは、図4(K)に示すように、素子部30は貫通配線基板3の第1の表面1a側(第1の主面側)に形成され、配線部(11、12と24を含む)は貫通配線基板3の第2の表面1b側(第2の主面側)に形成される。貫通配線2(2−1と2−2を含む)は貫通配線基板3の第1の表面1a側で素子部30と、貫通配線基板3の第2の表面1b側で配線部11、12とそれぞれ電気的に接続される。素子部30は、第1の電極4と、第1の電極4と間隙5を挟んで設けられた第2の電極6と、第2の電極6の上下に配設された絶縁膜(7、8と19を含む)で構成され振動可能な振動膜9と、を含むセルを有する。第1の電極4は、貫通配線2−1を介して、配線11と接続されている。そして第2の電極6は、貫通配線2−2を介して、配線12と接続されている。
以下、CMUTの製造工程について説明する。 まず、図4(A)に示すように、貫通配線基板3を用意する。貫通配線基板3は、実施例1で説明した方法で作製する。例えば、第1の基板1は、両面ミラー研磨のSi基板であり、表面粗さRa<2nmで、抵抗率が約0.01Ω・cmで、厚さが250μmである。貫通孔13(図2(A)参照)は、ほぼ円柱形状であり、第1の基板1の第1の表面1aと第2の表面1bにおける開口の直径が約20μmである。第1の基板1の第1の表面1a、第2の表面1b及び貫通孔13の内壁13aを含む第1の基板1の表面上に、絶縁膜14が形成されている。絶縁膜14は、約1μm厚のSiの熱酸化物である。貫通孔13の内部には、Cuを主材料とする導電体が電解めっき(電気めっき)により充填され、貫通配線2(2−1と2−2を含む)が形成されている。貫通配線2の端面(2−1a、2−1bと2−2a、2−2bを含む)は、CMPによって平坦化されている。貫通配線2は1つのエレメント32(図3参照)に対して2つ形成されている。
次に、図4(B)に示すように、貫通配線基板3の第1の表面1a側に第1の電極4を形成する。第1の電極4は、振動膜9(図4(K)参照)を駆動するための電極の1つである。第1の電極4は、絶縁膜14の上に形成されるので、第1の基板1と絶縁されている。第1の電極4は、セルの振動膜9の振動部分(図4(K)の間隙5に対応する部分)の下部に位置し、振動膜9の振動部分より周囲に延伸している。第1の電極4は、同じエレメント中の各セルに関して、導通するように形成されている。第1の電極4は、金属の成膜、フォトリソグラフィー等を用いて厚さが約10nmのTi(チタン)膜と厚さが約50nmのW(タングステン)膜とを積層して構成される。
次に、図4(C)に示すように、絶縁膜16を形成する。絶縁膜16は、第1の電極4の表面を覆うもので、その役割は第1の電極4の絶縁保護膜としての機能である。絶縁膜16は、200nm厚のSi酸化物の膜であり、約300℃の基板温度でCVD法によって形成される。Si酸化物の成膜後、絶縁膜16に、開口16a、16b、16cを形成する。開口16a、16b、16cは、フォトリソグラフィーを含むエッチングマスク形成と反応性イオンエッチングを含むドライエッチング方法で形成される。次に、図4(D)に示すように、犠牲層17を形成する。犠牲層17は、セルの間隙5を形成するためのもので、Cr(クロム)によって構成される。まず、200nm厚のCr膜を電子ビーム蒸着法で第1の基板1の第1の表面1aに形成する。そして、フォトリソグラフィーとウェットエッチングとを含む方法でCr膜を所望の形状に加工する。犠牲層17は、直径が約30μm、高さが約200nmの円柱状構造を有し、後の工程においてエッチングホール18(図4(H)参照)に繋がる構造を有する。次に、図4(E)に示すように、絶縁膜7を形成する。絶縁膜7は、第2の電極6の下表面に接するもので、その役割は第2の電極6の絶縁保護膜としての機能である。絶縁膜7は、400nm厚のSi窒化物であり、約300℃の基板温度でPE−CVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)法によって成膜される。成膜時、成膜ガスの流量等を制御して、絶縁膜7となるSi窒化物の膜が0.1GPa程度の引張り応力を有するようにする。次に、図4(F)に示すように、第2の電極6を形成する。第2の電極6は、振動膜9(図4(K)参照)の上において第1の電極4と対向して形成され、振動膜9を駆動するための電極の1つである。第2の電極6は、10nmのTi(チタン)膜と100nmのAlNd(アルミニウム・ネオジム)合金膜をこの順番に積層して形成されている。第2の電極6は、金属のスパッタ成膜、フォトリソグラフィーを含むエッチングマスクの形成、及び金属のエッチングを含む方法によって形成される。第2の電極6は、静電容量型トランスデューサの製造が完成した時点で、0.4GPa以下の引張り応力を有するように成膜条件を調整する。第2の電極6は、同じエレメント中の各セルに関して、導通するように形成される。次に、図4(G)に示すように、絶縁膜8を形成する。絶縁膜8は、第2の電極6の上表面を覆い、その役割は第2の電極6の絶縁保護膜としての機能である。絶縁膜8は、絶縁膜7と同様な構成を持ち、絶縁膜7と同様な方法で形成される。
次に、図4(H)に示すように、エッチングホール18を形成して犠牲層17を除去する。エッチングホール18は、フォトリソグラフィーと反応性イオンエッチングとを含む方法によって形成される。そして、エッチングホール18を介して、エッチング液を導入することで、エッチング液によってCrからなる犠牲層17(図4(G)参照)を除去する。これによって、犠牲層17と同じ形状の間隙5が形成される。次に、図4(I)に示すように、薄膜19を形成する。薄膜19は、エッチングホール18を封止すると共に、絶縁膜7、第2の電極6、及び絶縁膜8と合わせて、間隙5の上部で振動可能な振動膜9を構成する。薄膜19は、800nm厚のSi窒化物であり、絶縁膜7と同様、約300℃の基板温度でPE−CVD法を用いて成膜される。このように形成された振動膜9は、全体で0.7GPa程度の引張り応力を有し、スティッキングあるいは座屈がなく、破壊しにくい構造になっている。次に、図4(J)に示すように、電気接続用のコンタクト穴20、21(21aと21bを含む)、22(22aと22bを含む)を形成する。コンタクト穴20は、貫通配線基板3を構成する第1の基板1の第2表面1b側に形成され、第1の基板1の表面1bを部分的に露出する開口である。コンタクト穴21、22は、第1の基板1の第1表面1a側に形成される。コンタクト穴21aは貫通配線2−2の端面2−2aを部分的に露出する開口で、コンタクト穴21bは第2の電極6の表面を部分的に露出する開口である。コンタクト穴22aは第1の電極4の表面を部分的に露出する開口で、コンタクト穴22bは貫通配線2−1の端面2−1aを部分的に露出する開口である。コンタクト穴20の形成法として、フォトリソグラフィーを含むエッチングマスク形成とバッファードフッ酸(BHF)によるSi酸化物のエッチングとを含む方法を用いる。コンタクト穴21、22の形成法として、フォトリソグラフィーを含むエッチングマスク形成とSi窒化物の反応性イオンエッチングとを含む方法を用いる。コンタクト穴20、21、22の形状は、例えば、直径が10μm程度の円柱状である。次に、図4(K)に示すように、接続配線10、23、電極パッド11、12、24を形成する。接続配線10、23は、第1の基板1の第1表面1a側に形成され、厚さが10nmのTi膜と厚さが500nmのAl膜をこの順番に積層して構成される。接続配線10は、コンタクト穴21(21aと21bを含む。図4(J)参照)を介して、第2の電極6と貫通配線2−2の端面2−2aとを接続する。接続配線23は、コンタクト穴22(22aと22bを含む。図4(J)参照)を介して、第1の電極4と貫通配線2−1の端面2−1aとを接続する。電極パッド11、12、24は、第1の基板1の第2表面1b側に形成され、厚さが約500nmのAl膜から構成される。電極パッド11は、貫通配線2−1の端面2−1bと接続するように形成される。電極パッド12は、貫通配線2−2の端面2−2bと接続するように形成される。その結果、第1の基板1の第1の表面1a側にある第1の電極4は、貫通配線2−1を介して、対向する第1の基板1の第2の表面1b側に引出されている。同様に、第1の基板1の第1の表面1a側にある第2の電極6は、貫通配線2−2を介して、対向する第1の基板1の第2の表面1b側に引出されている。電極パッド24は、第1の基板1と接続するように形成される。 以上の製造工程において、絶縁膜7、8、19の膜間密着性を向上するために、上層の膜の成膜前に、下層膜の表面に対してプラズマ処理を施してもよい。このプラズマ処理によって、下層膜の表面が清浄化または活性化される。 次に、CMUTを制御回路基板(不図示)等の別の基板と接続する。接続は、電極パッド11、12、24を介して行う。接続の方法として、異方性導電膜(ACF:Anisotropic Conductive Film)の圧着接合を用いる。上述した製造方法によって製造されたCMUTは、1つのエレメント32内(図3参照)において、第1の電極4と第2の電極6(図4参照)のうちの少なくとも一方同士が電気的に接続されている。駆動の際、バイアス電圧を第1の電極4に印加し、信号印加または信号取り出し電極として第2の電極6を用いる。電極パッド24を介して第1の基板1を接地して、信号ノイズを低減することができる。
本実施例では、貫通配線基板3の使用によって、CMUTの素子面側に外部の制御回路と接続するための配線を設ける必要がなく、制御回路基板を貫通配線基板3の下方に(第2の主面側に)配置することが可能となるため、CMUT素子の高密度化が実現できる。また、本発明で得られる貫通配線基板は欠陥や損傷が少ないものとなるため、CMUT素子の電気接続の確実性が高まる。そのため、CMUTの信頼性が高くなると同時に、製造歩留まりも向上される。
(実施例3)
実施例2で説明したCMUTは、音響波を用いた超音波診断装置、超音波画像形成装置などの被検体情報取得装置に適用することができる。被検体からの音響波をCMUTで受信し、出力される電気信号を用いて、光吸収係数などの被検体の光学特性値を反映した被検体情報や音響インピーダンスの違いを反映した被検体情報などを取得することができる。
図5(A))は、光音響効果を利用した被検体情報取得装置の例を示したものである。光源2010から射出されたパルス光は、レンズ、ミラー、光ファイバー等の光学部材2012を介して、被検体2014に照射される。被検体2014の内部にある光吸収体2016は、パルス光のエネルギーを吸収し、音響波である光音響波2018を発生する。プローブ(探触子)2022内の本発明を用いて作製された電気機械変換装置(CMUT)を含むデバイス2020は、光音響波2018を受信して電気信号に変換し、信号処理部2024に出力する。信号処理部2024は、入力された電気信号に対して、A/D変換や増幅等の信号処理を行い、データ処理部2026へ出力する。データ処理部2026は、入力された信号を用いて被検体情報(光吸収係数などの被検体の光学特性値を反映した特性情報)を画像データとして取得する。ここでは、信号処理部2024とデータ処理部2026を含めて、処理部という。表示部2028は、データ処理部2026から入力された画像データに基づいて、画像を表示する。以上のように、本例の被検体の情報取得装置は、本発明によるデバイスと、光源と、処理部と、を有する。そして、デバイスは、光源から発した光が被検体に照射されることにより発生する光音響波を受信して電気信号に変換し、処理部は、電気信号を用いて被検体の情報を取得する。
図5(B)は、音響波の反射を利用した超音波エコー診断装置等の被検体情報取得装置を示したものである。プローブ(探触子)2122内の本発明の電気機械変換装置(CMUT)を含むデバイス2120から被検体2114へ送信された音響波は、反射体2116により反射される。デバイス2120は、反射された音響波(反射波)2118を受信して電気信号に変換し、信号処理部2124に出力する。信号処理部2124は、入力された電気信号に対して、A/D変換や増幅等の信号処理を行い、データ処理部2126へ出力する。データ処理部2126は、入力された信号を用いて被検体情報(音響インピーダンスの違いを反映した特性情報)を画像データとして取得する。ここでも、信号処理部2124とデータ処理部2126を含めて、処理部という。表示部2128は、データ処理部2126から入力された画像データに基づいて、画像を表示する。以上のように、本例の被検体の情報取得装置は、本発明を用いて作製されたデバイスと、該デバイスが出力する電気信号を用いて被検体の情報を取得する処理部と、を有し、該デバイスは、被検体からの音響波を受信し、電気信号を出力する。
なお、プローブは、機械的に走査するものであっても、医師や技師等のユーザが被検体に対して移動させるもの(ハンドヘルド型)であってもよい。また、図5(B)に示す反射波を用いる装置の場合、音響波を送信するプローブは受信するプローブと別に設けてもよい。さらに、図5(A)と図5(B)の装置の機能をどちらも兼ね備えた装置とし、被検体の光学特性値を反映した被検体情報と、音響インピーダンスの違いを反映した被検体情報と、をどちらも取得するようにしてもよい。この場合、図5(A)のデバイス2020が光音響波の受信だけでなく、音響波の送信と反射波の受信を行うようにしてもよい。
また、上記の如きCMUTを、外力の大きさを測定する測定装置などでも用いることができる。そうした装置では、外力を受けるCMUTからの電気信号を用いて、CMUTの表面に印加された外力の大きさを測定する。