JP2016103550A - 電子デバイス、およびその作製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】貫通配線を用いる電子デバイスの電気的信頼性を確保できる作製方法などを提供する。【解決手段】半導体基板1上に貫通配線と素子部を有する電子デバイスを作製する際、基板の対向する第1の面1及び第2の面1bに第1絶縁膜2を形成した後、第2の面の第1絶縁膜の少なくとも一部が残るように、貫通孔3を形成する。貫通孔の内壁に、第2絶縁膜4を形成する。素子部5の電極6が貫通孔の底面と少なくとも部分的に重なるように素子部を第2の面の第1絶縁膜上に形成する。貫通孔の底面において、素子電極6の一部が第1の面側に露出するように、第1の面側から第2の面の第1絶縁膜を加工する。電極の露出部分をシード層として、電解めっきによって貫通孔の内部を導電材料10で埋め込む。【選択図】図1

Description

本発明は、貫通配線を用いた電子デバイス、その作製方法等に関する。
LSIに代表されるように、集積回路等のシステムは高速化、高機能化が求められている。これらの集積回路等のシステムをさらに高速化、高機能化していくためには、3次元的な構造を用いるチップ実装技術が必要である。このため、従来、チップ間を最短距離で電気的に接続できる貫通配線が用いられている。貫通配線の代表的な材料はCuである。貫通配線を利用する電子デバイスの製法には、いわゆるビアファスト(via first)法とビアラスト(via last)法がある。ビアファスト法の場合、素子部の形成に先立って、基板を貫通する貫通配線を形成する。この場合、素子部を形成する際の加熱工程において、貫通配線の材料が基板または素子部に拡散したり、貫通配線が熱膨張によって変形したりすることがある。また、貫通配線が薬品によって腐食されてしまうこともある。それに対して、ビアラスト法の場合、素子部を形成した後に、基板を貫通する貫通配線を形成する。この場合、素子部へのダメージを避けるため、貫通配線周辺の絶縁膜をできるだけ低い温度で形成することが望ましい。よって、絶縁膜の絶縁耐性確保が課題となる。以上のように、従来の技術では、貫通配線のダメージや貫通配線周辺の絶縁膜の絶縁耐性不足によって、電子デバイスの電気的信頼性には改善の余地があった。
特許文献1は、貫通孔と貫通孔内壁の絶縁膜、そして素子部、最後に貫通配線の順番で電子デバイスを形成する技術を開示している。この技術では、まず貫通配線を納めるための貫通孔(ビアホールとも言う)を形成し、その内壁に絶縁膜を形成する。このとき、基板上にまだ素子部がないので、絶縁膜は十分に高い温度で形成でき、優れた絶縁耐性を得ることが可能である。そして、素子部を形成する。このとき、貫通配線はまだ形成されていないので、素子部の形成による貫通配線の拡散、変形、腐食等が避けられる。
特開2012−195514号公報
しかしながら、特許文献1の方法では、素子部を形成した後、配線電極を形成するために、基板裏面の絶縁膜を一度除去して、再び形成する必要がある。基板裏面に絶縁膜を再び形成するとき、基板上に素子部があるので、素子部へのダメージを避けるため、低温成膜しかできない。その結果、基板裏面の絶縁膜の絶縁耐性が不十分であることによって、電子デバイスの電気的信頼性を確保できないことになる恐れがある。
上記課題に鑑み、半導体基板に、貫通配線と素子部を有する電子デバイスとを作製する本発明の方法は、次に記載の順で実行される工程を有する。半導体基板の対向する第1の面及び第2の面にそれぞれ第1絶縁膜を形成する工程。前記第2の面の第1絶縁膜の少なくとも一部が残って前記基板を完全には貫通しないように、前記第1の面側の第1絶縁膜と前記基板とを貫通する貫通孔を形成する工程。前記貫通孔の内壁に、第2絶縁膜を形成する工程。前記第2の面の第1絶縁膜において、素子部の電極が前記貫通孔の底面と少なくとも部分的に重なるように素子部を形成する工程。前記貫通孔の底面において、前記電極の一部が前記第1の面側に露出するように、前記第1の面側から前記第2の面の第1絶縁膜を加工する工程。前記電極の露出部分をシード層として、電解めっきによって前記貫通孔の内部を導電材料で埋め込む工程。
また、上記課題に鑑み、基板に、貫通配線と素子部を有する電子デバイスとを作製する本発明の他の方法は、次に記載の順で実行される工程を有する。絶縁性を有する基板の対向する第1の面及び第2の面のうちの第2の面の基板材料が残るように、前記第1の面側から前記基板を貫通しない非貫通孔を形成する工程。前記第2の面上において、素子部の電極が前記非貫通孔の底面と少なくとも部分的に重なるように素子部を形成する工程。前記非貫通孔の底面において、前記電極の一部が前記第1の面側に露出するように、前記第1の面側から前記第2の面の前記基板材料を加工し、前記非貫通孔を貫通孔にする工程。前記電極の露出部分をシード層として、電解めっきによって前記貫通孔の内部を導電材料で埋め込む工程。
本発明によれば、貫通孔の内壁絶縁膜及び基板表面絶縁膜、そして素子部、最後に貫通配線の順に電子デバイスを作製する。よって、絶縁膜は、その形成方法と形成条件の制約が少なく、絶縁耐性の高いものが容易に形成できる。その結果、電子デバイスの電気的信頼性を確保できる。また、本発明の別の作製方法によれば、絶縁性基板の非貫通孔、そして素子部、最後に貫通配線の順に電子デバイスを作製する。よって、絶縁耐性の十分に高い絶縁性基板を用いることができ、その結果、電子デバイスの電気的信頼性を確保できる。
本発明の電子デバイスの作製方法の一例を説明する断図面である。 本発明の電子デバイスの作製方法の実施例を説明する断図面である。 他の製法を説明するための断図面である。 本発明のトランスデューサを用いた被検体情報取得装置の説明図である。
本発明の電子デバイスを形成する方法では、第1の面と第2の面を有する基板に貫通孔を形成した後に、貫通孔の底部で露出した素子電極をシード層として電解めっきにより貫通孔の内部を導電材料で埋め込む。半導体基板の場合、貫通孔の内壁絶縁膜及び基板表面絶縁膜を形成するが、素子部作製の前に形成するので、その形成方法と形成条件の制約が少ない。基板がガラス基板などの絶縁性基板である場合は、内壁絶縁膜や基板表面絶縁膜を形成する必要がなく、基板の第2の面の基板材料を加工して露出した素子電極の露出部分をシード層として電解めっきで貫通孔を導電材料で埋め込む。
以下に、本発明の実施形態及び実施例について図を用いて説明するが、本発明はこうした実施形態や実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
(第1の実施形態)
図1を用いて、本発明の電子デバイスの作製方法の第1の実施形態を説明する。図1は、本実施形態を説明するための断図面である。見易くするため、図1では、2つの貫通配線及び1つの素子部のみが示されている。まず、図1(A)のように、基板1を用意する。ここでは、基板1は半導体基板である。例えば、基板1はシリコン基板である。基板1は、互いに対向する第1の面1a及び第2の面1bを有する。第1の面1aと第2の面1bは平行であることが望ましい。基板1の厚さは、例えば、50μm〜1000μmである。以下では、基板1がシリコン基板である場合を例にして、作製方法を説明する。シリコン基板は、他の材料の基板に比べて、加工しやすい利点がある。
次に、図1(B)のように、基板1の第1の面1a及び第2の面1bに第1絶縁膜2を形成する。第1の面1a上の第1絶縁膜は2aと記し、第2の面1b上の第1絶縁膜は2bと記している。絶縁膜2aと絶縁膜2bは、同時に形成されてもよいし、別々に形成されてもよい。また、絶縁膜2aと絶縁膜2bは、構成または膜厚が同じであってもよいし、異なってもよい。第1絶縁膜2(2aと2bを含む。以下同様)は、例えば、シリコンの窒化物またはシリコンの酸化物の単層膜、またはシリコンの窒化物とシリコンの酸化物の複数層膜などから構成される。第1絶縁膜2の厚さは、例えば、0.1μm〜1.5μmである。シリコンの窒化物の形成方法としては、化学気相堆積(CVD:Chemical Vapor Deposition)法がある。シリコンの酸化物の形成方法としては、熱酸化またはCVD法がある。
次に、図1(C)のように、貫通孔3を形成する。貫通孔3の加工は、基板1の第1の面1a側より行い、貫通孔3の底部に第2の面の第1絶縁膜2bの2d部分が残るようにする。貫通孔3の形状、数、配置などは、用途に応じて、フォトレジストパターンで規定することができる。貫通孔3は、例えば、直径が20μm〜100μmであり、横方向の周期が200μmで、縦方向の周期が2mmの配列である。貫通孔3の加工において、例えば、フォトレジストパターン(図示なし)をエッチングマスクとして、第1絶縁膜2aと基板1を順番に加工する。基板1を貫通する貫通孔3の加工は、例えば、反応性イオンエッチング法(RIE:Reactive Ion Etching)を用いる。
図1(C)で、第1絶縁膜2aの開口は2cである。貫通孔3の内壁は3aであり、開口は3bである。貫通孔3の形成によって、第1絶縁膜2bの2d部分が貫通孔3の底部において露出される。貫通孔3の加工において、第1絶縁膜2bの2d部分が少しエッチングされても支障はない。但し、貫通孔3の加工及び後続工程において、第1絶縁膜2bの2d部分が、破壊しない程度の機械強度を有するように、第1絶縁膜2bの材料及び膜厚を図1(B)の工程で決める。
貫通孔3の加工後、上記エッチングマスクを適宜な手法で除去する。貫通孔3の内壁3aは十分に平滑であることが好ましい。例えば、貫通孔3の内壁3aの表面粗さが、最大高さRmaxで50nm以下とすることが好ましい。RIE加工後、貫通孔3の内壁3aが十分に平滑でない場合、内壁3aの平滑化処理を行うことが好ましい。例えば、熱酸化によって内壁3aの表面にシリコンの酸化膜を形成してから、フッ酸、またはバッファードフッ酸(BHF:Buffered Hydrogen Fluoride)等の薬品でシリコンの酸化膜を取り除く。このことによって、内壁3aの平滑化を図ることができる。また、水素雰囲気中の加熱処理も内壁3aの平滑化に効果的である。第2の面の第1絶縁膜2bの2d部分が残っているので、基板1の第2の面1bは平坦である。
次に、図1(D)のように、貫通孔3の内壁3a(図1(C)参照)に第2絶縁膜4を形成する。第2絶縁膜4は、第1絶縁膜2とは材質が異なっていてもよいし、同様であってもよい。第2絶縁膜4が第1絶縁膜2と材質が異なる場合、例えば、第1絶縁膜2はシリコンの窒化膜であり、第2絶縁膜4はシリコンの酸化膜である。この構成で、シリコンの酸化膜を熱酸化で形成する場合、第2絶縁膜4は、貫通孔3の内壁3aだけに形成される。第2絶縁膜4と第1絶縁膜2の材質が異なる場合のメリットの1つは、図1(F)で説明する素子電極の一部を露出する第1絶縁膜2bの開口2e−1を形成する際に、第2絶縁膜4へのダメージが低減できることである。第2絶縁膜4が第1絶縁膜2と材質が同質である場合、例えば、両者が共にシリコンの酸化膜であって、第2絶縁膜4はシリコンの熱酸化で形成される。第2絶縁膜4と第1絶縁膜2の材質が同様である場合のメリットの1つは、基板全体の応力が低い状態が得られやすいことである。
第2絶縁膜4の厚さは、それに必要な性能によって決まる。例えば、第2絶縁膜4の厚さは0.5μm〜1.5μmである。貫通配線材料の基板1への熱拡散を防ぐため、第2絶縁膜4の表面にバリア膜を更に設けてもよい。バリア層の材料と厚さは、貫通電極、基板及び第1絶縁膜の材料、及びプロセス温度と時間に応じて設計する必要がある。ここでは、バリア層は、例えば、材料がシリコン窒化物で、厚さが約100nmであり、低圧CVD(LP−CVD:Low−Pressure−CVD)法で形成されるのが好適である。図1(C)で貫通孔3の内壁3aを十分に平滑にしておけば、内壁3aに形成される第2絶縁膜4には欠陥ができにくく、熱プロセス等による応力にも強くなる。
次に、図1(E)のように、第1絶縁膜2bの上側に、素子部5を形成する。図1(C)の貫通孔3の加工において、貫通孔3の底部に第2の面の第1絶縁膜2bの2d部分が残っているので、基板1の第2の面1bは平坦である。素子部5は平坦な基板の第2の面1b上に形成されるので、貫通孔3を仮埋め込み材で充填し、そして仮埋め込み材を研削して平坦化するような工程は必要ない。素子部5は、例えば、電極(下部電極6と上部電極7を含む)部分と他の部分8によって構成される。電極部分は、貫通孔の底面2dと少なくとも部分的に重なるようにする。例えば、下部電極6は、貫通孔3−2の底面2d−2と部分的に重なり、上部電極7は、貫通孔3−1の底面2d−1と部分的に重なる。素子部5の例として、各種のMEMS(Micro Electro Mechenical System)素子がある。より具体的な例として、静電容量型超音波トランスデューサ(CMUT:Capacitive Micromachined Ultrasonic Transducer)、圧電型超音波トランスデューサなどがある。素子部5は、素子の仕様に合わせて形成方法を設計する。
次に、図1(F)のように、貫通孔の開口3b(図1(C)参照)から見て、素子電極の一部が露出するように、第1絶縁膜2bの2d−1部分と2d−2部分(図1(E)参照)を加工して、開口2e−1と開口2e-2を形成する。図1(F)では、貫通孔3−1の底部で開口2e-1が形成され、上部電極7の7a部分が露出されている。同様、貫通孔3−2の底部で開口2e-2が形成され、下部電極6の6a部分が露出されている。第1絶縁膜2bの2d部分の加工において、第2絶縁膜4が大きなダメージを受けないようにする。そのために、開口2e(2e−1と2e-2を含む)の加工は、例えば、ドライフィルムレジスト9をマスクにしたドライエッチングを利用して、基板1の第1面1a側(図1(A)参照)から行う。ドライフィルムレジスト9の開口9−1、9−2のサイズは、第1絶縁膜2aの開口2c(図1(C)参照)及び貫通孔3の開口3b(図1(C)参照)のいずれよりも小さい。すなわち、基板1の第1の面1a側の垂直方向から見て、開口2c(図1(C)参照)及び貫通孔3の開口3bは何れも見えない。加えて、ドライエッチング法として、直進性の高いRIEが好適である。こうすると、第1絶縁膜2bと第2絶縁膜4が同じ材料で形成されていても、2d部分の加工において、貫通孔内壁の第2絶縁膜4が大きなダメージを受けることがない。また、第1絶縁膜2bと第2絶縁膜4の材料が異なる場合、選択性の高いRIEガスを使用すれば、第2絶縁膜4に対するダメージを更に低減できる。第1絶縁膜2bの2d部分の加工後、ドライフィルムレジスト9を適宜な手法で除去する。
次に、図1(G)のように、素子部5の電極の露出部分(6aと7aを含む)をシード層として、電解めっきによって、貫通孔3(貫通孔3−1と3−2を含む。図1(F)参照)の内部を導電材料10で埋め込む。電解めっき時、素子部を保護するために、素子部5のシード層となるすべての電極(下部電極6と上部電極7を含む)を同電位にする。めっき時、後に作製される配線電極との電気接続の確実性を確保するために、導電材料10が開口2c(図1(C)参照)まで貫通孔3の内部を完全に充填し、更に開口2cから突出するようにする(図示なし)。
めっき時、めっき液は貫通孔3の開口3bより貫通孔の中を循環し、導電材料10は素子部5の電極の露出部分(6aと7aを含む)を起点として成長する。導電材料10は、例えば、Cuを主成分とする。この場合、導電材料10のめっきは、例えば、硫酸銅を主液としたCuの電解めっきである。めっき時、貫通孔3の外側にある下部電極6と上部電極7の面がめっき液と接触しないようにし、それらの部分にはめっき成長をさせない。そのために、例えば、基板1の第2面1b側を絶縁材料で保護しておく。これによって、貫通孔3内部だけにめっき成長ができ、めっきの効率が良い。めっき後、導電材料10の端面10a、10bが出るように、基板1の第1の面1a側(図1(A)参照)から加工を行う。端面10a、10bの加工は、例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)を用いる。CMPによって、端面10a、10bは第1絶縁膜2aの表面とほぼ同じ高さになり、表面が平坦化される。このように端面加工を施した導電材料10(10−1と10−2を含む)は、貫通配線となる。
次に、図1(H)のように、電極パッド11、12を形成する。電極パッド11は、貫通配線10−1の端面10aと接続するように形成される。電極パッド12は、貫通配線10−2の端面10bと接続するように形成される。その結果、基板1の第2表面1b側にある下部電極6と上部電極7は、貫通配線10−2、10−1を介して、それぞれ対向する基板1の第1表面1a側に引出される。電極パッド11、12は、金属を主材料として構成される。
以上の図1(E)〜(H)の製造工程において、膜間の密着性向上や、絶縁性向上や相互拡散防止等のために、膜間にその効用を有する膜を設けてもよい。また、膜間の密着性向上のために、上の膜を成膜前に、下敷き膜の表面処理を行うことも有効である。表面処理によって、下敷き膜の表面が清浄化または活性化される。表面処理としては、例えば、プラズマ処理や、薬品による処理がある。以上の図1(A)〜(H)の製造工程によって、素子部5と貫通配線基板(基板1、絶縁膜2、4、貫通配線10などを含む)からなり電気的信頼性が確保された電子デバイスを形成することができる。
次に、図示はしないが、図1(A)〜(H)の工程によって作製された電子デバイス(素子部5と貫通配線基板を含む)を制御回路に接続する。接続は、電極パッド11、12を介して行う。接続の方法として、金属直接接合や、パンプ接合や、ACF(Anisotropic Conductive Film)接合や、ワイヤボンディングなどの方法がある。
本実施形態の作製方法において、貫通孔の底面で素子電極の一部が第1の面側に露出するように第1の面側から第2の面の第1絶縁膜を加工する工程では、第2の面の第1絶縁膜に形成する開口の内径は貫通孔の内径よりも小さい。開口2eが貫通孔の内径よりも小さくなる構造は、上記プロセスの半ば必然的な産物である。開口2eを加工するとき、貫通孔の内壁にダメージを与えないようにするために、開口2eを貫通孔の内径よりも小さくするのが自然であるからである。ただし、同様な構造は、上記プロセスとは異なる図3(A)〜(E)に示すようなプロセスによっても作製できる。即ち、無電解めっきなどで貫通配線10を形成してから、第2の面側の素子電極6と7を表面から貫通配線10と接続する場合、貫通配線10の上にある絶縁膜2bに窓2b−1と2b−2を開けるときに、窓(開口2eに相当する)の大きさを貫通孔10の内径よりも小さくできる。この作製方法では、その後、素子5を形成する。この製法によっても、素子と貫通配線へのダメージが低いプロセスを採用可能でありながら、高温プロセスにより絶縁耐性の高い絶縁膜を得ることができる。
以上のように、本実施形態の電子デバイスの製法によれば、貫通孔の内壁絶縁膜及び基板表面絶縁膜、そして素子部、最後に貫通配線の順に電子デバイスを作製する。よって、絶縁膜は、素子部と貫通配線より先に形成されるので、その形成方法と形成条件の制約が少なく、絶縁耐性の高いものが容易に形成できる。例えば、1000℃程度の高い温度で絶縁耐性の優れたシリコン酸化膜を形成し、絶縁膜とすることができる。また、第1の面側の第1絶縁膜は、そのまま残して第1の面側の絶縁膜として利用しているので、優れた絶縁耐性を得られる。また、素子部形成後、加熱が必要な第1の面側の絶縁膜の再形成(通常、良い絶縁耐性を得るため、200℃以上の加熱が必要)がないので、素子部の熱劣化が殆どない。これは、素子部が圧電材料を含む場合(例えば、電子デバイスが圧電型超音波トランスデューサの場合)において、効果が特に著しい。なぜなら、圧電材料は、加熱(特に150℃以上の加熱)によって、圧電特性が劣化する現象があるからである。また、本実施形態では、素子部より後に貫通配線を形成するので、素子部の形成工程による貫通配線のダメージが抑制される。以上の結果、電気的信頼性の高い電子デバイスが得られる。また、本実施形態では、仮埋め込み材の形成と除去、第1の面側の基板研削、及び第1の面側の絶縁膜の再形成の工程が不要なので、電子デバイスの製造工程が大幅に簡略化される。
以下、より具体的な実施例を説明する。
(実施例1)
図1と図2を用いて、本発明の電子デバイスの作製方法の一つの具体例である実施例1を説明する。ここに示す電子デバイスは、いわゆるCMUTである。CMUTは、振動膜の振動を用いて超音波を送信、受信することができ、特に液中において優れた広帯域特性を容易に得ることができる。実用上、2次元アレイ状に配置される複数の振動膜を1つのエレメントとし、更に、複数のエレメントを基板上に並べて1つの素子部を構成して、所望の機能、性能を実現している。各エレメントを独立に制御するために、それぞれのエレメントに対応する接続配線を形成する必要がある。CMUTの小型化及び接続配線による寄生容量の低減のために、基板を貫通する貫通配線を利用することが望ましい。本実施例を説明する図2においては、説明を簡明にするために、CMUTの1つのセル(1つの振動膜)のみが示されている。本実施例では、まず、図1(A)〜(D)のように、貫通孔3、第1絶縁膜2及び第2絶縁膜4を半導体基板1に作成する。そして、図2のように、CMUT素子部5と貫通配線10(10−1と10−2を含む)等を順番に作製する。
まず、図1を用いて、貫通孔3、第1絶縁膜2及び第2絶縁膜4を基板1に作成する工程を説明する。ここで、最初に、図1(A)のように、基板1を用意する。基板1は、シリコン基板であり、直径が4”(インチ)Φ、厚さが200μm、抵抗率が0.1Ω・cmである。基板1の互いに対向する第1の面1a及び第2の面1bは、一般的に市販されているシリコン基板と同レベルの鏡面度を有する。次に、図1(B)のように、基板1の第1の面上及び第2の面上に第1絶縁膜2を形成する。第1の面1a上の絶縁膜2aと第2の面1b上の絶縁膜2bは、共に酸化シリコンで、厚さが約1μmであり、約1000℃の高温でのシリコン熱酸化によって同時に形成される。
次に、図1(C)のように、貫通孔3を形成する。貫通孔3の加工は、シリコン基板1の第1の面1a側(図1(A)参照)より行い、貫通孔3の底部に第2の面の第1絶縁膜2bの2d部分が残るようにする。貫通孔3は、直径が50μmであり、横方向の周期が200μm、縦方向の周期が2mmの配列で形成する。貫通孔3の加工において、フォトレジストパターン(図示なし)をエッチングマスクとして、酸化シリコンからなる第1絶縁膜2aとシリコン基板1に対して順番にRIE加工を行う。貫通孔3の形成によって、第1絶縁膜2bの2d部分が貫通孔の底部で露出される。酸化シリコンからなる第1絶縁膜2aとシリコン基板1のRIEに用いる反応性ガス及び加工条件は異なり、それぞれ十分な選択比とエッチレートがあるように最適化されている。特に、貫通孔3の形成によって、第1絶縁膜2bの2d部分が殆どダメージされないように、シリコンのRIE条件を設定する。貫通孔3の加工後、エッチングマスクとしたフォトレジストパターンをプラズマアッシングで除去する。エッチングマスクとして、Cr薄膜のパターンを用いることも好適である。その場合、まずフォトレジストパターンでCr薄膜のパターンを形成する。
次に、図1(D)のように、貫通穴3の内壁3a(図2(C)参照)の表面上に、第2絶縁膜4を形成する。第2絶縁膜4は、約1μm厚の酸化シリコンであり、約1000℃の高温でシリコン熱酸化によって形成される。本実施例では、第2絶縁膜4は第1絶縁膜2と材質が同様であるので、基板全体の応力が低い。ところで、基板が、ガラス基板などの絶縁性基板である場合は、図1(B)と(C)の工程が不要で、図1(A)の基板に図1(D)のように穴3を形成するのみでよい。このとき、穴3は非貫通穴で、その底部に基板の材料を適当な厚さで残すようにする。この場合、図1(D)に示す第1絶縁膜2(2a、2bを含む)と第2絶縁膜4は、絶縁性基板の表面と見なすことができる。絶縁性基板の場合、基板表面に高温の絶縁膜を形成する必要がないが、非貫通穴を形成してから素子部5や貫通配線10を形成することが望ましい。一般的に、絶縁性基板は加工しにくく、腐食性の強い薬品やプラズマも用いることが必要となる。仮に素子部5や貫通配線10を形成してから非貫通穴を形成すると、素子部5や貫通配線10がダメージを受けてしまう恐れがある。また、絶縁性基板の場合、図1(D)で穴3を非貫通にするのは、素子5を形成するとき、基板の第2の面1bの表面が平坦で、素子5が形成されやすいためである。
次に、図2(A)〜(I)を用いて、基板1の第2面1b(図1(A)参照)上に、CMUT素子部5(図2(M)参照)の接続配線6b、7b以外の部分を形成する工程を説明する。図1(C)の貫通孔3の加工において、貫通孔3の底部に、第2の面の第1絶縁膜2bの2d部分が残っているので、基板の第2の面1bは平坦である。素子部5(図2M参照)を平坦な基板の第2の面1b上に形成するので、貫通孔3を仮埋め込み材で充填し、そして仮埋め込み材を研削して平坦化する必要がない。
ここで、最初に、図2(A)のように、基板1の第2面1b上(図1(A)参照)に第1電極6を形成する。第1電極6は、CMUTのセルの振動膜20(図2(M)参照)を駆動するための下部電極である。第1電極6は、第1絶縁膜2bの上に形成されるので、基板1と絶縁されている。第1電極6は、セルの振動膜20の振動部分(図2(M)の間隙(キャビティ)18に対応する部分)の下部に位置し、振動膜20の振動部分より周囲に延伸している。第1電極6は、同じエレメント中の各セルに関して、互いに導通するように形成されている。第1電極6は、厚さが約10nmのTi膜と厚さが約50nmのW膜を積層して構成される。第1電極6は、金属の成膜、フォトリソグラフィーを含むエッチングマスクの形成、及び金属のエッチングを含む方法によって形成することができる。
次に、図2(B)のように、絶縁膜13を形成する。絶縁膜13は、第1電極6の表面を覆い、その役割の1つは第1電極6の絶縁保護膜として働く。絶縁膜13は、200nm厚のシリコン酸化物の膜である。シリコン酸化物の膜は、約300℃の基板温度でCVD法によって形成される。シリコン酸化物の成膜後、絶縁膜13に、開口13a、13b、13cを形成する。開口13a、13b、13cは、フォトリソグラフィーを含むエッチングマスク形成の工程と、反応性イオンエッチングを含むドライエッチング工程とを有する方法で形成する。
次に、図2(C)のように、犠牲層パターン14を形成する。犠牲層パターン14は、セルの空隙18(図2(M)参照)を形成するためのもので、Crによって構成される。Crの厚さは、空隙18の高さ(厚さ)に応じて決める。例えば、空隙18の高さが150nmの場合、まず、150nm厚のCr膜を電子ビーム蒸着法で絶縁膜13の上に成膜する。そして、フォトリソグラフィーとウェットエッチングを含む方法でCrパターン14を加工する。一例として、犠牲層パターン14は、直径が約30μm、高さが約150nmの円柱状構造で、エッチホール17(図2(G)参照)に繋がる構造を有する。
次に、図2(D)のように、絶縁膜15を形成する。絶縁膜15は、第2電極7の下表面を覆い、その役割の1つは第2電極7の絶縁保護膜として働く(図2(M)参照)。絶縁膜15は、400nm厚のシリコン窒化物である。シリコン窒化物の膜は、約300℃の基板温度でPE−CVD(Plasma Enhanced CVD)によって成膜される。成膜時、成膜ガスの流量等を制御して、絶縁膜15となるシリコン窒化物の膜が0.1GPa程度の引張り応力を有するようにする。
次に、図2(E)のように、第2電極7を形成する。第2電極7は、振動膜の上において第1電極6と対向して形成され、振動膜20(図2(M)参照)を駆動するための上部電極である。一例として、第2電極7は、10nmのTi膜と100nmのAlNd合金膜を順番に積層して形成される。第2電極7は、金属のスパッタ成膜、フォトリソグラフィーを含むエッチングマスクの形成、及び金属のエッチングを含む方法によって形成される。第2電極7は、CMUTの製造が完成した時点で、0.4GPa以下の引張り応力を有するように成膜条件が調整される。第2電極7は、同じエレメント中の各セルに関して、互いに導通するように形成される。
次に、図2(F)のように、絶縁膜16を形成する。絶縁膜16は、第2電極7の上表面を覆い、その役割の1つは第2電極7の絶縁保護膜として働く。絶縁膜16は、絶縁膜15と同様な構成を持ち、絶縁膜15と同様な方法で形成されてもよい。
次に、図2(G)のように、エッチホール17を形成して、犠牲層パターン14(図2(F)参照)を除去する。まず、エッチホール17を形成する。エッチホール17は、フォトリソグラフィーと反応性イオンエッチングを含む方法によって形成される。そして、エッチホール17を介して、エッチング液の導入によってCrからなる犠牲層パターン14を除去する。これによって、犠牲層パターン14と同じ形状の空隙18が形成される。
次に、図2(H)のように、薄膜19を形成する。薄膜19は、エッチホール17(図2(G)参照)を封止すると同時に、絶縁膜15、第2電極7及び絶縁膜16と併せて、空隙18の上部に振動可能な振動膜20を構成する。一例として、薄膜19は、500nm厚のシリコン窒化物である。薄膜19は、絶縁膜15と同様、約300℃の基板温度でPE−CVDによって成膜される。このように形成された振動膜20は、全体で0.7GPa程度の引張り応力を有し、スティッキング(振動膜の底面が空隙18の上面に着くこと)あるいは座屈がなく、破壊しにくい構造になっている。以上の製造工程において、絶縁膜15、16及び19の膜間密着性を向上するために、上層の膜の成膜前に、下層膜の表面に対してプラズマ処理をしてもよい。このプラズマ処理によって、下層膜の表面が清浄化または活性化される。
次に、図2(I)のように、電気接続用のコンタクト穴21(21a、21b、21cと21dを含む)を形成する。コンタクト穴21aは、基板の第2の表面1b(図1(A)参照)側において、第1絶縁膜2bの貫通孔3−1の底部2d−1に対応する表面を部分的に露出する開口である。コンタクト穴21bは、第2電極7の表面を部分的に露出する開口である。コンタクト穴21cは、第1電極6の表面を部分的に露出する開口である。コンタクト穴21dは、基板の第2の表面1b(図1(A)参照)側において、第1絶縁膜2bの貫通孔3−2の底部2d−2に対応する表面を部分的に露出する開口である。コンタクト穴21の形成法として、フォトリソグラフィーを含むエッチングマスク形成と、シリコン窒化物の反応性イオンエッチングとを含む方法を用いる。コンタクト穴21は、例えば、直径が10μm程度の円柱状穴である。
次に、図2(J)のように、基板1の第2表面1b(図1(A)参照)上に金属膜22を形成する。金属膜22は、第2電極7と第1電極6とを、コンタクト穴21bと21c(図2(I)参照)を介して連結し、同電位にする。また、金属膜22は、コンタクト穴21a、21d(図2(I)参照)を介して、基板1の第2表面1b(図1(A)参照)側に露出した貫通孔3(3−1と3−2を含む)の底部2d(2d−1と2d−2を含む)の表面に成膜される。金属膜22は、例えば、厚さが10nmのTi膜と厚さが500nmのAl膜を順番に積層して形成される。金属膜22の成膜方法としては、例えば、スパッタ法がある。
次に、図2(K)のように、貫通孔3の開口3bから見て、金属膜22が部分的に露出するように、第1絶縁膜2bの2d−1部分と2d−2部分(図2(J)参照)を加工して開口2e−1、2e-2を形成する。図2(K)では、金属膜22の7a部分と6a部分が露出されている。第1絶縁膜2bの2d(2d−1と2d−2を含む)部分の加工において、第2絶縁膜4が大きなダメージを受けないようにする。そのため、開口2e(2e−1と2e-2を含む)の加工は、ドライエッチングを利用して、エッチングマスクにしたドライフィルムレジスト9の開口9−1、9−2を、貫通孔3の開口3bよりも小さくしている。加えて、ドライエッチング法として、直進性の高いRIEを用いる。開口2eの加工と同時に、基板1の第1の面(図1(A)参照)の第1絶縁膜2aに、開口2fを形成し、基板1が露出するようにする。開口2e−1、2e-2及び2fの形成後、ドライフィルムレジスト9を適宜な手法で除去する。
次に、図2(L)を用いて、貫通配線10の形成工程を説明する。ここで、図2(L)のように、最初に、金属膜22をシード層として、電解めっきによって、貫通孔3の内部を導電部材10(10−1と10−2を含む)で埋め込む。電気接続の確実性を確保するため、導電部材10を絶縁膜2aの開口2c(図1(C)参照)から突出させる。電解めっきのとき、めっき液は貫通孔3の開口3bより貫通孔の中を循環し、導電部材10は導電性膜22の6a部分と7a部分を起点として成長する。導電部材10は、例えば、Cuを主成分とする。この場合、導電部材10のめっきは、例えば、硫酸銅を主液としたCuの電解めっきである。めっき時、貫通孔3の外側にある導電性膜22の表面にめっき成長しないように、導電性膜22の表面がめっき液と接触しないようにする。つまり、導電性膜22の6a部分と7a部分だけを起点として、めっき成長させる。めっき時、CMUT素子部の電極(第1電極6と第2電極7を含む)が金属膜22によって連結され、同電位になっているので、電界によるダメージがない。めっき成長後、導電部材10の端面10a、10bが出るように、基板1の第1の表面1a側から加工を行う。端面10a、10bの加工は、CMPを用いる。CMPによって、端面10aは絶縁膜2aの表面とほぼ同じ高さになり、表面が平坦化される。このように端面加工を施した導電部材10は、貫通配線10となる。
次に、図2(M)を用いて、接続配線6b、7b及び電極パッド11、12及び23の形成工程を説明する。ここで、図2(M)のように、最初に、基板1の第1表面1a(図1(A)参照)側に、電極パッド11、12及び23を形成する。電極パッド11、12は、それぞれ貫通配線10−1、10−2と接続するように形成される。電極パッド23は、開口2f(図2(L)参照)を介して、基板1と接続するように形成される。電極パッド11、12及び23は、厚さが約500nmのAl膜から構成され、Alのスパッタ成膜と、フォトリソグラフィーを含むエッチングマスク形成と、Alのエッチングとを含む工程で形成される。電極パッド11、12及び23の形成工程において、基板1の第2表面1b(図1(A)参照)側の金属膜22のダメージを発生させないように、金属膜22を保護しておく。金属膜22の保護は、例えば、フォトレジストを用いる。電極パッド11、12及び23の形成後、金属膜22を加工して、接続配線6b、7bのパターンを形成する。金属膜22の加工は、フォトリソグラフィーを含むエッチングマスク形成と、金属のエッチングとを含む工程で行う。
金属膜22の加工において、電極パッド11、12及び23をフォトレジストで保護しておく。上述の工程では、貫通配線10は電極パッド11、12及び接続配線6b、7bに保護されているので、薬品などによる腐食を受けることがない。また、接続配線6b、7b及び電極パッド11、12及び23の形成を低い温度で行うことで、貫通配線10は、熱変形や熱拡散が少なくい。図2(M)から分かるように、基板1の第2表面1b(図1(A)参照)側にある第1電極6は、接続配線6bによって貫通配線10−2と接続され、基板1の第1表面1a(図1(A)参照)側にある電極パッド12まで引出される。同様、基板1の第2表面1b(図1(A)参照)側にある第2電極7は、接続配線7bによって貫通配線10−1と接続され、基板1の第1表面1a(図1(A)参照)側にある電極パッド11まで引出される。
そして、図示はしないが、CMUT素子部を制御回路と接続する。接続は、電極パッド11、12及び23を介して行う。接続の方法として、ACF接合を用いる。CMUTを駆動する際、バイアス電圧を第1の電極6に印加し、信号印加または信号取り出し電極として第2の電極7を用いている。電極パッド23を介して基板1を接地することで、信号ノイズを低減することができる。
以上のようにして、貫通配線を有する基板、CMUT素子部及び制御回路からなるCMUTが製造される。本実施例のCMUTの製法によれば、貫通孔の内壁絶縁膜及び基板表面絶縁膜、そしてCMUT素子部、最後に貫通配線の順にCMUT素子部を作製する。よって、絶縁膜は、CMUT素子部と貫通配線より先に形成されるので、その形成方法と形成条件の制約が少なく、絶縁耐性の高いものが容易に形成できる。例えば、1000℃程度の高い温度で絶縁耐性の優れたシリコン酸化膜を形成し、絶縁膜とすることができる。また、第1の面側の第1絶縁膜は、そのまま残して第1の面側の絶縁膜として利用しているので、優れた絶縁耐性が得られる。また、CMUT素子部の形成後、200℃以上の加熱が不要なので、CMUT素子部の熱劣化が殆どない。同時に、貫通配線は、CMUT素子部より後に形成されるので、CMUT素子部の形成工程による絶縁劣化や接続不良が避けられる。その結果、電気的信頼性の高いCMUTが得られる。また、貫通孔を形成する際、CMUT素子部を形成する面側の絶縁膜を貫通せず残すことによって、CMUT素子部を形成する面側の平坦化が不要で、CMUTの製造工程が大幅に簡略化される。
上述の作製方法は、LSIチップやMEMS素子を含めた様々なデバイスやシステムの作製に応用ないし適用できる。これによって、電子デバイスやシステムの小型化、高密度化、高機能化を図ることができる。
(実施例2)
図4(a)は、光音響効果を利用した被検体情報取得装置の実施例を示したものである。光源2010から発振したパルス光は、レンズ、ミラー、光ファイバー等の光学部材2012を介して、被検体2014に照射される。被検体2014の内部にある光吸収体2016は、パルス光のエネルギーを吸収し、音響波である光音響波2018を発生する。プローブ(探触子)2022内の本発明のトランスデューサ2020は、光音響波2018を受信して電気信号に変換し、信号処理部2024に出力する。信号処理部2024は、入力された電気信号に対して、A/D変換や増幅等の信号処理を行い、データ処理部2026へ出力する。データ処理部2026は、入力された信号を用いて被検体情報(光吸収係数などの被検体の光学特性値を反映した特性情報)を画像データとして取得する。ここでは、信号処理部2024とデータ処理部2026を含めて、処理部という。表示部2028は、データ処理部2026から入力された画像データに基づいて、画像を表示する。以上のように、本例の被検体の情報取得装置は、本発明のトランスデューサと、光源と、データ処理装置と、を有する。そして、該トランスデューサは、光源から発振した光が被検体に照射されることにより発生する光音響波を受信して電気信号に変換し、データ処理装置は、電気信号を用いて被検体の情報を取得する。
図4(b)は、音響波の反射を利用した超音波エコー診断装置等の被検体情報取得装置を示したものである。プローブ(探触子)2122内の本発明のトランスデューサ2120から被検体2114へ送信された音響波は、反射体2116により反射される。トランスデューサ2120は、反射された音響波(反射波)2118を受信して電気信号に変換し、信号処理部2124に出力する。信号処理部2124は、入力された電気信号に対して、A/D変換や増幅等の信号処理を行い、データ処理部2126へ出力する。データ処理部2126は、入力された信号を用いて被検体情報(音響インピーダンスの違いを反映した特性情報)を画像データとして取得する。ここでも、信号処理部2124とデータ処理部2126を含めて、処理部という。表示部2128は、データ処理部2126から入力された画像データに基づいて、画像を表示する。以上のように、本例の被検体の情報取得装置は、本発明のトランスデューサと、該トランスデューサが出力する電気信号を用いて被検体の情報を取得する処理部と、を有し、該トランスデューサは、被検体からの音響波を受信し、電気信号を出力する。
なお、プローブは、機械的に走査するものであっても、医師や技師等のユーザが被検体に対して移動させるもの(ハンドヘルド型)であってもよい。また、図4(b)のように反射波を用いる装置の場合、音響波を送信するプローブは受信するプローブと別に設けてもよい。さらに、図4(a)と図4(b)の装置の機能をどちらも兼ね備えた装置とし、被検体の光学特性値を反映した被検体情報と、音響インピーダンスの違いを反映した被検体情報と、をどちらも取得するようにしてもよい。この場合、図4(a)のトランスデューサ2020が光音響波の受信だけでなく、音響波の送信と反射波の受信を行うようにしてもよい。
また、上記の如き静電容量型などのトランスデューサを、外力の大きさを測定する測定装置などでも用いることができる。ここでは、外力を受けるトランスデューサからの電気信号を用いて、トランスデューサの表面に印加された外力の大きさを測定する。
1・・基板、1a・・基板の第1の面、1b・・基板の第2の面、2・・第1絶縁膜、3・・貫通孔、4・・第2絶縁膜、5・・素子部、10・・貫通配線(導電部材)

Claims (17)

  1. 半導体基板に、貫通配線と素子部を有する電子デバイスとを作製する方法であって、
    前記基板の対向する第1の面及び第2の面にそれぞれ第1絶縁膜を形成する工程と、
    前記第2の面の第1絶縁膜の少なくとも一部が残って前記基板を完全には貫通しないように、前記第1の面側の第1絶縁膜と前記基板とを貫通する貫通孔を形成する工程と、
    前記貫通孔の内壁に、第2絶縁膜を形成する工程と、
    前記第2の面の第1絶縁膜において、前記素子部の電極が前記貫通孔の底面と少なくとも部分的に重なるように前記素子部を形成する工程と、
    前記貫通孔の底面において、前記電極の一部が前記第1の面側に露出するように、前記第1の面側から前記第2の面の第1絶縁膜を加工する工程と、
    前記電極の露出部分をシード層として、電解めっきによって前記貫通孔の内部を導電材料で埋め込む工程と、
    をこの順で行うことを特徴とする電子デバイスの作製方法。
  2. 前記第1の面側の第1絶縁膜を前記第1の面側の絶縁膜とすることを特徴とする請求項1に記載の電子デバイスの作製方法。
  3. 前記半導体基板がシリコン基板であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子デバイスの作製方法。
  4. 前記第2絶縁膜がシリコンの酸化膜であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の電子デバイスの作製方法。
  5. 前記第1絶縁膜と前記第2絶縁膜は材質が異なることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の電子デバイスの作製方法。
  6. 前記第1絶縁膜と前記第2絶縁膜は材質が同質であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の電子デバイスの作製方法。
  7. 前記貫通孔の底面で前記電極の一部が前記第1の面側に露出するように、前記第1の面側から前記第2の面の第1絶縁膜を加工する工程において、前記第2の面の第1絶縁膜に形成する開口の内径を前記貫通孔の内径よりも小さくすることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の電子デバイスの作製方法。
  8. 絶縁性を有する基板に、貫通配線と素子部を有する電子デバイスとを作製する方法であって、
    前記基板の対向する第1の面及び第2の面のうちの第2の面の基板材料が残るように、前記第1の面側から前記基板を貫通しない非貫通孔を形成する工程と、
    前記第2の面において、前記素子部の電極が前記非貫通孔の底面と少なくとも部分的に重なるように前記素子部を形成する工程と、
    前記非貫通孔の底面において、前記電極の一部が前記第1の面側に露出するように、前記第1の面側から前記第2の面の前記基板材料を加工し、前記非貫通孔を貫通孔にする工程と、
    前記電極の露出部分をシード層として、電解めっきによって前記貫通孔の内部を導電材料で埋め込む工程と、
    をこの順で行うことを特徴とする電子デバイスの作製方法。
  9. 前記素子部は静電容量型超音波トランスデューサであることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の電子デバイスの作製方法。
  10. 前記素子部は圧電型超音波トランスデューサであることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の電子デバイスの作製方法。
  11. 基板の対向する第1の面と第2の面の間を貫通する貫通配線と電気的に接続された前記第2の面上の電極を有する電子デバイスであって、
    前記第2の面上の絶縁膜または絶縁部に形成され前記貫通配線の径より小さい開口を介して、前記電極は前記貫通配線と電気的に接続されていることを特徴とする電子デバイス。
  12. 静電容量型超音波トランスデューサであることを特徴とする請求項11に記載の電子デバイス。
  13. 圧電型超音波トランスデューサであることを特徴とする請求項11に記載の電子デバイス。
  14. 請求項12または13に記載のトランスデューサと、該トランスデューサが出力する電気信号を用いて被検体の情報を取得する処理部と、を有し、
    前記トランスデューサは、前記被検体からの音響波を受信し、前記電気信号に変換することを特徴とする被検体情報取得装置。
  15. 光源をさらに有し、
    前記トランスデューサは、前記光源から出射された光が被検体に照射されることにより発生する光音響波を受信して電気信号に変換し、
    前記処理部は、前記電気信号を用いて被検体の情報を取得することを特徴とする請求項14に記載の被検体情報取得装置。
  16. 請求項12または13に記載のトランスデューサと、光源と、該トランスデューサが出力する電気信号を用いて被検体の情報を取得する処理部と、を有し、
    前記トランスデューサは、前記光源から発振した光が被検体に照射されることにより発生する音響波を受信して前記電気信号に変換することを特徴とする被検体情報取得装置。
  17. 外力を受ける請求項12または13に記載のトランスデューサを有し、
    前記トランスデューサからの電気信号を用いて、前記トランスデューサの表面に印加された外力の大きさを測定することを特徴とする測定装置。
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