JP2017095767A - オーステナイト系ステンレス鋼 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた溶接熱影響部の耐脆化割れ性が安定して得られるオーステナイト系ステンレス鋼を提供する。【解決手段】オーステナイト系ステンレス鋼は、質量%で、C:0.04〜0.12%、Si:0.05〜1.0%、Mn:1.0〜2.5%、P:0.045%以下、S:0.002%以下、Cu:0.02〜1%、Ni:9〜13%、Cr:16〜20%、Mo:0.02〜1%、Nb:0.5%を超え1.2%以下、N:0.01%以上0.10%未満、B:0.0002〜0.004%、Al:0.001〜0.02%、O:0.001〜0.02%等を含み、結晶粒度番号が2〜10であり、下記の式(1)を満たす。0.0012−[結晶粒度]/10000≦[%B]≦0.0015+2.5×[結晶粒度]/10000…(1)式(1)において、[結晶粒度]には前記結晶粒度番号が代入され、[%B]にはBの含有量が質量%で代入される。【選択図】なし

Description

本発明は、オーステナイト系ステンレス鋼に関する。
発電プラントや石油化学プラントにおける高温部に用いられる材料には、高温でのクリープ強度や耐水蒸気酸化特性が求められる。このような特性を満たす材料として、米国機械学会(ASME)SA213及びSA213Mに規定されているNb含有オーステナイト系ステンレス鋼TP347Hが多用されている。TP347Hは、高温でのクリープ強度に優れる。ASME SA213/SA213Mでは、高温での優れたクリープ強度を得るため、オーステナイト結晶粒度番号を7以下とすることが規定されている。
特開2012−255198号公報には、高温クリープ強度及び耐水蒸気酸化性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼管の製造方法が記載されている。
ところで、非特許文献1〜3に開示されているように、Nbを含有する347系ステンレス鋼においては、溶接構造物として高温で使用する際、その使用中、溶接部に応力緩和割れやひずみ誘起析出硬化割れ等と呼ばれる脆化割れが発生しやすいことが知られている。非特許文献1〜3には、M23やNbCといった炭化物の粒内析出が割れに影響を及ぼす一因であると記載されている。非特許文献3では、溶接プロセス面からの対策として、適正な後熱処理の適用による溶接残留応力の低減が割れ防止に有効であるとの提案がされている。
脆化割れを防止するための材料面からの対策として、国際公開第2009/044796号及び国際公開第2009/044802号には、Nb、Ti、V等の炭化物形成元素の量に応じて、SやP等の脆化元素の量を調整することで、高温使用中の脆化割れを防止できる高N高強度ステンレス鋼及び低C高耐食ステンレス鋼が開示されている。
特開2012−255198号公報 国際公開第2009/044796号 国際公開第2009/044802号
R.N.Youngerら:Journal of The Iron and Steel Institute,October(1960),p.188 R.N.Youngerら:British Welding Journal,December(1961),p.579 内木ら:石川島播磨技報、第15巻(1975)第2号、p.209
特開2012−255198号には、溶接部に生じ得る割れについては何ら言及しておらず、その防止方法についての示唆もない。
非特許文献3に記載されている後熱処理を適用して残留応力を低減すれば、使用中に溶接部に生じる脆化割れを防止することができる。しかしながら、実際のプラントのような大型構造物において、高温、長時間の熱処理を実施することは、変形に伴う寸法精度確保の観点から困難である。また、たとえ実施することが可能であったとしても、その適用によって大幅なコスト増を招く。
国際公開第2009/044796号及び国際公開第2009/044802号に開示されたステンレス鋼は、後熱処理を実施せずとも、優れた耐脆化割れ性を発現する。しかしながら、溶接部の鋭敏化防止の観点から多量のNbを含有し、かつ高温強度を確保する観点から多量のCを含有するステンレス鋼においては、これらの文献の技術を適用しても脆化割れを防止できない場合があることがわかった。
本発明の目的は、溶接構造物として高温で長時間使用される場合に、優れた溶接熱影響部の耐脆化割れ性が安定して得られる、オーステナイト系ステンレス鋼を提供することである。
本発明の一実施形態によるオーステナイト系ステンレス鋼は、化学組成が、質量%で、C:0.04〜0.12%、Si:0.05〜1.0%、Mn:1.0〜2.5%、P:0.045%以下、S:0.002%以下、Cu:0.02〜1%、Ni:9〜13%、Cr:16〜20%、Mo:0.02〜1%、Nb:0.5%を超え1.2%以下、N:0.01%以上0.10%未満、B:0.0002〜0.004%、Al:0.001〜0.02%、O:0.001〜0.02%、V:0〜0.3%、Ti:0〜0.3%、Co:0〜1%、Ca:0〜0.01%、Mg:0〜0.01%、REM:0〜0.1%、残部:Fe及び不純物であり、結晶粒度番号が2〜10であり、下記の式(1)を満たす。
0.0012−[結晶粒度]/10000≦[%B]≦0.0015+2.5×[結晶粒度]/10000…(1)
式(1)において、[結晶粒度]には前記結晶粒度番号が代入され、[%B]にはBの含有量が質量%で代入される。
本発明によれば、溶接構造物として高温で長時間使用される場合に、優れた溶接熱影響部の耐脆化割れ性が安定して得られる、オーステナイト系ステンレス鋼が得られる。
図1は、実施例で作製した板材の開先の形状を示す断面図である。
本発明者らは、まず、前記した国際公開第2009/044796号に記載された高N高強度ステンレス鋼、及び国際公開第2009/044802号に記載された低C高耐食ステンレス鋼の代表的な組成を模擬した材料と、高Nbと高Cとを同時に含有するステンレス鋼とを準備し、これらのステンレス鋼の割れ性について調査を実施した。
その結果、プラントでの使用を模擬した600〜650℃の温度での時効過程では、高Nbと高Cとを同時に含有するステンレス鋼だけに粒界割れが発生し、高N高強度ステンレス鋼及び低C高耐食ステンレス鋼には割れが発生しなかった。また、高Nbと高Cとを同時に含有するステンレス鋼に発生した割れは、割れ破面がほとんど延性を伴わないことから、典型的な脆化割れであると判断された。
時効過程の詳細な組織観察の結果、高Nbと高Cとを同時に含有するステンレス鋼の粒内には、MX相(NbC)が多量に析出していた。それに対し、高N高強度ステンレス鋼及び低C高耐食ステンレス鋼で認められた粒内析出物は、Z相(NbCrN)又はCrNが主体であり、MX相の析出は少なかった。そして、高Nbと高Cとを同時に含有するステンレス鋼におけるMX相の方が、より短時間から析出することがわかった。
一般に、使用中に溶接部に生じる脆化割れは、粒内に多量の炭化物や窒化物、炭窒化物が析出することに起因して粒内が変形しにくくなり、溶接残留応力の緩和に伴うクリープ変形が粒界に集中して開口に至ると考えられている。
このことから、MX相はZ相又はCrNに比べて残留応力がほとんど緩和されていない早期に析出すること、及び析出物相の種類によって強化能が異なることが要因となり、MX相を主な粒内析出相とする高Nbと高Cとを同時に含有するステンレス鋼だけに割れが発生したと考えられる。
以上の調査結果を踏まえ、高Nbと高Cとを同時に含有するステンレス鋼について、使用中の脆化割れを防止する手法についてさらに検討を実施した。具体的には、質量%で、質量%で、C:0.04〜0.12%、Si:0.05〜1.0%、Mn:1.0〜2.5%、P:0.045%以下、Cu:0.02〜1%、Ni:9〜13%、Cr:16〜20%、Mo:0.02〜1%、Nb:0.5%を超え1.2%以下、N:0.01%以上0.10%未満、Al:0.03%以下、O:0.02%以下等を含むオーステナイト系ステンレス鋼について検討を実施した。その結果、以下が判明した。
1)割れの防止にはBを必須で含有させることが有効である。そして、その必要量は、ステンレス鋼の初期の結晶粒度によって異なり、粗粒であるほど多量のBを必要とする。具体的には、ASTM(American Society for Testing and Material:アメリカ材料試験協会)に規定される結晶粒度番号に応じて、{0.0012−[結晶粒度]/10000}(%)以上のBを含有させることが有効である。
この理由は、次のとおりである。Bは粒界偏析してその固着力を高める元素であり、溶接中や高温での使用中に粒界に偏析して使用中の粒界割れを防止する。ステンレス鋼の結晶粒が粗粒であるほど、単位体積当たりの粒界面積は小さくなり、使用中に特定の粒界へのクリープ変形の集中度合いが大きくなる。そのため、ステンレス鋼の初期の結晶粒が粗粒であるほど、粒界固着力をより高める必要がある。
一方、Bは融点を低下させる元素でもあるため、過剰に含有させると、溶接中に粒界が部分溶融し、液化割れが生じる。ステンレス鋼の結晶粒が粗粒であるほど、特定の粒界に溶接中の熱応力が集中しやすくなる。そのため、B含有量の上限は、ステンレス鋼の初期の結晶粒度が粗粒になるほど制限される。具体的には、B含有量を{0.0015+2.5×[結晶粒度]/10000}(%)以下とする必要がある。
2)上記のBの効果を確実に得るためには、粒界に偏析し、粒界の固着力を低減させる元素の含有量を管理する必要がある。なかでも、悪影響の大きいSの含有量を厳密に管理、低減する必要がある。具体的には、Sを0.002%以下とする必要がある。この量を超えてSを含有した場合、溶接中や使用中に、Bよりも先にSが偏析することでBの偏析サイトがなくなり、Bの効果が得られなくなる。
ところで、これらの対策によって脆化割れが防止できることは確認できたものの、検討を継続すると新たな問題が生じることが判明した。
ステンレス鋼を構造物として使用する場合、一般的に溶接によって組み立てられることが多い。ステンレス鋼を溶接する際、通常は溶加材料を使用する。しかし、小型の薄肉部品や、肉厚部材であっても初層溶接や仮付け溶接においては、溶加材料を使用せずにガスシールドアーク溶接をする場合がある。この際、溶け込み深さが不十分であると、未溶融の突き合わせ面が欠陥として残存し、溶接継手において必要な強度が得られなくなる。Sは、上述のとおり脆化割れ感受性を増大させる一方で、溶け込み深さを増大させる効果も有する。そのため、耐脆化割れの観点からS含有量を0.002%以下に管理した場合、溶け込み不足の問題が生じやすくなることがわかった。
溶け込み不足の問題を解決するためには、溶接入熱を増大させればよい。しかし、溶接入熱の増大は、溶接熱影響部の結晶粒の粗大化を助長して脆化割れ感受性を高めるため、好ましくない。
3)そこで、この問題を解決するために検討した結果、従来は不純物として認識されていたOを0.001〜0.02%の範囲で含有させることにより、耐脆化割れ性を確保しつつ、溶け込み深さも増大できることを見いだした。これは、Oは溶融池に溶解すると、Sと同様に表面活性元素として作用するため、溶融池内の対流の方向に影響を及ぼし、溶融池鉛直方向への熱輸送を活発にするためと考えられる。そして、このOの効果を確実に得るためには、Oとの親和力が強いAl及びSiの含有量を管理する必要があることも併せて見いだした。
以上の知見に基づいて、本発明は完成された。以下、本発明の一実施形態によるオーステナイト系ステンレス鋼を詳述する。
[化学組成]
本実施形態によるオーステナイト系ステンレス鋼は、以下に説明する化学組成を有する。以下の説明において、元素の含有量の「%」は、質量%を意味する。
C:0.04〜0.12%
炭素(C)は、オーステナイト組織を安定にするとともに、CrやNbと結合して微細な炭化物を形成し、高温使用中のクリープ強度を向上させる。この効果を十分に得るためには、0.04%以上含有する必要がある。しかしながら、過剰に含有すると、Nb炭化物が多量に粒内析出して耐脆化割れ性が低下する。さらに、Cr炭化物が多量に析出して溶接部の鋭敏化を招く。そのため、上限を設けて0.12%以下とする。C含有量の下限は、好ましくは0.06%であり、さらに好ましくは0.07%である。C含有量の上限は、好ましくは0.11%であり、さらに好ましくは0.10%である。
Si:0.05〜1.0%
シリコン(Si)は、脱酸作用を有するとともに、高温での耐食性及び耐酸化性の確保に必要な元素である。その効果を得るためには、0.05%以上含有する必要がある。しかしながら、過剰に含有すると、組織の安定性が低下して、靱性及びクリープ強度の低下を招く。さらに、SiはOとの親和力が強いため、溶接中の溶接池内でOと結合してスラグを形成し、Oによる溶け込み深さ増大の効果を消失させる。そのため、上限を設けて1.0%以下とする。Si含有量の下限は、好ましくは0.1%であり、さらに好ましくは0.2%である。Si含有量の上限は、好ましくは0.8%であり、さらに好ましくは0.7%である。
Mn:1.0〜2.5%
マンガン(Mn)は、Siと同様、脱酸作用を有する。Mnはまた、オーステナイト組織の安定性に寄与する。Mnはさらに、アークの集中度を高めて、溶け込み深さの増大にも少なからず寄与する。これらの効果を得るためには、1.0%以上含有する必要がある。しかしながら、過剰に含有すると、鋼の脆化を招き、クリープ強度の低下も生じる。そのため、上限を設けて2.5%以下とする。Mn含有量の下限は、好ましくは1.2%であり、さらに好ましくは1.3%である。Mn含有量の上限は、好ましくは2.2%であり、さらに好ましくは2.0%である。
P:0.045%以下
リン(P)は、不純物として鋼中に含まれ、溶接中に溶接熱影響部に偏析して液化割れ感受性を高める元素である。Pはさらに、長時間使用後のクリープ延性も低下させる。そのため、P含有量は上限を設けて0.045%以下とする。P含有量は、好ましくは0.04%以下であり、さらに好ましくは0.038%以下である。なお、P含有量は可能な限り低減することが好ましいが、極度の低減は製鋼コストの増大を招く。そのため、P含有量の下限は、好ましくは0.0005%であり、さらに好ましくは0.0008%である。
S:0.002%以下
硫黄(S)は、Pと同様に不純物として鋼中に含まれ、溶接中に溶接熱影響部に偏析して液化割れ感受性を高める元素である。Sはさらに、長時間使用中に結晶粒界に偏析して、脆化割れ感受性を大きく高める。本実施形態におけるS以外の化学組成の範囲において、これらを防止するためには、S含有量を0.002%以下とする必要がある。S含有量は、好ましくは0.0012%以下であり、さらに好ましくは0.001%以下である。一方、Sは、溶接時の溶け込み深さの増大に有効な元素である。そのため、S含有量の下限は、好ましくは0.0001%であり、さらに好ましくは0.0002%である。
Cu:0.02〜1%
銅(Cu)は、オーステナイト組織の安定性を高めて、クリープ強度の向上に寄与する。Cuはさらに、Sの粒界偏析を抑制し、脆化割れ感受性を少なからず低減する。その効果を得るには、0.02%以上含有する必要がある。しかしながら、過剰に含有すると、鋼の熱間加工性の低下を招く。そのため、上限を設けて1%以下とする。Cu含有量の下限は、好ましくは0.04%であり、さらに好ましくは0.05%である。Cu含有量の上限は、好ましくは0.8%であり、さらに好ましくは0.6%である。
Ni:9〜13%
ニッケル(Ni)は、長時間使用時のオーステナイト組織の安定性を確保するために必須の元素である。本実施形態におけるNi以外の化学組成の範囲において、十分な効果を得るためには、Niを9%以上含有する必要がある。しかしながら、Niは高価な元素であり、多量の含有はコストの増大を招く。そのため、上限を設けて13%以下とする。Ni含有量の下限は、好ましくは9.5%であり、さらに好ましくは10%である。Ni含有量の上限は、好ましくは12.5%であり、さらに好ましくは12%である。
Cr:16〜20%
クロム(Cr)は、高温での耐酸化性及び耐食性の確保のために必須の元素である。Crはまた、微細な炭化物を形成してクリープ強度の確保にも寄与する。その効果を得るためには、16%以上含有する必要がある。しかしながら、Cr含有量が20%を超えると、高温でのオーステナイト組織の安定性が劣化してクリープ強度の低下を招く。Cr含有量の下限は、好ましくは16.5%であり、さらに好ましくは17%である。Cr含有量の上限は、好ましくは19.5%であり、さらに好ましくは19%である。
Mo:0.02〜1%
モリブデン(Mo)は、マトリックスに固溶して高温でのクリープ強度や引張強さの向上に寄与する元素である。加えて、Moは耐食性の向上にも寄与する。その効果を得るためには、0.02%以上含有する必要がある。しかしながら、過剰に含有すると、粒内の変形抵抗が高まり、少なからず耐脆化割れ性が低下する場合がある。さらに、Moは高価な元素であるため、過剰の含有はコストの増大を招く。そのため、上限を設けて1%以下とする。Mo含有量の下限は、好ましくは0.04%であり、さらに好ましくは0.05%である。Mo含有量の上限は、好ましくは0.8%であり、さらに好ましくは0.6%である。
Nb:0.5%を超え1.2%以下
ニオブ(Nb)は、本実施形態において微細な炭窒化物として粒内に析出し、高温でのクリープ強度や引張強さの向上に寄与する。加えて、NbはCを固定する効果があり、Cr炭化物の析出を抑制して溶接熱影響部の鋭敏化を抑制する。その効果を十分に得るためには、0.5%を超えて含有する必要がある。しかしながら、過剰に含有すると、炭化物として粒内に多量に析出し、脆化割れ感受性を高めるとともに、クリープ延性及び靱性の低下も招く。さらには、溶接時の液化割れ感受性も高まる。そのため、上限を設けて1.2%以下とする。Nb含有量の下限は、好ましくは0.55%であり、さらに好ましくは0.6%である。Nb含有量の上限は、好ましくは1.1%であり、さらに好ましくは1.0%である。
N:0.01%以上0.10%未満
窒素(N)は、オーステナイト組織を安定にするとともに、固溶によって、又は窒化物を析出させることによって、高温強度の向上に寄与する。その効果を得るためには、0.01%以上含有する必要がある。しかしながら、過剰に含有すると、Nbと結合し、Cと結合するNb量を減少させて、溶接部の耐鋭敏化特性を低下させる。そのため、上限を設けて0.10%未満とする。N含有量の下限は、好ましくは0.02%であり、さらに好ましくは0.04%である。N含有量の上限は、好ましくは0.08%であり、さらに好ましくは0.07%である。
Al:0.001〜0.02%
アルミニウム(Al)は、脱酸剤として含有される。Alは、Oとの親和力が強いため、溶接中の溶接池内でOと結合してスラグを形成し、Oによる溶け込み深さ増大の効果を消失させる。そのため、上限を設けて0.02%以下とする。Al含有量は、溶け込み深さを向上させるためには低い方がよいが、極端な低減は製鋼コストの増大を招くため、0.001%以上とする。Al含有量の下限は、好ましくは0.002%である。Al含有量の上限は、好ましくは0.015%であり、さらに好ましくは0.01%である。
O:0.001〜0.02%
酸素(O)は、一般には不純物として鋼中に含まれるが、溶接中の溶け込み深さを増大させる効果を有することから、本実施形態ではその効果を活用するため、0.001%以上含有させる。しかしながら、過剰に含有すると、熱間加工性が低下するとともに、靱性や延性の劣化を招く。そのため、上限を設けて0.02%以下とする。O含有量の下限は、好ましくは0.0015%であり、さらに好ましくは0.002%である。O含有量の上限は、好ましくは0.015%であり、さらに好ましくは0.01%である。
B:0.0002〜0.004%
ボロン(B)は、粒界に偏析しやすい元素であり、粒界固着力を高め、脆化割れ感受性を低減するのに必須の元素である。その効果を得るためには、0.0002%以上含有させる必要がある。しかしながら、過剰に含有すると、溶接時の液化割れ感受性が高まる。そのため、上限を設けて0.004%以下とする。B含有量はさらに、鋼の結晶粒度に応じて、後述する式(1)を満たすようにする必要がある。B含有量の好ましい範囲は、結晶粒度番号が2〜7の場合は0.001〜0.002%であり、結晶粒度番号が7を超え10以下の場合は0.0005〜0.003%である。
本実施形態によるオーステナイト系ステンレス鋼の化学組成の残部は、Fe及び不純物である。ここでいう不純物とは、鋼の原料として利用される鉱石やスクラップから混入する元素、あるいは製造過程の環境等から混入する元素をいう。
本実施形態によるオーステナイト系ステンレス鋼の化学組成は、上記のFeの一部に代えて、下記の第1群から第3群から選択される1種以上の元素を含有してもよい。下記の元素は、すべて選択元素である。すなわち、下記の元素は、いずれも本実施形態によるオーステナイト系ステンレス鋼に含有されていなくてもよい。また、一部だけが含有されていてもよい。
より具体的には、例えば、第1群から第3群までの群の中から1つの群だけを選択し、その群から1種以上の元素を選択してもよい。この場合、選択した群に属するすべての元素を選択する必要はない。また、第1群から第3群の中から複数の群を選択し、それぞれの群から1種以上の元素を選択してもよい。この場合も、選択した群に属するすべての元素を選択する必要はない。
第1群 V:0〜0.3%、Ti:0〜0.3%
第1群に属する元素は、V及びTiである。これらの元素は、微細な炭化物又は炭窒化物を形成し、クリープ強度向上に寄与するため、必要に応じて含有させてもよい。
V:0〜0.3%
バナジウム(V)は、Nbと同様に、炭素又は窒素と結合して微細な炭化物又は炭窒化物を形成し、クリープ強度向上に寄与する。Vが少しでも含有されれば、この効果が得られる。しかしながら、過剰に含有すると炭化物又は炭窒化物が多量に析出し、耐脆化割れ性及びクリープ延性の低下を招く。そのため、上限を設けて0.3%以下とする。V含有量の下限は、好ましくは0.01%であり、さらに好ましくは0.03%である。V含有量の上限は、好ましくは0.25%であり、さらに好ましくは0.2%である。
Ti:0〜0.3%
チタン(Ti)は、Vと同様に、炭素又は窒素と結合して微細な炭化物又は炭窒化物を形成し、クリープ強度向上に寄与する。Tiが少しでも含有されれば、この効果が得られる。しかしながら、過剰に含有すると炭化物又は炭窒化物が多量に析出し、耐脆化割れ性及びクリープ延性の低下を招く。そのため、上限を設けて0.3%以下とする。Ti含有量の下限は、好ましくは0.01%であり、さらに好ましくは0.03%である。Ti含有量の上限は、好ましくは0.25%であり、さらに好ましくは0.2%である。
第2群 Co:0〜1%
第2群に属する元素はCoである。Coは、オーステナイト組織の安定性を高めてクリープ強度向上に寄与するため、必要に応じて含有させてもよい。
Co:0〜1%
コバルト(Co)は、Niと同様にオーステナイト形成元素であり、オーステナイト組織の安定性を高めてクリープ強度の向上に寄与する。Coが少しでも含有されれば、この効果が得られる。しかしながら、Coは極めて高価な元素であるため、過剰な含有は大幅なコスト増を招く。そのため、上限を設けて1%以下とする。Co含有量の下限は、好ましくは0.01%であり、さらに好ましくは0.03%である。Co含有量の上限は、好ましくは0.9%であり、さらに好ましくは0.8%である。
第3群 Ca:0〜0.01%、Mg:0〜0.01%、REM:0〜0.1%
第3群に属する元素は、Ca、Mg、及びREMである。これらの元素は、鋼の製造時の熱間加工性を改善する効果を有するため、必要に応じて含有させてもよい。
Ca:0〜0.01%
カルシウム(Ca)は、鋼の製造時の熱間加工性を改善する。Caが少しでも含有されれば、この効果が得られる。しかしながら、過剰に含有するとOと結合して清浄性を著しく低下させ、かえって熱間加工性を低下させる。そのため、上限を設けて0.01%以下とする。Ca含有量の下限は、好ましくは0.0005%であり、さらに好ましくは0.001%である。Ca含有量の上限は、好ましくは0.008%であり、さらに好ましくは0.006%である。
Mg:0〜0.01%
マグネシウム(Mg)は、Caと同様、鋼の製造時の熱間加工性を改善する。Mgが少しでも含有されれば、この効果が得られる。しかしながら、過剰に含有するとOと結合して清浄性を著しく低下させ、かえって熱間加工性を低下させる。そのため、上限を設けて0.01%以下とする。Mg含有量の下限は、好ましくは0.0005%であり、さらに好ましくは0.001%である。Ca含有量の上限は、好ましくは0.008%であり、さらに好ましくは0.006%である。
REM:0〜0.1%
希土類元素(REM)は、CaやMgと同様、鋼の製造時の熱間加工性を改善する。REMが少しでも含有されれば、この効果が得られる。しかしながら、過剰に含有するとOと結合して清浄性を著しく低下させ、かえって熱間加工性を低下させる。そのため、上限を設けて0.01%以下とする。REM含有量の下限は、好ましくは0.0005%であり、さらに好ましくは0.001%である。REM含有量の上限は、好ましくは0.08%であり、さらに好ましくは0.06%である。
なお、「REM」とはSc、Y及びランタノイドの合計17元素の総称であり、REM含有量はREMのうちの1種又は2種以上の元素の合計含有量を指す。また、REMについては一般的にミッシュメタルに含有される。このため例えば、ミッシュメタルの形で含有させて、REM含有量が上記の範囲となるようにしてもよい。
[結晶粒度番号]
本実施形態によるオーステナイト系ステンレス鋼は、ASTM E112に規定される結晶粒度番号が2〜10である。本実施形態によるオーステナイト系ステンレス鋼を用いた溶接構造物において、その溶接熱影響部に十分な耐脆化割れ性や耐液化割れ性を付与するためには、溶接による熱サイクルを受けても溶接熱影響部の結晶粒が過度に粗大にならないように、初期の結晶粒を結晶粒度番号で2以上の細粒にしておく必要がある。しかしながら、結晶粒が結晶粒度番号で10を超える細粒になると、必要なクリープ強度の確保が困難となる。そのため、結晶粒度番号で10以下とする必要がある。
結晶粒度番号を上記の範囲にするためには、製造条件を適切に設定する必要がある。本実施形態によるオーステナイト系ステンレス鋼は、例えば、上述の化学組成の原料を熱間加工や冷間加工によって成形した後、1000〜1300℃の温度で3〜60分間保持した後水令する固溶化熱処理を実施することによって製造される。固溶化熱処理は、1080〜1280℃の温度で3〜45分間保持した後水冷することが好ましく、1150〜1250℃の温度で3〜45分間保持した後水冷することがさらに好ましい。なお、結晶粒度番号は、固溶化熱処理の温度が高いほど小さくなり、固溶化熱処理の保持時間が長いほど小さくなる。
[式(1)について]
本実施形態によるオーステナイト系ステンレス鋼は、下記の式(1)を満たす。
0.0012−[結晶粒度]/10000≦[%B]≦0.0015+2.5×[結晶粒度]/10000…(1)
式(1)において、[結晶粒度]には結晶粒度番号が代入され、[%B]にはBの含有量が質量%で代入される。
Bは粒界偏析してその固着力を高める元素であり、溶接中や高温での使用中に粒界に偏析して使用中の粒界割れを防止する。オーステナイト系ステンレス鋼の結晶粒が粗粒であるほど、単位体積当たりの粒界面積は小さくなり、使用中に特定の粒界へのクリープ変形の集中度合いが大きくなる。そのため、オーステナイト系ステンレス鋼の初期の結晶粒が粗粒であるほど、粒界固着力をより高める必要があり、多量のBを含有させる必要がある。具体的には、B含有量を{0.0012−[結晶粒度]/10000}%以上にする必要がある。
一方、Bは融点を低下させる元素でもあるため、過剰に含有させると、溶接中に粒界が部分溶融し、液化割れが生じる。オーステナイト系ステンレス鋼の結晶粒が粗粒であるほど、特定の粒界に溶接中の熱応力が集中しやすくなる。そのため、B含有量の上限は、オーステナイト系ステンレス鋼の初期の結晶粒が粗粒になるほど制限される。具体的には、B含有量を{0.0015+2.5×[結晶粒度]/10000}(%)以下とする必要がある。
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態は本発明を実施するための例示にすぎない。よって、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態を適宜変形して実施することが可能である。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されない。
表1に示す化学組成を有する代符A〜Lの材料を実験室溶解して鋳込んだインゴットを作製した。
Figure 2017095767
作製したインゴットを、1000〜1150℃の温度範囲で熱間鍛造及び熱間圧延して板厚20mmの板材とした。これをさらに冷間圧延して板厚16mmとした後、保持温度1230℃で固溶化熱処理した。その後、機械加工によって板厚14mm、幅50mm、長さ100mmに成形した。なお、固溶化熱処理における保持時間は3〜30分の範囲で種々変化させ、結晶粒度の異なる材料を作製した。また、この板材とは別に、固溶化熱処理した板材から組織観察用の試料を採取して、ASTM E112に準拠して組織の結晶粒度番号を測定した。
[溶接施工性]
この板材の長手方向と平行な端面に、図1に示す開先加工を実施した。図1中の数値は、寸法を表す。2つの板材の開先加工を施した端面同士を突き合わせて、ガスタングステンアーク溶接により、溶接材料を用いずに1回溶接を実施し、各代符につき2継手ずつ溶接継手を作製した。
得られた溶接継手のうち、2継手とも溶接線の全長にわたって裏ビードが形成されたものを、溶接施工性が良好であるとして合格とした。合格の継手のうち、全長にわたって裏ビードの幅が2mm以上であったものを「良」とし、一部でも幅が2mm未満の部分があったものを「可」とした。また、2継手のうち一部でも裏ビードが形成されない部分があったものを「不可」とした。
[耐溶接割れ性]
初層のみ溶接した上記の溶接継手を、JIS G 3106(2008)に規定のSM400B相当の市販の鋼板(厚さ30mm、幅200mm、長さ200mm)の上に、JIS Z 3224(2010)に規定の被覆アーク溶接棒ENi6625を用いて四周を拘束溶接した。その後、JIS Z 3334(2011)に規定のSNi6625該当のティグワイヤを用いて、入熱10〜15kJ/cmでTIG溶接により開先内に積層溶接を行って、各代符につき2継手ずつ溶接継手を作製した。
作製した溶接継手の一方に、650℃×500時間の時効熱処理を行った。溶接ままの溶接継手及び時効熱処理を施した溶接継手の各5カ所から、観察面が継手の横断面(溶接ビードと垂直な断面)になるように試料を採取した。採取した試料を鏡面研磨、腐食した後、光学顕微鏡によって検鏡し、溶接熱影響部における割れの有無を調査した。5個の試料のすべてで割れが観察されなかった溶接継手を「良」、1個の試料で割れが観察された溶接継手を「可」として、合格とした。2個以上の試料で割れが観察された溶接継手を「不可」とした。
[クリープ破断試験]
耐溶接割れ性試験で合格した溶接ままの溶接継手から、溶接金属が平行部の中央となるように丸棒クリープ破断試験片を採取した。母材の目標破断時間が約1000時間となる650℃、216MPaの条件でクリープ破断試験を行った。母材破断し、かつ、その破断時間が母材の破断時間の90%以上(すなわち、900時間以上)となるものを「合格」とした。
[性能評価結果]
結晶粒度番号及び性能評価結果を表2に示す。なお、「クリープ破断試験」の欄の「−」は、クリープ破断試験を実施していないことを示す。
Figure 2017095767
代符A1〜A4、B1〜B4、C−2、C−3、D−3、D−4、E−3、E−4、F−3、及びL−2〜L−4は、溶接継手の作製時に良好な施工性を有するとともに、耐脆化割れ性及び耐液化割れ性に優れ、必要なクリープ強度も有していた。特に、結晶粒度番号とB含有量との関係が好ましい条件を満たした代符A1〜A4、B1〜B4、C−3、E−4、及びL2〜L4は、溶接割れ試験の評価結果がすべて「良」であった。
代符C−1、F−1、及びF−2では、時効熱処理後、溶接熱影響部に脆化割れが発生した。これは、B含有量が結晶粒度との関係で少なすぎたためと考えられる。
代符C−4及びF−4では、必要なクリープ強度が得られなかった。これは、結晶粒が細粒すぎたためと考えられる。
代符D−1、D−2、及びE−2では、溶接時、溶接熱影響部に液化割れが発生した。これは、B含有量が結晶粒度との関係で多すぎたためと考えられる。
代符E−1では、溶接時、溶接熱影響部に液化割れが発生するとともに、時効熱処理後、溶接熱影響部に脆化割れが発生した。これは、B含有量が結晶粒度との関係で多すぎたため、及び結晶粒が粗粒すぎたためと考えられる。
代符G−1〜G−4では、時効熱処理後、溶接熱影響部に脆化割れが発生した。これは、B含有量が少なすぎたためと考えられる。
代符H−1〜H4では、時効熱処理後、溶接熱影響部に脆化割れが発生した。代符H−1〜H−4は、B含有量は適切であったものの、S含有量が多すぎたため、Bの効果が十分に得られなかったと考えられる。
代符I−1〜I−4では、溶接時に裏ビードが十分に形成されなかった。これは、O含有量が少なすぎたためと考えられる。
代符J−1〜J−4では、溶接時に裏ビードが十分に形成されなかった。代符J−1〜J−4は、O含有量は適切であったものの、Al含有量が多すぎたため、Oの効果が十分に得られなかったと考えられる。
代符K−1〜K−4では、溶接時に裏ビードが十分に形成されなかった。代符K−1〜K−4は、O含有量は適切であったものの、Si含有量が多すぎたため、Oの効果が十分に得られなかったと考えられる。
代符L−1では、溶接時、溶接熱影響部に液化割れが発生するとともに、時効熱処理後、溶接熱影響部に脆化割れが発生した。これは、結晶粒が粗粒すぎたためと考えられる。
本発明は、発電プラントや石油化学プラント等の高温部材として好適に用いることができる。

Claims (4)

  1. 化学組成が、質量%で、
    C :0.04〜0.12%、
    Si:0.05〜1.0%、
    Mn:1.0〜2.5%、
    P :0.045%以下、
    S :0.002%以下、
    Cu:0.02〜1%、
    Ni:9〜13%、
    Cr:16〜20%、
    Mo:0.02〜1%、
    Nb:0.5%を超え1.2%以下、
    N :0.01%以上0.10%未満、
    B :0.0002〜0.004%、
    Al:0.001〜0.02%、
    O :0.001〜0.02%、
    V :0〜0.3%、
    Ti:0〜0.3%、
    Co:0〜1%、
    Ca:0〜0.01%、
    Mg:0〜0.01%、
    REM:0〜0.1%、
    残部:Fe及び不純物であり、
    結晶粒度番号が2〜10であり、
    下記の式(1)を満たす、オーステナイト系ステンレス鋼。
    0.0012−[結晶粒度]/10000≦[%B]≦0.0015+2.5×[結晶粒度]/10000…(1)
    式(1)において、[結晶粒度]には前記結晶粒度番号が代入され、[%B]にはBの含有量が質量%で代入される。
  2. 請求項1に記載のオーステナイト系ステンレス鋼であって、
    前記化学組成が、質量%で、
    C :0.07〜0.10%、
    Si:0.2〜0.7%、
    Mn:1.3〜2.0%、
    P :0.038%以下、
    S :0.001%以下、
    Cu:0.05〜0.6%、
    Ni:10〜12%、
    Cr:17〜19%、
    Mo:0.05〜0.6%、
    Nb:0.6〜1.0%、
    N :0.04〜0.07%、
    B :0.001〜0.002%、
    Al:0.002〜0.01%、
    O :0.001〜0.02%、
    V :0〜0.3%、
    Ti:0〜0.3%、
    Co:0〜1%、
    Ca:0〜0.01%、
    Mg:0〜0.01%、
    REM:0〜0.1%、
    残部:Fe及び不純物であり、
    前記結晶粒度番号が2〜7である、オーステナイト系ステンレス鋼。
  3. 請求項1に記載のオーステナイト系ステンレス鋼であって、
    前記化学組成が、質量%で、
    C :0.07〜0.10%、
    Si:0.2〜0.7%、
    Mn:1.3〜2.0%、
    P :0.038%以下、
    S :0.001%以下、
    Cu:0.05〜0.6%、
    Ni:10〜12%、
    Cr:17〜19%、
    Mo:0.05〜0.6%、
    Nb:0.6〜1.0%、
    N :0.04〜0.07%、
    B :0.0005〜0.003%、
    Al:0.002〜0.01%、
    O :0.001〜0.02%、
    V :0〜0.3%、
    Ti:0〜0.3%、
    Co:0〜1%、
    Ca:0〜0.01%、
    Mg:0〜0.01%、
    REM:0〜0.1%、
    残部:Fe及び不純物であり、
    前記結晶粒度番号が7を超え10以下である、オーステナイト系ステンレス鋼。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のオーステナイト系ステンレス鋼であって、
    前記化学組成が、質量%で、下記の第1群から第3群から選択される1種以上の元素を含有する、オーステナイト系ステンレス鋼。
    第1群 V :0.01〜0.3%、Ti:0.01〜0.3%
    第2群 Co:0.01〜1%
    第3群 Ca:0.0005〜0.01%、Mg:0.0005〜0.01%、REM:0.0005〜0.1%
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