(第1実施形態)
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の一形態について説明する。図1および図2に示すように、本実施形態に係る車両は、2つの前輪11L,11Rと1つの後輪12とを備える鞍乗型の三輪車両(以下、単に車両という)1である。なお、本明細書において「傾斜可能な車両」とは、図3に示すように、車体フレーム5が地面に対して傾斜可能であって、車体フレーム5の傾斜に伴って左前輪11Lおよび右前輪11Rの車体フレーム5の上下方向の相対位置が変化する車両をいう。
以下では特に断らない限り、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」とは、車両1が水平面上に無負荷かつ無転舵状態で直立して静止しているときに(図2参照)、乗員がシート3に着座したと仮定した場合の当該乗員から見た前、後、左、右、上、下をそれぞれ意味することとする。なお、無負荷状態とは、車両1に乗員が乗車せず、荷物が搭載されず、かつ燃料が充填されていない状態をいう。図面中の符号F、Re、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表す。「車体フレームの前後方向」、「車体フレームの上下方向」、「車体フレームの左右方向」とは、車体フレームを基準とした前後方向、上下方向、左右方向を意味する。無転舵かつ車体フレーム5が直立した状態では、車体フレーム5の前後方向、上下方向、左右方向は、それぞれ車両1の前後方向、上下方向、左右方向と一致する。しかし、転舵状態または車体フレーム5が傾斜した状態では、車体フレーム5の前後方向、上下方向、左右方向は、それぞれ車両1の前後方向、上下方向、左右方向と異なる場合がある。「前後方向に延びる」には、前後方向と平行な方向に限らず、前後方向に対して−45°〜+45°の範囲で傾斜している方向も含まれる。同様に、「上下方向に延びる」、「左右方向に延びる」には、それぞれ上下方向に対して−45°〜+45°の範囲で傾斜している方向、左右方向に対して−45°〜+45°の範囲で傾斜している方向が含まれる。
図1および図2に示すように、車両1は、車体フレーム5と、左前輪11Lと、右前輪11Rと、後輪12と、左前輪11Lおよび右前輪11Rを操舵する操舵機構60と、左前輪11Lおよび右前輪11Rを支持すると共に、車体フレーム5の傾斜に合わせて左前輪11Lおよび右前輪11Rを傾斜させる懸架装置61と、乗員が着座するシート3と、後輪12を駆動するための駆動力を発生するパワーユニット62とを備えている。
図1に示すように、車体フレーム5は、ヘッドパイプ10と、車両側面視においてヘッドパイプ10から後方に延びるメインフレーム9とを有している。ヘッドパイプ10は、車両側面視において後斜め上向きに延びている。図2に示すように、ヘッドパイプ10は、車両正面視において上下方向に延びている。
パワーユニット62の構成は何ら限定されない。パワーユニット2は、例えば内燃機関を備えていてもよく、電動モータを備えていてもよい。
懸架装置61は、ダブルウィッシュボーン型の懸架装置である。懸架装置61は、左前輪11Lを支持する左支持アーム部30Lと、右前輪11Rを支持する右支持アーム部30Rと、センターアーム34と、左クッションユニット35Lと、右クッションユニット35Rとを備えている。左支持アーム部30Lおよび右支持アーム部30Rは、車体フレーム5の傾斜に応じて車体フレームの5の上下方向における左前輪11Lおよび右前輪11Rの相対位置を変化させるリンク機構66を構成している。センターアーム34は、車体フレーム5に対して車体フレーム5の前後方向に延びる軸線周りに揺動可能に支持されると共に、左前輪11Lの上方への動きを右前輪11Rの下方への動きとして伝達し、かつ、右前輪11Rの上方への動きを左前輪11Lの下方への動きとして伝達するアームである。
左支持アーム部30Lは、左下アーム32Lと、左下アーム32Lの上方に配置された左上アーム31Lとを有している。左下アーム32Lおよび左上アーム31Lは、車両中央線CLの左方に配置されている。なお、車両中央線CLとは、車両正面視においては、ヘッドパイプ10の中心軸線を通りかつ車体フレーム5の上下方向に延びる線のことであり、車両平面視においては、ヘッドパイプ10の中心軸線を通りかつ車体フレーム5の前後方向に延びる線のことである。図4に示すように、左下アーム32Lは、前半部32Laと、前半部32Laの後方に位置する後半部32Lbと、前半部32Laと後半部32Lbとをつなぐクロスバー32Lcとを有している。前半部32Laと後半部32Lbとは、左方に行くほど互いの距離が近づくように形成されており、互いの左端部がつながっている。クロスバー32Lcは前後方向に延びている。左上アーム31Lは、前半部31Laと、前半部31Laの後方に位置する後半部31Lbとを有している。前半部31Laと後半部31Lbとは、左方に行くほど互いの距離が近づくように形成されており、互いの左端部がつながっている。図2に示すように、左下アーム32Lの右端部は、車体フレーム5に対して、車体フレーム5の前後方向に延びる第1左軸線L1周りに上下に揺動可能に支持されている。左上アーム31Lの右端部は、車体フレーム5に対して、車体フレーム5の前後方向に延びる第2左軸線L2周りに上下に揺動可能に支持されている。左下アーム32Lおよび左上アーム31Lの左端部は、左のナックルアーム13Lに対して、車体フレーム5の前後方向に延びる軸線H2周りに上下に揺動可能に支持されている。
右支持アーム部30Rは、車両中央線CLを境として、左支持アーム部30Lと左右対称の形状を有している。右支持アーム部30Rは、右下アーム32Rと、右下アーム32Rの上方に配置された右上アーム31Rとを有している。右下アーム32Rおよび右上アーム31Rは、車両中央線CLの右方に配置されている。図4に示すように、右下アーム32Rは、前半部32Raと、前半部32Raの後方に位置する後半部32Rbと、前半部32Raと後半部32Rbとをつなぐクロスバー32Rcとを有している。前半部32Raと後半部32Rbとは、右方に行くほど互いの距離が近づくように形成されており、互いの右端部がつながっている。クロスバー32Rcは前後方向に延びている。右上アーム31Rは、前半部31Raと、前半部31Raの後方に位置する後半部31Rbとを有している。前半部31Raと後半部31Rbとは、右方に行くほど互いの距離が近づくように形成されており、互いの右端部がつながっている。図2に示すように、右下アーム32Rの左端部は、車体フレーム5に対して、車体フレーム5の前後方向に延びる第1右軸線R1周りに上下に揺動可能に支持されている。右上アーム31Rの左端部は、車体フレーム5に対して、車体フレーム5の前後方向に延びる第2右軸線R2周りに上下に揺動可能に支持されている。右下アーム32Rおよび右上アーム31Rの右端部は、右のナックルアーム13Rに対して、車体フレーム5の前後方向に延びる軸線H2周りに上下に揺動可能に支持されている。
左前輪11Lは車両中央線CLの左方に配置され、左のナックルアーム13Lに回転可能に支持されている。右前輪11Rは車両中央線CLの右方に配置され、右のナックルアーム13Rに回転可能に支持されている。
本実施形態に係るセンターアーム34は、上下方向に延びる板状に形成されている。ただし、センターアーム34の形状は特に限定されない。センターアーム34の下端部34aは、車体フレーム5に対して車体フレーム5の前後方向に延びる中央軸線HM周りに揺動可能に支持されている。
図5に示すように、センターアーム34の上端部34bには、第1左アーム51Lが、車体フレーム5の前後方向に延びる第3左軸線L3周りに揺動可能に支持されている。また、センターアーム34の上端部34bには、第1右アーム51Rが、車体フレーム5の前後方向に延びる第3右軸線R3周りに揺動可能に支持されている。本実施形態では、第3左軸線L3と第3右軸線R3とは一致している。図6に示すように、ここでは、第1左アーム51Lは第1右アーム51Rよりも前方に配置されている。しかし、第1左アーム51Lは第1右アーム51Rよりも後方に配置されていてもよい。
第1左アーム51Lには第2左アーム52Lが連結され、第1右アーム51Rには第2右アーム52Rが連結されている。第2左アーム52Lおよび第2右アーム52Rは、ロッド状に形成されている。図5に示すように、第2左アーム52Lの上端部は、第1左アーム51Lに対して、車体フレーム5の前後方向に延びる第4左軸線L4周りに揺動可能に支持されている。第2左アーム52Lの下端部は、左支持アーム部30Lの左下アーム32Lに対して、車体フレーム5の前後方向に延びる第5左軸線L5周りに揺動可能に支持されている。第2左アーム52Lの下端部は、左下アーム32Lのクロスバー32Lcに支持されている。なお、第2左アーム52Lの下端部は、左支持アーム部30Lの左上アーム31Lに支持されていてもよい。第2右アーム52Rの上端部は、第1右アーム51R対して、車体フレーム5の前後方向に延びる第7右軸線R7周りに揺動可能に支持されている。第2右アーム52Rの下端部は、右支持アーム部30Rの右下アーム32Rに対して、車体フレーム5の前後方向に延びる第5右軸線R5周りに揺動可能に支持されている。第2右アーム52Rの下端部は、右下アーム32Rのクロスバー32Rcに支持されている。なお、第2右アーム52Rの下端部は、右支持アーム部30Rの右上アーム31Rに支持されていてもよい。
左クッションユニット35Lおよび右クッションユニット35Rは、スプリングとダンパーとが一体となったものである。左クッションユニット35Lおよび右クッションユニット35Rの構造は周知であるので、その詳細な説明は省略する。なお、図面ではスプリングの図示は省略している。
図5に示すように、左クッションユニット35Lは、第1端部38Lおよび第2端部37Lを有している。第1端部38Lは、左支持アーム部30Lの左下アーム32Lに対して、車体フレーム5の前後方向に延びる第6左軸線L6周りに揺動可能に支持されている。第1端部38Lは、左下アーム32Lのクロスバー32Lcに支持されている。しかし、第1端部38Lは、左支持アーム部30Lの左上アーム31Lに支持されていてもよい。第2端部37Lは、第1左アーム51Lに対して、車体フレーム5の前後方向に延びる第7左軸線L7周りに揺動可能に支持されている。なお、車両1が無負荷かつ無転舵状態で水平面上に直立して停止している状態(以下、直立無転舵状態という)のときに、車両正面視において、第7左軸線L7は第3左軸線L3よりも左方に位置し、第4左軸線L4は第3左軸線L3よりも右方に位置する。直立無転舵状態のときに車両正面視において、左クッションユニット35Lおよび第2左アーム52Lのいずれか一方は、センターアーム34と重なっている。本実施形態では、第2左アーム52Lがセンターアーム34と重なっている。ただし、左クッションユニット35Lがセンターアーム34と重なっていてもよい。
右クッションユニット35Rは、第1端部38Rおよび第2端部37Rを有している。第1端部38Rは、右支持アーム部30Rの右下アーム32Rに対して、車体フレーム5の前後方向に延びる第6右軸線R6周りに揺動可能に支持されている。第1端部38Rは、右下アーム32Rのクロスバー32Rcに支持されている。しかし、第1端部38Rは、右支持アーム部30Rの右上アーム31Rに支持されていてもよい。第2端部37Rは、第1右アーム51Rに対して、車体フレーム5の前後方向に延びる第7右軸線R7周りに揺動可能に支持されている。直立無転舵状態のときに車両正面視において、右クッションユニット35Rおよび第2右アーム52Rのいずれか一方は、センターアーム34と重なっている。本実施形態では、第2右アーム52Rがセンターアーム34と重なっている。ただし、右クッションユニット35Rがセンターアーム34と重なっていてもよい。
中央軸線HM、第1〜第7左軸線L1〜L7、および第1〜第7右軸線R1〜R7のうち、最も左方に位置する軸線は第5左軸線L5および第6左軸線L6であり、最も右方に位置する軸線は第5右軸線R5および第6右軸線R6であり、最も上方に位置する軸線は第7左軸線L7および第7右軸線R7であり、最も下方に位置する軸線は第5左軸線、第6左軸線L6、第5右軸線R5、および第6右軸線R6である。車両正面視において、最も左方に位置する軸線が通る鉛直線LLと、最も右方に位置する軸線が通る鉛直線LRと、最も上方に位置する軸線が通る水平線LUと、最も下方に位置する軸線が通る水平線LDとで形成される四角形(すなわち、図5において破線で示す四角形)は、横よりも縦の長さが長い長方形となる。なお、上記四角形は正方形であってもよい。車両正面視において、最も左方に位置する軸線L5,L6と車両中央線CLとの水平方向の距離をAとすると、最も右方に位置する軸線R5,R6と車両中央線CLとの水平方向の距離もAである。車両正面視において、最も上方に位置する軸線L7,R7と最も下方に位置する軸線L5,L6,R5,R6との鉛直方向の距離をBとする。すると、B≧2Aである。
図7に示すように、直立無転舵状態のときに、左クッションユニット35Lの第1端部38Lおよび第2端部37Lは、左支持アーム部30Lの右端301Rと左端301Lとの中間位置301mよりも右方に配置されている。直立無転舵状態のときに、右クッションユニット35Rの第1端部38Rおよび第2端部37Rは、右支持アーム部30Rの左端302Lと右端302Rとの中間位置302mよりも左方に配置されている。図5に示すように、直立無転舵状態のときに、左クッションユニット35Lの車両上下方向の寸法K1は、車両左右方向の寸法K2よりも大きい。同様に、直立無転舵状態のときに、右クッションユニット35Rの車両上下方向の寸法は、車両左右方向の寸法よりも大きい。
次に、操舵機構60について説明する。図8、図9、および図10に示すように、操舵機構60は、ヘッドパイプ10に回転可能に支持されたステアリングシャフト20と、ステアリングシャフト20に固定されたハンドルバー25と、ステアリングシャフト20と左前輪11Lおよび右前輪11Rとを連結するタイロッド26とを備えている。
ステアリングシャフト20は、ヘッドパイプ10に回転可能に支持された第1ステアリングシャフト21と、第1ステアリングシャフト21よりも車体フレーム5の前後方向の前方に配置された第2ステアリングシャフト22と、第1ステアリングシャフト21と第2ステアリングシャフト22とを連結する連結アーム23とを有している。図8に示すように、第1ステアリングシャフト21は、ヘッドパイプ10に挿入されたメインシャフト21aと、メインシャフト21aの左方および右方に配置されたサイドパイプ21kと、メインシャフト21aおよびサイドパイプ21kの上端部同士を接続する上クロス部材21cと、メインシャフト21aおよびサイドパイプ21kの下端部同士を接続する下クロス部材21dとを有している。ただし、サイドパイプ21k、上クロス部材21c、および下クロス部材21dは必ずしも必要ではなく、省略してもよい。第2ステアリングシャフト22は、メインシャフト22aと、メインシャフト22aの上端部に接続されたブラケット22dとを有している。連結アーム23は、下クロス部材21dとブラケット22dとを接続する前後方向に延びる左右一対のプレートによって構成されている。
タイロッド26は、第2ステアリングシャフト22と左前輪11Lとを連結する左タイロッド26Lと、第2ステアリングシャフト22と右前輪11Rとを連結する右タイロッド26Rとを有している。左タイロッド26Lおよび右タイロッド26Rは、ジョイント部材65を介して第2ステアリングシャフト22の下端部に連結されている。左タイロッド26Lの右端部および右タイロッド26Rの左端部は、ジョイント部材65に対し、車体フレーム5の上下方向に延びる軸線V1周りに揺動可能に支持されている。また、左タイロッド26Lの右端部および右タイロッド26Rの左端部は、ジョイント部材65に対し、車体フレーム5の前後方向に延びる軸線H8周りに揺動可能に支持されている。図2に示すように、左タイロッド26Lの左端部は、左のナックルアーム13Lに対して、車体フレーム5の上下方向に延びる軸線V2周りに揺動可能、かつ、車体フレーム5の前後方向に延びる軸線H9周りに揺動可能に支持されている。右タイロッド26Rの右端部は、右のナックルアーム13Rに対して、車体フレーム5の上下方向に延びる軸線V2周りに揺動可能、かつ、車体フレーム5の前後方向に延びる軸線H9周りに揺動可能に支持されている。
図8に示すように、操舵機構60は更に、ステアリングシャフト20に回転力を与えるアクチュエータ27を備えている。アクチュエータ27は、ステアリングシャフト20に取り付けられている。アクチュエータ27は、乗員による操舵を補助する役割を果たす。ステアリングシャフト20には、図示しないトルクセンサが設けられている。このトルクセンサは、乗員がステアリングシャフト20に加えた操舵力、すなわちトルクを検出するように構成されている。アクチュエータ27は、上記トルクセンサにより検出されるトルクに応じた駆動力を出力するように構成されている。
アクチュエータ27は、ステアリングシャフト20のうち第2ステアリングシャフト22の上端22tと下端22bとの間の中間位置22mよりも上方の部分に取り付けられている。アクチュエータ27は、第1ステアリングシャフト21、連結アーム23、および第2ステアリングシャフト22のいずれにも取り付けることができるが、本実施形態では第2ステアリングシャフト22に取り付けられている。
図1に示すように、車両1は、車体フレーム5を傾斜した姿勢に維持するサイドスタンド67を備えている。サイドスタンド67は車体フレーム5に支持されており、車両中央線CLの左方に配置されている。サイドスタンド67、モータ27cは、それぞれ車体フレーム5の左右方向の中央に対して左方、右方に配置されている。なお、サイドスタンド67、モータ27cを、それぞれ車体フレーム5の左右方向の中央に対して右方、左方に配置することも可能である。
本実施形態に係る車両1は、更に、車体フレーム5を傾斜させる駆動力を発生させるアクチュエータ33を備えている。アクチュエータ33は、左支持アーム部30Lの左下アーム32Lに対し第1左軸線L1周りの回転力を与え、左上アーム31Lに対し第2左軸線L2周りの回転力を与えるように構成されている。アクチュエータ33は、右支持アーム部30Rの右下アーム32Rに対し第1右軸線R1周りの回転力を与え、右上アーム31Rに対し第2右軸線R2周りの回転力を与えるように構成されている。アクチュエータ33は、上記各回転力を与えることにより、車体フレーム5の傾斜に応じて車体フレーム5の上下方向における左前輪11Lおよび右前輪11Rの相対位置を変化させるように構成されている。
図11および図12に示すように、アクチュエータ33は、モータ37と、モータ37の回転速度を減速する減速機構39と、モータ37の回転を規制するブレーキ部材40とを有している。アクチュエータ33には、連結シャフト36が連結されている。モータ37と減速機構39とブレーキ部材40とは一体化されている。連結シャフト36は、アクチュエータ33から車体フレーム5の前後方向の前方に延び、センターアーム34に連結されている。ブレーキ部材40は、減速機構39に連結されたブレーキ軸41と、ブレーキ軸41に固定されたブレーキディスク42とを有している。車体フレーム5には、ブレーキディスク42を挟むことによりモータ37の回転を規制するブレーキキャリパ45が支持されている。
図13に示すように、アクチュエータ33は車体フレーム5に支持されている。アクチュエータ33の少なくとも一部は、左支持アーム部30Lおよび右支持アーム部30Rよりも車体フレーム5の前後方向の後方に配置されている。ここでは、アクチュエータ33の全体が、左支持アーム部30Lおよび右支持アーム部30Rよりも車体フレーム5の前後方向の後方に配置されている。また、アクチュエータ33の少なくとも一部は、左前輪11Lおよび右前輪11Rの中心11cよりも車体フレーム5の前後方向の後方に配置されている。ここでは、アクチュエータ33の全体が、左前輪11Lおよび右前輪11Rの中心11cよりも車体フレーム5の前後方向の後方に配置されている。また、アクチュエータ33の少なくとも一部は、タイロッド26の後端26rよりも車体フレーム5の前後方向の後方に配置されている。また、アクチュエータ33の少なくとも一部は、第1ステアリングシャフト21の前端21fよりも車体フレーム5の前後方向の後方に配置されている。
センターアーム34は、アクチュエータ33の前方に配置されている。前述したように、センターアーム34は、車体フレーム5に支持された下端部34aと、左クッションユニット35Lおよび右クッションユニット35Rが連結された上端部34bとを有している。図5に示すように、上端部34bは、第1左アーム51Lを介して左クッションユニット35Lに連結され、第1右アーム51Rを介して右クッションユニット35Rに連結されている。センターアーム34は、下端部34aから上端部34bにわたって車両上下方向に延びる形状に形成されている。
以上、車両1の構成について説明した。次に、車両1の走行時における懸架装置61の挙動の例について説明する。
図2に示すように、車両1が直進するときには、車体フレーム5およびセンターアーム34は地面に対して直立した状態となる。一方、図3に示すように、車体フレーム5が傾斜したときには、センターアーム34は直立した状態を保つが、左前輪11Lおよび右前輪11Rは車体フレーム5の傾斜に応じて傾斜する。図3に示す例では、車体フレーム5、左前輪11L、および右前輪11Rは、左方に傾斜する。センターアーム34は直立した状態を保つので、左クッションユニット35Lおよび右クッションユニット35Rは元の姿勢を維持する。そのため、右前輪11Rと右クッションユニット35Rとの距離が短くなる。
例えば図14に示すように、左前輪11Lのみが地上の突起を乗り越え、左前輪11Lのみが上方に移動する場合がある。その場合、左支持アーム部30Lは第1左軸線L1および第2左軸線L2周りに上向きに回転する。左クッションユニット35Lの第1端部38Lは左支持アーム部30Lから上向きの力を受ける。その結果、左クッションユニット35Lは収縮する。更に、本実施形態に係る車両1によれば、懸架装置61は第1左アーム51Lおよび第2左アーム52Lを備えている。左支持アーム部30Lが上方に回転すると、第2アーム52Lは左支持アーム部30Lから上向きの力を受け、上方に移動する。すると、第1アーム51Lは第2アーム52Lから上向きの力を受けるので、第3左軸線L3周りに時計回りに回転する。その結果、左クッションユニット35Lの第2端部37Lは第1アーム51Lから下向きの力を受け、左クッションユニット35Lは更に収縮する。すなわち、左クッションユニット35Lは、第1端部38Lおよび第2端部37Lの両方から力を受けて収縮する。
よって、左クッションユニット35Lは、車両中央線CLに近い位置に配置され、水平線に対する傾斜角度が大きい姿勢に配置されているが、十分なストロークを確保することができる。言い換えると、左クッションユニット35Lは、車両中央線CLに近い位置に配置され、縦横比=K1/K2(図5参照)が大きくなるように配置されているが、十分なストロークを確保することができる。車両1では、左支持アーム部30Lが上方に揺動したときの左クッションユニット35Lの伸縮量が、左クッションユニット35Lの第2端部37Lがセンターアーム34に支持されていると仮定したときの左クッションユニット35Lの伸縮量よりも大きくなるように構成されている。
説明は省略するが、上述の挙動は左クッションユニット35Lに限らず、右クッションユニット35Rについても同様である。右クッションユニット35Rにおいても、十分なストロークを確保することができる。車両1は、右支持アーム部30Rが上方に揺動したときの右クッションユニット35Rの伸縮量が、右クッションユニット35Rの第2端部37Rがセンターアーム34に支持されていると仮定したときの右クッションユニット35Rの伸縮量よりも大きくなるように構成されている。
以上のように、本実施形態に係る車両1によれば、センターアーム34を有するダブルウィッシュボーン型の懸架装置61を備えているので、左右の傾斜角を確保することができ、乗り心地を向上させることができる。更に、左クッションユニット35Lはセンターアーム34および左支持アーム部30Lに連結されるが、左クッションユニット35Lとセンターアーム34との間に第1左アーム51Lが介在する。また、右クッションユニット35Rはセンターアーム34および右支持アーム部30Rに連結されるが、右クッションユニット35Rとセンターアーム34との間に第1右アーム51Rが介在する。本実施形態に係る車両1によれば、左クッションユニット35Lおよび右クッションユニット35Rの伸縮量を十分に確保することができる。よって、左クッションユニット35Lおよび右クッションユニット35Rの配置自由度を高めることができる。
図15は、車両正面視における左支持アーム部30L、第1左アーム51L、第2左アーム52L、左クッションユニット35L、センターアーム34、右支持アーム部30R、第1右アーム51R、第2右アーム52R、および右クッションユニット35R等の位置関係を模式的に表した図である。なお、理解しやすいように、懸架装置61の左半部および右半部は分離して図示している。前述したように、B≧2Aである。すなわち、図5に示すように、軸線HM、L1〜L7、およびR1〜R7のうち最も左方に位置する軸線L5,L6が通る鉛直線LLと、最も右方に位置する軸線R5,R6が通る鉛直線LRと、最も上方に位置する軸線L7,R7が通る水平線LUと、最も下方に位置する軸線L5,L6,R5,R6が通る水平線LDとで形成される四角形は、正方形または横よりも縦の長さが長い長方形である。このような配置により、第1左アーム51L、第2左アーム52L、左クッションユニット35L、第1右アーム51R、第2右アーム52R、および右クッションユニット35Rを、センターアーム34の近傍に配置することができる。
このように、本実施形態に係る車両1では、左クッションユニット35Lおよび右クッションユニット35Rの配置自由度が高いので、第1左アーム51L、第2左アーム52L、左クッションユニット35L、第1右アーム51R、第2右アーム52R、および右クッションユニット35Rを、センターアーム34の近傍に配置することができる。したがって、本実施形態に係る車両1によれば、左右の傾斜角および乗り心地を維持しつつ、車両前部の左右方向の寸法を小さくすることが可能となる。
本実施形態に係る車両1によれば、左支持アーム部30Lが上方に揺動したときの左クッションユニット35Lの伸縮量が、左クッションユニット35Lの第2端部37Lがセンターアーム34に支持されていると仮定したときの左クッションユニット35Lの伸縮量よりも大きくなるように構成されている。右支持アーム部30Rが上方に揺動したときの右クッションユニット35Rの伸縮量が、右クッションユニット35Rの第2端部37Rがセンターアーム34に支持されていると仮定したときの右クッションユニット35Rの伸縮量よりも大きくなるように構成されている。本実施形態に係る車両1によれば、例えば左前輪11Lが地面の突起物を乗り越えるときに、左クッションユニット35Lの伸縮量を大きく確保することができる。右前輪11Rが地面の突起物を乗り越えるときに、右クッションユニット35Rの伸縮量を大きく確保することができる。よって、乗り心地を維持しつつ、各クッションユニットの配置自由度を高めることができ、車両前部の左右方向の寸法を小さくすることができる。
本実施形態に係る車両1によれば、図15に示すように、無負荷かつ無転舵の状態で水平面上に直立して停止しているときに、中央軸線HMおよび第6左軸線L6は左上アーム31Lよりも下方に配置され、中央軸線HMおよび第6右軸線R6は右上アーム31Rよりも下方に配置されている。これにより、センターアーム34の上アーム31L,31Rより上方への突出量を少なくすることができる。そのため、車両の前部における高さ方向の寸法、特に上アーム31L,31Rよりも上方の部分の寸法を小さくすることができる。
なお、車両1が無負荷かつ無転舵の状態で水平面上に直立して停止しているときに、中央軸線HMおよび第6左軸線L6のいずれか一方のみが左上アーム31Lよりも下方に配置され、中央軸線HMおよび第6右軸線R6のいずれか一方のみが右上アーム31Rよりも下方に配置されていてもよい。このような場合であっても、センターアーム34の上アーム31L,31Rより上方への突出量を少なくすることができ、車両の前部における高さ方向の寸法を小さくすることができる。
本実施形態に係る車両1によれば、車両正面視において、第2左アーム52Lおよび第2右アーム52Rがセンターアーム34と交差している。第2左アーム52Lおよび第2右アーム52Rを、より車両中央付近に配置することができる。よって、左前輪11Lと右前輪11Rとの間隔をより小さくすることができ、左右の傾斜角および乗り心地を維持しつつ、車両前部の左右方向の寸法を更に小さくすることができる。
なお、車両正面視において、第1左アーム51Lおよび第1右アーム51Rがセンターアーム34と交差していてもよい。第1左アーム51Lおよび第2左アーム52Lがセンターアーム34と交差し、第1右アーム51Rおよび第2右アーム52Rがセンターアーム34と交差していてもよい。このような場合であっても、同様の効果を得ることができる。
本実施形態に係る車両1によれば、車両正面視において、前記左上アーム31Lは左クッションユニット35Lと交差し、右上アーム31Rは右クッションユニット35Rと交差している。本実施形態に係る車両1によれば、左クッションユニット35Lが左上アーム31Lおよび左下アーム32Lと交差しない場合、または、右クッションユニット35Rが右上アーム31Rおよび右下アーム32Rと交差しない場合(例えば、左クッションユニット35Lまたは右クッションユニット35Rが水平に配置された場合など)に比べて、左クッションユニット35Lおよび右クッションユニット35Rの左右方向の寸法が大きくなることを防止でき、車両前部の左右方向の寸法を小さくすることができる。
なお、車両正面視において、左下アーム32Lが左クッションユニット35Lと交差し、右下アーム32Rが右クッションユニット35Rと交差していてもよい。車両正面視において、左上アーム31Lおよび左下アーム32Lの両方が左クッションユニット35Lと交差し、右上アーム31Rおよび右下アーム32Rの両方が右クッションユニット35Rと交差していてもよい。このような場合であっても、同様の効果を得ることができる。
本実施形態に係る車両1では、図7に示すように直立無転舵状態のときに、第1左アーム51Lおよび第2左アーム52Lは、左支持アーム部30Lの右端301Rと左端301Lとの中間位置301mよりも右方に配置され、第1右アーム51Rおよび第2右アーム52Rは、右支持アーム部30Rの左端302Lと右端302Rとの中間位置302mよりも左方に配置されている。第1左アーム51L、第2左アーム52L、第1右アーム51R、および第2右アーム52Rは、車両中央付近に配置される。よって、車両前部の左右方向の寸法を更に小さくすることができる。
本実施形態に係る車両1では、直立無転舵状態のときに、左クッションユニット35Lの第1端部38Lおよび第2端部37Lは、左支持アーム部30Lの右端301Rと左端301Lとの中間位置301mよりも右方に配置され、右クッションユニット35Rの第1端部38Rおよび第2端部37Rは、右支持アーム部30Rの左端302Lと右端302Rとの中間位置302mよりも左方に配置されている。そのため、左前輪11Lが傾斜したときに左前輪11Lと左クッションユニット35Lとが干渉しにくく、また、右前輪11Rが傾斜したときに右前輪11Rと右クッションユニット35Rとが干渉しにくい。よって、左前輪11Lと右前輪11Rとの間隔を小さくすることができ、左右の傾斜角および乗り心地を維持しつつ、車両前部の左右方向の寸法を小さくすることができる。
また、本実施形態に係る車両1によれば、直立無転舵状態のときに、左クッションユニット35Lおよび右クッションユニット35Rの車両上下方向の寸法K1は、車両左右方向の寸法K2よりも大きい。左クッションユニット35Lおよび右クッションユニット35Rは、水平線から大きく傾いている。そのため、左前輪11Lが傾斜したときに左前輪11Lと左クッションユニット35Lとがより干渉しにくく、また、右前輪11Rが傾斜したときに右前輪11Rと右クッションユニット35Rとがより干渉しにくい。よって、左前輪11Lと右前輪11Rとの間隔を更に小さくすることができ、左右の傾斜角および乗り心地を維持しつつ、車両前部の左右方向の寸法を更に小さくすることができる。
本実施形態に係る車両1によれば、センターアーム34は、車体フレーム5に中央軸線HM周りに揺動可能に支持された下端部34aと、第1左アーム31Lが第3左軸線L3周りに揺動可能に支持されかつ第1右アーム31Rが第3右軸線R3周りに揺動可能に支持された上端部34bとを有している。そのため、センターアームが車両左右方向に延びるアームで構成される場合に比べ、センターアーム34の左右方向の寸法を小さくすることができる。よって、左前輪11Lと右前輪11Rとの間隔をより小さくすることができ、左右の傾斜角および乗り心地を維持しつつ、車両前部の左右方向の寸法を更に小さくすることができる。
本実施形態に係る車両1によれば、左クッションユニット35Lの第1端部38Lは左下アーム32Lに支持され、右クッションユニット35Rの第1端部38Rは右下アーム32Rに支持されている。左クッションユニット35Lの第1端部38Lが左上アーム31Lに支持され、右クッションユニット35Rの第1端部38Rが右上アーム31Rに支持される場合に比べて、左クッションユニット35Lおよび右クッションユニット35Rの左右方向の寸法を大きくしなくても、ストロークを確保することができる。よって、左右の傾斜角および乗り心地を維持しつつ、車両前部の左右方向の寸法を小さくすることができる。
以上、本発明の実施の一形態について説明したが、本発明は種々の形態にて実施することが可能であり、前記実施形態に限定されないことは勿論である。次に、他の実施形態について簡単に説明する。以下の説明では、第1実施形態と相違する部分について説明することとし、同様の部分の説明は省略する。第1実施形態と同様の部分には同様の符号を付し、それらの説明は省略する。
(第2実施形態)
図16は、第2実施形態に係る車両について、車両正面視における左支持アーム部30L、第1左アーム51L、第2左アーム52L、左クッションユニット35L、センターアーム34、右支持アーム部30R、第1右アーム51R、第2右アーム52R、および右クッションユニット35R等の位置関係を模式的に表した図である。図15と同様、懸架装置61の左半部および右半部は分離して図示している。
第2実施形態では、第1左アーム51Lは、センターアーム34の下端部に対し、車体フレーム5の前後方向に延びる第3左軸線L3周りに揺動可能に支持されている。第2左アーム52Lは、第1左アーム51Lに対して、車体フレーム5の前後方向に延びる第4左軸線L4周りに揺動可能に支持されている。また、第2左アーム52Lは、左下アーム32Lに対して、車体フレーム5の前後方向に延びる第5左軸線L5周りに揺動可能に支持されている。左クッションユニット35Lの第1端部38Lは、センターアーム34に対して、車体フレーム5の前後方向に延びる第6左軸線L6周りに揺動可能に支持されている。第2端部37Lは、第1左アーム51Lおよび第2左アーム52Lの連結点に対して、車体フレーム5の前後方向に延びる第7左軸線L7周りに揺動可能に支持されている。なお、上記連結点は第4左軸線L4上に位置する部分である。ここでは、第7左軸線L7と第4左軸線L4とは一致している。
第2実施形態においても、右半部は左半部と左右対称に配置されている。第1右アーム51Rは、センターアーム34の下端部に対し、車体フレーム5の前後方向に延びる第3右軸線R3周りに揺動可能に支持されている。第2右アーム52Rは、第1右アーム51Rに対して、車体フレーム5の前後方向に延びる第4右軸線R4周りに揺動可能に支持されている。また、第2右アーム52Rは、右下アーム32Rに対して、車体フレーム5の前後方向に延びる第5右軸線R5周りに揺動可能に支持されている。右クッションユニット35Rの第1端部38Rは、センターアーム34に対して、車体フレーム5の前後方向に延びる第6右軸線R6周りに揺動可能に支持されている。第2端部37Rは、第1右アーム51Rおよび第2右アーム52Rの連結点(第4右軸線R4上に位置する部分)に対して、車体フレーム5の前後方向に延びる第7右軸線R7周りに揺動可能に支持されている。ここでは、第7左軸線L7と第4左軸線L4とは一致している。
図17は、第2実施形態の第1変形例に係る車両に関する図16相当図である。この第1変形例では、第2左アーム52Lは第1左アーム51Lの中途部に連結されている。第2右アーム52Rは第1右アーム51Rの中途部に連結されている。第2左アーム52Lは、第1左アーム51Lに対して、車体フレーム5の前後方向に延びる第4左軸線L4周りに揺動可能に支持されている。第2右アーム52Rは、第1右アーム51Rに対して、車体フレーム5の前後方向に延びる第4右軸線R4周りに揺動可能に支持されている。その他の構成は第2実施形態と同様である。
図18は、第2実施形態の第2変形例に係る車両に関する図16相当図である。この第2変形例では、第1左アーム51Lは第2左アーム52Lの中途部に連結されている。第1右アーム51Rは第2右アーム52Rの中途部に連結されている。第1左アーム51Lは、第2左アーム52Lに対して、車体フレーム5の前後方向に延びる第4左軸線L4周りに揺動可能に支持されている。第1右アーム51Rは、第2右アーム52Rに対して、車体フレーム5の前後方向に延びる第4右軸線R4周りに揺動可能に支持されている。その他の構成は第2実施形態と同様である。
第2実施形態において、最も左方に位置する軸線は第5左軸線L5であり、最も右方に位置する軸線は第5右軸線R5であり、最も上方に位置する軸線は第6左軸線L6および第6右軸線R6であり、最も下方に位置する軸線は第4左軸線L4、第7左軸線L7、第4右軸線R4、および第7右軸線R7である。第2実施形態においても、最も左方に位置する軸線が通る鉛直線と、最も右方に位置する軸線が通る鉛直線と、最も上方に位置する軸線が通る水平線と、最も下方に位置する軸線が通る水平線とで形成される四角形は、正方形または横よりも縦の長さが長い長方形となる。B≧2Aである。
第1変形例および第2変形例では、最も下方に位置する軸線は第7左軸線L7および第7右軸線R7である。その他については第2実施形態と同様である。第1変形例および第2変形例においても、最も左方に位置する軸線が通る鉛直線と、最も右方に位置する軸線が通る鉛直線と、最も上方に位置する軸線が通る水平線と、最も下方に位置する軸線が通る水平線とで形成される四角形は、正方形または横よりも縦の長さが長い長方形となる。B≧2Aである。
第2実施形態、第1変形例および第2変形例においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。車両1の左右の傾斜角および乗り心地を維持しつつ、車両前部の左右方向の寸法を小さくすることが可能となる
第2実施形態、第1変形例および第2変形例は、左支持アーム部30Lが上方に移動したときの左クッションユニット35Lの伸縮量が、左クッションユニット35Lの第2端部37Lが左支持アーム部30Lに支持されていると仮定したときの左クッションユニット35Lの伸縮量よりも大きくなるように構成されている。右支持アーム部30Rが上方に移動したときの右クッションユニット35Rの伸縮量が、右クッションユニット35Rの第2端部37Rが右支持アーム部30Rに支持されていると仮定したときの右クッションユニット35Rの伸縮量よりも大きくなるように構成されている。したがって、例えば左前輪11Lが地面の突起物を乗り越えるときに、左クッションユニット35Lの伸縮量を大きく確保することができる。右前輪11Rが地面の突起物を乗り越えるときに、右クッションユニット35Rの伸縮量を大きく確保することができる。よって、乗り心地を維持しつつ、各クッションユニット35L、35Rの配置自由度を高めることができ、車両前部の左右方向の寸法を小さくすることができる。
第1変形例では、車両正面視において、第2左アーム52Lは左クッションユニット35Lと交差し、第2右アーム52Rは右クッションユニット35Rと交差している。そのため、車両前方から見て、第2左アーム52Lと左クッションユニット35Lとをコンパクトに配置することができ、第2右アーム52Rと右クッションユニット35Rとをコンパクトに配置することができる。第2変形例では、車両正面視において、第1左アーム51Lは左クッションユニット35Lと交差し、第1右アーム51Rは右クッションユニット35Rと交差している。そのため、車両前方から見て、第1左アーム51Lと左クッションユニット35Lとをコンパクトに配置することができ、第1右アーム51Rと右クッションユニット35Rとをコンパクトに配置することができる。
(第3実施形態)
図19は、第3実施形態に係る車両について、車両正面視における左支持アーム部30L、第1左アーム51L、第2左アーム52L、左クッションユニット35L、およびセンターアーム34等を表した図である。図20は、第3実施形態に係る車両における図15相当図である。
第3実施形態では、センターアーム34の中途部が車体フレーム5に対し、車体フレーム5の前後方向に延びる中央軸線HM周りに揺動可能に支持されている。第1左アーム51Lは、センターアーム34の上端部に対し、車体フレーム5の前後方向に延びる第3左軸線L3周りに揺動可能に支持されている。第2左アーム52Lは、屈曲した形状に形成されている、第2左アーム52Lの一端部は、第1左アーム51Lに対して、車体フレーム5の前後方向に延びる第4左軸線L4周りに揺動可能に支持されている。第2左アーム52Lの中途部は、左上アーム31Lに対して、車体フレーム5の前後方向に延びる第5左軸線L5周りに揺動可能に支持されている。左クッションユニット35Lの第1端部38Lは、センターアーム34の下端部に対し、車体フレーム5の前後方向に延びる第6左軸線L6周りに揺動可能に支持されている。左クッションユニット35Lの第2端部37Lは、第2左アーム52Lの他端部に対し、車体フレーム5の前後方向に延びる第7左軸線L7周りに揺動可能に支持されている。
第3実施形態においても、右半部は左半部と左右対称に配置されている。第1右アーム51Rは、センターアーム34の上端部に対し、車体フレーム5の前後方向に延びる第3右軸線R3周りに揺動可能に支持されている。第2右アーム52Rは、屈曲した形状に形成されている、第2右アーム52Rの一端部は、第1右アーム51Rに対して、車体フレーム5の前後方向に延びる第4右軸線R4周りに揺動可能に支持されている。第2右アーム52Rの中途部は、右上アーム31Rに対して、車体フレーム5の前後方向に延びる第5右軸線R5周りに揺動可能に支持されている。右クッションユニット35Rの第1端部38Rは、センターアーム34の下端部に対し、車体フレーム5の前後方向に延びる第6右軸線R6周りに揺動可能に支持されている。右クッションユニット35Rの第2端部37Rは、第2右アーム52Rの他端部に対し、車体フレーム5の前後方向に延びる第7右軸線R7周りに揺動可能に支持されている。
第3実施形態において、最も左方に位置する軸線は第7左軸線L7であり、最も右方に位置する軸線は第7右軸線R7であり、最も上方に位置する軸線は第3左軸線L3および第3右軸線R3であり、最も下方に位置する軸線は第1左軸線L1および第1右軸線R1である。第3実施形態においても、最も左方に位置する軸線が通る鉛直線と、最も右方に位置する軸線が通る鉛直線と、最も上方に位置する軸線が通る水平線と、最も下方に位置する軸線が通る水平線とで形成される四角形は、正方形または横よりも縦の長さが長い長方形となる。B≧2Aである。
第3実施形態では、第2実施形態と同様、左支持アーム部30Lが上方に移動したときの左クッションユニット35Lの伸縮量が、左クッションユニット35Lの第2端部37Lが左支持アーム部30Lに支持されていると仮定したときの左クッションユニット35Lの伸縮量よりも大きくなるように構成されている。右支持アーム部30Rが上方に移動したときの右クッションユニット35Rの伸縮量が、右クッションユニット35Rの第2端部37Rが右支持アーム部30Rに支持されていると仮定したときの右クッションユニット35Rの伸縮量よりも大きくなるように構成されている。
第3実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。車両1の左右の傾斜角および乗り心地を維持しつつ、車両前部の左右方向の寸法を小さくすることが可能となる。
また、第3実施形態では、車両正面視において、第2左アーム52Lは左上アーム31Lと交差し、第2右アーム52Rは右上アーム31Rと交差している。よって、車両前方から見て、第2左アーム52Lおよび左上アーム31Lをコンパクトに配置することができ、第2右アーム52Rおよび右上アーム31Rをコンパクトに配置することができる。なお、車両正面視において、第2左アーム52Lと左下アーム31Lとが交差し、第2右アーム52Rと右下アーム31Rとが交差していてもよい。この場合、車両前方から見て、第2左アーム52Lおよび左下アーム31Lをコンパクトに配置することができ、第2右アーム52Rおよび右下アーム31Rをコンパクトに配置することができる。
(第4実施形態)
図21は、第4実施形態に係る車両における図15相当図である。第4実施形態では、センターアーム34の上端部が、車体フレーム5に対して、車体フレーム5の前後方向に延びる中央軸線HM周りに揺動可能に支持されている。第1左アーム51Lは、センターアーム34の下端部に対し、車体フレーム5の前後方向に延びる第3左軸線L3周りに揺動可能に支持されている。また、第1左アーム51Lは、第2左アーム52Lの中途部に対し、車体フレーム5の前後方向に延びる第4左軸線L4周りに揺動可能に支持されている。第2左アーム52Lの一端部は、左上アーム31Lに対して、車体フレーム5の前後方向に延びる第5左軸線L5周りに揺動可能に支持されている。左クッションユニット35Lの第1端部38Lは、センターアーム34の下端部に対して、車体フレーム5の前後方向に延びる第6左軸線L6周りに揺動可能に支持されている。ここでは、第6左軸線L6は第3左軸線L3と一致している。左クッションユニット35Lの第2端部37Lは、第2左アーム52Lの他端部に対し、車体フレーム5の前後方向に延びる第7左軸線L7周りに揺動可能に支持されている。
第4実施形態においても、右半部は左半部と左右対称に配置されている。第1右アーム51Rは、センターアーム34の下端部に対し、車体フレーム5の前後方向に延びる第3右軸線R3周りに揺動可能に支持されている。また、第1右アーム51Rは、第2右アーム52Rの中途部に対し、車体フレーム5の前後方向に延びる第4右軸線R4周りに揺動可能に支持されている。第2右アーム52Rの一端部は、右上アーム31Rに対して、車体フレーム5の前後方向に延びる第5右軸線R5周りに揺動可能に支持されている。右クッションユニット35Rの第1端部38Rは、センターアーム34の下端部に対して、車体フレーム5の前後方向に延びる第6右軸線R6周りに揺動可能に支持されている。ここでは、第6右軸線R6は第3右軸線R3と一致している。右クッションユニット35Rの第2端部37Rは、第2右アーム52Rの他端部に対し、車体フレーム5の前後方向に延びる第7右軸線R7周りに揺動可能に支持されている。
第4実施形態において、最も左方に位置する軸線は第5左軸線L5であり、最も右方に位置する軸線は第5右軸線R5であり、最も上方に位置する軸線は中央軸線HMであり、最も下方に位置する軸線は第1左軸線L1および第1右軸線R1である。第4実施形態においても、最も左方に位置する軸線が通る鉛直線と、最も右方に位置する軸線が通る鉛直線と、最も上方に位置する軸線が通る水平線と、最も下方に位置する軸線が通る水平線とで形成される四角形は、正方形または横よりも縦の長さが長い長方形となる。B≧2Aである。
第4実施形態では、第2実施形態と同様、左支持アーム部30Lが上方に移動したときの左クッションユニット35Lの伸縮量が、左クッションユニット35Lの第2端部37Lが左支持アーム部30Lに支持されていると仮定したときの左クッションユニット35Lの伸縮量よりも大きくなるように構成されている。右支持アーム部30Rが上方に移動したときの右クッションユニット35Rの伸縮量が、右クッションユニット35Rの第2端部37Rが右支持アーム部30Rに支持されていると仮定したときの右クッションユニット35Rの伸縮量よりも大きくなるように構成されている。
第4実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。車両1の左右の傾斜角および乗り心地を維持しつつ、車両前部の左右方向の寸法を小さくすることが可能となる
また、第4実施形態では、車両正面視において、第1左アーム51Lは左上アーム31Lと交差し、第1右アーム51Rは右上アーム31Rと交差している。よって、車両前方から見て、第1左アーム51Lおよび左上アーム31Lをコンパクトに配置することができ、第1右アーム51Rおよび右上アーム31Rをコンパクトに配置することができる。なお、車両正面視において、第1左アーム51Lと左下アーム32Lとが交差し、第1右アーム51Rと右下アーム32Rとが交差していてもよい。この場合、車両前方から見て、第1左アーム51Lおよび左下アーム32Lをコンパクトに配置することができ、第1右アーム51Rおよび右下アーム32Rをコンパクトに配置することができる。
(第5実施形態)
図22は、第5実施形態に係る車両における図15相当図である。第5実施形態では、センターアーム34の下端部が、車体フレーム5に対して、車体フレーム5の前後方向に延びる中央軸線HM周りに揺動可能に支持されている。第1左アーム51Lは、センターアーム34の上端部に対し、車体フレーム5の前後方向に延びる第3左軸線L3周りに揺動可能に支持されている。また、第1左アーム51Lは、第2左アーム52Lの中途部に対し、車体フレーム5の前後方向に延びる第4左軸線L4周りに揺動可能に支持されている。第2左アーム52Lの一端部は、左下アーム32Lに対し、車体フレーム5の前後方向に延びる第5左軸線L5周りに揺動可能に支持されている。左クッションユニット35Lの第1端部38Lは、左下アーム32Lに対し、車体フレーム5の前後方向に延びる第6左軸線L6周りに揺動可能に支持されている。左クッションユニット35Lの第2端部37Lは、第2左アーム52Lの他端部に対し、車体フレーム5の前後方向に延びる第7左軸線L7周りに揺動可能に支持されている。車両正面視において、第1左アーム51L、第2左アーム52L、および左クッションユニット35Lは、左上アーム31Lと交差している。
第5実施形態においても、右半部は左半部と左右対称に配置されている。第1右アーム51Rは、センターアーム34の上端部に対し、車体フレーム5の前後方向に延びる第3右軸線R3周りに揺動可能に支持されている。また、第1右アーム51Rは、第2右アーム52Rの中途部に対し、車体フレーム5の前後方向に延びる第4右軸線R4周りに揺動可能に支持されている。第2右アーム52Rの一端部は、右下アーム32Rに対し、車体フレーム5の前後方向に延びる第5右軸線R5周りに揺動可能に支持されている。右クッションユニット35Rの第1端部38Rは、右下アーム32Rに対し、車体フレーム5の前後方向に延びる第6右軸線R6周りに揺動可能に支持されている。右クッションユニット35Rの第2端部37Rは、第2右アーム52Rの他端部に対し、車体フレーム5の前後方向に延びる第7右軸線R7周りに揺動可能に支持されている。車両正面視において、第1右アーム51R、第2右アーム52R、および右クッションユニット35Rは、右上アーム31Rと交差している。
第5実施形態において、最も左方に位置する軸線は第6左軸線L6であり、最も右方に位置する軸線は第6右軸線R6であり、最も上方に位置する軸線は第5左軸線L5、第7左軸線L7、第5右軸線R5、および第7右軸線R7であり、最も下方に位置する軸線は第1左軸線L1、第5左軸線L5、第6左軸線L6、第1右軸線R1、第5右軸線R5、および第6右軸線R6である。第5実施形態においても、最も左方に位置する軸線が通る鉛直線と、最も右方に位置する軸線が通る鉛直線と、最も上方に位置する軸線が通る水平線と、最も下方に位置する軸線が通る水平線とで形成される四角形は、正方形または横よりも縦の長さが長い長方形となる。B≧2Aである。
第5実施形態では、第1実施形態と同様、左支持アーム部30Lが上方に揺動したときの左クッションユニット35Lの伸縮量が、左クッションユニット35Lの第2端部37Lがセンターアーム34に支持されていると仮定したときの左クッションユニット35Lの伸縮量よりも大きくなるように構成されている。右支持アーム部30Rが上方に揺動したときの右クッションユニット35Rの伸縮量が、右クッションユニット35Rの第2端部37Rがセンターアーム34に支持されていると仮定したときの右クッションユニット35Rの伸縮量よりも大きくなるように構成されている。
第5実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。車両1の左右の傾斜角および乗り心地を維持しつつ、車両前部の左右方向の寸法を小さくすることが可能となる。
(他の実施形態)
前記各実施形態に係る車両では、センターアーム34は車両上下方向に延びるアームであった。しかし、センターアームは、車両上下方向に延びるアームに限らず、車両左右方向に延びるアームであってもよい。センターアームとして、車体フレーム5に対して車体フレーム5の前後方向に延びる軸周りに揺動可能に支持されると共に、左前輪11Lの上方への動きを右前輪11Rの下方への動きとして伝達し、かつ、右前輪11Rの上方への動きを左前輪11Lの下方への動きとして伝達する任意のアームを利用することができる。
懸架装置61の前述の構成は例示に過ぎず、他に種々の構成を採用することができることは勿論である。
前記実施形態および前記変形例は、それぞれ独立して実施することができるが、適宜組み合わせて実施してもよい。
ここに用いられた用語及び表現は、説明のために用いられたものであって限定的に解釈するために用いられたものではない。ここに示されかつ述べられた特徴事項の如何なる均等物をも排除するものではなく、本発明のクレームされた範囲内における各種変形をも許容するものであると認識されなければならない。本発明は、多くの異なった形態で具現化され得るものである。この開示は本発明の原理の実施形態を提供するものと見なされるべきである。それらの実施形態は、本発明をここに記載しかつ/又は図示した好ましい実施形態に限定することを意図するものではないという了解のもとで、実施形態がここに記載されている。ここに記載した実施形態に限定されるものではない。本発明は、この開示に基づいて当業者によって認識され得る、均等な要素、修正、削除、組み合わせ、改良及び/又は変更を含むあらゆる実施形態をも包含する。クレームの限定事項はそのクレームで用いられた用語に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書あるいは本願のプロセキューション中に記載された実施形態に限定されるべきではない。