JP2017092210A - 光センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】フォトコンダクティブゲインが大きく、有害元素を含まず、かつ、紫外光から近赤外光領域で応答する光センサを提供すること。
【解決手段】光センサ10は、チャネル26がグラフェンからなる電界効果トランジスタ20と、チャネル26の表面に形成された光吸収層40とを備えている。グラフェンは、半金属(バンドギャップ(Eg)≒0eV)からなる。光吸収層40は、窒素官能基化ナノグラフェンを含む。また、窒素官能基化ナノグラフェンは、ナノグラフェンと、ナノグラフェンに導入されたπ共役性窒素官能基とを備えている。窒素官能基化ナノグラフェンは、半導体(Eg>0eV)からなり、かつ、グラフェンとのLUMO準位差又はHOMO準位差が2eV以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、光センサに関し、さらに詳しくは、チャネルがグラフェンからなる電界効果トランジスタと、窒素官能基化ナノグラフェンを含む光吸収層とを組み合わせた光センサに関する。
グラフェンは、黒鉛結晶の1原子層〜数原子層からなるシート状物質であり、室温におけるキャリア移動度が極めて高く、かつ、シート面に対して垂直方向の外部電界に対して高い応答性を示す。そのため、このようなグラフェンの特異な性質を利用して、各種の電子デバイスの作製が試みられている。
例えば、非特許文献1には、チャネルが単層又は2層のグラフェンからなる電界効果トランジスタ(グラフェンFET)と、グラフェンの表面に形成されたPbS量子ドットからなる薄膜とを備えたフォトトランジスタが開示されている。
同文献には、以下の点が記載されている。
(a)PbS量子ドット中において光励起されたホールは、グラフェン層に移動し、所定の時間(遷移時間:τtransit)でドレインに向かってドリフトする。一方、電子は、PbS量子ドット中に所定の時間(寿命:τliftime)トラップされたままとなる。そのため、ホールがドレインに到達すると、速やかにソースからグラフェンチャネルにホールが補給される。すなわち、1個の電子−ホール対が光励起されると、多数のホールがグラフェンチャネル内を循環する。その結果、高いフォトコンダクティブゲインが得られる。
(b)フォトコンダクティブゲインは、G=τlifetime/τtransitと表される。高いゲインを得るためには、キャリアの寿命(τlifetime)が長いこと、及び、キャリアの移動度(∝1/τtransit)が高いことが重要である。
(c)得られたフォトトランジスタは、励起光波長が600nm、出力が10fW未満である時に、感度が〜5×107A/Wであり、フォトコンダクティブゲインが〜1×108である。
非特許文献2には、SiO2/Si基板の表面に10−デシルトリクロロシランからなる自己組織化単分子層(SAM)を形成し、SAM/SiO2/Siの上部にZnO量子ドットで修飾された単層のグラフェンシートからなるチャネルを形成したフォトトランジスタが開示されている。
同文献には、以下の点が記載されている。
(a)ZnO量子ドットに光が照射されると、電子−ホール対が生成し、生成した電子−ホール対は直ちに分離する。ホールはZnO量子ドットの表面にトラップされるのに対し、電子は、速やかにグラフェンチャネルに移動する。さらに電子がドレインに到達すると、速やかに、負にバイアスされたソースからグラフェンチャネルに電子が補給される。すなわち、1個の電子−ホール対が光励起されると、多数の電子がグラフェンチャネル内を循環する。その結果、高いフォトコンダクティブゲインが得られる。
(b)SiO2基板上にグラフェントランジスタを形成すると、電界効果移動度が低下する。一方、SiO2基板とグラフェンとの間に有機の自己組織化単分子層(SAM)を挿入すると、グラフェン−SAMヘテロ界面のキャリア移動度が著しく高くなる。その結果、FETチャネル内の電子の遷移時間が劇的に短くなり、フォトコンダクティブゲインが向上する。
(c)得られたフォトトランジスタは、紫外光領域(波長:335nm、出力:139pW)において、感度が〜108A/Wであり、ゲインが〜3×109である。
グラフェンFETは、チャネルを構成するグラフェンのキャリア移動度が大きいので、高速トランジスタとして期待されている。また、このグラフェンFETと適切な光吸収層とを組み合わせると、フォトコンダクティブゲインが大きいフォトトランジスタ(あるいは、光センサ)を作製することができる。
しかし、非特許文献1に記載のフォトトランジスタは、フォトコンダクティブゲインが小さい。また、光吸収層として用いられるPbSは、有害元素を含んでいる。一方、非特許文献2に記載のフォトトランジスタは、紫外光領域でしか応答しない。
G. Konstantatos et al., Nature Nanotechnology, Vol. 7, p. 363-368, 2012 D. Shao et al., Nano Letters, Vol. 15, p. 3787-3792, 2015
本発明が解決しようとする課題は、フォトコンダクティブゲインが大きく、有害元素を含まず、かつ、紫外光から近赤外光領域で応答する光センサを提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る光センサは、以下の構成を備えている。
(1)前記光センサは、
チャネルがグラフェンからなる電界効果トランジスタと、
前記チャネルの表面に形成された光吸収層と
を備えている。
(2)前記グラフェンは、半金属(バンドギャップ(Eg)≒0eV)からなる。
(3)前記光吸収層は、窒素官能基化ナノグラフェンを含み、
前記窒素官能基化ナノグラフェンは、
ナノグラフェンと、
前記ナノグラフェンに導入されたπ共役性窒素官能基と
を備えている。
(4)前記窒素官能基化ナノグラフェンは、半導体(Eg>0eV)からなり、かつ、前記グラフェンとのLUMO準位差又はHOMO準位差が2eV以下である。
窒素官能基化ナノグラフェンは、従来の材料と同等以上の長いキャリア寿命(τlifetime)を持つ。また、窒素官能基化ナノグラフェンは、有害元素を含まない。さらに、窒素官能基化ナノグラフェンの大きさ(平均質量数)を最適化することによって、窒素官能基化ナノグラフェンは、広い波長範囲の光を吸収する。そのため、グラフェンFETと窒素官能基化ナノグラフェンとを組み合わせると、フォトコンダクティブゲインが高く、有害元素を含まず、かつ、紫外光から近赤外光領域で応答する光センサが得られる。
本発明の一実施の形態に係る光センサの断面模式図である。 光センサの動作メカニズムを説明するための模式図である。 窒素官能基化ナノグラフェンの構造図である。 実施例1で得られた光センサに波長440nm、出力3.5μWのレーザー光を照射した時のフォトトランジスタ特性を示す図である。
実施例1で得られた光センサに波長785nm、出力2.9μWのレーザー光を照射した時のフォトトランジスタ特性を示す図である。 実施例1で得られた光センサの感度のレーザー出力依存性を示す図である。 実施例2で得られた光センサに波長440nm、出力2.7μWのレーザー光を照射した時のフォトトランジスタ特性を示す図である。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 光センサ]
本発明に係る光センサは、
チャネルがグラフェンからなる電界効果トランジスタ(グラフェンFET)と、
前記チャネルの表面に形成された光吸収層と
を備えている。
[1.1. グラフェンFET]
[1.1.1. 構造]
グラフェン電界効果トランジスタ(グラフェンFET)とは、チャネルの材料としてグラフェンを用いた電界効果トランジスタ(FET)をいう。FETの構造としては、一般に、トップゲート型、ボトムゲート型、フィン型などが知られている。この点は、グラフェンFETも同様であり、目的に応じて、種々の構造を取ることができる。
本発明は、光吸収層に光を照射できる限りにおいて、いずれの構造を備えたグラフェンFETに対しても適用できる。また、チャネル以外の構成要素の材料は、特に限定されるものではなく、目的に応じて種々の材料を用いることができる。
[1.1.2. グラフェン]
「グラフェン」とは、炭素の環構造及びsp2結合性の芳香環で構成された2次元のシート状構造を有する物質(換言すれば、黒鉛結晶の1原子層〜数原子層からなるシート状物質)であって、半金属的性質を示すものをいう。グラフェンは、その大きさや原子層の数に応じて、半金属的性質を示すものから、半導体的性質を示すものまで存在する。
本発明において、グラフェンは、半金属(バンドギャップ(Eg)≒0eV)からなる。半金属からなるグラフェンは、キャリアの移動度が高く、遷移時間(τtransit)が短いので、チャネルの材料として好適である。
本発明において、「(広義の)半金属」とは、
(a) 伝導帯および価電子帯がフェルミ準位において完全に一致している物質(すなわち、ゼロギャップ半導体)、又は、
(b)伝導体の下端と価電子帯の上端とがフェルミ準位をまたいで僅かに重なり合ったバンド構造を持つ物質(すなわち、狭義の半金属)
をいう。
なお、本発明において、「半金属」というときは、特に断らない限り、「広義の半金属」を表す。
グラフェンが半金属的性質を持つためには、グラフェンの大きさは、幅、高さ共に、100nm超である必要がある。グラフェンの大きさは、幅、高さ共に、10μm以上、さらに好ましくは、50μm以上である。
単層のグラフェンは、ゼロギャップ半導体である。一方、2以上の原子層が重なったグラフェンは、狭義の半金属的性質を示す。しかし、原子層数が大きくなりすぎると、電子状体がバルクに近づくため、キャリア移動度が小さくなる。従って、グラフェンの原子層数は、2以下が好ましい。
高いフォトコンダクティブゲインを得るためには、グラフェンのキャリア移動度は高いほど良い。グラフェンのキャリア移動度は、好ましくは、100cm2-1-1以上、さらに好ましくは、500cm2-1-1以上、さらに好ましくは、1000cm2-1-1以上である。
[1.2. 光吸収層]
光吸収層は、グラフェンFETのチャネルの表面に形成される。本発明において、光吸収層は、窒素官能基化ナノグラフェンを含む。この点が、従来とは異なる。
光吸収層は、窒素官能基化ナノグラフェンのみからなるものでも良く、あるいは、他の材料がさらに含まれていても良い。
[1.2.1. 定義]
本発明において、「窒素官能基化ナノグラフェン」とは、
ナノグラフェンと、
前記ナノグラフェンに導入されたπ共役性窒素官能基と
を備えているものをいう。
「ナノグラフェン」とは、炭素の環構造及びsp2結合性の芳香環で構成された2次元のシート状構造を有する物質であって、π共役性窒素官能基が導入された状態において、半導体的性質(Eg>0eV)を示すものをいう。ナノグラフェンは、単層のシートからなる場合と、多層のシートからなる場合とがある。グラフェンと同様の理由から、ナノグラフェンの原子層数は、2以下が好ましい。
「π共役性窒素官能基」とは、非共有電子対を有する窒素原子を構成元素として含む官能基をいう。
π共役性窒素官能基としては、例えば、アミン基、ジメチルアミン基、アゾ基、ナフタレンジアミン基、フェニレンジアミン基、メチルレッド基などがある。窒素官能基化ナノグラフェンは、これらのいずれか1種のπ共役性窒素官能基を含むものでも良く、あるいは、2種以上を含むものでも良い。
「π共役性窒素官能基が導入されている」とは、
(a)ナノグラフェンのエッジ及び/又は基底面にπ共役性窒素官能基が結合していること、又は、
(b)ナノグラフェンの表面又はシート間に、π共役性窒素官能基を持つ化合物が吸着していること
をいう。
ナノグラフェンに導入されたπ共役性窒素官能基は、結合又は吸着のいずれか1種の形態で存在していても良く、あるいは、双方の形態で存在していても良い。π共役性窒素官能基を持つ化合物の詳細については、後述する。
[1.2.2. 半導体性]
窒素官能基化ナノグラフェンは、光を吸収することによって電子−ホール対を形成可能なものである必要がある。そのためには、窒素官能基化ナノグラフェンは、半導体性(Eg>0eV)を示すものである必要がある。
窒素官能基化ナノグラフェンが半導体性を示すか否か、及びそのバンドギャップ(Eg)の大きさは、主として窒素官能基化ナノグラフェンの平均質量(大きさ)に依存する。平均質量については、後述する。
[1.2.3. LUMO準位差/HOMO準位差]
一般に、光励起されたキャリアは、寿命が短く、再結合により消滅しやすい。一方、光励起キャリア寿命の長い窒素官能基化ナノグラフェンと、グラフェンFETとを組み合わせると、窒素官能基化ナノグラフェン内において励起されたキャリアの一方(例えば、電子)はグラフェン層に速やかに移動するが、窒素官能基化ナノグラフェンに残った他方のキャリア(例えば、ホール)の寿命は長い。その結果、光センサのフォトコンダクティブゲインが向上する。
一般に、窒素官能基化ナノグラフェンとグラフェンとの間のLUMO(最低空軌道)準位差又はHOMO(最高被占有軌道)準位差が小さくなるほど、一方のキャリアがグラフェン層に移動しやすくなる。高いフォトコンダクティブゲインを得るためには、両者の間のLUMO準位差又はHOMO準位差は、2eV以下である必要がある。LUMO準位差又HOMO準位差は、好ましくは、1eV以下である。
窒素官能基化ナノグラフェンとグラフェンとの間のLUMO準位差又はHOMO準位差は、主としてπ共役性窒素官能基の種類に依存する。
[1.2.4. 窒素官能基化ナノグラフェンの平均質量]
窒素官能基化ナノグラフェンの質量数(又は、サイズ)は、太陽光の透過率に影響を与える。窒素官能基化ナノグラフェンが小さくなりすぎると、バンドギャップEgが過度に大きくなり、可視光を吸収しなくなる。従って、窒素官能基化ナノグラフェンの平均質量は、1000m/z以上が好ましい。平均質量は、好ましくは、1100m/z以上、さらに好ましくは、1200m/z以上である。
一方、窒素官能基化ナノグラフェンの平均質量が大きくなりすぎると、可視光域での透過率が低下する。従って、窒素官能基化ナノグラフェンの平均質量は、50000m/z以下が好ましい。平均質量は、好ましくは、10000m/z以下、さらに好ましくは、5000m/z以下である。
[1.2.5. 窒素官能基化ナノグラフェンの光励起キャリア寿命]
上述したように、窒素官能基化ナノグラフェンの光励起キャリア寿命(τlifetime)は、主としてπ共役性窒素官能基の種類に依存する。π共役性窒素官能基の種類を最適化すると、窒素官能基化ナノグラフェンの光励起キャリア寿命は、0.1s以上となる。π共役性窒素官能基の種類を最適化すると、窒素官能基化ナノグラフェンの光励起キャリア寿命は、3.0s以上、5.0s以上、あるいは、10.0s以上となる。
[1.3. 光センサの特性]
[1.3.1. フォトコンダクティブゲイン]
本発明に係る光センサにおいて、窒素官能基化ナノグラフェンの構造を最適化すると、高いフォトコンダクティブゲインが得られる。具体的には、窒素官能基化ナノグラフェンの構造を最適化することによって、波長:200〜800nmの光を照射した時の、キャリアの寿命(τlifetime)と遷移時間(τtransit)の比(=τlifetime/τtransit)から求めたフォトコンダクティブゲインが109以上となる。窒素官能基化ナノグラフェンの構造をさらに最適化すると、フォトコンダクティブゲインは、3×109以上、1×1010以上、あるいは、2×1010以上となる。
[1.3.1. 感度]
本発明に係る光センサにおいて、窒素官能基化ナノグラフェンの構造を最適化すると、高い感度が得られる。具体的には、窒素官能基化ナノグラフェンの構造を最適化することによって、波長:200〜800nm、出力:1〜10μWの光を照射した時の感度が1A/W以上となる。窒素官能基化ナノグラフェンの構造をさらに最適化すると、感度は、10A/W以上、20A/W以上、あるいは、30A/W以上となる。
[1.4. 具体例]
図1に、本発明の一実施の形態に係る光センサの断面模式図を示す。図1において、光センサ10は、ボトムゲート型のグラフェンFET20と、光吸収層40とを備えている。グラフェンFET20は、導電性基板22と、絶縁層24と、チャネル26と、ソース電極28と、ドレイン電極30と、ゲート電極32とを備えている。
導電性基板22の表面には絶縁層24が形成され、絶縁層24の表面にはチャネル26が形成されている。なお、図示はしないが、絶縁層24とチャネル26との間に、さらに有機系の自己組織化単分子層(SAM)が挿入されていても良い。
チャネル26の両端には、ソース電極28と、ドレイン電極30とが互いに離間して設けられ、導電性基板22の裏面には、ゲート電極32が設けられている。さらに、チャネル26の表面(並びに、ソース電極28及びドレイン電極30の表面)には、光吸収層40が形成されている。
[1.4.1. 導電性基板]
導電性基板22の材料は、特に限定されるものではなく、種々の材料を用いることができる。導電性基板22の材料としては、例えば、
(a)p+−Si、
(b)スズ添加酸化インジウム(ITO)、フッ素添加酸化スズ(FTO)、酸化スズ(SnO2)、酸化インジウム(In23)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化亜鉛(ZnO)などの導電性金属酸化物、
(c)ポリアセチレン系、ポリピロール系、ポリチオフェン系、ポリフェニレンビニレン系などの導電性高分子からなる透明導電膜の自立膜、
などがある。
また、導電性基板22は、基板表面に透明導電膜を堆積させたものでも良い。この場合、ゲート電極32は、基板と透明導電膜の間に埋め込むように形成する。透明導電膜を堆積させる基板の材料は、特に限定されない。基板の材料としては、例えば、
(a)硝子板、
(b)ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミドなどの合成樹脂板、
などがある。
導電性基板22の表面抵抗は、小さいほど良い。これは、電圧の印加によるキャリアの移動を易化するためである。導電性基板22の表面抵抗は、好ましくは、1Ω/□以下、さらに好ましくは、0.1Ω/□以下である。
[1.4.2. 絶縁層]
絶縁層24は、導電性基板22の表面の全面に形成されている。絶縁層24の材料は、特に限定されるものではなく、目的に応じて種々の材料を用いることができる。絶縁層24の材料としては、例えば、SiO2、Al23、SiN、SiON、AlN、HfO2、HfON、ZrO2などがある。
絶縁層24は、CVD、スパッタ、蒸着などによって導電性基板22の表面に堆積させたものでも良く、あるいは、導電性基板22の表面を酸化、窒化等することによって形成されたものでも良い。
[1.4.3. チャネル]
絶縁層24の表面には、チャネル26が形成されている。本発明において、チャネル26は、グラフェンからなる。グラフェンの詳細については、上述した通りであるので、説明を省略する。
グラフェンからなるチャネル26は、種々の方法により形成することができる。チャネル26の形成方法としては、例えば、
(a)化学気相法(CVD)方により銅基板上にグラフェンを形成し、転写法によって、銅基板上のグラフェンを絶縁層24の表面に転写する方法、
(b)グラファイトからスコッチテープ法によりグラフェンを剥離させ、剥離させたグラフェンを分散媒に分散させ、分散液を絶縁層24の表面に塗布する方法、
などがある。
[1.4.4. ソース電極、ドレイン電極、及びゲート電極]
チャネル26の両端には、ソース電極28及びドレイン電極30が形成されている。また、導電性基板22の裏面には、ゲート電極32が形成されている。
ソース電極28、ドレイン電極30、及びゲート電極32の材料は、特に限定されるものではなく、目的に応じて種々の材料を用いることができる。電極の材料としては、例えば、Au/Ti積層膜、Pd、In、Pt、ReAl、Mn、In、Mg、Si、Ga、Nb、Ra、Rh、Li、Ag、Cuなどがある。
[1.4.5. 光吸収層]
チャネル26の表面(並びに、ソース電極28及びドレイン電極30の表面)には、光吸収層40が形成されている。本発明において、光吸収層40は、窒素官能基化ナノグラフェンを含む。窒素官能基化ナノグラフェンの詳細については、上述した通りであるので、説明を省略する。
光吸収層40は、窒素官能基化ナノグラフェンを分散させた分散液をチャネル26上に滴下し、溶媒を揮発除去することにより形成することができる。
[2. 窒素官能基化ナノグラフェンの製造方法(1)]
窒素官能基化ナノグラフェンを製造するための第1の方法は、
π共役性窒素官能基を持つ化合物を溶解させた水溶液に酸化グラファイト又はグラフェン酸化物を分散させる分散工程と、
前記水溶液を60℃以上で加熱する加熱工程と
を備えている。
[2.1. 分散工程]
まず、π共役性窒素官能基を持つ化合物を溶解させた水溶液に酸化グラファイト又はグラフェン酸化物を分散させる(分散工程)。
[2.1.1. π共役性窒素官能基を持つ化合物]
「π共役性窒素官能基を持つ化合物(以下、「窒素含有化合物」ともいう)」とは、非共有電子対を有する窒素原子を構成元素として含む官能基を持つ化合物であって、水に溶解又は分散可能なものをいう。出発原料には、いずれか1種の窒素含有化合物を用いても良く、あるいは、2種以上を用いても良い。
窒素含有化合物は、水に溶解又は分散させた水溶液の状態で使用される。水溶液に含まれる窒素含有化合物の濃度は、特に限定されるものではなく、出発原料の種類や要求される特性などに応じて最適な濃度を選択すればよい。窒素含有化合物の濃度は、通常、0.1〜10mol/Lである。
窒素含有化合物としては、例えば、2,3−ジアミノナフタレン(DAN)、o−フェニレンジアミン(o−PD)、アニリン、アンモニア、ジメチルホルムアミド、ジフェニルリン酸アジド、パラメチルレッドなどがある。
[2.1.2. 酸化グラファイト及びグラフェン酸化物]
「酸化グラファイト」とは、グラファイトを構成するグラフェン層のエッジ及び/又は基底面上に酸素含有官能基(例えば、−COOH基、−OH基、−C−O−C−基など)が結合しているものをいう。酸化グラファイトは、例えば、強酸(濃硫酸)中で酸化剤(過マンガン酸カリウム、硝酸カリウムなど)を用いてグラファイトを酸化させることにより得られる。
「グラフェン酸化物」とは、酸化グラファイトの層間を剥離させることにより得られるシート状物質をいう。グラフェン酸化物は、例えば、酸化グラファイトを水溶液中に分散させ、超音波を照射することにより得られる。
本発明において、出発原料には、層間剥離を行う前の酸化グラファイト又は層間剥離させたグラフェン酸化物のいずれか一方を用いても良く、あるいは、双方を用いても良い。
酸化グラファイト及び/又はグラフェン酸化物は、窒素含有化合物を含む水溶液に添加される。水溶液に含まれる酸化グラファイト及び/又はグラフェン酸化物の量は、特に限定されるものではなく、出発原料の種類や要求される特性などに応じて最適な量を選択すればよい。酸化グラファイト及び/又はグラフェン酸化物の量は、通常、0.1〜50g/Lである。
[2.2. 加熱工程]
次に、窒素含有化合物を分散させた水溶液に酸化グラファイト及び/又はグラフェン酸化物を分散させた後、水溶液を加熱する(加熱工程)。
加熱は、反応速度を速くするために行う。加熱温度が水溶液の沸点を超える場合、加熱は、密閉容器内で行う。
加熱温度が低すぎると、現実的な時間内に反応が十分進行しない。従って、加熱温度は、60℃以上である必要がある。加熱温度は、さらに好ましくは、70℃以上、さらに好ましくは、80℃以上である。
一方、加熱温度が高くなりすぎると、結合した窒素が脱離するおそれがある。また、高価な耐圧容器が必要となり、製造コストが増大する。従って、加熱温度は、200℃以下が好ましい。加熱温度は、さらに好ましくは、180℃以下、さらに好ましくは、160℃以下である。
加熱時間は、加熱温度に応じて最適な時間を選択する。一般に、加熱温度が高くなるほど、短時間で反応を進行させることができる。加熱時間は、通常、1〜20時間である。
加熱条件を最適化すると、窒素官能基化ナノグラフェンの窒素含有量、平均厚さ、及び平均サイズを制御できる。一般に、加熱温度が高くなるほど、及び/又は、加熱時間が長くなるほど、窒素含有量が減少し、平均厚さが薄くなり、あるいは、平均サイズが小さくなる。
得られた窒素官能基化ナノグラフェンは、そのまま光電変換素子の製造に用いても良く、あるいは、必要に応じて、洗浄、ろ過及び/又は透析を行っても良い。
[3. 窒素官能基化ナノグラフェンの製造方法(2)]
窒素官能基化ナノグラフェンを製造するための第2の方法は、
ナノグラフェンを製造するナノグラフェン製造工程と、
π共役性窒素官能基を持つ化合物を溶解させた水溶液にナノグラフェンを分散させる分散工程と、
前記水溶液を60℃以上で加熱する加熱工程と
を備えている。
[3.1. ナノグラフェン製造工程]
ナノグラフェンは、酸化グラファイト又はグラフェン酸化物をアルカリ性水溶液中に分散させ、密閉容器中で60℃以上に加熱することで合成することができる。あるいは、ナノグラファイト粒子を、例えば、強酸(濃硫酸)中で酸化剤(過マンガン酸カリウム、硝酸カリウムなど)を用いて酸化させることにより合成することができる。
[3.2. 分散工程、加熱工程]
次に、π共役性窒素官能基を持つ化合物を溶解させた水溶液にナノグラフェンを分散(分散工程)させ、前記水溶液を60℃以上で加熱する(加熱工程)。これにより、π共役性窒素官能基がナノグラフェンに導入される。
分散工程、及び加熱工程のその他の点については、第1の方法と同様であるので、説明を省略する。
[4. 作用]
図2に、光センサの動作メカニズムを説明するための模式図を示す。窒素官能基化ナノグラフェン量子ドット(NGQDs)にバンドギャップ(Eg)より大きなエネルギーを持つ光が照射されると、NGQDsが光を吸収し、電子−ホール対が形成される。一般に、光励起されたキャリアは、寿命(τlifetime)が短く、再結合により消滅しやすい。
しかしながら、NGQDsと半金属的性質を持つグラフェンとを接触させる場合において、両者の間のLUMO準位差が相対的に小さい時には、図2に示すように、NGQDsの伝導帯に励起された電子がグラフェンの伝導帯に速やかに移動する。
半金属的性質を持つグラフェンは、キャリア移動度が大きい(遷移時間(τtransit)が短い)ため、グラフェンFET20を構成するグラフェン層(チャネル26)に電子が移動すると、電子は速やかにドレイン電極30に到達する。一方、ホールは、所定の時間(τlifetime)、NGQDs(光吸収層40)にトラップされたままとなる。そのため、電荷を補償するために、ソース電極28からグラフェン層(チャネル26)に電子が補給される。その結果、高いフォトコンダクティブゲインが得られる。
この点は、NGQDsとグラフェンとの間のHOMO準位差が近接している場合も同様である。両者の間のHOMO準位差が近接している場合には、ホールがグラフェン層に移動し、電子がNGQDsにトラップされたままとなる。また、グラフェン層(チャネル26)に移動したホールがドレイン電極30に到達すると、ソース電極28からグラフェン層(チャネル26)にホールが補給される。その結果、高いフォトコンダクティブゲインが得られる。
ナノグラフェンにπ共役性窒素官能基を導入すると、ナノグラフェンを構成する炭素のπ軌道と窒素の電子軌道との相互作用によって、キャリアが移動できる軌道が広がる。しかも、軌道の広がりの程度は、主としてπ共役性窒素官能基の種類により決まる。そのため、π共役性窒素官能基の種類を最適化すると、NGQDsとナノグラフェンとの間のLUMO準位差又はHOMO準位差を最適化することができる。また、このような現象は、ナノグラフェンにπ共役性窒素官能基を結合させた場合だけでなく、ナノグラフェンにπ共役性窒素官能基を持つ化合物を吸着させた場合にも起こりうる。
さらに、窒素官能基化ナノグラフェンは、キャリア寿命(τlifetime)が長いだけでなく、有害元素を含まない。また、窒素官能基化ナノグラフェンの大きさ(平均質量数)を最適化することによって、窒素官能基化ナノグラフェンは、広い波長範囲の光を吸収する。そのため、グラフェンFETと窒素官能基化ナノグラフェンとを組み合わせると、フォトコンダクティブゲインが高く、有害元素を含まず、かつ、紫外光から近赤外光領域で応答する光センサが得られる。
(実施例1)
[1. 試料の作製]
[1.1. フェニレンジアミン基修飾ナノグラフェン量子ドットの作製]
π共役性窒素官能基としてフェニレンジアミン基を持つ窒素官能基化ナノグラフェンを作製した。すなわち、10mgのナノグラフェンを5mLのイオン交換水に分散させた。得られた分散液に、20mgのo−フェニレンジアミン(o−PD)を加えて分散させた。得られた分散液を密閉容器中、180℃×12時間加熱した。加熱後、充分に洗浄を行い、フェニレンジアミン基修飾ナノグラフェン量子ドット(OPD−GQDs)を分離した。
図3に、π共役性窒素官能基化ナノグラフェンの構造図を示す。なお、図3は、1個のRを介してπ共役性窒素官能基が結合している場合と、隣り合う2個のRを介してπ共役性窒素官能基が結合している場合があることを表す。
[1.2. 光センサの作製]
図1に示す構造を備えた光センサ10、すなわち、ボトムゲート型のグラフェンFET20を備えた光センサ10を作製した。導電性基板22には、厚さが525μm、抵抗率が0.002〜0.005Ωcmであるp+−Siを用いた。この導電性基板22を熱酸化処理し、表面に、厚さ90nmのSiO2からなる絶縁層24を形成した。さらに、化学気相法(CVD)によって銅基板上にグラフェンを形成し、転写法を用いて、絶縁層24の上にグラフェンからなるチャネル26を転写した。
次に、スパッタ蒸着法、及びリフトオフ法を用いて、チャネル26の両端に、ソース電極28及びドレイン電極30を形成した。ソース電極28及びドレイン電極30には、それぞれ、厚さ15nmのTi及び厚さ100nmのAuをこの順に積層した積層電極を用いた。
次に、OPD−GQDsをDMFに分散させた分散液をチャネル26の表面に滴下し、乾燥させることにより、チャネル26の上に光吸収層40を形成した。。
さらに、スパッタ蒸着法を用いて、導電性基板22の裏面にゲート電極32を形成した。ゲート電極32には、厚さ15nmのTi及び厚さ100nmのAuをこの順に積層した積層電極を用いた。
[2. 試験方法及び結果]
[2.1. 波長440nmのレーザー光照射]
図4に、実施例1で得られた光センサ(OPD−GQDs@GFET)に波長440nm、出力3.5μWのレーザー光を照射した時のフォトトランジスタ特性を示す。図4(a)は、波長440nmのレーザー光をON/OFF照射した時のIV特性の変化である。図4(b)は、波長440nmのレーザー光をON/OFF照射した時の光電流の変化である。図4(c)は、波長440nmのレーザー光をON/OFF照射した時の光電流の減衰及び増大曲線である。この時、ゲート電圧は0V、ドレイン電圧は1Vとした。
図4(b)に示すように、レーザーのON/OFFに伴う光電流の変化が観測され、OPD−GQDs@GFETは良好な光応答性を示すことが確認された。
図4(c)に示したレーザーON/OFF時の光電流の時間変化を指数関数によりフィッティングすることで、光励起キャリアの寿命(τlifetime)を算出した。その結果、寿命(τlifetime)は、9.1sであることがわかった。
さらに、図4(a)に示したレーザーON時のIV特性から、ゲート電圧が0Vの時、主要伝導キャリアはホールであり、ホールキャリア移動度(μ)を次の(A)式に基づいて算出した。その結果、グラフェンのホールキャリア移動度(μ)は、1578cm2-1-1であることがわかった。
μ=L・gm/VDS・Ci・W (A)
但し、L:チャンネル長、gm:IV特性の傾き、VDS:ドレイン電圧、Ci:絶縁層(誘電体層)24)の静電容量、W:チャネル幅である。
キャリア移動度から、励起キャリアの移動速度(遷移時間τtransit)を次の(B)より算出した。その結果、τtransitは、0.63nsであることがわかった。
τtransit=(L2/μ)・VDS (B)
従って、フォトコンダクティブゲイン(G)は、励起キャリア寿命と移動速度の比(τlifetime/τtransit)から、1.4×1010であることがわかった。
[2.2. 波長785nmのレーザー光照射]
図5に、実施例1で得られたOPD−GQDs@GFETに波長785nm、出力2.9μWのレーザー光を照射した時のフォトトランジスタ特性を示す。図5(a)は、波長785nmのレーザー光をON/OFF照射した時のIV特性の変化である。図5(b)は、波長785nmのレーザー光をON/OFF照射した時の光電流の変化である。図5(c)は、波長785nmのレーザー光をON/OFF照射した時の光電流の減衰及び増大曲線である。この時、ゲート電圧は0V、ドレイン電圧は0.01Vとした。
図5(b)に示すように、レーザーのON/OFFに伴う光電流の変化が観測され、OPD−GQDs@GFETは良好な光応答性を示すことが確認された。
図5(c)に示したレーザーON/OFF時の光電流の時間変化を指数関数によりフィッティングすることで、光励起キャリアの寿命(τlifetime)を算出した。その結果、寿命(τlifetime)は、12.6sであることがわかった。
さらに、図5(a)に示したレーザーON時のIV特性から、ゲート電圧が0Vの時、主要伝導キャリアは電子であり、電子キャリア移動度(μ)を上述した(A)式に基づいて算出した。その結果、グラフェンの電子キャリア移動度(μ)は、1995cm2-1-1であることがわかった。
キャリア移動度から、励起キャリアの移動速度(遷移時間τtransit)を上述した(B)より算出した。その結果、τtransitは、0.50nsであることがわかった。
従って、フォトコンダクティブゲイン(G)は、励起キャリア寿命と移動速度の比(τlifetime/τtransit)から、2.5×1010であることがわかった。
[2.3. 感度]
図6に、実施例1で得られた光センサの感度のレーザー出力依存性を示す。波長440nm、出力1.2μWのレーザーを照射した時の感度は、35A/Wであった。また、波長785nm、出力2.5μWのレーザーを照射した時の感度は、14A/Wであった。
(実施例2)
[1. 試料の作製]
[1.1. ジアミノナフタレン基修飾ナノグラフェン量子ドットの作製]
π共役性窒素官能基としてジアミノナフタレン基を持つ窒素官能基化ナノグラフェンを作製した。すなわち、10mgのナノグラフェンを5mLのイオン交換水に分散させた。得られた分散液に、20mgの2,3−ジアミノナフタレン(DAN)を加えて分散させた。得られた分散液を密閉容器中、180℃×12時間加熱した。加熱後、充分に洗浄を行い、ジアミノナフタレン基修飾ナノグラフェン量子ドット(DAN−GQDs)を分離した。図3に、π共役性窒素官能基化ナノグラフェンの構造図を示す。
[1.2. 光センサの作製]
窒素官能基化ナノグラフェンとして、DAN−GQDsを用いた以外は、実施例1と同様にして、光センサ(DAN−GQDs@GFET)を作製した。
[2. 試験方法及び結果]
図7に、実施例2で得られたDAN−GQDs@GFETに波長440nm、出力2.7μWのレーザー光を照射した時のフォトトランジスタ特性を示す。図7(a)は、波長440nmのレーザー光をON/OFF照射した時のIV特性の変化である。図7(b)は、波長440nmのレーザー光をON/OFF照射した時の光電流の変化である。図7(c)は、波長440nmのレーザー光をON/OFF照射した時の光電流の減衰及び増大曲線である。この時、ゲート電圧は0V、ドレイン電圧は1Vとした。
図7(b)に示すように、レーザーのON/OFFに伴う光電流の変化が観測され、DAN−GQDs@GFETは良好な光応答性を示すことが確認された。
図7(c)に示したレーザーON/OFF時の光電流の時間変化を指数関数によりフィッティングすることで、光励起キャリアの寿命(τlifetime)を算出した。その結果、寿命(τlifetime)は、4.0sであることがわかった。
さらに、図7(a)に示したIV特性から、ホールキャリア移動度(μ)を上述した(A)式に基づいて算出した。その結果、グラフェンのホールキャリア移動度(μ)は、862cm2-1-1であることがわかった。
キャリア移動度から、励起キャリアの移動速度(遷移時間τtransit)を上述した(B)より算出した。その結果、τtransitは、1.16nsであることがわかった。
従って、フォトコンダクティブゲイン(G)は、励起キャリア寿命と移動速度の比(τlifetime/τtransit)から、3.4×109であることがわかった。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る光センサは、物体の位置や動きを検出するためのセンサ、光通信を行うためのセンサなどに用いることができる。
10 光センサ
20 グラフェン電界効果トランジスタ(グラフェンFET)
22 導電性基板
24 絶縁層
26 チャネル(グラフェン)
28 ソース電極
30 ドレイン電極
32 ゲート電極
40 光吸収層(窒素官能基化ナノグラフェン)

Claims (5)

  1. 以下の構成を備えた光センサ。
    (1)前記光センサは、
    チャネルがグラフェンからなる電界効果トランジスタと、
    前記チャネルの表面に形成された光吸収層と
    を備えている。
    (2)前記グラフェンは、半金属(バンドギャップ(Eg)≒0eV)からなる。
    (3)前記光吸収層は、窒素官能基化ナノグラフェンを含み、
    前記窒素官能基化ナノグラフェンは、
    ナノグラフェンと、
    前記ナノグラフェンに導入されたπ共役性窒素官能基と
    を備えている。
    (4)前記窒素官能基化ナノグラフェンは、半導体(Eg>0eV)からなり、かつ、前記グラフェンとのLUMO準位差又はHOMO準位差が2eV以下である。
  2. 前記窒素官能基化ナノグラフェンの平均質量が1000m/z以上50000m/z以下である請求項1に記載の光センサ。
  3. 前記窒素官能基化ナノグラフェンの光励起キャリア寿命が0.1s以上である請求項1又は2に記載の光センサ。
  4. 波長:200〜800nmの光を照射した時の、キャリアの寿命(τlifetime)と遷移時間(τtransit)の比(=τlifetime/τtransit)から求めたフォトコンダクティブゲインが109以上である請求項1か3までのいずれか1項に記載の光センサ。
  5. 波長:200〜800nm、出力:1〜10μWの光を照射した時の感度が1A/W以上である請求項1から4までのいずれか1項に記載の光センサ。
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