JP2016207812A - 光電変換素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】ハライド系有機−無機ハイブリッド型ペロブスカイトを光吸収層に用いた光電変換素子において、電子抽出速度を向上させること。
【解決手段】光電変換素子10は、下部電極14と、下部電極14の表面に形成された、金属酸化物半導体からなる電子輸送層16と、電子輸送層16の表面に形成された、ハライド系有機−無機ハイブリッド型ペロブスカイトからなる光吸収層18と、電子輸送層16と光吸収層18との界面に挿入された窒素官能基化ナノグラフェン20と、光吸収層18の表面に形成されたホール輸送層22と、ホール輸送層22の表面に形成された対向電極24とを備えている。窒素官能基化ナノグラフェン20は、ナノグラフェンにπ共役性窒素官能基が導入されたものからなる。窒素官能基化ナノグラフェン20の平均質量は、1000m/z以上50000m/z以下である。
【選択図】図3

Description

本発明は、光電変換素子に関し、さらに詳しくは、ハライド系有機−無機ハイブリッド型ペロブスカイトを光吸収層に用いた光電変換素子に関する。
最近、ハライド系有機−無機ハイブリッド型ペロブスカイト(例えば、一般式:CH3NH3MX3で表される化合物。式中、Mは、2価の金属イオン。Xは、F、Cl、Br、又はI。)を光吸収層に用いたペロブスカイト太陽電池が高い変換効率を示すため、次世代の太陽電池として注目されている(特許文献1)。ペロブスカイト太陽電池は、2009年に3.8%の変換効率を示すことが報告されて以来、改良が重ねられ、現在では19.3%の変換効率も報告されている。ハライド系有機−無機ハイブリッド型ペロブスカイトの広波長域に渡る吸収や高い開放電圧などは、20%を超える変換効率の実現の可能性があることを示唆している。
ペロブスカイト太陽電池の変換効率をさらに向上させる一因として、太陽光により励起した荷電キャリアの抽出速度を向上させることが考えられる。しかしながら、ペロブスカイト太陽電池において、電子とホールの抽出速度は、それぞれ、400ps及び600psであり、ホットキャリアクーリング時間(0.4s)も大幅に遅いことが課題である。
特開2014−072327号公報
本発明が解決しようとする課題は、ハライド系有機−無機ハイブリッド型ペロブスカイトを光吸収層に用いた光電変換素子において、電子抽出速度を向上させることにある。
上記課題を解決するために本発明に係る光電変換素子は、以下の構成を備えている。
(1)前記光電変換素子は、
下部電極と、
前記下部電極の表面に形成された、金属酸化物半導体からなる電子輸送層と、
前記電子輸送層の表面に形成された、ハライド系有機−無機ハイブリッド型ペロブスカイトからなる光吸収層と、
前記電子輸送層と前記光吸収層との界面に挿入された窒素官能基化ナノグラフェンと、
前記光吸収層の表面に形成されたホール輸送層と、
前記ホール輸送層の表面に形成された対向電極と
を備えている。
(2)前記窒素官能基化ナノグラフェンは、ナノグラフェンにπ共役性窒素官能基が導入されたものからなる。
(3)前記窒素官能基化ナノグラフェンの平均質量は、1000m/z以上50000m/z以下である。
ハライド系有機−無機ハイブリッド型ペロブスカイトを光吸収層に用いた光電変換素子において、電子輸送層と光吸収層との界面に窒素官能基化ナノグラフェンを挿入すると、電子抽出速度が向上する。これは、光吸収層において励起された電子が窒素官能基化ナノグラフェンを介して電子輸送層に移動するためと考えられる。
本発明に係る光電変換素子の断面模式図である。 窒素官能基化ナノグラフェンの模式図、及び、窒素官能基の導入に用いた試薬と導入された窒素官能基との関係を示す図である。 760nmでの過渡吸収の減衰スペクトル、及び電子抽出速度の比較を示す図である。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 光電変換素子]
図1に、本発明に係る光電変換素子の断面模式図を示す。図1において、光電変換素子10は、以下の構成を備えている。
(1)光電素子10は、
下部電極14と、
下部電極14の表面に形成された、金属酸化物半導体からなる電子輸送層16と、
電子輸送層16の表面に形成された、ハライド系有機−無機ハイブリッド型ペロブスカイトからなる光吸収層18と、
電子輸送層16と光吸収層18との界面に挿入された窒素官能基化ナノグラフェン20と、
光吸収層18の表面に形成されたホール輸送層22と、
ホール輸送層22の表面に形成された対向電極24と
を備えている。
(2)窒素官能基化ナノグラフェン20は、ナノグラフェンにπ共役性窒素官能基が結合したものからなる。
(3)窒素官能基化ナノグラフェン20の平均質量は、1000m/z以上50000m/z以下である。
[1.1. 下部電極]
下部電極14は、光電変換素子10の一方の電極である。下部電極14は、それ自身で自立可能な厚さを有する膜若しくは板であっても良く、あるいは、基板12上に形成された薄膜であっても良い。また、下部電極14及びこれを支持する基板12は、透光性材料からなるものであっても良く、あるいは、非透光性材料からなるものでも良い。下部電極14、基板12、及び対向電極24がいずれも透光性材料からなる場合、入射光は、下部電極14側又は対向電極24側のいずれの方向からも入射させることができる。一方、下部電極14又は基板12が非透光性材料からなる場合、入射光は、対向電極24側から入射させる。
下部電極14としては、例えば、
(a)スズ添加酸化インジウム(ITO)、フッ素添加酸化スズ(FTO)、酸化スズ(SnO2)、酸化インジウム(In23)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化亜鉛(ZnO)などの導電性金属酸化物の自立膜、
(b)ポリアセチレン系、ポリピロール系、ポリチオフェン系、ポリフェニレンビニレン系などの導電性高分子の自立膜、
(c)基板12上に形成された導電性金属酸化物や導電性高分子の薄膜、
などがある。
また、基板12としては、例えば、
(a)硝子板、
(b)ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミドなどの合成樹脂板又は合成樹脂フィルム、
などがある。
下部電極14の表面抵抗は、低いほど良い。高い変換効率を得るためには、下部電極14の表面抵抗は、20Ω/□以下が好ましい。表面抵抗は、さらに好ましくは、5Ω/□以下である。
下部電極14の厚さは、特に限定されるものではなく、下部電極14の材料や下部電極14に求められる特性などに応じて、最適な厚さを選択する。
[1.2. 電子輸送層]
電子輸送層16は、光吸収層18で励起された電子を下部電極14側に輸送するためのものであり、下部電極14の表面に形成される。本発明において、電子輸送層16には、金属酸化物半導体が用いられる。金属酸化物半導体は、電子を輸送する機能を備えているものであれば良い。
また、金属酸化物半導体は、LUMOエネルギー準位が所定の値を持つものが好ましい。LUMOエネルギー準位については、後述する。
金属酸化物半導体としては、例えば、酸化チタン(TiO2)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、酸化ニオブ(Nb25)、酸化タングステン(WO3)などがある。電子輸送層16は、これらのいずれか1種の金属酸化物半導体からなるものでも良く、あるいは、2種以上の金属酸化物半導体を含む複合体からなるものでも良い。
電子輸送層16は、緻密質であっても良く、あるいは多孔質であっても良い。電子輸送層16として多孔質の金属酸化物半導体を用いた場合、電子輸送層16と光吸収層18との界面の面積が増大する。界面面積の増大は、電子抽出速度の増大に寄与する。
高い電子抽出速度を得るためには、電子輸送層16の比表面積は、20m2/g以上が好ましい。比表面積は、さらに好ましくは、40m2/g以上である。
電子輸送層16の厚さは、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な厚さを選択することができる。一般に、電子輸送層16の厚さが薄くなりすぎると、リーク電流が生じる。従って、電子輸送層16の厚さは、10nm以上が好ましい。電子輸送層16の厚さは、さらに好ましくは、20nm以上である。
一方、電子輸送層16の厚さが厚くなりすぎると、光吸収層18からの電子の収集が抑制される。従って、電子輸送層16の厚さは、2μm以下が好ましい。電子輸送層16の厚さは、さらに好ましくは、1μm以下である。
[1.3. 光吸収層]
本発明において、光吸収層18は、ハライド系有機−無機ハイブリッド型ペロブスカイトからなる。光吸収層18は、電子輸送層16の表面に形成される。
「ハライド系有機−無機ハイブリッド型ペロブスカイト(以下、単に「ハイブリッド型ペロブスカイト」ともいう)」とは、金属元素MとハロゲンXからなる金属ハロゲン化物八面体MX6が頂点共有した八面体ネットワークと、MX6八面体ネットワーク間の12配位の孔に位置した有機骨格Aとを備えた化合物をいう。
ハイブリッド型ペロブスカイトとしては、
(a)一般式:ABX3(A:有機骨格、B:金属元素、X:ハロゲン)で表される単純ペロブスカイト、
(b)一般式:A2BX4で表される層状ペロブスカイト
などがある。
ハイブリッド型ペロブスカイトの無機骨格は、頂点を共有する金属ハロゲン化物八面体からなる。陽イオン性の有機骨格からの正の電荷と平衡をとるため、金属ハロゲン化物八面体は、陰イオン性となる。そのため、金属イオンMは、2価である。
ハイブリッド型ペロブスカイトを構成する金属イオンMとしては、具体的には、Pb2+、Mn2+、Cu2+、Ni2+、Fe2+、Co2+、Pd2+、Ge2+などがある。
ハイブリッド型ペロブスカイトを構成するハロゲン化物は、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、又はこれらの組み合わせである。
ハイブリッド型ペロブスカイトとしては、具体的には、
(a)CH3NH3PbI3、CH3NH3PbBr3などの一般式:CH3NH3MX3で表される単純ペロブスカイト(但し、Mは、2価の金属イオン。Xは、F、Cl、Br、又はI。以下同じ。)、
(b)(CH3(CH2)nCHCH3NH3)2PbI4(n=5〜8)などの一般式:(CH3(CH2)nCHCH3NH3)2MX4(n=5〜8)で表される層状ペロブスカイト、
(c)(C6524NH3)2PbBr4などの一般式:(C6524NH3)2MX4で表される層状ペロブスカイト、
などがある。
光吸収層18は、これらのいずれか1種のハイブリッド型ペロブスカイトからなるものでも良く、あるいは、2種以上のハイブリッド型ペロブスカイトからなるものでも良い。
光吸収層18の厚さは、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な厚さを選択することができる。
[1.4. 窒素官能基化ナノグラフェン]
本発明において、電子輸送層16と光吸収層18との界面には、窒素官能基化ナノグラフェン20が挿入されている。この点が、従来とは異なる。
[1.4.1. 定義]
「窒素官能基化ナノグラフェン」とは、ナノグラフェンにπ共役性窒素官能基が導入されているものをいう。
「ナノグラフェン」とは、炭素の環構造及びsp2結合性の芳香環で構成された2次元のシート状構造を有するものをいる。ナノグラフェンは、単層のシートからなる場合と、多層のシートからなる場合とがある。
「π共役性窒素官能基」とは、非共有電子対を有する窒素原子を構成元素として含む官能基をいう。
π共役性窒素官能基としては、例えば、アミン基、ジメチルアミン基、アゾ基、ナフタレンジアミン基、フェニレンジアミン基、ニトロフェニル基、メチルレッド基、ジアミノナフタレン基などがある。窒素官能基化ナノグラフェンは、これらのいずれか1種のπ共役性窒素官能基を含むものでも良く、あるいは、2種以上を含むものでも良い。
「π共役性窒素官能基が導入されている」とは、
(a)ナノグラフェンを構成する炭素の一部がπ共役性窒素官能基で置換されていること、
(b)ナノグラフェンのエッジ及び/又は基底面にπ共役性窒素官能基が結合していること、又は、
(b)ナノグラフェンの表面又はシート間に、π共役性窒素官能基を持つ化合物が吸着していること
をいう。
ナノグラフェンに導入されたπ共役性窒素官能基は、置換、結合又は吸着のいずれか1種の形態で存在していても良く、あるいは、2種以上の形態で存在していても良い。
π共役性窒素官能基を持つ化合物の詳細については、後述する。
[1.4.2. 平均質量]
窒素官能基化ナノグラフェン20の質量数(サイズ)は、太陽光の透過率に影響を与える。窒素官能基化ナノグラフェン20が大きくなりすぎると、可視領域での透過率が低下する。従って、窒素官能基化ナノグラフェン20の平均質量は、50000m/z以下が好ましい。平均質量は、さらに好ましくは、10000m/z以下、さらに好ましくは、5000m/z以下である。
一方、窒素官能基化ナノグラフェン20の平均質量が小さくなりすぎると、LUMOエネルギー準位が大きくなり、電子抽出層として機能しない。従って、窒素官能基化ナノグラフェン20の平均質量は、1000m/z以上が好ましい。平均質量は、さらに好ましくは、1100m/z以上、さらに好ましくは、1200m/z以上である。
[1.4.3. LUMOエネルギー準位]
窒素官能基化ナノグラフェン20のLUMOエネルギー準位は、電子抽出速度に影響を与える。窒素官能基化ナノグラフェン20を含まない光電変換素子の場合、励起された電子は、光吸収層18から直接、電子輸送層16に移動する。
一方、光吸収層18と電子輸送層16の界面に窒素官能基化ナノグラフェン20を介在させた場合において、窒素官能基化ナノグラフェン20のLUMOエネルギー準位を最適化すると、励起された電子は、光吸収層18から窒素官能基化ナノグラフェン20を介して電子輸送層16に移動する。その結果、電子が易移動化し、電子抽出速度が高速化する。
電子抽出速度を高速化するためには、窒素官能基化ナノグラフェン20のLUMOエネルギー準位は、光吸収層18のLUMOエネルギー準位と電子輸送層16のLUMOエネルギー準位の中間にあるのが好ましい。
窒素官能基化ナノグラフェン20のLUMOエネルギー準位は、主として、ナノグラフェンに導入されるπ共役性窒素官能基の種類に依存する。そのため、光吸収層18及び電子輸送層16の材料に応じて、最適なπ共役性窒素官能基を選択すれば、窒素官能基化ナノグラフェン20のLUMOエネルギー準位を最適化することができる。
[1.4.4. 挿入量]
窒素官能基化ナノグラフェン20の挿入量は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な量を選択することができる。
なお、窒素官能基化ナノグラフェン20は、少なくとも電子輸送層16と光吸収層18との界面に挿入されていれば良い。電子輸送層16が多孔質層からなる場合において、電子輸送層16の表面に窒素官能基化ナノグラフェン20の分散液を塗布すると、窒素官能基化ナノグラフェン20が電子輸送層16と光吸収層18の界面に挿入されるだけでなく、窒素官能基化ナノグラフェン20が下部電極14の近傍まで侵入することがある。図1は、このような状態を模式的に表している。
[1.5. ホール輸送層]
ホール輸送層22は、光吸収層18で励起されたホールを対向電極24側に輸送するためのものであり、光吸収層18の表面に形成される。本発明において、ホール輸送層22の材料は、特に限定されるものではなく、目的に応じて種々の材料を用いることができる。
ホール輸送層22の材料としては、例えば、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)、ポリ[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシオキシ)−1,4−フェニレンビニレン](MEH−PPV)、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−co−N−(4−(3−メチルピロピル)−ジフェニルアミン))(TFB)、2,2’−7,7’−tetrakis(N,N’−ジ(4−メトキシフェニル)アミン)−9,9’−スピロビフルオレン(Spiro−OMeTAD)、フラーレン、カーボンナノチューブなどがある。
ホール輸送層22の厚さは、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な厚さを選択することができる。
[1.6. 対向電極]
対向電極24は、光電変換素子10の他方の電極であり、ホール輸送層22の表面に形成される。本発明において、対向電極24の材料は、特に限定されるものではなく、目的に応じて種々の材料を用いることができる。
対向電極24の材料としては、例えば、
(a)アルミニウム、金、銀、白金、パラジウムなどの金属、
(b)スズ添加酸化インジウム(ITO)、フッ素添加酸化スズ(FTO)、酸化スズ(SnO2)、酸化インジウム(In23)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化亜鉛(ZnO)などの導電性金属酸化物、
(c)アセチレン系、ポリピロール系、ポリチオフェン系、ポリフェニレンビニレン系などの導電性高分子、
などがある。
対向電極24の厚さや形状は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適なものを選択することができる。
[1.7. 電子抽出速度]
上述したように、光吸収層18と電子輸送層16の間に窒素官能基化ナノグラフェン20を介在させると、電子抽出速度が変化する。また、光吸収層18及び電子輸送層16の材料に応じて窒素官能基化ナノグラフェン20の材料を最適化すると、電子抽出速度が高速化する。
具体的には、材料の組み合わせを最適化することによって、次の(a)式で表される相対電子抽出速度(R)が10%以上60%以下となる。
R=r1×100/r2 ・・・(a)
但し、
1は、760nmでの過渡吸収の減衰時間測定により算出した、前記窒素官能基化ナノグラフェンを含む前記光電変換素子の電子抽出速度(ps)、
2は、前記窒素官能基化ナノグラフェンを含まない以外は前記r1と同一条件下で測定及び算出された電子抽出速度(ps)。
[2. 窒素官能基化ナノグラフェンの製造方法(1)]
窒素官能基化ナノグラフェンを製造するための第1の方法は、
π共役性窒素官能基を持つ化合物を溶解させた水溶液に酸化グラファイト又はグラフェン酸化物を分散させる分散工程と、
前記水溶液を60℃以上で加熱する加熱工程と
を備えている。
[2.1. 分散工程]
まず、π共役性窒素官能基を持つ化合物を溶解させた水溶液に酸化グラファイト又はグラフェン酸化物を分散させる(分散工程)。
[2.1.1. π共役性窒素官能基を持つ化合物]
「π共役性窒素官能基を持つ化合物(以下、「窒素含有化合物」ともいう)」とは、非共有電子対を有する窒素原子を構成元素として含む官能基を持つ化合物であって、水に溶解又は分散可能なものをいう。出発原料には、いずれか1種の窒素含有化合物を用いても良く、あるいは、2種以上を用いても良い。
窒素含有化合物は、水に溶解又は分散させた水溶液の状態で使用される。水溶液に含まれる窒素含有化合物の濃度は、特に限定されるものではなく、出発原料の種類や要求される特性などに応じて最適な濃度を選択すればよい。窒素含有化合物の濃度は、通常、0.1〜10mol/Lである。
窒素含有化合物としては、例えば、2,3−ジアミノナフタレン(DAN)、o−フェニレンジアミン(o−PD)、アニリン、アンモニア、ジメチルホルムアミド、ジフェニルリン酸アジド、パラメチルレッドなどがある。
[2.1.2. 酸化グラファイト及びグラフェン酸化物]
「酸化グラファイト」とは、グラファイトを構成するグラフェン層のエッジ及び/又は基底面上に酸素含有官能基(例えば、−COOH基、−OH基、−C−O−C−基など)が結合しているものをいう。酸化グラファイトは、例えば、強酸(濃硫酸)中で酸化剤(過マンガン酸カリウム、硝酸カリウムなど)を用いてグラファイトを酸化させることにより得られる。
「グラフェン酸化物」とは、酸化グラファイトの層間を剥離させることにより得られるシート状物質をいう。グラフェン酸化物は、例えば、酸化グラファイトを水溶液中に分散させ、超音波を照射することにより得られる。
本発明において、出発原料には、層間剥離を行う前の酸化グラファイト又は層間剥離させたグラフェン酸化物のいずれか一方を用いても良く、あるいは、双方を用いても良い。
酸化グラファイト及び/又はグラフェン酸化物は、窒素含有化合物を含む水溶液に添加される。水溶液に含まれる酸化グラファイト及び/又はグラフェン酸化物の量は、特に限定されるものではなく、出発原料の種類や要求される特性などに応じて最適な量を選択すればよい。酸化グラファイト及び/又はグラフェン酸化物の量は、通常、0.1〜50g/Lである。
[2.2. 加熱工程]
次に、窒素含有化合物を分散させた水溶液に酸化グラファイト及び/又はグラフェン酸化物を分散させた後、水溶液を加熱する(加熱工程)。
加熱は、反応速度を速くするために行う。加熱温度が水溶液の沸点を超える場合、加熱は、密閉容器内で行う。
加熱温度が低すぎると、現実的な時間内に反応が十分進行しない。従って、加熱温度は、60℃以上である必要がある。加熱温度は、さらに好ましくは、70℃以上、さらに好ましくは、80℃以上である。
一方、加熱温度が高くなりすぎると、置換や結合した窒素が脱離するおそれがある。また、高価な耐圧容器が必要となり、製造コストが増大する。従って、加熱温度は、200℃以下が好ましい。加熱温度は、さらに好ましくは、180℃以下、さらに好ましくは、160℃以下である。
加熱時間は、加熱温度に応じて最適な時間を選択する。一般に、加熱温度が高くなるほど、短時間で反応を進行させることができる。加熱時間は、通常、1〜20時間である。
加熱条件を最適化すると、窒素官能基化ナノグラフェンの窒素含有量、平均厚さ、及び平均サイズを制御できる。一般に、加熱温度が高くなるほど、及び/又は、加熱時間が長くなるほど、窒素含有量が減少し、平均厚さが薄くなり、あるいは、平均サイズが小さくなる。
得られた窒素官能基化ナノグラフェンは、そのまま光電変換素子の製造に用いても良く、あるいは、必要に応じて、洗浄、ろ過及び/又は透析を行っても良い。
[3. 窒素官能基化ナノグラフェンの製造方法(2)]
窒素官能基化ナノグラフェンを製造するための第2の方法は、
ナノグラフェンを製造するナノグラフェン製造工程と、
π共役性窒素官能基を持つ化合物を溶解させた水溶液にナノグラフェンを分散させる分散工程と、
前記水溶液を60℃以上で加熱する加熱工程と
を備えている。
[3.1. ナノグラフェン製造工程]
ナノグラフェンは、酸化グラファイト又はグラフェン酸化物をアルカリ性水溶液中に分散させ、密閉容器中で60℃以上に加熱することで合成することができる。あるいは、ナノグラファイト粒子を、例えば、強酸(濃硫酸)中で酸化剤(過マンガン酸カリウム、硝酸カリウムなど)を用いて酸化させることにより合成することができる。
[3.2. 分散工程、加熱工程]
次に、π共役性窒素官能基を持つ化合物を溶解させた水溶液にナノグラフェンを分散(分散工程)させ、前記水溶液を60℃以上で加熱する(加熱工程)。これにより、π共役性窒素官能基がナノグラフェンに導入される。
分散工程、及び加熱工程のその他の点については、第1の方法と同様であるので、説明を省略する。
[4. 光電変換素子の製造方法]
本発明に係る光電変換素子は、
(1)下部電極14の表面に電子輸送層16を形成し(電子輸送層形成工程)、
(2)電子輸送層16の表面に窒素官能基化ナノグラフェン20を吸着させ(窒素官能基化ナノグラフェン形成工程)、
(3)窒素官能基化ナノグラフェン20を吸着させた電子輸送層16の表面に、ハライド系有機−無機ハイブリッド型ペロブスカイトからなる光吸収層18を形成し(光吸収層形成工程)、
(4)光吸収層18の表面にホール輸送層22を形成し(ホール輸送層形成工程)、
(5)ホール輸送層22の表面に対向電極24を形成する(対向電極形成工程)
ことにより製造することができる。
[4.1. 電子輸送層形成工程]
まず、下部電極14の表面に電子輸送層16を形成する(電子輸送層形成工程)。電子輸送層16の形成方法は、特に限定されるものではなく、目的に応じて種々の方法を用いることができる。
例えば、多孔質の電子輸送層16は、金属酸化物半導体のナノ粒子又はコロイドを下部電極14の表面に塗布し、加熱することにより製造することができる。電子輸送層16の厚さは、ナノ粒子又はコロイドの塗布量により制御することができる。また、電子輸送層16の比表面積は、ナノ粒子又はコロイドの粒径や加熱温度により制御することができる。
緻密質の電子輸送層16は、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法、PVD法などにより製造することができる。
[4.2. 窒素官能基化ナノグラフェン形成工程]
次に、電子輸送層16の表面に窒素官能基化ナノグラフェン20を吸着させる(窒素官能基化ナノグラフェン形成工程)。
具体的には、窒素官能基化ナノグラフェン20を分散媒に分散させた分散液を電子輸送層16の表面に塗布し、溶媒を揮発させる。電子輸送層16が多孔質層である場合、分散液の一部は、電子輸送層16の表面だけでなく、開気孔内にも侵入する場合がある(図1参照)。分散媒の種類、分散液の濃度、乾燥条件等は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適なものを選択することができる。
[4.3. 光吸収層形成工程]
次に、窒素官能基化ナノグラフェン20を吸着させた電子輸送層16の表面に、ハライド系有機−無機ハイブリッド型ペロブスカイトからなる光吸収層18を形成する(光吸収層形成工程)。
具体的には、ハイブリッド型ペロブスカイトを溶媒に溶解させた溶液を電子輸送層16の表面に塗布し、溶媒を揮発させる。電子輸送層16が多孔質層である場合、溶液の一部は、電子輸送層16の開気孔内にも侵入する場合がある。溶媒の種類、溶液の濃度、乾燥条件等は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適なものを選択することができる。
[4.4. ホール輸送層形成工程]
次に、光吸収層18の表面にホール輸送層22を形成する(ホール輸送層形成工程)。
ホール輸送層は、溶液塗布法などにより作製することができる。具体的には、ホール輸送層22を構成する材料を溶媒に溶解させた溶液又は分散媒に分散させた分散液を光吸収層18の表面に塗布し、溶媒又は分散媒を揮発させる。溶媒又は分散媒の種類、溶液又は分散液の濃度、乾燥条件等は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適なものを選択することができる。
[4.5. 対向電極形成工程]
次に、ホール輸送層22の表面に対向電極24を形成する(対向電極形成工程)。対向電極24の形成方法は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な方法を選択することができる。対向電極24の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、溶液塗布法などがある。
[5. 作用]
ハライド系有機−無機ハイブリッド型ペロブスカイトを光吸収層に用いた光電変換素子において、光吸収層において励起された電子は、通常、光吸収層から電子輸送層に移動する。
このような光電変換素子において、電子輸送層と光吸収層との界面に窒素官能基化ナノグラフェンを挿入すると、電子抽出速度が変化する。特に、窒素官能基化ナノグラフェンのLUMOエネルギー準位が、光吸収層のLUMOエネルギー準位と電子輸送層のLUMOエネルギー準位の中間にある場合、電子抽出速度が高速化する。
これは、励起された電子が光吸収層から窒素官能基化ナノグラフェンを介して電子輸送層に移動するため、及び、これによって電子が易移動化するためと考えられる。
(実施例1〜5、比較例1)
[1. 試料の作製]
[1.1. 比較例1]
[1.1.1. TiO2層の形成]
透明導電性基板として、ガラス基板上にスズ添加酸化インジウム(ITO)膜が形成された基板を用いた。TiO2層(電子輸送層)の形成には、0.75gの無水エタノール中に0.3gのチタンペースト(DYESOL社製、18NR−T)を溶解した溶液を用いた。
透明導電性基板の表面をUV/オゾンにより洗浄した後、TiO2溶液を、スピンコーターを用いて2,000rpmで30秒の条件で基板上に塗布した。この基板を、空気中、550℃で30分間加熱処理することで、多孔性を有したTiO2層を形成した。
[1.1.2. CH3NH3PbI3の合成]
エタノール中に33wt%のメチルアミン(CH3NH2)を溶解させたメチルアミン溶液、及び、水に57wt%のヨウ化水素(HI)を溶解させたヨウ化水素溶液を調製した。38mL(0.3mol)のメチルアミン溶液に、40mL(0.3mol)のヨウ化水素溶液を窒素バブリングを行いながら滴下し、氷浴下で2時間攪拌した。この溶液をロータリーエバポレーターを用いて乾固させ、再精製することでヨウ化メチルアミン(CH3NH3I)を合成した。
次に、合成したヨウ化メチルアミンとヨウ化鉛(PbI2)とをモル比1:1の割合で、ジメチルスルホキシド((CH3)2SO)に30wt%濃度になるように溶解し、CH3NH3PbI3のジメチルスルホキシド溶液を調製した。
[1.1.3. 光電変換素子の作製]
透明導電性基板上の多孔性TiO2層の表面に、ハライド系有機−無機ハイブリッド型ペロブスカイト(CH3NH3PbI3)のジメチルスルホキシド溶液を、3,000回転で300秒間展開して被覆した。次いで、100℃で45分間乾燥させることで、ハイブリッド型ペロブスカイト化合物(CH3NH3PbI3)の茶褐色結晶を多孔性TiO2層の表面に形成した。
次に、この表面にホール輸送層としてSpiro薄膜を形成した。最後に、これらの積層膜の最上層に、銀の薄膜を対向電極として成膜することで、光電変換素子を作製した。
[1.2. 実施例1]
[1.2.1. TiO2層の形成]
比較例1と同様にして、透明導電性基板上に多孔性TiO2層を形成した。
[1.2.2. CH3NH3PbI3の合成]
比較例1と同様にして、CH3NH3PbI3を合成した。
[1.2.3. ジアミノナフタレン基修飾ナノグラフェンの合成]
ジアミノナフタレン基を有するナノグラフェンの合成は、2,3−ジアミノナフタレン(DAN)を添加した水溶液中にナノグラフェンを分散させ、オートクレーブ中で加熱処理することにより行った。
10mgのナノグラフェンを5mLのイオン交換水に分散させた。得られた分散液に、20mgの2,3−ジアミノナフタレンをさらに加えて分散させた。得られた分散液を密閉容器中、180℃×12時間で加熱した。加熱後、充分に洗浄を行い、ジアミノナフタレン基修飾ナノグラフェンを分離した(図2参照)。
[1.2.4. 光電変換素子の作製]
透明導電性基板上の多孔性TiO2層の表面に、スピンコーターを用いて、ジアミノナフタレン基修飾ナノグラフェン溶液を2,000回転で30秒間展開した。次いで、70℃で30分間乾燥し、ナノグラフェン層をTiO2の表面に形成した。
さらに、ナノグラフェン層の上に、ハライド系有機−無機ハイブリッド型ペロブスカイト(CH3NH3PbI3)のジメチルスルホキシド溶液を、3,000回転で300秒間展開して被覆した。次いで、100℃で45分間乾燥させることで、ハイブリッド型ペロブスカイト化合物(CH3NH3PbI3)の茶褐色結晶をナノグラフェン層の表面に形成した。
次に、この表面にホール輸送層としてSpiro薄膜を形成した。最後に、これらの積層膜の最上層に、銀の薄膜を対向電極として成膜することで、光電変換素子を作製した。
[1.3. 実施例2]
[1.3.1. TiO2層の形成]
比較例1と同様にして、透明導電性基板上に多孔性TiO2層を形成した。
[1.3.2. CH3NH3PbI3の合成]
比較例1と同様にして、CH3NH3PbI3を合成した。
[1.3.3. フェニレンジアミン基修飾ナノグラフェンの合成]
フェニレンジアミン基を有するナノグラフェンの合成は、o−フェニレンジアミン(oPD)を添加した水溶液中にナノグラフェンを分散させ、オートクレーブ中で加熱処理することにより行った。
10mgのナノグラフェンを5mLのイオン交換水に分散させた。得られた分散液に、20mgのo−フェニレンジアミンをさらに加えて分散させた。得られた分散液を密閉容器中、180℃×12時間で加熱した。加熱後、充分に洗浄を行い、フェニレンジアミン基修飾ナノグラフェンを分離した(図2参照)。
[1.3.4. 光電変換素子の作製]
透明導電性基板上の多孔性TiO2層の表面に、スピンコーターを用いて、フェニレンジアミン基修飾ナノグラフェン溶液を2,000回転で30秒間展開した。次いで、70℃で30分間乾燥し、ナノグラフェン層をTiO2の表面に形成した。
以下、実施例1と同様にして、光電変換素子を作製した。
[1.4. 実施例3]
[1.4.1. TiO2層の形成]
比較例1と同様にして、透明導電性基板上に多孔性TiO2層を形成した。
[1.4.2. CH3NH3PbI3の合成]
比較例1と同様にして、CH3NH3PbI3を合成した。
[1.4.3. アゾ基修飾ナノグラフェンの合成]
氷浴下(5℃以下)で濃塩酸(3.4mL)とイオン交換水(4mL)の混合液にアニリン(37.2mg)を加えた後、ゆっくりと亜硝酸ナトリウム(28mg)とイオン交換水(0.24mL)の混合液を加えた。ヨウ化カリウムでんぷん紙が青色を呈したのを確認し、反応溶液を、ナノグラフェン(2.4mg)、イオン交換水(0.4mg)、水酸化ナトリウム(12mg)の混合液にゆっくりと加えると、黒赤色沈殿を生じた。
さらに、反応溶液を水酸化ナトリウム(120mg)とイオン交換水(1.2mL)の混合液で微アルカリ性にして1時間攪拌した。反応溶液を遠心分離(13400rpm、30min)し、沈殿物を回収し、イオン交換水で再分散させた。3日間の透析(1000Da)を行い、精製した。精製後の水分散液を凍結乾燥し、目的物であるアゾ基修飾ナノグラフェンを得た(図2)。
[1.4.4. 光電変換素子の作製]
透明導電性基板上の多孔性TiO2層の表面に、スピンコーターを用いて、アゾ基修飾ナノグラフェン溶液を2,000回転で30秒間展開した。次いで、70℃で30分間乾燥し、ナノグラフェン層をTiO2の表面に形成した。
以下、実施例1と同様にして、光電変換素子を作製した。
[1.5. 実施例4]
[1.5.1. TiO2層の形成]
比較例1と同様にして、透明導電性基板上に多孔性TiO2層を形成した。
[1.5.2. CH3NH3PbI3の合成]
比較例1と同様にして、CH3NH3PbI3を合成した。
[1.5.3. アミン基修飾ナノグラフェンの合成]
イオン交換水(3.1mL)にナノグラフェン(5mg)を分散させ、28%アンモニア水(1.9mL)を加えて超音波処理を30分間施した。分散液をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製のオートクレーブ容器に入れて加熱処理(100℃、5h)した。
反応後の分散液を0.2μmのPTFEフィルターで濾過し、濾液を透析チューブ(1000Da)に入れ、3日間透析した。精製後の水分散液を凍結乾燥し、目的物であるアミン基修飾ナノグラフェンを得た(図2)。
[1.5.4. 光電変換素子の作製]
透明導電性基板上の多孔性TiO2層の表面に、スピンコーターを用いて、アミン基修飾ナノグラフェン溶液を2,000回転で30秒間展開した。次いで、70℃で30分間乾燥し、ナノグラフェン層をTiO2の表面に形成した。
以下、実施例1と同様にして、光電変換素子を作製した。
[1.6. 実施例5]
[1.6.1. TiO2層の形成]
比較例1と同様にして、透明導電性基板上に多孔性TiO2層を形成した。
[1.6.2. CH3NH3PbI3の合成]
比較例1と同様にして、CH3NH3PbI3を合成した。
[1.5.3. ジメチルアミン基修飾ナノグラフェンの合成]
ジメチルホルムアミド(5mL)にナノグラフェン(5mg)を分散させ、超音波処理(30min)した後、分散液を還流処理(24h)した。反応後のジメチルホルムアミド分散液を溶媒留去し、イオン交換水で再分散させた。
水分散液を0.2μmのPTFEフィルターで濾過し、濾液を透析チューブ(1000Da)に入れ、3日間透析した。精製後の水分散液を凍結乾燥し、目的物であるジメチルアミン基修飾ナノグラフェンを得た(図2)。
[1.6.4. 光電変換素子の作製]
透明導電性基板上の多孔性TiO2層の表面に、スピンコーターを用いて、ジメチルアミン基修飾ナノグラフェン溶液を2,000回転で30秒間展開した。次いで、70℃で30分間乾燥し、ナノグラフェン層をTiO2の表面に形成した。
以下、実施例1と同様にして、光電変換素子を作製した。
[2. 試験方法]
[2.1. LUMOエネルギー準位]
LUMOエネルギー準位は、サイクリックボルタンメトリー(CV)法により計測を行った。CV計測は、標準的な3電極系によって行った。ここで、白金線を対向電極に、銀線を参照電極に用いた。作用電極は、グラッシーカーボンディスク上に窒素官能基化ナノグラフェンの分散溶液を滴下乾燥することで作製した。電解液には、0.1Mのヘキサフルオロりん酸テトラブチルアンモニウムを含むアセトニトリル溶液を用いた。計測は、−2Vから2Vの間を作用電極の電位を挿引して電流を計測することにより行った。
[2.3. 電子抽出速度]
フェムト秒過渡吸収時間分解分光測定装置により、760nmでの過渡吸収の時間変化を計測した。過渡吸収の減衰を指数関数で近似することで、電子抽出速度を算出した。
[3. 結果]
[3.1. LUMOエネルギー準位]
図2に、窒素官能基化ナノグラフェンの模式図、及び、窒素官能基の導入に用いた試薬と導入された窒素官能基との関係を示す。
2,3−ジアミノナフタレン基及びo−フェニレンジアミン基は、それぞれ、ナノグラフェンの一つのRに結合している形態(R)と、隣り合う二つのRに結合している形態(R−R)の2種類の結合形態があると考えられる。
アンモニアでナノグラフェンを処理すると、−CONH2基と−NH2基の二つの官能基が導入される。これらの内、−NH2基はπ共役性窒素官能基であるが、−CONH2基はπ共役性窒素官能基ではない。
同様に、N,N−ジメチルフォルムアミドでナノグラフェンを処理すると、−CON(CH3)2基と−N(CH3)2の二つの官能基が導入される。これらの内、−N(CH3)2基はπ共役性窒素官能基であるが、−CON(CH3)2基はπ共役性窒素官能基ではない。
これらの窒素官能基化ナノグラフェンのLUMOエネルギー準位は、それぞれ、−3.75eV(実施例1)、−4.04eV(実施例2)、−3.72eV(実施例3)、−3.98eV(実施例4)、及び、−4.02eV(実施例5)であった。すなわち、ナノグラフェンに導入するπ共役性窒素官能基の種類に応じて、窒素官能基化ナノグラフェンのLUMOエネルギー準位が変化することがわかった。
[3.2. 電子抽出速度]
図3に、760nmでの過渡吸収の減衰スペクトル、及び電子抽出速度の比較を示す。比較例1で得られた光電変換素子の電子抽出速度は、283(ps)であった。一方、実施例1〜5で得られた光電変換素子の電子抽出速度は、それぞれ、146(ps)(実施例1)、44(ps)(実施例2)、163(ps)(実施例3)、94(ps)(実施例4)、又は、88(ps)(実施例5)であり、いずれも比較例1と比べて高速化した。また、窒素官能基化ナノグラフェンのLUMOエネルギー準位が小さくなるほど、電子抽出速度が高速化する傾向が認められた。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る光電変換素子は、太陽光発電装置に用いることができる。
10 光電変換素子
14 下部電極
16 電子輸送層
18 光吸収層
20 窒素官能基化ナノグラフェン
22 ホール輸送層
24 対向電極

Claims (5)

  1. 以下の構成を備えた光電変換素子。
    (1)前記光電変換素子は、
    下部電極と、
    前記下部電極の表面に形成された、金属酸化物半導体からなる電子輸送層と、
    前記電子輸送層の表面に形成された、ハライド系有機−無機ハイブリッド型ペロブスカイトからなる光吸収層と、
    前記電子輸送層と前記光吸収層との界面に挿入された窒素官能基化ナノグラフェンと、
    前記光吸収層の表面に形成されたホール輸送層と、
    前記ホール輸送層の表面に形成された対向電極と
    を備えている。
    (2)前記窒素官能基化ナノグラフェンは、ナノグラフェンにπ共役性窒素官能基が導入されたものからなる。
    (3)前記窒素官能基化ナノグラフェンの平均質量は、1000m/z以上50000m/z以下である。
  2. 前記ハライド系有機−無機ハイブリッド型ペロブスカイトは、
    (a)CH3NH3MX3(但し、Mは、2価の金属イオン。Xは、F、Cl、Br、又はI。以下同じ。)
    (b)(CH3(CH2)nCHCH3NH3)2MX4(n=5〜8)、及び、
    (c)(C6524NH3)2MX4
    からなる群から選ばれるいずれか1以上からなる請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記π共役性窒素官能基は、アミン基、ジメチルアミン基、アゾ基、ナフタレンジアミン基、フェニレンジアミン基、ニトロフェニル基、メチルレッド基、及び、ジアミノナフタレン基からなる群から選ばれるいずれか1以上からなる請求項1又は2に記載の光電変換素子。
  4. 前記窒素官能基化ナノグラフェンのLUMOエネルギー準位は、前記光吸収層のLUMOエネルギー準位と前記電子輸送層のLUMOエネルギー準位の中間にある請求項1から3までのいずれか1項に記載の光電変換素子。
  5. 次の(a)式で表される相対電子抽出速度(R)が10%以上60%以下である請求項1から4までのいずれか1項に記載の光電変換素子。
    R=r1×100/r2 ・・・(a)
    但し、
    1は、760nmでの過渡吸収の減衰時間測定により算出した、前記窒素官能基化ナノグラフェンを含む前記光電変換素子の電子抽出速度(ps)、
    2は、前記窒素官能基化ナノグラフェンを含まない以外は前記r1と同一条件下で測定及び算出された電子抽出速度(ps)。
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