JP2007273970A - n型カーボン半導体膜およびそれを用いた半導体素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】低コストでn型カーボン半導体を作成し、それを用いて高性能、かつ大面積としうる半導体素子および太陽電池を提供する。
【解決手段】主に炭素六員環の集合体からなり、ラマン分光法によるスペクトルにおいて、1300cm-1付近のDバンドと1600cm-1付近のGバンドの積分強度比I(D)/I(G)が0.3〜3.0であり、かつX線光電子分光法による窒素もしくはイオウと炭素との元素比(Nおよび/またはS)/Cが0.01〜0.40であるn型カーボン半導体膜。このようなn型カーボン半導体膜は、窒素および/またはイオウを含む有機化合物を、液相状態もしくは常圧下気相状態で基板上に接触させた後、200℃〜900℃で加熱処理することによって得られる。
【選択図】図1

Description

本発明は、n型カーボン半導体膜並びにそれを用いた半導体素子および太陽電池に関する。
太陽電池や、ダイオード、光ダイオード、電界効果トランジスタ、エレクトロルミネッセンスなどの電子デバイスには、pn接合等の半導体素子が用いられている。半導体素子の材料としては、無機半導体材料が広く用いられている。しかし、無機半導体は、製造時に300℃以上の高温処理や、蒸着、スパッタリング、CVD等の真空下での素子製造プロセスを経るため、大面積の素子を、容易に低コストで製造することが難しい。そこで、近年、無機半導体材料の代わりに、有機半導体材料を用いる試みがなされている。有機半導体は、低温下の容易な製造プロセスでの製造が可能で、大面積化も容易に行えるとの可能性を有する。
半導体は、その電荷の担い手である多数キャリアが、伝導電子であるn型半導体と、正孔であるp型半導体とに大別される。有機p型半導体としては、ペンタセン構造、ポリチオフェン構造、ポルフィリン構造を有するものが知られ、有機n型半導体としては、フラーレン、フラーレン誘導体が知られている。しかしながら、これらはいずれも特殊な構造を有するために原料が限られている上、合成経路も複雑な高価な材料である。また、その製造プロセスの中では、高真空条件を必要とする等、安価に大量に製造することは未だ難しい材料である。
また、特許文献1には、p−キシロキノンを原料とした、p型と推定される炭素質半導体や、ジクロロ−p−キシレンを原料とした、n型と推定される炭素質半導体を常圧下に調製し、太陽電池に利用する方法が報告されている。しかしながら、この報告例では、半導体素子であるpn接合において、少なくともどちらか一方は、無機半導体であるシリコン基板であるため、このpn接合を用いた素子の低コストでの容易な製造は実質的には不可能である。また、半導体の構造に関する情報が不明確であり、極めて限定された原料を用いた限られた条件でのみ生成する材料と推定され、広く一般的に用いることはできないものといえる。
さらに近年、電力需要は世界的規模で急速に増大しつつあり、埋蔵資源、環境負荷等の課題も踏まえて、エネルギー源の転換が種々検討され、太陽光発電もクリーンで恒久的な電力供給手段として最も注目されているものの一つである。しかしながら、現在実用化されているSi系太陽電池では、その原料のエネルギーコストが高く、その製造工程において、スパッタ、蒸着等の製造装置が必要不可欠であり、したがって、これらがそのコスト、生産性、太陽電池の大面積化等の障壁となっている。
一方において、Siと同族元素であるカーボン材料を用いて、有機半導体の一種である。カーボン半導体を調製して、その半導体を用いた太陽電池を作製することが提案されている(非特許文献1)。しかしながら、そこでのカーボンはダイヤモンドに含まれるsp炭素を主体としたアモルファスカーボンであり、その作成に特殊な原料、およびスパッタ等の装置が必要なことはSi系太陽電池の場合と変りがない。
このように、低コストでかつ容易に、カーボン半導体等の有機半導体を製造する方法は実質的には存在しなかった。特に、n型カーボン半導体を、常圧下に、容易に、低コストで製造できる方法はほとんど知られていない。従って、カーボン半導体を利用した太陽電池を低コストで製造できる方法はなかった。
特許第2980546号公報 Solar Energy Mat. & Solar Cells,65,163-170,2001
本発明は、低コストかつ容易にn型カーボン半導体やp型カーボン半導体を調製し、それを用いて高性能、かつ大面積としうる半導体素子および太陽電池を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するために以下の発明を提供する。
(1)主に炭素六員環の集合体からなり、ラマン分光法によるスペクトルにおいて、1300cm-1付近のDバンドと1600cm-1付近のGバンドの積分強度比I(D)/I(G)が0.3〜3.0であり、かつX線光電子分光法による窒素および/またはイオウと炭素との元素比(Nおよび/またはS)/Cが0.01〜0.40であるn型カーボン半導体膜;
(2)粉末X線図形に002回折線が認められる上記(1)に記載のn型カーボン半導体膜;
(3)窒素と硫黄の少なくともどちらか一方を含有する有機化合物を、液相状態もしくは、常圧下気相状態で基板上に接触させた後、加熱処理することによって製造された、上記(1)もしくは(2)に記載のn型カーボン半導体膜;
(4)窒素と硫黄の少なくともどちらか一方を含有する有機化合物が、含窒素炭化水素類である、上記(3)に記載のn型カーボン半導体膜;
(5)実質的にニトリル基を含有しない、上記(4)に記載のn型カーボン半導体膜
(6)加熱処理の温度が、200℃〜900℃である、上記(3)〜(5)のいずれかに記載のn型カーボン半導体膜;
(7)主に炭素六員環の集合体からなり、ラマン分光によるスペクトルにおいて、1300cm-1付近のDバンドと1600cm-1付近のGバンドの積分強度比I(D)/I(G)が、0.3〜3.0である、p型カーボン半導体膜;
(8)炭化水素類を、液相状態もしくは常圧下気相状態で基板上に接触させた後、加熱処理することによって製造された、上記(7)に記載のp型カーボン半導体膜;
(9)加熱処理の温度が、200℃〜900℃である、上記(7)もしくは(8)に記載のp型カーボン半導体膜;
(10)上記(1)〜(6)のいずれかに記載のn型カーボン半導体膜が含まれる半導体素子;
(11)半導体素子が(1)〜(6)のいずれかに記載のn型カーボン半導体膜が含まれるpn接合を含んでいる、上記(10)に記載の半導体素子;
(12)上記(1)〜(6)のいずれかに記載のn型カーボン半導体膜と、上記(7)〜(9)のいずれかに記載のp型カーボン半導体膜が含まれるpn接合を有している上記(10)もしくは(11)に記載の半導体素子;ならびに
(13)上記(10)〜(12)のいずれかに記載の半導体素子を含んでなる太陽電池。
本発明によれば、低コストでかつ容易にn型カーボン半導体やp型カーボン半導体を調製し、それを用いて高性能、かつ大面積としうる半導体素子および太陽電池を提供し得る。
本発明におけるn型カーボン半導体膜は、実質的に炭素六員環の集合体からなり、ラマン分光法によるスペクトルにおいて、1300cm-1付近のDバンド(通常1200〜1400cm-1におけるブロードなバンド)と1600cm-1付近のGバンド(通常1450〜1700cm-1におけるブロードなバンド)の積分強度比I(D)/I(G)が0.3〜3.0、好ましくは0.5〜2.5である。
ラマンスペクトルのDバンドは、炭素六員環におけるAlg breathing modeの振動である。このバンドは、グラファイトでは禁制であり、構造の乱雑さが増すと、この伸縮モードに対する選択性が緩み、ピークが観測されるようになる。このピーク強度は、炭素6員芳香環(6員sp炭素環)の存在に強く影響されることが知られている。
また、ラマンスペクトルのGバンドは、炭素六員環のE2g modeの振動であり、sp原子同士の結合が平面的に行う伸縮運動に由来する。これは、sp状態の炭素原子に特異的に起こる振動に由来する。
Dバンド、Gバンドの和から成るラマンスペクトルをガウシアン、あるいはガウシアンーローレンツイアンで2つにピーク分割し、得られたDバンド、Gバンドの積分強度をそれぞれの積分強度I(D)、I(G)として、これらの積分強度比I(D)/I(G)を算出した。
半導体材料として機能するカーボン材料には、最適なsp混成状態が存在する。本発明者らが鋭意検討した結果、ラマン分光法によるスペクトルにおいて、1300cm-1付近のDバンド(通常1200〜1400cm-1におけるブロードなバンド)と1600cm-1付近のGバンド(通常1450〜1700cm-1におけるブロードなバンド)の積分強度比I(D)/I(G)と、本発明のn型カーボン半導体膜の性能に相関があることを初めて見出した。
一般的に積分強度比I(D)/I(G)が0.3未満であると、半金属となるため半導体として機能しない。ベンゼン環を形成する炭素原子の6員環を平面状に連結した6角形の網目構造は、グラフェンシートと呼ばれ、このシートを何層にも積み重ねた構造がグラファイトの結晶である。グラファイトでは、6角形の網構造の炭素鎖に沿って形成された共役系を介して、非局在化したπ電子が移動できるため、金属と同様の高い電気伝導性が示されるからである。一方、一般的に積分強度比I(D)/I(G)が3.0を超えると、集合した炭素六員環の数が少なく絶縁性を示し、電気伝導性が得られない。積分強度比I(D)/I(G)比が0.3未満もしくは3.0を超える場合は、少なくともいずれか一方のピーク分割が不明瞭となる場合があり、0.3未満であっても絶縁体であり、3.0を超えても半金属(導体)である場合もある。
ラマン分光スペクトルの解析結果、本発明のn型カーボン半導体膜は、好適には1〜5nm程度の大きさのグラフェンシートを有すると推測される。
さらに、本発明におけるn型カーボン半導体膜は、X線光電子分光法による窒素および/またはイオウと炭素との元素比(Nおよび/またはS)/Cが0.01〜0.40、好ましくは0.05〜0.20、である。この元素比(Nおよび/またはS)/Cが0.01未満であるとn型を示さず、一方0.40を超えると電気伝導性が極端に低下する。
本発明におけるn型カーボン半導体膜は、好適には粉末X線図形に002回折線が認められる。この回折線は、ラマン分光スペクトルにおいて存在が示唆されたグラフェンシートが何層にも積み重なった構造の存在を示すものである。本発明のn型カーボン半導体においては、グラフェンシートが積み重なった構造が存在する。
本発明のn型カーボン半導体は主に炭素六員環から成るが、窒素および/またはイオウと炭素との元素比(Nおよび/またはS)/Cが0.01〜0.40、好ましくは0.05〜0.20、に相当する窒素および/または硫黄を含有する。n型カーボン半導体膜が主に炭素六員環から成ることは、ラマン分光スペクトル解析や、X線光電子分光スペクトル測定により、炭素や、窒素もしくは硫黄以外の元素が実質的に検出されないこと等により確認することができる。
このように、本発明のn型カーボン半導体は、ラマン分光スペクトル、X線光電子分光スペクトル、粉末X線、赤外分光スペクトルの各手法により、それぞれ特徴的な構造を示すものである。
本発明におけるn型カーボン半導体膜は、n型半導体膜の前駆体となる窒素および硫黄を含有する有機化合物を、液相状態、もしくは常圧下に気相状態で基板に接触させた後、加熱処理することによって製造することができる。
本発明のn型半導体の前駆体である、窒素および硫黄を含有する有機化合物としては、窒素および硫黄を含有する炭化水素類が好ましい。
窒素を含有する炭化水素類としては特に制限はないが、脂肪族アミン類、芳香族アミン類、ニトリル類、芳香族複素環類、アミド類、イミド類、イミン類、ウレタン類、イソシアニド類、アミノ酸類、ニトロ化合物類、含窒素高分子化合物等、広く挙げることができる。
脂肪族アミンとしては構造は特に限定されないが、好ましく用いられるのは、炭素数1〜60の脂肪族アミンである。具体例としては、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、1,6−ジアミノヘキサン、シクロヘキシルアミン等のアルキルアミン類が挙げられる。アミンの置換基に、アルキル基や、アルキル基以外の官能基や、アルカノールアミン類のように、置換基の中に、酸素、窒素、硫黄等の炭素や水素以外の元素を含有していても構わない。脂肪族アミンは、1級アミンでも2級アミンでも3級アミンでも構わない。
芳香族アミンとしては、構造は特に限定されないが、好ましく用いられるのは、炭素数1〜60の芳香族アミン類である。具体例としては、アニリン、ジフェニルアミン等が挙げられる。アミンの置換基に、アルキル基や、アルキル基以外の他の官能基や、酸素、窒素、硫黄等の炭素や水素以外の元素を有していても構わない。芳香族アミンは、1級アミンでも2級アミンでも3級アミンでも構わない。
ニトリル類の具体例として、アセトニトリル、ベンゾニトリル、ヘキサンニトリル等の炭素数1〜30のニトリル類が好ましく用いられるが、その他に、ポリアクリロニトリルも好ましく用いられる。
イミン類として、ポリエチレンイミンも好ましく用いられる。
芳香族複素環類としては、価数に限定はなく、構造も特に限定されないが、好ましく用いられるのは炭素数4〜30の芳香族複素環である。具体例としては、ピリジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、ピロール、ピペリジン、ピリミジン、イミダゾール、プリン、が挙げられる。これら芳香族環は置換基を有していても良い。置換基としては、特に制限はないが、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基等が挙げられる。
本発明において、窒素を含有する炭化水素類としては、脂肪族アミン類、芳香族アミン類、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンイミン、芳香族複素環類がより好ましく用いられる。
硫黄を含有する炭化水素類としては、特に制限はないが、メタンチオール、エタンチオール等のチオール類;ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド等のスルフィド類;スルホン類;チエピン、チオフェン、チアンスレン等の含硫黄複素環類;テトラヒドロチオフェン等の含硫黄脂肪族環状化合物;ポリチオフェン等の含硫黄高分子化合物;等が挙げられる。
また、同一分子内に、窒素と硫黄の両方を有していても構わない。
これらの前駆体は単独で用いても構わないし、2種類以上の任意の組み合わせ及び比率で用いても構わない。
前駆体を液相状態で基板上に接触させる方法としては、前駆体を実質的にそのまま単独で、もしくは溶液または分散液の状態から、塗布法、キャステイング法、ブレードコート法、ワイヤバー法、スピンコート法、デイップコート法、スプレーコート法等のコーテイング方法;公知の方法を用いることができる。これらの方法は一般的に常圧下で実施される。
前駆体の溶媒としては、特に制限はなく、前駆体を溶解もしくは分散し得るものであれば、一般的な有機溶媒等や水を用いることができる。
有機溶媒の例としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素;トルエン、キシレン、ベンゼン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピレングリコールメチルエーテル等のエステル類;ピリジン、キノリン等の含窒素芳香族炭化水素;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルイミダゾリジノン等のアミド類、ジメチルスルホキシド、二硫化炭素等の含硫黄溶媒等を用いることができる。中でも、ケトン類、アミド類、エステル類、ジメチルスルホキシドが好ましい。
これらの有機溶媒は、いずれか一種を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の組み合わせおよび比率で用いてもよい。前駆体を溶解もしくは分散させる方法としては、攪拌等一般的な方法が用いられる。溶解や分散を促進させるために、加熱しながら溶解させてもよい。前駆体の溶解状態や分散状態を安定化させるために、界面活性剤が共存してもよい。界面活性剤としては、カチオン系、アニオン系、ノニオン系が挙げられる。
溶液中の、前駆体の濃度は、特に制限はなく、基板の種類や基板への接触方法に応じて、任意の比率で用いることができる。
前駆体を基板上に液相状態で接触させた後、必要に応じて、溶媒または分散媒を除去しても構わない。溶媒又は分散剤の除去は、常圧もしくは減圧下に加熱したり、気流に同伴させて除去する等の一般的な方法を用いることができる。
前駆体を気相状態で基板上に接触させる方法としては、前駆体を含有するガスやミストの状態で、前駆体を基板上に接触させる方法がある。前駆体をガスに含有させる方法としては、特に制限はないが、例えば前駆体中にガスをバブリング等により接触させる方法が挙げられる。
本発明において、常圧下に気相状態で基板上に接触させる場合、常圧とは一般的に大気圧のことをいい、強制的に加圧もしくは減圧しない状態のことをいう。
前駆体を含有するガスとしては、不活性ガスが望ましい。不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、一酸化炭素等が挙げられる。不活性ガスは単独で用いても、2種類以上の混合物で用いても構わない。不活性ガス中の酸素濃度は、3体積%以下、好ましくは1体積%以下、さらに好ましくは0.5体積%以下であることが望ましい。
基板上に接触している前駆体を、加熱処理することによって、n型カーボン半導体膜に変換して基板上に固定化することができる。
加熱処理の温度は、200℃〜900℃、好ましくは300℃〜800℃である。温度が高くなり過ぎると、ラマン分光スペクトルの積分強度比I(D)/I(G)比が小さくなる。また、温度が低すぎると、粉末X線図形に002回折線が認められない、ニトリル基が検出される、ラマン分光スペクトルのIバンド、Dバンドが観測されなくなる傾向がある。
n型半導体膜の前駆体として、含窒素複素環類、アミン類、ニトリル類等の含窒素炭化水素類を用いた場合、一般的に加熱処理の過程では一般的にニトリル基が生成する。本発明のn型カーボン半導体膜においては、前駆体に含窒素炭化水素類を用いた場合においても、膜中には実質的にニトリル基が存在しないのが好適である。このためには、原料の構造に合わせて、加熱処理条件を制御することにより、生成物中にニトリル基が含有されないようにすることが重要である。膜中に実質的にニトリル基が含有されないことは、例えば、赤外分光スペクトル測定において、ニトリル基の吸収帯である、2130cm−1付近に、吸収スペクトルが実質的に観測されないことにより、確認できる。ニトリル基は、C−N三重結合を有する極性の官能基であり、半導体のキャリア輸送に悪影響を及ぼしやすいからである。
加熱処理は不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、一酸化炭素等が挙げられる。不活性ガスは単独で用いても、2種類以上の混合物で用いても構わない。不活性ガス中の酸素濃度は、3体積%以下、好ましくは1体積%以下、さらに好ましくは0.5体積%以下であることが望ましい。
加熱処理の温度が600℃以下の場合には、空気のような分子状酸素を含有する不活性ガス雰囲気下でも構わない。不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、一酸化炭素等が挙げられる。このときの分子状酸素の濃度は、0.5体積%以上、好ましくは1体積%以上、さらに好ましくは3体積%以上である。
前駆体を気相状態で基板に接触させる場合には、前駆体を含有するガスを基板に接触させた状態のまま、加熱処理しても構わない。
加熱処理の処理時間は、n型カーボン半導体膜の膜厚、有機化合物の種類、温度にもよるが、通常、0.1秒から100時間程度である。
膜厚は目的に応じて選定し得るが、通常1〜1000nm、好ましくは5〜500nmである。
基板としては、目的に応じて適宜選定されうるが、例えば、シリコン基板等の半導体基板、ステンレス、ニッケル等の金属基板、ガラス、アルミナ、窒化ガリウム、酸化インジウム、酸化亜鉛等の絶縁基板、セラミック基板を用いることができる。これらの基板上に別の化合物等がコーテイングされていて、その上に本発明のn型カーボン半導体膜を形成させてもよい。基板は使用する前に、フッ水素酸等で表面処理することが望ましい。
本発明のn型カーボン半導体膜の製造においては、通常用いられるn型ドーパントを添加する必要はないが、さらに適宜添加することも排除されない。
本発明のn型カーボン半導体の電気伝導度は通常100S/cm以上である。
本発明におけるp型カーボン半導体は、p型半導体膜の前駆体となる炭化水素を、液相状態、もしくは常圧下に気相状態で基板に接触させた後、加熱処理することによって製造する。
本発明のp型半導体膜は、主に炭素六員環の集合体からなるp型カーボン半導体膜が用いられる。そして、特に好適にはラマン分光法によるスペクトルにおいて、1300cm-1付近のDバンド(通常1200〜1400cm-1におけるブロードなバンド)と1600cm-1付近のGバンド(通常1450〜1700cm-1におけるブロードなバンド)の積分強度比I(D)/I(G)が0.3〜3.0、好ましくは0.5〜2.5、であるp型カーボン半導体膜が用いられうる。積分強度比I(D)/I(G)が0.3未満であると、半金属となるため半導体として機能せず、一方、積分強度比I(D)/I(G)が3.0を超えると、集合した炭素六員環の数が少なく絶縁性を示し、電気伝導性が得られない。また、本発明におけるp型カーボン半導体膜は、好適には粉末X線図形に002回折線が認められる。
前駆体の炭化水素は特に制限はないが、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ブテン、ペンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族鎖状炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン等の脂肪族環状炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン、ナフタレン、アントラセン等の非へテロ系の単環もしくは多環式芳香族炭化水素、ナフサ、ガソリン、軽油、重油、石油系または石炭系のタールもしくはピッチ等、広く用いることができる。これらの前駆体は単独で用いても構わないし、2種類以上の任意の組み合わせ及び比率で用いても構わない。
前駆体を液相状態で基板上に接触させる方法としては、前駆体を実質的にそのまま単独で、もしくは溶液または分散液の状態から、塗布法、キャステイング法、ブレードコート法、ワイヤバー法、スピンコート法、デイップコート法、スプレーコート法等のコーテイング方法;公知の方法を用いることができる。
前駆体の溶媒としては、特に制限はなく、前駆体を溶解もしくは分散し得るものであれば、一般的な有機溶媒等や水を用いることができる。
有機溶媒の例としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素;トルエン、キシレン、ベンゼン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピレングリコールメチルエーテル等のエステル類;ピリジン、キノリン等の含窒素芳香族炭化水素;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルイミダゾリジノン等のアミド類、ジメチルスルホキシド、二硫化炭素等の含硫黄溶媒等を用いることができる。
これらの有機溶媒は、いずれか一種を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の組み合わせおよび比率で用いてもよい。前駆体を溶解もしくは分散させる方法としては、攪拌等一般的な方法が用いられる。溶解や分散を促進させるために、加熱しながら溶解させてもよい。前駆体の溶解状態や分散状態を安定化させるために、界面活性剤が共存してもよい。界面活性剤としては、カチオン系、アニオン系、ノニオン系が挙げられる。
溶液中の、前駆体の濃度は、特に制限はなく、基板の種類や基板への接触方法に応じて、任意の比率で用いることができる。
前駆体を基板上に液相状態で接触させた後、必要に応じて、溶媒または分散媒を除去しても構わない。溶媒又は分散剤の除去は、常圧もしくは減圧下に加熱したり、気流に同伴させて除去する等の一般的な方法を用いることができる。
前駆体を気相状態で基板上に接触させる方法としては、前駆体を含有するガスやミストの状態で、前駆体を基板上に接触させる方法がある。前駆体をガスに含有させる方法としては、特に制限はないが、例えば前駆体中にガスをバブリング等により接触させる方法が挙げられる。
本発明において、常圧下に気相状態で基板上に接触させる場合、常圧とは一般的に大気圧下のことをいい、強制的に加圧もしくは減圧しない状態のことをいう。
ガスとしては、不活性ガスが望ましい。不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、一酸化炭素等が挙げられる。不活性ガスは単独で用いても、2種類以上の混合物で用いても構わない。不活性ガス中の酸素濃度は、3体積%以下、好ましくは1体積%以下、さらに好ましくは0.5体積%以下であることが望ましい。
基板上に接触している前駆体を、加熱処理することによって、p型カーボン半導体膜に変換して基板上に固定化することができる。
加熱処理の温度は、200℃から900℃、好ましくは300℃〜800℃である。温度が高くなり過ぎると、ラマン分光スペクトルの積分強度比I(D)/I(G)比が小さくなる。温度は、目的とする積分強度比I(D)/I(G)の値に応じて、選定されうる。
加熱処理は不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、一酸化炭素等が挙げられる。不活性ガスは単独で用いても、2種類以上の混合物で用いても構わない。不活性ガス中の酸素濃度は、3体積%以下、好ましくは1体積%以下、さらに好ましくは0.5体積%以下であることが望ましい。
加熱処理の温度が600℃以下の場合には、空気のような分子状酸素を含有する不活性ガス雰囲気下でも構わない。不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、一酸化炭素等が挙げられる。このときの分子状酸素の濃度は、0.5体積%以上、好ましくは1体積%以上、さらに好ましくは3体積%以上である。
前駆体を気相状態で基板に接触させる場合には、前駆体を含有するガスを基板に接触させた状態のまま、加熱処理しても構わない。
処理時間は、n型カーボン半導体膜の膜厚、有機化合物の種類、温度にもよるが、通常、0.1秒から100時間程度である。膜厚は目的に応じて選定し得るが、通常1〜1000nm、好ましくは5〜500nmである。
基板としては、目的に応じて適宜選定されうるが、例えば、シリコン基板等の半導体基板、ステンレス、ニッケル等の金属基板、ガラス、アルミナ、窒化ガリウム、酸化インジウム、酸化亜鉛等の絶縁基板、セラミック基板を用いることができる。これらの基板上に別の化合物等がコーテイングされていて、その上に本発明のp型カーボン半導体膜を形成させてもよい。基板は使用する前に、フッ水素酸等で表面処理することが望ましい。
また、基板上に、本発明のn型カーボン半導体膜を形成させた後に、本発明のp型半導体膜を形成させてもよい。逆に、基板上に、本発明のp型カーボン半導体膜を形成させた後に、本発明のn型カーボン半導体膜を形成させてもよい。
このように、本発明のn型カーボン半導体膜、p型カーボン半導体膜は、前駆体の溶液等の液相状態から、公知の様々な塗布方法で調製することができる。また、前駆体を、加圧や減圧を必要としない、常圧下での気相状態から調製することができる。加熱処理も、一般的な加熱炉等を用いることができる。本発明の方法によれば、容易に大面積の半導体膜を低コストで製造することができる。
本発明のn型カーボン半導体膜は、半導体素子の材料として用いられる。例えば、p型半導体膜とn型半導体膜とによるpn接合を有する半導体素子のn型半導体膜として好適に用いられうる。pn接合体とは、半導体中でp型の領域とn型の領域が接している部分のことである。pn接合体の形成自体は常法によることができる。さらに、pin接合とすることもできる。ここで、p型半導体膜としては、公知のSi等のp型半導体膜を使用しうるが、好適には主に炭素六員環の集合体からなる本発明のp型カーボン半導体膜が用いられる。
本発明のn型カーボン半導体と本発明のp型カーボン半導体からpn接合体を形成する方法は特に限定はないが、例えば、ニッケルや透明性導電酸化物基板上に、本発明のp型カーボン半導体膜を形成させた後、その上に本発明のn型カーボン半導体を形成させる、等の方法が挙げられる。基板上に先にn型カーボン半導体膜を形成させた後に、p型カーボン半導体膜を形成させてもよい。
本発明のn型カーボン半導体膜を用いた半導体素子は、上記のようにp型半導体とn型半導体との接合構造であるpn接合体として、ダイオード、トランジスタ、光電変換素子や各種センサ等の素子の一部として、種々の電子回路中に組み込み得るが、特に太陽電池のための半導体素子として好適に使用され得る。すなわち、たとえばシリコン基板上に上記のn型カーボン半導体膜およびp型カーボン半導体膜を積層し、pn接合体を形成して光電変換層とし、電極等を有する公知の構成の太陽電池に組み込むことにより、太陽光が入射すると+の電気を有する正孔(電子が抜けた孔)と−の電気を有する電子が発生し、pn接合体により分けられ電流となる。
本発明におけるn型カーボン半導体膜を用いた半導体素子が使われた太陽電池は、例えば、ソーラーシュミレータAM1.5Gモードで測定した場合、エネルギー効率0.05%以上の性能が得られる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
希薄フッ化水素酸で表面処理したp型Si(100)基板(2×2cm)(三菱マテリアル(株)製)を石英製環状電気炉に入れ、ピリジン蒸気を含む窒素ガス流通下、700℃で、10時間加熱した。このピリジン蒸気を含む窒素ガスとしては、ピリジンを導入し、20℃に保持した容器に50mL/分の窒素ガスを吹き込み、容器から導出される窒素−ピリジンガスを用いた。
加熱により得られた基板上には約30nmのカーボン薄膜が形成されていることを走査型電子顕微鏡で確認した。この基板上のカーボンのラマン分光スペクトルを、ラマン分光装置「日本分光NRS2100」により測定したところ、1300cm-1付近のDバンドと1600cm-1付近のGバンドの2つが検出され、この2つのピークの積分強度比I(D)/I(G)は1.6であった。また、X線光電子分光スペクトルにおいて、このカーボン薄膜における窒素原子と炭素原子の比率は0.10であった。さらに、得られたカーボン薄膜は、粉末X線図形に002回折線が認めら、赤外分光スペクトルにおいて、2130cm-1付近には吸収ピークは認められなかった。
得られた試料基板のSi基板面側を研磨し、図1に示す半導体デバイスを構築した。図1は、その断面概略図であり、導通を得るために、基板(1)上のカーボン薄膜(2)上に数十nmの金のスパッタ膜(3)が形成されており((4)はリード線である)、電気的測定の結果、本デバイスはpnの順方向バイアスに対して光起電力、光電流が確認され、カーボン薄膜はn型半導体として機能することが明らかになった。ソーラーシュミレータ「三永電機製作所XES301S」を用いて、AM1.5Gモードで測定した結果、このデバイスは0CV:340mV、Jsc:6.2mA/cm、エネルギー変換効率:2%の太陽電池として作動することが確認された。
実施例2
希薄フッ化水素酸で表面処理したn型Si(100)基板(2×2cm)(三菱マテリアル(株)製)を石英製環状電気炉に入れ、ベンゼン蒸気を含む窒素ガス流通下、600℃で、10時間加熱した。このベンゼン蒸気を含む窒素ガスとしては、ベンゼンを導入し、20℃に保持した容器に50mL/分の窒素ガスを吹き込み、容器から導出される窒素−ベンゼンガスを用いた。
加熱により得られた基板上には約30nmのカーボン薄膜が形成されていることを走査型電子顕微鏡で確認した。この基板上のカーボンのラマン分光スペクトルを、ラマン分光装置「日本分光NRS2100」により測定したところ、1300cm-1付近のDバンドと1600cm-1付近のGバンドの2つが検出され、この2つのピークの積分強度比I(D)/I(G)は1.0であった。また、X線光電子分光スペクトルにおいて、このカーボン薄膜における窒素原子と炭素原子の比率は0.10であった。さらに、得られたカーボン薄膜は、粉末X線図形に002回折線が認められ、赤外分光スペクトルにおいて、2130cm-1付近の吸収ピークは認められなかった。
得られた試料基板のSi基板面側を研磨し、実施例1と同様のデバイスを構築した。電気的測定の結果、本デバイスはpnの順方向バイアスに対して光起電力、光電流が観測され、カーボン薄膜はp型半導体として機能することが明らかになった。ソーラーシュミレータAM1.5Gモードで測定した結果、このデバイスは0CV:200mV、Jsc:13.9mA/cm2、エネルギー変換効率:1.8%の太陽電池として作動することが確認された。
実施例3
研磨したNi基板(0.1×2×2cm)を石英製環状電気炉に入れ、実施例1と同様なピリジン蒸気を含む窒素ガス流通下、700℃で、10時間加熱した。その後、実施例2と同様にベンゼン蒸気を含む窒素ガス流通下、600℃で、10時間加熱した。
加熱により得られた基板上には約30nmのn型カーボン薄膜上に30nm程度のp型カーボン薄膜が形成されていることが確認された。この基板上のカーボンのラマン分光スペクトルでは、1300cm-1付近のDバンドと1600cm-1付近のGバンドの2つが検出され、この2つのピークの積分強度比I(D)/I(G)は1.3であった。さらに、得られたカーボン薄膜は、粉末X線図形に002回折線が認められ、赤外分光スペクトルにおいて、2130cm-1付近には吸収ピークは認められなかった。
得られた試料基板のNi基板側を研磨し、実施例1と同様のデバイスを構築した。電気的測定の結果、本デバイスはpnの順方向バイアスに対して光起電力、光電流が観測され、このデバイスはpn接合として機能することが明らかになった。ソーラーシュミレータAM1.5Gモードで測定した結果、このデバイスは0CV:100mV、Jsc:10.0mA/cm、エネルギー変換効率:1.2%の太陽電池として作動することが確認された。
比較例1
希薄フッ化水素酸で表面処理したp型Si(100)基板(2×2cm)(三菱マテリアル(株)製)を石英製環状電気炉に入れ、ピリジン蒸気を含む窒素ガス流通下、1000℃で、10時間加熱した。このピリジン蒸気を含む窒素ガスとしては、ピリジンを導入し、20℃に保持した容器に50mL/分の窒素ガスを吹き込み、容器から導出される窒素−ピリジンガスを用いた。
加熱により得られた基板上には約100nmのカーボン薄膜が形成されていることを走査型電子顕微鏡で確認した。この基板上のカーボンのラマン分光スペクトルでは、1300cm-1付近のDバンドと1600cm-1付近のGバンドの2つが検出され、この2つのピークの積分強度比I(D)/I(G)は3.1であった。また、X線光電子分光スペクトルにおいて、このカーボン薄膜における窒素原子と炭素原子の比率は0.05未満であった。さらに、得られたカーボン薄膜は、粉末X線図形に002回折線が認められ、赤外分光スペクトルにおいて、2130cm-1付近の吸収ピークは認められなかった。
得られた試料基板の片面を研磨し、実施例1と同様のデバイスを構築した。電気的測定の結果、カーボン薄膜は導体として機能することが明らかになり、太陽電池として機能しないことが確認された。
実施例4
研磨したNi基板(0.1×2×2cm)の片面にC重油を3000rpmでスピンコートし、石英製管状電気炉の中で窒素ガス流通下、700℃で5時間加熱した。加熱後の基板には約30nmのカーボン薄膜が形成されていることを走査型電子顕微鏡で確認した。さらに、このカーボン薄膜の上に5wt%ポリアクリロニトリルのN,N−ジメチルホルムアミド溶液を3回スピンコートして、石英製管状電気炉の中で窒素ガス流通下、700℃で5時間加熱した。加熱後の基板上には、約100nmのカーボン薄膜が形成されていることを走査型電子顕微鏡で確認した。この基板上のカーボン薄膜のラマン分光スペクトルでは、1300cm-1付近のDバンドと1600cm-1付近のGバンドの2つが検出され、2つのピークの積分強度比I(D)/I(G)は1.3であった。得られたカーボン薄膜は、粉末X線図形に002回折線が認められ、赤外分光スペクトルにおいて、2130cm-1付近の吸収ピークは認められなかった。
得られた試料基板の、Ni基板側の面を研磨し、実施例1と同様のデバイスを構築した。電気的測定の結果、pnの順方向バイアスに対して光起電力と光電流が観測され、このデバイスはpn接合として機能することが明らかになった。ソーラーシュミレータAM1.5Gモードで測定した結果、このデバイスは、OCV:90mV、Jsc:9.0mA・cm、エネルギー変換効率:0.9%の太陽電池として作動することが確認された。
実施例5
希薄フッ化水素酸で表面処理したp型Si(100)基板×(22cm:三菱マテリアル製)を石英製管状電気炉に入れ、ノルマルブチルアミン蒸気を含む窒素ガス流通下、700℃で5時間加熱した。ノルマルブチルアミン蒸気を含む窒素ガスとしては、15℃に保持したノルマルブチルアミンを入れた容器に、10ml/minで窒素ガスを吹き込み、容器から出る窒素−ノルマルブチルアミンガスを用いた。
加熱によって得られた基板上には、約30nmのカーボン薄膜が形成されていることを走査型電子顕微鏡で確認した。この基板上のカーボンのラマン分光スペクトルでは、1300cm-1付近のDバンド、と1600cm-1付近のGバンドの2つが検出され、2つのピークの積分強度比I(D)/I(G)は0.9であった。また、X線光電子分光スペクトル測定の結果、このカーボン薄膜における窒素原子と炭素原子の比率は、0.10であった。得られたカーボン薄膜は、粉末X線図形に002回折線が認められ、赤外分光スペクトルにおいて、2130cm-1付近の吸収ピークは認められなかった。
得られた試料基板のSi基板面側を研磨し、実施例1と同様のデバイスを構築した。電気的測定の結果、pnの順方向バイアスに対して光起電力と光電流が観測され、得られたカーボン薄膜は、n型半導体として機能することが明らかとなった。ソーラーシュミレータAM1.5Gモードで測定した結果、このデバイスは、OCV:200mV、Jsc:11.9mA/cm、エネルギー変換効率:1.8%の太陽電池として作動することが確認された。
比較例2
ノルマルブチルアミン蒸気を含む窒素ガス流通下の加熱を、150℃で5時間とし、窒素ガスの流量を50ml/minとした以外は実施例4と同様に行った。加熱によって得られたカーボン薄膜は、ラマン分光スペクトルにおいて、Dバンド、Gバンドのいずれも明確な吸収スペクトルは得られなかった。また、粉末X線図形においても、002回折線は認められず、赤外分光スペクトルにおいても、ニトリル基に対応した2250cm-1付近に明確な吸収は認められなかった。得られた試料基板を実施例1と同様のデバイスを構築して電気化学測定を行ったが、絶縁体と判明した。ソーラーシミュレーターAM1.5Gモードで測定した結果、太陽電池としては機能しないことがわかった。
実施例6
石英ガラス基板(2×2cm)を石英製管状電気炉に入れて、ノルマルブチルアミン蒸気を含む窒素ガス流通下、700℃で5時間加熱した。ノルマルブチルアミン蒸気を含む窒素ガスとしては、15℃に保持したピリジンを入れた容器に10ml/minの窒素ガスを吹き込み、容器から出る窒素−ノルマルブチルアミンガスを用いた。加熱によって得られた基板上には、約30nmのカーボン薄膜が形成されていることを走査型電子顕微鏡で確認した。この基板上のカーボン薄膜のラマン分光スペクトルでは、1300cm-1付近のDバンドと、1600cm-1付近のGバンドの2つが検出され、2つのピークの積分強度比I(D)/I(G)は0.9であった。また、X線電子分光スペクトルにおいて、このカーボン薄膜における窒素原子と炭素原子の比率は0.10であった。
この基板上の炭素薄膜の電気伝導度を、van der Pauw法によって測定した。その結果、この炭素薄膜の電気伝導度は、400S/cmであることが確認された。
本発明によれば、低コストでn型カーボン半導体を作成し、それを用いて高性能、かつ大面積としうる半導体素子および太陽電池を提供し得る。
実施例1で得られたn型カーボン半導体膜を用いた半導体デバイスの断面概略図。
符号の説明
1 基板
2 カーボン薄膜
3 金スパッタ膜
4 リード線

Claims (13)

  1. 主に炭素六員環の集合体からなり、ラマン分光法によるスペクトルにおいて、1300cm-1付近のDバンドと1600cm-1付近のGバンドの積分強度比I(D)/I(G)が0.3〜3.0であり、かつX線光電子分光法による窒素および/またはイオウと炭素との元素比(Nおよび/またはS)/Cが0.01〜0.40であるn型カーボン半導体膜。
  2. 粉末X線図形に002回折線が認められる請求項1に記載のn型カーボン半導体膜。
  3. 窒素と硫黄の少なくともどちらか一方を含有する有機化合物を、液相状態もしくは常圧下気相状態で基板上に接触させた後、加熱処理することによって製造された、請求項1もしくは2に記載のn型カーボン半導体膜。
  4. 窒素と硫黄の少なくともどちらか一方を含有する有機化合物が、含窒素炭化水素類である請求項3に記載のn型カーボン半導体膜。
  5. 実質的にニトリル基を含有しない請求項4に記載のn型カーボン半導体膜。
  6. 加熱処理の温度が、200℃〜900℃である請求項3〜5のいずれかに記載のn型カーボン半導体膜。
  7. 主に炭素六員環の集合体からなり、ラマン分光によるスペクトルにおいて、1300cm-1付近のDバンドと1600cm-1付近のGバンドの積分強度比I(D)/I(G)が、0.3〜3.0である、p型カーボン半導体膜。
  8. 炭化水素類を、液相状態もしくは常圧下気相状態で基板上に接触させた後、加熱処理することによって製造された、請求項7に記載のp型カーボン半導体膜。
  9. 加熱処理の温度が、200℃〜900℃である請求項7もしくは8に記載のp型カーボン半導体膜。
  10. 請求項1〜6のいずれかに記載のn型カーボン半導体膜が含まれる半導体素子。
  11. 半導体素子が請求項1〜6のいずれかに記載のn型カーボン半導体膜が含まれるpn接合を含んでいる請求項10に記載の半導体素子。
  12. 請求項1〜6のいずれかに記載のn型カーボン半導体膜と、請求項7〜9のいずれかに記載のp型カーボン半導体膜が含まれるpn接合を有している請求項10もしくは11に記載の半導体素子。
  13. 請求項10〜12のいずれかに記載の半導体素子を含んでなる太陽電池。
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