JP2017091697A - 高性能リチウムイオン二次電池用正極の製造方法 - Google Patents

高性能リチウムイオン二次電池用正極の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】水系正極ペーストを用いて、電池容量が高くかつ電池抵抗が低いリチウムイオン二次電池を提供可能にするリチウムイオン二次電池用正極の製造方法を提供する。【解決手段】ここに開示されるリチウムイオン二次電池用正極の製造方法は、スピネル型結晶構造のリチウムニッケルマンガン複合酸化物を含む正極活物質、水、および前記正極活物質に対し1〜3質量%の二酸化マンガンを含む混合物を混練して正極ペーストを調製する工程S101、前記調製した正極ペーストを正極集電体に塗工する工程S102、ならびに前記塗工したペーストを乾燥して正極活物質層を形成する工程S103を包含する。【選択図】図1

Description

本発明は、高性能のリチウムイオン二次電池用正極の製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池は、既存の電池に比べて軽量かつエネルギー密度が高いことから、近年、パソコンや携帯端末等のいわゆるポータブル電源や車両駆動用電源として用いられている。リチウムイオン二次電池は、特に、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)等の車両の駆動用高出力電源として今後ますます普及していくことが期待されている。
車両の駆動用高出力電源に用いられるリチウムイオン二次電池では、さらなる高性能化が求められており、高性能化の一環として高エネルギー密度化が図られている。リチウムイオン二次電池の高エネルギー密度化には、作動電位の高い正極活物質(高電位正極活物質)を使用することが一つの方策である。作動電位の高い正極活物質としては、スピネル型結晶構造のリチウムニッケルマンガン複合酸化物が知られている。
リチウムイオン二次電池に用いられる正極は、典型的には、正極集電体上に、正極活物質層が設けられた構成を有する。正極活物質層は、正極活物質、溶媒等を含む正極ペーストを正極集電体上に塗布し、乾燥することにより形成される。溶媒には、コストおよび環境負荷の低減を目的として、水が用いられる場合がある。スピネル型結晶構造のリチウムニッケルマンガン複合酸化物を正極活物質として用いて水系正極ペーストを作製する場合には、リチウムニッケルマンガン複合酸化物から金属が溶媒中(すなわちペースト中)に溶出する場合がある。溶出した金属は、ペースト乾燥後に正極活物質層内に残るため、電池性能に悪影響を及ぼす虞がある。
これに対し、特許文献1には、正極活物質および負極活物質の少なくとも一方を水で予め洗浄する工程を含む水系リチウムイオン二次電池の製造方法が提案されている。当該方法によれば、活物質から電極ペーストの溶媒中に溶出しやすい金属が予め除去されるため、活物質層から電解液に溶出する不純物(遷移金属を含む不純物)の濃度が低くなり、そうした不純物による電池性能への悪影響を抑制することができるとされている。
特開2009−289448号公報
特許文献1の実施例においては、負極活物質を水で予め洗浄することが検討されている。しかしながら、本発明者らが鋭意検討した結果、正極活物質としてのスピネル型結晶構造のリチウムニッケルマンガン複合酸化物を水で予め洗浄した場合には、リチウムイオンが過剰に溶出してしまい、電池容量の低下を招くことを見出した。一方、スピネル型結晶構造のリチウムニッケルマンガン複合酸化物を水で予め洗浄しなかった場合には、水系正極ペースト作製時に溶媒中へのリチウムイオンの溶出が起こり、溶出したリチウムイオンが正極活物質層形成時に水酸化リチウムとなって析出することにより、電池抵抗の増大を招くことを見出した。
そこで本発明の目的は、水系正極ペーストを用いて、電池容量が高くかつ電池抵抗が低いリチウムイオン二次電池を提供可能にするリチウムイオン二次電池用正極の製造方法を提供することである。
ここに開示されるリチウムイオン二次電池用正極の製造方法は、スピネル型結晶構造のリチウムニッケルマンガン複合酸化物を含む正極活物質、水、および前記正極活物質に対し1〜3質量%の二酸化マンガンを含む混合物を混練して正極ペーストを調製する工程、前記調製した正極ペーストを正極集電体に塗工する工程、ならびに前記塗工したペーストを乾燥して正極活物質層を形成する工程を包含する。
このような構成によれば、正極ペースト中に溶出したリチウムイオンを二酸化マンガンが選択的に捕捉することにより、電池抵抗の増大の要因となる水酸化リチウムの析出を防止することができ、電池容量の低下を招く予め正極活物質を洗浄する操作を行う必要がない。よって、ここに開示されるリチウムイオン二次電池用正極の製造方法によれば、水系正極ペーストを用いて、電池容量が高くかつ電池抵抗が低いリチウムイオン二次電池を提供することが可能となる。
本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池用正極の製造方法の各工程を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る製造方法により得られる正極を用いたリチウムイオン二次電池の内部構造を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る製造方法により得られる正極を用いたリチウムイオン二次電池の捲回電極体の構成を示す模式図である。
以下、図面を参照しながら、本発明による実施の形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、本発明を特徴付けないリチウムイオン二次電池用正極の一般的な構成および製造プロセス)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。
なお、本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充放電可能な蓄電デバイス一般をいい、リチウムイオン二次電池等のいわゆる蓄電池ならびに電気二重層キャパシタ等の蓄電素子を包含する用語である。また、本明細書において「リチウムイオン二次電池」とは、電荷担体としてリチウムイオンを利用し、正負極間におけるリチウムイオンに伴う電荷の移動により充放電が実現される二次電池をいう。
以下、一実施形態を挙げて、本発明について詳細に説明するが、本発明をかかる実施形態に限定することを意図したものではない。
図1に、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用正極の製造方法の各工程を示す。本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用正極の製造方法は、スピネル型結晶構造のリチウムニッケルマンガン複合酸化物を含む正極活物質、水、および正極活物質に対し1〜3質量%の二酸化マンガンを含む混合物を混練して正極ペーストを調製する工程(正極ペースト調製工程)S101、調製した正極ペーストを正極集電体に塗工する工程(正極ペースト塗工工程)S102、ならびに塗工したペーストを乾燥して正極活物質層を形成する工程(正極ペースト乾燥工程)S103を包含する。
まず、正極ペースト調製工程S101について説明する。正極ペースト調製工程S101は、例えば、次のようにして実施することができる。まず、スピネル型結晶構造のリチウムニッケルマンガン複合酸化物を含む正極活物質、水、および正極活物質に対し1〜3質量%の二酸化マンガンを含む混合物を準備する。なお、本明細書において、「ペースト」とは、固形分の一部またはすべてが溶媒に分散した混合物のことをいい、いわゆる「スラリー」、「インク」等を包含する。
本実施形態において正極活物質として用いられるスピネル型結晶構造のリチウムニッケルマンガン複合酸化物は、リチウム、ニッケル、マンガン、酸素以外の元素を含んでいてもよく、例えば、以下の一般式(I)で表されるものを使用することができる。
Li(NiMn2−y―z)O4+α (I)
一般式(I)において、Mは、Ni、Mn以外の任意の遷移金属元素または典型金属元素(例えば、Ti,V,Cr,Fe,Co,Cu,Zn,Al,Wのうちの1種または2種以上)であり得る。あるいは、半金属元素(例えば、B,Si,Geのうちの1種または2種以上)や非金属元素であってもよい。熱安定性の観点から、Mとして好適には、Tiおよび/またはFeである。
また、一般式(I)におけるxは、0.8≦x≦1.2であり、yは、0<yであり、zは、0≦zであり、y+z<2(典型的にはy+z≦1)であり、αは、−0.2≦α≦0.2で電荷中性条件を満たすように定まる値であり、qは、0≦q≦1である。また、qが0より大きい場合、AはFまたはClであり得る。
一般式(I)において好ましくは0.2≦y≦1.0(より好ましくは0.4≦y≦0.6、さらに好ましくは0.45≦y≦0.55)である。また、好ましくは0≦z<1.0(より好ましくは0≦z≦0.3、さらに好ましくはz=0)である。また、好ましくはα=0である。また、好ましくはq=0である。
上記一般式(I)で表されるリチウムニッケルマンガン複合酸化物の具体例としては、LiNi0.5Mn1.5、LiNi0.5Mn1.45Ti0.05、LiNi0.45Fe0.05Mn1.5、LiNi0.45Fe0.05Mn1.45Ti0.05、LiNi0.475Fe0.025Mn1.475Ti0.025等が挙げられる。
正極活物質の性状は特に限定されないが、典型的には粒子状である。粒子状正極活物質の平均粒径は、通常20μm以下(典型的には1〜20μm、例えば5〜15μm)である。また、正極活物質の比表面積は、通常0.1〜30m/g(典型的には0.2〜10m/g、例えば0.5〜3m/g)である。
なお、本明細書において「平均粒径」とは、一般的なレーザー回折・光散乱法に基づく体積基準の粒度分布において、粒径が小さい微粒子側からの累積頻度50体積%に相当する粒径(D50、メジアン径ともいう。)をいう。また、本明細書中において「比表面積」とは、窒素(N)ガスを用いてガス吸着法(定容量式吸着法)で測定された吸着量をBET法(例えばBET1点法)で解析した表面積(BET比表面積)をいう。
本実施形態において、正極活物質は、本発明の効果を損なわない範囲内で、スピネル型結晶構造のリチウムニッケルマンガン複合酸化物以外の正極活物質として使用可能な化合物を含んでいてもよい。
正極活物質は、混合物の全固形分中、50質量%を超えて含まれることが好ましく、より好ましくは80質量%〜97質量%、さらに好ましくは85質量%〜96質量%含有される。
水は、不純物をできるだけ含んでいないものが好ましく、イオン交換水、純水等を用いることができる。
本実施形態においては、二酸化マンガン(MnO)が用いられる。スピネル型結晶構造のリチウムニッケルマンガン複合酸化物および水を用いて水系正極ペーストを調製した場合には、リチウムニッケルマンガン複合酸化物から溶媒中へのリチウムイオンの溶出が起こる。溶出したリチウムイオンは、正極ペーストを乾燥して正極活物質層を形成する際に水酸化リチウムとなって析出し、電池抵抗の増大を招く。しかしながら従来技術(特許文献1に記載の技術)のようにリチウムニッケルマンガン複合酸化物を水で予め洗浄した場合には、リチウムイオンが過剰に溶出してしまい、電池容量の低下を招く。そこで、本実施形態では、正極ペースト調製の際に、二酸化マンガンを添加して混練する。二酸化マンガンはリチウムイオン捕捉剤として機能するため、水系正極ペースト中に溶出したリチウムイオンを選択的に捕捉することにより、電池抵抗の増大の要因となる水酸化リチウムの析出を防止することができる。
二酸化マンガンは、α型、β型およびγ型のいずれであってもよいが、リチウムイオンの捕捉能が特に高いことから、γ型のものが好ましい。
二酸化マンガンは、正極活物質に対し1〜3質量%含有される。二酸化マンガンの含有量が1質量%未満であると、水系正極ペースト中に溶出したリチウムイオンを十分に捕捉することができない。一方、二酸化マンガンの含有量が3質量%を超えると、電池容量の低下を招く。二酸化マンガンの含有量は、低い電池抵抗の観点から、好ましくは2〜3質量%である。
上記混合物は、任意成分として、正極活物質、水および二酸化マンガン以外の成分を含んでいてもよい。例えば、上記混合物は、水以外の溶媒を含有していてもよい。水以外の溶媒としては、水に任意の割合で混合できる水溶性有機溶媒が挙げられる。このような水溶性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール類が挙げられる。水溶性有機溶媒の含有量は少ないほど好ましい。
上記混合物は、導電材を含んでいていてもよい。導電材としては、カーボンブラック(例えばアセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック等)、コークス、黒鉛(例えば天然黒鉛およびその改質体、人造黒鉛)等の炭素材料が挙げられ、中でも、カーボンブラックが好ましい。導電材は、正極活物質に対し、0.1〜20質量%含有されることが好ましく、1〜15質量%含有されることがより好ましく、2〜10質量%含有されることがさらに好ましい。
上記混合物は、増粘剤を含んでいてもよい。増粘剤は、25℃において水に溶解し増粘性を示すポリマーが好ましく、例としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース系ポリマーおよびその塩が挙げられ、中でも、カルボキシメチルセルロースが好ましい。増粘剤は、正極活物質に対し、0.5〜10質量%含有されることが好ましく、1〜8質量%含有されることがより好ましい。
上記混合物は、バインダを含んでいてもよい。バインダとしては、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩等が挙げられる。バインダは、正極活物質に対し、0.5〜10質量%含有されることが好ましく、1〜8質量%含有されることがより好ましい。
上記混合物は、その他の任意成分として、リン酸リチウム等の添加剤を含み得る。
上記混合物中の固形分濃度は、乾燥効率の観点から、例えば45質量%以上であり、典型的には50〜80質量%である。
上記混合物は、水に、水以外の成分を一括して添加することにより調製してもよいし、水に水以外の成分の一部を添加して混合した後、さらに水以外の成分の一部を添加して混合するという操作を繰り返して調製してもよい。
上記混合物の混練は、ボールミル、ロールミル、プラネタリミキサー、ディスパー、ニーダ等の従来公知の攪拌・混合装置を用いて行うことができる。この混練操作によって、正極ペーストを得ることができる。
次に、正極ペースト塗工工程S102について説明する。正極集電体には、導電性の良好な金属(例えばアルミニウム)からなる導電性部材を好ましく用いることができる。正極集電体の形状は、得られる正極を用いて構築されるリチウムイオン二次電池の形状等に応じて異なり得るため特に制限はなく、棒状、板状、シート状、箔状、メッシュ状等の種々の形態であってよい。好適には、正極集電体は、シート状または箔状である。
当該塗工は、公知方法に従い行うことができる。例えば、スリットコーター、ダイコーター、コンマコーター、グラビアコーター、ディップコーター等の塗布装置を用いて、正極集電体上に上記正極ペーストを塗布することにより行うことができる。なお、正極活物質層は、正極集電体の片面のみに形成してもよいし、両面に形成してもよく、好ましくは、両面に形成される。したがって、上記ペーストの塗工は、正極集電体の片面または両面に行われ、好ましくは両面に行われる。
次に正極ペースト乾燥工程S103について説明する。当該工程は、公知方法に従い行うことができる。例えば、ペーストが塗工された正極集電体から、乾燥炉等の乾燥装置を用いて上記溶媒を除去することにより行うことができる。乾燥温度および乾燥時間は、正極中に含まれる溶媒の量に応じて適宜決定すればよく、特に限定されない。乾燥温度は、例えば70℃〜200℃(典型的には110℃〜150℃)である。乾燥時間は、例えば5分〜120分である。
乾燥後、正極に適宜プレス処理を施すことによって、正極活物質層の厚み、密度等を調整することができる。正極活物質層の厚みは特に限定されないが、例えば20μm以上、典型的には50μm以上であり、一方、例えば200μm以下、典型的には100μm以下である。また、正極活物質層の密度は特に限定されないが、例えば1.5g/cm以上、典型的には2g/cm以上であり、一方、例えば4.5g/cm以下、典型的には4.2g/cm以下である。上記範囲を満たす正極活物質層は、高い電池性能(例えば、高いエネルギー密度や出力密度)を実現し得る。
以上のようにして、正極集電体上に正極活物質層が形成された正極を得ることができる。
このようにして製造された正極をリチウムイオン二次電池に用いることにより、電池容量が高くかつ電池抵抗が低いリチウムイオン二次電池を提供することができる。以下、図2および図3を参照しながら、本実施形態に係る製造方法により得られる正極を用いて作製されるリチウムイオン二次電池の構成例について説明する。
図2に示すリチウムイオン二次電池100は、扁平形状の捲回電極体20と非水電解液(図示せず)とが扁平な角形の電池ケース(即ち外装容器)30に収容されることにより構築される密閉型のリチウムイオン二次電池100である。電池ケース30には外部接続用の正極端子42および負極端子44と、電池ケース30の内圧が所定レベル以上に上昇した場合に該内圧を開放するように設定された薄肉の安全弁36が設けられている。また、電池ケース30には、非水電解液を注入するための注入口(図示せず)が設けられている。正極端子42は、正極集電板42aと電気的に接続されている。負極端子44は、負極集電板44aと電気的に接続されている。電池ケース30の材質としては、例えば、アルミニウム等の軽量で熱伝導性の良い金属材料が用いられる。
捲回電極体20は、図2および図3に示すように、長尺状の正極集電体52の片面または両面(ここでは両面)に長手方向に沿って正極活物質層54が形成された正極シート50と、長尺状の負極集電体62の片面または両面(ここでは両面)に長手方向に沿って負極活物質層64が形成された負極シート60とが、2枚の長尺状のセパレータシート70を介して重ね合わされて長手方向に捲回された形態を有する。なお、捲回電極体20の捲回軸方向(上記長手方向に直交するシート幅方向をいう。)の両端から外方にはみ出すように形成された正極活物質層非形成部分52a(即ち、正極活物質層54が形成されずに正極集電体52が露出した部分)と負極活物質層非形成部分62a(即ち、負極活物質層64が形成されずに負極集電体62が露出した部分)には、それぞれ正極集電板42aおよび負極集電板44aが接合されている。
正極シート50には、上述の本実施形態に係る製造方法により得られる正極が用いられる。
負極シート60を構成する負極集電体62としては、例えば銅箔等が挙げられる。負極活物質層64に含まれる負極活物質としては、例えば黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン等の炭素材料を使用し得る。負極活物質層64は、活物質以外の成分、例えばバインダや増粘剤等を含み得る。バインダとしては、例えばスチレンブタジエンラバー(SBR)等を使用し得る。増粘剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)等を使用し得る。
セパレータ70としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、セルロース、ポリアミド等の樹脂から成る多孔性シート(フィルム)が挙げられる。かかる多孔性シートは、単層構造であってもよく、二層以上の積層構造(例えば、PE層の両面にPP層が積層された三層構造)であってもよい。セパレータ70の表面には、耐熱層(HRL)が設けられていてもよい。
非水電解質は従来のリチウムイオン二次電池と同様のものを使用可能であり、典型的には有機溶媒(非水溶媒)中に、支持塩を含有させたものを用いることができる。非水溶媒としては、リチウムイオン二次電池に利用し得ることが知られている各種有機溶剤を用いることができる。なかでも耐酸化性の高い(すなわち酸化分解電位の高い)ものが好ましい。好適例として、カーボネート類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等のフッ素化物(フッ素含有非水溶媒)が挙げられる。特には、フッ素化カーボネートの使用が好ましい。具体的には、フルオロエチレンカーボネート(FEC)等のフッ素化環状カーボネート、メチル(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート(MTFEC)等のフッ素化鎖状カーボネートなどを好適に用いることができる。このような非水溶媒は、1種を単独で、あるいは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。支持塩としては、例えば、LiPF、LiBF等のリチウム塩を好適に用いることができる。支持塩の濃度は、0.7mol/L以上1.3mol/L以下が好ましい。
なお、上記非水電解液中は、例えば、ガス発生剤、被膜形成剤、分散剤、増粘剤等の各種添加剤を含み得る。
以上のようにして構成されるリチウムイオン二次電池100は、各種用途に利用可能である。好適な用途としては、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)等の車両に搭載される駆動用電源が挙げられる。
なお、本実施形態に係る製造方法により得られる正極を用いて構成されるリチウムイオン二次電池は、上記の例に限られない。上記では、捲回電極体を備える扁平角型のリチウムイオン二次電池について説明したが、積層型電極体を備えるリチウムイオン二次電池として構成することもできる。また、円筒型リチウムイオン二次電池、コイン型リチウムイオン二次電池、ラミネート型リチウムイオン二次電池等として構成することもできる。
以下、本発明に関する実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<正極の作製>
(正極No.1〜No.4の作製)
イオン交換水にCMCを加えて、プラネタリミキサーで混練し、CMCペーストを調製した。これに、正極活物質としてのLiNi1/2Mn3/2と、導電材としてのアセチレンブラック(HS−100)とを添加して、プラネタリミキサーでさらに混練した。そこにバインダとしてのポリアクリル酸ナトリウムとγ−MnOとを添加し、プラネタリミキサーでさらに混練して正極ペーストを得た。このとき、正極活物質に対するγ−MnOの添加量を、No.1の正極については1質量%、No.2の正極については3質量%、No.3の正極については5質量%、No.4の正極については7質量%とした。
コンマコーターを用いて、アルミニウム箔上に上記正極ペーストを塗布した。その後、140℃で乾燥して水を除去し、次いで、ロールプレスを用いてプレスを行い、正極活物質層の密度が2.5g/cmのNo.1〜No.4の正極(シート)を得た。
(正極No.5の作製)
γ−MnOを添加しなかった以外は上記と同様にして、No.5の正極(シート)を得た。
<LiOH析出量の評価>
No.1〜No.5の電極についてLiOH析出量を求めた。そして、γ−MnOの添加量が0質量%であるNo.5の電極のLiOH析出量を基準にした場合のNo.1〜No.4の電池のLiOH析出量比を算出した。結果を表1に示す。
<評価用電池No.1〜No.5の作製>
負極活物質として天然黒鉛と、結着剤としてSBRと、増粘剤としてCMCとを、これらの材料の質量比が98:1:1となるように水中で混合して、負極ペーストを調製した。この負極ペーストを、銅箔(負極集電体)に塗付した。その塗付物を乾燥し、プレスすることにより、該負極集電体上に負極活物質層が形成されてなる負極シートを作製した。 上記作製したNo.1〜No.5の各正極シートおよび負極シートをセパレータシート(ポリプロピレン/ポリエチレン複合体多孔質膜)を挟んで対向配置させて(積層させて)、電極体を作製した。これを非水電解液と共にラミネート型のケース(ラミネートフィルム)に収容した。非水電解液としては、モノフルオロエチレンカーボネート(MFEC)とモノフルオロメチルジフルオロメチルカーボネート(F−DMC)との体積比50:50の混合溶媒に1mol/Lの濃度でLiPFを溶解させたものを使用した。これに、0.3Cで0Vから4.75Vまで初期充電することにより、No.1〜No.5のリチウムイオン二次電池を作製した。
<初期抵抗の測定>
各電池に対し、25℃の温度環境下で、SOCが60%となるまで1/3CのレートでCC充電を行った。SOC60%の状態に調整した電池に対して、1C,3C,5C,10Cの各レートでCC放電を行い、それぞれ放電開始から10秒間の電圧降下量を測定した。測定された電圧降下の値(V)を対応する電流値で除してIV抵抗(Ω)を算出し、その平均値を初期抵抗とした。No.5の電池の初期抵抗を基準にした場合のNo.1〜No.4の電池の初期抵抗比を算出した。結果を表1に示す。
<初期容量の測定>
各電池に対し、温度25℃の環境下、1/3Cのレートで4.75Vまで定電流(CC)充電した後、電流値が1/50Cになるまで定電圧(CV)充電を行い、満充電状態とした。その後、1Cの放電レートで3.5VまでCC放電したときの容量を、初期容量とした。No.5の電池の初期容量を基準にした場合のNo.1〜No.4の電池の初期容量比を算出した。結果を表1に示す。
Figure 2017091697
表1より、正極の製造に用いた二酸化マンガンの添加量が大きくなればなる程、電池の初期抵抗が低下することがわかる。しかしながら、二酸化マンガンの添加量が大きくなればなる程、初期容量も低下することがわかる。そして、電池容量が高くかつ電池抵抗が低いといえるのは、二酸化マンガンの添加量が1〜3質量%であるときであることがわかる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
20 捲回電極体
30 電池ケース
36 安全弁
42 正極端子
42a 正極集電板
44 負極端子
44a 負極集電板
50 正極シート(正極)
52 正極集電体
52a 正極活物質層非形成部分
54 正極活物質層
60 負極シート(負極)
62 負極集電体
62a 負極活物質層非形成部分
64 負極活物質層
70 セパレータシート(セパレータ)
100 リチウムイオン二次電池

Claims (1)

  1. スピネル型結晶構造のリチウムニッケルマンガン複合酸化物を含む正極活物質、水、および前記正極活物質に対し1〜3質量%の二酸化マンガンを含む混合物を混練して正極ペーストを調製する工程、
    前記調製した正極ペーストを正極集電体に塗工する工程、ならびに
    前記塗工したペーストを乾燥して正極活物質層を形成する工程
    を包含するリチウムイオン二次電池用正極の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018123671A1 (ja) * 2016-12-28 2018-07-05 パナソニックIpマネジメント株式会社 非水電解質二次電池用正極および非水電解質二次電池

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