JP2016134267A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】負極に高誘電材(チタン酸バリウム)を備えたリチウムイオン二次電池であって、抵抗低減の効果が高いレベルで発揮されたリチウムイオン二次電池を提供すること。【解決手段】本発明によって、正極活物質層を備える正極と、負極活物質層を備える負極と、非水電解液と、を有するリチウムイオン二次電池が提供される。上記非水電解液は、非水溶媒によって溶媒和されたリチウムイオンを含む。上記負極活物質層は、炭素粉末の表面の一部がチタン酸バリウムで被覆された形態の複合粒子を含む。当該複合粒子の表面において、炭素元素とチタン元素の合計を100%としたときに、上記チタン元素の占める割合は17〜40%である。【選択図】図1
Description
本発明は、リチウムイオン二次電池に関する。より詳しくは、負極に高誘電材(チタン酸バリウム)を備えた当該電池に関する。
リチウムイオン二次電池では、電荷担体たるリチウムイオンのイオン伝導性が電池性能に大きく関わっている。これに関連する従来技術文献として、特許文献1,2が挙げられる。例えば特許文献1には、負極に比誘電率が高い無機化合物(高誘電材、例えばチタン酸バリウム)を含む非水電解質電池が開示されている。特許文献1によれば、負極に高誘電材を含むことで、負極内又は負極近傍において電解質中のリチウムイオンの脱溶媒和が促進される。その結果、リチウムイオンのイオン伝導性が向上して、電池抵抗が低減し得る。
しかしながら、本発明者の検討によれば、負極活物質と高誘電材の位置関係が適切でないと上記抵抗低減の効果を十分に得られないことがあり得る。例えば負極活物質と高誘電材が近接していない場合、抵抗低減の効果が小さくなり得る。また、例えば高誘電材がリチウムイオンの吸蔵・放出能を有しない場合、負極活物質の表面が高誘電材で覆われると、充放電反応が阻害されてかえって反応抵抗が増大することがあり得る。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、負極に高誘電材を備えたリチウムイオン二次電池であって、抵抗低減の効果がより高いレベルで発揮されたリチウムイオン二次電池を提供することにある。
本発明によって、正極活物質層を備える正極と、負極活物質層を備える負極と、非水電解液と、を有するリチウムイオン二次電池が提供される。上記非水電解液は、非水溶媒によって溶媒和されたリチウムイオンを含む。上記負極活物質層は、炭素粉末の表面の一部がチタン酸バリウムで被覆された形態の複合粒子を含む。当該複合粒子の表面において、炭素元素とチタン元素の合計(100%)に占める上記チタン元素の割合は17〜40%である。
上記構成のリチウムイオン二次電池では、負極活物質層内の負極活物質(炭素粉末)と高誘電材(チタン酸バリウム)の位置関係が最適化されている。これにより、負極活物質の表面に充放電の反応場が適切に確保されると同時に、負極活物質の近傍でリチウムイオンの脱溶媒和が高度に促進される。その結果、高誘電材を添加した効果がいかんなく発揮され、より確実かつ安定的に電池の抵抗を低減することができる。
なお、複合粒子表面における元素組成(すなわち、炭素元素やチタン元素の量(mol%))は、一般的な表面分析によって求めることができる。表面分析法の一例として、X線光電子分光分析(X-ray Photoelectron Spectroscopy:XPS)が挙げられる。XPSを用いた表面分析では、最表面から凡そ10〜30nmの深さ範囲における元素組成を把握することができる。また、より精度の高い分析値を得るためには、例えばXPSを用いて複数の(典型的には100以下、例えば2〜30の)複合粒子について表面分析を行い、得られた元素組成の算術平均値を採用することが好ましい。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、本発明を特徴付けない正極等の電池構成要素や、電池の一般的な製造プロセス等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
ここに開示されるリチウムイオン二次電池は、正極と負極と非水電解液とを備える。
以下、各構成要素について順に説明する。
以下、各構成要素について順に説明する。
<正極>
ここに開示されるリチウムイオン二次電池の正極は、正極活物質層を備える。典型例では、正極集電体と、当該正極集電体上に固着された正極活物質層とを備える。正極集電体としては、導電性の良好な金属(例えばアルミニウム)からなる導電性材料が好適である。正極活物質層は少なくとも正極活物質を含み、その他の任意成分(例えば導電材やバインダ等)をも含み得る。
ここに開示されるリチウムイオン二次電池の正極は、正極活物質層を備える。典型例では、正極集電体と、当該正極集電体上に固着された正極活物質層とを備える。正極集電体としては、導電性の良好な金属(例えばアルミニウム)からなる導電性材料が好適である。正極活物質層は少なくとも正極活物質を含み、その他の任意成分(例えば導電材やバインダ等)をも含み得る。
正極活物質としては、例えばリチウムニッケルマンガン複合酸化物やリチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物等のリチウム遷移金属複合酸化物が好適である。なかでも、スピネル構造のリチウムニッケルマンガン複合酸化物(いわゆるNiMnスピネル)が好適である。NiMnスピネルは、金属リチウム基準で4.3V以上の領域に充放電カーブを有する。このため、正極の作動電位を従来よりも高く(例えば概ね5V以下に)設定することができる。したがって、電池の高エネルギー密度化や高容量化を実現する観点から好適である。
導電材としては、カーボンブラック(典型的にはアセチレンブラック(AB))等の炭素材料が好適である。バインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のハロゲン化ビニル樹脂が好適である。
導電材としては、カーボンブラック(典型的にはアセチレンブラック(AB))等の炭素材料が好適である。バインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のハロゲン化ビニル樹脂が好適である。
<負極>
ここに開示されるリチウムイオン二次電池の負極は、負極活物質層を備える。典型例では、負極集電体と、当該負極集電体上に固着された負極活物質層とを備える。負極集電体としては、導電性の良好な金属(例えば銅)からなる導電性材料が好適である。ここに開示される負極活物質層は、少なくとも複合粒子を含んでいる。
ここに開示されるリチウムイオン二次電池の負極は、負極活物質層を備える。典型例では、負極集電体と、当該負極集電体上に固着された負極活物質層とを備える。負極集電体としては、導電性の良好な金属(例えば銅)からなる導電性材料が好適である。ここに開示される負極活物質層は、少なくとも複合粒子を含んでいる。
かかる複合粒子は、負極活物質(母材)の表面の一部に当該負極活物質よりも比誘電率の高い誘電材(子材)が担持された形態の粒子である。ここに開示される技術において、負極活物質は粉末状(粒子状)の炭素材料である。炭素材料の一例として、黒鉛(グラファイト)、カーボンブラック、活性炭、炭素繊維等が挙げられる。また、ここに開示される技術において、高誘電材は、比誘電率が炭素材料よりも10倍以上高いチタン酸バリウム(BaTiO3)である。換言すれば、この複合粒子は、炭素材料の表面の一部がチタン酸バリウムで被覆(コート)された形態の粒子である。
負極活物質としての炭素材料と高誘電材としてのチタン酸バリウムとを複合化することで、両者を的確に近接させることができる。これにより、チタン酸バリウムを添加した効果がいかんなく発揮される。つまり、非水電解液中では、電荷担体(リチウムイオン)が非水溶媒によって溶媒和されている。このため、リチウムイオンが負極活物質内に吸蔵される際の活性化障壁(活性化エネルギー)が大きくなり、負極活物質表面における界面抵抗が高くなる傾向がある。そこで、ここに開示される技術では、負極活物質と非水電解液の間(界面)にチタン酸バリウムを配置する。これにより、負極活物質の近傍でリチウムイオンの脱溶媒和(解離)が好適に促進される。その結果、界面抵抗をより良く低減することができる。
ここに開示される技術では、複合粒子の表面性状が高度に制御されている。詳しくは、次の式:Y=Mt/(Mc+Mt)×100(ただし、Mcは炭素元素の量(mol%)であり、Mtはチタン元素の量(mol%)である。);で表される被覆率Y(%)が、17≦Y≦40(例えば18≦Y≦35)を満たしている。つまり、炭素元素とチタン元素の合計量を100%としたときに、チタン元素の割合が17〜40%(例えば18〜35%)であり、炭素元素の割合が60〜83%(例えば65〜82%)である。上記範囲に調整することで、複合粒子の全表面積のうちのチタン酸バリウムで被覆されている部分(被覆部)の割合を高度に制御することができる。
換言すれば、複合粒子の表面の一部には、チタン酸バリウムが被覆されず炭素材料が露出している。これによって、上記解離したリチウムイオンと負極活物質との反応場が広く確保される。その結果、反応抵抗の増大を高いレベルで抑制することができ、チタン酸バリウムを添加した効果がより良く発揮される。
なお、このような複合粒子は従来公知の方法で作製し得る。例えば、所定の比率で量りとった炭素粉末とチタン酸バリウム粉末とを適当な混合機に投入し、複合化処理を行うとよい。かかる処理には、従来公知の粉砕・混合装置(例えばジェットミル、プラネタリーミキサー、ホモジナイザー、ディスパー等)を用いることができる。複合化処理では、粉末状の材料に圧縮力、剪断力、摩擦力等の機械的エネルギーを加えることによって、材料同士を物理的に結合(一体化)させることができる。
一好適例では、炭素粉末として、平均粒径(レーザー回折・光散乱法に基づく体積基準の累積50%に相当する粒径。以下同じ。)が、概ね1μm以上、典型的には5〜30μm、例えば5〜15μm程度のものを用いる。他の一好適例では、チタン酸バリウム粉末として、上記炭素粉末よりも平均粒径が小さいものを用いる。例えば、チタン酸バリウム粉末の平均粒径が炭素粉末の平均粒径の概ね1/2以下(典型的には1/5以下、例えば1/10以下)であるとよい。一好適例では、チタン酸バリウムとして、平均粒径が概ね1μm以下、典型的には0.01〜1μm、例えば0.05〜0.1μm程度のものを用いるとよい。これによって、母材としての炭素粉末の表面に、子材としてのチタン酸バリウム粉末を好適に付着させることができる。その結果、本発明の効果をより高いレベルで発揮することができる。
炭素粉末とチタン酸バリウム粉末の混合比率は、上記平均粒径にもよるため特に限定されない。一好適例では、炭素粉末(C)とチタン酸バリウム粉末(BaTiO3)の質量比率を、C:BaTiO3=96:4〜92:8、例えば、C:BaTiO3=95:5〜92.5:7.5、好ましくは、C:BaTiO3=95:5〜93:7)とするとよい。チタン酸バリウムの質量比率を4質量%以上、例えば5質量%以上とすることで、リチウムイオンの脱溶媒和を促進する効果がより高いレベルで発揮される。また、チタン酸バリウムの質量比率を8質量%以下、例えば7.5質量%以下、好ましくは7質量%以下とすることで、反応抵抗を低く抑える効果がより高いレベルで発揮される。つまり、チタン酸バリウムはリチウムイオンの吸蔵・放出能を有しないため、充放電の反応場をより広く確保する観点や高エネルギー密度を実現する観点からは、チタン酸バリウムを必要最小限に抑えることが好ましい。
なお、複合粒子の表面の被覆率Y(チタン元素の占める割合)は、例えば、炭素粉末の平均粒径、チタン酸バリウム粉末の平均粒径、炭素粉末の平均粒径とチタン酸バリウム粉末の平均粒径の比、炭素粉末とチタン酸バリウム粉末の混合比率等によって調整することができる。
負極活物質層は、上記複合粒子以外に任意成分(例えばバインダや増粘剤等)を含み得る。バインダとしては、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が好適である。増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)等のセルロース系材料が好適である。
負極活物質層全体に占める複合材料の割合は、高エネルギー密度を実現する観点から、80質量%以上であるとよく、典型的には80〜99質量%、例えば85〜98質量%であるとよい。負極活物質層全体に占めるバインダの割合は、高耐久性を実現する観点から、0.1〜10質量%であるとよく、例えば0.5〜5質量%であり得る。負極活物質層全体に占める増粘剤の割合は、0〜10質量%であるとよく、例えば0.5〜5質量%であり得る。
<非水電解液>
ここに開示されるリチウムイオン二次電池の非水電解液は、非水溶媒と電荷担体としてのリチウムイオンを含んでいる。そして、典型的にはリチウムイオンが非水溶媒によって溶媒和されている。
このような非水電解液は、非水溶媒中にリチウム塩を添加して撹拌・混合することによって調製し得る。リチウム塩としては、LiPF6、LiBF4等が好適である。非水溶媒としては、リチウムイオン二次電池に利用し得ることが知られている各種有機溶剤を採用し得る。なかでも耐酸化性の高い(すなわち酸化分解電位の高い)ものが好ましい。好適例として、カーボネート類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等のフッ素化物(フッ素含有非水溶媒)が挙げられる。特には、フッ素化カーボネート、例えば、モノフルオロエチレンカーボネート(FEC)等のフッ素化環状カーボネートや、メチル−2,2,2−トリフルオロエチルカーボネート(MTFEC)等のフッ素化鎖状カーボネートが好適である。例えば、FECとMTFECとを体積比1:2〜2:1の割合で含む混合溶媒は高電位正極との組み合わせで好適に使用することができる。
ここに開示されるリチウムイオン二次電池の非水電解液は、非水溶媒と電荷担体としてのリチウムイオンを含んでいる。そして、典型的にはリチウムイオンが非水溶媒によって溶媒和されている。
このような非水電解液は、非水溶媒中にリチウム塩を添加して撹拌・混合することによって調製し得る。リチウム塩としては、LiPF6、LiBF4等が好適である。非水溶媒としては、リチウムイオン二次電池に利用し得ることが知られている各種有機溶剤を採用し得る。なかでも耐酸化性の高い(すなわち酸化分解電位の高い)ものが好ましい。好適例として、カーボネート類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等のフッ素化物(フッ素含有非水溶媒)が挙げられる。特には、フッ素化カーボネート、例えば、モノフルオロエチレンカーボネート(FEC)等のフッ素化環状カーボネートや、メチル−2,2,2−トリフルオロエチルカーボネート(MTFEC)等のフッ素化鎖状カーボネートが好適である。例えば、FECとMTFECとを体積比1:2〜2:1の割合で含む混合溶媒は高電位正極との組み合わせで好適に使用することができる。
<リチウムイオン二次電池の用途>
ここに開示されるリチウムイオン二次電池は各種用途に利用可能であるが、負極の抵抗が高度に低減されている効果によって、従来に比べて高い電池特性を実現し得る。例えば、高エネルギー密度と高出力密度と長寿命とを兼ね備え得る。特に、0℃以下の低温環境下では、非水電解液の粘性が高まることでイオン伝導性が低下しがちである。このため、かかる低温環境下において高出力密度を要求される用途で殊に好適に採用し得る。一好適用途として、プラグインハイブリッド自動車、ハイブリッド自動車、電気自動車等の車両に搭載される駆動用電源が挙げられる。
ここに開示されるリチウムイオン二次電池は各種用途に利用可能であるが、負極の抵抗が高度に低減されている効果によって、従来に比べて高い電池特性を実現し得る。例えば、高エネルギー密度と高出力密度と長寿命とを兼ね備え得る。特に、0℃以下の低温環境下では、非水電解液の粘性が高まることでイオン伝導性が低下しがちである。このため、かかる低温環境下において高出力密度を要求される用途で殊に好適に採用し得る。一好適用途として、プラグインハイブリッド自動車、ハイブリッド自動車、電気自動車等の車両に搭載される駆動用電源が挙げられる。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に限定することを意図したものではない。
〈正極の作製〉
まず、正極活物質として、5V級のNiMnスピネル(LiNi0.5Mn1.5O4)を用意した。このNiMnスピネルと、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、NiMnスピネル:AB:PVdF=87:10:3の質量比率になるよう秤量し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)と混合して正極スラリーを調製した。上記調製した正極スラリーをアルミニウム箔(正極集電体)の表面に塗布し、ロールプレスによって正極活物質層の密度が2.3g/cm3になるまでプレス処理を行い、正極を作製した。
まず、正極活物質として、5V級のNiMnスピネル(LiNi0.5Mn1.5O4)を用意した。このNiMnスピネルと、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、NiMnスピネル:AB:PVdF=87:10:3の質量比率になるよう秤量し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)と混合して正極スラリーを調製した。上記調製した正極スラリーをアルミニウム箔(正極集電体)の表面に塗布し、ロールプレスによって正極活物質層の密度が2.3g/cm3になるまでプレス処理を行い、正極を作製した。
〈負極の作製〉
まず、負極活物質として、平均粒径10μm、格子定数(C0)0.67nm、結晶子サイズ(Lc)27nmの天然黒鉛系炭素材料を用意した。また、高誘電材として平均粒径0.10μmのチタン酸バリウムを用意した。そして、炭素材料とチタン酸バリウムを表1に示す質量比率になるようよう秤量し、複合化装置(ホソカワミクロン(株)製、ノビルタ)に投入して、2000rpmの条件で30分間複合化処理した。これにより、炭素材料とチタン酸バリウムとを含む複合粒子を作製した。この複合粒子の表面をXPSで元素分析し、被覆率Y(%)を算出した。結果を表1に示す。
まず、負極活物質として、平均粒径10μm、格子定数(C0)0.67nm、結晶子サイズ(Lc)27nmの天然黒鉛系炭素材料を用意した。また、高誘電材として平均粒径0.10μmのチタン酸バリウムを用意した。そして、炭素材料とチタン酸バリウムを表1に示す質量比率になるようよう秤量し、複合化装置(ホソカワミクロン(株)製、ノビルタ)に投入して、2000rpmの条件で30分間複合化処理した。これにより、炭素材料とチタン酸バリウムとを含む複合粒子を作製した。この複合粒子の表面をXPSで元素分析し、被覆率Y(%)を算出した。結果を表1に示す。
次に、上記複合粒子と、バインダとしてのスチレンブタジエンゴム(SBR)と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、C:SBR:CMC=98:1:1の質量比率になるよう秤量し、イオン交換水と混合して負極スラリーを調製した。上記調製した負極スラリーを銅箔(負極集電体)の表面に塗布し、ロールプレスによってプレス処理を行い、負極を作製した。なお、負極活物質層の質量は、正極と負極の容量比が正極:負極=1:1.8となるように調整した。
〈非水電解液の調製〉
環状カーボネートとしてのモノフルオロエチレンカーボネート(FEC)と、鎖状カーボネートとしてのメチル−2,2,2−トリフルオロエチルカーボネート(MTFEC)とを50:50の体積比で含む混合溶媒中に、リチウム塩としてのLiPF6を1.0mol/Lの濃度となるように溶解させ、撹拌・混合して非水電解液を調製した。
環状カーボネートとしてのモノフルオロエチレンカーボネート(FEC)と、鎖状カーボネートとしてのメチル−2,2,2−トリフルオロエチルカーボネート(MTFEC)とを50:50の体積比で含む混合溶媒中に、リチウム塩としてのLiPF6を1.0mol/Lの濃度となるように溶解させ、撹拌・混合して非水電解液を調製した。
〈リチウムイオン二次電池の構築〉
上記作製した正極と負極とを電池の設計容量が13.4mAhとなるように切り出し、サイズを調整した。この正極と負極を、セパレータを介して積層し、電極体を作製した。なお、セパレータとしては、ポリエチレン(PE)/ポリプロピレン(PP)/ポリエチレン(PE)からなる三層構造の多孔質フィルムを用いた。
次に、上記電極体と上記非水電解液とをラミネート製の電池ケースに収容した後、封止して、評価用のリチウムイオン二次電池を構築した。
上記作製した正極と負極とを電池の設計容量が13.4mAhとなるように切り出し、サイズを調整した。この正極と負極を、セパレータを介して積層し、電極体を作製した。なお、セパレータとしては、ポリエチレン(PE)/ポリプロピレン(PP)/ポリエチレン(PE)からなる三層構造の多孔質フィルムを用いた。
次に、上記電極体と上記非水電解液とをラミネート製の電池ケースに収容した後、封止して、評価用のリチウムイオン二次電池を構築した。
〈初期容量の確認〉
上記構築したリチウムイオン二次電池に対して、25℃の温度環境下で、以下の充放電操作を3サイクル繰り返し、コンディショニング処理を施した。
(1)1/5Cのレートで4.9Vまで定電流(CC)充電する。
(2)1/5Cのレートで3.5VまでCC放電する。
その後、1/5Cのレートで4.9VまでCC充電を行い、続いて同電圧で電流が1/50Cとなるまで定電圧(CV)充電し、満充電状態とした。そして、1/5Cのレートで3.5VまでCC放電したときのCC放電容量を初期放電容量とした。結果を表1に示す。なお、以下では、この初期放電容量をSOC100%(満充電)とする。
上記構築したリチウムイオン二次電池に対して、25℃の温度環境下で、以下の充放電操作を3サイクル繰り返し、コンディショニング処理を施した。
(1)1/5Cのレートで4.9Vまで定電流(CC)充電する。
(2)1/5Cのレートで3.5VまでCC放電する。
その後、1/5Cのレートで4.9VまでCC充電を行い、続いて同電圧で電流が1/50Cとなるまで定電圧(CV)充電し、満充電状態とした。そして、1/5Cのレートで3.5VまでCC放電したときのCC放電容量を初期放電容量とした。結果を表1に示す。なお、以下では、この初期放電容量をSOC100%(満充電)とする。
〈抵抗測定〉
25℃の温度環境下で、上記初期容量確認後の電池を完全に放電させた(SOC0%とした)後、1/5CのレートでCC充電してSOC60%の状態に調整した。この電池を、−10℃の恒温槽に移動し、交流インピーダンス測定を行った。そして、得られたCole−Coleプロットの円弧部分の直径を抵抗Rctとして算出した。結果を表1に示す。なお、表1には、例1のチタン酸バリウム無添加の場合の抵抗を基準とした抵抗低減率を示している。この数値が大きいほど抵抗が低減されているといえる。逆にこの数値がマイナスの場合は、例1のチタン酸バリウム無添加の場合よりも抵抗が増大しているといえる。
25℃の温度環境下で、上記初期容量確認後の電池を完全に放電させた(SOC0%とした)後、1/5CのレートでCC充電してSOC60%の状態に調整した。この電池を、−10℃の恒温槽に移動し、交流インピーダンス測定を行った。そして、得られたCole−Coleプロットの円弧部分の直径を抵抗Rctとして算出した。結果を表1に示す。なお、表1には、例1のチタン酸バリウム無添加の場合の抵抗を基準とした抵抗低減率を示している。この数値が大きいほど抵抗が低減されているといえる。逆にこの数値がマイナスの場合は、例1のチタン酸バリウム無添加の場合よりも抵抗が増大しているといえる。
表1に示すように、初期放電容量は全ての例で概ね同等だった。このことから、初期容量に関しては、負極活物質(炭素材料)の表面をチタン酸バリウムで被覆しても大きな影響が無いことがわかった。
また、図1には、複合粒子表面の被覆率Yと反応抵抗の低減率との関係を表す。表1および図1に示すように、被覆率Yが17〜40%の範囲にある例3〜例5では抵抗低減率が20%以上となり、大幅な抵抗の低減が認められた。この理由としては、17≦Yを満たすことで、溶媒和したリチウムイオンの解離がより良く促進されたことが考えられる。また、Y≦40を満たすことで、炭素材料の表面に充放電の反応場が適切に確保され、脱溶媒和したリチウムイオンが十分に反応できたことが考えられる。
以上のことから、負極に、炭素粉末の表面の一部がチタン酸バリウムで被覆された形態の複合粒子を含み、且つ、当該複合粒子の表面において炭素元素とチタン元素の合計に占める前記チタン元素の割合(つまり、上記被覆率Y)を17〜40%とすることで、抵抗低減の効果を高いレベルで発揮することができる。かかる結果は、本発明の技術的意義を示すものである。
また、図1には、複合粒子表面の被覆率Yと反応抵抗の低減率との関係を表す。表1および図1に示すように、被覆率Yが17〜40%の範囲にある例3〜例5では抵抗低減率が20%以上となり、大幅な抵抗の低減が認められた。この理由としては、17≦Yを満たすことで、溶媒和したリチウムイオンの解離がより良く促進されたことが考えられる。また、Y≦40を満たすことで、炭素材料の表面に充放電の反応場が適切に確保され、脱溶媒和したリチウムイオンが十分に反応できたことが考えられる。
以上のことから、負極に、炭素粉末の表面の一部がチタン酸バリウムで被覆された形態の複合粒子を含み、且つ、当該複合粒子の表面において炭素元素とチタン元素の合計に占める前記チタン元素の割合(つまり、上記被覆率Y)を17〜40%とすることで、抵抗低減の効果を高いレベルで発揮することができる。かかる結果は、本発明の技術的意義を示すものである。
以上、本発明を詳細に説明したが、上記実施形態および実施例は例示にすぎず、ここに開示される発明には上述の具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
Claims (1)
- 正極活物質層を備える正極と、負極活物質層を備える負極と、非水電解液と、を有するリチウムイオン二次電池であって、
前記非水電解液は、非水溶媒によって溶媒和されたリチウムイオンを含み、
前記負極活物質層は、炭素粉末の表面の一部がチタン酸バリウムで被覆された形態の複合粒子を含み、当該複合粒子の表面において炭素元素とチタン元素の合計に占める前記チタン元素の割合は17〜40%である、リチウムイオン二次電池。
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2015
- 2015-01-19 JP JP2015007712A patent/JP2016134267A/ja active Pending
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