JP2017091683A - 非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法及び非水電解質二次電池の製造方法 - Google Patents

非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法及び非水電解質二次電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電池容量を増加させ、初回効率及びサイクル特性を向上させることが可能な非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法を提供する。【解決手段】リチウムを含むケイ素化合物粒子を含む非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法であって、ケイ素化合物(SiOx:0.5≦x≦1.6)を含むケイ素化合物粒子を準備する工程と、該ケイ素化合物粒子に、第一のリチウム源としてリチウム単体及びリチウム化合物のいずれか一種以上を混合し、加熱し、第一のリチウム含有ケイ素化合物粒子を得る工程と、該第一のリチウム含有ケイ素化合物粒子に、第二のリチウム源を用い、電気化学的方法でリチウムを挿入し、第二のリチウム含有ケイ素化合物粒子を得る工程とを含むことを特徴とする非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法及び非水電解質二次電池の製造方法に関する。
近年、モバイル端末などに代表される小型の電子機器が広く普及しており、さらなる小型化、軽量化、及び長寿命化が強く求められている。このような市場要求に対し、特に小型かつ軽量で高エネルギー密度を得ることが可能な二次電池の開発が進められている。この二次電池は、小型の電子機器に限らず、自動車などに代表される大型の電子機器、家屋などに代表される電力貯蔵システムへの適用も検討されている。
その中でも、リチウムイオン二次電池は小型かつ高容量化が行いやすく、また、鉛電池、ニッケルカドミウム電池よりも高いエネルギー密度が得られるため、大いに期待されている。
リチウムイオン二次電池は、正極及び負極、セパレータと共に電解液を備えている。この負極は充放電反応に関わる負極活物質を含んでいる。
負極活物質としては、炭素材料が広く使用されている一方で、最近の市場要求から、電池容量のさらなる向上が求められている。電池容量向上の要素として、負極活物質材として、ケイ素を用いることが検討されている。ケイ素の理論容量(4199mAh/g)は黒鉛の理論容量(372mAh/g)よりも10倍以上大きいため、電池容量の大幅な向上が期待できるからである。負極活物質としてのケイ素材の開発はケイ素単体だけではなく、合金、酸化物に代表される化合物などについても検討されている。活物質形状は炭素材で標準的な塗布型から、集電体に直接堆積する一体型まで検討されている。
しかしながら、負極活物質としてケイ素を主原料として用いると、充放電時に負極活物質粒子が膨張収縮するため、主に負極活物質粒子の表層近傍が割れやすくなる。また、活物質内部にイオン性物質が生成し、負極活物質粒子が割れやすくなる。負極活物質粒子の表層が割れることで新生面が生じ、負極活物質粒子の反応面積が増加する。この時、新生面において電解液の分解反応が生じるとともに、新生面に電解液の分解物である被膜が形成されるため電解液が消費される。このため、電池のサイクル特性が低下しやすくなる。
これまでに、電池の初期効率やサイクル特性を向上させるために、ケイ素材を主材としたリチウムイオン二次電池用負極材料、電極構成についてさまざまな検討が成されている。
具体的には、良好なサイクル特性や高い安全性を得る目的で、気相法を用いケイ素及びアモルファス二酸化ケイ素を同時に堆積させている(例えば、特許文献1参照)。また、高い電池容量や安全性を得るために、ケイ素酸化物粒子の表層に炭素材(電子伝導材)を設けている(例えば、特許文献2参照)。さらに、サイクル特性を改善するとともに高入出力特性を得るために、ケイ素及び酸素を含有する活物質を作製し、かつ集電体近傍での酸素比率が高い活物質層を形成している(例えば、特許文献3参照)。また、サイクル特性を向上させるために、ケイ素活物質中に酸素を含有させ、平均酸素含有量が40at%以下であり、かつ集電体に近い場所で酸素含有量が多くなるように形成している(例えば、特許文献4参照)。
また、初回充放電効率を改善するためにSi相、SiO、MO金属酸化物を含有するナノ複合体を用いている(例えば、特許文献5参照)。また、初回充放電効率を改善するためにLi含有物を負極に添加し、負極電位が高いところでLiを分解しLiを正極に戻すプレドープを行っている(例えば、特許文献6参照)。
また、サイクル特性改善のため、SiOx(0.8≦x≦1.5、粒径範囲=1μm〜50μm)と炭素材を混合し高温焼成している(例えば、特許文献7参照)。また、サイクル特性改善のために、負極活物質中におけるケイ素に対する酸素のモル比を0.1〜1.2とし、活物質と集電体との界面近傍における、ケイ素量に対する酸素量のモル比の最大値と最小値との差が0.4以下となる範囲で活物質の制御を行っている(例えば、特許文献8参照)。また、電池負荷特性を向上させるため、リチウムを含有した金属酸化物を用いている(例えば、特許文献9参照)。また、サイクル特性を改善させるために、ケイ素材表層にシラン化合物などの疎水層を形成している(例えば、特許文献10参照)。
また、サイクル特性改善のため、酸化ケイ素を用い、その表層に黒鉛被膜を形成することで導電性を付与している(例えば、特許文献11参照)。この場合、特許文献11では、黒鉛被膜に関するラマンスペクトルから得られるシフト値に関して、1330cm−1及び1580cm−1にブロードなピークが現れるとともに、それらの強度比I1330/I1580が1.5<I1330/I1580<3である。
また、高い電池容量、サイクル特性の改善のため、二酸化ケイ素中に分散されたケイ素微結晶相を有する粒子を用いている(例えば、特許文献12参照)。また、過充電、過放電特性を向上させるために、ケイ素と酸素の原子数比を1:y(0<y<2)と制御したケイ素酸化物を用いている(例えば、特許文献13参照)。
また、高い電池容量、初回効率改善のため、合金系の材料をアルカリ金属及び多環芳香族化合物を含む溶液に接触させ、さらに、アルカリ金属元素を脱離する液体に浸す方法がある(例えば、特許文献14参照)。
特開2001−185127号公報 特開2002−042806号公報 特開2006−164954号公報 特開2006−114454号公報 特開2009−070825号公報 特表2013−513206号公報 特開2008−282819号公報 特開2008−251369号公報 特開2008−177346号公報 特開2007−234255号公報 特開2009−212074号公報 特開2009−205950号公報 特許第2997741号公報 特開2005−235439号公報
上述のように、近年、モバイル端末などに代表される小型の電子機器は高性能化、多機能化がすすめられており、その主電源である二次電池、特にリチウムイオン二次電池は電池容量の増加が求められている。この問題を解決する1つの手法として、ケイ素材を主材として用いた負極からなる非水電解質二次電池の開発が望まれている。また、ケイ素材を用いた非水電解質二次電池は炭素材を用いた非水電解質二次電池と同等に近いサイクル特性が望まれている。
そこで、熱的なLi挿入反応、電気的なLi挿入反応などをそれぞれ単独で用いて、電池のサイクル維持率、及び初回効率を改善してきた。しかしながら、改質後のケイ素酸化物はLiを用いて改質されたため、比較的耐水性が低い。そのため、負極の製造時に作製する、改質後のケイ素酸化物を含むスラリーの安定化が不十分となりやすいという問題があった。
本発明は前述のような問題に鑑みてなされたもので、電池容量を増加させ、初回効率及びサイクル特性を向上させることが可能な非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法を提供することを目的とする。また、そのような非水電解質二次電池用負極活物質を用いる非水電解質二次電池の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、リチウムを含むケイ素化合物粒子を含む非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法であって、
ケイ素化合物(SiO:0.5≦x≦1.6)を含むケイ素化合物粒子を準備する工程と、
該ケイ素化合物粒子に、第一のリチウム源としてリチウム単体及びリチウム化合物のいずれか一種以上を混合し、加熱し、第一のリチウム含有ケイ素化合物粒子を得る工程と、
該第一のリチウム含有ケイ素化合物粒子に、第二のリチウム源を用い、電気化学的方法でリチウムを挿入し、第二のリチウム含有ケイ素化合物粒子を得る工程と
を含むことを特徴とする非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法を提供する。
このような本発明の負極活物質の製造方法で製造されたリチウムを含むケイ素化合物粒子を含む負極活物質は、ケイ素化合物を主体とするケイ素系活物質であるので、電池容量を大きくすることができる。また、このケイ素化合物が一般式SiO(但し、0.5≦x≦1.6)で表されるものであり、かつ、ケイ素化合物粒子がリチウムを含むものであるため、サイクル特性を向上させることができる。
また、本発明の負極活物質の製造方法では、リチウム(Li)を挿入する工程として、第一のリチウム含有ケイ素化合物粒子を得る工程(以下、熱的Li挿入工程とも称する)と第二のリチウム含有ケイ素化合物粒子を得る工程(以下、電気化学的Li挿入工程とも称する)の2種類を経ることで、ケイ素化合物粒子内の異なったサイトの不可逆容量を選択的に改質することが可能である。これによって、当該負極活物質を用いた非水電解質二次電池の初回効率を向上させ、さらにLi挿入によるケイ素結晶子の成長、スラリー化時のゲル化を防ぐことが可能である。さらに、熱的Li挿入工程を先に行い、続けて電気化学的Li挿入工程を行うことで、電気化学的Li挿入工程で生成した熱に弱いLi含有化学種が、加熱により破壊されるのを防ぐことができる。
また、前記第一のリチウム含有ケイ素化合物粒子を得る工程より前に、前記ケイ素化合物粒子に、炭素被膜を形成する工程を有することが好ましい。
このようにケイ素化合物粒子が炭素被膜を有することで、Li挿入による導電性の低下にある程度歯止めをかけることができる。
また、前記ケイ素化合物粒子を準備する工程において、前記ケイ素化合物粒子として、ケイ素の結晶子サイズが3nm以上10nm以下であるものを準備することが好ましい。
このように、ケイ素化合物粒子におけるSi結晶子サイズを適度に調整することで、初回効率を高め、サイクル特性を維持することができる。
また、前記第二のリチウム含有ケイ素化合物粒子のリチウム含有量を8質量%以上30質量%以下とすることが好ましい。
このように第二のリチウム含有ケイ素化合物粒子のリチウム含有量を適度に調整することで、初回効率を高めつつ、放電容量を適度に調整することができる。
また、前記第一のリチウム含有ケイ素化合物粒子を得る工程において、加熱温度を400℃以上とすることが好ましい。この際の加熱温度は、より好ましくは400℃以上800℃以下、特に好ましくは600℃以上800℃以下である。
加熱温度を上記の範囲内とすることで、ケイ素化合物粒子内でのケイ素の結晶成長を抑え、サイクル維持率が悪化するのを防ぐことができる。また、リチウムを十分挿入することができ、初回効率を十分向上させることができる。
また、前記第一のリチウム含有ケイ素化合物粒子を得る工程において、前記第一のリチウム源として金属リチウム、水素化リチウム及び窒化リチウムのうちの少なくとも一つを用いることが好ましい。
上記のリチウム源は活性が高く、リチウム挿入反応がより進みやすいため、第一のリチウム源として上記のリチウム源を用いることが好ましい。
また、前記第二のリチウム含有ケイ素化合物粒子を得る工程において、前記第二のリチウム源として金属リチウム、遷移金属リチウムリン酸塩、(Ni,Co,Mn)リチウム酸化物、硝酸リチウム及びハロゲン化リチウムのうちの少なくとも一つを用いることが好ましい。
このように電気化学的Li挿入工程において上記のリチウム源を用いることで、電気化学的改質時に大きな過電圧がかからず、副反応が抑制される。
更に本発明では、上記本発明の非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法で非水電解質二次電池用負極活物質を製造し、該非水電解質二次電池用負極活物質を含む電極を用いて非水電解質二次電池を製造することを特徴とする非水電解質二次電池の製造方法を提供する。
上述のように、本発明の負極活物質の製造方法では、ケイ素化合物粒子内の異なったサイトの不可逆容量を選択的に改質することが可能である。これによって、当該負極活物質を用いた非水電解質二次電池の初回効率を向上させ、さらにLi挿入によるケイ素結晶子の成長、スラリー化時のゲル化を防ぐことが可能である。従って、当該負極活物質を含む電極(負極)を用いて製造された非水電解質二次電池は、良好な電池特性を有するものとなる。
本発明の負極活物質の製造方法は、非水電解質二次電池に用いた際に、高容量で良好なサイクル特性及び初期充放電特性が得られる負極活物質を製造できる。
また、本発明の負極活物質の製造方法により製造された負極活物質を含む二次電池においても同様の特性を得ることができる。また、この二次電池を用いた電子機器、電動工具、電気自動車及び電力貯蔵システムなどでも同様の効果を得ることができる。
本発明の非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法の一例を示すフロー図である。 本発明の負極活物質の製造方法で製造された非水電解質二次電池用負極活物質を用いた負極の構成の一例を示す概略断面図である。 本発明の負極活物質の製造方法の電気化学的Li挿入工程において用いる電気化学的Liドープ改質装置の一例を示す概略図である。 本発明の二次電池の製造方法を用いて製造される非水電解質二次電池(ラミネートフィルム型リチウムイオン二次電池)の構成の一例を示す分解図である。
以下、本発明をより詳細に説明する。
前述のように、非水電解質二次電池の電池容量を増加させる1つの手法として、ケイ素材を主材として用いた負極を非水電解質二次電池の負極として用いることが検討されている。
このケイ素材を用いた非水電解質二次電池は、炭素材を用いた非水電解質二次電池と同等に近いサイクル特性が望まれているが、炭素材を用いた非水電解質二次電池と同等のサイクル安定性を示す負極材は提案されていなかった。また、特に酸素を含むケイ素化合物は、炭素材と比較し初回効率が低いため、その分電池容量の向上は限定的であった。
そこで、Liの挿入、一部脱離により改質されたケイ素酸化物を負極活物質として使用することで、電池のサイクル維持率、及び初回効率を改善してきた。しかしながら、熱的なLi挿入反応のみを用いてLi挿入を行うと、Liの挿入に伴い、ケイ素化合物中のケイ素結晶子が成長し、サイクル特性が悪化し、また、電気的なLi挿入反応のみを用いてLi挿入を行うと、Liの挿入によってケイ素化合物粒子内に生成したLi含有化学種が、負極スラリー作製時にアルカリ性を高め、バインダ(結着剤)の分子鎖を切断し、スラリーの低粘度化を招いたり、負極スラリーのバインダ、溶媒分子と反応したりし、スラリー化が難しいという問題があった。
そこで、本発明者らは、非水電解質二次電池に用いた際に、高い電池容量が得られ、良好なサイクル特性及び初回効率が得られる負極活物質の製造方法について鋭意検討を重ね、本発明に至った。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1は、本発明の非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法の一例を示すフロー図である。
まず、実施手順の全体の流れについて述べる。本発明の非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法では、図1に示すように、まず、ケイ素化合物(SiO:0.5≦x≦1.6)を含むケイ素化合物粒子を準備する(工程1)。
次に、図1に示すように、工程1で準備したケイ素化合物粒子と、炭素材料を複合化することができる(工程2)。ただし、この工程は必須ではない。
続いて、図1に示すように、工程1で準備したケイ素化合物粒子又は工程2で炭素材料を複合化したケイ素化合物粒子に、第一のリチウム源としてリチウム単体(金属リチウム)及びリチウム化合物のいずれか一種以上を混合し、加熱し、第一のリチウム含有ケイ素化合物粒子を得る(工程3:熱的Li挿入工程)。
続いて、図1に示すように、熱的にリチウムが挿入されたケイ素化合物粒子に、第二のリチウム源を用い、電気化学的方法でリチウムを挿入し、第二のリチウム含有ケイ素化合物粒子を得る(工程4:電気化学的Li挿入工程)。
このような本発明の負極活物質の製造方法で製造されたリチウムを含むケイ素化合物粒子を含む負極活物質は、ケイ素化合物を主体とするケイ素系活物質であるので、電池容量を大きくすることができる。また、このケイ素化合物が一般式SiO(但し、0.5≦x≦1.6)で表されるものであり、かつ、ケイ素化合物粒子がリチウムを含むものであるため、サイクル特性を向上させることができる。また、ケイ素化合物粒子に、Liを含ませることで、ケイ素系活物質を含む電池の初回充放電に際し、不可逆容量が低減される。
また、本発明の負極活物質の製造方法では、熱的Li挿入工程と電気化学的Li挿入工程とで、異なったサイトにLiが挿入されるため、この2種類のLi挿入工程を経ることで、ケイ素化合物粒子内の異なったサイトの不可逆容量を選択的に改質することが可能である。これによって、当該負極活物質を用いた非水電解質二次電池の初回効率を向上させることが可能である。
また、本発明の負極活物質の製造方法が、熱的Li挿入工程の後、電気化学的Li挿入工程を行うことで、ケイ素化合物粒子内に生成したLi含有化学種の活性を落としながら、初回効率の向上を実現している。このように、2種類のLi挿入工程を経ることで、それぞれのLi挿入工程のメリットを生かしつつ、デメリットを軽減することができる。例えば、当該負極活物質は、Li挿入工程として熱的Li挿入工程のみを行って得られた負極活物質に比べて、ケイ素結晶子の成長が緩和されたものとなる。また、当該負極活物質は、Li挿入工程として電気化学的Li挿入工程のみを行って得られた負極活物質に比べて、ケイ素化合物粒子内に熱力学的に安定なLi化合物(Li含有化学種)を多く含むものとなる。これにより、当該負極活物質をバインダ、溶媒等と混合し負極スラリーを作製した際、このLi化合物がスラリーのアルカリ性を高め、バインダの分子鎖を切断し、スラリーの低粘度化を招いたり、このLi化合物がこれらのバインダ、溶媒分子等と反応し、スラリーがゲル化したり、反応熱で過熱するのを防ぐことができる。なお、電気化学的Li挿入工程の後に熱的Li挿入工程を行うと、十分に初回効率を向上させることができない。これは、電気化学的方法でLiを挿入した場合、ケイ素化合物粒子内に熱によって失活してしまうLi含有化学種が生成するためである。
続いて、本発明の負極活物質の製造方法をより具体的に説明する。
<1.負極活物質の製造方法>
まず、ケイ素化合物(SiO:0.5≦x≦1.6)を含むケイ素化合物粒子を準備する(工程1)。このような、一般式SiO(但し、0.5≦x≦1.6)で表されるケイ素化合物は、例えば、以下のような手法により作製できる。まず、酸化珪素ガスを発生する原料を不活性ガスの存在下もしくは減圧下900℃〜1600℃の温度範囲で加熱し、酸化ケイ素ガスを発生させる。この場合、原料は金属珪素粉末と二酸化珪素粉末との混合物を用いることができ、金属珪素粉末の表面酸素及び反応炉中の微量酸素の存在を考慮すると、混合モル比が、0.8<金属珪素粉末/二酸化珪素粉末<1.3の範囲であることが望ましい。原料から発生したガスは吸着板に堆積される。続いて、反応炉内温度を100℃以下に下げた状態で堆積物を取出し、ボールミル、ジェットミルなどを用いて粉砕、粉末化を行う。なお、ケイ素化合物粒子におけるSi結晶子のサイズなどの結晶性は、仕込み範囲(混合モル比)や原料の加熱温度を調整することによって制御することができる。また、結晶性はケイ素化合物粒子の生成後、熱処理することで制御することもできる。
この工程1において、ケイ素化合物粒子として、ケイ素の結晶子サイズが3nm以上10nm以下であるものを準備することが好ましい。結晶子サイズが10nm以下であると、充放電に伴うケイ素化合物粒子の膨張収縮が小さくなり、容量維持率が増加する。結晶子サイズが3nm以上であると、Li挿入による初回効率の向上率が十分なものとなる。従って、結晶子サイズをこの範囲内とすることで、容量維持率及び初回効率を向上させることができる。なお、この結晶子サイズは、X線回折により得られるSi(111)結晶面に起因する回折ピークの半価幅(半値幅)より算出することができる。
また、作製するケイ素化合物の組成としてはxが1に近い方が好ましい。これは、高いサイクル特性が得られるからである。また、本発明におけるケイ素化合物の組成は必ずしも純度100%を意味しているわけではなく、微量の不純物元素を含んでいても良い。
また、ケイ素化合物粒子には炭素材料が複合化されていてもよい(工程2)。複合化の方法としては、熱CVD(Chemical Vapor Deposition)法によりケイ素化合物粒子の表面に炭素被膜を作製する方法や、物理的にケイ素化合物粒子と炭素材料を混合する方法などがある。ケイ素化合物粒子に炭素材料を複合化することで、高い導電性を付与することが可能である。特に、ケイ素化合物粒子が炭素被膜を有することで、Li挿入による導電性の低下にある程度歯止めをかけることができる。
特に、ケイ素化合物粒子の表面に炭素被膜を生成する手法としては、熱CVD法が望ましい。熱CVD法では、まず、ケイ素化合物粒子を炉内にセットする。続いて、炉内に炭化水素ガスを充満させ炉内温度を昇温させる。炉内温度を上昇させることで、炭化水素ガスが分解し、ケイ素化合物粒子の表面に炭素被膜が形成される。炭化水素ガスの分解温度は、特に限定されないが、1200℃以下が望ましく、特に望ましいのは1050℃以下である。これは、ケイ素化合物粒子の意図しない不均化を抑制することが可能であるからである。
熱CVD法によって炭素被膜を生成する場合、例えば、炉内の圧力、温度を調節することによって、炭素被膜の被覆率や厚さを調節しながら炭素被膜を粉末材料の表層に形成することができる。
熱CVD法で使用する炭化水素ガスは特に限定することはないが、C組成のうち3≧nが望ましい。製造コストを低くすることができ、分解生成物の物性が良いからである。
続いて、工程1で準備したケイ素化合物粒子又は工程2で炭素材料を複合化したケイ素化合物粒子に、第一のリチウム源としてリチウム単体及びリチウム化合物のいずれか一種以上を混合し、加熱し、第一のリチウム含有ケイ素化合物粒子を得る(工程3)。
このように、ケイ素化合物粒子と第一のリチウム源を混合し、加熱することで、ケイ素化合物粒子へのLi挿入を行い、内部までLiを拡散させることができる。これは、加熱により、Li原子がケイ素化合物粒子内を拡散するのに十分なエネルギーを与えているためである。これによって、Li化合物がケイ素化合物粒子内に生成するとともに、当該Li化合物がある程度熱力学的に安定な化学種となる。従って、このようにして得られた第一のリチウム含有ケイ素化合物粒子は、その先の工程で安全に取り扱うことができる。
熱的Li挿入工程は、例えば、ケイ素化合物粒子を、不活性雰囲気下で第一のリチウム源と混合し、得られた混合物をるつぼに仕込んで加熱することで実施することができる。
熱的Li挿入工程においては、加熱温度を400℃以上とすることが好ましい。この際の加熱温度は、より好ましくは400℃以上800℃以下、特に好ましくは600℃以上800℃以下である。加熱温度が800℃以下であれば、ケイ素化合物粒子内でのケイ素の結晶成長を抑え、サイクル維持率が悪化するのを防ぐことができる。加熱温度が400℃以上であれば、熱的に安定なLi化合物が生成し、水系スラリーに適用した場合でも、初回効率を十分向上させることができる。
また、熱的Li挿入工程において、ケイ素化合物粒子と混合する物質、すなわち第一のリチウム源としては、リチウム単体、リチウム化合物(例えば、リチウム塩)又はこれらの混合物を用いる。具体的には、金属リチウム、水素化リチウム、窒化リチウム、炭酸リチウム、酸化リチウム、過酸化リチウム、硝酸リチウム、硫酸リチウム、水素化リチウムアルミニウムなどが挙げられる。これらは一種単独でも二種以上を組み合わせても使用できる。中でも、第一のリチウム源として金属リチウム、水素化リチウム及び窒化リチウムのうちの少なくとも一つを用いることが好ましい。上記のリチウム源は活性が高く、リチウム挿入反応がより進みやすいためである。なお、本発明においては、少なくとも一部にリチウム化合物などを含むものであれば、第一のリチウム源として用いることができる。
これらの物質は、粉末状であることが好ましく、ケイ素化合物粒子の100倍以下の平均粒径となっていることが好ましい。これによってケイ素化合物粒子との混合状態が良好となるためである。
第一のリチウム源は、ケイ素化合物粒子に対して、リチウム換算で3質量%以上20質量%以下用いることが好ましい。3質量%以上の量であれば、十分な初回効率の向上が望め、また20質量%以下であれば、熱的Li挿入工程において、加熱温度を過度に高めたり、加熱時間を過度に長くしたりする必要もないため、ケイ素化合物粒子内でのケイ素結晶子の成長が進むのを防ぐことができ、サイクル維持率の悪化を防ぐことができる。
次に、混合、加熱によって得られた第一のリチウム含有ケイ素化合物粒子に、第二のリチウム源を用い、電気化学的方法でリチウムを挿入し、第二のリチウム含有ケイ素化合物粒子を得る(工程4)。このように電気化学的方法でLiを挿入することで、熱的方法で挿入したLiと異なったサイトにLiが挿入されるため、さらなる初回効率の向上が可能になるとともに、熱的方法でのケイ素結晶子の成長を緩和することが可能である。
工程4でLiを挿入する方法は電気化学的方法であればよく、例えば、図3に示す電気化学的Liドープ改質装置20を用いて、Liを挿入することができる。電気化学的Liドープ改質装置20は、溶媒23で満たされた浴槽27と、浴槽27内に配置され、電源26の一方に接続された陽電極21と、浴槽27内に配置され、電源26の他方に接続された粉末格納容器25と、陽電極21と粉末格納容器25との間に設けられたセパレータ24とを有している。粉末格納容器25には、第一のリチウム含有ケイ素化合物粒子22が格納される。
このとき用いる第二のリチウム源としては、リチウム単体、リチウム化合物などが挙げられる。具体的には、金属リチウム、遷移金属リチウムリン酸塩、(Ni,Co,Mn)リチウム酸化物(Ni、Co及びMnのいずれか一種以上を含むリチウム酸化物)、硝酸リチウム、ハロゲン化リチウムなどが挙げられる。より具体的には、金属リチウム、コバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、リン酸コバルトリチウム、リン酸バナジウムリチウム、ニッケルコバルト酸リチウム、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム、マンガン酸リチウム、硝酸リチウム、塩化リチウムなどが挙げられる。このように電気化学的Li挿入工程において上記のリチウム源を用いることで、電気化学的改質時に大きな過電圧がかからず、副反応が抑制される。これらは一種単独でも二種以上を組み合わせても使用できる。なお、これら第二のリチウム源の形態は問わない。例えば対極(陽電極21)として用いてもよく、電解質として用いてもよい。また、第一のリチウム源と第二のリチウム源は同じであっても良いし異なっていても良い。
このとき、電気化学的改質を行う際に用いる溶媒23としては、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジオキサン、ジグリム、トリグリム、テトラグリム及びこれらの混合物などが挙げられる。また、溶媒23に含まれる電解質としては、LiBF,LiPF,LiClO及びこれらの誘導体など、Li源も兼ねる電解質としては、LiNO,LiClなどを用いることができる。
このとき、電気化学的改質の際に、Liの挿入後、脱離過程を含んでもよい。これによって挿入するLi量を調整することが可能である。挿入するLi量は特に限定されないが、第二のリチウム含有ケイ素化合物粒子のリチウム含有量(熱的Li挿入工程と電気化学的Li挿入工程におけるLi挿入量の合計)を、ケイ素化合物粒子に対して、リチウム換算で8質量%以上30質量%以下とすることが好ましい。リチウム含有量が8%以上であると、初回効率が十分向上する。また、リチウム含有量が30%以下であると、1000mAh/g以上の高い初回放電容量を有する非水電解質二次電池を製造できる。従って、初回効率と初回放電容量のバランスをとるため、これらの間にリチウム含有量を調整することが好ましい。
また、得られた第二のリチウム含有ケイ素化合物粒子に、水洗などを行い、余分なLiを落とす工程を行ってもよい。
以上のようにして、本発明の負極活物質の製造方法により負極活物質を製造できる。このようにして製造した負極活物質は、以下に説明するような負極を構成するものとすることができる。
<2.非水電解質二次電池用負極の製造方法>
[負極の構成]
図2に示すように、負極10は、負極集電体11の上に負極活物質層12を有する構成になっている。この負極活物質層12は負極集電体11の両面、又は、片面だけに設けられていても良い。
[負極集電体]
負極集電体は、優れた導電性材料であり、かつ、機械的な強度に長けた物で構成される。負極集電体11に用いることができる導電性材料として、例えば銅(Cu)やニッケル(Ni)が挙げられる。この導電性材料は、リチウム(Li)と金属間化合物を形成しない材料であることが好ましい。
負極集電体11は、主元素以外に炭素(C)や硫黄(S)を含んでいることが好ましい。これは、負極集電体11の物理的強度が向上するためである。特に、充電時に膨張する活物質層を有する場合、負極集電体が上記の元素を含んでいれば、負極集電体を含む電極の変形を抑制する効果があるからである。上記の含有元素の含有量は、特に限定されないが、中でも、それぞれ100ppm以下であることが好ましい。より高い変形抑制効果が得られるからである。
負極集電体11の表面は、粗化されていても、粗化されていなくても良い。表面を粗化されている負極集電体は、例えば、電解処理、エンボス処理、又は化学エッチングされた金属箔などである。表面を粗化されていない負極集電体は例えば、圧延金属箔などである。
[負極活物質層]
本発明の負極活物質の製造方法で製造されたケイ素系活物質は、負極活物質層12を構成する材料となる。負極活物質層12は、ケイ素系活物質を含んでおり、電池設計上、さらに負極結着剤や負極導電助剤など、他の材料を含んでいても良い。負極活物質として、ケイ素系活物質の他に、炭素系活物質なども含んでいても良い。
このような負極は、上述の本発明の負極活物質の製造方法により製造したケイ素系活物質を使用した塗布法により製造することができる。塗布法とはケイ素系活物質粒子と下記の結着剤など、また必要に応じて下記の導電助剤、炭素系活物質を混合したのち、有機溶剤や水などに分散させ塗布する方法である。
この場合、まず、本発明の負極活物質の製造方法により製造したケイ素系活物質と、導電助剤、結着剤、及び水などの溶媒とを混合し、水系スラリーを得る。このとき、必要に応じて、炭素系活物質も混合しても良い。次に、水系スラリーを負極集電体11の表面に塗布し、乾燥させて、図2の負極活物質層12を形成する。
導電助剤としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、鱗片状黒鉛等の黒鉛、ケチェンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバーなどのうちいずれか1種以上を使用できる。これらの導電助剤は、リチウムを含むケイ素化合物粒子よりもメディアン径の小さい粒子状のものであることが好ましい。その場合、例えば、導電助剤としてアセチレンブラックを選択することができる。
また、結着剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、スチレンブタジエンゴム、ポリアクリル酸などを使用することができる。
また、炭素系活物質としては、例えば、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素繊維、有機高分子化合物焼成体、カーボンブラック類などを使用できる。これにより、負極活物質層12の電気抵抗を低下させるとともに、充電に伴う膨張応力を緩和することが可能となる。
<3.非水電解質二次電池の製造方法>
次に、本発明の非水電解質二次電池の製造方法を説明する。本発明の非水電解質二次電池の製造方法は、上記本発明の非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法で非水電解質二次電池用負極活物質を製造し、該非水電解質二次電池用負極活物質を含む電極を用いて非水電解質二次電池を製造する方法である。以下、ラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池(以下、ラミネートフィルム型二次電池と呼称することも有る)を製造する場合を例に、本発明の非水電解質二次電池の製造方法をより具体的に説明する。
[ラミネートフィルム型二次電池の構成]
図4に示すラミネートフィルム型二次電池30は、主にシート状の外装部材35の内部に巻回電極体31が収納されたものである。この巻回電極体31は正極、負極間にセパレータを有し、巻回されたものである。また、正極、負極間にセパレータを有し積層体を収納した場合も存在する。どちらの電極体においても、正極に正極リード32が取り付けられ、負極に負極リード33が取り付けられている。電極体の最外周部は保護テープにより保護されている。
正負極リードは、例えば外装部材35の内部から外部に向かって一方向で導出されている。正極リード32は、例えば、アルミニウムなどの導電性材料により形成され、負極リード33は、例えば、ニッケル、銅などの導電性材料により形成される。
外装部材35は、例えば融着層、金属層、表面保護層がこの順に積層されたラミネートフィルムであり、このラミネートフィルムは融着層が巻回電極体31と対向するように、2枚のフィルムの融着層における外周縁部同士が融着、又は接着剤などで張り合わされている。融着部は、例えばポリエチレンやポリプロピレンなどのフィルムであり、金属部はアルミ箔などである。保護層は例えば、ナイロンなどである。
外装部材35と正負極リードとの間には、外気侵入防止のため密着フィルム34が挿入されている。この材料は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン樹脂である。
[正極]
正極は、例えば、図2の負極10と同様に、正極集電体の両面又は片面に正極活物質層を有している。
正極集電体は、例えば、アルミニウムなどの導電性材により形成されている。
正極活物質層は、リチウムイオンの吸蔵放出可能な正極材のいずれか1種又は2種以上を含んでおり、設計に応じて結着剤、導電助剤、分散剤などの他の材料を含んでいても良い。この場合、結着剤、導電助剤に関する詳細は、例えば既に記述した負極結着剤、負極導電助剤と同様である。
正極材料としては、リチウム含有化合物が望ましい。このリチウム含有化合物は、例えばリチウムと遷移金属元素からなる複合酸化物、又はリチウムと遷移金属元素を有するリン酸化合物が挙げられる。これらの正極材の中でもニッケル、鉄、マンガン、コバルトの少なくとも1種以上を有する化合物が好ましい。これらの化学式として、例えば、LiあるいはLiPOで表される。式中、M、Mは少なくとも1種以上の遷移金属元素を示す。x、yの値は電池充放電状態によって異なる値を示すが、一般的に0.05≦x≦1.10、0.05≦y≦1.10で示される。
リチウムと遷移金属元素とを有する複合酸化物としては、例えば、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)、リチウムニッケル複合酸化物(LiNiO)、リチウムと遷移金属元素とを有するリン酸化合物としては、例えば、リチウム鉄リン酸化合物(LiFePO)あるいはリチウム鉄マンガンリン酸化合物(LiFe1−uMnPO(0<u<1))などが挙げられる。これらの正極材を用いれば、高い電池容量が得られるとともに、優れたサイクル特性も得られるからである。
[負極]
負極は、上記した図2の負極10と同様の構成を有し、例えば、負極集電体11の両面に負極活物質層12を有している。この負極は、正極活物質剤から得られる電気容量(電池としての充電容量)に対して、負極充電容量が大きくなることが好ましい。これは、負極上でのリチウム金属の析出を抑制することができるためである。
正極活物質層は、正極集電体の両面の一部に設けられており、負極活物質層も負極集電体の両面の一部に設けられている。この場合、例えば、負極集電体上に設けられた負極活物質層は対向する正極活物質層が存在しない領域が設けられている。これは、安定した電池設計を行うためである。
非対向領域、即ち、上記の負極活物質層と正極活物質層とが対向しない領域では、充放電の影響をほとんど受けることが無い。そのため負極活物質層の状態が形成直後のまま維持される。これによって負極活物質の組成など、充放電の有無に依存せずに再現性良く組成などを正確に調べることができる。
[セパレータ]
セパレータは正極と負極を隔離し、両極接触に伴う電流短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。このセパレータは、例えば合成樹脂、あるいはセラミックからなる多孔質膜により形成されており、2種以上の多孔質膜が積層された積層構造を有しても良い。合成樹脂として例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンあるいはポリエチレンなどが挙げられる。
[電解液]
活物質層の少なくとも一部、又はセパレータには液状の電解質(電解液)が含浸されている。この電解液は、溶媒中に電解質塩が溶解されており、添加剤など他の材料を含んでいても良い。
溶媒は、例えば非水溶媒を用いることができる。非水溶媒としては、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸メチルプロピル、1,2−ジメトキシエタン、又はテトラヒドロフランが挙げられる。
この中でも、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチルのうちの少なくとも1種以上を用いることが望ましい。より良い特性が得られるからである。またこの場合、炭酸エチレン、炭酸プロピレンなどの高粘度溶媒と、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチルなどの低粘度溶媒を組み合わせるとより優位な特性を得ることができる。これは、電解質塩の解離性やイオン移動度が向上するためである。
溶媒添加物として、不飽和炭素結合環状炭酸エステルを含んでいることが好ましい。充放電時に負極表面に安定な被膜が形成され、電解液の分解反応が抑制できるからである。不飽和炭素結合環状炭酸エステルとして、例えば炭酸ビニレン又は炭酸ビニルエチレンなどが挙げられる。
また、溶媒添加物として、スルトン(環状スルホン酸エステル)を含んでいることが好ましい。電池の化学的安定性が向上するからである。スルトンとしては、例えばプロパンスルトン、プロペンスルトンが挙げられる。
さらに、溶媒は、酸無水物を含んでいることが好ましい。電解液の化学的安定性が向上するからである。酸無水物としては、例えば、プロパンジスルホン酸無水物が挙げられる。
電解質塩は、例えば、リチウム塩などの軽金属塩のいずれか1種類以上含むことができる。リチウム塩として、例えば、次の材料が挙げられる。六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)などが挙げられる。
電解質塩の含有量は、溶媒に対して0.5mol/kg以上2.5mol/kg以下であることが好ましい。高いイオン伝導性が得られるからである。
[ラミネートフィルム型二次電池の製造方法]
最初に上記した正極材を用い正極電極を作製する。まず、正極活物質と、必要に応じて結着剤、導電助剤などを混合し正極合剤としたのち、有機溶剤に分散させ正極合剤スラリーとする。続いて、ナイフロール又はダイヘッドを有するダイコーターなどのコーティング装置で正極集電体に合剤スラリーを塗布し、熱風乾燥させて正極活物質層を得る。最後に、ロールプレス機などで正極活物質層を圧縮成型する。この時、加熱を行っても良い。また、圧縮、加熱を複数回繰り返しても良い。
次に、上記した負極10の作製と同様の作業手順を用い、負極集電体に負極活物質層を形成し負極を作製する(図2を参照)。
正極及び負極を上記した同様の作製手順により作製する。この場合、正極及び負極集電体の両面にそれぞれの活物質層を形成することができる。この時、図2に示すように、どちらの電極においても両面部の活物質塗布長がずれていても良い。
続いて、電解液を調製する。続いて、超音波溶接などにより、正極集電体に、図4の正極リード32を取り付けると共に、負極集電体に負極リード33を取り付ける。続いて、正極と負極とをセパレータを介して積層、又は巻回させて巻回電極体を作製し、その最外周部に保護テープを接着させる。次に、扁平な形状となるように巻回体を成型する。続いて、折りたたんだフィルム状の外装部材35の間に巻回電極体を挟み込んだ後、熱融着法により外装部材の絶縁部同士を接着させ、一方向のみ開放状態にて、巻回電極体を封入する。正極リード32、及び負極リード33と外装部材35の間に密着フィルム34を挿入する。開放部から上記調製した電解液を所定量投入し、真空含浸を行う。含浸後、開放部を真空熱融着法により接着させる。
以上のようにして、ラミネートフィルム型二次電池30を製造することができる。
以下、本発明の実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1−1)
最初に、ケイ素系活物質を以下のように作製した。
まず、金属ケイ素と二酸化ケイ素を混合した原料(気化出発材)を反応炉へ設置し、10Paの真空度の雰囲気中で気化させたものを吸着板上に堆積させ、十分に冷却した後、堆積物(SiO:x=0.5)を取出しジェットミルで粉砕した。その後、メタンガスを用いた熱CVDを行うことで、ケイ素化合物の粒子の表面に炭素被膜を被覆した。
なお、下記表1にも示すように、上記の炭素被膜後のケイ素化合物粒子において、X線回折により得られるSi(111)結晶面に起因する回折ピークの半価幅(半値幅)より算出されるケイ素の結晶子サイズは7.21nmであった。また、炭素の被覆量は、ケイ素化合物粒子に対して、5質量%であった。
続いて、炭素被膜を被覆した後のケイ素化合物粒子に、不活性雰囲気下で金属Li粉末(平均粒径200μm未満)をケイ素化合物粒子に対して4.5質量%混合し、得られた混合物をるつぼに仕込んで700℃で焼成した。
次に、得られた第一のリチウム含有ケイ素化合物粒子を、図3に示す電気化学的Liドープ改質装置20を用いて電気化学的改質を行った。このとき、粉末格納容器25に格納する第一のリチウム含有ケイ素化合物粒子は、スラリー化後、集電体に塗布し、電極状に加工した。また、対極(陽電極21)としてリチウムを用いて電気化学的改質を行った。これにより、粉末格納容器25に格納された第一のリチウム含有ケイ素化合物粒子を、第二のリチウム含有ケイ素化合物粒子に改質した。その後、粉末格納容器25から得られた第二のリチウム含有ケイ素化合物粒子を取り出し、乾燥、解砕した。
次に、第二のリチウム含有ケイ素化合物粒子を洗浄処理し、洗浄処理後の第二のリチウム含有ケイ素化合物粒子を減圧下で乾燥処理した。以上のようにして、ケイ素系活物質(ケイ素系活物質粒子)を製造した。
続いて、上記のように製造したケイ素系活物質を含む電極と対極リチウムから成る試験セルを作製し、初回充放電における初回充放電特性を調べた。この場合、試験セルとして2032型コイン電池を組み立てた。
ケイ素系活物質粒子を含む電極は以下のように作製した。まず、ケイ素系活物質粒子と結着剤(ポリアクリル酸(以下、PAAとも称する))、導電助剤1(鱗片状黒鉛)、導電助剤2(アセチレンブラック)とを76.5:10.00:10.80:2.70の乾燥質量比で混合したのち、水で希釈してペースト状の合剤スラリーとした。結着剤として用いたポリアクリル酸の溶媒としては、水を用いた。続いて、コーティング装置で集電体の両面に合剤スラリーを塗布してから乾燥させた。この集電体としては、電解銅箔(厚さ=20μm)を用いた。最後に、真空雰囲気中90℃で1時間焼成した。これにより、負極活物質層が形成された。
試験セルの電解液は以下のように作製した。溶媒(4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)、エチレンカーボネート(EC)及びジメチルカーボネート(DMC))を混合したのち、電解質塩(六フッ化リン酸リチウム:LiPF)を溶解させて電解液を調製した。この場合には、溶媒の組成を体積比でFEC:EC:DMC=10:20:70とし、電解質塩の含有量を溶媒に対して1.0mol/kgとした。
対極としては、厚さ0.5mmの金属リチウム箔を使用した。また、セパレータとして、厚さ20μmのポリエチレンを用いた。
続いて、2032型コイン電池の底ブタ、リチウム箔、セパレータを重ねて、電解液150mLを注液し、続けて負極、スペーサ(厚さ1.0mm)を重ねて、電解液150mLを注液し、続けてスプリング、コイン電池の上ブタの順にくみ上げ、自動コインセルカシメ機でかしめることで、2032型コイン電池を作製した。
続いて、作製した2032型コイン電池を、0.0Vに達するまで定電流密度、0.2mA/cmで充電し、電圧が0.0Vに達した段階で0.0V定電圧で電流密度が0.02mA/cmに達するまで充電し、放電時は0.2mA/cmの定電流密度で電圧が1.2Vに達するまで放電した。そして、この初回充放電における初回充放電特性を調べた。
続いて、本発明の負極活物質の製造方法で製造された負極活物質を用いた非水電解質二次電池のサイクル特性を評価するために、図4に示したようなラミネートフィルム型二次電池30を、以下のように作製した。
最初にラミネートフィルム型の二次電池に使用する正極を作製した。正極活物質はリチウムコバルト複合酸化物であるLiCoOを95質量部と、正極導電助剤(アセチレンブラック)2.5質量部と、正極結着剤(ポリフッ化ビニリデン:Pvdf)2.5質量部とを混合し正極合剤とした。続いて正極合剤を有機溶剤(N−メチル−2−ピロリドン:NMP)に分散させてペースト状のスラリーとした。続いてダイヘッドを有するコーティング装置で正極集電体の両面にスラリーを塗布し、熱風式乾燥装置で乾燥した。この時正極集電体としては、厚み15μmのものを用いた。最後にロールプレスで圧縮成型を行った。
負極としては、上記の試験セルのケイ素系活物質を含む電極と同様の手順で作製したものを使用した。
電解液としては、上記の試験セルの電解液と同様の手順で作製したものを使用した。
次に、以下のようにしてラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池を組み立てた。最初に、正極集電体の一端にアルミリードを超音波溶接し、負極集電体にはニッケルリードを溶接した。続いて、正極、セパレータ、負極、セパレータをこの順に積層し、長手方向に巻回させ巻回電極体を得た。その捲き終わり部分をPET保護テープで固定した。セパレータは多孔性ポリプロピレンを主成分とするフィルムにより多孔性ポリエチレンを主成分とするフィルムに挟まれた積層フィルム12μmを用いた。続いて、外装部材間に電極体を挟んだのち、一辺を除く外周縁部同士を熱融着し、内部に電極体を収納した。外装部材はナイロンフィルム、アルミ箔及び、ポリプロピレンフィルムが積層されたアルミラミネートフィルムを用いた。続いて、開口部から調製した電解液を注入し、真空雰囲気下で含浸した後、熱融着し封止した。
このようにして作製したラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池のサイクル特性(維持率%)を調べた。
サイクル特性については、以下のようにして調べた。最初に電池安定化のため25℃の雰囲気下、2サイクル充放電を行い、2サイクル目の放電容量を測定した。続いて総サイクル数が100サイクルとなるまで充放電を行い、その都度放電容量を測定した。最後に100サイクル目の放電容量を2サイクル目の放電容量で割り(%表示のため×100)、容量維持率を算出した。サイクル条件として、4.3Vに達するまで定電流密度、2.5mA/cmで充電し、電圧4.3Vに達した段階で4.3V定電圧で電流密度が0.25mA/cmに達するまで充電した。また、放電時は2.5mA/cmの定電流密度で電圧が3.0Vに達するまで放電した。
(実施例1−2〜1−5、比較例1−1、1−2)
SiOのxを変えたこと以外は、実施例1−1と同様に負極活物質(ケイ素系活物質)を作製した。そして、実施例1−1と同様に、電池特性を評価した。
実施例1−1〜1−5、比較例1−1、1−2において作製した試験セル(コイン電池)の初回充放電特性及びラミネートフィルム型二次電池の容量維持率を調べたところ、表1に示した結果が得られた。
Figure 2017091683
表1に示すように、SiOxで表されるケイ素化合物において、xの値が、0.5≦x≦1.6の範囲外の場合、電池特性が悪化した。例えば、比較例1−1に示すように、酸素が十分にない場合(x=0.3)、二次電池の容量維持率が著しく悪化する。一方、比較例1−2に示すように、酸素量が多い場合(x=1.8)、ケイ素化合物の導電性の低下が生じ二次電池の容量維持率が低下した。
(実施例2−1、比較例2−1〜2−5)
Li挿入方法、ケイ素化合物粒子の炭素被膜の有無を変えたこと以外は、実施例1−3と同様に負極活物質を作製した。そして、実施例1−3と同様に、電池特性を評価した。比較例2−1では、Li挿入を行わなかった。
実施例2−1、比較例2−1〜2−5の試験セルの初回充放電特性及びラミネートフィルム型二次電池の容量維持率を調べたところ、表2に示した結果が得られた。なお、下記表2〜6には上記の実施例1−3の結果も併記してある。
Figure 2017091683
表2から分かるように、Li挿入法として、接触法を用いた場合や、加熱ドープ法、電気化学的ドープ法をそれぞれ単独で用いた場合では、初回効率(初期効率)の向上が不十分な結果となった。これは、これらの方法で改質できるケイ素化合物粒子内のサイトの量が決まっており、初回効率向上に限界があるためである。また、電気化学的ドープ法を先に行った後、加熱ドープ法を行った場合も、初回効率向上が不十分な結果となった。これは、電気化学的ドープ法によって生成したLi含有化学種が熱に弱く、加熱ドープの際に破壊されてしまったためであると考えられる。また、炭素被膜を含む場合の方が、容量維持率、初回効率ともによい結果となった。これは炭素被膜によってLi挿入による粉体抵抗率の上昇を抑えられているためである。
(実施例3−1〜3−8)
熱的Li挿入工程及び電気化学的Li挿入工程の前に準備するケイ素化合物粒子の結晶性を変化させた他は、実施例1−3と同様に負極活物質を作製した。そして、実施例1−3と同様に、電池特性を評価した。
実施例3−1〜3−8において作製した試験セル(コイン電池)の初回充放電特性及びラミネートフィルム型二次電池の容量維持率を調べたところ、表3に示した結果が得られた。
Figure 2017091683
表3からわかるように、ケイ素化合物粒子の結晶性を変化させたところ、Si(111)結晶子サイズが3nm以上10nm以下の範囲で良好な電池特性が得られた。結晶子サイズが10nm以下であると、充放電に伴うケイ素化合物粒子の膨張収縮が小さくなり、容量維持率が増加する。結晶子サイズが3nm以上であると、Li挿入による初回効率の向上率が十分なものとなる。従って、結晶子サイズをこの範囲内とすることで、容量維持率及び初回効率を向上させることができる。なお、実施例3−8では、Si(111)面のピークがブロードであり、ケイ素の微小領域は実質的にアモルファス状であった。
(実施例4−1〜4−4)
ケイ素化合物粒子へのLi挿入量を変化させた他は、実施例1−3と同様に負極活物質を作製した。そして、実施例1−3と同様に、電池特性を評価した。
実施例4−1〜4−4において作製した試験セル(コイン電池)の初回充放電特性及びラミネートフィルム型二次電池の容量維持率を調べたところ、表4に示した結果が得られた。
Figure 2017091683
表4からわかるように、リチウム含有量が8%以上であると、初回効率が十分向上する。また、リチウム含有量が30%以下であると、1000mAh/g以上の高い初回放電容量を有する非水電解質二次電池を製造できる。従って、初回効率と初回放電容量のバランスをとるため、これらの間にリチウム含有量を調整することが好ましい。
(実施例5−1〜5−9)
熱的Li挿入工程において、Li単体又はLi化合物の種類及び配合質量比並びに加熱温度を変化させたこと以外は、実施例1−3と同様に負極活物質を作製した。そして、実施例1−3と同様に、電池特性を評価した。
実施例5−1〜5−9において作製した試験セル(コイン電池)の初回充放電特性及びラミネートフィルム型二次電池の容量維持率を調べたところ、表5に示した結果が得られた。
Figure 2017091683
表5からわかるように、第一のリチウム源としては、金属Li、LiH及びLiNのいずれかを用いた方が電池特性がよい。これらのLi源は活性が高く、Li挿入が内部までスムーズに起こるため、ケイ素化合物粒子内部まで均一に反応し、ケイ素結晶子の成長を抑えられる。そのため、高い初回効率と容量維持率を両立でき、電池特性が良好となる。また、加熱温度は400℃以上800℃以下が好ましく、600℃以上800℃以下が好ましい。加熱温度が800℃以下であれば、ケイ素化合物粒子内でのケイ素の結晶成長を抑え、サイクル維持率が悪化するのを防ぐことができる。加熱温度が400℃以上であれば、熱的に安定なLi化合物が生成し、水系スラリーに適用した場合でも、初回効率を十分向上させることができる。
(実施例6−1〜6−5、比較例6−1)
電気化学的Li挿入工程において、第二のリチウム源の種類を変化させたこと以外は、実施例1−3と同様に負極活物質を作製した。実施例1−3、6−1、6−2では、第二のリチウム源を対極として用いており、実施例6−3、6−4、6−5では第二のリチウム源を電解液として用いている。そして、実施例1−3と同様に、電池特性を評価した。
実施例6−1〜6−5において作製した試験セル(コイン電池)の初回充放電特性及びラミネートフィルム型二次電池の容量維持率を調べたところ、表6に示した結果が得られた。
Figure 2017091683
表6からわかるように、第二のリチウム源としては、金属リチウム、遷移金属リチウムリン酸塩、(Ni,Co,Mn)リチウム酸化物、硝酸リチウム及びハロゲン化リチウムのいずれかを用いた方が電池特性がよい。金属リチウム、遷移金属リチウムリン酸塩及び(Ni,Co,Mn)リチウム酸化物は、物質内部のリチウム伝導性及び電気伝導性が優れているため、電気化学的改質時に大きな過電圧がかからず、副反応が抑制されるためである。また、硝酸リチウム及びハロゲン化リチウムは有機溶媒への溶解度が高く、そのためこれら化合物を電解液として用いた場合は、電気化学的改質時に大きな過電圧がかからず、副反応が抑制されるためである。なお、比較例6−1では電気化学的改質にLiSOを用いたが、これは有機溶剤に溶解せず、実質的に電気化学的改質が行えなかった。すなわち、実質的に熱的Li挿入工程のみを行ったことになる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
10…負極、 11…負極集電体、 12…負極活物質層、
20…電気化学的Liドープ改質装置、 21…陽電極、
22…第一のリチウム含有ケイ素化合物粒子、
23…溶媒、 24…セパレータ、
25…粉末格納容器、 26…電源、 27…浴槽、
30…ラミネートフィルム型二次電池、 31…巻回電極体、
32…正極リード(正極アルミリード)、
33…負極リード(負極ニッケルリード)、 34…密着フィルム、
35…外装部材。

Claims (10)

  1. リチウムを含むケイ素化合物粒子を含む非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法であって、
    ケイ素化合物(SiO:0.5≦x≦1.6)を含むケイ素化合物粒子を準備する工程と、
    該ケイ素化合物粒子に、第一のリチウム源としてリチウム単体及びリチウム化合物のいずれか一種以上を混合し、加熱し、第一のリチウム含有ケイ素化合物粒子を得る工程と、
    該第一のリチウム含有ケイ素化合物粒子に、第二のリチウム源を用い、電気化学的方法でリチウムを挿入し、第二のリチウム含有ケイ素化合物粒子を得る工程と
    を含むことを特徴とする非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法。
  2. 前記第一のリチウム含有ケイ素化合物粒子を得る工程より前に、前記ケイ素化合物粒子に、炭素被膜を形成する工程を有することを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法。
  3. 前記ケイ素化合物粒子を準備する工程において、前記ケイ素化合物粒子として、ケイ素の結晶子サイズが3nm以上10nm以下であるものを準備することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法。
  4. 前記第二のリチウム含有ケイ素化合物粒子のリチウム含有量を8質量%以上30質量%以下とすることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法。
  5. 前記第一のリチウム含有ケイ素化合物粒子を得る工程において、加熱温度を400℃以上とすることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法。
  6. 前記第一のリチウム含有ケイ素化合物粒子を得る工程において、加熱温度を400℃以上800℃以下とすることを特徴とする請求項5に記載の非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法。
  7. 前記第一のリチウム含有ケイ素化合物粒子を得る工程において、加熱温度を600℃以上800℃以下とすることを特徴とする請求項6に記載の非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法。
  8. 前記第一のリチウム含有ケイ素化合物粒子を得る工程において、前記第一のリチウム源として金属リチウム、水素化リチウム及び窒化リチウムのうちの少なくとも一つを用いることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法。
  9. 前記第二のリチウム含有ケイ素化合物粒子を得る工程において、前記第二のリチウム源として金属リチウム、遷移金属リチウムリン酸塩、(Ni,Co,Mn)リチウム酸化物、硝酸リチウム及びハロゲン化リチウムのうちの少なくとも一つを用いることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法。
  10. 請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法で非水電解質二次電池用負極活物質を製造し、該非水電解質二次電池用負極活物質を含む電極を用いて非水電解質二次電池を製造することを特徴とする非水電解質二次電池の製造方法。
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