JP2017090567A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】記録材搬送速度が速い場合でも、凹凸のある記録材の表面凹部で十分な転写性を得、また画像を均一に転写する。【解決手段】おもて面にトナー像を担持する像担持体と、前記像担持体のおもて面に当接して前記像担持体との間で転写ニップを形成するニップ形成部材と、前記ニップ形成部材に対向し、前記像担持体の裏面側に設けられる対向部材と、前記転写ニップ内に挟み込まれた記録材に対して前記像担持体上のトナー像を転写するために、前記ニップ形成部材と前記対向部材の間に電位差を形成する電源とを備え、前記電位差によって形成される電界が、正規の極性に帯電しているトナーを像担持体側から記録材側へ移動させる方向の電界と、記録材側から像担持体側に戻す方向の電界との繰り返しからなるものである画像形成装置において、前記対向部材が、前記転写ニップにおいて前記像担持体の裏面と均一に接触する平面を有している。【選択図】図1

Description

本発明は、感光体や中間転写体に担持されたトナー像を、普通紙、OHPシート、その他の記録材へ転写して最終画像を得る画像形成装置に関するものである。
複写機、プリンタ、ファクシミリ、又はそれらの少なくとも2つの機能を有する複合機等の電子写真方式の画像形成装置では、予め一様に帯電された像担持体上に光学的な画像情報を形成することによって得た帯電潜像を、現像装置からのトナーによって可視化し、この可視像を記録材上に転写、定着することによって画像形成が行われる。近年、画像形成装置において用いられる記録材として、多種多様な用紙が用いられ、高級感を備えた皮革模様をイメージしたものや和紙調のもの等が市販され、多彩な表現を有する印刷物の形成を可能としている。これらの用紙は、高級感を出すため、エンボス加工等により表面に凹凸が存在している。凹部は凸部に比べてトナーが転写しにくく、特に凹凸の大きい用紙にトナーを転写させる場合、凹部にトナーが充分に転写せず画像の抜けが発生するといった問題がある。凹部への転写率を向上させる技術として、次のようなものが提案されている。
特許文献1には、用紙へのトナー像の転写の直前に、用紙を加熱して、かつトナーと反対極性に帯電させることにより、転写時の転写電界を強くさせることで、凹部にトナーを転写させることが開示されている。しかしながら、このようなやり方を用いても、凹凸紙の大きな凹凸部分では十分な転写性を得ることはできない。
また、直流電圧に交流電圧を重畳することで転写率の向上や中抜け等の異常画像の改善を狙った提案がある(特許文献2、3、4、5)。転写ニップに交流成分と直流成分を重畳した電圧を印加する転写方式を「重畳電圧による転写」と称する。
特許文献2には、転写バイアスとして直流電圧に交流電圧を重畳したものを用い、また転写前に用紙の表面を凹凸に応じてトナーの極性と逆極性に帯電させることで凹部にトナーを転写させるよう制御を行うことが開示されている。
特許文献3は、転写バイアスとして直流電圧に交流電圧を重畳したものを用い、交流電圧のピーク間電圧が、直流電圧の2倍以下になるように交流電圧を重畳する技術を提案している。
特許文献4では、中間転写体に表面にフッ素樹脂を用い、転写バイアスとして直流電圧に交流電圧を重畳したものを用い、交流電圧のピーク間電圧が、直流電圧の2.05倍以上になるように交流電圧を重畳することを提案している。
特許文献5では、転写バイアスとして直流電圧に交流電圧を重畳したものを用い、ニップ中での周期回数が20回以上となるように交流電圧を重畳することを提案している。
しかしながら、本発明者らが確認したところ、これらのやり方ではいずれも重畳している交流電圧が小さく、凹凸の大きい用紙では実施例のように電圧を印加しても凹部へトナーがあまり転写せず、効果がなかった。
そこで、本発明者らが鋭意検討を行った結果、転写バイアスとして直流電圧に交流電圧を重畳したものを用い、その際、トナーを往復運動させるような高い振幅の交流バイアスを用いることによって凹凸紙の転写性を良好にすることができることを見出した(特許文献6)。
しかしながら、特許文献6に開示の構成であっても、生産性を高めるために用紙の搬送速度を速くすると、転写ニップ中におけるトナーの往復回数が少なく転写性の低下が発生してしまうとともに、ニップ通過時間が短いため、直流成分が十分充電されず、必要な直流成分を確保できない問題がある。また、その対応のため周波数を大きくしようとしても、交流電圧の電圧変化にトナーが追従できず往復運動が発生しなくなる問題がある。また、十分な直流成分を得るために、直流成分を大きくすると、ピーク電圧で放電が発生し、画像不良が発生する問題がある。このように用紙搬送速度が速いと良好な転写性が得られない。
なお、低転写消費電力で良好な転写効率を実現するために、特許文献7では、中間転写体上のトナー画像を記録材に転写する二次転写部において、転写ヘッドから画像情報に基づきトナー存在領域にのみ電界振動を付与しながら転写バイアスを印加することが提案されている。更に、転写ヘッドを平面形状の圧電トランスで形成すること、及び画像領域の全てを網羅できるように複数の圧電トランスをニップ面に対して千鳥配置させることが示されている。
記録材搬送速度を低くせずにトナーの往復回数を多くするにはニップ幅を広げることが有効となるが、ニップ幅を広げるために、二次転写部の圧力を高くすると、細線の中央部が抜ける虫食い画像等が発生する問題がある。また、引用文献7のように千鳥配置させた複数の圧電トランスによって転写ニップを形成する構成では、複数の圧電トランスの間に隙間を有するため、転写ニップで均一な圧力をかけることができない。
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、記録材搬送速度が速い場合でも、凹凸のある記録材の表面凹部で十分な転写性を得ること、及び、画像を均一に転写することである。
上記目的を達成するために、本発明では、おもて面にトナー像を担持する像担持体と、前記像担持体のおもて面に当接して前記像担持体との間で転写ニップを形成するニップ形成部材と、前記ニップ形成部材に対向し、前記像担持体の裏面側に設けられる対向部材と、前記転写ニップ内に挟み込まれた記録材に対して前記像担持体上のトナー像を転写するために、前記ニップ形成部材と前記対向部材の間に電位差を形成する電源とを備え、前記電位差によって形成される電界が、正規の極性に帯電しているトナーを像担持体側から記録材側へ移動させる方向の電界と、記録材側から像担持体側に戻す方向の電界との繰り返しからなるものである画像形成装置において、前記対向部材が、前記転写ニップにおいて前記像担持体の裏面と均一に接触する平面を有している。
本発明によれば、ニップ形成部材とともに転写ニップを形成する対向部材は、転写ニップにおいて像担持体の裏面と接触する平面を有する。これにより、低い圧力でも広い転写ニップ幅を得ることが可能となる。転写ニップをローラ同士で構成して圧接する場合に比べて、虫食い画像を防止しつつ長いニップ時間を確保することができる。記録材搬送速度が速い場合でも、凹凸がある記録材の凹部への転写性を十分に確保することができる。
また、対向部材の平面は転写ニップにおいて像担持体と均一に接触するので、転写ニップにおいて均一な圧力をかけることができ、画像を均一に転写することができる。
本発明の第一実施形態に係るプリンタを示す概略構成図である。 図1のプリンタにおけるブラック用画像形成ユニットを示す拡大構成図である。 二次転写ニップを形成する裏面部材がローラである比較形態に関わるプリンタを示す概略構成図である。 図1のプリンタと図3のプリンタとの比較で加圧力とニップ幅の関係を示すグラフである。 第一実施形態のプリンタで使用している二次転写バイアスの波形を示す波形図である。 本発明の第二実施形態に係るプリンタを示す概略構成図である。 凹部転写性の評価結果がランク1〜5となる画像をそれぞれ示す図である。 白点出現性の評価結果がランク1〜5となる画像をそれぞれ示す図である。 凸部濃度再現性の評価結果がランク1〜5となる画像をそれぞれ示す図である。 本発明において使用され得る他の二次転写バイアスの波形を示す波形図である。 本発明において使用され得る更に他の二次転写バイアスの波形を示す波形図である。 本発明において使用され得る別の二次転写バイアスの波形を示す波形図である。 本発明において使用され得る更に別の二次転写バイアスの波形を示す波形図である。 本発明において使用され得る更に異なる二次転写バイアスの波形を示す波形図である。
以下、本発明の第一実施形態に係る画像形成装置として、電子写真方式のカラープリンタ(以下、プリンタという)を説明する。なお、以下に記述する部材の抵抗値は、特に限定しない限り、温度22℃、相対湿度50%の環境下での値である。
まず、プリンタの基本的な構成について説明する。図1において、本プリンタは、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各トナー像を形成するため4つの画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kと、転写ユニット30と、光書込ユニット80と、定着装置90と、給紙カセット100と、レジストローラ対101とを備えている。
四つの画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kは、互いに異なる色のトナー(Y、M、C、K)を用いるが、それ以外では同じ構成であり、ユニット寿命到達時に交換されるようになっている。Kトナー像を形成するための画像形成ユニット1Kを例にすると、図2に示すように、該ユニットは、ドラム状の感光体2Kの周りに、帯電装置6K、現像装置8K、ドラムクリーニング装置3K、除電装置等を備えている。これらの装置が共通の保持体に保持されてプリンタ本体に対して一体的に脱着可能にすることで、プロセスカートリッジとして、それらを同時に交換できるようになっている。
感光体2Kは、ドラム基体の表面上に有機感光層が形成された例えば外径60[mm]程度のものであって、図中時計回り方向に回転駆動される。帯電装置6Kは、帯電バイアスが印加される帯電ローラ7Kを感光体2Kに接触あるいは近接させながら、帯電ローラ7Kと感光体2Kとの間に放電を発生させて、感光体2Kの表面を一様帯電せしめる。本実施形態では、トナーの正規帯電極性と同じマイナス極性に一様帯電せしめる。帯電バイアスとしては、直流電圧に交流電圧を重畳したものを採用している。帯電ローラ7Kは、金属製の芯金の表面に導電性弾性材料製の導電性弾性層が被覆されたものである。帯電ローラ等の帯電部材を感光体2Kに接触あるいは近接させる方式に代えて、帯電チャージャーによる方式を採用してもよい。
一様帯電せしめられた感光体2Kの表面は、後述する光書込ユニットから発せられるレーザー光によって光走査されてK用の静電潜像を担持する。このK用の静電潜像は、現像装置8Kによって現像されてKトナー像になる。そして、後述する中間転写ベルト31上に一次転写される。
ドラムクリーニング装置3Kは、一次転写工程(後述する一次転写ニップ)を経た後の感光体2Kの表面に付着している転写残トナーを除去するものである。回転駆動されるクリーニングブラシローラ4K、片持ち支持された状態で自由端を感光体2Kに当接させるクリーニングブレード5K等を有している。回転するクリーニングブラシローラ4Kで転写残トナーを感光体2Kの表面から掻き取ったり、クリーニングブレード5Kで転写残トナーを感光体2Kの表面から掻き落としたりする。クリーニングブレード5Kは、その片持ち支持端側を自由端側よりもドラム回転方向下流側に向けたカウンタ方向で、感光体2Kに当接している。
除電装置は、ドラムクリーニング装置3Kによってクリーニングされた後の感光体2Kの残留電荷を除電するものである。この除電により、感光体2Kの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。
なお、現像装置8Kをもう少し詳述すると、該現像装置は、現像ロール9Kを内包する現像部12Kと、ケーシング内でK現像剤を撹拌搬送する現像剤搬送部13Kとを有している。そして、現像剤搬送部13Kは、第一スクリュー部材10Kを収容する第一搬送室と、第二スクリュー部材11Kを収容する第二搬送室とを有している。それらスクリュー部材は、それぞれ、軸線方向の両端部がそれぞれ軸受けによって回転自在に支持された回転軸部材と、その周面に螺旋状に突設せしめられた螺旋羽根とを具備している。
第一スクリュー部材10Kを収容する第一搬送室と、第二スクリュー部材11Kを収容する第二搬送室とは、仕切壁によって仕切られているが、仕切壁におけるスクリュー軸線方向の両端箇所には、それぞれ両搬送室を連通させる連通口が形成されている。第一スクリュー部材10Kは、螺旋羽根内に保持するK現像剤を、回転駆動に伴って回転方向に撹拌しながら、図中の紙面に直交する方向の奥側から手前側に向けて搬送する。第一スクリュー部材10Kと、現像ロール9Kとは互いに向き合って平行配設されているため、このときのK現像剤の搬送方向は、現像ロール9Kの回転軸線方向に沿った方向でもある。そして、第一スクリュー部材10Kは、現像ロール9Kの表面に対してK現像剤をその軸線方向に沿って供給していく。
第一スクリュー部材10Kの図中手前側端部付近まで搬送されたK現像剤は、仕切壁の図中手前側端部付近に設けられた連通開口を通って、第二搬送室内に進入した後、第二スクリュー部材11Kの螺旋羽根内に保持される。そして、第二スクリュー部材11Kの回転駆動に伴って、回転方向に撹拌されながら、図中手前側から奥側に向けて搬送されていく。
第二搬送室内において、ケーシングの下壁には周知のトナー濃度センサが設けられており、第二搬送室内のK現像剤のKトナー濃度を検知する。Kトナー濃度センサとしては、透磁率センサが用いられている。Kトナーと磁性キャリアとを含有するK現像剤の透磁率は、Kトナー濃度と相関関係があるため、透磁率センサは、Kトナー濃度を検知していることになる。
本プリンタには、Y、M、C、K用の現像装置の第二収容室内にY、M、C、Kの各色トナーをそれぞれ個別に補給するためのY、M、C、Kのトナー補給手段が設けられている。そして、プリンタの制御部は、RAMに、Y、M、C、Kの各トナー濃度検知センサからの出力電圧値の目標値であるY、M、C、K用のVtrefを記憶している。Y、M、C、Kの各トナー濃度検知センサからの出力電圧値と、Y、M、C、K用のVtrefとの差が所定値を超える場合には、その差に応じた時間だけY、M、C、Kの各トナー補給手段を駆動する。これにより、Y、M、C、K用の現像装置における第二搬送室内にY、M、C、Kの各色トナーが補給される。
現像部12K内に収容されている現像ロール9Kは、第一スクリュー部材10Kに対向しているとともに、ケーシングに設けられた開口を通じて、感光体2Kにも対向している。また、現像ロール9Kは、回転駆動される非磁性パイプからなる筒状の現像スリーブと、その内部にスリーブに連れ回らないように固定されたマグネットローラとを具備している。そして、第一スクリュー部材10Kから供給されるK現像剤をマグネットローラの発する磁力によってスリーブ表面に担持しながら、スリーブの回転に伴って、感光体2Kに対向する現像領域に搬送する。
現像スリーブには、トナーと同極性であって、感光体2Kの静電潜像よりも大きく、且つ感光体2Kの一様帯電電位よりも小さな現像バイアスが印加される。これにより、現像スリーブと感光体2Kの静電潜像との間には、現像スリーブ上のKトナーを静電潜像に向けて静電移動させる現像ポテンシャルが作用する。また、現像スリーブと感光体2Kの地肌部との間には、現像スリーブ上のKトナーをスリーブ表面に指向させる非現像ポテンシャルが作用する。それら現像ポテンシャル及び非現像ポテンシャルの作用により、現像スリーブ上のKトナーが感光体2Kの静電潜像に選択的に転移して、静電潜像をKトナー像に現像する。Y、M、C用の画像形成ユニット1Y、1M、1Cにおいても、K用の画像形成ユニット1Kと同様に、感光体2Y、2M、2C上にY、M、Cの各トナー像が形成される(以下、トナーの色違いを問題にしない場合には、適宜Y、M、C、Kを省略する)。
図1に戻って、画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kの上方に配設されている光書込ユニット80は、パーソナルコンピュータ等の外部機器から送られてくる画像情報に基づいてレーザーダイオードから発したレーザー光により、感光体2Y、2M、2C、2Kを光走査する。この光走査により、感光体2Y、2M、2C、2K上にY、M、C、K用の各静電潜像が形成される。具体的には、感光体2Yの一様帯電した表面の全域のうち、レーザー光が照射された箇所は、電位を減衰せしめる。これにより、レーザー照射箇所の電位が、それ以外の箇所(地肌部)の電位よりも小さい静電潜像となる。なお、光書込ユニット80は、光源から発したレーザー光を、ポリゴンミラーで主走査方向に偏光せしめながら、複数の光学レンズやミラーを介して各感光体に照射するものである。LEDアレイの複数のLEDから発したLED光によって光書込を行うものを採用してもよい。
画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kの下方には、無端状の中間転写ベルト31を張架しながら図中反時計回り方向に循環移動せしめる中間転写ユニットが配設されている。この転写ユニット30は、像担持体たる中間転写ベルト31の他に、駆動ローラ32、二つのアシストローラ33A、33B、クリーニングバックアップローラ34、四つの一次転写ローラ35、ニップ形成ローラ36、ベルトクリーニング装置37、二次転写裏面部材40、濃度センサ等を有している。
中間転写ベルト31は、そのループ内側に配設されたベルト張架部材たる駆動ローラ32、アシストローラ33A、33B、クリーニングバックアップローラ34、二次転写裏面部材40、及び一次転写ローラ35に張架されている。そして、図中反時計回り方向に回転駆動される駆動ローラ32の回転力により、同方向に無端移動せしめられる。中間転写ベルト31としては、次のような特性を有するものを用いている。即ち、厚みは20[μm]〜200[μm]、好ましくは60[μm]程度である。また、体積抵抗率は1e6[Ωcm]〜1e12[Ωcm]、好ましくは約1e9[Ωcm]程度である(三菱化学製ハイレスターUP MCP HT45にて、印加電圧100Vの条件で測定)。また、材料は、カーボン分散ポリイミド樹脂である。
四つの一次転写ローラ35Y、35M、35C、35Kは、無端移動せしめられる中間転写ベルト31を、感光体2Y、2M、2C、2Kとの間に挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト31のおもて面と感光体2Y、2M、2C、2Kとが当接するY、M、C、K用の各一次転写ニップが形成される。トナー像形成手段である各一次転写ローラ35には、それぞれ一次転写バイアスが印加される。これにより、各感光体2上のY、M、C、Kの各トナー像と各一次転写ローラ35との間に転写電界が形成される。Y用の感光体2Yの表面に形成されたYトナーは、感光体2Yの回転に伴ってY用の一次転写ニップに進入する。そして、転写電界やニップ圧の作用により、感光体2Y上から中間転写ベルト31上に一次転写される。このようにしてYトナー像が一次転写せしめられた中間転写ベルト31の部分が、その後、M、C、K用の各一次転写ニップを順次通過する。そして、感光体2M、2C、2K上のM、C、Kの各トナー像が、Yトナー像上に順次重ね合わされて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト31上には4色重ね合わせトナー像が形成される。
一次転写ローラ35は、金属製の芯金と、その表面上に固定された導電性のスポンジ層とを具備している弾性ローラから成り、外径は16[mm]である(芯金の径は10[mm])。なお、接地された外径30[mm]の金属ローラを10[N]の力でスポンジ層に押し当てた状態で一次転写ローラ心金に1000[V]の電圧を印加したときに流れる電流Iから、オームの法則(R=V/I)に基づいて算出したスポンジ層の抵抗Rは、約3E7Ωとなっている。このような一次転写ローラ35に対して、一次転写バイアスを定電流制御で印加する。なお、一次転写ローラ35に代えて、転写チャージャーや転写ブラシ等を採用してもよい。
ニップ形成ローラ36は、中間転写ベルト31のループ外側に配設され、ループ内側の二次転写裏面部材40との間に中間転写ベルト31を挟み込みことにより、中間転写ベルト31のおもて面とニップ形成ローラ36とが当接する二次転写ニップが形成される。二次転写裏面部材40は板状であり、ニップ形成ローラ36を圧接することにより広いニップが形成される。また、ニップ形成ローラ36が接地されているのに対し、二次転写裏面部材40には、二次転写バイアス電源39によって二次転写バイアスが印加される。これにより、二次転写裏面部材40とニップ形成ローラ36との間に、マイナス極性のトナーを二次転写裏面部材40側からニップ形成ローラ36側に向けて静電移動させる二次転写電界が形成される。
二次転写バイアス電源39は、直流電源39Aと交流電源39Bとを有しており、二次転写バイアスとして、直流電圧に交流電圧を重畳せしめたものを出力することができる。二次転写バイアス電源39から二次転写裏面部材40に印加される転写バイアスの、交流成分の周波数等の設定値が、中間転写ベルト31上の画像面積率に応じて制御される。周波数等の具体的な設定方法については後で説明するが、転写ニップ幅と用紙搬送速度に応じて転写バイアスの交流成分の周波数を変えることで。トナー往復回数をニップ時間(ニップ通過時間)に対して最適化させれば、最適な凹部転写性を得ることができる。この周波数は、大きすぎると用紙凹部のトナー群が十分に往復運動することができないので、転写ニップ中でトナーが往復可能な周波数に設定して、凹部転写性の低下を防止する。なお、用紙Pとして、ザラ紙のような表面凹凸の大きなものを用いずに、普通紙のような表面凹凸の小さなものを用いる場合には、凹凸パターンに倣った濃淡パターンが出現しないので、転写バイアスとして、直流電圧だけから成るものを印加して、重畳電圧印加の際に凸部細線等で発生し易いチリの出現を抑制してもよい。但し、ザラ紙のような表面凹凸の大きなものを用いるときには、転写バイアスを、直流電圧だけから成るものから、重畳バイアスに切り替える必要がある。また、電界を形成するために本実施形態では定電圧を用いているが、別の方法で電界を形成してもよい。例えば、直流成分に対して定電流制御を行い、交流成分を電圧印加する形をとっても所定の効果を得ることができる。
二次転写裏面部材40は、用紙搬送方向(記録材搬送方向)の長さ約30[mm]、厚み約15[mm]の平板であり、銅、アルミ等の導電性の金属から形成され、単層電極を構成している。中間転写ベルト31と接する面は均一かつ平滑で、その表面には、摩擦力低減のために、フッ素系の樹脂等で成るコート層が設けられている。摩擦力低減のため、表面にシリコーンオイルやグリ−ス等の潤滑剤を適宜塗布してもよい。中間転写ベルト31の内周面に摺擦する板状の二次転写裏面部材40の用紙搬送方向の長さは、ニップ形成ローラ36の加圧時の用紙搬送方向の接触幅よりも長いことが好ましく、これによって十分なニップ幅を確保する。このため、ニップ形成ローラの外径よりも長くなっているのが好ましい。
二次転写裏面部材40は、図1に示す転写ニップNにおいて、中間転写ベルト31の裏面と均一に接触する平面40Aを有する。平面40Aと中間転写ベルトとは、転写ニップNにおいて互いに均一に隙間なく接触する。即ち、平面40Aと中間転写ベルト31とは、ベルトの走行方向及び幅方向のそれぞれについて互いに均一に接触する。これにより、転写ニップNにおいて均一な圧力をかけることができ、画像を均一に転写することができる。
既述のように、特許文献7には、本実施形態におけるニップ形成部材に対応する転写部材を複数の平板状の圧電トランスで形成し、画像領域の全てを網羅できるようにこれら圧電トランスをニップ面に対して千鳥配置させる構成が開示されている。圧電トランスは圧電セラミックス等の圧電素子を使った変圧装置であり、圧電素子は電圧を印加すると振動する素子である。
交流成分を有する転写バイアスで転写を行う場合、転写ニップにおいてトナーに均一に交番電圧を付与する必要があり、転写ニップを通過する記録材には均一な圧力と電界を付与する必要があるが、引用文献7に開示された構成では、電圧印加素子が振動するため、像担持体である転写ベルトと素子の間に空隙が発生して電界に影響するし、均一な圧力をかけることもできない。
転写プロセスでは、ニップ形成部材と対向部材間に電位差を付与することで、記録材表面と像担持体表面との間の電界強度が増加し、帯電したトナー粒子が記録材に転写する。転写ニップ内において、ニップ形成部材から対向部材への方向では、像担持体と記録材間の空隙の電界が部材の抵抗に応じて徐々に大きくなる。記録材を高速で搬送する場合、転写ニップ通過時間が短いため、電界強度が飽和する前に、記録材がニップを通過してしまう。このため、記録材を高速で搬送する場合は、搬送速度が遅くニップ時間が長い場合に比べて、転写部材と対向部材間に付与する電位差を大きくする必要がある。重畳電圧による転写では時間平均電圧Vaveが直流のみの転写電圧に相当しており、記録材搬送速度が速いほどVaveの絶対値を大きくする必要がある。しかし、重畳電圧による転写では、|Vave|を大きくし過ぎると、ピーク電圧で放電してしまい、不良画像が発生するため、あまり|Vave|を大きくすることができない。また、後述するように重畳電圧による転写ではトナーの往復回数が多いほど凹凸紙への凹部転写性がよくなるが、記録材を高速で搬送する場合は転写ニップ通過時間が短いため、往復回数が少なくなる。これに対し交流周波数を増加させると、交流電圧の電圧変化にトナーが追従できず往復運動が発生しなくなる。これらの問題に対しては、ニップ幅を広げることが有効となるが、ニップ幅を広げるために、二次転写部の圧力を高くすると、細線の中央部が抜ける虫食い画像等が発生する問題がある。
本実施形態の構成では、二次転写裏面部材40が、中間転写ベルト31と摺擦する板状の部材であり、このような構成によって低い圧力でも広い転写ニップ幅を得ることが可能となる。転写ニップをローラ同士で構成して圧接する場合に比べて電圧ピークが低く均一な圧力で長いニップ時間を確保することができる。記録材搬送速度が速い場合でも、凹凸がある記録材の凹部への転写性を十分に確保することができる。また、二次転写裏面部材40が導電性の単層電極を構成し、中間転写ベルト31と接触する面が均一かつ平滑になっているので、圧電素子のように振動を起こさず、転写ニップに安定かつ均一な交流電界と圧力をかけることができる。
また、ニップ形成ローラ36の外径は約24[mm]で、その芯金の径は約14[mm]である。芯金の表面に、導電性のNBR系ゴム層が被覆されていて、その抵抗Rは1E6Ω以下である。抵抗Rは、一次転写ローラと同様の方法によって測定された値である。
ニップ幅を広げるためには、ニップ形成ローラ36の圧力を高くするやり方があるが、従来の構成である(中間転写ベルトを介した)ローラ同士の接触では、中央部の圧力が極端に高くなり、用紙がニップに突入する際の衝撃による画像不良や文字等の細線中央部が欠落する虫食い画像等が発生し易かった。けれども、平板であれば画像不良が発生しない圧力でニップ幅を広くすることができる。
ニップ幅が広くなることを確認するため、比較として、平板の二次転写裏面部材40とアシストローラ33A、33Bの代わりに、ローラ状の二次転写裏面部材40’を配置した図3に示す比較形態のプリンタを用いた。二次転写裏面部材40’は、外径約24[mm]、芯金の径約16[mm]であり、芯金の表面に、導電性のNBR系ゴム層が被覆されたローラ部材である。ニップ幅と圧力分布の測定には、ニッタ株式会社製圧力分布測定機I−Scanを用いた。このとき、二次転写裏面部材が平板である第一実施形態と二次転写裏面部材がローラである比較形態とで、画像転写し、問題が発生しない最大の力でニップ形成ローラを圧接したときを通常加圧とした。比較形態ではニップ幅を増大させるために加圧力を上げた場合についても比較した。その結果を図4に示す。なお、比較形態の加圧力UPで画像を形成すると、細線中抜けや用紙突入時の衝撃によるショックジタ−と呼ばれるスジ状の異常画像が発生した。図4で分かるように、比較形態では、良好な画像が得られる加圧力におけるニップ幅は約3.0mmであった。これに対し、本発明の第一実施形態のプリンタでは約6.0mmであった。比較形態に比べて加圧力のピークが同程度でもニップ幅が広いため、長いニップ時間で重畳電圧による転写電界を作用させることができる。更に、比較形態でニップ幅を増大させるために加圧力を増加させた場合(図中の比較例:加圧力UP)はニップ幅約6.0mmに達するが、加圧力のピークが高いことが分かる。これによって異常画像が発生する。
なお、第一実施形態では、二次転写裏面部材40の加圧力が周知構成によって可変になっており、通紙時のニップ幅を調整できる。ニップ形成ローラ36の加圧力を可変にしてもよい。重畳電圧による転写では、用紙搬送速度が高速化し、ニップ時間が短いと凹部転写性が退化するため、ニップ時間が短い条件ではニップ幅を広げる必要がある。しかし、ニップ幅が長すぎると細線等でズレが生じ易い問題がある。そこで、凹凸が大きく凹部転写性を高める必要がある場合は、二次転写裏面部材やニップ形成ローラの加圧力を上げてニップ幅を広くし、凹凸が小さい等、凹部転写性を抑えてもよい場合は、二次転写裏面部材やニップ形成ローラの加圧力を下げて、ニップ幅を狭くすることで、画像状態を制御してもよい。
第一実施形態において、二次転写裏面部材40の金属部に、二次転写バイアス電源39の出力端子が接続されている。二次転写裏面部材の金属部の電位は、二次転写バイアス電源39からの出力電圧値とほぼ同じ値になる。また、ニップ形成ローラ36については、その芯金が接地(アース接続)されている。なお、重畳バイアスを二次転写裏面部材40の金属部に印加しつつ、ニップ形成ローラ36の芯金を接地する代わりに、重畳バイアスをニップ形成ローラ36の芯金に印加しつつ、二次転写裏面部材の金属部を接地してもよい。この場合、直流電圧の極性を異ならせる。具体的には、図示のように、マイナス極性のトナーを用い、且つニップ形成ローラ36を接地した条件で、二次転写裏面部材40に重畳バイアスを印加する場合には、直流電圧としてトナーと同じマイナス極性のものを用いて、重畳バイアスの時間平均の電位をトナーと同じマイナス極性にする。これに対し、二次転写裏面部材40を接地し、且つ重畳バイアスをニップ形成ローラ36に印加する場合には、直流電圧としてトナーとは逆のプラス極性のものを用いて、重畳バイアスの時間平均の電位をトナーとは逆のプラス極性にする。重畳バイアスを二次転写裏面部材40やニップ形成ローラ36に印加する代わりに、直流電圧をいずれか一方に印加するとともに、交流電圧を他方に印加してもよい。交流電圧としては、第一実施形態では図5に示すように、正弦波状の波形のものを採用しているが、周期的に大きさと向きが変化するものであればよく、矩形波状の波形や三角波状の波形や台形波状の波形のものを用いてもよい。更にDutyが50%でない波形を用いることも可能である。なお、用紙Pとして、ザラ紙のような表面凹凸の大きなものを用いずに、普通紙のような表面凹凸の小さなものを用いる場合には、凹凸パタ−ンに倣った濃淡パタ−ンが出現しないので、転写バイアスとして、直流電圧だけからなるものを印加してもよい。但し、ザラ紙のような表面凹凸の大きなものを用いるときには、転写バイアスを、直流電圧だけから成るものから、重畳バイアスに切り替える必要がある。
二次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト31には、用紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、中間転写ベルト31のおもて面に当接しているベルトクリーニング装置37によってベルト表面からクリーニングされる。中間転写ベルト31のループ内側に配設されたクリーニングバックアップローラ34は、ベルトクリーニング装置37によるベルトのクリーニングをループ内側からバックアップする。
図1において、転写ユニット30の下方には、記録材である用紙Pを複数枚重ねた紙束の状態で収容している給紙カセット100が配設されている。この給紙カセット100は、紙束の一番上の用紙Pに給紙ローラ100aを当接させており、これを所定のタイミングで回転駆動させることで、その用紙Pを給紙路に向けて送り出す。給紙路の末端付近には、レジストローラ対101が配設されている。このレジストローラ対101は、給紙カセット100から送り出された用紙Pをローラ間に挟み込むとすぐに回転を停止させる。そして、挟み込まれた用紙Pを二次転写ニップ内で中間転写ベルト31上の4色重ね合わせトナー像に同期させ得るタイミングで回転駆動を再開して、用紙Pを二次転写ニップに向けて送り出す。二次転写ニップで用紙Pに密着せしめられた中間転写ベルト31上の4色重ね合わせトナー像は、二次転写電界やニップ圧の作用によって用紙P上に一括して二次転写され、用紙Pの白色と相まってフルカラートナー像となる。このようにして表面にフルカラートナー像が形成された用紙Pは、二次転写ニップを通過すると、ニップ形成ローラ36や中間転写ベルト31から曲率分離される。
二次転写ニップの用紙搬送方向下流側には、定着装置90が配設されている。この定着装置90は、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ91と、これに所定の圧力で当接しながら回転する加圧ローラ92とを有し、これらによって定着ニップを形成している。定着装置90内に送り込まれた用紙Pは、その未定着トナー像担持面を定着ローラ91に密着させる姿勢で、定着ニップに挟まれる。そして、加熱や加圧の影響によってトナー像中のトナーが軟化して、フルカラー画像が定着せしめられる。定着装置90内から排出された用紙Pは、定着後搬送路を経由した後、機外へと排出される。
第一実施形態における二次転写バイアスについて、重畳バイアスである二次転写バイアスは、二次転写裏面部材40の金属部に印加される。二次転写裏面部材40の金属部に二次転写バイアスが印加されると、第一部材たる二次転写裏面部材40の金属部と、第二部材たるニップ形成ローラ36の芯金との間に、電位差が発生する。よって、二次転写バイアス電源39は、電位差発生手段としても機能している。なお、電位差は、絶対値として取り扱われることが一般的であるが、本明細書では、極性付きの値として取り扱うものとする。より詳しくは、二次転写裏面部材40の金属部の電位から、ニップ形成ローラ36の芯金の電位を差し引いた値を、電位差として取り扱うことにする。かかる電位差の時間平均値は、第一実施形態のように、トナーとしてマイナス極性のものを用いる構成では、その極性がマイナスになった場合に、ニップ形成ローラ36の電位を二次転写裏面部材40の電位よりもトナーの帯電極性とは逆極性側(本実施形態ではプラス側)に大きくすることになる。よって、トナーを二次転写裏面部材側からニップ形成ローラ側に静電移動させることになる。
また、本実施形態のプリンタにおいては、図5から分かるように、中間転写ベルトと用紙との電圧の差の、最大値と最小値の中心電圧であるオフセット電圧Voffは、二次転写バイアスの直流成分の値である。また、ピークツウピーク電圧Vppは、二次転写バイアスの交流成分のピークツウピーク電圧であり、正規の極性に帯電しているトナーを中間転写ベルト31から用紙Pへ移動させる方向(転写方向)の電位差をVt、同じく用紙Pから中間転写ベルト31に戻す方向の電位差をVrとする。既に述べたように、二次転写バイアスは、オフセット電圧Voffとピークツウピーク電圧Vppとを重畳したものであり、その時間平均はオフセット電圧Voffと同じ値になる。
また、既に述べたように、二次転写バイアスを二次転写裏面部材40の金属部に印加し、且つニップ形成ローラ36の芯金を接地している(0V)ので、二次転写裏面部材40の金属部の電位は、そのまま両部の電位差となる。そして、両部の電位差は、オフセット電圧Voffと同じ値の直流成分(Vave)と、ピークツウピーク電圧Vppと同じ値の交流成分(Epp)とから構成される。
図5に示すように、第一実施形態のプリンタでは、オフセット電圧Voffとして、マイナス極性のものを採用している。二次転写裏面部材40に印加される二次転写バイアスのオフセット電圧Voffの極性をマイナスにすることで、二次転写ニップ内において、マイナス極性のトナーを二次転写裏面部材40側からニップ形成ローラ36側に相対的に押し出すことが可能になる。二次転写バイアスの極性がトナーと同じマイナス極性になっているときには、二次転写ニップ内において、マイナス極性のトナーを二次転写裏面部材40側からニップ形成ローラ36側に静電的に押し出す。これにより、中間転写ベルト31上のトナーを用紙P上に転移させる。一方、二次転写バイアスの極性がトナーとは逆のプラス極性になっているときには、二次転写ニップ内において、マイナス極性のトナーをニップ形成ローラ36側から二次転写裏面部材40側に向けて静電的に引き寄せる。これにより、用紙Pに転移させたトナーを中間転写ベルト31側に再び引き寄せる。但し、二次転写バイアスの時間平均電圧の値(本実施形態ではオフセット電圧Voffと同じ値)がマイナス極性であるので、相対的には、トナーは二次転写裏面部材40側からニップ形成ローラ36側に静電的に押し出されるのである。なお、同図において、戻り電位ピーク値Vrは、トナーとは逆極性であるプラス側のピーク値を示している。
このように極性を変えながら交互に電界を形成させることで、トナーが像担持体たる中間転写ベルトと記録材たる用紙の間を往復運動される。往復運動したトナーと接触したトナーは中間転写ベルトとの付着力が弱まり往復運動を行うようになる。この動作が繰り返されることで用紙の凹部へ十分なトナー量が転写される。
直流電圧に交流電圧を重畳した転写バイアスによって転写する場合は、交流電圧による周期的な画像ムラを発生させないように配慮する必要がある。プリンタのプロセス線速vが282[mm/s]のとき、図1に示された第一実施形態と図3に示された比較形態で、ピッチムラの発生を回避し得る周波数fを調べた結果が表1である。一般的な普通紙にブラック単色の全ベタ画像を出力して、ピッチムラの有無を目視評価した結果であり、○はムラが確認されない場合、×はムラが確認される場合である。表1に示すように、第一実施形態のプリンタのほうが、低い周波数でもピッチムラが発生しなかった。
一方、基本的にトナーの往復運動回数を増やせば、トナーの転写性はよくなる。表2は、第一実施形態のプリンタと比較形態のプリンタを用いて、ブラック単色の全ベタ画像を特殊製紙株式会社製のレーザック66 260kgと称するエンボス紙に転写した際の、用紙の凹部の画像濃度を1.0〜5.0の10段階のランク(数値が大きいほど画質が良い)で評価した結果である。なお、評価時は、Voff−1.2kV、Vpp7.2kVの交流バイアスを使用した。またDC(−3kV)の結果も併せて示している。周波数を大きくするほど、凹部の濃度が高くなるが、或る一定の周波数を超えると濃度が低下する。つまり、印加電圧による電界によりトナーが用紙凹部で往復運動することにより、凹部の未転写トナーの付着力が提言して転写性が向上するが、印加させる交流電界の周期が短すぎると、トナー群が十分に動く前に極性が変わってしまい、往復運動することができない。よって、交流成分の周波数が大きすぎると凹部転写性が低下してしまう。表2では、1000Hzまでは凹部転写性が良好であるが、1500Hzでは低下している。このことから、ニップ幅と搬送速度によって決まるニップ時間に応じて、ニップ形成部材と対向部材の間に印加される転写バイアスの交流成分の周波数を、転写ニップ中でトナーが往復可能な周波数に設定することで、良好な凹部転写性を確保することができる。また、実施形態の方が低い周波数で凹部濃度を高くすることができる。
基本的に付着量が多くなるほど、必要なVppやVoffは大きくなるため、周波数だけでなく、VppやVoffも制御することによって、より良好な転写画像が実現する。
また、画像面積率に依らず、凹部に十分に転写させるためには、トナーの往復運動を十分に発生させる必要がある。そのため、戻し電圧のピーク値Vrの絶対値と時間平均電圧Vaveの絶対値の関係が下式を満たすように電圧を設定することが望ましい。
|Vr|>|Voff|
また、低い圧力でニップ幅を広くする構成は第一実施形態のプリンタに限られず、他の構成であっても同様の効果を得ることが可能である。例えば、図6に示すように、第二実施形態では、転写搬送ベルト41が具備され、これが、ニップ形成ローラ36のほか、アシストローラ37A、37B、37C、37Dにより張架され、回転駆動して、中間転写ベルト31との間で用紙を挟持搬送するようになっている。ニップ形成ローラ36は、その芯金が接地されるか、電圧印加されるようになっている。また、ニップ形成ローラ36とアシストローラ37A、37Dにより中間転写ベルト31と転写搬送ベルト41とを当接させ、二次転写ニップを形成する。これにより、転写搬送ベルト41は、用紙を搬送しつつ、中間転写ベルトとのニップ部でトナー像を転写させる。このような構成にすることで、更に広いニップ幅を確保して、重畳電圧転写による凹部転写性をより向上させることができる。なお、転写搬送ベルト41周辺の機構以外は第一実施形態と同様の構成である。本構成において、第一実施形態と同様に、ニップ幅を測定したところ、ニップ幅は約9.0mmであった。
次に本発明者らが実際に行った実験について説明する。
本発明者らは、第一実施形態のプリンタ(図1)と第二実施形態のプリンタ(図6)と比較形態のプリンタ(図3)とそれぞれ同様の構成のプリント試験機を用意し、これらのプリント試験機を用いて、種々のプリントテストを実施した。なお、転写バイアスは、直流成分、交流成分ともに定電圧で印加する。
本実験では、用紙Aにフルカラー画像の連続出力を行い、画像評価を行った。評価基準は凹部の転写性及び凸部(平滑部)の濃度再現性、放電に起因する白点の発生の有無である。用紙Aとしては、レザック紙175kg(厚みが約220μm、凹凸差が最大で約100μmの用紙)を用いた。
凹部の転写性については、次のようにして評価した。即ち、表面凹凸の凹部内に十分量のトナーが進入して、凹部において十分な画像濃度が得られている場合を、ランク5として評価した。また、凹部内のごく僅かな領域が白く抜けた領域となっているか、あるいは凹部の画像濃度が平滑部よりも僅かに低い状態になっている場合を、ランク4として評価した。ランク4よりも、白抜けの領域が大きい場合、あるいは濃度低下が目立つ場合を、ランク3として評価した。ランク3に比べ、更に白抜けの領域が大きい場合、あるいは濃度低下が目立つ場合をランク2として評価した。そして、凹部が全体的に白く、全体的に溝の状態がはっきりと認識できる場合や、更に悪い場合をランク1として評価した。
放電に起因する白点の出現性については、次のようにして評価した。即ち、放電に起因するものと考えられる白点が認められない状態をランク5として評価した。また、白点が僅かに認められるものの、認められる数が少なく且つ大きさも小さいことから、ユーザーに提供する画質として問題ないレベルをランク4として評価した。ランク4に比べて白点が多く認められ、問題あるほど目立つ状態をランク3として評価した。ランク3に比べて更に白点が多く認められる場合をランク2として評価した。白点が画像全体に認められ、ランク2よりも更に悪い状態をランク1として評価した。なお、放電に起因する白点は点状に発生するのに対し、凹部の濃度が非常に薄い場合は凹部全体が白くなる。
また、凸部(平滑部)の濃度再現性については、次のようにして評価した。即ち、平滑部において十分な画像濃度を得られている場合をランク5とした。ランク5に比べてやや薄いが、問題のない濃さが得られている場合を、ランク4として評価した。ランク4に比べて更に薄く、ユーザーに提供する画質としては問題となる場合をランク3として評価した。ランク3に比べて更に薄い場合をランク2とし、平滑部が全体的に白っぽい場合やそれよりも薄い場合をランク1として評価した。
参考までに、凹部の転写性、放電に起因する白点の出現性及び凸部(平滑部)の濃度再現性における各ランクの黒ベタ画像を図7〜図9にそれぞれ示す。ユーザーに提供できる画質の許容レベルとしては、何れもランク4以上である。
なお、線速は282mm/sと564mm/sとで実施し、交流電圧と直流電流を重畳させた場合の基準印加電圧値は下記の通りとした。また、交流電圧の波形は図5のような正弦波を用いた。
直流電圧:−1.2[kV]、交流電圧振幅Vpp:7.2[kV]、交流周波数:500Hz
表3は評価結果を示すものである。表3より、実施例1(第一実施形態)、実施例2(第二実施形態)ではいずれの画像評価基準、線速でみても良好な画像が得られたのに対し、比較例1(比較形態)では低線速では問題がなかったが、高線速では凹部の転写性が悪化した。
したがって、第一実施形態のように二次転写裏面部材を板状部材とすることで、極端にニップ圧を高めることなく、ニップ幅を広くすることで、線速が速くとも凹凸の大きい用紙に対し良好な画像を得ることが可能となることが確認された。
なお、交流バイアスの電圧印加部分の波形(電圧波形)は第一実施形態で使用された波形に限定されるものでなく、周期的に大きさと向きが変化するもの(例えば矩形波交流)であれば足り、対称波に限定されるものでもない(例えば三角波交流)。正弦波の場合は、二次転写裏面部材40とニップ形成ローラ36における電圧印加時間の電位差の時間平均値であるVaveが、二次転写バイアスの直流成分であるオフセット電圧Voffと等しくなる(図5参照)が、このような交流電圧では、往復運動に必要なVrに対して、必然的にVtが大きくなり、特にトナーの付着量が多い場合や、用紙の抵抗が高い場合に、放電跡が発生し易い問題が生じるため、Voffを小さくする等して調整する必要があった。これに対し、図10〜図14に示すようなものを用いることが好ましい。このような電圧波形において、交流成分のVoffを挟んで、トナーを戻す側の波形の面積は、トナーを転写する側の波形の面積より小さい。また、電圧波形の最大値と最小値の中心電圧(Voff)よりも、電圧波形の時間平均電圧(Vave)が転写方向側にある。このような波形を用いることで、必要以上に高いVtが印加されることがなく、放電跡の発生を抑制できることを本発明者らは確認した。
1 画像形成ユニット
31 中間転写ベルト
33A,33B アシストローラ
35 一次転写ローラ
36 ニップ形成ローラ
40 二次転写裏面部材
特開2008−185890号公報 特開2006−267486号公報 特開2008−058585号公報 特開平09−146381号公報 特開平04−086878号公報 特開2012−063746号公報 特開2007−057902号公報

Claims (12)

  1. おもて面にトナー像を担持する像担持体と、前記像担持体のおもて面に当接して前記像担持体との間で転写ニップを形成するニップ形成部材と、前記ニップ形成部材に対向し、前記像担持体の裏面側に設けられる対向部材と、前記転写ニップ内に挟み込まれた記録材に対して前記像担持体上のトナー像を転写するために、前記ニップ形成部材と前記対向部材の間に電位差を形成する電源とを備え、前記電位差によって形成される電界が、正規の極性に帯電しているトナーを像担持体側から記録材側へ移動させる方向の電界と、記録材側から像担持体側に戻す方向の電界との繰り返しからなるものである画像形成装置において、
    前記対向部材は、前記転写ニップにおいて前記像担持体の裏面と均一に接触する平面を有することを特徴とする画像形成装置。
  2. 時間平均電圧(Vave)が前記ニップ形成部材と前記対向部材との電圧の差の、最大値と最小値の中心電圧(Voff)と同じか、それより転写方向側にある電圧条件で転写を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記対向部材が、前記像担持体に摺擦する板状の部材であり、導電性の単層電極を構成し、前記像担持体と接触する面が均一かつ平滑であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  4. 前記対向部材の、前記像担持体と接触する面にコート層が設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  5. 前記対向部材の、前記像担持体と接触する面に潤滑剤が塗布されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  6. 前記ニップ形成部材と複数のローラに張架され、前記像担持体との間で記録材を挟持搬送する転写搬送ベルトを具備することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  7. 前記対向部材の記録材搬送方向の長さが、前記ニップ形成部材の加圧時の記録材搬送方向の接触幅よりも長いことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  8. 前記ニップ形成部材と前記対向部材の間に印加される転写バイアスの交流成分の周波数を、転写ニップ幅と用紙搬送速度に応じて変えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  9. 前記ニップ形成部材と前記対向部材の間に印加される転写バイアスの交流成分の周波数を、転写ニップ中でトナーが往復可能な周波数とすることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  10. 前記ニップ形成部材と前記対向部材の間に印加される転写バイアスは、記録材に応じて、直流成分と交流成分を重畳させた電圧と、直流成分だけから成る電圧とで切り替えられることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  11. 前記ニップ形成部材又は前記対向部材の加圧力を変化させることが可能であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  12. 前記交流成分と直流成分が重畳された電圧波形において、重畳電圧の最大値と最小値の中心電圧(Voff)よりも、重畳電圧の時間平均電圧(Vave)が転写方向側にあることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の画像形成装置。
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