最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本発明の実施の形態に係る電波センサは、横断歩道を含む対象エリアにおける対象物を検知可能な電波センサであって、前記対象エリアへ電波を送信する送信部と、電波を受信する受信部と、前記受信部によって受信された電波に基づいて、前記電波センサから前記対象エリアにおける参照物体への方向である参照方向、および前記電波センサと前記参照物体との間の距離である参照距離を算出する算出部と、前記算出部によって算出された前記参照方向および前記参照距離に基づいて、前記対象エリアにおける複数のサブエリアを設定する設定部とを備え、前記算出部は、さらに、前記受信部によって受信された電波に基づいて、前記電波センサから前記対象エリアにおける前記対象物への方向である検出方向、および前記電波センサと前記対象物との間の距離である検出距離を算出し、前記電波センサは、さらに、前記算出部によって算出された前記検出方向および前記検出距離に基づいて、前記設定部によって設定された前記サブエリアごとに前記対象物を検知する検知部を備える。
このような構成により、電波センサでは、サブエリアの位置の目印である参照物体への参照方向および当該参照物体との参照距離を測定して当該参照物体の位置を求めることができるので、サブエリアを正確に設定することができる。したがって、横断歩道を含むエリアにおいて、複数の検出対象エリアをより正確に設定することができる。これにより、たとえば、受信した電波に基づく対象物の位置の測定結果から、対象物が存在するサブエリアをより正確に特定することができるので、対象物をサブエリア単位で正しく検知することができる。
(2)好ましくは、前記設定部は、前記対象エリアにおける目標位置以外の位置に設けられた前記参照物体からの電波に基づいて前記算出部によって算出された前記参照方向および前記参照距離に基づいて前記目標位置を推定し、推定した前記目標位置に基づいて前記対象エリアにおける前記複数のサブエリアを設定する推定設定処理を行う。
このような構成により、対象エリアにおけるいずれの位置についても測定または推定を行うことができるので、対象エリアにおける任意の位置に複数のサブエリアを正確に設定することができる。
(3)より好ましくは、前記電波センサは、さらに、前記参照物体を前記目標位置に設けることの良否に関する情報を取得する情報取得部を備え、前記設定部は、前記情報取得部によって取得された前記情報が前記参照物体を前記目標位置に設けることが良くないことを示す場合、前記推定設定処理を行う。
このような構成により、参照物体を目標位置に設けることが良くないために、たとえば目標位置の正しい算出結果が得られない状況において、当該目標位置を推定することができるので、複数のサブエリアをより正確に設定することができる。
(4)好ましくは、前記参照物体は、前記対象エリアに設けられた、電波のレーダ反射断面積が大きい反射体である。
このように、レーダ反射断面積の大きい反射体の位置を測定し、測定した位置に基づいて複数のサブエリアを設定する構成により、参照物体からの電波の強度を大きくすることができるので、参照物体の位置をより正確に求めることができる。これにより、複数のサブエリアをより正確に設定することができる。
(5)好ましくは、前記電波センサは、さらに、前記参照物体に対する前記送信部および前記受信部の少なくともいずれか一方の高さを取得する取得部を備え、前記算出部は、前記取得部によって取得された前記高さ、および前記参照距離に基づいて、前記対象エリアを上方から見た平面視における、前記電波センサと前記参照物体との間の距離である平面距離を算出し、前記設定部は、前記算出部によって算出された前記参照方向および前記平面距離に基づいて前記複数のサブエリアを設定する。
このような構成により、送信部または受信部が参照物体に対して上方に位置することにより生ずる、実際のサブエリアと設定したサブエリアとのずれを低減することができるので、複数のサブエリアをより正確に設定することができる。
(6)好ましくは、前記設定部は、さらに、1または複数の前記サブエリアにおいてマスクエリアを設定し、前記検知部は、前記設定部によって設定された前記マスクエリアを前記対象物の検知対象エリアから除外する。
このように、たとえば、誤検知の発生するエリアをマスクエリアに設定し、設定したマスクエリアを検知対象エリアから除外する構成により、対象物の検知精度を向上させることができる。
(7)本発明の実施の形態に係る検知方法は、電波を受信し、横断歩道を含む対象エリアにおける対象物を検知可能な電波センサにおいて用いられる検知方法であって、受信した電波に基づいて、前記電波センサから前記対象エリアにおける参照物体への方向である参照方向、および前記電波センサと前記参照物体との間の距離である参照距離を算出するステップと、算出した前記参照方向および前記参照距離に基づいて、前記対象エリアにおける複数のサブエリアを設定するステップと、受信した電波に基づいて、前記電波センサから前記対象エリアにおける前記対象物への方向である検出方向、および前記電波センサと前記対象物との間の距離である検出距離を算出するステップと、算出した前記検出方向および前記検出距離に基づいて、設定した前記サブエリアごとに前記対象物を検知するステップとを含む。
このような構成により、電波センサでは、サブエリアの位置の目印である参照物体への参照方向および当該参照物体との参照距離を測定して当該参照物体の位置を求めることができるので、サブエリアを正確に設定することができる。したがって、横断歩道を含むエリアにおいて、複数の検出対象エリアをより正確に設定することができる。これにより、たとえば、受信した電波に基づく対象物の位置の測定結果から、対象物が存在するサブエリアをより正確に特定することができるので、対象物をサブエリア単位で正しく検知することができる。
(8)本発明の実施の形態に係る検知プログラムは、電波を受信し、横断歩道を含む対象エリアにおける対象物を検知可能な電波センサにおいて用いられる検知プログラムであって、コンピュータを、前記電波センサによって受信された電波に基づいて、前記電波センサから前記対象エリアにおける参照物体への方向である参照方向、および前記電波センサと前記参照物体との間の距離である参照距離を算出する算出部と、前記算出部によって算出された前記参照方向および前記参照距離に基づいて、前記対象エリアにおける複数のサブエリアを設定する設定部と、として機能させるためのプログラムであり、前記算出部は、さらに、前記電波センサによって受信された電波に基づいて、前記電波センサから前記対象エリアにおける前記対象物への方向である検出方向、および前記電波センサと前記対象物との間の距離である検出距離を算出し、さらに、前記算出部によって算出された前記検出方向および前記検出距離に基づいて、前記設定部によって設定された前記サブエリアごとに前記対象物を検知する検知部、として機能させるためのプログラムである。
このような構成により、電波センサでは、サブエリアの位置の目印である参照物体への参照方向および当該参照物体との参照距離を測定して当該参照物体の位置を求めることができるので、サブエリアを正確に設定することができる。したがって、横断歩道を含むエリアにおいて、複数の検出対象エリアをより正確に設定することができる。これにより、たとえば、受信した電波に基づく対象物の位置の測定結果から、対象物が存在するサブエリアをより正確に特定することができるので、対象物をサブエリア単位で正しく検知することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
<第1の実施の形態>
[構成および基本動作]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る安全運転支援システムの構成を示す図である。図2は、本発明の第1の実施の形態に係る安全運転支援システムの交差点における設置例を斜め上方から見た状態を示す図である。
図1および図2を参照して、安全運転支援システム301は、電波センサ101と、端末装置111と、中継装置141と、信号制御装置151と、無線送信装置152と、アンテナ153と、歩行者用信号灯器161とを備える。安全運転支援システム301における信号制御装置151および歩行者用信号灯器161は、交通信号機を構成し、たとえば交差点CS1の近傍に設置される。
[交差点付近について]
たとえば、図2に示すように、交差点CS1付近において横断歩道PC1が設けられている。ここで、横断歩道PC1が設けられている道路を対象道路Rd1と定義する。対象道路Rd1は、交差点CS1を形成する。また、交差点CS1において対象道路Rd1と交差する道路を交差道路Rd2と定義する。
すなわち、対象道路Rd1および交差道路Rd2が交差する部分が交差点CS1である。言い換えると、交差点CS1は、対象道路Rd1と重複し、かつ交差道路Rd2と重複している。なお、交差点CS1において、さらに多数の道路が交差してもよい。
対象道路Rd1は、交差点CS1から流出する図示しない自動車Tgt1が走行する流出道路Rdeと、交差点CS1へ流入する自動車Tgt1が走行する流入道路Rdiとを含む。流出道路Rdeおよび流入道路Rdiの間に、たとえば車線TLが設けられている。
流出道路Rdeに対する流入道路Rdiの反対側の端には、たとえば対象道路Rd1に沿って延伸するように歩道Pv1が設けられている。歩道Pv1は、交差点CS1の近傍において円弧形状の隅切りCCeに沿って延伸することにより対象道路Rd1に沿う方向から交差道路Rd2に沿う方向へ延伸方向を変える。
また、流入道路Rdiに対する流出道路Rdeの反対側の端には、たとえば対象道路Rd1に沿って延伸するように歩道Pv2が設けられている。歩道Pv2は、交差点CS1の近傍において円弧形状の隅切りCCiに沿って延伸することにより対象道路Rd1に沿う方向から交差道路Rd2に沿う方向へ延伸方向を変える。
たとえば、電波センサ101の設置者であるセンサ設置者は、横断歩道PC1を用いて道路を横断する横断対象物の検知対象エリアとして、複数のサブエリアを設定する。ここで、横断対象物は、たとえば歩行者Tgt2である。また、歩行者Tgt2は、歩いている人間に限定されず、自転車等を含む。
具体的には、センサ設置者は、たとえば、サブエリアSAes、SAer、SAirおよびSAisの4つのサブエリアを設定する。なお、サブエリアの個数は、4つに限らず、2つ、3つまたは5つ以上でもよい。
サブエリアSAesは、たとえば歩道Pv1の一部であって横断歩道PC1に隣接する部分を含む。サブエリアSAesは、たとえば歩行者Tgt2の待機エリアである。
サブエリアSAesは、たとえば四角形状を有している。以下、サブエリアSAesにおける四隅のうち、対象道路Rd1の反対側における2つの隅の位置を、交差点CS1側から順に指標位置C1,C2とも称する。また、サブエリアSAesにおける四隅のうち、対象道路Rd1側における2つの隅の位置を、交差点CS1側から順に指標位置C3,C4とも称する。
サブエリアSAerは、たとえば、横断歩道PC1および流出道路Rdeが重複するエリアを含む。サブエリアSAerは、たとえば、歩行者用信号灯器161が「すすめ」を点灯しているときに、歩行者Tgt2が横断歩道PC1に沿って通過するエリアであり、かつ交差道路Rd2から右折または左折した図示しない自動車Tgt1が対象道路Rd1に沿って通過するエリアである。
サブエリアSAerは、たとえば、四角形状を有しており、指標位置C3,C4を結ぶ線を介してサブエリアSAesと隣接している。以下、サブエリアSAerにおける四隅のうち、歩道Pv1の反対側における2つの隅の位置を、交差点CS1側から順に指標位置C5,C6とも称する。
サブエリアSAirは、たとえば、横断歩道PC1および流入道路Rdiが重複するエリアを含む。サブエリアSAirは、たとえば、歩行者用信号灯器161が「すすめ」を点灯しているときに、歩行者Tgt2が横断歩道PC1に沿って通過するエリアである。
サブエリアSAirは、たとえば、四角形状を有しており、指標位置C5,C6を結ぶ線を介してサブエリアSAerと隣接している。以下、サブエリアSAirにおける四隅のうち、歩道Pv1の反対側における2つの隅の位置を、交差点CS1側から順に指標位置C7,C8とも称する。
サブエリアSAisは、たとえば歩道Pv2の一部であって横断歩道PC1に隣接する部分を含む。サブエリアSAisは、たとえば歩行者Tgt2の待機エリアである。
サブエリアSAisは、たとえば、四角形状を有しており、指標位置C7,C8を結ぶ線を介してサブエリアSAirと隣接している。以下、サブエリアSAisにおける四隅のうち、対象道路Rd1の反対側における2つの隅の位置を、交差点CS1側から順に指標位置C9,C10とも称する。
電波センサ101は、横断歩道PC1を含む対象エリアA1における対象物Tgtを検知することが可能である。たとえば、電波センサ101は、サブエリアSAes、SAer、SAirおよびSAisを含む対象エリアA1における対象物Tgtを検知することが可能である。ここで、対象物Tgtには、上述の横断対象物の他に、対象道路Rd1に沿って走行して横断歩道PC1を通過する自動車Tgt1が含まれる。
[電波センサの設置位置]
電波センサ101は、たとえば対象道路Rd1付近に設置されている。具体的には、電波センサ101は、たとえば歩道Pv1に対して対象道路Rd1の反対側に設置された支柱PWに固定されている。より詳細には、電波センサ101は、たとえば、横断歩道PC1の歩道Pv1側への延長線上に設けられている。
中継装置141は、たとえば支柱PWに固定されている。電波センサ101および中継装置141は、図2では図示していないがたとえば信号線で接続されている。中継装置141は、たとえば、電波センサ101から受信した情報を信号制御装置151へ送信する中継処理を行う。
信号制御装置151および無線送信装置152は、たとえば歩道Pv2に対して対象道路Rd1の反対側に設置された支柱PVに固定されている。また、アンテナ153は、たとえば支柱PVの頂部に固定されている。
2つの歩行者用信号灯器161は、支柱PWおよびPVにそれぞれ固定されている。信号制御装置151と、無線送信装置152、中継装置141および2つの歩行者用信号灯器161とは、図2では図示していないがたとえば信号線でそれぞれ接続されている。無線送信装置152およびアンテナ153は、図2では図示していないがたとえば信号線で接続されている。
電波センサ101は、対象エリアA1へ電波を送信する。対象エリアA1内に位置する対象物Tgtは、たとえば電波センサ101から送信される電波を反射する。電波センサ101は、対象物Tgtにより反射された電波を受信する。
電波センサ101は、受信した電波に基づいて、サブエリアごとに対象物Tgtを検知し、たとえば検知結果を中継装置141経由で信号制御装置151へ送信する。
歩行者用信号灯器161は、信号制御装置151の制御に従って、たとえば横断歩道PC1を横断する歩行者Tgt2に対して「すすめ」または「とまれ」を点灯して表示する。
たとえば、信号制御装置151は、歩行者用信号灯器161において「すすめ」を点灯する残り時間が少ない場合において、サブエリアSAirおよびSAerの少なくともいずれか一方において歩行者Tgt2を検知したことを検知結果が示すとき、残り時間の延長を行う。なお、信号制御装置151は、たとえば、「すすめ」を点灯する残り時間が少ない旨を歩行者Tgt2に音声で通知してもよい。
また、信号制御装置151は、たとえば、歩行者用信号灯器161において「とまれ」を点灯している場合において、サブエリアSAirおよびSAerの少なくともいずれか一方において歩行者Tgt2を検知したことを検知結果が示すとき、危険である旨を歩行者Tgt2に音声で警告する。
また、信号制御装置151は、電波センサ101から受信する検知結果に基づいて自動車Tgt1に対してサービスを提供する。
具体的には、信号制御装置151は、たとえば、SAerにおいて歩行者Tgt2を検知したことを検知結果が示すとき、またはサブエリアSAirまたはSAesにおける歩行者Tgt2がサブエリアSAerへ進入し得ることを検知結果が示すとき、横断歩道PC1における歩行者Tgt2に注意すべき旨を示す歩行者警戒情報を作成し、作成した歩行者警戒情報を無線送信装置152へ送信する。
無線送信装置152は、たとえば、信号制御装置151から歩行者警戒情報を受信すると、受信した歩行者警戒情報を含む電波を生成し、生成した電波をアンテナ153経由で送信することにより、交差点CS1周辺に位置する自動車Tgt1へ歩行者警戒情報を報知する。
たとえば、交差道路Rd2から右折または左折して横断歩道PC1を通過しようとする図示しない自動車Tgt1は、無線送信装置152から送信された電波を受信すると、受信した電波に含まれる歩行者警戒情報を取得し、取得した歩行者警戒情報に基づいて、横断歩道PC1における横断対象物に注意すべき旨を当該自動車Tgt1の運転者に通知する。
また、電波センサ101および端末装置111は、図2では図示していないがたとえば信号線で接続することが可能である。センサ設置者は、たとえば、端末装置111を操作することにより、設定した各サブエリアを電波センサ101に認識させる。電波センサ101における各サブエリアの認識処理の詳細については、後述する。
[電波センサの構成]
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る安全運転支援システムにおける電波センサの構成を示す図である。
図3を参照して、電波センサ101は、送信部1と、受信部2と、差分信号生成部3と、制御部4と、信号処理部5と、設定部6と、検知部7と、通信部(情報取得部)8とを備える。
送信部1は、送信アンテナ21と、パワーアンプ22と、方向性結合器23と、VCO(Voltage−Controlled Oscillator)24と、三角波生成部25とを含む。
受信部2は、受信アンテナ31A,31B,31C,31Dと、ローノイズアンプ32A,32B,32C,32Dとを含む。以下、受信アンテナ31A,31B,31C,31Dの各々を、受信アンテナ31とも称する。ローノイズアンプ32A,32B,32C,32Dの各々を、ローノイズアンプ32とも称する。
ローノイズアンプ32は、たとえば受信アンテナ31に対応して設けられている。図3では、受信アンテナ31および対応のローノイズアンプ32の4つの組を代表的に示しているが、2つ、3つまたは5つ以上の当該組が設けられてもよい。
差分信号生成部3は、ミキサ33A,33B,33C,33Dと、IF(Intermediate Frequency)アンプ34A,34B,34C,34Dと、ローパスフィルタ35A,35B,35C,35Dと、A/Dコンバータ(ADC)36A,36B,36C,36Dとを含む。
以下、ミキサ33A,33B,33C,33Dの各々を、ミキサ33とも称する。IFアンプ34A,34B,34C,34Dの各々を、IFアンプ34とも称する。ローパスフィルタ35A,35B,35C,35Dの各々を、ローパスフィルタ35とも称する。ADコンバータ36A,36B,36C,36Dの各々を、ADコンバータ36とも称する。
ミキサ33、IFアンプ34、ローパスフィルタ35およびA/Dコンバータ36は、たとえば受信アンテナ31に対応して設けられている。図3では、ミキサ33、IFアンプ34、ローパスフィルタ35およびA/Dコンバータ36の4つの組を代表的に示しているが、2つ、3つまたは5つ以上の当該組が設けられてもよい。
電波センサ101は、たとえば、非特許文献1および非特許文献2に記載されたFM−CW(Frequency Modulated−Continuous Wave)方式に従って、対象物Tgtを検知するレーダである。なお、電波センサ101は、FM−CW方式に限らず、パルス方式等の他の方式に従って対象物Tgtを検知するレーダであってもよい。
電波センサ101における通信部8は、たとえば端末装置111と情報の送受信を行う。
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る安全運転支援システムにおける端末装置の画面の表示の一例を示す図である。
図4を参照して、端末装置111は、たとえばセンサ設置者の操作を受け付ける。端末装置111の画面には、たとえば電波センサ101に各サブエリアを認識させるために用いる画面Sc1が表示されている。
画面Sc1には、たとえば、サブエリアSAes,SAer,SAir,SAis、横断歩道PC1、対象道路Rd1および歩道Pv1,Pv2を上方から見た模式図SD1、テキストボックスTBsおよびTBr、ならびにボタンB1〜B10、Bs、BmおよびBeが表示されている。
センサ設置者は、たとえば、対象エリアA1において、図2に示すサブエリアSAes,SAer,SAir,SAisを設定する場合、マウス等のポインティングデバイスを操作して、画面Sc1において「第1サブエリア」,「第2サブエリア」,「第3サブエリア」,「第4サブエリア」を作成する。ここで、「第1サブエリア」,「第2サブエリア」,「第3サブエリア」,「第4サブエリア」は、たとえばサブエリアSAes,SAer,SAir,SAisにそれぞれ対応する。
画面Sc1におけるボタンB1〜B10は、たとえば、センサ設置者による「第1サブエリア」,「第2サブエリア」,「第3サブエリア」,「第4サブエリア」の作成が完了すると、自動的に生成される。こららのボタンB1〜B10は、たとえば指標位置C1〜C10にそれぞれ対応する。
また、センサ設置者は、たとえば、電波センサ101における受信アンテナ31の地面からの高さHsをテキストボックスTBsに入力する。この例では、高さHsは2.5mである。
センサ設置者は、たとえば、画面Sc1における「第1サブエリア」,「第2サブエリア」,「第3サブエリア」,「第4サブエリア」の作成、および高さHsの入力が完了すると、ポインティングデバイスを操作してボタンBsをクリックする。ここで、ボタンBsは、たとえば各サブエリアおよび各指標位置の位置関係、ならびに高さHsを電波センサ101へ送信するためのボタンである。
端末装置111は、たとえば、センサ設置者によるボタンBsに対するポインティングデバイスの操作の内容に従って、各サブエリアおよび各指標位置の位置関係を示す配置情報、ならびに高さHsを示すセンサ高情報を作成して電波センサ101へ送信する。
再び図3を参照して、電波センサ101における制御部4は、たとえば、端末装置111から通信部8経由で配置情報およびセンサ高情報を受信すると、受信した配置情報およびセンサ高情報を設定部6および信号処理部5へそれぞれ出力する。
設定部6は、たとえば、制御部4から配置情報を受けると、受けた配置情報に基づいて、サブエリアSAes,SAer,SAir,SAisおよび指標位置C1〜C10の位置関係PR1を保持する。
再び図4を参照して、センサ設置者は、たとえば、指標位置C1〜C10を電波センサ101に認識させるために、各指標位置の実測値を電波センサ101に測定させるための操作を行う。電波センサ101は、センサ設置者による操作に従って、指標位置C1〜C10の実測値を測定する。
より詳細には、センサ設置者は、たとえば参照物体を対象エリアA1に設ける。ここで、参照物体は、たとえば送信部1により送信された電波のレーダ反射断面積が大きい反射体R1である。
たとえば、センサ設置者は、指標位置C5の実測値を電波センサ101に測定させる場合、図2に示すように、送信部1により送信された電波を反射可能な反射体R1を参照物体として指標位置C5に設置する。この場合、指標位置C5が目標位置である。また、反射体R1のレーダ反射断面積は、たとえば歩行者Tgt2のレーダ反射断面積より大きい。
センサ設置者は、たとえば支柱を用いて反射体R1を指標位置C5に設置する。なお、支柱を用いて反射体R1を設置することが困難である場合、指標位置C5において人間が反射体R1を保持してもよい。
反射体R1は、たとえばアルミニウムまたは鉄等の金属で形成されており、送信部1により送信された電波に対して高い反射率を有する。ここで、反射体R1のレーダ反射断面積は、好ましくは10dB平方メートル以上であり、また、より好ましくは15dB平方メートル以上である。また、反射体R1の地面からの高さは、たとえばHrである。
センサ設置者は、たとえば、反射体R1の高さHrをテキストボックスTBrに入力する。この例では、高さHrは1.5mである。
そして、センサ設置者は、たとえば、画面Sc1を参照しながらポインティングデバイスを操作し、指標位置C5に対応するボタンB5をクリックする。ボタンB5は、センサ設置者によるクリック操作を受けると、たとえばハッチングが施される。
センサ設置者は、たとえば、ボタンB5にハッチングが施されたことを確認すると、ポインティングデバイスを操作して、位置測定を開始させるためのボタンBmをクリックする。
端末装置111は、たとえば、センサ設置者によるボタンB5,Bmに対するポインティングデバイスの操作の内容に従って、指標位置C5の実測値の測定命令を含む測定命令情報、および高さHrを示す反射体高情報を作成して電波センサ101へ送信する。
再び図3を参照して、電波センサ101における制御部4は、たとえば、端末装置111から通信部8経由で測定命令情報および反射体高情報を受信すると、受信した測定命令情報および反射体高情報を設定部6および信号処理部5へそれぞれ出力する。
また、制御部4は、たとえば、受信した測定命令情報に従って、自己の電波センサ101に対して指標位置C5における反射体R1の位置の測定を開始させる。
具体的には、制御部4は、たとえば測定信号のレベルをローからハイに切り替えて送信部1および信号処理部5へ所定時間Td出力した後、当該測定信号のレベルをローに切り替える。
送信部1は、対象エリアA1へ電波を送信する。詳細には、送信部1は、たとえば、制御部4からハイレベルの測定信号を受ける間、電波を対象エリアA1へ送信する。
より詳細には、送信部1における三角波生成部25は、たとえば、制御部4からハイレベルの測定信号を受ける間、三角波を生成し、生成した三角波をVCO24へ出力する。
VCO24は、たとえば、三角波生成部25から受ける三角波のレベルに応じた周波数を有する送信波RFtを生成し、生成した送信波RFtを方向性結合器23へ出力する。ここで、送信波RFtの周波数帯はたとえば24GHzである。また、送信波RFtの変調幅は、たとえば180MHzである。
方向性結合器23は、たとえば、VCO24から受ける送信波RFtをパワーアンプ22および差分信号生成部3へ分配する。
パワーアンプ22は、たとえば方向性結合器23から受ける送信波RFtを増幅し、増幅後の送信波RFtを送信アンテナ21経由で対象エリアA1へ送信する。ここで、送信アンテナ21は、たとえば、受信アンテナ31と同じ高さHsに設けられる。
図5は、本発明の第1の実施の形態に係る送信アンテナおよび受信アンテナを上方から見た場合における配置の一例を示す図である。
図3および図5を参照して、受信アンテナ31A〜31Dは、たとえば送信アンテナ21の近傍に位置する。より詳細には、受信アンテナ31A〜31Dは、たとえば、地面からの高さHsにおいて、対象道路Rd1の横断方向Dcに対して直交する方向Dlに沿って水平に並べて配置される。各受信アンテナ31は、たとえば、交差点CS1側から受信アンテナ31A〜31Dの順番で間隔dを空けて並べられている。
なお、受信アンテナ31A〜31Dは、送信アンテナ21から離れた位置に配置されてもよいが、電波センサ101の構成を簡易にするために、送信アンテナ21の近傍に配置されることが好ましい。
また、受信アンテナ31A〜31Dは、たとえば、並べられた受信アンテナ31A〜31Dの中間位置を指標位置C2,C4,C6,C8,C10を含む直線E1が通るように配置される。
ここで、反射体R1または対象物Tgtからの反射波の受信アンテナ31への入射角φを、たとえば横断方向Dcが0°になり、かつ受信アンテナ31の上方から見て時計回りに増加するように定義する。
なお、送信アンテナ21および複数の受信アンテナ31が別々のアンテナである構成に限らず、複数の受信アンテナ31のうちのいずれか1つのアンテナを送信アンテナとして用いる構成であってもよい。
図3を参照して、受信部2は、対象エリアA1等からの電波を受信する。より詳細には、受信部2が受信する電波には、参照物体として対象エリアA1に設けられた反射体R1によって反射された参照電波、対象物Tgtによって反射された電波、参照物体および対象物Tgt以外の物体である構造物、たとえばガードレールおよびポールによって反射された電波、ならびに電波を送信する電波送信体からの電波等が含まれる。
より詳細には、受信部2における受信アンテナ31A〜31Dは、対象エリアA1からの電波をそれぞれ受信する。
ローノイズアンプ32A〜32Dは、たとえば、受信アンテナ31A〜31Dがそれぞれ受信した電波である受信波RFr1〜RFr4を増幅し、差分信号生成部3へ出力する。
差分信号生成部3は、たとえば、送信部1によって送信される電波の周波数成分と受信部2によって受信される電波の周波数成分との差の周波数成分を有する差分信号を生成する。
より詳細には、差分信号生成部3におけるミキサ33Aは、たとえば、送信部1から受ける送信波RFtとローノイズアンプ32Aから受ける受信波RFr1との差の周波数成分を有する差分信号Ba1を生成し、生成した差分信号Ba1をIFアンプ34Aへ出力する。
同様に、ミキサ33B〜ミキサ33Dは、たとえば、送信部1から受ける送信波RFtとローノイズアンプ32B〜32Dからそれぞれ受ける受信波RFr2〜RFr4との差の周波数成分を有する差分信号Ba2〜Ba4を生成する。ミキサ33B〜ミキサ33Dは、たとえば、生成した差分信号Ba2〜Ba4をIFアンプ34B〜34Dへそれぞれ出力する。
IFアンプ34A〜34Dは、たとえば、それぞれ、ミキサ33A〜ミキサ33Dから受ける差分信号Ba1〜Ba4を増幅し、ローパスフィルタ35A〜35Dへ出力する。
ローパスフィルタ35A〜35Dは、IFアンプ34A〜34Dにおいてそれぞれ増幅された差分信号Ba1〜Ba4の周波数成分のうち、所定の周波数以上の成分を減衰させる。
A/Dコンバータ36Aは、たとえば所定のサンプリング周波数fsmplで差分信号Ba1のサンプリング処理を行う。より詳細には、A/Dコンバータ36Aは、たとえば、ローパスフィルタ35Aを通過したアナログ信号である差分信号Ba1を、サンプリング周期である(1/fsmpl)ごとにqビット(qは2以上の整数)のデジタルの差分信号Bd1に変換する。
同様に、A/Dコンバータ36B〜36Dは、たとえば、サンプリング周波数fsmplでそれぞれ差分信号Ba2〜Ba4のサンプリング処理を行い、アナログの差分信号Ba2〜Ba4をデジタルの差分信号Bd2〜Bd4に変換する。
A/Dコンバータ36A〜36Dは、たとえば、変換後の差分信号Bd1〜Bd4をそれぞれ信号処理部5へ出力する。
図6は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサにおける信号処理部の構成を示す図である。
図6を参照して、信号処理部5は、メモリ41と、FFT(Fast Fourier Transform)処理部42と、DBF(Digital Beamforming)処理部43と、算出部(取得部)44とを含む。
信号処理部5におけるメモリ41は、たとえば、A/Dコンバータ36A〜36Dからそれぞれ受ける差分信号Bd1〜Bd4を蓄積する。
FFT処理部42は、たとえば、制御部4から受ける測定信号のレベルがハイからローへ切り替わると、メモリ41における差分信号Bd1〜Bd4の蓄積が完了したと認識し、メモリ41に蓄積された差分信号Bd1〜Bd4を取得する。そして、FFT処理部42は、たとえば、取得した差分信号Bd1〜Bd4に対してそれぞれFFT処理を行う。
より詳細には、FFT処理部42は、たとえば、差分信号Bd1に対してFFT処理を行うことにより、パワースペクトルFS1および位相スペクトルPS1を生成する。ここで、パワースペクトルFS1は、たとえば、所定時間Td蓄積された差分信号Bd1に含まれる各周波数成分の振幅を示す。また、位相スペクトルPS1は、たとえば、所定時間Td蓄積された差分信号Bd1に含まれる各周波数成分の位相を示す。
同様に、FFT処理部42は、たとえば、それぞれ、差分信号Bd2〜Bd4に対してFFT処理を行うことにより、パワースペクトルFS2および位相スペクトルPS2、パワースペクトルFS3および位相スペクトルPS3、ならびにパワースペクトルFS4および位相スペクトルPS4を生成する。
FFT処理部42は、たとえば、生成したパワースペクトルFS1〜FS4および位相スペクトルPS1〜PS4をDBF処理部43へ出力する。
DBF処理部43は、たとえば、FFT処理部42から受ける位相スペクトルPS1〜PS4に対してデジタルビームフォーミング処理を行うことにより、遅延位相スペクトルDPS1〜DPS4をそれぞれ生成する。
より詳細には、DBF処理部43は、たとえば、計算対象の入射角φとして対象角度φcを複数種類設定する。具体的には、対象角度φcは、たとえば−90°〜+90°の範囲において15°刻みである。
DBF処理部43は、たとえば、設定した対象角度φcごとに、受信アンテナ31A〜31Dの遅延位相をそれぞれ算出する。ここで、遅延位相は、たとえば、ある波長を有する平面波の電波が入射角φcで受信アンテナ31A〜31Dに向かって伝搬する場合において、受信アンテナ31A〜31Dが当該電波をそれぞれ受信する際の位相の遅れである。
DBF処理部43は、たとえば、対象角度φcごとに、受信アンテナ31Aに対応する遅延位相を用いて、位相スペクトルPS1から遅延位相スペクトルDPS1を生成する。同様に、DBF処理部43は、たとえば、対象角度φcごとに、受信アンテナ31B〜31Cに対応する遅延位相を用いて、位相スペクトルPS2〜PS4から遅延位相スペクトルDPS2〜DPS4をそれぞれ生成する。
DBF処理部43は、たとえば、対象角度φcごとの遅延位相スペクトルDPS1〜DPS4、およびパワースペクトルFS1〜FS4を算出部44へ出力する。
算出部44は、受信部2によって受信された電波に基づいて、電波センサ101から対象エリアA1における参照物体への方向である参照方向、および電波センサ101と当該参照物体との間の距離である参照距離を算出する。
より詳細には、算出部44は、たとえば、受信部2によって受信された参照電波に基づいて、電波センサ101から反射体R1への参照方向、および電波センサ101と反射体R1との間の参照距離Ltmaxを算出する。
具体的には、算出部44は、たとえば、DBF処理部43から受ける対象角度φcごとの遅延位相スペクトルDPS1〜DPS4、およびパワースペクトルFS1〜FS4に基づいて、電波センサ101から反射体R1への参照方向、および参照距離Ltmaxを算出する。
たとえば、算出部44は、対象角度φcごとに、当該対象角度φcに対応する遅延位相スペクトルDPS1〜DPS4、およびパワースペクトルFS1〜FS4を合成することにより合成スペクトルを生成する。
そして、算出部44は、たとえば、対象角度φcごとに、合成スペクトルを解析し、ピーク検出によりピークに対応する周波数を検出する。この際、検出される周波数は、たとえば、非特許文献1におけるfBHおよびfBL、または非特許文献2におけるfUPおよびfDOWNである。
算出部44は、たとえば、非特許文献1および2に記載された方法に従って、対象角度φcごとに、算出した各周波数から距離Ltおよび検出対象速度vtを算出するとともにピーク強度を取得する。ここで、検出対象速度vtは、たとえば、電波センサ101に対して近づくかまたは遠ざかる方向に沿った対象物Tgtの移動速度である。
算出部44は、たとえば、対象角度φcごとのピーク強度から、最大のピーク強度を有するピークPmaxを取得し、取得したピークPmaxに対応する対象角度φcを対象角度φcmaxとして特定する。ここで、たとえば、図5に示すように、横断方向Dcに対する対象角度φcmaxの方向が、電波センサ101から反射体R1への参照方向である。
また、算出部44は、たとえば、算出した対象角度φcごとの距離Ltの中から、取得したピークPmaxに対応する距離Ltを図5に示す参照距離Ltmaxとして取得する。
図7は、本発明の第1の実施の形態に係る安全運転支援システムにおける受信アンテナおよび反射体の配置の一例を示す図である。
図7を参照して、算出部44は、たとえば、参照物体すなわち反射体R1に対する受信部2の高さHaを取得する。具体的には、算出部44は、たとえば、通信部8から受けるセンサ高情報および反射体高情報から高さHsおよびHrをそれぞれ取得する。算出部44は、たとえば、高さHsから高さHrを差し引くことにより高さHaを算出する。
また、算出部44は、たとえば、取得した高さHa、および参照距離Ltmaxに基づいて、対象エリアA1を上方から見た平面視における、電波センサ101と参照物体すなわち反射体R1との間の距離である平面距離Lpを算出する。
具体的には、算出部44は、たとえば、受信アンテナ31から鉛直下方へ向かってHa離れた点Vr、受信アンテナ31、および反射体R1を頂点とする直角三角形RTに対して三平方の定理を適用することにより平面距離Lpを算出する。より詳細には、算出部44は、(Ltmax×Ltmax−Ha×Ha)の平方根を平面距離Lpとして算出する。
算出部44は、たとえば、特定した対象角度φcmax、および算出した平面距離Lpを設定部6へ出力する。
また、算出部44は、受信部2によって受信された電波に基づいて、電波センサ101から対象エリアA1における対象物Tgtへの方向である検出方向、および電波センサ101と対象物Tgtとの間の距離である検出距離を算出する。
具体的には、算出部44は、たとえば、対象角度φcごとのピーク強度から、所定のしきい値以上のピーク強度を有するピークPtgtを取得し、取得したピークPtgtに対応する対象角度φcを検出角度φcdとして特定する。ここで、たとえば、図5に示すように、横断方向Dcに対する対象角度φcdの方向が、電波センサ101から対象物Tgtへの方向である。
そして、算出部44は、たとえば、算出した対象角度φcごとの距離Ltの中から、取得したピークPtgtに対応する距離Ltを検出距離Ltdとして取得する。また、算出部44は、たとえば、算出した対象角度φcごとの検出対象速度vtの中から、取得したピークPtgtに対応する検出対象速度vtを検出対象速度vtdとして取得する。
算出部44は、たとえば、ピークPtgtに対応する、検出角度φcd、ピーク強度、検出距離Ltdおよび検出対象速度vtdを検知部7へ出力する。
なお、算出部44は、デジタルビームフォーミング処理を行うビームフォーマ法を用いて、電波センサ101から参照物体または対象物Tgtへの方向を算出する構成に限らず、非特許文献3に記載のMUSIC(MUltiple SIgnal Classification)法またはCapon法を用いて、上記方向を算出する構成であってもよい。
また、算出部44は、非特許文献4における3.3に記載の「電子スキャン方式」に従って信号処理を行ってもよい。すなわち、算出部44は、差分信号Bd1〜Bd4をフーリエ変換することにより得られたパワースペクトルFS1〜FS4においてピークを検出すると、ピークの検出に基づいて対象物Tgtを検知し、当該ピークにおける周波数に基づいて距離を算出する。そして、算出部44は、パワースペクトルFS1〜FS4におけるピークに対応する位相に基づいて、検出した対象物Tgtへの方向を算出する。
図8は、本発明の第1の実施の形態に係る安全運転支援システムにおいて、対象エリアを上方から見た平面視における各サブエリアの配置の一例を示す図である。図8には、受信アンテナ31を原点とする極座標および直交座標が示されている。
図8を参照して、設定部6は、算出部44によって算出された、電波センサ101から参照物体への参照方向、および電波センサ101と参照物体との間の参照距離に基づいて、対象エリアA1における複数のサブエリアを設定する。
具体的には、設定部6は、たとえば、算出部44によって算出された、電波センサ101から反射体R1への参照方向、および電波センサ101と反射体R1との間の参照距離に基づいて複数のサブエリアを設定する。
より詳細には、設定部6は、たとえば、算出部44によって算出された、電波センサ101から反射体R1への参照方向および平面距離に基づいて複数のサブエリア、具体的にはサブエリアSAes,SAer,SAir,SAisを設定する。
たとえば、設定部6は、制御部4から受ける測定命令情報、ならびに算出部44から受ける対象角度φcmaxおよび平面距離Lpから、指標位置C5の実測値の極座標Cpol5として(L5=Lp,φ5=φcmax)を作成して保持する。
また、設定部6は、たとえば、極座標Cpol5を直交座標系に変換した直交座標Ccar5として、(X5=Lp×sin(φcmax),Y5=Lp×cos(φcmax))を算出し、算出した直交座標Ccar5を保持する。
設定部6は、たとえば、極座標Cpol5および直交座標Ccar5の保持が完了すると、指標位置C5の実測値の測定が完了したことを示す実測成功情報を制御部4へ出力する。
制御部4は、たとえば、設定部6から実測成功情報を受けると、受けた実測成功情報を通信部8経由で端末装置111へ送信する。
図9は、本発明の第1の実施の形態に係る安全運転支援システムにおける端末装置の画面の表示の他の例を示す図である。
図9を参照して、画面Sc2には、図4に示す模式図SD1、テキストボックスTBsおよびTBr、ならびにボタンB1〜B10、Bs、BmおよびBeが同様に表示されている。
端末装置111は、たとえば、電波センサ101から実測成功情報を受信すると、受信した実測成功情報に基づいて、指標位置C5の実測が成功したことを画面Sc2に示すためにボタンB5に丸印を描画する。
センサ設置者は、ボタンB5に丸印が描画されたことを確認すると、たとえば指標位置C5に設置されていた反射体R1を指標位置C7に移設する。この場合、指標位置C7が目標位置である。
また、センサ設置者は、たとえば、反射体R1の高さHrの変更を行わない場合、テキストボックスTBrに表示されている1.5mをそのまま用いる。
そして、センサ設置者は、たとえば、画面Sc2を参照しながらポインティングデバイスを操作し、指標位置C7に対応するボタンB7をクリックする。ボタンB7は、センサ設置者によるクリック操作を受けると、たとえばハッチングが施される。
センサ設置者は、たとえば、ボタンB7にハッチングが施されたことを確認すると、ポインティングデバイスを操作して、位置測定を開始させるためのボタンBmをクリックする。
端末装置111は、たとえば、センサ設置者によるボタンB7,Bmに対するポインティングデバイスの操作の内容に従って、指標位置C7の実測値の測定命令を含む測定命令情報、および高さHrを示す反射体高情報を作成して電波センサ101へ送信する。
再び図3を参照して、電波センサ101における制御部4は、たとえば、端末装置111から通信部8経由で測定命令情報および反射体高情報を受信すると、受信した測定命令情報および反射体高情報を設定部6および信号処理部5へそれぞれ出力する。
また、制御部4は、たとえば、受信した測定命令情報に従って、自己の電波センサ101に対して指標位置C7における反射体R1の位置の測定を開始させる。
たとえば、設定部6は、制御部4から受ける測定命令情報、ならびに算出部44から受ける対象角度φcmaxおよび平面距離Lpから、指標位置C7の実測値の極座標Cpol7として(L7=Lp,φ7=φcmax)を作成して保持する。
また、設定部6は、たとえば、極座標Cpol7を直交座標系に変換した直交座標Ccar7として、(X7=Lp×sin(φcmax),Y7=Lp×cos(φcmax))を算出し、算出した直交座標Ccar7を保持する。
設定部6は、たとえば、極座標Cpol7および直交座標Ccar7の保持が完了すると、指標位置C7の実測値の測定が完了したことを示す実測成功情報を制御部4へ出力する。
制御部4は、たとえば、設定部6から実測成功情報を受けると、受けた実測成功情報を通信部8経由で端末装置111へ送信する。
再び図2および図9を参照して、端末装置111は、たとえば、電波センサ101から実測成功情報を受信すると、受信した実測成功情報に基づいて、指標位置C7の実測が成功したことを示すためにボタンB7に対して丸印を付与する。
センサ設置者は、ボタンB7に丸印が付与されたことを確認すると、たとえば、指標位置C3,C9,C1,C6,C8,C4,C10,C2の順に、電波センサ101に対して指標位置における反射体R1の位置を測定させる。
再び図3を参照して、設定部6は、たとえば、極座標Cpol1〜Cpol10および直交座標Ccar1〜Ccar10の保持が完了すると、保持している位置関係PR1と極座標Cpol1〜Cpol10および直交座標Ccar1〜Ccar10とを対応づけることによりサブエリアSAes,SAer,SAir,SAisの実測位置を設定する。
そして、設定部6は、たとえば、直交座標Ccar1〜Ccar10を示す座標情報を作成し、作成した座標情報を制御部4へ出力する。
制御部4は、たとえば、設定部6から座標情報を受けると、受けた座標情報を通信部8経由で端末装置111へ送信する。
[サブエリアの形状の修正]
図10は、本発明の第1の実施の形態に係る安全運転支援システムにおける端末装置の画面の表示の他の例を示す図である。
図10を参照して、画面Sc3には、たとえば、直交座標系RC1、ならびにボタンBk、BrおよびBpが表示されている。
端末装置111は、たとえば、電波センサ101から座標情報を受信すると、受信した座標情報から直交座標Ccar1〜Ccar10を取得する。
そして、端末装置111は、たとえば、取得した直交座標Ccar1〜Ccar10に基づいて、電波センサ101が認識しているサブエリアSAes,SAer,SAir,SAisを、それぞれ「第1サブエリア」,「第2サブエリア」,「第3サブエリア」,「第4サブエリア」として直交座標系RC1に表示する。
センサ設置者は、画面Sc3を参照することにより「第2サブエリア」および「第3サブエリア」の形状が異常であると認識し、この異常の原因として以下のことを推測する。
すなわち、センサ設置者は、図2に示すように、たとえば、流入道路Rdiにおける自動車Tgt1の一部が対象エリアA1に含まれるため、指標位置C6の実測結果に誤差が生じて「第2サブエリア」および「第3サブエリア」の形状が異常になったと推測する。
そして、センサ設置者は、たとえば、画面Sc3を参照しながらポインティングデバイスを操作し、前画面に戻るためのボタンBpをクリックする。
図11は、本発明の第1の実施の形態に係る安全運転支援システムにおける端末装置の画面の表示の他の例を示す図である。
図11を参照して、画面Sc4には、図4に示す模式図SD1、テキストボックスTBsおよびTBr、ならびにボタンB1〜B10、Bs、BmおよびBeが同様に表示されている。
端末装置111は、たとえば、センサ設置者によるボタンBpに対するポインティングデバイスの操作の内容に従って、画面Sc3を画面Sc4に切り替える。
「第2サブエリア」および「第3サブエリア」の形状を正常な形状に変更するために、たとえば、流入道路Rdiに自動車Tgt1が存在しないタイミングにおいて、指標位置C6の実測値を再測定する方法が考えられる。
しかしながら、たとえば、流入道路Rdiにおける自動車Tgt1の交通量が多い場合、流入道路Rdiに自動車Tgt1が存在しないタイミングを得られないため、指標位置C6の実測値の再測定は困難である。
また、図2に示す状況と異なり、たとえば、ポールまたは柵等の移動しない金属製の物体が対象エリアA1に含まれる状況では、いずれのタイミングにおいても電波センサ101に指標位置の正しい実測値を測定させることが困難である。
このような状況において、たとえば、センサ設置者は、指標位置C6を電波センサ101に推定させる。
より詳細には、センサ設置者は、たとえば、画面Sc4を参照しながらポインティングデバイスを操作し、指標位置C6に対応するボタンB6をクリックする。ボタンB6は、センサ設置者によるクリック操作を受けると、たとえばハッチングが施される。
センサ設置者は、たとえば、ボタンB6にハッチングが施されたことを確認すると、ポインティングデバイスを操作して、位置推定を開始させるためのボタンBeをクリックする。
図12は、本発明の第1の実施の形態に係る安全運転支援システムにおける端末装置の画面の表示の他の例を示す図である。
図12を参照して、画面Sc5には、図10に示す直交座標系RC1および「第1サブエリア」,「第2サブエリア」,「第3サブエリア」,「第4サブエリア」が同様に表示されている。
また、画面Sc5には、直交座標Ccar1〜Ccar10の示す位置において、それぞれ、識別子としての「位置A」〜「位置J」、および対応の直交座標「(X1,Y1)」〜「(X10,Y10)」が付された黒丸が表示されている。
また、画面Sc5には、テキストボックスTB1〜TB10、およびボタンBtが表示されている。
端末装置111は、たとえば、センサ設置者によるボタンB5,Bmに対するポインティングデバイスの操作の内容に従って、画面Sc4を画面Sc5に切り替える。
テキストボックスTB1〜TB5は、たとえば、センサ設置者により測量された、指標位置C6と指標位置C1〜C5との間の距離をそれぞれ入力すべきテキストボックスである。また、テキストボックスTB7〜TB10は、たとえば、センサ設置者により測量された、指標位置C6と指標位置C7〜C10との間の距離をそれぞれ入力すべきテキストボックスである。
センサ設置者は、たとえば、テキストボックスTB1〜TB5およびTB7〜TB10のうち、すくなくとも2つのテキストボックスに測量した距離を入力する。この例では、センサ設置者は、テキストボックスTB4およびTB8の両方に、測量した距離である6.0mを入力する。
センサ設置者は、たとえば、画面Sc5におけるテキストボックスTB4およびTB8の入力が完了すると、ポインティングデバイスを操作してボタンBtをクリックする。ここで、ボタンBtは、たとえば、センサ設置者により入力されたデータを電波センサ101へ送信するためのボタンである。
端末装置111は、たとえば、センサ設置者によるボタンBtに対するポインティングデバイスの操作の内容に従って、指標位置C6と指標位置C4との間の測量距離Ls4、および指標位置C6と指標位置C8との間の測量距離Ls8、ならびに反射体R1を目標位置すなわち指標位置C6に設けることが良くないので指標位置C6を推定させるための推定命令を含む推定命令情報を作成して電波センサ101へ送信する。
再び図3を参照して、電波センサ101における通信部8は、たとえば、参照物体を対象エリアA1における目標位置に設けることの良否に関する情報Inf1を取得する。具体的には、通信部8は、たとえば、端末装置111から推定命令情報を情報Inf1として受信すると、受信した推定命令情報を制御部4へ出力する。
制御部4は、たとえば、通信部8から推定命令情報を受けると、受けた推定命令情報を設定部6へ出力する。
設定部6は、たとえば、通信部8によって取得された推定命令情報が参照物体を目標位置すなわち指標位置C6に設けることが良くないことを示す場合、目標位置以外の位置に設けられた参照物体からの電波に基づいて算出部44によって算出された参照方向および参照距離に基づいて目標位置を推定し、推定した目標位置に基づいて対象エリアA1における複数のサブエリアを設定する。
ここで、目標位置以外の位置に設けられた参照物体すなわち反射体R1からの電波に基づいて算出部44によって算出された参照方向および参照距離は、具体的には極座標Cpol4およびCpol8である。
より詳細には、設定部6は、たとえば、極座標Cpol4およびCpol8、ならびに推定命令情報に含まれる測量距離Ls4およびLs8に基づいて指標位置C6を推定する。具体的には、設定部6は、たとえば、極座標Cpol4の示す位置からの距離が測量距離Ls4であって、極座標Cpol8の示す位置からの距離が測量距離Ls8である位置を指標位置C6として推定する。
そして、設定部6は、たとえば、推定した指標位置C6の座標に基づいて、保持している極座標Cpol6および直交座標Ccar6を更新する。
設定部6は、たとえば、更新後の直交座標Ccar6、ならびに直交座標Ccar1〜Ccar5およびCcar7〜Ccar10を示す座標情報を作成し、作成した座標情報を制御部4へ出力する。
なお、設定部6が、測量距離に基づいて指標位置C6を推定する構成に限らず、設定部6が、対象道路Rd1における車線数の比に基づいて指標位置C6を推定する構成であってもよい。具体的には、たとえば、対象道路Rd1では流入方向および流出方向において車線が1つずつ含まれるので、設定部6は、極座標Cpol4およびCpol8の示す各位置の中点を指標位置C6として推定する。この際、極座標Cpol4およびCpol8の代わりに直交座標Ccar4およびCcar8を用いると、指標位置C6を簡易に推定することができる。
また、設定部6が、指標位置C6を推定する構成に限らず、指標位置C6以外の指標位置を推定する構成であってもよい。たとえば、設定部6は、指標位置C10を推定する場合、極座標Cpol2およびCpol9、ならびに指標位置C10と指標位置C2との間の測量距離および指標位置C10と指標位置C9との間の測量距離に基づいて指標位置C10を推定したり、極座標Cpol8およびCpol6、ならびに指標位置C10と指標位置C8との間の測量距離および指標位置C10と指標位置C6との間の測量距離に基づいて指標位置C10を推定したりする。
制御部4は、たとえば、設定部6から座標情報を受けると、受けた座標情報を通信部8経由で端末装置111へ送信する。
図13は、本発明の第1の実施の形態に係る安全運転支援システムにおける端末装置の画面の表示の他の例を示す図である。
図13を参照して、画面Sc6には、直交座標系RC1、「第1サブエリア」,「第2サブエリア」,「第3サブエリア」,「第4サブエリア」、ならびにボタンBk、BrおよびBpが表示されている。
端末装置111は、たとえば、電波センサ101から座標情報を受信すると、受信した座標情報から更新後の直交座標Ccar6、ならびに直交座標Ccar1〜Ccar5およびCcar7〜Ccar10を取得する。
そして、端末装置111は、たとえば、取得した更新後の直交座標Ccar6、ならびに直交座標Ccar1〜Ccar5およびCcar7〜Ccar10に基づいて、電波センサ101が認識しているサブエリアSAes,SAer,SAir,SAisを、それぞれ「第1サブエリア」,「第2サブエリア」,「第3サブエリア」,「第4サブエリア」として直交座標系RC1に表示する。
センサ設置者は、画面Sc6を参照することにより「第2サブエリア」および「第3サブエリア」の形状が正常な形状に修正されたことを認識する。
なお、センサ設置者は、図10に示す画面Sc3の内容から「第2サブエリア」および「第3サブエリア」の形状が異常であると認識したが、実際の対象エリアA1を目視することによりサブエリアの形状の異常を認識することも可能である。
図14は、本発明の第1の実施の形態に係る安全運転支援システムの交差点における設置例を斜め上方から見た状態を示す図である。
図14を参照して、指標位置C6が目標位置である場合において、指標位置C6における反射体R1が自動車Tgt1に近傍に位置するとき、たとえば、センサ設置者は、対象エリアA1における自動車Tgt1および反射体R1を目視することにより「第2サブエリア」および「第3サブエリア」の形状が異常になり得ることを認識することが可能である。
この際、センサ設置者は、たとえば、自動車Tgt1、ガードレールまたは金属ポール等のレーダ反射断面積の大きい物体が、目標位置に対して略2メートル以内に位置する場合、当該目標位置の参照方向および参照距離が正しく測定できないためサブエリアの形状に異常が発生し得ると判断する。
センサ設置者は、たとえば、目視によりサブエリアの形状に異常が発生し得ると判断すると、端末装置111を操作して電波センサ101に対して目標位置の推定処理を開始させる。
また、本発明の第1の実施の形態の係る安全運転支援システムでは、複数の指標位置の一部を最初から推定により求める構成であってもよい。具体的には、たとえば、横断歩道PC1が、指標位置C5,C6を推定により求めても問題がないような簡素な構造である場合、センサ設置者は、指標位置C5,C6を電波センサ101に推定させる。これにより、反射体R1を指標位置C5,C6を設けることなくサブエリアを設定することができるので、サブエリアの設定処理を簡素化することができる。
[マスクエリアの設定]
たとえば、図2に示すように、流入道路Rdiにおける自動車Tgt1の一部が対象エリアA1に含まれる場合、当該自動車Tgt1を指標位置C6周辺における歩行者Tgt2と誤って検知してしまうことがある。
また、図2に示す状況と異なり、たとえば、ポールまたは柵等の移動しない金属製の物体が対象エリアA1に含まれる状況では、当該物体を歩行者Tgt2と誤って検知してしまうことがある。
これに対して、センサ設置者は、たとえば、1または複数のサブエリアにおいて、対象物Tgtの検知対象エリアとしないマスクエリアを設定する。
より詳細には、センサ設置者は、たとえば、画面Sc6を参照しながらポインティングデバイスを操作し、マスクエリアの設定を開始させるためのボタンBkをクリックする。
図15は、本発明の第1の実施の形態に係る安全運転支援システムにおける端末装置の画面の表示の他の例を示す図である。
図15を参照して、画面Sc7には、図13に示す直交座標系RC1および「第1サブエリア」,「第2サブエリア」,「第3サブエリア」,「第4サブエリア」が同様に表示されている。
また、画面Sc7には、直交座標Ccar1〜Ccar10の示す位置において、それぞれ、識別子としての「位置A」〜「位置J」、および対応の直交座標「(X1,Y1)」〜「(X10,Y10)」が付された黒丸が表示されている。また、画面Sc7には、ボタンBtが表示されている。
端末装置111は、たとえば、センサ設置者によるボタンBkに対するポインティングデバイスの操作の内容に従って、画面Sc6を画面Sc7に切り替える。
センサ設置者は、たとえば、画面Sc7を参照しながらポインティングデバイスを操作し、画面Sc7において「マスクエリア」を作成する。なお、センサ設置者は、たとえば、直交座標Ccar1〜Ccar10の値を参考にして、「マスクエリア」における四隅の座標をテキスト入力することも可能である。
センサ設置者は、たとえば、画面Sc7における「マスクエリア」の入力が完了すると、ポインティングデバイスを操作してボタンBtをクリックする。
端末装置111は、たとえば、センサ設置者によるボタンBtに対するポインティングデバイスの操作の内容に従って、「マスクエリア」における四隅の直交座標を直交座標系RC1から取得し、取得した各直交座標(以下、マスク直交座標とも称する。)を四隅とするサブエリアを設定させるための設定命令を含む設定命令情報を作成して電波センサ101へ送信する。
再び図3を参照して、電波センサ101における制御部4は、たとえば、端末装置111から通信部8経由で設定命令情報を受信すると、受信した設定命令情報を設定部6へ出力する。
図16は、本発明の第1の実施の形態に係る安全運転支援システムの交差点における設置例を斜め上方から見た状態を示す図である。
図3および図16を参照して、設定部6は、たとえば、1または複数のサブエリアにおいてマスクエリアを設定する。具体的には、設定部6は、たとえば、制御部4から設定命令情報を受けると、受けた設定命令情報に基づいてサブエリアSAer,SAirにおいてマスクエリアを設定する。
より詳細には、設定部6は、たとえば、設定命令情報からマスク直交座標を取得し、取得したマスク直交座標に基づいて、サブエリアSAerの一部およびサブエリアSAirの一部を含むマスクエリアMA1を設定する。
図3を参照して、設定部6は、たとえば、マスクエリアMA1の設定が完了したことを示す設定完了情報を作成し、作成した設定完了情報を制御部4へ出力する。
制御部4は、たとえば、設定部6から設定完了情報を受けると、受けた設定完了情報を通信部8経由で端末装置111へ送信する。
図17は、本発明の第1の実施の形態に係る安全運転支援システムにおける端末装置の画面の表示の他の例を示す図である。
図17を参照して、画面Sc8には、図13に示す直交座標系RC1、「第1サブエリア」,「第2サブエリア」,「第3サブエリア」,「第4サブエリア」、ならびにボタンBk、BrおよびBpが同様に表示されている。
端末装置111は、たとえば、電波センサ101から設定完了情報を受信すると、受信した設定完了情報に基づいて、電波センサ101においてマスクエリアMA1の設定が完了したことを認識し、マスク直交座標を用いてマスクエリアMA1に対応する「マスクエリア」を画面Sc8に表示する。
[対象物Tgtの検知処理]
センサ設置者は、たとえば、画面Sc8を参照することにより「マスクエリア」が正常に設定されたことを認識し、ポインティングデバイスを操作し、通常測定を開始するためのボタンBrをクリックする。
端末装置111は、たとえば、センサ設置者によるボタンBrに対するポインティングデバイスの操作の内容に従って、電波センサ101に通常測定を開始させるための開始命令を含む開始命令情報を作成して電波センサ101へ送信する。
再び図3を参照して、電波センサ101における制御部4は、たとえば、端末装置111から通信部8経由で開始命令情報を受信すると、受信した開始命令情報を設定部6へ出力するとともに、開始命令情報に従って、自己の電波センサ101に対してサブエリアごとに対象物Tgtを検知するための処理を開始させる。
具体的には、制御部4は、たとえば所定の周期Tm1ごとに、測定信号のレベルをローからハイに切り替えて送信部1および信号処理部5へ所定時間Td出力した後、当該測定信号のレベルをローに切り替える。ここで、Tm1≧Tdである。
設定部6は、たとえば、制御部4から開始命令情報を受けると、受けた開始命令情報とともに、保持している位置関係PR1、直交座標Ccar1〜Ccar10、ならびにマスク直交座標を検知部7へ出力する。
検知部7は、受信部2によって受信された電波に基づいて、設定部6によって設定されたサブエリアごとに対象物Tgtを検知する。より詳細には、検知部7は、算出部44によって算出された検出方向および検出距離に基づいて、設定部6によって設定されたサブエリアごとに対象物Tgtを検知する。
また、検知部7、たとえば、設定部6によって設定されたマスクエリアMA1を対象物Tgtの検知対象エリアから除外する。
具体的には、検知部7は、たとえば、設定部6から受ける開始命令情報に従って、対象物Tgtの検知処理を開始する。
より詳細には、検知部7は、たとえば、設定部6から受ける位置関係PR1および直交座標Ccar1〜Ccar10に基づいて、直交座標系におけるサブエリアSAes,SAer,SAir,SAisの範囲を認識する。
また、検知部7は、たとえば、設定部6から受けるマスク直交座標に基づいてマスクエリアMA1の範囲を認識する。
検知部7は、たとえば、ピークPtgtに対応する、検出角度φcd、ピーク強度、検出距離Ltdおよび検出対象速度vtdを信号処理部5から受けると、以下の検知判断処理を行う。
すなわち、検知部7は、たとえば、ピーク強度に基づいて対象物Tgtの高さHwを仮定する。そして、検知部7は、たとえば、仮定した高さHw、ならびに高さHsおよび検出距離Ltdに基づいて、対象エリアA1を上方から見た平面視における、電波センサ101と対象物Tgtとの間の距離である検出平面距離Ltdpを算出する。
具体的には、算出部44は、たとえば、{Ltd×Ltd−(Hs−Hw)×(Hs−Hw)}の平方根を検出平面距離Ltdpとして算出する。
検知部7は、たとえば、検出角度φcdおよび対応の検出平面距離Ltdpを用いて、対象物Tgtがサブエリアに位置するか否かを判断する。
より詳細には、検知部7は、たとえば、検出角度φcdおよび対応の検出平面距離Ltdpで表される極座標を直交座標に変換する。そして、検知部7は、たとえば、変換後の直交座標を用いて、当該直交座標の示す位置(以下、検出位置とも称する。)がマスクエリアMA1に含まれる場合、または検出位置がサブエリアSAes,SAer,SAir,SAisのいずれにも含まれない場合、対象物Tgtがサブエリアに位置しないと判断する。
一方、検知部7は、検出位置がマスクエリアMA1に含まれず、かつ検出位置がサブエリアSAes,SAer,SAir,SAisのいずれかに含まれる場合、対象物Tgtがサブエリアに位置すると判断する。
検知部7は、たとえば、対象物Tgtがサブエリアに位置すると判断した場合、検出位置が含まれるサブエリアを特定する。また、検知部7は、たとえば、検出角度φcdに対応するピーク強度および検出対象速度vtdに基づいて、対象物Tgtの種類、具体的には自動車Tgt1または歩行者Tgt2を特定する。
検知部7は、たとえば、対象物Tgtがサブエリアに位置するか否かの判断結果、ならびに特定したサブエリアおよび対象物Tgtの種類を検知結果として中継装置141へ送信する。
また、制御部4は、たとえば、端末装置111から通信部8経由で停止命令情報を受信すると、測定信号のレベルをローに維持して自己の電波センサ101に対して電波の送信を停止させる。
[動作]
安全運転支援システム301における各装置は、コンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のシーケンス図またはフローチャートの各ステップの一部または全部を含むプログラムを図示しないメモリからそれぞれ読み出して実行する。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、外部からインストールすることができる。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、記録媒体に格納された状態で流通する。
図18は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサがサブエリアを設定して対象物の検知を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。
図18を参照して、電波センサ101が、センサ高情報および位置関係PR1を保持している状況を想定する。
まず、電波センサ101は、サブエリアの設定処理を行う(ステップS102)。
次に、電波センサ101は、推定命令情報、設定命令情報または開始命令情報の受信処理を行う(ステップS104)。
次に、電波センサ101は、対象物Tgtの検知処理を行う(ステップS106)。
図19は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサがサブエリアの設定処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。図19は、図18のステップS102における動作の詳細を示している。
図19を参照して、まず、電波センサ101は、測定命令情報および反射体高情報を端末装置111から受信するまで待機し(ステップS202でNO)、測定命令情報および反射体高情報を端末装置111から受信すると(ステップS202でYES)、測定命令情報の示す指標位置の実測処理を行う(ステップS204)。
次に、電波センサ101は、すべての指標位置の実測が完了していない場合(ステップS206でNO)、新たな測定命令情報および反射体高情報を端末装置111から受信するまで待機する(ステップS202でNO)。
一方、電波センサ101は、すべての指標位置の実測が完了すると(ステップS206でYES)、保持している位置関係PR1と実測した指標位置C1〜C10とを対応づけることにより各サブエリアの実測位置を設定する(ステップS208)。
次に、電波センサ101は、指標位置C1〜C10の直交座標を示す座標情報を端末装置111へ送信する(ステップS210)。
図20は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサが指標位置の実測処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。図20は、図19のステップS204における動作の詳細を示している。
図20を参照して、まず、電波センサ101は、差分信号Bd1〜Bd4を所定時間Td蓄積する(ステップS302)。より詳細には、電波センサ101は、送信波RFtを所定時間Td対象エリアA1へ送信し、反射体R1からの参照電波を含む電波を受信する。電波センサ101は、それぞれ、受信した電波すなわち受信波RFr1〜RFr4および送信波RFtに基づいて差分信号Bd1〜Bd4を生成し、生成した差分信号Bd1〜Bd4を所定時間Td蓄積する。
次に、電波センサ101は、それぞれ、蓄積した差分信号Bd1〜Bd4をFFT処理し、パワースペクトルFS1〜FS4および位相スペクトルPS1〜PS4を生成する(ステップS304)。
次に、電波センサ101は、それぞれ、位相スペクトルPS1〜PS4をDBF処理し、対象角度φcごとの遅延位相スペクトルDPS1〜DPS4を生成する(ステップS306)。
次に、電波センサ101は、対象角度φcごとに、当該対象角度φcに対応する遅延位相スペクトルDPS1〜DPS4、およびパワースペクトルFS1〜FS4を合成することにより合成スペクトルを生成する(ステップS308)。
次に、電波センサ101は、対象角度φcごとに、合成スペクトルを解析し、ピーク強度、距離Ltおよび検出対象速度vtを算出する。そして、電波センサ101は、対象角度φcごとのピーク強度から、最大のピーク強度を有するピークPmaxを取得し、取得したピークPmaxに対応する対象角度φcを対象角度φcmaxとして特定する(ステップS310)。
次に、電波センサ101は、取得したピークPmaxに対応する距離Ltを参照距離Ltmaxとして取得する(ステップS312)。
次に、電波センサ101は、センサ高情報、反射体高情報および参照距離Ltmaxに基づいて平面距離Lpを算出する(ステップS314)。
次に、電波センサ101は、測定命令情報の示す指標位置の座標として、対象角度φcmaxおよび平面距離Lpに基づく極座標および直交座標を保持する(ステップS316)。
図21は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサが推定命令情報、設定命令情報または開始命令情報の受信処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。図21は、図18のステップS104における動作の詳細を示している。
図21を参照して、まず、電波センサ101は、推定命令情報、設定命令情報または開始命令情報を端末装置111から受信するまで待機する(ステップS402でNO、ステップS408でNOおよびステップS414でNO)。
次に、電波センサ101は、推定命令情報を端末装置111から受信すると(ステップS402でYES)、受信した推定命令情報の示す指標位置以外の位置に設けられた反射体R1からの電波に基づく参照方向および参照距離に基づいて当該指標位置を推定する(ステップS404)。
次に、電波センサ101は、指標位置C1〜C10の直交座標を示す座標情報を端末装置111へ送信する(ステップS406)。
次に、電波センサ101は、新たな推定命令情報、または設定命令情報もしくは開始命令情報を端末装置111から受信するまで待機する(ステップS402でNO、ステップS408でNOおよびステップS414でNO)。
また、電波センサ101は、設定命令情報を端末装置111から受信すると(ステップS408でYES)、受信した設定命令情報に基づいて1または複数のサブエリアにおいてマスクエリアMA1を設定する(ステップS410)。
次に、電波センサ101は、マスクエリアMA1の設定が完了したことを示す設定完了情報を作成して端末装置111へ送信する(ステップS412)。
次に、電波センサ101は、新たな設定命令情報、または推定命令情報もしくは開始命令情報を端末装置111から受信するまで待機する(ステップS402でNO、ステップS408でNOおよびステップS414でNO)。
また、電波センサ101は、開始命令情報を端末装置111から受信すると(ステップS414でYES)、対象物Tgtの検知処理を開始する(図18のステップS106)。
図22は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサが対象物の検知処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。図22は、図18のステップS106における動作の詳細を示している。
図22を参照して、まず、電波センサ101は、周期Tm1ごとの開始タイミングが到来するまで待機する(ステップS502でNO)。
次に、電波センサ101は、周期Tm1ごとの開始タイミングが到来すると(ステップS502でYES)、差分信号Bd1〜Bd4を所定時間Td蓄積する(ステップS504)。より詳細には、電波センサ101は、送信波RFtを所定時間Td対象エリアA1へ送信し、対象物Tgtからの電波を受信する。電波センサ101は、それぞれ、受信した電波すなわち受信波RFr1〜RFr4および送信波RFtに基づいて差分信号Bd1〜Bd4を生成し、生成した差分信号Bd1〜Bd4を所定時間Td蓄積する。
ステップS506〜S510の動作は、図20に示すステップS304〜S308の動作と同様である。
次に、電波センサ101は、対象角度φcごとに、合成スペクトルを解析し、ピーク強度、距離Ltおよび検出対象速度vtを算出する。そして、電波センサ101は、対象角度φcごとのピーク強度から、所定のしきい値以上のピーク強度を有するピークPtgtを取得し、取得したピークPtgtに対応する対象角度φcを検出角度φcdとして特定する(ステップS512)。
次に、電波センサ101は、取得したピークPtgtに対応する距離Ltを検出距離Ltdとして取得する。また、電波センサ101は、取得したピークPtgtに対応する検出対象速度vtを検出対象速度vtdとして取得する(ステップS514)。
次に、電波センサ101は、検知判断処理を行う(ステップS512)。
次に、電波センサ101は、検知判断処理の結果である検知結果を中継装置141経由で信号制御装置151へ送信する(ステップS518)。
次に、電波センサ101は、端末装置111から停止命令情報を受信していない場合(ステップS520でNO)、新たな開始タイミングが到来するまで待機する(ステップS502でNO)。
一方、電波センサ101は、端末装置111から停止命令情報を受信した場合(ステップS520でYES)、電波の送信を停止し、対象物Tgtの検知処理を終了する。
図23は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサが検知判断処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。図23は、図22のステップS516における動作の詳細を示している。
図23を参照して、まず、電波センサ101は、ピークPtgtに対応するピーク強度に基づいて対象物Tgtの高さHwを仮定し、仮定した高さHw、ならびに高さHsおよび検出距離Ltdに基づいて検出平面距離Ltdpを算出する(ステップS602)。
次に、電波センサ101は、検出角度φcdおよび検出平面距離Ltdpに基づく直交座標を用いて、当該直交座標の示す位置すなわち検出位置がマスクエリアMA1に含まれるか(ステップS604でYES)、または検出位置が各サブエリアのうちのいずれにも含まれない場合(ステップS606でNO)、対象物Tgtがサブエリアに位置しないと判断する(ステップS612)。
一方、電波センサ101は、検出位置がマスクエリアMA1に含まれず(ステップS604でNO)、かつ検出位置が各サブエリアのうちのいずれかに含まれる場合(ステップS606でYES)、対象物Tgtがサブエリアに位置すると判断し、対象物Tgtが位置するサブエリアすなわち検出位置が含まれるサブエリアを特定する(ステップS608)。
次に、電波センサ101は、ピーク強度および検出対象速度vtdに基づいて、ピークPtgtに対応する対象物Tgtの種類を特定する(ステップS610)。
なお、本発明の第1の実施の形態の係る算出部は、反射体R1に対する受信部2の高さを取得する構成であるとしたが、これに限定するものではない。通信部8は、反射体R1に対する送信部1の高さを取得する構成であってもよいし、反射体R1に対する、送信部1の高さおよび受信部2の高さのたとえば平均を取得する構成であってもよい。
また、本発明の第1の実施の形態の係る設定部は、算出部44によって算出された、電波センサ101から反射体R1への参照方向および平面距離に基づいて複数のサブエリアを設定する構成であるとしたが、これに限定するものではない。設定部6は、算出部44によって算出された、電波センサ101から反射体R1への参照方向、および電波センサ101と反射体R1との間の参照距離Ltmaxに基づいて複数のサブエリアを設定する構成であってもよい。
また、本発明の第1の実施の形態の係る設定部は、目標位置以外の複数の位置に設けられた反射体R1からの電波に基づく参照方向および参照距離に基づいて当該目標位置を推定する構成であるとしたが、これに限定するものではない。設定部6は、目標位置以外の1つの位置に設けられた反射体R1からの電波に基づく参照方向および参照距離に基づいて当該目標位置を推定する構成であってもよい。
また、本発明の第1の実施の形態の係る安全運転支援システムでは、1つの反射体R1が対象エリアに設置されたが、これに限定するものではない。安全運転支援システム301では、同時に複数の反射体R1が対象エリアに設置されてもよい。この場合、電波センサ101は、複数の指標位置を同時に測定する。より詳細には、電波センサ101は、たとえば、対象エリアA1に設置された複数の反射体R1からの電波に基づく複数のピークを用いて、複数の指標位置を同時に測定する。
また、本発明の第1の実施の形態の係る電波センサは、四角形状を有するサブエリアの四隅を目標位置として実測する構成であるとしたが、これに限定するものではない。電波センサ101は、サブエリアの代表位置たとえば当該サブエリアの中央または当該サブエリアの各隅の一部を目標位置として実測する構成であってもよい。
また、本発明の第1の実施の形態の係る電波センサは、差分信号をフーリエ変換したスペクトルにおいて、最大強度のピークを、参照物体のピークとして特定し、特定したピークに基づいて参照物体の参照方向および参照距離を算出する構成であるとしたが、これに限定するものではない。電波センサ101は、差分信号をフーリエ変換したスペクトルにおけるピークごとに方向および距離を算出し、算出したピークごとの方向および距離のうち、たとえばセンサ設置者により指定された方向および距離を参照物体の参照方向および参照距離として算出する構成であってもよい。
ところで、たとえば、ドライバーの安全運転を支援するためのDSSSの一例である右折時歩行者衝突防止支援システムに上記のような電波センサを用いる場合、横断歩道および待機エリアを区別して歩行者等を検知することが好ましい。このような場合、横断歩道または歩道等において複数の検知対象エリアを正確に設定可能な技術が求められる。
そこで、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサは、横断歩道PC1を含む対象エリアA1における対象物Tgtを検知可能である。送信部1は、対象エリアA1へ電波を送信する。受信部2は、電波を受信する。算出部44は、受信部2によって受信された電波に基づいて、電波センサ101から対象エリアA1における参照物体への方向ある参照方向、および電波センサ101と当該参照物体との間の距離である参照距離Ltmaxを算出する。設定部6は、算出部44によって算出された参照方向および参照距離Ltmaxに基づいて、対象エリアA1における複数のサブエリアを設定する。算出部44は、受信部2によって受信された電波に基づいて、電波センサ101から対象エリアA1における対象物Tgtへの方向である検出方向、および電波センサ101と対象物Tgtとの間の距離である検出距離を算出する。そして、検知部7は、算出部44によって算出された検出方向および検出距離に基づいて、設定部6によって設定されたサブエリアごとに対象物Tgtを検知する。
このような構成により、電波センサ101では、サブエリアの位置の目印である参照物体への参照方向および参照距離Ltmaxを測定して当該参照物体の位置を求めることができるので、サブエリアを正確に設定することができる。したがって、横断歩道を含むエリアにおいて、複数の検出対象エリアをより正確に設定することができる。これにより、たとえば、受信した電波に基づく対象物Tgtの位置の測定結果から、対象物Tgtが存在するサブエリアをより正確に特定することができるので、対象物Tgtをサブエリア単位で正しく検知することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、設定部6は、対象エリアA1における目標位置以外の位置に設けられた参照物体からの電波に基づいて算出部44によって算出された参照方向および参照距離Ltmaxに基づいて目標位置を推定し、推定した目標位置に基づいて対象エリアA1における複数のサブエリアを設定する推定設定処理を行う。
このような構成により、対象エリアA1におけるいずれの位置についても測定または推定を行うことができるので、対象エリアA1における任意の位置に複数のサブエリアを正確に設定することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、通信部8は、参照物体を目標位置に設けることの良否に関する情報Inf1を取得する。そして、設定部6は、通信部8によって取得された情報Inf1が参照物体を目標位置に設けることが良くないことを示す場合、推定設定処理を行う。
このような構成により、参照物体を目標位置に設けることが良くないために、たとえば目標位置の正しい算出結果が得られない状況において、当該目標位置を推定することができるので、複数のサブエリアをより正確に設定することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、参照物体は、対象エリアA1に設けられた、電波のレーダ反射断面積が大きい反射体R1である。
このように、レーダ反射断面積の大きい反射体R1の位置を測定し、測定した位置に基づいて複数のサブエリアを設定する構成により、参照物体からの電波の強度を大きくすることができるので、参照物体の位置をより正確に求めることができる。これにより、複数のサブエリアをより正確に設定することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、算出部44は、参照物体に対する送信部1および受信部2の少なくともいずれか一方の高さHaを取得する。算出部44は、取得した高さHs、および参照距離Ltmaxに基づいて、対象エリアA1を上方から見た平面視における、電波センサ101と参照物体との間の距離である平面距離Lpを算出する。そして、設定部6は、算出部44によって算出された参照方向および平面距離Lpに基づいて複数のサブエリアを設定する。
このような構成により、送信部1または受信部2が参照物体に対して上方に位置することにより生ずる、実際のサブエリアと設定したサブエリアとのずれを低減することができるので、複数のサブエリアをより正確に設定することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、設定部6は、1または複数のサブエリアにおいてマスクエリアMA1を設定する。そして、検知部7は、設定部6によって設定されたマスクエリアMA1を対象物Tgtの検知対象エリアから除外する。
このように、たとえば、誤検知の発生するエリアをマスクエリアMA1に設定し、設定したマスクエリアMA1を検知対象エリアから除外する構成により、対象物Tgtの検知精度を向上させることができる。
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る安全運転支援システムと比べて、サブエリアの個数が異なる安全運転支援システムに関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る安全運転支援システムと同様である。
図24は、本発明の第2の実施の形態に係る安全運転支援システムの交差点における設置例を斜め上方から見た状態を示す図である。
図24を参照して、流出道路Rdeおよび流入道路Rdiの間に、たとえば中央分離帯Med1が設けられている。
センサ設置者は、たとえば、サブエリアSAes、SAer、SAm、SAirおよびSAisの5つのサブエリアを設定する。
サブエリアSAes、SAer、SAirおよびSAisは、図2に示すサブエリアSAes、SAer、SAirおよびSAisとそれぞれ同様である。
以下、サブエリアSAerにおける四隅のうち、歩道Pv1の反対側における2つの隅の位置を、交差点CS1側から順に指標位置C11,C12とも称する。
サブエリアSAmは、たとえば、中央分離帯Med1を対象道路Rd1の延伸方向に延長させたエリアと横断歩道PC1とが重なるエリアを含む。サブエリアSAmは、たとえば、歩行者用信号灯器161が「すすめ」を点灯しているときに、歩行者Tgt2が横断歩道PC1に沿って通過するエリアである。
サブエリアSAmは、たとえば、四角形状を有しており、指標位置C11,C12を結ぶ線を介してサブエリアSAerと隣接している。以下、サブエリアSAmにおける四隅のうち、歩道Pv1の反対側における2つの隅の位置を、交差点CS1側から順に指標位置C13,C14とも称する。
サブエリアSAirは、たとえば、指標位置C13,C14を結ぶ線を介してサブエリアSAmと隣接している。
電波センサ101は、たとえば、サブエリアSAes、SAer、SAm、SAirおよびSAisを含む対象エリアA1における対象物Tgtを検知することが可能である。
再び図3を参照して、設定部6は、算出部44によって算出された、電波センサ101から参照物体への参照方向、および電波センサ101と参照物体との間の参照距離に基づいて、対象エリアA1における複数のサブエリア、具体的にはサブエリアSAes、SAer、SAm、SAirおよびSAisを設定する。
検知部7は、受信部2によって受信された電波に基づいて、設定部6によって設定されたサブエリアごとに対象物Tgtを検知する。
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る電波センサと同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
横断歩道を含む対象エリアにおける対象物を検知可能な電波センサであって、
前記対象エリアへ電波を送信する送信部と、
電波を受信する受信部と、
前記受信部によって受信された電波に基づいて、前記電波センサから前記対象エリアにおける参照物体への方向である参照方向、および前記電波センサと前記参照物体との間の距離である参照距離を算出する算出部と、
前記算出部によって算出された前記参照方向および前記参照距離に基づいて、前記対象エリアにおける複数のサブエリアを設定する設定部とを備え、
前記算出部は、さらに、前記受信部によって受信された電波に基づいて、前記電波センサから前記対象エリアにおける前記対象物への方向である検出方向、および前記電波センサと前記対象物との間の距離である検出距離を算出し、
前記電波センサは、さらに、
前記算出部によって算出された前記検出方向および前記検出距離に基づいて、前記設定部によって設定された前記サブエリアごとに前記対象物を検知する検知部を備え、
前記対象物は、人間、自転車または自動車であり、
前記横断歩道は、交差点付近に設けられ、
前記横断歩道が設けられている道路は、前記交差点から流出する自動車が走行する流出道路、および前記交差点へ流入する自動車が走行する流入道路を含み、
前記流出道路に対する前記流入道路の反対側の端には、前記道路に沿って延伸するように第1歩道が設けられ、
前記流入道路に対する前記流出道路の反対側の端には、前記道路に沿って延伸するように第2歩道が設けられ、
前記送信部は、FM−CW(Frequency Modulated−Continuous Wave)方式に従って、前記対象エリアへ電波を送信し、
前記受信部は、4つのアンテナを含み、
前記算出部は、前記4つのアンテナによりそれぞれ受信された電波に基づいて、前記参照方向、前記参照距離、前記検出方向および前記検出距離を算出し、
前記設定部は、前記算出部によって算出された前記参照方向および前記参照距離に基づいて、前記対象エリアにおける4つのサブエリアを設定し、
前記4つのサブエリアは、前記流出道路および前記横断歩道の重複エリアを含むエリア、前記流入道路および前記横断歩道の重複エリアを含むエリア、前記横断歩道に隣接する前記第1歩道の一部を含むエリア、および前記横断歩道に隣接する前記第2歩道の一部を含むエリアであり、
前記検知部は、前記算出部によって算出された前記検出方向および前記検出距離に基づいて、前記対象物が位置する前記サブエリアを特定する、電波センサ。