JP2017089949A - モルタル塗布方法、モルタル塗布用ノズル、およびモルタル塗布用アーム型ロボット - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、上述したように、コークス炉は複雑な形状の定型耐火物を組み合わせて建設されるため、特許文献1、2に記載されているような従来のモルタル塗布装置では、定型耐火物の表面に均一にモルタルを塗布することは困難である。
1.ノズルの先端に設けられたスリット状の吐出口からモルタルを吐出して、ダボを有する定型耐火物の被塗布面に前記モルタルを塗布するモルタル塗布方法であって、
前記被塗布面の幅と前記吐出口の幅との差を20mm以内とし、
前記吐出口は、凹状および凸状の湾曲部の少なくとも一方を有し、
前記湾曲部を前記ダボに嵌合させた状態で前記吐出口からモルタルを吐出する、モルタル塗布方法。
前記モルタル塗布用ノズルの先端にスリット状の吐出口を有し、
前記吐出口の、長手方向における幅が75〜120mmであり、
前記吐出口が、凹状および凸状の湾曲部の少なくとも一方を長手方向に伸びる側面に有している、モルタル塗布用ノズル。
前記供給口と前記吐出口とをむすぶ流路の少なくとも一部分が2つ以上に分岐している、前記2〜4のいずれか一項に記載のモルタル塗布用ノズル。
前記アームの先端に取り付けられたディスペンサと、
前記アームの先端に取り付けられた前記2〜5のいずれか一項に記載のモルタル塗布用ノズルとを有する、モルタル塗布用アーム型ロボット。
上記定型耐火物としては、特に限定されることなく、ダボを有するものであれば、レンガやプレキャストブロック等、任意の定型耐火物を用いることができる。ダボを有する定型耐火物の一例としては、上述したようにコークス炉用定型耐火物が挙げられるが、それに限らず、ダボを有する定型耐火物であれば本発明を適用することができる。ダボの形状は特に限定されないが、一般的なコークス炉用定型耐火物の場合には、定型耐火物の表面に、畝(うね)状に直線的に伸びる凸部、または溝状に直線的に伸びる凹部として設けられている。
本発明では、スリット状の吐出口を有するノズルを使用し、該吐出口からモルタルを吐出して定型耐火物の表面(被塗布面)に塗布する。その際、積み上げられる定型耐火物同士を確実に固着させるためには、被塗布面全体に均一な厚さでモルタルを塗布することが望ましい。しかし、前記吐出口の幅が被塗布面の幅に比べて狭すぎると、被塗布面の一部にしかモルタルが塗布されないため、定型耐火物同士の固着が不十分となる。また、そのような吐出口のノズルを用いて被塗布面全体にモルタルを塗布しようとすれば、位置を変えてノズルを複数回往復させる必要が生じる。
そこで本発明では、吐出口の幅を被塗布面の幅と略同一とする。具体的には、図2に示すように、被塗布面17の幅(WB)と吐出口20の幅(WS)との差(|WB−WS|)を20mm以内とする。これにより、一度に被塗布面の幅の略全体に対してモルタルを塗布することができるため、短時間で効率的にモルタルを塗布することができる。また、ノズルを複数回往復させる必要がなく、単純な動作でモルタルを塗布できるため、ロボット等を用いた塗布作業の自動化にも適している。被塗布面17の幅と吐出口20の幅との差は、15mm以内とすることがより好ましく、10mm以内とすることがさらに好ましい。また、吐出口20の幅が被塗布面17の幅がよりも大きいと、塗布したモルタルが定型耐火物からはみ出てしまうため、吐出口20の幅を被塗布面17の幅以下とする(WS≦WB)ことが好ましい。
定型耐火物の被塗布面にダボの凹凸が存在していると、図2(e)に示したような直線形状の吐出口30では、均一な厚みでダボの凹凸に沿うようにモルタルを塗布することはできない。そこで、本発明では前記吐出口の形状を、凹状および凸状の湾曲部の少なくとも一方を有するものとし、前記湾曲部を前記ダボの凸部または凹部に嵌合させた状態で吐出口からモルタルを吐出する。
また、本発明のモルタル塗布用ノズルは、上記モルタル塗布方法に好適に使用することができるものであり、ノズルの先端にスリット状の吐出口を有し、前記吐出口の、長手方向における幅が75〜120mmであり、前記吐出口が、凹状および凸状の湾曲部の少なくとも一方を長手方向に伸びる側面に有している。一般的なコークス炉用定型耐火物の幅は75〜120mm程度であるため、それに合わせて吐出口の幅を75〜120mmとする。これにより、一度に被塗布面の幅の略全体に対してモルタルを塗布することができるため、短時間で効率的にモルタルを塗布することができる。なお、前記吐出口の幅は、90〜110mmとすることがより好ましい。
本発明においては、モルタル塗布用ノズルが、吐出口が設けられた先端部に向けて先細りとなるテーパー部を先端に有していることが好ましい。図3に示すように、モルタル塗布用ノズル40が先端にテーパー部41を有していれば、定型耐火物10が組み合わさってできたコーナー部にも、ノズル40が定型耐火物10と干渉することなくモルタルを塗布することができる。このようなコーナー部への塗布を容易にするという観点から、前記テーパー部は、ノズルの吐出口の長手方向に対して垂直な面(図3の紙面)内におけるノズルの厚みが、ノズル先端に行くに従って小さくなるように設けられていることが好ましい。また、図3(a)に示したように、テーパー部41を吐出口20の片側に設けられた1つの傾斜面で構成することもできるが、ノズルの両方向における定型耐火物との干渉をなくすという観点からは、図3(b)に示したように、テーパー部41を吐出口20の両側に設けられた2つの傾斜面で構成することが好ましい。
上記モルタル塗布用ノズルには、ノズル内へモルタルを供給するための供給口を設けることができる。前記供給口の位置は特に限定されないが、ノズルの後端部、すなわち、吐出口が設けられている先端部とは反対側の端部に設けることが好ましい。また、供給口の数は1または複数とすることができる。しかし、供給口が複数あると、構造が複雑になることに加えて、吐出口全体から偏りなくモルタルを吐出するためには該複数の供給口のそれぞれへ均一にモルタルを供給する必要が生じるため、吐出口は1つとすることが好ましい。
モルタル塗布用ノズルの内部には、上記供給口と吐出口とをむすぶ流路を設けることができる。前記流路の形状は特に限定されないが、該流路の少なくとも一部分が2つ以上に分岐していることが好ましい。一般的に定型耐火物に用いられるモルタルは粘度が高いため、供給口からモルタルを供給すると、供給口の幅をほぼ保ったままの状態で吐出口まで進み、その結果、吐出口の幅方向において偏った状態で吐出される場合がある。例えば、供給口を、吐出口の幅方向における中央に対応する位置に設けた場合、吐出口の中央付近からの吐出口が多くなる一方、吐出口の幅方向両端部からの吐出量が少なくなり、モルタルを均一に塗布できないことがある。そこで、上述のように流路を分岐させることによって、モルタルの流れを分断し、ノズルの幅方向に分散させることにより、より均一にモルタルを吐出することができる。分岐の形態については特に限定されず、ノズル幅方向におけるモルタル吐出量が均一となるように調整すればよいが、流路形状が流路幅方向において左右対称となるように分岐させることが好ましい。
本発明において、モルタル塗布用ノズルの材質は特に限定されず、金属、セラミック、樹脂等、任意の材質とすることができるが、モルタル吐出時にかかる圧力や、モルタルとの摩擦に対する耐久性の観点からは、金属とすることが好ましく、ステンレス鋼またはアルミニウムとすることがより好ましい。また、モルタル塗布用ノズルは単一の材質で構成されていてもよいし、複数の材質で構成されていてもよい。
本発明のモルタル塗布用ノズルは、手作業によるモルタルの塗布に用いることもできるが、ロボット等に取り付けて使用することもできる。前記ロボットとしては、特に限定されず、任意のロボットを用いることができるが、塗布の自由度の高さから、アームを備えたロボット(アーム型ロボット)を用いることが好ましく、産業用に用いられる垂直多関節型ロボットを用いることがより好ましい。
次に、図面を用いて、本発明の実施形態についてさらに具体的に説明する。なお、図面において、共通する部分には同一の番号を付している。
図10は、本発明の第2の実施形態におけるモルタル塗布用ノズルの内部に設けられた流路の形状を表す図である。本実施形態においては、流路50の内部に分流部材52が設けられており、その結果、流路50の途中部分が左右2つに分岐している。前記分流部材52を設けたこと以外は、上記第1の実施形態と同様とした。
図11は、本発明の第3の実施形態におけるモルタル塗布用ノズルの内部に設けられた流路の形状を表す図である。本実施形態においては、流路50の内部に分流部材52が設けられている点は上記第2の実施形態と同様であるが、分流部材52の形状を円柱形とした点が異なっている。それ以外の点については、上記第1、第2の実施形態と同様とした。
次に、本発明の効果を確認するために、上記第1の実施形態に示した構造のモルタル塗布用ノズル40およびモルタル塗布用ノズル40を備えるモルタル塗布用アーム型ロボット100を使用して、実際にモルタルの塗布を行った。モルタルを塗布する定型耐火物の配置は図9に示した通りとし、定型耐火物11〜13としては、幅:100mm、長さ:220mm、高さ:120mmのコークス炉用耐火レンガを用いた。吐出口の幅は定型耐火物の幅と同じ100mm、スリット幅は3mm、先端テーパー部の角度は60°とした。
さらに、比較のために、図12に示す先細針形状のノズルを使用してモルタルの塗布を行った。ノズル先端の吐出口は、直径5mmの円形である。ノズルの形状が異なる以外は、定型耐火物の配置や寸法を含め、実施例と同様の条件とした。
15 凸状のダボ
16 凹状のダボ
17〜18 被塗布面
20 吐出口
21 凹状の湾曲部
22 凸状の湾曲部
23 切り欠き部
30 直線状の吐出口
40 ノズル
41 テーパー部
50 流路
51 供給口
52 分流部材
100 モルタル塗布用アーム型ロボット
110 アーム
120 ディスペンサ
200 モルタル供給手段
210 モルタル
220 タンク
230 配管
Claims (7)
- ノズルの先端に設けられたスリット状の吐出口からモルタルを吐出して、ダボを有する定型耐火物の被塗布面に前記モルタルを塗布するモルタル塗布方法であって、
前記被塗布面の幅と前記吐出口の幅との差を20mm以内とし、
前記吐出口は、凹状および凸状の湾曲部の少なくとも一方を有し、
前記湾曲部を前記ダボに嵌合させた状態で前記吐出口からモルタルを吐出する、モルタル塗布方法。 - 請求項1に記載のモルタル塗布方法に使用するためのモルタル塗布用ノズルであって、
前記モルタル塗布用ノズルの先端にスリット状の吐出口を有し、
前記吐出口の、長手方向における幅が75〜120mmであり、
前記吐出口が、凹状および凸状の湾曲部の少なくとも一方を長手方向に伸びる側面に有している、モルタル塗布用ノズル。 - 前記吐出口が、長手方向に伸びる側面の一方の側に凹状の湾曲部を有し、他方の側に凸状の湾曲部を有する、請求項2に記載のモルタル塗布用ノズル。
- 吐出口が設けられた先端部に向けて先細りとなるテーパー部を先端に有している、請求項2または3に記載のモルタル塗布用ノズル。
- 前記モルタル塗布用ノズル内へモルタルを供給するための供給口を一つ有しており、
前記供給口と前記吐出口とをむすぶ流路の少なくとも一部分が2つ以上に分岐している、請求項2〜4のいずれか一項に記載のモルタル塗布用ノズル。 - アームと、
前記アームの先端に取り付けられた請求項2〜5のいずれか一項に記載のモルタル塗布用ノズルとを有する、モルタル塗布用アーム型ロボット。 - 前記モルタル塗布用ノズルが、該モルタル塗布用ノズルの吐出方向を軸として回転可能である、請求項6に記載のモルタル塗布用アーム型ロボット。
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