JP2017089841A - クリップ - Google Patents

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利夫 岩原
加藤 誠
Makoto Kato
誠 加藤
勝也 平川
Katsuya Hirakawa
勝也 平川
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Abstract

【課題】取付け孔に対して係止脚が嵌合状態となる前に、該係止脚の傾きあるいは回転ずれを共に補正し、挿入抵抗を軽減するとともに、係止脚の嵌合状態を常に適正に保ち、かつ、嵌合状態での係止脚をがたつくことなく的確に位置決めする。【解決手段】相手部材に開けられた長孔形状の取付け孔に係止脚24が挿入された嵌合状態で、該相手部材に取り付けられるクリップ20であって、係止脚24は支柱26と、支柱の両側に位置する係止爪36とを備えている。両係止爪36と直交する方向の寸法が一定に設定されたストレート面28と、同じく両係止爪36と直交する方向の寸法が支柱の先端に向かって漸減する傾斜のテーパー面30と、少なくともテーパー面30の一部に重複する領域において支柱26の軸線回り方向に沿って傾斜した逃がし面40とを備えている。【選択図】図6

Description

本発明は、主としてパネル形状の相手部材に開けられている長孔形状の取付け孔に係止脚を挿入して嵌合状態とすることにより、この相手部材に取り付けられるクリップに関する。
この種のクリップは、例えば特許文献1に開示された技術が既に知られている。この技術では、クリップの係止脚が、支柱とその両側に位置する係止爪とを備えている。これら一対の係止爪は、係止脚が相手部材の取付け孔に挿入されるときに個々に内方向へ撓み変形しながら取付け孔を通過し、最終的には取付け孔の縁に係止してクリップが相手部材に取り付けられる。両係止爪には、それぞれの外面の縁に沿って凹部が成形されている。これにより、係止脚が傾いた状態で取付け孔に挿入されるときでも、両係止爪の凹部が孔の内周縁に当たることで両係止爪が容易に撓み変形し、係止脚を挿入することができる。
特開2006−242269号公報
クリップの係止脚が相手部材の取付け孔に挿入されるとき、係止脚における軸線の傾きだけでなく、係止脚と取付け孔との間に軸線回りの回転ずれが生じることもある。その場合、取付け孔が長孔形状であることから、係止脚の剛性を確保している支柱と取付け孔の内周縁との干渉によって係止脚の挿入抵抗が大きくなるとともに、係止脚がその回転ずれによって取付け孔に適正に嵌合されないことになる。
なお、係止脚と取付け孔との間に回転ずれが生じやすいのは、車両に用いられる電気配線用のワイヤハーネスに結合され、このワイヤハーネスを相手部材であるボデーパネル等に留めるためのクリップが典型例である。なぜなら、長尺のワイヤハーネスの複数箇所をクリップによってボデーパネル等に留めようとしたとき、ワイヤハーネスの曲がりや捩れによりクリップの係止脚がボデーパネル等の取付け孔に対して軸線回りの回転ずれが生じやすいからである。
本発明は、上記の課題を解決しようとするもので、その目的は、取付け孔に対する係止脚の挿入が完了して嵌合状態となる前に、該係止脚の傾きあるいは回転ずれを共に補正し、支柱と取付け孔の内周縁との干渉による挿入抵抗を軽減するとともに、係止脚の嵌合状態を常に適正に保ち、かつ、嵌合状態での係止脚をがたつくことなく的確に位置決めすることである。
本発明は、上記の目的を達成するためのもので、以下のように構成されている。
相手部材に開けられた長孔形状の取付け孔に係止脚が挿入された嵌合状態で、該相手部材に取り付けられるクリップであって、係止脚は、相手部材の取付け孔に対し先端を先行させて基端まで挿入される支柱と、支柱の両側に位置して個々に内外方向へ撓み変形可能であるとともに、取付け孔に係止脚が挿入されたときに該取付け孔の縁に係止可能な係止爪とを備えている。支柱は、両係止爪と直交する方向の寸法が支柱の基端から先端に向かう所定の領域において一定に設定されたストレート面と、同じく両係止爪と直交する方向の寸法がストレート面の端から支柱の先端に向かって漸減するように傾斜したテーパー面と、少なくともテーパー面の一部に重複する領域において支柱の軸線回り方向へ傾斜した逃がし面とを備えている。
さらに好ましくは、係止脚の両係止爪が、外方へ最も張り出した肩部と、これらの肩部における外側の角が切除された形状の逃がし面とを備えている。
本発明では、係止脚が長孔形状の取付け孔に挿入されるときに、係止脚における軸線の傾き、または取付け孔と係止脚との間に軸線回り方向の回転ずれがあっても、支柱のテーパー面および逃がし面が取付け孔を通過することにより、係止脚が嵌合状態となる前の挿入途中において、該係止脚の傾きあるいは回転ずれを共に併行して補正することができる。このため、支柱と取付け孔の内周縁との干渉による挿入抵抗を軽減できるとともに、取付け孔に対する係止脚の嵌合状態が常に適正となる。
そして、係止脚の嵌合状態では、支柱のストレート面が取付け孔の内周縁に面接触することとなり、嵌合状態での係止脚は取付け孔に対してがたつくことなく的確に位置決めされる。
また、本発明においては、係止脚における両係止爪の肩部が逃がし面を備えていることにより、クリップの係止脚と相手部材の取付け孔との間に軸線回り方向の回転ずれがある場合に、両係止爪の逃がし面が該係止爪と取付け孔の内周縁との干渉による挿入抵抗を軽減して係止脚の挿入作業を容易にする。
実施の形態1のクリップを適用したベルトクランプの外観斜視図。 ベルトクランプを図1の裏側から見た外観斜視図。 ベルトクランプの使用状態を表した側面図。 実施の形態1のクリップを適用したテープ巻きクランプの外観斜視図。 図4とは別形態のテープ巻きクランプの外観斜視図。 実施の形態1のクリップを表した外観斜視図。 図6の正面図。 図6の側面図。 図6の平面図。 図6の背面図。 図7のXI−XI矢視方向の断面図。 実施の形態1におけるクリップの取付け孔に対する挿入直前の外観斜視図。 図12の平面図。 実施の形態1におけるクリップの取付け孔に対する挿入初期の外観斜視図。 図14の平面図。 実施の形態1におけるクリップの取付け孔に対する挿入中期の外観斜視図。 図16の平面図。 実施の形態1におけるクリップの取付け孔に対する挿入終期の外観斜視図。 図18の平面図。 実施の形態1におけるクリップの取付け孔に対する嵌合状態の外観斜視図。 図20の正断面図。 図20の側断面図。 実施の形態2のクリップを表した外観斜視図。 図23の正面図。 図23の側面図。 図23の平面図。 図23の背面図。 図24のXXVIII−XXVIII矢視方向の断面図。 図24のXXIX−XXIX矢視方向の断面図。 実施の形態2におけるクリップの取付け孔に対する挿入直前の外観斜視図。 図30の平面図。 実施の形態2におけるクリップの取付け孔に対する挿入初期の外観斜視図。 図32の平面図。 図33の一部を拡大して表した平面図。 実施の形態2におけるクリップの取付け孔に対する挿入中期の外観斜視図。 図35の平面図。 実施の形態2におけるクリップの取付け孔に対する挿入終期の外観斜視図。 図37の平面図。 実施の形態2におけるクリップの取付け孔に対する嵌合状態の外観斜視図。 図39の正断面図。 実施の形態3のクリップを適用したコネクタクランプの外観斜視図。 実施の形態3のクリップを表した外観斜視図。 図42の正面図。 図42の側面図。 図42の平面図。 実施の形態4のクリップを適用した二重経路クランプの外観斜視図。 実施の形態4のクリップを表した外観斜視図。 図47の正面図。 図47の側面図。 図47の平面図。 実施の形態5のクリップを適用したテープ巻きクランプの外観斜視図。 図51とは別形態のテープ巻きクランプの外観斜視図。 実施の形態5のクリップを適用したコルゲートクランプの外観斜視図。 実施の形態5のクリップを表した外観斜視図。 図54の正面図。 図54の側面図。 図54の平面図。
以下、本発明を実施するための形態を、図面を用いて説明する。
まず、図1〜図22で示す実施の形態1について説明する。この実施の形態1のクリップ20は、図1〜図3に示されているベルトクランプ10に適用される場合と、図4および図5に示すテープ巻きクランプ50に適用される場合とがある。これらのベルトクランプ10およびテープ巻きクランプ50は、クリップ20と共に樹脂材によって一体に成形されている。
ベルトクランプ10は、ベルト12とバックル16とによって構成されている。ベルト12は、所定の長さで可撓性を有する帯状をしており、その一端部がバックル16に結合されている。また、ベルト12は、その片側表面において長さ方向へ一定のピッチで配列されたラック歯14を有する(図1)。このベルト12を図3で示すようにループ状に曲げてバックル16に挿入することにより、ラック歯14のいずれかとバックル16内の爪(図示省略)とが噛み合うことで、その状態に保たれる。したがって、ベルト12を図3で示すワイヤハーネスWの外周面に巻回して引き締めることにより、このワイヤハーネスWがベルトクランプ10で結束され、クリップ20がワイヤハーネスWに結合される。
テープ巻きクランプ50は、ワイヤハーネスWをテープ巻きによって結合するためのテープ巻き部52を備えている。このテープ巻き部52は、クリップ20の両側にあるタイプ(図4)と、片側だけにあるタイプ(図5)とがある。いずれのタイプにおいても、それぞれのテープ巻き部52をワイヤハーネスWの外周に添えて双方をテープTで一緒に巻くことにより、クリップ20がワイヤハーネスWに結合される。
クリップ20は、その適用対象がベルトクランプ10の場合にはバックル16と一体に成形されており、テープ巻きクランプ50の場合はテープ巻き部52と一体に成形されている。ただし、クリップ20は、ベルトクランプ10やテープ巻きクランプ50の他に、後述するコネクタクランプ60やコルゲートクランプ80などに適用されることもある。このことから、実施の形態1において専らクリップ20を説明するための図6〜図22においては、ベルトクランプ10およびテープ巻きクランプ50を省略した図面になっている。
クリップ20は、皿形状をしたスタビライザー22と、このスタビライザー22の中心部に位置する係止脚24とを備えている。係止脚24の構成要素は、基端26aがスタビライザー22に結合され、先端26bが案内部32となった一本の支柱26と、この支柱26の両側に位置する一対の係止爪36とに大別される。
支柱26は、その前面側および後面側で開放された肉抜きをもつ柱形状をしている。この支柱26は、図11で示す断面形状から明らかなように全体の大部分を占める角柱部26cと、後面側において角柱部26cの両側から部分的に張り出した一対の翼部26dとを有する。これらの角柱部26cおよび両翼部26dにおける個々の外側面、つまり支柱26の外側面には4個の角部27が存在する(図11)。また、係止脚24が図12〜図22に示されている相手部材44の取付け孔46に挿入されるとき、支柱26は先端26bの案内部32を先行させて取付け孔46に挿入される。
相手部材44は車両のボデーパネル等であって、その表裏を貫通して開けられた取付け孔46は長辺と短辺からなる長孔形状で、かつ両短辺側が円弧状になっている。なお、取付け孔46を長孔形状にするのは、相手部材44に対するクリップ20の軸線回りの回転位置を規制するためであり、当然、係止脚24の形状も取付け孔46の長孔形状に合わせて設定されている。
支柱26は、その前後両面(両係止爪36と直交する両側面)において基端26a側のストレート面28と先端26b側のテーパー面30とを有する。ストレート面28は支柱26の前後両面間の寸法が一定に設定され、テーパー面30は支柱26の前後両面間の寸法が先端26bに向かって漸減する傾斜に設定されている(図8、図22)。支柱26におけるストレート面28の間の寸法は、取付け孔46の短辺よりも僅かに小さく設定されている。また、支柱26における案内部32の平面形状は、取付け孔46とほぼ相似形になっている。案内部32の表面は、その全体にわたって円弧面状のテーパー面34になっている。このテーパー面34は、支柱26のテーパー面30と互いに連続している(図8、図22)。
一対の係止爪36は、支柱26に対して個々に内外方向へ撓み変形可能となっている。具体的には、支柱26における案内部32の両側部分に両係止爪36の一端が弾性変形できるようにそれぞれ結合されている。両係止爪36の他端は自由端になっており、両係止爪36の両端のほぼ中間部が外方へ最も張り出した肩部36aになっている。両係止爪36の肩部36aから自由端までの間には、多段(3段)の爪部36bがそれぞれ設けられている。これらの爪部36bは、係止脚24が取付け孔46に挿入されたときに、相手部材44の板厚に応じて多段のうちの一段が選択されて取付け孔46の縁46aに係止する(図21)。
支柱26のテーパー面30および案内部32のテーパー面34は、取付け孔46に挿入されるときの係止脚24の軸線が傾いている場合でも、この係止脚24を取付け孔46に導入して挿入作業を容易にするといった機能を果たす。また、前述のように係止脚24と取付け孔46との間には、軸線回りの回転ずれが生じる場合もある。
これに対処するために支柱26が、その外側面の複数箇所において逃がし面40を備えている。これらの逃がし面40は、支柱26における角柱部26cおよび翼部26dの各角部27がそれぞれ切除された形状に設定されている(主として図11を参照)。つまり、各逃がし面40は、支柱26のストレート面28とテーパー面30との一部に重複する領域に設けられている。ただし、これらの逃がし面40は、テーパー面30の一部にのみ重複する領域に設けてもよい。そして、テーパー面30が支柱26の軸線に沿って傾斜しているのに対し、逃がし面40は支柱26の軸線回り方向に傾斜している。
前述のように、クリップ20はその適用対象がベルトクランプ10に限定されるものではない。しかしながら、ベルトクランプ10に適用されたクリップ20が、その係止脚24と相手部材44の取付け孔46との間に軸線回りの回転ずれが生じる典型例であることも既に説明したとおりである。そこで、係止脚24と取付け孔46との間に軸線回りの回転ずれがある状態で取付け孔46にクリップ20が挿入される場合を、主として図12〜図20によって説明する。
この挿入作業の初期にあっては、係止脚24における支柱26の案内部32が先行して取付け孔46に挿入され始める(図12、図13)。このとき、案内部32の表面が全体にわたって円弧面状のテーパー面34になっていることから、この案内部32は取付け孔46の内周縁46bに干渉しながらも挿入が続けられる。このため、係止脚24は、その回転ずれが僅かではあるが補正されつつ取付け孔46に進入していく(図14、図15)。
係止脚24の挿入が進むことにより、支柱26の案内部32が取付け孔46を通過した後、支柱26のテーパー面30が取付け孔46の内周縁46bに干渉しつつ挿入が続けられる(図16、図17)。これによって、係止脚24に軸線の傾きがある場合でも、その挿入抵抗が軽減されるとともに、取付け孔46の内周縁46bに対するテーパー面30の干渉によって軸線の傾きが補正される。これと併行してテーパー面30の少なくとも一部と重複する領域に設けられた逃がし面40のうち、主として対角に位置する二つが取付け孔46の内周縁46bに干渉することで、係止脚24の回転ずれが補正される(図18、図19)。したがって、図20で示すように取付け孔46に対する挿入が完了した状態での係止脚24は、軸線の傾きはもちろんのこと回転ずれも共に補正された適正な嵌合状態となる。
両係止爪36については、取付け孔46に対する係止脚24の挿入に伴って図16および図17で示す時点から内方へ撓み変形しながら取付け孔46に進入する。係止脚24の挿入が進んだ図18および図19で示す状態での両係止爪36は、さらに内方へ撓み変形して取付け孔46に進入し、最終的には図20で示すように肩部36aが取付け孔46を通過する。この係止脚24の嵌合状態においては、両係止爪36の爪部36bが相手部材44の縁46aに係止する(図21)。これにより、クリップ20が相手部材44に取り付けられたこととなる。
また、同じく図20および図21で示す係止脚24の嵌合状態では、支柱26のストレート面28が取付け孔46の内周縁46bに隙間なく面接触している(図22)。すなわち、取付け孔46への挿入が完了した係止脚24は、支柱26のストレート面28および両係止爪36により、取付け孔46に対して前後左右いずれの方向へもがたつくことなく、相手部材44に取り付けられる。
つづいて、実施の形態2を図23〜図40にしたがって説明する。なお、これらの図面において、既に説明した実施の形態1と同一もしくは均等構成と考えられる部材には、実施の形態1の図面と同一の符号を付すことにより、重複する説明は省略する。また、後述する実施の形態3〜5についても同様の進め方で、重複する説明は省略する。
実施の形態2におけるクリップ20の基本構造は、実施の形態1のクリップ20とほとんど同じであり、かつ、その適用の対象もベルトクランプ10もしくはテープ巻きクランプ50である。そこで、主として双方の構造上の相違点を説明すると、実施の形態2のクリップ20においては、支柱26の案内部32がその左右両側から外方へ張り出した庇部分35を備えている。そして、両庇部分35の下面に両係止爪36の一端がそれぞれ結合されている(図24、図27)。このように、支柱26と両係止爪36との結合部が庇部分35で被われていることにより、係止脚24が相手部材44の取付け孔46に挿入されるときに、支柱26の案内部32が取付け孔46にスムースに導き込まれる。
また、実施の形態2のクリップ20においては、支柱26の案内部32が逃がし面38を備えているとともに、両係止爪36が逃がし面42を備えている。案内部32の逃がし面38は、両庇部分35の下面側の隅部がそれぞれ切除された形状に設定されている。両係止爪36の逃がし面42は、個々の肩部36aの外側面がそれぞれ二つの斜面を有する形状になっている。
実施の形態2のクリップ20においても、係止脚24と相手部材44の取付け孔46との間に軸線回りの回転ずれがある状態で挿入作業が行われる場合を、主として図30〜図39によって説明する。この挿入作業は、図30および図31で示すように支柱26の案内部32が両庇部分35と共に取付け孔46に対して挿入され始める。そして、挿入の初期にあっては、図32および図33で示すように案内部32と両庇部分35とが係止脚24の回転ずれを補正しつつ取付け孔46に進入する。このとき、案内部32(両庇部分35)の各逃がし面38のうち、主として対角に位置する二つが取付け孔46の内周縁46bを通り(図34)、係止脚24の回転ずれに伴う干渉抵抗が軽減される。その結果、支柱26の案内部32が係止脚24の回転ずれを補正しつつ取付け孔46を通過する。
この後は係止脚24の挿入が進むことに伴い、実施の形態1のクリップ20と同様に支柱26のテーパー面30と逃がし面40とが取付け孔46を通過し(図35、図36)、逃がし面40のうちの対角に位置する二つによって係止脚24の回転ずれが補正される(図37、図38)。これにより、取付け孔46に対する係止脚24の挿入が完了して適正な嵌合状態となる(図39)。
実施の形態2におけるクリップ20の両係止爪36については、図37および図38で示す状態で個々の肩部36aに設けられた逃がし面42が取付け孔46の内周縁46bを通ることとなり、それによっても係止脚24の回転ずれが補正される。そして、両係止爪36の肩部36aが図39で示すように取付け孔46を通過した時点で、それぞれの爪部36bが相手部材44の縁46aに係止する(図40)。
つぎに、実施の形態3を図41〜図45によって説明する。この実施の形態3のクリップ120は、図41に示すコネクタクランプ60に適用される。このコネクタクランプ60は、ワイヤハーネスWとは異なる所定の車両用部品(図示省略)に連結することが可能な連結基板62を備えている。クリップ120は連結基板62と一体に成形されており、このクリップ120を前述した相手部材44に留めることで車両用部品が相手部材44に取り付けられる。また、既に説明した理由によって専らクリップ120を説明するための図42〜図45においては、コネクタクランプ60を省略した図面になっている。
クリップ120は、その係止脚124における支柱126の内部が空洞になっている(図42、図45)。この支柱126においても、その外側面の複数箇所において逃がし面140を備えている。これらの逃がし面140は、支柱126のテーパー面130の一部と重複する領域に設けられているが、実施の形態1,2における逃がし面40の場合と同様にストレート面128およびテーパー面130の双方の一部と重複する領域に設けてもよい。また、クリップ120の両係止爪136は、内部が空洞の支柱126における左右両側の壁部を肉抜きした形状とすることで、それぞれ内外方向へ撓み変形可能となっている(図42、図44)。
つぎに、実施の形態4を図46〜図50によって説明する。この実施の形態4のクリップ220は、図46で示す二重経路クランプ70に適用される。この二重経路クランプ70は、図4に示されているテープ巻きクランプ50と同様のテープ巻き部52を備えているとともに、テープ巻き部52と一体の接続部72を備えている。この接続部72は、別のクリップ(図示省略)が挿入される取付け孔74を備えている。
二重経路クランプ70のテープ巻き部52には、テープ巻きクランプ50の場合と同様にワイヤハーネスWがテープTによって結合される。また、二重経路クランプ70の接続部72の取付け孔74には、例えばワイヤハーネスWを結束したベルトクランプ10のクリップ20が挿入される。これにより、二重経路クランプ70のクリップ220には二本のワイヤハーネスWが個別に結合されたことになる。なお、クリップ220においても、それを説明するための図47〜図50においては、二重経路クランプ70を省略した図面になっている。
クリップ220における係止脚224の支柱226も、その内部が空洞になっている(図47、図50)。この支柱226の各逃がし面240は、ストレート面228およびテーパー面230の双方の一部と重複する領域に設けられている。そして、このクリップ220の特異な点は、係止脚224の両係止爪236が支柱226の前後両側、つまり実施の形態1,2で説明した取付け孔46の両長辺と対応する側に設けられていることである。したがって、係止脚224が取付け孔46に挿入されたときの両係止爪236は、該取付け孔46の両長辺側の縁に係止することになる。
つぎに、実施の形態5を図51〜図57によって説明する。この実施の形態5のクリップ320は、図51および図52で示すテープ巻きクランプ50に適用される場合と、図53で示すコルゲートクランプ80に適用される場合とがある。テープ巻きクランプ50は、既に実施の形態1,2で説明したようにワイヤハーネスWをテープ巻きによって結合するためのテープ巻き部52を備えている。このテープ巻き部52については、実施の形態1,2の図5で示すものと同様にクリップ320の片側にだけ位置するタイプ(図51)と、クリップ320の両側において互いに直角に位置するタイプ(図52)とがある。
コルゲートクランプ80は、周知のようにコルゲートチューブ(図示省略)に結合されるもので、ほぼ半円形状のクランプ本体82とクランプ蓋体84との一端部がヒンジ86で連結された構成になっている。これらのクランプ本体82とクランプ蓋体84との中にコルゲートチューブを入れて把持することにより、このコルゲートチューブにクリップ320が結合される。コルゲートクランプ80のクリップ320は、クランプ本体82と一体に成形されている。なお、クリップ320を説明するための図54〜図57においても、テープ巻きクランプ50あるいはコルゲートクランプ80は省略されている。
クリップ320は、その係止脚324における両係止爪336が支柱326の前後両側に設けられている。また、支柱326の各逃がし面340は、ストレート面328およびテーパー面330の双方の一部と重複する領域に設けられている。これらの構成は、実施の形態4のクリップ220とほぼ同じである。
20 クリップ
24 係止脚
26 支柱
26a 基端
26b 先端
28 ストレート面
30 テーパー面
36 係止爪
40 逃がし面
44 相手部材
46 取付け孔
46a 縁
46b 内周縁

Claims (2)

  1. 相手部材に開けられた長孔形状の取付け孔に係止脚が挿入された嵌合状態で、該相手部材に取り付けられるクリップであって、
    係止脚は、相手部材の取付け孔に対し先端を先行させて基端まで挿入される支柱と、支柱の両側に位置して個々に内外方向へ撓み変形可能であるとともに、取付け孔に係止脚が挿入されたときに該取付け孔の縁に係止可能な係止爪とを備え、
    支柱は、両係止爪と直交する方向の寸法が支柱の基端から先端に向かう所定の領域において一定に設定されたストレート面と、同じく両係止爪と直交する方向の寸法がストレート面の端から支柱の先端に向かって漸減するように傾斜したテーパー面と、少なくともテーパー面の一部に重複する領域において支柱の軸線回り方向へ傾斜した逃がし面とを備えているクリップ。
  2. 請求項1に記載されたクリップであって、
    係止脚の両係止爪が、外方へ最も張り出した肩部と、これらの肩部における外側の角が切除された形状の逃がし面とを備えているクリップ。
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