JP2017089786A - インホイールモータ駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 平行軸歯車減速機の軸心と車輪ハブの軸心とを簡便な手段で一致させ得る調芯構造を具備する。
【解決手段】 電動モータ26で構成された駆動部Aと、複数の歯車30〜33からなる平行軸歯車減速機39で構成された減速部Bと、車輪用軸受46で構成された軸受部Cと、駆動部Aおよび減速部Bを収容するケーシング22とを備え、平行軸歯車減速機39の減速機出力軸37をケーシング22の減速部側から導出して車輪用軸受46にトルク伝達可能に連結したインホイールモータ駆動装置21であって、ケーシング22と車輪用軸受46との間に、ケーシング22に対して車輪用軸受46をテーパ面56,57で嵌合させたテーパ嵌合部58を設ける。
【選択図】 図1
【解決手段】 電動モータ26で構成された駆動部Aと、複数の歯車30〜33からなる平行軸歯車減速機39で構成された減速部Bと、車輪用軸受46で構成された軸受部Cと、駆動部Aおよび減速部Bを収容するケーシング22とを備え、平行軸歯車減速機39の減速機出力軸37をケーシング22の減速部側から導出して車輪用軸受46にトルク伝達可能に連結したインホイールモータ駆動装置21であって、ケーシング22と車輪用軸受46との間に、ケーシング22に対して車輪用軸受46をテーパ面56,57で嵌合させたテーパ嵌合部58を設ける。
【選択図】 図1
Description
本発明は、例えば、電動モータの出力軸と車輪用軸受とを減速機を介して連結したインホイールモータ駆動装置に関する。
従来のインホイールモータ駆動装置は、例えば、特許文献1に開示された構造のものがある。この特許文献1のインホイールモータ駆動装置は、駆動力を発生させる電動モータと、その電動モータの回転を減速して出力する平行軸歯車減速機と、その平行軸歯車減速機からの出力を車輪に伝達する車輪ハブとで構成されている。
このインホイールモータ駆動装置は、電動モータと平行軸歯車減速機との間に中間プレートを設け、その中間プレートのインボード側に、電動モータを収容するモータハウジングを設けると共に、中間プレートのアウトボード側に、平行軸歯車減速機を収容するギヤハウジングを設けた構造を具備する。
電動モータは、モータハウジングに固定されたステータと、そのステータの内側で回転自在に支持されたロータ軸とで構成されている。
平行軸歯車減速機は、電動モータのロータ軸に同軸的に連結されたモータ入力歯車と、ギヤハウジングに回転自在に支持されてモータ入力歯車と噛合する第1カウンタ歯車と、第1カウンタ歯車と同軸的に支持された第2カウンタ歯車と、車輪ハブの車軸に設けられて第2カウンタ歯車と噛合する出力歯車とで構成されている。
車輪ハブは、ギヤハウジングにボルト止め等により固定されている。この車輪ハブは、平行歯車減速機の出力歯車と同軸的に連結されている。
ところで、特許文献1で開示されたインホイールモータ駆動装置において、平行軸歯車減速機の出力軸と車輪ハブの車軸との同軸度が、平行軸歯車減速機の回転精度に最も影響する幾何公差である。
つまり、平行軸歯車減速機の出力軸と車輪ハブの車軸とが厳密に芯出しされていないと、車輪ハブの触れ回りや、平行軸歯車減速機における歯車の噛み合い状態の変動が発生する。このような歯車の噛み合い状態が変動すると、振動や異音の発生原因となり、平行軸歯車減速機の破損を招くおそれがある。
特に、車両旋回中のタイヤ横力が車輪ハブから平行軸歯車減速機に入力された場合、前述の問題が顕著に現れることになる。
そこで、本発明は前述の課題に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、平行軸歯車減速機の軸心と車輪ハブの軸心とを簡便な手段で一致させ得る調芯構造を具備したインホイールモータ駆動装置を提供することにある。
前述の目的を達成するための技術的手段として、本発明は、電動モータで構成された駆動部と、複数の歯車からなる平行軸歯車減速機で構成された減速部と、車輪用軸受で構成された軸受部と、駆動部および減速部を収容するケーシングとを備え、平行軸歯車減速機の出力軸をケーシングの減速部側から導出して車輪用軸受にトルク伝達可能に連結したインホイールモータ駆動装置であって、ケーシングと車輪用軸受との間に、ケーシングに対して車輪用軸受をテーパ面で嵌合させたテーパ嵌合部を設けたことを特徴とする。
本発明のインホイールモータ駆動装置では、ケーシングに平行軸歯車減速機が同軸的に取り付けられていることから、ケーシングに対して車輪用軸受をテーパ面で嵌合させたテーパ嵌合部により、ケーシングに対する車輪用軸受の軸心合わせが可能となる。これにより、平行軸歯車減速機に対して車輪用軸受を同軸的に取り付けることが容易となる。このテーパ面という簡便な手段により、平行軸歯車減速機の軸心と車輪用軸受の軸心とを一致させることができる。
本発明におけるテーパ嵌合部は、ケーシングの減速部側の出力軸導出部の内周面に形成されたテーパ面と、車輪用軸受を構成する外輪の外周面に形成されたテーパ面とで構成されていることが望ましい。このような構成を採用すれば、平行軸歯車減速機に対して車輪用軸受を同軸的に取り付けることがより一層容易となる。
本発明におけるテーパ嵌合部は、車輪用軸受のテーパ面およびケーシングのテーパ面が、軸線方向に対して15〜60°の範囲に規定されていることが望ましい。このように、テーパ面の角度範囲を規定すれば、ケーシングに対する車輪用軸受の組み付けがスムーズに行え、ケーシングに対する車輪用軸受の軸心合わせがより一層容易となる。
本発明によれば、ケーシングに対する車輪用軸受の軸心合わせが可能となるので、平行軸歯車減速機に対して車輪用軸受を同軸的に取り付けることが容易となる。また、テーパ面という簡便な手段により、平行軸歯車減速機の軸心と車輪用軸受の軸心とを一致させることができる。その結果、振動や異音の発生、平行軸歯車減速機の破損を未然に防止でき、信頼性の高い長寿命のインホイールモータ駆動装置を提供することができる。
本発明に係るインホイールモータ駆動装置の実施形態を図面に基づいて詳述する。図8は、インホイールモータ駆動装置21を搭載した電気自動車11の概略平面図、図9は、電気自動車11を後方から見た概略断面図である。
電気自動車11は、図8に示すように、シャシー12と、操舵輪としての前輪13と、駆動輪としての後輪14と、後輪14に駆動力を伝達するインホイールモータ駆動装置21とを装備する。後輪14は、図9に示すように、シャシー12のホイールハウジング15の内部に収容され、独立懸架式の懸架装置(サスペンション)16を介してシャシー12の下部に固定されている。
電気自動車11は、ホイールハウジング15の内部に、左右それぞれの後輪14を駆動するインホイールモータ駆動装置21を設けることによって、シャシー12上にモータ、ドライブシャフトおよびデファレンシャルギヤ機構などを設ける必要がなくなるので、客室スペースを広く確保でき、かつ、左右の後輪14の回転をそれぞれ制御することができるという利点を有する。
電気自動車11の走行安定性およびNVH特性を向上させるためにばね下重量を抑える必要があり、さらに、広い客室スペースを確保するためにインホイールモータ駆動装置21の小型化が求められる。
図1に示す実施形態のインホイールモータ駆動装置21は、以下の構造を具備する。これにより、コンパクトなインホイールモータ駆動装置21を実現し、ばね下重量を抑えることで、走行安定性およびNVH特性に優れた電気自動車11を得ることができる。
この実施形態の特徴的な構成を説明する前に、インホイールモータ駆動装置21の全体構成を説明する。以下の説明では、インホイールモータ駆動装置21を車両に搭載した状態で、車両の外側寄りとなる側をアウトボード側(図1の左側)と称し、中央寄りとなる側をインボード側(図1の右側)と称する。
インホイールモータ駆動装置21は、図1に示すように、駆動力を発生させる駆動部Aと、駆動部Aの回転を減速して出力する減速部Bと、減速部Bからの出力を駆動輪としての後輪14(図8および図9参照)に伝達する軸受部Cとを備えている。駆動部Aと減速部Bはケーシング22に収容されて、電気自動車11のホイールハウジング15(図9参照)内に取り付けられる。
駆動部Aは、ケーシング22に固定されたステータ23と、ステータ23の径方向内側に隙間をもって対向するように配置されたロータ24と、ロータ24の径方向内側に配置されてロータ24と一体回転するモータ回転軸25とを備えたラジアルギャップ型の電動モータ26で構成されている。モータ回転軸25は、毎分一万数千回転程度で高速回転可能である。ステータ23は、磁性体コアの外周にコイルを巻回することによって構成されている。ロータ24は、永久磁石または磁性体が内部に配置されている。
モータ回転軸25は、径方向外側へ一体的に延びるホルダ部27によりロータ24を保持している。ホルダ部27は、ロータ24が嵌め込み固定された凹溝を環状に形成した構成としている。モータ回転軸25は、その軸方向一方側端部(図1の右側)が転がり軸受28に、軸方向他方側端部(図1の左側)が転がり軸受29によって、ケーシング22に対して回転自在に支持されている。
減速部Bは、入力歯車である第1歯車30と、中間歯車である第2歯車31および第3歯車32と、出力歯車である第4歯車33とからなる平行軸歯車減速機39で構成されている。この平行軸歯車減速機39では、第1歯車30と第2歯車31とが噛合し、第3歯車32と第4歯車33とが噛合することにより、モータ回転軸25の回転運動を2段で減速する。ケーシング22のスペースなどを考慮すると、第1歯車30と第2歯車31からなる第1段の減速比は2〜4程度とし、第3歯車32と第4歯車33からなる第2段の減速比は3〜5程度とすることが好ましい。
第1歯車30は、インボード側に延びる軸部34をモータ回転軸25にスプライン嵌合で連結することにより、モータ回転軸25に同軸的に取り付け固定されている。第2歯車31は、中間軸35に取り付け固定されている。第3歯車32は、中間軸35に一体的に形成されている。第4歯車33は、その軸部36を減速機出力軸37のインボード側軸部38にスプライン嵌合で連結することにより、減速機出力軸37に同軸的に取り付け固定されている。
第1歯車30の軸部34は、転がり軸受40によってケーシング22に対して回転自在に支持されている。第2歯車31が取り付け固定され、第3歯車32が一体的に形成された中間軸35は、転がり軸受41,42によってケーシング22に対して回転自在に支持されている。減速機出力軸37が取り付け固定された第4歯車33の軸部36は、転がり軸受43,44によってケーシング22に対して回転自在に支持されている。減速機出力軸37のアウトボード側軸部45は、軸受部Cのハブ輪47にスプライン嵌合で連結され、減速部Bの出力を後輪14(図8および図9参照)に伝達する。
第1歯車30〜第4歯車33および各歯車の回転軸を図2に基づいて説明する。図2は、図1の平行軸歯車減速機39を構成する第1歯車30〜第4歯車33のみをアウトボード側から見た概要図である。
第1歯車30は、モータ回転軸25(図1参照)に取り付け固定され、その軸心C1を中心にして回転する。第2歯車31は、中間軸35(図1参照)に取り付け固定され、第3歯車32は、中間軸35に一体的に形成され、その軸心C2を中心にして回転する。第4歯車33は、減速機出力軸37(図1参照)に取り付け固定され、その軸心C3を中心にして回転する。なお、モータ回転軸25と減速機出力軸37は同軸上に配置されていることから、それぞれの軸心C1と軸心C3は一致している。
この実施形態では、モータ回転軸25、中間軸35および減速機出力軸37の各軸心C1,C2,C3が直線E−E上に配置され、減速部Bの径方向のコンパクト化を図っている。ただし、各軸心C1,C2,C3の配置は、この実施形態のような配置に限らず、各歯車30〜33の噛合いを維持した状態で、ケーシング22のスペースなどを考慮して適宜ずらしてもよい。
ここで、第1歯車30〜第4歯車33には、はすば歯車を用いている。はすば歯車は、同時に噛合う歯数が増え、歯当たりが分散されるので音が静かで、トルク変動が少ない点で有効である。歯車のかみあい率や限界の回転数などを考慮して、モジュールは1〜3程度が好ましい。このように、平行軸歯車減速機39にはすば歯車を用いることで、製造が容易でコストの低減が図れ、性能面でも、静粛かつ効率のよいインホイールモータ駆動装置21を実現することができる。
インホイールモータ駆動装置21は、ホイールハウジング15(図9参照)の内部に収められ、ばね下荷重となるため、小型軽量化が必須である。例えば、第1歯車30と第2歯車31の第1段での減速比を1/2.5、第3歯車32と第4歯車33の第2段での減速比を1/4.5とすれば、平行軸歯車減速機39の減速比は約1/11となる。このように、大きな減速比を持つ平行軸歯車減速機39を用いた場合、毎分一万数千回転程度の高速回転の電動モータ26と組み合わせることで電動モータ26の小型化が図れ、コンパクトで高減速比のインホイールモータ駆動装置21を実現できる。
軸受部Cは、図1に示すように、以下のような構造の車輪用軸受46で構成されている。車輪用軸受46は、減速機出力軸37にトルク伝達可能に連結されたハブ輪47と、ハブ輪47の外周に嵌合された内輪48と、ハブ輪47および内輪48の外側に配置された外輪49と、ハブ輪47および内輪48と外輪49との間に配置された複数の玉50と、複数の玉50を保持する保持器51とを備えた複列アンギュラ玉軸受である。車輪用軸受46の軸方向両端部には、泥水などの侵入防止およびグリースの漏洩防止のためにシール部材52が設けられている。
この車輪用軸受46は、減速機出力軸37のアウトボード側軸部45の端部に形成された雄ねじ部にナット53を螺合させることにより、平行軸歯車減速機39に締め付け固定されている。車輪用軸受46の外輪49は、ケーシング22に取り付け固定されている。車輪用軸受46の内輪48は、減速機出力軸37のフランジ部54に当接することにより抜け止めされている。車輪用軸受46のハブ輪47にハブボルト55で後輪14(図8および図9参照)が連結される。
以上の構成からなるインホイールモータ駆動装置21の全体的な作動原理を説明する。
図1に示すように、駆動部Aにおいて、ステータ23に交流電流を供給することによって生じる電磁力を受けてロータ24が回転する。減速部Bにおいて、モータ回転軸25の回転が平行軸歯車減速機39の第1歯車30〜第4歯車33によって減速され、減速機出力軸37を介して軸受部Cに伝達される。この時、モータ回転軸25の回転が平行軸歯車減速機39により減速されて減速機出力軸37に伝達されるので、低トルク、高速回転型の電動モータ26を採用した場合でも、後輪14(図8および図9参照)に必要なトルクを伝達することが可能となる。
この実施形態では、駆動部Aとしてラジアルギャップ型の電動モータ26を例示したが、任意の構成のモータを適用可能である。例えば、ケーシングに固定されたステータと、ステータの軸方向内側に隙間をもって対向するように配置されたロータとを備えるアキシャルギャップ型の電動モータであってもよい。
このインホイールモータ駆動装置21では、駆動部Aに電動モータ26を冷却するための潤滑油が封入され、減速部Bに平行軸歯車減速機39を冷却および潤滑するための潤滑油が封入されている。インホイールモータ駆動装置21の駆動時、駆動部Aでは、ロータ24の回転でもって電動モータ26を冷却する。減速部Bでは、第1歯車30〜第4歯車33の回転による跳ね掛けでもって平行軸歯車減速機39を冷却すると共に潤滑する。
この実施形態におけるインホイールモータ駆動装置21の全体構成は、前述のとおりであるが、その特徴的な構成を以下に詳述する。
インホイールモータ駆動装置21において、平行軸歯車減速機39と車輪用軸受46との同軸度が平行軸歯車減速機39の回転精度に最も影響する幾何公差である。この実施形態では、平行軸歯車減速機39の回転精度を確保するため、以下の構造でもって、平行軸歯車減速機39と車輪用軸受46との同軸度を精度よく出すようにしている。
つまり、図1および図3に示すように、ケーシング22と車輪用軸受46との間に、ケーシング22に対して車輪用軸受46をテーパ面56,57(図3のクロスハッチング部分)で嵌合させたテーパ嵌合部58を設けている。このテーパ嵌合部58は、ケーシング22の減速部B側の出力軸導出部59の内周面に形成されたテーパ面56と、車輪用軸受46を構成する外輪49の外周面に形成されたテーパ面57とで構成されている。ケーシング22のテーパ面56と外輪49のテーパ面57とは、軸線方向に対して同一の角度で傾斜している。
車輪用軸受46は、外輪49のフランジ部60に設けられたねじ孔61を利用することによりケーシング22の端面にねじ止めされる。このようにして、車輪用軸受46をケーシング22に取り付け固定した状態において、テーパ嵌合部58では、ケーシング22の出力軸導出部59の内周面のテーパ面56に対して、車輪用軸受46の外輪49の外周面のテーパ面57が当接して密着する。
減速部Bでは、ケーシング22に平行軸歯車減速機39が同軸的に取り付けられていることから、ケーシング22に対して車輪用軸受46をテーパ面56,57で嵌合させたテーパ嵌合部58により、ケーシング22に対する車輪用軸受46の軸心合わせが可能となる。これにより、平行軸歯車減速機39に対して車輪用軸受46を同軸的に取り付けることが容易となる。このテーパ面56,57という簡便な手段により、平行軸歯車減速機39の軸心と車輪用軸受46の軸心とを一致させることができる。
このように、平行軸歯車減速機39と車輪用軸受46とが厳密に芯出しされていることから、車輪用軸受46の触れ回りや、平行軸歯車減速機39における第1歯車30〜第4歯車33の噛み合い状態の変動を未然に防止することができる。その結果、例えば、車両旋回中のタイヤ横力が車輪用軸受46から平行軸歯車減速機39に入力された場合であっても、振動や異音の発生、平行軸歯車減速機39の破損を招くことを回避できる。
テーパ嵌合部58は、ケーシング22のテーパ面56および車輪用軸受46のテーパ面57が、軸線方向に対して15〜60°の範囲に規定されていることが好ましい。このように、テーパ面56,57の角度範囲を規定することにより、ケーシング22に対する車輪用軸受46の組み付けがスムーズに行え、ケーシング22に対する車輪用軸受46の軸心合わせが容易となる。なお、テーパ面56,57が15〜60°の角度範囲を逸脱する場合には、ケーシング22に対する車輪用軸受46の軸心合わせが困難となる。
なお、図1および図3の実施形態では、テーパ嵌合部58を、車輪用軸受46を構成する外輪49の外周面の軸方向一部に形成されたテーパ面57で構成した場合を例示したが、本発明はこれに限定されることなく、図4および図5に示すように、テーパ嵌合部58を、車輪用軸受46を構成する外輪49の外周面の軸方向全部に形成されたテーパ面57’で構成してもよい。この場合、ケーシング22の減速部B側の出力軸導出部59の内周面に形成されたテーパ面56’は、図1および図3の実施形態におけるテーパ面56よりも軸方向に延在することになる。
以上の実施形態では、モータ回転軸25の回転運動を2段で減速する平行軸歯車減速機39に適用した場合を例示したが、モータ回転軸25の回転運動を1段で減速する平行軸歯車減速機についても適用可能である。図6および図7は、第1歯車63および第2歯車64で構成された平行軸歯車減速機65を持つインホイールモータ駆動装置21を例示する。
なお、図6は図1の平行軸歯車減速機39を平行軸歯車減速機65に変更した実施形態であり、図7は図4の平行軸歯車減速機39を平行軸歯車減速機65に変更した実施形態であり、図6および図7において、図1および図4と同一部分には同一参照符号を付して重複説明は省略する。
図6および図7の実施形態における減速部Bは、入力歯車である第1歯車63と、出力歯車である第2歯車64とからなる平行軸歯車減速機65で構成されている。この平行軸歯車減速機65では、第1歯車63と第2歯車64とが噛合し、モータ回転軸25の回転運動を1段で減速する。第1歯車63と第2歯車64からなる減速比は10〜11程度とすることが好ましい。
第1歯車63は、インボード側に延びる軸部66をモータ回転軸25にスプライン嵌合で連結することにより、モータ回転軸25に同軸的に取り付け固定されている。第2歯車64は、その軸部67を減速機出力軸37のインボード側軸部38にスプライン嵌合で連結することにより、減速機出力軸37に同軸的に取り付け固定されている。
第1歯車63の軸部66は、転がり軸受68,69によってケーシング22に対して回転自在に支持されている。第2歯車64の軸部67は、転がり軸受70,71によってケーシング22に対して回転自在に支持されている。
この1段の平行軸歯車減速機65を持つインホイールモータ駆動装置21の実施形態において、ケーシング22と車輪用軸受46との間に、ケーシング22に対して車輪用軸受46をテーパ面56,57,56’,57’で嵌合させたテーパ嵌合部58を設けている。図6および図7の実施形態におけるテーパ嵌合部58は、図1および図4に示す実施形態のテーパ嵌合部58と同一の構成をなし、同一部分には同一参照符号を付して重複説明は省略する。
減速部Bでは、ケーシング22に平行軸歯車減速機65が同軸的に取り付けられていることから、ケーシング22に対して車輪用軸受46をテーパ面56’,57’で嵌合させたテーパ嵌合部58により、ケーシング22に対する車輪用軸受46の軸心合わせが可能となる。これにより、平行軸歯車減速機65に対して車輪用軸受46を同軸的に取り付けることが容易となる。このテーパ面56’,57’という簡便な手段により、平行軸歯車減速機65の軸心と車輪用軸受46の軸心とを一致させることができる。
このように、平行軸歯車減速機65と車輪用軸受46とが厳密に芯出しされていることから、車輪用軸受46の触れ回りや、平行軸歯車減速機65における第1歯車63および第2歯車64の噛み合い状態の変動を未然に防止することができる。その結果、例えば、車両旋回中のタイヤ横力が車輪用軸受46から平行軸歯車減速機65に入力された場合であっても、振動や異音の発生、平行軸歯車減速機65の破損を招くことを回避できる。
以上の実施形態では、図8および図9に示すように、後輪14を駆動輪とした電気自動車11を例示したが、前輪13を駆動輪としてもよく、4輪駆動車であってもよい。なお、本明細書中で「電気自動車」とは、電力から駆動力を得る全ての自動車を含む概念であり、例えば、ハイブリッドカー等も含むものである。
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
21 インホイールモータ駆動装置
22 ケーシング
26 電動モータ
30〜33 歯車
39 平行軸歯車減速機
46 車輪用軸受
49 外輪
56,57,56’,57’ テーパ面
58 テーパ嵌合部
59 出力軸導出部
A 駆動部
B 減速部
C 軸受部
22 ケーシング
26 電動モータ
30〜33 歯車
39 平行軸歯車減速機
46 車輪用軸受
49 外輪
56,57,56’,57’ テーパ面
58 テーパ嵌合部
59 出力軸導出部
A 駆動部
B 減速部
C 軸受部
Claims (3)
- 電動モータで構成された駆動部と、複数の歯車からなる平行軸歯車減速機で構成された減速部と、車輪用軸受で構成された軸受部と、前記駆動部および減速部を収容するケーシングとを備え、前記平行軸歯車減速機の出力軸を前記ケーシングの減速部側から導出して前記車輪用軸受にトルク伝達可能に連結したインホイールモータ駆動装置であって、
前記ケーシングと前記車輪用軸受との間に、ケーシングに対して車輪用軸受をテーパ面で嵌合させたテーパ嵌合部を設けたことを特徴とするインホイールモータ駆動装置。 - 前記テーパ嵌合部は、ケーシングの減速部側の出力軸導出部の内周面に形成されたテーパ面と、前記車輪用軸受を構成する外輪の外周面に形成されたテーパ面とで構成されている請求項1に記載のインホイールモータ駆動装置。
- 前記テーパ嵌合部は、車輪用軸受のテーパ面およびケーシングのテーパ面が、軸線方向に対して15〜60°の範囲に規定されている請求項1又は2に記載のインホイールモータ駆動装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113864426A (zh) * | 2021-09-23 | 2021-12-31 | 徐工集团工程机械股份有限公司道路机械分公司 | 一种轻型压路机用轮边减速器组件 |
JP2022154538A (ja) * | 2021-03-30 | 2022-10-13 | 愛知製鋼株式会社 | 歯車付電動機 |
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2015
- 2015-11-12 JP JP2015221965A patent/JP2017089786A/ja active Pending
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