JP2017086039A - 大豆発酵食品の製造方法、及び大豆発酵食品 - Google Patents

大豆発酵食品の製造方法、及び大豆発酵食品 Download PDF

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Yasuharu Sakuragi
康晴 櫻木
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和樹 細川
秀樹 片山
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秀樹 片山
裕志 鐘ヶ江
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裕志 鐘ヶ江
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Abstract

【課題】大豆特有の青臭さや苦みを抑制し、栄養価の高い糖質無添加の大豆発酵食品の製造方法、及び大豆発酵食品を提供することを目的とする。【解決手段】外皮に包まれた大豆をそのまま使用して生成した豆乳を、4〜6気圧、130〜150℃の高圧高温の蒸気と混合させ、一時的に気化することで、外皮に付着した芽胞菌等を殺菌する。殺菌した豆乳50〜55重量%、マザースターター1〜5重量%、減菌水40〜45重量%に乳酸菌を添加して、糖質無添加の条件下で24〜72時間発酵し、糖質無添加の大豆発酵食品を生成する。【選択図】図1

Description

本発明は、大豆発酵食品の製造方法、及び大豆発酵食品に関する。詳しくは、大豆特有の青臭さや苦みを抑制し、栄養価の高い糖質無添加の大豆発酵食品の製造方法、及び大豆発酵食品に係るものである。
大豆は古来より日本人の食生活には必須の食材であり、味噌、醤油、及び納豆等の発酵食品として利用されてきた。特に近年においては、低コレステロールであり、食物繊維、イソフラボン、及び植物性タンパク質を多く含む大豆を用いた加工飲料や加工食品が提供されている。
一方、大豆は特有の青臭さや苦みがあり、食品としての風味を損なう原因となるため、これらが消費者の購買意欲を消失させる原因の1つとなっていた。そのため、大豆の栄養価を維持しつつ、これら大豆特有の青臭さや苦みを抑制し、風味的にも良好な大豆を用いた加工食品の開発が望まれている。
例えば、特許文献1には、糖類を添加した豆乳を乳酸菌、及び酵母菌により乳酸発酵、及びアルコール発酵を行い、得られた発酵豆乳に菌の不活性処理とアルコール並びに炭酸ガスの除去処理を行うことで、大豆特有の青臭さと苦みを除去するとともに、保存性のある発酵豆乳が開示されている。
また、特許文献2には、豆乳を乳酸菌により発酵させて発酵豆乳を製造する方法において、乳酸菌が資化可能な糖質と、乳酸菌が利用困難な甘味料を組み合わせて添加する発酵豆乳の製造方法が開示されている。
即ち、豆乳の発酵に際して、乳酸菌の発酵助剤としてのラクトバチルス、グルコース、又はフルクトースの何れかを豆乳中に添加し、これら発酵助剤としての資化糖質が消失するまで培養する一方、乳酸菌が利用できない難資化性甘味料であるスクラロースやアセスファムKを添加することで、大豆特有の酸味や収斂味を緩和し、良好な酸甘バランスを維持できるというものである。
特開平11−46685号公報 特開2002−51720公報
上記特許文献に開示されている通り、大豆を主原料として乳酸発酵が施された大豆発酵食品を製造する過程においては、効率的に発酵を進行させるために、糖質を添加する方法が一般的に広く利用されている。即ち、乳酸菌がその添加された糖質を栄養源として発酵が促進されるため、結果として大豆特有の青臭さや苦みを除去することが可能となっている。
一方、糖質を添加することで、発酵が促進されるとともに、大豆発酵食品の風味の改善を図ることができるが、近年の消費者の健康志向の高まりにより、大豆発酵食品においても、糖質を低減、或いは糖質無添加の商品の開発が望まれている。
この点、本発明者は鋭意研究を重ねた結果、大豆の外皮には多くの食物繊維、イソフラボン、及び植物性たんぱく質が含まれていることに着目し、大豆の外皮を脱皮せずに、そのまま使用することで、これら大豆の外皮に含まれる栄養成分を乳酸菌が資化することで、糖質を加えなくとも乳酸発酵が進むとの知見を得た。
しかしながら、大豆の外皮は、青臭さや苦みの原因とされており、大豆の外皮を脱皮せずにそのまま使用すると、完成した大豆発酵食品の風味を損なう虞があるとともに、大豆の外皮はその大部分が、廃棄物としてのオカラとして排出されるため、その処理方法が問題となっている。また、大豆の外皮には有毒な芽胞菌が付着しており、その芽胞菌の殺菌処理に多くの製造工数を費やしているのが現状である。
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、大豆特有の青臭さや苦みを抑制し、栄養価の高い糖質無添加の大豆発酵食品の製造方法、及び大豆発酵食品を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の大豆発酵食品の製造方法は、外皮に包まれた大豆からご汁を生成する工程と、前記ご汁に酵素を添加するとともに、所定時間撹拌して豆乳を生成する工程と、前記豆乳を高圧高温雰囲気下の蒸気で殺菌する工程と、該殺菌する工程の後に、前記豆乳を乳酸菌により糖質無添加の条件下で発酵する工程と、を備える。
ここで、大豆発酵食品の製造方法は、外皮に包まれた大豆をそのまま使用してご汁を生成する工程を有することにより、大豆の外皮を脱皮する工程を省くことができるとともに、外皮に含まれる食物繊維、イソフラボン、及び植物性タンパク質を多く含むご汁を生成することができる。
また、ご汁に酵素を添加するとともに、所定時間撹拌して豆乳を生成する工程を有することにより、ご汁に酵素を反応させて酵素分解を促進させることで、豆乳を生成する過程で発生するオカラの量を大幅に削減することができる。
また、豆乳を高圧高温雰囲気下の蒸気で殺菌する工程を有することにより、大豆の外皮に付着している有毒な芽胞菌を、ほぼ死滅させることができる。従って、大豆の外皮をそのまま使用した豆乳を生成することができるため、発酵時に豆乳に糖質を加えなくても、これら大豆の外皮に含まれる栄養源を乳酸菌が資化することで、後述する発酵が促進される。
また、殺菌する工程の後に、豆乳を乳酸菌により糖質無添加の条件下で発酵する工程を有することにより、芽胞菌等が存在しない状態で豆乳を発酵させることができるため、生成した大豆発酵食品を消費者は安心して食することができる。
また、糖質無添加の条件で発酵し、大豆発酵食品を生成することができるため、消費者が糖質の過剰摂取を心配する必要もない。
また、甘味のないプレーン味の大豆発酵食品となるため、消費者は、好みの糖質を好みの量だけ添加して大豆発酵食品を食することができる。
更に、糖質無添加の条件でも、大豆の外皮に含まれる栄養源を資化して乳酸発酵が促進されるため、大豆特有の青臭さや苦みも抑えることができる。
また、高圧高温雰囲気下が、圧力が4〜6気圧、及び温度が130〜150℃の範囲である場合には、大豆の外皮に含まれる芽胞菌等を、ほぼ死滅させることができる。
また、糖質無添加の条件下で発酵する工程が、豆乳に乳酸菌を添加してマザースターターを調製する工程を有している場合には、発酵時の乳酸菌を増殖かつ活性化し、乳酸発酵を効率的に進めることができる。
また、マザースターターを調製する工程で得られたマザースターターを用いて、25〜37℃の条件で、24〜72時間、発酵を行う場合には、効率的に乳酸発酵を進めることができ、発酵終了時のpHを3.6〜4.0の範囲に維持することができる。即ち、発酵を完全に終了させることで、大豆特有の青臭さや苦みを抑えることができるとともに、pHを3.6〜4.0の範囲に維持されることで、酸味のバランスがとれた大豆発酵食品を生成することができる。
また、マザースターターを調製する工程は、30〜37℃で、12〜24時間、培養を行う場合には、最も効率的に乳酸菌を培養することができる。
また、発酵する工程が、豆乳を50〜55重量%、マザースターターを1〜5重量%、減菌水を40〜45重量%、をそれぞれ混合して発酵を行う場合には、最も効率的に乳酸発酵を進めることができ、発酵終了時のpHを略3.6〜4.0に維持することができる。即ち、発酵を完全に終了させることで、大豆特有の青臭さや苦みを抑えることができるとともに、pHを略3.6〜4.0に維持されることで、酸味が最もバランスのとれた大豆発酵食品を生成することができる。
上記の目的を達成するために、本発明の大豆発酵食品は、糖質無添加の、pHが略3.6〜4.0であり、外皮に包まれた大豆を主原料とする。
ここで、糖質無添加であることにより、消費者が糖質の過剰摂取を心配することなく安心して食することができる。また、甘味のないプレーン味の大豆発酵食品となるため、消費者は、好みの糖質を好みの量だけ添加して大豆発酵食品を食することができる。
また、pHが略3.6〜4.0であることにより、酸味のバランスが最もとれた大豆発酵食品を実現することができる。
また、外皮に包まれた大豆を主原料とすることにより、大豆の外皮に含まれる食物繊維、イソフラボン、及び植物性タンパク質を多く含むため、大豆発酵食品の栄養価が高まる。また、糖質無添加であっても、これら外皮に含まれる栄養源を資化して乳酸発酵が促進されるため、大豆特有の青臭さや苦みを抑えることができる。
本発明に係る大豆発酵食品の製造方法、及び大豆発酵食品は、大豆特有の青臭さや苦みを抑制することができるとともに、栄養価の高い糖質無添加のものとすることができる。
本発明の大豆発酵食品の製造工程図である。 高圧高温蒸気殺菌機の模式図である。
以下、大豆発酵食品の製造方法、及び大豆発酵食品に関する本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
まず、本発明の大豆発酵食品の製造工程について、図1を用いて説明する。
<S1:ご汁製造工程>
先ず、水洗いした外皮に包まれたままの大豆を水に長時間浸漬した後、粉砕機等を用いて粗目に磨り潰し、ご汁を生成する。
<S2:グラインダー工程>
ご汁製造工程で得られたご汁に所定量の水(ご汁の3〜8倍)を加えながら、グラインダーにかけ、さらに細かく粉砕する。
ここで、必ずしも、ご汁に加える水の量はご汁の3〜8倍にする必要はなく、目的とする大豆発酵食品の風味、食感等に応じて適宜変更することができる。
<S3:煮沸工程>
グラインダー工程で、水を加え、細かく粉砕されたご汁を約60〜90℃にて、約10〜15分かけて煮沸する。
ここで、必ずしも、煮沸条件は約60〜90℃にて、約10〜15分に設定する必要はなく、目的とする大豆発酵食品の風味、食感等に応じて適宜変更することができる。
<S4:酵素分解工程>
煮沸工程で煮沸したご汁の温度が約40℃前後となるまで冷やし、エマルダータンクに移し替える。エマルダータンク内に移されたご汁に酵素を加え、攪乱しながら約120分間、ご汁に酵素を反応させ豆乳を生成する。
ご汁に酵素を反応させ酵素分解を行うことで、製造工程で排出されるオカラの量を大幅に削減することができる。
ここで、必ずしも、反応させる酵素は1種類に限らず、2種類、又はそれ以上の酵素を併用してもよい。なお、反応させる酵素としては、例えばセルラーゼ、プロテアーゼ、ペクチナーゼ等であるが、必ずしもこれらの酵素に限定されるわけではない。
また、必ずしも、酵素分解工程のご汁の温度は約40℃に設定される必要はない。但し、発明者が検証した結果では、ご汁の温度を約40℃前後が最も酵素分解が促進された。
<S5:均質化処理工程>
生成した豆乳に含まれる脂肪球を均質化して安定的な懸濁液とするため、撹拌型均質機を用いて所定の均質圧力で均質化処理する。
ここで、必ずしも、均質化処理に用いられる均質機は撹拌型均質機である必要はない。
例えば、遠心型均質機、超音波均質機、湿式振動ボールミル等を用いて均質化処理をしてもよい。
<S6:高圧高温蒸気殺菌工程>
均質化処理を施された豆乳は、振動篩機で異物が取り除かれ、リザーブタンクに移される。リザーブタンクに充填された豆乳は、ポンプにより所定量ずつ高圧高温蒸気殺菌機に送り出される。
図2に示すように、高圧高温蒸気殺菌機1は、リザーブタンク2からポンプ3で送り出されてくる豆乳を、高圧高温の蒸気と混合して殺菌する殺菌部4と、高圧高温の雰囲気下で気化された豆乳を、熱劣化させることなく再度液化するための冷却部5から構成されている。
リザーブタンク2に一時的に保管された豆乳は、ポンプ3により毎分約5.5Lの流量で殺菌部3に送り込まれる。殺菌部4に送られた豆乳は、圧力が約4〜6気圧、温度が約130〜150℃の高圧高温の飽和水蒸気と混合して一時的に気化させ、約30〜60秒間殺菌処理が行われる。殺菌処理を経て気化された豆乳は、配管を通じてステンレス鋼管の冷却部に送り込まれて冷却、液化される。液化された豆乳は、図示しない発酵タンクへ送られる。
ここで、必ずしも、飽和水蒸気は、約4〜6気圧、130〜150℃に設定される必要はない。但し、発明者が実験を繰り返した結果、気圧を約4〜6気圧(好ましくは5気圧)、温度を130〜150℃(好ましくは140℃)に設定すると、豆乳に含まれる芽胞菌等に代表される細菌を、ほぼ死滅させることができるとともに、一時的に気化した豆乳の大半を、冷却部で液化することができた。一方で、気圧を4気圧未満、又は温度を130℃未満に設定すると、ほぼ死滅するまで至らず、気圧を6気圧より高め、温度を150℃より高くすると、豆乳の大半が気化し、冷却部において液化することができなかった。
<S7:発酵工程>
高圧高温蒸気雑菌工程で殺菌された豆乳は、発酵タンクにて発酵される。発酵に際しては、先ず、マザースターターの調製が行われる。マザースターターの調製は、豆乳のpHが6.5〜7.0の範囲に収まるように調製する。具体的には、豆乳1000mlに対して蒸留水を約3500ml、上白糖500g、酵母エキスを10g、それぞれ混合するとともに、乳酸菌を0.5g添加し、約37℃の一定温度に保たれた恒温器で12〜24時間、好ましくは24時間培養し、乳酸菌を増殖させる。
ここで、必ずしも、マザースターターの調製はpH6.5〜7.0の範囲に収まるように調製する必要はない。但し、本発明においては、上記範囲にpHを調製することで、効率的に乳酸菌を増殖させることができた。
また、必ずしも、培養時間は12〜24時間に設定される必要はない。但し、本発明においては、上記培養時間内で、最も効率的に乳酸菌を増殖させることができた。
マザースターターの調製が完了すると、続いて、豆乳の本発酵を行う。本発酵に際しては、豆乳を50〜55重量%、減菌水を40〜45重量%、マザースターターを1〜5重量%の範囲で調製を行う。
具体的な一実施例としては、豆乳2000mlに対して、減菌水を1800ml、及び培養したマザースターターを200ml添加し、約37℃の一定温度に保たれた恒温器で24〜72時間、好ましくは72時間発酵を行う。
なお、通常、この本発酵に際しては、効率的に発酵を進めるため、糖質を添加するが、本発明においては、糖質添加を行わずに本発酵を行う。
本発酵開始から72時間が経過し、pHが3.6〜4.0、好ましくはpHが3.8となったことを確認して、所定時間冷蔵保存することで、大豆発酵食品が完成する。
ここで、必ずしも、発酵完了の目安時間を72時間とする必要はない。但し、本発明者が実験を繰り返した結果、72時間発酵を続けることで、pHが3.6〜4.0の範囲に収束し、最も酸味のバランスがとれ、かつ、青臭さや苦みが抑えられた大豆発酵食品を実現することができる。
また、必ずしも、発酵完了の条件として、pHを3.6〜4.0、好ましくは3.8とする必要はない。但し、pH3.8とすることで最も酸味のバランスが取れた大豆発酵食品とすることができる。
上記工程により得られた大豆発酵食品は、本発酵の際に糖質を添加していないため、消費者は糖質の過剰摂取を心配することなく安心して食することができる。また、甘味のないプレーン味の大豆発酵食品となるため、消費者は、好みの糖質を好みの量だけ添加して大豆発酵食品を食することができる。更に、大豆の外皮を脱皮せず、加工しているため、外皮に含まれる多くの食物繊維、イソフラボン、及び植物性たんぱく質を含有した栄養価の高いものとなる。
次に、本発明に係る本発酵時の糖質を無添加とした場合の発酵状態を示す指標として、pH、Brix(糖度)、La(乳酸酸度)、乳酸菌数、のそれぞれの時系列変化について、本発酵時の糖質を添加した場合の比較例と合わせて説明する。
<実施例>
本発明に係る本発酵時の糖質を無添加とした場合の発酵状態を示す時系列状態を表1に示す。
<比較例1>
糖質添加量を2.5重量%とした場合の発酵状態を示す時系列状態を表2に示す。
<比較例2>
糖質添加量を5重量%とした場合の発酵状態を示す時系列状態を表3に示す。

<比較例3>
糖質添加量を10重量%とした場合の発酵状態を示す時系列状態を表4に示す。
通常、発酵が進むと、添加された乳酸菌は糖質を利用して乳酸を生成するため、豆乳のpHは酸性側に傾く(pHが下がる)とともに、La、及び乳酸菌数は増えることが知られている。
この点、本発明の実施例に係る表1においては、本発酵開始時(0時間)から時間経過とともに、確実にpHが下がり、72時間後には目標とするpH3.8まで下がることが確認できた。また、同時に、La、及び乳酸菌数も時間経過とともに増加している。
これは、本発酵時に豆乳に糖質を添加しなくとも、乳酸菌が豆乳に含まれている成分を資化して、乳酸発酵が促進されていることを示すものである。即ち、通常、大豆発酵食品を生成する際には、大豆の外皮を脱皮して加工するが、本発明においては、外皮を付けた状態で加工するため、その外皮に含まれる食物繊維、イソフラボン、及び植物性たんぱく質を資化として、乳酸発酵が促進されているものと考えられる。
この点、比較例にも示すように、糖質の添加量を徐々に増やした場合でも、Brix、及び乳酸菌数には多少のバラつきが生じるものの、本発酵72時間経過後のpH、及びLaの値については、実施例と比較して大きな差はないことが確認できた。即ち、本発明のように、大豆の外皮を脱皮せずに加工した豆乳に乳酸菌を添加して発酵する場合、外皮に含まれる有効成分が支配的となり、糖質添加の有無にかかわらず、発酵が進むことが理解できる。
次に、pHの値が大豆発酵食品の風味に与える影響について風味評価を行った。風味評価は、10人の被験者に発酵完了時のpHの異なる大豆発酵食品を試食してもらい、「酸味」「苦み」「香り」の観点から、「良い」「普通」「悪い」の三段階で評価してもらった。その結果を表5に示す。

注)記号の説明
◎「良い」と感じた被験者が半数以上で、「悪い」と感じた被験者無し
○「良い」と感じた被験者が半数未満で、「悪い」と感じた被験者無し
△「良い」若しくは「普通」と感じた被験者の総数が、「悪い」と感じた被験者の総数よりも多い
×「悪い」と感じた被験者が半数以上で、「良い」と感じた被験者無し
ここで、pH3.4においては酸味が強く、抵抗感を示す被験者が多かった。一方、発酵が充分進んでいるため、大豆特有の青臭さ、苦みは抑えられている。
また、pH3.6〜4.0の範囲においては、酸味、苦み、香り、において、バランスがとれており、何れの評価項目においても「悪い」と回答した被験者はいなかった。特に、pH3.8とした場合には、全ての項目で「良い」と感じた被験者が半数を超え、「酸味」のバランスが最もよく、大豆特有の青臭さや苦みが最も抑えられていることが理解できる。
また、pH4.2においては、酸味が足りないと評価する被験者が多く、更に大豆特有の青臭さや苦みが目立ち始めることが理解できる。
以上のように、本発明を適用した大豆発酵食品の製造方法、及び大豆発酵食品は、大豆特有の青臭さや苦みを抑制し、栄養価の高い糖質無添加のものとなっている。
S1 ご汁製造工程
S2 グラインダー工程
S3 煮沸工程
S4 酵素分解工程
S5 均質化処理工程
S6 高圧高温蒸気殺菌工程
S7 発酵工程
1 高圧高温蒸気殺菌機
2 リザーブタンク
3 ポンプ
4 殺菌部
5 冷却部

Claims (6)

  1. 外皮に包まれた大豆からご汁を生成する工程と、
    前記ご汁に酵素を添加するとともに、所定時間撹拌して豆乳を生成する工程と、
    前記豆乳を高圧高温雰囲気下の蒸気で殺菌する工程と、
    該殺菌する工程の後に、前記豆乳を乳酸菌により糖質無添加の条件下で発酵する工程と、を備える
    大豆発酵食品の製造方法。
  2. 前記高圧高温雰囲気下とは、
    圧力が4〜6気圧、及び温度が130〜150℃の範囲である
    請求項1記載の大豆発酵食品の製造方法。
  3. 前記糖質無添加の条件下で発酵する工程は、
    前記豆乳に乳酸菌を添加してマザースターターを調製する工程を有し、
    該マザースターターを調製する工程で得られたマザースターターを用いて、25〜37℃の条件で、24〜72時間、発酵を行う、
    請求項1又は請求項2記載の大豆発酵食品の製造方法。
  4. 前記マザースターターを調製する工程は、30〜37℃で、12〜24時間、培養を行う、
    請求項3記載の大豆発酵食品の製造方法。
  5. 前記発酵する工程は、
    前記豆乳を50〜55重量%、前記マザースターターを1〜5重量%、減菌水を40〜45重量%、をそれぞれ混合して発酵を行う
    請求項3又は請求項4記載の大豆発酵食品の製造方法。
  6. 糖質無添加の、pHが略3.6〜4.0であり、外皮に包まれた大豆を主原料とする
    大豆発酵食品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2021187159A1 (ja) * 2020-03-16 2021-09-23 キッコーマン株式会社 発酵大豆飲料濃縮物及びその製造方法
CN114532490A (zh) * 2022-03-01 2022-05-27 东北农业大学 一种将乳酸菌与红茶菌联合用于发酵豆乳的发酵方法及应用

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