以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。
<<< §1. 基本的実施形態に係るシステムの構成 >>>
<1−1.位置情報通知システムの全体構成>
図1は、本発明の基本的実施形態に係る位置情報通知システムの全体構成を示すブロック図である。この位置情報通知システムは、同一グループに所属するメンバーについて、メンバー相互の位置情報を通知する機能をもったシステムであり、図示のとおり、複数の端末装置100A,100B,100Cと、これら各端末装置100A,100B,100Cのそれぞれと交信する機能を有する管理装置200と、を備えている。
図示のとおり、各端末装置100A,100B,100Cと管理装置200とは、ネットワーク300を介して相互に接続されることになる。ネットワーク300としては、実用上、インターネットを利用するのが好ましい。この§1で述べる基本的実施形態の場合、各端末装置100A,100B,100Cは、一般に「KIOSK端末」と呼ばれている特定の設置場所に据え付けられる据付型端末装置であり、駅・空港などの公共施設や店舗などに設置される。ここでは、各端末装置100A,100B,100Cの設置場所が、それぞれ位置Pa,Pb,Pcであるものとする。
図1には、便宜上、3台の端末装置100A,100B,100Cのみが描かれているが、実際には、広範囲に渡った様々な場所に、より多数の端末装置100が設置されることになる。なお、§1〜§2では、便宜上、各端末装置100が据付型端末装置である例について説明を行うが、§3で述べるように、本発明における端末装置は、必ずしも据付型である必要はなく、携帯型移動端末装置であってもかまわない。
一方、管理装置200は、各端末装置100A,100B,100Cから、ネットワーク300を介したアクセスを受け付け、各メンバーからの自己位置報告情報を受信するとともに、各メンバーに対して他者位置通知情報を送信する処理を行う。
本発明に係る位置情報通知システムを利用する個々のユーザは、それぞれ所定のグループのメンバーになることにより、同一グループに所属する他のメンバーについての位置情報の通知を受けることができる。図1の上段には、グループG1,G2,G3という3グループが設定された例が示されており、その中のグループG1について、より詳細なメンバー構成が例示されている。もちろん、実際には、より多数のグループが設定され、個々のグループにそれぞれ複数のメンバーが構成員として設定される。
図1に示す例の場合、グループG1は、5人のメンバーm11〜m15によって構成されており、これら各メンバーm11〜m15は、それぞれ携帯可能情報記録媒体M11〜M15を携帯している。また、これら携帯可能情報記録媒体M11〜M15には、それぞれ媒体識別情報MID11〜MID15が記録されている。このように、ここに示す基本的実施形態では、個々のメンバーmが、それぞれ固有の携帯可能情報記録媒体Mを携帯しており、個々の情報記録媒体Mには、媒体識別情報MIDが記録されていることが前提となる。そして、この媒体識別情報MIDが、個々のメンバーmを相互に区別するための情報として利用されることになる。
管理装置200には、個々のグループごとにグループ情報Iが格納される。このグループ情報Iは、個々のグループに所属する各メンバーの現在位置を示すための情報である。図1には、3つのグループG1,G2,G3について、それぞれグループ情報I(G1),I(G2),I(G3)が格納された状態が示されている。
各メンバーmは、ある場所を訪問した際に、当該場所に設置されている端末装置100を用いて居場所通知作業を実行する。この居場所通知作業では、まず、当該メンバーmが携帯している情報記録媒体Mから媒体識別情報MIDを読み出させる操作が行われる。端末装置100は、読み出した媒体識別情報MIDと端末装置100自身の現在位置とを、自己位置報告情報として管理装置200に対して送信する。
管理装置200は、この自己位置報告情報を受信して、当該メンバーmが所属するグループ情報I内に、当該メンバーmの媒体識別情報MIDに対応づけて、報告された現在位置を登録する処理を行う。また、自己位置報告情報の送信があった端末装置100に対しては、当該メンバーmが所属するグループ情報I内に登録されている他のメンバーの現在位置の情報を、他者位置通知情報として返信する処理を行う。かくして、当該メンバーmが操作中の端末装置100には、他のメンバーの現在位置が提示されることになる。
図1には、グループG1に所属するメンバーm13が、位置Pbに設置された端末装置100Bを用いて、携帯中の情報記録媒体M13に記録されている媒体識別情報MID13を読み出す作業(居場所通知作業)を行っている状態が破線の矢印で示されている。端末装置100Bは、読み出した媒体識別情報MID13と、自分自身の現在位置Pbとを、自己位置報告情報として管理装置200へ送信する。この自己位置報告情報は、「媒体識別情報MID13に紐付けされたグループG1に所属するメンバーm13が、現在、位置Pbにおいて居場所通知作業を行った」という事実を示すものであり、管理装置200は、この自己位置報告情報を受信すると、グループ情報I(G1)内に、媒体識別情報MID13に対応づけて現在位置Pbを登録する処理を行う。
また、管理装置200は、この自己位置報告情報を受信すると、送信元となった端末装置100Bに対して、グループ情報I(G1)として登録されている他のメンバー(図示の例の場合、メンバーm11,m12,m14,m15)の現在位置を他者位置通知情報として返信する処理を行う。当該返信を受けた端末装置100Bは、他者位置通知情報として返信されてきた他のメンバーの現在位置を提示する処理を行う。結局、メンバーm13は、自分自身の位置を報告する居場所通知作業を行うことにより、他のメンバーの現在位置の通知を受けることができる。
このように、メンバーm13は、端末装置100Bを用いて、他のメンバーの現在位置に関する情報配信を受けることができる。このような情報配信は、いわゆる「pull型」の配信と呼ばれる配信形態であり、メンバーm13が能動的に端末装置100Bを用いて居場所通知作業を行うことにより、管理装置200から情報を引き出す形式で情報入手を行う形態ということができる。
本発明では、他のメンバーの位置情報を入手する際に、このような「pull型」の配信を行うことを前提としている。この「pull型」の配信を採用すれば、管理装置200は、あくまでも端末装置100側からのアクセスに応じて、必要な情報配信を行えばよいので、メンバーm13のメールアドレスなどの個人情報を知る必要はなく、また、メンバーm13がどの端末装置を利用してアクセスしてくるかを特定する必要もない。管理装置200は、メンバーm13からのアクセスが、いずれの端末装置から行われたとしても、当該アクセスに応じて、アクセス元の端末装置に対して、必要な情報を返信する処理を行えば足りる。
これに対して、前掲の特許文献4〜7に開示されている従来の位置情報通知システムは、いわゆる「push型」の配信形態を採用しており、ユーザの能動的な作業を前提とせずに、対象となる情報が自動的に配信されることになる。そのためには、予め、通知先となる特定のメールアドレスや特定の端末装置をシステムに登録しておく必要があり、個人情報の取り扱いが避けられない。このような個人情報の取扱いを必須とするシステムでは、情報漏洩という不祥事が発生しないよう、慎重かつ十分な対策を講じる必要があり、多大な管理コストと多大な労力が必要になるという問題があることは、既に述べたとおりである。
本発明に係る位置情報通知システムでは、上述したように「pull型」の配信が前提となっているため、個々のメンバーの個人情報は不要である。もちろん、管理装置200には、個々のメンバーが携帯する携帯可能情報記録媒体Mから読み出された媒体識別情報MIDが保存されることになるが、媒体識別情報MIDそれ自体は、個々のメンバーを直接特定する個人情報ではないため、万一、情報漏洩という事態が生じたとしても、それほど重大な社会問題には発展しない。別言すれば、メールアドレスなどの個人情報を取り扱うシステムと比較すれば、情報管理のコストや労力は大幅に軽減される。
前述したとおり、ここに示す実施形態の場合、各端末装置100は、駅・空港などの公共施設や店舗などに設置される据付型端末装置であり、実用上、広範囲の様々な場所に設置することができる。したがって、任意のメンバーを対象として任意の場所についての位置情報を通知する一般的な用途への利用に適している。しかもメールアドレスや電話番号などの個人情報を取り扱う必要がないため、従来のシステムに比べて、情報管理のコストや労力を大幅に軽減することができる。また、個々のメンバーの位置情報は、予め設定した同一のグループに所属するメンバーのみに通知されるため、プライバシー保護の観点からも安全なシステムを提供することができる。
<1−2.位置情報通知システムの詳細構成>
続いて、§1.1で述べた基本的実施形態に係る位置情報通知システムのより詳細な構成を説明する。図2は、図1に示す位置情報通知システムの詳細構成を示すブロック図である。
前述したとおり、この位置情報通知システムは、複数の端末装置を有しているが、図2の上段には、便宜上、そのうちの1台の端末装置100の詳細構成を示すことにし、下段には、管理装置200の詳細構成を示すことにする。また、図2の最上段には、説明の便宜上、あるメンバーが携帯している携帯可能情報記録媒体Mを例示する。なお、端末装置100と管理装置200との間の交信は、実際には、ネットワーク(インターネット)300を介して行われるが、図2では、このネットワーク300の図示は省略する。
図示のとおり、端末装置100は、媒体識別情報読出部110と、現在位置認識部120と、自己位置報告情報送信部130と、他者位置通知情報提示部140と、他者位置通知情報受信部150と、基本情報設定部160と、処理制御部170と、を有している。後述するように、この端末装置100は、実際には、コンピュータに所定のプログラムを組み込むことにより構成することができ、上記各構成要素は、実際には、個々の処理を行うプログラムを組み込んだコンピュータによって実現される。
一方、管理装置200は、位置報告情報登録部210と、基本情報登録部220と、位置通知情報送信部230と、グループ情報格納部240と、を有している。この管理装置200も、実際には、コンピュータ(サーバ装置)に所定のプログラムを組み込むことにより構成することができ、上記各構成要素は、実際には、個々の処理を行うプログラムを組み込んだコンピュータによって実現される。
本発明に係る位置情報通知システムによって行われる処理は、準備段階の処理と利用段階の処理とに大別される。準備段階の処理は、個々のユーザを所定のグループに所属するメンバーとして登録する処理であり、利用段階の処理は、個々のグループごとに、登録されているメンバー相互の位置情報を通知する処理である。ここでは、便宜上、まず、準備段階の処理で用いられる構成要素についての説明を行い、そのあとで、利用段階の処理で用いられる構成要素についての説明を行うことにする。
準備段階の処理は、媒体識別情報読出部110、基本情報設定部160、基本情報登録部220、グループ情報格納部240によって実行される。この処理の目的は、グループ情報格納部240内のグループ情報Iの一部として、特定のグループに所属する個々のメンバーについての媒体識別情報とメンバー特定情報とを登録することである。
たとえば、図示の例の場合、グループ情報格納部240内に格納されているグループ情報I(G1)の内容が具体的に例示されている。このグループ情報I(G1)は、グループG1についての情報であり、図1に示す5人のメンバーm11〜m15のそれぞれについて、媒体識別情報MID、メンバー特定情報mid、現在位置P、報告時刻tを対応づけた情報である。準備段階の処理では、このうち、媒体識別情報MIDおよびメンバー特定情報midの登録が行われる。残りの現在位置Pおよび報告時刻tは、利用段階の処理で順次登録されてゆくことになる。
媒体識別情報MIDは、図1の上段に示されているように、グループG1に所属する個々のメンバーm11〜m15が携帯する携帯可能情報記録媒体M11〜M15に記録されている情報であり、この位置情報通知システム内においてユニークな情報になっている必要がある。別言すれば、グループ情報格納部240に格納されている全グループ情報を通じて、重複のない媒体識別情報MIDが登録されるようにする。
媒体識別情報読出部110は、各メンバーmが携帯する携帯可能情報記録媒体Mから媒体識別情報MIDを読み出す構成要素である。携帯可能情報記録媒体Mの実例については、後の§2で詳述するが、たとえば、ICカードを携帯可能情報記録媒体Mとして用いた場合、媒体識別情報読出部110は、このICカードにデジタルデータとして記録されている媒体識別情報MID(たとえば、ICカードに組み込まれているCPUのシリアル番号)を読み出す機能をもったリーダライタ装置によって構成することができる。
基本情報設定部160は、特定のグループについて、個々の媒体識別情報MIDとこれに対応する個々のメンバー特定情報mと、をユーザの操作に基づいて入力し、入力した情報を管理装置200に対して、上記特定のグループについて登録すべき基本情報として送信する機能をもった構成要素である。図2に示す例の場合、媒体識別情報MID11〜MID15は、媒体識別情報読出部110によって、特定のグループG1に所属する各メンバーm11〜m15が携帯する携帯可能情報記録媒体M11〜M15から読み出された情報ということになる。
一方、メンバー特定情報mid11〜mid15は、個々のメンバーm11〜m15を、グループG1内において特定するために付与した情報である。上述したように、媒体識別情報MIDは、この位置情報通知システム内においてユニークな情報になっている必要があるが、メンバー特定情報midは、少なくとも同一グループ内において各メンバーを特定することができればよい。したがって、図示の例の場合、メンバー特定情報mid11〜mid15は、グループG1内においてユニークな情報になっていれば、別なグループで重複して利用されていてもかまわない。
メンバー特定情報midは、ユーザの入力操作によって基本情報設定部160に入力される。たとえば、メンバーm11をグループG1のメンバーとして登録するには、ユーザ(メンバーm11自身であってもよいし、別な人間であってもよい)は、メンバーm11が携帯する予定の携帯可能情報記録媒体M11に記録されている媒体識別情報MID11を媒体識別情報読出部110によって読み出させる操作を行うとともに、基本情報設定部160に対して、当該メンバーm11に付与するメンバー特定情報mid11を入力すればよい。基本情報設定部160は、こうして入力した媒体識別情報MID11とメンバー特定情報mid11とを、グループG1に登録すべき基本情報として管理装置200に送信する。
基本情報登録部220は、こうして送信されてきた基本情報(媒体識別情報MID11とメンバー特定情報mid11)に基づいて、グループ情報格納部240内に、各グループに所属する各メンバーについて、媒体識別情報MIDおよびメンバー特定情報midを対応づけて登録する。上例の場合、グループ情報I(G1)を構成する情報として、媒体識別情報MID11とメンバー特定情報mid11とが、グループ情報格納部240に格納されることになる。このようにして、準備段階の処理では、グループG1に所属する5人のメンバーm11〜m15のそれぞれについて、媒体識別情報MID11〜MID15およびメンバー特定情報mid11〜mid15が、グループ情報I(G1)の一部としてグループ情報格納部240内に登録される。もちろん、別なグループG2,G3等についても、準備段階の処理でグループ情報格納部240内に同様の登録がなされる。
続いて、利用段階の処理で用いられる構成要素についての説明を行う。まず、現在位置認識部120は、端末装置100自身の現在位置Pを認識する構成要素である。現在位置Pとしては、たとえば、緯度経度を示すデータを用いることもできるし、住所を示すデータを用いることもできる。あるいは、東京駅、羽田空港のような施設名を示すデータを用いることもできるし、銀座、浅草のように、ある程度の広さをもった地名を用いてもよい。
この現在位置Pは、個々のメンバーに通知される位置情報の元になるので、この位置情報通知システムにおいて、位置情報をどのような形態で通知するかを考慮して、適切な形のデータを用いるようにすればよい。もっとも、実用上は、現在位置認識部120によって認識される現在位置Pとして、緯度経度を示すデータを用いるようにし、後述するように、これを管理装置200に送信した後、管理装置200側で必要に応じて、この緯度経度を示すデータを住所、施設名、地名などに変換して格納するようにするのが好ましい。
なお、ここで述べる基本的実施形態は、端末装置100として、特定の設置場所に据え付けられる据付型端末装置(いわゆる「KIOSK端末」)であるため、端末装置100の現在位置は当該設置場所として不変である。したがって、この例の場合、現在位置認識部120は、端末装置100(据付型端末装置)の設置場所を示す設置場所情報を保持しており、この設置場所情報に基づいて現在位置の認識を行うことになる。具体的には、この端末装置100を特定の設置場所に据え付けたときに、当該設置場所の緯度経度などを示す情報を現在位置Pを示すデータとして現在位置認識部120内に設定しておけばよい。現在位置認識部120は、常に、この設定されているデータを現在位置Pとして認識することになる。
自己位置報告情報送信部130は、ネットワーク300を介して、管理装置200との間に所定の通信セッションを確立して交信を行い、媒体識別情報読出部110が読み出した媒体識別情報MIDと、現在位置認識部が認識した現在位置Pとを、自己位置報告情報Rとして管理装置200に対して送信する構成要素である。
この自己位置報告情報Rの送信処理は、個々のメンバーが居場所通知作業を行うことにより実行される。たとえば、図1に例示するように、端末装置100Bの設置場所を訪問したメンバーm13が、居場所通知作業を行う場合、携帯中の情報記録媒体M13に記録されている媒体識別情報MID13を媒体識別情報読出部110によって読み出させ、自己位置報告情報送信部130に対して自己位置報告情報Rを送信させる指示を与えればよい。この場合、自己位置報告情報送信部130は、読み出された媒体識別情報MID13と現在位置認識部120が認識した現在位置Pb(上述したように、端末装置100Bには、その設置場所を示す緯度経度データPbなどが予め設定されている)とを、自己位置報告情報Rとして管理装置200に対して送信することになる。
一方、位置報告情報登録部210は、端末装置100との間に確立された通信セッション中に、自己位置報告情報送信部130から自己位置報告情報Rの送信があったときに、送信されてきた自己位置報告情報Rに含まれる現在位置Pを、送信されてきた自己位置報告情報Rに含まれる媒体識別情報MIDに対応づけて、グループ情報格納部240に登録する構成要素である。
上例の場合、自己位置報告情報Rとして、媒体識別情報MID13と現在位置Pbとが送信されてくるので、位置報告情報登録部210は、グループ情報格納部240内の各グループ情報Iを検索して、媒体識別情報MID13を探し出し、これに対応する現在位置の情報として、現在位置Pbを登録する処理を行う。上述したとおり、メンバー特定情報midは、必ずしもグループ情報格納部240内でユニークな情報ではないかもしれないが、媒体識別情報MIDは、グループ情報格納部240内でユニークな情報になっているため、唯一の媒体識別情報MID13を特定することが可能である。
結局、グループ情報格納部240は、同一グループGに所属する個々のメンバーmについて、各メンバーmが携帯する携帯可能情報記録媒体Mの媒体識別情報MIDと、少なくとも当該グループG内において各メンバーmを特定するためのメンバー特定情報midと、各メンバーの現在位置Pと、を対応づけたグループ情報を格納する役割を果たすことになる。
なお、ここに示す実施形態の場合、グループ情報格納部240は、グループ情報Iとして、各メンバーmの現在位置Pとともに当該現在位置Pの報告時刻tを格納する機能を有している。たとえば、図示の例の場合、メンバーm13について、媒体識別情報MID13,メンバ特定情報mid13,現在位置Pb,報告時刻13:18なる情報が登録された状態が示されている。ここで、報告時刻13:18は、現在位置Pbの報告が行われた時刻を示している。報告時刻としては、自己位置報告情報Rの送信時刻(自己位置報告情報送信部130が送信した時刻)を用いてもよいし、自己位置報告情報Rの受信時刻(位置報告情報登録部210が受信した時刻)を用いてもよい。
なお、本願にいう「時刻」とは、時間軸上の特定の位置を示す概念であり、実際には、「年,月,日,時,分,秒」などの任意の単位で表現することができる。したがって、たとえば、「2015年2月14日13時26分52秒」のようなデータを「報告時刻」として用いることもできる。ただ、ここで述べる実施形態では、説明の便宜上、「時:分」の形式のデータを報告時刻として用いた例を示すことにする。
このように、ここに示す実施形態の場合、位置報告情報登録部210は、自己位置報告情報送信部130から自己位置報告情報Rの送信があったときに、送信されてきた自己位置報告情報Rに含まれる現在位置Pに対応づけて、当該自己位置報告情報Rの送信時刻もしくは受信時刻を、グループ情報格納部240に報告時刻tとして登録する機能を有している。
以上、メンバーm13が居場所通知作業を行った場合の例を述べたが、他のメンバーが居場所通知作業を行った場合も同様である。このように、グループ情報I内の現在位置Pおよび報告時刻tの情報は、個々のメンバーmが居場所通知作業を行った場合に登録される情報であり、居場所通知作業が行われるまでは空欄になる。また、2回目以降の居場所通知作業が行われた場合は、逐次、最新の情報に更新されてゆくことになる。
図2に示す例は、メンバーm13が13:18に居場所通知作業を行ったときの最新の状態を示している。この時点で、メンバーm11,m12の現在位置はPa、メンバーm13,m14の現在位置はPb、メンバーm15の現在位置はPcということになる。本発明に係る位置情報通知システムの特徴は、メンバーm13が13:18に居場所通知作業を行ったとき、同一の通信セッション中に、同じグループG1に所属する各メンバーの最新の位置情報を通知する点にある。
そのため、位置通知情報送信部230は、自己位置報告情報Rの送信が行われた通信セッションと同一の通信セッション中に、グループ情報格納部240内のグループ情報Iを検索し、送信されてきた自己位置報告情報Rに含まれる媒体識別情報MIDが登録されているグループGを照会対象グループとして認識し、当該照会対象グループGに所属する個々のメンバーmについて登録されているメンバー特定情報midと、これに対応づけられて登録されている現在位置Pとを、他者位置通知情報Nとして他者位置通知情報受信部150に対して送信する処理を実行する。
ここに示す実施形態の場合、位置通知情報送信部230は、現在位置Pとともに、これに対応づけられて登録されている報告時刻tを含む他者位置通知情報を他者位置通知情報受信部150に対して送信する。また、ここに示す実施形態の場合、便宜上、照会対象グループGに所属する全メンバー(自己位置を報告してきたメンバー自身も含む全メンバー)についての情報を送信するようにしている。もちろん、自己位置を報告してきたメンバー自身に関する現在位置Pおよび報告時刻tの送信は省略してもかまわない。
たとえば、上例の場合、メンバーm13が13:18に居場所通知作業を行うと、位置通知情報送信部230は、メンバーm13を含めた5人のメンバーm11〜m15全員について、その時点で登録されている最新のメンバー特定情報mid,現在位置P,報告時刻tが、他者位置通知情報受信部150に対して他者位置通知情報Nとして送信されることになる。この他者位置通知情報Nの送信処理は、自己位置報告情報Rの受信処理と同一の通信セッションで行われるため、送信先を特定するメールアドレスなどの個人情報は不要である。
なお、本願にいう「同一の通信セッション」とは、必ずしも「端末装置・管理装置間における通信が継続して行われていること」を条件とするものではない。すなわち、両者間の通信が一時中断した場合であっても、その後、中断前の通信状態を引き継いだ状態で通信が再開された場合には、中断の前後にわたる通信セッションは、本願にいう「同一の通信セッション」になる。
たとえば、端末装置100がWebブラウザアプリケーションプログラムを用いて、管理装置200内のWebサーバをアクセスする形式で通信を開始した場合、Webアクセスに使うHTTPにはもともとセッションの概念がないため、Webサーバ側では、「セッション管理」というしくみを利用して、Webブラウザとの間のセッションを認識する処理が行われる。具体的には、Webブラウザからのアクセスを受けたWebサーバ側は、「セッションID」を発行してWebブラウザに預ける処理を行う。実際には、「セッションID」をCookieとしてWebブラウザに送信する方法、Webページ内に埋め込むURLに「セッションID」を付加する方法、HTMLデータ内のフォームデータに「セッションID」を埋め込む方法などが利用されている。
この「セッションID」を用いた「セッション管理」を行えば、WebブラウザとWebサーバとの間の通信が一時中断しても、通信再開時に、WebブラウザからWebサーバに対して、中断前と同じ「セッションID」を送信することにより、中断後も中断前と同一のセッションであることが認識できる。したがって、Webブラウザが、複数のWebページをまたがるようなアクセスを行った場合でも、ページ単位の一連の通信を「同一のセッション」と認識することができる。本願にいう「同一の通信セッション」とは、このような「セッション管理」等によって「同一」と認識されるセッションも含むものである。
他者位置通知情報受信部150は、自己位置報告情報Rの送信が行われた通信セッションと同一の通信セッション中に、管理装置200から送信されてくる他者位置通知情報Nを受信する構成要素である。ここに示す実施形態の場合、この他者位置通知情報Nには、メンバー特定情報midと、現在位置Pと、報告時刻tとが含まれており、他者位置通知情報提示部140によってユーザに提示される。上例の場合、メンバーm13が、位置Pbに設置されている端末装置100Bを用いて、13:18に居場所通知作業を行うと、自分を含めた全メンバーm11〜m15についての現在位置Pおよびその報告時刻tが画面に表示されることになる。
なお、処理制御部170は、端末装置100内の各構成要素110〜160を統括制御する役割を果たす構成要素である。具体的には、ユーザに対してメニュー画面を提示したり、ユーザからの指示を入力し、当該指示に応じた処理が実行されるよう所定の構成要素に指示を与えたりする役割を果たす。
たとえば、ユーザから基本情報設定作業を行う旨の指示が与えられた場合、処理制御部170は、媒体識別情報読出部110に対して、媒体識別情報MIDの読み出しを行うよう指示を与えるとともに、基本情報設定部160に対して、基本情報設定のための処理を行うよう指示を与える。また、ユーザから居場所通知作業を行う旨の指示が与えられた場合、処理制御部170は、媒体識別情報読出部110に対して、媒体識別情報MIDの読み出しを行うよう指示を与えるとともに、自己位置報告情報送信部130に対して、自己位置報告情報Rの送信処理を行うよう指示を与え、更に、他者位置通知情報受信部150に対して、他者位置通知情報Nの受信処理を行うよう指示を与え、他者位置通知情報提示部140に対して、受信した他者位置通知情報Nを提示するよう指示を与える。
以上が、図1および図2に示す基本的実施形態に係る位置情報通知システムの詳細構成および動作である。なお、本発明を実施するにあたり、現在位置Pとともに報告時刻tを登録することは必須事項ではないが、実用上は、報告時刻tも登録しておくのが好ましい。このように、現在位置Pとともに報告時刻tを提示するようにすれば、個々のメンバーが位置Pにおいて居場所通知作業を行った時刻を正確に把握することができ、他のメンバーの挙動をより詳しく認識できるようになる。
<<< §2. 基本的実施形態に係るシステムの動作実例 >>>
ここでは、§1で述べた基本的実施形態に係る位置情報通知システムの処理動作を、具体的な実例を用いてより詳しく説明する。具体的には、図1の上段に示す5人のメンバーm11〜m15が秋田県在住の一家であり、東京に観光目的で来訪した際に、本発明に係る位置情報通知システムを利用する、というシナリオに基づいて、以下の説明を行うことにする。
前述したように、本発明に係る位置情報通知システムによって行われる処理は、準備段階の処理と利用段階の処理とに大別される。以下、これら各段階の処理を、実例に即して順に説明する。
<2−1.準備段階の処理の実例(その1:グループ管理)>
準備段階の処理では、5人のメンバーm11〜m15を、同一のグループに所属するメンバーとしてそれぞれ登録する作業が行われる。ここでは、5人のメンバーm11〜m15のうち、メンバーm14を除く4名が新幹線で一緒に上京し、東京駅に設置されている端末装置100を利用して、メンバー登録(基本情報設定作業)を行う場合を考えてみよう。図3は、この基本情報設定作業中の表示画面の一例を示す図である。
図3(a) は、端末装置100の初期画面の一例を示す図である。このような初期画面は、処理制御部170によって表示される。この例の場合、画面上部に「位置情報通知システムメニュー」なるタイトル表示がなされ、その下に、「グループ管理」、「メンバー管理」、「居場所通知」なる3つのボタンが表示されている。準備段階の処理では、ユーザは「グループ管理」ボタンを押して、新規グループの登録を行った後、「メンバー管理」ボタンを押して、当該グループに各メンバーを登録する作業を行うことになる。端末装置100のディスプレイとして、タッチパネルを用意しておけば、ユーザは、画面上の各ボタンをタッチすることにより、当該ボタンを押す操作を行うことができる。
ユーザが、「グループ管理」ボタンを押すと、処理制御部170から基本情報設定部160に対して、グループに関する基本情報設定処理を行うよう指示が出される。その結果、図3(b) に示すような「グループ管理」のための画面が表示される。この画面では、図に太枠で示す入力窓が表示され、ユーザは、この入力窓に任意のグループ名を入力する操作を行う。なお、実際には、このような文字入力を行う際には、文字入力用インターフェイスによる文字入力画面が表示されることになるが、本願では、そのような文字入力画面の説明は省略する。
図3(b) には、グループ名として「スカイツリー」なる名前が入力された例が示されている。基本情報設定部160は、このように、特定のグループについてのグループ名をユーザの操作に基づいて入力したら、この入力したグループ名を管理装置200に対して送信する機能を有している。一方、基本情報登録部220は、送信されてきたグループ名「スカイツリー」が、未登録であるか、既に登録済であるか、をチェックする。すなわち、グループ情報格納部240内を検索して、「スカイツリー」なるグループ名が存在するか否かを確認すればよい。
ここで、もしグループ名「スカイツリー」が未登録である場合には、基本情報登録部220は、グループ情報格納部240に、グループ名「スカイツリー」を特定のグループについてのグループ名として登録するグループ名登録処理を行い、グループ名登録が行われた旨を基本情報設定部160に通知する。一方、もしグループ名「スカイツリー」が、既に登録済である場合には、基本情報登録部220は、グループ名登録処理を拒絶し、グループ名登録が拒絶された旨を基本情報設定部160に通知する。
基本情報設定部160は、基本情報登録部220からの通知に基づいて、グループ名登録処理が行われたか、拒絶されたか、をユーザに通知する。たとえば、グループ名「スカイツリー」が、既に登録済であった場合には、図3(c) に示すような画面がユーザに提示され、続いて、図3(d) に示すようなグループ名の入力画面が再表示される。図3(d) は、図3(b) と同様に、任意のグループ名を入力するための画面であるが、図示の例の場合、「秋田の里山」という新たなグループ名が入力された状態が示されている。この新たなグループ名「秋田の里山」は、基本情報設定部160によって、管理装置200に対して再送信される。
ここでは、このグループ名「秋田の里山」が未登録であったものとしよう。この場合、基本情報登録部220は、グループ情報格納部240に、グループ名「秋田の里山」をグループG1についてのグループ名として登録するグループ名登録処理を行う。具体的には、グループ情報格納部240内に、「秋田の里山」なるグループ名を有するグループ情報I(G1)を格納するための格納場所が用意されることになる。また、基本情報登録部220は、「秋田の里山」なるグループ名の登録が行われた旨を基本情報設定部160に通知する。
なお、ここに示す実施形態の場合、基本情報登録部220は、グループ名登録処理を行う際に、当該グループ名に対応したユニークなグループコードを発生し、発生したグループコードを基本情報設定部160に通知する機能を有している。ここでは、「秋田の里山」なるグループ名に対して「123456」なるグループコード(たとえば、グループ名の登録が行われるたびに連番で付与されるシリアル番号でよい)が発生されたものとしよう。
基本情報設定部160は、「秋田の里山」なるグループ名登録処理が行われた旨をユーザに通知する際に、グループコード「123456」を併せて通知する機能を有している。図3(e) は、ユーザに対してこのような通知を行うための画面表示の一例を示している。このような表示を見たユーザは、「秋田の里山」なるグループ名によって新たなグループの登録が支障なく行われたことを確認するとともに、「秋田の里山」なるグループ名に対して、グループコード「123456」が付与されたことを認識することができる。
<2−2.準備段階の処理の実例(その2:メンバー管理)>
こうして、新規グループの登録が完了すると、端末装置100の画面は、再び図3(a) に示すような初期画面に戻る。そこで、ユーザは「メンバー管理」ボタンを押して、「秋田の里山」なるグループに各メンバーを登録する作業を行う。すなわち、基本情報設定部160から基本情報登録部220に対して、基本情報(媒体識別情報MIDおよびメンバー特定情報mid)を送信する処理が行われる。
ユーザが、「メンバー管理」ボタンを押すと、処理制御部170から基本情報設定部160に対して、個々のメンバーに関する基本情報設定処理を行うよう指示が出される。その結果、まず、図3(f) に示すような「メンバー管理」のための画面が表示される。この画面は、基本情報の設定対象となるグループを指定するための入力画面であり、図に太枠で示す2つの入力窓が表示されている。ユーザは、これらの入力窓にグループを指定する情報を入力する操作を行う。
図3(f) に示されている第1の入力窓は、グループ名を入力する窓であり、図には「秋田の里山」なるグループ名が入力された状態が示されている。第2の入力窓は、グループコードを入力する窓であり、図には「123456」なるグループコードが入力された状態が示されている。実際には、グループ名とグループコードとの双方を入力する必要はなく、いずれか一方を入力すれば十分である。すなわち、基本情報設定部160は、グループ名登録が完了した後、基本情報登録部220に対して基本情報を送信する際に、ユーザによって入力されたグループ名もしくはグループコードを送信することによって、登録対象となるグループを特定することができる。
こうして、グループ名「秋田の里山」もしくはグループコード「123456」が基本情報登録部220に対して送信されると、基本情報登録部220は、グループ情報格納部240を検索して、該当するグループが登録されていることを確認し、その結果を基本情報設定部160に送信する。基本情報設定部160は、該当するグループが登録されていない旨の結果が送信されてきた場合には、何らかのエラーメッセージを表示し、該当するグループが登録されている旨の結果が送信されてきた場合には、該当グループについてのメンバー管理を行う画面を表示する。もちろん、いたずらを防止するために、グループ名とグループコードの両方を入力させ、両方が合致した場合にのみ、以下に述べるメンバー管理の作業へ進めるようにしてもよい。
図4は、基本情報設定部160によって表示されるメンバー管理のための画面を示す図である。図4(a) は、図3(f) に示す入力操作に応じて表示されるメンバー管理作業の初期画面であり、「秋田の里山」なるグループについて、「新規メンバー登録」もしくは「メンバー情報確認」の作業を行うためのボタンが表示されている。
ここでユーザが、「新規メンバー登録」ボタンを押すと、画面は図4(b) に示す状態に切り替わり、新たに登録するメンバー(「秋田の里山」なるグループに新規登録するメンバー)の呼び名の入力が促される。ここでは、まず、メンバーm11について新規登録を行う作業を説明しよう。図4(b) には、太枠で示す入力窓に「パパ」なる呼び名が入力された状態が示されているが、ここで入力された呼び名は、これまで述べてきたメンバー特定情報mid11に他ならない。前述したとおり、メンバー特定情報midは、少なくとも当該グループ内において各メンバーを特定することができれば足りるので、「パパ」なるメンバー特定情報mid11は、別なグループ内で既に登録されていても問題はない。
こうして、メンバーm11についての呼び名「パパ」(メンバー特定情報mid11)が入力されると、画面は図4(c) に示す状態に切り替わり、「パパ」なるメンバーが携帯する媒体から情報を読み出すよう促される。そこで、ユーザは、情報記録媒体M11を用意し、図4(c) に示されている「読込開始」ボタンを押して、情報記録媒体M11から媒体識別情報MID11を読み出す操作を行う。たとえば、情報記録媒体M11が非接触型ICカードの場合、端末装置100の媒体識別情報読出部110に情報記録媒体M11を接近させて読出操作を行えばよい。
図5は、端末装置100により、携帯可能情報記録媒体Mから媒体識別情報MIDを読み出す操作を行っている状態を示す図である。図5(a) に示すように、この例の場合、端末装置100の正面にはタッチパネル式のディスプレイが設けられており、このディスプレイ上でユーザに対して必要な情報表示が行われるとともに、ユーザからの操作入力が行われる。そして、このディスプレイの下方に「タッチ」と表示された部分に媒体識別情報読出部110が埋め込まれている。
図示の例は、携帯可能情報記録媒体Mとして、非接触型ICカードを用いることを想定した例であり、媒体識別情報読出部110は、非接触型ICカードからデータを読み出すことができるリーダライタ装置によって構成されている。したがって、ユーザが、ディスプレイに表示されている「読込開始」ボタンを押した後、「タッチ」と表示された部分に携帯可能情報記録媒体Mを接近させると、図5(b) に示すように、「ピッ」という読出動作音が鳴動して、携帯可能情報記録媒体Mに記録されている媒体識別情報MIDが媒体識別情報読出部110によって読み出される。
上例の場合、メンバーm11が携帯する携帯可能情報記録媒体M11から媒体識別情報MID11が読み出されることになる。ユーザが、このような読出操作を行うと、読み出された媒体識別情報MID11と、入力されたメンバー特定情報mid11(「パパ」なる文字データ)とが、基本情報として、基本情報設定部160から基本情報登録部220へと送信され、グループ情報I(G1)内に登録される。
図4(d) は、このような登録処理が完了したことを示す画面である。ユーザは、「秋田の里山」なるグループに、「パパ」なる呼び名の新メンバーが登録されたことを認識することができる。
なお、前述したとおり、媒体識別情報MIDは、この位置情報通知システム内においてユニークな情報になっている必要があり、グループ情報格納部240に格納されている全グループ情報を通じて、媒体識別情報MIDが重複登録されることのないようにする必要がある。
そこで、ここに示す実施形態の場合、基本情報登録部220が、送信されてきた基本情報に含まれている媒体識別情報MIDと同一の媒体識別情報MIDが既にグループ情報格納部240内に登録済であった場合には、送信されてきた基本情報に含まれている当該媒体識別情報MIDおよびこれに対応するメンバー特定情報midの登録を拒絶し、登録が拒絶された旨を基本情報設定部160に通知する機能を有している。基本情報設定部160は、登録が拒絶された旨の通知を受けると、読出操作の対象となった情報記録媒体Mは既登録であるため、重複登録はできない旨のメッセージをディスプレイの画面上に表示してユーザに報知する。この場合、ユーザは、別な情報記録媒体Mを用いてメンバー登録の作業をやり直す必要がある。
一方、メンバー特定情報midについては、グループ情報格納部240に格納されている全グループ情報を通じてユニークである必要はなく、同一グループ内においてある一人のメンバーを特定することができれば、別なグループで重複して利用されていてもかまわない。たとえば、上例の場合、「パパ」なる呼び名は、異なるグループについて重複登録されていたとしても問題はない。ただ、同じ「秋田の里山」なるグループ内で、互いに異なるメンバーの呼び名として重複登録されると支障が生じる。たとえば、メンバーm11とm12とについて、同じ「パパ」なる呼び名が登録されてしまうと、どちらのメンバーを指しているか判別することができなくなる。
このように、同一グループ内の異なるメンバーについて、同一のメンバー特定情報midが重複登録されることは避ける必要がある。このような重複登録を避けるには、基本情報登録部220が、送信されてきた基本情報に含まれているメンバー特定情報midと同一のメンバー特定情報midが、登録対象となる特定のグループに関して既に登録済であった場合には、送信されてきた基本情報に含まれている当該メンバー特定情報midおよびこれに対応する媒体識別情報MIDの登録を拒絶するようにすればよい。この場合、登録が拒絶された旨が基本情報設定部160に通知されるようにし、当該通知を受け取った基本情報設定部160は、入力したメンバー特定情報midは同一グループ内で既登録であるため、重複登録はできない旨のメッセージをディスプレイの画面上に表示してユーザに報知する。この場合、ユーザは、別なメンバー特定情報midを用いてメンバー登録の作業をやり直す必要がある。
たとえば、上例の場合、メンバーm11が、自分が携帯している情報記録媒体M11を用いて「パパ」なるメンバー特定情報mid11を入力して登録作業を行うと、媒体識別情報MID11とメンバー特定情報mid11「パパ」との組み合わせからなる基本情報が登録される。その後、もしメンバーm12が、自分が携帯している情報記録媒体M12を用いて、同じ「パパ」なる文字列からなるメンバー特定情報mid12を入力して登録作業を行うと、「パパ」なる文字列からなるメンバー特定情報mid11が既登録であるため、登録は拒絶されることになる。そこで、メンバーm12は、たとえば「ママ」なる文字列からなるメンバー特定情報mid12を入力して再度の登録作業を行う必要がある。
ここで述べる実例の場合、「秋田の里山」なるグループは、5人家族のメンバーから構成されているため、メンバーm11,m12の双方が同じ「パパ」なる文字列からなるメンバー特定情報を用いてメンバー登録を行うような事態は、通常、起こり得ないかもしれないが、たとえば、社員旅行のメンバーからなるグループの場合では、同じ「鈴木」なる文字列からなるメンバー特定情報を用いた重複登録がなされる可能性がある。このようなケースも想定すると、上述したような重複登録を拒絶する仕組を設けておくことは有用である。
もっとも、同一グループ内の異なるメンバーについて、同一のメンバー特定情報midが重複登録されることは避ける必要があるが、同一のメンバーについて、異なる媒体識別情報MIDを重複登録することは問題ない。たとえば、メンバーm11が、2枚の情報記録媒体M11,M16を携帯していた場合、この2枚を自分用の媒体として登録してもかまわない。2枚を登録しておけば、後述する利用段階の処理において、いずれの媒体も利用可能になる。
たとえば、メンバーm11は、第1回目の登録作業において、1枚目の情報記録媒体M11を用いた読出操作を行い、媒体識別情報MID11とメンバー特定情報mid11「パパ」との組み合わせからなる基本情報を登録し、続いて、第2回目の登録作業において、2枚目の情報記録媒体M16を用いた読出操作を行い、媒体識別情報MID16とメンバー特定情報mid11「パパ」との組み合わせからなる基本情報を登録すればよい。この場合、メンバー特定情報mid11「パパ」に対応する媒体識別情報として、MID11とMID16とが重複して登録されることになる。後述する利用段階の処理では、媒体識別情報MID11,MID16は、いずれも「パパ」なるメンバー特定情報midで特定されるメンバーに対応づけられた媒体識別情報として取り扱われる。
要するに、基本情報登録部220が、基本情報設定部160から送信されてきた基本情報に基づいて、特定のグループに所属する同一のメンバー特定情報midに対応づけて、複数の媒体識別情報MIDの登録を行うようにすればよい。
なお、この場合、基本情報設定部160が基本情報の設定を行う際に、若干の工夫が必要である。たとえば、上例の場合、メンバーm11の第1回目の登録作業によって、媒体識別情報MID11とメンバー特定情報mid11「パパ」との組み合わせからなる基本情報がグループ情報I(G1)として登録されることになるので、同一グループについての同一メンバー特定情報midの重複登録をすべて拒絶する運用を採ると、第2回目の登録作業が拒絶されてしまうことになる。すなわち、第1回目の登録作業によって「パパ」なるメンバー特定情報が登録済となっているため、上記運用を採ると、「パパ」なるメンバー特定情報を用いた第2回目の登録作業は拒絶されてしまうことになる。
そこで、同一のメンバーについて、異なる媒体識別情報MIDを重複登録することを認める場合には、基本情報に含まれているメンバー特定情報midが、登録対象となる特定のグループに関して既に登録済であった場合に、当該重複登録を一律に拒絶するのではなく、ユーザに対して重複登録を行うか否かを確認するメッセージを提示するようにすればよい。
たとえば、メンバーm11の第1回目の登録作業によって、媒体識別情報MID11とメンバー特定情報mid11「パパ」との組み合わせからなる基本情報がグループ情報I(G1)として登録されていた場合に、別な媒体識別情報MID16とメンバー特定情報mid11「パパ」との組み合わせからなる基本情報の登録作業が行われたものとしよう。この場合、基本情報登録部220は、グループ情報I(G1)内に既にメンバー特定情報mid11「パパ」が登録済みであることを認識し、これを基本情報設定部160に通知し、当該通知を受けた基本情報設定部160は、たとえば、図4(e) に例示するような確認メッセージを表示する処理を行うようにすればよい。
ユーザは、この図4(e) に示す確認メッセージを見た上で、呼び名「パパ」について、別な媒体を重複登録する意図である場合には「はい」ボタンを押し、誤った登録作業を行っていた場合には「いいえ」ボタンを押せばよい。「はい」ボタンが押された場合には、そのまま重複登録がなされ、「いいえ」ボタンが押された場合には、登録作業は中止される。
以上、同一のメンバーについて複数の情報記録媒体Mを登録する際に、1枚ずつ順番に登録してゆく方法を述べたが、もちろん、一度に複数の情報記録媒体Mを一括して登録できるようにしてもかまわない。この場合は、図5(b) に例示する読出操作を必要な枚数分だけ連続して実行できるようなインターフェイスを用意しておけばよい。
また、同一のメンバーについて新たな情報記録媒体Mを追加登録する場合は、メンバー特定情報midの入力操作に代えて、既登録の情報記録媒体Mの読出操作を行うようにすることもできる。たとえば、既に「パパ」なる呼び名(メンバー特定情報)を用いて、1枚目の情報記録媒体M11の登録が完了している状態において、同じ「パパ」なる呼び名を用いて、2枚目の情報記録媒体M16の登録を行う場合、図4(b) に示す呼び名入力画面において、「パパ」なる呼び名(メンバー特定情報)を入力する代わりに、既登録の情報記録媒体M11についての読出操作を行うようにしてもよい。
この場合、基本情報登録部220に送信される基本情報は、メンバー特定情報mid11「パパ」と媒体識別情報MID16との組み合わせではなく、媒体識別情報MID11と媒体識別情報MID16との組み合わせになるが、グループ情報格納部240を検索することにより、媒体識別情報MID11が「パパ」なるメンバー特定情報mid11に対応づけられていることを認識することができるので、新たな媒体識別情報MID16についても、「パパ」なるメンバー特定情報mid11を対応づけて登録することができる。
なお、同一のメンバーについて複数の情報記録媒体Mを登録する運用を行う場合は、位置通知情報送信部230が他者位置通知情報を送信する際にも、若干の工夫が必要である。たとえば、上例の場合、利用段階の処理において、メンバーm11が、1枚目の情報記録媒体M11を用いた居場所通知作業と2枚目の情報記録媒体M16を用いた居場所通知作業とを行った場合、グループ情報格納部240には2通りの現在位置Pが登録されることになる。そこで、位置通知情報送信部230は、同一のメンバー特定情報midに対応する複数の媒体識別情報MIDにそれぞれ対応づけられた現在位置Pが存在する場合には、より新しく登録された現在位置Pを当該同一のメンバー特定情報midに対応する現在位置Pとして送信するようにすればよい。
こうして、ユーザは、準備段階の処理として、各メンバーについてのメンバー登録(基本情報設定作業)を行うことができる。上例は、5人のメンバーm11〜m15のうち、メンバーm14を除く4名が新幹線で一緒に上京し、東京駅に設置されている端末装置100を利用して、メンバー登録を行うというシナリオであるため、同じ端末装置100を用いて、メンバーm11,m12,m13,m15の4名についての登録が行われる。もちろん、各メンバーの登録作業は誰が行ってもよいので、たとえば、メンバーm11が4人分の登録作業を代表して行うことができる。あるいは、観光ガイド用窓口で、ガイドスタッフが代理して登録作業を行ってもよい。
各グループについてのメンバー登録の状態は、図4(a) に示すメンバー管理作業の初期画面において、「メンバー情報確認」ボタンを押すことにより確認することができる。「メンバー情報確認」ボタンが押されると、基本情報設定部160は基本情報登録部220に対して、グループ名「秋田の里山」についてのメンバー情報を照会する処理を行う。照会を受けた基本情報登録部220は、グループ情報格納部240内から、グループ名「秋田の里山」が付されたグループ情報I(G1)を検索し、その時点での登録内容(たとえば、各メンバーについてのメンバー特定情報)を基本情報設定部160に回答する。
図4(f) は、このような回答に基づいて、基本情報設定部160が、グループ名「秋田の里山」に登録されているメンバー特定情報(呼び名)を一覧表示した例を示している。ユーザは、必要なら、削除ボタンを押すことにより、特定のメンバーについての登録を抹消することができる(基本情報設定部160から基本情報登録部220に対して、抹消指示が送られることになる。)。
この図4(f) に示す例は、新幹線で一緒に上京した4人のメンバーについての登録が行われた例であるが、その後、残りのメンバーm14についての登録も同様にして行われることになる。もちろん、メンバー登録の作業は、任意の端末装置100から行うことができるので、メンバーm14についての登録は、必ずしも東京駅に設置されている端末装置100を利用して行う必要はない。
ここでは、便宜上、グループ名「秋田の里山」が付されたグループG1に所属する5人のメンバーm11〜m15が、それぞれ図6に示すような携帯可能情報記録媒体M11〜M16を所持しており、各メンバーに図6に括弧書きで示すような呼び名(メンバー特定情報mid11〜mid15)が付されている場合を例にとって、以下の説明を行うことにする。また、各情報記録媒体M11〜M16には、それぞれ図示のような媒体識別情報MID11〜MID16が記録されているものとする。
具体的には、この図6に示す例の場合、メンバーm11は、「パパ」なるメンバー特定情報mid11が付与されたメンバーであり、社員証を構成する情報記録媒体M11と免許証を構成する情報記録媒体M16とを所持しており、メンバーm12は、「ママ」なるメンバー特定情報mid12が付与されたメンバーであり、クレジットカードを構成する情報記録媒体M12を所持している。同様に、メンバーm13は、「花子」なるメンバー特定情報mid13が付与されたメンバーであり、交通系カードを構成する情報記録媒体M13を所持しており、メンバーm14は、「ヒロちゃん」なるメンバー特定情報mid14が付与されたメンバーであり、学生証を構成する情報記録媒体M14を所持しており、メンバーm15は、「おばば」なるメンバー特定情報mid15が付与されたメンバーであり、診察券を構成する情報記録媒体M15を所持している。
図7(a) は、この図6の実例に示す4人のメンバーm11,m12,m13,m15について、それぞれ1枚ずつの情報記録媒体M11,M12,M13,M15およびメンバー特定情報mid(呼び名)を登録した時点でのグループ情報格納部240に格納されているグループ情報I(G1)の内容を示す図である。媒体識別情報として登録されている「11111」,「22222」,「33333」,... は、それぞれ情報記録媒体M11,M12,M13,... から読み出されたデータであり、メンバー特定情報として登録されている「パパ」,「ママ」,「花子」,... は、それぞれ端末装置から入力された各メンバーの「呼び名」である。図4(f) に示すメンバー情報確認画面は、この図7(a) に示すグループ情報I(G1)の内容を示すものである。
図7(b) は、メンバーm11について、2枚目の情報記録媒体M16を追加登録した時点のグループ情報I(G1)の内容を示す図である。メンバーm11については、既に「11111」なる媒体識別情報と「パパ」なるメンバー特定情報との組み合わせが登録済みであるが、更に、「66666」なる媒体識別情報と「パパ」なるメンバー特定情報との組み合わせが追加登録されている。その結果、メンバーm11は、情報記録媒体M11,M16のいずれかを用いて、この位置情報通知システムを利用することができるようになる。
図7(c) は、更にメンバーm14についての登録が完了した時点のグループ情報I(G1)の内容を示す図である。たとえば、メンバーm14(ヒロちゃん)が、東京に下宿している大学生であった場合を考えてみよう。この場合、4人の家族が東京駅に到着した時点では、現地には不在のメンバーm14の登録を一緒に行うことはできないが、電話や電子メールなどにより、4人の家族が「秋田の里山」なるグループ名を用いてグループG1に登録を行ったことをメンバーm14に伝えれば、メンバーm14は、最寄りの駅などに設置されている別な端末装置を利用して、「秋田の里山」なるグループ名を入力し、同じグループG1に自分が携帯している情報記録媒体M14を用いて、「44444」なる媒体識別情報と「ヒロちゃん」なるメンバー特定情報との組み合わせを登録することができる。
ここに示す実施形態の場合、図3(e) に例示するように、新たなグループを登録すると、グループコード「123456」が発行されるので、メンバーm14に、このグループコード「123456」を伝えるようにしてもよい。図3(f) に示すように、メンバーm14は、グループ名「秋田の里山」の代わりに、グループコード「123456」を用いてグループG1への登録を行うことも可能である。もちろん、いたずら防止のため、双方の入力を必須とする運用も可能である。
以上、同一のグループG1に対して各メンバーの登録を行う例を述べたが、必要に応じて、同一人が異なるグループについてメンバー登録を行うこともできる。たとえば、図6に示す例の場合、メンバーm11(パパ)は、同一のグループG1に対して、所持する2枚の情報記録媒体M11,M16を用いてメンバー登録を行っている。このグループG1は、上述したとおり、家族5人を構成メンバーとする家族用グループである。
これに対して、たとえば、メンバーm11(パパ)は、別なグループG2(たとえば、会社用グループ)について、メンバーm21(課長)として登録することも可能である。ただ、同じ媒体識別情報を用いた重複登録はできないので、この別なグループG2についての登録を行うには、別な情報記録媒体M17を用意する必要がある。このように、複数のグループについて登録を行った場合、家族用グループG1の登録に用いた情報記録媒体M11,M16を用いて居場所通知作業を行うと、家族用グループG1の各メンバーである家族の現在位置が通知され、会社用グループG2の登録に用いた情報記録媒体M17を用いて居場所通知作業を行うと、会社用グループG2の各メンバーである社員の現在位置が通知されることになる。
<2−3.利用段階の処理の実例>
続いて、§2−1,§2−2で述べた準備段階の処理(基本情報設定処理)が完了し、グループ情報格納部240内に、図7(c) に示すようなグループ情報I(G1)が準備できているという前提で、利用段階の処理の実例を説明する。
利用段階では、個々のメンバーが、それぞれの訪問場所に設置されている端末装置100を用いて居場所通知作業を行うことになる。§1で述べたとおり、この居場所通知作業は、自己の現在位置を報告するための自己位置報告情報Rを管理装置200に送信するための作業であり、携帯している情報記録媒体Mを用いた操作によって実行される。しかも、この居場所通知作業により、自己位置報告情報Rが管理装置200に送信されると、同一の通信セッション中に、管理装置200からその時点での他者位置通知情報Nが送信されてくるため、他のメンバーの現在位置の確認を行うことができる。
ここでは、上述したように、東京駅に到着した4人のメンバーが、準備段階の処理を完了した後、それぞれ観光目的となる場所へ向かったものとしよう。各メンバーが、訪問場所において居場所通知作業を行うには、最寄りの端末装置100に対して、居場所通知を行う旨の指示を与えればよい。図8(a) は、端末装置100が初期画面を表示している状態を示す図である(表示内容は、図3(a) に示す画面と同じ)。居場所通知作業を行う場合、ユーザは、この初期画面に表示されている「居場所通知」ボタンを押せばよい。すると、画面は、図8(b) に示すように切り替わるので、携帯している情報記録媒体Mを用意した上で「読込開始」ボタンを押し、「タッチ」と表示された部分に携帯可能情報記録媒体Mを接近させれば、図8(c) に示すように、「ピッ」という読出動作音が鳴動して、携帯可能情報記録媒体Mに記録されている媒体識別情報MIDが媒体識別情報読出部110によって読み出される。
図示の例は、10:32に銀座に到着した「花子」(メンバーm13:以下、各メンバーを呼び名で呼ぶことにする)が居場所通知作業を実行した例である。すなわち、「花子」は、銀座に設置されている端末装置100を用いて、情報記録媒体M13についての読出操作を行ったことになる。これにより、読み出された媒体識別情報MID13と現在位置「銀座」を示す情報とが、自己位置報告情報送信部130から管理装置200へと送信される。なお、実用上は、自己位置報告情報送信部130から送信される現在位置を示す情報としては、緯度経度を示すデータなどが利用されるが、ここでは、便宜上、地名を示す文字を現在位置を示す情報として用いた例を述べる。
管理装置200側では、こうして送信されてきた自己位置報告情報Rを、報告時刻「10:32」とともに、グループ情報格納部240内のグループ情報I(G1)に登録する処理を行う。具体的には、位置報告情報登録部210が、グループ情報格納部240内から媒体識別情報MID13検索し、この媒体識別情報MID13に対応させて、現在位置「銀座」と報告時刻「10:32」を登録する処理を行うことになる。
一方、位置通知情報送信部230によって、この時点でグループ情報I(G1)として登録されているメンバー特定情報、現在位置、報告時刻が、他者位置通知情報Nとして、端末装置100(「花子」が操作中の銀座に設置されている端末装置)へと送信され、他者位置通知情報提示部140によって、その内容が表示される。図8(d) は、このような表示がなされた状態を示している。図示のとおり、この時点では、居場所通知作業を実行したメンバーが「花子」だけなので、現在位置および報告時刻の表示は、「花子」についてのみなされている。別言すれば、「花子」は居場所通知作業を実行したものの、この時点では、他のメンバーの現在位置を知ることはできなかったことになる。
もちろん、個々のメンバーがそれぞれの訪問場所において居場所通知作業を実行すれば、グループ情報格納部240内のグループ情報I(G1)は逐次更新されてゆく。図9〜図11は、図6に示す5人のメンバーm11〜m15が、それぞれ所定の場所に設置されている端末装置100に対して、順次、居場所通知作業を行った場合の、管理装置200内に格納されているグループ情報I(G1)の変遷を示す図である。以下、この変遷の過程を簡単に説明する。
図9(a) は、上述したように、「銀座」を訪問した「花子」が「10:32」に居場所通知作業を実行した直後のグループ情報I(G1)の状態を示す表である。表の右側に示す星印は、その時点で更新が行われたメンバーの登録欄を示している。この時点では、他のメンバーの現在位置は報告されておらず、居場所通知作業を実行した「花子」が操作中の端末装置100には、図8(d) に示すような他者位置通知情報が表示されることになる。
図9(b) は、下宿を出た「ヒロちゃん」が、「10:45」に「渋谷」に設置されている端末装置100を用いて居場所通知作業を実行した直後のグループ情報I(G1)の状態を示す表である。表の右側に星印で示すとおり、「ヒロちゃん」の登録欄の情報が更新されている。したがって、「ヒロちゃん」が操作中の渋谷の端末装置100には、「花子/銀座/10:32」なる情報と「ヒロちゃん/渋谷/10:45」なる情報とが表示されることになり、「ヒロちゃん」は、「花子」の「10:32」の時点での現在位置が「銀座」であることを知ることができる。
図9(c) は、東京駅から浅草に向かった「パパ」と「ママ」が、「10:51」に「浅草」に設置されている端末装置100を用いて居場所通知作業を実行した直後のグループ情報I(G1)の状態を示す表である。表の右側に星印で示すとおり、「パパ」と「ママ」の登録欄の情報が更新されている。したがって、「パパ」もしくは「ママ」が操作中の浅草の端末装置100には、自分達の現在位置とともに、「花子」と「ヒロちゃん」の現在位置が表示されることになる。
図10(a) は、東京駅から巣鴨に向かった「おばば」が、「11:07」に「巣鴨」に設置されている端末装置100を用いて居場所通知作業を実行した直後のグループ情報I(G1)の状態を示す表である。表の右側に星印で示すとおり、「おばば」の登録欄の情報が更新されている。したがって、「おばば」が操作中の巣鴨の端末装置100には、一家5人のメンバー全員の現在位置が表示されることになる。
図10(b) は、渋谷から原宿に移動した「ヒロちゃん」が、「11:08」に「原宿」に設置されている端末装置100を用いて居場所通知作業を実行した直後のグループ情報I(G1)の状態を示す表である。表の右側に星印で示すとおり、「ヒロちゃん」の登録欄の情報が更新されている。「ヒロちゃん」が操作中の原宿の端末装置100には、一家5人のメンバー全員の最新の現在位置が表示されることになる。
図10(c) は、浅草から単身でスカイツリーに移動した「パパ」が、「12:30」に「スカイツリー」に設置されている端末装置100を用いて居場所通知作業を実行した直後のグループ情報I(G1)の状態を示す表である。このとき、「パパ」は、1枚目の情報記録媒体M11ではなく、2枚目の情報記録媒体M16を用いて居場所通知作業を実行している。そのため、表の右側に星印で示すとおり、媒体識別情報「11111」に対応する「パパ」の登録欄ではなく、媒体識別情報「66666」に対応する「パパ」の登録欄の情報が更新されている。
前述したとおり、ここに示す実施形態の場合、位置通知情報送信部230は、同一のメンバー特定情報midに対応する複数の媒体識別情報MIDにそれぞれ対応づけられた現在位置Pが存在する場合には、より新しく登録された現在位置Pを当該同一のメンバー特定情報midに対応する現在位置Pとして送信する処理を行う。したがって、図10(c) に示すグループ情報I(G1)に基づいて、「パパ」が操作中のスカイツリーの端末装置100には、一家5人のメンバー全員の最新の現在位置が表示されることになるが、このとき、「パパ」については、「パパ/浅草/10:51」ではなく、「パパ/スカイツリー/12:30」なる情報(より新しく登録された情報)が表示されることになる。
図11(a) は、銀座に滞在中の「花子」が、「13:43」に、再び「銀座」に設置されている端末装置100を用いて居場所通知作業を実行した直後のグループ情報I(G1)の状態を示す表である。表の右側に星印で示すとおり、「花子」の登録欄の情報が更新されている。「花子」の現在位置は「銀座」のまま変わりはないが、報告時刻が「13:43」に更新されている。したがって、「花子」が操作中の銀座の端末装置100には、一家5人のメンバー全員の最新の現在位置が表示されることになる。
別言すれば、「花子」は、銀座に設置されている同じ端末装置100を用いて、「10:32」に1回目の居場所通知作業を実行し、「13:43」に2回目の居場所通知作業を実行したことになる。「花子」の現在位置は、銀座のまま変わりはないので、2回目の居場所通知作業は、「自己位置を報告する目的」という観点では不要な作業ということになる。しかしながら、1回目の居場所通知作業の実行により得られた他者位置通知情報には、図8(d) に示すように自分の現在位置しか含まれていなかったのに対し、2回目の居場所通知作業の実行により得られた他者位置通知情報には、図11(a) に示すグループ情報I(G1)に示すとおり、一家5人のメンバー全員の最新の現在位置が含まれているので、2回目の居場所通知作業は、「他者位置の通知を受ける目的」という観点では有用な作業ということになる。
図11(b) は、原宿から新宿に移動した「ヒロちゃん」が、「15:04」に「新宿」に設置されている端末装置100を用いて居場所通知作業を実行した直後のグループ情報I(G1)の状態を示す表である。表の右側に星印で示すとおり、「ヒロちゃん」の登録欄の情報が更新されている。「ヒロちゃん」が操作中の新宿の端末装置100には、一家5人のメンバー全員の最新の現在位置が表示されることになる。
最後の図11(c) は、スカイツリー見学を終えた「パパ」と浅草見学を終えた「ママ」が、上野で合流し、「16:28」に「上野」に設置されている端末装置100を用いて居場所通知作業を実行した直後のグループ情報I(G1)の状態を示す表である。表の右側に星印で示すとおり、「パパ」と「ママ」の登録欄の情報が更新されている。
結局、「ヒロちゃん」は、渋谷→原宿→新宿と移動を行い、その都度、居場所通知作業を実行しているため、管理装置200内に格納されているグループ情報I(G1)上では、「ヒロちゃん」の現在位置は、渋谷→原宿→新宿と頻繁に更新されている。同様に、「パパ」や「ママ」の現在位置も、適宜更新されている。しかしながら、このような更新状態は、他のメンバーに即時配信されるわけではない。
たとえば、「おばば」は、「11:07」に巣鴨に到着して居場所通知作業を実行した後、ずっと巣鴨に滞在している。このため、その後は、居場所通知作業を怠っており、他のメンバーの現在位置として把握している情報は、図10(a) に示すグループ情報I(G1)に基づく他者位置通知情報のみである。よって「おばば」が把握している「ヒロちゃん」の現在位置は夕刻まで「渋谷」のままである。
このように、本発明では、他のメンバーの位置情報を入手する際に、「pull型」の配信を行うことを前提としているため、個々のメンバーが自発的に居場所通知作業を行わない限り、最新の位置情報を入手することができない。これは、「push型」の配信形態を採用している従来のシステムとの大きな相違点である。
もちろん、情報の即時性という観点では、「push型」の配信形態の方が優れている。たとえば、上例の場合、「push型」の配信形態を採用すれば、「ヒロちゃん」の現在位置が渋谷→原宿→新宿と更新されるたびに、新たな現在位置を他のメンバーに通知することが可能になる。しかしながら、「push型」の配信形態を採用すると、配信先のメールアドレスなど、個人情報を取り扱う必要がある。当然ながら、上例のように街頭に設置された任意の端末装置に配信することはできない。
したがって、本発明に係る位置情報通知システムは、情報の即時性という点において、従来のシステムに劣ることは否めないが、任意のメンバーを対象として任意の場所についての位置情報を通知する一般的な用途への利用に適し、しかもメールアドレスや電話番号などの個人情報の取り扱いが不要になる、という利点が得られる。当該利点は、個人情報の漏洩という事件が大きな社会問題となっている昨今では、非常に大きな利点になる。
実際、図11(c) に示すようなグループ情報I(G1)が万一漏洩したとしても、当該漏洩情報は、「パパ」,「ママ」,「花子」といった匿名性を有する一般的な呼び名(当該グループ内でのみ本人を特定できるニックネーム)と、「11111」,「22222」,「33333」といった何らかのコードと、場所と、時刻と、が対応づけられた情報であり、個人を特定する手掛かりとしては非常に乏しい情報に過ぎない。このため、万一、情報漏洩という事態が生じたとしても、それほど重大な社会問題には発展しない。このように、本発明によれば、情報管理のコストや労力は大幅に軽減される。
もちろん、情報の即時性を重要視するメンバーは、自発的な居場所通知作業を頻繁に行うようにすればよい。たとえば、上例の場合、「花子」は銀座に滞在を続けているため、「自己位置を報告する目的」という観点では、同じ銀座における居場所通知作業は、不要な作業ということになるが、同じ銀座で居場所通知作業を頻繁に行えば、その都度、他のメンバーの最新の位置情報を入手することができ、ある程度、即時性を重要視した利用が可能になる。
図12は、図6に示す5人のメンバーm11〜m15が、それぞれ所定の場所に設置されている端末装置100に対して、順次、居場所通知作業を行った場合の、端末装置100の画面に表示される他者位置通知情報を示す図であり、これまで図9〜図11を参照して説明してきたグループ情報I(G1)の変遷に対応した他者位置通知情報を示すものである。
まず、図12(a) は、「花子」が「銀座」に到着して居場所通知作業を行ったときに得られる他者位置通知情報、図12(b) は、「ヒロちゃん」が「渋谷」に到着して居場所通知作業を行ったときに得られる他者位置通知情報、図12(c) は、「パパ」および「ママ」が「浅草」に到着して居場所通知作業を行ったときに得られる他者位置通知情報である。これら他者位置通知情報の変遷を見れば、各メンバーの位置情報が徐々に集まってくる様子がわかる。
続く図12(d) は、「おばば」が「巣鴨」に到着して居場所通知作業を行ったときに得られる他者位置通知情報、図12(e) は、「ヒロちゃん」が「原宿」に移動して居場所通知作業を行ったときに得られる他者位置通知情報、図12(f) は、「パパ」が「スカイツリー」に移動して居場所通知作業を行ったときに得られる他者位置通知情報である。更に、図12(g) は、「銀座」に滞在したままの「花子」が、他者位置を確認するために、再度の居場所通知作業を行ったときに得られる他者位置通知情報、図12(h) は、「ヒロちゃん」が「新宿」に移動して居場所通知作業を行ったときに得られる他者位置通知情報、図12(i) は、「パパ」および「ママ」が「上野」に到着して居場所通知作業を行ったときに得られる他者位置通知情報である。
なお、他者位置通知情報提示部140による他者位置通知情報の提示は、必ずしもディスプレイ等の画面上に視覚的に把握できる情報として提示する必要はなく、たとえば、音声により情報を読み上げる方法等により、聴覚的に把握できる情報として提示することも可能である。
<<< §3. 端末装置のバリエーション >>>
§1および§2で述べた基本的実施形態では、端末装置100として、一般に「KIOSK端末」と呼ばれている据付型端末装置を用いる例を述べた。このような据付型端末装置を利用すれば、個々のユーザは、何らかの情報記録媒体Mを携帯していれば、この位置情報通知システムを利用することができる。しかしながら、据付型端末装置が設置されている場所でしかサービスを利用することができない。ここでは、端末装置100のバリエーションとして、据付型端末装置ではなく、個々のユーザ自身が携帯している携帯型移動端末装置を用いた例を述べる。
<3−1.スマートフォン等を利用した端末装置>
現在、携帯型移動端末装置として、スマートフォン、タブレット型端末装置、携帯型パソコンなどが広く利用されている。ここでは、これらの携帯型移動端末装置を端末装置100として用いた例を述べる。もちろん、本発明に係る位置情報通知システムでは、一部の端末装置100を据付型端末装置によって構成し、一部の端末装置100を携帯型移動端末装置によって構成することもできる。携帯型移動端末装置を所持しているユーザは、当該携帯型移動端末装置を端末装置100として利用して本発明に係るシステムのサービスを受ければよいし、所持していないユーザは、最寄りの据付型端末装置を端末装置100として利用して本発明に係るシステムのサービスを受ければよい。
現在普及しているスマートフォン、タブレット型端末装置、携帯型パソコンなどの携帯型移動端末装置は、通常、自分自身の現在位置を認識する位置認識システムを備えている。たとえば、GPSを内蔵した機器では、GPSを利用した位置認識システムにより自分自身の緯度経度情報を取得することができる。また、無線LAN機能を備えた機器の場合、交信中の無線LAN基地局の位置情報から自分自身の大まかな位置情報を取得することができる。同様に、携帯電話機能を備えた機器の場合、交信中の携帯電話基地局の位置情報から自分自身の大まかな位置情報を取得することができる。
したがって、端末装置100として、一般的な携帯型移動端末装置を用いた場合、現在位置認識部120は、GPSを利用した位置認識システム、または、交信中の無線LAN基地局もしくは携帯電話基地局の位置情報を利用した位置認識システムによって認識した位置を自分自身の現在位置とすればよい。
図13は、図2に示す端末装置100を、スマートフォンを利用して構成した具体例を示す図である。スマートフォン、タブレット型端末装置、携帯型パソコン等の一般的な携帯型移動端末装置の実体は、所定のOSプログラムの制御下で動作するコンピュータを搭載した機器である。そこで、図13の上段の吹き出しに示されているように、このコンピュータに、専用のアプリケーションプログラムを組み込むようにすれば、当該携帯型移動端末装置を本発明に係る端末装置100として機能させることができる。
すなわち、このコンピュータが、OSプログラムの制御下で、当該専用のアプリケーションプログラムを実行することにより、§1,§2で述べた端末装置100としての機能を果たすことになる。ここで、ネットワーク300を介した管理装置200との間の通信は、当該携帯型移動端末装置に備わっている通信機能(携帯電話回線や無線LANを利用した通信機能)をそのまま利用することができる。また、媒体識別情報読出部110としては、当該携帯型移動端末装置に備わっている情報読出機能(たとえば、ICカード内の情報を読み出すのであれば、NFCによるデータ読出機能)をそのまま利用することができる。
別なアプローチとしては、図13の下段の吹き出しに示されているように、このコンピュータにもともと組み込まれているWebブラウザアプリケーションを利用する方法を採ることも可能である。現在市販されているスマートフォン、タブレット型端末装置、携帯型パソコン等の一般的な携帯型移動端末装置には、通常、Webブラウザアプリケーションが組み込まれている。そこで、この標準で組み込まれているWebブラウザアプリケーションを利用して、一般的な携帯型移動端末装置を本発明に係る端末装置100として利用することも可能である。
もっとも、一般的なWebブラウザアプリケーションには、携帯可能情報記録媒体Mから媒体識別情報MIDを読み出す機能が、標準的な機能としては備わっていないので、実用上は、このWebブラウザプログラムに補助機能を付加する補助プログラム(たとえば、Webブラウザプログラムと協働動作するプラグインプログラム)を組み込むことにより、必要な処理機能を追加することができる。たとえば、携帯型移動端末装置に備わっているNFCによるデータ読出処理を行うプログラムとWebブラウザプログラムとを仲介する機能をもったプラグインプログラムを組み込むようにすれば、Webブラウザプログラムによって実現される機能に、媒体識別情報読出部110としての機能を付加することができる。
このように、Webブラウザアプリケーションを利用して、端末装置100としての機能を実現するアプローチを採る場合は、管理装置200側に、所定のWebページを提供するWebサーバを設けておくようにする。具体的には、図2に示す位置報告情報登録部210,基本情報登録部220,位置通知情報送信部230における端末装置100との通信インターフェイスを、Webサーバによって構成すればよい。
そうすれば、端末装置100を構成するコンピュータは、Webブラウザプログラムを用いて所定のURLをアクセスし、当該Webページをアクセスするとともに、組み込まれた補助プログラム(プラグインプログラム)を実行することにより、端末装置100としての機能を果たすことができる。この場合、図3,図4,図12に例示する表示画面は、Webサーバ(管理装置200)から提供されるWebページとして提示されることになる。
いずれにしても、端末装置100として、据付型端末装置の代わりにユーザ自身が携帯しているスマートフォン等の携帯型移動端末装置を用いるようにすれば、ユーザは、当該携帯型移動端末装置がネットワーク300を介して管理装置200にアクセス可能な場所(すなわち、携帯電話の基地局や無線LANの基地局の通信エリア内)であればどこでも、準備段階の処理(基本情報設定作業)および利用段階の処理(居場所通知作業)を行うことができる。
<3−2.携帯型情報記録媒体のバリエーション>
ここでは、本発明に係る位置情報通知システムに利用可能な携帯型情報記録媒体のバリエーションと、これに応じた媒体識別情報読出部110のバリエーションを述べておく。
図6には、5人のメンバーm11〜m15が所持する携帯可能情報記録媒体M11〜M16として、社員証、クレジットカード、交通系カード、学生証、診察券、免許証などの用途に用いられるカードを例示した。このようなカード型の情報記録媒体Mとしては、たとえば、非接触型ICカードが広く利用されている。もっとも、本発明に利用する情報記録媒体Mは、必ずしもカード型の媒体である必要はなく、たとえば、ICタグなどを用いてもかまわない。ICタグは、小型の情報記録媒体として普及しており、最近は、ランドリータグと呼ばれている衣服や装身具に取り付けるタイプのタグも利用されている。このように、携帯可能情報記録媒体Mとして、ICカードもしくはICタグからなる媒体を用いる場合、媒体識別情報読出部110としては、ICカードもしくはICタグにデジタルデータとして記録されている媒体識別情報を読み出すリーダライタ装置を用いればよい。
もちろん、携帯可能情報記録媒体Mとして、磁気カードを用いることも可能である。この場合、媒体識別情報読出部110としては、磁気カードからなる携帯可能情報記録媒体に磁気データとして記録されている媒体識別情報を読み出す磁気読出装置を用いればよい。
また、本発明で用いる媒体識別情報MIDは、必ずしも電子的もしくは磁気的なデジタルデータとして媒体に記録されている必要はなく、光学的に読み取り可能な形態で記録されていてもかまわない。したがって、携帯可能情報記録媒体Mとして、バーコードもしくはQRコード(登録商標)が印刷された印刷物を用いることも可能である。この場合、媒体識別情報読出部110としては、携帯可能情報記録媒体にバーコードもしくはQRコード(登録商標)として記録されている媒体識別情報を読み出すコード読取装置を用いればよい。
たとえば、スマートフォンやタブレット型端末装置の多くには、内蔵カメラを用いてバーコードやQRコード(登録商標)を撮影する機能が備わっており、更に、撮影画像を解析することにより、バーコードやQRコード(登録商標)をデジタルデータとして読み取る機能も組み込まれている。このような機能を利用すれば、携帯可能情報記録媒体Mとして、バーコードもしくはQRコード(登録商標)が印刷された名刺などを利用することも可能になる。
もちろん、スマートフォンやタブレット型端末装置の内蔵カメラは、任意の画像を撮影することができるので、媒体識別情報MIDは、媒体上に肉眼観察可能な文字、数字、もしくは記号として記録されていてもかまわない。したがって、携帯可能情報記録媒体Mとして、文字、数字、もしくは記号が印刷された印刷物を用いることも可能である。この場合、媒体識別情報読出部110としては、文字、数字、もしくは記号として媒体上に印刷されている媒体識別情報MIDの画像を撮影し、これをデジタルデータとして認識するOCR装置を用いればよい。
このように、本発明に係る位置情報通知システムに用いる携帯型情報記録媒体Mは、その物理的な形態や媒体識別情報MIDの記録方式に関しては、何ら制約が課されるものではない。端末装置100内の媒体識別情報読出部110によって読出可能な態様で媒体識別情報MIDが記録されている媒体であれば、物理的には、どのような媒体を用いてもかまわない。
ただ、管理装置200のグループ情報格納部240には、ユニークな媒体識別情報MIDを登録する必要があるので、この位置情報通知システムを多数のユーザが利用した場合にも、媒体識別情報MIDが重複することがないように、実用上は、ユニークな媒体識別情報MIDが記録されている媒体を用いるのが好ましい。
たとえば、現在利用されているICカードやICタグには、世界的な規模でユニークな媒体識別情報MIDが記録されている。たとえば、ICカードの場合、内蔵CPUのシリアル番号を媒体識別情報MIDとして利用することにすれば、いずれも世界的な規模でユニークな媒体識別情報MIDが記録されていることになる。また、クレジットカードの場合、クレジットカード番号を媒体識別情報MIDとして利用することにすれば、やはり世界的な規模でユニークな媒体識別情報MIDが記録されていることになる。したがって、これらの媒体は、本発明において携帯可能情報記録媒体Mとして利用するのに適している。
一方、日本国内で共通の商品コードとして利用されているJANコードや、世界共通の図書コードとして利用されているISBNコードは、コード体系自体はユニークなものになっているものの、同一のコードが付された商品が多数存在するため、本発明において携帯可能情報記録媒体Mとして利用するのには必ずしも適切ではない。
たとえば、包装紙にJANコードがバーコードとして印刷されている板チョコは、物理的には、媒体識別情報(JANコード)が記録された携帯可能情報記録媒体であるので、端末装置100内の媒体識別情報読出部110に、バーコードを読み取る機能が備わっていれば、本発明に係る位置情報通知システムにおける携帯可能情報記録媒体Mとして用いることは可能である。しかしながら、同一の板チョコは多数販売されているため、当該システムを利用する複数のユーザが、同一の板チョコを用いてメンバー登録を行うと支障が生じる(実際には、2番目以降のメンバー登録は、システムによって、既登録を理由に拒絶されることになる。)。
もちろん、住所、氏名+生年月日、電話番号、メールアドレスといった個人情報は、通常、世界的な規模でほぼユニークな情報になっているので、これらの情報を、本発明に係る位置情報通知システムおいて媒体識別情報MIDとして用いることは、システムの動作上は問題ない。
たとえば、自分の名刺を携帯可能情報記録媒体Mとして利用し、この名刺に印刷されている住所、電話番号、メールアドレスなどの個人情報を媒体識別情報MIDとして用いることは、システムの動作上は問題ない。端末装置100内の媒体識別情報読出部110に、名刺画像を撮影し、当該撮影画像をOCRによってデジタルデータに変換する機能を設けておけば、名刺から住所、電話番号、もしくはメールアドレスなどの媒体識別情報MIDを読み出し、これを用いてグループ情報格納部240にメンバー登録を行うことが可能である。
しかしながら、住所、電話番号、メールアドレスなどの個人情報を媒体識別情報MIDとして用いることは、システム側に情報管理の負担が発生するという観点から、実用上は避けた方が好ましい。そもそも本発明の重要な作用効果は、メールアドレスや電話番号などの個人情報を取り扱わなくても、任意のメンバーに任意の場所についての位置情報を通知することができる点にあり、個人情報の取扱いに必要な管理コストと労力を削減できる点にある。したがって、住所、電話番号、メールアドレスなどの個人情報を媒体識別情報MIDとして用いることは、そもそも発明の基本的な技術思想に逆行することになる。
したがって、本発明を実施する上では、JANコードやISBNコードといった重複登録の可能性があるコードを媒体識別情報MIDとして用いたり、住所、電話番号、メールアドレスなどの個人情報を媒体識別情報MIDとして用いたりすることは避けるのが好ましい。結局、実用上は、たとえば、図6に例示したように、社員証、クレジットカード、交通系カード、学生証、診察券、免許証などの用途に用いられるICカードやICタグを携帯可能情報記録媒体Mとして用い、当該ICカードやICタグに記録されている媒体シリアル番号を媒体識別情報MIDとして用いるようにするのが好ましい。
なお、媒体識別情報MIDとして、バーコードやQRコード(登録商標)として記録されているデータや、文字、数字、もしくは記号として印刷されているデータをも含めた柔軟な運用形態を採る場合は、もし、ユーザが、JANコードやISBNコード、住所、電話番号、メールアドレス等の個人情報、といった不適切な情報を媒体識別情報MIDとして登録しようとした場合には、これを拒絶するような仕組を設けておくのが好ましい。
具体的には、図2に示す位置情報通知システムにおいて、基本情報設定部160もしくは基本情報登録部220に、文字、数字、記号もしくはこれらの組み合わせによって構成されるデータ列のうち、媒体識別情報MIDとして登録するのに不適合とすべき所定の不適合基準を保持させておき、ユーザの操作に基づいて入力された媒体識別情報MIDが、この不適合基準を満たす場合には、当該媒体識別情報MIDの送信もしくは登録を拒絶するようにすればよい。
不適合基準としては、たとえば、JANコードやISBNコードを構成する数字列の書式、住所の一部として認識可能な文字列の情報、電話番号と認識可能な数字列の書式、メールアドレスと認識可能な文字列の書式(たとえば、中間に文字「@」を含む書式)などを設定しておくことができる。媒体識別情報読出部110によって、上例のような不適合基準を満たす情報が読み出された場合には、基本情報設定部160によって、当該情報を管理装置200に送信するのを拒絶したり、あるいは、基本情報登録部220によって、当該情報の登録を拒絶したりすればよい。
<3−3.自分自身の媒体識別情報を利用する端末装置>
これまで述べてきた基本的実施形態に係る位置情報通知システムでは、端末装置100が携帯可能情報記録媒体Mから読み出した媒体識別情報MIDを管理装置200へ送信し、管理装置200側で、当該媒体識別情報MIDに基づいてメンバーを特定する方法を採っていた。これに対して、ここで述べる変形例では、端末装置が、自分自身に記録されている何らかの識別情報を、そのまま媒体識別情報MIDとして管理装置200へ送信する方法を採る。
別言すれば、スマートフォン、タブレット型端末装置、携帯型パソコン等の携帯型移動端末装置は、自分自身、何らかの識別情報を記録している携帯可能情報記録媒体Mに他ならないので、自分自身が記録している何らかの識別情報を、そのまま媒体識別情報MIDとして読み出して利用することが可能である。この場合、ユーザは、携帯型移動端末装置のみを用いて、準備段階の処理(当該ユーザをメンバーとして登録する基本情報設定作業)および利用段階の処理(居場所通知作業)を行うことができる。
図14は、図2に示す端末装置100の変形例に係る端末装置100′の構成を示すブロック図である。ここに示す端末装置100′は、実際には、スマートフォンによって構成されているが、もちろん、タブレット型端末装置、携帯型パソコン等の携帯型移動端末装置を用いて構成してもかまわない。図2に示す端末装置100と図14に示す端末装置100′との相違点は、前者の媒体識別情報読出部110が、後者では媒体識別情報格納部180に置き換えられている点だけである。以下、この相違点について述べる。
図2に示す媒体識別情報読出部110は、物理的に別個の携帯可能情報記録媒体Mから、媒体識別情報MIDを読み出す機能をもった構成要素であり、たとえば、携帯可能情報記録媒体Mとして非接触型ICカードやICタグを用いる場合、NFCの通信規格を用いてデータ読み出しを行う装置によって構成される。これに対して、図14に示す媒体識別情報格納部180は、端末装置100′内に組み込まれた情報記録媒体というべきものであり、たとえば、スマートフォンの内蔵メモリや、スマートフォンに装着されたSIMカードなどによって構成される。
この媒体識別情報格納部180には、個々の端末装置100′ごとに異なる何らかの媒体識別情報MID(ここでいう「媒体」とは、端末装置100′自身を指すことになる)が格納されている。具体的には、スマートフォンのシリアル番号やSIMカードに記録されているID番号を、媒体識別情報MIDとして利用することができる。したがって、自己位置報告情報送信部130や基本情報設定部160は、この媒体識別情報格納部180に格納されている媒体識別情報MIDを、そのまま管理装置200へ送信することになる。
もちろん、現在位置認識部120は、この携帯型移動端末装置100′自身の現在位置を認識する機能を有している。すなわち、現在位置認識部120は、GPSを利用した位置認識システム、または、交信中の無線LAN基地局もしくは携帯電話基地局の位置情報を利用した位置認識システムを有しており、当該位置認識システムによって認識した自分自身の位置を現在位置として認識する。
図14に示されているその他の構成要素、すなわち、自己位置報告情報送信部130、他者位置通知情報提示部140、他者位置通知情報受信部150、基本情報設定部160、処理制御部170の機能は、図2に示す対応する各構成要素の機能と同様であるため、ここでは説明は省略する。
この図14に示す端末装置100′も、実際には、図13に示すように、コンピュータを内蔵する携帯型移動端末装置に所定のプログラムを組み込むことにより構成することができる。すなわち、端末装置100′は、所定のOSプログラムの制御下で動作するコンピュータを搭載したスマートフォン、タブレット型端末装置、もしくは携帯型パソコンによって構成することができる。当該コンピュータに、専用のアプリケーションプログラムを組み込むようにすれば、当該コンピュータがこのアプリケーションプログラムを実行することにより、端末装置100′としての機能を果たすことが可能になる。
また、当該コンピュータに、WebブラウザプログラムおよびこのWebブラウザプログラムに補助機能を付加する補助プログラムを組み込むようにし、管理装置200に、所定のWebページを提供するWebサーバを設けておくようにすれば、当該コンピュータがWebブラウザプログラムを用いてWebページをアクセスするとともに、補助プログラムを実行することにより、端末装置100′としての機能を果たすことが可能になる。
図2に示す端末装置100を用いる場合、それが据付型端末装置であろうが、携帯型移動端末装置であろうが、個々のメンバーは、それぞれの携帯可能情報記録媒体Mに紐付けされることになる。別言すれば、個々のメンバーは、準備段階の処理(基本情報設定作業)を行う場合も、利用段階の処理(居場所通知作業)を行う場合も、利用する端末装置100を選ぶ必要はなく、どの端末装置100を利用して作業を行ってもかまわない。
これに対して、図14に示す携帯型移動端末装置100′を用いる場合、個々のメンバーは、それぞれの携帯型移動端末装置100′に紐付けされることになるので、準備段階の処理(当該メンバーに関する基本情報設定作業)を行う場合も、利用段階の処理(居場所通知作業)を行う場合も、携帯可能情報記録媒体Mを別途用意する必要はないが、それぞれが携帯する移動端末装置100′を用いて作業を行う必要がある。
たとえば、図12(c) や図12(i) に示す例では、「パパ」と「ママ」が一緒に行動しながら、「浅草」や「上野」において居場所通知作業を行っている。このように、複数のメンバーが同伴行動をとっている場合、そのうちの代表者1名が、自分の携帯している携帯型移動端末装置100を用いて、全同伴メンバーについての居場所通知作業を行うことができる。上例の場合、「パパ」が、自分自身の情報記録媒体M11を用いて居場所通知作業を行うとともに、「ママ」の情報記録媒体M12を用いて居場所通知作業を行うことができる。このとき、居場所通知作業を行う端末装置100としては、どの端末装置を用いてもよいので、「パパ」が携帯する携帯型移動端末装置100のみを利用して、「パパ」と「ママ」の居場所通知作業を行うことが可能である。
ところが、「パパ」が携帯している携帯型移動端末装置が、図14に示す端末装置100′であった場合、媒体識別情報格納部180に格納されている媒体識別情報MID(「パパ」に紐付けされた情報)の送信しか行うことができないので、「ママ」の居場所通知作業を行うことはできないことになる。このように、図2に示す端末装置100と図14に示す端末装置100′には、それぞれ一長一短がある。
もちろん、本発明を実施する上では、§1,§2で述べた据付型端末装置100、§3−1で述べた携帯型移動端末装置100、そして、図14に示す携帯型移動端末装置100′を混在させることができる。個々のユーザは、それぞれ自分に最も適した端末装置を用いて、本発明に係る位置情報通知システムを利用すればよい。
なお、前述したとおり、図2に示す端末装置100も、図14に示す端末装置100′も、実用上は、スマートフォン、タブレット型端末装置、携帯型パソコン等の携帯型移動端末装置に、所定のプログラムを組み込むことにより実現することができるので、図2に示す端末装置100と図14に示す端末装置100′との両方の機能を実現するプログラムを組み込むこともできる。この場合、図2に示す端末装置100として利用することもでき、図14に示す端末装置100′としても利用することができる、兼用タイプの端末装置(媒体識別情報読出部110と媒体識別情報格納部180との双方を備えた装置)を構成することが可能である。
上例の場合、「パパ」が兼用タイプの端末装置を携帯していれば、「パパ」自身についての居場所通知作業は、媒体識別情報格納部180に格納されている媒体識別情報MID11を送信することにより行い、「ママ」についての居場所通知作業は、「ママ」から借り受けた携帯可能情報記録媒体M12に記録されている媒体識別情報MID12を、媒体識別情報読出部110によって読み出して送信することにより行うことができる。
<<< §4. 様々な変形例 >>>
最後に、これまで述べてきた実施形態について適用可能な様々な変形例をいくつか述べておく。
<4−1.地図上に位置表示を行う変形例>
これまで述べた実施形態では、たとえば、図12(a) 〜(i) に例示するように、他者位置通知情報提示部140による提示形態として、同じグループに所属する各メンバーの現在位置および報告時刻を示す文字を表形式で示す形態を採っていたが、もちろん、他者位置通知情報の提示形態は、このような表形式に限定されるものではない。
たとえば、他者位置通知情報提示部140は、他者位置通知情報に含まれている各メンバーの現在位置に基づいて、地図上の対応位置に各メンバーのメンバー特定情報を表示する提示形態を採ることも可能である。図15は、このような地図を利用した表示例を示す図である。
現在利用されているスマートフォン、タブレット型端末装置、携帯型パソコン等の携帯型移動端末装置には、通常、地図表示機能が備わっている(一般的には、サーバ装置から、表示に必要な地図データをネットワーク経由でダウンロードして表示させるタイプのものが普及している)。したがって、現在位置の情報として緯度経度を含む情報を用いるようにすれば、図15に例示するような地図上で現在位置表示を行うことができる。
この図15に示す表示は、図12(i) に示す表示の現在位置情報に基づいて作成されたものであり、各メンバーの現在位置に関して提示される情報の内容に変わりはない。しかしながら、図12(i) に示す表形式の表示の代わりに、図15に示す地図形式の表示を採用すると、各メンバーの地理的な位置を直観的に把握させることができるというメリットが得られる。
<4−2.メッセージの入力を受け付ける変形例>
これまで述べた実施形態では、ユーザは、居場所通知作業を行う際に、特に情報の入力を行う必要はなかった。たとえば、図8に示す例の場合、ユーザは、端末装置100上に表示された図8(a) に示すメニュー画面において「居場所通知」ボタンを押し、図8(b) に示す居場所通知画面において「読込開始」を押した後、図8(c) に示すように、携帯している情報記録媒体M13を接触させる操作を行うだけで、居場所通知作業を実行することができ、その結果、図8(d) に示すような他者位置通知情報を取得することができる。
図8(d) に示す例では、メンバーの呼び名、現在位置、報告時刻が他者位置通知情報として画面上に表示されているが、これらの各情報は、居場所通知作業時にユーザが入力した情報ではなく、位置情報通知システムが自動的に取得した情報である。ここに示す変形例は、ユーザが居場所通知作業時に任意のメッセージを入力できるようにし、他のメンバーに任意のメッセージを伝達する付加機能を設けたものである。
具体的には、図2もしくは図14に示す自己位置報告情報送信部130に、ユーザの操作に基づいて任意のメッセージを入力し、入力したメッセージを含む自己位置報告情報Rを管理装置200に対して送信する機能をもたせておく。一方、管理装置200のグループ情報格納部240には、グループ情報I(G1)として、各メンバーの現在位置P,報告時刻tとともに、各メンバーからのメッセージを格納する機能をもたせておく。
そして、位置報告情報登録部210が、自己位置報告情報送信部130から自己位置報告情報Rの送信があったときに、送信されてきた自己位置報告情報Rに含まれる現在位置P,報告時刻tに対応づけて、当該自己位置報告情報Rに含まれるメッセージを、グループ情報格納部240に併せて登録するようにする。また、位置通知情報送信部230が、現在位置P,報告時刻tとともに、これに対応づけられて登録されているメッセージを含む他者位置通知情報Nを他者位置通知情報受信部150に対して送信するようにする。
一方、他者位置通知情報受信部150には、メッセージを含んだ他者位置通知情報Nを受信する機能をもたせておき、他者位置通知情報提示部140には、メッセージを含んだ他者位置通知情報Nを提示する機能をもたせておくようにする。そうすれば、特定のメンバーが居場所通知作業を行う際に入力したメッセージが、他のメンバーに通知されることになる。
図16は、居場所通知作業時に、メッセージの入力を受け付ける変形例の画面を示す図である。この変形例では、図8(b) に示す居場所通知画面の代わりに、図16(a) に示す居場所通知画面が表示される。当該画面には、メッセージ入力欄が付加されており、ユーザは、必要があれば、このメッセージ入力欄に任意の文字列を入力することができる。図には、このメッセージ入力欄に「ここで昼を食べます」なる文字列を入力した例が示されている。もちろん、入力するメーセージの内容は任意であるから、たとえば「○○ビル3FのレストランAにいます」のような詳細な位置情報を含むメッセージを入力することもできる。
ユーザ(この例の場合、「花子」)がメッセージを入力してから「読込開始」ボタンを押して、情報記録媒体M13を用いた読込操作を行うと、読み出された媒体識別情報MID13および現在位置「銀座」を示す情報とともに、当該メッセージが自己位置報告情報Rとして管理装置200へ送信され、グループ情報I(G1)として登録される。一方、管理装置200から返信されてくる他者位置通知情報Nにも、当該メッセージが含まれているため、他者位置通知情報Nの表示画面は、図16(b) に示すようなものになる。もちろん、この図16(b) に示す画面は、「花子」自身に提示される画面であるため、この時点では、まだ「花子」のメッセージは他のメンバーに伝達されていないが、他のメンバーが居場所通知作業を行えば、当該他のメンバーに提示される画面に「花子」のメッセージが表示されることになる。
図16(b) には、報告時刻の代わりにメッセージを表示させた例が示されているが、もちろん、呼び名、現在位置、報告時刻、メッセージをすべて表示させるようにしてもかまわない。また、長文のメッセージを取り扱う場合には、図示の表の中には「メッセージ」ボタンを表示するようにし、当該ボタンが押されたときに、メッセージ表示画面を開くようにし、そこに長文のメッセージを表示するようにしてもよい。
なお、メッセージは必ずしも文字列である必要はなく、何らかの記号や数値であってもかまわない。図17は、居場所通知作業時に、店舗の評価情報の入力を受け付ける変形例を示す図である。この変形例では、図8(b) に示す居場所通知画面の代わりに、図17(a) に示す居場所通知画面が表示される。当該画面には、評価入力欄が付加されており、ユーザは、必要があれば、この評価入力欄に評価情報を入力することができる。要するに、自己位置報告情報送信部130が、ユーザの操作に基づいて、現在位置に関するユーザの評価情報をメッセージとして入力することになる。
図示の例は、評価情報を星の数(0〜5個)で表示する形態をとり、ユーザが画面の評価入力欄をタップするたびに、星の数が0→1→2→3→4→5→0と循環して変化する入力インターフェイスを採用している。
ユーザ(この例の場合、「花子」)が評価入力欄に所望の数の星を入力した状態で「読込開始」ボタンを押して、情報記録媒体M13を用いた読込操作を行うと、読み出された媒体識別情報MID13および現在位置を示す情報とともに、当該評価情報(たとえば、星の数に応じた数値)が自己位置報告情報Rとして管理装置200へ送信される。0〜5の数値からなる評価情報が前述したメッセージとして取り扱われることになる。この場合、他者位置通知情報Nの表示画面は、図17(b) に示すようなものになり、「花子」が入力した評価情報が星の数として表示されている。
なお、図17(b) に示す例では、現在位置として「レストランA」という文字列が表示されているが、これは、「花子」がレストランAに設置されている据付型端末装置100を用いて居場所通知作業を行ったためである(図17(a) ,(b) は、レストランAに設置されている据付型端末装置100の表示画面ということになる)。前述したとおり、据付型端末装置100の場合、現在位置認識部120には、予め設置場所を示す情報を設定することができるため、現在位置を示す情報として「レストランA」という文字列を設定しておけば、当該文字列が現在位置として表示されることになる。結局、図17(b) に示す例の場合、「レストランA」にいる「花子」が「星4つ」という評価を行った、という情報が他のメンバーに伝達されることになる。
このように、端末装置100として、個々の店舗に設置した据付型端末装置を用いるようにすると、当該店舗の住所や店舗名まで含めた詳しい位置情報を通知することができ、ユーザが入力した評価情報が、当該店舗の評価を示すものであることが明確になる。
<4−3.メンバーの行動に関する統計を作成する変形例>
本発明に係る位置情報通知システムを用いて、ユーザにメンバー相互の位置情報を通知するサービスを提供すると、グループ情報格納部240内には、個々のグループごとに、各メンバーの行動に関する情報、すなわち、誰が、いつ、どこに居たか、という情報が集まることになる。また、上述したような評価情報の伝達を可能とする変形例では、個々の場所についての評価情報も集まることになる。
そこで、管理装置200内に、グループ情報格納部240に格納されているグループ情報Iに基づいて、各メンバーの行動に関する統計を作成する統計作成部を更に設けておくようにすれば、貴重な統計用データを得ることができる。図18は、このような統計用データの一例を示す図である。この例では、どのグループのどのメンバーが、いつ、どこに居て、どのような評価情報を入力したか、という事実が統計的に集められている。特に、図示の例は、個々の店舗に設置した据付型端末装置を用いて収集したデータであるため、場所欄には、位置情報として具体的な店舗名が表示されている。このような統計用データは、ビジネスを行う上では非常に有益な情報であり、商業的な利用価値が高い。
しかしながら、従来の一般的な位置情報通知システムを用いて、このような統計用データを勝手に作成することは、個人のプライバシーを侵害するおそれがある等の指摘がなされている。このため、実用上は、統計用データの作成に積極的に協力する意思表示を行ったユーザについてのみをデータ収集の対象とする、という運用を採らざるを得なかった。
これに対して、本発明に係る位置情報通知システムでは、個々のメンバーを直接的に特定するような個人情報を取り扱う必要がないため、図18に例示するような統計用データを作成しても、個人のプライバシーを侵害する問題は生じない。実際、図18に示す例では、「秋田の里山」なるグループに所属する「花子」なるメンバーが、2014年10月15日13:45にレストランAを訪問し、「4つ星」という評価を与えた、といった事実が収集されているが、「秋田の里山」や「花子」といった情報は、特定の個人を直接的に示す個人情報ではないため、特定個人のプライバシーを侵害する問題は生じない。このような点において、本発明に係る位置情報通知システムは、メンバーの行動に関する統計を作成する用途にも適している。
<4−4.セッション維持中に配信を行う変形例>
§1で述べたとおり、従来の位置情報通知システムが「push型」の配信形態を採用しているのに対して、本発明に係る位置情報通知システムは「pull型」の配信形態を採用している。このため、管理装置200は、個々のユーザからの能動的なアクセスがあった場合に、当該アクセスに応じて他者位置通知情報を配信すれば足り、管理装置200側から個々のユーザが利用する端末装置100に対して能動的なアクセスを行う必要はない。したがって、管理装置200側では、個々のユーザのメールアドレス等の個人情報を取り扱う必要はなく、個人情報の取扱いに必要となる多大な管理コストや多大な労力が不要になるというメリットが得られる。
ただ、このような「pull型」の配信形態を採用すると、管理装置200側でグループ情報の更新が行われても、ユーザが居場所通知作業によって管理装置200に対する能動的なアクセスを行わない限り、更新された他者位置通知情報の配信を受けることができない。
たとえば、図12(d) は、「おばば」が11:07に「巣鴨」に到着して居場所通知作業を行ったときに、管理装置200側から返信される他者位置通知情報を示すものであるが、当該内容は、あくまでも11:07の時点におけるグループ情報の内容である。したがって、その後、11:08に「ヒロちゃん」が「原宿」に移動してグループ情報の内容が更新された場合、「ヒロちゃん」には、図12(e) に示す更新内容が通知されるものの、「おばば」には、更新内容の能動的な通知は行われないことになる。
この例では、「おばば」の居場所通知作業が11:07に行われ、「ヒロちゃん」の居場所通知作業が11:08に行われており、わずか1分の違いであるが、「おばば」の居場所通知作業に応じて返信される他者位置通知情報は図12(d) に示すものになり、「ヒロちゃん」の居場所通知作業に応じて返信される他者位置通知情報は図12(e) に示すものになる。ここで、「おばば」の端末装置との間の通信セッションが終了した後、「ヒロちゃん」の端末装置との間の通信セッションが開始した場合は、「ヒロちゃん」の現在位置に関する更新内容を「おばば」に能動的に伝達することはできない。これは、「おばば」の端末装置との間の通信セッションが既に終了しており、管理装置200側から「おばば」に対して能動的なアクセスを行うことができないためである。
逆言すれば、「おばば」の端末装置との間の通信セッションが維持されている状態(前述したように、「セッション管理」等によって同一の通信セッションが継続していると判断される状態も含む)において、「ヒロちゃん」の端末装置との間の通信セッションが確立した場合は、「ヒロちゃん」の現在位置に関する更新内容を、維持されている通信セッションを介して「おばば」に伝達することができることになる。
具体的には、上例の場合、11:07に「おばば」の端末装置との間の通信セッションが確立し、「おばば」の端末装置に対して、図12(d) に示すような他者位置通知情報が送信され、その後、当該通信セッションの終了処理が実行されている間に11:08になり、「ヒロちゃん」の端末装置との間の通信セッションが確立した場合を考えてみよう。この場合、「おばば」の端末装置との間の通信セッションが維持されている状態において、グループ情報の更新が行われることになるので、この維持されている通信セッションを利用して、「おばば」の端末装置に対して、図12(e) に示すような更新後の他者位置通知情報を送信することができる。
このような運用を採れば、「おばば」の端末装置には、11:07の時点では、図12(d) に示す他者位置通知情報が表示されるものの、11:08の時点では、図12(e) に示す更新後の他者位置通知情報が再表示されることになる。
もちろん、管理装置200との間の通信セッションは、居場所通知作業に基づく通信セッションに限定されるものではなく、基本情報設定作業に基づく通信セッションであってもかまわない。たとえば、上例の場合、「秋田の里山」なるグループに第6人目のメンバーを追加する基本情報設定作業を行っている最中に、別なメンバーが居場所通知作業を実行し、当該「秋田の里山」なるグループについてのグループ情報の更新があった場合、基本情報設定作業を行っているメンバーに対して、維持されている通信セッションを利用して、更新後の他者位置通知情報を送信することができる。
この場合、基本情報設定作業を行っているメンバーの端末装置100には、図4(a) 〜(f) に例示するようなメンバー管理の画面が表示されているが、通信セッションの終了直前に、最新の他者位置通知情報の表示が行われることになる。
結局、ここで述べる変形例は、管理装置200に、第1の端末装置100−1との間の第1の通信セッション中に第2の端末装置100−2との間の第2の通信セッションが確立し、かつ、第1の端末装置100−1についての照会対象グループと第2の端末装置100−2についての照会対象グループとが同一であった場合、第2の端末装置100−2との間の第2の通信セッションに基づいて登録された自己位置報告情報の結果を、第1の通信セッション中の第1の端末装置100−1に対して他者位置通知情報として送信する付加機能を設けた変形例と言うことができる。
<4−5.グループ情報を削除してリセットする変形例>
§2では、秋田から東京見物に上京した一家が本発明に係る位置情報通知システムを利用する実例を説明した。このように、本発明に係る位置情報通知システムを、旅行者が一時的に利用するシステムとして運用する場合は、グループ情報格納部240に、個々のグループ情報の一部もしくは全部を所定のタイミングで削除するリセット処理を行う機能をもたせておくのが好ましい。
たとえば、毎日、24:00になったら、グループ情報の中の現在位置および報告時刻の情報を自動的に削除する機能を設けておくようにすれば、翌日の朝には、全メンバーの現在位置および報告時刻の情報はリセットされ、空白状態になる。通常、晩になれば、メンバー全員はホテルなどの宿泊場所に戻って集合することが予想されるため、これらの情報を自動的に削除すれば、翌日は、リセットした状態(新たにグループを作成して登録した当初の状態)から、再び、このシステムを利用することができる。
あるいは、新たにグループを登録した後、所定の期間(たとえば、1ヶ月)が経過したら、当該グループについてのグループ情報全部を自動的に削除するようにしてもよい。通常、1ヶ月程度経過していれば、旅行は終了しているであろうから、初度登録から1ヶ月経過した時点でグループ情報全部が削除されても問題はないであろう。あるいは、新たにグループを登録する際に、ユーザが所定の有効期間を設定できるようにしてもよい。この場合、グループ情報格納部240は、当該有効期間が経過した時点で、当該グループ情報全部を削除する処理を行えばよい。もちろん、グループ情報全部が削除された後に、このシステムを再度利用する際には、再び、グループを作成して登録する基本情報設定作業を行えばよい。
グループ情報格納部240に格納されるグループ情報は、前述したとおり、個々のメンバーを直接的に特定する個人情報ではないので、万一、漏洩事故が発生しても、それほど重大な損害は発生しない。しかしながら、個々のユーザの立場では、匿名性を有しているとはいえ、自分達の行動内容が外部に漏洩することは、決して気持ちのよいものではない。したがって、個々のグループ情報の一部もしくは全部を所定のタイミングで削除するリセット処理を行うようにすれば、各ユーザにより安心感を与えることができる。
<4−6.基本情報設定部160を省略した変形例>
図2に示す端末装置100および図14に示す端末装置100′には、基本情報設定部160が設けられている。この基本情報設定部160は、特定のグループについて、個々の媒体識別情報とこれに対応する個々のメンバー特定情報と、をユーザの操作に基づいて入力し、入力した情報を管理装置200に対して基本情報として送信する役割を果たす構成要素であり、図3,図4に例示したグループ管理やメンバー管理の作業を行うために利用される。しかしながら、このグループ管理やメンバー管理の作業は、グループの代表者のみが行えば済む作業なので、必ずしもすべての端末装置に基本情報設定部160を設けておく必要はない。
管理装置200側の基本情報登録部220は、この基本情報設定部160から送信されてきた基本情報に基づいて、媒体識別情報およびメンバー特定情報を対応づけて登録する処理を行うことになるが、グループの代表者が操作する端末装置から基本情報の送信があれば、グループ管理やメンバー管理を行うことが可能である。
また、グループ管理やメンバー管理の作業を、ユーザに委ねる代わりに、管理装置200の保守を担当する専門オペレータに委ねることも可能である。たとえば、駅などに、この位置情報通知システムを利用するための申込窓口を設けておき、システムの利用を希望するユーザは、この窓口に利用申込書を提出する運用を採るようにすれば、図3,図4に例示したグループ管理やメンバー管理の作業(基本情報設定作業)を、この窓口に常駐する専門オペレータに委ねることができる。この場合、個々のユーザが利用する端末装置100には、基本情報設定部160を設ける必要はない。
たとえば、利用申込書に、グループ名や各メンバーの呼び名(メンバー特定情報)を記入して窓口に提出してもらうようにすれば、専門オペレータが、管理装置200内の基本情報登録部220に直接アクセスして、基本情報設定作業を行うことができる。このような運用を採る場合は、ユーザが操作する端末装置100は、居場所通知作業を行う機能を有していれば足りるので、基本情報設定部160を備えている必要はない。
<4−7.所定の照会タイミングにおける自動送信>
これまで述べてきたとおり、本発明に係るシステムの重要な特徴は、管理装置200側から各メンバーの位置情報を積極的に配信する代わりに、端末装置100から管理装置200に対してアクセスがあったときに、当該通信セッションを利用して、アクセスがあった端末装置100に対して各メンバーの位置情報を送信することにある。
そして、これまで述べてきた実施形態では、端末装置100から管理装置200へのアクセスタイミングを、「個々のユーザが自己の位置を報告するために、意図的に居場所通知作業を行った時点」とする例を述べた。具体的には、図2に示す例の場合、あるメンバーが居場所通知作業を行うと、自己位置報告情報送信部130から位置報告情報登録部210に対して自己位置報告情報Rが送信され、これに応じて、位置通知情報送信部230から他者位置通知情報受信部150に対して、他者位置通知情報Nが返信されることになる。
しかしながら、本発明を実施するに際して、端末装置100から管理装置200へのアクセスタイミングは、必ずしもユーザによる居場所通知作業が行われた時点に限定する必要はない。もちろん、管理装置200側に個々のメンバーの現在位置を登録するためには、居場所通知作業が必要であるが、他のメンバーの現在位置を入手する上では、必ずしも自分の現在位置を報告する必要はない。ここで述べる変型例は、このような観点から、ユーザが意図的に居場所通知作業を行わなくても、他者位置通知情報Nを自動的に入手する手段を提供するものである。
具体的には、ここで述べる変型例の場合、図2に示す端末装置100の他者位置通知情報受信部150に、情報照会リクエストを自動送信する機能が付加される。これまで述べてきた実施形態の場合、ユーザが居場所通知作業を行うと、自己位置報告情報送信部130から位置報告情報登録部210に対して自己位置方向情報Rが送信され、これに対する返信として、位置通知情報送信部230から他者位置通知情報受信部150に対して他者位置通知情報Nが送信されることになる。したがって、他者位置通知情報受信部150は、受動的に他者位置通知情報Nを受信する機能を果たすだけであった。
ここに示す変型例では、他者位置通知情報受信部150に、能動的に他者位置通知情報Nを要求する機能が付加される。すなわち、他者位置通知情報受信部150は、所定の照会タイミングが到来した時点で、特定の媒体識別情報を含む情報照会リクエストを位置通知情報送信部230に自動送信し、当該情報照会リクエストに応じて返信されてきた他者位置通知情報Nを受信する、という付加的な機能を有している。もちろん、こうして受信した他者位置通知情報Nは、他者位置通知情報提示部140によって提示されることになる。
一方、位置通知情報送信部230は、他者位置通知情報受信部150から情報照会リクエストが送信されてきた場合には、当該情報照会リクエストに応じて、グループ情報格納部240内のグループ情報を検索し、当該情報照会リクエストに含まれている媒体識別情報が登録されているグループを照会対象グループとして認識し、当該照会対象グループに所属する個々のメンバーについて登録されているメンバー特定情報と、これに対応づけられて登録されている現在位置とを、他者位置通知情報Nとして他者位置通知情報受信部150に対して返信する機能を有する。
別言すれば、管理装置200は、端末装置100から自己位置報告情報Rが送信されてきたときに、これに応じて他者位置通知情報Nを返信するだけでなく、端末装置100から情報照会リクエストが送信されてきたときにも、これに応じて、同一の通信セッション中に他者位置通知情報Nを返信する処理を行うことになる。
もっとも、この情報照会リクエストには、特定の媒体識別情報が含まれている必要がある。位置通知情報送信部230は、この特定の媒体識別情報に基づいてグループ情報格納部240内のグループ情報を検索し、照会対象となるグループを認識する。たとえば、図示の例の場合、情報照会リクエストに「MID11」なる媒体識別情報が含まれていれば、位置通知情報送信部230は、グループ情報I(G1)を照会対象となるグループとして認識し、「秋田の里山」なるグループについての他者位置通知情報Nを返信することができる。
ただ、メンバーが意図的に居場所通知作業を行った場合は、これまで述べてきた実施例のように、当該メンバーが所持する携帯可能情報記録媒体Mから媒体識別情報MIDを読み出すことができるが、他者位置通知情報受信部150が自動的に情報照会リクエストを送信する場合は、図2に示す端末装置100では、携帯可能情報記録媒体Mから媒体識別情報MIDを読み出すことはできない。
そこで、図2に示す端末装置100について、この変形例を適用するには、端末装置100が管理装置200に対して自己位置報告情報Rを送信したときに、この自己位置報告情報Rに含まれている媒体識別情報MID(すなわち、携帯可能情報記録媒体Mから読み出した情報)が端末装置100内のどこかに保存されるようにしておけばよい(たとえば、媒体識別情報読出部110に、一度読み出した媒体識別情報MIDを保存する機能をもたせておけばよい)。そうすれば、その後、所定の照会タイミングが到来した時点で、他者位置通知情報受信部150が自動的に情報照会リクエストを送信する場合には、この保存されていた特定の媒体識別情報MIDを、情報照会リクエストに含ませて自動送信することができる。
一方、図14に示す端末装置100′について、この変形例を適用するには、他者位置通知情報受信部150が、所定の照会タイミングが到来した時点で、媒体識別情報格納部180に格納されている媒体識別情報MIDを自動的に読み出し、読み出した媒体識別情報MIDを含む情報照会リクエストを位置通知情報送信部230に自動送信し、この情報照会リクエストに応じて返信されてきた他者位置通知情報Nを受信するようにすればよい。端末装置100′の場合は、外部の携帯可能情報記録媒体Mからではなく、内部の媒体識別情報格納部180に格納されている媒体識別情報MIDを利用することができるので、他者位置通知情報受信部150は、必要なときに、当該媒体識別情報MIDを利用して、情報照会リクエストを送信することができる。
なお、他者位置通知情報受信部150が情報照会リクエストを送信する「照会タイミング」としては、予め任意のタイミングを設定しておくようにすればよい。たとえば、所定周期φで周期的に到来するタイミングを照会タイミングとして設定しておけば、他者位置通知情報受信部150は、周期φで周期的に情報照会リクエストを送信することができる。具体的には、φ=1時間に設定すれば、1時間おきに情報照会リクエストが自動送信され、1時間おきに他者位置通知情報Nを自動入手することができる。あるいは、特定の照会時刻を照会タイミングとして設定しておけば、当該時刻に他者位置通知情報Nを入手することができる。具体的には、7時,12時,18時,22時を照会タイミングとして設定しておけば、これらの照会時刻が到来したときに、自動的に他者位置通知情報Nを入手することができる。もちろん、照会時刻としては、時分秒や年月日を組み合わせて用いることができる。
このように、ここで述べた変形例では、予め設定しておいた所定の照会タイミングで、情報照会リクエストが自動送信され、その時点の他者位置通知情報Nを自動入手することができるので、ユーザが、意図的に居場所通知作業を行わなくても、最新の他者位置通知情報Nを入手することが可能になる。
この変形例は、特に、図14に示すように、スマートフォンなどを端末装置100′として用いると効果的である。たとえば、1時間おきに情報照会リクエストが自動送信されるような設定を行っておけば、端末装置100′には、1時間おきに最新の他者位置通知情報Nが届けられることになる。新たな他者位置通知情報Nが届いたことを、鳴音や振動によってユーザに報知する機能を付加しておけば、ユーザは、鳴音や振動による報知があった時点で、必要があれば、他者位置通知情報Nの内容を確認する作業を行うことができる。
更に、前回届いた他者位置通知情報Nの内容と今回届いた他者位置通知情報Nの内容とが異なっていた場合にだけ、鳴音や振動による報知を行うようにすることも可能である。そうすれば、ユーザは、他のメンバーについての新たな居場所情報が入ってきた場合にのみ、鳴音や振動による報知を受けることができる。したがって、たとえば、所定周期φ=1分のような短時間に設定しておけば、あたかも「push型」の配信形態を採用しているような使用感覚で本システムを利用することができる。もちろん、実際には、端末装置側から管理装置に対して情報照会リクエストを送信しているので、あくまでも配信形態は「pull型」であり、メールアドレスや電話番号などの個人情報を取り扱う必要がないシステムである点に変わりはない。
なお、上述したとおり、管理装置200に対して情報照会リクエストを送信する際には、現在位置認識部120が認識した現在位置Pを報告する必要はないが、もちろん、現在位置Pを報告するようにしてもかまわない。現在位置Pを報告する運用を採る場合には、他者位置通知情報受信部150に情報照会リクエストを送信する機能をもたせる代わりに、自己位置報告情報送信部130に、所定の照会タイミングにおいて、自動的に自己位置報告情報Rを送信する機能をもたせるようにすればよい。
たとえば、自己位置報告情報送信部130が、1時間おき(所定周期φ=1時間に設定した場合)に自己位置報告情報Rを自動送信するようにすれば(媒体識別情報MIDを読み出せない場合には、前述した例のように、過去に用いた媒体識別情報MIDを利用すればよい)、ユーザによる意図的な居場所通知作業が行われていなくても、他者位置通知情報受信部150に他者位置通知情報Nが届けられることになる。
<4−8.安否確認システムとしての利用>
これまで、ユーザが観光客という設定で、本発明に係る位置情報通知システムの具体的な実施例の説明を行ってきたが、もちろん、本発明を利用可能なユーザは、観光客に限定されるものではなく、たとえば、一般ビジネスマンがチームを組んで仕事を行う場合にも利用可能である。要するに、本発明に係るシステムは、同一グループに所属する何らかのメンバーについて、メンバー相互の位置情報を通知する機能をもった位置情報通知システムであり、そのようなシステムの恩恵を受けることができる任意のユーザにとって有用なシステムである。
特に、本発明に係る位置情報通知システムは、安否確認システムとしての利用にも最適である。近年、日本各地で様々な自然災害が発生しており、行方不明となってしまった家族の安否を容易に確認するためのシステムが望まれている。これまで述べてきた本発明に係る位置情報通知システムは、そのまま安否確認システムとしても利用することができる。
たとえば、図6に例示した5人家族からなるメンバーm11〜m15について、平時に基本情報設定作業を行い、「秋田の里山」なるグループ名で登録を行っておけば、災害発生時には、各メンバーが居場所通知作業を行うだけで、その時点で確認されている他のメンバーの居場所を認識することができる。ネットワーク300としてインターネットを利用するようにすれば、世界中のどこに居ても、居場所通知作業を行うことが可能であり、他のメンバーの安否確認を行うことができる。
図6に例示したとおり、本発明に利用可能な携帯型情報記録媒体Mは、社員証、クレジットカード、交通系カード、学生証、診察券、免許証などのICカードをはじめ、ランドリータグと呼ばれている衣服や装身具に取り付けるタイプのICタグ、バーコードやQRコード(登録商標)が記録された印刷物など、多岐に渡っている。したがって、平時に、個々のメンバーが複数の携帯型情報記録媒体Mをそれぞれ登録しておくようにすれば、災害発生時に、これら登録済みの携帯型情報記録媒体Mのうちの少なくとも1つを携帯していれば、居場所通知作業を行うことができる。
特に、ランドリータグは、衣服や装身具に取り付けられるため、鞄やバッグなどの携帯品を一切所持していない状況においても、身につけている可能性が高く、災害発生時に用いる携帯型情報記録媒体Mとして有用である。また、本人が意識不明の状態であったり、死亡していたりしても、救助にあたった者が、本人に代わって居場所通知作業を行うことにより、他のメンバーに対して本人の居場所を通知することができる。また、§4−2で述べたメッセージの入力を受け付ける変形例を採用した場合は、本人の居場所を通知する際に「右腕負傷」のようなメッセージを付加することもできる。
従来提案されている一般的な安否確認システムは、「push型」の配信形態を採用しているため、災害発生時には、大量の安否確認情報が通信網を駆け巡ることになる。このため、通信網のトラフィックが急増し、障害の発生が懸念される。これに対して、本発明に係る位置情報通知システムを利用した安否確認システムは、「pull型」の配信形態を採用しているため、必要性を感じたユーザが能動的に居場所通知作業を行った場合にのみ通信が発生する。このため、通信網のトラフィックを必要最小限に抑えるメリットが得られる。
なお、この安否確認システムは、必ずしも災害発生時の利用に限定されるものではなく、平時に利用することもできる。たとえば、最近は、認知症を患っている徘徊老人が行方不明になる事件が社会問題化しているが、ランドリータグなどを利用すれば、行方不明になった徘徊老人の居場所を通知することも可能である。認知症患者の居場所を把握するシステムとしては、GPSを内蔵した発信器を利用したシステムなどが実用化されているが、行方不明者が当該発信器を身につけていなければ、居場所の情報を得ることはできない。
本発明を利用した安否確認システムでは、行方不明者が、ランドリータグなどの携帯型情報記録媒体Mを身につけており、この行方不明者を保護した保護者が、当該携帯型情報記録媒体Mを用いて居場所通知作業を行うことさえできれば、家族に、行方不明者の居場所を通知することができる。しかも、この居場所通知作業に応じて、家族の居場所を示す他者位置通知情報が表示されるので、行方不明者を保護した保護者は、家族に連絡する手掛かりを得ることができる。
もちろん、本発明を安否確認システムとして利用した場合も、任意のメンバーを対象として任意の場所についての位置情報を通知する一般的な用途への利用が可能であり、しかもメールアドレスや電話番号などの個人情報を取り扱う必要がないため、個人情報を取り扱うために必要な管理コストや労力を削減することができる。
また、§4−7で述べたように、所定の照会タイミングにおいて、自動的に他者位置通知情報Nを取得できるようにする変形例を採用すれば、実際には「pull型」の配信形態を採用していながら、ユーザには、あたかも「push型」の配信形態を採用しているような使用感覚を提供することができるので、行方不明者の居場所通知作業が行われた場合に、家族の端末装置に遅滞なく(所定の照会タイミングにおいて)、行方不明者の居場所が「push型」の配信形態に似た形態で通知されることになる。