JP2017083719A - 偏光素子およびそれを有する投射型画像表示装置 - Google Patents

偏光素子およびそれを有する投射型画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】従来よりも簡易な構成、または少ない層数で効果的に偏光分離を行うことが出来、また低屈折率のプリズムであっても動作するプリズム型偏光素子を提供する。【解決手段】屈折率異方性層を1種類以上有する積層薄膜からなる偏光素子1であって、該屈折率異方性層を直交する2つの偏光に対し光路長差を生じさせるように積層する。偏光素子は基板2と、基板上に2種類以上の特性の異なる薄膜層を繰り返し積層した構造4を有し、薄膜層のうち少なくとも1種類は、屈折率異方性を有する層であり、屈折率異方性層と隣接する薄膜層の間における一方の偏光に対する屈折率差が0.1以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、偏光素子に関するものであり、特に偏光素子を有する投射型画像表示装置に関する。
従来より、入射した光のうち、一方の方向に振動する偏光を透過し、それと直交するもう一方の偏光を反射または吸収することにより無偏光の光から偏光を分離する偏光素子が多くの分野で用いられている。
偏光素子において、偏光を分離する方法は様々な方法が知られている。一般的には一方の偏光を透過し、もう一方の偏光を吸収する有機材料を配向させたものや、使用波長以下の微細な金属格子が配列したものがある。またプリズム型の偏光分離素子として、ブリュースター角条件を用いて一方の偏光を透過し、もう一方の偏光を薄膜干渉により反射する素子も良く知られている。またそれ以外にも、材料の屈折率異方性を利用することにより偏光を分離する偏光素子が幾つか知られている。
特許文献1には、屈折率異方性を有する材料を多数層積層した構造からなり、一方の偏光に対しては屈折率差を無くすことで透過させ、もう一方の偏光に対しては屈折率差を大きく取り、多重反射させることより反射する素子が開示されている。
また特許文献2には、波長以下の微細な周期構造を有する格子形状を複数層形成し、一方の偏光は薄膜干渉やブリュースター条件により透過し、もう一方の偏光に対しては全反射条件を満たすように格子を形成することで偏光を分離する素子が開示されている。これらのような屈折率異方性を利用する偏光素子では、従来用いられているような吸収を有する材料を用いた偏光素子に比べて透過損失が小さいという利点がある。
米国特許第5962114号明細書 特開2005−77819号公報
特許文献1の偏光素子では十分な消光比を得るためには非常に多くの積層数が必要であり、素子厚みが増大する。そのため、高コスト化するだけでなく厚みが問題となる箇所には使用しづらいという課題がある。
また、特許文献2は全反射条件を実現するために精密な格子形成が必要であり、その製造は容易ではない。さらに特許文献2やブリュースター角を利用したプリズム型の偏光分離素子では、設計条件上プリズムの屈折率を高くする必要がある。そのため使用可能な硝材、および屈折率異方性層のパラメータが限定される。またプリズム基板としては入射光による吸収熱等から生じる光弾性の影響を考慮して低光弾性の硝材が用いられるが、高屈折率かつ低光弾性の硝材の多くはPbを含有する。このような硝材は環境に多大な負荷を与える可能性があるだけでなく、材料コスト高や設計の自由度が制限されるという課題がある。
上記の課題を解決するために、本発明に係る偏光素子は、
素子に入射する偏光のうち、ある一方の方向に振動する偏光を透過し、それと直交する方向に振動する偏光を反射または吸収する偏光素子であって、 該偏光素子は基板と、基板上に2種類以上の特性の異なる薄膜層を複数層積層した構造を有し、該薄膜層のうち少なくとも1種類は、屈折率異方性を有する層であり、該屈折率異方性層と隣接する薄膜層の間における、ある一方の偏光またはそれと直交する偏光に対する屈折率差が0.1以上あり、入射媒質の屈折率np、薄膜層への入射角度θ、該薄膜層の任意の偏光に対する最小屈折率nとしたとき、下記条件式を満たすことを特徴とする。
1.0 ≦ np < n/sinθ
本発明によれば、従来よりも簡易な構成、または少ない層数で効果的に偏光分離を行うことが出来、また低屈折率のプリズムであっても動作する偏光素子を実現することが出来る。
本発明の素子構成の一例の構成概略図 薄膜層の構成を示す図 実施例1の分光透過率 比較例1の分光透過率 実施例2の薄膜層の構成を示す図 実施例2の分光透過率 実施例3の薄膜層の構成を示す図 実施例3の分光透過率 実施例4の薄膜層の構成を示す図 実施例4の分光透過率 実施例5の薄膜層の構成を示す図 実施例5の分光透過率 本発明の偏光素子を用いた投射型画像表示装置の構成概略図
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の偏光素子である偏光分離素子1の構成概略図である。
偏光分離素子1はプリズム基板2および3の間に積層薄膜層4を有する構成からなる。偏光分離素子1は図1中のz方向と略平行に入射する光のうち、所定の波長帯域のx方向と平行な方向に振動する偏光5(以下x偏光)を反射し、y方向と平行に振動する偏光6(以下y偏光)を透過することにより、偏光を分離する。なお設計によりx偏光5を透過し、y偏光6を反射する構成とすることもできる。また動作波長に関しては、赤、緑、青色光など、特定の波長帯域に対して偏光特性を持たせることが出来、また帯域ごとに異なる偏光特性を持たせることも可能である。
積層薄膜層4の詳細な構造を図2に示す。
図2(a)に示すように積層薄膜層4は干渉膜厚を有する薄膜層10と11が、同程度の膜厚で複数回同じ膜厚で積層された繰り返し層を有する。この例では図2(c)に示すとおり薄膜層10および11はそれぞれ異なる屈折率異方性を有する膜が積層されている。積層薄膜層4と屈折率異方性を関係づける方位として、図1のx方向と平行な方向をX’,面法線方向をZ’、X’,Z’の両方と直交する方向をY’と定義する。このとき、薄膜層10はY’方向に光学軸を持つ1軸性異方性層であり、薄膜層11はX’方向に光学軸を持つ1軸性異方性層となっている。このように配置することで、屈折率異方性を利用した偏光の分離を行うことが出来る。
本発明の偏光素子は、入射する各偏光(x偏光、y偏光)に対する各薄膜層の屈折率差、および屈折率と膜厚の積である光学膜厚の差を制御する。各偏光に対する光学膜厚を制御することでダイクロイック膜の反射帯域を偏光ごとにシフトさせ、所定の帯域に対する偏光素子として機能させる。例えば図2の薄膜層10および11の屈折率異方性をそれぞれno=1.80、ne=2.20としたとき、図1の偏光分離素子1では、x偏光に対する薄膜層10の屈折率は1.80、薄膜層11の屈折率は2.20となる(以下屈折率とはd線に対する屈折率ndを指す)。またy偏光に対する薄膜層10および11の屈折率は屈折率楕円体と入射光線と垂直な断面から求めることができ、入射角度が略45degの場合にはおよそnoとneの平均値程度となる。屈折率楕円体への入射角度特性を考慮して平均屈折率を計算するとy偏光に対する薄膜層10の屈折率は1.97となる。また薄膜層11におけるy偏光に対する屈折率はno=1.80となる。薄膜層10および11の物理膜厚をそれぞれ45nm、130nmとしたとき、単位繰り返し層におけるx偏光、y偏光に対する光路長Lx,Lyは下記のように求められる。
Lx:45nm*1.80+130nm*2.20=367nm
Ly:45nm*1.97+130nm*1.80=323nm
ここで単位繰り返し層とは、薄膜層を構成する薄膜のうち反射防止層を除きダイクロイック膜として動作する繰り返し層の1周期分を指し、光路長Lx,Lyとは単位繰り返し層あたりの各偏光に対する屈折率と厚みの積を指す。
上記の薄膜層が積層されることにより、本発明の偏光素子は、x偏光、y偏光それぞれに対して中心波長の異なるダイクロイック膜として機能する。ここで中心波長とは、反射率50%以上の帯域の中心波長を指す。図3に、上記薄膜層10および11を各25層積層し、最後に薄膜層10を積層した構造における、x偏光、y偏光に対する分光透過率特性を示す。破線はx偏光に対する透過率Tx,実線はy偏光に対する透過率Tyを示している。図3に示す通り、ダイクロイック膜の中心波長がx偏光、y偏光でシフトしていることが判る。その結果、波長550nmを中心とするG帯域に対してはx偏光を透過、y偏光を反射し、波長630nmを中心とするR帯域に対してはy偏光を透過しx偏光を反射する偏光分離素子として機能する偏光分離素子が得られる。つまり波長帯域に応じて異なる偏光特性を有する偏光素子が得られる。比較例として、屈折率2.20、物理膜厚45nmの薄膜層と、屈折率1.80、物理膜厚130nmの薄膜層を計51層積層した場合の分光透過率特性を示す。この場合、ダイクロイック特性による反射帯域幅はTxとTyで異なるものの、中心波長は同一であるため偏光分離特性を確保できる帯域は殆どない。本発明のように各偏光に対してダイクロイック膜としての特性を大きく異ならせることにより、偏光分離特性の帯域を大幅に拡げることができ、かつ2つの異なる波長帯域で直交する偏光分離素子として機能させることが出来る。
このとき本発明の偏光素子においては、入射媒質の屈折率np、薄膜層への光線入射角度θ、該薄膜層の任意の偏光に対する最小屈折率nとしたとき、
1.0 ≦ np < n/sinθ ・・・(1)
の関係を満たすことが望ましい。上記条件式を満たすことにより、特定の偏光分離条件を用いることなく、すなわち入射媒質2、出射媒質3であるプリズム基板や薄膜層の特定の屈折率に依存することなく偏光分離が可能となる。従来の偏光分離素子として用いられる基板ガラスは、一般的にブリュースター条件や全反射条件等の偏光分離条件を満たすために屈折率が約1.80以上の高屈折率硝材が求められる。それと同時に入射光による吸収熱等から生じる光弾性の影響を考慮して低光弾性の硝材が用いられるが、高屈折率かつ低光弾性の硝材の多くはPbを含有する。このような硝材は環境に多大な負荷を与える可能性があるだけでなく、高コストとなる。
上記の課題に対し本発明では、上に述べた偏光分離条件に束縛されずに特性を確保できるので、基板として任意の低屈折率硝材を選択することができる。さらに従来の偏光分離素子では基板屈折率が決定した時点で薄膜層の屈折率もほぼ一意に決定される。特に全反射条件を用いた偏光素子の場合、基板屈折率に合わせて屈折率異方性を精密に合わせ込む必要がある。よって屈折率異方性、つまり薄膜層の材料や微細構造パラメータが大きく限定され、製造難度の増大、敏感度増大により高コスト化につながる。これに対し本発明の偏光素子では条件式(1)の範囲で基板、および薄膜層の屈折率および屈折率異方性を自由に選択できる。よって低コストかつ良好な偏光分離特性と光弾性の影響の抑制を両立した偏光素子が実現できる。具体的には、条件式(1)を満足した上でさらに低コスト化のために基板硝材の屈折率nが1.60以下の硝材を適用することが望ましい。
また本発明の偏光素子を一定以上の波長帯域で動作させるためには、各偏光に対する光路長の差|Lx−Ly|を十分に確保する必要がある。一般的な赤、緑、青帯域として動作可能な偏光素子を考えると、x偏光、y偏光に対する光路長差は25nm以上となるようにすることが望ましい。前述の説明からX偏光とY偏光の光路長差はLx−Ly=367-323=44nmとなり、前述の偏光素子はこの条件を充分に満たしている。レーザ等の単色光源を用いる場合であっても、ある程度の入射角度範囲で動作させる場合には所定の光路長差が必要であり、やはり上述の光路長差を確保することが望ましい。また、どちらの偏光に対してもダイクロイック膜として動作するためには、各偏光に対する薄膜層の屈折率差を大きく取る必要がある。偏光素子としては、一方の偏光に対して屈折率差を無くす方が透過側偏光の透過率を容易に確保できるため望ましいが、もう一方の偏光に対する屈折率差を確保することが難しくなり層数が増大する。屈折率差が大きい程、波長帯域を確保しやすく、少ない層数で消光比を確保することが出来る。
本発明の偏光素子においては、屈折率異方性層と隣接する薄膜層(屈折率異方性層を含む)の間の各偏光に対する屈折率差が0.1以上となるように選択することが望ましい。より好ましくは0.15以上であることが望ましい。また、各層の厚みを調整することによって各偏光に対する光路長差を制御することが出来、本発明のように各偏光に対する光路長差を大きく取るためには、薄膜層を構成する屈折率異方性層のうち、面内屈折率異方性Δnが最小の層の膜厚d1、Δn最大の層の膜厚をd2としたとき、d2>d1を満たすように構成することが望ましい。Δnが大きい層の膜厚を厚めにすることで、各偏光に生じる光路長差を大きく取ることができる。また、屈折率異方性層のもつ屈折率の差Δnが大きい方が分離特性を確保しやすくなる。本発明の偏光素子においては屈折率異方性の最大値と最小値の差が0.1以上であることが望ましい。
また図3の特性に示す通り、本発明の偏光素子は異なる波長帯域に対して特性の異なる偏光素子として動作させることが可能である。2つの波長帯域をそれぞれ第一波長帯域、第二波長帯域としたとき、まず偏光方向xの入射光に対しては第一波長帯域における透過率が高く、前記第一波長帯域と異なる第二波長帯域における透過率が低く(反射率が高く)なるように動作する。同時に偏光方向yの入射光に対して前記第一波長帯域における透過率が低く(反射率が高く)、前記第二波長帯域における透過率が高い光学特性を有する偏光素子として動作することが出来る。各偏光に対するダイクロイック膜特性をシフトすることで、第一、第二波長帯域で偏光特性が直交する偏光素子が得られる。このような特性の偏光素子は赤、緑、青色帯域の分波若しくは合波に用いることができ、その際、該該第一波長帯域および該第二波長帯域の中心波長は40nm以上離れ、かつ該第一波長帯域および該第二波長帯域は共に20nm以上の帯域幅があることが望ましい。ここで言う帯域幅とは、透過率が80%以上または反射率が20%以下の特性を示す波長帯域幅のことを指す。なお、ここでは該第一波長帯域を短波側、該第二波長帯域を長波側として説明したが、特にこのように限定されることはなく反対であっても良い。
また本発明の偏光素子は、図1に示すようなプリズム型の、射入射光線に対して動作する偏光分離素子とすることにより、薄膜層による反射率を増大させ、少ない層数で充分な消光比を得ることができる。そのため、本発明の偏光素子の偏光分離面の法線と入射光線の成す角度は45deg付近となるように配置して用いることが望ましい。しかし入射するFno光束を考慮した場合、±5deg程度の入射角度特性を確保する必要があり、入射角度は40degから50deg程度の範囲内とすることが望ましい。また、本発明の偏光素子はプリズム型に限定されるものでなはなく、例えば平板上に構成されていても良い。
また本発明の偏光素子を構成する薄膜層は、その全てが屈折率異方性層である必要はなく、屈折率異方性層と等方性薄膜層、もしくはこれらを組み合わせた3種類以上の薄膜積層構造であっても良い。一方が等方性薄膜層であっても、もう一方の屈折率方性薄膜層の屈折率差および厚みが適切であれば前述の条件を満たすことができる。
このような異方性薄膜を形成する方法としては、様々な方法があり、例えば波長以下の微細な周期構造を形成することで、構造異方性による異方性薄膜が実現できる。周期構造としては1次元、2次元格子構造や、一様な方向に空孔を有する空孔構造などであっても良い。このような微細構造を有する薄膜層は、干渉露光を用いたリソグラフィプロセスやナノインプリントプロセス、もしくはゾルゲル材料の自己組織化構造などを利用してポーラス構造を得る手法などを用いることで実現できる。またそれ以外にも、蒸着の際に基板を傾斜させる斜め蒸着といった方法を用いることでも実現できる。しかし本発明の偏光素子においてはこのような異方性膜の製造方法に限定されるものではなく、素子の実現に際してはどのような製造方法を用いても良い。ただし延伸フィルム等を積層させる方法など、1層当りの厚みがμmオーダとなるような材料・方法では、設計上充分な帯域を持つダイクロイック膜として機能させることが困難となるため好ましくない。
本発明の第1の実施例の偏光素子について説明する。
素子構成は図1および図2に示した通りであり詳細は略するが、屈折率1.48のプリズム基板上に、図2に示すように2種類の異なる1軸性の屈折率異方性を有する薄膜層10および11を計51層積層した構造からなる。主たる入射光は偏光分離面に対して45degの角度で入射するとしている。また薄膜層の厚み、屈折率の詳細および条件式の値は表1に示す。表1に示す通り、実施例1の偏光素子は本発明の条件を全て満たしている。
実施例1の偏光素子の分光透過率を図3に示す。この素子では、青色帯域の光は透過させ、緑色帯域においてはx偏光を透過しy偏光を反射させ、赤色帯域においてはx偏光を反射しy偏光を透過する素子として動作することが判る。
本発明の第2の実施例の偏光素子について説明する。
第2の実施例は2軸屈折率異方性の薄膜を用いた例を示している。素子構成は図1および図5に示した通りであり詳細は略するが、屈折率1.48のプリズム基板上に、図5に示すように軸方位の異なる2種類の2軸性屈折率異方性を有する薄膜層20および21を計51層積層した構造からなる。主たる入射光は偏光分離面に対して45degの角度で入射するとしている。また薄膜層の厚み、屈折率の詳細および条件式の値は表2に示す。2軸異方性の各屈折率は図5に示す方向に配向しており、角度θはそれぞれ最大屈折率の軸方向nzの方向のz’軸に対する傾斜角度を示している。表2に示す通り、実施例2の偏光素子は本発明の条件を全て満たしている。
実施例2の偏光素子の分光透過率を図6に示す。この素子では、青色帯域の光は透過させ、緑色帯域においてはx偏光を反射しy偏光を透過させ、赤色帯域においてはx偏光を透過しy偏光を反射する素子として動作することが判る。このように、2軸屈折率異方性の薄膜を用いた場合であっても、其々の軸方位と屈折率異方性を適切に選択することにより、本発明の偏光素子として用いることができる。
本発明の第3の実施例の偏光素子について説明する。
実施例3は積層薄膜層のうち片方を等方性膜として例である。素子構成は図1および図7に示した通りであり詳細は略するが、屈折率1.48のプリズム基板上に、図7に示すように等方性薄膜層30と1軸屈折率異方性を有する薄膜層31を計51層積層した構造からなる。主たる入射光は偏光分離面に対して45degの角度で入射するとしている。また薄膜層の厚み、屈折率の詳細および条件式の値は表3に示す。表3に示す通り、実施例3の偏光素子は本発明の条件を全て満たしている。
実施例3の偏光素子の分光透過率を図8に示す。この素子では、青色帯域の光は透過させ、緑色帯域においてはx偏光を反射しy偏光を透過させ、赤色帯域においてはx偏光を透過しy偏光を反射する素子として動作する。このように、屈折率異方性層と等方性薄膜層との組合せであっても、等方性薄膜の厚み、屈折率異方性層の軸方位および屈折率異方性を適切に選択することにより、本発明の偏光素子として用いることができる。
本発明の第4の実施例の偏光素子について説明する。
実施例4は薄膜層の屈折率を大きくして積層数を低減した例を示している。素子構成は図1および図9に示した通りであり詳細は略するが、屈折率1.48のプリズム基板上に、図9に示すように等方性薄膜層40と2軸の屈折率異方性を有する薄膜層41を計21層積層し、さらに基板との界面にリップルを抑制するための干渉層(不図示)を1層加えた構造からなる。主たる入射光は偏光分離面に対して45degの角度で入射するとしている。このとき2軸異方性の各屈折率は図9に示す方向に配向しており、角度θはそれぞれ最大屈折率の軸方向nzの方向のz’軸に対する傾斜角度を示している。また薄膜層の厚み、屈折率の詳細および条件式の値は表4に示す。表4に示す通り、実施例4の偏光素子は本発明の条件を全て満たしている。
実施例4の偏光素子の分光透過率を図10に示す。この素子では、主に緑色帯域においてはx偏光を反射しy偏光を透過させる偏光素子として動作する。このように、等方性薄膜層と屈折率異方性層との屈折率差を大きく取ることにより、実施例1〜3に比べて少ない層数でも充分な偏光特性が得られる。
本発明の第5の実施例の偏光素子について説明する。
実施例5は異なる特性の繰り返し層を組合せた例を示している。素子構成は図1および図11に示す通りであり詳細は略するが、屈折率1.48のプリズム基板上に、図11に示すように2種類の異なる1軸性の屈折率異方性を有する薄膜層50および51を計31層積層し、さらにそれと厚みの異なる薄膜層60および61を計31層積層した構造からなる。また基板と薄膜層、および2つの薄膜層構造の間には干渉層を挟んでいる(不図示)。主たる入射光は偏光分離面に対して45degの角度で入射するとしている。また薄膜層の厚み、屈折率の詳細および条件式の値は表5に示す。表5に示す通り、実施例5の偏光素子は本発明の条件を全て満たしている。
実施例5の偏光素子の分光透過率を図12に示す。この素子では、青色帯域においてはx偏光を反射しy偏光を透過させ、緑色帯域においてはどちらの偏光に対しても反射し、赤色帯域においてはx偏光を反射しy偏光を透過する偏光素子として動作することが判る。このように、本発明の偏光素子では設計波長の異なる薄膜層を組み合わせることにより、異なる波長帯域で動作する偏光素子として用いることが可能である。
次に本発明の第6の実施例である投射型画像表示装置について説明する。
本発明の投射型画像表示装置100の構成概略図を図13に示す。図13の投射型画像表示装置では、まず光源101から発せられた自然光である白色照明光102(実線+点線)は偏光変換素子103は偏光分離素子とλ/2板により構成された偏光変換素子103を通過する。偏光変換素子103は入射する自然光を直交する2つの偏光に分離し、分離したうちの一方の偏光はλ/2板を通過することにより、一様な偏光(実線)に変換される。照明光102はその後ダイクロイックミラー105により青色光と赤、緑色光に分離される。その後、赤、緑色光は本発明の第1の実施例の偏光分離素子(以下PBS)109により、赤色照明光104r、緑色照明光104gに分離される。各色の照明光104g、104b、104rはそれぞれの色に対応した位相差板112g、112b、112rを通過した後に画像表示素子111b、111g、111rを照明する。ここで各色の照明光104g、104b、104rは画像表示素子111g、111b、111rにより画像光115g、115b、115rへと変換される。画像光115g、115b、115rはPBS108、109や合成プリズム118により各色合成され、投射レンズ120によりスクリーンへ投射することで画像を表示する。
ここで偏光変換素子103や、PBS108、109に本発明の実施例1乃至5の偏光素子を用いる。特にPBS109に用いることで、異なる2つの波長帯域の光を透過側と反射側の、異なる2つの方向に分離することができ、光学系を簡易に簡略化できる。従来の偏光分離素子を用いる場合でも、PBS109とダイクロイックミラー105の間に色選択性位相差板と呼ばれる、一方の波長帯域の偏光を90度回転させる素子を配置することで同様の光学系は実現可能である。しかし色選択性位相差板として延伸フィルム等を積層したものを用いる場合、信頼性の点で懸念がある。また出射される画像光115r、115gの偏光が直交しているため、出側光路において偏光板等による不要光の検光が困難となるためコントラストを高めることができない。本発明の偏光素子を用いることで、低コストかつ簡易に図13の光学系を取ることが出来、同時に出射側での不要光の検光も簡易に行うことが出来るため、高コントラストの投射型画像表示装置が得られる。
投射型画像表示としては図13以外にも様々な方式があり、液晶型の画像表示素子を用いる場合には偏光光で照明するため、本発明の偏光素子を用いた偏光変換素子103を用いることができる。特に反射型の液晶画像表示素子を用いる場合には照明光と画像光の分離にもPBSが用いられるため、効果的に本発明の偏光素子が適用できる。またそれ以外の構成でも、3D投影などで偏光分離素子を用いて画像光を合成する場合などでPBSが用いられる場合がある。以上のように本発明の投射型画像表示装置は図12の構成のみに限定されるものではなく、偏光分離素子を用いる様々な投射型画像表示装置に適用可能である。
1 偏光素子、2 基板、3 基板、4 偏光分離面、5 x偏光、6 y偏光、
10 屈折率異方性膜、11 屈折率異方性膜、100 投射型画像表示装置、
103 偏光変換素子、104r,104g,104b 照明光、
105 ダイクロイックミラー、108 偏光分離素子、109 偏光分離素子、
111r,111g,111b 画像表示素子、
112r,112g,112b 位相差板、
115r,115g,115b 画像光、118 合成プリズム

Claims (9)

  1. 素子に入射する偏光のうち、ある一方の方向に振動する偏光を透過し、それと直交する方向に振動する偏光を反射または吸収する偏光素子であって、
    該偏光素子は基板と、基板上に2種類以上の特性の異なる薄膜層を繰り返し積層した構造を有し、
    該薄膜層のうち少なくとも1種類は、屈折率異方性を有する層であり、
    該屈折率異方性層と隣接する薄膜層の間における、ある一方の偏光またはそれと直交する偏光に対する屈折率差が0.1以上あり、
    入射媒質の屈折率np、薄膜層への入射角度θ、該薄膜層の任意の偏光に対する最小屈折率nとしたとき、下記条件式を満たすことを特徴とする偏光素子。
    1.0 ≦ np < n/sinθ
  2. 該一方の方向に振動する偏光に対する、単位繰り返し層あたりの平均光路長をLx、それと直交する方向に振動する偏光に対する平均光路長Lyとしたとき、
    LxとLyの差が25nm以上であることを特徴とする請求項1に記載の偏光素子。
  3. 前記屈折率異方性層の主屈折率の最大値と最小値の差をΔnとしたとき、Δnは0.1以上であることを特徴とする請求項1に記載の偏光素子。
  4. 前記偏光素子は該偏光素子に入射する光線に対し、
    前記一方の方向に振動する偏光に対して第一波長帯域における透過率が高く、前記第一波長帯域と異なる第二波長帯域における透過率が低く、
    前記一方の方向と直交する方向に振動する偏光に対して前記第一波長帯域における透過率が低く、前記第二波長帯域における透過率が高い光学特性を有し、
    該第一波長帯域および該第二波長帯域の中心波長は40nm以上離れており、
    かつ該第一波長帯域および該第二波長帯域は共に20nm以上の帯域幅があることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の偏光素子。
  5. 前記入射角度θは、40deg以上50deg以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の偏光素子。
  6. 前記偏光素子を構成する繰り返し層のうち、面内屈折率異方性が最小の層の膜厚をd1、最大の層の膜厚をd2としたとき、
    d1<d2を満たすことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の偏光素子。
  7. 前記屈折率異方性層において、最大屈折率の方向もしくは最小屈折率の方向が面内方向であることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の偏光素子。
  8. 前記偏光素子は前記積層薄膜層がプリズム基板に挟まれた構造からなり、該プリズム基板の屈折率は1.6以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載の偏光素子。
  9. 請求項1乃至請求項8の何れか一項に記載の偏光素子を有する投射型画像表示装置。
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