JP2017083349A - 抗体依存性細胞傷害活性に基づく抗体の分析方法 - Google Patents
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(A)ヒト免疫グロブリンとヒトFc結合性タンパク質を固定化した担体と標識物質を結合した抗ヒト免疫グロブリン抗体とを反応させることで抗体依存性細胞障害活性の強さに基づきヒト免疫グロブリンを分析する方法であって、ヒト免疫グロブリンとヒトFc結合性タンパク質を固定化した担体との反応を酸性条件で行なう、前記方法。
(i)配列番号1に記載の野生型Fc結合性タンパク質のアミノ酸配列のうち少なくとも17番目から192番目までのアミノ酸残基を含むポリペプチドや、
(ii)配列番号1に記載の野生型Fc結合性タンパク質のアミノ酸配列のうち少なくとも17番目から192番目までのアミノ酸残基を含み、かつ前記アミノ酸のうちの一つ以上が他のアミノ酸に置換、挿入または欠失したポリペプチド、
があげられる。前記(ii)の一態様としては、WO2015/041303号に記載のポリペプチドがあげられる。また前記(ii)の別の態様としては、配列番号2に記載の配列からなるポリペプチドがあげられる。また前記(ii)のさらに別の態様としては、配列番号4に記載のアミノ酸配列のうち33番目から208番目までのアミノ酸残基を含み、かつ当該33番目から208番目までのアミノ酸残基において以下の(1)から(84)のうち少なくともいずれか1つのアミノ酸置換が生じたポリペプチドがあげられる(特願2015−115078号)。
(1)配列番号4の45番目のフェニルアラニンがイソロイシンまたはロイシンに置換
(2)配列番号4の55番目のグルタミン酸がグリシンに置換
(3)配列番号4の64番目のグルタミンがアルギニンに置換
(4)配列番号4の67番目のチロシンがセリンに置換
(5)配列番号4の77番目のフェニルアラニンがチロシンに置換
(6)配列番号4の93番目のアスパラギン酸がグリシンに置換
(7)配列番号4の98番目のアスパラギン酸がグルタミン酸に置換
(8)配列番号4の106番目のグルタミンがアルギニンに置換
(9)配列番号4の128番目のグルタミンがロイシンに置換
(10)配列番号4の133番目のバリンがグルタミン酸に置換
(11)配列番号4の135番目のリジンがアスパラギンまたはグルタミン酸に置換
(12)配列番号4の156番目のスレオニンがイソロイシンに置換
(13)配列番号4の158番目のロイシンがグルタミンに置換
(14)配列番号4の187番目のフェニルアラニンがセリンに置換
(15)配列番号4の191番目のロイシンがアルギニンに置換
(16)配列番号4の196番目のアスパラギンがセリンに置換
(17)配列番号4の204番目のイソロイシンがバリンに置換
(18)配列番号4の34番目のメチオニンがイソロイシン、リジンまたはスレオニンに置換
(19)配列番号4の37番目のグルタミン酸がグリシンまたはリジンに置換
(20)配列番号4の39番目のロイシンがメチオニンまたはアルギニンに置換
(21)配列番号4の49番目のグルタミンがプロリンに置換
(22)配列番号4の62番目のリジンがイソロイシンまたはグルタミン酸に置換
(23)配列番号4の64番目のグルタミンがトリプトファンに置換
(24)配列番号4の67番目のチロシンがヒスチジンまたはアスパラギンに置換
(25)配列番号4の70番目のグルタミン酸がグリシンまたはアスパラギン酸に置換
(26)配列番号4の72番目のアスパラギンがセリンまたはイソロイシンに置換
(27)配列番号4の77番目のフェニルアラニンがロイシンに置換
(28)配列番号4の80番目のグルタミン酸がグリシンに置換
(29)配列番号4の81番目のセリンがアルギニンに置換
(30)配列番号4の83番目のイソロイシンがロイシンに置換
(31)配列番号4の84番目のセリンがプロリンに置換
(32)配列番号4の85番目のセリンがアスパラギンに置換
(33)配列番号4の87番目のアラニンがスレオニンに置換
(34)配列番号4の90番目のチロシンがフェニルアラニンに置換
(35)配列番号4の91番目のフェニルアラニンがアルギニンに置換
(36)配列番号4の93番目のアスパラギン酸がバリンまたはグルタミン酸に置換
(37)配列番号4の94番目のアラニンがグルタミン酸に置換
(38)配列番号4の97番目のバリンがメチオニンとグルタミン酸に置換
(39)配列番号4の98番目のアスパラギン酸がアラニンに置換
(40)配列番号4の102番目のグルタミン酸がアスパラギン酸に置換
(41)配列番号4の106番目のグルタミンがロイシンに置換
(42)配列番号4の109番目のロイシンがグルタミンに置換
(43)配列番号4の117番目のグルタミンがロイシンに置換
(44)配列番号4の119番目のグルタミン酸がバリンに置換
(45)配列番号4の121番目のヒスチジンがアルギニンに置換
(46)配列番号4の130番目のプロリンがロイシンに置換
(47)配列番号4の135番目のリジンがチロシンに置換
(48)配列番号4の136番目のグルタミン酸がバリンに置換
(49)配列番号4の141番目のヒスチジンがグルタミンに置換
(50)配列番号4の146番目のセリンがスレオニンに置換
(51)配列番号4の154番目のリジンがアルギニンに置換
(52)配列番号4の159番目のグルタミンがヒスチジンに置換
(53)配列番号4の163番目のグリシンがバリンに置換
(54)配列番号4の165番目のリジンがメチオニンに置換
(55)配列番号4の167番目のフェニルアラニンがチロシンに置換
(56)配列番号4の169番目のヒスチジンがチロシンに置換
(57)配列番号4の174番目のチロシンがフェニルアラニンに置換
(58)配列番号4の177番目のリジンがアルギニンに置換
(59)配列番号4の185番目のセリンがグリシンに置換
(60)配列番号4の194番目のセリンがアルギニンに置換
(61)配列番号4の196番目のアスパラギンがリジンに置換
(62)配列番号4の201番目のスレオニンがアラニンに置換
(63)配列番号4の203番目のアスパラギンがイソロイシンまたはリジンに置換
(64)配列番号4の207番目のスレオニンがアラニンに置換
(65)配列番号4の94番目のアラニンがセリンに置換
(66)配列番号4の98番目のアスパラギン酸がグルタミン酸に置換
(67)配列番号4の117番目のグルタミンがアルギニンに置換
(68)配列番号4の174番目のチロシンがヒスチジンに置換
(69)配列番号4の181番目のリジンがグルタミン酸に置換
(70)配列番号4の203番目のアスパラギンがアスパラギン酸またはチロシンに置換
(71)配列番号4の56番目のリジンがグルタミンに置換
(72)配列番号4の62番目のリジンがアスパラギンに置換
(73)配列番号4の66番目のアラニンがスレオニンに置換
(74)配列番号4の72番目のアスパラギンがチロシンに置換
(75)配列番号4の78番目のヒスチジンがロイシンに置換
(76)配列番号4の81番目のセリンがグリシンに置換
(77)配列番号4の90番目のチロシンがヒスチジンに置換
(78)配列番号4の138番目のアスパラギン酸がグルタミン酸に置換
(79)配列番号4の153番目のヒスチジンがグルタミンに置換
(80)配列番号4の156番目のスレオニンがアラニン、アルギニン、ロイシン、リジン、フェニルアラニン、セリン、バリンまたはメチオニンに置換
(81)配列番号4の157番目のチロシンがフェニルアラニンに置換
(82)配列番号4の174番目のチロシンがロイシン、システイン、イソロイシン、リジン、トリプトファンまたはバリンに置換
(83)配列番号4の206番目のイソロイシンがバリンに置換
(84)配列番号4の207番目のスレオニンがイソロイシンに置換
本発明におけるFc結合性タンパク質中、特定位置のアミノ酸残基については、抗体結合活性を有する限り前述したアミノ酸以外のアミノ酸に置換してもよい。その一例として、両アミノ酸の物理的性質と化学的性質またはそのどちらかが類似したアミノ酸間で置換する保守的置換があげられる。保守的置換は、Fc結合性タンパク質に限らず一般に、置換が生じているものと置換が生じていないものとの間でタンパク質の機能が維持されることが当業者において知られている。保守的置換の一例としては、グリシンとアラニン間、アスパラギン酸とグルタミン酸間、セリンとプロリン間、またはグルタミン酸とアラニン間に生じる置換があげられる(タンパク質の構造と機能,メディカル・サイエンス・インターナショナル社,9,2005)。また本発明におけるFc結合性タンパク質には糖鎖を付加されていてもよいし、付加されていなくてもよい。
(1)配列番号2に記載したヒトFc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチド(配列番号3)を含む発現ベクターpTrcFcR9T8−R1を特開2014−223064号にて開示した方法にて作製し、当該発現ベクターを用いて大腸菌を形質転換して得られた組換え大腸菌を、特開2012−034591号公報および特開2013−085531号公報に記載の方法を参考に培養することで、前記タンパク質を発現させた。
(2)組換え大腸菌の培養液より菌体を回収後、特開2013−252099号に記載した抽出液を用いて、菌体内に発現した前記タンパク質を抽出した。
(3)(2)で得られた菌体抽出液から遠心分離により上清を回収し、Fc結合性タンパク質抽出液を得た。
(4)(3)で得られたFc結合性タンパク質抽出液をあらかじめ平衡化緩衝液A(150mmol/L塩化ナトリウム、0.05%(w/v)Tween 20を含んだ20mmol/L Tris−HCl緩衝液(pH 7.5))で平衡化した、アフィニティークロマトグラフィー用ゲル(IgG Sepharose6 Fast Flow、GEヘルスケア社製)を充填したカラムに添加し、平衡化緩衝液Aで十分洗浄後、0.1mol/Lグリシン−HCl緩衝液(pH 3.0)でFc結合性タンパク質を溶出し、高純度に精製したヒトFc結合性タンパク質を含む溶液を得た。
(1)ELISA測定用96穴プレート(Immunoplate Maxisorp、ThermoScientific社製)の各ウェルに、1.0μg/mLとなるようTBS(Tris−Buffered Saline)緩衝液にて希釈したFc結合性タンパク質を100μL添加し、4℃で一晩(16時間)反応することで、ELISAプレートへのヒトFc結合性タンパク質の固定化反応を実施した。
(2)0.05%(w/v)Tween 20を含んだTBS緩衝液(TBST緩衝液)350μLにて各ウェルを3回洗浄した。
(3)を0.5%(w/v)のウシ血清アルブミンを含んだTBS緩衝液を200μL/ウェル添加し、30℃にて1時間、または4℃で一晩(16時間)ブロッキング操作を実施した。
(4)(3)で作製したヒトFc結合性タンパク質を固定化したELISAプレートを使用時まで4℃にて保存した。
(1)以下に示す緩衝液のいずれかを用いて、糖鎖含有ヒト抗体濃度0.01mg/Lから10mg/Lの希釈系列を作製し、作製した希釈系列の抗体溶液を実施例2で作製したヒトFc結合性タンパク質を固定化したプレートのウェルに100μL添加した。
150mMの塩化ナトリウムを含んだ20mMリン酸緩衝液(pH7.4)
150mMの塩化ナトリウムを含んだ20mM酢酸緩衝液(pH5.5)
150mMの塩化ナトリウムを含んだ20mM酢酸緩衝液(pH5.0)
150mMの塩化ナトリウムを含んだ20mM酢酸緩衝液(pH4.5)
150mMの塩化ナトリウムを含んだ20mM酢酸緩衝液(pH4.0)
150mMの塩化ナトリウムを含んだ20mMクエン酸緩衝液(pH3.5)
(2)糖鎖含有抗体希釈系列を添加したプレートを30℃で1時間静置した後、350μLのTBSTで各ウェルを3回洗浄した。
(3)TBS緩衝液で0.1μg/mLに希釈したanti−hIgG(Fab)−HRP(コスモ・バイオ社製)を標識抗体として各ウェルに100μLずつ添加し、30℃で1時間静置した。
(4)各ウェルを350μLのTBSTで3回洗浄した後、TMB Microwell Peroxdase Substrate(KPL社製)を各ウェルに50μLずつ添加した。
(5)標識酵素HRP(ホースラディッシュペルオキシダーゼ)による発色の後、1Mリン酸水溶液を各ウェル50μL添加し、発色反応を停止し、450nmの吸光度をマイクロプレートリーダー(TECAN社製)にて測定した。
(1)ビニルポリマーゲル(粒子径10μm、東ソー社製)が有するヒドロキシ基を常法によって官能基変換を行ない、ヨードアセチル基にて活性化されたゲルを得た。
(2)(1)で得られた活性化ゲルに、実施例1で調製したヒトFc結合性タンパク質を、ゲル1mLあたり2.5mgの割合で反応させることで、ヒトFc結合性タンパク質固定化ゲルを作製した。
(3)(2)で得られたヒトFc結合性タンパク質固定化ゲル0.5mLを、φ4.6×75mmのステンレスカラムに充填し、分離用Fc結合性タンパク質固定化カラムを作製した。
(4)(3)で作製したヒトFc結合性タンパク質固定化カラムを、高速液体クロマトグラフィー装置(東ソー社製)に接続し、20mMの酢酸緩衝液(pH4.5)で平衡化した。
(5)PBS(Phosphate Buffered Saline)(pH7.4)で4.0mg/mLに希釈した糖鎖含有ヒト抗体(リツキサン、全薬工業社製)を、(4)で平衡化したカラムに流速0.3mL/minで0.15mLアプライした。
(6)流速0.3mL/minのまま20mMの酢酸緩衝液(pH4.5)で2分間洗浄後、10mMのグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)によるpHグラジエント(38分で10mMのグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)が100%となるグラジエント)で吸着した糖鎖構造を有した抗体を溶出した。
(1)実施例4に記載の方法で分離した後、図2に記載のクロマトグラフ中に示されたフラクションA(FrA)、フラクションB(FrB)、およびフラクションC(FrC)の領域を分取した。
(2)分取したFrA、FrBおよびFrCを限外ろ過膜(メルクミリポア社製)で濃縮しながらPBS(10mMリン酸水素二ナトリウム、1.76mMリン酸二水素カリウム、137mM塩化ナトリウム、2.7mM塩化カリウム)(pH7.4)に緩衝液交換した。
(3)濃縮、緩衝液交換したFrA、FrBおよびFrCに含まれる抗体、ならびに分離前の抗体の濃度を280nmの吸光度で測定した。
(4)以下の方法によりADCC活性を測定した。なお測定キットとして、ADCC Reporter Bioassay Core Kit(Promega社製)使用し、製品マニュアルに従い、測定した。
(4−1)1.4mLのLow IgG Serumと33.6mLのRPMI1640培地を混合し、これをADCC Assay Bufferとした。
(4−2)ADCC Assay Bufferを用いてFrA、FrBおよびFrCに含まれる抗体および分離前の抗体を3μg/mLから3倍希釈で8段階の希釈系列を調製した。
(4−3)Raji細胞をADCC Assay Bufferにて約5×105cells/mLに調製し、96ウェルプレート(コーニング社製:3917)に25μL/ウェルで加えた。Raji細胞を加えたwellに(4−2)で調製したFrA、FrB、FrCおよび分離前の抗体希釈系列、ならびにADCC Assay Buffer(ブランク)を、2μL/ウェル加えた。
(4−4)Effector細胞をADCC Assay Bufferにて約3.0×105cells/mLに調製し、Raji細胞および抗体を加えたウェルに25μL/ずつ添加した後、CO2インキュベーター(5%CO2、37℃)で6時間静置した。
(4−5)96穴プレートを室温で5から30分静置した後、Luciferase Assay Reagentを各ウェルに75μL/wellずつ加えた。室温で30分反応させたのち、GloMax Multi Detection System(Promega社製)で発光を測定した。測定した発光強度からブランクの発光強度を引くことで、各溶液の発光強度を求めた。
(1)ADCC活性が高い抗体を含むフラクションであるFrC、ならびにADCC活性の低い抗体を含むフラクションであるFrAおよびFrBについて、150mMの塩化ナトリウムを含んだ20mM酢酸緩衝液(pH4.5)を用いて濃度希釈系列を作製し、作製した希釈系列の抗体溶液を実施例2で作製したFc結合性タンパク質を固定化したELISAプレートのウェルに100μL添加した。
(2)実施例3と同様な方法で、洗浄、標識抗体の添加、発色操作後、450nmの吸光度を測定した。
濃度希釈系列を作製する際に用いる緩衝液として150mMの塩化ナトリウムを含んだリン酸緩衝液(pH7.4)を用いた他は、実施例6と同様な方法でELISA測定した。
Claims (4)
- ヒト免疫グロブリンと、ヒトFc結合性タンパク質を固定化した担体と、標識物質を結合した抗ヒト免疫グロブリン抗体とを反応させることで、抗体依存性細胞障害活性の強さに基づきヒト免疫グロブリンを分析する方法であって、
ヒト免疫グロブリンと、ヒトFc結合性タンパク質を固定化した担体との反応を酸性条件で行なう、前記方法。 - ヒトFc結合性タンパク質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち少なくとも17番目から192番目までのアミノ酸を含み、かつ前記アミノ酸のうちの一つ以上が他のアミノ酸に置換、挿入または欠失したタンパク質である、請求項1に記載の方法。
- ヒトFc結合性タンパク質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち少なくとも17番目から192番目までのアミノ酸を含むタンパク質である、請求項1に記載の方法。
- 酸性条件がpHが3.0から6.0までの範囲である、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
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