JP2017082529A - 無機質板の固定方法およびそのための治具 - Google Patents

無機質板の固定方法およびそのための治具 Download PDF

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Abstract

【課題】 無機質板を躯体に固定し、その脱落を防止できるその固定方法およびそのための治具の提供。【解決手段】 ブラインドリベットを無機質板の非貫通孔に挿入して、これに線材を係合して躯体に無機質板を固定する。ここで切断されたマンドレルの上端が非貫通孔の外にあるようにすることで、ブラインドリベットの固定強度を上げることができる。無機質板は接着剤により躯体に固定されるが、さらにこのマンドレルヘッドを用いた固定手段を施すことにより、例えば、経時的な劣化などで接着剤などによる固定が十分でなくなった場合でも、ブラインドリベットを用いた固定手段が存在するため、脱落や、脱落に伴う被害を防ぐことができる。つまり、無機質板の躯体への二重化された固定方法が提供される。【選択図】 図1

Description

本発明は、無機質板、とりわけ薄型で大型の陶磁器板を壁などの躯体に固定する方法およびそのための治具に関し、さらに詳しくは無機質板を接着剤などで貼着する固定手段に加えて実施され、その脱落などを防止する方法およびそのための治具に関する。
内装または外装材としてタイルなどの無機質板が広く用いられている。これら無機質板の躯体への施工は、接着剤やモルタルなどで張り付けることに行われる。さらに、最近では目地を少なくでき、施工の簡略化や意匠の多様化を実現可能な大型陶磁器板が実用化され広く利用されてきており、このような大型陶磁器板についてもその施工は接着剤などによる張付けが一般的である。
このような無機質板、とくに大型陶磁器板を壁面などに施工する場合、経年により剥離や割れが発生しても、脱落並びに脱落に伴う被害を抑止することが必要になる。大型陶磁器板は薄型とされ軽量化されているものが多いが、特に大型陶磁器板を外装材としてする場合には、脱落並びに脱落に伴う被害を抑止可能な施工システムが重要になる。
このような施工システムとして、接着剤などによる貼着に加えて、無機質板に穴をあけてタッピングビスなどで固定することが行われている。しかしながら、内装・外装材として化粧面を有するものである場合、穴およびビスの頭は化粧面の意匠を損なう恐れがある。
化粧面の意匠性を損ねない施工方法として、例えば、無機質板の片面に非貫通孔を設け、この孔に円筒形状のコイル状部の全体を挿入してコイル状部の拡開方向の弾発力に基づく摩擦力により該穴に固定する方法が提案されている(特開平8−68183号公報、特許文献1)。この方法では、コイルを孔に挿入するため、ある程度の深さの孔を必要とする。また、非貫通孔に特定構造の係止片を用いて建築板を固定する提案もされているが(特開平11−159102号公報、特許文献2)、この係止片は非貫通孔内壁と点で接触する構造であるため、その係止力には限度があると考えられる。
さらにタイル裏面に凹部を形成し、この凹部にブラインドリベットを挿入し、スリーブを変形させて固定し、このブラインドリベットをタイルの固定に利用することが提案されている(特開2015−10380号公報、特許文献3)。しかしこの文献の提案は、ブラインドリベットを無機質板の固定のために利用するにあたり、最適化される余地を残すものであった。従って、化粧面の意匠性を損ねない施工方法、とりわけ薄型で大型の無機質板の固定方法が依然として求められていると言える。
特開平8−68183号公報 特開平11−159102号公報 特開2015−10380号公報
本発明は、無機質板を躯体に固定し、その脱落を防止できるその固定方法およびそのための治具の提供を目的とする。
そして、本発明による無機質板を躯体に固定する方法は、
(a) 一方の面に非貫通孔を有する無機質板を用意する工程と、
(b) 貫通孔を有するスリーブと、前記スリーブの貫通孔を貫通する、破断可能部が設けられたマンドレルと、前記スリーブの端部に出た前記マンドレルに連結されたマンドレルヘッドとを備えてなるブラインドリベットを用意する工程と、
(c) 前記マンドレルヘッドを前記非貫通孔に挿入し、前記スリーブを押さえながら前記マンドレルを引いて前記スリーブを変形させて、変形したスリーブが前記マンドレルヘッドと前記非貫通孔との隙間を埋めることで前記ブラインドリベットを前記非貫通孔に固定し、さらに前記マンドレルを引いて、前記破断可能部で前記マンドレルを切断する工程と、
(d) 前記ブラインドリベットを躯体に固定する工程と、
(e) 前記非貫通孔を有する面と躯体とを接着剤で貼着し、前記無機質板を躯体に固定する工程とを含んでなり、
前記切断されたマンドレルの上端が、前記非貫通孔の外にあるようにする位置に、前記破断可能部が前記マンドレルに設けられてなることを特徴とする方法である。
また、本発明による機質板を躯体に固定する方法に用いられる治具は、貫通孔を有するスリーブと、前記スリーブの貫通孔を貫通する、破断可能部が設けられたマンドレルと、前記スリーブの端部に出た前記マンドレルに連結されたマンドレルヘッドとを備えてなり、前記切断されたマンドレルの上端が、少なくとも前記非貫通孔を出て、前記無機質板の表面よりも上となる位置に、前記破断可能部が前記マンドレルに設けられてなることを特徴とするブラインドリベットである。
本発明による無機質板の躯体への固定方法を説明する図である。 図2(a)は、図1の無機質板1に設けられた非貫通孔2の拡大図である。図2(b)は、非貫通孔2の拡大断面図であり、図2(c)は断面がアリ穴・逆ハの字の形状の非貫通孔の断面図である。 本発明による方法において用いられるブラインドリベットの一つの例を示す図である。図3(a)は側面図であり、(b)は一部切り欠き断面の側面図である。 ブラインドリベットを無機質板の非貫通孔に固定する工程の説明断面図である。図4(a)は、ブラインドリベット3のマンドレルヘッド35を非貫通孔2に挿入した状態の図であり、(b)はフランジ36を押さえ、マンドレル33を上に引いき、それに伴いスリーブ31が変形して、変形したスリーブ31がマンドレルヘッド35と非貫通孔2との隙間を埋めていく状態の図であり、(c)はマンドレル33を引いて、フランジ36が無機質板1の表面に接触するまたはその直前で隙間が形成されている状態との図であり、(d)はマンドレル33が切断された後の、固定されたブラインドリベット3の状態を示す図である。(d)が示すとおり、切断されたマンドレルの上端は、フランジ36の孔の上端部付近にあり、つまり非貫通孔2を出て、無機質板の表面より上にある。 線材41を空隙37に巻き付けることにより、接続材が接続されたブラインドリベットの図である。 スリーブ31を変形させる前にスリーブ31に線材41を巻き付けておき、その後スリーブ31を変形させて、線材41を変形するスリーブ31に挟み込み、これにより接続材が接続されたブラインドリベットの図である。 図6に示される、線材41が接続されたブラインドリベット3が係止された無機質板1を、躯体51に固定した状態の説明図である。 躯体51の表面52に、複数の無機質板1を張り付けた状態の説明図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明による無機質板の躯体への固定方法を説明する図である。図1において、無機質板1に、非貫通孔2が設けられてなり、この非貫通孔にブラインドリベット3を固定する。通常、ブラインドリベットは、複数の板を一つの貫通孔で止める用途に用いられるものであるが、本発明にあっては、非貫通孔にブラインドリベットのマンドレルヘッドを挿入し、スリーブを抑えながらマンドレルを引いてスリーブを変形させて、変形したスリーブがマンドレルヘッドと非貫通孔との隙間を埋めることで前記ブラインドリベットを非貫通孔に固定し、この固定されたブラインドリベットを、無機質板の躯体への固定に利用する。つまり、固定されたブラインドリベット3に、固定部材としての線材4を結合し、それと反対側の端において線材4を壁などの躯体に固定する。この図の態様にあっては、線材4がリングとされ、そのリングにビスやアンカーボルトなどの固定具5を躯体(図示せず)に打ち込み、無機質板1は固定される。この固定とは別に、無機質板1の非貫通孔2が設けられた面は、接着剤により躯体に固定される。本発明による固定方法は、単独で無機質板を躯体に固定する方法として適用されてもよいが、このような二つの手段により固定され無機質板1は、経時的な劣化などで接着剤などによる固定が十分でなくなった場合でも、もう一つのブラインドリベットを用いた固定手段が存在するため、脱落や、脱落に伴う被害を防ぐことができる。すなわち、本発明によれば、無機質板の躯体への二重化された固定方法が提供される。
本発明による固定方法を、工程ごとに以下説明する。
(a)無機質板を用意する工程
本発明による方法によって固定される無機質板は、例えば陶磁器、石、またはガラスからなるものである。本発明の一つの態様によれば、本発明において無機質板は、平板として、外装または内装の壁、床、天井の仕上げ材や、キャビネット面材やカウンターの仕上げ材に好ましく用いられる。その大きさは限定されないが、本発明による固定方法は、上記のとおり、無機質板の躯体への二重化された固定方法とすることができることから、比較的大型の無機質板に対して好ましく適用される。本発明の一つの態様によれば、無機質板は短辺300mmを超えるものであり、900cmを超える面積を有するものである。無機質板の短辺の長さは、好ましくは600mm以上、より好ましくは900mm以上を有するものである。
さらに本発明の好ましい態様によれば、本発明による固定方法は、比較的薄い無機質板に適用できる。上述のとおり、化粧面の意匠性を損なわないよう化粧面と反対側の面に非貫通孔を設けることになるが、薄い無機質板においては非貫通孔は浅くならざるを得ない。大型の陶磁器板では軽量化のため、例えば厚さは3mm以上15mm程度まで、望ましくは10mm程度までとされる。そして、無機質板の強度等への影響からすると、非貫通孔の深さは薄さのほぼ半分乃至それ以下とされることが望ましい。本発明による固定方法にあっては、このような薄い無機質板における比較的浅い非貫通孔であっても適用が可能である。具体的には、例えば、非貫通孔の深さが6mm以下であるような場合にも適用できる。また、非貫通孔の直径は6mm以上80mm以下が好ましく、8mm以上60mm以下がより好ましく、さらに好ましくは10mm以上50mm以下である。
図2(a)は、図1の無機質板1に設けられた非貫通孔2の拡大図である。さらに、図2(b)は、非貫通孔2の拡大断面図である。図に示される態様において、非貫通孔2は略円形であり、無機質板の表面に対してほぼ垂直な内壁面21を有する。本発明の一つの態様によれば、非貫通孔2の内壁面21はほぼ垂直に限らず、例えば、その断面が図2(c)に示されるようなアリ穴・逆ハの字の形状であってもよく、この場合、内壁面21は無機質板の表面に対して垂直ではない。本発明にあっては、後記するように、ブラインドリベットが、スリーブが変形してマンドレルヘッドと非貫通孔との隙間を埋めることで、非貫通孔に固定される。つまり非貫通孔の大きさは、ブラインドリベットのマンドルヘッドの最大径よりも大であることが必要である。
図2(a)および(b)に示される非貫通孔2の底面22は平面であってよいが、送入されたブラインドリベットの固定を大きく阻害しない限り、特に限定されない。
本発明による無機質板は、その表面に釉薬層を有していてもよい。釉薬の成分は特に限定されない。釉薬層の形成は、成形後に施釉し、成形体と一体的に焼成するか、または、焼成体(仮焼体)に施釉した後に焼成するか、いずれかの方法を用いてもよい。さらに、施釉の前後に乾燥工程を設けてもよい。
(b)ブラインドリベットを用意する工程
図3は、本発明による方法において用いられるブラインドリベットの一つの例を示す図である。図3(a)は側面図であり、(b)は一部切り欠き断面の側面図である。図3において、ブラインドリベット3は、貫通孔32を有するスリーブ31と、スリーブ31の貫通孔32を貫通する、径が細くなった破断可能部34を有するマンドレル(シャフト)33と、スリーブ31の端部に出たマンドレル33に連結されたマンドレルヘッド35とを基本構成として備えてなる。図3のブラインドリベットにあっては、マンドレルヘッドと反対側のスリーブ31に、貫通孔32に対応し、マンドレル33が貫通するフランジ36がスリーブ31と一体的にまたは強く固着されて、さらに設けられてなる。マンドレルヘッド35の高さ(すなわち、マンドレルの連結部分から、非貫通孔2の底面22と接触する箇所までの距離)は、非貫通孔に固定される限り限定されないが、本発明の一つの態様によれば、マンドレルヘッド35の高さは非貫通孔2の深さと同じか、それよりも低いものとされる。
本工程において用意されたブラインドリベットは、後記する工程(c)において無機質板の非貫通孔に固定される。その際、切断可能部においてマンドレルは切断される。本発明にあっては、切断されたマンドレルの上端は、少なくとも前記非貫通孔の外にあり、つまり無機質板の表面よりも上にあることを特徴とする。従って、本工程において用意されるブラインドリベットの切断可能部は、切断されたマンドレルの上端が、非貫通孔の外にあるようにするマンドレル上の位置に設けられなければならない。具体的には、マンドレルヘッドの下端から、切断可能部までの距離が、非貫通孔の深さよりも大であればよい。また、ブラインドリベットがフランジを有し、このフランジが無機質板の表面に留まる態様にあっては、切断されたマンドレルの上端が前記フランジの孔内または孔の外にあるようにする位置に、前記破断可能部が前記マンドレルに設けられてなる。
本発明の別の態様によれば、後記する躯体に接続するための接続材を予めブラインドリベットに設けておくことも可能である。例えば、ブラインドリベットのいずれかの箇所に接続材が接続する部位を設け、これに予め接続材が接続されていてもよい。
(c)ブラインドリベットを非貫通孔に固定する工程
上記のブラインドリベットの無機質板の非貫通孔は以下の通り、4つの手順に分けられる。まず、第1として、図4(a)に示すように、ブラインドリベット3のマンドレルヘッド35を非貫通孔2に挿入する。なお、図4は全て断面図である。
次に、フランジ36を押さえ、これにより同時にスリーブ31を押さえながらマンドレル33を上に引いてゆくと、それに伴いスリーブ31が変形して、変形したスリーブ31がマンドレルヘッド35と非貫通孔2との隙間を埋めていく。図4(b)は、この様子を示す。
さらにマンドレル33を引いて、図4(c)に示されるような、フランジ36が無機質板1の表面に接触するまたはその直前で隙間が形成されている状態とする。図4(c)に示されるように、無機質板1の非貫通孔2と、マンドレルヘッド35との間には変形したスリーブ31が押し込められた状態で存在し、その結果、マンドレルヘッド35は非貫通孔2に固定されることとなる。
そしてさらにマンドレル33を引くと、このマンドレル33に予め設けられていた破断可能部34の箇所で切断される。図4(d)は、マンドレル33が切断された後の、固定されたブラインドリベット3の状態を示す図である。図4の態様にあっては、フランジ36と無機質板1との間に間隙37があり、後記するようにこの間隙37を利用して接続材をブラインドリベットに接続できる。
本発明において、マンドレル33の切断位置、すなわち切断されたマンドレル33の上端38は非貫通孔の外にあり、つまり無機質板の表面よりも上とされる。図4に示される態様のようにフランジ36が設けられた態様にあっては、切断されたマンドレルの上端38は、フランジの孔内または、図4(e)に示されるように、フランジの孔の外に突出して存在していてもよい。本発明にあっては、少なくとも非貫通孔内、さらにはフランジの孔内にマンドレルが存在することで、後記する接続材を接続する接続箇所としてのフランジの強度を向上させ、接続材からの応力に対して変形し難いものとすることができる。また、その上端がフランジの孔から突出したマンドレル自体を、接続材を接続する接続箇所として用いることも可能であり、従って、本発明の別の態様によれば、図に示されるような間隙37を設けずフランジ36を無機質板1の表面に密着してもよく、さらにはフランジ36を有さないブラインドリベットであっても利用が可能である。
本発明においてマンドレルの切断可能部は、切断されたマンドレルの上端38が、非貫通孔の外にあるように、つまり無機質板の表面(つまり非貫通孔がある側の表面。化粧面とは反対側の面)よりも上となるような位置に設けられる。従って、本発明の一つの態様によれば、マンドレルヘッドの下端から、切断可能部までの距離が、非貫通孔の深さよりも大とされる。また、図4に示されるように、マンドレルヘッド35は場合により非貫通孔内において若干浮く、すなわち底面22を離れるように設計されることが好ましい。これにより、接続材の接続強度を容易に確保できる。本発明にあっては、場合によりこの点も勘案して切断可能部の位置を決定することが好ましい。また、本発明の一つの態様によれば、ブラインドリベットがフランジを有し、このフランジが無機質板の表面に留まる。このようなフランジが無機質板の表面に留まる態様にあっては、切断されたマンドレルの上端38がフランジの孔内または孔の外にあるようにされる。さらに上記のように、フランジの孔から突き出したマンドレルを、接続材の接続箇所として用いる場合には、それに必要な長さとなるよう、切断可能部がマンドレルに設けられる。
以上のブラインドリベットを非貫通孔に固定する一連の操作は、市販のブラインドリベット締結工具により行うことができる。
(d)ブラインドリベットの躯体への固定、および(e)無機質基板の躯体への固定
ブラインドリベットの躯体への接続は、本発明の一つの態様によれば、ブラインドリベットのいずれかの箇所に接続材を接続し、この接続材を利用して行われる。無機質板に固定されたブラインドリベットへの接続材の接続は、本発明の一つの態様によれば、ブラインドリベットを無機質板に固定した後、上記したフランジ36と無機質板1との間に間隙37を利用して行われる。図5に示されるように、接続材としての線材41を空隙37に巻き付けることにより、接続材をブラインドリベットに接続してよい。また、本発明の別の態様によれば、上記と通り、その上端がフランジの孔から突出したマンドレル自体を、接続材を接続する接続箇所として用いることもでき、例えば線材を巻き付けてこれを接続する。
また、本発明の別の態様によれば、予め接続材が接続された上記のようなブラインドリベットを用意し、この接続材を用いて躯体への固定を行えば、上記接続材を接続する工程を省略することができる。
さらに、本発明の別の態様によれば、接続材の接続はブラインドリベットを非貫通孔に固定する前に行われてもよく、例えば、ブラインドリベットのいずれかの箇所に接続材が接続する部位を設け、当該部位に接続材を接続したのちに、上記ブラインドリベットの固定操作を行ってもよい。さらに、このような接続材の接続部位を設けなくとも、例えば、スリーブ31を変形させる前にスリーブ31に線材41を巻き付けておき、その後スリーブ31を変形させて、接続材である線材41を変形するスリーブ31に挟み込み、ブラインドリベット3を非貫通孔2に固定するのと同時に接続材を接続することも可能である。図6は、スリーブ31に線材41を巻き付け、その後、スリーブ31を変形させてブラインドリベット3を非貫通孔2に固定した態様の断面図である。図中、42は、スリーブ31の変形に伴い、非貫通孔2と、マンドルヘッド35との間に挟み込まれた線材を示す。
接続材は、結果として二重化された固定手段として、接着等の第一の固定手段が失われたときにも無機質板を係止することができる強度を有するものであればその形状は限定されないが、例えば、線材、テープ状鋼材などが好ましく挙げられる。
次に、ブラインドリベットに接続された接続材の、ブラインドリベットと接続されている端とは反対側の端を躯体に固定する。図7は、図5または6に示される、線材41が接続されたブラインドリベットが固定された無機質板1を、躯体51に固定した状態の説明図である。図において、線材41は、ブラインドリベットに接続された端と反対側の端において、躯体51に打ち込まれた固定点61に固定されている。続いて、無機質板1は、躯体51の表面52と接着剤により貼着される。以上により、無機質板1は、本発明による固定方法と、接着剤による張り付けとの二つの手段により固定される。無機質板1には、経時的な劣化などで接着剤などによる固定が十分でなくなった場合でも、もう一つの本発明によるブラインドリベットを用いた固定手段が存在するため、脱落や、脱落に伴う被害を防ぐことができる。
図8は、躯体51の表面52に、複数の無機質板1を張り付けた状態の説明図である。図において、無機質板1は、非貫通孔2に固定されたブラインドリベットに接続された線材41を固定点61に固定することにより固定される。非貫通孔2は、一つの無機質板1に複数設けられて固定されることが好ましく、図8にあっては、無機質板1枚あたり、三つの非貫通孔を設けて固定されている。さらに、線材と、固定点の関係は、単に固定点から線材を吊下げるのみならず、例えば、図8にあるように、固定点62を非貫通孔2の上で横に設け、線材43を図の矢印の方向に引いて、無機質板1を持ち上げ、固定する態様であってもよい。また、図8にあって、無機質板1は2段に固定されており、下の段の無機質板についての固定点61は上の段の無機質板に隠れるよう構成されている。図8にあっては、固定点61、それにより固定される無機質板の上端よりも上に設けられているが、上端よりも下、すなわち、それにより固定される無機質板に隠れる位置に設けられてもよい。
躯体51に設けられる固定点61は、結果として二重化された固定手段として、接着等の第一の固定手段が失われたときにも無機質板を係止することができる強度を有するものであれば特に限定されないが、例えば、ビス、タッピングビス、アンカーボルトなどが挙げられる。
接着剤としては、無機質板を躯体に接着可能なものであれば限定されないが、合成高分子系の接着剤が好ましい。合成高分子系の接着剤としては、エポキシ系、シリコン系、ウレタン系、アクリル系などが好適に用いられる。これらの接着剤は、常温で液状の接着剤、ホットメルト接着剤、テープ状に成形されたもの、のいずれも好適に使用可能である。
なお、本発明において、大型無機質板の裏面と躯体との接着剤による張り付けは、無機質板と躯体表面との間に下地材が介在する態様も含まれるものとする。この場合、例えば、躯体が鉄骨等の柱である場合には、板状の下地材が躯体に公知の方法で固定されており、この下地材の表面に無機質板を接着剤で張り付ける。また例えば、既設の壁をリフォームする際に本発明の方法を適用する場合、既設の壁面を下地材として、その上に接着剤を用いて無機質板を張り付けても良い。いずれの場合も、固定に用いられるビスやアンカーボルトは躯体に固定されていることが好ましい。
本発明によるブラインドリベット、および躯体に固定された無機質板
以上の説明から明らかなように、本発明の別の態様によれば、上記した本発明による無機質板の固定方法に用いられるブラインドリベットが提供される。このブラインドリベットは、貫通孔を有するスリーブと、スリーブの貫通孔を貫通する、破断可能部が設けられたマンドレルと、スリーブの端部に出たマンドレルに連結されたマンドレルヘッドとを備えてなるブラインドリベットであって、当該破断可能部は、マンドレルを引いて切断する際に、切断されたマンドレルの上端が、少なくとも前記非貫通孔の上端から突出し、かつ無機質板の表面(つまり非貫通孔がある側の表面)よりも上となる位置に、前記破断可能部が前記マンドレルに設けられてなることを特徴とする。
また、本発明によれば、上記した本発明による無機質板の固定方法により固定された無機質板構造物が提供され、この構造物は、一方の面に非貫通孔を有し、この非貫通孔には、ブラインドリベットが固定されてなり、切断されたマンドレルの上端が、少なくとも非貫通孔を出て、前記無機質板の表面(つまり非貫通孔がある側の表面)よりも上にあり、ブラインドリベットが躯体に固定され、さらに貫通孔を有する面と躯体とが接着剤で固定されてなることを特徴とする。
1・・無機質板、2・・非貫通孔、3・・ブラインドリベット、4・・線材、5・・固定具、21・・内壁面、22・・底面、31・・スリーブ、32・・スリーブ貫通孔、33・・マンドレル、34・・破断可能部、35・・マンドレルヘッド、36・・フランジ、37・・フランジと無機質板との間隙、38・・切断されたマンドレル上端、41、43・・線材、42・・線材固定部材、51・・躯体、52・・躯体表面、61・・固定点


Claims (17)

  1. 無機質板を躯体に固定する方法であって、
    (a) 一方の面に非貫通孔を有する無機質板を用意する工程と、
    (b) 貫通孔を有するスリーブと、前記スリーブの貫通孔を貫通する、破断可能部が設けられたマンドレルと、前記スリーブの端部に出た前記マンドレルに連結されたマンドレルヘッドとを備えてなるブラインドリベットを用意する工程と、
    (c) 前記マンドレルヘッドを前記非貫通孔に挿入し、前記スリーブを押さえながら前記マンドレルを引いて前記スリーブを変形させて、変形したスリーブが前記マンドレルヘッドと前記非貫通孔との隙間を埋めることで前記ブラインドリベットを前記非貫通孔に固定し、さらに前記マンドレルを引いて、前記破断可能部で前記マンドレルを切断する工程と、
    (d) 前記ブラインドリベットを躯体に固定する工程と、
    (e) 前記非貫通孔を有する面と躯体とを接着剤で貼着し、前記無機質板を躯体に固定する工程と
    を含んでなり、
    前記切断されたマンドレルの上端が、前記非貫通孔の外にあるようにする位置に、前記破断可能部が前記マンドレルに設けられてなることを特徴とする、方法。
  2. 前記ブラインドリベットが、前記スリーブの一端にあり、前記貫通孔に対応した孔を有するフランジを有し、当該フランジを抑えながら前記マンドレルを引いて前記スリーブが変形されるものであり、かつ前記マンドルが切断された後も前記非貫通孔にブラインドリベットの一部として前記無機質板の表面に止まるものであり、
    前記切断されたマンドレルの上端が前記フランジの孔内または孔の外にあるようにする位置に、前記破断可能部が前記マンドレルに設けられてなる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記マンドレルヘッドの高さが、前記非貫通孔の深さと同じか、それよりも低い、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記ブラインドリベットの前記躯体への固定が、前記ブラインドリベットに接続材を接続し、前記ブラインドリベットに接続されている端とは反対側の前記接続材の端を躯体に固定することにより行なわれる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記ブラインドリベットを前記非貫通孔に固定した後に、前記接続材が前記ブラインドリベットに接続される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記ブラインドリベットを前記非貫通孔に固定する前に、前記接続材が前記ブラインドリベットに接続される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記フランジに前記接続材が接続される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記スリーブを変形させる際に、前記接続材を変形する前記スリーブまたは前記フランジとの間に挟み込む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記工程(b)において接続材が予め固定されたブラインドリベットを用意し、前記ブラインドリベットの前記躯体への固定が、前記ブラインドリベットに接続されている端とは反対側の前記接続材の端を躯体に固定することにより行なわれる、請求項1〜3および7のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記非貫通孔が、アリ穴(逆ハ)の形状である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記接続材が線材である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記無機質板が、陶磁器、石、またはガラスからなるものである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記無機質板が一辺900mm以上、厚さ10mmまでのものである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記非貫通孔の深さが、前記無機質板の厚さの半分以下である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記非貫通孔の深さが6mm以下である、請求項14に記載の方法。
  16. 請求項1〜15のいずれか一項に記載の無機質板を躯体に固定する方法に用いられるブラインドリベットであって、
    貫通孔を有するスリーブと、前記スリーブの貫通孔を貫通する、破断可能部が設けられたマンドレルと、前記スリーブの端部に出た前記マンドレルに連結されたマンドレルヘッドとを備えてなり、前記切断されたマンドレルの上端が、少なくとも前記非貫通孔を出て、前記無機質板の表面よりも上となる位置に、前記破断可能部が前記マンドレルに設けられてなることを特徴とする、ブラインドリベット。
  17. 躯体に固定された無機質板構造物であって、
    一方の面に非貫通孔を有し、
    当該非貫通孔には、ブラインドリベットが固定されてなり、切断されたマンドレルの上端が、少なくとも前記非貫通孔を出て、前記無機質板の表面よりも上にあり、
    前記ブラインドリベットが躯体に固定され、さらに
    前記非貫通孔を有する面と躯体とが接着剤で固定されてなることを特徴とする、構造物。
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