JP2017082473A - 断熱シートとそれを含む建築用材又は構築用材並びにそれに用いる気泡シート - Google Patents

断熱シートとそれを含む建築用材又は構築用材並びにそれに用いる気泡シート Download PDF

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Abstract

【課題】 比較的薄くて柔軟性に富み、断熱効果に優れるとともに、製造に際しオゾン層破壊ガスや温室効果ガスを必要としない断熱シートとそれを含む建築用材並びに構築用材、さらには当該断熱シートに用いる気泡シートを提供することを課題とする。
【解決手段】 片面に黒色層を有する第1赤外線反射層と、前記黒色層を挟んで前記第1赤外線反射層と距離を隔てて対向する第2赤外線反射層と、前記黒色層と前記第2赤外線反射層との間に配置された気泡シートを備える断熱シート、これを含む建築用材並びに構築材、及び前記断熱シートに適した気泡シートを提供することによって上記の課題を解決する。
【選択図】 図1

Description

本発明は断熱シートとそれを含む建築用材又は構築用材並びにそれに用いる気泡シートに関するものであり、建築物は勿論、船舶、航空機、自動車、その他構造物の断熱に使用して好適な断熱シートとそれに用いる気泡シートに関するものである。
建築物や構造物における断熱は、暖房費や冷房費の節約という観点からはもとより、地球的規模での省エネルギーの観点からも重要なテーマであり、従来から種々の提案が為されている。
例えば、特許文献1には、金属製表面材間に硬質ウレタンフォームが充填された高断熱性パネルが開示されている。この高断熱性パネルは優れた外観品質を有し、かつ、優れた断熱特性を有するとされている。しかしながら、この高断熱性パネルは、金属製表面材間に硬質ウレタンフォームを充填するために、発泡剤として1,1−ジクロロ−1−フロロエタンを使用するものである。この発泡剤は、いわゆる代替フロンと呼ばれるものであり、オゾン破壊係数は小さいとはされるものの、COガスの約700倍もの地球温暖化係数を持っているといわれているので、地球温暖化の防止、抑制という観点からはできるだけ使用を避けたい材料である。また、この高断熱性パネルは一定以上の厚みを有するパネルであり、これを建築物や構築物に採用すると、壁厚や床厚が長大となり、居住空間や利用可能空間が狭くなってしまうという欠点を有している。
また、特許文献2には、シート基材に断熱塗料を塗布し、これを乾燥させることによって形成される断熱シートが開示されている。断熱塗料は、断熱したい場所に塗布するだけで良く、極めて施工性に優れるものであるが、その反面、単に塗布するだけであるので外界からの刺激に弱く、風、雨、埃、人、又は家具などとの接触による物理的な力によって塗膜が摩耗したり、塗膜表面に汚れが付着して、赤外線反射率が低下し、遮熱性又は断熱性が次第に失われていくという欠点を有している。また、断熱塗料は、セラミック球などの微少な断熱材を含んでいるので、一般的に塗布が困難で熟練を要するという問題点がある。
さらに、特許文献3には、表面にアルミ層を有する樹脂製の気泡シートを複数積層してなる断熱シートが開示されている。この断熱シートは、積層される気泡シートの長さをそれぞれ異なるものとし、パイプ等の対象物に巻き付けた際、各気泡シートが同心状となるように構成されたものである。この断熱シートは、最外層のアルミ層で輻射熱を反射し、その内側に設けられた気泡シートが有する多数の密閉された空気層によって熱伝導を抑制する。更に、気泡シートの内側にも更にアルミ層が設けられ、最外層のアルミ層及びその内側の気泡シートを通過した熱を遮熱することができるとされている。
しかしながら、特許文献3に開示されている断熱シートは、パイプ等の管状物に巻き付けて使用するものであり、用途が極めて限定される上に、対象物に巻き付けたときに層ごとに同心状となるために断熱シートの層ごとの長さを対象物の径に合わせて設定する必要があり、製造工程が煩雑になるという不都合を有している。
さらに、特許文献4には、一方の面には赤外線反射部を設けると共に、他方の面には赤外線吸収部を設けた断熱体を空洞部を介して複数重ね合わせ伝導による熱の伝熱を赤外線に変化させ、断熱させる断熱装置が開示されている。
しかしながら、特許文献4に開示されている断熱装置は、基本的に剛性を備えた柔軟でない断熱装置であり、空洞部を介して断熱体を複数枚重ね合わせる構造上、嵩張ることが避けられず、その適用範囲が限られるという欠点を有している。
特開平08−169071号公報 実用新案登録第3046167号公報 特開2012−246950号公報 特開平05−26391号公報
本発明は従来技術の上記の欠点を解消するために為されたもので、比較的薄くて柔軟性に富み、断熱効果に優れるとともに、構造が簡単で、製造に際し、オゾン層破壊ガスや温室効果ガスを必要としない断熱シートとそれを含む建築用材並びに構築用材、さらには当該断熱シートに用いる気泡シートを提供することを課題とするものである。
上記の課題を解決すべく、本発明者は、熱伝導、熱対流、熱放射の3種類があるとされている伝熱形態のうち、熱放射による伝熱に着目した。すなわち、本発明者は、熱放射による伝熱を抑制することによって断熱する場合には、熱伝導や熱伝達を抑制することによって断熱する場合よりも、断熱構造体の厚みを薄くすることができるのではないかとの予測の下に、種々試行錯誤を重ねた。その結果、本発明者は、外部から熱放射の形態で伝わってくる熱を反射する第1の赤外線反射層と第2の赤外線反射層とを、間に赤外線を吸収する黒色層を挟んで互いに対向するように二層に配置すると、意外にも、比較的厚みの小さな断熱構造体によって、グラスウールやスチレンフォームなどを用いる比較的厚みの大きな従来の断熱構造体と比較して遜色のない断熱効果が得られることを見出し、先に特願2015−18429の明細書に開示した。斯かる断熱構造体は、スチレンフォームやウレタンフォームなどの高分子発泡体を使用しないので、製造に際してオゾン破壊ガスや大きい地球温暖化係数をもった温室効果ガスを必要とせず、地球温暖化の防止に貢献するところが大である断熱構造体である。
その後、本発明者はさらに研究を重ね、前記第1の赤外線反射層と前記第2の赤外線反射層とを、間に赤外線を吸収する黒色層を挟んで互いに対向させるにあたり、一般に梱包等に用いられている気泡緩衝材と同じ構造若しくはこれを改良した気泡シートを使用すると、前記第1及び第2の赤外線反射層、及び前記黒色層を比較的薄く柔軟な材料で構成しても、前記第1の赤外線反射層と前記第2の赤外線反射層との間に必要な一定の間隔を安定的に確保することができ、しかも、気泡シート自体も柔軟性を有しているので、全体として、軽くて薄く、かつ柔軟性を有する断熱シートが得られることを見出した。
すなわち、本発明は、片面に黒色層を有する第1赤外線反射層と、前記黒色層を挟んで前記第1赤外線反射層と距離を隔てて対向する位置に配置された第2赤外線反射層と、中空状に膨出する複数の突起が形成されたキャップフィルムに、前記突起内に空気を封入するバックフィルムを積層してなる気泡シートであって、前記黒色層と前記第2赤外線反射層との間に配置され、前記第1赤外線反射層と前記第2赤外線反射層との間に前記距離を確保する気泡シートとを備え、前記第1赤外線反射層、前記黒色層、前記気泡シート、及び前記第2赤外線反射層のいずれもが柔軟性のある材料で構成され、全体として柔軟性を有する断熱シートを提供することによって、上記の課題を解決するものである。
本発明の断熱シートは、片面に黒色層を有する第1赤外線反射層と、第2赤外線反射層とを、間に気泡シートを挟んで対向配置するだけの簡単な構成であるので製造が容易であるという利点を有している。また、ウレタンフォームやスチレンフォームなどの高分子発泡体を使用しないので、製造に際してオゾン破壊性ガスや大きな地球温暖化係数をもった温室効果ガスを必要とせず、環境負荷が小さく、地球温暖化に悪影響を及ぼす恐れがないという利点を有している。
さらに、本発明の断熱シートは、前記第1赤外線反射層、前記黒色層、前記気泡シート、及び前記第2赤外線反射層のいずれもが柔軟性のある材料で構成されているので、全体として柔軟性を有し、断熱が求められる箇所の形状に合わせて適宜曲折させて曲面や角部などの断熱にも何らの不都合なく使用できるばかりでなく、巻き取ってロール状にして保存、運搬ができる。また、本発明の断熱シートは、基本的に剛性を備えた材料を使用しないので、適宜の箇所で切断が可能であり、施工現場等において必要な大きさに適宜切断して使用することができるという利点を有している。
本発明の断熱シートにおいて、前記気泡シートは、気泡シートを構成する複数の前記突起が前記第2赤外線反射層側に位置し、前記バックフィルムが前記黒色層側に位置する向きに配置されるのが好ましい。気泡シートを構成するバックフィルム及びキャップフィルムは、通常、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂を単独で、又は二種以上を混合して製造され、基本的に赤外線透過性に優れているが、気泡シートのバックフィルムが第2赤外線反射層の側に位置する場合には、第2赤外線反射層の全面がバックフィルムで覆われ、第2赤外線反射層による赤外線の反射が妨げられる恐れがある。これに対し、気泡シートの複数の突起が第2赤外線反射層側に位置する場合には、複数の突起間には間隙があるので、少なくとも突起の存在しない間隙部分では第2赤外線反射層が露出し、露出部における赤外線反射は妨げられることはない。その結果、より高い断熱効果を得ることができる。
さらに、本発明の断熱シートにおいては、前記気泡シートにおける複数の前記突起間の間隔をd、前記突起の半径をrとすると、d≧(1/4)rの関係にあるのが好ましく、d≧(1/2)rの関係にあるのがより好ましい。通常の梱包に用いられる気泡緩衝材においては、対象物を柔らかく包み込むために、複数の突起は極めて密に配置されており、本発明者が調べたところによれば、突起間の間隔dは、突起の半径rの(1/5)程度に設定されている。このような通常市販されている気泡緩衝材を本発明における気泡シートとして用いることは勿論可能であるが、突起間の間隔dが突起半径rに比して小さいと、気泡シートを、その複数の突起が第2赤外線反射層側に位置するように配置しても、第2赤外線反射層の大部分は突起を構成するキャップフィルムで覆われてしまい、第2赤外線反射層による赤外線の反射効率が低下する恐れがある。これに対し、突起間の間隔dが突起半径rに比して比較的大きく、d≧(1/4)r、より好ましくはd≧(1/2)rの関係にある気泡シートを用いる場合には、突起間の間隔が大きいので、複数の突起が第2赤外線反射層側に位置するように気泡シートを配置すると、第2赤外線反射層の露出面積が大きくなり、赤外線の反射効率が高まり、より高い断熱効果を期待することができる。また、突起の上面と第2赤外線反射層との接触面積も小さくなるので、バックフィルム及びキャップフィルムを介した伝導による伝熱量も小さくなり、本発明の断熱シートによる断熱効果をより一層高めることができるという利点も得られる。
同様の観点から、本発明の断熱シートに用いる気泡シートは、複数の前記突起の上面の面積が底面の面積よりも小さい気泡シートであるか、又は複数の前記突起の上面にさらに上方に突出した凸部を備えている気泡シートであるか、若しくはその両方を兼ね備えた気泡シートであるのが好ましい。すなわち、突起の上面の面積が底面の面積よりも小さい場合には、このような気泡シートを複数の突起が第2赤外線反射層側に位置するように配置すると、大きな面積の底面で突起自体の強度は確保しつつ、第2赤外線反射層と突起上面との接触面積を小さくすることができるので、第2赤外線反射層の露出面積が大きくなり、赤外線反射効率が高まるとともに、バックフィルム及びキャップフィルムを介した伝導による伝熱量も下がり、本発明の断熱シートによる断熱効果をより高めることができるという利点が得られる。なお、上面の面積が底面の面積よりも小さい突起の形状としては、例えば、円錐台形、多角錐台形、楕円錘台形、又は長円錐台形の形状を有する突起が挙げられるが、突起の形状はこれらに限られるものではない。
同様に、複数の前記突起が突起の上面にさらに上方に突出した凸部を備えている場合には、そのような気泡シートを複数の突起が第2赤外線反射層側に位置するように配置すると、複数の突起はそのさらに突出した凸部で第2赤外線反射層と接触することになり、突起上面と接触しない第2赤外線反射層の面積が大きくなり、赤外線反射効率がより一層高まるとともに、バックフィルム及びキャップフィルムを介した熱伝導による伝熱量もより小さくなり、本発明の断熱シートによる断熱効果をより高めることができるという利点が得られる。
なお、突起の上面の面積と底面の面積とが同じでなく、上面の面積が底面の面積よりも小さい場合には、突起上面の半径が前記突起半径rとなり、突起上面での突起間の間隔が前記突起間隔dということになる。また、突起底面の面積とはバックフィルム面上での各突起の面積をいい、突起上面の面積とはキャップフィルム上面での各突起の面積を意味している。さらに、突起のバックフィルムと平行な面での断面形状が円でない場合には、同じ面積を有する円を想定し、その半径をもって突起半径rとすれば良い。また、突起間の間隔dとは隣接する2つの突起間での最小の間隔をいうものとする。
さらに、本発明の断熱シートに用いる気泡シートは、気泡シートの外周部及び/又は内部に、少なくとも前記突起の外径よりも大きい幅で前記突起が存在しない帯状領域を有しているのが好ましい。気泡シートがこのような帯状領域を有している場合には、その帯状領域の部分では第1赤外線反射層と第2赤外線反射層とを、間に黒色層を挟んで極めて接近させることができ、本発明の断熱シートに他の部分に比べて厚さを薄い帯状の凹部を形成することができる。この帯状の凹部は、本発明の断熱シートを、例えば、建築物又は構築物の枠体や断熱パネルの枠体に取り付けるときの取付部として利用することができる。
本発明の断熱シートにおいて、第1赤外線反射層と第2赤外線反射層との間の距離は、断熱効果が得られる限り何ら限定されるものではないが、断熱効果をより高めるという観点からは、前記黒色層と前記第2赤外線反射層との距離が3〜12mmの範囲にあるのが好ましく、6〜12mmの範囲にあるのがより好ましく、6〜10mmの範囲にあるのがさらに好ましい。前記距離が3mm未満若しくは12mm超であっても断熱効果が得られないという訳ではないが、3〜12mmの範囲内である場合に比べて、断熱効果が低下する傾向がある。なお、前記距離は、断熱シートの全面にわたって均一であるのが望ましい。前記距離が断熱シートの全面にわたって均一である場合、黒色層と第2赤外線反射層とは平行に配置されることになり、黒色層の厚さが断熱シートの全面にわたって均一である場合、第1赤外線反射層と第2赤外線反射層とは平行に配置されることになる。
本発明の断熱シートにおいては、第1赤外線反射層と第2赤外線反射層との距離が最大でも12mm程度あれば比較的良い断熱効果が得られるので、グラスウールやスチレンフォームなどを用いる従来の断熱構造体に比べて、断熱シートの厚みを小さく、薄くすることができるという利点が得られる。
本発明の断熱シートは、その好ましい一態様において、第1赤外線反射層の黒色層とは反対側の面に、第1赤外線反射層の前面に空間を確保する前面スペーサが配置されている。本発明の断熱シートがこのような前面スペーサを備えている場合には、本発明の断熱シートを熱源構造体に取り付ける際、第1赤外線反射層の前面には、常に、入射してくる赤外線を反射する空間が確保されることになり、本発明の断熱シートの断熱効果をより的確に発揮させることができる。
前記前面スペーサとしては、前記黒色層と第2赤外線反射層との間に配置される気泡シートと同様に、中空状に膨出する多数の突起が形成されたキャップフィルムに、前記突起内に空気を封入するバックフィルムを積層してなる気泡シートを用いることができる。前面スペーサが気泡シートである場合には、前面スペーサを取り付けても断熱シート全体の重量をさほど増加させないので、断熱シートを軽量に保つことができるとともに、気泡シートは一般に柔軟性を有しているので、そのような気泡シートを前面スペーサとして取り付けても断熱シート全体の柔軟性を損なう恐れがない。
因みに、前面スペーサとして気泡シートを用いる場合には、気泡シートを構成する突起が第1赤外線反射層側に位置し、気泡シートを構成するバックフィルムがその反対側に位置する向きに配置されるのが望ましい。気泡シートが前面スペーサとしてこの向きに配置される場合には、第1赤外線反射層の反射面が気泡シートを構成するバックフィルムで覆われないので、第1赤外線反射層による赤外線の反射効率が損なわれる恐れがない。なお、前記黒色層と第2赤外線反射層との間に配置される上述した気泡シートと同じ気泡シートを前面スペーサとして用いても良いことは勿論であり、その場合には、用いる気泡シートにおける複数の突起の配置、形状、構造に応じて、上述したと同様の効果が得られることになるのはいうまでもない。
本発明の断熱シートは、その好ましい一態様において、第2赤外線反射層の気泡シートとは反対側に潜熱蓄熱材層を有している。潜熱蓄熱材とは、よく知られているように、物質が相転移の際に熱量を潜熱として吸収又は放出する現象を利用した蓄熱材であり、本発明の断熱シートがこのような潜熱蓄熱材層を備える場合には、第2赤外線反射層を通過する熱を、さらにこの潜熱蓄熱材層において潜熱として吸収し、その断熱効果をより一層高いものとすることができる。
さらに、本発明は、上述した本発明の断熱シートを含む建築用床材、建築用壁材、建築用天井材などの建築用材、又は、船舶、航空機、自動車、又はその他構造物の隔壁用材、側壁用材、床用材、天井用材、又は屋根用材などの構築用材を提供することによって上記の課題を解決するものである。なお、上記建築用材又は構築用材が本発明の断熱シートを含むとは、本発明の断熱シートそのものが上述した建築用材や構築用材である場合や、本発明の断熱シートに、例えば、補強部材、支持部材、保護部材、建築用材又は構築用材として必要とされる他の部材、装飾部材などが付加されている場合の双方を包含する。
本発明の断熱シートを含む建築床材を用いて建築物の床を構築する場合には、例えば冬季においては、暖かい室内から床下への熱の散逸が防止され、いわゆる内断熱と呼ばれる断熱が実現される。また、本発明の断熱シートを含む建築用材を用いて建築物の壁又は天井を構築する場合にも同様であり、第1赤外線反射層の側を室内に向けて本発明の断熱シートを含む建築壁材又は天井材を配置する場合には、壁材や天井材を介しての室内から室外への熱の散逸が防止され、逆に、第1赤外線反射層の側を室外に向けて本発明の断熱シートを含む建築壁材又は天井材を配置する場合には、例えば夏季において、日射などによる外部からの熱が室内へ浸入するのを防止し、いわゆる外断熱と呼ばれる断熱が実現される。
さらに、本発明は、上述した本発明の断熱シートに用いる気泡シートを提供することによって、上記課題を解決するものである。本発明の断熱シートに用いる気泡シートとしては、先に述べた理由により、中空状に膨出する複数の突起が形成されたキャップフィルムに、前記突起内に空気を封入するバックフィルムを積層してなる気泡シートであって、複数の前記突起間の間隔dと前記突起の半径rとがd≧(1/4)rの関係、より好ましくはd≧(1/2)rの関係にある気泡シートが好ましく、中でも、複数の前記突起の上面の面積が底面の面積よりも小さい気泡シートがより好ましい。さらには、同じく先に述べた理由により、本発明の断熱シートに用いる気泡シートとしては、その突起の上面にさらに上方に突出した凸部を有している気泡シート、さらには、外周部及び/又は内部に、少なくとも前記突起の外径よりも大きい幅で前記突起が存在しない帯状領域を有している気泡シートが好ましい。
本発明の断熱シートは、黒色層を有する第1赤外線反射層と、第2赤外線反射層とを、所定の距離を隔てて対向させるという極めて簡単な構造であるので、製造が比較的容易である上に、所期の断熱効果を得るにあたり、断熱シートの厚みを小さく、すなわち薄くすることができ、断熱に高分子発泡体を使用しないので、その製造に際しては、オゾン層破壊ガスや温室効果ガスを必要とせず、地球環境の保護や地球温暖化の防止に貢献することができるという利点を有している。
また、本発明の断熱シートは、各構成層が柔軟性を有する材料で構成されているので、全体として柔軟性を有し、適宜の大きさ、形状に切断して使用できる。したがって、施工場所を選ばず、曲面や角部などの断熱にも有効である。また、巻き取ってロール状にして保管、運搬が可能であるので、取り扱いが極めて容易であるという利点を有している。また、本発明の断熱シートを含む各種の建築用材及び構築用材によれば、断熱に要する厚みが小さいので、居住空間や使用空間をむやみに狭くすることなく、所期の断熱性能を備えた建築物又は構築物を実現することができるという利点が得られる。
さらに、本発明の気泡シートは、通常の梱包等に用いられる気泡緩衝材とは異なり、断熱シート用に特化した気泡シートであるので、本発明の断熱シートに使用して高い断熱効果を実現することを可能にするとともに、突起が存在しない帯状領域を備えることによって、本発明の断熱シートを建築物又は構築物の枠体や断熱パネルの枠体に取り付けるときの取付部を提供することを可能にするという利点も有している。
本発明の断熱シートの一例を示す断面図である。 気泡シートだけを取り出して示す断面図である。 図2の気泡シートの底面図である。 本発明の断熱シートの動作を説明する図である。 気泡シートの他の一例を示す断面図である。 図5の気泡シートの底面図である。 気泡シートのさらに他の一例を示す断面図である。 図7の気泡シートの底面図である。 気泡シートのさらに他の一例を示す断面図である。 図9の気泡シートの底面図である。 気泡シートのさらに他の一例を示す底面図である。 図11の気泡シートを使用した本発明の断熱シートの正面図である。 本発明の断熱シートの他の一例を示す図である。 図13の断熱シートを熱源構造体に取り付けた状態を示す断面図である。 本発明の断熱シートのさらに他の一例を示す図である。
以下、図面を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明が図示のものに限られないことはいうまでもない。
1.断熱シート
図1は、本発明に係る断熱シートの一例を示す断面図である。図1において、1は断熱シート、2は第1赤外線反射層、3は第1赤外線反射層2の片面に設けられた黒色層、4は第2赤外線反射層、5は気泡シートである。6は気泡シートの突起、7は中空状に膨出する複数の突起6が形成されたキャップフィルム、8は、突起6内に空気が封入された状態でキャップフィルム7と積層されるバックフィルムである。Sは黒色層3と第2赤外線反射層4との間に形成される空間、Tは熱源、wは黒色層3と第2赤外線反射層4との間の距離である。距離wは、図1中、空間Sの上下方向の長さに相当する。以下、各構成材料について説明する。
1−1.第1赤外線反射層
第1赤外線反射層2は、少なくとも熱源Tが存在する側に赤外線を反射する赤外線反射面を有していれば良く、第1赤外線反射層2の全体が同じ材料で構成されていても良いし、熱源Tが存在する側の表面だけが赤外線を反射する材料で構成されていても良い。第1赤外線反射層2を構成する材料としては、例えばアルミニウム、ニッケル、銅等の金属やその薄膜、合成樹脂シート等のシート状部材にこれらの金属を蒸着等の手段で付着させたシート、これらの金属粒子を含有する塗料を塗布したシート等を用いることができる。高反射率、軽量性、価格、及び入手容易性の観点からは、アルミニウムシート又はアルミニウム箔を用いるのが好ましく、合成樹脂シート又は紙などで裏打ちしたアルミニウム箔を用いても良い。
また、第1赤外線反射層2の厚さにも特段の制限はないが、断熱シート1の厚さを薄くするという観点からは薄い方が好ましく、通常は2mm以下、好ましくは1mm以下である。また、第1赤外線反射層2は、全体的に均一な厚さであるのが好ましく、可視光を透過させないか、殆ど若しくは実質的に透過させない厚さを有しているのが好ましい。なお、第1赤外線反射層2の赤外線反射面には、必要に応じて、PET等の透明な合成樹脂からなる保護膜を設けても良い。
1−2.黒色層
黒色層3は、第1赤外線反射層2の熱源Tとは反対側の片面に設けられる。黒色層3は、後述する第2赤外線反射層4によって反射される赤外線を吸収するために、少なくとも第2赤外線反射層4と対向する面が黒色であれば良く、黒色層3の厚み方向全体にわたって黒色であっても良い。なお、本明細書において黒色とは、黒色又は黒色にみえる色を意味し、例えば、国際照明委員会(Commission International de l’Eclairage)が定めるL*a*b*表示系で、L*<35、−20<a*<20、−20<b*<20の範囲にある色彩がこれに該当する。
黒色層3は、少なくとも第2赤外線反射層4に対向する面が黒色である限り、原則としてどのような材料を用いて形成されたものであっても良い。例えば合成繊維又は天然繊維からなる黒色の不織布又は織布、黒色の紙などが挙げられ、黒色のビニール等の合成樹脂製のシートなども用いることができる。或いは、織布、不織布、紙、合成樹脂製のシートの片面に、黒色を呈する物質を、蒸着、塗布、又は印刷などの手法によって付着させたものであっても良い。これらの織布、不織布、紙、合成樹脂製のシートは、適宜の手段で第1赤外線反射層2の片面に貼着される。なお、これら織布、不織布、紙、合成樹脂製のシートの片面だけが黒色である場合には、その黒色の面が第1赤外線反射層2とは反対側を向くように貼着することはいうまでもない。また、貼着にあたっては、それら織布、不織布、紙、合成樹脂製のシートの全面を第1赤外線反射層2に貼着する必要はなく、要所だけを貼着するようにしても良い。
また、黒色層3は、黒色を呈する物質を、蒸着、塗布、又は印刷などの手法によって第1赤外線反射層2の片面に付着させて形成したものであっても良い。この場合には、極めて薄い黒色層3を簡便に形成することができるという利点が得られる。
黒色層3の厚みには特段の制限はないが、断熱シート1の厚さを薄くするという観点からは薄い方が好ましく、黒色層3を形成する材料にも依るが、通常は2mm以下、好ましくは1mm以下である。
1−3.第2赤外線反射層
第2赤外線反射層4は、少なくとも第1赤外線反射層2が存在する側に赤外線を反射する赤外線反射面を有しておれば良く、その点を除けば、基本的に第1赤外線反射層2と変わるものではない。第2赤外線反射層4を構成する材料としては、第1赤外線反射層2を構成する材料と同様に、例えばアルミニウム、ニッケル、銅等の金属やその薄膜、合成樹脂シート等のシート状部材にこれらの金属を蒸着等の手段で付着させたシート、これらの金属粒子を含有する塗料を塗布したシート等を用いることができる。ただし、高反射率、軽量性、価格、及び入手容易性の観点からは、アルミニウムシート又はアルミニウム箔を用いるのが好ましく、合成樹脂シート又は紙などで裏打ちしたアルミニウム箔を用いても良い。
また、第2赤外線反射層4の厚さにも特段の制限はないが、断熱シート1の厚さを薄くするという観点からは薄い方が好ましく、通常は2mm以下、好ましくは1mm以下である。また、第2赤外線反射層4は、全体的に均一な厚さであるのが好ましく、可視光を透過させないか、殆ど若しくは実質的に透過させない厚さを有しているのが好ましい。なお、第2赤外線反射層4の赤外線反射面には、必要に応じて、PET等の透明な合成樹脂からなる保護膜を設けても良い。
1−4.気泡シート
図1に示すとおり、気泡シート5は、黒色層3と第2赤外線反射層4との間に距離wを確保して空間Sが維持されるように、換言すれば、第1赤外線反射層2と第2赤外線反射層4とが距離を隔てて対向するように、黒色層3と第2赤外線反射層4との間に配置される。気泡シート5は、中空状に膨出する複数の突起6が形成されたキャップフィルム7に、バックフィルム8を熱融着などの手段で積層固着し、突起6内に空気を封入することによって形成されている。
気泡シート5を構成するキャップフィルム7及びバックフィルム8は、通常、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂の一種又は二種以上を用いて形成されるが、後述するとおり、第2赤外線反射層4で反射された赤外線が黒色層3に到達するのを妨げないという観点からは、赤外線を透過する材料で構成されるのが望ましく、赤外線の透過率として、JIS R 3106「板ガラス類の透過率・反射率・放射率・日射熱取得率の試験方法」に準じて計測された赤外線の波長域(0.7〜1000μm)での分光透過率が50%以上のもの、より好ましくは70%以上のもので構成されるのが良く、中でも、ポリエチレンが高い赤外線透過率を有するとともに成形性が良いので特に好ましい。
黒色層3と第2赤外線反射層4との間に所定の距離wが確保される限り、気泡シート5は突起6を第1赤外線反射層の側に向けて配置されても良いが、第2赤外線反射層4での赤外線の反射を妨げないという観点からは、図1に示すとおり、複数の突起6が第2赤外線反射層4側に位置し、バックフィルム8が黒色層3側に位置する向きに配置されるのが望ましい。気泡シート5が図示とは逆向きにバックフィルム8が第2赤外線反射層4側に位置する向きに配置されるときには、バックフィルム8によって第2赤外線反射層4が覆われてしまうので、バックフィルム8として赤外線透過率の大きな材料を用いたとしても、第2赤外線反射層4による赤外線の反射が妨げられることは避けられず、気泡シート5を図示の向きに配置したときに比べて断熱効果が低減する恐れがある。
図2は、気泡シート5だけを取り出して示す断面図,図3は気泡シート5の底面図である。図2及び図3に示す例において、突起6は円筒形であり、その断面積はバックフィルム8と接する底面側(図2では上側)と、突起6の上面(図2では下側)とで同じである。rは突起6の半径、dは2つの突起6間の間隔である。図3に示すとおり、複数の突起6は、それぞれの断面円形の中心が互いに合同な正三角形の頂点に位置するように、千鳥状に等間隔dで配置されている。すなわち、図3において、A、B、C・・・をそれぞれ突起6の断面円形の中心とすると、中心ABEで構成される三角形は一辺の長さが(r+d+r)の正三角形であり、その他、中心BEFで構成される三角形、中心BCで構成される三角形も同様である。
突起6の半径rと2つの突起6間の間隔dとは、基本的に自由に選ぶことができるが、気泡シート5を図1に示す向きに配置したときに、第2赤外線反射層4の表面と接触する面積が小さく、第2赤外線反射層4による赤外線の反射を妨げず、かつ、黒色層3からの熱伝導による伝熱量を少なくするためには、突起6の半径rと2つの突起6間の間隔dとは、d≧(1/4)rの関係にあるのが望ましく、より望ましくはd≧(1/2)rであり、さらに望ましくは、d≧rの関係にあるのが良い。
因みに、複数の突起6が図3に示すように千鳥状に等間隔dで配置されている場合、気泡シート5の面積に対する複数の突起6の面積を合計した合計面積の割合は、中心ABE等で形成される正三角形が基本的な繰り返し単位となるので、正三角形ABEの面積に対する図中二重ハッチングの扇状部分の面積の比として、下記式(1)で求めることができる。
(気泡シート5の面積に占める突起6の合計面積の割合)={r×r×3.14×(1/6)×3}/{(2r+d)×[(2r+d)×sin60゜]/2}=3.6×{r/(2r+d)} (1)
ただし、式(1)において、sin60°=(1.732/2)として計算した。
d=(1/4)rの関係にあるときの気泡シート5の面積に対する突起6の合計面積の割合は、上記式(1)にd=(1/4)rを代入して下記のように求めることができる。
3.6×{r/(2r+0.25r)}=3.6/5.1=0.71
つまり、d=(1/4)rの関係にあるときの気泡シート5の面積に対する複数の突起6の合計面積の割合は71%となり、dが(1/4)rよりも大きくなると前記割合は小さくなるので、突起6の半径rと2つの突起6間の間隔dとがd≧(1/4)rの関係にあるとは、複数の突起6が図3に示すように千鳥状に等間隔dで配置されている場合、気泡シート5の面積に対する複数の突起6の合計面積の割合が71%以下ということを意味しており、71%以下が好ましいということを意味している。
同様に、d=(1/2)rの関係にあるときの気泡シート5の面積に対する複数の突起6の合計面積の割合は、上記式(1)にd=(1/2)rを代入して下記のように求めることができる。
3.6×{r/(2r+0.5r)}=3.6/6.25)=0.58
つまり、d=(1/2)rの関係にあるときの気泡シート5の面積に対する突起6の面積の割合は58%となり、dが(1/2)rよりも大きくなると前記割合は小さくなるので、突起6の半径rと2つの突起6間の間隔dとがd≧(1/2)rの関係にあるとは、複数の突起6が図3に示すように千鳥状に等間隔dで配置されている場合、気泡シート5の面積に対する複数の突起6の合計面積の割合が58%以下ということを意味しており、58%以下がより好ましいということを意味している。
さらに、d=rの関係にあるときの気泡シート5の面積に対する複数の突起6の面積の割合は、上記式(1)にd=rを代入して下記のように求めることができる。
3.6×{r/(2r+r)}=3.6/9)=0.40
つまり、d=rの関係にあるときの気泡シート5の面積に対する複数の突起6の合計面積の割合は40%となり、dがrよりも大きくなると前記割合は小さくなるので、突起6の半径rと2つの突起6間の間隔dとがd≧rの関係にあるとは、複数の突起6が図3に示すように千鳥状に等間隔dで配置されている場合、気泡シート5の面積に対する複数の突起6の合計面積の割合が40%以下ということを意味しており、40%以下がさらに好ましいということを意味している。
このように、第2赤外線反射層4による赤外線の反射を妨げず、また、気泡シート5を介しての熱伝導による伝熱量を小さくするという観点からは、気泡シート5の面積に対する複数の突起6の面積を合計した合計面積の割合は小さい方が好ましいが、余りに小さくなると、第1赤外線反射層2、黒色層3、及び第2赤外線反射層4のいずれもが柔軟性のある材料で構成されているので、第1赤外線反射層2と第2赤外線反射層4との距離を一定に保つことが困難になる。したがって、2つの突起6間の間隔dは、最大でも、突起6の半径rの8倍程度、すなわち、d≦8rに抑えるのが望ましい。
因みに、d=8rのとき、気泡シート5の面積に対する複数の突起6の面積の割合は、上記式(1)にd=4rを代入して、下記のように求めることができる。
3.6×{r/(2r+8r)}=3.6/100)=0.04
つまり、d=8rの関係にあるときの気泡シート5の面積に対する複数の突起6の合計面積の割合は4%となるので、気泡シート5の面積に対する複数の突起6の面積の割合は4%以上とするのが望ましいということになる。
なお、以上に述べた気泡シート5の面積に対する複数の突起6の面積の割合とは、断熱シート1を構成している部分における気泡シート5の面積に対する複数の突起6の面積を合計した合計面積の割合であり、突起6が設けられておらず、本来的に断熱シート1を構成しない部分での面積の割合までも含むものでないことは勿論である。
なお、突起6の高さは、基本的に、断熱効果が得られる限り何ら限定されるものではないが、黒色層3と第2赤外線反射層4との距離wは突起6の高さによって原則的に決定されるので、3〜12mmという後述する距離wの好ましい範囲を実現するためには、突起6の高さは、キャップシート7の厚さや材質にも依るが、外力が加わったときの撓み分を考慮して、3〜14mmの範囲にあるのが好ましい。また、突起6の半径rにも、基本的に制限はないが、上述した突起6の好ましい高さ3〜14mmとバランスのとれた大きさとするのが良く、通常、5〜20mmの範囲とするのが好ましい。
以上は突起6が円筒形である場合について述べたが、突起6の形状は円筒形に限られず、楕円柱形、長円柱形、又は多角柱形であっても構わない。突起6の断面形状が円形でない場合には、同じ断面積を有する円の半径をもって突起6の半径rとすれば良い。また、複数の突起6は、気泡シート5上に均等に配置されているのが好ましく、2つの突起6間の間隔dとは、隣接する2つの突起6間の最短の間隔を意味している。
1−5.黒色層3と第2赤外線反射層4の距離w
第1赤外線反射層2の片面に設けられた黒色層3と第2赤外線反射層4との間の距離wは、断熱効果が得られる限り何ら限定されるものではないが、断熱効果をより高めるという観点からは、3〜12mmの範囲にあるのが好ましく、6〜12mmの範囲にあるのがより好ましく、6〜10mmの範囲にあるのがさらに好ましい。距離wが上記の範囲から外れても断熱効果が得られないという訳ではないが、上記範囲内である場合に比べて、断熱効果が低下する傾向がある。なお、距離wは、断熱シート1の全面にわたって均一であるのが望ましく、換言すれば、黒色層3と第2赤外線反射層4、及び第1赤外線反射層2と第2赤外線反射層4とは平行に配置されるのが望ましい。
1−6.動作
次に図4を用いて、図1に示す断熱シート1の動作を説明する。ただし、図4においては、便宜上、気泡シート5は図示を省略してある。図4において、Tは熱源、hは熱、IRは赤外線を表している。図4に示すように、本発明の断熱シート1は、熱源T側に第1赤外線反射層2が向くように配置される。
図4に示す状態で、熱源Tからの熱が赤外線IRとなって輻射熱として断熱シート1に照射されると、第1赤外線反射層2によって赤外線IRの大部分は反射されるが、一部は第1赤外線反射層2に吸収され、熱hとして第1赤外線反射層2及び黒色層3を熱伝導によって通過する。黒色層3の表面では、熱hが再び赤外線IRとして放射される。放射された赤外線IRは、空間Sを通過して、第2赤外線反射層4に到達するが、その大部分は第2赤外線反射層4によって反射され、第2赤外線反射層4に吸収される熱hは極めて少なく、さらに第2赤外線反射層4を通過して反対側に放射される熱hはほんの僅かである。
一方、第2赤外線反射層4によって反射された赤外線IRは黒色層3に到達するが、その殆どが黒色層3に吸収され、再び第2赤外線反射層4側へ向かうものはほとんどない。そのため、黒色層3を有する本発明の断熱シート1によれば、高い断熱効果が得られることになる。
2.気泡シートの他の例
図5は、本発明の断熱シート1に用いられる気泡シート5の他の例を示す断面図、図6はその底面図である。本例の気泡シート5においては、突起6が円錐台形の形状を有しており、複数の突起6の上面(図5では下側)の面積が底面(図5では上側)、すなわち、バックフィルム8上での面積よりも小さい形状を有している。
本例のように、突起6の上面の面積が底面の面積よりも小さい場合には、気泡シート5を複数の突起6が第2赤外線反射層4側に位置するように配置すると、大きな面積の底面で突起6自体の強度は確保しつつ、第2赤外線反射層4の表面と突起6の上面との接触面積を小さくすることができるので、第2赤外線反射層4の露出面積が大きくなり、赤外線反射効率が高まるとともに、バックフィルム8及びキャップフィルム7を介した熱伝導による伝熱量を下げ、断熱シート1による断熱効果をより高めることができる。
なお、突起6の上面の面積と底面の面積とが同じでなく、上面の面積が底面の面積よりも場合には、突起6の上面の半径を突起6の半径rとすれば良く、突起6の上面での突起6間の間隔が2つの突起6間の間隔dということになる。この場合にも、突起6の半径rと2つの突起6間の間隔dとは、d≧(1/4)rの関係にあるのが好ましく、d≧(1/2)rの関係にあるのがより好ましく、d≧rの関係にあるのがさらに好ましい。また、気泡シート5の面積に対する複数の突起6の面積を合計した合計面積の割合は、このr及びdを用いて計算することができる。
また、突起6の底面の面積とは、突起6によって占有されるバックフィルム8の面積を意味し、突起6の上面の面積とは、突起6の上面が第2赤外線反射層4と接触する部分の面積を意味している。上面の面積が底面の面積よりも小さい突起6の形状としては、例えば、円錐台形、多角錐台形、楕円錘台形、又は長円錐台形の形状を有する突起が挙げられる。
図7は、本発明の断熱シート1に用いられる気泡シート5のさらに他の例を示す断面図、図8はその底面図である。本例の気泡シート5においては、突起6が円錐台形の形状を有しており、円錐台形状の上面にさらに上方に突出した凸部9を備えている。このような気泡シート5を複数の突起6及び凸部9が第2赤外線反射層4側に位置するように配置すると、複数の突起6はそのさらに突出した凸部9で第2赤外線反射層4と接触することになるので、突起6と第2赤外線反射層4との接触面積はさらに小さくなり、赤外線反射効率が高まるとともに、バックフィルム及びキャップフィルムを介した熱伝導による伝熱量もより小さくなる。その結果、断熱シート1による断熱効果をより高めることができるという利点が得られる。
図9は、本発明の断熱シート1に用いられる気泡シート5のさらに他の例を示す断面図、図10はその底面図である。本例の気泡シート5は、図9の断面図に示されるとおり、突起6が円錐台形の形状を有しており、複数の突起6の上面(図9では下側)の面積が底面(図9では上側)、すなわち、バックフィルム8上での面積よりも小さい形状を有している点では、先に図5に示したものと同じであるが、その底面図である図10に示されるとおり、本例の気泡シート5においては、複数の突起6は、それぞれの断面円形の中心が互いに合同な正四角形の頂点に位置するように配置されている。すなわち、図10において、A、B、C・・・をそれぞれ突起6の断面円形の中心とすると、中心ABEFで構成される四角形は一辺の長さが(r+d+r)の正四角形であり、その他、中心BCFGで構成される四角形、中心CDGHで構成される四角形も同様である。
複数の突起6がこのように等間隔で碁盤目状に配置されている場合であっても、突起6の半径rと2つの突起6間の間隔dとは、d≧(1/4)rの関係にあるのが望ましく、より望ましくはd≧(1/2)rであり、さらに望ましくは、d≧rの関係にあるのが良い。
図11は、本発明の断熱シート1に用いられる気泡シート5のさらに他の例を示す底面図であり、図12は、図11に示される気泡シート5を使用した断熱シート1の正面図である。図11に示すとおり、本例の気泡シート5は、碁盤目状に等間隔で配置された複数の突起6を有している、かつ、気泡シート5の外周部に少なくとも突起6の外径よりも大きい幅で突起6が存在しない帯状領域α、又は、気泡シート5の内部に少なくとも突起6の外径よりも大きい幅で突起6が存在しない帯状領域β、或いはその双方を有している。
気泡シート5が、その外周部及び/又は内部に、少なくとも突起6の外径よりも大きい幅で突起6が存在しない帯状領域α及び/又はβを有している場合には、その帯状領域α又はβの部分では第1赤外線反射層2と第2赤外線反射層4とを、間に黒色層3を挟んで極めて接近させることができ、図12に示すように、断熱シート1の外周部及び/又は内部に他の部分に比べて厚さを薄い帯状の凹部10を形成することができる。この帯状の凹部10は、断熱シート1を、例えば、建築物又は構築物の枠体や断熱パネルの枠体11に取り付けるときの取付部として利用することができる。すなわち、枠体11の中空部に断熱シート1の厚みのある部分を挿入し、断熱シート1の凹部10をネジ、釘、ボルト、接着等の適宜の固着手段によって枠体11に取り付けることによって、断熱シート1を枠体11に取り付け、簡単に、断熱シート1を含む建築用材又は構築用材とすることができる。
このような気泡シート5は、先に述べた気泡シート5を含め、従来から汎用されている梱包用の気泡緩衝材とは異なり、本発明における構造の断熱シート用の気泡シートとして極めて有用である。
3.断熱シートの他の例
図13は本発明の断熱シート1の他の例を示す断面図であり、図14は図13の断熱シート1を熱源構造体13に取り付けた状態を示す断面図である。本例の断熱シート1においては、図13に示すように第1赤外線反射層2の黒色層3とは反対側の面に前面スペーサ12が配置されている。前面スペーサ12が配置されていることによって、本例の断熱シート1を図14に示すように熱源構造体13に直接取り付けた場合でも、第1赤外線反射層2の前面には第1赤外線反射層2が熱源構造体13から放射される赤外線を反射することを可能にする空間xを確保することができる。
このように、断熱シート1が前面スペーサ12を備えており、前面スペーサ12と一体化されている場合には、第1赤外線反射層2の前面に赤外線反射を可能にする空間の形成を考慮することなく、断熱シート1を直接に熱源構造体13に取り付けることができるので、極めて便利である。また、第1赤外線反射層2の前面には、常に、入射してくる赤外線を反射する空間xが確保されることになり、断熱シート1の断熱効果をより的確に発揮させることができる。
前面スペーサ12としては、第1赤外線反射層2の前面に入射してくる赤外線を反射する空間xを確保することができる限り、どのような構造、形状の部材を使用しても良いが、黒色層3と第2赤外線反射層4との間に配置される気泡シート5と同様に、中空状に膨出する多数の突起6が形成されたキャップフィルム7に、突起6内に空気を封入するバックフィルム8を積層してなる気泡シートを前面スペーサ12として好適に用いることができる。気泡シート自身が比較的軽量であるので、気泡シートを前面スペーサ12として取り付けても断熱シート1全体の重量をさほど増加させることはなく、断熱シート1を軽量に保つことができるとともに、気泡シートは一般に柔軟性を有しているので、そのような気泡シートを前面スペーサ12として取り付けても断熱シート1全体の柔軟性を損なう恐れがないので好ましい。
前面スペーサ12として気泡シートを用いる場合には、気泡シートを構成する突起6が第1赤外線反射層側に位置し、気泡シートを構成するバックフィルム8がその反対側に位置する向きに配置されるのが望ましい。気泡シートが前面スペーサ12としてこの向きに配置される場合には、第1赤外線反射層2の反射面が気泡シートを構成するバックフィルム8で覆われないので、赤外線の反射効率が損なわれる恐れがない。なお、前面スペーサ12として、黒色層3と第2赤外線反射層4との間に配置される気泡シート5と同じ気泡シートを用いても良いことは勿論であり、その場合には、用いる気泡シートにおける複数の突起の形状や構造、配置に応じて、先に気泡シート5について説明したのと同様の効果が得られることになる。
図15は本発明の断熱シート1のさらに他の例を示す断面図である。図15において、14は潜熱蓄熱材層であり、第2赤外線反射層4の気泡シート5とは反対側の面に取り付けられている。潜熱蓄熱材は、よく知られているように、物質が相転移の際に熱量を潜熱として吸収又は放出する現象を利用した蓄熱材であり、断熱シート1が第2赤外線反射層4の下側にさらにこのような潜熱蓄熱材を含む潜熱蓄熱材層14を備える場合には、第2赤外線反射層を通過する熱をこの潜熱蓄熱材層14において潜熱として吸収することができるので、断熱シート1による断熱効果をより一層高いものとすることができる。
なお、本発明の断熱シート1は、2枚又は3枚以上を重ねて使用することができる。重ねる順序は、第1赤外線反射層2、黒色層3、気泡シート5、及び第2赤外線反射層4が、この順に繰り返されるように順方向に重ねても良いし、隣接する断熱シート1同士で、第1赤外線反射層2、黒色層3、気泡シート5、及び第2赤外線反射層4の順序が逆になるように逆方向に重ねても良い。順方向に重ねる場合には、一方の断熱シート1における第2赤外線反射層4に隣接する断熱シートの第1赤外線反射層2を兼ねさせて、赤外線反射層の枚数を減らすようにしても良い。また、2枚の断熱シートを逆方向に重ねる場合には、第1赤外線反射層2が、間に黒色層3、気泡シート5、及び第2赤外線反射層4を挟んで、互いに背中合わせに積層された構造となるので、いずれの方向からの入熱も効率良く断熱することができるという利点が得られる。なお、断熱シート1を2枚以上積層する場合に、その最も外側に位置する第1赤外線反射層2の前面に前面スペーサ12を配置しても良いことは勿論であり、適宜の箇所に潜熱蓄熱材層14を介在させても良いことも勿論である。
4.実験
以下、実験を用いて、本発明の断熱シートについてさらに詳細に説明する。
4−1.予備実験1
(1)実験方法
本発明の断熱シートの断熱性能を確認する予備実験を下記のようにして行った。すなわち、熱源として100Wの白熱ランプを用い、各試験体を、その第1赤外線反射層2の面が前記白熱ランプと対向するように、白熱ランプの上方15cmの高さに保持した。白熱ランプの点灯開始から60分後に、白熱ランプ直上の白熱ランプとは反対側の試験体表面温度を測定し、断熱性能を評価した。なお、温度測定は放射温度計を用いて行った。
(2)試験体
下記材料を用い、第1赤外線反射層、黒色層、スペーサ、第2赤外線反射層、支持層の順に積層された構造の試験体No.1〜No.5を作成した。試験体No.1〜No.5の構造は、基本的に図1に示す断熱シート1と同じであるが、気泡シートに代えて2枚の合成樹脂の板を十字に組み合わせたスペーサを用い、実験を行う上での便宜上、厚さ4mmのベニヤ板を、第2赤外線反射層の黒色層と対向する面とは反対側の面に支持層として取り付け、試験体が不用意に撓むのを防止した。また、試験体No.1〜No.5は、スペーサの高さだけが0mm、3mm、6mm、9mm、12mmと異なり、距離wが異なるだけで、構造的には同じものである。なお、スペーサの高さ0mmとはスペーサを使用しないことを意味している。また、対照として、厚さ50mmの硬質ウレタンフォームのみからなる試験体No.6を用意し、同様に実験した。
<材料>
・第1赤外線反射層:アルミ箔(厚さ12μm)
・黒色層:黒色不織布(厚さ0.2mm)(ハイリーン株式会社製 品番:クラフト35 ポリエステル30% レーヨン70%)
・スペーサ:ポリプロピレン製(厚さ0mm、3mm、6mm、9mm、12mm)
・第2赤外線反射層:アルミ箔(厚さ12μm)
・支持層:ベニヤ板(厚さ4mm)
(3)実験結果
結果を表1に示す。
Figure 2017082473
表1に示されるとおり、黒色層と第2赤外線反射層との距離wが大きくなるにつれて、白熱ランプ点灯60分後の試験体表面温度は徐々に低下し、距離wが9mmのときに最も低い26.9℃を記録した。その後、距離wが12mmにまで増加すると、逆に試験体表面温度は上昇する傾向が見られた。この結果から、本発明の構造の断熱シートにおいては、黒色層と第2赤外線反射層との距離wは3〜12mmの範囲にあるのが好ましいことが分かった。
一方、従来から断熱材として用いられている厚さ50mmの硬質ウレタンフォームのみからなる試験体No.6の白熱ランプ点灯60分後の表面温度は27.4℃であり、距離wが6mm又は12mmである試験体No.3又はNo.5よりは低いものの、距離wが9mmである試験体No.4よりは高い温度であった。この結果は、距離wが6mm〜12mmの範囲で、厚さ50mmの硬質ウレタンフォーム板とほぼ同等、若しくはそれ以上の断熱性能が得られることを示しており、距離wとしては、6mm〜12mmの範囲が次に好ましい範囲であると判断された。
さらに、距離wが9mmのときに試験体の表面温度が最も低く、その後、距離dが12mmまで増加すると逆に上昇することからみて、試験体の表面温度の上昇が距離wが6mmのときと同程度に止まるのは、距離wが試験体No.4の9mmと試験体No.5の12mmとの間にある10mm程度のときであると合理的に推測される。したがって、距離wの範囲は6〜10mmのときがさらに好ましいと結論された。
試験体表面温度が最も低かった試験体No.4の厚さは、9mmのスペーサ、0.2mmの黒色層、4mmのベニヤ板、及び第1、第2赤外線反射層全てを合計しても14mm程度であるから、上記実験結果は、本発明の構造の断熱シートによれば、厚さ50mmの硬質ウレタンフォーム板とほぼ同等、若しくはそれ以上の断熱性能を、その約1/3以下の厚さで実現することができることを物語っている。同じ断熱性能を得るのに厚さが約1/3以下で済むということは、本発明の構造の断熱シートを用いて建築物又は構築物の断熱を実現する場合には、建築物の居住可能空間又は構造物の利用可能空間が大幅に広くなることを意味している。
4−2.予備実験2
(1)実験方法
予備実験1で最も優れた断熱効果を示した試験体No.4(距離w=9mm)と同じ材料を用い、黒色層の代わりに下記材料からなる白色層を配置した点でのみ試験体No.4とは異なる試験体No.7を作成した。予備実験1と同様に白熱ランプを熱源として、予備実験1で作成した試験体No.4とともに、試験体No.7の白熱ランプとは反対側の表面温度を測定し、その断熱性能を評価した。ただし、表面温度の測定は白熱ランプ点灯後0分、5分、15分、30分、45分、及び60分に行った。
<材料>
・白色層:白色不織布(株式会社トーア紡コーポレーション製。品番:USV108。ポリエステル15%、ポリプロピレン85%)
(3)実験結果
結果を表2に示す。
Figure 2017082473
表2に示されるとおり、第1赤外線反射層の片面に黒色層を設けた試験体No.4は、試験開始後15分までは表面温度が急激に上昇するが、その後、ほぼ一定となり、60分経過後も26.9℃に止まった。これに対し、第1赤外線反射層の片面に白色層を設けた試験体No.7は、試験開始後15分までは表面温度が急激に上昇する点では試験体No.4と同じであるが、その後、45分を経過しても表面温度は徐々に上昇を続け、60分経過後の表面温度は29.1℃まで上昇した。
第1赤外線反射層の第2赤外線反射層と対向する側の面に黒色層を設ける場合と白色層を設ける場合とで、同様の熱源に対峙させたとき、熱源とは反対側の表面温度において約2℃もの違いが生じるという上記結果は、第1赤外線反射層と第2赤外線反射層とを距離を隔てて対向させるに際し、第1赤外線反射層の第2赤外線反射層と対向する側の面に白色層と設けるよりも黒色層を設ける方が、より高い断熱効果が得られることを示している。
4−3.実験1
(1)実験方法
図1に示す積層構造の断熱シートを用い、気泡シートにおける突起の間隔が断熱効果に与える影響を調べる実験を行った。すなわち、予備実験1におけると同様に、熱源として100Wの白熱ランプを用い、各試験体を、その第1赤外線反射層2の面が前記白熱ランプと対向するように、白熱ランプの上方15cmの高さに保持した。各試験体の第2赤外線反射層の裏面には平坦なアルミ板を接着し各試験体が不用意に撓むのを防止するとともに、アルミ板上面に、上部が開口した箱状のアルミ容器を上下逆さまにして載置し、アルミ板上面とアルミ容器との間に閉鎖された空間を形成した。白熱ランプの点灯開始前、及び点灯開始から60分後に、アルミ板上面に載置されたアルミ容器の底面の温度を測定し、測定された温度の差をもって、アルミ板上面とアルミ容器との間の閉鎖された空間内の空気温度の上昇量を求め、断熱性能を評価した。なお、温度測定は放射温度計を用いて行った。
(2)試験体
下記材料を用い、第1赤外線反射層、黒色層、気泡シート、第2赤外線反射層の順に積層された構造の試験体No.8〜No.10(横17cm、縦24cm)を作成した。試験体No.8〜No.10の構造は、いずれも、基本的に図1に示す断熱シート1と同じであるが、使用した気泡シートにおける突起を適宜除去して突起の間隔を異ならせた。すなわち、試験体No.8における突起の数は35個(突起間隔dは約3mm 突起半径r=15.5mmであるのでd/r=約0.2)、試験体No.9における突起の数は13個(突起間隔dは約37mm 突起半径r=15.5mmであるのでd/r=2.4)、試験体No.10における突起の数は7個(突起間隔dは約57mm 突起半径r=15.5mmであるのでd/r=3.7)であった。
<材料>
・第1赤外線反射層:アルミ箔(厚さ12μm)
・黒色層:黒色不織布(厚さ0.2mm)(ハイリーン株式会社製 品番:クラフト35 ポリエステル30% レーヨン70%)
・気泡シート:川上産業株式会社製 品番B−26 突起粒径31mm、突起高さ13mm
・第2赤外線反射層:アルミ箔(厚さ12μm)
(3)実験結果
結果を表3に示す。
Figure 2017082473
表3に示されるとおり、突起の数が減少して、突起間隔dと突起半径rとの比が大きくなるにつれて、白熱ランプ60分点灯前後での温度上昇量は小さくなり、突起間隔dと突起半径rとの比は大きい方が好ましいことが判明した。この結果は、突起部分が第2赤外線反射層からの赤外線の反射を妨げるとともに、黒色層から第2赤外線反射層へ熱伝導による伝熱の経路となり、断熱効果を低下させる原因となることを指し示すものである。なお、突起間隔dと突起半径rとの比が0.2のときよりも、2.4のときの方が温度上昇量が大きく減少していることからみて、突起間隔dと突起半径rとの比は少なくとも0.25以上であるのが断熱効果上好ましいと判断される。因みに、突起間隔dと突起半径rとの比が0.25以上という範囲は、dとrの関係式でいえば、d≧(1/4)rに相当する。
4−4.実験2
(1)実験方法
図1に示す構造の断熱シートと、前面スペーサを有する図13に示す構造の断熱シートを用いて、前面スペーサの有無が断熱効果に与える影響を調べる実験を行った。すなわち、前面スペーサを持たない図1に示す構造の断熱シートの第1赤外線反射層に熱源構造体を模した厚さ12mmの合板を直接取り付けるとともに、第2赤外線反射層に支持体として厚さ3mmの合板を取り付けて試験体No.11とした。一方、前面スペーサを有する図13に示す構造の断熱シートの前面スペーサに熱源構造体を模した厚さ12mmの合板を取り付けるとともに、第2赤外線反射層に支持体として厚さ3mmの合板を取り付けて試験体No.12とした。
予備実験1におけると同様に、熱源として100Wの白熱ランプを用い、試験体No.11及び12ともに厚さ12mmの合板の面が前記白熱ランプと対向するように白熱ランプの上方15cmの高さに保持した。白熱ランプの点灯開始から60分後に、白熱ランプ側を向いた厚さ12mmの合板表面の温度と、反対側の厚さ3mmの合板表面の温度とを測定し、両者の差を断熱温度差として求め、断熱性能を評価した。なお、温度測定は放射温度計を用いて行った。
<材料>
・前面スペーサ:気泡シート(川上産業株式会社製 品番B−26 突起粒径31mm、突起高さ13mm)
・第1赤外線反射層:アルミ箔(厚さ12μm)
・黒色層:黒色不織布(厚さ0.2mm)(ハイリーン株式会社製 品番:クラフト35 ポリエステル30% レーヨン70%)
・気泡シート:川上産業株式会社製 品番B−26 突起粒径31mm、突起高さ13mm
・第2赤外線反射層:アルミ箔(厚さ12μm)
結果を表4に示す。
Figure 2017082473
表4に示されるとおり、前面スペーサがない試験体No.11においては、白熱ランプ点灯60分後の断熱温度差が49.3℃にとどまったのに対し、前面スペーサを有する試験体No.12においては、白熱ランプ点灯60分後の断熱温度差は56.2℃と大きく、前面スペーサの存在が断熱性能を高めていることが確認できた。
本発明の断熱シートは、簡単な構造でありながら、従来の高分子発泡体を用いる断熱材と比べて約1/3以下の厚さで、ほぼ同等の断熱効果を発揮するものであり、かつ、高分子発泡体を用いないので、製造に際してオゾン層破壊ガスや温室効果ガスを必要とせず、環境負荷が小さく、地球温暖化に悪影響を及ぼすことが極めて少ないという特徴を有している。本発明の断熱シートは、軽量かつ柔軟で、適宜切断、折り曲げが可能である上に、ロール状に巻いて省スペースでの保管、運搬が容易であり、建築物又は構造物を構成する壁材、床材、天井材、屋根材、間仕切り材、隔壁、側壁などに適用されてきわめて有用である。本発明の断熱シート及びこれを含む建築用材及び構築用材は、暖房、冷房等に要するエネルギーの大幅な節約に寄与し、多大なる産業上の有用性を有するものである。
1 断熱構造体
2 第1赤外線反射層
3 黒色層
4 第2赤外線反射層
5 気泡シート
6 突起
7 キャップフィルム
8 バックフィルム
9 凸部
10 凹部
11 枠体
12 前面スペーサ
13 熱源構造体
14 潜熱蓄熱材層
S 空間
T 熱源
w 距離

Claims (16)

  1. 片面に黒色層を有する第1赤外線反射層と、前記黒色層を挟んで前記第1赤外線反射層と距離を隔てて対向する位置に配置された第2赤外線反射層と、中空状に膨出する複数の突起が形成されたキャップフィルムに、前記突起内に空気を封入するバックフィルムを積層してなる気泡シートであって、前記黒色層と前記第2赤外線反射層との間に配置され、前記第1赤外線反射層と前記第2赤外線反射層との間に前記距離を確保する気泡シートとを備え、前記第1赤外線反射層、前記黒色層、前記気泡シート、及び前記第2赤外線反射層のいずれもが柔軟性のある材料で構成され、全体として柔軟性を有する断熱シート。
  2. 前記気泡シートが、複数の前記突起が前記第2赤外線反射層側に位置し、前記バックフィルムが前記黒色層側に位置する向きに配置されている請求項1記載の断熱シート。
  3. 前記気泡シートが、複数の前記突起間の間隔dと前記突起の半径rとがd≧(1/4)rの関係にある気泡シートである請求項1又は2記載の断熱シート。
  4. 前記気泡シートが、複数の前記突起の上面の面積が底面の面積よりも小さい気泡シートである請求項1〜3のいずれかに記載の断熱シート。
  5. 前記気泡シートが、複数の前記突起の上面にさらに上方に突出した凸部を備えている気泡シートである請求項1〜4のいずれかに記載の断熱シート。
  6. 前記気泡シートが、気泡シートの外周部及び/又は内部に、少なくとも前記突起の外径よりも大きい幅で前記突起が存在しない帯状領域を有している請求項1〜5のいずれかに記載の断熱シート。
  7. 前記黒色層と前記第2赤外線反射層との距離が3〜12mmの範囲にある請求項1〜6のいずれかに記載の断熱シート。
  8. 前記第1赤外線反射層の前記黒色層とは反対側の面に、前記第1赤外線反射層の前面に空間を確保する前面スペーサが配置されている請求項1〜7のずれかに記載の断熱シート。
  9. 前記前面スペーサが、中空状に膨出する多数の突起が形成されたキャップフィルムに、前記突起内に空気を封入するバックフィルムを積層してなる気泡シートである請求項8記載の断熱シート。
  10. 前記前面スペーサを構成する前記気泡シートが、前記突起が前記第1赤外線反射層側に位置し、前記バックフィルムがその反対側に位置する向きに配置されている請求項9記載の断熱シート。
  11. 前記第2赤外線反射層の前記気泡シートとは反対側に潜熱蓄熱材層を有する請求項1〜10のいずれかに記載の断熱シート。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の断熱シートを含む建築用床材、建築用壁材、建築用天井材、又は、船舶、航空機、自動車、又はその他構造物の隔壁用材、側壁用材、床用材、天井用材、又は屋根用材。
  13. 中空状に膨出する複数の突起が形成されたキャップフィルムに、前記突起内に空気を封入するバックフィルムを積層してなる気泡シートであって、複数の前記突起間の間隔dと前記突起の半径rとがd≧(1/4)rの関係にある気泡シート。
  14. 複数の前記突起の上面の面積が底面の面積よりも小さい請求項13記載の気泡シート。
  15. 複数の前記突起の上面にさらに上方に突出した凸部を備えている請求項13又は14記載の気泡シート。
  16. 外周部及び/又は内部に、少なくとも前記突起の外径よりも大きい幅で前記突起が存在しない帯状領域を有している請求項13〜15のいずれかに記載の気泡シート。
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