JP2019038353A - 水上フロート - Google Patents

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Keita Kamiyama
啓太 上山
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Abstract

【課題】太陽光に対して耐候性を有するとともに、耐水性を確保することができる水上フロートを提供する。【解決手段】太陽光パネル4が載置された状態で、水面に浮く水上フロート10であって、水上フロート10は、互いに融着した複数の発泡粒子から構成される発泡樹脂製の基材11と、基材11の少なくとも上面11aを被覆する可撓性を有した金属製のシート材15と、を備える。【選択図】図3

Description

本発明は、太陽光パネルが載置された状態で、水面に浮く水上フロートに関する。
水上には建物や木々などで生じる日陰が少ないため太陽光を遮るものがない点や、雑草等の除草の手間がかからない点などから、近年、ため池や調整池の水面に太陽光パネルを備えた発電装置を浮かせて発電する研究が盛んになってきている。
このような太陽光パネルを備えた発電装置は、太陽光で発電する太陽光パネルが載置された状態で、水面に浮く水上フロートを備えている。この水上フロートは、浮力により、載置される太陽光パネルを水面よりも高い位置に配置する役割を果たすため、例えば、水上フロートには、水よりも比重が低い発泡樹脂が使用されることがある。しかしながら、発泡樹脂は、太陽光の紫外線で劣化(変質)が生じ易いため、発泡樹脂からなる水上フロートを水面にそのまま浮かべた場合、水上フロートの上面が、太陽光の紫外線に晒されて、水上フロート(発泡樹脂)が、劣化してしまうことがある。
このような点を鑑みて、たとえば、特許文献1等には、太陽光パネルが載置される水上フロートとして、発泡樹脂製の基材の上面のうち、太陽光に曝される部分に、ケイ酸カルシウム板が敷設された水上フロートが提案されている。
特開2016−113123号公報
しかしながら、特許文献1のように、ケイ酸カルシウム板を用いれば、これが覆われた発泡樹脂の部分の変質を抑え、耐候性を高めることができるが、ケイ酸カルシウム板は、水を吸収することでその強度が低下し、割れ易くなる。
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、太陽光に対して耐候性を有するとともに、耐水性を確保することができる水上フロートを提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明に係る水上フロートは、太陽光パネルが載置された状態で、水面に浮く水上フロートであって、前記水上フロートは、互いに融着した複数の発泡粒子から構成される発泡樹脂製の基材と、前記基材の少なくとも上面を被覆する可撓性を有した金属製のシート材と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、シート材で基材の少なくとも上面を被覆することにより、太陽光(紫外線)が、基材の上面に照射されることを抑えることができる。これにより、太陽光の照射に起因した、基材の発泡樹脂の変質(劣化)を低減し、水上フロートの耐候性を向上することができる。また、基材の上面を被覆するシート材が金属製であるので、水上フロートの耐水性が確保される。また、可撓性を有した金属製のシート材を用いることにより、ケイ酸カルシウム板などのボード材を用いた場合に比べて、水上フロートの軽量化を図ることができ、水上フロートを水面に好適に浮かべることができる。
ここで、基材にシート材を被覆することができるのであれば、シート材の表面は、たとえば、凹凸の無い平面状であってもよい。しかしながら、より好ましい態様としては、前記基材の上面には、前記発泡粒子の形状に応じた凹部または凸部が形成されており、前記シート材には、前記基材の上面の前記凹部または前記凸部の形状に応じた凹部または凸部が形成されている。
この態様によれば、基材の上面に形成された凹部または凸部の形状に応じた凹部または凸部が、シート材の表面に形成されるため、シート材に照射された太陽光は、シート材の表面で乱反射する。これにより、太陽光パネルに、より強い反射光が照射されることを低減することができるため、太陽光パネルが裏面側から加熱され難い。この結果、太陽光パネルの温度上昇を抑え、太陽光パネルの温度上昇に伴う発電効率の低下を抑制することができる。
ここで、基材とシート材は、接着層または粘着層などを介して、基材に接合されてもよく、たとえば、ステープルなどの固定部材で基材に固定されてもよい。しかしながら、より好ましい態様としては、前記基材と前記シート材とは、粘着層を介して接合されている。
この態様によれば、基材とシート材とは、粘着層により接合されているので、たとえば、硬化型の接着層などに比べて、引き剥がし時の基材の損傷を抑えつつ、シート材を基材から簡単に引き剥がすことができる。これにより、水上フロートを補修する際には、基材からシート材を引き剥がし、シート材が引き剥がされた基材を再利用して、再度、新しいシート材を貼りなおすことができる。また、粘着層は、硬化型の接着層などに比べて、基材の上面に形成された凹部または凸部の形状により近い形状にシート材を倣わせ易い。このため、シート材の表面に、凹凸のよりはっきりとした凹部または凸部を形成することができるため、シート材の表面に照射された太陽光が、より乱反射し易くなる。
また、シート材は、耐候性および耐水性を確保できるのであれば、アルミニウム製、ステンレス製、亜鉛製、または銅製等であってもよく、より好ましくは、アルミニウム製である。この態様によれば、アルミニウムの特性により、軽量性、耐食性、防錆性、および放熱性に優れた水上フロートを提供することができる。
本発明のさらに好ましい態様としては、前記水上フロートは、水平方向に複数個接触させて用いられるものであり、前記シート材は、少なくとも前記基材の側面の下部が露出するように、前記上面から前記側面にわたって連続して被覆されている。
この態様によれば、基材の上面から側面にわたってシート材が被覆されているため、基材の上面を覆うシート材の部分は、基材の上面から剥離し難い。また、隣接する水上フロートの基材の側面の下部(露出した部分)が接触することにより、隣接した水上フロートが接触する側面同士の摩擦力が向上する。この摩擦力により、隣接する水上フロート同士を相互に拘束できる。
本発明に係る水上フロートによれば、太陽光に対して耐候性を有するとともに、耐水性を確保することができる。
本実施形態に係る水上フロート構造体の模式的斜視図である。 図1に示す水上フロート構造体の模式的分解斜視図である。 (a)は、第1実施形態に係る水上フロートの模式的斜視図であり、(b)は、(a)のA−A線に沿った矢視断面図である。 (a)は、図3(b)の水上フロートの表面近傍の模式的な拡大断面図であり、(b)は、その変形例である。 (a)および(b)は、第1実施形態の水上フロートの変形例に係る模式的斜視図である。 第2実施形態に係る水上フロートの模式的斜視図である。 図6に示す水上フロートが複数接触している場合の接触部分近傍の模式的な拡大断面図である。 (a)および(b)は、第2実施形態の水上フロートの変形例に係る模式的斜視図である。
以下に、図1〜8を参照して、本発明の2つの実施形態とその変形例について説明する。
<第1実施形態>
1.水上フロート構造体1について
まず、図1および2を参照して、水上フロート10を備えた水上フロート構造体1の構造について説明する。図1は、第1実施形態に係る水上フロート構造体1の模式的斜視図であり、図2は、図1に示す水上フロート構造体1の模式的分解斜視図である。
本実施形態に係る水上フロート構造体1は、太陽光で発電する太陽光パネル4が載置された状態で、後述する水上フロート10に作用する浮力により水面に浮き、水面上に配置された太陽光パネル4で発電する発電装置である。具体的には、水上フロート構造体1は、例えば、貯水池、湖沼、または海などの水面上に設置され、太陽光から発電を行う水上設置型の太陽光発電装置として利用される。
水上フロート構造体1は、複数の水上フロート10、10、…と、これらを収納する枠体2と、枠体2の上部において、太陽光パネル4を支持する複数の支持梁3、3と、支持梁3、3に取り付けた複数の太陽光パネル4、4、…を備えている。なお、本実施形態では、図1および図2に示すように、水上フロート10は8個であり、支持梁3は4本であり、太陽光パネル4は6枚であるが、各部材が後述する機能を担うことができるのであれば、これらの個数は特に限定されるものではない。
図2に示すように、本実施形態では、水上フロート10は、2×4の計8個、図示の如く水平方向に並設されており、隣接する水上フロート10、10は、接触している。枠体2は、金属製または樹脂製の枠体であり、図示の如くの並設された水上フロート10、10、…の周りを囲うように配置されている。これにより、水面に浮かぶ各水上フロート10が分離して浮遊することなく、これらを枠体2内に収容することができる。
枠体2の上部には、上述した如く、太陽光パネル4を支持する金属製または樹脂製の支持梁3が取付けられている。各支持梁3は、枠体2の長辺方向に沿って配置されており、隣接する支持梁3、3同士は、枠体2の短辺方向において離間して配置されている。
各支持梁3の上面には、太陽光パネル4を支持する第1支持柱31と第2支持柱32とが交互に複数個配置されている。ここで、枠体2からの第1支持柱31の高さは第2支持柱32の高さより高くなっている。これにより、枠体2の短辺に対して平行に隣り合う一対の第1支持柱31、31および一対の第2支持柱32、32で、太陽光パネル4が傾斜するように、太陽光パネル4の裏面(太陽光が照射されない面)を支持することができる。なお、第1支持柱31および第2支持柱32には、太陽光パネル4の裏面において、太陽光パネル4を取付け可能な機構が設けられているが、図2では、その機構を省略している。
複数の水上フロート10、10、…は、水平方向に接触しながら、枠体2の内側において、各水上フロート10の上面が太陽光パネル4の裏面と対向する位置に配置されている。これにより、各水上フロート10は枠体2内にとどまり、水上フロート構造体1に太陽光パネル4が水上に浮かぶための浮力を与える。なお、本実施形態では、図示していないが、枠体2の裏側(水中側)には、水上フロート10が、枠体2の裏側から抜け出さないように、ワイヤー等がわたされていてもよい。
2.水上フロート10について
次に、図3および図4を参照して、本実施形態の水上フロート10について説明する。図3(a)は、第1実施形態に係る水上フロート10の模式的斜視図であり、図3(b)は、図3(a)に示すA−A線に沿った矢視断面図である。また、図4(a)は、図3(b)の水上フロート10の表面近傍の模式的な拡大断面図であり、(b)は、その変形例である。
図3(a)および(b)に示すように、上述した如く、水上フロート10は、太陽光で発電する太陽光パネル4が載置された状態で、水上フロート構造体1に浮力を与え、水上フロート構造体1を水面に浮かせるものである。水上フロート10は、発泡樹脂製の基材11と、基材11を被覆する金属製のシート材15と、を少なくとも備えている。
2−1.基材11について
基材11は、図4(a)および(b)に示すように、互いに融着した複数の発泡粒子12から構成される発泡樹脂からなる。後述するように、基材11は、成形用金型により成形された発泡樹脂の成形体そのものであってもよく、その成形体を、発熱させたニクロム線またはカッターなどで切断したものであってもよい。
発泡粒子は、たとえば、ポリスチレン、スチレン改質ポリオレフィン系樹脂、ハイインパクトポリスチレン、スチレン−エチレン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂等の各種合成樹脂の発泡粒子を用いることができる。
中でも、ポリスチレンまたはスチレン改質ポリオレフィン系樹脂のビーズ発泡による成型体が好適に用いられる。スチレン改質ポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィン系樹脂粒子にスチレン系単量体を含浸重合させて得られるものであり、スチレン改質ポリオレフィン系樹脂の中でも、スチレン改質ポリエチレン樹脂が好ましく、例えば、スチレン成分の割合は40〜90重量%、好ましくは50〜85重量%、さらに好ましくは55〜75重量%のものが用いられる。
また、基材11の発泡倍率は、好ましくは30〜100倍であり、より好ましくは50〜90倍である。このような範囲に設定することにより、水上フロート10に作用する浮力で、水上フロート構造体1を水面に好適に浮かせることができるとともに、水上フロート10の強度を充分に確保することができる。
本実施形態では、基材11の形状は、直方体状であるが、水上フロート構造体1に浮力を与えることができるのであればその形状は、特に限定されず、例えば、多角柱状、円柱状などの形状であってもよい。
このような基材11は、一般的な発泡成形体を製造する方法で得ることができる。具体的には、発泡粒子を構成する樹脂粒子を予備発泡し、得られた予備発泡粒子を成形用金型のキャビティに充填する。次に、キャビティ内に蒸気を導入して、この蒸気で予備発泡粒子を加熱することにより、予備発泡粒子をさらに発泡させて、これらが互いに融着した複数の発泡粒子から構成されている発泡成形体を成形する。この成形された発泡成形体を、キャビティ内において冷却水等を介して冷却した後、これを成形用金型から離型する。
ここで、基材11の形状のキャビティが形成された成形用金型から基材11を製造してもよく、成形用金型から離型した発泡成形体を、発熱されたニクロム線またはカッターなどで所望の大きさに切断して、発泡成形体から複数個の基材11を製造してもよい。
2−2.シート材15について
シート材15は、基材11の少なくとも上面11aを被覆する可撓性を有した金属製シート材である。図3(a)および(b)に示すように、本実施形態では、シート材15は、基材11の上面11aおよび基材の短辺側の側面11b、11bを被覆している。ここで、シート材15の素材は、水上フロート10の耐候性および耐水性を確保できる観点から、アルミニウム、ステンレス、亜鉛、または銅等が好ましく、特に、軽量性、耐食性、防錆性、および放熱性に優れるアルミニウムが好ましい。さらに、シート材15の表面に、光透過性を有した樹脂層が被覆されていてもよい。
このように、シート材15は、基材11の上面11aから側面11bにわたって連続して被覆されているため、基材11の上面11aのみを覆う場合に比べて、シート材15が、基材11の上面11aから剥離し難い。
シート材15で基材11を被覆する際には、シート材15をロール状に巻回したものを準備し、巻回されたシート材を巻き解きながら、シート材15で基材11を被覆する。これにより、基材11の一方の短辺側の側面11b下側から、上面11aを通って他方の側面11bの下側まで連続して効率よく被覆することができる。
この際、シート材15の短辺の両側部分に、基材11の短辺側の側面11b、11bの面積と同じ面積を有する部分を残して、シート材15で基材11の上面11aを被覆した後、シート材15の両側部分を側面11b、11bに折り込んでもよい。
本実施形態によれば、シート材15を基材11の少なくとも上面11aを被覆することにより、水上フロート構造体1に使用した場合に、太陽光(紫外線)が、基材11の上面11aに照射されることを抑えることができる。これにより、太陽光の照射に起因した、基材11の発泡樹脂の変質(劣化)を抑え、水上フロート10の耐候性を向上させることができる。
また、被覆するシート材15がアルミニウムなどの金属製であるので、例えば、ケイ酸カルシウム板のように水濡れにより強度が低下することがなく、アルミニウムなどの金属は、水に対して耐食性を有しているため、水上フロート10の耐水性を確保することができる。また、アルミニウムなどの金属製のシート材15を被覆した水上フロート10は、ケイ酸カルシウム板などのボード材を上面に載置した水上フロートに比べて、軽量であるので、水上フロート10を水面に好適に浮かべることができる。
さらに、基材11にシート材15を被覆するだけでよいため、板状の部材などで基材11の上面11aを被覆する場合と比較して作業が容易になり、結果として、水上フロート10の生産性を高めることができる。
ここで、水上フロート10の耐候性および耐水性を確保できるのであれば、シート材15の表面15aは、凹凸が無い平面状であってもよい。しかしながら、このような水上フロート10を用いた水上フロート構造体1では、太陽光がシート材15の表面15aを反射し、この反射光により太陽光パネル4が裏面側(発電を行わない側)から加熱され、その発電効率が低下してしまうことがある。このような点を鑑みて、本実施形態では、より好ましい態様として、基材11の上面11aの表面形状を利用して、シート材15の表面15aは、以下の如き表面になっている。
2−3.シート材15の表面15aについて
具体的には、基材11の形状のキャビティを有した成形用金型から基材11を製造した場合、または、成形用金型から離型した発泡成形体を非加熱のカッター等で切断した場合、基材11の上面11aが成形面または切断面となる。このような基材11の上面11aには、図4(a)に示すように、発泡粒子12同士に形成された隙間により、発泡粒子12の形状に応じた凹部11eが形成される。
そこで、本実施形態では、凹部11eが形成された基材11の上面11aに倣うように、シート材15で、基材11の上面11aを被覆する。これにより、シート材15の表面15aには、基材11の上面11aの凹部11eの形状に応じた凹部15bが形成される。
一方、成形用金型から離型した発泡成形体を発熱させたニクロム線で切断して、基材11を製造した場合、ニクロム線により切断された切断面では、発泡粒子12同士の融着部11gは、各発泡粒子12の内部に比べて、熱収縮が小さい。これは、融着部11gの発泡樹脂の密度が、他の部分の発泡樹脂の密度よりも高いからである。このような結果、図4(b)に示すように、熱収縮が小さい融着部11gの切断部分が他の表面よりも突出し、基材11の上面11aには、発泡粒子12の形状に応じた凸部11fが形成される。
そこで、この場合には、シート材15で、凸部11fが形成された上面11aの形状に倣うように、シート材15で、基材11の上面11aを被覆する。これにより、シート材15の表面15aには、基材11の上面11aの凸部11fの形状に応じた凸部15cが形成される。
このように、基材11の上面11aに形成された凹部11eまたは凸部11fの形状に応じた凹部15bまたは凸部15cが、シート材15の表面15aに形成されるため、シート材15に照射された太陽光は、シート材15の表面15aで乱反射する。
これにより、太陽光パネル4に、より強い太陽光の反射光が照射されることを低減することができるため、太陽光パネル4が、反射光により直接的に加熱され難い。この結果、太陽光パネル4の温度上昇を抑え、太陽光パネル4の温度上昇に伴う発電効率の低下を抑制することができる。
なお、本明細書でいう、基材11の上面11aに形成された凹部11eとは、各発泡粒子12の表面(具体的には成形面または切断面)に対して、凹んでいる部分のことをいう。一方、基材11の上面11aに形成された凸部11fは、基材11の上面11aに形成された各発泡粒子12の表面に対して、突出した部分のことをいう。
2−4.シート材15の接合について
ここで、シート材15と基材11とを、接着層または粘着層などを介して、接合してもよく、たとえば、ステープルなどの固定部材で基材11に固定されてもよい。しかしながら、本実施形態では、その好ましい態様として、図4(a)および(b)に示すように、基材11とシート材15とは、粘着層13を介して接合されている。粘着層13の材料としては、圧力を加えて基材11とシート材15とを接合させることができるものであれば、特に限定されず、たとえばアクリル系粘着剤等があげられる。
基材11と、シート材15とは、粘着層13により接合されているので、たとえば、硬化型の接着層などに比べて、引き剥がし時の基材11の損傷を抑えつつ、シート材15を基材11から簡単に引き剥がすことができる。これにより、水上フロート10を補修する際には、基材11からシート材15を引き剥がし、シート材が引き剥がされた基材11を再利用して、再度、新しいシート材15を貼りなおすことができる。
また、硬化型の接着層に比べて、粘着層13は、基材11の上面11aに形成された凹部11eまたは凸部11fの形状により近い形状にシート材15を倣わせ易い。このため、シート材15の表面15aに、凹凸のよりはっきりとした凹部11eまたは凸部11fを形成することができるので、シート材15の表面15aに照射された太陽光が、より乱反射し易くなる。これにより、太陽光パネル4の発電効率の低下をより効果的に抑えることができる。
2−5.その他
基材11と粘着層13との密着性を高めるためには、好ましくは、基材11の表面の発泡粒子12の個数は、5〜10個/cmである、または、発泡粒子12の粒子径が、1〜20mmである。単位面積あたりの発泡粒子12の個数、または、発泡粒子12の粒子径を、このような範囲にすることにより、基材11と粘着層13との密着性が向上する。
なお、発泡粒子12の個数の測定は、基材11の表面の1cmの範囲に、粒子全体が存在する発泡粒子12の個数である。また、発泡粒子12の粒子径は、発泡樹脂粒子の粒径(平均粒径)は、実測または(未発泡の)樹脂粒子の粒径と発泡倍率からの算出により得ることができる。
ここで、発泡粒子12の個数が、5個/cm未満の場合、または、発泡粒子12の粒子径が20mmを超えた場合、発泡粒子12の融着部11gの割合が少ないため、粘着層13が形成される基材11の表層の強度が十分ではない。これにより、粘着層13とともに、基材11の表層が脱離し易いことがある。
一方、発泡粒子12の個数が、10個/cmを超えた場合、または、発泡粒子12の粒子径が、1mm未満の場合、発泡粒子12が細かくなり、基材11を製造するコストが高くなることがある。
本実施形態では、シート材15の厚みは、10〜90μmであることが好ましい。シート材15の厚みをこのような範囲とすることにより、シート材15の強度を保ちつつ、基材11の表面に、シート材15を倣わせ易い。ここで、シート材15の厚みが、10μm未満である場合には、シート材15の強度が十分でないことがあり、一方、その厚みが、90μmを超えた場合には、シート材15が基材11の表面に倣い難いことがある。
また、基材11の上面11aの凹部11eの深さ、および、上面11aの凸部11fの高さは、2〜200μmの範囲にあることが好ましく、このことを前提として、シート材15の厚みと、粘着層13の厚みの合計の厚みは、100μm以下であることが好ましい。このような範囲に設定にすることにより、シート材15の表面15aに、基材11の凹部11eまたは凸部11fを反映させ易くなる。
図5(a)および(b)は、第1実施形態の水上フロート10の変形例に係る模式的斜視図である。上述した実施形態では、水上フロート10として、基材11の上面11aおよび各短辺側の側面11bをシート材15で被覆したものであるが(図3参照)、たとえば、水上フロート10として、図5(a)および(b)に示す水上フロート10であってもよい。
具体的には、図5(a)に示す水上フロート10では、基材11の上面11aと、2つの長辺側の側面11c、11cとが、シート材15で被覆されている。また、図5(b)に示す水上フロート10では、基材11の上面11aと、すべての側面11b、11b、11c、11cとが、シート材15で被覆されている。このように、構成された水上フロート10であっても、上述した第1実施形態に係る水上フロート10と同上の効果を奏することは勿論のことである。
<第2実施形態>
以下に、図6〜8を参照して、第2実施形態およびその変形例に係る水上フロート10について説明する。図6は、第2実施形態に係る水上フロート10の模式的斜視図である。図7は、図6に示す水上フロート10が複数接触している場合の接触部分近傍の模式的な拡大断面図である。図8(a)および(b)は第2実施形態の水上フロート10の変形例に係る模式的斜視図である。
本実施形態およびその変形例に係る水上フロート10が第1実施形態およびこれらの変形例のものと相違する点は、シート材15で被覆された基材11の表面領域である。以下に相違点について主に説明し、上述した実施形態と同じ部材および部分に関しては、同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
図6に示すように、本実施形態では、シート材15は、少なくとも基材11の短辺側の側面11b、11bの下部が露出するように、基材11の上面11aから側面11b、11bにわたって連続して被覆されている。これにより、第1実施形態と同様に、基材11の上面11aを覆うシート材15の部分は、基材11の上面11aから剥離し難い。
本実施形態によれば、上述した第1実施形態と同様の効果に加えて、次の効果を発揮できる。本実施形態では、水上フロート10を、水平方向に複数個接触させて、水上フロート構造体1(図1〜2参照)これらを配置すると、図7に示すように、接触した短辺側の側面11b、11bでは、基材11の露出した側面11b、11b同士が接触する。
これにより、第1実施形態の如く、基材11の側面11bの全体をシート材15で被覆した場合に比べて、側面11bの露出した部分の発泡樹脂同士が接触するため、水上フロート10同士の摩擦力が向上する。この摩擦力により、隣接する水上フロート10同士を相互に拘束できるため、複数の水上フロート10が個々に上下に移動することを抑えることができる。
このような観点では、基材11の各短辺側の側面11bに被覆されるシート材15の下端は、基材11の上面11aから基材11の厚さに対して、10〜90%の範囲にあることが好ましい。これにより、基材11の側面11bの下部を露出させることができるため、上述した摩擦力をより一層発揮することができる。
本実施形態では、基材11の各側面の下部が露出されていればよく、その変形例として、たとえば、図8(a)に示す水上フロート10では、長辺側の側面11c、11cの下部を露出するように、長辺側の側面被覆部15e、15eを配置してもよい。または、図8(b)に示すように、すべての側面11b、11b、11c、11cの下部を露出するように側面被覆部15d、15d、15e、15eを配置してもよい。
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
本実施形態では、シート材で基材の側面を被覆していたが、少なくとも、基材の上面の耐候性および耐水性を確保するのであれば、基材の上面のみをシート材で被覆してもよい。
4:太陽光パネル、10:水上フロート、11:基材、11a:基材の上面、11b、11c:基材の側面、11e:基材の凹部、11f:基材の凸部、12:発泡粒子、13:粘着層、15:シート材、15b:シート材の凹部、15c:シート材の凸部

Claims (5)

  1. 太陽光パネルが載置された状態で、水面に浮く水上フロートであって、
    前記水上フロートは、互いに融着した複数の発泡粒子から構成される発泡樹脂製の基材と、
    前記基材の少なくとも上面を被覆する可撓性を有した金属製のシート材と、を備えることを特徴とする水上フロート。
  2. 前記基材の上面には、前記発泡粒子の形状に応じた凹部または凸部が形成されており、
    前記シート材には、前記基材の上面の前記凹部または前記凸部の形状に応じた凹部または凸部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の水上フロート。
  3. 前記基材と前記シート材とは、粘着層を介して接合されていることを特徴とする請求項1または2に記載の水上フロート。
  4. 前記シート材は、アルミニウム製であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の水上フロート。
  5. 前記水上フロートは、水平方向に複数個接触させて用いられるものであり、
    前記シート材は、少なくとも前記基材の側面の下部が露出するように、前記上面から前記側面にわたって連続して被覆されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の水上フロート。
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