JP2017082229A - マイクロカプセル化難燃剤およびそれを含む難燃性樹脂組成物 - Google Patents

マイクロカプセル化難燃剤およびそれを含む難燃性樹脂組成物 Download PDF

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誠 金澤
重人 小山
Shigeto Koyama
重人 小山
多田 祐二
Yuji Tada
祐二 多田
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Abstract

【課題】樹脂成形体や繊維の耐熱性(ガラス転移温度)および高温信頼性(ブリードアウト)を損なわずに、その難燃性を効果的に高めることができるアリールオキシシクロホスファゼン系難燃剤からなるマイクロカプセル化難燃剤を提供すること。【解決手段】コア物質とシェル物質からなる平均粒子径が0.01μm〜2,000μmのマイクロカプセルであって、前記コア物質が下記の式(1)で表される(A)アリールオキシシクロホスファゼン系難燃剤であり、かつ、前記シェル物質が(B)ポリマー基材材料であり、前記マイクロカプセル100重量部に対する前記コア物質の使用量が固形分換算で30〜99重量部であることを特徴とするマイクロカプセル。(式(1)中、nは3〜8の整数を示し、Eは、炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれた基を示し、これらの基は混合して置換されていても良い。)【選択図】なし

Description

本発明はアリールオキシシクロホスファゼン系難燃剤からなるマイクロカプセル化難燃剤およびそれを含む難燃性樹脂組成物に関する。
産業用および民生用の機器並びに電気製品などの分野において、合成樹脂は、その加工性、耐薬品性、耐候性、電気的特性および機械的強度等の点で他の材料に比べて優位性を有するため多用されており、また、使用量が増加している。しかし、合成樹脂は、燃焼し易い性質を有するため、難燃性の付与が求められており、近年その要求性能が次第に高まっている。このため、LSI等の電子部品の封止剤や基板等に使用されている樹脂組成物、例えばエポキシ樹脂組成物は、難燃化するために、ハロゲン含有化合物や、ハロゲン含有化合物と酸化アンチモンなどのアンチモン化合物との混合物が一般的な難燃剤として添加されている。ところが、このような難燃剤を配合した樹脂組成物は、燃焼時や成形時等において、環境汚染のおそれがあるハロゲン系ガスを発生する可能性がある。また、ハロゲン系ガスは、電子部品の電気的特性や機械的特性を阻害する可能性がある。そこで、最近では、合成樹脂用の難燃剤として、燃焼時や成形時等においてハロゲン系ガスが発生しにくい非ハロゲン系のもの、例えば、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなどの金属水和物系難燃剤やリン酸エステル系、縮合リン酸エステル系、リン酸アミド系、ポリリン酸アンモニウム系およびホスファゼン系などのリン系難燃剤が多用されるようになっている。
このうち、金属水和物系難燃剤は、脱水熱分解の吸熱反応とそれに伴う水の放出が合成樹脂の熱分解や燃焼開始温度と重複した温度領域で起こることで難燃化効果を発揮するが、その効果を高めるためには樹脂組成物に対して多量に配合する必要がある。このため、この種の難燃剤を含む樹脂組成物の成形品は、機械的強度が損なわれるという欠点がある。一方、リン系難燃剤のうち、リン酸エステル系および縮合リン酸エステル系の難燃剤は可塑効果を有することから、難燃性を高めるために樹脂組成物に対して多量に添加すると、樹脂成形品の機械的強度が低下するなどの欠点が生じる。また、リン酸エステル系、リン酸アミド系およびポリリン酸アンモニウム系のものは、容易に加水分解することから、機械的および電気的な長期信頼性が要求される樹脂成形品の製造用材料においては実質的に使用が困難である。これらに対し、ホスファゼン系の難燃剤は、他のリン系難燃剤に比べて可塑効果および加水分解性が小さく、樹脂組成物に対する添加量を大きくすることができるため、特許文献1〜7に記載のように、合成樹脂用の有効な難燃剤として多用されつつある。しかし、樹脂組成物に対する添加量を増やすと、高温下における樹脂成形品の信頼性を損なう可能性がある。
このように、熱可塑性樹脂系の樹脂組成物の場合は、高温下においてその樹脂成形体からホスファゼン系の難燃剤がブリードアウト(溶出)し易く、また、熱硬化性樹脂系の樹脂組成物の場合は、高温下においてその樹脂成形品にフクレ等の変形が発生し、当該樹脂成形品が積層基板等の電気・電子分野において用いられる場合は変形によるショートを引き起こす可能性がある。
一方、ホスファゼン系難燃剤をマイクロカプセルとして用いた例として、特許文献8〜10に記載のように、金属水酸化物の表面を、アルコキシ基とアリールオキシ基が混合置換したホスファゼン化合物で被覆処理若しくはマイクロカプセル化処理した難燃剤が提案されている。しかし、使用されているホスファゼン化合物がアルコキシ基を有することから耐熱性が低い、また、金属水酸化物の表面を、ホスファゼン化合物で被覆処理若しくはマイクロカプセル化処理した難燃剤では、ホスファゼン化合物のブリードアウトの防止は望めない。また、特許文献11〜12に記載のように、マイクロカプセル化したホスファゼンが粘着テープに使用されているが、使用されているホスファゼンは分解温度が200℃より低い化合物またはフッ素系の液状化合物であり、ハロゲンフリーで、高耐熱性の難燃性樹脂組成物は達成できていない。さらに、特許文献13に記載のように、天然微小管のシェルを使用してマイクロカプセル化処理した難燃剤が提案されているが、天然微小管自体が燃えやすく難燃性が不足している。また、種々の難燃剤を使用しているが、アリールオキシホスファゼン系難燃剤を使用していないことから、高い難燃性と耐熱性は望めない。
特開2004−83671号公報 特開2005−8835号公報 特開2005−248134号公報 特開2009−270213号公報 特開2010−260964号公報 特開2011−231150号公報 特開2011−246526号公報 特開平11−263885号公報 特開2001−2844号公報 特開2001−40149号公報 特開2004−307748号公報 特開2004−83730号公報 特開2010−261042号公報
本発明の課題は、加工時に難燃剤を安定して供給することができ、樹脂成形体や繊維の耐熱性(ガラス転移温度)および高温信頼性(ブリードアウト)を損なわずに、その難燃性を効果的に高めることができるアリールオキシシクロホスファゼン系難燃剤からなるマイクロカプセル化難燃剤並びにそれを含む難燃性樹脂組成物および成形体または繊維を実現することにある。
本発明者らは、上述の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、アリールオキシシクロホスファゼン系難燃剤からなるマイクロカプセル化難燃剤を用いることで、前記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
本発明のマイクロカプセル化難燃剤は、コア物質とシェル物質からなる平均粒子径が0.01μm〜2,000μmのマイクロカプセルであって、前記コア物質が(A)アリールオキシシクロホスファゼン系難燃剤であり、かつ、前記シェル物質が(B)ポリマー基材材料である。前記マイクロカプセル100重量部に対する前記コア物質の使用量は、固形分換算で30〜99重量部が好ましい。
[(A)アリールオキシシクロホスファゼン系難燃剤]
(A)アリールオキシシクロホスファゼン系難燃剤は、下記の式(1)で表される。
Figure 2017082229
式(1)中、nは3〜8の整数を示し、Eは、炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基、アルキルオキシ基およびアルケニルオキシ基、並びにアリール基およびシアノ基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていても良い、炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれた基を示し、これらの基が混合して置換されていても良い。
[(B)ポリマー基材材料]
ポリマー基材材料が、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレア、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリイミド、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−尿素−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリジメチルシロキサン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、イソブチレン−イソプレンゴムおよびブタジエン−イソプレンコポリマー、並びにこれらの混合物からなる群から選択される。
本発明は、マイクロカプセル化難燃剤であって、(A)アリールオキシシクロホスファゼン難燃剤が、下記の式(2)で表され、かつ、(B)ポリマー基材材料がポリ(メタ)アクリル酸エステルおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
Figure 2017082229
式(2)中、nは3〜8の整数を示し、Eが、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、メトキシフェノキシ基およびシアノフェノキシ基からなる群から選ばれた基であり、これらの基が混合して置換されていても良い。
本発明のマイクロカプセル化難燃剤の製造方法は、(A)アリールオキシシクロホスファゼン系難燃剤に、(B)ポリマー基材材料を、被覆処理若しくはマイクロカプセル化処理することからなる。
また、本発明のマイクロカプセル化難燃剤の製造方法は、(A)アリールオキシシクロホスファゼン系難燃剤、(B)ポリマー基材材料のモノマーである(メタ)アクリル酸エステルモノマー、重合開始剤、界面活性剤および水を混合し、この懸濁液中の粒子の平均径が0.01μm〜2,000μmとなるように被覆処理若しくはマイクロカプセル化処理することからなる。
本発明の難燃性樹脂組成物は、前記のマイクロカプセル化難燃剤と、(C)合成樹脂とを含んでいる。
本発明の成形体は、前記の難燃性樹脂組成物からなる。また、本発明の電気・電子部品は、この成型体からなる。
本発明の難燃性繊維製品は、前記の難燃性樹脂組成物と、(D)繊維または繊維製品とからなる。
本発明のマイクロカプセル化難燃剤は、合成樹脂や繊維に添加・加工する場合、取扱いが容易でこれを安定して供給でき、長期的な貯蔵安定性に優れていることから、樹脂成形体や繊維の耐熱性(ガラス転移温度が高い)および高温信頼性(ブリードアウトが無い)を実現でき、その難燃性を効果的に高めた樹脂成形体および繊維を得ることができる。
本発明の難燃性樹脂組成物は、本発明のマイクロカプセル化難燃剤を用いていることから、耐熱性(ガラス転移温度が高い)、高温信頼性(ブリードアウトが無い)および難燃性に優れている。
本発明の成形体は、本発明の難燃性樹脂組成物を用いていることから、耐熱性(ガラス転移温度が高い)、高温信頼性(ブリードアウトが無い)および難燃性に優れている。
本発明の電気・電子部品は、本発明の成形体を用いていることから、耐熱性(ガラス転移温度が高い)、高温信頼性(ブリードアウトが無い)および難燃性に優れている。
本発明の難燃性繊維製品は、本発明のマイクロカプセル化難燃剤を用いていることから、高温信頼性(ブリードアウトが無い)および難燃性に優れている。
本発明のマイクロカプセル化難燃剤は、コア物質とシェル物質からなる平均粒子径が0.01μm〜2,000μmのマイクロカプセルである。このような範囲であることにより、マイクロカプセル化難燃剤の取扱いが容易で、合成樹脂や繊維に添加・加工する場合、これを安定して供給でき、合成樹脂中に均一に分散でき、かつ、長期的な貯蔵安定性に優れている。
本発明のマイクロカプセル化難燃剤は、コア物質が(A)アリールオキシシクロホスファゼン系難燃剤であり、かつ、シェル物質が(B)ポリマー基材材料である。
本発明のマイクロカプセル化難燃剤は、下記の式(3)で表される(A)アリールオキシシクロホスファゼン系難燃剤がコア物質として用いられる。
Figure 2017082229
式(3)において、nは3から8の整数を示しているが、3から6の整数が好ましく、3若しくは4が特に好ましい。したがって、アリールオキシシクロホスファゼン化合物として特に好ましいものは、nが3のアリールオキシシクロトリホスファゼン(3量体)およびnが4のアリールオキシシクロテトラホスファゼン(4量体)である。また、本発明のアリールオキシシクロホスファゼン化合物は、nが異なる二種以上のものの混合物であってもよい。
また、式(3)において、Eは、下記の群から選ばれたアリールオキシ基を示している。
[E]基
炭素数6〜20のアリールオキシ基。このアリールオキシ基は、炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基、アルキルオキシ基およびアルケニルオキシ基、並びにアリール基およびシアノ基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていても良い。
このようなアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、エチルメチルフェノキシ基、ジエチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、イソプロピルメチルフェノキシ基、イソプロピルエチルフェノキシ基、ジイソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ペンチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、エテニルフェノキシ基、1−プロペニルフェノキシ基、2−プロペニルフェノキシ基、イソプロペニルフェノキシ基、1−ブテニルフェノキシ基、sec−ブテニルフェノキシ基、1−ペンテニルフェノキシ基、1−ヘキセニルフェノキシ基、メトキシフェノキシ基、フェニルフェノキシ基、ナフチルオキシ基、アントリルオキシ基、フェナントリルオキシ基およびシアノフェノキシ基等を挙げることができる。このうち、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、ジエチルフェノキシ基、2−プロペニルフェノキシ基、フェニルフェノキシ基およびシアノフェノキシ基が好ましく、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基およびシアノフェノキシ基が特に好ましい。これらの基が混合して置換されていても良い。
本発明で用いられる上述のアリールオキシシクロホスファゼン化合物は、通常、下記の式(4)で表わされる環状ホスホニトリルジハライドを原料とし、その全ハロゲン原子を、上述のE基からなる群から選ばれた基により置換することで得られる。また、E基としては、二種類以上を用いても良い。
Figure 2017082229
ここで、上記環状ホスホニトリルジハライドのハロゲン原子(X)をE基に置換するための方法として、例えば、次の非特許文献1および2に記載された方法を参照することができる。
PHOSPHORUS−NITROGEN COMPOUNDS、H.R.ALLCOCK著、1972年刊、ACADEMIC PRESS社 PHOSPHAZENES、A WORLDWIDE INSIGHT、M.GLERIA、R.DE JAEGER著、2004年刊、NOVA SCIENCE PUBLISHERS INC.社
本発明のマイクロカプセル化難燃剤は、(B)ポリマー基材材料がシェル物質として用いられる。
このような(B)ポリマー基材材料としては、内部の(A)アリールオキシシクロホスファゼン系難燃剤が溶出(ブリードアウト)しないなど難燃剤との遮断性を有する限り、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレア、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリイミド、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−尿素−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリジメチルシロキサン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、イソブチレン−イソプレンゴムおよびブタジエン−イソプレンコポリマー等を挙げることができる。このうち、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエステル、ポリカーボネート、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、ポリジメチルシロキサンおよびアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマーがなどが挙げられ、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂およびエポキシ樹脂が好ましい。特に、難燃性の点からはポリ(メタ)アクリル酸エステルおよびポリカーボネートが好ましく、耐熱性の点からはメラミン−ホルムアルデヒド樹脂およびエポキシ樹脂が特に好ましい。また、これらのポリマー基材材料は、混合して使用しても良い。
本発明のマイクロカプセル化難燃剤の粒径は、その平均粒径が0.01〜2,000μmである。0.01μmより小さい場合は、粉体としての取り扱いが不便となり、十分な難燃性を達成することができない。また、2,000μmより大きい場合は、均一な分散が困難となり、十分な難燃性を得られない。
本発明のマイクロカプセル化難燃剤の形状は、球形のカプセルの中に難燃剤が1つの核をなす球形単核型、球形のカプセルの中に難燃剤が複数の核をなす球形多核型、不定形のカプセルの中に難燃剤が1つの核をなす不定形単核型および不定形のカプセルの中に難燃剤が複数の核をなす不定形多核型のいずれであっても良い。
本発明のマイクロカプセル化難燃剤の製造方法は、特に限定されず、公知のマイクロカプセルの製造方法、例えば、界面重合法、In Situ重合法、オリフィス法、コアセルべーション法、液中乾燥法、気中懸濁被覆法、噴霧乾燥法および高速気流衝撃法等から、使用する(A)アリールオキシシクロホスファゼン系難燃剤およびB)ポリマー基材材料の物性と、要求されるマイクロカプセルの特性や用途から、適宜選択すればよい。上記の製造方法の少なくとも一種を用い、(A)アリールオキシシクロホスファゼン系難燃剤の粒子の表面に、(B)ポリマー基材材料を、被覆処理若しくはマイクロカプセル化処理することで製造することができる。
本発明のマイクロカプセル化難燃剤の製造は、上述の(A)アリールオキシシクロホスファゼン系難燃剤と、上述の(B)ポリマー基材材料のモノマーである(メタ)アクリル酸エステルモノマーに、必要に応じた種類と量の重合開始剤および界面活性剤、並びに水を混合して懸濁液を作製し、この懸濁液中の粒子の平均径が0.01μm〜2,000μmとなるように分散させ懸濁重合し、被覆処理若しくはマイクロカプセル化処理することで製造することができる。本製造操作によって、難燃剤と(メタ)アクリル酸エステルからなるポリマーが、それらのSP値(溶解パラメーター)の差によって、(メタ)アクリル酸エステルからなるポリマーが表面に集積しマイクロカプセルを製造することができる。
(B)ポリマー基材材料のモノマーである(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジアクリルフタレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタン(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートおよびテトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等を挙げることができ、1種のみを用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合開始剤は、特に限定されるものでなく、例えば、ナトリウムパーサルフェート、カリウムパーサルフェート、アンモニウムパーサルフェート、アセチルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、2,2−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2−アゾビス{2−[N−(4−クロフェニル)アミジノ]プロパン}ジヒドロクロライド、2,2−アゾビス[2−(N−フェニルアミジノ)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2−アゾビス{2−[N−(4−ヒドロキシフェニル)アミジノ]プロパン}ジヒドロクロライド、2,2−アゾビス[2−(N−ベンジルアミジノ)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2−アゾビス[2−(N−アリルアミジノ)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2−アゾビス{2−[N−(2−ヒドロキシエチル)アミジノ]プロパン}ジヒドロクロライド2,2−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2−アゾビス[2−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアジピン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2−アゾビス[2−(5−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジヒドロクロライド、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]、2,2−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド}、2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)ジヒドレート、4,4'−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)および2,2−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]等を挙げることができる。
良好な重合安定性を得るために、好ましくはナトリウムパーサルフェート、カリウムパーサルフェート、アンモニウムパーサルフェート、アセチルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ターシャリブチルパーオキシマレイン酸、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2−アゾビス[2−(N−フェニルアミジノ)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2−アゾビス{2−[N−(4−ヒドロキシフェニル)アミジノ]プロパン}ジヒドロクロライド、2,2−アゾビス[2−(N−ベンジルアミジノ)プロパン] ジヒドロクロライド、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2−アゾビス{2−[N−(2−ヒドロキシエチル)アミジノ]プロパン}ジヒドロクロライド、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2−アゾビス[2−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアジピン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジヒドロクロライド、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]、2,2−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、4,4'−アゾビス(4−シアノバレリック酸および2,2−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]等を挙げることができる。
重合開始剤の添加量は、使用するモノマーの総量100重量部に対して、通常0.05〜5重量部、好ましくは0.2〜4重量部である。0.05重量部未満では、重合開始能が低下してしまい、5重量部を超えると重合安定性が低下してしまう傾向にある。
ここで、界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤および反応性乳化剤等が使用することができるが、特にアニオン性界面活性剤あるいは非イオン性界面活性剤を使用することが好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、ナトリウムドデシルサルフェートおよびカリウムドデシルサルフェート等のアルカリ金属アルキルサルフェート、アンモニウムドデシルサルフェート等のアンモニウムアルキルサルフェート、ナトリウムドデシルポリグリコールエーテルサルフェート、スルホン化パラフィンのアルカリ金属塩およびスルホン化パラフィンのアンモニウム塩等のアルキルスルホネート、ナトリウムラウレート、トリエタノールアミンオレエートおよびトリエタノールアミンアビエテート等の脂肪酸塩、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネートおよびアルカリフェノールヒドロキシエチレンのアルカリ金属塩サルフェート等のアルキルアリールスルホネート、高アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等のジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート塩並びにポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩等を挙げることができる。
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセロールのモノラウレート等の脂肪酸モノグリセライド、ポリオキシエチレンオキシプロピレン共重合体、並びにエチレンオキサイドと脂肪酸アミン、エチレンオキサイドと脂肪酸アミドおよびエチレンオキサイドと脂肪酸との縮合生成物等を挙げることができる。
カチオン性界面活性剤としては、オクタデシルアミン酢酸塩、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライドおよびジオレイルジメチルアンモニウムクロライド等を挙げることができる。
両性界面活性剤としては、ジメチルラウリルベタイン、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム、アミドベタイン型およびイミダゾリン型等を挙げることができる。
高分子界面活性剤としては、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、ポリ(メタ)アクリル酸カリウム、ポリ(メタ)アクリル酸アンモニウム、ポリ(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルおよびポリ(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル等の水溶性高分子を挙げることができる。
反応性乳化剤としては、花王株式会社製のラテムルS−180およびS−180A、第一工業製薬株式会社製のアクアロンRNシリーズ、HSシリーズ、ニューフロンティアA−229EおよびN−177E、日本乳化剤株式会社製のAntoxMS−60、MS−2N、RA−1120、RA−2614、RMA−564、RMA−568およびRMA1114、旭電化工業株式会社製のアデカリアソープNE−10、NE−20およびNE−40、並びに新中村化学工業株式会社製のNKエステルM−20G、M−40G、M−90GおよびM−230G等を挙げることができる。
界面活性剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができ、その添加量は、使用するモノマー総量100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.5〜10重量部である。0.1重量部未満では乳化が不安定となって凝集物を生じする場合があり、20重量部を超えると乳化液の粘度が上昇する傾向にある。
本発明のマイクロカプセル化難燃剤において、(A)アリールオキシシクロホスファゼン系難燃剤の使用量は、ポリマー基材材料の種類や本発明の難燃性樹脂組成物の用途等の各種条件に応じて適宜設定することができるが、通常、固形分換算で、マイクロカプセル化難燃剤100重量部に対して、30〜99重量部に設定するのが好ましく、40〜98重量部に設定するのがより好ましく、50〜95重量部に設定するのがさらに好ましい。(A)アリールオキシシクロホスファゼン系難燃剤の使用量が30重量部未満の場合は、十分な難燃性を示す樹脂成形体や繊維が得られ難くなる可能性がある。逆に、(A)アリールオキシシクロホスファゼン系難燃剤の使用量が99重量部を超えると、マイクロカプセル化難燃剤本来の特性が損なわれ、マイクロカプセル化難燃剤による当該特性を示す樹脂組成物や繊維が得られ難くなる可能性がある。
本発明のマイクロカプセル化難燃剤は、その製造方法において、水または溶媒を含んだスラリーとして得られた場合、それを乾燥し粉体化することができる。この乾燥工程に用いる乾燥装置は、ドラムドライヤー、スプレードライヤー、フリーズドライヤーおよび流動槽ドライヤー等の一般的ないずれの装置を用いることができ、その乾燥条件は、減圧下または常圧下で、加熱して操作することができる。乾燥効率や操作性等を考慮すると、スプレードライヤーおよびドラムドライヤーが好ましい。なお、粉体の形状としては、球状、楕円形、立方体、直方体、円柱状、円錐状、俵状、桿状、正多面体、星形および筒型等のどのような形状でも良い。
本発明のマイクロカプセル化難燃剤は、混練・撹拌したとしてもカプセル壁が破砕し難くいため、難燃剤が漏れ出すことがなく、簡便に固定化することができる。また、本発明のマイクロカプセル化難燃剤の表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与したり、表面特性を改質させて使用することもできる。
本発明の難燃性樹脂組成物は、前記のマイクロカプセル化難燃剤と、下記の(C)合成樹脂とで調製することができる。
[(C)合成樹脂]
(C)合成樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレア、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリイミド、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−尿素−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、脂肪族、芳香族、環式、非環式、脂環式および複素環式等のエポキシ樹脂、ポリジメチルシロキサン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、イソブチレン−イソプレンゴムおよびブタジエン−イソプレンコポリマー等を挙げることができる。さらに、ポリビニルアルコール系樹脂、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルアクリレートおよびメチルメタアクリレートを主体とし、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリルおよびスチレンなどを共重合させ、さらにメチロールアクリルアミド、メタクリル酸グリシジル、アリルアミノジクロルトリアジンおよびモノクロル酢酸ビニルのような架橋基を導入した(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−エチレンコポリマー、酢酸ビニル−プロピオン酸ビニルコポリマーおよび酢酸ビニル−アクリレートコポリマーを重合させて得られる酢酸ビニル系樹脂、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリマーポリオールなどのポリオール類とポリアミンの混合物を第1成分とし、1分子中に平均2個以上の末端イソシアネート基を含有するポリイソシアネート類を第2成分として反応硬化して得られるウレタン系樹脂等を挙げることができる。このうち、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、フェノール樹脂およびエポキシ樹脂が好ましく、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテルおよびエポキシ樹脂が特に好ましい。また、これらの樹脂は混合して使用されていても良い。
本発明の難燃性樹脂組成物は、上述のマイクロカプセル化難燃剤と樹脂成分とを均一に混合することで調製することができる。ここで、マイクロカプセル化難燃剤の使用量は、樹脂成分の種類や本発明の組成物の用途等の各種条件に応じて適宜設定することができるが、通常、固形分換算での(C)樹脂成分100重量部に対して0.1〜200重量部に設定するのが好ましく、0.5〜100重量部に設定するのがより好ましく、1〜50重量部に設定するのがさらに好ましい。マイクロカプセル化難燃剤の使用量が0.1重量部未満の場合は、十分な難燃性を示す樹脂成形体が得られ難くなる可能性がある。逆に、マイクロカプセル化難燃剤の使用量が200重量部を超えると、樹脂成分本来の特性が損なわれ、樹脂成分による当該特性を示す樹脂成形体が得られ難くなる可能性がある。
本発明の難燃性樹脂組成物は、上述の必須成分、すなわち、上述のマイクロカプセル化難燃剤と樹脂成分の他に、用途や樹脂成分の種類等に応じ、その目的とする物性を損なわない範囲で、各種の充填剤や添加剤等を配合することができる。
使用可能な充填剤および添加剤は、樹脂組成物の技術分野において常用されているものであれば特に限定されるものではなく、公知の各種のものである。充填剤の具体例としては、粘土、クレー、カオリン、ベントナイト、長石やマイカ等のケイ酸アルミナ、タルクや滑石等のケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム(ワラストナイト)、軽石粉等のケイ酸塩、天然シリカ、焼成シリカ、合成シリカ、アモルファスシリカ、ホワイトカーボン、アエロジル、ケイ砂、石英粉およびケイ藻土等の無水ケイ酸若しくはケイ酸、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化モリブデンおよび酸化亜鉛等の金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸バリウムおよび炭酸マグネシウム等の炭酸塩、硫酸バリウムおよび硫酸マグネシウム等の硫酸塩、チタン酸カリウムおよびチタン酸バリウム等のチタン酸塩、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物、カーボンブラックおよびグラファイト等の炭素類、ホウ酸亜鉛およびモリブデン酸亜鉛等の亜鉛化合物、ガラスバルーン、シラスバルーンおよびフェノールバルーン等の無機若しくは有機のバルーン、ガラス繊維、ガラス布およびガラス微粉末等のガラス類並びにアルミナシリカ繊維、アルミナ繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、炭素繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、液晶繊維およびPBO(ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール)繊維等の繊維類を挙げることができる。これらの充填剤は、二種以上のものが併用されてもよい。
また、添加剤の具体例としては、ヒンダードアミン系、ベンゾトリアゾール系およびベンゾフェノン系等の紫外線吸収剤、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系およびヒドラジド系等の酸化防止剤、リン酸エステル、縮合リン酸エステル、リン酸アミド、リン酸アミドエステル、リン酸アンモニウム、ジアルキルホスフィン酸塩、ホスホン酸塩およ
び赤リンなどのリン系、メラミン、メラミンシアヌレート、メラム、メレム、メロンおよびサクシノグアナミン等の窒素系、ポリリン酸アンモニウムおよびポリリン酸メラミン等のリン窒素系、シリコーン系、臭素系および塩素化パラフィンなどの各種難燃剤、三酸化アンチモン等の難燃助剤、シラン系やチタン系等のカップリング剤、染料、顔料、着色剤、レベリング剤、レオロジーコントロール剤、顔料分散剤、重合禁止剤、ハジキ防止剤、消泡剤、離型剤並びに帯電防止剤等を挙げることができる。
本発明の難燃性樹脂組成物は、各種の樹脂成形体を製造するための材料、例えば、粉体塗料、電着塗料およびPCM(プレコートメタル用)塗料等の塗料、接着剤、シーリング材、成型材料、複合材料、積層板並びに封止材等の製造用の材料として用いることができる。また、繊維、繊維強化物品、フィルム、発泡体およびそれらいずれかの組み合わせた物品に対して使用することができる。そして、本発明の難燃性樹脂組成物を用いたこのような材料からなる各種の樹脂成形体、例えば、塗膜や成型品は、耐熱性(高いガラス転移温度)、高温信頼性(ブリードアウト性)および難燃性において同時に優れたものになる。
このため、本発明の難燃性樹脂組成物からなる成形体は、各種の電気部品や電子部品用の各種の製造材料、例えば、半導体封止用材料、回路基板(特に、金属張り積層板、プリント配線板用基板)の製造用材料、プリント配線板用の接着剤、プリント配線板用の接着剤シート、プリント配線板用の絶縁性回路保護膜、プリント配線板用の導電ペースト、多層プリント配線板用の封止剤、多層基板の層間絶縁材料、絶縁性接着材料、回路保護剤、カバーレイフィルムおよびカバーインク等として用いるのが特に好ましい。そして、このような各種の製造材料を用いて形成された樹脂成形体を用いた電子部品は、耐熱性および高温信頼性とともに難燃性に優れたものになる。
本発明の繊維製品は、前記のマイクロカプセル化難燃剤と(C)合成樹脂を含む難燃性樹脂組成物を、下記の(D)繊維または繊維製品に固定化処理することで調製することができる。
[(D)繊維および繊維製品]
(D)繊維としては、綿、木綿、カポック、亜麻、ラミー、黄麻、青麻、洋麻、ボウ麻、マニラ麻、サイザル麻、マゲー、マラオン、羊毛および絹等の天然有機繊維、レーヨン、強力レーヨンおよびポリノジック等のビスコース繊維、アセテート等のセルロース系半合成繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ビニロン繊維およびポリクラール繊維等の合成繊維、パラ系アラミド繊維、メタ系アラミド繊維、耐熱合成パルプ、全芳香族ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアクリロニトリル繊維、フェノール繊維、ポリフェニルサルホン繊維(PPS)繊維およびポリイミド繊維等の高機能繊維を挙げることができる。また、繊維製品としては、上記繊維を単独でまたは複数で組み合わせて製造される、糸、織物、編物、不織布、フェルト、皮革、人工皮革および繊維強化物品等を挙げることができる。
本発明の繊維製品は、前記難燃性樹脂組成物を(D)繊維または繊維製品に固定化して調製することができる。この固定化する方法としては、特に限定されないが、前記難燃性樹脂組成物の物性・特性に合わせて、浸漬法、減圧や加圧注入法等により含浸させる方法、ケーシングやラミネートする方法、接着剤等を用いて積層する方法、有機バインター(結合剤)や無機バインター等に混練したエマルジョンを塗付・積層する方法あるいはこれらを組み合わせた方法等で固定化することができる。たとえば、(C)合成樹脂を有機バインターとして用いる固定化方法としては、前記のマイクロカプセル化難燃剤を(C)合成樹脂と水に分散した難燃性樹脂組成物のエマルジョンを、(D)繊維および繊維製品に、塗布、噴霧、含浸またはバッキングなど通常知られている方法で含有させ、乾燥または
キュアリングする等の方法で固定化することができる。この場合、(C)合成樹脂のエマルジョンの固形分100重量部に対し、本発明の難燃性樹脂組成物を10〜200重量部、好ましくは20〜150重量部を混合、分散してエマルジョンを得る。さらに、このエマルジョンの固形分100重量部に対し、乳化剤0.1〜5重量部、好ましくは1〜3重量部を含み、必要に応じて、これに任意量のカチオン系、アニオン系およびノニオン系などの界面活性剤、柔軟仕上げ剤、帯電防止剤、艶出し剤、抗菌剤、撥水・撥油剤、消泡剤、染料並びに顔料等を配合して調製することができる。このとき、難燃性を更に向上させるために公知の難燃剤、例えば、リン酸エステル、クロル化リン酸エステル、縮合リン酸エステル、赤燐、被覆赤燐、ホスフィン酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムまたは膨張性黒鉛などを配合することもできる。
ここで、マイクロカプセル化難燃剤の使用量は、(D)繊維および繊維製品の種類や本発明の繊維の用途等の各種条件に応じて適宜設定することができるが、通常、(D)繊維および繊維製品の固形分100重量部に対して0.1〜200重量部に設定するのが好ましく、0.5〜100重量部に設定するのがより好ましく、1〜50重量部に設定するのがさらに好ましい。マイクロカプセル化難燃剤の使用量が0.1重量部未満の場合は、十分な難燃性を示す繊維が得られ難くなる可能性がある。逆に、マイクロカプセル化難燃剤の使用量が200重量部を超えると、繊維本来の特性が損なわれる可能性がある。
本発明の繊維製品は、消防服、耐火服、耐炎服および作業服などの衣類、寝装類、カーペット類、カーテン類、クッション類、建装具類、家具類、自動車・車輌・飛行機・船舶等の内装材、吸音材および座席シートの表皮材、キャンバスおよびターポリン等のシート材並びに補強材および断熱材等の土木・建築材等の分野で用いることができる。
以下に実施例等を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、以下において、「unit mol」の「unit」は、環状ホスファゼン化合物の最小構成単位、例えば、一般式(1)については(PNE)を意味し、一般式(4)については(PNX)を意味する。一般式(3)において、Xが塩素の場合、その1unit molは115.87gである。また、以下においては、特に断りがない限り、「%」および「部」とあるのは、それぞれ「重量%」および「重量部」を意味する。
合成例および参考例で得られたホスファゼン化合物は、H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトルおよび31P−NMRスペクトルの測定、アルカリ溶融後の硝酸銀を用いた電位差滴定法による塩素元素(残留塩素)の分析、並びにTOF−MS分析の結果に基づいて同定した。
合成例1(アリールオキシシクロホスファゼン化合物の製造)
PHOSPHORUS−NITROGEN COMPOUNDS、H.R.ALLCOCK著、1972年刊、151頁、ACADEMIC PRESS社に記載されている方法に従い、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン81%とオクタクロロシクロテトラホスファゼン19%とからなるシクロホスファゼン混合物を用いて[N=P(OCおよび[N=P(OCの化学式でそれぞれ示されるアリールオキシシクロホスファゼン化合物の混合物(白色固体/融点:65〜112℃)を得た。
合成例2(アリールオキシシクロホスファゼン化合物の製造)
撹拌機、温度計、還流冷却管、水分離用受器および窒素導入管を備えた5リットルのフラスコ中に48%KOH水溶液772g(6.6mol)、クロロベンゼン1,200ml、フェノール339g(3.6mol)、m−クレゾール260g(2.4mol)およびp−クレゾール130g(1.2mol)を仕込んだ。これを窒素雰囲気下で撹拌加熱し、共沸脱水によりフラスコ内の水分を除去(回収水:約520ml)して、カリウムフェノキシド、カリウム m−メチルフェノキシドおよびp−メチルフェノキシドの混合物を調製した後、このスラリー溶液を40℃に冷却した。
このスラリー溶液にヘキサクロロシクロトリホスファゼン348g(3.0unit mol)を仕込み、還流下で撹拌反応を13時間行った。反応終了後、5%NaOH水溶液で2回洗浄した。そして、これを2%硝酸で中和して分液し、有機層を無水硫酸マグネシウムで脱水乾燥した後に溶媒を留去したところ、褐色粘稠液体の生成物721g(収率:98%)が得られた。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
CH 2.2(9H)、芳香族C−H 6.8〜7.2(27H)
13C−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
−CH 21.1,芳香族C 116.0、130.2、130.9、154.2
31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.9
◎TOF−MS(m/z)
722、736、750
◎残存塩素分析:
<0.01%
以上の分析結果から、この工程で得られた生成物は[N=P(OCCH0.99(OC1.01で示されるアリールオキシシクロホスファゼン化合物であることを確認した。
合成例3(アリールオキシシクロホスファゼン化合物の製造)
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた5リットルの反応器中にクロロシクロホスファゼンオリゴマー(分子式[PNClで示される、nが3から8の混合物)348g(3.0unit mol)、フェノール282g(3.0mol)およびアセトン(2,000ml)を仕込んだ。これに窒素雰囲気下でトリエチルアミン809g(8.0mol)を20分間かけて滴下し、2時間還流した。続けて、4−シアノフェノール393g(3.3mol)のアセトン(500ml)溶液を滴下し、16時間還流した。この反応液を濃縮し、その残渣に酢酸エチル(2,000ml)および1M塩酸(1,000ml)を加えて分液した。そして、有機層を1M塩酸(1,000ml)、10%KOH水溶液(500ml)、水(500ml)および飽和食塩水(500ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に減圧濃縮したところ、白色粉末状の生成物755g(収率:98%)が得られた。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
芳香族C−H 7.0〜7.8(9H)
31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
六量体(P=N) −18.6、五量体(P=N) −18.1、四量体(P=N) −13.2、三量体(P=N) 8.5
◎TOF−MS(m/z)
743、768、793、1,024、1,281
◎残存塩素分析:
<0.01%
以上の分析結果から、この工程で得られた生成物は、平均組成が[N=P(OCCN)0.98(OC1.02]で示される、アリールオキシシクロホスファゼン化合物の混合物であることを確認した。
実施例1(マイクロカプセル化難燃剤の調製)
合成例1で製造したアリールオキシシクロホスファゼン化合物90部、メタクリル酸メチル8部、ジメタクリル酸エチレン2部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル8部、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩3.33部、メチルエチルケトン100部およびイオン交換水200部を50℃加温条件下で30分間撹拌し各成分の溶解・予備分散を行った後に、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.02部、ベンゾイルパーオキサイド 0.016部を加え、更に3分間撹拌し、次いでホモミキサー(プライミクス株式会社製:ロボミックス)を用いて撹拌速度10,000rpmで撹拌を実施し、懸濁液を作製した。
この懸濁液を窒素雰囲気下、60℃で4時間重合した後に、共沸脱溶媒によってメチルエチルケトンを除去することによって、マイクロカプセルの水分散体(平均粒子径:0.155μm)を得た。
平均粒子径:マイクロカプセルの水分散体を、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所製:LA−950V2)を用いて平均粒子径を測定した。
実施例2〜4(マイクロカプセル化難燃剤の調製)
合成例1で製造したアリールオキシシクロホスファゼン化合物、メタクリル酸メチル、ジメタクリル酸エチレン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩、メチルエチルケトンおよびイオン交換水を表1に示した量に変えた以外は、実施例1と同様の方法でマイクロカプセルの水分散体を得た。
実施例5および6(マイクロカプセル化難燃剤の調製)
アリールオキシシクロホスファゼン化合物を合成例2または3で製造したアリールオキシシクロホスファゼン化合物に変えた以外は、実施例1と同様の方法でマイクロカプセルの水分散体を得た。
Figure 2017082229
1)シェル成分架橋度(重量%)=(架橋剤量/シェル部のポリマー量)×100
実施例7〜12および比較例1〜3(樹脂組成物の調製)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂であるエピコート1001(ジャパン・エポキシ・レジン社の商品名:エポキシ当量456g/eq.、樹脂固形分70%)110部、クレゾールノボラックエポキシ樹脂であるYDCN−704P(東都化成株式会社の商品名:エポキシ当量210g/eq.、樹脂固形分70%)50部、ノボラック型フェノール樹脂であるBRG−558(昭和高分子株式会社の商品名:水酸基価106g/eq.、樹脂固形分70%)50部、水酸化アルミニウム60部および2−エチル−4−メチルイミダゾール0.2部の混合物に対し、実施例1〜6で得られたマイクロカプセル化難燃剤をスプレードライイング法にて乾燥した粉末状製剤または合成例1〜3で得られたアリールオキシシクロホスファゼン化合物を表2に示す割合で添加し、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)を加えて樹脂固形分65%のエポキシ樹脂ワニス(樹脂組成物)を調製した。
次に、厚さが180μmのガラス織布に調製したエポキシ樹脂ワニスを塗布して含浸させ、160℃の温度で乾燥してプリプレグを製造した。こうして得られた厚さ180μmのガラス織布プリプレグを8枚積層し、これを170℃の温度、4MPaの圧力で100分間加熱・加圧して厚さ1.2mmのガラスエポキシ積層板を得た。
このガラスエポキシ積層板から長さ5インチ、幅0.5インチ、厚さ1.2mmの試験片を切り出し、その燃焼性、耐熱性および高温信頼性を調べた結果を表2に示す。各項目の評価方法は下記の通りである。
難燃性(UL−94規格垂直燃焼試験)
アンダーライターズラボラトリーズ(Underwriter’s Laboratories Inc.)のUL−94垂直燃焼試験に基づき、10回接炎時の合計燃焼時間と燃焼時の滴下物による綿着火の有無により、V−0、V−1、V−2および規格外の四段階に分類した。評価基準を以下に示す。難燃性レベルはV−0>V−1>V−2>規格外の順に低下する。
V−0:下記の条件を全て満たす。
(A)試験片5本を1本につき二回ずつ、合計10回の接炎後からの消炎時間の合計が50秒以内。
(B)試験片5本を1本につき二回ずつ接炎を行い、それぞれの接炎後からの消炎時間が5秒以内。
(C)すべての試験片で滴下物による、300mm下の脱脂綿への着火がない。
(D)すべての試験片で、二回目の接炎後のグローイングは30秒以内。
(E)すべての試験片で、クランプまでフレーミングしない。
V−1:下記の条件を全て満たす。
(A)試験片5本を1本につき二回ずつ、合計10回の接炎後からの消炎時間の合計が250秒以内。
(B)試験片5本を1本につき二回ずつ接炎を行い、それぞれの接炎後からの消炎時間が30秒以内。
(C)すべての試験片で滴下物による、300mm下の脱脂綿への着火がない。
(D)すべての試験片で、二回目の接炎後のグローイングは60秒以内。
(E)すべての試験片で、クランプまでフレーミングしない。
V−2:下記の条件を全て満たす。
(A)試験片5本を1本につき二回ずつ、合計10回の接炎後からの消炎時間の合計が250秒以内。
(B)試験片5本を1本つき二回ずつ接炎を行い、それぞれの接炎後からの消炎時間が30秒以内。
(C)試験片5本のうち、少なくとも1本、滴下物による、300mm下の脱脂綿への着火がある。
(D)すべての試験片で、二回目の接炎後のグローイングは60秒以内。
(E)すべての試験片で、クランプまでフレーミングしない。
耐熱性(ガラス転移温度)
試験片のガラス転移温度を、JIS K 7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」に準じ、示差走査熱量計(DSC)で測定し、耐熱性を評価した。
高温信頼性(ブリードアウト性)
試験片を160℃で100時間加熱し、試験片表面でのブリードアウト状態(試験片内部からのブリードアウト状態)を目視観察した。評価の基準は次の通りである。
◎:ブリードアウトが全く見られない。
〇:ブリードアウトがほとんど見られない。
△:若干のブリードアウトが見られる。
×:著しいブリードアウトが見られる。
Figure 2017082229
表2から明らかなように、実施例7〜12の樹脂組成物からなるガラスエポキシ積層板(成形体)は、比較例1〜3のものに比べて、難燃性は同等であるが、ガラス転移温度が高いことから耐熱性に優れており、さらに高温信頼性にも優れている。
本発明のマイクロカプセル化難燃剤は、合成樹脂と共に使用することで、粉体塗料および電着塗料料等の塗料、接着剤、シーリング材、成型材料、複合材料、積層板並びに封止材等の樹脂組成物を製造するための材料として好適に利用できる。また、衣類、寝装類、家具類、自動車・車輌・飛行機・船舶等の内装材、吸音材および座席シートの表皮材、並びに補強材および断熱材な等の土木・建築材等の使用される繊維や繊維製品として用いることができる。

Claims (10)

  1. コア物質とシェル物質からなる平均粒子径が0.01μm〜2,000μmのマイクロカプセルであって、前記コア物質が(A)アリールオキシシクロホスファゼン系難燃剤であり、かつ、前記シェル物質が(B)ポリマー基材材料であり、前記マイクロカプセル100重量部に対する前記コア物質の使用量が固形分換算で30〜99重量部であることを特徴とするマイクロカプセル化難燃剤。
  2. 前記(A)アリールオキシシクロホスファゼン系難燃剤が、下記の式(1)で表されることを特徴とする請求項1に記載のマイクロカプセル化難燃剤。
    Figure 2017082229
    (式(1)中、nは3〜8の整数を示し、Eは、炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基、アルキルオキシ基およびアルケニルオキシ基、並びにアリール基およびシアノ基から選ばれる少なくとも一種の基が置換されていても良い、炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれた基を示し、これらの基は混合して置換されていても良い。)
  3. 前記(B)ポリマー基材材料が、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレア、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリイミド、尿素-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−尿素−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリジメチルシロキサン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、イソブチレン−イソプレンゴムおよびブタジエン−イソプレンコポリマー、並びにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1または2に記載のマイクロカプセル化難燃剤。
  4. 前記(A)アリールオキシシクロホスファゼン難燃剤が下記の式(2)で表され、かつ、前記(B)ポリマー基材材料がポリ(メタ)アクリル酸エステルおよびこれらの混合物からなる群から選択される請求項1から3のいずれかに記載のマイクロカプセル化難燃剤。
    Figure 2017082229
    (式(2)中、nは3〜8の整数を示し、Eが、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、メトキシフェノキシ基およびシアノフェノキシ基からなる群から選ばれたアリールオキシ基であり、これらの基は混合して置換されていても良い。)
  5. (A)アリールオキシシクロホスファゼン系難燃剤に(B)ポリマー基材材料を、被覆処理若しくはマイクロカプセル化処理することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のマイクロカプセル化難燃剤の製造方法。
  6. (A)アリールオキシシクロホスファゼン系難燃剤、(B)ポリマー基材材料のモノマーである(メタ)アクリル酸エステルモノマー、重合開始剤、界面活性剤および水を混合し、この懸濁液中の粒子の平均径が0.01μm〜2,000μmとなるように被覆処理若しくはマイクロカプセル化処理することを特徴とする請求項5に記載のマイクロカプセル化難燃剤の製造方法。
  7. 請求項1から4のいずれかに記載のマイクロカプセル化難燃剤と、(C)合成樹脂とを含む、難燃性樹脂組成物。
  8. 請求項7に記載の難燃性樹脂組成物からなる成形体。
  9. 請求項8に記載の成形体よりなることを特徴とする電気・電子部品。
  10. 請求項7に記載の難燃性樹脂組成物と、(D)繊維または繊維製品とからなる難燃性繊維製品。
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