JP2017080893A - 液体吐出装置と液体吐出ヘッドの洗浄方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】吐出用の液体の一部の成分の沈降による液体吐出ヘッドの目詰まりを、少量の洗浄用の液体を用いて抑えられるようにする。
【解決手段】液体吐出装置が、液体を吐出する液体吐出ヘッド3と、吐出用の液体を収容する吐出液タンク1と、吐出用の液体を吐出液タンク1から液体吐出ヘッド3に供給する吐出液供給機構と、洗浄用の液体を収容する洗浄液タンク2と、洗浄用の液体を洗浄液タンク2から液体吐出ヘッド3に供給する洗浄液供給機構と、液体吐出ヘッド3の内部の液体を回収し、回収した液体を液体部分と固形部分とに分離して、分離された液体部分を、洗浄液タンク2または液体吐出ヘッド3に移送する再利用手段と、を含む。
【選択図】図1
【解決手段】液体吐出装置が、液体を吐出する液体吐出ヘッド3と、吐出用の液体を収容する吐出液タンク1と、吐出用の液体を吐出液タンク1から液体吐出ヘッド3に供給する吐出液供給機構と、洗浄用の液体を収容する洗浄液タンク2と、洗浄用の液体を洗浄液タンク2から液体吐出ヘッド3に供給する洗浄液供給機構と、液体吐出ヘッド3の内部の液体を回収し、回収した液体を液体部分と固形部分とに分離して、分離された液体部分を、洗浄液タンク2または液体吐出ヘッド3に移送する再利用手段と、を含む。
【選択図】図1
Description
本発明は液体吐出装置と液体吐出ヘッドの洗浄方法に関する。
液体吐出装置の一例であるインクジェット記録装置には、色材として直径が数百nm程度の大きさの顔料粒子を含む顔料インクを液体吐出ヘッドから記録媒体に吐出して、所望の画像を形成するものがある。顔料インク内の顔料粒子は、溶媒等の液体よりも比重が重い固形成分であり、液体吐出装置が動作停止して長期間使用されない場合に、液体タンクの下部や液体吐出ヘッド内に沈降してしまう沈降性の成分である。近年では、液体吐出装置において、従来の顔料粒子よりも重い白色顔料やメタリック顔料等が使用されることが多くなり、顔料粒子の沈降による不良画像形成や信頼性低下などがより懸念されている。特に、細い流路を有する小型かつ高密度の液体吐出ヘッド内の吐出口近傍では、顔料粒子の沈降に起因する吐出口の目詰まりが発生し易く、液体吐出装置が長期間の不使用の後に液体吐出を再開する際に吐出不能となることがある。このような吐出不能により、液体吐出装置の信頼性が著しく低下し、良好な画像を形成できなくなってしまう。
吐出口近傍における目詰まりの解決のために、特許文献1では、ヘッドにインクを導入するインク供給手段と、洗浄液導入手段とが設けられている。このインク供給手段と洗浄液導入手段とから、いくつかのバルブを介してヘッドに対して選択的に液体を導入することにより、ヘッド内のインクまたは洗浄液のいずれかの液体を他方の液体に置換することができる。特に、印字が終了したときに、ヘッド内のインクを洗浄液に置換することにより、ノズル等の目詰まりを防ぎ、ヘッドの信頼性が維持される。
特許文献1に開示されているインクジェット記録装置では、ヘッド内とヘッドにつながる流路内に充填されているインクを洗浄液に完全に置換するために、印字終了の度に大量の洗浄液を消費してしまうという問題点がある。
本発明の目的は、吐出用の液体の一部の成分の沈降による液体吐出ヘッドの目詰まりを、少量の洗浄用の液体を用いて抑えることができる液体吐出装置と液体吐出ヘッドの洗浄方法を提供することにある。
本発明の液体吐出装置は、液体を吐出する液体吐出ヘッドと、吐出用の液体を収容する吐出液タンクと、吐出用の液体を吐出液タンクから液体吐出ヘッドに供給する吐出液供給機構と、洗浄用の液体を収容する洗浄液タンクと、洗浄用の液体を洗浄液タンクから液体吐出ヘッドに供給する洗浄液供給機構と、液体吐出ヘッドの内部の液体を回収し、回収した液体を液体部分と固形部分とに分離して、分離された液体部分を、洗浄液タンクまたは液体吐出ヘッドに移送する再利用手段と、を含む。
本発明によると、吐出用の液体の一部の成分の沈降による液体吐出ヘッドの目詰まりを、少量の洗浄用の液体を用いて抑えられる。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る液体吐出装置の一例(例えばインクジェット記録装置)の液体回収部を示す模式図である。この液体吐出装置では、吐出液タンク(インクタンク)1が、吐出用の液体(インク)の供給用のバルブV1を介して液体吐出ヘッド(ヘッドユニット)3に接続されている。また、洗浄液タンク2が、洗浄用の液体(洗浄液)の供給用のバルブV2を介してヘッドユニット3に接続されている。キャップ部4が、ヘッドユニット3の吐出口形成面と対向可能に配置されている。このキャップ部4は、ポンプP1とインク及び洗浄液の回収用のバルブV3とを介して液体回収タンク5に接続されている。さらに、液体回収タンク5は、分離された液体部分の供給用のバルブV4とポンプP2とを介して洗浄液タンク2に接続されている。ここでは、吐出液タンク1とヘッドユニット3とを接続する配管およびバルブV1等を吐出液供給機構と称する。同様に、洗浄液タンク2とヘッドユニット3とを接続する配管およびバルブV2等を洗浄液供給機構と称する。そして、キャップ部4と、液体回収タンク5と、ポンプP1,P2と、バルブV3,V4等を総称して、洗浄液の再利用に寄与する再利用手段と称する。このうち、ポンプP2およびバルブV4を、液体回収タンク5内の液体部分を洗浄液タンク2に移送するための移送機構と称する。後述する他の実施形態の各構成要件も、これに準じて名称を付与する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る液体吐出装置の一例(例えばインクジェット記録装置)の液体回収部を示す模式図である。この液体吐出装置では、吐出液タンク(インクタンク)1が、吐出用の液体(インク)の供給用のバルブV1を介して液体吐出ヘッド(ヘッドユニット)3に接続されている。また、洗浄液タンク2が、洗浄用の液体(洗浄液)の供給用のバルブV2を介してヘッドユニット3に接続されている。キャップ部4が、ヘッドユニット3の吐出口形成面と対向可能に配置されている。このキャップ部4は、ポンプP1とインク及び洗浄液の回収用のバルブV3とを介して液体回収タンク5に接続されている。さらに、液体回収タンク5は、分離された液体部分の供給用のバルブV4とポンプP2とを介して洗浄液タンク2に接続されている。ここでは、吐出液タンク1とヘッドユニット3とを接続する配管およびバルブV1等を吐出液供給機構と称する。同様に、洗浄液タンク2とヘッドユニット3とを接続する配管およびバルブV2等を洗浄液供給機構と称する。そして、キャップ部4と、液体回収タンク5と、ポンプP1,P2と、バルブV3,V4等を総称して、洗浄液の再利用に寄与する再利用手段と称する。このうち、ポンプP2およびバルブV4を、液体回収タンク5内の液体部分を洗浄液タンク2に移送するための移送機構と称する。後述する他の実施形態の各構成要件も、これに準じて名称を付与する。
このような構成の液体吐出装置では、液体吐出による記録が終了した後に、バルブV1を閉じてインクタンク1からヘッドユニット3へのインクの供給を止める。そして、キャップ部4によってヘッドユニット3の吐出口形成面を覆い、バルブV2,V3を開けてポンプP1を作動させ、キャップ部4を介してヘッドユニット3の内部を吸引する。それにより、ヘッドユニット3の内部に存在するインクを、キャップ部4およびバルブV3を介して液体回収タンク5に排出させる。それとともに、洗浄液タンク2内の洗浄液が、開いているバルブV2を介してヘッドユニット3に流入する。こうして、ヘッドユニット3の内部のインクが洗浄液に置換される。置換が終了したら、すべてのバルブV1〜V4を閉じ、すべてのポンプP1〜P2を停止する。この置換動作中にヘッドユニット3から排出されたインクは、液体回収タンク5に回収される。
この置換動作が行われた後に、記録のための液体吐出を再開するときには、バルブV2を閉じた状態で、バルブV1,V3を開けてポンプP1を動かす。それにより、ヘッドユニット3の内部に存在する洗浄液は、キャップ部4およびバルブV3を介して液体回収タンク5に排出され、インクタンク1内のインクがバルブV1を介してヘッドユニット3に流入する。こうして、ヘッドユニット3の内部の洗浄液がインクに置換される。置換が終了したら、すべてのバルブV1〜V4を閉じ、すべてのポンプP1〜P2を停止する。この置換動作中にヘッドユニット3から排出された洗浄液は、液体回収タンク5に回収される。このようにして、記録の準備が完了する。
記録の終了後と再開前とに、上述したインクと洗浄液の置換を繰り返すことによって、その都度インクまたは洗浄液が液体回収タンク5に回収される。液体回収タンク5内のインク中の沈降性の成分は自然沈降し、インクは固形部分と液体部分とに分離される。適宜のタイミングで(例えば記録再開直前に)バルブV4を開けてポンプ2を作動させ、上澄み液(固形部分から分離されたインクの液体部分と洗浄液)を、液体回収タンク5からバルブV4を介して洗浄液タンク2に移送し、洗浄液として再利用する。
バルブV4を開けてポンプP2を作動させ、固体部分から分離されたインクの液体部分と洗浄液とを液体回収タンク5から洗浄液タンク2に移送するタイミングと移送量は、液体回収タンク5の容積や洗浄液タンク2の容積や使用頻度等により適宜に決定される。ただし、各タンク1,2,5から液体があふれ出すおそれがない程度で、できるだけ長く液体回収タンク5から液体を移送せずに放置するほど、固形部分と液体部分の分離がより進行するため好ましい。それは、目詰まりの要因となり得る沈降性の成分が、洗浄液タンク2に移送されて洗浄液として再利用される液体中にできるだけ含まれないようにするために効果的だからである。本実施形態では、固体部分から分離されたインクの液体部分と洗浄液の液体回収タンク5から洗浄液タンク2への移送は、1週間に1回行った。一般的なインクと洗浄液の使用有効期限である6カ月を経過しても洗浄液の補充は必要なく、吐出口およびその近傍の目詰まりは生じず、良好な画像形成が可能であった。
沈降性の成分は、インクに用いられる溶剤と水の混合液より比重の大きな顔料であれば特に限定されず、白色顔料やメタリック顔料のように比重が水の数倍以上の顔料が含まれている場合に、本発明はより効果的である。本実施形態では、インクに含まれる沈降性の成分は、酸化チタンからなる白色顔料であり、酸化チタンの含有量が8%になるように、酸化チタンと混合される溶剤と水と界面活性剤を調整してインクを作製した。
洗浄液は、液体吐出装置に化学的ダメージを与えない液体であれば何を使っても良いが、インクから少なくとも沈降性成分を除いた液体が好ましい。本実施形態では、上述したインクから酸化チタンのみを除いた、溶剤と水と界面活性剤の混合液を洗浄液として用いている。
[第2の実施形態]
図2は、本発明の第2の実施形態に係る液体吐出装置の一例(例えばインクジェット記録装置)の液体回収部を示す模式図である。本実施形態の液体吐出装置では、液体回収タンク5内に内容器51が内包されている。それ以外の構成は第1の実施形態の液体吐出装置と同様であるため説明を省略する。
図2は、本発明の第2の実施形態に係る液体吐出装置の一例(例えばインクジェット記録装置)の液体回収部を示す模式図である。本実施形態の液体吐出装置では、液体回収タンク5内に内容器51が内包されている。それ以外の構成は第1の実施形態の液体吐出装置と同様であるため説明を省略する。
液体回収タンク5内の内容器51は逆Y字形であり、軸Xを中心として不図示のモータに駆動されて回転可能である。この内容器51とモータが遠心分離器を構成している。内容器51は軸Xに対して対称形であり、軸Xから外周側に突出した部分を有している。内容器51が軸Xを中心として高速回転することにより、回収されたインク及び洗浄液の混合物中の固形部分が、遠心力によって、軸Xから外周側に突出した部分に移動し、液体部分から分離される。内容器51には、内部に収容した液体の液面の高さを検知する液面センサーS51が取り付けられている。
本実施形態でも第1の実施形態と同様に、記録終了後にバルブV1を閉じ、キャップ部4でヘッドユニット3の吐出口形成面を覆ってから、バルブV2,V3を開けてポンプP1を作動させ、ヘッドユニット3内のインクを液体回収タンク5に回収する。それとともに、洗浄液タンク2内の洗浄液がバルブV2を介してヘッドユニット3に流入し、インクと洗浄液の置換を行う。置換終了後には、バルブV1〜V4を閉じポンプP1〜P2を停止する。液体吐出の再開時には、バルブV2を閉じたままバルブV1、V3を開けてポンプP1を動かして、ヘッドユニット3内の洗浄液を液体回収タンク5に排出し、インクタンク1内のインクをヘッドユニット3に流入させて、洗浄液とインクを置換する。置換終了後には、バルブV1〜V4を閉じポンプP1〜P2を停止する。
記録の終了後と再開前とに、上述したインクと洗浄液の置換を繰り返すことによって、その都度インクまたは洗浄液が液体回収タンク5に回収される。そして、内容器51の側面に設けられた液面センサーS51により、液面が所定の高さに到達したことが検知されると、不図示のモータが作動して内容器51は軸Xを中心として回転する。具体的には、本実施形態では、液面が所定の高さに到達したことをセンサーS51が検知したことが通知されると、作業者が手動で内容器51と配管との接続を一時的に解除し、内容器51にふたをする。そして、センサーS51からの信号を受けたモータが作動して、内容器51を毎分5000回転の回転数で10分間回転させる。実際にこの内容器51の回転が終了した後に目視すると、内容器51内のインクと洗浄液の混合物は、固形部分と液体部分に分離されていた。そして、再び作業者が手動で内容器51と配管を接続する。その後、適宜のタイミングで(例えば記録再開直前に)バルブV4を開けてポンプP2を作動させ、上澄み液(分離された液体部分)を洗浄液タンク2に移送し、洗浄液として再利用する。
本実施形態によると、遠心分離により固形部分と液体部分とを分離させるため、目詰まりの要因となり得る沈降性の成分が、洗浄液タンク2に移送されて洗浄液として再利用される液体中に含まれることを予防する効果が大きい。
[第3の実施形態]
図3は、本発明の第3の実施形態に係る液体吐出装置の一例(例えばインクジェット記録装置)の液体回収部を示す模式図である。本実施形態の液体吐出装置では、液体回収タンク5内にフィルタ52が設けられている。それ以外の構成は第1の実施形態の液体吐出装置と同様であるため説明を省略する。
図3は、本発明の第3の実施形態に係る液体吐出装置の一例(例えばインクジェット記録装置)の液体回収部を示す模式図である。本実施形態の液体吐出装置では、液体回収タンク5内にフィルタ52が設けられている。それ以外の構成は第1の実施形態の液体吐出装置と同様であるため説明を省略する。
本実施形態では、フィルタ52により、液体回収タンク5内のインクがろ過され、固形部分と液体部分とに分離される。フィルタ52の目の細かさは、沈降性の成分の粒子の大きさに応じて適宜に決められる。ただし、少なくともインク中の沈降性の成分をフィルタリング可能であればよく、インク中の沈降性の成分以外の固形部分の粒子の大きさを考慮する必要はない。
本実施形態でも第1の実施形態と同様に、記録終了後にバルブV1を閉じ、キャップ部4でヘッドユニット3の吐出口形成面を覆ってから、バルブV2,V3を開けてポンプP1を作動させ、ヘッドユニット3内のインクを液体回収タンク5に回収する。それとともに、洗浄液タンク2内の洗浄液がバルブV2を介してヘッドユニット3に流入し、インクと洗浄液の置換を行う。置換終了後には、バルブV1〜V4を閉じポンプP1〜P2を停止する。液体吐出の再開時には、バルブV2を閉じたままバルブV1、V3を開けてポンプP1を動かして、ヘッドユニット3内の洗浄液を液体回収タンク5に排出し、インクタンク1内のインクをヘッドユニット3に流入させて、洗浄液とインクを置換する。置換終了後には、バルブV1〜V4を閉じポンプP1〜P2を停止する。
記録の終了後と再開前とに、上述したインクと洗浄液の置換を繰り返すことによって、その都度インクまたは洗浄液が液体回収タンク5に回収される。そして、回収されたインク中の少なくとも沈降性の成分はフィルタ52によりトラップされ、インクは固形部分と液体部分とに分離される。適宜のタイミングで(例えば記録再開直前に)バルブ4を開けてポンプP2を作動させ、分離された液体部分を洗浄液タンク2に移送し、洗浄液として再利用する。
本実施形態によると、インクが液体回収タンク5に回収された時点で、沈降性の成分は液体部分から分離されるので、特別な作業や放置時間を必要とせず容易に沈降性の成分を液体部分から分離できる。その結果、目詰まりの要因となり得る沈降性の成分が、洗浄液タンク2に移送されて洗浄液として再利用される液体中に含まることを容易に抑制できる。
[第4の実施形態]
図4は、本発明の第4の実施形態に係る液体吐出装置の一例(例えばインクジェット記録装置)の液体回収部を示す模式図である。本実施形態の液体吐出装置では、交換可能な液体回収タンク5に3つの液面センサーS1,S2,S3が設けられており、液面センサーS1は液面の高さの上限の位置、すなわち、液体回収タンク5から液体が溢れ出さない概ね上限の位置に配置されている。液面センサーS2は固形部分の高さの上限の位置、すなわち、液体部分の取り出し口よりもわずかに低く、液体部分の取り出し経路に固形部分が混入しない概ね上限の位置に配置されている。液面センサーS3は液面の高さの下限の位置、すなわち、液体部分の取り出し口よりわずかに高く、液体部分が取り出し経路に流入可能な概ね下限の位置に配置されている。本実施形態では、これらの液面センサーS1,S2,S3を用いて、液体回収タンク5から洗浄液タンク2への液体部分の移送の開始と終了のタイミングを制御している。それ以外の構成は第1の実施形態の液体吐出装置と同様であるため説明を省略する。
図4は、本発明の第4の実施形態に係る液体吐出装置の一例(例えばインクジェット記録装置)の液体回収部を示す模式図である。本実施形態の液体吐出装置では、交換可能な液体回収タンク5に3つの液面センサーS1,S2,S3が設けられており、液面センサーS1は液面の高さの上限の位置、すなわち、液体回収タンク5から液体が溢れ出さない概ね上限の位置に配置されている。液面センサーS2は固形部分の高さの上限の位置、すなわち、液体部分の取り出し口よりもわずかに低く、液体部分の取り出し経路に固形部分が混入しない概ね上限の位置に配置されている。液面センサーS3は液面の高さの下限の位置、すなわち、液体部分の取り出し口よりわずかに高く、液体部分が取り出し経路に流入可能な概ね下限の位置に配置されている。本実施形態では、これらの液面センサーS1,S2,S3を用いて、液体回収タンク5から洗浄液タンク2への液体部分の移送の開始と終了のタイミングを制御している。それ以外の構成は第1の実施形態の液体吐出装置と同様であるため説明を省略する。
本実施形態でも第1の実施形態と同様に、記録終了後にバルブV1を閉じ、キャップ部4でヘッドユニット3の吐出口形成面を覆ってから、バルブV2,V3を開けてポンプP1を作動させ、ヘッドユニット3内のインクを液体回収タンク5に回収する。それとともに、洗浄液タンク2内の洗浄液がバルブV2を介してヘッドユニット3に流入し、インクと洗浄液の置換を行う。置換終了後には、バルブV1〜V4を閉じポンプP1〜P2を停止する。液体吐出の再開時には、バルブV2を閉じたままバルブV1、V3を開けてポンプP1を動かして、ヘッドユニット3内の洗浄液を液体回収タンク5に排出し、インクタンク1内のインクをヘッドユニット3に流入させて、洗浄液とインクを置換する。置換終了後には、バルブV1〜V4を閉じポンプP1〜P2を停止する。
記録の終了後と再開前とに、上述したインクと洗浄液の置換を繰り返すことによって、その都度インクまたは洗浄液が液体回収タンク5に回収される。液面が第1の高さ(液面の高さの上限の位置)に到達したことを液面センサーS1が検知した場合と、固形部分の上面が第3の高さ(固形部分の高さの上限の位置)に到達したことを液面センサーS3が検知した場合に、バルブV4を開けポンプP2を作動させる。それにより、分離された液体部分を洗浄液タンク2に移送し、洗浄液として再利用する。そして、液面が第2の高さ(液面の高さの下限の位置)まで低くなったことを液面センサーS2が検知した場合に、バルブV4を閉じてポンプP2を停止させ、移送を終了する。さらに、移送終了時に、固形部分の廃棄を促す表示を不図示の制御盤等によって行い、作業者に固形部分の廃棄または液体回収タンク5の交換のタイミングを知らせる。
本実施形態では液体部分の移送は液面センサーのタイミングに基づいて不定期に実施したが、一般的なインクと洗浄液の使用有効期限である6カ月を経過しても洗浄液の補充は必要なく、吐出口およびその近傍の目詰まりは生じず、良好な画像形成が続けられた。
[第5の実施形態]
図5は、本発明の第5の実施形態に係る液体吐出装置の一例(例えばインクジェット記録装置)の液体回収部を示す模式図である。本実施形態の液体吐出装置では、洗浄液タンク6が、ヘッドユニット3の内部の液体を回収する容器(追加の液体回収タンク)を兼ねている。この洗浄液タンク6は、キャップ部4から液体回収タンク5へ向かう経路から分岐した経路にバルブV6を介して接続され、バルブV8を介して、液体回収タンク5からヘッドユニット3に向かう経路に合流している。すなわち、本実施形態では、キャップ部4に接続されたポンプP1から、バルブV5を介して液体回収タンク5に接続されるとともに、バルブV6を介して洗浄液タンク6に接続されている。また、ヘッドユニット3に接続されたバルブV2およびポンプP2にフィルタF1が接続されており、液体回収タンク5からバルブV7を介してフィルタF1に接続されるとともに、洗浄液タンク6からバルブV8を介してフィルタF1に接続されている。バルブV5,V6は、ヘッドユニット3の内部の液体を液体回収タンク5と洗浄液タンク6のいずれかに選択的に排出するためのバルブである。それ以外の構成は第1の実施形態の液体吐出装置と同様であるため説明を省略する。
図5は、本発明の第5の実施形態に係る液体吐出装置の一例(例えばインクジェット記録装置)の液体回収部を示す模式図である。本実施形態の液体吐出装置では、洗浄液タンク6が、ヘッドユニット3の内部の液体を回収する容器(追加の液体回収タンク)を兼ねている。この洗浄液タンク6は、キャップ部4から液体回収タンク5へ向かう経路から分岐した経路にバルブV6を介して接続され、バルブV8を介して、液体回収タンク5からヘッドユニット3に向かう経路に合流している。すなわち、本実施形態では、キャップ部4に接続されたポンプP1から、バルブV5を介して液体回収タンク5に接続されるとともに、バルブV6を介して洗浄液タンク6に接続されている。また、ヘッドユニット3に接続されたバルブV2およびポンプP2にフィルタF1が接続されており、液体回収タンク5からバルブV7を介してフィルタF1に接続されるとともに、洗浄液タンク6からバルブV8を介してフィルタF1に接続されている。バルブV5,V6は、ヘッドユニット3の内部の液体を液体回収タンク5と洗浄液タンク6のいずれかに選択的に排出するためのバルブである。それ以外の構成は第1の実施形態の液体吐出装置と同様であるため説明を省略する。
本実施形態では、記録終了後にバルブV1を閉じ、キャップ部4でヘッドユニット3の吐出口形成面を覆ってから、バルブV8,V2,V5を開けてポンプP1,P2を作動させ、ヘッドユニット3内のインクを液体回収タンク5に回収する。それとともに、洗浄液タンク6に予め収容されていた洗浄液が、バルブV8、フィルタF1、ポンプP2、およびバルブV2を介してヘッドユニット3に流入し、インクと洗浄液の置換を行う。置換終了後には、全てのバルブV1,V2,V5〜V8を閉じポンプP1〜P2を停止する。液体吐出の再開時には、バルブV2を閉じたままバルブV1、V5を開けてポンプP1を動かして、ヘッドユニット3内の洗浄液を液体回収タンク5に排出し、インクタンク1内のインクをヘッドユニット3に流入させて、洗浄液とインクを置換する。置換終了後には、全てのバルブV1,V2,V5〜V8を閉じポンプP1〜P2を停止する。
記録の終了後と再開前とに、上述したインクと洗浄液の置換を繰り返すことによって、その都度インクまたは洗浄液が液体回収タンク5に回収される。液体回収タンク5内のインク中の沈降性の成分は自然沈降し、インクは固形部分と液体部分とに分離される。
インクと洗浄液の置換を繰り返して、液体回収タンク5がいっぱいになった場合や、洗浄液タンク6内の洗浄液が無くなった場合には、ヘッドユニット3から排出されるインクや洗浄液を、液体回収タンク5ではなく洗浄液タンク6によって回収する。具体的には、ポンプP1,P2を作動させてヘッドユニット3内のインクを洗浄液で置換している最中に、液体回収タンク5がいっぱいになるか、洗浄液タンク6内の洗浄液が無くなった場合には、バルブV5,V8を閉じてバルブV6,V7を開く。それにより、ヘッドユニット3からのインクはバルブV6を介して洗浄液タンク6に流入する。一方、液体回収タンク5内の液体が、バルブV7、フィルタF1、バルブV2を介してヘッドユニット3に流入する。液体回収タンク5内の液体は、インクと洗浄液の混合液からインクの固形部分を除いたものであるため、洗浄液である。従って、インクと洗浄液の置換が続行される。また、ポンプP1,P2を作動させてヘッドユニット3内の洗浄液をインクで置換している最中に液体回収タンク5がいっぱいになった場合には、バルブV5を閉じてバルブV6を開ける。それにより、ヘッドユニット3からの洗浄液はバルブV6を介して洗浄液タンク6に流入する。一方、インクタンク1内のインクはバルブV1を介してヘッドユニット3に流入し続ける。こうして、洗浄液とインクの置換が続行される。
本実施形態では、複数(例えば2個)のタンク(液体回収タンク5と洗浄液タンク6)を液体回収用に利用するため、回収した液体の廃棄や液体回収タンク5の交換のために作業を中断する必要がない。従って、ヘッドユニット3の洗浄や、液体吐出の準備を効率よく行うことができる。また、本実施形態では、バルブV7,V8とポンプP2との間にフィルタF1を配置して、液体部分にわずかに沈降性の成分が残っている場合に、その沈降性の成分がヘッドユニット3に供給されないようにしている。
本実施形態では、一般的なインクと洗浄液の使用有効期限である6カ月を経過しても洗浄液の補充は必要なく、吐出口およびその近傍の目詰まりは生じず、良好な画像形成が続けられた。この6か月の間に数回、オペレーションを止めることなく、固形部分を廃棄することができた。
[第6の実施形態]
図6は、本発明の第6の実施形態に係る液体吐出装置の一例(例えばインクジェット記録装置)の液体回収部を示す模式図である。本実施形態の液体吐出装置では、インクタンク10が、ヘッドユニット3の内部の液体を回収する容器(液体回収タンク)を兼ねており、キャップ部を省略している。インクタンク10内の下部には撹拌手段の一例であるプロペラ11が設けられている。
図6は、本発明の第6の実施形態に係る液体吐出装置の一例(例えばインクジェット記録装置)の液体回収部を示す模式図である。本実施形態の液体吐出装置では、インクタンク10が、ヘッドユニット3の内部の液体を回収する容器(液体回収タンク)を兼ねており、キャップ部を省略している。インクタンク10内の下部には撹拌手段の一例であるプロペラ11が設けられている。
インクタンク10からバルブV1を介してヘッドユニット3に接続され、洗浄液タンク2からバルブV2を介してヘッドユニット3に接続されている。そして、ヘッドユニット3の吐出口形成部から、バルブV9およびポンプP3を介して、インクタンク10に接続されている。また、ヘッドユニット3の吐出口形成部とバルブV9との間から分岐した配管が、バルブV7およびポンプP7を介して、インクタンク10とバルブV1との間の配管に合流している。そして、インクタンク10と洗浄液タンク2とバルブV10およびポンプP4を介して接続されている。
本実施形態の液体回収部の動作を図7のフローチャートに示している。液体吐出による記録が終了した後に、インク供給用のバルブV1と記録時のインク循環用バルブV7を閉じてポンプP7を停止し、インクタンク1からヘッドユニット3へのインクの供給を止める。そして、洗浄液供給用のバルブV2と液体回収用のバルブV9を開けてポンプP3を作動させ、ヘッドユニット3の内部を吸引する。それにより、ヘッドユニット3の内部に存在するインクを、バルブV9を介してインクタンク10に排出させる。それとともに、洗浄液タンク2内の洗浄液がバルブV2を介してヘッドユニット3に流入する。こうして、ヘッドユニット3の内部のインクが洗浄液に置換される。ヘッドユニット3に供給される洗浄液の量は不図示の流量計によって検知され、所定量ΔVの清浄液がヘッドユ
ニット3に供給されたことが確認されたら、バルブV2,V9を閉じポンプP3を停止させて置換を終了する。この置換動作中にヘッドユニット3から排出されたインクは、インクタンク10に回収される。
ニット3に供給されたことが確認されたら、バルブV2,V9を閉じポンプP3を停止させて置換を終了する。この置換動作中にヘッドユニット3から排出されたインクは、インクタンク10に回収される。
この置換動作が行われた後に液体吐出装置が使用されず、それから記録のための液体吐出を再開するときには、液体部分移送用のバルブV10を開けポンプP1を作動させて、インクタンク10内の液体部分(上澄み液)を洗浄液タンク2に移送する。液体の移送量は不図示の流量計によって検知され、前述した所定量ΔVの液体が移送されたことが確認
されたら、バルブV10を閉じポンプP4を停止させる。この動作により、前述したように記録終了後に洗浄液タンク2からヘッドユニット3に供給された洗浄液と同量(所定量ΔV)の液体が、インクタンク10から洗浄液タンク2に補給される。すなわち、洗浄液
タンク2内の洗浄液の量が回復する。それから、バルブV1を閉じ、バルブV2,V9を開けてポンプP3を作動させる。それにより、ヘッドユニット3内の洗浄液はバルブV3を介してインクタンク10に排出され、インクタンク10内のインクがバルブV1を介してヘッドユニット3に流入する。こうして、ヘッドユニット3の内部の洗浄液がインクに置換される。この時、インクのヘッドユニット3への供給量か、洗浄液のインクタンク10への回収量を、不図示の流量計によって検知する。前述した所定量ΔVのインクの供給
または所定量ΔVの洗浄液の回収が確認されたら、バルブV9を閉じポンプP3を停止さ
せて置換を終了する。
されたら、バルブV10を閉じポンプP4を停止させる。この動作により、前述したように記録終了後に洗浄液タンク2からヘッドユニット3に供給された洗浄液と同量(所定量ΔV)の液体が、インクタンク10から洗浄液タンク2に補給される。すなわち、洗浄液
タンク2内の洗浄液の量が回復する。それから、バルブV1を閉じ、バルブV2,V9を開けてポンプP3を作動させる。それにより、ヘッドユニット3内の洗浄液はバルブV3を介してインクタンク10に排出され、インクタンク10内のインクがバルブV1を介してヘッドユニット3に流入する。こうして、ヘッドユニット3の内部の洗浄液がインクに置換される。この時、インクのヘッドユニット3への供給量か、洗浄液のインクタンク10への回収量を、不図示の流量計によって検知する。前述した所定量ΔVのインクの供給
または所定量ΔVの洗浄液の回収が確認されたら、バルブV9を閉じポンプP3を停止さ
せて置換を終了する。
前述したようにインクタンク10内の所定量ΔVの液体部分が洗浄液タンク2に移送さ
れた時には、インクタンク10内の固形部分は移送されずに残存しているため、固形部分の濃度(含有割合)が一時的に高くなる。そこで、洗浄液とインクの置換が行われると、ヘッドユニット3からインクタンク10に洗浄液が回収されることにより、インクタンク内10の固形部分の濃度が低下する。所定量ΔVの洗浄液がインクタンク10に回
収されると、インクタンク10内の固形部分の濃度は、インクタンク10内の液体を洗浄液タンク2に移送する前のインクタンク10内の固形部分の濃度と同等になる。このようにインクタンク10中の固形部分の濃度は、液体の洗浄液タンク2への移送の前と同等になるが、沈降性の成分がインクタンク10の底に沈降する。記録の再開時にはインクタンク10内の液体がインクとして用いられるため、プロペラによる撹拌等により固形部分の濃度を均一にする必要がある。本実施形態では、撹拌が終了した後に、インク供給用のバルブV1とインク循環用のバルブV7を開けてポンプP7を作動させ、インクを循環させながら記録を行う。その結果、目詰まりによって吐出不能になることはなく、良好な画像形成が行える。
れた時には、インクタンク10内の固形部分は移送されずに残存しているため、固形部分の濃度(含有割合)が一時的に高くなる。そこで、洗浄液とインクの置換が行われると、ヘッドユニット3からインクタンク10に洗浄液が回収されることにより、インクタンク内10の固形部分の濃度が低下する。所定量ΔVの洗浄液がインクタンク10に回
収されると、インクタンク10内の固形部分の濃度は、インクタンク10内の液体を洗浄液タンク2に移送する前のインクタンク10内の固形部分の濃度と同等になる。このようにインクタンク10中の固形部分の濃度は、液体の洗浄液タンク2への移送の前と同等になるが、沈降性の成分がインクタンク10の底に沈降する。記録の再開時にはインクタンク10内の液体がインクとして用いられるため、プロペラによる撹拌等により固形部分の濃度を均一にする必要がある。本実施形態では、撹拌が終了した後に、インク供給用のバルブV1とインク循環用のバルブV7を開けてポンプP7を作動させ、インクを循環させながら記録を行う。その結果、目詰まりによって吐出不能になることはなく、良好な画像形成が行える。
本実施形態では、インクから顔料などの沈降性の成分を除いた液体部分を洗浄液としている。従って、プロペラによる撹拌前にインクタンク10内から洗浄液タンク2には液体部分のみを移送して洗浄液として用いる一方、撹拌後に液体部分と固形部分とが均等に混合した状態で液体をヘッドユニット3に供給してインクとして用いる。そして、このようにインクとしても洗浄液としても用いられる液体は、ヘッドユニット3とインクタンク10の間を循環して、インクタンク10からヘッドユニット3への充填と、ヘッドユニット3からインクタンク10への回収(排出)が行われる。すなわち、この液体はインクとしても洗浄液としても再利用されるため、効率が良い。しかも、本実施形態では、キャップ部を介さずにヘッドユニット3の内部の液体を回収するため、キャップ部でのインクの吸収や蒸発が生じることがなく、液体の成分がほとんど変わることなく再利用可能である。従って、記録および洗浄の性能を良好なままに維持することができる。
[第7の実施形態]
図8は、本発明の第7の実施形態に係る液体吐出装置の一例(例えばインクジェット記録装置)の液体回収部を示す模式図である。本実施形態の液体吐出装置では、液体回収タンク5に濃度測定器53が取り付けられ、ポンプP2と洗浄液タンク2との間にフィルタF2が取り付けられている。それ以外の構成は第1の実施形態の液体吐出装置と同様であるため説明を省略する。
図8は、本発明の第7の実施形態に係る液体吐出装置の一例(例えばインクジェット記録装置)の液体回収部を示す模式図である。本実施形態の液体吐出装置では、液体回収タンク5に濃度測定器53が取り付けられ、ポンプP2と洗浄液タンク2との間にフィルタF2が取り付けられている。それ以外の構成は第1の実施形態の液体吐出装置と同様であるため説明を省略する。
本実施形態の濃度測定器53は、液体の、波長550nmの光の透過率(吸光度)を測定することによって濃度を判定する。具体的には、濃度測定の対象である液体を希釈したサンプル液の透過率と、インク中の沈降性の成分の濃度との関係を予め求めておく。本実施形態では、予め測定した水の透過率を1として、液体回収タンク内の液体を2000倍に希釈して作製したサンプル液の透過率を測定し、その値をTとする。そして、サンプル液の吸光度αを、α=1−Tとする。吸光度αが小さければ、光はほとんど透過するため、沈降性の成分の濃度は低く、多くの沈降性成分が沈降していると判断できる。一方、吸光度αの値が大きく、1に近ければ、光はほとんど透過されず(透過率は小さく)、沈降性の成分の濃度が高く、液体回収タンク5内でほとんど沈降していないと判断できる。
本実施形態でも第1の実施形態と同様に、記録終了後にバルブV1を閉じ、キャップ部4でヘッドユニット3の吐出口形成面を覆ってから、バルブV2,V3を開けてポンプP1を作動させ、ヘッドユニット3内のインクを液体回収タンク5に回収する。それとともに、洗浄液タンク2内の洗浄液がバルブV2を介してヘッドユニット3に流入し、インクと洗浄液の置換を行う。置換終了後には、バルブV1〜V4を閉じポンプP1〜P2を停止する。液体吐出の再開時には、バルブV2を閉じたままバルブV1、V3を開けてポンプP1を動かして、ヘッドユニット3内の洗浄液を液体回収タンク5に排出し、インクタンク1内のインクをヘッドユニット3に流入させて、洗浄液とインクを置換する。置換終了後には、バルブV1〜V4を閉じポンプP1〜P2を停止する。
記録の終了後と再開前とに、上述したインクと洗浄液の置換を繰り返すことによって、その都度インクまたは洗浄液が液体回収タンク5に回収される。液体回収タンク5内のインク中の沈降性の成分は自然沈降し、インクは固形部分と液体部分とに分離される。その後、適宜のタイミングで(例えば記録再開直前に)バルブV4を開けてポンプP2を作動させ、分離された液体部分(上澄み液)を洗浄液タンク2に移送し、洗浄液として再利用する。このようにバルブV4を開けてポンプP2を作動させて液体回収タンク5内の液体部分を洗浄液タンク2に移送するタイミングは、吸光度αができるだけ小さい状態で行うことが好ましい。具体的には、吸光度αが0.3以下、好ましくは0.2以下、より好ましくは0.1以下である。本実施形態では、吸光度αが0.25になったタイミングで、液体回収タンク5内の液体部分を洗浄液タンク2に移送するようにした。その結果、一般的なインクと洗浄液の使用有効期限である6カ月を経過しても洗浄液の補充は必要なく、吐出口およびその近傍の目詰まりは生じず、良好な画像形成が続けられた。
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明した通り、本発明では、ヘッドユニット3から回収された液体を分離して、分離された固形部分と液体部分のうち、液体部分を洗浄液として再利用する。それにより、洗浄液の補充頻度が格段に低減し、洗浄液の消費量を最小限に抑制しつつ、吐出口の目詰まりを抑えることができる。特に、本発明は、沈降性の成分を含む吐出用の液体(インク)の沈降現象に起因する吐出口の目詰まりを、最小限の洗浄液によって抑制することが可能である。沈降性の成分を有するインクの中でも、特に比重の大きな白色顔料やメタリック顔料を含むインクは、沈降速度が速く短時間で沈降が進むため、回収されたインクは短時間で固形部分と液体部分とに分離し易い。この特性を利用して、液体部分を洗浄液として再利用することにより、洗浄液の消費量を抑えつつ吐出口の目詰まりを抑えることができる。
1,10 インクタンク(吐出液タンク)
2,6 洗浄液タンク
3 ヘッドユニット(液体吐出ヘッド)
5 液体回収タンク
11 プロペラ(撹拌手段)
51 内容器
52 フィルタ
53 濃度測定器
V1〜V10 バルブ
P1〜P4 ポンプ
S1,S2,S3,S51 液面センサー
2,6 洗浄液タンク
3 ヘッドユニット(液体吐出ヘッド)
5 液体回収タンク
11 プロペラ(撹拌手段)
51 内容器
52 フィルタ
53 濃度測定器
V1〜V10 バルブ
P1〜P4 ポンプ
S1,S2,S3,S51 液面センサー
Claims (19)
- 液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
吐出用の液体を収容する吐出液タンクと、
前記吐出用の液体を前記吐出液タンクから前記液体吐出ヘッドに供給する吐出液供給機構と、
洗浄用の液体を収容する洗浄液タンクと、
前記洗浄用の液体を前記洗浄液タンクから前記液体吐出ヘッドに供給する洗浄液供給機構と、
前記液体吐出ヘッドの内部の液体を回収し、回収した液体を液体部分と固形部分とに分離して、分離された前記液体部分を、前記洗浄液タンクまたは前記液体吐出ヘッドに移送する再利用手段と、
を含む液体吐出装置。 - 前記再利用手段は、前記液体吐出ヘッドの内部の液体を回収する液体回収タンクと、前記液体回収タンク内の前記液体部分を前記洗浄液タンクに移送する移送機構とを含む、請求項1に記載の液体吐出装置。
- 前記液体回収タンクには、回収した液体を液体部分と固形部分とに分離するための遠心分離器が設けられている、請求項2に記載の液体吐出装置。
- 前記液体回収タンクには、前記遠心分離器を作動させるタイミングを決定するために前記液体回収タンク内の液体の液面の高さを検知する液面センサーが設けられている、請求項3に記載の液体吐出装置。
- 前記液体回収タンクには、回収した液体を液体部分と固形部分とに分離するためのフィルタが設けられている、請求項2に記載の液体吐出装置。
- 前記液体回収タンクには、前記液体回収タンク内の前記液体部分の前記洗浄液タンクへの移送の開始と終了のタイミングを決定するために前記液体回収タンク内の前記液体部分の液面または前記固形部分の上面の高さを検知する複数の液面センサーが設けられている、請求項2に記載の液体吐出装置。
- 前記液体回収タンクは交換可能である、請求項2から6のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
- 前記再利用手段は、前記液体吐出ヘッドの内部の液体を回収する液体回収タンクと、前記液体回収タンク内の前記液体部分を前記液体吐出ヘッドに移送する移送機構とを含み、
前記洗浄液タンクは、前記液体吐出ヘッドの内部の液体を回収する容器を兼ねており、
前記再利用手段は、前記液体吐出ヘッドの内部の液体を前記液体回収タンクと前記洗浄液タンクのいずれかに選択的に排出するためのバルブをさらに含む、請求項1に記載の液体吐出装置。 - 前記吐出液タンクは、前記液体吐出ヘッドの内部の液体を回収する容器を兼ねており、前記再利用手段は、分離された前記液体部分を前記吐出液タンクから前記洗浄液タンクに移送する移送機構を含む、請求項1に記載の液体吐出装置。
- 前記吐出液タンクの内部に撹拌手段が設けられている、請求項9に記載の液体吐出装置。
- 前記液体回収タンクには、前記液体回収タンク内の前記液体部分の前記洗浄液タンクへの移送の開始のタイミングを決定するために前記液体回収タンク内の前記固形部分の濃度を検知する濃度測定器が設けられている、請求項2に記載の液体吐出装置。
- 前記吐出液タンクは、沈降性の成分を含む前記吐出用の液体を収容しており、前記洗浄液タンクは、前記吐出用の液体から少なくとも前記沈降性の成分を除いた液体部分を前記洗浄用の液体として収容している、請求項1から11のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
- 液体を吐出する液体吐出ヘッドの洗浄方法であって、
液体吐出の終了後に、前記液体吐出ヘッドの内部の吐出用の液体を排出させて回収するとともに、前記液体吐出ヘッドに洗浄用の液体を供給することと、
前記液体吐出ヘッドから回収した前記吐出用の液体を固形部分と液体部分とに分離することと、
分離された前記液体部分を洗浄液タンクまたは前記液体吐出ヘッドに移送することと、
前記液体吐出ヘッドに供給された前記洗浄用の液体を排出させて回収するとともに、前記液体吐出ヘッドに吐出用の液体を供給することと、
を含む、液体吐出ヘッドの洗浄方法。 - 前記液体吐出ヘッドから回収した前記吐出用の液体を前記固形部分と前記液体部分とに分離することは、自然沈降によって行う、請求項13に記載の液体吐出ヘッドの洗浄方法。
- 前記液体吐出ヘッドから回収した前記吐出用の液体を前記固形部分と前記液体部分とに分離することは、遠心分離によって行う、請求項13に記載の液体吐出ヘッドの洗浄方法。
- 前記液体吐出ヘッドから回収した前記吐出用の液体を前記固形部分と前記液体部分とに分離することは、フィルタを用いたろ過によって行う、請求項13に記載の液体吐出ヘッドの洗浄方法。
- 分離された前記液体部分の洗浄液タンクまたは前記液体吐出ヘッドへの移送を開始するタイミングは、回収した前記吐出用の液体を収容する容器の内部における液面の高さによって決定する、請求項13から16のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの洗浄方法。
- 分離された前記液体部分の洗浄液タンクまたは前記液体吐出ヘッドへの移送を開始するタイミングは、回収した前記吐出用の液体を収容する容器の内部における前記固形部分の濃度によって決定する、請求項13から17のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの洗浄方法。
- 前記吐出用の液体は沈降性の成分を含む液体であり、前記洗浄用の液体は、前記吐出用の液体から少なくとも前記沈降性の成分を除いた液体部分である、請求項13から18のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの洗浄方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015208145A JP2017080893A (ja) | 2015-10-22 | 2015-10-22 | 液体吐出装置と液体吐出ヘッドの洗浄方法 |
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ID=58713984
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JP2015208145A Pending JP2017080893A (ja) | 2015-10-22 | 2015-10-22 | 液体吐出装置と液体吐出ヘッドの洗浄方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2017080893A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019163429A (ja) * | 2018-03-20 | 2019-09-26 | 株式会社リコー | 硬化型組成物、インク、組成物収容容器、インクジェット印刷方法、インクジェット印刷装置、硬化物の処理方法、硬化物、立体造形物、成形加工品 |
JP2021055110A (ja) * | 2020-12-24 | 2021-04-08 | 旭化成株式会社 | 再剥離性表面保護フィルム |
-
2015
- 2015-10-22 JP JP2015208145A patent/JP2017080893A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019163429A (ja) * | 2018-03-20 | 2019-09-26 | 株式会社リコー | 硬化型組成物、インク、組成物収容容器、インクジェット印刷方法、インクジェット印刷装置、硬化物の処理方法、硬化物、立体造形物、成形加工品 |
JP7098104B2 (ja) | 2018-03-20 | 2022-07-11 | 株式会社リコー | インクジェット印刷方法及びインクジェット印刷装置 |
JP2021055110A (ja) * | 2020-12-24 | 2021-04-08 | 旭化成株式会社 | 再剥離性表面保護フィルム |
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