JP2017080820A - 流体デバイスの製造方法および流体デバイス - Google Patents

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大造 小林
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Abstract

【課題】微細な立体構造を有する流路を有する流体デバイスを得ることができる流体デバイスの製造方法および流体デバイスを提供する。【解決手段】基材に、毛細管現象によって流体を流通可能な流路に対応する溝部を形成させ、溝部における流体の流れ方向の所定の区間の内表面上に、光照射によって対水接触角を低下させるとともに光触媒作用を発現する物質からなる第1層を物理的蒸着法によって形成させ、第1層の表面上に、撥水性を有する第2層を形成させて基板を得る。【選択図】図3

Description

本発明は、流体デバイスの製造方法および流体デバイスに関する。
二酸化チタンは、光照射により濡れ性が変換されることが知られている。そこで、ゾル−ゲル法によって形成された二酸化チタン膜を有するマイクロチャネルが提案されている(例えば、非特許文献1などを参照)。
リュウ(N.Liu)ら、「微小流体用途のためのTiO2修飾マイクロチャネルの研究(Studies on the TiO2 modified microchannels for microfluidic applications)」、マテリアルズ・レターズ(Materials Letters)、第89巻、2012年12月15日、p.247−250
しかしながら、ゾルゲル法による二酸化チタン膜の形成には、微細な立体構造を有する流路が形成し難いという欠点がある。
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、微細な立体構造を有する流路を有する流体デバイスを得ることができる流体デバイスの製造方法および流体デバイスを提供することを目的とする。
本発明は、1つの側面では、光照射および毛細管現象によって流体を流通可能な断面中空形状を有する流路を含む流体デバイスを製造する方法であって
(A)基材に前記流路に対応する溝部を形成させる工程、
(B)前記溝部における流体の流れ方向の所定の区間の内表面上に、光照射によって対水接触角を低下させるとともに光触媒作用を発現する物質からなる第1層を物理的蒸着法によって形成させる工程、および
(C)前記第1層の表面上に、撥水性を有する第2層を形成させる工程
を含む流体デバイスの製造方法に関する。本発明の流体デバイスの製造方法では、前記第1層の形成を物理的蒸着法によって行なわれている。そのため、微細な立体構造を維持したまま、前記流路を形成させることができる。したがって、本発明の流体デバイスの製造方法によれば、微細な立体構造を有する流路を有する流体デバイスを得ることができる。
前記光照射によって対水接触角を低下させるとともに光触媒作用を発現する物質は、酸化チタンであることが好ましい。
前記物理的蒸着法が、スパッタリング法、レーザーアブレーション法またはイオンプレーティング法であることが好ましい。
前記工程(B)と工程(C)との間に、第1層の表面をフッ素終端化する表面処理を行なう工程をさらに含むことが好ましい。
本発明は、他の側面では、基材に、光照射および毛細管現象によって流体を流通可能な断面中空形状を有する流路が形成された基板を含む流体デバイスであって、前記基材は、流路における流体の流れ方向の所定の区間の内表面上に、第1層と、前記第1層の表面上に設けられ、撥水性を有する第2層とを有しており、前記第1層は、光照射によって対水接触角を低下させるとともに光触媒作用を発現する物質からなるスパッタ膜からなることを特徴とする流体デバイスに関する。また、本発明は、別の側面では、基材に、光照射および毛細管現象によって流体を流通可能な断面中空形状を有する流路が形成された基板を含む流体デバイスであって、前記基材は、流路における流体の流れ方向の所定の区間の内表面上に、第1層と、前記第1層の表面上に設けられ、撥水性を有する第2層とを有しており、前記第1層は、光照射によって対水接触角を低下させるとともに光触媒作用を発現する物質からなり、かつ粗表面を有する膜からなることを特徴とする流体デバイスに関する。
本発明の流体デバイスにおいては、前記基材は、前記流路における流体の流れ方向の所定の区間の内表面に、前記第1層と、前記第2層とを有している。したがって、前記流路における前記所定の区間の内表面において、光照射前後の前記内表面における撥水性と親水性との間の変化を利用した流体の流通に際して、毛細管効果を十分に利用することができる。
前記流路の光照射側には、光を透過可能な光透過部が設けられていることが好ましい。
本発明によれば、微細な立体構造を有する流路を有する流体デバイスを得ることができる流体デバイスの製造方法および流体デバイスを提供することができる。
(a)は、本発明の一実施形態に係る流体デバイスを模式的に示す概略説明図、(b)は図1(a)に示される流体デバイスの流路の溝部の一部拡大説明図である。 (A)は、本発明の一実施形態に係る流体デバイスの光照射前後における流路内の水の状態を示す概略説明図、(B)は、光照射前後における対水接触角の変化を示す概略説明図である。 本発明の一実施形態に係る流体デバイスの流路を構成する溝部の形状の変形例を示す概略説明図である。 本発明の一実施形態に係る流体デバイスの製造方法の処理手順の一例を示す工程図である。 本発明の一実施形態に係る流体デバイスの製造方法の流路パターン形成工程の一例における処理手順を示す工程図である。 試験例1において、光照射時間と対水接触角との関係を調べた結果を示すグラフである。 試験例2において、実験例1〜3の試験片の層形成面の対水接触角の変化幅を調べた結果を示すグラフである。 試験例3において、表面粗度と対水接触角との関係を調べた結果を示すグラフである。 (A)は、光照射前の流体デバイスの流路における水の状態を模式的に示す概略説明図、(B)は、光照射後の流体デバイスの流路における水の状態を模式的に示す概略説明図である。 (A)は、参考例1において、流路の高さが0.1mmおよび対水接触角が140°であるときの流路の幅と毛細管圧力との関係を調べた結果を示すグラフ、(B)は、参考例1において、流路の高さが0.1mmおよび対水接触角が5°であるときの流路の幅と毛細管圧力との関係を調べた結果を示すグラフ、(C)参考例1において、流路の幅が1mmおよび対水接触角が140°であるときの流路の高さと毛細管圧力との関係を調べた結果を示すグラフ、(D)は、参考例1において、流路の幅が1mmおよび対水接触角が5°であるときの流路の高さと毛細管圧力との関係を調べた結果を示すグラフである。 試験例4において、対水接触角と毛細管圧力との関係を調べた結果を示すグラフである。
[流体デバイス]
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る流体デバイスを詳細に説明する。図1(a)は、本発明の一実施形態に係る流体デバイス1の概略説明図、図1(b)は、図1(a)に示される流体デバイス1の流路2の溝部11の一部拡大説明図である。
流体デバイス1は、光照射および毛細管現象によって流体を流通可能な断面四角中空形状を有する流路2を含む流体デバイスである。流体デバイス1は、第1の基板1aと第2の基板1bとを含む。流路2は、毛細管現象によって流体を流通可能な程度の微細な立体構造を有する流路である。
第1の基板1aは、上面に開口部を有する溝部10,11,12を有している。また、第2の基板1bは、第1の基板1aと接合されることにより、溝部10,11,12の開口部を塞ぎ、断面中空形状を有する流路2を形成するように構成されている。
第1の基板1aを構成する材料としては、例えば、石英ガラス、シリコン系基板、ソーダライムガラス、ボロシリケートガラスなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
第2の基板1bは、溝部10,11,12それぞれの一方の端部に対応する位置に、流体を貯留可能なチャンバー13a,13b,13cを有している。本実施形態において、第2の基板1bは、照射される光を透過する材料(以下、「光透過性材料」ともいう)からなる。したがって第2の基板1bは、流路2が配置されている部分では、光を透過可能な光透過部として機能する。
光透過性材料は、照射される光の種類によって異なることから、光の種類に応じて適宜選択することが好ましい。光が紫外線である場合、光透過性材料としては、例えば、石英ガラス、ソーダライムガラス、ボロシリケートガラスなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
溝部10において、チャンバー13aと接触する端部に対して、逆方向に位置する端部は、溝部11と溝部12とに連結されている。
溝部11は、基材101と、基材101の表面に形成された第1層102と、第2層の表面に形成された第2層103とを含む。
第1層102は、光照射によって対水接触角を低下させるとともに光触媒作用を発現する物質からなる膜からなる。
前記「光照射によって対水接触角を低下させるとともに光触媒作用を発現する物質」としては、例えば、酸化チタン、アニオンドープ酸化チタンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記酸化チタンとしては、アナターゼ型二酸化チタン、ルチル型二酸化チタンなどが挙げられる。これらの「光照射によって対水接触角を低下させるとともに光触媒作用を発現する物質」のなかでは、光触媒作用により、高い光酸化効果を確保することができることから、酸化チタンが好ましく、アナターゼ型酸化チタンがより好ましい。なお、前記「光照射によって対水接触角を低下させるとともに光触媒作用を発現する物質」として、ルチル型酸化チタンを用いた場合、濡れ性の変化を可逆的に行なうことできる。アニオンドープ酸化チタンとしては、例えば、窒素ドープ酸化チタン、ニオブドープ酸化チタン、硫黄ドープ酸化チタンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
第1層102を構成する膜は、1つの側面では、物理的蒸着法によって形成された膜(例えば、スパッタ膜など)であってもよい。また、第1層102を構成する膜は、他の側面では、粗表面を有する膜であってもよい。第1層102の厚さは、流体デバイス1の用途、流体デバイスの大きさ、流路2の大きさ(溝部10,11,12の幅および高さ)などによって異なることから、流体デバイス1の用途、流体デバイスの大きさ、流路2の大きさ(溝部10,11,12の幅および高さ)などに応じて適宜決定することができる。
第2層103は、撥水性を有する。第2層103を構成する物質としては、例えば、オクタデシルホスホン酸などの炭素数2〜18のアルキルホスホン酸;アルキルトリアルコキシシラン(例えば、オクタデシルトリエトキシシランなど)などのシラン化合物;炭素数10〜18のアルカンチオールなどが挙げられるが、本発明は、特に限定されるものではない。第2層の厚さは、流体デバイス1の用途、流体デバイス1の大きさ、流路2の大きさ(溝部10,11,12の幅および高さ)などによって異なることから、流体デバイス1の用途、流体デバイス1の大きさ、流路2の大きさ(溝部10,11,12の幅および高さ)などに応じて適宜決定することができる。
溝部11では、光照射前には、第2層103に起因する撥水性が発現し、溝部11における対水接触角θが90°以上となる〔図2(A)および(B)の「光照射前」参照〕。また、溝部11では、光照射により、第1層102を構成する前記物質が光触媒作用を発現する。これにより、第2層103が光酸化され、分解される〔図2(A)の「光照射」参照〕。さらに、溝部11では、光照射後には、第1層102に起因する対水接触角を低下させる性質(親水性)が発現し、溝部11の対水接触角θが90°未満以上となる〔図2(A)および(B)の「光照射後」参照〕。本実施形態に係る流体デバイス1では、流路2における溝部11に対応する区間の内表面において、撥水性と親水性との間の変化を利用して、水Aの排出および吸引が可能であることから、流体の流通に際して、毛細管効果を十分に利用することができる。さらに、溝部11における第1層102および第2層103が形成された側の表面(以下、「層形成面」ともいう)が、図2(A)および(B)に示されるように、微細な凹凸を有する粗表面である場合、撥水性がより一層高まるため、本実施形態の流体デバイス1における撥水性と親水性との間の変化幅をより大きくすることができる。溝部11における層形成面の算術平均表面粗さ(RMS)は、撥水性と親水性との間の変化幅を十分に大きくする観点から、好ましくは20nm以上、より好ましくは50nm以上である。なお、溝部11における層形成面の算術平均表面粗さ(RMS)の上限は、第1層102および第2層103の凹凸により溝部11を閉塞させない範囲であればよく、通常、流路の高さおよび幅のうちの小さい寸法の値の1/2以下であることが望ましい。
ここで、本明細書において、「撥水性」とは、対水接触角が少なくとも60°、好ましくは90°以上、より好ましくは120°以上であることをいう。また、「対水接触角」とは、図2において、水Aの接線Lと基板1aの上面Mとがなす接触角θをいう。
溝部10,11,12の幅および高さは、用いられる流体に応じた表面張力の大きさなどによって異なることから、用いられる流体に応じた表面張力の大きさなどに応じて適宜決定することが好ましい。溝部10,11,12の幅および高さは、式(I):
(式中、γは流体(液体)の表面張力、hは流路の高さ、wは流路の幅、αは図9における流路の上面の層形成面の対水接触角、αは図9における流路の底面の層形成面の対水接触角、αは図9における流路の左側壁面の層形成面の対水接触角、αは図9における流路の右側壁面の層形成面の対水接触角を示す)
にしたがって求めることができる。
溝部10,11,12の断面形状は、四角中空形状に限定されるものではなく、断面円弧形状〔図3(A)参照〕であってもよく、断面V字形状〔図3(B)参照〕であってもよい。
[流体デバイスの製造方法]
本発明の一実施形態に係る流体デバイスの製造方法(以下、単に「製造方法」ともいう)は、
(A)基材に前記流路に対応する溝部を形成させる工程、
(B)前記溝部における流体の流れ方向の所定の区間の内表面上に、光照射によって対水接触角を低下させるとともに光触媒作用を発現する物質からなる第1層を物理的蒸着法によって形成させる工程、および
(C)前記第1層の表面上に、撥水性を有する第2層を形成させる工程
を含むことを特徴とする。なお、流体デバイスの使用時に、光触媒作用による第2層の分解効果を十分に発揮させる観点から、前記工程(B)と工程(C)との間に、第1層の表面をフッ素終端化する表面処理を行なう工程をさらに含むことが好ましい。前記工程(B)においては、物理的蒸着法によって第1層を形成させる際に、第1層の表面を粗表面化させてもよい。また、前記工程(B)と工程(C)との間に、第1層の表面を粗面化させる工程をさらに含んでもよい。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る製造方法を説明する。図4は、本発明の一実施形態に係る流体デバイスの製造方法の処理手順の一例を示す工程図、図5は、流路パターン形成工程における処理手順の一例を示す工程図である。なお、以下においては、「光照射によって対水接触角を低下させるとともに光触媒作用を発現する物質」として、アナターゼ型二酸化チタンを用い、第2の基板1bとして、紫外線を透過する光透過性材料である石英ガラスからなる板状の基板を用いる場合を例として挙げて説明する。
本実施形態に係る製造方法では、まず、基材101に流路パターンが形成された中間基板W1を得る〔図4、「流路パターン形成工程S1−1」〕。本実施形態に係る製造方法では、流路パターン形成工程S1−1は、図5に示される各工程を含む。
流路パターン形成工程S1−1では、図5に示されるように、まず、基材101を洗浄する(「洗浄工程S101」)。基材101の洗浄は、例えば、水、エタノール、イソプロピルアルコールなどを用いることによって行なうことができる。なお、洗浄工程S101の後には、必要に応じて、洗浄後の基材101を乾燥させることができる。
つぎに、洗浄後の基材101の一方の表面に、エッチングマスク210を形成させる(「エッチングマスク形成工程S102」)。エッチングマスク210は、例えば、蒸着などによって形成させることができる。
エッチングマスク210に用いられる物質としては、例えば、クロム、アルミニウム、ニッケルなどの金属;酸化ケイ素、窒化ケイ素などのケイ素化合物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
なお、基材101がシリコンからなる場合、エッチングマスク210として、酸化ケイ素膜、窒化ケイ素膜などを用いることができる。
つぎに、エッチングマスク210の表面に、流路パターンに対応するように、フォトレジスト202からなるレジストパターンを形成するフォトリソグラフィーを行なう(「フォトリソグラフィー工程S103」)。
フォトレジスト202としては、ポジ型フォトレジストおよびネガ型フォトレジストが挙げられる。フォトレジスト202は、微細な流路パターンを形成させる観点から、好ましくはポジ型フォトレジストである。レジストパターンの形状は、用いられるフォトレジストの種類によって異なることから、フォトレジストの種類に応じて適宜決定することが好ましい。
フォトリソグラフィーは、フォトレジスト202の塗布、塗布されたフォトレジスト202への流路パターンに対応するパターンの転写(露光)、現像および未固化のフォトレジスト202の除去を含むプロセスによって行なうことができる。
つぎに、エッチングマスク210において、流路2に対応する開口部251を形成する(「開口部形成工程S104」)。開口部251の形成は、エッチング液を、レジストパターンを有する基材101と接触させることによって行なうことができる。エッチング液は、エッチングマスク210に用いられた物質の種類によって異なることから、エッチングマスク210に用いられた物質の種類に応じて適宜決定することが好ましい。
つぎに、開口部形成工程S104で形成させたエッチングマスク210の開口部251から露出した基材101の部分のエッチングを行なう(「エッチング工程S105」)。エッチングの手法としては、例えば、反応性イオンエッチングなどのドライエッチングなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。ドライエッチングには、例えば、四フッ化炭素、六フッ化硫黄、トリフルオロメタンなどを成分として含むエッチングガスを用いることができるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
なお、流路パターン形成工程S−1において、流路パターンの形成は、基材に流路を形成する際に用いられる他の方法によって行なってもよい。
図4に戻り、本実施形態に係る製造方法では、つぎに、中間基板W1の流路2の所定の区間の溝部11aの内表面に第1層102を形成させる(「第1層形成工程S1−2」)。これにより、第1層102を表面に有する溝部11bを有する中間基板W2が得られる。第1層102の形成は、物理蒸着法によって行なわれる。したがって、微細な立体構造を維持したまま、流路を形成させることができる。
前記物理的蒸着法としては、高周波スパッタリング法、反応性スパッタリング法などのスパッタリング法;レーザーアブレーション法;イオンプレーティング法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの物理的蒸着法のなかでは、標的とする箇所に選択的に第1層102を形成させることが容易であることから、スパッタリング法、レーザーアブレーション法およびイオンプレーティング法が好ましく、スパッタリング法がより好ましい。物理的蒸着法がスパッタリング法である場合、例えば、
− 不活性ガスと酸素との混合ガス雰囲気中において、中間基板W1の流路2の所定区間の溝部11aの内表面付近にチタンからなるターゲットを配置し、中間基板W1を加熱しながらスパッタリングを行なうこと(「方法A」ともいう)
などによって中間基板W1の流路2の所定区間の溝部11aの内表面に第1層を形成させることができる。なお、第1層102を構成する物質が、例えば、窒素ドープ酸化チタンである場合、不活性ガスと窒素との混合ガス雰囲気中において、中間基板W1の流路2の所定区間の溝部11aの内表面付近に酸化チタンからなるターゲットを配置し、中間基板W1を加熱しながらスパッタリングを行なってもよい。窒素ドープ酸化チタンは、酸化チタンよりもバンドギャップが小さくなるため、酸化チタンよりも長波長(可視光に近い)光での光応答性を得ることができる。
前記方法Aにおいては、中間基板W1の加熱温度は、アナターゼ型二酸化チタンの結晶構造を優先的に成長させる観点から、好ましくは200℃以上、より好ましくは250℃以上であり、アナターゼ型二酸化チタンに対するルチル型二酸化チタンの割合の増加を抑制する観点から、好ましくは450℃以下、より好ましくは400℃以下である。
また、前記方法Aに用いられる不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガスなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。スパッタチャンバの残存ガスによる不純物混入防止の観点から、不活性ガス分圧は、好ましくは0.09Pa以下、より好ましくは0.085Pa以下である。混合ガス雰囲気においてルチル型の結晶構造の割合を少なくするための実験的に求めた不活性ガス/酸素ガスの分圧比の実績から、不活性ガス分圧は好ましくは0.07Pa以上、より好ましくは0.075Pa以上であり、酸素分圧は、好ましくは0.15Pa以上、より好ましくは0.2Pa以上であり、かつ好ましくは0.3Pa以下、より好ましくは0.25Pa以下である。
前記方法において、スパッタ圧は、ルチル型二酸化チタンの割合よりもアナターゼ型二酸化チタンの割合を優勢とするべく膜成長のための活性種の密度を多くする観点から、好ましくは3Pa以上、より好ましくは6Pa以上であり、成膜可能な放電限界の観点から、好ましくは9Pa以下、より好ましくは7Pa以下である。
なお、本発明においては、第1層102を構成する物質は、アナターゼ型二酸化チタン以外の「光照射によって対水接触角を低下させるとともに光触媒作用を発現する物質」であってもよい。この場合、混合ガス雰囲気の組成は、第1層102を構成する物質の種類に応じて適宜決定することができる。また、第1層102を構成する物質がアナターゼ型二酸化チタン以外の「光照射によって対水接触角を低下させるとともに光触媒作用を発現する物質」である場合、スパッタ圧は、第1層102を構成する物質の種類に応じて適宜決定することができる。
第1層102を構成する物質が、例えば、ルチル型二酸化チタンである場合、不活性ガス分圧および酸素分圧は、第1層102を構成する物質がアナターゼ型二酸化チタンである場合の不活性ガス分圧および酸素分圧と同様である。この場合、スパッタ圧を、アナターゼ型二酸化チタンである場合のスパッタ圧よりも低いスパッタ圧とするか、あるいは、中間基板W1の加熱温度を400℃以上にすることが望ましい。また、当該物質がルチル型二酸化チタンである場合、スパッタ圧は、高抵抗な酸化チタンのための安定的なプラズマ放電限界の観点から、0.7Pa以上、より好ましくは0.9Pa以上であり、アナターゼ型二酸化チタンの割合よりもルチル型二酸化チタンの割合を多くすべく、膜成長のための活性種の密度を少なくする観点から、好ましくは2Pa以下、より好ましくは1Pa以下である。
つぎに、中間基板W2の第1層102の表面にフッ素終端化などの表面処理を施す(「表面処理工程S1−3」)。これにより、第1層102の表面の少なくとも一部に表面改質部102aが形成された中間基板W3が得られる。表面処理としては、例えば、CFプラズマエッチング処理によるフッ素終端化、フッ酸蒸気への暴露によるフッ素終端化などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。CFプラズマエッチング処理によるフッ素終端化を行なった場合、流体デバイスの使用時における光触媒作用による第2層103の分解効果の向上が期待できる。なお、本発明においては、流体デバイスの用途に応じて、表面処理工程S−3を省略してもよい。
つぎに、中間基板W3の第1層102の表面上に第2層103を形成させる(「第2層形成工程S1−4」)。これにより、第1の基板1aが得られる。第2層103の形成は、第2層103を構成する物質に応じて手法によって行うことができる。第2層103を構成する物質が、例えば、オクタデシルホスホン酸である場合、中間基板W2をオクタデシルホスホン酸とヘプタンとイソプロピルアルコールとの混合溶液中に浸漬させることによって、第2層103を形成させることができる。
その後、第1の基板1aと第2の基板1bとを接合させる(「接合工程S1−5」)。これにより、流体デバイス1が得られる。第1の基板1aと第2の基板1bとの接合は、第1の基板1aの接合させる側の表面(接合面101a)および第2の基板1bの接合させる側の表面(接合面1b1)に表面活性化処理、アミノシラン化処理などを施した後、第1の基板1aの接合面101aと第2の基板1bの接合面1b1とを圧縮方向に押しつけることなどによって行なうことができる。
なお、前述の実施形態では、第2の基板1bとして、紫外線を透過する光透過性材料である石英ガラスからなる板状の基板が用いられているが、第1の基板1aと同様に流路2が形成された基板を用いてもよい。この場合、第1の基板1aおよび第2の基板1bそれぞれにおける接合面の表面層全体が第1層と第2層とからなるものであってもよい。
つぎに、実施例などに基づいて本発明の効果を検証する。
(実験例1)
ガラス基材(松波硝子工業(株)製、商品名:S1111、サイズ76×26mm、厚さ1mm)を洗浄した。つぎに、スパッタリング装置〔(株)サンバック製、商品名:SV−9863〕を用い、アルゴンガス−酸素混合ガス雰囲気(アルゴンガス分圧:0.08Paおよび酸素分圧:0.2Pa)中、基板温度:350℃およびスパッタ圧:6Paの条件下に、アナターゼ型二酸化チタンからなる第1層(厚さ:500nm)を前記ガラス基材の片面に形成させた。その後、フッ化炭素(CF)ガスを用い、前記第1層の表面にCFプラズマエッチング処理を2分間施して当該表面をフッ素終端化させた。フッ素終端化第1層を有するガラス基材を、表面処理剤に室温環境で24時間浸漬させ、窒素ブローによって乾燥させ、試験片を得た。なお、前記表面処理剤は、ヘプタン−イソプロピルアルコール混合溶液〔組成:99.3体積%ヘプタンおよび0.7体積%イソプロピルアルコール〕100mLにオクタデシルホスホン酸0.0168gを添加することによって調製した試薬である。得られた試験片は、ガラス基材の表面上に、粗表面を有するアナターゼ型二酸化チタン膜からなる第1層と、撥水性を有する第2層とを有していた。第2層の表面は、第1層と同様の粗表面であった。前記粗表面の算術平均表面粗さ(RMS)を、原子間力顕微鏡〔アサイラムリサーチ社製、商品名:MFP−3D〕を用いて測定した。その結果、前記粗表面の算術平均表面粗さ(RMS)は、57.2nmであった。
(実験例2)
実験例1において、スパッタ圧を6Paに設定する代わりに、スパッタ圧を1Paに設定したことを除き、実験例1と同様の操作を行ない、試験片を得た。得られた試験片は、ガラス基材の表面上に、平坦な表面を有するアナターゼ型二酸化チタン膜からなる第1層と、撥水性を有する第2層とを有していた。第2層の表面は、第1層と同様の平坦な表面であった。前記平坦な表面の算術平均表面粗さ(RMS)を、実験例1と同様の手法により測定した。その結果、前記平坦な表面の算術平均表面粗さ(RMS)は、5nm未満であった。
(実験例3)
ガラス基材(松波硝子工業(株)製、商品名:S1111、サイズ76×26mm、厚さ1mm)を洗浄した。つぎに、スパッタリング装置〔(株)サンバック製、商品名:SV−9863〕を用い、アルゴンガス−酸素混合ガス雰囲気(アルゴンガス分圧:0.08Paおよび酸素分圧:0.2Pa)中、基板温度:350℃およびスパッタ圧:6Paの条件下に、アナターゼ型二酸化チタンからなる層(厚さ:500nm)を前記ガラス基材の片面に形成させることにより、試験片を得た。得られた試験片は、ガラス基材の表面上に、平坦な表面を有するアナターゼ型二酸化チタン膜からなる層を有していた。前記平坦な表面の算術平均表面粗さ(RMS)は、実験例2の試験片における平坦な表面の算術平均表面粗さ(RMS)と同様であった。
(試験例1)
紫外線照射装置〔エヌエスライティング(株)製、商品名:ULEDN−102CT〕を用い、実験例1および2の試験片における第1層および第2層が形成された側の表面(層形成面)に光(波長:365nm、強度:12mJ/cmの紫外線)を照射した。経時的に試験片の層形成面の対水接触角を測定した。
試験例1において、光照射時間と対水接触角との関係を調べた結果を図6に示す。
図6に示された結果から、光照射時間の経過に伴い、対水接触角が低下していることがわかる。かかる結果から、光照射時間の経過に伴い、アナターゼ型二酸化チタンの光触媒作用による第2層の分解が進行し、層形成面における性質が撥水性から親水性に変化していることがわかる。また、図6に示された結果から、実験例1の試験片の対水接触角の最大値は、実験例2の試験片の対水接触角の最大値よりも大きいことがわかる。また、実験例1の試験片の対水接触角の最小値は、実験例2の試験片の対水接触角の最小値よりも小さいことがわかる。これらの結果から、実験例1の試験片における撥水性と親水性との間の変化幅は、実験例2の試験片における撥水性と親水性との間の変化幅よりも大きいことがわかる。
(試験例2)
試験例1において、実験例1および2の試験片に加え、実験例3の試験片を用い、試験例1と同様の操作を行ない、実験例1〜3の試験片の層形成面の対水接触角の変化幅を調べた。
試験例2において、実験例1〜3の試験片の層形成面の対水接触角の変化幅を調べた結果を図7に示す。図中、レーン1は実験例1の試験片の層形成面の対水接触角の変化幅、レーン2は実験例2の試験片の層形成面の対水接触角の変化幅、レーン3は実験例3の試験片の層形成面の対水接触角の変化幅を示す。
図7に示された結果から、層形成面の対水接触角の変化幅は、実験例1の試験片、実験例2の試験片および実験例3の試験片の順で大きいことがわかる。したがって、これらの結果から、光照射によって対水接触角を低下させるとともに光触媒作用を発現する物質からなる膜からなる第1層と、前記第1層の表面上に設けられ、撥水性を有する第2層とを併用することにより、対水接触角の変化幅を大きくすることができることがわかる。また、第1層が粗表面を有する場合、対水接触角の変化幅をより一層大きくすることができることがわかる。
(実験例4〜7)
実験例1において、スパッタ圧を1Paに設定し、かつ第1層の表面にCFプラズマエッチング処理を施さなかったこと(実験例4)、スパッタ圧を1Paに設定し、かつ第1層の表面にCFプラズマエッチング処理を2分間施したこと(実験例5)、スパッタ圧を6Paに設定し、かつ第1層の表面にCFプラズマエッチング処理を施さなかったこと(実験例6)またはスパッタ圧を6Paに設定し、かつ第1層の表面にCFプラズマエッチング処理を2分間施したこと(実験例7)を除き、実験例1と同様の操作を行ない、ガラス基材の表面に、粗表面を有するアナターゼ型二酸化チタン膜からなる第1層と、撥水性を有する第2層とを形成させることにより、実験例4〜7の試験片を得た。
(試験例3)
試験例1において、実験例1および2の試験片を用いる代わりに、実験例4〜7の試験を用いたことを除き、試験例1と同様の操作を行ない、対水接触角を測定した。
また、原子間力顕微鏡〔アサイラムリサーチ社製、商品名:MFP−3D〕を用いて実験例4〜7の試験片の第1層および第2層の表面積を測定した。さらに、実験例4〜7の試験片の第1層および第2層の投影面積を算出した。
各試験片の層形成面の投影面積および表面積を用い、式(II):
[表面粗度(%)]
=[(表面積−投影面積)/投影面積]×100 (II)
にしたがって層形成面の表面粗度を求めた。
実験例4〜7の試験片の層形成面の表面粗度と、対水接触角とを、x軸が表面粗度であり、y軸が対水接触角である2次元座標上にプロットした。試験例3において、表面粗度と対水接触角との関係を調べた結果を図8に示す。
対水接触角が100°以上である場合、撥水性と親水性との間の変化幅を十分に確保することができると考えられる。図8に示された結果から、表面粗度が好ましくは3%以上である場合、対水接触角が120°以上であり、撥水性と親水性との間の変化幅を十分に確保することができることが示唆される。
(参考例1)
実験例1で得られた試験片の層形成面の対水接触角は、光(波長:365nm、強度:12mJ/cmの紫外線)の照射の前後において、141°から5°まで変化した。そこで、かかる対水接触角の変化幅を有する場合について、光照射により流路内への流体の吸引と流路からの流体の排出とを切り替えるための流路の幅および高さの範囲を求めた。なお、以下においては、四方形の流路断面形状を有する流路において、当該流路内の底面に層形成面を有する基板を用いることを想定した。流路における毛細管圧力ΔPは、式(I):
(式中、γは流体(液体)の表面張力、hは流路の高さ、wは流路の幅、αは図9における流路の上面の層形成面の対水接触角、αは図9における流路の底面の層形成面の対水接触角、αは図9における流路の左側壁面の層形成面の対水接触角、αは図9における流路の右側壁面の層形成面の対水接触角を示す)
にしたがって求めることができる。
そこで、かかる式(I)を用い、h(流路の高さ)が一定(0.1mm)および対水接触角が140°であるときのw(流路の幅)と毛細管圧力との関係、h(流路の高さ)が一定(0.1mm)および対水接触角が5°であるときのw(流路の幅)と毛細管圧力との関係、w(流路の幅)が一定(1mm)および対水接触角が140°であるときのh(流路の高さ)と毛細管圧力との関係、w(流路の幅)が一定(1mm)および対水接触角が5°であるときのh(流路の高さ)と毛細管圧力との関係を調べた。
流路の高さが0.1mmおよび対水接触角が140°であるときの流路の幅と毛細管圧力との関係を調べた結果を図10(A)、流路の高さが0.1mmおよび対水接触角が5°であるときの流路の幅と毛細管圧力との関係を調べた結果を図10(B)、流路の幅が1mmおよび対水接触角が140°であるときの流路の高さと毛細管圧力との関係を調べた結果を図10(C)、流路の幅が1mmおよび対水接触角が5°であるときの流路の高さと毛細管圧力との関係を調べた結果を図10(D)に示す。図中、実線aは流体が水(γ=72dyne/cm)である場合の結果、破線bは流体が血液(γ=50dyne/cm)である場合の結果、一点鎖線は流体がエタノールである場合の結果を示す。
流路の高さが0.1mmおよび対水接触角が140°である場合、層形成面が撥水状態であり、図9(A)に示されるように流路11内に流体Aが吸引されないようにするためには、毛細管圧力が大気圧よりも高い陽圧であることが求められる。この場合、図10(A)に示された結果から、流路の幅は、好ましくは0.8mm以下であることが示唆される。また、流路の高さが0.1mmおよび対水接触角が5°である場合、層形成面が親水状態であり、図9(B)に示されるように流路11内に流体Aが吸引されるようにするためには、毛細管圧力が大気圧よりも低い陽圧または陰圧であることが求められる。この場合、図10(B)に示された結果から、流路の幅は、好ましくは0.05mm以上であることが示唆される。
一方、流路の幅が1mmおよび対水接触角が140°である場合、層形成面が撥水状態であり、図9(A)に示されるように流路11内に流体Aが吸引されないようにするためには、毛細管圧力が大気圧よりも高い陽圧であることが求められる。この場合、図10(C)に示された結果から、流路の高さは、好ましくは0.08mm以下であることが示唆される。流路の幅が1mmおよび対水接触角が5°である場合、図10(D)に示された結果から、流路の高さが0.08mm以下であれば、陰圧となり、図9(B)に示されるように流路11内に流体Aが吸引されることがわかった。
これらの結果から、毛細管現象によって流体を流通可能な溝部を含む流路を有する基板を実験例1と同様の方法によって製造する場合、流路の幅wは、好ましくは0.05〜0.8mmであり、流路の高さhは、好ましくは0.08mm以下であることが望ましいことが示唆される。
(実施例1)
(1)基板の作製
ガラス基材〔松波硝子工業(株)製、商品名:S1111、サイズ76×26mm、厚さ1mm〕を洗浄した。つぎに、洗浄後のガラス基材の片面にクロムフォトマスクを形成させる。スピンコーターを用い、前記クロムフォトマスク上にフォトレジスト〔AZエレクトロニック・マテリアルズ(Az Electronic Materials)社製、商品名:AZ−P4620〕を200rpmで30秒間塗布することにより、レジスト塗布基材を得る。前記レジスト塗布基材を100℃で2分間加熱して前記レジスト塗布基材のフォトレジストを固化させる。その後、前記レジスト塗布基材のフォトレジストに対し、溝部に対応する開口部のパターンを露光する。目視でレジストパターンの感光部が十分に除去できるまで、露光後の基材をレジスト現像液〔東京応化工業(株)製、商品名:NMD-3〕に25℃で浸漬させることにより、現像を行なう。現像後の基材を水で洗浄した後、乾燥させ、レジストパターンを有する基材を得る。レジストパターンを有する基材のレジストパターン形成面にクロムエッチング液〔佐々木化学薬品(株)製、商品名:クロム用エッチング液〕を接触させることにより、クロムフォトマスクにおいて、流路の溝部に対応する開口部を形成させる。開口部が形成されたクロムフォトマスクを有する基材をCFガス雰囲気下に150WのRFパワーで15分間エッチングし、溝部を有する第1の中間基板を得る。
つぎに、スパッタリング装置〔(株)サンバック製、商品名:SV−9863〕を用い、アルゴンガス−酸素混合ガス雰囲気(アルゴンガス分圧:0.08Paおよび酸素分圧:0.2Pa)中、基板温度:350℃およびスパッタ圧:6Paの条件下に、アナターゼ型二酸化チタンからなる第1層を(厚さ:500nm)前記第1の中間基板の溝部の底面、左側壁面および右側壁面に形成させる。その後、CFガスを用いて第1層の表面にCFプラズマエッチング処理を施して当該表面をフッ素終端化させる。得られた第2の中間基板を、実験例1で用いられた表面処理剤と同じ表面処理剤に25℃で24時間浸漬させる。浸漬後の中間基板を室温で窒素ブローによって乾燥させ、撥水性を有する第2層を形成させることにより、基板を得る。なお、前記と同様の操作を行なうことにより、同様の基板を得る。
(2)流体デバイスの作製
2つの基板それぞれの流路の溝部が対向するように配置させ、当該2つの基板を接合し、流体デバイスを得る。なお、接合は、アミノシラン処理によって行なう。得られた流体デバイスは、四方形の流路断面形状を有する流路(幅:1mmおよび高さ:0.1mm)を有しており、当該流路内のすべての面に層形成面を有している。
(比較例1)
実施例1において、アナターゼ型二酸化チタンからなる第1層を前記第1の中間基板の溝部の底面、左側壁面および右側壁面に形成させる代わりに、アナターゼ型二酸化チタンからなる第1層を前記第1の中間基板の溝部の底面のみに形成させることを除き、実施例1と同様に操作を行ない、流体デバイスを得る。
(試験例4)
実施例1および比較例1の流体デバイスを用いることを想定し、実施例1および比較例1の流体デバイスそれぞれの流路の層形成面の対水接触角と、毛細管圧力との関係を調べた。実施例1の流体デバイスの場合、流路の上面、底面、左側壁面および右側壁面のすべての対水接触角が同時に変化するものと仮定して毛細管圧力を算出した。また、比較例1の流体デバイスの場合、流路の上面、左側壁面および右側壁面それぞれの対水接触角が一定(101°)であり、かつ流路の底面の対水接触角のみが変化するものと仮定して毛細管圧力を算出した。
試験例1において、対水接触角と毛細管圧力の関係を調べた結果を図11に示す。図中、実線は実施例1の流体デバイスの場合の結果、破線は比較例1の流体デバイスの場合の結果を示す。
図11に示された結果から、実施例1の流体デバイスの場合、毛細管圧力は1248Paから−1559Paまでの範囲で変化することがわかる。また、比較例1の流体デバイスの場合、毛細管圧力は784Paから−720Paまでの範囲で変化することがわかる。
1 流体デバイス
1a 第1の基板
1b 第2の基板
2 流路
10,11,12 溝部
13a,13b,13c チャンバー
101 基材
102 第1層
102a 表面改質部
103 第2層
202 フォトレジスト
210 エッチングマスク

Claims (8)

  1. 光照射および毛細管現象によって流体を流通可能な断面中空形状を有する流路を含む流体デバイスを製造する方法であって
    (A)基材に前記流路に対応する溝部を形成させる工程、
    (B)前記溝部における流体の流れ方向の所定の区間の内表面上に、光照射によって対水接触角を低下させるとともに光触媒作用を発現する物質からなる第1層を物理的蒸着法によって形成させる工程、および
    (C)前記第1層の表面上に、撥水性を有する第2層を形成させる工程
    を含む流体デバイスの製造方法。
  2. 前記光照射によって対水接触角を低下させるとともに光触媒作用を発現する物質が、酸化チタンである請求項1に記載の方法。
  3. 前記物理的蒸着法が、スパッタリング法、レーザーアブレーション法またはイオンプレーティング法であることである請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記工程(B)と工程(C)との間に、第1層の表面をフッ素終端化する表面処理を行なう工程をさらに含む請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 基材に、光照射および毛細管現象によって流体を流通可能な断面中空形状を有する流路が形成された基板を含む流体デバイスであって、
    前記基材は、流路における流体の流れ方向の所定の区間の内表面上に、第1層と、前記第1層の表面上に設けられ、撥水性を有する第2層とを有しており、
    前記第1層は、光照射によって対水接触角を低下させるとともに光触媒作用を発現する物質からなるスパッタ膜からなることを特徴とする流体デバイス。
  6. 前記流路の光照射側には、光を透過可能な光透過部が設けられている請求項5に記載の流体デバイス。
  7. 基材に、光照射および毛細管現象によって流体を流通可能な断面中空形状を有する流路が形成された基板を含む流体デバイスであって、
    前記基材は、流路における流体の流れ方向の所定の区間の内表面上に、第1層と、前記第1層の表面上に設けられ、撥水性を有する第2層とを有しており、
    前記第1層は、光照射によって対水接触角を低下させるとともに光触媒作用を発現する物質からなり、かつ粗表面を有する膜からなることを特徴とする流体デバイス。
  8. 前記流路の光照射側には、光を透過可能な光透過部が設けられている請求項7に記載の流体デバイス。
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