JP2017080775A - マグネシウム合金板材の製造方法、マグネシウム合金形材の製造方法、マグネシウム合金板材およびマグネシウム合金形材 - Google Patents

マグネシウム合金板材の製造方法、マグネシウム合金形材の製造方法、マグネシウム合金板材およびマグネシウム合金形材 Download PDF

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栄介 弘
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貴雄 前田
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Abstract

【課題】機械特性および耐熱性が向上したマグネシウム合金板材およびマグネシウム合金形材を提供する。
【解決手段】マグネシウム合金板材の製造方法は、イットリウムを0.01原子%以上10原子%以下含有し、亜鉛を0.01原子%以上10原子%以下含有し、残部がマグネシウムからなり、該イットリウムの含有量をCY〔原子%〕、該亜鉛の含有量をCZn〔原子%〕とするとき、2/3CZ<CYn<CZn+4となる関係を満たす、合金溶湯を調製するステップと、双ロール鋳造法により、600℃/秒以上2500℃/秒以下の冷却速度で、該合金溶湯からマグネシウム合金板材を製造するステップと、を備える。
【選択図】図3

Description

本発明は、マグネシウム合金板材の製造方法、マグネシウム合金形材の製造方法、マグネシウム合金板材およびマグネシウム合金形材に関する。
国際公開第2006/003899号(特許文献1)には、双ロール鋳造法によりマグネシウム合金板材を製造する方法が開示されている。
国際公開第2006/003899号
近年、高強度および高耐熱性を示すマグネシウム合金(Mg−Y−Zn系合金)が見出され、注目を集めている。本開示の目的は、機械特性および耐熱性が向上したマグネシウム合金板材およびマグネシウム合金形材の提供にある。
本発明の一態様に係るマグネシウム合金板材の製造方法は、イットリウムを0.01原子%以上10原子%以下含有し、亜鉛を0.01原子%以上10原子%以下含有し、残部がマグネシウムからなり、該イットリウムの含有量をCY〔原子%〕、該亜鉛の含有量をCZn〔原子%〕とするとき、下記式(I)および(II):
Y>2/3CZn (I)
Y<CZn+4 (II)
を満たす、合金溶湯を調製するステップと、双ロール鋳造法により、600℃/秒以上2500℃/秒以下の冷却速度で、該合金溶湯からマグネシウム合金板材を製造するステップと、を備える。
本発明の一態様に係るマグネシウム合金板材は、イットリウムを0.01原子%以上10原子%以下含有し、亜鉛を0.01原子%以上10原子%以下含有し、残部がマグネシウムからなる。イットリウムの含有量をCY〔原子%〕、亜鉛の含有量をCZn〔原子%〕とするとき、下記式(I)および(II):
Y>2/3CZn (I)
Y<CZn+4 (II)
を満たす。マグネシウム合金板材は、厚さ方向の断面において、合金組織内を網目状に延びる長周期積層構造相と、該合金組織内に分散し、該長周期積層構造相の少なくとも一部と交差するように延びる複数の結晶片と、を含む。
本発明の一態様に係るマグネシウム合金形材は、イットリウムを0.01原子%以上10原子%以下含有し、亜鉛を0.01原子%以上10原子%以下含有し、残部がマグネシウムからなる。イットリウムの含有量をCY〔原子%〕、亜鉛の含有量をCZn〔原子%〕とするとき、下記式(I)および(II):
Y>2/3CZn (I)
Y<CZn+4 (II)
を満たす。マグネシウム合金形材は、合金組織内に粒状の長周期積層構造相を含む。X線回折パターンにおいて、(002)面からの回折強度を、(102)面からの回折強度で除した値である、X線回折強度比が100以下である。
上記によれば、機械特性および耐熱性が向上したマグネシウム合金板材およびマグネシウム合金形材が提供される。
双ロール鋳造装置の一例を示す概略概念図である。 ロールギャップ周辺の構成を示す概略概念図である。 本発明の一実施形態に係るマグネシウム合金板材の製造方法およびマグネシウム合金形材の製造方法の概略を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係るマグネシウム合金板材の内部を示す断面SEM写真である。 本発明の一実施形態に係るマグネシウム合金板材の表層部を示す断面SEM写真である。 参考形態に係るマグネシウム合金板材の内部の断面SEM写真である。 参考形態に係るマグネシウム合金板材の表層部の断面SEM写真である。 イットリウム(Y)および亜鉛(Zn)の含有量を説明する図である。 本発明の一実施形態に係るマグネシウム合金形材の断面SEM写真である。 マグネシウム合金板材の一例を示す概略図である。 マグネシウム合金形材の一例を示す概略図である。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、特定の条件でマグネシウム合金板材を鋳造することにより、新規な合金組織を有し、かつ機械特性および耐熱性が向上したマグネシウム合金板材およびマグネシウム合金形材を製造できることを見出した。
〔1〕すなわち、本発明の一態様に係るマグネシウム合金板材の製造方法は、イットリウム(Y)を0.01原子%以上10原子%以下含有し、亜鉛(Zn)を0.01原子%以上10原子%以下含有し、残部がマグネシウムからなり、該イットリウムの含有量をCY〔原子%〕、該亜鉛の含有量をCZn〔原子%〕とするとき、下記式(I)および(II):
Y>2/3CZn (I)
Y<CZn+4 (II)
を満たす、合金溶湯を調製するステップと、双ロール鋳造法により、600℃/秒以上2500℃/秒以下の冷却速度で、該合金溶湯からマグネシウム合金板材を製造するステップと、を備える。
上記式(I)および(II)を満たす合金溶湯を鋳造することにより、αマグネシウム相(以下「α−Mg相」と略記する場合がある)と、α−Mg相の界面に晶出した長周期積層構造相(以下「LPSO相」と略記する場合がある,LPSO:Long−Period Stacking Ordered phase)と、を含む合金組織を形成することができる。
上記〔1〕の製造方法では、双ロール鋳造法により、600℃/秒以上の冷却速度で、合金溶湯からマグネシウム合金板材を鋳造する。双ロール鋳造法によって、鋳造板材を急冷し、さらに若干の圧延を加えることにより、LPSO相が分断されず、LPSO相が網目状に延びる合金組織を形成できる。これにより、機械特性(たとえば引張強さ、耐力等)が向上すると考えられる。本発明者の研究によれば、たとえば200℃程度の高温においても、優れた機械特性が確認されている。
これに対して、たとえば重力鋳造法で、同組成のマグネシウム合金のビレットを鋳造すると、LPSO相が細かく分断されてしまい、同様な機械特性は示されない。冷却速度が遅く、鋳造中に添加物濃度のゆらぎ等が発生するためと考えられる。
さらに上記〔1〕の製造方法によって形成された合金組織では、網目状に延びるLPSO相の少なくとも一部と交差するように延びる結晶片が複数析出することになる。当該結晶片は、LPSO相とは組成が異なる化合物であると考えられる。現時点ではメカニズムの詳細は不明であるが、当該結晶片を含むマグネシウム合金板材では、耐熱性の向上が認められる。
ただし上記〔1〕におけるマグネシウム合金板材は、高温でも硬度が高い。そのため冷却速度が2500℃/秒を超えると、鋳造時、マグネシウム合金板材の表面、端部等に微細なクラックが生じる可能性がある。よって冷却速度は、2500℃/秒以下とする。
また双ロール鋳造における冷却速度の実測は極めて困難である。そのため通常は、既知の合金組成において成立する、デンドライドアーム間隔(DAS:Dendrite Arm Spacing)と冷却速度との関係式を用いて、冷却速度が推定されている。上記〔1〕の製造方法により得られるマグネシウム合金の組成は既知ではない。そのため本開示では、組成が既知であり、上記と近い条件で鋳造が可能な合金、すなわちASTM規格のAZ91合金において成立する関係式:
d=35.5×V-0.31
(ただしdは、DAS〔μm〕を示し、Vは、冷却速度〔℃/秒〕を示す)
を用いて、冷却速度を推定するものとする。
またDASは、合金組織を金属顕微鏡、電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)等で観察することにより測定できる。具体的には、マグネシウム合金板材の厚さ方向の断面において、各α−Mg相の短軸径を測定し、該短軸径の平均値としてDASを求める。本明細書において、「短軸径」は次のように定義される。すなわち、粒子状物質の2次元投影像における最大径を「長軸径」とし、該長軸径に直交する径のうち最大径を短軸径とする。DAS測定時の視野範囲は、100μm×100μmとする。観察倍率は、1000倍とする。平均値の算出には、無作為に抽出された20個のα−Mg相の短軸径を用いる。
〔2〕上記〔1〕の製造方法は、マグネシウム合金板材を圧延加工するステップをさらに備えていてもよい。これにより、圧延材を製造することができる。
〔3〕上記〔2〕の圧延加工するステップにおいて、圧延温度をT〔℃〕、1パス当たりの圧下率をR〔%〕とするとき、下記式(III):
T≧5/2R+310 (III)
が満たされるように、マグネシウム合金板材を圧延加工することが好ましい。
上記〔1〕で鋳造されたマグネシウム合金板材は、さらに温間加工を施すと機械特性(たとえば引張強さ、耐力等)が向上する。LPSO相においてキンク帯が形成されるためと考えられる。ただし、前述のように上記〔1〕のマグネシウム合金板材は硬度が高いため、圧延時に割れ等が生じる可能性もある。そこで、上記式(III)が満たされる条件で温間圧延を行うことにより、圧延時の割れを抑制できる。
上記式(III)における圧下率(R)は、1パス当たりの圧下率を示している。つまりRは、1回の圧延加工において、圧延後の厚さを、圧延前の厚さで除した値の百分率を示す。圧延加工は、複数回行ってもよい。その場合、複数回圧延が行われた最終的な板材の厚さを、元材(未圧延の鋳造まま材)の厚さで除した値は、「総圧下率」と称し、1パス当たりの圧下率(R)と区別する。
〔4〕マグネシウム合金形材の製造方法は、上記〔1〕のマグネシウム合金板材を押出加工するステップを備えることができる。これにより、マグネシウム合金形材を製造することができる。
〔5〕上記〔4〕の製造方法では、それにより得られるマグネシウム合金形材のX線回折パターンにおいて、(002)面からの回折強度を、(102)面からの回折強度で除した値である、X線回折強度比が100以下となるように押出加工することが好ましい。
かかる条件を満たすことにより、マグネシウム合金形材の機械特性が向上する傾向にある。以下、X線回折強度比を「XRD強度比」と記す場合がある(XRD:X−Ray Diffraction)。
〔6〕マグネシウム合金板材は、イットリウムを0.01原子%以上10原子%以下含有し、亜鉛を0.01原子%以上10原子%以下含有し、残部がマグネシウムからなる。イットリウムの含有量をCY〔原子%〕、亜鉛の含有量をCZn〔原子%〕とするとき、下記式(I)および(II):
Y>2/3CZn (I)
Y<CZn+4 (II)
を満たす。マグネシウム合金板材は、厚さ方向の断面において、合金組織内を網目状に延びる長周期積層構造相と、該合金組織内に分散し、該長周期積層構造相の少なくとも一部と交差するように延びる複数の結晶片と、を含む。
「板材」とは、厚さ方向の断面が長方形である素材を示す。上記〔6〕のマグネシウム合金板材は、典型的には上記〔1〕の製造方法で製造される。前述のとおり、このマグネシウム合金板材は、厚さ方向の断面(典型的には断面SEM像を示す)において、合金組織内を網目状に延びるLPSO相を有するため、優れた機械特性を示す。たとえば200℃程度の高温環境においても優れた機械特性が示される。またマグネシウム合金板材は、LPSO相の少なくとも一部と交差するように延びる結晶片を複数含むため、耐熱性にも優れる。ここでLPSO相の一部とは、LPSO相を網に例えると、網を構成する1本1本の網糸を示している。結晶片は、網糸の少なくとも一部と交差するように延びる。すなわち、結晶片は1本の網糸と交差していてもよいし、複数の網糸と交差していてもよい。
〔7〕上記〔6〕のマグネシウム合金板材の厚さ方向の断面のうち、該マグネシウム合金板材の表面から、該厚さ方向に1/4の厚さまでの表層部において、隣接する2つの結晶片の間隔の平均は、0μmを超えて10μm以下であることが好ましい。
このように微細な間隔で、結晶片が分散した合金組織では、耐熱性の向上が期待できる。ここで、2つの結晶片が隣接しているとは、マグネシウム合金板材の厚さ方向の断面において、長軸同士が互いに略平行な2つの結晶片が、一続きのLPSO相の中で隣接していることを示す。略平行とは、要すれば2つの結晶片の長軸のなす角が0°以上10°以下(好ましくは0°以上5°以下であり、より好ましくは0°以上3°以下である)ことを示す。間隔の平均は、マグネシウム合金板材の厚さ方向の断面(断面SEM像)において、100μm×100μmの視野内の間隔をすべて測定し、測定結果を平均することで求められる。観察倍率は、5000倍とする。
〔8〕上記〔6〕または〔7〕のマグネシウム合金板材において、結晶片は、長軸径を短軸径で除した値であるアスペクト比が5以上50以下であることが好ましい。
かかるアスペクト比を有する結晶片が分散して複数存在していることにより、耐熱性の向上が期待できる。アスペクト比は、マグネシウム合金板材の断面SEM写真(たとえば倍率=5000倍)等において測定するものとする。
〔9〕上記〔6〕〜〔8〕のいずれかのマグネシウム合金板材において、デンドライドアーム間隔は、1μm以上5μm以下であることが好ましい。
このようにDASが狭く、微細な合金組織においては、機械特性の向上が期待できる。
〔10〕上記〔6〕〜〔9〕のいずれかのマグネシウム合金板材は、アルミニウム(Al)、ランタン(La)、ガドリニウム(Gd)、マンガン(Mn)、ジルコニウム(Zr)、シリコン(Si)、セリウム(Ce)、サマリウム(Sm)、イッテルビウム(Yb)、テルビウム(Tb)、ツリウム(Tm)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)およびネオジム(Nd)からなる群より選択される少なくとも1種の元素を、合計で0原子%を超え1原子%以下含有することが好ましい。
これらの元素を含有するマグネシウム合金板材では、機械特性および耐熱性の向上が期待できる。
〔11〕マグネシウム合金形材は、イットリウムを0.01原子%以上10原子%以下含有し、亜鉛を0.01原子%以上10原子%以下含有し、残部がマグネシウムからなる。イットリウムの含有量をCY〔原子%〕、亜鉛の含有量をCZn〔原子%〕とするとき、下記式(I)および(II):
Y>2/3CZn (I)
Y<CZn+4 (II)
を満たす。マグネシウム合金形材は、合金組織内に粒状の長周期積層構造相を含む。X線回折パターンにおいて、(002)面からの回折強度を、(102)面からの回折強度で除した値である、X線回折強度比が100以下である。
「形材」とは、全長に亘って、板材と異なる均一な断面形状を有する展伸材を示す。すなわち形材の軸方向に垂直な断面は、長方形と異なる形状を有する。形材は、典型的には鋳造板材を押出加工した押出形材である。その場合、形材の軸方向とは、押出方向を示すことになる。上記〔11〕の形材は、典型的には上記〔5〕の製造方法によって製造される。上記〔11〕のX線回折パターンを有する形材は、優れた機械特性を示す。
〔12〕上記〔11〕のマグネシウム合金形材において、中心線偏析に起因する長周期積層構造相を除く、長周期積層構造相の投影面積円相当径の最大値は0μmを超えて10μm以下であることが好ましい。
粒状のLPSO相の投影面積円相当径の最大値が10μm以下であるマグネシウム合金形材は、機械特性に優れる傾向にある。ここで本明細書の「投影面積円相当径」は、マグネシウム合金形材の一断面において、粒子状物質の2次元投影像と等しい面積を有する円の直径を示すものとする。一断面は、形材の軸方向に垂直な断面であることが望ましい。
〔13〕上記〔11〕または〔12〕のマグネシウム合金形材は、Al、La、Gd、Mn、Zr、Si、Ce、Sm、Yb、Tb、Tm、Dy、HoおよびNdからなる群より選択される少なくとも1種の元素を、合計で0原子%を超え1原子%以下含有することが好ましい。
これらの元素を含有するマグネシウム合金形材では、機械特性および耐熱性の向上が期待できる。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の一実施形態(以下「本実施形態」とも記す)について詳細に説明する。ただし本実施形態は、以下の説明に限定されるものではない。
<マグネシウム合金板材の製造方法>
本実施形態の製造方法では、双ロール鋳造法を用いてマグネシウム合金板材を製造する。双ロール鋳造法とは、一対のロールからなる可動鋳型を用いて、溶湯から合金板材を製造する製造方法である。そこでまず、本実施形態で使用できる双ロール鋳造装置の概要を説明する。
《双ロール鋳造装置》
図1は、双ロール鋳造装置の構成の一例を示す概略概念図である。鋳造装置100は、溶湯の自重を利用して、可動鋳型(双ロール)に溶湯を供給できるように構成されている。鋳造装置100は、溶解炉10と、移送樋20と、タンディッシュ30(湯だめ)と、供給部40と、双ロール50(可動鋳型)とを備える。
溶解炉10は、マグネシウム(Mg)合金を溶解して合金溶湯1を調製する。移送樋20は、溶解炉10とタンディッシュ30との間に配置されている。移送樋20は、合金溶湯1を溶解炉10からタンディッシュ30へと移送する。タンディッシュ30は、合金溶湯1を一時的に貯留する。供給部40は、タンディッシュ30から双ロール50に合金溶湯1を供給する。
溶解炉10は、坩堝11と、ヒータ12と、筐体13と、温度測定部(図示せず)と、温度制御部(図示せず)とを有する。坩堝11は、ガス導入配管14、ガス排出配管15およびガス量制御部(図示せず)を有する。坩堝11は、合金溶湯1を攪拌するためのフィン(図示せず)等を有していてもよい。
移送樋20の一方の端部は、坩堝11に接続されており、移送樋20の他方の端部は、タンディッシュ30に接続されている。移送樋20は、合金溶湯1の供給量を調整するためのバルブ21を有する。また移送樋20は、その外周にヒータ22を有する。移送樋20は、その外周に超音波攪拌装置(図示せず)等を有していてもよい。
タンディッシュ30は、その外周にヒータ32と、温度測定部(図示せず)と、温度制御部(図示せず)とを有する。タンディッシュ30は、ガス導入配管34、ガス排出配管35およびガス量制御部(図示せず)を有する。またタンディッシュ30は、合金溶湯1の液面を検出する液面センサ36を有する。タンディッシュ30も、合金溶湯1を攪拌するためのフィン(図示せず)等を有していてもよい。
供給部40の一方の端部は、タンディッシュ30に接続されている。供給部40の他方の端部には、合金溶湯1を双ロール50のロールギャップに供給するノズル41(注湯口)が設けられている。ノズル41の近傍には、ノズル41に供給される合金溶湯1の温度管理を行うための温度制御部(図示せず)が設けられている。温度制御部は、合金溶湯1の流れを妨害しない位置に配置されている。
タンディッシュ30内の合金溶湯1は、自重により、供給部40へと供給される。すなわち、合金溶湯の自重により、合金溶湯をノズルからロールギャップへと押し込む圧力(以下「供給圧力」と記す場合がある)が発生する。
供給圧力は、ロールギャップの中心線53からタンディッシュ30内の液面までの高さ(図1中の「h」)によって制御される。液面の高さは、液面センサ36によって検出される。液面制御部(図示せず)は、液面センサ36で検出された液面の高さに基づき、バルブ21を調整する。液面の高さ(h)は、供給圧力が、たとえば101.8kPa以上118.3kPa未満となるように調整するとよい。液面の高さ(h)は、たとえば30mm以上1000mm以下程度の範囲内で調整してもよい。
可動鋳型である双ロール50は、一対のロールからなる。すなわち双ロール50は、第1ロール51および第2ロール52を有する。第1ロール51および第2ロール52に描かれた曲線矢印は、各ロールの回転方向を示している。各ロールは、互いに異なる方向に回転するように構成されている。各ロールは、ロールギャップの中心線53が水平になるように配置される。各ロールは、ロールの表面温度を測定する温度測定部(図示せず)、および表面温度を制御する温度制御部(図示せず)を有する。
ノズル41から、ロールギャップに供給された合金溶湯1は、第1ロール51および第2ロール52と接触しながら凝固し、鋳造板材2となる。鋳造板材2は、ロールギャップの中心線53に沿って、水平方向に繰り出される。
《製造フロー》
次に、フローチャートに沿って本実施形態の製造方法を説明する。図3は、本実施形態の製造方法の概略を示すフローチャートである。本実施形態の製造方法は、溶湯調製ステップ(S101)と、鋳造ステップ(S102)とを備える。当該製造方法は、鋳造ステップ(S102)の後に、圧延加工ステップ(S103)をさらに備えることができる。以下、各ステップを説明する。
《溶湯調製ステップ(S101)》
溶湯調製ステップでは、特定組成のMg合金溶湯が調製される。すなわち、合金溶湯は、Yを0.01原子%以上10原子%以下含有し、Znを0.01原子%以上10原子%以下含有し、残部がMgからなり、Yの含有量をCY〔原子%〕、Znの含有量をCZn〔原子%〕とするとき、下記式(I)および(II):
Y>2/3CZn (I)
Y<CZn+4 (II)
を満たすように調製される。
図8は、イットリウム(Y)および亜鉛(Zn)の含有量を説明する図である。図8に示す領域500は、上記式(I)および(II)、ならびに0.01≦CY≦10および0.01≦CZn≦10を満たす領域である。溶湯調製ステップでは、領域500内の範囲で、YおよびZnを含有する合金溶湯を調製する。CYおよびCZnが領域500の範囲外になると、目的とするLPSO相および結晶片が生成されない可能性がある。
具体的な操作としては、図1に示す坩堝11内において、純MgのインゴットまたはMg合金のインゴットを溶解させ、各種元素(Y、Zn等)を所定量添加する。インゴットを溶解させる坩堝11内の温度は、たとえば600〜900℃程度でよい。上記式(I)を満たす限り、Y、Znに加えて、たとえばAl、La等の元素を添加してもよい。
溶湯の酸化を抑制するため、坩堝11内の雰囲気は低酸素状態に保つことが望ましい。たとえば、ガス導入配管14から所定のガスを導入し、ガス排出配管15より排出することにより、坩堝11内の雰囲気を調整できる。雰囲気の調整に用いるガスは、たとえば、アルゴン(Ar)、窒素(N2)等の不活性ガスであってもよいし、これらと大気との混合ガスであってもよい。坩堝11内の雰囲気は、好ましくは酸素(O2)濃度が5体積%以下となるように調整される。また合金溶湯の燃焼を抑制するため、たとえば六フッ化硫黄(SF6)等を含有するガスを導入してもよい。
溶解炉10で調製された合金溶湯1は、移送樋20によって、タンディッシュ30に移送される。その後、合金溶湯1は、タンディッシュ30に一時的に貯留される。タンディッシュ30内においても、坩堝11内と同様の温度制御、雰囲気制御を行うことが望ましい。合金溶湯の酸化を抑制するためである。
《鋳造ステップ(S102))》
鋳造ステップでは、双ロール鋳造法により、合金溶湯を急冷しながらマグネシウム合金板材を製造する。
図2は、鋳造装置のロールギャップ周辺の構成を示す概略概念図である。合金溶湯1は、ロールギャップに供給される。合金溶湯1は、第1ロール51および第2ロール52の表面と接触することで、冷却され、凝固しながらロールギャップを通過する。これにより鋳造板材2(マグネシウム合金板材)が製造される。
冷却速度は、ロールの周速、ロールの表面温度、ロールの直径、ロール荷重等により調整することができる。本実施形態では、冷却速度を600℃/秒以上2500℃/秒以下とする。鋳造板材を600℃/秒以上の冷却速度で急冷することにより、LPSO相が網目状に延び、機械特性に優れる合金組織を形成できる。またLPSO相の一部と交差するように延びる結晶片が複数析出し、耐熱性にも優れる合金組織が形成できる。マグネシウム合金板材の機械特性および耐熱性を高めるとの観点から、冷却速度は、好ましくは1000℃/秒以上であり、より好ましくは1200℃/秒以上であり、特に好ましくは1500℃/秒以上である。
ただし冷却速度が2500℃/秒を超えると、凝固開始点がノズル41側にずれる傾向にある。本実施形態のマグネシウム合金板材は、高温でも硬度が高い。そのため、凝固開始点がノズル側にずれると、ロールギャップを通過する際、鋳造板材2の表面、端部等に微細なクラックが生じる可能性がある。マグネシウム合金板材の表面性状の観点から、冷却速度は、好ましくは2300℃/秒以下であり、より好ましくは2000℃/秒以下である。
本実施形態の合金溶湯は、表面に酸化膜が形成されやすい傾向にある。酸化膜の形成により、溶湯の粘度が上昇し、流動性が低下する可能性がある。その場合メニスカスの形状が変化し、冷却速度が狙いからずれ、所望のマグネシウム合金板材を製造できない可能性もある。そのため、合金溶湯ができるだけ酸素と接触しない態様で鋳造することが望ましい。たとえばノズル41の先端を第1ロール51および第2ロール52と接触させることにより、ロールギャップの周辺を、実質的に密閉状態とすることが考えられる。さらに合金溶湯、ノズル、ロールギャップにAr等の不活性ガスを吹き付けて酸素との接触を抑制することも考えられる。
本実施形態では、鋳造時に若干の圧延が加えられることで、マグネシウム合金板材の耐力等が向上する傾向にある。圧延により、合金組織において、キンク帯の形成、転位の導入等が起こるためと考えられる。ここで図2に示されるロールギャップにおける最小ギャップ(g1)を、ノズル41から出た合金溶湯のメニスカスの最大厚さ(g0)で除した値の百分率を「鋳造時の圧下率」と定義する。鋳造時の圧下率は、好ましくは1.2%以上1.9%以下であり、より好ましくは1.4%以上1.9%以下である。かかる範囲で、マグネシウム合金板材の機械特性が向上する傾向にある。このステップで製造されるマグネシウム合金板材の厚さは、たとえば1〜10mm程度であってもよい。
《圧延加工ステップ(S103)》
図3に示すように、マグネシウム合金板材を鋳造した後、さらに圧延加工を行ってもよい。これにより圧延材(展伸材)を製造できる。本実施形態のマグネシウム合金板材は、温間圧延を行うと機械特性がさらに向上する傾向にある。
温間圧延を行う場合、圧延温度をT〔℃〕、1パス当たりの圧下率をR〔%〕とするとき、下記式(III):
T≧5/2R+310 (III)
が満たされるように、マグネシウム合金板材を圧延加工することが好ましい。温間圧延を行うことにより、キンク帯の形成、転位の導入等が起こり、マグネシウム合金板材(圧延材)の機械特性が向上すると考えられる。
上記式(III)が満たされるように圧延加工を行うことにより、圧延時に割れの発生を抑制できる。上記式(III)において、T〔℃〕は、好ましくは315℃以上435℃以下であり、よりいっそう好ましくは335℃以上360℃以下である。R〔%〕は、好ましくは2%以上50%以下であり、より好ましくは2%以上20%以下であり、よりいっそう好ましくは5%20%以下である。圧延加工を複数回行う場合、総圧下率は、たとえば50%以上85%以下である。パス回数(圧延回数)は、たとえば2回以上20回以下程度であり、好ましくは2回以上10回以下であり、より好ましくは2回以上5回以下である。生産効率の観点から、パス回数は少ない程よい。
温間圧延にあたっては、圧延前に350℃以上550℃以下の温度で、マグネシウム合金板材を熱処理してもよい。これにより機械特性がさらに向上する可能性がある。すなわち本実施形態の製造方法は、圧延加工するステップの前に、マグネシウム合金板材を、350℃以上550℃以下の温度で熱処理するステップを備えることもできる。
<マグネシウム合金形材の製造方法>
本実施形態によれば、マグネシウム合金形材の製造方法も提供される。すなわち、図3に示すように、マグネシウム合金板材を鋳造した後、さらに押出加工を行ってもよい。これにより、マグネシウム合金形材(押出形材)を製造できる。押出加工も温間で行うことが好ましい。これにより機械特性の向上が期待できる。
《押出加工ステップ(S104)》
形材の断面形状は、押出ダイスの形状によって決定される。本実施形態では、マグネシウム合金形材のX線回折パターンにおいて、(002)面からの回折強度を、(102)面からの回折強度で除した値である、XRD強度比が100以下となるように、押出加工することが好ましい。このように押出加工されたマグネシウム合金形材は、機械特性に優れる傾向にある。XRD強度比は、より好ましくは50以下であり、よりいっそう好ましくは20以下であり、最も好ましくは18以下である。XRD強度比は、たとえば1以上である。
前述のようにマグネシウム合金板材において、LPSO相は合金組織内を網目状に延びている。マグネシウム合金板材を押出加工すると、網目状であったLPSO相が、粒状に変形することになる。本実施形態では、粒状のLPSO相の投影面積円相当径の最大値が0μmを超えて10μm以下となるように、押出加工を行うことが好ましい。かかる最大値が0μmを超えて10μm以下であるマグネシウム合金形材は、機械特性に優れる傾向にある。
XRD強度比およびLPSO相の投影面積円相当径の最大値は、たとえば押出速度、押出温度、押出比等によって調整することができる。押出温度は、好ましくは300℃以上450℃以下である。押出速度は、好ましくは1mm/秒以上20mm/秒以下である。押出比は、好ましくは5以上30以下である。
<マグネシウム合金板材>
次に、本実施形態のマグネシウム合金板材について説明する。当該マグネシウム合金板材は、典型的には、前述の製造方法によって製造されるものである。図10は、マグネシウム合金板材の一例を示す概略図である。マグネシウム合金板材200は、長方形の断面を有している。
《板材の合金組成》
本実施形態のマグネシウム合金板材は、Yを0.01原子%以上10原子%以下含有し、Znを0.01原子%以上10原子%以下含有し、残部がMnからなる。ここでYの含有量をCY〔原子%〕、Znの含有量をCZn〔原子%〕とするとき、下記式(I)および(II):
Y>2/3CZn (I)
Y<CZn+4 (II)
が満たされる。なおCYは、好ましくは0.1原子%以上7原子%以下であり、より好ましくは0.5原子%以上5原子%以下である。またCZnは、好ましくは0.1原子%以上7原子%以下であり、より好ましくは0.5原子%以上5原子%以下である。
またマグネシウム合金板材は、Al、La、Gd、Mn、Zr、Si、Ce、Sm、Yb、Tb、Tm、Dy、HoおよびNdからなる群より選択される少なくとも1種の元素を、合計で0原子%を超え1原子%以下含有することが好ましい。
なお残部は、Mgの他、不可避的不純物を含有していてもよい。不可避的不純物とは、製造過程において不可避的に混入する不純物を示す。本実施形態の不可避的不純物としては、たとえば鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、銅(Cu)、ベリリウム(Be)、シリコン(Si)、炭素(C)、酸素(O)、窒素(N)および水素(H)等が挙げられる。不可避的不純物の含有量は、たとえば0.001原子%未満であることが望ましい。
《板材の合金組織》
マグネシウム合金板材の合金組織は、α−Mg相、LPSO相および結晶片から構成される。本実施形態では、板材の厚さ方向の断面のうち、板材の表面から、厚さ方向に1/4の厚さまでの範囲に亘る部分を「表層部」と定義し、該断面のうち表層部以外の部分を「内部」と定義する。図4は、本実施形態のマグネシウム合金板材の内部の一例を示す断面(横断面)SEM写真である。図4に示されるように、マグネシウム合金板材200は、α−Mg相201と、合金組織内を網目状に延びるLPSO相202と、結晶片203とを含む。
(α−Mg相)
α−Mg相は、Mgの固溶体からなる相である。本実施形態のマグネシウム合金板材は、急冷凝固させられているため、微細な合金組織を有する。本実施形態の合金組織においてDASは、好ましくは1μm以上5μm以下であり、より好ましくは1μm以上4μm以下であり、特に好ましくは1μm以上3μm以下である。前述のようにDASは、α−Mg相の短軸径の平均値として求められる。各α−Mg相の短軸径は、次のようにして求められる。すなわち図4に示すように、まずα−Mg相の最大径である長軸径204を決定する。次いで長軸径204と直交する径のうち、最大径である短軸径205を求める。
(LPSO相)
LPSO相は、α−Mg相の界面に晶出し、組織内を網目状に延びている。一断面において、網目状に延びるLPSO相は、三次元網目構造を有していると考えられる。
LPSO相は、たとえばMg12ZnY等の組成を有すると考えられる。LPSO相は、hcp構造の[0001]方向に、周期的に積層欠陥が導入され、長い周期性を示す構造を有している。LPSO相は、たとえば10H型(5周期)、14H型(7周期)、18R型(6周期)、24R型(8周期)等の構造であり得る。たとえば18R型構造では、ZnとYとが濃化した2原子層が6周期毎に現れる。本実施形態では、LPSO相が細かく分断されることなく、網目状に延びているために、優れた機械特性が発現すると考えられる。
(結晶片)
合金組織において結晶片は、板材の厚さ方向の断面において、LPSO相の少なくとも一部と交差するように延びている。本実施形態では、かかる結晶片が微細に分散して析出することで、合金組織の耐熱性が向上していると考えられる。結晶片は、SEM像等において、LPSO相と明るさが異なることから、LPSO相とは組成の異なる化合物であると考えられる。結晶片は、たとえばY、Zn等を含む金属間化合物であると予想される。
図4に示されるように、板材の厚さ方向の断面において、結晶片203は、典型的には針状を呈する。結晶片の三次元形状は、板状、フレーク状等である可能性もある。図4に示される結晶片203は、LPSO相202の一部と交差するように延びている。三次元的には、結晶片は、LPSO相に接する、あるいはLPSO相を貫通する等の態様を呈する可能性がある。本実施形態では、板材の厚さ方向の断面において、結晶片がLPSO相の少なくとも一部と交差するように延びている限り、いずれの態様であってもよいものとする。図4に示されるように、複数の結晶片203の延びる方向は、一方向に沿っている場合もある。
板材の厚さ方向の断面において、結晶片のアスペクト比は、好ましくは5以上50以下であり、より好ましくは10以上40以下であり、特に好ましくは20以上30以下である。
断面の表層部において、隣接する2つの結晶片の間隔の平均は、好ましくは0μmを超えて10μm以下であり、より好ましくは1μm以上8μm以下であり、特に好ましくは1μm以上5μm以下である。このように微細な間隔で結晶片が分散した組織では、耐熱性が高い傾向にある。
板材の厚さ方向の断面において、結晶片の面密度は、好ましくは2×106個/cm2以上9×107個/cm2以下である。面密度は、断面SEM写真(倍率=5000倍)において、視野内の結晶片を計数し、視野の面積で除することにより求めるものとする。視野範囲は、100μm×100μmとする。
<マグネシウム合金形材>
次に、本実施形態のマグネシウム合金形材について説明する。当該マグネシウム合金形材は、典型的には、前述のマグネシウム合金板材を押出加工することにより製造される、押出形材である。
図11は、マグネシウム合金形材の一例を示す概略図である。マグネシウム合金形材400の軸方向に垂直な断面は長方形でない。すなわち形材の断面は、前述の板材の断面と異なる形状を有する。本実施形態のマグネシウム合金形材の断面形状は、長方形でない限り、いかなる形状であってもよい。すなわち本実施形態の形材は、棒材、管材および線材も含むものとする。形材は、断面に中空部を有する中空形材であってもよいし、断面に中空部を有しない中実形材であってもよい。
《形材の合金組成》
形材の合金組成は、前述の板材の合金組成と同じであってよい。すなわち本実施形態のマグネシウム合金形材は、Yを0.01原子%以上10原子%以下含有し、Znを0.01原子%以上10原子%以下含有し、残部がMnからなる。ここでYの含有量をCY〔原子%〕、Znの含有量をCZn〔原子%〕とするとき、上記式(I)および(II)が満たされる。
さらにマグネシウム合金形材は、板材の説明において示したAl、La、Gd、Mn、Zr、Si、Ce、Sm、Yb、Tb、Tm、Dy、HoおよびNdからなる群より選択される少なくとも1種の元素を、合計で0原子%を超え1原子%以下含有することができる。不可避的不純物についても板材と同様である。
《形材の合金組織》
図9は、マグネシウム合金形材の断面SEM写真である。かかる断面は、形材の軸方向に垂直な断面である。マグネシウム合金形材400は、粒状のLPSO相402を含む。この点において、マグネシウム合金形材の合金組織は、前述のマグネシウム合金板材の合金組織と異なる。
本実施形態において、粒状のLPSO相の投影面積円相当径の最大値は、0μmを超えて10μm以下であることが好ましい。こうした合金組織を有するマグネシウム合金形材は、機械特性に優れる傾向にある。
投影面積円相当径の最大値は、次のようにして求める。ひとつのマグネシウム合金形材において、図9のような断面SEM写真を少なくとも5枚(好ましくは10枚)、別々に撮影する。その際、断面SEM写真内に、中心線偏析に起因するLPSO相が含まれるものは、測定対象から除外する。図9の楕円領域に示されるように、LPSO相が凝集して粒状となっている領域を、ひとつの独立したLPSO相とみなす。断面SEM写真に含まれる独立したLPSO相の中で、投影面積円相当径の最大値を求める。同様に各断面SEM写真においても最大値をそれぞれ求め、それらのうちの最大値を、LPSO相の投影面積円相当径の最大値として採用する。投影面積円相当径の最大値は、より好ましくは4μm以下であり、特に好ましくは3μm以下である。
本実施形態のマグネシウム合金形材は、X線回折パターンにおいて、(002)面からの回折強度を、(102)面からの回折強度で除した値である、XRD強度比が100以下である。
たとえば重力鋳造法で製造され、LPSO相が細かく分断されているビレットを押出加工すると、合金組織が(002)面に配向しやすいため、XRD強度比は100を超えることになる。一方、LPSO相が網目状に延びている本実施形態のマグネシウム合金板材を押出加工すると、(002)面に配向し難く、XRD強度比は100以下となる。XRD強度比が100以下であるマグネシウム合金形材は、機械特性に優れる傾向にある。
本発明者の検討によれば、マグネシウム合金形材のXRD強度比が小さいほど、機械強度の向上が期待できる。XRD強度比は、好ましくは50以下であり、より好ましくは20以下であり、特に好ましくは18以下である。なおXRD強度比は、たとえば1以上である。
以下、実施例を用いて本実施形態をより詳細に説明する。ただし本実施形態は以下の例に限定されるものではない。
<マグネシウム合金板材およびビレットの製造>
以下の各製造方法によって、マグネシウム合金板材およびビレットを製造し、機械特性を評価した。
《製造例1−1》
(1)溶湯調製ステップ(S101)
溶解炉を用いて、Y:2原子%、Zn:1原子%、Al:0.3原子%、La:0.5原子%、残部:Mgからなる合金溶湯を調製した。
(2)鋳造ステップ(S102)
合金溶湯を一般的な重力鋳造装置に供給し、直径が150mmであるマグネシウム合金のビレットを製造した。前述の方法に従ってビレットのDASを測定し、冷却速度を求めた。結果を表1に示す。表1の「DAS」の欄において、たとえば「15〜40(17)」との表記は、DASの最小値が15μm、最大値が40μm、平均値が17μmであったことを示している。また冷却速度の欄において、たとえば「0.7〜15(10)」との表記は、DASから求めた冷却速度の最小値が0.7℃/秒、最大値が15℃/秒、平均値が10℃/秒であったことを示している。
《製造例1−2》
(1)溶湯調製ステップ(S101)
図1に示す溶解炉10において、Y:2原子%、Zn:1原子%、残部:Mgからなる合金溶湯1を調製した。
(2)鋳造ステップ(S102)
合金溶湯1を双ロール50に供給し、厚さが4mmであるマグネシウム合金板材を製造した。マグネシウム合金板材を切断して厚さ方向の断面を得た。当該断面の表層部において、DASを測定し、冷却速度を求めた。結果を表1に示す。
《製造例1−3》
(1)溶湯調製ステップ(S101)
図1に示す溶解炉10において、Y:2原子%、Zn:1原子%、Al:0.3原子%、La:0.5原子%、残部:Mgからなる合金溶湯1を調製した。
(2)鋳造ステップ(S102)
合金溶湯1を双ロール50に供給し、厚さが4mmであるマグネシウム合金板材を製造した。製造例1−2と同様にDASを測定し、冷却速度を求めた。結果を表1に示す。
<マグネシウム合金板材およびビレットの評価>
《XRD強度比の測定》
マグネシウム合金板材およびビレットのXRD分析を行い、(002)面からの回折強度を、(102)面からの回折強度で除することにより、XRD強度比を求めた。結果を表1に示す。分析条件は次のとおりである。
(XRD分析条件)
X線源 :Cu
励起条件:45kV、40mA
測定範囲:2θ=3°〜80°(ステップ幅=0.03°)
積算時間:1秒。
《0.2%耐力の測定》
0.2%耐力は、「金属材料引張試験方法 JIS Z 2241(2011)」に準拠して、汎用の引張試験機を用いて測定した。試験片には、板材またはビレットを同規格に規定される14A号試験片に加工したものを用いた。測定は、歪速度を4×10-4/秒として、常温と200℃とでそれぞれ行った。結果を表1に示す。ここで常温は、23℃±5℃の温度範囲を示している。
表1から分かるように、溶湯調製ステップにおいて、Yを0.01原子%以上10原子%以下含有し、Znを0.01原子%以上10原子%以下含有し、残部がMnからなり、「CY>2/3CZnかつCY<CZn+4」となる関係を満たすように、合金溶湯を調製し、双ロール鋳造法により、600℃/秒以上2500℃/秒以下の冷却速度で鋳造されたマグネシウム合金板材は、かかる条件を満たさない条件で鋳造されたマグネシウム合金のビレットに比し、機械特性(常温および200℃における0.2%耐力)が向上している。
表1より、本実施形態に従うマグネシウム合金板材は、常温における0.2%耐力が250MPa以上となり得ることが分かる。また本実施形態に従うマグネシウム合金板材は、200℃における0.2%耐力が200MPa以上となり得ることが分かる。常温および200℃におけるマグネシウム合金板材の0.2%耐力の上限は、たとえば600MPaであってもよい。
図4および図5は、製造例1−3によって製造されたマグネシウム合金板材の横断面のSEM写真(倍率=5000倍)である。図4は、板材の内部であり、図5は、板材の表層部である。図4および図5に示されるように、マグネシウム合金板材200では、合金組織内を網目状に延びるLPSO相202と、LPSO相202の少なくとも一部(少なくとも1本の網糸)と交差するように延びる複数の結晶片203とが確認できる。図4および図5において、結晶片は針状を呈している。結晶片のアスペクト比は5以上50以下であった。
表層部および内部において、隣接する2つの結晶片の間隔を測定した。一例として図4には、間隔が2.93μmであった部分を、図5には、間隔が3.06μmであった部分をそれぞれ示している。間隔の平均は、1.2μmであった。
図6および図7は、製造例1−1によって製造されたマグネシウム合金のビレットの断面SEM写真(倍率=5000倍)である。図6は、ビレットの内部であり、図7は、ビレットの表層部である。ビレット300は、α−Mg相301と、LPSO相302とを含む。しかし図4および図5等と比較すると、特に表層部(図7)において、LPSO相302が細かく分断されている。また図4等で確認された針状の結晶片が存在していない。これらの合金組織の違いが、機械特性および耐熱性の差に表れていると考えられる。
<マグネシウム合金形材の製造>
《製造例2−1》
(3)押出加工ステップ(S104)
上記の製造例1−1で製造されたマグネシウム合金のビレットを、押出比=10、押出温度=350℃で押出加工することにより、マグネシウム合金形材(押出形材)を製造した。
《製造例2−2》
上記の製造例1−2で製造されたマグネシウム合金板材を、押出比=10、押出温度=350℃で押出加工することにより、マグネシウム合金形材を製造した。
《製造例2−3》
上記の製造例1−2で製造されたマグネシウム合金板材を、押出比=10、押出温度=400℃で押出加工することにより、マグネシウム合金形材を製造した。
<マグネシウム合金形材の評価>
《LPSO相の投影面積円相当径の最大値の測定》
前述の方法に従って、投影面積円相当径の最大値を測定した。結果を表2に示す。表2中、投影面積円相当径は「円相当径」と略記している。
《XRD強度比および0.2%耐力の測定》
前述の方法でXRD強度比、ならびに常温および200℃での0.2%耐力を測定した。結果を表2に示す。
表2中、元材の欄に示す「1−2」等の表記は、製造例1−2で製造されたマグネシウム合金板材を押出加工したことを示している。
表2から分かるように、LPSO相の投影面積円相当径の最大値が0μmを超えて10μm以下となるように押出加工されたマグネシウム合金形材、ならびにXRD強度比が100以下となるように、押出加工されたマグネシウム合金形材は、かかる条件を満たさない条件で押出加工されたマグネシウム合金形材に比し、機械特性(0.2%耐力)が向上している。
表2より、本実施形態に従うマグネシウム合金形材は、常温における0.2%耐力が400MPa以上となり得ることが分かる。また本実施形態に従うマグネシウム合金形材は、200℃における0.2%耐力が290MPa以上となり得ることが分かる。常温および200℃におけるマグネシウム合金形材の0.2%耐力の上限は、たとえば600MPaであってもよい。
<マグネシウム合金板材(圧延材)の製造>
《製造例3−1》
(4)圧延加工ステップ(S103)
上記の製造例1−1で製造されたビレットを、圧延温度=350℃、総圧下率=80%で圧延加工することにより、マグネシウム合金板材を製造した。
《製造例3−2》
上記の製造例1−2で製造されたマグネシウム合金板材を、圧延温度=350℃、総圧下率=50%で圧延加工することにより、マグネシウム合金板材を製造した。
《製造例3−3》
上記の製造例1−3で製造されたマグネシウム合金板材を、圧延温度=400℃、総圧下率=83%で圧延加工することにより、マグネシウム合金板材を製造した。
<マグネシウム合金板材(圧延材)の評価>
《XRD強度比の測定》
前述の方法に従ってXRD強度比を測定した。結果を表3に示す。
《引張強さの測定》
引張強さは、「金属材料引張試験方法 JIS Z 2241(2011)」に準拠して、汎用の引張試験機を用いて測定した。試験片は、耐力の測定と同様に、14A号試験片とした。引張強さは、常温と200℃とでそれぞれ測定した。結果を表3に示す。
表3より、圧延加工されたマグネシウム合金板材は、優れた引張強さを示している。そして本実施形態に従うマグネシウム合金板材は、常温における引張強さが320MPa以上となり得ることが分かる。さらに本実施形態に従うマグネシウム合金板材は、200℃における引張強さが270MPa以上となり得ることが分かる。常温および200℃におけるマグネシウム合金板材の引張強さの上限は、たとえば600MPaであってもよい。
《圧延条件の検討》
圧延加工ステップにおける圧延条件の検討を行った。製造例1−2で製造されたマグネシウム合金板材を用いて、表4に示す各条件で圧延加工(1パス)をそれぞれ行い、割れの発生有無を確認した。表4中、たとえば1パス当たりの圧下率が5%である列と、圧延温度が250℃である行とが交差する欄の記載は、圧下率が5%でかつ圧延温度が250℃の条件で圧延加工したマグネシウム合金板材では、割れが発生したことを示している。これに対し、表4中「良好」とは割れが発生しなかったことを示している。
表4より、圧延温度をT〔℃〕、1パス当たりの圧下率をR〔%〕とするとき、T≧5/2R+310となる関係が満たされるように、マグネシウム合金板材を圧延加工することにより、割れの発生を抑制できることが分かる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施形態および実施例ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 合金溶湯
2 鋳造板材
10 溶解炉
11 坩堝
12,22,32 ヒータ
13 筐体
14,34 ガス導入配管
15,35 ガス排出配管
20 移送樋
21 バルブ
30 タンディッシュ
36 液面センサ
40 供給部
41 ノズル
50 双ロール
51 第1ロール
52 第2ロール
53 中心線
100 鋳造装置
200 マグネシウム合金板材
201,301 α−Mg相
202,302,402 LPSO相(長周期積層構造相)
203 結晶片
204 長軸径
205 短軸径
300 ビレット
400 マグネシウム合金形材
500 領域

Claims (13)

  1. イットリウムを0.01原子%以上10原子%以下含有し、亜鉛を0.01原子%以上10原子%以下含有し、残部がマグネシウムからなり、
    前記イットリウムの含有量をCY〔原子%〕、前記亜鉛の含有量をCZn〔原子%〕とするとき、下記式(I)および(II):
    Y>2/3CZn (I)
    Y<CZn+4 (II)
    を満たす、合金溶湯を調製するステップと、
    双ロール鋳造法により、600℃/秒以上2500℃/秒以下の冷却速度で、前記合金溶湯からマグネシウム合金板材を製造するステップと、を備える、マグネシウム合金板材の製造方法。
  2. 前記マグネシウム合金板材を圧延加工するステップをさらに備える、請求項1に記載のマグネシウム合金板材の製造方法。
  3. 前記圧延加工するステップにおいて、圧延温度をT〔℃〕、1パス当たりの圧下率をR〔%〕とするとき、下記式(III):
    T≧5/2R+310 (III)
    が満たされるように、前記マグネシウム合金板材を圧延加工する、請求項2に記載のマグネシウム合金板材の製造方法。
  4. 請求項1に記載の前記マグネシウム合金板材を押出加工するステップを備える、マグネシウム合金形材の製造方法。
  5. 前記押出加工するステップでは、それにより得られるマグネシウム合金形材のX線回折パターンにおいて、(002)面からの回折強度を、(102)面からの回折強度で除した値である、X線回折強度比が100以下となるように、押出加工する、請求項4に記載のマグネシウム合金形材の製造方法。
  6. イットリウムを0.01原子%以上10原子%以下含有し、亜鉛を0.01原子%以上10原子%以下含有し、残部がマグネシウムからなり、
    前記イットリウムの含有量をCY〔原子%〕、前記亜鉛の含有量をCZn〔原子%〕とするとき、下記式(I)および(II):
    Y>2/3CZn (I)
    Y<CZn+4 (II)
    を満たし、
    厚さ方向の断面において、
    合金組織内を網目状に延びる長周期積層構造相と、
    前記合金組織内に分散し、前記長周期積層構造相の少なくとも一部と交差するように延びる複数の結晶片と、を含む、マグネシウム合金板材。
  7. 前記断面のうち、前記マグネシウム合金板材の表面から、前記厚さ方向に1/4の厚さまでの範囲に亘る表層部において、
    隣接する2つの前記結晶片の間隔の平均は、0μmを超えて10μm以下である、請求項6に記載のマグネシウム合金板材。
  8. 前記結晶片は、長軸径を短軸径で除した値であるアスペクト比が5以上50以下である、請求項6または請求項7に記載のマグネシウム合金板材。
  9. デンドライドアーム間隔は、1μm以上5μm以下である、請求項6〜請求項8のいずれか1項に記載のマグネシウム合金板材。
  10. アルミニウム、ランタン、ガドリニウム、マンガン、ジルコニウム、シリコン、セリウム、サマリウム、イッテルビウム、テルビウム、ツリウム、ジスプロシウム、ホルミウムおよびネオジムからなる群より選択される少なくとも1種の元素を、合計で0原子%を超え1原子%以下含有する、請求項6〜請求項9のいずれか1項に記載のマグネシウム合金板材。
  11. イットリウムを0.01原子%以上10原子%以下含有し、亜鉛を0.01原子%以上10原子%以下含有し、残部がマグネシウムからなり、
    前記イットリウムの含有量をCY〔原子%〕、前記亜鉛の含有量をCZn〔原子%〕とするとき、下記式(I)および(II):
    Y>2/3CZn (I)
    Y<CZn+4 (II)
    を満たし、
    合金組織内に粒状の長周期積層構造相を含み、
    X線回折パターンにおいて、(002)面からの回折強度を、(102)面からの回折強度で除した値である、X線回折強度比が100以下である、マグネシウム合金形材。
  12. 中心線偏析に起因する前記長周期積層構造相を除く、前記長周期積層構造相の投影面積円相当径の最大値は、0μmを超えて10μm以下である、請求項11に記載のマグネシウム合金形材。
  13. アルミニウム、ランタン、ガドリニウム、マンガン、ジルコニウム、シリコン、セリウム、サマリウム、イッテルビウム、テルビウム、ツリウム、ジスプロシウム、ホルミウムおよびネオジムからなる群より選択される少なくとも1種の元素を、合計で0原子%を超え1原子%以下含有する、請求項11または請求項12に記載のマグネシウム合金形材。
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