JP2017080748A - 液相拡散接合方法 - Google Patents

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佑亮 加藤
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Abstract

【課題】管の先端と被接合部材の接合部との間にインサート材を挟んで行う液相拡散接合方法であって、管の先端と被接合部材の接合部とに加え、管の内周面と被接合部材の凸部とを接合することのできる液相拡散接合方法を提供する。
【解決手段】管21に挿入される凸部13と、凸部13の基端部14の周縁に位置して管21の先端22と接合される接合部16と、を備えているとともに、凸部13にくびれ15が設けられている継手11を用いるこの液相拡散接合方法では、管21に凸部13を挿入することによって管21の中心軸C1の延伸方向と直交する方向における管21と継手11との相対移動を規制するとともに、接合部16と管21の先端22との間にインサート材31を挟んだ状態で、管21と継手11とを中心軸C1の延伸方向において互いに近接する方向に押圧しながら加熱し、インサート材31を溶融させて管21と継手11とを接合する。
【選択図】図1

Description

この発明は、管と被接合部材とをインサート材を用いて接合する液相拡散接合方法に関するものである。
液相拡散接合として、インサート材を複数の部材間に介在させ、部材同士を押圧及び加熱することによって複数の部材を接合する接合方法が知られている。特許文献1には、こうした液相拡散接合を、管と継手との接合に用いる例が開示されている。
図6に示すように、特許文献1の接合方法では、継手111に設けられた凸部113を、管121に圧入し、管121と継手111との間にインサート材131を挟んだ状態で、管121と継手111とを押圧及び加熱することによって管121と継手111とを接合している。
こうしてインサート材131を用いて、管121と継手111とを液相拡散接合で接合することにより、管121の中心軸C1の延伸方向における管121と継手111との相対移動を規制することができる。
また、継手111の凸部113が管121に挿入されているため、特許文献1の接合方法によれば、管121の中心軸C1の延伸方向と直交する方向における管121と継手111との相対移動を規制することもできる。
国際公開第2010/024261号
ところが、特許文献1の接合方法においては、凸部113の周囲を取り囲むように位置する継手111の接合部116にインサート材131を貼り付けた状態で、継手111の凸部113を管121に挿入し、管121の先端122と接合部116との間にインサート材131を挟み込んでいる。
そのため、図6に示すように、特許文献1の接合方法で接合した場合には、管121の先端122と継手111の接合部116とは液相拡散接合により接合されているが、管121の内周面123と継手111の凸部113とが当接する部分は、単に当接しているだけで接合されていない。そのため、継手111と管121との接合強度が不足するおそれがある。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、管の先端と被接合部材の接合部との間にインサート材を挟んで行う液相拡散接合方法であって、管の先端と被接合部材の接合部に加え、管の内周面と被接合部材の凸部とを接合することのできる液相拡散接合方法を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するための液相拡散接合方法は、管と被接合部材とをインサート材を用いて接合する液相拡散接合方法であって、前記管に挿入される凸部と、該凸部の基端部の周縁に位置して前記管の先端と接合される接合部と、を備えているとともに、前記凸部の基端部にくびれが設けられている前記被接合部材を用い、前記管に前記被接合部材の前記凸部を挿入することによって前記管の中心軸の延伸方向と直交する方向における前記管と当該被接合部材との相対移動を規制するとともに、前記接合部と前記管の先端との間に前記インサート材を挟んだ状態で、前記管と当該被接合部材とを前記中心軸の延伸方向において互いに近接する方向に押圧しながら加熱し、前記インサート材を溶融させて前記管と当該被接合部材とを接合する。
上記液相拡散接合方法では、従来と同様に、管の先端と被接合部材の接合部とが接合されるようになる。また、インサート材を溶融させて管と被接合部材とを接合する過程で、凸部の基端部に設けられたくびれに、溶融したインサート材の一部が流れ込み、貯留されるようになる。そして、このくびれに貯留されたインサート材は、昇温され、膨張することによって管の内周面と被接合部材の凸部との間隙に広がったり、毛細管現象によって当該間隙に広がったりするようになる。これにより、管の内周面と被接合部材の凸部との間隙にも溶融したインサート材が導入されるようになり、管の内周面と被接合部材の凸部とを接合することができる。
したがって、凸部の基端部にくびれが設けられた被接合部材を用いる上記の液相拡散接合方法によれば、管の先端と被接合部材の接合部に加え、被接合部材の凸部と管の内周面とを接合することができるようになる。
液相拡散接合方法の一実施形態によって製造される接合体の断面構造を示す図。 同実施形態の液相拡散接合方法を示す図であり、継手と管とを当接させる前の状態を示す概略図。 同実施形態の液相拡散接合方法を示す図であり、継手と管とを当接させた状態を示す概略図。 同実施形態の液相拡散接合方法を示す図であり、インサート材が溶融した状態を示す概略図。 同実施形態の液相拡散接合方法を示す図であり、間隙にインサート材が導入された状態を示す概略図。 従来の接合方法によって接合された接合体の断面構造を示す図。
以下、液相拡散接合方法の一実施形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態にかかる液相拡散接合方法は、被接合部材である継手11と管21とを接合した接合体を製造する方法である。継手11及び管21は共に金属を材料としている。なお、継手11と管21とは同種の金属からなるものであっても、互いに異なる金属からなるものであってもよい。
継手11と接合される管21は、中空の円筒形状に成形されている。管21の先端22は、継手11と接合される接合部分となる。以下、図1に示すように、継手11と管21とを接合して接合体を構成した状態において、管21の中心軸C1の延伸している方向を第1方向とし、当該第1方向と直交する方向を第2方向として説明する。
継手11は、円柱状の本体部12と、本体部12よりも径が小さく、本体部12から第1方向に突出する円柱状の凸部13とを有している。凸部13は、その径が管21の内径よりもわずかに小さくされている。本体部12のうち、凸部13の根本の部分である基端部14の周縁、つまり凸部13の基端部14が連結している部分(図1において二点鎖線で示している部分)を取り囲んでいる部分は、管21の先端22と接合される接合部16をなしている。
図1に示すように、凸部13においては、基端部14が径方向に縮径している。これにより、凸部13の基端部14には、くびれ15が形成されている。
この接合方法によって製造される接合体における継手11と管21との接合面には、インサート材31が介在している。インサート材31は、継手11及び管21を形成する材料よりも融点の低い材料からなり、拡散接合に一般的に用いられる金属箔である。たとえば、ニッケルを主とする非晶質合金を採用することができる。なお、各図においては、説明の便宜上、継手11と管21との隙間の大きさや、その隙間を埋めるように存在しているインサート材31の厚さを強調して表示している。また、接合体においてはインサート材31が継手11及び管21に拡散されて等温凝固しているが、こうした状態や、インサート材31、継手11及び管21が溶融合金となった状態は図示せず省略している。
次に、継手11と管21とを接合して接合体とする液相拡散接合について説明する。液相拡散接合は、無酸素雰囲気下、たとえば真空雰囲気下や不活性ガス雰囲気下にて行うことが好ましい。本実施形態の液相拡散接合方法は、以下の工程を含む。
図2に示すように、インサート材31を継手11における接合部16に貼着する。そして、継手11の凸部13を管21に挿入する。
次に、図3に示すように、継手11の接合部16に貼着されているインサート材31と管21の先端22とを当接させる。こうしてインサート材31を間に挟んだ状態で継手11と管21とを第1方向において互いに近接する方向に押圧する。さらに、こうした押圧を行いながら、継手11、管21及びインサート材31を、インサート材31の融点よりも高く且つ継手11及び管21の融点よりも低い温度に昇温する。ここで、加熱する手段は特に限定されるものではないが、たとえば、高周波誘導加熱、通電加熱、電気ヒータによる加熱等を採用することができる。高周波誘導加熱を採用した場合、電気ヒータによる加熱の場合等と比較して加熱時間を短くすることができるとともに、接合面を局所的に加熱することができる。
加圧及び加熱した状態を保持することで、継手11における接合部16と、管21における先端22と、にインサート材31を拡散させる。
次に、本実施形態にかかる液相拡散接合方法の作用について、図3〜5を参照して説明する。
図3に示すように、継手11を用いた液相拡散接合方法では、継手11にくびれ15が設けられていることによって、インサート材31のくびれ15側の端を、くびれ15に挿入した態様でインサート材31を貼着することができる。
図4及び図5に示すように、加圧及び加熱を行う工程では、くびれ15と管21との間に貯留空間41が形成される。この貯留空間41には、溶融したインサート材31が貯留される。貯留空間41に貯留された溶融したインサート材31は昇温され、膨張することによって凸部13の周面と管21の内周面23との間の間隙51に広がったり、毛細管現象によって凸部13の周面と管21の内周面23との間の間隙51に広がったりする。
通常、インサート材を介在させて母材同士を接合する液相拡散接合では、等温凝固に関与しない過剰な溶融合金は母材同士の間から排出される。
この点、くびれ15が設けられた継手11を用いる液相拡散接合方法によれば、貯留空間41が形成されることによって、管21の先端22と接合部16の間からの溶融合金の外部への排出が抑制される。外部への排出に代わって、インサート材31が貯留空間41に導入される。そして、上記のように貯留空間41に貯留されて昇温されたインサート材31が間隙51に導入される。間隙51に導入されたインサート材31が凝固することによって、凸部13の周面と管21の内周面23とが接合される。
上記のような液相拡散接合方法によって製造された接合体においては、図1に示すように、継手11における凸部13の基端部14の周縁に位置する接合部16は、インサート材31を介して管21の先端22と接合されている。当該接合部16は、管21における先端22との接合面である第1接合面17をなしている。
また、管21には、継手11の凸部13が挿入されている。管21における内周面23は凸部13の周面と対向している。このように管21への凸部13の挿入によって、第2方向における管21と継手11との相対移動が規制されている。凸部13の径は、上述のように管21の内径よりもわずかに小さくされている。しかし、この接合体では、インサート材31が凸部13と管21との間に介在することで、凸部13の周面が管21の内周面23と接合されている。凸部13の周面は、管21における内周面23との接合面である第2接合面18をなしている。
本実施形態にかかる液相拡散接合方法にて製造される接合体では、第1接合面17は第1方向に垂直な面である。また、第2接合面18は第2方向に垂直な面である。すなわち、本実施形態にかかる液相拡散接合方法によれば、第1接合面17及び第2接合面18において継手11と管21とが液相拡散接合された接合体が製造される。
以上説明した実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)液相拡散接合にくびれ15が設けられた継手11を用いることによって、管21の先端22と継手11の接合部16とを従来と同様に接合することに加え、継手11の凸部13と管21の内周面23とを接合することができるようになる。
(2)くびれ15が設けられた継手11を用いた上記の液相拡散接合方法によれば、第1接合面17及び第2接合面18において液相拡散接合を行うことができる。そのため、部材間を強固に接合した接合体の製造を行うことができる。
(3)管に継手の凸部を圧入することによって第2方向における管と継手との相対移動を規制する従来の方法を用いて接合体を形成する場合には、継手と管とにおける互いに嵌め合わされる部分の寸法を高い精度で加工する必要がある。これに比べて、くびれ15が設けられた継手11を用いることによって、凸部13を管21に圧入しなくても済むため、部材同士を圧入するような接合方法と比較して各部材の加工に対する精度の要求がそれほど高くなくて済むようになる。したがって、部材同士を圧入するような接合方法と比較して簡易な方法にて接合体を製造することができる。そのため、接合体の製造コストの増加を軽減することができる。
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・凸部13の形状は上記実施形態に示した形状に限定されず、凸部13の基端にくびれ15が形成されていればよい。たとえば、凸部13の突出方向先端が面取りされていてもよい。また、基端から先端に向けて縮径したテーパ状の傾斜面を有していてもよい。傾斜面を有する凸部13を採用する場合、当該テーパに対応するように管21の内周面23をテーパ状に形成することが好ましい。
・第1方向に垂直な面と、第1方向と直交する方向である第2方向に垂直な面と、を接合した接合体及びその接合方法を例示した。異なる二つの方向について、それぞれの方向に垂直な二つの面を接合する場合であれば、くびれを有した継手を用いた接合による接合体を製造することができる。つまり、二つの方向は直交するものでなくてもよい。
・上記接合方法では、インサート材31を継手11に貼着したが、管21の先端22に貼着してもよい。
・インサート材31として金属箔を採用する代わりに、粉状のインサート材を採用することもできる。すなわち、継手11又は管21に金属箔からなるインサート材31を貼着する代わりに、紛状のインサート材を吹き付けて塗布することもできる。
・本体部12が円柱形状の継手11を例示したが、継手11は凸部13を備えるものであれば、その形状は特に限定されない。また、管21も円筒状のものに限らず、その形状を変更することができる。例えば四角筒状の管であってもよい。なお、管に挿入される凸部13の形状は、管の形状に対応したものであることが望ましい。例えば、管が四角筒状である場合には、凸部13を四角柱状にして凸部13を管に挿入したときに凸部の周囲にできるだけ均一な間隙が形成されるようにすることが望ましい。
・上記実施形態では、管21を中空の円筒形状とした。全体が中空でない形状を採用することもできる。たとえば、継手11と接合する先端部に凸部を内包する空間が形成された有底筒状の管でもよい。
・継手11として管21の内部と連通する通路となる空間が形成されている中空の形状を採用してもよい。また、被接合部材としては継手11に限らず、管21を封止するような蓋形状を採用することもできる。被接合部材は、管21に挿入される凸部13を備え、且つ凸部13の基端にくびれ15が形成されていればよい。
11…継手、12…本体部、13…凸部、14…基端部、15…くびれ、16…接合部、17…第1接合面、18…第2接合面、21…管、22…先端、23…内周面、31…インサート材、41…貯留空間、51…間隙、111…継手、113…凸部、116…接合部、121…管、122…先端、123…内周面、131…インサート材、C1…中心軸。

Claims (1)

  1. 管と被接合部材とをインサート材を用いて接合する液相拡散接合方法であって、
    前記管に挿入される凸部と、該凸部の基端部の周縁に位置して前記管の先端と接合される接合部と、を備えているとともに、前記凸部の基端部にくびれが設けられている前記被接合部材を用い、
    前記管に前記被接合部材の前記凸部を挿入することによって前記管の中心軸の延伸方向と直交する方向における前記管と当該被接合部材との相対移動を規制するとともに、
    前記接合部と前記管の先端との間に前記インサート材を挟んだ状態で、前記管と当該被接合部材とを前記中心軸の延伸方向において互いに近接する方向に押圧しながら加熱し、前記インサート材を溶融させて前記管と当該被接合部材とを接合する液相拡散接合方法。
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