JP2017080303A - 薬物徐放性医療用コンタクトレンズ - Google Patents

薬物徐放性医療用コンタクトレンズ Download PDF

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Abstract

【課題】水溶性かつ薬理活性を有する成分をコンタクトレンズに取り込み、コンタクトレンズへ薬物徐放性を付与し、角膜への安全性に優れ、なおかつ、酸素透過性に優れる薬物徐放性医療用コンタクトレンズの提供。【解決手段】式(A)で表される構成単位を有する重合体と、水に対する溶解度が3.4〜99.9%である薬剤0.00001〜10質量%と、を有するコンタクトレンズ。【選択図】なし

Description

本発明は、薬物徐放性医療用コンタクトレンズに関し、さらにコンタクトレンズの中でもハードコンタクトレンズもしくはソフトコンタクトレンズに最適な薬物徐放性医療用コンタクトレンズに関する。
一般的に、眼科分野における疾患治療の選択肢として、まず、取り扱いが簡便な点眼剤による治療を行うことが第一であると、考えられる。しかし、点眼剤は取扱いが簡便である反面、点眼された薬剤は涙液と瞬目によって瞬時に希釈され、涙点から排出されるという経路をたどる。これまでに、点眼投与された薬剤のうちのおよそ99%は眼窩内に到達しないとの報告(非特許文献1)もあり、点眼された薬剤が長時間に渡って結膜嚢内に保持されることは極めて困難であることが知られている。
このため、薬剤の眼窩内への移行性を向上させるためには、一日当たりの点眼回数を増やすか、もしくは、一回当たりの点眼量を増やすなどの方法が考えられるが、どちらも副作用のリスクが高まることから、より良い治療法であるとは考えられていない。
そこで、これまで薬剤を長時間にわたり結膜嚢内に保持することを目的として、コンタクトレンズに予め薬剤を導入・保持しておき、保持させた薬剤を徐放させる技術について多数の検討がなされている(特許文献1、特許文献2、非特許文献2)。これらの検討の結果、確かに長時間に渡ってコンタクトレンズ内に薬物が保持され、徐放性を持たせて治療に有効活用できる可能性が報告されている。しかし、検討されている項目は薬物の保持・徐放に関する項目であり、角膜に対する安全性については検討がなされていない(特許文献1、特許文献2、非特許文献2)。
通常、コンタクトレンズを装用したまま点眼剤を点眼すると、コンタクトレンズが変形する可能性があり、この変形によって角膜などに対して悪影響を及ぼす可能性があることが考えられる。このため、例えば非特許文献3では、コンタクトレンズと点眼剤とを組み合わせて使用した際の、コンタクトレンズの変形性や、フィッティングを検討し、その安全性について十分な評価や検討が行われている。
これまでに特許文献1及び特許文献2について、コンタクトレンズの薬物徐放性について検討がなされているものの、例示されているコンタクトレンズ組成物において、その角膜に対する安全性についての検討が全く行われていないのが現状であった。このため、角膜に対して安全性が高い薬物徐放性医療用コンタクトレンズを得る技術や方法は一切知られていなかった。
このように、水溶性の薬剤をコンタクトレンズ内に保持し、薬物徐放性能を有するコンタクトレンズで、さらに、高い安全性が得られれば、より良い治療法を提供できるものと考えられる。
一方で、薬物徐放性を有するコンタクトレンズを治療に用いる場合、長時間・長期間に渡ってコンタクトレンズを装用することから、薬物徐放性を有するコンタクトレンズには、より良い酸素透過性能を併せ持つことも求められている現状がある。
一般的には、コンタクトレンズへシリコーンモノマーを配合することで、コンタクトレンズの酸素透過性が向上することが知られている。既に、これまで酸素透過性とコンタクトレンズ表面の親水性に優れるシリコーンモノマーが開発されていた(特許文献3)ものの、このシリコーンモノマーを用いることで、薬物徐放性を有するかどうかについては一切知られていなかった。
このように、水溶性の有効成分を長時間にわたって保持・徐放することができ、角膜への安全性が高く、酸素透過性に優れるコンタクトレンズの開発が切望されていた。
WO2012/127927号公報 WO2003/090805号公報 WO2010/082659号公報
M. Patrick and A.K. Mitra,Overview of Ocular Drug Delivery and Iatrogenic Ocular Cytopathologies, Ophthalmic Drag Delivery Systems,1−27,Marcel Dekker, New York, 1993. H. Hiratani and C.A. Lorenzo,Timolol uptake and release by imprinted soft contact lense made of N,N−diethylacrylamide and methacrylic acid,J. Control Release,83,223−230,2002. M. Kanemoto et al.,The Interaction and Compatibility Between a Soft Contact Lens and an Ophthalmic Drug,Eye & Contact Lens,32,192−196,2006.
本発明の課題は、水溶性かつ薬理活性を有する成分(薬剤)をコンタクトレンズに取り込み、コンタクトレンズへ薬物徐放性を付与し、角膜への安全性に優れ、なおかつ、酸素透過性に優れる薬物徐放性医療用コンタクトレンズを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、式(1)に示すシリコーン部位を含有する構成単位と、薬剤とをそれぞれ特定割合で有する、薬物徐放性医療用コンタクトレンズとすることで、上記の課題を解決できるとの知見を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は次の[1]および[2]である。
[1]式(A)で表される構成単位を有する重合体と、薬剤とを含有する薬物徐放性医療用コンタクトレンズであって、薬物徐放性医療用コンタクトレンズ全量に対して薬剤を0.00001質量%〜10質量%含有し、含有される薬剤は水に対する溶解度が3.4%〜99.9%である薬物徐放性医療用コンタクトレンズ。
ここで、Y〜Yはそれぞれが互いに独立に炭素数1〜4のアルキル基を示す。nは0〜3の整数を示す。a、b、cはそれぞれが独立に0又は1の整数を示す。Rは水素原子もしくはメチル基を示す。
[2]前記の[1]記載の薬剤が、抗アレルギー薬、緑内障治療薬、抗炎症薬、副腎皮質ステロイド薬、抗菌薬、抗白内障薬、角膜治療薬、散瞳薬・調節麻痺薬、ビタミン剤、局所麻酔薬からなる群から選ばれる1種以上の薬剤である、前記の[1]記載の薬物徐放性医療用コンタクトレンズ。
本発明の薬物徐放性医療用コンタクトレンズは、コンタクトレンズ中に薬剤を保持させることができ、コンタクトレンズを装用した際に、薬剤を徐放させることが出来ることから、薬剤の眼内移行性の向上に有効である。加えて、本発明の薬物徐放性医療用コンタクトレンズは、シリコーン部位を含有する構成単位を特定割合で有することから、優れた酸素透過性を示し、さらには、角膜への安全性にも優れている。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明の薬物徐放性医療用コンタクトレンズに用いるシリコーン部位を含有する構成単位は下記式(A)で表され、式(B)で表される単量体の重合によって得られる。
式(A)及び式(B)において、Y〜Yはそれぞれが互いに独立に炭素数1〜4のアルキル基を表す。炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基が挙げられる。中でも、酸素透過性を向上させる観点から、メチル基が好ましい。
Rは水素原子もしくはメチル基を表し、中でもメチル基が好ましい。
nは0〜3の整数を表し、酸素透過性を向上させる観点から、nは3が好ましい。
a、b、cはそれぞれが互いに独立に0又は1の整数を表す。酸素透過性を向上させる観点から、a、b、cのいずれもが1である式(C)(化合物名:メタクリロイルオキシエチルコハク酸3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピル)に示す化合物が特に好ましい。なお、式(C)において、Y〜Yはメチル基である。
本発明の薬物徐放性医療用コンタクトレンズに用いるシリコーン部位を含有する構成単位(式(A))は、式(B)で表される単量体を重合することによって得られ、式(B)で表される単量体はWO2010/082659号公報に記載の方法に従って、合成することが出来る。
本発明の薬物徐放性医療用コンタクトレンズに用いるシリコーン部位を含有する構成単位(式(A))は、ハードコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズ、眼内レンズなどの医療用レンズに用いることができ、中でも、ハードコンタクトレンズもしくはソフトコンタクトレンズに用いることが好ましく、さらに、ソフトコンタクトレンズに用いることが特に好ましい。
本発明の薬物徐放性医療用コンタクトレンズは、シリコーン部位を含有する構成単位(式(A))のみから構成されても良いが、通常、式(A)以外の構成成分を含有する。式(A)以外の構成成分を薬物徐放性医療用コンタクトレンズに用いる際は、式(B)で示される単量体と、これ以外の単量体とを重合して用いることが出来る。式(B)で表される単量体と、その他の単量体との割合は、質量比で1:9〜8:2の範囲内である。
本発明の薬物徐放性医療用コンタクトレンズに用いる構成単位(A)以外の構成単位の単量体としては、コンタクトレンズに用いる単量体として一般に用いられる単量体を適宜選択して用いることが出来る。
本発明の薬物徐放性医療用コンタクトレンズに用いる構成単位(A)以外の構成単位の単量体は、コンタクトレンズの表面親水性を増強させることを目的として、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、ビニル安息香酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン等の水溶性単量体が好ましく挙げられる。中でも、コンタクトレンズの表面親水性を増強性の観点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びN−ビニルピロリドンが特に好ましい。
本発明の薬物徐放性医療用コンタクトレンズに用いる構成単位(A)以外の構成単位の単量体は、コンタクトレンズの柔軟性をコントロールすることを目的として、例えば、ポリアルキレングリコールビス(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリス(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラキス(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジ−n−プロピルアクリルアミド、N,N−ジイソプロピルアクリルアミド、N,N−ジ−n−ブチルアクリルアミド、N−アクリロイルモルホリン、N−アクリロイルピペリジン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルオキサゾリドン、1−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール、ビニルピリジン、ビニルピラジンが挙げられる。
本発明の薬物徐放性医療用コンタクトレンズに用いる構成単位(A)以外の構成単位の単量体は、コンタクトレンズの形状維持性を高めることを目的として、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;両末端に炭素−炭素不飽和結合を有するシロキサンマクロモノマーやエチレングリコールジメタクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート類;トリフルオロエチル(メタ)アクリレート類;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルピリジンなどの芳香族ビニルモノマー類;酢酸ビニルなどのビニルエステル類が挙げられる。
これら本発明の薬物徐放性医療用コンタクトレンズの表面親水性を増強させる目的とした単量体、柔軟性をコントロールすることを目的とした単量体、形状維持性を高めることを目的とした単量体以外にも、以下の単量体を、本発明の薬物徐放性医療用コンタクトレンズに配合することが出来る。3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピル(メタ)アクリレート、3−[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル]プロピル(メタ)アクリレート、3−[(トリメチルシロキシ)ジメチルシリル]プロピル(メタ)アクリレート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピル(メタ)アクリルアミド、3−[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル]プロピル(メタ)アクリルアミド、3−[(トリメチルシロキシ)ジメチルシリル]プロピル(メタ)アクリルアミド、[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]メチル(メタ)アクリレート、[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル]メチル(メタ)アクリレート、[(トリメチルシロキシ)ジメチルシリル]メチル(メタ)アクリレート、[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]メチル(メタ)アクリルアミド、[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル]メチル(メタ)アクリルアミド、[(トリメチルシロキシ)ジメチルシリル]メチル(メタ)アクリルアミド、[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]スチレン、[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル]スチレン、[(トリメチルシロキシ)ジメチルシリル]スチレン、N−[3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピル]カルバミン酸ビニル、N−[3−[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル]プロピル]カルバミン酸ビニル、N−[3−[(トリメチルシロキシ)ジメチルシリル]プロピル]カルバミン酸ビニルが挙げられる。
本発明の薬物徐放性医療用コンタクトレンズを製するには、式(A)で表される構成単位(重合体)の単量体である式(B)と、これ以外の単量体とを混合し、過酸化物、アゾ化合物に代表される熱重合開始剤や、光重合開始剤を適宜添加して製することができる。熱重合を行う際は、所望の反応温度に対して最適な分解特性を有するものを選択して使用することが出来る。すなわち、10時間半減期温度が40〜120℃の過酸化物やアゾ化合物を用いることが好ましい。光重合開始剤としては、例えば、カルボニル化合物、硫黄化合物、ハロゲン化合物もしくは金属塩を挙げる事が出来る。これらの重合開始剤は、単独で用いても2種類以上を混合して用いても良い。好ましくは重合成分100質量部に対して0.2〜2質量部の割合で使用することが好ましい。
本発明の薬物徐放性医療用コンタクトレンズに用いる薬剤としては、眼科用薬に用いられる薬理活性を有する成分であり、これら薬理活性を有する成分の水に対する溶解度が3.4〜99.9%のものであれば、特に限定されない。本発明の薬物徐放性医療用コンタクトレンズに用いるシリコーン部位を配合した構成単位(A)と、薬理活性を有する成分との相溶性の観点から、薬理活性を有する成分の水に対する溶解度は5.0〜99.9%が好ましく、より好ましくは、6.5〜99.9%である。
本発明の薬物徐放性医療用コンタクトレンズに用いる薬剤の水に対する溶解度は、薬理活性を有する成分0.01gに、25℃の水を加え、薬理活性を有する成分が溶解するために必要となる水の重量を表したものである。本発明の薬物徐放性医療用コンタクトレンズに用いる薬剤の水に対する溶解度は以下の式を用いて算出することが出来る。
(水に対する溶解度)=(薬理活性を有する成分0.01g)/(溶解させるのに必要となった水量、25℃)×100
本発明の薬物徐放性医療用コンタクトレンズに用いる薬剤は、薬効による分類ができ、抗アレルギー薬、緑内障治療薬、抗炎症薬、副腎皮質ステロイド薬、抗菌薬、抗白内障薬、角膜治療薬、散瞳薬・調節麻痺薬、ビタミン剤、局所麻酔薬に分類される。
本発明の薬物徐放性医療用コンタクトレンズに用いることが出来る薬剤として、より具体的には、以下のものが挙げられる。また、各薬剤名に続いて、括弧内に各薬剤の水に対する溶解度を示す。
抗アレルギー薬としては、エピナスチン塩酸塩(55%)、クロモグリク酸ナトリウム(55%)、ペミロラストカリウム(55%)、イブジラスト(55%)が挙げられる。
緑内障治療薬としては、チモロールマレイン酸塩(6.65%)、ドルゾラミド塩酸塩(6.65%)、ブリモニジン酒石酸塩(6.65%)、カルテオロール塩酸塩(55%)、ジピベフリン塩酸塩(55%)、ピロカルピン塩酸塩(55%)、レボブロノール塩酸塩(55%)、ジスチグミン臭化物(99%)、ニプラジロール(99%)、ベタキソロール塩酸塩(99%)が挙げられる。
抗炎症薬としては、グリチルリチン酸二カリウム(55%)、ブロムフェナクナトリウム水和物(55%)、リゾチーム塩酸塩(55%)、硫酸亜鉛水和物(55%)が挙げられる。
副腎皮質ステロイド薬としては、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム(55%)が挙げられる。
抗菌薬としては、モキシフロキサシン塩酸塩(6.65%)、エリスロマイシンラクトビオン酸塩(55%)、ゲンタマイシン硫酸塩(55%)、コリスチンメタンスルホン酸(55%)、バンコマイシン塩酸塩(55%)、フラジオマイシン硫酸塩(55%)、ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム(55%)、ジベカシン硫酸塩(99%)、トブラマイシン(99%)が挙げられる。
抗白内障薬としては、グルタチオン(55%)が挙げられる。
角膜治療薬としては、コンドロイチン硫酸エステルナトリウム(55%)、ジクアホソルナトリウム(99%)が挙げられる。
散瞳・調節麻痺薬としては、アトロピン硫酸塩水和物(99%)、シクロペントラート塩酸塩(99%)、フェニレフリン塩酸塩(99%)が挙げられる。
ビタミン剤としては、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム(55%)が挙げられる。
局所麻酔薬としては、オキシブプロカイン塩酸塩(55%)が挙げられる。
本発明の薬物徐放性医療用コンタクトレンズに用いる薬剤の中でも、薬物徐放性及び薬剤の眼内移行性の観点から、緑内障治療薬が好ましく、緑内障治療薬の中でもチモロールマレイン酸塩が好ましい。
本発明の薬物徐放性医療用コンタクトレンズに用いる薬剤の配合量としては、0.00001質量%〜10質量%であり、薬物徐放性及び酸素透過性向上の観点から0.00001質量%〜7質量%が好ましく、更に0.00001質量%〜5質量%が好ましい。
本発明の薬物徐放性医療用コンタクトレンズは当業者により知られている工程を組み合わせることで製造することが出来る。製造方法について制限は無いが、例えば、以下の工程で製造することが出来る。
例えば、式(B)の単量体と、式(B)以外の所望の単量体と、薬剤とを混合し、これに重合開始剤を添加し、攪拌及び溶解することにより単量体混合液を得て、この得られた単量体の混合液を所望の成形型に入れ、共重合反応により共重合体を得て、共重合体を冷却および成形型から剥離し、必要に応じて切削、研磨した後に、成形した共重合体を水和膨潤させて、本発明の薬物徐放性医療用コンタクトレンズを得ることが出来る。
また、例えば、式(B)の単量体と、式(B)以外の所望の単量体とを混合し、これに重合開始剤を添加し、攪拌及び溶解することにより単量体混合液を得て、この得られた単量体の混合液を所望の成形型に入れ、共重合反応により共重合体を得て、共重合体を冷却及び成形型から剥離し、必要に応じて切削、研磨し、コンタクトレンズを製する。これとは別に、重合反応によって製したコンタクトレンズを、薬物を溶解させた液に含浸させ、薬物をコンタクトレンズ中へ保持(浸透)させることで、本発明の薬物徐放性医療用コンタクトレンズを得ることも出来る。このとき、薬剤を溶解させる液は、水、生理食塩液、有機溶剤等を用いることができ、必要に応じて、界面活性剤や無機塩、有機酸の塩、酸、塩基、酸化防止剤、安定化剤、防腐剤を配合することも出来る。
さらに、例えば、式(B)の単量体と、式(B)以外の所望の単量体とを混合し、これに重合開始剤を添加し、攪拌及び溶解することにより単量体混合液を得て、この得られた単量体の混合液を所望の成形型に入れ、共重合反応により共重合体を得て、共重合体を冷却及び成形型から剥離し、必要に応じて切削、研磨し、コンタクトレンズを製する。これとは別に、薬剤を溶解させた液を調製し、この液をコンタクトレンズ表面に塗布、もしくはコーティングし、薬剤をコンタクトレンズへ保持させることで、本発明の薬物徐放性医療用コンタクトレンズを得ることも出来る。このとき、薬剤を溶解させる液は、水、生理食塩液、有機溶剤等を用いることができ、必要に応じて、界面活性剤や無機塩、有機酸の塩、酸、塩基、酸化防止剤、安定化剤、防腐剤を配合することも出来る。
以下の実施例および比較例により、本発明およびその効果を具体的に説明する。本実施例に用いたシリコーンモノマー(メタクリロイルオキシエチルコハク酸3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピル)は、WO2010/082659号公報に記載の方法に従い、合成を行って得られた。
[実施例1]
メタクリロイルオキシエチルコハク酸3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピル(式(C)の単量体)で表される化合物40質量部、N−ビニルピロリドン(NVP)40質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)18.5質量部、メタクリル酸1質量部、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)0.3質量部、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2質量部を混合・溶解させた。
この溶液を、厚さ0.1mmのポリエチレンテレフタレートシートをスペーサーとしてガラス板とポリプロピレン板の間に挟みこんだセル内に流し込み、オーブン内の窒素置換を行った。次いで、100℃で2時間加熱することにより重合した。重合後、ポリエチレンテレフタレートシートを型から取り出し、エタノール:イオン交換水=3:1溶液に12時間浸漬させ、さらに、イオン交換水に12時間浸漬して含水フィルムを作製した。作製した含水フィルムを各々の測定に必要な形状に調製し、フィルム透明性を目視にて確認し、透明であることを確認した。目視でのフィルム透明性の評価結果を表1に示す。さらに25℃の水中にて円形フィルム状サンプルの酸素透過性(ツクバリカセイキ株式会社製、K−316)を測定した。酸素透過性測定結果を表1に示す。
[実施例2、比較例1及び比較例2]
表1に示す種類および分量の成分を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って調製した。調製した実施例2、比較例1及び比較例2のフィルム透明性を目視で確認し、その結果は表1に示す通りであった。また、実施例1と同様に、25℃の水中にて円形フィルム状サンプルの酸素透過性を測定し、その測定結果を表1に示す。
この結果、実施例1及び実施例2のフィルム透明性は透明であり、コンタクトレンズを製するのに適していた。
式(C)の単量体の代わりにTRIS(シリコーン部位を含有する単量体)を用いた比較例1及び比較例2のフィルム透明性は白濁となり、コンタクトレンズを製するのには適していなかった。また、実施例1及び実施例2のコンタクトレンズ組成は、それぞれ、比較例1及び比較例2と比較して、良好な酸素透過性を示す事が分かった。これより、式(C)の単量体はコハク酸に由来する部位を有しているために、薬剤との相溶性が向上し、透明な溶液を調製することが出来たものと考えられた。
更に、これら実施例と比較例につき、以下のコンタクトレンズ変形性試験を実施した。
<コンタクトレンズ変形性試験>
コンタクトレンズ変形性試験は以下に示す手順に従って試験を行った。
(1)実施例1で既に作製した円形フィルム状サンプルをコンタクトレンズケースへ左
右1枚ずつ合計2枚入れた。
(2)このうち左側のコンタクトレンズには、生理食塩液を1mL加え、陰性対照とし
た。
(3)右側のコンタクトレンズには、チモロール点眼薬0.5%(チモロールマレイン
酸塩6.8mg/mL(チモロールとして5mg/mL配合)、日東メディック
株式会社製)を1mL加え、被験物質とした
(4)生理食塩液もしくは点眼剤を加えた後、室温にて24時間静置した。
(5)静置24時間後に、陰性対照と被験物質のコンタクトレンズの変形性について、
目視で確認した。
実施例2、比較例1及び比較例2についても上記の手順にてコンタクトレンズ変形性試験を実施し、その評価結果を表1に示す。
その結果、実施例1及び実施例2では、コンタクトレンズに変形は見られなかったものの、比較例1及び比較例2のコンタクトレンズでは変形が見られた。すなわち、実施例1及び実施例2のコンタクトレンズは安全性が高いことを確認した。
これより、実施例1及び実施例2のコンタクトレンズは、酸素透過性に優れ、かつ、コンタクトレンズに薬剤を保持させた際に、コンタクトレンズの変形が無く安全性に優れたコンタクトレンズであることが分かった。以上より、実施例1及び実施例2は、薬物徐放性医療用コンタクトレンズとして優れている事が分かった。
表中の「*」は、単位:×10−11 (cm/sec)×(mLO/(mL×mmHg))を示す。
式(C)の単量体:メタクリロイルオキシエチルコハク酸3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピル
TRIS:3−トリス(トリメチルシリル)プロピルメタクリレート
NVP:N−ビニルピロピドン
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
MA:メタクリル酸
EGDMA:エチレングリコールジメタクリレート
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル。
水溶性で、薬理活性を有する成分をコンタクトレンズに取り込み、コンタクトレンズへ薬物徐放性を付与し、角膜への安全性に優れ、なおかつ、酸素透過性に優れる薬物徐放性医療用コンタクトレンズを提供することができる。

Claims (2)

  1. 式(A)で表される構成単位を有する重合体と、薬剤とを含有する薬物徐放性医療用コンタクトレンズであって、薬物徐放性医療用コンタクトレンズ全量に対して薬剤を0.00001質量%〜10質量%含有し、含有される薬剤は水に対する溶解度が3.4〜99.9%である薬物徐放性医療用コンタクトレンズ。
    (ここでY〜Yはそれぞれが互いに独立に炭素数1〜4のアルキル基を示す。nは0〜3の整数を示す。a、b、cはそれぞれが独立に0又は1の整数を示す。Rは水素原子もしくはメチル基を示す。)
  2. 請求項1記載の薬剤が、抗アレルギー薬、緑内障治療薬、抗炎症薬、副腎皮質ステロイド薬、抗菌薬、抗白内障薬、角膜治療薬、散瞳薬・調節麻痺薬、ビタミン剤、局所麻酔薬からなる群から選ばれる1種以上の薬剤である、請求項1記載の薬物徐放性医療用コンタクトレンズ。
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