JP4855782B2 - 眼の遺伝子治療に用いられるハイドロゲル製眼用レンズ - Google Patents

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本発明は、遺伝子治療に用いることができるハイドロゲル製眼用レンズに関するものである。更に詳しくは、眼細胞内にプラスミドDNAを効果的に移入できるコンタクトレンズや眼内レンズ等の眼用レンズに関する。
角膜ジストロフィーなどの遺伝的な眼疾患は、眼細胞内で発現される遺伝子の変異によって起こることが知られている。このような遺伝的な眼疾患の治療には、眼細胞内に正常な遺伝子を移入する方法が有望である。
従来、遺伝子の眼細胞への移入は、培養した細胞を移植する外科的な方法や点眼液による投与で行われている。しかしながら、外科的手法では、患者への負担が大きくなり、視力低下などの後遺症が発症する可能性がある。また、点眼液での投与は比較的容易であるが、薬剤が点眼後短時間で涙液により流れ出てしまうという欠点がある。
遺伝子を効果的に細胞内に移入させるには、その運び屋が必要であり、ウイルスを改良して使う方法、リポソームに封入する方法、プラスミドDNAを用いる方法が知られている。ウイルスやリポソームを用いる場合は感染性や細胞毒性など心配があり、安全性に課題がある。また、これらを点眼液に添加して用いた場合、ある程度は細胞内への移入は可能であるが、涙液で希釈されるので眼細胞への移入には効果的ではない。
リポソームを用いた例として、哺乳類動物細胞内で発現可能な遺伝子DNAを組み込んだ発現用ベクターを内包したリポソームを含有する点眼剤がある(特許文献1参照)。これは、遺伝子の異常に起因する眼疾患に関与する異常遺伝子DNAに対する遺伝子治療を目的として、点眼により眼細胞へ遺伝子を移入する方法である。しかし、前述のごとく、遺伝子は点眼後短時間で涙液により希釈されてしまうので、角膜との接触時間をできるだけ長くする工夫が必要となる。遺伝子DNAを眼軟膏などに含有させて用いた場合は、角膜との接触時間が長くなる点では点眼液より優れているが、眼刺激や視野が曇るという欠点を有する。
一方、プラスミドDNAを用いた場合は、ウイルス等を用いた場合に比べて安全性が高く、その構造や大きさを自由に選択することができるので、これを利用した遺伝子治療技術が最近注目されている。しかし、プラスミドDNAは点眼液に添加して用いても、眼組織への十分な移入効果は発揮できない。
ところで、薬物を持続的に放出させる手段としてハイドロゲルの特性を利用することは、一般的に知られている。例えば、ハイドロゲル内部に蛋白質や遺伝子、生理活性物質などの薬物に対して、濃度傾斜分布を利用した組成物がある(特許文献2参照)。これは、アクリルアミド系ハイドロゲルをリン酸緩衝液とアルカリ性の水酸化ナトリウム水溶液とで挟み、ゲル内に水酸化ナトリウム水溶液によるアルカリ濃度の傾斜を形成させる。すなわち、水酸化ナトリウム水溶液側の強アルカリ性によりアミド基を加水分解して、ゲル内部にカルボキシル基の傾斜分布を形成させ、このカルボキシル基にカチオン性の薬物を担持させて効果的に薬物を放出させる技術である。しかし、この方法ではハイドロゲル中のカルボキシル基の濃度分布にムラが生じることがあり、眼用レンズとして用いた場合、ゲルの形状が安定せず視力を低下させてしまう、また、高濃度の高分子薬物を担持させた時に濃度分布によりゲルが白濁する問題が生じる。また、加水分解によるカルボキシル基濃度の傾斜分布では、アニオン性の薬物を担持させることはできない。
特開平10−67688号公報 特開2004−323774号公報
本発明は、遺伝子の異常に起因する眼疾患に関与する異常遺伝子DNA対する遺伝子治療を容易に行えるハイドロゲルの提供、特にハイドロゲル製眼用レンズを提供することを目的としている。さらに詳しくは、動物細胞内で発現可能な遺伝子を保持して良好な徐放効果を発揮できるハイドロゲルであり、しかも、徐放前後での形状変化がなく透明性に優れた実用的な遺伝子治療用の眼用レンズを提供することである。
本発明は、眼の遺伝子治療に用いる薬剤を包括し徐放できるハイドロゲル製眼用レンズである。
また、本発明は、非イオン性の親水性モノマーと(メタ)アクリルアミドを、40〜95:60〜5重量%の割合で含む共重合体をアルカリ性の緩衝液中で処理を施して得られることを特徴とする眼の遺伝子治療に用いられるハイドロゲル製眼用レンズである。
さらに本発明は、包括し徐放させる眼の遺伝子治療用薬剤にプラスミドDNAを用いることを特徴とする眼の遺伝子治療に用いられるハイドロゲル製眼用レンズである。
本発明の眼用レンズは、動物細胞内で発現可能な遺伝子を包括して24時間以上にわたり放出でき、眼用レンズとして実用的な透明性、形状安定性に優れたものである。
本発明者は、眼の遺伝子治療に用いる薬剤を眼細胞へ移入する手段として、ハイドロゲル製眼用レンズで効果的に当該薬剤を放出する方法、特に、アニオン性官能基を有する当該薬剤とハイドロゲル中の電解性基や極性基との静電的相互作用を利用する方法を鋭意検討して得られた知見に基づくものである。
本発明においては、眼の遺伝子治療に用いる薬剤を効果的に利用するために、アミド基を有するハイドロゲルを特定条件下でアルカリ処理をすることで、加水分解により当該アミド基をカルボキシル基へ転換させることなく、当該ハイドロゲル中のアミド基の窒素原子への電荷の偏りを形成させるものである。具体的には、分子構造内のアニオン性官能基、特にカルボキシル基を少なくとも1つ以上含有する遺伝子治療用薬剤と当該ハイドロゲル間に適度な相互作用を発揮させて、当該薬剤を効果的に包括し徐放させるものである。
本発明で好ましく用いられる眼の遺伝子治療に用いる薬剤としては、分子構造内にアニオン性官能基、特にカルボキシル基を少なくとも1つ以上含有するプラスミドDNAが挙げられる。プラスミドDNAは環状DNAであり、そのままでも利用することが可能であるが、目的とする治療に合わせて所望のDNAを包持することもできる。例えば、膠様滴状角膜ジストロフィーは角膜上皮に重度のアミロイド沈着を生じる常染色体劣性の遺伝子疾患である。この疾患は、角膜にアミロイドが沈着するため、透明性が失われ、視力が低下する。そして、これまでにこの原因遺伝子がM1S1(membrane component, chromosome 1, surface marker 1)遺伝子であることが見出されている。このM1S1遺伝子をプラスミドDNAに組み込ませてキャリアとし、目的とする眼細胞へ移入することも可能である。本発明では、ハイドロゲル製眼用レンズを目的とする遺伝子、特にプラスミドDNAを溶解した水溶液に浸漬して、当該レンズ中にプラスミドDNAを包括させる。
水溶液中の遺伝子濃度は、その溶解度や動物細胞内への移入するための最小有効濃度及び最大安全濃度などにより、各々の遺伝子毎に適宜選定されるべきものであるが、通常、0.001〜0.1μg/μLの濃度が好ましい。
本発明における眼用レンズでは、アミド基を有するモノマーとしてメタクリルアミドとアクリルアミドを用いる。本発明は、分子中に有する窒素原子のプラス電荷とプラスミドDNAが有するカルボキシル基との相互作用を利用するものであるが、窒素原子を有してもこの他の化合物では目的とする効果は得られない。例えば、同様に分子末端に窒素原子を有する、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド(MAPTAC)では、電荷が強すぎるのでプラスミドDNAを担持することができても徐放効果は得られない。また、ジメチルアクリルアミドでは、窒素原子に結合するメチル基のため十分な電荷の偏りが形成できず、プラスミドDNAを担持できない。
本発明で用いるメタクリルアミドとアクリルアミドを適宜選択すれば、得られるゲルの物性を選択することができる。例えば、アクリルアミドを使用すれば柔軟性に富む眼用レンズが得られ、含水率を増加させることができる。また、メタクリルアミドを使用すれば、コシのある眼用レンズが得られ、強度を向上でき、含水率を低下させることができる。これらは所望に応じて併用することもできる。
非イオン性の親水性モノマーとしては、少なくとも1種以上の親水基を分子内に有し、かつ非イオン性であればいかなるものでも可能である。例えば、2−ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及び2−ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドンなどが挙げられ、これらを2種以上併用することもできる。これら親水性モノマーも適宜選択すれば、眼用レンズの含水率を変化させることができる。
これら主成分モノマーの使用量は、親水性モノマーに対してアミド系モノマーを5〜60重量%の範囲内で使用することが好ましい。5重量%未満では、動物細胞内で発現可能な遺伝子の眼用レンズ内への包括量が極端に少なくなり、眼細胞への遺伝子の移入量が極端に少なくなる。60重量%を超えると、遺伝子の包括量が増加し、その放出に伴って眼用レンズの形状が安定せず、また、機械的強度が低下するので好ましくない。
本発明は、上記成分に加えて、さらに任意の共重合可能なモノマーを使用することができる。例えば架橋性モノマーを使用することで眼用レンズの網目構造の形成及び機械強度の調節を図ることができる。架橋性モノマーとしては、例えばエチレングリコールジメタクリレート、メチレンビスアクリルアミド、2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン、トリメチロールプロパントリアクリレートなどが挙げられる。架橋性モノマーの使用量は、主成分モノマー100重量部に対して、外部で0.1〜4.0重量部が好ましい。特に好ましくは、0.1〜1.0重量部である。架橋性モノマーが0.1重量部より少ないときは、眼用レンズの形状安定性に顕著な効果が見られず、4.0重量部より多くなると架橋効果が過剰となり高分子ゲルが脆くなり好ましくない。
また、任意の共重合可能なモノマーとして、疎水性モノマーを用いれば、得られる眼用レンズの含水率や膨潤率の調節作用、眼用レンズ内への目的とする遺伝子の包括量の微調整などを図ることができる。疎水性モノマーとしては、本発明の必須成分である親水性モノマーや(メタ)アクリルアミドと相溶性があれば、いかなるものでも可能であるが、例えばメチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートなどを挙げることができる。
本発明の1つの特徴は、アルカリ性の水溶液で本発明のために合成されたハイドロゲルを処理することである。これによって、該ゲル中に十分な電荷の偏りを形成できる。アルカリ性の水溶液処理の場合、強アルカリ性下ではゲル内部のアミド基がカルボキシル基に加水分解されて、眼用レンズ自体がマイナス電荷を帯び、同様にマイナスに帯電しているプラスミドDNAは反発するので良好な持続放出が可能な眼用レンズは得られない。
本発明で使用するアルカリ性の水溶液としては、pH7.0を超える値で、かつ11.0以下の緩衝系が好ましい。特に好ましい範囲はpH8〜10である。緩衝作用を有する水溶液で処理することにより、眼用レンズの形状安定化させた状態でのアルカリ処理が可能であり好ましい。すなわち、緩衝系でない単なるアルカリ水溶液を用いた場合、処理の結果生じる電気的な変化により眼用レンズが大きくなったり、変形したりして、元の形状に戻らなくなり、強度も低下するので好ましくない。
また、pH7以下では、ゲル中のアミド基が中性的に存在するためプラスミドDNAと相互作用を形成できないので、目的とする遺伝子を取り込んでもその状態を維持することが難しく、数時間程度で放出してしまう。また、pH11.0を超える強アルカリ性になると、ゲル中の側鎖が加水分解されて変形し、眼用レンズとして使用することができない。
処理液は定法に従って調整すればよく、常温下で30〜90分程度これに浸漬すれば良い。
緩衝液としては、例えばリン酸緩衝液、マレイン酸/Tris/NaOH緩衝液、トリエタノールアミンHCl/NaOH緩衝液、5,5−ジエチルバルビツール酸Na/HCl緩衝液、ピロリン酸Na/HCl緩衝液、Tris/HCl緩衝液、ジエタノールアミン/HCl緩衝液、ホウ酸/NaOH緩衝液、ホウ酸Na/HCl緩衝液、アンモニア/塩化アンモニウム緩衝液、グリシン/NaOH緩衝液、炭酸ナトリウム/炭酸水素ナトリウム緩衝液、ホウ酸Na/NaOH緩衝液などが挙げられ、pH7.0を超える値で、かつ11.0以下で緩衝作用の範囲に調節できるものであれば良い。
本発明の眼用レンズの製造に際しては、まず上記モノマーの混合物に重合開始剤を添加し、さらに撹拌・溶解させる。重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤であればいかなるものでも使用でき、重合開始剤の添加量としては、モノマー総量に対して外部で10〜3500ppm程度が好ましい。また、重合は上記モノマー混合液を金属、ガラス、プラスチックなどの眼用レンズの成形型に入れ、密閉して行う。重合はラジカル重合であればいかなる方法でも可能であり、上記モノマー混合液に水や有機溶媒を添加し、重合することもできる。
上記の重合終了後、室温に冷却し、得られた重合物を成形型から取り出し、必要に応じて切削、研磨加工する。得られた眼用レンズは水和膨潤させて眼用レンズとする。この水和膨潤に使用される液体(膨潤液)としては、例えば水、生理食塩水、等張性緩衝液などが挙げられる。前記膨潤液を60〜100℃に加温し、一定時間浸漬させ、速やかに水和膨潤状態にする。また、前記膨潤処理により、重合体中に含まれる未反応性モノマーを除去することも可能となる。
次に、pH8〜10に調整した緩衝液中へ室温で1時間浸漬させてアルカリ処理を施した後、眼用レンズを純水で十分に洗浄し、あらかじめ調整しておいたプラスミドDNAを溶解させた水溶液中に浸漬する工程で本発明のハイドロゲル製眼用レンズが得られる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(評価方法)
[形状安定性の評価]
プラスミドDNA放出前後の眼用レンズを生理食塩水中で、コンタクトレンズ投影機を用いて測定した。プラスミドDNA放出前の眼用レンズに対して、形状の変化が認められない場合は○、大きさの変化や変形が認められた場合は×と評価した。
[含水率]
評価として含水系の「ハイドロゲルレンズでの含水率測定(ISO10339:1997)」に基づき含水率を測定した。
[光線透過率の測定]
プラスミドDNA包括後のレンズを、紫外−可視分光光度計(UV-3150:島津製作所製)を用いて光線透過率を測定した。
[薬物放出の測定]
プラスミドDNA包括後のレンズを、25℃、3mLの生理食塩水へ浸漬させ、24時間ごとにその放出量をアガロースゲルによる電気泳動法にて測定した。測定の標準マーカーとして1kbpを用いた。12時間にわたってプラスミドDNAの放出が認められた場合には○、認められない場合には×とした。
[涙液への放出性評価]
プラスミドDNA包括後のレンズを家兎へ装着し、一定時間後の涙液を5μL、キャピラリー管にて採取した。採取した涙液中のプラスミドDNAは、PCR(Polymerase Chain Reaction)法にて増幅させ、アガロースゲルを用いた電気泳動で涙液中のプラスミドDNAの存在を確認した。電気泳動には、標準マーカーとして1kbpを用いた。12時間にわたって涙液中でプラスミドDNAの存在が認められた場合には○、認められない場合には×とした。
[家兎角膜上皮細胞移入性の評価]
プラスミドDNA包括後のレンズを家兎へ装着し、装着後の家兎角膜上皮細胞を採取し、48時間培養し、蛍光顕微鏡で観察した。プラスミドDNAが移入した細胞は、GFP(Green Fluorescent Protein)により蛍光で発色することでプラスミドDNAの角膜上皮細胞への移入性を評価した。角膜上皮細胞への移入が認められた場合には○、認められない場合には×とした。
(実施例1)
2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)95重量%、アクリルアミド(AAm)5重量%に対して、エチレングリコールジメタクリレート(EDMA)0.3部(外部)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.3部(外部)を添加して十分に窒素置換をしながら約1時間撹拌した。撹拌後、モノマー混合液を眼用レンズ用の成形型に入れ、50〜100℃の範囲で25時間かけて昇温して重合させた。重合体は容器から取り出し、約80℃の蒸留水中に約4時間浸漬して水和膨潤させて本実施例の眼用レンズとした。この眼用レンズを、pH8に調整したリン酸緩衝液(PBS)へ室温で1時間浸漬してアルカリ処理を施した後、十分に純水にて洗浄した。洗浄後の眼用レンズを、あらかじめ調製しておいたプラスミドDNA(CLONTEC社製)の0.01μg/μL水溶液3mL中に25℃、48時間浸漬させることでプラスミドDNAを包括させた。プラスミドDNAが包括した眼用レンズを蒸留水3mL中に25℃、24時間浸漬し、遊離のプラスミドDNAを除去した後に、上記の各種評価を行った。
(実施例2〜10)
表1に示す組成にて、実施例1と同様な操作で水和膨潤した眼用レンズを得た。この眼用レンズを表1に示すpHに調整したリン酸緩衝液(PBS)で処理し、実施例1と同様の方法でプラスミドDNAを包括させて、上記の各種評価を行った。
(比較例1〜5)
表1に示す組成にて、実施例1と同様な操作で水和膨潤した眼用レンズを得た。この眼用レンズを表1に示すpHに調整したリン酸緩衝液(PBS)で処理し、実施例1と同様の方法でプラスミドDNAを包括させて、上記の各種評価を行った。比較例2は薬物の放出前後でのレンズ形状の変化が大きく、実用性が乏しいので、涙液への放出性と家兎角膜上皮細胞移入性の評価は行わなかった。
(比較例6)
表1に示す組成にて、実施例1と同様な操作で水和膨潤した眼用レンズを得た。この眼用レンズをpH7に調整した生理食塩水で処理し、実施例1と同様の方法でプラスミドDNAを包括させて、上記の各種評価を行った。
(比較例7)
表1に示す組成にて、実施例1と同様な操作で水和膨潤した眼用レンズを得た。この眼用レンズをpH12に調整した水酸化ナトリウム水溶液で処理し、実施例1と同様の方法でプラスミドDNAを包括させて、上記の各種評価を行った。薬物の放出前後でのレンズ形状の変化が大きく、実用性が乏しいので、涙液への放出性と家兎角膜上皮細胞移入性の評価は行わなかった。
Figure 0004855782
なお、[表1]中の記号は、以下である。
HEMA 2−ヒドロキシエチルメタクリレート
HPMA 2−ヒドロキシプロピルメタクリレート
NVP N−ビニルピロリドン
AAm アクリルアミド
MAm メタクリルアミド
MAPTAC メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド
DMAA ジメチルアクリルアミド
EDMA エチレングリコールジメタクリレート

Claims (1)

  1. プラスミドDNAをアルカリ性の緩衝液中で処理した共重合体に包括させてなるハイドロゲル製眼用レンズであって、
    前記共重合体は非イオン性の親水性モノマーと(メタ)アクリルアミドとを40〜95:60〜5重量%の割合で含む共重合体であり、かつ、前記アルカリ性の緩衝液はpHが8〜10のアルカリ性の緩衝液である、前記ハイドロゲル製眼用レンズ。
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