JP2017077973A - ガラス板の徐冷方法及びその装置 - Google Patents

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岳大 石田
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雅士 笠嶋
欣靖 森田
Yoshiyasu Morita
欣靖 森田
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剛史 大塚
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Abstract

【課題】ガラス板に形成されるI/Tを小さくし、かつ生産性が高いガラス板の徐冷方法及びその装置の提供。【解決手段】リング状の成形型104に載置された、軟化点付近の高温のガラス板Gの徐冷方法において、ガラス板Gを成形型104上で冷却する吹上前工程と、ガラス板Gを吹上装置107によって吹き上げて、成形型104から離間させながら徐冷する吹上工程と、ガラス板Gを離間させた状態を当接部材108によって保持しながら徐冷する吹上保持工程を有する。吹上装置107は、ガラス板Gの下方に設けられ、吹上前工程は、吹き上げられる領域の温度を徐冷点以下まで冷却し、吹上工程は、吹き上げられる領域G5の温度が歪点より高く徐冷点以下、かつ周縁領域の温度が歪点以上で噴出手段から気体の噴出を開始し、気体の圧力によってガラス板Gを吹き上げ、吹上保持工程は、気体の圧力によってガラス板Gが吹き上げられた状態を保持する。【選択図】図1

Description

本発明はガラス板の徐冷方法及びその装置に係り、特に合わせガラスを構成するガラス板の製造において、加熱されて曲げ成形されたガラス板を徐冷するガラス板の徐冷方及びその装置に関する。
合わせガラスは、2枚のガラス板をPVB(ポリビニルブチラール)製等のプラスチック中間膜を介在させて相互に接合させた積層ガラスであり、自動車のフロントガラスの他、ドアガラスとしても利用されている。この種の合わせガラスは、自動車のボディラインやデザイン状の要請によって、湾曲状に製造されている。
合わせガラスに使用されるガラス板の曲げ成形方法としては、所望の湾曲面に対応する曲げ成形面を有する成形型に、平面状のガラス板を載置し、この状態で成形型を加熱炉内に搬入し、加熱炉内でガラス板をガラス軟化温度付近まで加熱する方法がある。この成形方法によれば、ガラス板は、軟化に伴い自重によって成形型の曲げ成形面に沿って湾曲するため、所望の湾曲面を有するガラス板に製造される。また、他の曲げ成形方法として、加熱したガラス板を成形型に載置した状態で上方よりプレス手段によって押圧して曲げ成形する方法も知られている。
車両用の合わせガラスは、車両のフレームに嵌め込まれて固定されるが、この際に合わせガラスが破損しないように、ガラス板のエッジには平面圧縮応力(以下、本明細書においてガラス板のエッジに形成された平面圧縮応力をエッジコンプレッションといい、以下、E/Cと記す)が形成されている。残留応力が形成されたガラス板には、ガラス板の断面方向において表面に表面圧縮応力、内部に内部引張応力がそれぞれ形成される。E/Cは以下のように定義される。ガラス板のガラスエッジでの断面方向の圧縮応力と引張応力の積分値において、圧縮応力の方が大きくなった場合にE/Cとなる。E/Cの領域に隣接するすぐ内側の領域は、E/Cとバランスをとるように内部引張応力の方が大きくなった平面引張応力(以下、本明細書においてガラス板のエッジのすぐ内側に形成された平面引張応力をインナーテンションといい、以下、I/Tと記す)の領域となる。つまり、E/Cとバランスをとるようにエッジのすぐ内側にはエッジに沿ってI/Tが形成される。このI/Tは、エッジからガラス板の面内側に向かって約50mmの範囲内の周縁領域にピークがある。E/Cが大きければ、当然にI/Tも大きい。I/Tが大きいということは、その部分のガラス板の断面方向の表面圧縮応力層が薄いことを意味しているため、周縁領域は、エッジや面内に比べると破損しやすい部分となる。
従来の合わせガラスは、樹脂製のモールなどで、ガラス板のエッジ及び周縁領域を被覆していたため、ある程度大きなI/Tが形成されていても問題はなかった。しかしながら、自動車のデザインとして求められているフラッシュマウント方式(すなわち、車体面とガラス面とがほぼ面一となるようにして合わせガラスを取り付ける方式)では、周縁領域が車外に露出するため、I/Tを小さくすることが求められている。
このよう小さいI/Tを形成できる例として、特許文献1が知られている。特許文献1では、曲げ成形されリング状の成形型に載置された、歪点以上の高温のガラス板を、突き上げ部材により突き上げて前記成形型から離間させて徐冷するガラス板の徐冷方法において、少なくとも前記突き上げ部材が前記ガラス板を突き上げるときに当接する位置を含む領域(以下「突き上げられる領域」という)は、前記ガラス板のエッジから面内側に50mm以上離れた領域であり、前記突き上げられる領域の温度を前記ガラス板のエッジより早く歪点より低い温度まで冷却した後に、前記突き上げ部材により前記ガラス板を突き上げることを特徴とするガラス板の徐冷方法が開示されている。
特表2011−096446号公報
しかしながら、特許文献1の徐冷方法では、突き上げ部材によってガラス板に歪が生じることを防ぐため及びエッジに高いE/Cを形成するために、突き上げられる領域の温度をエッジより早く歪点より低い温度まで冷却した後に突き上げなければならなかった。すなわち、突き上げられる領域の温度が歪点以上のときには、突き上げ部材との接触によって歪が生じてしまうため、突き上げることができなかった。そのため、突き上げられる領域を冷却する充分な時間が必要であり、生産性が低いという問題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ガラス板に形成されるI/Tを小さくし、かつ生産性が高いガラス板の徐冷方法及びその装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、曲げ成形され、リング状の成形型に載置された、軟化点付近の高温のガラス板の徐冷方法において、
前記ガラス板を前記成形型に載置させた状態で冷却する吹上前工程と、
前記ガラス板を吹上装置によって吹き上げて、前記成形型から離間させながら徐冷する吹上工程と、
前記ガラス板を前記成形型から離間させた状態を当接部材に当接させることで保持しながら徐冷する吹上保持工程と、
を備え、
前記吹上装置は、前記ガラス板の下方に設けられ、前記ガラス板に向けて気体を噴出する噴出手段を備え、
前記当接部材は、前記ガラス板の上方に空間を隔てて設けられ、
前記ガラス板は、前記ガラス板の外周端から面内側50mm未満の周縁領域と、前記ガラス板の外周端から面内側50mm以上離れた面内領域と、前記面内領域内に存在し、平面視で前記噴出手段と対向する領域(以下「吹き上げられる領域」という)と、を有し、
前記吹上工程は、前記噴出手段から噴出させた前記気体の圧力によって前記ガラス板を吹き上げ、
前記吹上保持工程は、前記噴出手段から前記気体を噴出させ続け、前記気体の圧力によって、前記当接部材に前記ガラス板を当接させ、前記ガラス板が吹き上げられた状態を保持し、
前記吹上前工程は、前記吹き上げられる領域の温度を徐冷点以下まで冷却し、
前記吹上工程は、前記吹き上げられる領域の温度が歪点より高く徐冷点以下、かつ前記周縁領域の温度が歪点以上の状態で、前記気体の噴出を開始することを特徴とするガラス板の徐冷方法を提供する。
本発明によれば、ガラス板に形成されるI/Tを小さくし、かつ生産性が高いガラス板の徐冷方法及びその装置を提供する。
本発明の一態様におけるガラス板徐冷装置を備えた合わせガラス用ガラス板の製造装置図面である。 本発明の一態様におけるガラス板の領域分けを示す平面図である。 本発明の一態様におけるガラス板の吹き上げられる領域を示す断面図である。 本発明の別の態様におけるガラス板の領域分けを示す平面図である。 吹上前工程から吹上保持工程に至ったガラス板の側面図である。 吹上保持工程におけるガラス板と当接部材108の位置関係を示す斜視図である。 実施例と比較例におけるガラス板の中心温度と時間との関係を示した図である。 ガラス板の外周端Aからの距離とその位置における温度を示した図である。 ガラス板の外周端Aから吹き上げられる領域G5までの距離とI/Tの最大値との関係を示した図である。
以下、図面を参照して、本発明に係るガラス板の徐冷方法及びその装置の好ましい実施形態について説明する。なお、形態を説明するための図面において、方向について特に記載のない場合には図面上での方向をいうものとし、各図面の基準の方向は、記号、数字の方向に対応する。また、本実施形態ではガラスの軟化点、徐冷点、歪点等の特性について説明する上で、ガラス板の種類としてソーダライムガラスの場合を一例として述べる。しかし、以下の本明細書内で述べられるガラスの種類に由来する特性は、本実施形態に限定されず、ガラスの種類に応じて適宜変更されるものである。
(徐冷装置について)
図1は、本発明の一態様におけるガラス板徐冷装置を備えた合わせガラス用ガラス板の製造装置図面であり、(A)はその側面の概略を示した側面図、(B)はその平面の概略を示した平面図である。
合わせガラス用ガラス板の製造装置103は、板ガラスgの加熱及び成形を行う加熱炉101と、加熱炉101の後段に設けられ、本発明の徐冷装置を備えた徐冷ゾーン102とを備える。
加熱炉101は、曲げ成形前の平板状の板ガラスgを加熱し、曲げ成形する。加熱炉101は、台車105と台車105上に載置された所望の湾曲面を有するリング状の成形型104を備え、加熱炉101の内部は不図示のヒータによって、板ガラスgを所望の湾曲面を有するガラス板Gに成形する温度(580℃〜700℃)に加熱される。成形型104及び台車105は、加熱炉101のガラス板成形温度に耐え得る程度の耐熱材で構成されている。台車105は不図示の任意の搬送装置によって加熱炉101内を移動する。
徐冷ゾーン102は、所望の湾曲面を有するように曲げ成形されたガラス板Gを徐冷する。なお、図1では徐冷ゾーン102は、加熱炉外に設けられた壁面で囲まれた空間を指しているが、本実施形態に限定されず、例えば、壁面で囲まれていない開放された空間でも良い。徐冷ゾーン102は、ガラス板Gが載置された成形型104を搬送する搬送装置に加え、ガラス板Gが成形型104に載置された状態で、ガラス板Gを徐冷する冷却装置106と、気体を噴出して成形型104からガラス板Gを離間させ、吹き上げる吹上装置107と、吹き上げられたガラス板Gと当接する当接部材108とを有する徐冷装置を備える。
冷却装置106は、ガラス板Gの上方に設けられる上部冷却装置106Aとガラス板の下方に設けられる下部冷却装置106Bとを有し(以後、上部冷却装置106Aと下部冷却装置106Bを区別しないときは、単に冷却装置106という)、ガラス板Gに向けて冷却用気体を吹き付ける冷却手段を備える。本実施形態では、冷却装置106の冷却手段は冷却用気体供給装置である不図示のブロアから供給される冷却用気体をガラス板Gに吹き付けて冷却するダクト(吹き口)を有する構成である。
ここで、本明細書でいう「冷却用気体」とは、空気、不活性ガス等が好適に利用できる。また、冷却能力を向上させるために、冷却用気体の温度や露点を制御しても良く、冷却用気体に気体以外の冷却媒体(例えば霧状の液体や粉体等)を含有させても良い。また本明細書において「吹き付け」とは、冷却装置106から冷却用気体をガラス板Gに向けて送り出すことを指す。
なお、本実施形態では、冷却装置106は冷却手段から冷却用気体をガラス板Gに向けて吹き付ける構成であるが、これに限定されない。冷却装置106は、輻射による冷却や固体を接触させて冷却する等その他の冷却手段を備える構成でも良い。また、本実施形態では上部冷却装置106Aと下部冷却装置106Bの両方を上下に備える態様を示したが、両方が必須ということはなく、いずれか一方のみを備える態様でも良い。
吹上装置107は、ガラス板Gの下方に設けられ、ガラス板Gに向けて気体を噴出する噴出手段を備える。本実施形態では、吹上装置107の噴出手段は、気体供給装置である不図示のブロアから供給される気体をガラス板Gに向けて噴出するダクト(吹き口)を有する構成である。ここで、本明細書でいう「気体」とは、空気、不活性ガス等が好適に利用できる。また、気体の温度や露点を制御しても良く、気体以外の冷却媒体(例えば霧状の液体や粉体等)を含有させても良い。また、本明細書において「噴出」とは吹上装置107から気体をガラス板に向けて送り出すことを指す。
また、噴出手段は、ガラス板Gが成形型104に載置された状態で、ガラス板Gの外周端から面内側に50mm以上離れた領域の一部に対向して設けられる。また好ましくは、噴出手段はガラス板Gの外周端から面内側に130mm以上離れた領域、さらに好ましくはガラス板Gの外周端から面内側に150mm以上離れた領域に設けられる。このように設けることで、ガラス板Gに形成されるI/Tを小さくすることができる。
ところで、本実施形態では、下部冷却装置106Bは吹上装置107を兼ねており、それらは同一の気体(冷却用気体)をガラス板Gに吹き付けもしくは噴出させる。このようにすることで、下部冷却装置106Bと吹上装置107の取り扱いが容易となり望ましい。
下部冷却装置106Bと吹上装置107と兼用したした場合、気体の圧力をガラス板Gが吹き上がらない値に設定すれば下部冷却装置106Bとして働き、気体の圧力をガラス板Gが吹き上がる値に設定すれば吹上装置107として働く。気体の圧力の調整は、任意の制御装置によってブロアの出力(流速、流量等)を調整することで行われる。
しかし、下部冷却装置106Bと吹上装置107の構成は、本実施形態に限定されない。下部冷却装置106Bと吹上装置107とを兼ねた構成であっても、同一の気体を用いなくても良い。例えば下部冷却装置106として働くときは温度制御を行った冷却用気体を用い、吹上装置107として働くときは温度制御されていない気体であっても良い。また、下部冷却装置106Bと吹上装置107とがそれぞれ独立した装置であっても良い。
当接部材108は、ガラス板Gの上方に空間を隔てて設けられ、吹上装置107によって吹き上げられたガラス板Gと気体の圧力によって当接する。当接部材108は、吹き上げられたガラス板Gを制御できる構成であれば良く、本実施形態では、ガラス板の上方に空間を隔てて二本の棒を設ける構成である。また、当接部材108は、徐冷ゾーン102の天井から設けられることが好ましいが、必要により、成形型104又は台車105に一体的に設けても良い。
(ガラス板Gの領域について)
本実施形態において、徐冷ゾーン102に搬入された直後のガラス板Gは次のような領域に分けられる。図2において、Aはガラス板Gの外周端、すなわちガラス板Gの外縁の辺を示しており、一点鎖線Bは、ガラス板Gの外周端Aから内側10mmの部分を結んだ線である。この外周端Aと一点鎖線Bとで囲まれる領域G1がガラス板Gのエッジを示している。エッジG1は、平面視において成形型104よりも面外方向に突出する部分であり、冷却時に放熱効果が高いため、E/Cが形成される部分である。
なお、本実施形態では、一点鎖線Bはガラス板Gの外周端Aから内側15mmの部分を結んだ線とするが、これに限定されない。ガラス板Gの外周端Aから内側5mm〜25mmのいずれかの部分を結んだ線としても良い。またさらに、外周端Aから0mm、すなわち平面視において成形型104よりも面外方向に突出する部分がない場合でもよい。その場合、エッジG1は外周端A(すなわち端面)及び端面の極表層に形成されるものとする。
また、破線Cは、ガラス板Gの外周端Aから内側50mの部分を結んだ線であり、一点鎖線Bと破線Cで結ばれた領域G2は周縁領域を示している。通常、この周縁領域G2は、I/Tのピークが形成される領域であり、平面視で成形型104に載置されている部分及びそのやや面内側を指す。
また、破線Cで囲まれた面内領域G3は、点線Dで囲まれた冷却領域G4と、二点鎖線Eで囲まれた吹き上げられる領域G5とを含んでいる。
冷却領域G4とは、冷却装置106の冷却手段とガラス板Gが対向する領域である。冷却領域G4は、周縁領域G2と重複せずに設けられ、冷却装置106によって優先的に冷却されることが望ましい。また、冷却領域G4は、ガラス板Gの重心を含む領域であることが望ましい。なお、本実施形態では冷却領域G4の形状は、冷却手段であるダクトが対向する形状として円形で示されているが、本実施形態に限定されず、冷却手段の形状によって様々な形態を取り得る。
吹き上げられる領域G5とは、吹上装置107の噴出手段が対向する領域である。例えば、図3のように断面視で見た場合、吹上装置107の噴出手段であるダクトと対向する領域であり、例えばダクトの内周の輪郭線で囲まれた領域を示す。
吹き上げられる領域G5は、周縁領域G2と重複せずに設けられ、また冷却領域G4内に形成されることが望ましい。また好ましくは、ガラス板Gの外周端Aから面内側に130mm以上離れた領域内、さらに好ましくはガラス板Gの外周端Aから面内側に150mm以上離れた領域内に設けられることが望ましい。
なお、図5では単純に、吹き上げられる領域G5をダクトの内周の輪郭線で囲まれた領域と例示したが、吹上装置107とガラス板Gとの距離が離れている場合、ダクトから噴出した気体がダクト先端から所定の角度で広がることを考慮して吹き上げられる領域G5としても良い。
吹き上げられる領域G5は、ガラス板Gを好適に吹き上げて、吹き上げられた状態とするために、ガラス板Gの重心を含む領域であることが望ましい。また、図4のように吹上装置107が噴出手段を複数備え、吹き上げられる領域G5が複数存在する場合、それら複数の吹き上げられる領域G5の全てが周縁領域G2と重複せずに設けられ、また冷却領域G4内に形成されることが望ましい。
また、吹き上げられる領域G5が複数存在する場合には、ガラス板Gを好適に吹き上げて吹き上げられた状態とするために、ガラス板Gの重心を複数の吹き上げられる領域G5で囲むように配置することが望ましい。
なお、本実施形態では吹き上げられる領域G5はφ700mmの円形とするが、ガラス板Gの形状に合わせて楕円形、多角形、ガラス板Gの相似形であっても良い。特に吹き上げられる領域G5を楕円形とすることで、ガラス板GのエッジG1のいずれの辺からも、吹き上げられる領域G5までの距離を遠ざけることができ、後述する吹き上げられる領域G5の優先的な冷却に好適である。
また、吹き上げられる領域G5は縦×横の長さが800mm×1200mm以下300mm×300mm以上の範囲であれば、通常の自動車用のフロントガラス用ガラス板の場合には、汎用性があり、安定してガラス板Gを吹き上げられる。
ところで、本実施形態においては、前述の通り、下部冷却装置106Bと吹上装置107は同一の装置としているため、冷却領域G4と吹き上げられる領域G5は同一の領域を指す。
(徐冷方法について)
以下、本実施形態におけるガラス板Gの徐冷方法について説明する。
<加熱成形工程>
加熱成形工程は、ガラス板Gを加熱炉101において軟化点付近まで加熱して成形する。まず、曲げ成形前の平板状の板ガラスgは、台車105上に載置された所望の湾曲面を有するリング状の成形型104に載置され、任意の搬送手段によって加熱炉101に搬入される。次に、曲げ成形前の平板状の板ガラスgは、この加熱炉101を通過中に軟化点付近(580℃〜700℃)まで不図示のヒータにより加熱される。そして、加熱された板ガラスgは、加熱による軟化に伴って、自重により、所定の曲げ形状に成形された成形型104の形状に沿って湾曲する。これによって、平板状の板ガラスgが所望の湾曲面を有するガラス板Gに成形される。
また、板ガラスgの曲げ成形方法は、上記の自重による曲げ成形に限らず、板ガラスgを成形モールドでプレス成形するなど、公知の様々な成形方法を適用できる。例えば、成形モールドでプレス成形された場合、ガラス板Gは、その後リング状の成形型104に移載され搬送される。この場合、成形型104は、加熱炉101を通過せず、成形モールドの位置と徐冷ゾーン102の往復のみでも良い。
加熱炉101によって曲げ成形されたガラス板Gは、高温状態のまま成形型104と共に搬送手段によって、加熱炉101から徐冷ゾーン102に搬入される。この際、好ましくはガラス板Gを徐冷点+32℃(582℃)以上に加熱された状態であることが望ましい。
また、ガラス板Gは徐冷ゾーン102に搬入されることで、ガラス板Gの外周端A及びエッジG1は周縁領域G2より早く冷却される。その過程において、外周端Aの温度(ガラス板Gの端面部分の温度)が徐冷点+20℃(570℃)のときに、外周端Aの温度が、外周端Aから内側10mmの部分の温度より、例えば3℃低い状態を形成させることが好ましい。このような温度制御は、例えば、ガラス板Gを加熱炉101から徐冷ゾーン102に移動させることで、外周端Aが優先的に冷却されることで形成できる。又は徐冷ゾーン102の雰囲気温度をコントロールすることで実現できる。外周端Aと外周端Aから内側10mmの部分とが徐冷点まで冷却される間に、所定の温度差を形成しておくことで、充分なE/Cを得ることができる。
<吹上前工程>
吹上前工程は、加熱炉101から徐冷ゾーン102に搬入されたガラス板Gを、成形型104に載置された状態で、冷却装置106によって、吹き上げられる領域G5の温度が歪点(510℃)より高く徐冷点(550℃)以下、かつ周縁領域G2の温度が歪点以上の状態となるように、吹き上げられる領域G5を優先的に冷却する(本実施形態では冷却領域G4と吹き上げられる領域G5とは同一であるので、以下、冷却装置106で吹き上げられる領域G5を冷却する、として説明する)。より好ましくは、吹き上げられる領域G5の温度が徐冷点−20℃(530℃)以上徐冷点以下、さらに好ましくは徐冷点―10℃(540℃)以上徐冷以下かつ周縁領域G2の温度が歪点以上の状態となるように冷却することが望ましい。
この際、冷却装置106による吹き上げられる領域G5の温度の吹上前工程での冷却速度は、7℃/sec以上50℃/sec以下であり、好ましくは10℃/sec以上40℃/sec以下、さらに好ましくは15℃/sec以上35℃/sec以下であることが望ましい。
上記のような吹き上げられる領域G5の冷却速度であれば、例えば、冷却装置106を用いて冷却を開始させてから吹き上げるまでの時間を、1.4秒以上16秒以下、より好ましくは1.7秒以上11秒以下、さらに好ましくは2.0秒以上7.4秒以下とすることができる。
すなわち、上記のような冷却速度で冷却することで、一般的な徐冷ゾーンでの放冷や輻射冷却よりも速く、吹き上げられる領域G5の温度を歪点より高く徐冷点以下とすることができ、高い生産性を実現できる。なお、本明細書において「放冷」とは、積極的な冷却をせずに冷却することを指す。
ところで、吹上前工程において、理想的には、冷却装置106によって、ガラス板Gの吹き上げられる領域G5のみを局所的に冷却し、吹き上げられる領域G5の温度が歪点より高く徐冷点以下のときに、周縁領域G2の温度は歪点以上でなるべく高い温度であることが好ましく、よりI/Tを小さくすることができる。
しかし、前述の冷却速度の範囲で、かつ吹き上げられる領域G5のみを局所的に冷却することは極めて難しい。例えば、本実施形態である、冷却用気体をガラス板Gに吹き付けて冷却する冷却手段では、吹き上げられる領域G5の冷却速度が速い一方で、冷却用気体がガラス板Gの吹き上げられる領域G5に衝突した後、そのガラス板Gの面外方向に広がり、周縁領域G2及びエッジG1も冷却するおそれがある。
そこで本実施形態では、吹き上げられる領域G5と共に周縁領域G2及びエッジG1を冷却しても、充分I/Tを小さくすることができる条件を見出した。具体的には、吹き上げられる領域G5の温度が歪点より高く徐冷点以下のときに、周縁領域G2の温度が歪点以上となるように冷却すれば良い。このような条件を実現できる冷却手段を用いて、ガラス板Gを吹上前工程において冷却すれば、吹き上げられる領域G5を冷却すると共に、周縁領域G2及びエッジG1を冷却しても良い。
ここで、好ましくは、吹き上げられる領域G5は、周縁領域G2及びエッジG1よりも優先的に冷却されることが望ましい。周縁領域G2の冷却速度を吹き上げられる領域G5よりも遅くすることで周縁領域G2の温度が高く保たれ、充分な応力緩和が期待でき、I/Tを小さくすることができる。
<吹上工程>
吹上工程は、吹上前工程によって吹き上げられる領域G5が歪点より高く徐冷点以下、かつ周縁領域G2が歪点以上の状態となったガラス板Gを、ガラス板Gの下方に設けられる吹上装置107によって吹き上げる。
具体的には、上記の状態となったガラス板に対して、吹上装置107の噴出手段からガラス板Gの吹き上げられる領域G5に向けて気体の噴出を開始し、その気体の圧力でガラス板Gを成形型104から離間させながら徐冷する。この際、前述の通り、ブロアの出力の調整によって、下部冷却装置106Bが吹上装置107へと切り替わる。また、吹上装置107がガラス板Gを吹き上げているとき、上部冷却装置106Aは、は停止することが望ましい。
吹上工程において、好ましくは、吹き上げられる領域G5の温度が徐冷点−20℃以上徐冷点以下かつ周縁領域G2の温度が歪点以上、さらに好ましくは徐冷点―10℃以上徐冷以下かつ周縁領域G2の温度が歪点以上の状態で気体の噴出を開始することが望ましい。このように、周縁領域G2の温度が歪点より高いときに吹き上げることで、充分な応力緩和が期待でき、I/Tを小さくすることができる。また、より好ましくは、周縁領域G2の温度が徐冷点よりも高温のときに、吹き上げることで、より充分な応力緩和が期待でき、I/Tを小さくすることができる。
このような工程で徐冷を行うと、ガラス面内に接触するものが気体であるため、ガラス板Gの吹き上げられる領域が歪点より高くても、気体の接触によるガラス面内への歪は生じにくくすることができる。その結果、ガラス面内の温度が歪点よりも高い温度域で、ガラス板Gを成形型104から離間させて徐冷することができるため、ガラス板に形成されるI/Tを小さくでき、かつ高い生産性を実現できる。
また、吹上工程は高いE/Cを得ることにも効果がある。高いE/Cを得るためには、外周端Aの温度が歪点のとき、外周端Aの温度が外周端Aの内側10mmの部分の温度より、例えば8℃以上低い状態を形成させることが望ましい。さらに好ましくは、外周端Aが徐冷点のときに、外周端Aが外周端Aの内側10mmの部分より温度が例えば8℃以上低い状態を形成することが望ましい。
外周端Aの温度が歪点―10℃(500℃)よりも高温のときに、ガラス板Gを吹き上げれば、外周端Aの温度が歪点までの間、又は歪点―10℃までの間に外周端Aの温度が外周端Aの内側10mmの部分の温度より8℃以上低い状態を、数秒から数十秒の間保持でき、所望の応力分布を形成することができる。
なお、外周端Aの温度が歪点よりも高温の時点で、ガラス板Gを吹き上げることにより、歪点のときに外周端Aと外周端Aの内側10mmの部分との温度差をつけ易くなり、さらに高いE/Cを得ることができる。さらに好ましくは、外周端Aの温度が徐冷点よりも高温のときに、ガラス板Gを吹き上げることが望ましい。これにより、より確実に徐冷点で外周端Aと外周端Aの内側10mmの部分とに温度差を8℃以上形成することができ、さらに高いE/Cを得ることができる。
ガラス板Gを吹き上げることにより、吹上時に外周端Aと外周端Aの内側10mmの部分とで温度差が8℃未満だった場合、吹き上げにより外周端Aの冷却を促進して歪点までに外周端Aと外周端Aの内側10mmの部分とに温度差を8℃以上つけることができる。ガラス板Gを吹き上げなければ、成形型104の熱容量が大きく、成形型104の温度が下がりにくいため、成形型104の近傍に位置するもしくは成形型104と接している外周端Aと外周端Aの内側10mmの部分は冷却が遅くなり、かつ温度差が8℃以上にならない。
また、徐冷ゾーン102の雰囲気温度が低いため、ガラス板が徐冷ゾーン102に入った瞬間に外周端Aと外周端Aの内側10mmの部分との温度差がつきやすく、ガラス板Gの吹上時に外周端Aと外周端Aの内側10mmの部分との温度差が既に8℃以上のときもある。その場合は、吹き上げにより、歪点まで外周端Aと外周端Aの内側10mmの部分との温度差を維持する必要がある。吹き上げなければ、成形型104の温度は下がりにくいため、成形型104の近傍に位置するもしくは成形型104と接している外周端Aの温度も下がりにくくなり、外周端Aの内側10mmの部分との温度差が小さくなる。
また、例えばプレス成形のように、成形型104が必ずしも加熱炉101を通過せず、成形モールドの位置と徐冷ゾーン102の往復のみである場合、成形型104の温度はガラス板Gに比べて低い。このような場合は、外周端Aの内側10mmの部分は成形型104によって冷却が早まり、外周端Aと30℃以上の温度差が付くことがある。このように外周端Aとの温度差が30℃以上となると、外周端Aの内側10mmよりもさらに内側に大きなI/Tが形成されるため、外周端Aと外周端Aの内側10mmの部分との温度差は、例えば30℃以下、より好ましくは25℃以下とすることが望ましい。このようにすることで、充分なE/Cを得られ、かつI/Tを小さくすることができる。
なお、この外周端Aと外周端A10mmの部分とに温度差が8℃以上30℃(25℃)以下の状態は、吹上前工程、吹上工程、吹上保持工程のいずれで達成されていても良い。
<吹上保持工程>
吹上保持工程は、吹上装置107の噴出手段から気体を噴出させ続け、吹上工程によって吹き上げられたガラス板Gを、気体の圧力によって当接部材108にガラス板Gを当接させ、ガラス板Gが吹き上げられた状態を保持し、所定時間徐冷する。
図5は、吹上前工程から吹上保持工程に至ったガラス板の概略側面図を示し、図6は吹上保持工程における吹上装置107、ガラス板G及び当接部材108の位置関係の一例を示した斜視図である。このように、ガラス板Gを気体の圧力によって、当接部材108にした下方から押し当てることによって、ガラス板Gの吹き上げられた状態を維持する。このとき、本実施形態では噴出手段から気体を噴出させ続ける態様を示すが、これに限定されない。例えば、吹き上げられたガラス板Gを当接部材108に当接させる充分な圧力が得られれば、断続的に気体を噴出していても良い。
吹上保持工程によるガラス板Gの徐冷は、ガラス板Gの周縁領域G2の温度が、E/C、I/Tの値が決定する歪点―10℃以下となるまで行われ、その後噴出手段からの気体の噴出を停止させ、成形型104にガラス板を載置させる。
この際、吹上保持工程でのガラス板Gの冷却速度は、5℃/sec以上30℃/sec以下であり、好ましくは7℃/sec以上20℃/sec以下であることが望ましい。
上記のような冷却速度で吹上保持工程を行えば、例えば、吹上装置107でガラス板Gを吹き上げてから、0.3秒以上10.0秒以下、好ましくは0.5秒以上7.2秒以下で気体の噴出を停止させることができる。
なお、その後ガラス板Gは、徐冷ゾーン102から外部に搬出されて放冷される。徐冷工程を経ることによって、平板状の板ガラスGが合わせガラス用の湾曲したガラス板Gに製造される。
また、本実施形態では、合わせガラス用ガラス板の製造装置103による製造対象のガラス板Gは、単板の板厚が1.5mm〜3.5mmの自動車用フロントガラスを例として説明したが、フロントガラスに限定されるものではない。すなわち、ガラス板Gは、フロントガラスのように複数の方向に曲率を有する曲率の大きな曲げ形状のガラス板であっても、また、一方向のみに曲率を有する曲率の小さな曲げ形状のサイドガラスであっても良い。
また、本実施形態では1枚のガラス板Gをリング状の成形型104に載置して加熱してガラス板Gの自重により曲げ成形したが、2枚のガラス板Gを重ねた状態で成形型104に載置して加熱してガラス板Gの自重により曲げ成形してもよい。2枚のガラス板Gを重ね合わせた状態で成形型104に載置して加熱してガラス板の自重により曲げ成形する場合の各種条件も、前述した1枚のガラス板Gの場合と同様の各種条件を採用することができる。
なお、2枚のガラス板Gを重ねた状態で成形型104に載置されたガラス板Gの吹き上げられる領域G5を吹上装置107により吹き上げる場合においては、吹上装置から噴出される気体が接触する側、即ち下側のガラス板Gの吹き上げられる領域G5の温度を歪点より高く徐冷点以下、かつ下側のガラス板Gの周縁領域G2の温度を歪点以上の状態となるまで冷却した後に、吹き上げることが必要である。このとき、載置された2枚のガラス板Gのうち、上側のガラス板の吹き上げられる領域G5においても、吹き上げられる領域G5の温度を歪点より高く徐冷点以下、かつ上側のガラス板Gの周縁領域G2の温度を歪点以上の状態となるまで冷却することが好ましいが、上側のガラス板においては、必ずしも吹き上げられる前にガラス板Gの吹き上げられる領域G5の温度を歪点より高く徐冷点以下、かつ上周縁領域G2の温度を歪点以上の状態となるまで冷却しなくてもよい。
図1に示す合わせガラス用ガラス板の製造装置103において、離型剤を介して板厚2mmのガラス板を、ガラス板Gの周縁領域を支持するように成形型104に載置し、加熱炉101を通過させて、自重により曲げ成形した。続いて、成形したガラス板Gを徐冷ゾーン102に搬入し、図2に示すように、ガラス板Gの吹き上げられる領域G5を冷却装置106によって冷却した。次に、下部冷却装置106Bのブロアの出力を調整し、吹上装置107として働かせることで、ガラス板Gの吹き上げられる領域G5を吹き上げて、ガラス板Gを成形型104から離間して徐冷した。次に、吹上装置107の噴出手段から気体を噴出し続けることで、当接部材にガラス板Gを当接させ、ガラス板Gが吹き上げられた状態を保持し、所定時間徐冷した。この後、ガラス板を徐冷ゾーン102外に搬出して放冷した。
この際、吹き上げられる領域G5は、外周端Aから面内側に200mm離れた領域とし、吹上装置107として縦×横が500mm×800mmの楕円形状のダクトを噴出手段として有するものを用いた。
なお、本実施例で用いたガラス板Gは、ソーダライムガラスであり、軟化点(成形温度)が620℃、徐冷点が550℃、歪点が510℃であった。また、本実施例では徐冷ゾーン102の雰囲気温度は約400℃であり、徐冷ゾーン102内における放冷時の吹き上げられる領域G5の冷却速度は6℃/secであった。
以上のようにして成形されたガラス板Gを、表1に示す例1〜例4の条件で徐冷した。表1には、例1〜例4それぞれの徐冷条件とI/Tの最大値を示す。
Figure 2017077973
表1において、吹上時中心温度とは、吹上装置107を働かせたときのガラスGの吹き上げられる領域G5の中心部分の温度を示す。また、冷却時間とは、軟化点付近まで加熱させたガラス板Gの吹き上げられる領域G5の温度が歪点より高く徐冷点以下となるように、冷却装置106を用いて冷却を開始させてから吹き上げるまでの時間を示す。また、冷却速度とは、吹上前工程において冷却装置106が吹き上げられる領域G5を冷却する速度を示す。
表1の結果から、吹き上げられる領域G5の温度が歪点より高く徐冷点以下、かつ周縁領域G2の温度が歪点以上のときに吹き上げることで、充分な応力緩和ができ、I/Tを小さくすることができた。また、例1〜例4の全ての場合において、ガラス板Gの面内に歪は発生しなかった。
また、図7には、本願の一実施形態における徐冷方法でガラス板Gを徐冷した場合と、比較例として従来の徐冷条件でガラス板Gを徐冷した場合の、中心温度と時間との関係を示す。
ここで、中心温度とは、吹き上げられる領域G5の中心部分の温度とし、ガラス板の表面の温度を測定した。この際、サンプルとなるガラス板Gの作成手順、吹き上げられる領域G5の大きさ、吹上装置107及び用いるガラス板の種類は、表1の例1〜例4と同様とし、冷却速度は17℃/secとした。比較例の徐冷条件は先行技術として挙げた特表2011−096446号公報の徐冷方法でガラス板Gを徐冷した場合の徐冷条件を用いた。
図7から、比較例である徐冷方法で徐冷した場合、軟化点から、成形型104から離間させる温度である歪点(510℃)まで冷却するのに約100秒を要し、E/C、I/Tの値が決定する温度である歪点―10℃(500℃)まで冷却するのに約110℃を要する。
それに対して、本願の一実施形態における徐冷方法で徐冷した場合、軟化点から、成形型104から離間させる温度(535℃)まで冷却するのに5秒であり、E/C、I/Tの値が決定する歪点―10℃(500℃)まで徐冷するのに10秒であった。
以上の結果より、本実施態様の徐冷条件は従来に比べて徐冷完了までの時間を短くすることが可能になり生産性が向上する。
これは、比較例よりもガラス面内の温度が高い温度域(510℃〜550℃)であっても、ガラス板Gを成形型104から離間させて徐冷することができること、及び、ガラス板Gの外周端から面内側に50mm以上離れた領域を優先的に冷却することによって達成できた。
また、以下図8を用いて、本願の一実施形態における徐冷方法でガラス板Gを徐冷したときの、ガラス板Gのある断面において、外周端Aから距離とその位置におけるガラス板Gの温度の関係を示す。
この際、サンプルとなるガラス板Gの作成手順、吹き上げられる領域G5の大きさ、吹上装置107及び用いるガラス板の種類は、表1の例1〜例4と同様とし、冷却速度は28℃/secとした。
図8中の凡例である0sec、2sec、4secは、それぞれ冷却装置106が作動してからの時間を示す。
図8より、冷却装置106による冷却によって、短時間(冷却を開始して約3〜5秒)でガラス板Gの吹き上げられる領域G5の温度が歪点より高く徐冷点以下、かつガラス板Gの周縁領域G2の温度が歪点以上の状態となることが分かった。
また、以下図9を用いて、例1の徐冷方法でガラス板Gを徐冷したときの、外周端Aから吹き上げられる領域G5までの距離とそのときに発生するI/Tの最大値との関係を示す。
図9より、外周端Aから吹き上げられる領域G3までの距離が130mm以上、より好ましくは150mm以上とすることでI/Tを小さくすることができた。
本発明は、生産性が高く、ガラス板面内に歪が発生せず、かつI/Tが小さいガラス板の製造方法及び製造装置に関する。本発明により製造されたガラス板は、合わせガラスを製造する際に使用するガラス板として最適であり、自動車、その他車両の合わせガラスとして有用である。
101 加熱炉
102 徐冷ゾーン
103 合わせガラス用ガラス板の製造装置
104 成形型
105 台車
106A,106B 冷却装置
107 吹上装置
108 当接部材
A 外周端
B 一点鎖線
C 破線
D 点線
E 二点鎖線
F 幅
g 板ガラス
G ガラス板
G1 エッジ
G2 周縁領域
G3 面内領域
G4 冷却領域
G5 吹き上げられる領域

Claims (15)

  1. 曲げ成形され、リング状の成形型に載置された、軟化点付近の高温のガラス板の徐冷方法において、
    前記ガラス板を前記成形型に載置させた状態で冷却する吹上前工程と、
    前記ガラス板を吹上装置によって吹き上げて、前記成形型から離間させながら徐冷する吹上工程と、
    前記ガラス板を前記成形型から離間させた状態を当接部材に当接させることで保持しながら徐冷する吹上保持工程と、
    を備え、
    前記吹上装置は、前記ガラス板の下方に設けられ、前記ガラス板に向けて気体を噴出する噴出手段を備え、
    前記当接部材は、前記ガラス板の上方に空間を隔てて設けられ、
    前記ガラス板は、前記ガラス板の外周端から面内側50mm未満の周縁領域と、前記ガラス板の外周端から面内側に50mm以上離れた平面視で前記噴出手段と対向する領域(以下「吹き上げられる領域」という)と、を有し、
    前記吹上前工程は、前記吹き上げられる領域の温度を徐冷点以下まで冷却し、
    前記吹上工程は、前記吹き上げられる領域の温度が歪点より高く徐冷点以下、かつ前記周縁領域の温度が歪点以上で前記噴出手段から前記気体の噴出を開始し、前記気体の圧力によって前記ガラス板を吹き上げ、
    前記吹上保持工程は、前記気体の圧力によって前記ガラス板が吹き上げられた状態を保持することを特徴とするガラス板の徐冷方法。
  2. 前記吹上工程は、前記吹き上げられる領域の温度が徐冷点−20℃以上徐冷点以下、かつ前記周縁領域の温度が歪点以上の状態で、前記気体の噴出を開始する請求項1に記載のガラス板の徐冷方法。
  3. 前記吹上前工程において、前記ガラス板の冷却速度が、7℃/sec以上50℃/sec以下である請求項1又は2に記載のガラス板の徐冷方法。
  4. 前記吹き上げられる領域は、前記ガラス板の外周端から面内側に130mm以上離れた領域内に設けられる請求項1から3のいずれかに記載のガラス板の徐冷方法。
  5. 前記吹き上げられる領域は、前記吹上前工程において気体を吹き付けられることによって冷却される請求項1から4のいずれかに記載のガラス板の徐冷方法。
  6. 前記吹上前工程と前記吹上工程とが、同位置で行われる請求項1から5のいずれかに記載のガラス板の徐冷方法。
  7. 前記吹上前工程の前に、前記ガラス板を加熱炉内で軟化点付近に加熱して成形する加熱成形工程を有し、前記吹上前工程と前記吹上工程と前記吹上保持工程とが、前記加熱炉外で行われる請求項1から7のいずれかに記載のガラス板の徐冷方法。
  8. 前記ガラス板は、プレス成形によって曲げ成形されたガラス板である請求項1から8のいずれかに記載のガラス板の徐冷方法。
  9. 軟化点付近に加熱されて曲げ成形されたガラス板が載置されるリング状の成形型と、
    前記ガラス板が前記成形型に載置された状態で、前記ガラス板を冷却する冷却装置と、
    気体を噴出して前記ガラス板を吹き上げ、前記成形型から離間させる吹上装置と、
    吹き上げられた前記ガラス板と当接する当接部材と、
    を備え、
    前記吹上装置は、前記ガラス板の下方に設けられ、前記ガラス板に向けて気体を噴出する噴出手段を備え、
    前記噴出手段は、前記ガラス板が成形型に載置された状態で、前記ガラス板の外周端から面内側に50mm以上離れた面内領域の少なくとも一部に対向して設けられ
    前記当接部材は、前記ガラス板の上方に空間を隔てて設けられ、
    前記冷却装置は、前記ガラス板と前記噴出手段が対向する領域(以下「吹き上げられる領域」という)を冷却し、
    前記吹上装置は、前記吹き上げられる領域に向けて前記気体を噴出することで、前記気体の圧力で前記ガラス板を吹き上げ、前記気体の圧力で前記ガラス板を前記当接部材に当接させ、前記ガラス板が吹き上げられた状態を保持することを特徴とするガラス板の徐冷装置。
  10. 前記冷却装置は、前記ガラス板の前記吹き上げられる領域の温度を、7℃/sec以上50℃/sec以下の冷却速度で、軟化点付近から徐冷点以下まで冷却可能である請求項9に記載のガラス板の徐冷装置。
  11. 前記吹上装置は、前記吹き上げられる領域を、前記ガラス板の外周端から面内側に130mm以上離れた領域内に設ける請求項9又は10に記載のガラス板の徐冷装置。
  12. 前記冷却装置は、前記ガラス板に気体を吹き付ける冷却手段を備える請求項9から11のいずれかに記載のガラス板の冷却装置。
  13. 前記冷却装置は、前記ガラス板の下方に設けられる下部冷却装置を備え、前記下部冷却装置が前記吹上装置を兼ねる請求項9から12のいずれかに記載のガラス板の徐冷装置。
  14. 前記ガラス板を軟化点付近に加熱する加熱炉を備え、前記徐冷装置は前記加熱炉外に設けられる請求項9から13のいずれかに記載のガラス板の徐冷装置。
  15. 前記冷却装置の前に、前記ガラス板を曲げ成形するプレス装置を備える請求項9から14のいずれかに記載のガラス板の徐冷方法。
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