以下で説明する実施形態1に係る多重管放電ランプ1及び実施形態2に係る多重管放電ランプ2、2A、2Bは、発光管15、25と、外管11、21と、第1導線12A、22Aと、第2導線12B、22Bと、絶縁体14、24とを具備する。発光管15、25は、両端部の各々に封着部16、26が設けられる。外管11、21は、発光管15、25が内部に配置される。第1導線12A、22Aは、発光管15、25の一の封着部16A、26Aから延び、一の封着部16A、26A側から外管11、21外へ延びる。第2導線12B、22Bは、発光管15、25の他の封着部16B、26Bから延び、発光管15、25外かつ外管11、21内を発光管15、25の管軸に沿って通り、一の封着部16A、26A側から外管11、21外へ延びる。絶縁体14、24は、第2導線12B、22Bのうち、管軸に沿う部分を覆う。多重管放電ランプ1、2、2A、2Bを梱包するための梱包構造は、磁石18、28、38を具備する。磁石18、28、38は、外管11、21外に配置され、第2導線12B、22Bを磁力により保持する。
また、以下で説明する実施形態1に係る多重管放電ランプ1及び実施形態2に係る多重管放電ランプ2、2A、2Bの梱包構造において、管軸に直交する断面において、磁石18、28、38は、発光管15、25の中心CN1、CN2から第2導線12B、22Bに延びる直線LN1、LN2と交差する位置に配置される。
また、以下で説明する実施形態1に係る多重管放電ランプ1及び実施形態2に係る多重管放電ランプ2、2A、2Bの梱包構造において、磁石18、28、38の磁力は、50N(ニュートン)以上である。
また、以下で説明する実施形態1に係る多重管放電ランプ1及び実施形態2に係る多重管放電ランプ2、2A、2Bの梱包構造において、第2導線12B、22Bは、鉄、ニッケル、コバルトのいずれか1つを含む材料により形成される。
また、以下で説明する実施形態1に係る多重管放電ランプ1及び実施形態2に係る多重管放電ランプ2、2A、2Bの梱包構造において、絶縁体14、24は、ガラスである。
また、以下で説明する実施形態1に係る多重管放電ランプ1及び実施形態2に係る多重管放電ランプ2、2A、2Bの梱包構造は、磁石18、28、38を保持する磁石容器31を具備する。
また、以下で説明する実施形態1及び実施形態2に係る多重管放電ランプ梱包体は、多重管放電ランプ1、2、2A、2Bと、多重管放電ランプ1、2、2A、2Bの梱包構造とを具備する。
[実施形態1]
まず、本発明の実施形態1に係る多重管放電ランプ1および多重管放電ランプ1を梱包するための梱包構造について図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る多重管放電ランプ1を示す側面図である。具体的には、図1は、実施形態1に係る多重管放電ランプ1の金属部材13を断面として示す側面図である。なお、以降「多重管放電ランプ1を梱包するための梱包構造」を単に「梱包構造」と称する。
実施形態1に係る多重管放電ランプ1は、タングステンを主成分とする電極(図示省略)を備え、保温を目的として2重のガラス管構造を有する多重管ランプであって、発光管15に水銀を封入した水銀ランプである。例えば、図1に示す多重管放電ランプ1は、光化学重合用の紫外線光源として用いられ、電極間距離が1m以上のロングアーク型の多重管ランプである。例えば、図1に示す多重管放電ランプ1において、入力電力は8kWであり、電圧1300V、電流7.2Aである。
多重管放電ランプ1は、発光管15と、外管11と、第1導線12Aと、第2導線12Bと、絶縁体14とを具備する。また、多重管放電ランプ1の梱包構造は、磁石18と、磁石容器31−1、31−2(図7参照)とを具備する。なお、磁石容器31−1と、磁石容器31−2とを区別せずに説明する場合、磁石容器31と記載する場合がある。また、図1では、磁石容器31の図示を省略する。例えば、磁石18は、磁石容器31内に挿入され、磁石容器31に保持される。磁石容器31には、例えばシリコンやウレタン等の樹脂が用いられる。
発光管15は、内部に水銀を封入した水銀ランプである。例えば、発光管15は、石英やホウ珪酸ガラス等により形成される。図1の例では、発光管15内には水銀が1.5g、放電補助用のアルゴンが10Torr封入される。また、発光管15は、水銀を十分に蒸発させる為、電極周辺に保温を目的として白金の保温膜が塗布される。また、図1に示す例において、発光管15は管軸方向における電極間の長さL13が1300mmである。
また、発光管15の両端部には、封着部16A、16Bが設けられる。なお、封着部16A、16Bを区別しない場合は、封着部16とする場合がある。各封着部16には、直径3mmのドープタングステン製電極に溶接されたモリブデン箔(図示省略)が封着され、発光管15内の気密を保つ構造となっている。例えば、封着部16に封着されるモリブデン箔は、厚さ0.025mm、幅6mm、長さ25mmのモリブデン箔である。
外管11は、発光管15が内部に配置される。例えば、外管11は、石英やホウ珪酸ガラス等により形成される。図1では、外管11は、管状に形成されており、外管11の管軸に発光管15が管軸を沿わせて内部に配置される。このように、図1に示す多重管放電ランプ1においては、発光管15内の水銀蒸気圧を上げる為、2重のガラス管構造となっている。また、図1に示す例において、外管11は管軸方向の長さL11が3500mmである。
また、外管11と発光管15との間の空間17には、発光管15を外管11内に保持するために金属部材13が設けられる。金属部材13には、例えば、ニオブが用いられる。また、空間17内には、金属部材13の酸化を抑制する為、窒素が、例えば50kPa程度充填されている。
多重管放電ランプ1は、外管11の内側に第1導線12Aと第2導線12Bとを有する。第1導線12Aは、発光管15の一の封着部16Aから延び、一の封着部16A側から外管11外へ延びる。また、第2導線12Bは、発光管15の他の封着部16Bから延び、発光管15外かつ外管11内を発光管15の管軸に沿って通り、一の封着部16A側から外管11外へ延びる。すなわち、図1に示す多重管放電ランプ1は、いわゆる片側給電式の水銀ランプである。なお、第1導線12Aと第2導線12Bとを区別しない場合は、導線12とする場合がある。導線12は、鉄、ニッケル、コバルトのいずれか1つを含む材料により形成される。また、図1に示す例において、外管11外へ延びる導線12の長さL14が150mmである。図1では、導線12は、外管11の底壁111から外管11外へ延びる。例えば、導線12により、発光管15(の電極)に電力が供給される。
例えば、図1に示す例において、第1導線12Aは、封着部16A側に設けられた金属部材13を挿通され、外管11外へ延びる。また、例えば、図1に示す例において、第2導線12Bは、封着部16B側に設けられた金属部材13を挿通され折り返された後、発光管15外かつ外管11内を発光管15の管軸に沿って通る。第2導線12Bにおける発光管15の管軸に沿って延びる部分(以下、「引戻部分」とする場合がある)は、封着部16B側の金属部材13及び封着部16A側に設けられた金属部材13に挿通される。
ここで、第2導線12Bにおける引戻部分は、第2導線12Bと金属部材13との絶縁性を確保する為、絶縁性材料により形成される絶縁体14で周囲を取り囲まれる。すなわち、絶縁体14は、第2導線12Bのうち、発光管15の管軸に沿う部分(引戻部分)を覆う。また、図1に示す例において、第2導線12Bの引戻部分を覆う絶縁体14の長さL12が1830mmであり、外径8.4mm、厚さ1.7mmである。図1に示す例では、絶縁体14の長さL12は、金属部材13間の発光管15の管軸方向の長さよりも長い。
例えば、多重管放電ランプ1の点灯中は絶縁体14の温度が500〜650℃程度になる為、絶縁性能だけでなく耐熱性能が求められるため、絶縁体14には石英やホウ珪酸ガラス等が用いられる。図1に示す例では、絶縁体14には、石英管が用いられる。なお、図1に示す例では、第1導線12Aの金属部材13に挿通される部分には絶縁体141が設けられ、第2導線12Bの引戻部分以外の金属部材13を挿通される部分にも絶縁体142が設けられる。これにより、導線12と金属部材13との絶縁性が確保される。
また、磁石18は、外管11外に配置され、第2導線12Bを磁力により保持する。例えば、磁石18の磁力は、50N(ニュートン)以上である。また、例えば、磁石18には、アルニコ磁石、フェライト磁石、ネオジム磁石、サマリウムコバルト磁石など種々の磁石が適宜用いられる。なお、本実施形態においては、磁石18には、ネオジム磁石が用いられる。例えば、磁石18は、多重管放電ランプ1の輸送時等の導線12に変形が生じる際に導線12の保持のために用いられ、多重管放電ランプ1の使用時においては、多重管放電ランプ1から取り外される。
ここで、図2を用いて、磁石18の配置について説明する。図2は、実施形態1に係る多重管放電ランプ1および梱包構造を示す図1のA−A断面図である。図2に示すように、磁石18は、発光管15の管軸に直交する断面において、発光管15の中心CN1から第2導線12Bに延びる直線上であって、外管11の近接する位置に配置される。具体的には、磁石18は、発光管15の管軸に直交する断面において、発光管15の中心CN1と絶縁体14内に位置する第2導線12Bとを通る直線LN1上に配置される。すなわち、磁石18および磁石容器31は、絶縁体14内に位置する第2導線12Bを発光管15の中心CN1と挟む位置に配置される。これにより、磁石18は、絶縁体14に覆われた第2導線12Bの引戻部分を保持することができる。このように、磁石18は、例えば磁石容器31に挿入した状態で、外管11外に配置され、第2導線12Bを磁力により保持する。
前述した構成の実施形態1に係る多重管放電ランプ1の梱包構造は、外管11外に磁石18、磁石容器31を配置することにより、絶縁体14に覆われた第2導線12Bの引戻部分を磁力により外管11に引っ張ることにより、第2導線12Bの引戻部分を保持することができる。これにより、多重管放電ランプ1の梱包構造は、外管11外に磁石18を配置することにより、第2導線12Bの引戻部分に曲り等の変化が生じることを抑制し、絶縁体14が破損することを抑制する。すなわち、外管11外に磁石18、磁石容器31を配置することにより、多重管放電ランプ1の輸送中に発生する加速度及び衝撃に起因する導線12の変形による絶縁体14の破損を抑制することができ、更に磁石18を磁石容器31に挿入した状態で取り付ける事により、安全性を向上させる事ができる。
前述した構成の実施形態1に係る多重管放電ランプ1の梱包構造は、発光管15の管軸に直交する断面において、磁石18が、発光管15の中心CN1から第2導線12Bに延びる直線LN1と交差する位置に配置される。これにより、多重管放電ランプ1は、絶縁体14に覆われた第2導線12Bの引戻部分を効率的に保持することができる。
また、前述した構成の実施形態1に係る多重管放電ランプ1の梱包構造において、第2導線12Bは、鉄、ニッケル、コバルトのいずれか1つを含む材料により形成される。これにより、多重管放電ランプ1は、磁石18の磁力により、第2導線12Bの引戻部分を保持することができる。
また、前述した構成の実施形態1に係る多重管放電ランプ1の梱包構造において、磁石18の磁力は、50N(ニュートン)以上である。これにより、多重管放電ランプ1は、絶縁体14に覆われた第2導線12Bの引戻部分を的確に保持することができる。
また、前述した構成の実施形態1に係る多重管放電ランプ1の梱包構造は、磁石18を保持する磁石容器31(図7参照)を具備する。これにより、磁石18を敷設して外部から磁力を印加し、第2導線12Bを保持する場合であっても、磁石18の取り付けや取り外し性を向上させ、かつ、磁石18に強磁性体を使用した場合であっても、取扱性及び安全性を向上させることができる。
[実施形態2]
次に、本発明の実施形態2に係る多重管放電ランプ2および梱包構造について図面に基づいて説明する。図3は、実施形態2に係る多重管放電ランプ2および梱包構造を示す側面図である。具体的には、図3は、実施形態2に係る多重管放電ランプ2および梱包構造の金属部材23を断面として示す側面図である。
実施形態2に係る多重管放電ランプ2は、タングステンを主成分とする電極(図示省略)を備え、保温を目的として3重のガラス管構造を有する多重管ランプであって、発光管25に水銀、ナトリウム、インジウム(In)、カドミウム(Cd)の内の少なくとも1種類以上の物質を封入した金属蒸気放電ランプである。具体的には、図3に示す多重管放電ランプ2は、50kWの超大型ナトリウムランプである。例えば、図3に示す多重管放電ランプ2は、光化学重合用の紫外線光源として用いられ、電極間距離が1m以上のロングアーク型の多重管ランプである。
多重管放電ランプ2は、発光管25と、外管21と、第1導線22Aと、第2導線22Bと、絶縁体24とを具備する。また、多重管放電ランプ2の梱包構造は、磁石28を具備する。
発光管25は、ナトリウム(Na)を封入したナトリウムランプである。例えば、発光管25は、アルミナ等により形成される。図3の例では、発光管25内にはナトリウムと水銀のアマルガム8gを封入される。また、発光管25の両端部には、ニオブ製の円錐状部材である封着部26A、26Bが設けられる。なお、封着部26A、26Bを区別しない場合は、封着部26とする場合がある。
また、発光管25の外側には保護管27が設けられる。例えば、保護管27は、石英やホウ珪酸ガラス等により形成される。図3では、保護管27としては、石英製の管が用いられる。また、発光管25と保護管27との間の空間は、保温を目的として真空状態にされる。
外管21は、発光管25が内部に配置される。図3の例では、外管21は、保護管27に覆われた発光管25が内部に配置される。例えば、外管21は、石英やホウ珪酸ガラス等により形成される。図3では、外管21は、管状に形成されており、外管21の管軸に発光管25が管軸を沿わせて外管21内に配置される。また、図3に示す例において、外管21は管軸方向の長さL21が2900mmである。
また、外管21と保護管27との間には、保護管27及び発光管25を外管21内に保持するために金属部材23が設けられる。金属部材23には、例えば、ニオブなどが用いられる。また、外管21と保護管27との間の空間には、金属部材23の酸化を抑制する為、窒素が、例えば50kPa程度充填されている。
多重管放電ランプ2は、外管21の内側に第1導線22Aと第2導線22Bとを有する。第1導線22Aは、発光管25の一の封着部26Aから延び、一の封着部26A側から外管21外へ延びる。また、第2導線22Bは、発光管25の他の封着部26Bから延び、発光管25外かつ外管21内を発光管25の管軸に沿って通り、一の封着部26A側から外管21外へ延びる。すなわち、図3に示す多重管放電ランプ2は、いわゆる片側給電式のナトリウムランプである。なお、第1導線22Aと第2導線22Bとを区別しない場合は、導線22とする場合がある。導線22は、鉄、ニッケル、コバルトのいずれか1つを含む材料により形成される。また、図3に示す例において、外管21外へ延びる導線22の長さL23が811mmである。図3では、導線22は、外管21の底壁211から外管21外へ延びる。例えば、導線22により、発光管25(の電極)に電力が供給される。
例えば、図3に示す例において、第1導線22Aは、保護管27内及び外管21内を通り、外管21外へ延びる。また、例えば、図3に示す例において、第2導線22Bは、保護管27外へ延び、保護管27外において折り返された後、保護管27(発光管25)外かつ外管21内を発光管25の管軸に沿って通る。また、第2導線22Bにおける発光管25の管軸に沿って延びる部分(以下、「引戻部分」とする場合がある)は、外管21の内側に発光管25を挟むように対向し一対形成される。ここに、第2導線22Bにおける引戻部分は、複数設けられた金属部材23に挿通される。
ここで、第2導線22Bにおける一対の引戻部分の各々は、第2導線22Bと金属部材23との絶縁性を確保する為、絶縁性材料により形成される絶縁体24A、24Bで周囲を取り囲まれる。図3に示す例では、外管21の内側に発光管25を挟むように対向する一対形成される第2導線22Bの引戻部分の各々が、絶縁体24A、24Bによりに覆われる。なお、絶縁体24A、24Bを区別しない場合は、絶縁体24とする場合がある。すなわち、絶縁体24は、第2導線22Bのうち、発光管25の管軸に沿う部分(引戻部分)を覆う。これにより、導線22と金属部材23との絶縁性が確保される。
また、図3に示す例において、第2導線22Bの引戻部分を覆う絶縁体24の長さL22が2530mmであり、外径8.4mm、厚さ1.7mmである。図3に示す例では、絶縁体24の長さL22は、発光管25の管軸方向の両端に位置する金属部材23間の長さよりも長い。例えば、多重管放電ランプ2の点灯中は絶縁体24の温度が高温になる為、絶縁性能だけでなく耐熱性能が求められるため、絶縁体24には石英やホウ珪酸ガラス等が用いられる。図3に示す例では、絶縁体24には、石英管が用いられる。
また、磁石28A、28Bは、外管21外に配置され、第2導線22Bを磁力により保持する。具体的には、磁石28Aは、第2導線22Bにおける絶縁体24Aに覆われた引戻部分を保持する。また、磁石28Bは、第2導線22Bにおける絶縁体24Bに覆われた引戻部分を保持する。なお、磁石28A、28Bを区別しない場合は、磁石28とする場合がある。例えば、磁石28の磁力は、50N(ニュートン)以上である。また、例えば、磁石28には、アルニコ磁石、フェライト磁石、ネオジム磁石、サマリウムコバルト磁石など種々の磁石が適宜用いられる。なお、本実施形態においては、磁石28には、ネオジム磁石が用いられる。例えば、磁石28は、多重管放電ランプ2の輸送時等の導線22に変形が生じる際に導線22の保持のために用いられ、多重管放電ランプ2の使用時においては、多重管放電ランプ2から取り外される。
ここで、図4を用いて、磁石28の配置について説明する。図4は、実施形態2に係る多重管放電ランプ2を示す図3のB−B断面図である。図4に示すように、磁石28は、発光管25の管軸に直交する断面において、発光管25の中心CN2から第2導線22Bに延びる直線上であって、外管21の近接する位置に配置される。具体的には、磁石28は、発光管25の管軸に直交する断面において、発光管25の中心CN2と絶縁体24内に位置する第2導線22Bとを通る直線LN2上に配置される。
例えば、磁石28Aは、発光管25の管軸に直交する断面において、発光管25の中心CN2と絶縁体24A内に位置する第2導線22Bとを通る直線LN2上に配置される。また、例えば、磁石28Bは、発光管25の管軸に直交する断面において、発光管25の中心CN2と絶縁体24B内に位置する第2導線22Bとを通る直線LN2上に配置される。すなわち、磁石28は、絶縁体24内に位置する第2導線22Bを発光管25の中心CN2と挟む位置に配置される。これにより、磁石28は、絶縁体24に覆われた第2導線22Bの引戻部分を保持することができる。なお、発光管25の中心CN2と絶縁体24A内に位置する第2導線22Bとを通る直線LN2上に絶縁体24B内に位置する第2導線22Bが位置しない場合、磁石28Aと磁石28Bとは、異なる直線上に配置されてもよい。
ここで、図5を用いて、磁石28による導線22の保持について説明する。図5は、実施形態2に係る多重管放電ランプにおける磁力による導線の保持を示す要部側面図である。
図5に示す例において、点線で示す部分が磁石28を配置する前における絶縁体24A及び第2導線22Bの位置を示す。また、図5に示す例において、実線で示す部分が、磁石28Aが配置され、磁力MF1により保持された絶縁体24A及び第2導線22Bの位置を示す。図5に示すように、磁石28Aの磁力MF1により、第2導線22Bが外管21側へ引き寄せられて保持される。
これにより、多重管放電ランプ2の梱包構造は、外管21外に磁石28を配置することにより、第2導線22Bの引戻部分を外管21側に引き寄せて保持する。これにより、多重管放電ランプ2の輸送中に発生する加速度及び衝撃に起因する導線22の変形による絶縁体24の破損を抑制することができる。なお、磁石28Aの磁力MF1により、絶縁体24A及び第2導線22Bは、外管21の内周面と絶縁体24Aとが接触する位置に保持されてもよい。
上記例においては、第2導線22Bの各引戻部分に1つの磁石28を配置したが、第2導線22Bの各引戻部分に複数の磁石28を配置してもよい。この点について、図6を用いて説明する。図6は、実施形態2に係る多重管放電ランプの梱包構造における他の磁石の配置を示す側面図である。
図6の例では、多重管放電ランプ2Aの梱包構造における各引戻部分に4つの磁石28を配置する例を示す。なお、多重管放電ランプ2Aの梱包構造において、多重管放電ランプ2と同様の構成については、同一の番号を付して説明を省略する。例えば、第2導線22Bにおける絶縁体24Aに覆われた引戻部分には、磁石28A−1、磁石28A−2、磁石28A−3、及び磁石28A−4が配置される。具体的には、第2導線22Bにおける絶縁体24Aに覆われた引戻部分には、磁石28A−1、磁石28A−2、磁石28A−3、及び磁石28A−4が発光管25の管軸方向に沿って並べて配置される。例えば、磁石28A−1、磁石28A−2、磁石28A−3、及び磁石28A−4は発光管25の管軸方向に15〜20cm程度の間隔を開けて等間隔に並べて配置される。また、例えば、磁石28A−1〜4の磁力は、50N(ニュートン)以上である。
また、例えば、第2導線22Bにおける絶縁体24Bに覆われた引戻部分には、磁石28B−1、磁石28B−2、磁石28B−3、及び磁石28B−4が配置される。具体的には、第2導線22Bにおける絶縁体24Bに覆われた引戻部分には、磁石28B−1、磁石28B−2、磁石28B−3、及び磁石28B−4が発光管25の管軸方向に沿って並べて配置される。例えば、磁石28B−1、磁石28B−2、磁石28B−3、及び磁石28B−4は発光管25の管軸方向に15〜20cm程度の間隔を開けて等間隔に並べて配置される。また、例えば、磁石28B−1〜4の磁力は、50N(ニュートン)以上である。なお、磁石28A−1〜4、28B−1〜4を区別しない場合は、磁石28とする場合がある。このように、複数の磁石28を用いることにより、より的確に第2導線22Bの引戻部分を保持することができる。
次に図7〜図9を用いて、実施形態2に係る多重管放電ランプ2Bの梱包例(多重管放電ランプ梱包体)について説明する。なお、多重管放電ランプ2Bにおいて、多重管放電ランプ2と同様の構成については、同一の番号を付して説明を省略する。図7は、実施形態2に係る多重管放電ランプの梱包例を示す断面図である。図8は、実施形態2に係る多重管放電ランプの梱包例を示す分解斜視図である。具体的には、図8は、梱包部分を一部切り欠いた分解斜視図である。図9は、実施形態2に係る多重管放電ランプの梱包における磁石の配置例を示す断面図である。
図7〜図9の梱包例において、磁石38A−1〜3、38B−1〜3は、外管21外に配置され、第2導線22Bを磁力により保持する。具体的には、第2導線22Bにおける絶縁体24Aに覆われた引戻部分には、磁石38A−1、磁石38A−2、及び磁石38A−3が外管21の周方向に沿って並べて配置される。第2導線22Bにおける絶縁体24Bに覆われた引戻部分には、磁石38B−1、磁石38B−2、及び磁石38B−3が外管21の周方向に沿って並べて配置される。例えば、磁石38A−1、磁石38A−2、及び磁石38A−3の磁力は、50N(ニュートン)以上である。また、例えば、磁石38B−1、磁石38B−2、及び磁石38B−3の磁力は、50N(ニュートン)以上である。なお、磁石38A−1〜3、38B−1〜3を区別しない場合は、磁石38とする場合がある。例えば、磁石38には、アルニコ磁石、フェライト磁石、ネオジム磁石、サマリウムコバルト磁石など種々の磁石が適宜用いられる。なお、本実施形態においては、磁石38には、ネオジム磁石が用いられる。例えば、磁石38は、多重管放電ランプ2Bの輸送時等の導線22に変形が生じる際に導線22の保持のために用いられ、多重管放電ランプ2Bの使用時においては、多重管放電ランプ2Bから取り外される。
また、図7〜図9の梱包例において、外管21と磁石38との間には、磁石容器31が位置する。また、磁石38の外側には、保護シート33が設けられる。例えば、保護シート33には、シリコン製の保護シートが用いられる。
図8に示すように、多重管放電ランプ2Bの梱包時においては、外管21側から磁石容器31、磁石38、保護シート33の順で配置される。また、磁石容器31、磁石38、及び保護シート33は、外管21の周方向に囲む一対の結束バンド34、35により外管21に対して位置固定される。すなわち、磁石38は、保護シート33外から結束バンド34、35により外管21の近傍に位置固定される。また、図9に示すように、多重管放電ランプ2Bの梱包時においては、結束バンド34、35は、磁石38の近傍を通るように配置される。具体的には、結束バンド34、35は、外管21の管軸方向に磁石容器31を挟むように磁石容器31の近傍に配置される。これにより、結束バンド34、35は、磁石容器31をより的確に位置固定することができる。したがって、結束バンド34、35は、磁石38をより的確に位置固定することができる。
例えば、磁石容器31の材質をウレタンやシリコン等の樹脂とすることにより、磁石38間に操作者等の手が位置する場合であっても、磁石38との間に磁石容器31が介在するため安全性が向上するという効果が得られる。なお、例えば、ランプ(外管21)を構成するガラスがホウ珪酸ガラスである場合、磁石容器31にはウレタン等のホウ珪酸ガラスと反応しない材料が用いられることが望ましい。また、磁石容器31の寸法に関しては、磁石容器31のランプ(外管21)に接する側と反対側の厚さを2mm以上とすることが好ましい。例えば、磁石容器31において、磁石38が配置される位置から外管21から離れる方向への厚さを2mm以上とすることが好ましい。また、磁石38と被吸着物ランプ(外管21)に接する側の厚さは、1.0〜1.5mmであることにより十分な磁力が得られる。例えば、磁石容器31において、磁石38が配置される位置から外管21に近づく方向への厚さは、1.0〜1.5mmであることが好適である。
次に、実施形態2に係る多重管放電ランプおよび多重管放電ランプの梱包構造、すなわち、多重管放電ランプ梱包体の振動試験について、図10及び図11を用いて説明する。図10は、実施形態2に係る多重管放電ランプ梱包体の振動試験の条件を示す図である。図11は、実施形態2に係る多重管放電ランプ梱包体の振動試験の結果を示す図である。なお、図11に示す結果は、図7〜図9に示す梱包状態における振動試験の結果を示す。具体的には、図11に示す結果は、第2導線22Bの各引戻部分に対して外管21の周方向に3つ並んだ磁石38A−1〜3、38B−1〜3の列が、外管21の管軸方向に4列形成(図6の側面図参照)される場合の結果を示す。また、図10及び図11に示す振動試験における外管21の内表面と導線の引戻部分との距離は10mm程度である。
図10に示すように振動試験の条件は、JIS(日本工業規格)における包装貨物性能試験方法一般通則(0200:2013)に準拠する。今回の振動試験においては、試験時間が最も長い180分であるレベル1の条件で振動試験を行い、結果を図11に示す。「吸引力FM」の行は、振動試験に用いた磁石の吸引力(磁力)を示す。
また、「絶縁体割れ」の行は、上記レベル1の条件の基、対応する吸引力の磁石を用いて振動試験を行った場合に、絶縁体に割れが生じたかを示す。例えば、「絶縁体割れ」が「×」の場合、対応する吸引力の磁石を用いて振動試験を行った結果、絶縁体に割れが生じたことを示す。また、例えば、「絶縁体割れ」が「○」の場合、対応する吸引力の磁石を用いて振動試験を行った結果、絶縁体に割れが生じなかったことを示す。また、例えば、「絶縁体割れ」が「△」の場合、対応する吸引力の磁石を用いて振動試験を行った結果、絶縁体に割れが生じなかったが、複数回に亘って試験を繰り返した場合において絶縁体に割れが生じる可能性があることを示す。
また、「取り外し性」の行は、対応する吸引力の磁石を用いて振動試験を行った場合に、磁石を人力により取り外す、すなわち外管から遠ざけることが容易であったかを示す。例えば、「取り外し性」が「×」の場合、対応する吸引力の磁石を用いて振動試験を行った場合、磁石を人力により取り外す、すなわち外管から遠ざけることが困難であったことを示す。また、例えば、「取り外し性」が「○」の場合、対応する吸引力の磁石を用いて振動試験を行った場合、磁石を人力により取り外す、すなわち外管から遠ざけることが容易であったことを示す。
図11に示すように、吸引力FMが12〜41N(ニュートン)の磁石を用いた場合、振動試験において絶縁体割れが生じた。そのため、以下の数式(1)に示すように、磁石の吸引力(磁力)は、50N(ニュートン)以上であることが望ましい。
吸引力FM ≧ 50N ・・・ (1)
また、図11に示すように、吸引力FMが150〜180N(ニュートン)の磁石を用いた場合、振動試験後において、磁石を取り外すことに困難が生じた。そのため、磁石を取り外すことを考慮すると、磁石の吸引力(磁力)は、120N(ニュートン)以下であることが望ましい。
なお、より的確に導線を保持し、絶縁体に割れが生じる可能性を低減することを考えれば吸引力FM=80N(ニュートン)以上を確保する事が望ましく、上記の取り外し易さを考慮すると、磁石の吸引力(磁力)は、以下の数式(2)の範囲である事が望ましい。
80N ≦ 吸引力FM ≧ 120N ・・・ (2)
前述した構成の実施形態2に係る多重管放電ランプ2、2A、2Bの梱包構造(多重管放電ランプ梱包体)は、外管21外に磁石28、38を配置することにより、絶縁体24に覆われた第2導線22Bの引戻部分を磁力により外管21に引っ張ることにより、第2導線22Bの引戻部分を保持することができる。これにより、多重管放電ランプ2、2A、2Bの梱包構造は、外管21外に磁石28、38を配置することにより、第2導線22Bの引戻部分に曲り等の変化が生じることを抑制し、絶縁体24が破損することを抑制する。すなわち、外管21外に磁石28、38を配置することにより、多重管放電ランプ2、2A、2Bの輸送中に発生する加速度及び衝撃に起因する導線22の変形による絶縁体24の破損を抑制することができる。
前述した構成の実施形態2に係る多重管放電ランプ2、2A、2Bの梱包構造(多重管放電ランプ梱包体)は、発光管25の管軸に直交する断面において、磁石28、38が、発光管25の中心CN1から第2導線22Bに延びる直線LN2と交差する位置に配置される。これにより、多重管放電ランプ2、2A、2Bは、絶縁体24に覆われた第2導線22Bの引戻部分を効率的に保持することができる。
また、前述した構成の実施形態2に係る多重管放電ランプ2、2A、2Bの梱包構造(多重管放電ランプ梱包体)において、磁石28、38の磁力は、50N(ニュートン)以上である。これにより、多重管放電ランプ2、2A、2Bは、絶縁体24に覆われた第2導線22Bの引戻部分を的確に保持することができる。
また、前述した構成の実施形態2に係る多重管放電ランプ2、2A、2Bにおいて、第2導線22Bは、鉄、ニッケル、コバルトのいずれか1つを含む材料により形成される。これにより、多重管放電ランプ2、2A、2Bは、磁石28、38の磁力により、第2導線22Bの引戻部分を保持することができる。
また、前述した構成の実施形態2に係る多重管放電ランプ2、2A、2Bにおいて、絶縁体24は、ガラスである。これにより、多重管放電ランプ2、2A、2Bは、磁石28、38の磁力により、第2導線22Bの引戻部分を保持し、発光管25の点灯により温度上昇による影響を絶縁体24が受けにくくすることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。