JP2017077100A - 電力変換装置及びその制御方法 - Google Patents

電力変換装置及びその制御方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2017077100A
JP2017077100A JP2015203492A JP2015203492A JP2017077100A JP 2017077100 A JP2017077100 A JP 2017077100A JP 2015203492 A JP2015203492 A JP 2015203492A JP 2015203492 A JP2015203492 A JP 2015203492A JP 2017077100 A JP2017077100 A JP 2017077100A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
power
current
converter
reactor
voltage
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015203492A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6500738B2 (ja
Inventor
貴司 文野
Takashi Fumino
貴司 文野
幸一 竹下
Koichi Takeshita
幸一 竹下
綾井 直樹
Naoki Ayai
直樹 綾井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Electric Industries Ltd filed Critical Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority to JP2015203492A priority Critical patent/JP6500738B2/ja
Publication of JP2017077100A publication Critical patent/JP2017077100A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6500738B2 publication Critical patent/JP6500738B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Inverter Devices (AREA)

Abstract

【課題】電力変換装置の運転状況の変化によって生じるDCバスの電圧上昇を抑制する。
【解決手段】直流/交流の電力変換を行う電力変換装置1であって、交流系統と接続され、交流リアクトル22を含むフィルタ回路21と、フィルタ回路21とDCバス20との間に設けられたDC/ACコンバータ11と、DCバス20に接続された中間コンデンサ19と、直流電源2とDCバス20との間に設けられ、直流リアクトル15を含むDC/DCコンバータ10と、DC/ACコンバータ11及びDC/DCコンバータ10を交流電力の電圧半周期内で停止期間があるようにスイッチング動作させ、かつ、直流リアクトル15に流れる電流が周期的に0になるようDC/DCコンバータ10を制御する制御部12と、を備え、制御部12は、直流リアクトル15に流れる電流が0近傍になるタイミングで交流リアクトル22に流れる電流目標値を変更する。
【選択図】図2

Description

本発明は、直流から交流への変換を行う電力変換装置に関する。
電力変換装置は、直流/直流の変換を行うDC/DCコンバータと、直流/交流の変換を行うDC/ACコンバータとを備えている。従来一般には、DC/DCコンバータ及びDC/ACコンバータは共に、常時スイッチング動作を行っている。これに対して、両コンバータのスイッチング回数を最小限にして効率を高める最小スイッチング方式の電力変換装置も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
このような最小スイッチング方式の電力変換装置では、DC/DCコンバータとDC/ACコンバータの間に位置する中間コンデンサの両端電圧すなわちDCバス電圧を、常時スイッチング方式の電力変換装置よりも低減することができる。これによって、より低耐圧の半導体デバイスやコンデンサを用いることができ、部品コストの低減、部品の小型化、半導体デバイスの損失低減等、を実現することができる。
一方、負荷に対して過不足の無いDC/DCコンバータの運転をするために、複数のDC/DCコンバータを互いに並列に設けた電力変換装置がある(例えば、特許文献2,3参照。)。この場合、各DC/DCコンバータの負担を均等化するために、各DC/DCコンバータの運転時間積算や電力積算等で運転並列数の変更及び回路組み合わせの変更を行うといった手法が採られている。
特許第5618022号公報 特開平11−127573号公報 特開2012−161215号公報
近年、太陽光発電システムが広く普及し、その結果として、商用電力系統の電圧上昇の問題が生じている。そのため、太陽光発電システムの出力抑制が求められる場合がある。しかし、このような出力抑制対応として、電力変換装置の出力電流目標値を急減させる際に、出力段の交流リアクトルを流れる電流はインダクタとしての特性上、目標値より緩慢に減少することになる。ここで、上記のような最小スイッチング方式の電力変換装置では、中間コンデンサの容量が小さい。そのため、出力段の交流リアクトルに電流が流れている状態で電流目標値を急減すると、交流リアクトルを流れる電流が目標値に追従できないため、交流リアクトル電流のフィードバック制御が働き、DC/ACコンバータにおける次の制御周期でのオンデューティが急減する。
その結果、中間コンデンサからDC/ACコンバータ側のキャリア周期平均で見たインピーダンスが増加し、直流リアクトル電流が通常動作時より多く中間コンデンサに流れ込み、中間コンデンサ電圧が上昇する(事象(a))。もし、このようなことに備えて、各部品の耐圧を定常時より高く設定するとなると、かかる最小スイッチング方式の利点の一つが損なわれかねない。
一方、並列に複数のDC/DCコンバータを設ける電力変換装置では、運転中に並列運転回路数及び運転回路の組み合わせを変更する際、各回路の直流リアクトル電流の目標値の急変を伴う。例えば、並列回路数の減少時は、停止する回路に流れていた電流分を各運転回路全体で補うため、各運転回路の電流目標値が急増する。そのため、直流リアクトル電流のフィードバック制御が働き、DC/DCコンバータにおける次の制御周期でのオンデューティが急増する。また、この際、DC/DCコンバータの電流増加時と電流減少時で回路トポロジーが異なる。
つまり、過渡状態における電流の時間変位が増加時と減少時とで互いに異なる。特に、増加時は電源に対して直流リアクトルの直列回路となるため、減少時より時間変位が大きい。そのため、過渡状態においては、運転するDC/DCコンバータの実電流の総和が電流目標値の総和を超えてしまう。これらの結果より、DC/ACコンバータ側に流れる電流や中間コンデンサに流れる電流が増加し、中間コンデンサ電圧すなわちDCバスの電圧が上昇する(事象(b))。
なお、前述の出力抑制の制限対象は、逆潮する余剰電力分であり、自家消費分は制限対象外である。そのため、発電を出力抑制分に抑えるのではなく、自家消費分まで発電する方が、より太陽光発電を有効活用できる。しかし、これには負荷変動に対する追従の早さが求められる。そして、その負荷変動に応じた発電電力の追従が遅いと、事象(a)及び(b)と同様の現象として、DCバスの電圧が上昇する現象が現れる(事象(c))。
このように、電力変換装置の運転状況の変化によって生じるDCバスの電圧上昇をいかにして抑制するかが、電力変換装置のさらなる改善課題となる。
(出力制御の観点)
本発明は、直流電源と交流系統との間で直流電力/交流電力の電力変換を行う電力変換装置であって、前記交流系統と接続され、交流リアクトルを含むフィルタ回路と、前記フィルタ回路とDCバスとの間に設けられたDC/ACコンバータと、前記DCバスに接続された中間コンデンサと、前記直流電源と前記DCバスとの間に設けられ、直流リアクトルを含むDC/DCコンバータと、前記DC/ACコンバータ及び前記DC/DCコンバータを前記交流電力の電圧半周期内で停止期間があるようにスイッチング動作させ、かつ、前記直流リアクトルに流れる電流が周期的に0になるよう前記DC/DCコンバータを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記直流リアクトルに流れる電流が0近傍になるタイミングで前記交流リアクトルに流れる電流目標値を変更する、電力変換装置である。
(並列多重の観点)
また、本発明は、直流電源と交流系統との間で直流電力/交流電力の電力変換を行う電力変換装置であって、前記交流系統と接続され、交流リアクトルを含むフィルタ回路と、前記フィルタ回路とDCバスとの間に設けられたDC/ACコンバータと、前記DCバスに接続された中間コンデンサと、前記直流電源と前記DCバスとの間にあって、互いに並列に複数組設けられ、各組に直流リアクトルを含むDC/DCコンバータと、前記DC/ACコンバータ及び前記DC/DCコンバータを前記交流電力の電圧半周期内で停止期間があるようにスイッチング動作させ、かつ、前記直流リアクトルに流れる電流が周期的に0になるよう前記DC/DCコンバータを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記直流リアクトルに流れる電流が0近傍になるタイミングで複数組の前記DC/DCコンバータの電流負担を変更する、電力変換装置である。
(出力制御の方法の観点)
また、本発明は、交流系統と接続され、交流リアクトルを含むフィルタ回路と、前記フィルタ回路とDCバスとの間に設けられたDC/ACコンバータと、前記DCバスに接続された中間コンデンサと、直流電源と前記DCバスとの間に設けられ、直流リアクトルを含むDC/DCコンバータと、を有し、直流電源と交流系統との間で直流電力/交流電力の電力変換を行う電力変換装置の制御方法であって、前記DC/ACコンバータ及び前記DC/DCコンバータを前記交流電力の電圧半周期内で停止期間があるようにスイッチング動作させ、かつ、前記直流リアクトルに流れる電流が周期的に0になるよう制御し、前記直流リアクトルに流れる電流が0近傍になるタイミングで前記交流リアクトルに流れる電流目標値を変更する、電力変換装置の制御方法である。
(並列多重の方法の観点)
また、本発明は、交流系統と接続され、交流リアクトルを含むフィルタ回路と、前記フィルタ回路とDCバスとの間に設けられたDC/ACコンバータと、前記DCバスに接続された中間コンデンサと、直流電源と前記DCバスとの間にあって、互いに並列に複数組設けられ、各組に直流リアクトルを含むDC/DCコンバータと、を有し、前記直流電源と前記交流系統との間で直流電力/交流電力の電力変換を行う電力変換装置の制御方法であって、前記DC/ACコンバータ及び前記DC/DCコンバータを前記交流電力の電圧半周期内で停止期間があるようにスイッチング動作させ、かつ、前記直流リアクトルに流れる電流が周期的に0になるよう制御し、前記直流リアクトルに流れる電流が0近傍になるタイミングで複数組の前記DC/DCコンバータの電流負担を変更する、電力変換装置の制御方法である。
本発明によれば、電力変換装置の運転状況の変化によって生じるDCバスの電圧上昇を抑制することができる。
電力変換装置を備えたシステムの一例を示すブロック図である。 電力変換装置の回路図の一例である。 制御部のブロック図である。 直流入力電圧検出値、及び昇圧回路電流検出値の経時変化をシミュレーションにより求めた結果の一例を示すグラフである。 平均化処理部が行う、直流入力電圧検出値Vgを平均化する際の態様を示す図である。 制御処理部による制御処理を説明するための制御ブロック図である。 昇圧回路及びインバータ回路の制御処理を示すフローチャートである。 (a)は、制御処理部がフィードバック制御において求めた昇圧回路電流目標値、及びこれに従って制御した場合の昇圧回路電流検出値をシミュレーションにより求めた結果の一例を示すグラフであり、(b)は、制御処理部がフィードバック制御において求めた昇圧回路電圧目標値、及びこれに従って制御した場合の昇圧回路電圧検出値をシミュレーションにより求めた結果の一例を示すグラフである。 インバータ出力電圧目標値の一例を示す図である。 (a)は、昇圧回路用搬送波と、昇圧回路用参照波とを比較したグラフであり、(b)は、昇圧回路制御部が生成したスイッチング素子Qbを駆動するための駆動波形である。 (a)は、インバータ回路用搬送波と、インバータ回路用参照波とを比較したグラフ、(b)は、インバータ回路制御部が生成したスイッチング素子Q1を駆動するための駆動波形、(c)は、インバータ回路制御部が生成したスイッチング素子Q3を駆動するための駆動波形である。 参照波、及び各スイッチング素子の駆動波形の一例とともに、電力変換装置が出力する交流電力の電流波形の一例を示した図である。 (a)は、インバータ回路から出力された交流電圧、商用電力系統、及び交流リアクトルの両端電圧、それぞれの電圧波形を示したグラフであり、(b)は、交流リアクトルに流れる電流波形を示したグラフである。 需要家における太陽光発電の接続図の一例である。 比較のために、直流リアクトルに流れる電流のピークのタイミングで交流リアクトルに流れる電流目標値を変更した場合の電流変化及び中間コンデンサ電圧(DCバスの電圧)を示す波形図である。 時刻0.245秒を中心に図15の時間軸をさらに拡大した波形図である。 直流リアクトルに流れる電流が0になるタイミングで交流リアクトルに流れる出力電流目標値を変更した場合の電流変化及び中間コンデンサ電圧(DCバスの電圧)を示す波形図である。 需要家における太陽光発電の接続図の一例である。 比較のために、直流リアクトルに流れる電流のピークのタイミングで交流リアクトルに流れる電流目標値を変更した場合の電流変化及び中間コンデンサ電圧(DCバスの電圧)を示す波形図である。 直流リアクトルに流れる電流が0になるタイミングで交流リアクトルに流れる電流目標値を変更した場合の電流変化及び中間コンデンサ電圧(DCバスの電圧)を示す波形図である。 比較のために、直流リアクトルに流れる電流のピークのタイミングで交流リアクトルに流れる電流目標値を変更した場合の電流変化及び中間コンデンサ電圧(DCバスの電圧)を示す波形図である。 直流リアクトルに流れる電流が0になるタイミングで交流リアクトルに流れる電流目標値を変更した場合の電流変化及び中間コンデンサ電圧(DCバスの電圧)を示す波形図である。 需要家における太陽光発電及び蓄電池充放電の接続図の一例である。 需要家における太陽光発電及び蓄電池充放電の接続図の他の例である。 図14に示した、出力抑制に応じた電流目標値への変更処理を示すフローチャートの一例である。 DC/DCコンバータが2組、互いに並列に設けられた電力変換装置の概略構成を示すブロック図である。 2組のDC/DCコンバータを持つ電力変換装置の回路図の一例である。 比較のために、直流リアクトルに流れる電流のピークのタイミングで稼働回路数を変更した場合の電流変化及び中間コンデンサ電圧(DCバスの電圧)を示す波形図である。 時刻0.245秒を中心に図25の時間軸をさらに拡大した波形図である。 直流リアクトルに流れる電流が0になるタイミングで稼働回路数の切り換えを行った場合の電流変化及び中間コンデンサ電圧(DCバスの電圧)を示す波形図である。 比較のために、直流リアクトルに流れる電流のピークのタイミングで稼働回路数を変更した場合の電流変化及び中間コンデンサ電圧(DCバスの電圧)を示す波形図である。 直流リアクトルに流れる電流が0になるタイミングで稼働回路数の切り換えを行った場合の電流変化及び中間コンデンサ電圧(DCバスの電圧)を示す波形図である。 DC/DCコンバータがn組(nは3以上の自然数)、互いに並列に設けられた電力変換装置の概略構成を示すブロック図である。 稼働回路の組み合わせを想定した、電流目標値の変更のための制御フローを示すフローチャートの一例である。 直流リアクトル電流が0になった回数カウントに基づいて組み合わせを変更する一例を示す図である。 DC/DCコンバータ10がn組(nは3以上の自然数)、互いに並列に設けられた他の電力変換装置の概略構成を示すブロック図である。
[実施形態の要旨]
本発明の実施形態の要旨としては、少なくとも以下のものが含まれる。
(1)この電力変換装置は、直流電源と交流系統との間で直流電力/交流電力の電力変換を行うものであって、前記交流系統と接続され、交流リアクトルを含むフィルタ回路と、前記フィルタ回路とDCバスとの間に設けられたDC/ACコンバータと、前記DCバスに接続された中間コンデンサと、前記直流電源と前記DCバスとの間に設けられ、直流リアクトルを含むDC/DCコンバータと、前記DC/ACコンバータ及び前記DC/DCコンバータを前記交流電力の電圧半周期内で停止期間があるようにスイッチング動作させ、かつ、前記直流リアクトルに流れる電流が周期的に0になるよう前記DC/DCコンバータを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記直流リアクトルに流れる電流が0近傍になるタイミングで前記交流リアクトルに流れる電流目標値を変更する、電力変換装置である。なお、直流電源は単一に限らず複数であってもよい。また、交流系統とは、商用電力系統のみならず交流の負荷である場合も含む。
(1)の電力変換装置では、DC/DCコンバータの直流リアクトルを流れる電流が0近傍になるタイミングで交流リアクトルに流れる電流目標値を変更することにより、変更の前後での、交流リアクトルを流れる電流及びDCバスの電圧の急激な変化を抑制することができる。これにより、DCバスに接続される中間コンデンサ及びスイッチング素子の耐圧条件が緩和され、より低耐圧なものとすることができる。低耐圧であることは、部品コスト、サイズの低減に寄与し、また、損失の低減にも寄与する。
(2)また、(1)の電力変換装置は、逆潮電力を監視する電力監視部を備え、逆潮電力を抑制する場合、前記制御部は、前記直流電源に対して、前記直流リアクトルに流れる電流が0近傍になるタイミングで、少なくとも抑制に応じた分の発電電力を低下させることもできる。
この場合、逆潮電力抑制の要請に、DCバスの電圧の急激な変化を生じさせずに対応することができる。
(3)また、(2)の電力変換装置において、負荷電力が増減した場合、前記制御部は、逆潮電力を一定に維持したまま、前記直流電源の出力電力又は入力電力を増減させるようにしてもよい。
この場合、逆潮電力を一定に維持したまま、負荷増減に対応し、直流電源の出力電力又は入力電力を適切に活用・調整することができる。
(4)一方、この電力変換装置は、直流電源と交流系統との間で直流電力/交流電力の電力変換を行うものであって、前記交流系統と接続され、交流リアクトルを含むフィルタ回路と、前記フィルタ回路とDCバスとの間に設けられたDC/ACコンバータと、前記DCバスに接続された中間コンデンサと、前記直流電源と前記DCバスとの間にあって、互いに並列に複数組設けられ、各組に直流リアクトルを含むDC/DCコンバータと、前記DC/ACコンバータ及び前記DC/DCコンバータを前記交流電力の電圧半周期内で停止期間があるようにスイッチング動作させ、かつ、前記直流リアクトルに流れる電流が周期的に0になるよう前記DC/DCコンバータを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記直流リアクトルに流れる電流が0近傍になるタイミングで複数組の前記DC/DCコンバータの電流負担を変更する、電力変換装置である。なお、直流電源は単一に限らず複数で、互いに独立していてもよい。また、交流系統とは、商用電力系統のみならず交流の負荷である場合も含む。
上記(4)の電力変換装置では、DC/DCコンバータの直流リアクトルを流れる電流が0近傍になるタイミングで複数組のDC/DCコンバータの電流負担を変更することにより、変更の前後での、直流リアクトルを流れる電流の総和及びDCバスの電圧の急激な変化を抑制することができる。これにより、DCバスに接続される中間コンデンサ及びスイッチング素子の耐圧条件が緩和され、より低耐圧なものとすることができる。低耐圧であることは、部品コスト、サイズの低減に寄与し、また、損失の低減にも寄与する。
(5)また、(4)の電力変換装置において、前記DC/DCコンバータは2組設けられており、前記制御部は、2組の前記DC/DCコンバータが交互に動作するか、又は、双方が均等に電流を負担してコンバータ動作を行うよう制御するものであってもよい。
この場合のDC/DCコンバータは、DC/DCコンバータが1組しかない場合と比べて稼働率が減少するか又は電流負担が減少し、その結果、長期にわたって2組のDC/DCコンバータを使用することができる。
(6)また、(4)の電力変換装置において、nは3以上の自然数、kはnより小さい自然数であるとして、前記DC/DCコンバータはn組設けられており、前記制御部は、前記変更のたびに、n組の中から常に異なる組み合わせとなるk組の前記DC/DCコンバータがコンバータ動作を行うよう制御するものであってもよい。
この場合、これらの組み合わせをまんべんなく用いることで、全てのDC/DCコンバータを、均等に使用し、全体としての寿命を延ばすことができる。
(7)また、(6)の電力変換装置において、前記直流電源は太陽光発電パネルであり、前記制御部は、前記太陽光発電パネルの発電電力の総量と、段階的に設定された電力閾値との比較に基づいて、前記kの数を決定するものであってもよい。
これにより、直流電源が、天候や時刻で発電電力が変化する太陽光発電パネルの場合に、発電電力の総量に応じて適切なkの数を決定することができる。
(8)また、(6)又は(7)の電力変換装置において、前記制御部は、前記直流リアクトルに流れる電流が0になる累積回数が均等化されるように、前記n組の組み合わせを選択するようにしてもよい。
この場合、各DC/DCコンバータは均等に稼働するので、故障率を低減することができる。また、直流リアクトルに流れる電流が0になる累積回数をカウントするのは、制御部にとって演算負担が軽い。
(9)方法の観点からは、交流系統と接続され、交流リアクトルを含むフィルタ回路と、前記フィルタ回路とDCバスとの間に設けられたDC/ACコンバータと、前記DCバスに接続された中間コンデンサと、直流電源と前記DCバスとの間に設けられ、直流リアクトルを含むDC/DCコンバータと、を有し、直流電源と交流系統との間で直流電力/交流電力の電力変換を行う電力変換装置の制御方法であって、前記DC/ACコンバータ及び前記DC/DCコンバータを前記交流電力の電圧半周期内で停止期間があるようにスイッチング動作させ、かつ、前記直流リアクトルに流れる電流が周期的に0になるよう制御し、前記直流リアクトルに流れる電流が0近傍になるタイミングで前記交流リアクトルに流れる電流目標値を変更する、電力変換装置の制御方法である。なお、直流電源は単一に限らず複数であってもよい。また、交流系統とは、商用電力系統のみならず交流の負荷である場合も含む。
上記(9)の電力変換装置の制御方法の場合、DC/DCコンバータの直流リアクトルを流れる電流が0近傍になるタイミングで交流リアクトルに流れる電流目標値を変更することにより、変更の前後での、交流リアクトルを流れる電流及びDCバスの電圧の急激な変化を抑制することができる。これにより、DCバスに接続される中間コンデンサ及びスイッチング素子の耐圧条件が緩和され、より低耐圧なものとすることができる。低耐圧であることは、部品コスト、サイズの低減に寄与し、また、損失の低減にも寄与する。
(10)また、方法の他の観点からは、交流系統と接続され、交流リアクトルを含むフィルタ回路と、前記フィルタ回路とDCバスとの間に設けられたDC/ACコンバータと、前記DCバスに接続された中間コンデンサと、直流電源と前記DCバスとの間にあって、互いに並列に複数組設けられ、各組に直流リアクトルを含むDC/DCコンバータと、を有し、前記直流電源と前記交流系統との間で直流電力/交流電力の電力変換を行う電力変換装置の制御方法であって、前記DC/ACコンバータ及び前記DC/DCコンバータを前記交流電力の電圧半周期内で停止期間があるようにスイッチング動作させ、かつ、前記直流リアクトルに流れる電流が周期的に0になるよう制御し、前記直流リアクトルに流れる電流が0近傍になるタイミングで複数組の前記DC/DCコンバータの電流負担を変更する、電力変換装置の制御方法である。なお、直流電源は単一に限らず複数で、互いに独立していてもよい。また、交流系統とは、商用電力系統のみならず交流の負荷である場合も含む。
上記(10)の電力変換装置の制御方法の場合、DC/DCコンバータの直流リアクトルを流れる電流が0近傍になるタイミングで複数組のDC/DCコンバータの電流負担を変更することにより、変更の前後での、直流リアクトルを流れる電流の総和及びDCバスの電圧の急激な変化を抑制することができる。これにより、DCバスに接続される中間コンデンサ及びスイッチング素子の耐圧条件が緩和され、より低耐圧なものとすることができる。低耐圧であることは、部品コスト、サイズの低減に寄与し、また、損失の低減にも寄与する。
[実施形態の詳細]
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
《最小スイッチング方式の電力変換装置》
まず、系統連系機能を備えた、最小スイッチング方式の電力変換装置について、詳細に説明する。
(全体構成について)
図1は、一実施形態に係る電力変換装置を備えたシステムの一例を示すブロック図である。図中、電力変換装置1の入力端には、直流電源としての太陽光発電パネル2が接続され、出力端には、交流の商用電力系統3が接続されている。このシステムは、太陽光発電パネル2が発電する直流電力を交流電力に変換し、商用電力系統3に出力する連系運転を行う。
電力変換装置1は、太陽光発電パネル2が出力する直流電力が与えられる昇圧回路(DC/DCコンバータ)10と、昇圧回路10から与えられる電力を交流電力に変換して商用電力系統3に出力するインバータ回路(DC/ACコンバータ)11と、これら両回路10,11の動作を制御する制御部12とを備えている。
図2は、電力変換装置1の回路図の一例である。
昇圧回路10は、直流リアクトル15と、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)からなるスイッチング素子Qb及びQb2とを備えており、昇圧チョッパ回路を構成している。各スイッチング素子Qb及びQb2にはそれぞれ、逆並列のダイオードDb及びDb2が接続されている。
昇圧回路10の入力側には、第1電圧センサ17、第1電流センサ18、及び平滑化のためのコンデンサ26が設けられている。
第1電圧センサ17は、太陽光発電パネル2が出力し、昇圧回路10に入力される直流電力の直流入力電圧検出値Vg(直流入力電圧値)を検出し、制御部12に出力する。第1電流センサ18は、直流リアクトル15に流れる電流である昇圧回路電流検出値Iin(直流入力電流値)を検出し、制御部12に出力する。なお、直流入力電流検出値Igを検出するために、コンデンサ26の前段に、さらに電流センサを設けてもよい。
制御部12は、直流入力電圧検出値Vg及び昇圧回路電流検出値Iinから入力電力Pinを演算し、太陽光発電パネル2に対するMPPT(Maximum Power Point Tracking:最大電力点追従)制御を行う機能を有している。
また、昇圧回路10のスイッチング素子Qbは、後述するように、インバータ回路11と合わせた合計のスイッチング動作を行う回数が最低限になるように制御され、停止期間が発生する。よって、昇圧回路10は、スイッチング動作を行っている期間は、昇圧された電力をインバータ回路11に出力し、スイッチング動作を停止している期間は、太陽光発電パネル2が出力して昇圧回路10に入力される直流電力の直流入力電圧値を昇圧することなく、ダイオードDb2を通してインバータ回路11に出力する。
なお、このとき、スイッチング素子Qb2は、オフでもよいし、スイッチング素子Qbの反転制御信号でオンとしてもよい。但し、スイッチング素子Qbとスイッチング素子Qb2が同時に導通することを防ぐため、一方のスイッチング素子の駆動パルスがオフからオンに移行するときに1マイクロ秒程度のデッドタイムが設けられる。
昇圧回路10と、インバータ回路11との間のDCバス20(2線)には、平滑用の中間コンデンサ19が接続されている。中間コンデンサ19の両端電圧すなわちDCバス電圧は、電圧センサ27により検出され、その検出信号は制御部12に送られる。
インバータ回路11は、FET(Field Effect Transistor)からなるスイッチング素子Q1〜Q4を備えている。これらスイッチング素子Q1〜Q4は、フルブリッジ回路を構成している。スイッチング素子Q1〜Q4の各々は、ボディダイオードを有している(符号省略)。
各スイッチング素子Q1〜Q4は、制御部12に接続されており、制御部12により制御可能とされている。制御部12は、各スイッチング素子Q1〜Q4の動作をPWM制御する。これにより、インバータ回路11は、昇圧回路10から与えられる電力を交流電力に変換する。
電力変換装置1は、インバータ回路11と、商用電力系統3との間にフィルタ回路21を備えている。
フィルタ回路21は、交流リアクトル22と、交流リアクトル22の後段に設けられたコンデンサ23(出力平滑コンデンサ)とを備えて構成されている。フィルタ回路21は、インバータ回路11から出力される交流電力に含まれる高周波成分を除去する機能を有している。フィルタ回路21により高周波成分が除去された交流電力は、商用電力系統3に与えられる。
このように、昇圧回路10及びインバータ回路11は、太陽光発電パネル2が出力する直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を、フィルタ回路21を介して商用電力系統3へ出力する電力変換装置1を構成している。
また、フィルタ回路21には、インバータ回路11による出力の電流値であるインバータ電流検出値Iinv(交流リアクトル22に流れる電流)を検出するための第2電流センサ24が接続されている。さらに、フィルタ回路21と、商用電力系統3との間には、商用電力系統3側の電圧値(系統電圧検出値Va)を検出するための第2電圧センサ25が接続されている。
第2電圧センサ25及び第2電流センサ24はそれぞれ、検出した系統電圧検出値Va(交流系統の電圧値)及びインバータ電流検出値Iinvを制御部12に出力する。なお、第2電流センサ24は、図示のように、コンデンサ23の前段(左)に設けるが、コンデンサ23の後段に電力変換装置1の出力電流を検出する第3電流センサを追加してもよい。
制御部12は、これら系統電圧検出値Va及びインバータ電流検出値Iinvと、上述の直流入力電圧検出値Vg、昇圧回路電流検出値Iinに基づいて、昇圧回路10及びインバータ回路11を制御する。
(制御部について)
図3は、制御部12のブロック図である。制御部12は、図3に示すように、制御処理部30と、昇圧回路制御部32と、インバータ回路制御部33と、平均化処理部34とを機能的に有している。
制御部12の各機能は、その一部又は全部がハードウェア回路によって構成されてもよいし、その一部又は全部が、ソフトウェア(コンピュータプログラム)をコンピュータによって実行させることで実現されていてもよい。制御部12の機能を実現するソフトウェア(コンピュータプログラム)は、コンピュータの記憶装置(図示省略)に格納される。
昇圧回路制御部32は、制御処理部30から与えられる目標値及び検出値に基づいて、昇圧回路10のスイッチング素子Qbを制御し、前記目標値に応じた電流の電力を昇圧回路10に出力させる。
また、インバータ回路制御部33は、制御処理部30から与えられる目標値及び検出値に基づいて、インバータ回路11のスイッチング素子Q1〜Q4を制御し、前記目標値に応じた電流の電力をインバータ回路11に出力させる。
制御処理部30には、直流入力電圧検出値Vg、昇圧回路電流検出値Iin、系統電圧検出値Va及びインバータ電流検出値Iinvが与えられる。
制御処理部30は、直流入力電圧検出値Vg及び昇圧回路電流検出値Iinから入力電力Pin及びその平均値〈Pin〉を演算する。
制御処理部30は、入力電力平均値〈Pin〉に基づいて、直流入力電流目標値Ig*(後に説明する)を設定して太陽光発電パネル2に対するMPPT制御を行うとともに、昇圧回路10及びインバータ回路11それぞれをフィードバック制御する機能を有している。
直流入力電圧検出値Vg及び昇圧回路電流検出値Iinは、平均化処理部34、及び制御処理部30に与えられる。
平均化処理部34は、第1電圧センサ17及び第1電流センサ18から与えられる直流入力電圧検出値Vg及び昇圧回路電流検出値Iinを、予め設定された所定の時間間隔ごとにサンプリングし、それぞれの平均値を求め、平均化された直流入力電圧検出値Vg及び昇圧回路電流検出値Iinを制御処理部30に与える機能を有している。
図4は、直流入力電圧検出値Vg、及び昇圧回路電流検出値Iinの経時変化をシミュレーションにより求めた結果の一例を示すグラフである。
また、直流入力電流検出値Igは、コンデンサ26よりも入力側で検出される電流値である。
図4に示すように、直流入力電圧検出値Vg、昇圧回路電流検出値Iin、及び直流入力電流検出値Igは、系統電圧の1/2の周期で変動していることが判る。
図4に示すように、直流入力電圧検出値Vg、及び直流入力電流検出値Igが周期的に変動する理由は、次の通りである。すなわち、昇圧回路電流検出値Iinは、昇圧回路10、及びインバータ回路11の動作に応じて、交流周期の1/2周期でほぼ0Aからピーク値まで大きく変動する。そのため、コンデンサ26で変動成分を完全に取り除くことができず、直流入力電流検出値Igは、交流周期の1/2周期で変動する成分を含む脈流となる。一方、太陽光発電パネルは出力電流によって出力電圧が変化する。
このため、直流入力電圧検出値Vgに生じる周期的な変動は、電力変換装置1が出力する交流電力の1/2周期となっている。
なお、昇圧回路電流検出値Iinが周期的に0になることは、後述する制御において大きな意味を持つ。
平均化処理部34は、上述の周期的変動による影響を抑制するために、直流入力電圧検出値Vg及び昇圧回路電流検出値Iinを平均化する。
図5は、平均化処理部34が行う、直流入力電圧検出値Vgを平均化する際の態様を示す図である。
平均化処理部34は、あるタイミングt1から、タイミングt2までの間の期間Lにおいて、予め設定された所定の時間間隔Δtごとに、与えられる直流入力電圧検出値Vgについて複数回サンプリング(図中、黒点のタイミング)を行い、得られた複数の直流入力電圧検出値Vgの平均値を求める。
ここで、平均化処理部34は、期間Lを商用電力系統3の周期長さの1/2の長さに設定する。また、平均化処理部34は、時間間隔Δtを、商用電力系統3の1/2周期の長さよりも十分短い期間に設定する。
これにより、平均化処理部34は、商用電力系統3の周期と同期して周期的に変動する、直流入力電圧検出値Vgの平均値を、できるだけサンプリングの期間を短くしつつ、精度よく求めることができる。
なお、サンプリングの時間間隔Δtは、例えば、商用電力系統3の周期の1/100〜1/1000、或いは、20マイクロ秒〜200マイクロ秒等に設定することができる。
なお、平均化処理部34は、期間Lを予め記憶しておくこともできるし、第2電圧センサ25から系統電圧検出値Vaを取得して商用電力系統3の周期に基づいて期間Lを設定することもできる。
また、ここでは、期間Lを商用電力系統3の周期長さの1/2の長さに設定したが、期間Lは、少なくとも、商用電力系統3の1/2周期に設定すれば、直流入力電圧検出値Vgの平均値を精度よく求めることができる。直流入力電圧検出値Vgは、上述のように、昇圧回路10、及びインバータ回路11の動作によって、商用電力系統3の周期長さの1/2の長さで周期的に変動するからである。
よって、期間Lをより長く設定する必要がある場合、商用電力系統3の1/2周期の3倍や4倍といったように、期間Lを商用電力系統3の1/2周期の整数倍に設定すればよい。これによって、周期単位で電圧変動を把握できる。
上述したように、昇圧回路電流検出値Iinも、直流入力電圧検出値Vgと同様、商用電力系統3の1/2周期で周期的に変動する。
よって、平均化処理部34は、図5に示した直流入力電圧検出値Vgと同様の方法によって、昇圧回路電流検出値Iinの平均値も求める。
制御処理部30は、直流入力電圧検出値Vgの平均値及び昇圧回路電流検出値Iinの平均値をそれぞれ、期間Lごとに逐次求める。
平均化処理部34は、求めた直流入力電圧検出値Vgの平均値及び昇圧回路電流検出値Iinの平均値を制御処理部30に与える。
本実施形態では、上述のように、平均化処理部34が、直流入力電圧検出値Vgの平均値(直流入力電圧平均値〈Vg〉)及び昇圧回路電流検出値Iinの平均値(昇圧回路電流平均値〈Iin〉)を求め、制御処理部30は、これら値を用いて、太陽光発電パネル2に対するMPPT制御を行いつつ、昇圧回路10及びインバータ回路11を制御するので、太陽光発電パネル2による直流電流が変動し不安定な場合にも、制御部12は、太陽光発電パネル2からの出力を、電力変換装置1の動作による変動成分を取り除いた直流入力電圧平均値〈Vg〉及び昇圧回路電流平均値〈Iin〉として精度よく得ることができる。この結果、MPPT制御を好適に行うことができ、太陽光発電パネル2の発電効率が低下するのを効果的に抑制することができる。
また、上述したように、電力変換装置1の動作によって、太陽光発電パネル2が出力する直流電力の電圧(直流入力電圧検出値Vg)や電流(昇圧回路電流検出値Iin)に変動が生じる場合、その変動周期は、インバータ回路11が出力する交流電力の1/2周期(商用電力系統3の1/2周期)と一致する。
この点、本実施形態では、商用電力系統3の周期長さの1/2の長さに設定された期間Lの間に、直流入力電圧検出値Vg及び昇圧回路電流検出値Iinのそれぞれについて、交流系統の1/2周期よりも短い時間間隔Δtで複数回サンプリングし、その結果から直流入力電圧平均値〈Vg〉及び昇圧回路電流平均値〈Iin〉を求めたので、直流電流の電圧及び電流が周期的に変動したとしても、できるだけサンプリングの期間を短くしつつ、直流入力電圧平均値〈Vg〉及び昇圧回路電流平均値〈Iin〉を精度よく求めることができる。
制御処理部30は、上述の入力電力平均値〈Pin〉に基づいて、直流入力電流目標値Ig*を設定し、この設定した直流入力電流目標値Ig*や、上記値に基づいて、昇圧回路10及びインバータ回路11それぞれに対する目標値を求める。
制御処理部30は、求めた目標値を昇圧回路制御部32及びインバータ回路制御部33に与え、昇圧回路10及びインバータ回路11それぞれをフィードバック制御する機能を有している。
図6は、制御処理部30による昇圧回路10、及びインバータ回路11のフィードバック制御を説明するための制御ブロック図である。
制御処理部30は、インバータ回路11の制御を行うための機能部として、第1演算部41、第1加算器42、補償器43、及び第2加算器44を有している。
また、制御処理部30は、昇圧回路10の制御を行うための機能部として、第2演算部51、第3加算器52、補償器53、及び第4加算器54を有している。
図7は、昇圧回路10及びインバータ回路11の制御処理を示すフローチャートである。図6に示す各機能部は、図7に示すフローチャートに示す処理を実行することで、昇圧回路10及びインバータ回路11を制御する。
以下、図7に従って、昇圧回路10及びインバータ回路11の制御処理を説明する。
まず、制御処理部30は、現状の入力電力平均値〈Pin〉を求め(ステップS9)、前回演算時の入力電力平均値〈Pin〉と比較して、直流入力電流目標値Ig*を設定する(ステップS1)。なお、入力電力平均値〈Pin〉は、下記式(1)に基づいて求められる。
入力電力平均値〈Pin〉=〈Iin×Vg〉 ・・・(1)
なお、式(1)中、Iinは昇圧回路電流検出値、Vgは直流入力電圧検出値(直流入力電圧値)であり、平均化処理部34によって平均化された値である直流入力電圧平均値〈Vg〉及び昇圧回路電流平均値〈Iin〉が用いられる。
また、式(1)以外の以下に示す制御に関する各式においては、昇圧回路電流検出値Iin、及び直流入力電圧検出値Vgは、平均化されていない瞬時値が用いられる。
また、「〈 〉」は、括弧内の値の平均値を示している。以下同じである。
制御処理部30は、設定した直流入力電流目標値Ig*を、第1演算部41に与える。
第1演算部41には、直流入力電流目標値Ig*の他、直流入力電圧検出値Vg、系統電圧検出値Vaも与えられる。
第1演算部41は、下記式(2)に基づいて、電力変換装置1としての出力電流目標値の平均値〈Ia*〉を演算する。ηは電力変換装置1の変換効率を表す定数である。
出力電流目標値の平均値〈Ia*〉=η〈Ig*×Vg〉/〈Va〉 ・・・(2)
さらに、第1演算部41は、下記式(3)に基づいて、出力電流目標値Ia*を求める(ステップS2)。
ここで、第1演算部41は、出力電流目標値Ia*を系統電圧検出値Vaと同位相の正弦波として求める。
出力電流目標値Ia*=(21/2)×〈Ia*〉×sinωt ・・・(3)
以上のように、第1演算部41は、入力電力平均値〈Pin〉(直流電力の入力電力値)及び系統電圧検出値Vaに基づいて出力電流目標値Ia*を求める。
次いで、第1演算部41は、下記式(4)に示すように、インバータ回路11を制御するための電流目標値であるインバータ電流目標値Iinv*(インバータ回路の電流目標値)を演算する(ステップS3)。
インバータ電流目標値Iinv*=Ia* + s CaVa ・・・(4)
ただし、式(4)中、Caは、コンデンサ23(出力平滑コンデンサ)の静電容量、sはラプラス演算子である。
上記式(4)は、時間tでの微分を用いた表現とすれば、
Iinv*=Ia* + Ca×(d Va/dt) ・・・(4a)
となる。また、コンデンサ23に流れる電流を検出してこれをIcaとすれば、
Iinv*=Ia* + Ica ・・・(4b)
となる。
式(4),(4a),(4b)中、右辺第2項は、フィルタ回路21のコンデンサ23に流れる電流を考慮して加算した値である。
なお、出力電流目標値Ia*は、上記式(3)に示すように、系統電圧検出値Vaと同位相の正弦波として求められる。つまり、制御処理部30は、電力変換装置1が出力する交流電力の電流Ia(出力電流)が系統電圧(系統電圧検出値Va)と同位相となるようにインバータ回路11を制御する。
第1演算部41は、インバータ電流目標値Iinv*を求めると、このインバータ電流目標値Iinv*を第1加算器42に与える。
インバータ回路11は、このインバータ電流目標値Iinv*によって、フィードバック制御される。
第1加算器42には、インバータ電流目標値Iinv*の他、現状のインバータ電流検出値Iinvが与えられる。
第1加算器42は、インバータ電流目標値Iinv*と、現状のインバータ電流検出値Iinvとの差分を演算し、その演算結果を補償器43に与える。
補償器43は、上記差分が与えられると、比例係数等に基づいて演算を行い、さらに第2加算器44によって系統電圧Vaと加算することにより、この差分を収束させインバータ電流検出値Iinvをインバータ電流目標値Iinv*とし得るインバータ電圧参照値Vinv#を求める。このインバータ電圧参照値Vinv#を第1演算部41から与えられるDC/DCコンバータの出力電圧目標値Vo*と比較することにより得られる制御信号をインバータ回路制御部33に与えることで、インバータ回路11に、インバータ電圧参照値Vinv#に従った電圧を出力させる。
インバータ回路11が出力した電圧は、交流リアクトル22に与えられ、新たなインバータ電流検出値Iinvとしてフィードバックされる。そして、第1加算器42によってインバータ電流目標値Iinv*とインバータ電流検出値Iinvとの間の差分が再度演算され、上記同様、この差分に基づいてインバータ回路11が制御される。
以上のようにして、インバータ回路11は、インバータ電流目標値Iinv*と、インバータ電流検出値Iinvとによって、フィードバック制御される(ステップS4)。
一方、第2演算部51には、直流入力電圧検出値Vg、系統電圧検出値Vaの他、第1演算部41が演算したインバータ電流目標値Iinv*が与えられる。
第2演算部51は、下記式(5)に基づいて、インバータ出力電圧目標値Vinv*(インバータ回路の電圧目標値)を演算する(ステップS5)。
インバータ出力電圧目標値Vinv*=Va+ZaIinv* ・・・(5)
ただし、式(5)中、Zaは、交流リアクトルのインピーダンス、sはラプラス演算子である。
上記式(5)は、時間tでの微分を用いた表現とすれば、
Vinv*=Va + RaIinv*+La× (d Iinv*/dt)
・・・(5a)
となる。ただし、Raは交流リアクトルの抵抗、Laは交流リアクトルのインダクタンスで、(Za=Ra+sLa)である。
式(5)の右辺第2項、(5a)の右辺第2項および第3項は、交流リアクトル22の両端に発生する電圧を考慮して加算した値である。
このように、本実施形態では、電力変換装置1が出力する交流電力の電流位相が系統電圧検出値Vaと同位相となるようにインバータ回路11を制御するための電流目標値であるインバータ電流目標値Iinv*に基づいてインバータ出力電圧目標値Vinv*を設定する。
上記のように、交流側の目標値であるインバータ回路11の出力目標値(Iinv*,Vinv*)は、インバータ回路11のブリッジ出力端すなわち、インバータ回路11とフィルタ回路21との回路接続点Pで設定される。これにより、本来の系統連系点(商用電力系統3とフィルタ回路21との回路接続点)より目標値の設定点を前に移動し、最終的に適切な系統連系に落ち着くような系統連系が行われる。
インバータ出力電圧目標値Vinv*を求めると、下記式(6)に示すように、第2演算部51は、直流電源側の電圧VDCとしての電圧Vg又は好ましくは下記の直流電圧Vgfと、インバータ出力電圧目標値Vinv*の絶対値とを比較して、大きい方を昇圧回路電圧目標値Vo*に決定する(ステップS6)。直流電圧Vgfとは、Vgに直流リアクトル15のインピーダンスZによる電圧降下を考慮した電圧であり、昇圧回路電流をIinとして、Vgf=Vg−ZIinである。従って、
Vo*=Max(Vg−ZIin,Vinv*の絶対値) ・・・(6)
とすることができる。
上記式(6)は、時間tでの微分を用いた表現とすれば、
Vo*=Max(Vg−(RIin+L(d Iin/dt),Vinv*の絶対値)
・・・(6a)
である。ただし、Rは直流リアクトルの抵抗、Lは直流リアクトルのインダクタンスで、(Z=R+sL)である。
さらに、第2演算部51は、下記式(7)に基づいて、昇圧回路電流目標値Iin*を演算する(ステップS7)。
昇圧回路電流目標値Iin*=
{(Iinv*×Vinv*) +(s C Vo*)×Vo*} / (Vg−ZIin)
・・・(7)
ただし、式(7)中、Cは、中間コンデンサ19の静電容量、sはラプラス演算子である。
上記式(7)は、時間tでの微分を用いた表現とすれば、
Iin*=
{(Iinv*×Vinv*) +C×(d Vo*/dt)×Vo*} /
{Vg−(R+sL)Iin} ・・・(7a)
となる。また、中間コンデンサ19に流れる電流を検出してこれをIcとすれば、
Iin*=
{(Iinv*×Vinv*) +Ic×Vo*} / {Vg−ZIin}
・・・(7b)
となる。
式(7),(7a),(7b)中、インバータ電流目標値Iinv*と、インバータ出力電圧目標値Vinv*との積に加算されている項は、中間コンデンサ19を通過する無効電力を考慮した値である。すなわち、インバータ回路11の電力目標値に加えて、無効電力を考慮することにより、より正確にIin*の値を求めることができる。
さらに、予め電力変換装置1の電力損失PLOSSを測定しておけば、上記式(7a)は、以下のようにも表すことができる。
Iin*=
{(Iinv*×Vinv*) + C×(d Vo*/dt)×Vo* + PLOSS}/{Vg−ZIin} ・・・(7c)
同様に、上記式(7b)は、以下のようにも表すことができる。
Iin*=
{(Iinv*×Vinv*) +Ic×Vo* + PLOSS} / {Vg−ZIin}
・・・(7d)
この場合、インバータ回路11の電力目標値に加えて、無効電力及び電力損失PLOSSを考慮することにより、より厳密にIin*の値を求めることができる。
なお、中間コンデンサ19の静電容量C及び電力損失PLOSSが、(Iinv*×Vinv*)に比べて十分小さい場合、下記式(8)が成立する。この式(8)によって求まるIin*を式(6)、(6a)、(7)、(7a)、(7b)、(7c)および(7d)の右辺に含まれるIinとして用いることができる。
昇圧回路電流目標値Iin*=(Iinv*×Vinv*)/Vg ・・・(8)
第2演算部51は、昇圧回路電流目標値Iin*を求めると、この昇圧回路電流目標値Iin*を第3加算器52に与える。
昇圧回路10は、この昇圧回路電流目標値Iin*によって、フィードバック制御される。
第3加算器52には、昇圧回路電流目標値Iin*の他、現状の昇圧回路電流検出値Iinが与えられる。
第3加算器52は、昇圧回路電流目標値Iin*と、現状の昇圧回路電流検出値Iinとの差分を演算し、その演算結果を補償器53に与える。
補償器53は、上記差分が与えられると、比例係数等に基づいて演算を行い、さらに第4加算器54によって直流入力電圧検出値Vgからこれを減算することにより、この差分を収束させ昇圧回路電流検出値Iinを昇圧回路電流目標値Iin*とし得る昇圧回路電圧参照値Vbc#を求める。この昇圧回路電圧参照値Vbc#を第1演算部41から与えられるDC/DCコンバータの出力電圧目標値Vo*と比較することにより得られる制御信号を昇圧回路制御部32に与えることで、昇圧回路10に、昇圧回路電圧参照値Vbc#に従った電圧を出力させる。
昇圧回路10が出力した電力は、直流リアクトル15に与えられ、新たな昇圧回路電流検出値Iinとしてフィードバックされる。そして、第3加算器52によって昇圧回路電流目標値Iin*と昇圧回路電流検出値Iinとの間の差分が再度演算され、上記同様、この差分に基づいて昇圧回路10が制御される。
以上のようにして、昇圧回路10は、昇圧回路電流目標値Iin*と、昇圧回路電流検出値Iinとによって、フィードバック制御される(ステップS8)。
上記ステップS8の後、制御処理部30は、上記式(1)に基づいて、現状の入力電力平均値〈Pin〉を求める(ステップS9)。
制御処理部30は、前回演算時の入力電力平均値〈Pin〉と比較して、入力電力平均値〈Pin〉が最大値となるように(最大電力点に追従するように)、直流入力電流目標値Ig*を設定する。
以上によって、制御処理部30は、太陽光発電パネル2に対するMPPT制御を行いつつ、昇圧回路10及びインバータ回路11を制御する。
制御処理部30は、上述したように、インバータ回路11及び昇圧回路10を電流目標値によってフィードバック制御する。
図8(a)は、制御処理部30が上記フィードバック制御において求めた昇圧回路電流目標値Iin*、及びこれに従って制御した場合の昇圧回路電流検出値Iinをシミュレーションにより求めた結果の一例を示すグラフであり、(b)は、制御処理部30が上記フィードバック制御において求めた昇圧回路電圧目標値Vo*、及びこれに従って制御した場合の昇圧回路電圧検出値Voをシミュレーションにより求めた結果の一例を示すグラフである。
図8の(a)に示すように、昇圧回路電流検出値Iinは、制御処理部30によって、昇圧回路電流目標値Iin*に沿って制御されていることが判る。
また、図8の(b)に示すように、昇圧回路電圧目標値Vo*は、上記式(6)によって求められるため、インバータ出力電圧目標値Vinv*の絶対値が、概ね直流入力電圧検出値Vg以上となる期間では、インバータ出力電圧目標値Vinv*の絶対値に倣い、それ以外の期間では直流入力電圧検出値Vgに倣うように変化している。
昇圧回路電圧検出値Voは、制御処理部30によって、昇圧回路電圧目標値Vo*に沿って制御されていることが判る。
図9は、インバータ出力電圧目標値Vinv*の一例を示す図である。図中、縦軸は電圧、横軸は時間を示している。破線は、商用電力系統3の電圧波形を示しており、実線は、インバータ出力電圧目標値Vinv*の波形を示している。
インバータ回路11は、図7のフローチャートに従った制御によって、図9に示すインバータ出力電圧目標値Vinv*を電圧目標値として電力を出力する。
よって、インバータ回路11は、図9に示すインバータ出力電圧目標値Vinv*の波形に従った電圧の電力を出力する。
図に示すように、両波は、電圧値及び周波数は互いにほぼ同じであるが、インバータ出力電圧目標値Vinv*の位相の方が、商用電力系統3の電圧位相に対して数度進相している。
本実施形態の制御処理部30は、上述のように、昇圧回路10及びインバータ回路11のフィードバック制御を実行する中で、インバータ出力電圧目標値Vinv*の位相を、商用電力系統3の電圧位相に対して約3度進相させている。
インバータ出力電圧目標値Vinv*の位相を商用電力系統3の電圧位相に対して進相させる角度は、数度であればよく、後述するように、商用電力系統3の電圧波形との間で差分を求めたときに得られる電圧波形が、商用電力系統3の電圧波形に対して90度進んだ位相となる範囲で設定される。例えば、0度より大きくかつ10度より小さい値の範囲で設定される。
上記進相させる角度は、上記式(5)に示すように、系統電圧検出値Va、交流リアクトル22のインダクタンスLa、及びインバータ電流目標値Iinv*によって定まる。この内、系統電圧検出値Va、交流リアクトル22のインダクタンスLaは、制御対象外の固定値なので、進相させる角度は、インバータ電流目標値Iinv*によって定まる。
インバータ電流目標値Iinv*は、上記式(4)に示すように、出力電流目標値Ia*によって定まる。この出力電流目標値Ia*が大きくなるほど、インバータ電流目標値Iinv*における進相した成分が増加し、インバータ出力電圧目標値Vinv*の進み角(進相させる角度)が大きくなる。
出力電流目標値Ia*は、上記式(2)から求められるため、上記進相させる角度は、直流入力電流目標値Ig*によって調整される。
(昇圧回路及びインバータ回路の制御について)
昇圧回路制御部32は、昇圧回路10のスイッチング素子Qbを制御する。また、インバータ回路制御部33は、インバータ回路11のスイッチング素子Q1〜Q4を制御する。
昇圧回路制御部32及びインバータ回路制御部33は、それぞれ昇圧回路用搬送波及びインバータ回路用搬送波を生成し、これら搬送波を制御処理部30から与えられる目標値である昇圧回路電圧参照値Vbc#、及びインバータ電圧参照値Vinv#で変調し、各スイッチング素子を駆動するための駆動波形を生成する。
昇圧回路制御部32及びインバータ回路制御部33は、上記駆動波形に基づいて各スイッチング素子を制御することで、昇圧回路電流目標値Iin*、及びインバータ電流目標値Iinv*に近似した電流波形の交流電力を昇圧回路10及びインバータ回路11に出力させる。
図10の(a)は、昇圧回路用搬送波と、昇圧回路電圧参照値Vbc#の波形とを比較したグラフである。図中、縦軸は電圧、横軸は時間を示している。なお、図10の(a)では、理解容易とするために、昇圧回路用搬送波の波長を実際よりも長くして示している。
昇圧回路制御部32が生成する昇圧回路用搬送波は、極小値が「0」である三角波であり、振幅A1が制御処理部30から与えられる昇圧回路電圧目標値Vo*とされている。
また、昇圧回路用搬送波の周波数は、制御処理部30による制御命令によって、所定のディーティ比となるように、昇圧回路制御部32によって設定される。
なお、昇圧回路電圧目標値Vo*は、上述したように、インバータ出力電圧目標値Vinv*の絶対値が、概ね直流入力電圧検出値Vg以上となる期間W1では、インバータ出力電圧目標値Vinv*の絶対値に倣い、それ以外の期間では直流入力電圧検出値Vgに倣うように変化している。よって、昇圧回路用搬送波の振幅A1も昇圧回路電圧目標値Vo*に応じて変化している。
なお、本実施形態では、直流入力電圧検出値Vgが、250ボルトであり、商用電力系統3の電圧振幅が288ボルトであるとする。
昇圧回路電圧参照値Vbc#の波形(以下、昇圧回路用参照波Vbc#ともいう)は、制御処理部30が昇圧回路電流目標値Iin*に基づいて求める値であり、インバータ出力電圧目標値Vinv*の絶対値が直流入力電圧検出値Vgよりも大きな期間W1において、正の値となっている。昇圧回路用参照波Vbc#は、期間W1では、昇圧回路電圧目標値Vo*が成す波形状と近似するような波形となっており、昇圧回路用搬送波に対して交差している。
昇圧回路制御部32は、昇圧回路用搬送波と昇圧回路用参照波Vbc#とを比較し、直流リアクトル15の両端電圧の目標値である昇圧回路用参照波Vbc#が昇圧回路用搬送波以上となる部分でオン、搬送波以下となる部分でオフとなるように、スイッチング素子Qbを駆動するための駆動波形を生成する。
図10の(b)は、昇圧回路制御部32が生成したスイッチング素子Qbを駆動するための駆動波形である。図中、縦軸は電圧、横軸は時間である。横軸は、図10の(a)の横軸と一致するように示している。
この駆動波形は、スイッチング素子Qbのスイッチング動作を示しており、スイッチング素子Qbに与えることで、当該駆動波形に従ったスイッチング動作を実行させることができる。駆動波形は、電圧が0ボルトでスイッチング素子のスイッチをオフ、電圧がプラス電圧でスイッチング素子のスイッチをオンとする制御命令を構成している。
昇圧回路制御部32は、インバータ出力電圧目標値Vinv*の絶対値が直流入力電圧検出値Vg以上となる期間W1でスイッチング動作が行われるように駆動波形を生成する。よって、直流入力電圧検出値Vg以下の範囲では、スイッチング動作を停止させるようにスイッチング素子Qbを制御する。
また、各パルス幅は、三角波である昇圧回路用搬送波の切片によって定まる。よって、電圧が高い部分ほどパルス幅が大きくなっている。
以上のように、昇圧回路制御部32は、昇圧回路用搬送波を昇圧回路用参照波Vbc#で変調し、スイッチングのためのパルス幅を表した駆動波形を生成する。昇圧回路制御部32は、生成した駆動波形に基づいて昇圧回路10のスイッチング素子QbをPWM制御する。
図11の(a)は、インバータ回路用搬送波と、インバータ電圧参照値Vinv#の波形とを比較したグラフである。図中、縦軸は電圧、横軸は時間を示している。なお、図11の(a)においても、理解容易とするために、インバータ回路用搬送波の波長を実際よりも長くして示している。
インバータ回路制御部33が生成するインバータ回路用搬送波は、振幅中央が0ボルトの三角波であり、その片側振幅が、昇圧回路電圧目標値Vo*(コンデンサ23の電圧目標値)に設定されている。よって、インバータ回路用搬送波の振幅A2は、直流入力電圧検出値Vgの2倍(500ボルト)の期間と、商用電力系統3の電圧の2倍(最大576ボルト)の期間とを有している。
また、周波数は、制御処理部30による制御命令等によって、所定のデューティ比となるように、インバータ回路制御部33によって設定される。
なお、昇圧回路電圧目標値Vo*は、上述したように、インバータ出力電圧目標値Vinv*の絶対値が、概ね直流入力電圧検出値Vg以上となる期間W1では、インバータ出力電圧目標値Vinv*の絶対値に倣い、それ以外の期間である期間W2では直流入力電圧検出値Vgに倣うように変化している。よって、インバータ回路用搬送波の振幅A2も昇圧回路電圧目標値Vo*に応じて変化している。
インバータ電圧参照値Vinv#の波形(以下、インバータ回路用参照波Vinv#ともいう)は、制御処理部30がインバータ電流目標値Iinv*に基づいて求める値であり、概ね商用電力系統3の電圧振幅(288ボルト)と同じに設定されている。よって、インバータ回路用参照波Vinv#は、電圧値が−Vg〜+Vgの範囲の部分で、インバータ回路用搬送波に対して交差している。
インバータ回路制御部33は、インバータ回路用搬送波とインバータ回路用参照波Vinv#とを比較し、電圧目標値であるインバータ回路用参照波Vinv#がインバータ回路用搬送波以上となる部分でオン、搬送波以下となる部分でオフとなるように、スイッチング素子Q1〜4を駆動するための駆動波形を生成する。
図11の(b)は、インバータ回路制御部33が生成したスイッチング素子Q1を駆動するための駆動波形である。図中、縦軸は電圧、横軸は時間である。横軸は、図11の(a)の横軸と一致するように示している。
インバータ回路制御部33は、インバータ回路用参照波Vinv#の電圧が−Vg〜+Vgの範囲W2でスイッチング動作が行われるように駆動波形を生成する。よって、それ以外の範囲では、スイッチング動作を停止させるようにスイッチング素子Q1を制御する。
図11の(c)は、インバータ回路制御部33が生成したスイッチング素子Q3を駆動するための駆動波形である。図中、縦軸は電圧、横軸は時間である。
インバータ回路制御部33は、スイッチング素子Q3については、図中破線で示しているインバータ回路用参照波Vinv#の反転波と、搬送波とを比較して駆動波形を生成する。
この場合も、インバータ回路制御部33は、インバータ回路用参照波Vinv#(の反転波)の電圧が、−Vg〜+Vgの範囲W2でスイッチング動作が行われるように駆動波形を生成する。よって、それ以外の範囲では、スイッチング動作を停止させるようにスイッチング素子Q3を制御する。
なお、インバータ回路制御部33は、スイッチング素子Q2の駆動波形については、スイッチング素子Q1の駆動波形を反転させたものを生成し、スイッチング素子Q4の駆動波形については、スイッチング素子Q3の駆動波形を反転させたものを生成する。
以上のように、インバータ回路制御部33は、インバータ回路用搬送波をインバータ回路用参照波Vinv#で変調し、スイッチングのためのパルス幅を表した駆動波形を生成する。インバータ回路制御部33は、生成した駆動波形に基づいてインバータ回路11のスイッチング素子Q1〜Q4をPWM制御する。
本実施形態の昇圧回路制御部32は、直流リアクトル15に流れる電流が昇圧回路電流目標値Iin*に一致するように電力を出力させる。この結果、インバータ出力電圧目標値Vinv*の絶対値が、概ね直流入力電圧検出値Vg以上となる期間W1(図10)で昇圧回路10にスイッチング動作を行わせる。昇圧回路10は、期間W1で直流入力電圧検出値Vg以上の電圧をインバータ出力電圧目標値Vinv*の絶対値に近似するように電力を出力する。一方、インバータ出力電圧目標値Vinv*の絶対値が概ね直流入力電圧検出値Vg以下の期間では、昇圧回路制御部32は、昇圧回路10のスイッチング動作を停止させる。よって、直流入力電圧検出値Vg以下の期間では、昇圧回路10は、太陽光発電パネル2が出力する直流電力の直流入力電圧値を昇圧することなくインバータ回路11に出力する。
また、本実施形態のインバータ回路制御部33は、交流リアクトル22に流れる電流が、インバータ電流目標値Iinv*に一致するように電力を出力させる。この結果、インバータ出力電圧目標値Vinv*が概ね−Vg〜+Vgの期間W2(図11)でインバータ回路11にスイッチング動作を行わせる。つまり、インバータ出力電圧目標値Vinv*の絶対値が直流入力電圧検出値Vg以下の期間でインバータ回路11にスイッチング動作を行わせる。
よって、インバータ回路11は、昇圧回路10がスイッチング動作を停止している間、スイッチング動作を行い、インバータ出力電圧目標値Vinv*に近似する交流電力を出力する。
なお、インバータ回路用参照波Vinv#と、インバータ出力電圧目標値Vinv*とは近似するので、図11の(a)においては重複している。
一方、インバータ出力電圧目標値Vinv*の電圧が概ね−Vg〜+Vgの期間W2以外の期間では、インバータ回路制御部33は、インバータ回路11のスイッチング動作を停止させる。この間、インバータ回路11には、昇圧回路10により昇圧された電力が与えられる。よって、スイッチング動作を停止しているインバータ回路11は、昇圧回路10から与えられる電力を降圧することなく出力する。
つまり、本実施形態の電力変換装置1は、昇圧回路10とインバータ回路11とを交流電力の電圧半周期内で停止期間があるようにスイッチング動作させ、それぞれが出力する電力を重ね合わせることで、インバータ出力電圧目標値Vinv*に近似した電圧波形の交流電力を出力する。
このように、本実施形態では、インバータ出力電圧目標値Vinv*の絶対値が、直流入力電圧検出値Vgよりも高い部分の電圧を出力する際には昇圧回路10を動作させ、インバータ出力電圧目標値Vinv*の絶対値が、直流入力電圧検出値Vgよりも低い部分の電圧を出力する際にはインバータ回路11を動作させるように制御される。よって、インバータ回路11が、昇圧回路10によって昇圧された電力を降圧することがないので、電圧を降圧する際の電位差を低く抑えることができるため、昇圧回路のスイッチングによる損失を低減し、より高効率で交流電力を出力することができる。
さらに、昇圧回路10及びインバータ回路11は、共に制御部12が設定したインバータ出力電圧目標値Vinv*に基づいて動作するため、交互に切り替わるように出力される昇圧回路の電力と、インバータ回路の電力との間で、ずれや歪が生じるのを抑制することができる。
図12は、参照波、及びスイッチング素子の駆動波形の一例とともに、電力変換装置1が出力する交流電力の電流波形の一例を示した図である。
図12において、最上段から順に、インバータ回路の参照波Vinv#及び搬送波、スイッチング素子Q1の駆動波形、昇圧回路の参照波Vbc#及び搬送波、スイッチング素子Qbの駆動波形、及び電力変換装置1が出力する交流電力の電流波形の目標値及び実測値を示すグラフを表している。これら各グラフの横軸は、時間を示しており、互いに一致するように示している。
図に示すように、出力電流の実測値Iaは目標値Ia*と一致するように制御されていることが判る。
また、昇圧回路10のスイッチング素子Qbのスイッチング動作の期間と、インバータ回路11のスイッチング素子Q1〜Q4のスイッチング動作の期間とは、概ね互いに交互に切り替わるように制御されていることが判る。
また、本実施形態では、図8の(a)に示すように、昇圧回路は直流リアクトル15を流れる電流が上記式(7)に基づいて求められる電流目標値Iin*に一致するように制御される。この結果、昇圧回路とインバータ回路の電圧が、図8の(b)に示す波形となり、昇圧回路10、及びインバータ回路11の高周波スイッチング動作にそれぞれ停止期間があり、概ね交互にスイッチング動作を行う運転が可能になる。
なお、理想的には昇圧回路10とインバータ回路11とで「交互に」高周波スイッチングを行い、高周波スイッチングの時期が重ならないことが好ましいが、実際には若干の重なりが生じても、それぞれの停止期間があれば、損失は低減され、高効率化に寄与する。
(出力される交流電力の電流位相について)
本実施形態の昇圧回路10及びインバータ回路11は、制御部12による制御によって、インバータ出力電圧目標値Vinv*に近似した電圧波形の交流電力を、その後段に接続されたフィルタ回路21に出力する。電力変換装置1は、フィルタ回路21を介して商用電力系統3に交流電力を出力する。
ここで、インバータ出力電圧目標値Vinv*は、上述したように、制御処理部30によって商用電力系統3の電圧位相に対して数度進相した電圧位相として生成される。
従って、昇圧回路10及びインバータ回路11が出力する交流電圧も、商用電力系統3の電圧位相に対して数度進相した電圧位相とされる。
すると、フィルタ回路21の交流リアクトル22(図2)の両端には、一方が昇圧回路10及びインバータ回路11の交流電圧、他方が商用電力系統3と、互いに数度電圧位相がずれた電圧がかかることなる。
図13(a)は、インバータ回路11から出力された交流電圧、商用電力系統3、及び交流リアクトル22の両端電圧、それぞれの電圧波形を示したグラフである。図中、縦軸は電圧、横軸は時間を示している。
図に示すように、交流リアクトル22の両端が互いに数度電圧位相がずれた電圧がかかると、交流リアクトル22の両端電圧は、交流リアクトル22の両端にかかる互いに数度電圧位相がずれた電圧同士の差分となる。
よって、図に示すように、交流リアクトル22の両端電圧の位相は、商用電力系統3の電圧位相に対して90度進んだ位相となる。
図13(b)は、交流リアクトル22に流れる電流波形を示したグラフである。図中、縦軸は電流、横軸は時間を示している。横軸は、図13の(a)の横軸と一致するように示している。
交流リアクトル22の電流位相は、その電圧位相に対して90度遅延する。よって、図に示すように、交流リアクトル22を通して出力される交流電力の電流位相は、商用電力系統3の電流位相に対して同期することとなる。
従って、インバータ回路11が出力する電圧位相は、商用電力系統3に対して数度進相しているが、電流位相は、商用電力系統3の電流位相に対して一致する。
よって、図12の最下段に示すグラフのように、電力変換装置1が出力する電流波形は、商用電力系統3の電圧位相と一致したものとなる。
この結果、商用電力系統3の電圧と同位相の交流電流を出力することができるので、当該交流電力の力率が低下するのを抑制することができる。
以上、最小スイッチング方式の電力変換装置1による系統連系について詳細に説明した。制御部12は、DC/ACコンバータ(インバータ回路11)及びDC/DCコンバータ(昇圧回路10)を交流電力の電圧半周期内で停止期間があるようにスイッチング動作させ、かつ、DC/DCコンバータ(昇圧回路10)の電流目標値を交流電力の電流と同期するように設定する。
(逆方向への電力変換について)
上記電力変換装置1は、直流電力から交流電力への変換について説明したが、図2に示す電力変換装置1は、交流電力から直流電力への変換装置にもなり得る。その場合、図1における太陽光発電パネル2は、充電可能な蓄電池に置き換わる。また、図2のインバータ回路11は、交流リアクトル22と協働して昇圧可能なDC/ACコンバータ11となる。昇圧回路10は、DC/DCコンバータとしての降圧回路10となる。蓄電池を充電する制御は、系統連系の制御を逆方向に見た類似の制御として考えることができる。
例えば、逆方向への電力変換装置1における諸量は、以下のようになる。
Ia*:商用電力系統3からの入力電流目標値
Iin:降圧回路電流検出値
Iin*:降圧回路電流目標値
Iinv*:DC/ACコンバータ11への交流入力電流目標値
Ig*:蓄電池への直流入力電流目標値
Ic:コンデンサ19に流れる電流
Ica:コンデンサ23に流れる電流
Va:系統電圧検出値
Vg:蓄電池電圧値
Vinv*:DC/ACコンバータ11への交流入力電圧目標値
Vo*:降圧回路10への入力電圧目標値
Pin:蓄電池への入力電力
LOSS:電力変換装置1の電力損失
η:電力変換装置1の電力変換効率
従って、前述の式(1)〜(8)と対応した以下の関係が適用できる。
式(1)と対応する蓄電池への入力電力Pinの平均値〈Pin〉は、
〈Pin〉=〈Iin×Vg〉 ・・・(R1)
である。
式(2)に対応する商用電力系統3からの入力電流目標値の平均値〈Ia*〉は、
〈Ia*〉=〈Ig*×Vg〉/(η×〈Va〉) ・・・(R2)
である。
式(3)に対応する入力電流目標値Ia*は、
Ia*=(21/2)×〈Ia*〉×sinωt ・・・(R3)
である。
式(4)に対応する交流入力電流目標値Iinv*は、
Iinv*=Ia* − s CaVa ・・・(R4)
である。
上記式(R4)は、時間tでの微分を用いた表現とすれば、
Iinv*=Ia* − Ca×(d Va/dt) ・・・(R4a)
となる。また、コンデンサ23に流れる電流を検出してこれをIcaとすれば、
Iinv*=Ia* − Ica ・・・(R4b)
となる。
また、式(5)に対応する交流入力電圧目標値Vinv*は、
Vinv*=Va−Za Iinv* ・・・(R5)
である。
上記式(R5)は、時間tでの微分を用いた表現とすれば、
Vinv*=Va − {RaIinv*+La× (d Iinv*/dt)
・・・(R5a)
となる。
また、式(6)に対応する降圧回路10への入力電圧目標値Vo*は、式(6)におけるVgfすなわち(Vg−Z Iin)が、Vgrすなわち(Vg+Z Iin)に置き換わり、
Vo*=Max(Vg+Z Iin,Vinv*の絶対値) ・・・(R6)
とすることができる。
上記式(R6)は、時間tでの微分を用いた表現とすれば、
Vo*=
Max(Vg+R Iin+L(d Iin/dt),Vinv*の絶対値)
・・・(R6a)
となる。
また、降圧回路電流目標値Iin*は、
Iin*=
{(Iinv*×Vinv*)−(s C Vo*)×Vo*} /
(Vg+ZIin) ・・(R7)
である。
上記式(R7)は、時間tでの微分を用いた表現とすれば、
Iin*=
{(Iinv*×Vinv*) − C×(d Vo*/dt)×Vo*} /
{Vg+RIin+L(dIin/dt)) ・・・(R7a)
となる。また、コンデンサ19に流れる電流を検出してこれをIcとすれば、
Iin*=
{(Iinv*×Vinv*) −Ic×Vo*} / (Vg+ZIin)
・・・(R7b)
となる。
式(R7),(R7a),(R7b)中、交流入力電流目標値Iinv*と、交流入力電圧目標値Vinv*との積に加算されている項は、コンデンサ19を通過する無効電力を考慮した値である。すなわち、DC/ACコンバータ11の電力目標値に加えて、無効電力を考慮することにより、より正確にIin*の値を求めることができる。
さらに、予め電力変換装置1の電力損失PLOSSを測定しておけば、上記式(R7a)は、以下のようにも表すことができる。
Iin*=
{(Iinv*×Vinv*) − C×(d Vo*/dt)×Vo* − PLOSS}/(Vg+ZIin) ・・・(R7c)
同様に、上記式(R7b)は、以下のようにも表すことができる。
Iin*=
{(Iinv*×Vinv*) −Ic×Vo* − PLOSS} / (Vg+ZIin)
・・・(R7d)
この場合、DC/ACコンバータ11の電力目標値に加えて、無効電力及び電力損失PLOSSを考慮することにより、より厳密にIin*の値を求めることができる。
なお、コンデンサ19の静電容量C及び電力損失PLOSSが、(Iinv*×Vinv*)に比べて十分小さい場合、下記式(R8)が成立する。この式(R8)によって求まるIin*を式(R6)、(R6a)、(R7)、(R7a)、(R7b)、(R7c)および(R7d)の右辺に含まれるIinとして用いることができる。
Iin*=(Iinv*×Vinv*)/Vg・・・(R8)
以上のようにして、制御部12は、DC/ACコンバータ11への交流入力電圧目標値Vinv*の絶対値が、直流電圧(Vg+Z Iin)よりも高い部分の電圧を出力する際には、降圧回路10を動作させ、DC/ACコンバータ11のへ交流入力電圧目標値Vinv*の絶対値が、直流電圧(Vg+Z Iin)よりも低い部分の電圧を出力する際にはDC/ACコンバータ11を動作させるように制御される。そのため、DC/ACコンバータ11によって昇圧する際の電位差を低く抑えることができるとともに、DC/ACコンバータ11及び降圧回路10のスイッチング損失を低減し、より高効率で直流電力を出力することができる。
さらに、降圧回路10及びDC/ACコンバータ11は、ともに制御部12が設定した目標値に基づいて動作するため、両回路の高周波スイッチング期間が交互に切り替わるように動作を行っても、DC/ACコンバータ11に入力される交流電流に位相ずれや歪みが生じるのを抑制することができる。
《電力変換装置の出力制御1(出力抑制)》
次に、上記のような最小スイッチング方式を前提とした、電力変換装置1の出力制御について説明する。
なお、電力変換装置1の制御に関する以下の説明は、電力変換装置の制御方法に関する説明でもある(以下同様。)。
図14の(a)は、需要家における太陽光発電の接続図の一例である。太陽光発電パネル2には、パワーコンディショナとしての電力変換装置1が接続されている。電力変換装置1は、分電盤61に接続されている。分電盤61は、電力メーター63を介して、商用電力系統3と接続されている。「電力監視部」としての電力メーター63は、例えば、買電、売電(逆潮)の電力及び電力量を測定することができる。また、分電盤61には、例えばコンセント62を介して、需要家内の電気機器等の負荷が接続されている。なお、当該負荷と、商用電力系統3とを合わせて、広義の交流系統と考えることができる。
太陽光発電パネル2による発電電力は、需要家内の負荷により自家消費されるとともに、余剰電力については、これを売電することができる。ここで、例えば、太陽光発電パネル2の発電電力は8kW、自家消費電力は1kW、余剰電力売電(逆潮)は7kWである、とする。
さて、電力会社は、商用系統電圧を常時監視しており、逆潮過多により商用電力系統の電圧が上昇すると、各需要家の電力変換装置1に対して出力抑制指令を出すことができる。例えば図14の(b)に示すように、逆潮の7kWを3kWに抑制する出力抑制指令が来た場合、電力変換装置1は、太陽光発電パネル2から引き出す電力を4kWに抑制し、自家消費電力は1kW、余剰電力売電は3kWとする。このように、電力変換装置1は、出力を急激に抑制しなければならない場合がある。なお、その他、電力変換装置1の内部温度が上昇した場合の過熱防止として、電力変換装置1が自ら出力を抑制する場合もある。いずれにしても、電力変換装置1が、出力を急激に抑制しなければならない点は同じである。
このような場合に、電力変換装置1の制御部12は、直流リアクトル15に流れる電流が0になるタイミングで交流リアクトル22に流れる電流目標値を変更する。直流リアクトル15に流れる電流とは、例えば図4に、昇圧回路電流検出値Iinとして示したものである。この電流は、周期的(商用電力系統の周波数の1/2周期)に0になる。また、交流リアクトル22に流れる電流とは、第2電流センサ24(図2)によって検出される電流検出値Iinvである。
ここで、電力変換装置1に、以下の具体的な数値条件を与えて、動作を検証する。
出力電力:8kWから4kWへの急減
入力電圧:250V
出力電圧:202V(実効値)
キャリア周波数:20kHz
直流リアクトル15のインダクタンス:1mH
交流リアクトル22のインダクタンス:1mH
中間コンデンサ19のキャパシタンス:100μF
図15は、比較のために、直流リアクトル15に流れる電流のピークのタイミングで交流リアクトル22に流れる電流目標値を変更した場合の電流変化及び中間コンデンサ電圧(DCバス20の電圧)を示す波形図である。図の上段が電流変化、中段が中間コンデンサ電圧の変化、下段がインバータ回路11のスイッチング素子(例えばQ1)に対するゲート信号(PWMパルス)を、それぞれ表している。また、図の上段の電流は、以下の3種類の波形を表している。
すなわち、「DCL電流」とは、直流リアクトル15に流れる電流である。「出力電流目標値」とは、交流リアクトル22に流すべき電流の目標値(指令値)である。「出力電流」とは、実際に、交流リアクトル22に流れる電流である。
図15の楕円で囲む部分に注目すると、DCL電流がピーク値となる時刻0.245秒に、出力抑制が開始され、出力電流目標値は瞬時に下がる。出力電流は、出力電流目標値より遅れて低下し、少しアンダーシュートした後、収束して出力電流目標値に追従する。また、中間コンデンサ電圧は出力抑制の開始後、約100V急激に上昇し、その後徐々に低下する。
図16は、時刻0.245秒を中心に図15の時間軸をさらに拡大した波形図である。上段はDCL電流を省いて、出力電流目標値及び出力電流のみを示している。時刻0.245秒において出力電流目標値が瞬時に下がっても、出力電流は追従できない。そのため、出力電流目標値と出力電流との差分に基づくフィードバック制御が働き、出力電流を抑制する方向すなわち、インバータ回路11のオンデューティを低減させる方向に制御が行われる。下段の楕円で囲む部分は、オンデューティの低減を意味している。
このように、直流リアクトル15に流れる電流のピークのタイミングで交流リアクトル22に流れる電流目標値を変更した場合には、一時的に、出力電流が出力電流目標値について行けない状態となり、中間コンデンサ電圧は急増する。
図17は、直流リアクトル15に流れる電流が0になるタイミングで交流リアクトル22に流れる出力電流目標値を変更した場合の電流変化及び中間コンデンサ電圧(DCバス20の電圧)を示す波形図である。図の上段が電流変化、中段が中間コンデンサ電圧の変化、下段がインバータ回路11のスイッチング素子(例えばQ1)に対するゲート信号(PWMパルス)を、それぞれ表している。また、図の上段は、比較例(図15)と同様に、DCL電流、出力電流目標値、及び、出力電流を表している。
図17の楕円等で囲む部分に注目すると、DCL電流が0になる例えば時刻0.240秒に、出力抑制が開始される。DCL電流が0になる時、出力電流目標値も0である。出力電流目標値は、電流0を起点として、時刻0.240秒以後の立ち上がりの勾配が緩くなることで出力を抑制する。出力電流は、出力抑制が開始されても、出力電流目標値と重なるように一致している。ここで、中間コンデンサ電圧に注目すると、時刻0.240秒での出力抑制開始に伴う電圧の上昇は見られない。
このように、直流リアクトル15に流れる電流が0になるタイミングで交流リアクトル22に流れる電流目標値を変更した場合には、中間コンデンサ電圧の上昇を防止することができる。すなわち、逆潮電力抑制の要請に、DCバス20の電圧の急激な変化を生じさせずに対応することができる。
なお、直流リアクトル15に流れる電流が0になるタイミングとは、理想的には完全に0[A]のタイミングであるが、0近傍、例えば0±0.1[A]程度、若しくは、ピーク電流に対して0±1[%]程度の範囲のタイミングであっても、中間コンデンサ電圧の上昇を防止することができる。すなわち、制御部12が実際に実行すべき制御としては、直流リアクトル15に流れる電流が0近傍になるタイミングで交流リアクトル22に流れる電流目標値を変更すればよい。この点は、以下の例でも同様である。
《電力変換装置の出力制御2(出力抑制下での負荷変動)》
次に、電力変換装置1の出力制御の他の例として、出力抑制下での負荷変動に対する制御について説明する。
図18は、構成に関しては、図14と同様の図であるので説明を省略する。
まず、図18の(a)において、例えば、太陽光発電パネル2の発電電力は5kW、自家消費電力は1kW、余剰電力売電は4kWである、とする。電力変換装置1に対しては出力抑制指令(4kW)が与えられている。ここで、自家消費電力が急増して、1kWから4kWになったとする。電力変換装置1の出力を4kWに維持すれば、不足する3kWを商用電力系統3から買電することになり、太陽光発電の運用上は損である。
そこで、このような場合、図18の(b)に示すように、電力変換装置1は自家消費電力の増大に合わせて太陽光発電パネル2から8kWの出力を引き出し、出力を増強する。具体的には例えば、自家消費電力の増大による買電は、電力メーター63によって検知できるので、電力メーター63と連係して、電力変換装置1が、+3kWの出力増強をすればよい。
逆に、図18の(b)に示す状態から、自家消費電力が減少(4kW→1kW)した場合は、そのままでは、売電が増えて出力抑制のルールを守れなくなる。そこで、電力変換装置1は自家消費電力の減少に合わせて太陽光発電パネル2から引き出していた8kWの出力を縮小し、図18の(a)に示すように、5kWに低下させる。具体的には例えば、自家消費電力の減少による売電増大は、電力メーター63によって検知できるので、電力メーター63と連係して、電力変換装置1が、−3kWの出力低減をすればよい。
このような出力急変の場合に、電力変換装置1の制御部12は、直流リアクトル15に流れる電流が0近傍になるタイミングで交流リアクトル22に流れる電流目標値を変更する。
ここで、電力変換装置1に、以下の具体的な数値条件を与えて、動作を検証する。
(増大の場合)
出力電力:5kWから8kWへの急増
入力電圧:250V
出力電圧:202V(実効値)
キャリア周波数:20kHz
直流リアクトル15のインダクタンス:1mH
交流リアクトル22のインダクタンス:1mH
中間コンデンサ19のキャパシタンス:100μF
図19は、比較のために、直流リアクトル15に流れる電流のピークのタイミングで交流リアクトル22に流れる電流目標値を変更した場合の電流変化及び中間コンデンサ電圧(DCバス20の電圧)を示す波形図である。図の上段が電流変化、中段が中間コンデンサ電圧の変化、下段がインバータ回路11のスイッチング素子(例えばQ1)に対するゲート信号(PWMパルス)を、それぞれ表している。また、図の上段は、これまでと同様、DCL電流、出力電流目標値、出力電流である。
図19の楕円で囲む部分に注目すると、DCL電流がピーク値となる時刻0.245秒に、出力制御が開始され、出力電流目標値は瞬時に上がる。出力電流は、出力電流目標値より遅れて上昇し、少しオーバーシュートした後、収束して出力電流目標値に追従する。また、中間コンデンサ電圧は出力制御の開始後、大きく変動して約350Vまで達し、その後徐々に低下する。
このように、直流リアクトル15に流れる電流のピークのタイミングで交流リアクトル22に流れる電流目標値を変更した場合には、一時的に、出力電流が出力電流目標値について行けない状態となり、中間コンデンサ電圧は急増する。
図20は、直流リアクトル15に流れる電流が0になるタイミングで交流リアクトル22に流れる電流目標値を変更した場合の電流変化及び中間コンデンサ電圧(DCバス20の電圧)を示す波形図である。図の上段が電流変化、中段が中間コンデンサ電圧の変化、下段がインバータ回路11のスイッチング素子(例えばQ1)に対するゲート信号(PWMパルス)を、それぞれ表している。また、図の上段は、比較例(図19)と同様に、DCL電流、出力電流目標値、及び、出力電流を表している。
図20の楕円等で囲む部分に注目すると、DCL電流が0になる例えば時刻0.240秒に、出力制御が開始される。DCL電流が0になる時、出力電流目標値も0である。出力電流目標値は、電流0を起点として、時刻0.240秒以後の立ち上がりの勾配がきつくなることで出力を増大させる。出力電流は、出力制御が開始されても、出力電流目標値と重なるように一致している。ここで、中間コンデンサ電圧に注目すると、時刻0.240秒での出力制御開始に伴う電圧の上昇は見られない。
このように、直流リアクトル15に流れる電流が0になるタイミングで交流リアクトル22に流れる電流目標値を変更した場合には、中間コンデンサ電圧の上昇を防止することができる。
また、逆潮電力を一定に維持したまま、負荷増大に対応し、直流電源(太陽光発電パネル2)の発電電力を適切に活用・調整することができる。
また、電力変換装置1に、以下の具体的な数値条件を与えて、動作を検証する。
(減少の場合)
出力電力:8kWから5kWへの急減
入力電圧:250V
出力電圧:202V(実効値)
キャリア周波数:20kHz
直流リアクトル15のインダクタンス:1mH
交流リアクトル22のインダクタンス:1mH
中間コンデンサ19のキャパシタンス:100μF
図21は、比較のために、直流リアクトル15に流れる電流のピークのタイミングで交流リアクトル22に流れる電流目標値を変更した場合の電流変化及び中間コンデンサ電圧(DCバス20の電圧)を示す波形図である。図の上段が電流変化、中段が中間コンデンサ電圧の変化、下段がインバータ回路11のスイッチング素子(例えばQ1)に対するゲート信号(PWMパルス)を、それぞれ表している。また、図の上段は、これまでと同様、DCL電流、出力電流目標値、出力電流である。
図21の楕円で囲む部分に注目すると、DCL電流がピーク値となる時刻0.245秒に、出力制御が開始され、出力電流目標値は瞬時に下がる。出力電流は、出力電流目標値より遅れて下降し、少しアンダーシュートした後、収束して出力電流目標値に追従する。また、中間コンデンサ電圧は出力制御の開始後、大きく変動して約390Vまで達し、その後徐々に低下する。
このように、直流リアクトル15に流れる電流のピークのタイミングで交流リアクトル22に流れる電流目標値を変更した場合には、一時的に、出力電流が出力電流目標値について行けない状態となり、中間コンデンサ電圧は急増する。
図22は、直流リアクトル15に流れる電流が0になるタイミングで交流リアクトル22に流れる電流目標値を変更した場合の電流変化及び中間コンデンサ電圧(DCバス20の電圧)を示す波形図である。図の上段が電流変化、中段が中間コンデンサ電圧の変化、下段がインバータ回路11のスイッチング素子(例えばQ1)に対するゲート信号(PWMパルス)を、それぞれ表している。また、図の上段は、比較例(図19)と同様に、DCL電流、出力電流目標値、及び、出力電流を表している。
図22の楕円等で囲む部分に注目すると、DCL電流が0になる例えば時刻0.240秒に、出力制御が開始される。DCL電流が0になる時、出力電流目標値も0である。出力電流目標値は、電流0を起点として、時刻0.240秒以後の立ち上がりの勾配が緩くなることで出力を減少させる。出力電流は、出力制御が開始されても、出力電流目標値と重なるように一致している。ここで、中間コンデンサ電圧に注目すると、時刻0.240秒での出力制御開始に伴う電圧の上昇は見られない。
このように、直流リアクトル15に流れる電流が0になるタイミングで交流リアクトル22に流れる電流目標値を変更した場合には、中間コンデンサ電圧の上昇を防止することができる。
また、逆潮電力を一定に維持したまま、負荷減少に対応し、直流電源(太陽光発電パネル2)の発電電力を適切に活用・調整することができる。
なお、上記の出力制御1,2は、太陽光発電パネル2すなわち直流電源が1つの場合について述べたが、複数の直流電源がある場合にも同様な制御を行うことができる。
例えば、太陽光発電パネル2に蓄電池を併用する、いわゆるダブル発電の場合の電力変換装置1の出力制御の2例について、以下に補足説明する。
《電力変換装置の出力制御3(出力抑制下での負荷変動)》
図23は、構成に関しては、図14と同様の図であるので説明を省略する。
まず、図23の(a)において、例えば、太陽光発電パネル2の発電電力は5kW、蓄電池4の充放電電力は0kW、自家消費電力は1kW、余剰電力売電は4kWである、とする。電力変換装置1に対しては出力抑制指令(4kW)が与えられている。ここで、自家消費電力が急増して、1kWから4kWになったとする。
このような場合、図23の(b)に示すように、蓄電池4の放電により3kWを出力し、太陽光発電パネル2の出力と合わせて、総出力を増強する。具体的には例えば、自家消費電力の増大による買電増大は、電力メーター63によって検知できるので、電力メーター63と連係して、電力変換装置1が、蓄電池4の放電を開始させ、+3kWの出力増強をすればよい。
逆に、図23の(b)に示す状態から、自家消費電力が減少(4kW→1kW)した場合は、そのままでは、売電が増えて出力抑制のルールを守れなくなる。そこで、電力変換装置1は自家消費電力の減少に合わせて蓄電池4の放電を停止させ、図23の(a)に示す状態に戻す。具体的には例えば、自家消費電力の減少による売電増大は、電力メーター63によって検知できるので、電力メーター63と連係して、電力変換装置1が、蓄電池4の放電を停止させればよい。
このような出力急変の場合にも、電力変換装置1の制御部12は、直流リアクトル15に流れる電流が0近傍になるタイミングで交流リアクトル22に流れる電流目標値を変更する。
《電力変換装置の出力制御4(出力抑制下での負荷変動)》
図24は、構成に関しては、図14と同様の図であるので説明を省略する。
まず、図24の(a)において、例えば、太陽光発電パネル2の発電電力は8kW、蓄電池4の充放電電力は0kW、自家消費電力は4kW、余剰電力売電は4kWである、とする。電力変換装置1に対しては出力抑制指令(4kW)が与えられている。ここで、自家消費電力が急減して、4kWから1kWになったとする。
このような場合、図24の(b)に示すように、蓄電池4の充電により3kWを消費し、太陽光発電パネル2の出力と負荷とのバランスをとる。具体的には例えば、自家消費電力の減少による売電増大は、電力メーター63によって検知できるので、電力メーター63と連係して、電力変換装置1が、蓄電池4の充電を開始させ、3kWの電力消費をすればよい。
逆に、図24の(b)に示す状態から、自家消費電力が増大(1kW→4kW)した場合は、そのままでは、買電が増える。そこで、電力変換装置1は自家消費電力の増大に合わせて蓄電池4の充電を停止させ、図24の(a)に示す状態に戻す。具体的には例えば、自家消費電力の増大による買電増大は、電力メーター63によって検知できるので、電力メーター63と連係して、電力変換装置1が、蓄電池4の充電を停止させればよい。
このような出力急変の場合にも、電力変換装置1の制御部12は、直流リアクトル15に流れる電流が0近傍になるタイミングで交流リアクトル22に流れる電流目標値を変更する。
《制御フローについて》
次に、電力変換装置1としての、電流目標値の変更のための制御フローについて説明する。制御フローの実行主体は制御部12である。
図25は、例えば図14に示した、出力抑制に応じた電流目標値への変更処理を示すフローチャートの一例である。処理開始により、制御部12は、出力抑制指令がある(出力抑制指令を受信している)か否かを判定する(ステップS1)。出力抑制指令がある場合は、制御部12は、逆潮電力をチェックする(ステップS2)。次に、制御部12は、出力抑制指令による逆潮可能な最大電力と自家消費電力とに基づいて、発電電力の上限値を決定する(ステップS3)。
続いて制御部12は、直流リアクトル電流のチェックを行い(ステップS4)、0[A]のタイミングを待つ。0[A]のタイミングになると、制御部12は、ステップS3で決定した上限値となるよう、電力変換装置1の出力電流目標値を設定する(ステップS5)。その後、ステップS1に戻り、制御部12は、同様の処理を繰り返す。出力抑制指令がある間は、常に、逆潮電力をチェックしながら、直流リアクトル電流が0になるタイミングで出力電流目標値の設定を行うことを繰り返す。
出力抑制下で、自家消費電力が増大すると、買電電力が増大する。そこで、制御部12は、発電電力の増大が可能であれば必要分だけ上限値を増大させ、買電電力を抑制することができる。また、その状態から自家消費電力が低下すると、逆潮電力が増大する。そこで、制御部12は、必要な分だけ発電電力を絞るべく上限値を減少させ、逆潮電力を一定に保つことができる。
出力抑制指令が解除されると、制御部12はステップS1からステップS3に進み、逆潮電力の制限を受けること無く、発電能力に応じて、発電電力の上限値を決定することができる。
《まとめ》
以上のように、(a)出力抑制に伴う出力制御の場合、(b)出力抑制下での負荷変動に応じた出力制御、のいずれにおいても、DC/DCコンバータ10の直流リアクトル15を流れる電流が0近傍になるタイミングで交流リアクトル22に流れる電流目標値を変更することにより、変更の前後での、交流リアクトル22を流れる電流及びDCバス20の電圧の急激な変化を抑制することができる。
これにより、DCバス20に接続される中間コンデンサ19及びスイッチング素子(Q1〜Q4,Qb,Qb2)の耐圧条件が緩和され、より低耐圧なものとすることができる。低耐圧であることは、部品コスト、サイズの低減に寄与し、また、損失の低減にも寄与する。
《DC/DCコンバータの並列回路の変更等》
次に、DC/DCコンバータの並列回路の変更等に関する制御(制御方法)について説明する。なお、当該制御は、前述の電力変換装置の出力制御1,2とは別に用いてもよいし、また、組み合わせて用いてもよい。
図26は、DC/DCコンバータ10が2組、互いに並列に設けられた電力変換装置1の概略構成を示すブロック図である。図2と対応する部分には同一符号を付して説明を省略する。この電力変換装置1は、直流電源2と、商用電力系統(又は負荷)3との間に設けられている。なお、直流電源2及び電力変換装置1を自立電源として使用する場合は、これに、負荷3が接続されることになる。商用電力系統も負荷も含み得る表現としては、「交流系統」と考えることができる。
図26において、制御部12は、2組のDC/DCコンバータ10を、例えば交互に動作させることができる。また、制御部12は、2組のDC/DCコンバータ10の双方が均等に電流を負担してコンバータ動作を行うよう制御することもできる。
これらの場合の2組のDC/DCコンバータ10は、DC/DCコンバータが1組しかない場合と比べて稼働率が減少するか又は電流負担が減少し、その結果、長期にわたって2組のDC/DCコンバータ10を使用することができる。
なお、直流電源2は、各DC/DCコンバータ10に共通の単一の電源であってもよいし、各DC/DCコンバータ10に個別に対応した複数の直流電源2の集まりであってもよい。
図27は、2組のDC/DCコンバータ10を持つ電力変換装置1の回路図の一例である。2組のDC/DCコンバータ10(内部構成は同じ。)は、直流電源2と、DCバス20との間に、互いに並列に設けられている。その他の回路構成は、図2と同様であるので、説明は省略する。
ここで、電力変換装置1(図27)に、以下の具体的な数値条件を与えて、動作を検証する。
図27の上側にあるDC/DCコンバータ10の出力電力を、5kWから10kWへ急増させる。また、図27の下側にあるDC/DCコンバータ10の出力電力を、5kWから0kWへ急減させる。すなわち、2組のDC/DCコンバータ10が均等に5kWの電力を負担(電流負担)している状態から、一方のDC/DCコンバータ10のみで10kWを負担し、他方は休ませる、という状態に変化させる。従って、DC/DCコンバータ10の稼働回路数は「2」から「1」になる。
また、その他の数値条件は、以下の通りである。
入力電圧:250V
出力電圧:202V(実効値)
キャリア周波数:20kHz
直流リアクトル15のインダクタンス:1mH
交流リアクトル22のインダクタンス:1mH
中間コンデンサ19のキャパシタンス:100μF
図28は、比較のために、直流リアクトル15に流れる電流のピークのタイミングで稼働回路数を変更した場合の電流変化及び中間コンデンサ電圧(DCバス20の電圧)を示す波形図である。図の上段が電流変化、下段が中間コンデンサ電圧の変化を、それぞれ表している。また、図の上段は、以下の3種類の波形を表している。
すなわち、「DCL電流1」とは、図27の上側のDC/DCコンバータ10(5kW→10kW)の直流リアクトル15に流れる電流、「DCL電流2」とは、図27の下側のDC/DCコンバータ10(5kW→0kW)の直流リアクトル15に流れる電流である。時刻0.235秒から0.245秒までの電流波形において、上の波形は、DCL電流1と、DCL電流2との総和である。また、下の波形は、DCL電流1及びDCL電流2であり、両者は同じ値であるので、重なって見える。
図28の楕円または円で囲む部分に注目すると、DCL電流1,2がピーク値となる時刻0.245秒に、稼働回路数の切り換え(2→1)が行われ、DCL電流1は急激に増大し、DCL電流2はやや緩慢に減少する。このように各DCL電流の時間変位が異なっているため、DCL電流の総和は、一時的に大きな値となり、その後、本来あるべき値に落ち着く。中間コンデンサ電圧は稼働回路数の切り換え後、一瞬低下した後、大きく上昇し、その後徐々に落ち着く。
図29は、時刻0.245秒を中心に図28の時間軸をさらに拡大した波形図である。図28よりさらに明瞭に上述の状態変化が見て取れる。すなわち、DCL電流1,2がピーク値となる時刻0.245秒に、稼働回路数の切り換えが行われると、DCL電流1は急激に増大し、DCL電流2はやや緩慢に減少する。この時間変位の差により、DCL電流の総和は、一時的に大きな値となり、その後、本来あるべき値に落ち着く。中間コンデンサ電圧は稼働回路数の切り換え後、一瞬低下した後、約350Vまで大きく上昇し、その後徐々に落ち着く。
このように、直流リアクトル15に流れる電流のピークのタイミングで稼働回路数の切り換えを行った場合には、一時的に、直流リアクトル電流の総和は増大し、中間コンデンサ電圧も増大する。
図30は、直流リアクトル15に流れる電流が0になるタイミングで稼働回路数の切り換えを行った場合の電流変化及び中間コンデンサ電圧(DCバス20の電圧)を示す波形図である。図の上段が電流変化、下段が中間コンデンサ電圧の変化を、それぞれ表している。また、図の上段は、比較例(図28,図29)と同様に、DCL電流1,2及び総和を表している。
時刻0.235秒から0.245秒までの電流波形において、上の波形は、DCL電流1と、DCL電流2との総和である。また、下の波形は、DCL電流1及びDCL電流2であり、両者は同じ値であるので、重なって見える。
図30の楕円等で囲む部分に注目すると、DCL電流1,2が0になる例えば時刻0.240秒に、稼働回路数の切り換えが行われる。0.240秒以後、DCL電流1のみで切換前と同じ電流を負担し、DCL電流2は0になる。中間コンデンサ電圧に注目すると、時刻0.240秒での稼働回路数切換に伴う電圧の上昇は見られない。
このように、直流リアクトル15に流れる電流が0になるタイミングで稼働回路数の切り換えを行った場合には、中間コンデンサ電圧の上昇を防止することができる。
次に、電力変換装置1(図27)に、以下の他の具体的な数値条件を与えて、動作を検証する。
図27の上側にあるDC/DCコンバータ10の出力電力を、10kWから5kWへ急減させる。また、図27の下側にあるDC/DCコンバータ10の出力電力を、0kWから5kWへ急増させる。すなわち、2組のDC/DCコンバータ10のうち一方のDC/DCコンバータ10のみで10kWを負担し、他方は休ませる、という状態から、2組が均等に5kWの電力を負担(電流負担)している状態、に変化させる。従って、DC/DCコンバータ10の稼働回路数は「1」から「2」になる。
また、その他の数値条件は、以下の通りである。
入力電圧:250V
出力電圧:202V(実効値)
キャリア周波数:20kHz
直流リアクトル15のインダクタンス:1mH
交流リアクトル22のインダクタンス:1mH
中間コンデンサ19のキャパシタンス:100μF
図31は、比較のために、直流リアクトル15に流れる電流のピークのタイミングで稼働回路数を変更した場合の電流変化及び中間コンデンサ電圧(DCバス20の電圧)を示す波形図である。図の上段が電流変化、下段が中間コンデンサ電圧の変化を、それぞれ表している。また、図の上段は、以下の3種類の波形を表している。
すなわち、「DCL電流1」とは、図27の上側のDC/DCコンバータ10(10kW→5kW)の直流リアクトル15に流れる電流、「DCL電流2」とは、図27の下側のDC/DCコンバータ10(0kW→5kW)の直流リアクトル15に流れる電流である。時刻0.085秒から0.090秒までの電流波形において、上の波形は、DCL電流1と、DCL電流2との総和であるが、DCL電流2は0であるので、実質的にはDCL電流1の波形である。また、下の波形は、DCL電流2である。
図31の楕円または円で囲む部分に注目すると、DCL電流1がピーク値となる時刻0.095秒に、稼働回路数の切り換え(1→2)が行われ、DCL電流2は急激に増大し、DCL電流1はやや緩慢に減少する。このように各DCL電流の時間変位が異なっているため、DCL電流の総和は、一時的に大きな値となり、その後、本来あるべき値に落ち着く。中間コンデンサ電圧は稼働回路数の切り換え後、大きく上昇し、その後徐々に落ち着く。
このように、直流リアクトル15に流れる電流のピークのタイミングで稼働回路数の切り換えを行った場合には、一時的に、直流リアクトル電流の総和は増大し、中間コンデンサ電圧も増大する。
図32は、直流リアクトル15に流れる電流が0になるタイミングで稼働回路数の切り換えを行った場合の電流変化及び中間コンデンサ電圧(DCバス20の電圧)を示す波形図である。図の上段が電流変化、下段が中間コンデンサ電圧の変化を、それぞれ表している。また、図の上段は、比較例(図31)と同様に、DCL電流1,2及び総和を表している。
時刻0.085秒から0.090秒までの電流波形において、上の波形は、DCL電流1と、DCL電流2との総和であるが、DCL電流2は0であるので、実質的にはDCL電流1の波形である。また、下の波形は、DCL電流2である。
図32の楕円等で囲む部分に注目すると、DCL電流1が0になる例えば時刻0.090秒に、稼働回路数の切り換えが行われる。0.090秒以後、DCL電流1,2で均等に電流を負担することになる。中間コンデンサ電圧に注目すると、時刻0.090秒での稼働回路数切換に伴う電圧の上昇は見られない。
このように、直流リアクトル15に流れる電流が0になるタイミングで稼働回路数の切り換えを行った場合には、中間コンデンサ電圧の上昇を防止することができる。
また、2組のDC/DCコンバータ10が交互に動作するか、又は、双方が均等に電流を負担してコンバータ動作を行うよう制御することで、2組のDC/DCコンバータ10は、DC/DCコンバータが1組しかない場合と比べて稼働率が減少するか又は電流負担が減少し、その結果、長期にわたって2組のDC/DCコンバータ10を使用することができる。
《DC/DCコンバータの並列回路数が3以上ある場合の稼働回路》
図33は、DC/DCコンバータ10がn組(nは3以上の自然数)、互いに並列に設けられた電力変換装置1の概略構成を示すブロック図である。図2と対応する部分には同一符号を付して説明を省略する。この電力変換装置1は、直流電源2と、商用電力系統(又は負荷)3との間に設けられている。
図において、制御部12は、n組のDC/DCコンバータ10の中から、k組(kはnより小さい自然数)を選んで動作させることができる。
ここで、k組の「k」の決定方法としては、例えば、直流電源2(太陽光発電パネル2)の発電電力と、段階的に設定された所定の電力閾値とを比較して、「k」すなわち稼働台数を決定することができる。
具体的には、例えばn=3であれば、電力閾値を、Pth_1、Pth_2(>Pth_1)の2段階用意し、
発電電力がPth_1より小さいときは、1台稼働、
発電電力がPth_1以上であってPth_2より小さいときは、2台稼働、
発電電力がPth_2以上であれば、3台稼働、
とすることができる。
普遍的に、nの値を特定しない場合は、例えば、電力閾値を小さい方から順に、Pth_1,・・・,Pth_k,・・・,Pth_nの、合計n個用意する。そして、
発電電力がPth_1より小さいときは1台稼働、
以後、発電電力が、直近の下位の閾値以上であってPth_kより小さいときはk台稼働、
発電電力が、直近の下位の閾値以上であってPth_nより小さいときはn台稼働、
とすることができる。
このような稼働台数の選択は、特に、直流電源が太陽光発電パネルである場合に好適である。すなわち、太陽光発電パネルの発電電力の総量と、段階的に設定された電力閾値との比較に基づいて、稼働台数であるnの数を決定することで、天候や時刻で発電電力が変化する太陽光発電パネルの場合に、発電電力の総量に応じて適切なnの数を決定することができる。
さらに、「k」の数だけでなく、kの組み合わせも重要である。例えば、総数3台中の2台を稼働させるには、3台のDC/DCコンバータ10を、DC/DCコンバータ10−1,10−2,10−3とすると、
組み合わせ1:10−1,10−2
組み合わせ2:10−2,10−3
組み合わせ3:10−3,10−1
となる。
普遍的には、必要な稼働台数のkが決まれば、そのk台の組み合わせは、通り存在する。これらの組み合わせをまんべんなく用いることで、全てのDC/DCコンバータ10を、均等に使用し、全体としての寿命を延ばすことができる。
《制御フローについて》
ここで、稼働回路の組み合わせを想定した、電流目標値の変更のための制御フローについて説明する。制御フローの実行主体は制御部12である。
図34は、このようなフローチャートの一例である。処理開始により、制御部12は、太陽光発電パネルの発電電力と電力閾値との比較を行う(ステップS11)。そして、制御部12は、稼働台数を決定する(ステップS12)。さらに制御部12は、稼働回路の組み合わせを決定する(ステップS13)。
続いて制御部12は、直流リアクトル電流のチェックを行い(ステップS14)、0[A]のタイミングを待つ。0[A]のタイミングになると、制御部12は、各回路の電流目標値を変更する(ステップS15)。その後、ステップS11に戻り、制御部12は、同様の処理を繰り返す。
《各回路の負担均等法》
DC/DCコンバータ10が複数台並列に接続されている場合、各回路の使用時間を均等化することが、全体としての長寿命化に好ましい。使用時間の指標としては、直流リアクトル電流が0になった回数をカウントすることができる。回数カウントは単純であるので、制御部12の演算負担は軽い。
図35は、直流リアクトル電流が0になった回数カウントに基づいて組み合わせを変更する一例を示す図である。例えば所定数をxとして、0[A]をx回カウントすれば、ローテーション的に組み合わせを変えることができる。
《その他の回路構成》
図36は、DC/DCコンバータ10がn組(nは3以上の自然数)、互いに並列に設けられた電力変換装置1の概略構成を示すブロック図である。図33との違いは、直流電源2が、個々のDC/DCコンバータ10に対応して設けられている点である。
例えば、4つの直流電源2がそれぞれ2kW出力の太陽光発電パネルであるとすると、8kW発電している状態から4kW発電への出力抑制指令を受けた場合に、全ての直流電源2を均等に1kWに抑制するのではなく、2基の太陽光発電パネルを停止し、残りの2基を稼働するというように、並列数を変更する対応が可能である。
同様に、4つの直流電源2がそれぞれ2kW出力の蓄電池であるとすると、負荷側が引っぱる電力が8kWの状態から4kWに急減したとすると、全ての直流電源2を均等に1kW出力に抑制するのではなく、2つの蓄電池2を停止し、残る2つの2kW出力の蓄電池を稼働するというように、並列数を変更する対応が可能である。
《まとめ》
以上のように、DC/DCコンバータ10が複数組並列に設けられている場合の稼働回路数切換の場合において、DC/DCコンバータ10の直流リアクトル15を流れる電流が0近傍になるタイミングで複数組のDC/DCコンバータ10の電流負担を変更することにより、変更の前後での、直流リアクトル15を流れる電流の総和及びDCバス20の電圧の急激な変化を抑制することができる。
これにより、DCバス20に接続される中間コンデンサ19及びスイッチング素子(Q1〜Q4,Qb,Qb2)の耐圧条件が緩和され、より低耐圧なものとすることができる。低耐圧であることは、部品コスト、サイズの低減に寄与し、また、損失の低減にも寄与する。
《その他》
なお、本発明は、このような特徴的な制御部12を備える電力変換装置1又は、制御部12による制御方法として実現することができるだけでなく、かかる特徴的な処理のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現することができる。また、制御部12の一部又は全部を実現する半導体集積回路として実現したり、さらに周辺の要素を加えて、電力変換装置1を含む電力変換システムとして実現したりすることができる。
また、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
逆に、上記全ての開示内容を備えた装置や方法も、本発明の一実施形態たり得る。
1 電力変換装置
2 太陽光発電パネル、直流電源
3 商用電力系統
4 蓄電池
10 昇圧回路、降圧回路、DC/DCコンバータ
10−1,10−2,10−3 DC/DCコンバータ
11 インバータ回路、DC/ACコンバータ
12 制御部
15 直流リアクトル
17 第1電圧センサ
18 第1電流センサ
19 中間コンデンサ
20 DCバス
21 フィルタ回路
22 交流リアクトル
23 コンデンサ
24 第2電流センサ
25 第2電圧センサ
26 コンデンサ
27 第3電圧センサ
30 制御処理部
32 昇圧回路制御部
33 インバータ回路制御部
34 平均化処理部
41 第1演算部
42 第1加算器
43 補償器
44 第2加算器
51 第2演算部
52 第3加算器
53 補償器
54 第4加算器
61 分電盤
62 コンセント
63 電力メーター
Db1,Db2 ダイオード
P 回路接続点
Q1〜Q4,Qb,Qb2 スイッチング素子

Claims (10)

  1. 直流電源と交流系統との間で直流電力/交流電力の電力変換を行う電力変換装置であって、
    前記交流系統と接続され、交流リアクトルを含むフィルタ回路と、
    前記フィルタ回路とDCバスとの間に設けられたDC/ACコンバータと、
    前記DCバスに接続された中間コンデンサと、
    前記直流電源と前記DCバスとの間に設けられ、直流リアクトルを含むDC/DCコンバータと、
    前記DC/ACコンバータ及び前記DC/DCコンバータを前記交流電力の電圧半周期内で停止期間があるようにスイッチング動作させ、かつ、前記直流リアクトルに流れる電流が周期的に0になるよう前記DC/DCコンバータを制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記直流リアクトルに流れる電流が0近傍になるタイミングで前記交流リアクトルに流れる電流目標値を変更する、電力変換装置。
  2. 逆潮電力を監視する電力監視部を備え、
    逆潮電力を抑制する場合、前記制御部は、前記直流電源に対して、前記直流リアクトルに流れる電流が0近傍になるタイミングで、少なくとも抑制に応じた分の発電電力を低下させる、請求項1に記載の電力変換装置。
  3. 負荷電力が増減した場合、前記制御部は、逆潮電力を一定に維持したまま、前記直流電源の出力電力又は入力電力を増減させる、請求項2に記載の電力変換装置。
  4. 直流電源と交流系統との間で直流電力/交流電力の電力変換を行う電力変換装置であって、
    前記交流系統と接続され、交流リアクトルを含むフィルタ回路と、
    前記フィルタ回路とDCバスとの間に設けられたDC/ACコンバータと、
    前記DCバスに接続された中間コンデンサと、
    前記直流電源と前記DCバスとの間にあって、互いに並列に複数組設けられ、各組に直流リアクトルを含むDC/DCコンバータと、
    前記DC/ACコンバータ及び前記DC/DCコンバータを前記交流電力の電圧半周期内で停止期間があるようにスイッチング動作させ、かつ、前記直流リアクトルに流れる電流が周期的に0になるよう前記DC/DCコンバータを制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記直流リアクトルに流れる電流が0近傍になるタイミングで複数組の前記DC/DCコンバータの電流負担を変更する、電力変換装置。
  5. 前記DC/DCコンバータは2組設けられており、
    前記制御部は、2組の前記DC/DCコンバータが交互に動作するか、又は、双方が均等に電流を負担してコンバータ動作を行うよう制御する、請求項4に記載の電力変換装置。
  6. nは3以上の自然数、kはnより小さい自然数であるとして、
    前記DC/DCコンバータはn組設けられており、
    前記制御部は、前記変更のたびに、n組の中から常に異なる組み合わせとなるk組の前記DC/DCコンバータがコンバータ動作を行うよう制御する、請求項4に記載の電力変換装置。
  7. 前記直流電源は太陽光発電パネルであり、
    前記制御部は、前記太陽光発電パネルの発電電力の総量と、段階的に設定された電力閾値との比較に基づいて、前記kの数を決定する請求項6に記載の電力変換装置。
  8. 前記制御部は、前記直流リアクトルに流れる電流が0になる累積回数が均等化されるように、前記n組の組み合わせを選択する請求項6又は請求項7に記載の電力変換装置。
  9. 交流系統と接続され、交流リアクトルを含むフィルタ回路と、前記フィルタ回路とDCバスとの間に設けられたDC/ACコンバータと、前記DCバスに接続された中間コンデンサと、直流電源と前記DCバスとの間に設けられ、直流リアクトルを含むDC/DCコンバータと、を有し、直流電源と交流系統との間で直流電力/交流電力の電力変換を行う電力変換装置の制御方法であって、
    前記DC/ACコンバータ及び前記DC/DCコンバータを前記交流電力の電圧半周期内で停止期間があるようにスイッチング動作させ、かつ、前記直流リアクトルに流れる電流が周期的に0になるよう制御し、
    前記直流リアクトルに流れる電流が0近傍になるタイミングで前記交流リアクトルに流れる電流目標値を変更する、電力変換装置の制御方法。
  10. 交流系統と接続され、交流リアクトルを含むフィルタ回路と、前記フィルタ回路とDCバスとの間に設けられたDC/ACコンバータと、前記DCバスに接続された中間コンデンサと、直流電源と前記DCバスとの間にあって、互いに並列に複数組設けられ、各組に直流リアクトルを含むDC/DCコンバータと、を有し、前記直流電源と前記交流系統との間で直流電力/交流電力の電力変換を行う電力変換装置の制御方法であって、
    前記DC/ACコンバータ及び前記DC/DCコンバータを前記交流電力の電圧半周期内で停止期間があるようにスイッチング動作させ、かつ、前記直流リアクトルに流れる電流が周期的に0になるよう制御し、
    前記直流リアクトルに流れる電流が0近傍になるタイミングで複数組の前記DC/DCコンバータの電流負担を変更する、電力変換装置の制御方法。
JP2015203492A 2015-10-15 2015-10-15 電力変換装置及びその制御方法 Active JP6500738B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015203492A JP6500738B2 (ja) 2015-10-15 2015-10-15 電力変換装置及びその制御方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015203492A JP6500738B2 (ja) 2015-10-15 2015-10-15 電力変換装置及びその制御方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017077100A true JP2017077100A (ja) 2017-04-20
JP6500738B2 JP6500738B2 (ja) 2019-04-17

Family

ID=58549833

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015203492A Active JP6500738B2 (ja) 2015-10-15 2015-10-15 電力変換装置及びその制御方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6500738B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111800029A (zh) * 2020-08-07 2020-10-20 深圳市艾博尔电源技术有限公司 一种电池模拟器低功耗控制方法
WO2021182448A1 (ja) * 2020-03-11 2021-09-16 株式会社オートネットワーク技術研究所 電力変換装置

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1014258A (ja) * 1996-06-27 1998-01-16 Matsushita Electric Works Ltd 電力変換装置
JP2000152651A (ja) * 1998-11-10 2000-05-30 Matsushita Electric Ind Co Ltd 系統連系インバータ装置
JP2012161215A (ja) * 2011-02-03 2012-08-23 Daihen Corp コンバータ制御装置、およびこのコンバータ制御装置を用いた系統連系インバータシステム
JP2014075878A (ja) * 2012-10-03 2014-04-24 Sharp Corp パワーコンディショナおよび電力供給システム
JP5618022B1 (ja) * 2013-06-11 2014-11-05 住友電気工業株式会社 インバータ装置
JP2014241715A (ja) * 2013-06-11 2014-12-25 住友電気工業株式会社 インバータ装置

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1014258A (ja) * 1996-06-27 1998-01-16 Matsushita Electric Works Ltd 電力変換装置
JP2000152651A (ja) * 1998-11-10 2000-05-30 Matsushita Electric Ind Co Ltd 系統連系インバータ装置
JP2012161215A (ja) * 2011-02-03 2012-08-23 Daihen Corp コンバータ制御装置、およびこのコンバータ制御装置を用いた系統連系インバータシステム
JP2014075878A (ja) * 2012-10-03 2014-04-24 Sharp Corp パワーコンディショナおよび電力供給システム
JP5618022B1 (ja) * 2013-06-11 2014-11-05 住友電気工業株式会社 インバータ装置
JP2014241715A (ja) * 2013-06-11 2014-12-25 住友電気工業株式会社 インバータ装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021182448A1 (ja) * 2020-03-11 2021-09-16 株式会社オートネットワーク技術研究所 電力変換装置
CN111800029A (zh) * 2020-08-07 2020-10-20 深圳市艾博尔电源技术有限公司 一种电池模拟器低功耗控制方法
CN111800029B (zh) * 2020-08-07 2024-01-23 江苏吉泰科电气有限责任公司 一种电池模拟器低功耗控制方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6500738B2 (ja) 2019-04-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI643438B (zh) Transformer
JP6481621B2 (ja) 電力変換装置及び三相交流電源装置
JP5618023B1 (ja) インバータ装置
US9467040B2 (en) System, a method and a computer program product for controlling electric power supply
JP6601125B2 (ja) 電力変換装置及びその制御方法
JP5618022B1 (ja) インバータ装置
KR102206954B1 (ko) 변환 장치
JP6233216B2 (ja) 電力変換装置及び三相交流電源装置
JP6414491B2 (ja) 変換装置
JP2006238628A (ja) 電力変換装置
JP6349974B2 (ja) 変換装置
JP4878645B2 (ja) 電力変換装置
JP6500738B2 (ja) 電力変換装置及びその制御方法
JP2019213366A (ja) 電力変換装置、太陽光発電システム、及び、電力変換装置の制御方法
JP2018183035A (ja) 電力変換装置及びその制御方法
JP4870822B2 (ja) 電力変換装置
JP2016046931A (ja) 電力変換装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180423

TRDD Decision of grant or rejection written
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190214

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190219

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190304

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6500738

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250