JP6500738B2 - 電力変換装置及びその制御方法 - Google Patents
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Description
本発明は、直流電源と交流系統との間で直流電力/交流電力の電力変換を行う電力変換装置であって、前記交流系統と接続され、交流リアクトルを含むフィルタ回路と、前記フィルタ回路とDCバスとの間に設けられたDC/ACコンバータと、前記DCバスに接続された中間コンデンサと、前記直流電源と前記DCバスとの間に設けられ、直流リアクトルを含むDC/DCコンバータと、前記DC/ACコンバータ及び前記DC/DCコンバータを前記交流電力の電圧半周期内で停止期間があるようにスイッチング動作させ、かつ、前記直流リアクトルに流れる電流が周期的に0になるよう前記DC/DCコンバータを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記直流リアクトルに流れる電流が0近傍になるタイミングで前記交流リアクトルに流れる電流目標値を変更する、電力変換装置である。
また、本発明は、直流電源と交流系統との間で直流電力/交流電力の電力変換を行う電力変換装置であって、前記交流系統と接続され、交流リアクトルを含むフィルタ回路と、前記フィルタ回路とDCバスとの間に設けられたDC/ACコンバータと、前記DCバスに接続された中間コンデンサと、前記直流電源と前記DCバスとの間にあって、互いに並列に複数組設けられ、各組に直流リアクトルを含むDC/DCコンバータと、前記DC/ACコンバータ及び前記DC/DCコンバータを前記交流電力の電圧半周期内で停止期間があるようにスイッチング動作させ、かつ、前記直流リアクトルに流れる電流が周期的に0になるよう前記DC/DCコンバータを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記直流リアクトルに流れる電流が0近傍になるタイミングで複数組の前記DC/DCコンバータの電流負担を変更する、電力変換装置である。
また、本発明は、交流系統と接続され、交流リアクトルを含むフィルタ回路と、前記フィルタ回路とDCバスとの間に設けられたDC/ACコンバータと、前記DCバスに接続された中間コンデンサと、直流電源と前記DCバスとの間に設けられ、直流リアクトルを含むDC/DCコンバータと、を有し、直流電源と交流系統との間で直流電力/交流電力の電力変換を行う電力変換装置の制御方法であって、前記DC/ACコンバータ及び前記DC/DCコンバータを前記交流電力の電圧半周期内で停止期間があるようにスイッチング動作させ、かつ、前記直流リアクトルに流れる電流が周期的に0になるよう制御し、前記直流リアクトルに流れる電流が0近傍になるタイミングで前記交流リアクトルに流れる電流目標値を変更する、電力変換装置の制御方法である。
また、本発明は、交流系統と接続され、交流リアクトルを含むフィルタ回路と、前記フィルタ回路とDCバスとの間に設けられたDC/ACコンバータと、前記DCバスに接続された中間コンデンサと、直流電源と前記DCバスとの間にあって、互いに並列に複数組設けられ、各組に直流リアクトルを含むDC/DCコンバータと、を有し、前記直流電源と前記交流系統との間で直流電力/交流電力の電力変換を行う電力変換装置の制御方法であって、前記DC/ACコンバータ及び前記DC/DCコンバータを前記交流電力の電圧半周期内で停止期間があるようにスイッチング動作させ、かつ、前記直流リアクトルに流れる電流が周期的に0になるよう制御し、前記直流リアクトルに流れる電流が0近傍になるタイミングで複数組の前記DC/DCコンバータの電流負担を変更する、電力変換装置の制御方法である。
本発明の実施形態の要旨としては、少なくとも以下のものが含まれる。
この場合、逆潮電力抑制の要請に、DCバスの電圧の急激な変化を生じさせずに対応することができる。
この場合、逆潮電力を一定に維持したまま、負荷増減に対応し、直流電源の出力電力又は入力電力を適切に活用・調整することができる。
この場合のDC/DCコンバータは、DC/DCコンバータが1組しかない場合と比べて稼働率が減少するか又は電流負担が減少し、その結果、長期にわたって2組のDC/DCコンバータを使用することができる。
この場合、これらの組み合わせをまんべんなく用いることで、全てのDC/DCコンバータを、均等に使用し、全体としての寿命を延ばすことができる。
これにより、直流電源が、天候や時刻で発電電力が変化する太陽光発電パネルの場合に、発電電力の総量に応じて適切なkの数を決定することができる。
この場合、各DC/DCコンバータは均等に稼働するので、故障率を低減することができる。また、直流リアクトルに流れる電流が0になる累積回数をカウントするのは、制御部にとって演算負担が軽い。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
まず、系統連系機能を備えた、最小スイッチング方式の電力変換装置について、詳細に説明する。
図1は、一実施形態に係る電力変換装置を備えたシステムの一例を示すブロック図である。図中、電力変換装置1の入力端には、直流電源としての太陽光発電パネル2が接続され、出力端には、交流の商用電力系統3が接続されている。このシステムは、太陽光発電パネル2が発電する直流電力を交流電力に変換し、商用電力系統3に出力する連系運転を行う。
昇圧回路10は、直流リアクトル15と、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)からなるスイッチング素子Qb及びQb2とを備えており、昇圧チョッパ回路を構成している。各スイッチング素子Qb及びQb2にはそれぞれ、逆並列のダイオードDb及びDb2が接続されている。
昇圧回路10の入力側には、第1電圧センサ17、第1電流センサ18、及び平滑化のためのコンデンサ26が設けられている。
制御部12は、直流入力電圧検出値Vg及び昇圧回路電流検出値Iinから入力電力Pinを演算し、太陽光発電パネル2に対するMPPT(Maximum Power Point Tracking:最大電力点追従)制御を行う機能を有している。
インバータ回路11は、FET(Field Effect Transistor)からなるスイッチング素子Q1〜Q4を備えている。これらスイッチング素子Q1〜Q4は、フルブリッジ回路を構成している。スイッチング素子Q1〜Q4の各々は、ボディダイオードを有している(符号省略)。
各スイッチング素子Q1〜Q4は、制御部12に接続されており、制御部12により制御可能とされている。制御部12は、各スイッチング素子Q1〜Q4の動作をPWM制御する。これにより、インバータ回路11は、昇圧回路10から与えられる電力を交流電力に変換する。
フィルタ回路21は、交流リアクトル22と、交流リアクトル22の後段に設けられたコンデンサ23(出力平滑コンデンサ)とを備えて構成されている。フィルタ回路21は、インバータ回路11から出力される交流電力に含まれる高周波成分を除去する機能を有している。フィルタ回路21により高周波成分が除去された交流電力は、商用電力系統3に与えられる。
制御部12は、これら系統電圧検出値Va及びインバータ電流検出値Iinvと、上述の直流入力電圧検出値Vg、昇圧回路電流検出値Iinに基づいて、昇圧回路10及びインバータ回路11を制御する。
図3は、制御部12のブロック図である。制御部12は、図3に示すように、制御処理部30と、昇圧回路制御部32と、インバータ回路制御部33と、平均化処理部34とを機能的に有している。
制御部12の各機能は、その一部又は全部がハードウェア回路によって構成されてもよいし、その一部又は全部が、ソフトウェア(コンピュータプログラム)をコンピュータによって実行させることで実現されていてもよい。制御部12の機能を実現するソフトウェア(コンピュータプログラム)は、コンピュータの記憶装置(図示省略)に格納される。
また、インバータ回路制御部33は、制御処理部30から与えられる目標値及び検出値に基づいて、インバータ回路11のスイッチング素子Q1〜Q4を制御し、前記目標値に応じた電流の電力をインバータ回路11に出力させる。
制御処理部30は、直流入力電圧検出値Vg及び昇圧回路電流検出値Iinから入力電力Pin及びその平均値〈Pin〉を演算する。
制御処理部30は、入力電力平均値〈Pin〉に基づいて、直流入力電流目標値Ig*(後に説明する)を設定して太陽光発電パネル2に対するMPPT制御を行うとともに、昇圧回路10及びインバータ回路11それぞれをフィードバック制御する機能を有している。
また、直流入力電流検出値Igは、コンデンサ26よりも入力側で検出される電流値である。
このため、直流入力電圧検出値Vgに生じる周期的な変動は、電力変換装置1が出力する交流電力の1/2周期となっている。
なお、昇圧回路電流検出値Iinが周期的に0になることは、後述する制御において大きな意味を持つ。
これにより、平均化処理部34は、商用電力系統3の周期と同期して周期的に変動する、直流入力電圧検出値Vgの平均値を、できるだけサンプリングの期間を短くしつつ、精度よく求めることができる。
なお、サンプリングの時間間隔Δtは、例えば、商用電力系統3の周期の1/100〜1/1000、或いは、20マイクロ秒〜200マイクロ秒等に設定することができる。
また、ここでは、期間Lを商用電力系統3の周期長さの1/2の長さに設定したが、期間Lは、少なくとも、商用電力系統3の1/2周期に設定すれば、直流入力電圧検出値Vgの平均値を精度よく求めることができる。直流入力電圧検出値Vgは、上述のように、昇圧回路10、及びインバータ回路11の動作によって、商用電力系統3の周期長さの1/2の長さで周期的に変動するからである。
よって、期間Lをより長く設定する必要がある場合、商用電力系統3の1/2周期の3倍や4倍といったように、期間Lを商用電力系統3の1/2周期の整数倍に設定すればよい。これによって、周期単位で電圧変動を把握できる。
よって、平均化処理部34は、図5に示した直流入力電圧検出値Vgと同様の方法によって、昇圧回路電流検出値Iinの平均値も求める。
制御処理部30は、直流入力電圧検出値Vgの平均値及び昇圧回路電流検出値Iinの平均値をそれぞれ、期間Lごとに逐次求める。
この点、本実施形態では、商用電力系統3の周期長さの1/2の長さに設定された期間Lの間に、直流入力電圧検出値Vg及び昇圧回路電流検出値Iinのそれぞれについて、交流系統の1/2周期よりも短い時間間隔Δtで複数回サンプリングし、その結果から直流入力電圧平均値〈Vg〉及び昇圧回路電流平均値〈Iin〉を求めたので、直流電流の電圧及び電流が周期的に変動したとしても、できるだけサンプリングの期間を短くしつつ、直流入力電圧平均値〈Vg〉及び昇圧回路電流平均値〈Iin〉を精度よく求めることができる。
制御処理部30は、求めた目標値を昇圧回路制御部32及びインバータ回路制御部33に与え、昇圧回路10及びインバータ回路11それぞれをフィードバック制御する機能を有している。
制御処理部30は、インバータ回路11の制御を行うための機能部として、第1演算部41、第1加算器42、補償器43、及び第2加算器44を有している。
また、制御処理部30は、昇圧回路10の制御を行うための機能部として、第2演算部51、第3加算器52、補償器53、及び第4加算器54を有している。
以下、図7に従って、昇圧回路10及びインバータ回路11の制御処理を説明する。
入力電力平均値〈Pin〉=〈Iin×Vg〉 ・・・(1)
また、式(1)以外の以下に示す制御に関する各式においては、昇圧回路電流検出値Iin、及び直流入力電圧検出値Vgは、平均化されていない瞬時値が用いられる。
また、「〈 〉」は、括弧内の値の平均値を示している。以下同じである。
第1演算部41には、直流入力電流目標値Ig*の他、直流入力電圧検出値Vg、系統電圧検出値Vaも与えられる。
出力電流目標値の平均値〈Ia*〉=η〈Ig*×Vg〉/〈Va〉 ・・・(2)
ここで、第1演算部41は、出力電流目標値Ia*を系統電圧検出値Vaと同位相の正弦波として求める。
出力電流目標値Ia*=(21/2)×〈Ia*〉×sinωt ・・・(3)
次いで、第1演算部41は、下記式(4)に示すように、インバータ回路11を制御するための電流目標値であるインバータ電流目標値Iinv*(インバータ回路の電流目標値)を演算する(ステップS3)。
インバータ電流目標値Iinv*=Ia* + s CaVa ・・・(4)
上記式(4)は、時間tでの微分を用いた表現とすれば、
Iinv*=Ia* + Ca×(d Va/dt) ・・・(4a)
となる。また、コンデンサ23に流れる電流を検出してこれをIcaとすれば、
Iinv*=Ia* + Ica ・・・(4b)
となる。
式(4),(4a),(4b)中、右辺第2項は、フィルタ回路21のコンデンサ23に流れる電流を考慮して加算した値である。
なお、出力電流目標値Ia*は、上記式(3)に示すように、系統電圧検出値Vaと同位相の正弦波として求められる。つまり、制御処理部30は、電力変換装置1が出力する交流電力の電流Ia(出力電流)が系統電圧(系統電圧検出値Va)と同位相となるようにインバータ回路11を制御する。
インバータ回路11は、このインバータ電流目標値Iinv*によって、フィードバック制御される。
第1加算器42は、インバータ電流目標値Iinv*と、現状のインバータ電流検出値Iinvとの差分を演算し、その演算結果を補償器43に与える。
インバータ回路11が出力した電圧は、交流リアクトル22に与えられ、新たなインバータ電流検出値Iinvとしてフィードバックされる。そして、第1加算器42によってインバータ電流目標値Iinv*とインバータ電流検出値Iinvとの間の差分が再度演算され、上記同様、この差分に基づいてインバータ回路11が制御される。
第2演算部51は、下記式(5)に基づいて、インバータ出力電圧目標値Vinv*(インバータ回路の電圧目標値)を演算する(ステップS5)。
インバータ出力電圧目標値Vinv*=Va+ZaIinv* ・・・(5)
上記式(5)は、時間tでの微分を用いた表現とすれば、
Vinv*=Va + RaIinv*+La× (d Iinv*/dt)
・・・(5a)
となる。ただし、Raは交流リアクトルの抵抗、Laは交流リアクトルのインダクタンスで、(Za=Ra+sLa)である。
式(5)の右辺第2項、(5a)の右辺第2項および第3項は、交流リアクトル22の両端に発生する電圧を考慮して加算した値である。
このように、本実施形態では、電力変換装置1が出力する交流電力の電流位相が系統電圧検出値Vaと同位相となるようにインバータ回路11を制御するための電流目標値であるインバータ電流目標値Iinv*に基づいてインバータ出力電圧目標値Vinv*を設定する。
Vo*=Max(Vg−ZIin,Vinv*の絶対値) ・・・(6)
とすることができる。
上記式(6)は、時間tでの微分を用いた表現とすれば、
Vo*=Max(Vg−(RIin+L(d Iin/dt),Vinv*の絶対値)
・・・(6a)
である。ただし、Rは直流リアクトルの抵抗、Lは直流リアクトルのインダクタンスで、(Z=R+sL)である。
昇圧回路電流目標値Iin*=
{(Iinv*×Vinv*) +(s C Vo*)×Vo*} / (Vg−ZIin)
・・・(7)
上記式(7)は、時間tでの微分を用いた表現とすれば、
Iin*=
{(Iinv*×Vinv*) +C×(d Vo*/dt)×Vo*} /
{Vg−(R+sL)Iin} ・・・(7a)
となる。また、中間コンデンサ19に流れる電流を検出してこれをIcとすれば、
Iin*=
{(Iinv*×Vinv*) +Ic×Vo*} / {Vg−ZIin}
・・・(7b)
となる。
Iin*=
{(Iinv*×Vinv*) + C×(d Vo*/dt)×Vo* + PLOSS}/{Vg−ZIin} ・・・(7c)
同様に、上記式(7b)は、以下のようにも表すことができる。
Iin*=
{(Iinv*×Vinv*) +Ic×Vo* + PLOSS} / {Vg−ZIin}
・・・(7d)
この場合、インバータ回路11の電力目標値に加えて、無効電力及び電力損失PLOSSを考慮することにより、より厳密にIin*の値を求めることができる。
昇圧回路電流目標値Iin*=(Iinv*×Vinv*)/Vg ・・・(8)
昇圧回路10は、この昇圧回路電流目標値Iin*によって、フィードバック制御される。
第3加算器52は、昇圧回路電流目標値Iin*と、現状の昇圧回路電流検出値Iinとの差分を演算し、その演算結果を補償器53に与える。
昇圧回路10が出力した電力は、直流リアクトル15に与えられ、新たな昇圧回路電流検出値Iinとしてフィードバックされる。そして、第3加算器52によって昇圧回路電流目標値Iin*と昇圧回路電流検出値Iinとの間の差分が再度演算され、上記同様、この差分に基づいて昇圧回路10が制御される。
図8(a)は、制御処理部30が上記フィードバック制御において求めた昇圧回路電流目標値Iin*、及びこれに従って制御した場合の昇圧回路電流検出値Iinをシミュレーションにより求めた結果の一例を示すグラフであり、(b)は、制御処理部30が上記フィードバック制御において求めた昇圧回路電圧目標値Vo*、及びこれに従って制御した場合の昇圧回路電圧検出値Voをシミュレーションにより求めた結果の一例を示すグラフである。
また、図8の(b)に示すように、昇圧回路電圧目標値Vo*は、上記式(6)によって求められるため、インバータ出力電圧目標値Vinv*の絶対値が、概ね直流入力電圧検出値Vg以上となる期間では、インバータ出力電圧目標値Vinv*の絶対値に倣い、それ以外の期間では直流入力電圧検出値Vgに倣うように変化している。
昇圧回路電圧検出値Voは、制御処理部30によって、昇圧回路電圧目標値Vo*に沿って制御されていることが判る。
インバータ回路11は、図7のフローチャートに従った制御によって、図9に示すインバータ出力電圧目標値Vinv*を電圧目標値として電力を出力する。
よって、インバータ回路11は、図9に示すインバータ出力電圧目標値Vinv*の波形に従った電圧の電力を出力する。
インバータ出力電圧目標値Vinv*の位相を商用電力系統3の電圧位相に対して進相させる角度は、数度であればよく、後述するように、商用電力系統3の電圧波形との間で差分を求めたときに得られる電圧波形が、商用電力系統3の電圧波形に対して90度進んだ位相となる範囲で設定される。例えば、0度より大きくかつ10度より小さい値の範囲で設定される。
インバータ電流目標値Iinv*は、上記式(4)に示すように、出力電流目標値Ia*によって定まる。この出力電流目標値Ia*が大きくなるほど、インバータ電流目標値Iinv*における進相した成分が増加し、インバータ出力電圧目標値Vinv*の進み角(進相させる角度)が大きくなる。
昇圧回路制御部32は、昇圧回路10のスイッチング素子Qbを制御する。また、インバータ回路制御部33は、インバータ回路11のスイッチング素子Q1〜Q4を制御する。
昇圧回路制御部32が生成する昇圧回路用搬送波は、極小値が「0」である三角波であり、振幅A1が制御処理部30から与えられる昇圧回路電圧目標値Vo*とされている。
また、昇圧回路用搬送波の周波数は、制御処理部30による制御命令によって、所定のディーティ比となるように、昇圧回路制御部32によって設定される。
この駆動波形は、スイッチング素子Qbのスイッチング動作を示しており、スイッチング素子Qbに与えることで、当該駆動波形に従ったスイッチング動作を実行させることができる。駆動波形は、電圧が0ボルトでスイッチング素子のスイッチをオフ、電圧がプラス電圧でスイッチング素子のスイッチをオンとする制御命令を構成している。
また、各パルス幅は、三角波である昇圧回路用搬送波の切片によって定まる。よって、電圧が高い部分ほどパルス幅が大きくなっている。
また、周波数は、制御処理部30による制御命令等によって、所定のデューティ比となるように、インバータ回路制御部33によって設定される。
インバータ回路制御部33は、インバータ回路用参照波Vinv#の電圧が−Vg〜+Vgの範囲W2でスイッチング動作が行われるように駆動波形を生成する。よって、それ以外の範囲では、スイッチング動作を停止させるようにスイッチング素子Q1を制御する。
インバータ回路制御部33は、スイッチング素子Q3については、図中破線で示しているインバータ回路用参照波Vinv#の反転波と、搬送波とを比較して駆動波形を生成する。
この場合も、インバータ回路制御部33は、インバータ回路用参照波Vinv#(の反転波)の電圧が、−Vg〜+Vgの範囲W2でスイッチング動作が行われるように駆動波形を生成する。よって、それ以外の範囲では、スイッチング動作を停止させるようにスイッチング素子Q3を制御する。
よって、インバータ回路11は、昇圧回路10がスイッチング動作を停止している間、スイッチング動作を行い、インバータ出力電圧目標値Vinv*に近似する交流電力を出力する。
なお、インバータ回路用参照波Vinv#と、インバータ出力電圧目標値Vinv*とは近似するので、図11の(a)においては重複している。
さらに、昇圧回路10及びインバータ回路11は、共に制御部12が設定したインバータ出力電圧目標値Vinv*に基づいて動作するため、交互に切り替わるように出力される昇圧回路の電力と、インバータ回路の電力との間で、ずれや歪が生じるのを抑制することができる。
図12において、最上段から順に、インバータ回路の参照波Vinv#及び搬送波、スイッチング素子Q1の駆動波形、昇圧回路の参照波Vbc#及び搬送波、スイッチング素子Qbの駆動波形、及び電力変換装置1が出力する交流電力の電流波形の目標値及び実測値を示すグラフを表している。これら各グラフの横軸は、時間を示しており、互いに一致するように示している。
また、昇圧回路10のスイッチング素子Qbのスイッチング動作の期間と、インバータ回路11のスイッチング素子Q1〜Q4のスイッチング動作の期間とは、概ね互いに交互に切り替わるように制御されていることが判る。
本実施形態の昇圧回路10及びインバータ回路11は、制御部12による制御によって、インバータ出力電圧目標値Vinv*に近似した電圧波形の交流電力を、その後段に接続されたフィルタ回路21に出力する。電力変換装置1は、フィルタ回路21を介して商用電力系統3に交流電力を出力する。
従って、昇圧回路10及びインバータ回路11が出力する交流電圧も、商用電力系統3の電圧位相に対して数度進相した電圧位相とされる。
図に示すように、交流リアクトル22の両端が互いに数度電圧位相がずれた電圧がかかると、交流リアクトル22の両端電圧は、交流リアクトル22の両端にかかる互いに数度電圧位相がずれた電圧同士の差分となる。
交流リアクトル22の電流位相は、その電圧位相に対して90度遅延する。よって、図に示すように、交流リアクトル22を通して出力される交流電力の電流位相は、商用電力系統3の電流位相に対して同期することとなる。
よって、図12の最下段に示すグラフのように、電力変換装置1が出力する電流波形は、商用電力系統3の電圧位相と一致したものとなる。
この結果、商用電力系統3の電圧と同位相の交流電流を出力することができるので、当該交流電力の力率が低下するのを抑制することができる。
上記電力変換装置1は、直流電力から交流電力への変換について説明したが、図2に示す電力変換装置1は、交流電力から直流電力への変換装置にもなり得る。その場合、図1における太陽光発電パネル2は、充電可能な蓄電池に置き換わる。また、図2のインバータ回路11は、交流リアクトル22と協働して昇圧可能なDC/ACコンバータ11となる。昇圧回路10は、DC/DCコンバータとしての降圧回路10となる。蓄電池を充電する制御は、系統連系の制御を逆方向に見た類似の制御として考えることができる。
Ia*:商用電力系統3からの入力電流目標値
Iin:降圧回路電流検出値
Iin*:降圧回路電流目標値
Iinv*:DC/ACコンバータ11への交流入力電流目標値
Ig*:蓄電池への直流入力電流目標値
Ic:コンデンサ19に流れる電流
Ica:コンデンサ23に流れる電流
Vg:蓄電池電圧値
Vinv*:DC/ACコンバータ11への交流入力電圧目標値
Vo*:降圧回路10への入力電圧目標値
Pin:蓄電池への入力電力
PLOSS:電力変換装置1の電力損失
η:電力変換装置1の電力変換効率
式(1)と対応する蓄電池への入力電力Pinの平均値〈Pin〉は、
〈Pin〉=〈Iin×Vg〉 ・・・(R1)
である。
式(2)に対応する商用電力系統3からの入力電流目標値の平均値〈Ia*〉は、
〈Ia*〉=〈Ig*×Vg〉/(η×〈Va〉) ・・・(R2)
である。
式(3)に対応する入力電流目標値Ia*は、
Ia*=(21/2)×〈Ia*〉×sinωt ・・・(R3)
である。
Iinv*=Ia* − s CaVa ・・・(R4)
である。
上記式(R4)は、時間tでの微分を用いた表現とすれば、
Iinv*=Ia* − Ca×(d Va/dt) ・・・(R4a)
となる。また、コンデンサ23に流れる電流を検出してこれをIcaとすれば、
Iinv*=Ia* − Ica ・・・(R4b)
となる。
Vinv*=Va−Za Iinv* ・・・(R5)
である。
上記式(R5)は、時間tでの微分を用いた表現とすれば、
Vinv*=Va − {RaIinv*+La× (d Iinv*/dt)
・・・(R5a)
となる。
Vo*=Max(Vg+Z Iin,Vinv*の絶対値) ・・・(R6)
とすることができる。
上記式(R6)は、時間tでの微分を用いた表現とすれば、
Vo*=
Max(Vg+R Iin+L(d Iin/dt),Vinv*の絶対値)
・・・(R6a)
となる。
Iin*=
{(Iinv*×Vinv*)−(s C Vo*)×Vo*} /
(Vg+ZIin) ・・(R7)
である。
上記式(R7)は、時間tでの微分を用いた表現とすれば、
Iin*=
{(Iinv*×Vinv*) − C×(d Vo*/dt)×Vo*} /
{Vg+RIin+L(dIin/dt)) ・・・(R7a)
となる。また、コンデンサ19に流れる電流を検出してこれをIcとすれば、
Iin*=
{(Iinv*×Vinv*) −Ic×Vo*} / (Vg+ZIin)
・・・(R7b)
となる。
Iin*=
{(Iinv*×Vinv*) − C×(d Vo*/dt)×Vo* − PLOSS}/(Vg+ZIin) ・・・(R7c)
同様に、上記式(R7b)は、以下のようにも表すことができる。
Iin*=
{(Iinv*×Vinv*) −Ic×Vo* − PLOSS} / (Vg+ZIin)
・・・(R7d)
この場合、DC/ACコンバータ11の電力目標値に加えて、無効電力及び電力損失PLOSSを考慮することにより、より厳密にIin*の値を求めることができる。
Iin*=(Iinv*×Vinv*)/Vg・・・(R8)
次に、上記のような最小スイッチング方式を前提とした、電力変換装置1の出力制御について説明する。
なお、電力変換装置1の制御に関する以下の説明は、電力変換装置の制御方法に関する説明でもある(以下同様。)。
出力電力:8kWから4kWへの急減
入力電圧:250V
出力電圧:202V(実効値)
キャリア周波数:20kHz
直流リアクトル15のインダクタンス:1mH
交流リアクトル22のインダクタンス:1mH
中間コンデンサ19のキャパシタンス:100μF
すなわち、「DCL電流」とは、直流リアクトル15に流れる電流である。「出力電流目標値」とは、交流リアクトル22に流すべき電流の目標値(指令値)である。「出力電流」とは、実際に、交流リアクトル22に流れる電流である。
次に、電力変換装置1の出力制御の他の例として、出力抑制下での負荷変動に対する制御について説明する。
まず、図18の(a)において、例えば、太陽光発電パネル2の発電電力は5kW、自家消費電力は1kW、余剰電力売電は4kWである、とする。電力変換装置1に対しては出力抑制指令(4kW)が与えられている。ここで、自家消費電力が急増して、1kWから4kWになったとする。電力変換装置1の出力を4kWに維持すれば、不足する3kWを商用電力系統3から買電することになり、太陽光発電の運用上は損である。
(増大の場合)
出力電力:5kWから8kWへの急増
入力電圧:250V
出力電圧:202V(実効値)
キャリア周波数:20kHz
直流リアクトル15のインダクタンス:1mH
交流リアクトル22のインダクタンス:1mH
中間コンデンサ19のキャパシタンス:100μF
また、逆潮電力を一定に維持したまま、負荷増大に対応し、直流電源(太陽光発電パネル2)の発電電力を適切に活用・調整することができる。
(減少の場合)
出力電力:8kWから5kWへの急減
入力電圧:250V
出力電圧:202V(実効値)
キャリア周波数:20kHz
直流リアクトル15のインダクタンス:1mH
交流リアクトル22のインダクタンス:1mH
中間コンデンサ19のキャパシタンス:100μF
また、逆潮電力を一定に維持したまま、負荷減少に対応し、直流電源(太陽光発電パネル2)の発電電力を適切に活用・調整することができる。
例えば、太陽光発電パネル2に蓄電池を併用する、いわゆるダブル発電の場合の電力変換装置1の出力制御の2例について、以下に補足説明する。
図23は、構成に関しては、図14と同様の図であるので説明を省略する。
まず、図23の(a)において、例えば、太陽光発電パネル2の発電電力は5kW、蓄電池4の充放電電力は0kW、自家消費電力は1kW、余剰電力売電は4kWである、とする。電力変換装置1に対しては出力抑制指令(4kW)が与えられている。ここで、自家消費電力が急増して、1kWから4kWになったとする。
図24は、構成に関しては、図14と同様の図であるので説明を省略する。
まず、図24の(a)において、例えば、太陽光発電パネル2の発電電力は8kW、蓄電池4の充放電電力は0kW、自家消費電力は4kW、余剰電力売電は4kWである、とする。電力変換装置1に対しては出力抑制指令(4kW)が与えられている。ここで、自家消費電力が急減して、4kWから1kWになったとする。
次に、電力変換装置1としての、電流目標値の変更のための制御フローについて説明する。制御フローの実行主体は制御部12である。
図25は、例えば図14に示した、出力抑制に応じた電流目標値への変更処理を示すフローチャートの一例である。処理開始により、制御部12は、出力抑制指令がある(出力抑制指令を受信している)か否かを判定する(ステップS1)。出力抑制指令がある場合は、制御部12は、逆潮電力をチェックする(ステップS2)。次に、制御部12は、出力抑制指令による逆潮可能な最大電力と自家消費電力とに基づいて、発電電力の上限値を決定する(ステップS3)。
以上のように、(a)出力抑制に伴う出力制御の場合、(b)出力抑制下での負荷変動に応じた出力制御、のいずれにおいても、DC/DCコンバータ10の直流リアクトル15を流れる電流が0近傍になるタイミングで交流リアクトル22に流れる電流目標値を変更することにより、変更の前後での、交流リアクトル22を流れる電流及びDCバス20の電圧の急激な変化を抑制することができる。
これにより、DCバス20に接続される中間コンデンサ19及びスイッチング素子(Q1〜Q4,Qb,Qb2)の耐圧条件が緩和され、より低耐圧なものとすることができる。低耐圧であることは、部品コスト、サイズの低減に寄与し、また、損失の低減にも寄与する。
次に、DC/DCコンバータの並列回路の変更等に関する制御(制御方法)について説明する。なお、当該制御は、前述の電力変換装置の出力制御1,2とは別に用いてもよいし、また、組み合わせて用いてもよい。
これらの場合の2組のDC/DCコンバータ10は、DC/DCコンバータが1組しかない場合と比べて稼働率が減少するか又は電流負担が減少し、その結果、長期にわたって2組のDC/DCコンバータ10を使用することができる。
なお、直流電源2は、各DC/DCコンバータ10に共通の単一の電源であってもよいし、各DC/DCコンバータ10に個別に対応した複数の直流電源2の集まりであってもよい。
図27の上側にあるDC/DCコンバータ10の出力電力を、5kWから10kWへ急増させる。また、図27の下側にあるDC/DCコンバータ10の出力電力を、5kWから0kWへ急減させる。すなわち、2組のDC/DCコンバータ10が均等に5kWの電力を負担(電流負担)している状態から、一方のDC/DCコンバータ10のみで10kWを負担し、他方は休ませる、という状態に変化させる。従って、DC/DCコンバータ10の稼働回路数は「2」から「1」になる。
入力電圧:250V
出力電圧:202V(実効値)
キャリア周波数:20kHz
直流リアクトル15のインダクタンス:1mH
交流リアクトル22のインダクタンス:1mH
中間コンデンサ19のキャパシタンス:100μF
すなわち、「DCL電流1」とは、図27の上側のDC/DCコンバータ10(5kW→10kW)の直流リアクトル15に流れる電流、「DCL電流2」とは、図27の下側のDC/DCコンバータ10(5kW→0kW)の直流リアクトル15に流れる電流である。時刻0.235秒から0.245秒までの電流波形において、上の波形は、DCL電流1と、DCL電流2との総和である。また、下の波形は、DCL電流1及びDCL電流2であり、両者は同じ値であるので、重なって見える。
図27の上側にあるDC/DCコンバータ10の出力電力を、10kWから5kWへ急減させる。また、図27の下側にあるDC/DCコンバータ10の出力電力を、0kWから5kWへ急増させる。すなわち、2組のDC/DCコンバータ10のうち一方のDC/DCコンバータ10のみで10kWを負担し、他方は休ませる、という状態から、2組が均等に5kWの電力を負担(電流負担)している状態、に変化させる。従って、DC/DCコンバータ10の稼働回路数は「1」から「2」になる。
入力電圧:250V
出力電圧:202V(実効値)
キャリア周波数:20kHz
直流リアクトル15のインダクタンス:1mH
交流リアクトル22のインダクタンス:1mH
中間コンデンサ19のキャパシタンス:100μF
すなわち、「DCL電流1」とは、図27の上側のDC/DCコンバータ10(10kW→5kW)の直流リアクトル15に流れる電流、「DCL電流2」とは、図27の下側のDC/DCコンバータ10(0kW→5kW)の直流リアクトル15に流れる電流である。時刻0.085秒から0.090秒までの電流波形において、上の波形は、DCL電流1と、DCL電流2との総和であるが、DCL電流2は0であるので、実質的にはDCL電流1の波形である。また、下の波形は、DCL電流2である。
また、2組のDC/DCコンバータ10が交互に動作するか、又は、双方が均等に電流を負担してコンバータ動作を行うよう制御することで、2組のDC/DCコンバータ10は、DC/DCコンバータが1組しかない場合と比べて稼働率が減少するか又は電流負担が減少し、その結果、長期にわたって2組のDC/DCコンバータ10を使用することができる。
図33は、DC/DCコンバータ10がn組(nは3以上の自然数)、互いに並列に設けられた電力変換装置1の概略構成を示すブロック図である。図2と対応する部分には同一符号を付して説明を省略する。この電力変換装置1は、直流電源2と、商用電力系統(又は負荷)3との間に設けられている。
図において、制御部12は、n組のDC/DCコンバータ10の中から、k組(kはnより小さい自然数)を選んで動作させることができる。
具体的には、例えばn=3であれば、電力閾値を、Pth_1、Pth_2(>Pth_1)の2段階用意し、
発電電力がPth_1より小さいときは、1台稼働、
発電電力がPth_1以上であってPth_2より小さいときは、2台稼働、
発電電力がPth_2以上であれば、3台稼働、
とすることができる。
発電電力がPth_1より小さいときは1台稼働、
以後、発電電力が、直近の下位の閾値以上であってPth_kより小さいときはk台稼働、
発電電力が、直近の下位の閾値以上であってPth_nより小さいときはn台稼働、
とすることができる。
組み合わせ1:10−1,10−2
組み合わせ2:10−2,10−3
組み合わせ3:10−3,10−1
となる。
ここで、稼働回路の組み合わせを想定した、電流目標値の変更のための制御フローについて説明する。制御フローの実行主体は制御部12である。
図34は、このようなフローチャートの一例である。処理開始により、制御部12は、太陽光発電パネルの発電電力と電力閾値との比較を行う(ステップS11)。そして、制御部12は、稼働台数を決定する(ステップS12)。さらに制御部12は、稼働回路の組み合わせを決定する(ステップS13)。
DC/DCコンバータ10が複数台並列に接続されている場合、各回路の使用時間を均等化することが、全体としての長寿命化に好ましい。使用時間の指標としては、直流リアクトル電流が0になった回数をカウントすることができる。回数カウントは単純であるので、制御部12の演算負担は軽い。
図35は、直流リアクトル電流が0になった回数カウントに基づいて組み合わせを変更する一例を示す図である。例えば所定数をxとして、0[A]をx回カウントすれば、ローテーション的に組み合わせを変えることができる。
図36は、DC/DCコンバータ10がn組(nは3以上の自然数)、互いに並列に設けられた電力変換装置1の概略構成を示すブロック図である。図33との違いは、直流電源2が、個々のDC/DCコンバータ10に対応して設けられている点である。
同様に、4つの直流電源2がそれぞれ2kW出力の蓄電池であるとすると、負荷側が引っぱる電力が8kWの状態から4kWに急減したとすると、全ての直流電源2を均等に1kW出力に抑制するのではなく、2つの蓄電池2を停止し、残る2つの2kW出力の蓄電池を稼働するというように、並列数を変更する対応が可能である。
以上のように、DC/DCコンバータ10が複数組並列に設けられている場合の稼働回路数切換の場合において、DC/DCコンバータ10の直流リアクトル15を流れる電流が0近傍になるタイミングで複数組のDC/DCコンバータ10の電流負担を変更することにより、変更の前後での、直流リアクトル15を流れる電流の総和及びDCバス20の電圧の急激な変化を抑制することができる。
これにより、DCバス20に接続される中間コンデンサ19及びスイッチング素子(Q1〜Q4,Qb,Qb2)の耐圧条件が緩和され、より低耐圧なものとすることができる。低耐圧であることは、部品コスト、サイズの低減に寄与し、また、損失の低減にも寄与する。
なお、本発明は、このような特徴的な制御部12を備える電力変換装置1又は、制御部12による制御方法として実現することができるだけでなく、かかる特徴的な処理のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現することができる。また、制御部12の一部又は全部を実現する半導体集積回路として実現したり、さらに周辺の要素を加えて、電力変換装置1を含む電力変換システムとして実現したりすることができる。
逆に、上記全ての開示内容を備えた装置や方法も、本発明の一実施形態たり得る。
2 太陽光発電パネル、直流電源
3 商用電力系統
4 蓄電池
10 昇圧回路、降圧回路、DC/DCコンバータ
10−1,10−2,10−3 DC/DCコンバータ
11 インバータ回路、DC/ACコンバータ
12 制御部
15 直流リアクトル
17 第1電圧センサ
18 第1電流センサ
19 中間コンデンサ
20 DCバス
21 フィルタ回路
22 交流リアクトル
23 コンデンサ
24 第2電流センサ
25 第2電圧センサ
26 コンデンサ
27 第3電圧センサ
30 制御処理部
32 昇圧回路制御部
33 インバータ回路制御部
34 平均化処理部
41 第1演算部
42 第1加算器
43 補償器
44 第2加算器
51 第2演算部
52 第3加算器
53 補償器
54 第4加算器
61 分電盤
62 コンセント
63 電力メーター
Db1,Db2 ダイオード
P 回路接続点
Q1〜Q4,Qb,Qb2 スイッチング素子
Claims (10)
- 直流電源と交流系統との間で直流電力/交流電力の電力変換を行う電力変換装置であって、
前記交流系統と接続され、交流リアクトルを含むフィルタ回路と、
前記フィルタ回路とDCバスとの間に設けられたDC/ACコンバータと、
前記DCバスに接続された中間コンデンサと、
前記直流電源と前記DCバスとの間に設けられ、直流リアクトルを含むDC/DCコンバータと、
前記DC/ACコンバータ及び前記DC/DCコンバータを前記交流電力の電圧半周期内で停止期間があるようにスイッチング動作させ、かつ、前記直流リアクトルに流れる電流が周期的に0になるよう前記DC/DCコンバータを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記直流リアクトルに流れる電流が0近傍になるタイミングで前記交流リアクトルに流れる電流目標値を変更する、電力変換装置。 - 逆潮電力を監視する電力監視部を備え、
逆潮電力を抑制する場合、前記制御部は、前記直流電源に対して、前記直流リアクトルに流れる電流が0近傍になるタイミングで、少なくとも抑制に応じた分の発電電力を低下させる、請求項1に記載の電力変換装置。 - 負荷電力が増減した場合、前記制御部は、逆潮電力を一定に維持したまま、前記直流電源の出力電力又は入力電力を増減させる、請求項2に記載の電力変換装置。
- 直流電源と交流系統との間で直流電力/交流電力の電力変換を行う電力変換装置であって、
前記交流系統と接続され、交流リアクトルを含むフィルタ回路と、
前記フィルタ回路とDCバスとの間に設けられたDC/ACコンバータと、
前記DCバスに接続された中間コンデンサと、
前記直流電源と前記DCバスとの間にあって、互いに並列に複数組設けられ、各組に直流リアクトルを含むDC/DCコンバータと、
前記DC/ACコンバータ及び前記DC/DCコンバータを前記交流電力の電圧半周期内で停止期間があるようにスイッチング動作させ、かつ、前記直流リアクトルに流れる電流が周期的に0になるよう前記DC/DCコンバータを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記直流リアクトルに流れる電流が0近傍になるタイミングで複数組の前記DC/DCコンバータの電流負担を変更する、電力変換装置。 - 前記DC/DCコンバータは2組設けられており、
前記制御部は、2組の前記DC/DCコンバータが交互に動作するか、又は、双方が均等に電流を負担してコンバータ動作を行うよう制御する、請求項4に記載の電力変換装置。 - nは3以上の自然数、kはnより小さい自然数であるとして、
前記DC/DCコンバータはn組設けられており、
前記制御部は、前記変更のたびに、n組の中から常に異なる組み合わせとなるk組の前記DC/DCコンバータがコンバータ動作を行うよう制御する、請求項4に記載の電力変換装置。 - 前記直流電源は太陽光発電パネルであり、
前記制御部は、前記太陽光発電パネルの発電電力の総量と、段階的に設定された電力閾値との比較に基づいて、前記kの数を決定する請求項6に記載の電力変換装置。 - 前記制御部は、前記直流リアクトルに流れる電流が0になる累積回数が均等化されるように、前記n組の組み合わせを選択する請求項6又は請求項7に記載の電力変換装置。
- 交流系統と接続され、交流リアクトルを含むフィルタ回路と、前記フィルタ回路とDCバスとの間に設けられたDC/ACコンバータと、前記DCバスに接続された中間コンデンサと、直流電源と前記DCバスとの間に設けられ、直流リアクトルを含むDC/DCコンバータと、を有し、直流電源と交流系統との間で直流電力/交流電力の電力変換を行う電力変換装置の制御方法であって、
前記DC/ACコンバータ及び前記DC/DCコンバータを前記交流電力の電圧半周期内で停止期間があるようにスイッチング動作させ、かつ、前記直流リアクトルに流れる電流が周期的に0になるよう制御し、
前記直流リアクトルに流れる電流が0近傍になるタイミングで前記交流リアクトルに流れる電流目標値を変更する、電力変換装置の制御方法。 - 交流系統と接続され、交流リアクトルを含むフィルタ回路と、前記フィルタ回路とDCバスとの間に設けられたDC/ACコンバータと、前記DCバスに接続された中間コンデンサと、直流電源と前記DCバスとの間にあって、互いに並列に複数組設けられ、各組に直流リアクトルを含むDC/DCコンバータと、を有し、前記直流電源と前記交流系統との間で直流電力/交流電力の電力変換を行う電力変換装置の制御方法であって、
前記DC/ACコンバータ及び前記DC/DCコンバータを前記交流電力の電圧半周期内で停止期間があるようにスイッチング動作させ、かつ、前記直流リアクトルに流れる電流が周期的に0になるよう制御し、
前記直流リアクトルに流れる電流が0近傍になるタイミングで複数組の前記DC/DCコンバータの電流負担を変更する、電力変換装置の制御方法。
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