JP6349974B2 - 変換装置 - Google Patents
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Description
また、交流から直流への変換装置においても、降圧回路で同様な問題点が生じると解される。
本発明の実施形態の要旨としては、少なくとも以下のものが含まれる。
(1)この変換装置は、入力される直流電圧を、交流電圧に変換して出力する変換装置であって、前記直流電圧を昇圧してDCバスに出力する動作状態及び、昇圧せずに前記直流電圧が直接印加されている電路と前記DCバスとをスイッチで直結する停止状態のいずれか一方を実行可能な昇圧回路と、前記DCバスの電圧を、前記交流電圧の波形に変換するインバータ回路と、出力すべき交流の電圧目標値の絶対値が、入力される直流電圧を上回るときは前記昇圧回路を昇圧動作させて前記電圧目標値の絶対値を生成するとともに前記インバータ回路は必要な極性反転のみを行う状態とし、また、前記電圧目標値が、入力される直流電圧を下回るときは前記昇圧回路を前記停止状態とするとともに前記インバータ回路を動作させて前記電圧目標値を生成する制御部と、を備えている。
以下、発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
まず、系統連系を行う変換装置の例から詳細に説明する。
〔1.1 全体構成について〕
図1は、直流から交流への変換装置を備えたシステムの一例を示すブロック図である。図中、変換装置1の入力端には、直流電源としての太陽光発電パネル2が接続され、出力端には、交流の商用電力系統3が接続されている。このシステムは、太陽光発電パネル2が発電する直流電力を交流電力に変換し、商用電力系統3に出力する連系運転を行う。
変換装置1は、太陽光発電パネル2が出力する直流電力が与えられる昇圧回路10と、昇圧回路10から与えられる電力を交流電力に変換して商用電力系統3に出力するインバータ回路11と、これら両回路10,11の動作を制御する制御部12とを備えている。
昇圧回路10は、DCリアクトル15と、ダイオード16と、例えばFET(Field Effect Transistor)からなるスイッチング素子Qbとを備えており、昇圧チョッパ回路を構成している。
昇圧回路10の入力側には、第1電圧センサ17、第1電流センサ18、及び平滑化のためのコンデンサ26が設けられている。
制御部12は、直流入力電圧検出値Vg及び昇圧回路電流検出値Iinから入力電力Pinを演算し、太陽光発電パネル2に対するMPPT(Maximum Power Point Tracking:最大電力点追従)制御を行う機能を有している。
インバータ回路11は、FET(Field Effect Transistor)からなるスイッチング素子Q1〜Q4を備えている。これらスイッチング素子Q1〜Q4は、フルブリッジ回路を構成している。
各スイッチング素子Q1〜Q4は、制御部12に接続されており、制御部12により制御可能とされている。制御部12は、各スイッチング素子Q1〜Q4の動作をPWM制御する。これにより、インバータ回路11は、昇圧回路10から与えられる電力を交流電力に変換する。
フィルタ回路21は、2つのACリアクトル22と、ACリアクトル22の後段に設けられたコンデンサ23(出力平滑コンデンサ)とを備えて構成されている。フィルタ回路21は、インバータ回路11から出力される交流電力に含まれる高周波成分を除去する機能を有している。フィルタ回路21により高周波成分が除去された交流電力は、商用電力系統3に与えられる。
制御部12は、これら系統電圧検出値Va及びインバータ電流検出値Iinvと、上述の直流入力電圧検出値Vg、昇圧回路電流検出値Iinに基づいて、昇圧回路10及びインバータ回路11を制御する。
図3は、制御部12のブロック図である。制御部12は、図3に示すように、制御処理部30と、昇圧回路制御部32と、インバータ回路制御部33と、平均化処理部34とを機能的に有している。
制御部12の各機能は、その一部又は全部がハードウェア回路によって構成されてもよいし、その一部又は全部が、ソフトウェア(コンピュータプログラム)をコンピュータによって実行させることで実現されていてもよい。制御部12の機能を実現するソフトウェア(コンピュータプログラム)は、コンピュータの記憶装置(図示省略)に格納される。
また、インバータ回路制御部33は、制御処理部30から与えられる指令値及び検出値に基づいて、インバータ回路11のスイッチング素子Q1〜Q4を制御し、前記指令値に応じた電流の電力をインバータ回路11に出力させる。
制御処理部30は、直流入力電圧検出値Vg及び昇圧回路電流検出値Iinから入力電力Pin及びその平均値〈Pin〉を演算する。
制御処理部30は、入力電力平均値〈Pin〉に基づいて、直流入力電流指令値Ig*(後に説明する)を設定して太陽光発電パネル2に対するMPPT制御を行うとともに、昇圧回路10及びインバータ回路11それぞれをフィードバック制御する機能を有している。
平均化処理部34は、第1電圧センサ17及び第1電流センサ18から与えられる直流入力電圧検出値Vg及び昇圧回路電流検出値Iinを、予め設定された所定の時間間隔ごとにサンプリングし、それぞれの平均値を求め、平均化された直流入力電圧検出値Vg及び昇圧回路電流検出値Iinを制御処理部30に与える機能を有している。
また、直流入力電流検出値Igは、コンデンサ26よりも入力側で検出される電流値である。
図4に示すように、直流入力電圧検出値Vg、昇圧回路電流検出値Iin、及び直流入力電流検出値Igは、系統電圧の1/2の周期で変動していることが判る。
このため、直流入力電圧検出値Vgに生じる周期的な変動は、変換装置1が出力する交流電力の1/2周期となっている。
平均化処理部34は、上述の周期的変動による影響を抑制するために、直流入力電圧検出値Vg及び昇圧回路電流検出値Iinを平均化する。
平均化処理部34は、あるタイミングt1から、タイミングt2までの間の期間Lにおいて、予め設定された所定の時間間隔Δtごとに、与えられる直流入力電圧検出値Vgについて複数回サンプリング(図中、黒点のタイミング)を行い、得られた複数の直流入力電圧検出値Vgの平均値を求める。
これにより、平均化処理部34は、商用電力系統3の周期と同期して周期的に変動する、直流入力電圧検出値Vgの平均値を、できるだけサンプリングの期間を短くしつつ、精度よく求めることができる。
なお、サンプリングの時間間隔Δtは、例えば、商用電力系統3の周期の1/100〜1/1000、或いは、20マイクロ秒〜200マイクロ秒等に設定することができる。
また、ここでは、期間Lを商用電力系統3の周期長さの1/2の長さに設定したが、期間Lは、少なくとも、商用電力系統3の1/2周期に設定すれば、直流入力電圧検出値Vgの平均値を精度よく求めることができる。直流入力電圧検出値Vgは、上述のように、昇圧回路10、およびインバータ回路11の動作によって、商用電力系統3の周期長さの1/2の長さで周期的に変動するからである。
よって、期間Lをより長く設定する必要がある場合、商用電力系統3の1/2周期の3倍や4倍といったように、期間Lを商用電力系統3の1/2周期の整数倍に設定すればよい。これによって、周期単位で電圧変動を把握できる。
よって、平均化処理部34は、図5に示した直流入力電圧検出値Vgと同様の方法によって、昇圧回路電流検出値Iinの平均値も求める。
制御処理部30は、直流入力電圧検出値Vgの平均値及び昇圧回路電流検出値Iinの平均値をそれぞれ、期間Lごとに逐次求める。
平均化処理部34は、求めた直流入力電圧検出値Vgの平均値及び昇圧回路電流検出値Iinの平均値を制御処理部30に与える。
この点、本例では、商用電力系統3の周期長さの1/2の長さに設定された期間Lの間に、直流入力電圧検出値Vg及び昇圧回路電流検出値Iinのそれぞれについて、交流系統の1/2周期よりも短い時間間隔Δtで複数回サンプリングし、その結果から直流入力電圧平均値〈Vg〉及び昇圧回路電流平均値〈Iin〉を求めたので、直流電流の電圧及び電流が周期的に変動したとしても、できるだけサンプリングの期間を短くしつつ、直流入力電圧平均値〈Vg〉及び昇圧回路電流平均値〈Iin〉を精度よく求めることができる。
制御処理部30は、求めた指令値を昇圧回路制御部32及びインバータ回路制御部33に与え、昇圧回路10及びインバータ回路11それぞれをフィードバック制御する機能を有している。
制御処理部30は、インバータ回路11の制御を行うための機能部として、第1演算部41、第1加算器42、補償器43、及び第2加算器44を有している。
また、制御処理部30は、昇圧回路10の制御を行うための機能部として、第2演算部51、第3加算器52、補償器53、及び第4加算器54を有している。
以下、図7に従って、昇圧回路10及びインバータ回路11の制御処理を説明する。
入力電力平均値〈Pin〉=〈Iin×Vg〉 ・・・(1)
また、式(1)以外の以下に示す制御に関する各式においては、昇圧回路電流検出値Iin、及び直流入力電圧検出値Vgは、平均化されていない瞬時値が用いられる。
また、「〈 〉」は、括弧内の値の平均値を示している。以下同じである。
第1演算部41には、直流入力電流指令値Ig*の他、直流入力電圧検出値Vg、系統電圧検出値Vaも与えられる。
第1演算部41は、下記式(2)に基づいて、変換装置1としての出力電流指令値の平均値〈Ia*〉を演算する。
出力電流指令値の平均値〈Ia*〉=〈Ig*×Vg〉/〈Va〉 ・・・(2)
ここで、第1演算部41は、出力電流指令値Ia*を系統電圧検出値Vaと同位相の正弦波として求める。
出力電流指令値Ia*=(√2)×〈Ia*〉×sinωt ・・・(3)
次いで、第1演算部41は、下記式(4)に示すように、インバータ回路11を制御するための電流目標値であるインバータ電流指令値Iinv*(インバータ回路の電流目標値)を演算する(ステップS3)。
インバータ電流指令値Iinv*=Ia*+s CaVa ・・・(4)
式(4)中、右辺第2項は、フィルタ回路21のコンデンサ23に流れる電流を考慮して加算した値である。
なお、出力電流指令値Ia*は、上記式(3)に示すように、系統電圧検出値Vaと同位相の正弦波として求められる。つまり、制御処理部30は、変換装置1が出力する交流電力の電流Ia(出力電流)が系統電圧(系統電圧検出値Va)と同位相となるようにインバータ回路11を制御する。
インバータ回路11は、このインバータ電流指令値Iinv*によって、フィードバック制御される。
第1加算器42は、インバータ電流指令値Iinv*と、現状のインバータ電流検出値Iinvとの差分を演算し、その演算結果を補償器43に与える。
インバータ回路11が出力した電力は、第2加算器44によって系統電圧検出値Vaで減算された上でACリアクトル22に与えられ、新たなインバータ電流検出値Iinvとしてフィードバックされる。そして、第1加算器42によってインバータ電流指令値Iinv*とインバータ電流検出値Iinvとの間の差分が再度演算され、上記同様、この差分に基づいてインバータ回路11が制御される。
第2演算部51は、下記式(5)に基づいて、インバータ出力電圧指令値Vinv*(インバータ回路の電圧目標値)を演算する(ステップS5)。
インバータ出力電圧指令値Vinv*=Va+s LaIinv* ・・・(5)
式(5)中、右辺第2項は、ACリアクトル22の両端に発生する電圧を考慮して加算した値である。
このように、本例では、インバータ回路11が出力する交流電力の電流位相が系統電圧検出値Vaと同位相となるようにインバータ回路11を制御するための電流目標値であるインバータ電流指令値Iinv*に基づいてインバータ出力電圧指令値Vinv*(電圧目標値)を設定する。
昇圧回路電圧目標値Vo*=Max(Vg,Vinv*の絶対値) ・・・(6)
昇圧回路電流指令値Iin*=
{(Iinv*×Vinv*)+(s C Vo*)×Vo*}/Vg ・・・(7)
式(7)中、インバータ電流指令値Iinv*と、インバータ出力電圧指令値Vinv*との積に加算されている項は、コンデンサ19を通過する無効電力を考慮した値である。
なお、コンデンサ19の静電容量Cが十分小さい場合、下記式(8)が成立する。
昇圧回路電流指令値Iin*=(Iinv*×Vinv*)/Vg・・・(8)
昇圧回路10は、この昇圧回路電流指令値Iin*によって、フィードバック制御される。
第3加算器52には、昇圧回路電流指令値Iin*の他、現状の昇圧回路電流検出値Iinが与えられる。
第3加算器52は、昇圧回路電流指令値Iin*と、現状の昇圧回路電流検出値Iinとの差分を演算し、その演算結果を補償器53に与える。
昇圧回路10が出力した電力は、第4加算器54によって直流入力電圧検出値Vgで減算された上でDCリアクトル15に与えられ、新たな昇圧回路電流検出値Iinとしてフィードバックされる。そして、第3加算器52によって昇圧回路電流指令値Iin*と昇圧回路電流検出値Iinとの間の差分が再度演算され、上記同様、この差分に基づいて昇圧回路10が制御される。
上記ステップS8の後、制御処理部30は、上記式(1)に基づいて、現状の入力電力平均値〈Pin〉を求める(ステップS9)。
図8(a)は、制御処理部30が上記フィードバック制御において求めた昇圧回路電流指令値Iin*、及びこれに従って制御した場合の昇圧回路電流検出値Iinをシミュレーションにより求めた結果の一例を示すグラフであり、(b)は、制御処理部30が上記フィードバック制御において求めた昇圧回路電圧目標値Vo*、及びこれに従って制御した場合の昇圧回路電圧検出値Voをシミュレーションにより求めた結果の一例を示すグラフである。
また、図8(b)に示すように、昇圧回路電圧目標値Vo*は、上記式(6)によって求められるため、インバータ出力電圧指令値Vinv*の絶対値が、概ね直流入力電圧検出値Vg以上となる期間では、インバータ出力電圧指令値Vinv*の絶対値に倣い、それ以外の期間では直流入力電圧検出値Vgに倣うように変化している。
昇圧回路電圧検出値Voは、制御処理部30によって、昇圧回路電圧目標値Vo*に沿って制御されていることが判る。
変換装置1は、図7のフローチャートに従った制御によって、図9に示すインバータ出力電圧指令値Vinv*を電圧目標値として電力を出力する。
よって、変換装置1は、図9に示すインバータ出力電圧指令値Vinv*の波形に従った電圧の電力を出力する。
インバータ出力電圧指令値Vinv*の位相を商用電力系統3の電圧位相に対して進相させる角度は、数度であればよく、後述するように、商用電力系統3の電圧波形との間で差分を求めたときに得られる電圧波形が、商用電力系統3の電圧波形に対してほぼ90度進んだ位相となる範囲で設定される。例えば、0度より大きくかつ10度より小さい値の範囲で設定される。
インバータ電流指令値Iinv*は、上記式(4)に示すように、出力電流指令値Ia*によって定まる。この出力電流指令値Ia*が大きくなるほど、インバータ電流指令値Iinv*における進相した成分が増加し、インバータ出力電圧指令値Vinv*の進み角(進相させる角度)が大きくなる。
本例の制御処理部30は、上述のように、インバータ出力電圧指令値Vinv*の位相が、商用電力系統3の電圧位相に対して約3度進相するように、直流入力電流指令値Ig*を設定している。
昇圧回路制御部32は、昇圧回路10のスイッチング素子Qbを制御する。また、インバータ回路制御部33は、インバータ回路11のスイッチング素子Q1〜Q4を制御する。
昇圧回路制御部32が生成する昇圧回路用搬送波は、極小値が「0」である三角波であり、振幅A1が制御処理部30から与えられる昇圧回路電圧目標値Vo*とされている。
また、昇圧回路用搬送波の周波数は、制御処理部30による制御命令によって、所定のディーティ比となるように、昇圧回路制御部32によって設定される。
この駆動波形は、スイッチング素子Qbのスイッチング動作を示しており、スイッチング素子Qbに与えることで、当該駆動波形に従ったスイッチング動作を実行させることができる。駆動波形は、電圧が0ボルトでスイッチング素子のスイッチをオフ、電圧がプラス電圧でスイッチング素子のスイッチをオンとする制御命令を構成している。
また、各パルス幅は、三角波である昇圧回路用搬送波の切片によって定まる。よって、電圧が高い部分ほどパルス幅が大きくなっている。
また、周波数は、制御処理部30による制御命令等によって、所定のデューティ比となるように、インバータ回路制御部33によって設定される。
インバータ回路制御部33は、インバータ回路用参照波Vinv#の電圧が−Vg〜+Vgの範囲W2でスイッチング動作が行われるように駆動波形を生成する。よって、それ以外の範囲では、スイッチング動作を停止させるようにスイッチング素子Q1を制御する。
インバータ回路制御部33は、スイッチング素子Q3については、図中破線で示しているインバータ回路用参照波Vinv#の反転波と、搬送波とを比較して駆動波形を生成する。
この場合も、インバータ回路制御部33は、インバータ回路用参照波Vinv#(の反転波)の電圧が、−Vg〜+Vgの範囲W2でスイッチング動作が行われるように駆動波形を生成する。よって、それ以外の範囲では、スイッチング動作を停止させるようにスイッチング素子Q3を制御する。
よって、インバータ回路11は、昇圧回路10がスイッチング動作を停止している間、スイッチング動作を行い、インバータ出力電圧指令値Vinv*に近似する交流電力を出力する。
なお、インバータ回路用参照波Vinv#と、インバータ出力電圧指令値Vinv*とは近似するので、図11(a)においては重複している。
さらに、昇圧回路10及びインバータ回路11は、共に制御部12が設定したインバータ出力電圧指令値Vinv*(電圧目標値)に基づいて動作するため、交互に切り替わるように出力される昇圧回路の電力と、インバータ回路の電力との間で、ずれや歪が生じるのを抑制することができる。
図12において、最上段から順に、インバータ回路の参照波Vinv#及び搬送波、スイッチング素子Q1の駆動波形、昇圧回路の参照波Vbc#及び搬送波、スイッチング素子Qbの駆動波形、及び変換装置1が出力する交流電力の電流波形の指令値及び実測値を示すグラフを表している。これら各グラフの横軸は、時間を示しており、互いに一致するように示している。
また、昇圧回路10のスイッチング素子Qbのスイッチング動作の期間と、インバータ回路11のスイッチング素子Q1〜Q4のスイッチング動作の期間とは、概ね互いに交互に切り替わるように制御されていることが判る。
本例の昇圧回路10及びインバータ回路11は、制御部12による制御によって、インバータ出力電圧指令値Vinv*に近似した電圧波形の交流電力を、その後段に接続されたフィルタ回路21に出力する。変換装置1は、フィルタ回路21を介して商用電力系統3に交流電力を出力する。
従って、昇圧回路10及びインバータ回路11が出力する交流電圧も、商用電力系統3の電圧位相に対して数度進相した電圧位相とされる。
図に示すように、ACリアクトル22の両端が互いに数度電圧位相がずれた電圧がかかると、ACリアクトル22の両端電圧は、ACリアクトル22の両端にかかる互いに数度電圧位相がずれた電圧同士の差分となる。
ACリアクトル22の電流位相は、その電圧位相に対して90度遅延する。よって、図に示すように、ACリアクトル22を通して出力される交流電力の電流位相は、商用電力系統3の電流位相に対してほぼ同期することとなる。
よって、図12の最下段に示すグラフのように、変換装置1が出力する電流波形は、商用電力系統3の電圧位相とほぼ一致したものとなる。
以上、太陽光発電に基づいて商用電力系統への系統連系に用いられる変換装置1について詳細に説明した。
一方、系統連系を行わない変換装置としは、例えば、自立電源として直流から交流への変換を行う変換装置や、UPSに搭載される変換装置もある。これらも含めて、本発明の実施形態に係る変換装置全般の基本機能を「最小変調方式」と称する。
図14は、本発明の一実施形態に係る変換装置1の回路図である。図2との違いは、昇圧回路10の回路構成である。なお、最終的な交流出力は、商用電源との系統連系に限らない。すなわち、この昇圧回路10は、図2におけるダイオード16の代わりに、例えばFETであるスイッチング素子Qb1を用いている。スイッチング素子Qb1のオン/オフは、制御部12によって制御される。昇圧動作時は、スイッチング素子Qbと、スイッチング素子Qb1とが、交互にオン状態となるように動作する。また、昇圧動作を停止しているときは、スイッチング素子Qbはオフ状態、スイッチング素子Qb1もオフ状態となっている。
(a)に示すスイッチQsは、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)又はFETであるスイッチ素子SとダイオードDとを互いに直列に接続したもの2組を、互いに逆向きの並列に接続して構成されている。
(b)には4種類のスイッチQsを例示している。上段のスイッチQsは、FETである2つのスイッチ素子S(ダイオードDが内在する。)を、互いに逆向きにしつつ、直列に接続して構成されている。ドレイン側を互いに繋ぐドレインコモン(左)、ソース側を互いに繋ぐソースコモン(右)のいずれでもよい。
また、(b)の下段のスイッチQsは、IGBTであるスイッチ素子SにダイオードDを並列接続したもの2組を、互いに逆向きにしつつ、直列に接続して構成されている。コレクタ側を互いに繋ぐコレクタコモン(左)、エミッタ側を互いに繋ぐエミッタコモン(右)のいずれでもよい。
(c)に示すスイッチQsは、順逆耐圧性能を有するIGBT(又はFET)のスイッチ素子Sの2組を、逆向きの並列に接続して構成される。
(d)に示すスイッチQsは、スイッチ素子Sとして例えばFETを1個使用したものである。このスイッチQsの場合、ドレインがDCバスLBのプラス側、ソースが太陽光発電パネル2のプラス側に、それぞれ接続される。
なお、上述の変換装置1は、直流から交流への変換装置であるが、逆に、交流から直流への変換装置にも同様なスイッチ(Qs)を設けることができる。以下、交流から直流への変換装置について説明する。
図18は、交流から直流への変換装置1を備えた蓄電システムの一例を示すブロック図である。図中、変換装置1の出力端には、蓄電池2が接続され、入力端には、商用の交流電源3が接続されている。この蓄電システムは、商用電力系統から提供される電力を、蓄電池2に蓄えるものである。
また、DCリアクトル15及びスイッチング素子Qb1の直列体に対してバイパス回路を形成するように並列に、スイッチQsが接続されている。スイッチQsのオン/オフは、制御部12によって制御される。降圧回路10の降圧動作時には、スイッチQsはオフ状態であり、降圧動作を停止しているときは、オン状態となる。
制御部12は、これら交流電圧Va及び交流電流Icnv(変換装置1への入力)と、上述の直流電圧Vg、電流Iin(変換装置1からの出力)に基づいて、降圧回路10及びAC/DCコンバータ11を制御する。
制御部12は、AC/DCコンバータ11のスイッチング素子Q1〜Q4を制御し、指令値に応じた電圧・電流の電力を降圧回路10に出力する。また、制御部12は、降圧回路10のスイッチング素子Qb,Qb1を制御し、指令値に応じた電圧で蓄電池2を充電する。
制御部12は、入力電流目標値Ia*及び、下記の式(9)により定められる降圧回路10の電流目標値に基づいて交流電力の入力を制御する。すなわち、降圧回路10の電流目標値Iin*は、
Iin*=
{(Icnv* × Vcnv*)−(s C Vo*)×Vo*}/Vg
・・・(9)
である。
また、AC/DCコンバータ11への入力電流目標値Icnv*は下記式により表される。
Icnv*= Ia*−s CaVa ・・・(10)
Vcnv*はAC/DCコンバータ11への交流入力電圧目標値、
CaはACリアクトル22の入力側に設けられた入力平滑用のコンデンサ23の静電容量、
Vaは交流電源3の交流電圧、
Cは、降圧回路10とAC/DCコンバータ11との間に設けられたコンデンサ19の静電容量、
Vo*は降圧回路10への入力電圧目標値、
Vgは蓄電池2を充電する直流電圧、
sはラプラス演算子、である。
すなわち、AC/DCコンバータ11への交流入力電圧目標値Vcnv*は、
Vcnv*=Va−s LaIcnv* ・・・(11)
である。ただし、LaはACリアクトル22のインダクタンスである。
図20は、変換装置1の動作を概念的に示した電圧波形の図である。
(a)は、AC/DCコンバータ11への交流入力電圧目標値Vcnv*の絶対値の一例を示す。これは、概ね、商用交流の全波整流波形である。二点鎖線は、充電のための直流電圧Vgを示す。(b)に示すように、直流電圧Vgの方が交流入力電圧目標値Vcnv*の絶対値より高い区間(t0〜t1,t2〜t3,t4〜)では、AC/DCコンバータ11がスイッチング動作し、ACリアクトル22との協働により昇圧する。
同様に、交流入力電圧目標値Vcnv*の絶対値が直流電圧Vgより高い期間のみ降圧回路10が動作し、その他の期間ではスイッチングを停止させることで、降圧回路10のスイッチング損失を低減することができる。また、このとき降圧回路10は、スイッチQsのオン抵抗のみによる損失となるので、降圧回路10の電力損失が低減される。
なお、上記実施形態では、AC/DCコンバータ11を構成するスイッチング素子としてFETを用いた例を示したが、FETに代えてIGBTを用いることもできる。但し、IGBTでは同期整流ができない。従って、AC/DCコンバータ11のスイッチング停止状態では、素子内蔵のダイオードによって、フルブリッジ整流回路として動作することになる。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
2 太陽光発電パネル又は蓄電池
3 商用電力系統
10 昇圧回路又は降圧回路
11 インバータ回路又はAC/DCコンバータ
12 制御部
15 DCリアクトル
16 ダイオード
17 第1電圧センサ
18 第1電流センサ
19 コンデンサ
21 フィルタ回路
22 ACリアクトル
23 コンデンサ
24 第2電流センサ
25 第2電圧センサ
26 コンデンサ
30 制御処理部
32 昇圧回路制御部
33 インバータ回路制御部
34 平均化処理部
41 第1演算部
42 第1加算器
43 補償器
44 第2加算器
51 第2演算部
52 第3加算器
53 補償器
54 第4加算器
D ダイオード
LB DCバス
Lin 電路
Lout 直流出力電路
Q1〜Q4,Qb,Qb1 スイッチング素子
Qs スイッチ
S スイッチ素子
Claims (1)
- 交流電源から入力される交流電圧を、直流電圧に変換して出力する変換装置であって、
前記交流電源と接続されたリアクトルと、
前記リアクトルを介して入力されるべき交流入力電圧目標値の絶対値に対して、前記リアクトルと協働して昇圧した電圧をDCバスに出力する昇圧動作状態及び、整流出力のみを行って前記DCバスに出力する高周波スイッチング停止状態、のいずれか一方を実行可能なAC/DCコンバータと、
前記DCバスの電圧を降圧して直流出力電路に出力する降圧動作状態及び、降圧せずに前記DCバスと前記直流出力電路とをスイッチで直結するスイッチング停止状態のいずれか一方を実行可能な降圧回路と、
前記交流入力電圧目標値の絶対値と、前記直流電圧とを互いに比較し、前記交流入力電圧目標値の絶対値が前記直流電圧を上回るときは前記降圧回路を前記降圧動作状態とするとともに前記AC/DCコンバータを前記高周波スイッチング停止状態とし、また、前記交流入力電圧目標値の絶対値が前記直流電圧を下回るときは前記降圧回路を前記スイッチング停止状態として前記スイッチを閉路するとともに前記AC/DCコンバータを前記昇圧動作状態とする制御部と、
を備えている変換装置。
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