JP2017075397A - 放熱基板及び該放熱基板の製造方法 - Google Patents

放熱基板及び該放熱基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】金属とダイヤモンドの粉末を主成分とする合金複合体を用いて製造される、線膨張係数が6.5ppm/K以上15ppm/K以下、熱伝導率が420W/m・K以上であり、表面の欠陥が修復された金属層であって、ハンダ付けのボイド率が5%以下となるNi系メッキを施すことが可能な放熱基板をする。【解決手段】主金属と添加金属およびダイヤモンドの粉末を主成分とする合金複合体の表面にメッキにより金属層を形成し、該金属層及び該合金複合体の融点以下で加熱及び加圧することにより、表面に欠陥の少ない金属層を有する放熱基板を得る。【選択図】図1

Description

本発明は高性能な半導体モジュールのパッケージ(以下PKGと略記)に搭載するものであって、表面に欠陥の少ない金属層を有し、半導体モジュールに適した線膨張係数と、大きな熱伝導率を有する安価な金属ダイヤモンド系の放熱基板、及びその製造方法に関する。
半導体モジュールには、LSI、IGBT、パワー半導体、電波・光通信用半導体、レーザー、LED、センサー等の用途があり、これらに必要な性能によって構造も多種多様である。半導体モジュールは異なる線膨張係数と熱伝導率の材料からなる部材で構成された、非常に高度な精密機器であり、そのPKGに使用される放熱基板も多様な複合材や形状のものが多く提案されている。
半導体モジュールの放熱基板には、PKGの製作、半導体デバイスのハンダ付けにおいて、性能や寿命を確保するために、適した線膨張係数が必要である。熱伝導率についても、半導体デバイスの熱を放散して冷却し性能や寿命を確保するために、高い値が必要である。他に各種部材や半導体デバイスを接合するために、良好なメッキを施し易いことも極めて重要である。
また放熱基板の形状を大別すると、厚み1mm以下で数mm角のサブマウント、平板、ネジ止め平板、三次元形状等があり、これらの形状が得やすい製法が望まれる。
放熱基板には、当初はCuが用いられていたが、近年の半導体モジュールの高性能化で発熱量が大きくなり、これまでのCuでは線膨張係数が大きすぎるためにPKGの製造工程と耐久性、さらに半導体デバイスの性能寿命での問題が発生した。このため、高性能半導体モジュールに対応した線膨張係数を有する放熱基板が求められるようになった。
この対策として線膨張係数を変更・調整することができ、高性能半導体モジュールの線膨張係数に対応できるCuW、CuMo(特許文献1)が開発された。また軽量化が必要な場合の対応としてAlSiC(特許文献2)が開発された。しかし、これらのいずれの複合材も半導体モジュールに適した線膨張係数での熱伝導率が320W/m・K以下の値でCuより小さいという問題点があった。
このためCuW、CuMo、AlSiCがカバーする範囲の6.5ppm/K以上15ppm/K以下の線膨張係数を有し、熱伝導率がCuの393W/m・Kと同じか、それ以上で金属の中で最も熱伝導率が高いAgの420W/m・K以上の材質が望まれ、種々の放熱基板の複合材料が研究開発されてきた。
放熱基板には線膨張係数と熱伝導率の特性以外にメッキの品質が重要である。半導体モジュールメーカーで半導体デバイスや絶縁板をハンダ付で接合する際に、接合界面にボイドが多く存在すると熱の流れが遮断され、半導体デバイスや絶縁板に剥離や破壊が起こる。このため良好なハンダ付が可能な最終のNi系メッキを施し得る欠陥の少ない表層を有する放熱基板が必要となる。
最終のNi系メッキには、品質確保のための種々の形態があり、これらの形態に対応するため、放熱基板メーカーでメッキを行う場合とPKGメーカーでメッキを行う場合があり、品質に対応するために多様なNi系メッキ、ハンダ材質、ハンダ付の条件等の開発が行われてきた。これらの開発において最終のNi系メッキの品質確保には、放熱基板の表層に欠陥の少ないことが極めて重要であり、それを実現するため種々の放熱基板の開発が進められてきた。
最終のNi系メッキには種々の形態があるため、一般的には最終のNi系メッキを施す前の線膨張係数と熱伝導率の値が複合材の放熱基板の基準特性として使用されている。
Cuの放熱基板は、表層の欠陥が少ないので、良好な最終のNi系メッキを施すことが容易である。しかしCuWやCuMoの機械加工品や研磨品は相対密度が低いと表層欠陥の問題が発生し易いので、実用化には相対密度が真密度の99%以上が必要であるとされている。しかしCuMo系のクラッド品(金属被覆物)においては、その上下に形成される表層がCu層なので最終のNiメッキを施す上での問題は回避できている。
AlSiCでは相対密度が真密度の99%以上であってもセラミックのSiCにメッキがし難いという問題がある。しかし複合材にピンホール(表面に存在する微細な穴)などの欠陥やメッキがし難いSiCがあっても、複合材の製作時にその表層に純Al箔や溶浸金属のAlの層を設けることにより、最終のNi系メッキを良好に施すことができている。
近年、半導体モジュールの急速な発展と高性能化で半導体デバイスの発熱が大きくなってきており、それに伴って熱対策が重要になってきている。このため半導体モジュールの線膨張係数に対応できる線膨張係数を有し、かつ熱伝導率が高く、ハンダ濡れ性の評価より厳しい接合界面におけるボイド評価に合格する良好なハンダ付ができる新しい高品質な放熱基板が強く望まれていた。
高性能半導体モジュールの放熱基板として、金属ダイヤモンドの放熱基板が高い熱伝導率が得られる可能性があり有望であることから、これまで様々な研究開発が行われ、報告されている。
金属とダイヤモンドのみの場合には、金属のダイヤモンドへの濡れ性があまりにも悪く、既存のCuWやCuMoの製造法で採用されている溶浸法や焼結法では放熱基板に使用できる複合材は製造が困難であった。こうしたなか、Cuとダイヤモンドの粉末をキャニングし、高温で5万気圧の高圧下で焼結する超高圧焼結法(特許文献3)で高い熱伝導率が得られるとの報告がある。しかし、この製法では相対密度が高い複合材が得られるものの、ダイヤモンドが多い組成範囲のため、線膨脹係数が小さ過ぎるうえに、製造コストも高くなる。また製品形状の製作加工には、ブロック素材のスライス加工や研削加工が必要で、それに起因する欠陥により最終のNi系メッキの品質に問題が生じ、用途が限定されていた。
主金属と添加金属とダイヤモンドの粉末を混合した圧粉体を焼結することでダイヤモンド表面に添加金属の炭化物ができ、高い熱伝導率が得られるとの報告(特許文献4)がある。しかし、このような焼結法で得られる合金複合体は不安定であり高い真密度が得られないため、合金複合体の表面に多数のピンホールがあり良好な最終のNi系メッキの品質が確保できないという問題点がある。このため放熱基板として使用できる合金複合体は得られていなかった。
ダイヤモンド粉末の表層に添加金属の炭化物の膜を形成したスケルトンに金属を溶浸する製造法を用いて高い熱伝導率が得られるとの報告(特許文献5)がある。この製法は焼結法に比べ高い真密度と熱伝導率が得られるが、スケルトンの構造が不安定なため組成にバラツキが生じるという問題がある。また外周の余剰な溶浸金属をダイヤモンド砥石で研削除去する必要が生じ、それによって複合材の表面のダイヤモンドの欠けや脱粒、特にダイヤモンドと金属の界面剥離等が生じて、金属の蒸着を施したとしても放熱基板に必要な品質を有する最終のNi系メッキが施せないという問題点がある。そのため放熱基板として使用できる複合材とはならなかった。
ダイヤモンド粉末にCuメッキした粉末の圧粉体をSPS(Spark Plasma Sintering:放電プラズマ焼結)法で焼結して高い熱伝導率が得られるとの報告(特許文献6)がある。しかし、ダイヤモンド粉末へのCuメッキは費用が高く、加えてSPS通電焼結法で高い熱伝導率を得るには、長時間の焼結が必要で生産性が低いという問題点がある。また表層にダイヤモンドが露出することがあり、良好なハンダ付ができる最終のNi系メッキの品質が確保できない問題点があった。
ダイヤモンド粉末にSiCのセラミックコートを施したスケルトンにAl・Si・Mg合金を加圧溶浸(特許文献7)することで、高熱伝導率でありながら表層に溶浸金属の膜を形成した結果、最終のNi系メッキの品質も満足できるという報告がある。しかし、薄い放熱基板の場合には、表層に熱伝導率の小さい溶浸金属の層があるため放熱基板に適さない。また、精密な治具を用いて表層に溶浸金属の層を設けるには製造難度が高く、安価に複合材ができないので経済的でない。加えて表層の溶浸金属の膜は、必ずしも最終のNi系メッキに適しているとはいえない。更にこの製法はAl合金にしか適用できず、スケルトンの安定性を確保するには組成範囲もAl合金が60%以下と限定される。このため放熱基板として使用できる範囲に限界があり用途が限定されていた。
ダイヤモンド粉末に金属やセラミックのコーテイングを施した圧粉体にCuを溶浸した複合材に、純Cu板を銀ろう付してPKG(特許文献8)を製造した報告がある。しかし、ダイヤモンド粉末に金属やセラミックのコーテイングを施す費用は高く、加えて外周の余剰な溶浸金属をダイヤモンド砥石で研削除去する必要があり、その後にCu板を銀ろう付するので、製造工程が多く経済的でない。また金属ダイヤモンドの放熱基板に純Cu板を銀ろう付すると、Cuと銀ろう材が反応して合金となり熱伝導率の小さい層が生成する。またCu板が厚くてもろう付部にボイド等の欠陥が生じる問題点がある。このため放熱基板として使用できる複合材は未だ商品化されていない。
特開平6-13494号公報 特開2004-55577号公報 国際公開第2003/040420号 特開平11-67991号公報 特開平10-223812号公報 特開2008-248324号公報 国際公開第2010/007974号 特表2006-505951号公報
これまでに報告された金属ダイヤモンド系の合金複合体の放熱基板において、金属とダイヤモンドの比率を変えることで線膨張係数の可変・調整ができ、ダイヤモンドの比率を増やすことや大きな粒子のダイヤモンドを使用することにより、CuやAgの熱伝導率を超える大きな熱伝導率を有する放熱基板を得られることが報告されている。
しかし、金属ダイヤモンド系の放熱基板において真密度が99%以上の合金複合体であっても、表層にダイヤモンドが露出しているとメッキが付かず、露出したダイヤモンドと同程度の大きさのメッキホールの欠陥が生じる。このため最終のNi系メッキにもメッキホールの欠陥が転写され、表層に現われるという問題がある。またダイヤモンド砥石で研削した後、Ti等の金属の蒸着を行うことでダイヤモンドがメッキに覆われてメッキホールの欠陥は無くなるものの、ダイヤモンドと金属の界面剥離による影響により、新たにメッキの金属層の表層に数μm以下のピンホールが生じ、これに起因して良好なハンダ付ができる最終のNi系メッキの品質が確保できないという問題がある。
一方、主金属と添加金属およびダイヤモンドの粉末を主成分とし、液相焼結により作製された合金複合体では、露出したダイヤモンドの表面が添加金属の炭化物と金属からなる層に覆われるので、メッキホール欠陥は生じない。しかし、Cu等に比べ添加金属の炭化物は、メッキがしにくく密着性が低いので、内部にボイドが生じ易く、また表層にも数μm以下のピンホールが生じ易いという問題がある。併せて焼結性が悪いため、合金複合体の相対密度が低くなり易く、また表層にもピンホールが生じ易く、これらが原因となってメッキの金属層にピンホール欠陥ができ、最終のNi系メッキの品質が確保できないという問題があった。
こうした問題を解決するために、本発明の放熱基板は、主成分が金属とダイヤモンドの粉末を主成分とし、種々の製法で作られた合金複合体の表面にメッキで金属層を形成し、その金属層を金属層の融点以下、かつ合金複合体の融点以下で加熱し加圧することにより、表層に欠陥の少ない金属層を有し、半導体モジュールに適した線膨張係数と、高い熱伝導率を有した金属ダイヤモンド系の放熱基板を得るものである。
即ち、本発明に係る放熱基板の製造方法は、
金属とダイヤモンドの粉末を主成分とする合金複合体の表面にメッキ処理を行って金属層を形成し、
前記金属層が形成された前記合金複合体を、該金属層の融点以下かつ該合金複合体の融点以下で加熱及び加圧することにより前記金属層の欠陥を修復する
ことを特徴とする。
ここで、上記「合金複合体」とは、粉体の混合物であって、一定の自立した形状を有するものを意味する。本発明に係る合金複合体は、例えば、金属とダイヤモンドの混合粉末を型押しすることによって得ることが可能であるが、型押し後に液相焼結を行って作製することが好ましい。また、溶浸法等、他の方法により合金複合体を作成してもよい。
また、「該金属層の融点以下かつ該合金複合体の融点以下」とは、金属層と合金複合体の融点のうち、より低い温度以下であることを意味する。
上記のように、金属層及び合金複合体の温度以下で(即ち、金属層と合金複合体の固相を維持して)加熱及び加圧処理するという条件が固相焼結で用いられる条件と共通することから、本明細書では、上記の加熱及び加圧する処理を便宜的に固相焼結とも呼ぶ。ただし、その場合でも、当該処理は金属層の欠陥を修復することを主たる目的とするものあり、合金複合体の内部構造を再構成することは好ましいが必須ではない。
なかでも主金属・添加金属・ダイヤモンドの混合粉末の型押し後に液相焼結を行う等の方法により得られた合金複合体に金属層をメッキで形成したのち、更に前記条件で加熱し加圧することにより、表層に欠陥の少ない金属層を有し、線膨張係数が6.5〜15ppm/Kの範囲にあり、熱伝導率が420W/m・K以上の半導体モジュール用の放熱基板を得るものである。
即ち、本発明に係る放熱基板の製造方法では、
主金属、該主金属と異なる種類の添加金属、及びダイヤモンドの粉末を主成分とする前記合金複合体を作製する
ことが望ましい。
前記主金属は、Ag、Cu、Al、及びこれらの合金のうちの少なくとも1種類とすることができる。
また、前記添加金属は、Ti、Cr、Co、Mn、Ni、Fe、B、Y、Si、Mg、及びZnのうちの少なくとも1種類とすることができ、その添加量は合金複合体の全体の1vol%以上15vol%以下とすることが好ましい。
粉末冶金の焼結法は高精度で多様な製品を最も低コストで製造できる方法であり、小型・中型品をニアネットシェイプで製造できる可能性が高く、この技術で種々の半導体部品が開発され実用化されている。
しかし、金属粉末とダイヤモンド粉末のみを液相焼結すると、ダイヤモンドに対する金属の濡れ性が悪く、焼結時に金属とダイヤモンドが分離するか表層に金属が粒状に生成してしまい、正常な合金複合体が得られない場合がある。
一方、主金属・添加金属・ダイヤモンドの混合粉末の型押体を液相焼結した合金複合体は、相対密度が低くて不安定な場合があるが、露出したダイヤモンドの表面に添加金属の炭化物と主金属からなる層があるので、メッキで金属層を形成しても大きな欠陥が生じにくい。しかし、添加金属の炭化物と主金属は必ずしもメッキし易いとは言えない。併せて焼結性が悪いため合金複合体と金属層の界面にボイドも生じ易い。これらが原因となって最終のNi系メッキの品質が確保できないという問題がある。更に金属層のメッキは厚みが大きくなると密着性が低下し、内部にボイド等が多く発生する。また表層の粒子が大きいと、凹凸を生じて脱落することもある。
こうしたなか、主金属・添加金属・ダイヤモンドの混合粉末の型押体を液相焼結した合金複合体であっても良好なハンダ付ができる最終のNi系メッキを行う方法として、合金複合体にメッキで金属層を形成したものを前記条件で加熱し加圧することで、金属層の密着性が向上し、また金属層の内部ボイド、ピンホール、ザラツキ等の欠陥が修復できる。また、金属層を加熱し加圧することで、さらに合金複合体が緻密化され特性が向上し安定化する効果を得ることも可能であることを見出した。
高性能モジュールの放熱基板の品質は、近年では放熱基板に最終のNi系メッキを行い半導体デバイスや絶縁板にハンダ付けされた状態のハンダボイド率で確認されるようになってきている。そこでハンダボイド率を測定することにより、表層に欠陥の少ない金属層を形成すれば、放熱基板で最終のNi系メッキ品質が確保でき、厳しい規格に合格する良好なハンダ付が可能になることを確認した。
また、本発明に係る放熱基板は、
主金属、該主金属と異なる種類の添加金属、及びダイヤモンドの粉末を主成分とする合金複合体と、該合金複合体の表面に形成された金属層を有し、
線膨張係数が6.5ppm/K以上15ppm/K以下であり、熱伝導率が420W/m・K以上であり、前記金属層の表面における欠陥の割合が5%以下である
ことを特徴とする。
前記表面における欠陥とは、いわゆるピンホールであり、こうしたピンホールが占める面積の割合は、例えば、上述したハンダボイド率により評価することができる。
上記「合金複合体」は、本発明に係る放熱基板の製造方法における「合金複合体」と同様に、粉体の混合物であって、一定の自立した形状を有するものを意味する。この合金複合体は、主金属、添加金属、及びダイヤモンドの混合粉末の型押体であっても良いが、さらに該型押体を液相焼結したものであることが好ましい。
本発明によれば、金属・ダイヤモンド・添加物の粉末を主成分とする合金複合体にメッキにより金属層を形成した後、真空中等の酸化しにくい雰囲気中で金属層及び合金複合体の融点以下で加熱及び加圧することにより、金属層の表面のピンホールや内部のボイドを修復して欠陥の少ない金属層が得られる。これにより、良好なハンダ付ができる最終のNi系メッキ品質を確保できる放熱基板とすることができる。また、合金複合体を緻密化して相対密度や熱伝導率を向上することも可能である。
欠陥の少ない金属層が得られ、放熱基板に求められる線膨張係数と熱伝導率の値の要件を満し、また内部の合金複合体の相対密度が90%以下と著しく低くなければ、最終のNi系メッキ品質に特に大きな問題は起こらないことが確認されており、放熱基板として好適に用いることができる。
放熱基板に耐熱性が必要な場合には、主金属をAgやCu、それらの合金にすれば良く、軽量化が必要な場合には主金属をAlやAl合金にすればよい。このようにしてCuW、CuMo、AlSiCの放熱基板と同程度の線膨張係数の範囲をカバーでき、良好なハンダ付ができ、かつ熱伝導率が高い合金複合体を作製することができる。
本発明に係る放熱基板の製造方法を用いると、放熱基板の形状についても、サブマウント(数ミリ角×厚み0.1〜1mm)、平板(10〜250mm角×厚み0.8〜5mm)ネジ止め平板(10〜250mm角×厚み0.8〜5mm)、平板、三次元形状(大きさ10〜50mm×厚み1〜5mm)等に対応することができる。
また、要求される厚み精度が厳しい放熱基板では研削が必要である。従来の金属ダイヤモンドの合金複合体からなる放熱基板と同様に、本発明に係る放熱基板においても、ダイヤモンド砥石を用いた研削により合金複合体の表面のダイヤモンドの欠けや脱粒、特に合金複合体の表面に露出したダイヤモンドと金属層の間で界面が剥離し、金属の蒸着を施したとしても良好な最終のNi系メッキができない場合がある。本発明に係る放熱基板の製造方法では、合金複合体にTi、Cr、Au、Pt等の金属を蒸着した後にメッキで金属層を形成してから加熱及び加圧することにより、上記の問題を解消して良好な最終のNi系メッキを確保することができる。
更に、組成を変えることなく高い機械強度や大きな熱伝導率を有する放熱基板を製造する必要がある場合には、液相焼結等により作製した合金複合体を、融点直下の高温で高い圧力で加圧した後、メッキで金属層を形成し、その金属層を形成した合金複合体を加熱及び加圧すればよい。
次に、前記加熱及び加圧は、真空、減圧、非酸化、還元、不活性ガス等の雰囲気中で行うことが可能であるが、装置が大型化し焼結に時間を要する。一方、市販の抵抗溶接機を使い、水中で加熱及び加圧を行うことで容易かつ安価に本発明に係る放熱基板を製造することができる。また、この製法では、スライス、研削、切断等の加工が不要であるため、大きなダイヤモンド粒子を使用して高熱伝導率でニアネットシェイプの放熱基板が得られる。
本発明は、既存の技術を応用し、金属ダイヤモンド系の合金複合体に良好なハンダ付ができる、欠陥の少ない金属層を簡単に設けることができる技術である。また、本発明の一態様は、水中で加熱及び加圧するという新しい技術により、金属・添加物・ダイヤモンドの合金複合体を用いた放熱基板をニアネットシェイプで製作できる技術でもある。更にメッキ後に加熱及び加圧することで合金複合体の相対密度や熱伝導率の向上と安定を図ることもできる。
本発明は、CuW、CuMo、AlSiC等では製造することができなかったニアネットシェイプでの金属・添加金属・ダイヤモンドの合金複合体を用いた高性能な放熱基板の製作が可能である。
以上のように、本発明の一態様では、主金属・添加金属・ダイヤモンドの粉末を混合して型押した後に液相焼結を行って合金複合体を作製し、その合金複合体に金属層を設けたのち、加熱し加圧するという二段階の処理により、表層に欠陥の少ない金属層を有し、線膨張係数6.5ppm/K以上15ppm/K以下の範囲で、熱伝導率420W/m・K以上で、かつ低価格の新しい発想の半導体モジュールの放熱基板を得ることができる。
水中で二次処理を行う装置の概略図 上記放熱基板の断面を示した拡大写真
(組成)
既に、主金属がAg、Cu、Alやこれらの合金であれば、添加金属・ダイヤモンドの粉末を最適に混合し型押し後に液相焼結を行うことで線膨張係数6.5ppm/K以上15ppm/K以下の範囲、熱伝導率420W/m・K以上の放熱基板を製造することができるとの報告がある。しかし、添加金属を使用しても焼結が不安定で相対密度が低く、最終のNi系メッキの品質が確保できないという問題があり、また、熱伝導率のバラツキが大きく、熱伝導率が安定して420W/m・K以上にならないという問題等もあるため実用化に至っていない。
本発明は、金属とダイヤモンドの粉末を主成分とする合金複合体の表面に、メッキにより金属層を形成したのち、該金属相及び該合金複合体の融点以下で加熱し加圧する(以下、この加熱及び加圧処理を便宜的に「固相焼結」ともいう。)を行うことで、表層に欠陥の少ない金属層を形成して熱伝導率の向上と安定を図ったものである。ここで、「合金複合体」は塊状に作製されたものを意味する。合金複合体は、例えば、金属とダイヤモンドの混合粉末を型押しすることによって得ることが可能であるが、型押し後に液相焼結を行って高密度の合金複合体を作製することが好ましい。また、溶浸法等、他の方法により合金複合体を作成してもよい。
耐熱性が必要な場合には、主金属としてAg、Cu、またはこれらの合金を用いることが望ましい。大型の放熱基板で軽量化が必要な場合は、主金属としてAlやAl合金を用いることが望ましい。
添加金属はダイヤモンドと炭化物を形成するか、または主金属と合金にすることができる元素であれば特に指定しないが、Ti、Cr、Co、Mn、Ni、Fe、B、Y、Si、Mg、Zn等で、その量が合金複合体全体の1vol%以上15vol%以下であり、複数種類でも効果があれば問題ない。なお、添加金属の量は、1vol%未満でも15vol%を超えても熱伝導率が420W/m・K以上にはならない。
主金属がAg、Cu、及びこれらの合金のうちのいずれかである場合、添加金属は、例えばTi、Cr、Co、Mn、Ni、Fe、Bを用いることができ、その添加量は合金複合体の全体の1vol%以上5vol%以下とすることが望ましい。添加量が1vol%未満でも5vol%を超えても熱伝導度率が420W/m・K以上にはならない。また、主金属がAlやAl合金の場合、添加金属には、例えばSiを用いることができ、その添加量は合金複合体の全体の5vol%以上15vol%以下とすることが望ましい。添加量が5vol%未満でも15vol%を超えても熱伝導度率が420W/m・K以上にはならない。また1.0vol%Mgを添加することで後述の液相焼結が安定する効果がある。
ダイヤモンド粉末は、熱伝導率の値を確保するため、95%以上が10μm以上1000μm以下の範囲であることが望ましい。10μm以下では熱伝導率が420W/m・K以上は得られない。1000μm以上では熱伝導度向上の効果が少ない上に切断等の加工性が著しく低下し、更に粉末価格が大幅に高くなる。また上記の範囲の内外の大小粒子のダイヤモンド粉末を混合したものであっても、上記の範囲内の大きさのダイヤモンド粉末の量が95%以上なら問題ない。つまり、5%以内の10μm以下1000μm以上の大小のダイヤモンド粉末が混入していても問題ない。
他に、ダイヤモンド粉末は高価であるため、ダイヤモンド粉末の一部を安価で低線膨張係数のSiC、W、Mo等の粉末で置換しても本発明に放熱基板の特性を満たせば問題ない。
(液相焼結)
主金属、添加金属、及びダイヤモンドの混合粉末を型押しした後の焼結は、真空、減圧、加圧、非酸化、還元ガス、不活性ガス中で主金属の液相が出現する温度(融点)以上での液相焼結であることが好ましい。液相焼結することでダイヤモンド粒子の表層に添加金属とダイヤモンドが反応して炭化物ができる。更に、炭化物と添加金属と主金属が反応した合金層ができ金属・添加物・ダイヤモンドの粉末を主成分とする合金複合体ができる。
(金属層)
金属層は液相焼結後の合金複合体やその研磨品にメッキを被覆して形成するものであり、Ag、Cu、Ni、あるいはそれらの合金等からなり、厚みが5μm以上200μm以下であれば、合金複合体の全面、上下、半導体デバイスを搭載する部分のみのいずれでも問題はない。特に、やわらかくて熱伝導度率の大きいAgやCuの金属層が好適であり、Niまたはこれらの合金のメッキはAl系ダイヤモンドの大型で寸法の厚い放熱基板に有効である。また金属層として、Ag、Cu、Niまたはこれらの合金を多層にメッキしてもよい。
金属層の厚みが5μm以下では加熱加圧しても放熱基板に必要な欠陥の少ない金属層を全体に設けることが難しい。また200μm以上では金属層が非常に不安定になりやすく、またメッキに係る費用が高くなる。
(固相焼結)
メッキ後の固相焼結は真空、減圧、加圧、非酸化、不活性ガス、難燃性液体、不燃性液等の雰囲気で行うことができるが、水中法で通電焼結を行うと、ニアネットシェイプで製作することが可能であり、またコスト的にも有利である。金属層及び合金複合体の融点以下、50MPa以上500MPa以下の条件(固相焼結に相当する条件)で加熱及び加圧を行うことにより、合金複合体の表面にメッキされた金属層の欠陥を修復し、更に合金複合体自体の熱伝導率の向上と安定化を図ることができる。その製造はホットプレス(以下HPと略記)、鍛造、通電焼結等により可能である。この固相焼結で金属とダイヤモンドからなる合金複合体の表面にメッキしたAg、Cu、Niや、それらの合金からなる金属層を、Cuの放熱基板の表層のような欠陥の少ない状態にできる。
薄いシートやウエハーを固相焼結する場合には、HPを用いることにより多段で製造することができ、効果的である。また、ニアネットシェイプには通電焼結が好適である。更に温度や圧力を加えることで熱伝導度の向上や安定化が図れる。Ag、Cu、Niやそれらの合金のメッキは高温では軟化するので、温度400℃以上融点以下で圧力50MPa以上500MPa以下の焼結をすることが好ましい。温度は400℃以下では十分な修復が難しく、また600℃以上になると治具や電極の間から大きなバリが出始めるため、治具の寿命が著しく低下してしまう。AlやAl合金では融点が低いので500℃以下が望ましい。
圧力は50MPa以上とすることが好ましく、それ以下では金属層の十分な修復が難しい。また、500MPa以上では大型装置を用いなければ加圧できないので経済的でなく、また、一般的な治具や電極では破壊してしまうことがある。このため合金複合体や金属層の種類に適した固相焼結の条件(温度や圧力)、治具、及び電極を選択することが重要である。
真空やガス中等での固相焼結は装置が大型化し加熱し加圧するのに時間を要し、また自動化が難しい。水中の固相焼結でも同じように金属層のメッキ改善効果が得られる。市販の抵抗溶接機を用い、表面に金属層を形成した合金複合体を水中において金属の電極で挟み込み、通電焼結をすることにより数十秒の短時間で固相焼結ができ、かつ自動化も可能である。金属の電極で挟みこんだまま電流の入り切りの通電を繰り返すことで金属層のメッキ改善効果が向上する。形状的にも小型品やネジ止め平板や三次元形状品の放熱基板をニアネットシェイプで大量生産が可能である。また、この製法を用いると高い面精度が得られるため、ダイヤモンド砥石の研削や切断加工の必要がない。さらに、粒径の大きいダイヤモンド粉末を使用できるので高熱伝率の放熱基板が得られる。
尚、加熱し加圧する固相焼結で金属層の一部がバリになり金属層の厚みが薄くなる。更に表面の粗さ精度を向上させるためバフ研磨で表面を目標の粗さにするので、更に薄くなることがあるが、最終的には合金複合体の表面全体に金属層が2μm以上残っていれば問題はない。
(加工)
薄いシートやウエハーの合金複合体では、治具や電極の面粗さが表面に転写されるので、ウォ―タージェット、高出力レーザー、ワイヤカット等で所定の形状に切断して製品化する。さらに高い精度が必要な場合には、金属層を研磨紙やバフで研磨し所定の表面粗さに仕上げ、ウォ―タージェット、高出力レーザー、ワイヤカット等で所定の形状に切断して製品化することも可能である。また、ニアネットシェイプで合金複合体を作製すると形状加工が不要でありコスト的に有利である。
(最終メッキ)
最終のメッキは放熱基板に各種の部材、絶縁板、半導体デバイス等を銀ろう付やハンダ付等で接合することを目的として行われるが、放熱基板に欠陥があると、その影響で最終のNi系メッキに欠陥が発生し、良好な銀ろう付やハンダ付ができないという問題が発生する。Ni系メッキが多層になっても次々と欠陥が転写されていくので問題は解決しない。なお、Ni系メッキとは、NiやNi合金のメッキを意味する。
半導体モジュールにおいては、放熱基板への半導体デバイスのハンダ接合が最も重要であり、非常に低いボイド率が求められる。近年、様々なハンダ材質や技術が開発されてきたがPbフリー化と高温対応のためにSnAgCu(融点218℃)のハンダ材が主に使われ評価にも使われる。
これまでのCu放熱基板では、電解Ni、無電解Ni-P、無電解Ni-Bが行われてきた。またCuWやCuMo系の放熱基板の最終のメッキは、電解Ni+無電解Ni-Pと、無電解Ni-P+無電解Ni-B、無電解Cu+無電解Ni-Pが行われる。さらにAlSiCでは無電解Ni-P+無電解Ni-Bである。一般的には良好なハンダ性を確保するため、最終メッキを3μmのNi-Bとした場合のハンダ付のボイド品質の評価が行われる。
最終のNi系メッキ処理を施す前にCuW、CuMo、AlSiCのような多層のメッキ処理を施すことも可能であるが、本発明に係る放熱基板では、合金複合体の表面の金属層が第1層の役目をはたすので最終の表層のNi系メッキ処理を施すのみでよい。またメッキ金属層がNi系メッキの電解Ni、無電解Ni-P、無電解Ni-Bである場合には、最終のNi系メッキ処理自体の省略も可能である。
これまでJIS Z3197(対応国際規格ISO94455)によるハンダ広がり80%以上の規格でハンダ品質の評価がされることがあったが、規格がゆるすぎて実態と合わないので、ボイド面積5%以下の規格が使用されるようになってきている。
最終のメッキが3μmのNi-Bである場合には、SnAgCu(融点218℃)ハンダの評価は非常に厳しく、超音波測定でボイド率5%以下を合格すれば銀ろう付、他のハンダ付け、樹脂付等で問題が起こらない知見がある。ハンダ付けにおいて生じるボイドは、最終のNi系メッキ処理を行う前の放熱基板の表面のピンホールを反映している。即ち、表面のピンホール(欠陥)が5%以下である放熱基板を用いることにより、SnAgCu(融点218℃)ハンダの評価条件を満たすことができる。また、このハンダの評価条件を用いることにより、本発明に係る放熱基板の要件を満たすことを確認できる。
〈放熱基板の評価〉
(線膨張係数の測定)
固相焼結後の25mm×25mm×2〜2.5mmの試料(表面に金属層を施した合金複合体)からWEDMやパワーレーザーで10mm×5mm×厚み2〜2.5mmの試験片を切り出し、熱膨張係数計(セイコー電子工業社製)でRT(25℃)の線膨張係数の測定を行った。
(熱伝導の測定)
固相焼結後の25mm×25mm×2〜2.5mmの試料(表面に金属層を施した合金複合体)からWEDMやパワーレーザーでφ10mm×厚み2mm〜2.5mmの試験片を切り出し、レーザーフラッシュ法の熱伝導度計(アルバック理工製 TC-7000)でRT(25℃)の熱伝導率の測定を行った。
(金属層の密着テスト)
固相焼結後の25mm×25mm×2〜2.5mmの試料(表面に金属層を施した合金複合体)を大気中に450℃に30分保持し、その外観を顕微鏡の10倍の倍率で目視観察し、金属層のメッキのフクレがない場合はOKであり、大小にかかわらずフクレが見つかった場合にはNGと判断した。
(ハンダボイド品質の測定)
固相焼結後の25mm×25mmの試料(表面に金属層を施した合金複合体)をバリ取りしバフ研磨した後に、3μmNi-Bメッキした放熱基板に10mm×10mm×0.7mmのSiデバイスの金属電極付を高温SnAgCuハンダ(融点218℃)で接合し、超音波でボイドの面積を調べ5%以下のものを合格(OK)、5%よりも大きいものを不合格(NG)とした。なお、この評価は非常に厳しく、この測定でボイド率5%以下を合格すれば銀ろう付、他のハンダ付け、樹脂付等で問題が起こらない知見がある。
(実施例1;Ag−Ti−ダイヤモンドの放熱基板試料、試料No. 9)
69vol%Ag、1vol%Ti、30vol%の30μmダイヤモンドの粉末を混合し、25mm×25mmの金型を使用して圧力500MPaでプレス型押しした後に、真空中・温度1100℃・60分で液相焼結を行って合金複合体を作製し、その合金複合体に金属層として5μmのAgメッキ処理を施した後、HPで温度400℃、圧力50MPa、30分保持という条件で固相焼結を行い、バリ取り後、フクレテストを行い、その後3μmNi・Bメッキを行い、ハンダ付のボイド品質の評価を行った。
結果を表1に示す。
(実施例2;Cu−Cr−ダイヤモンドの放熱基板試料、試料No. 15)
35vol%Ag、5vol%Cr、60vol%の100μmダイヤモンドの粉末を混合し、25mm×25mmの金型を使用して圧力500MPaでプレス型押しした後に、水素中・温度1200℃・60分で液相焼結を行って合金複合体を作製し、その合金複合体に金属層として50μmのCuメッキ処理を施した後、セラミック治具に合金複合体を入れ通電焼結機で圧力300MPaがかかるように上下電極で加圧し、通電加熱で600℃、5分保持という条件で固相焼結を行い、バリ取り後、フクレテストを行い、その後3μmNi・Bメッキを行い、ハンダ付のボイド品質の評価を行った。
結果を表1に示す。
(実施例3;Ag−Ti−ダイヤモンド−残Cuの放熱基板、試料No. 24)
10vol%Ag、37vol%Cu、及び3vol%Tiと、30vol%の100μmダイヤモンドの粉末並びに20vol%の30μmダイヤモンド粉末を混合し、25mm×25mmの金型を用いて圧力500MPaでプレス型押しした後に、真空中・温度1000℃・60分で液相焼結を行って合金複合体を作製し、その合金複合体に金属層として100μmのCuメッキ処理を施した後、そのメッキ済合金複合体1を図1のセラミック治具4に入れ抵抗溶接機を用いて水中6で上下電極2、3により100MPa加圧しながら通電しつつ温度500℃で2秒保持し、さらにそれを加圧したままで500℃になる通電を3回繰り返すという条件で固相焼結を行い、バリ取り後、フクレテストし、その後3μmNi・Bメッキを行い、ハンダ付のボイド品質の評価を行った。
結果を表1に示す。
(実施例4;Al−Si−Mg−ダイヤモンドの放熱基板、試料No. 27)
29vol%Al、10vol%Si、1vol%Mg 、60vol%の50μmダイヤモンド粉末を混合し、25mm×25mm金型を用いて圧力500MPaでプレス型押しした後に、窒素中・温度600℃・60分で液相焼結を行って合金複合体を作製し、その合金複合体の表層を研削してTiとNiを併せて0.3μm蒸着し、更に金属層として10μmのNiメッキ処理を施した後、HPで真空、温度450℃、圧力100MPa、10分保持という条件で固相焼結を行い、バリ取り後、フクレテストを行い、その後3μmNi・Bメッキを行い、ハンダ付のボイド品質の評価を行った。
結果を表2に示す。
(実施例5;PKGの放熱基板に半導体デバイスを搭載した半導体モジュールの評価)
実施例3の放熱基板(熱膨張係数8.3ppm/Kで熱伝導度555W/m・K)にセラミックとコバール等の部材を水素中・温度750℃で銀ろう付けした後、剥離や割れがないことを確認してPKGを作り、それに10mm×10mm×0.7mmのSiデバイスの金属電極を高温AuSn(融点280℃)ハンダを300℃で接合し、超音波でボイド面積が3%以下であることを確認した半導体モジュールを製作し、この半導体モジュールについてヒートサイクルテスト(-40〜125℃、3000回)を行った。併せて、比較のために、同寸法の実施例3と同じ熱膨張係数8.3ppm/Kで、熱伝導度200W/m・Kの20wt%CuWの放熱基板で同じPKGを作りデバイスを搭載してヒートサイクルテスト(-40〜125℃、3000回)を行った。
結果、いずれの試料も剥離や割れ等の問題は起こらなかった。
実施例1,2,3
実施例4
比較例
(今回開示の解釈-1)
これにより将来的な高性能半導体モジュールに対応できる高性能放熱基板の要求を満たすことができる。
(今回開示の解釈-2)
なお、本発明は現形態に限定されるものではなく本発明の目的を達成できる範囲での形態は本発明に含まれる。本発明を実施する際の具体的な構造や形態等は本発明の目的を達成できる範囲内で他の構造でもよい。例えば他の製法の金属ダイヤモンドの放熱基板のメッキ品質の確保にも本発明は応用できる。
(今回開示の解釈-3)
今回開示された実施形態及び実施例はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。上記した説明でなく特許請求範囲によって示される。
上記実施例により説明したとおり、本発明に係る放熱基板は、高い熱伝導率を有するとともに、線膨張係数が6.5ppm/K以上15ppm/K以下である。従って、近年多く用いられている、6.5ppm/K以上15ppm/K以下の線膨張係数を有する高性能半導体モジュールを搭載する放熱基板として好適に用いることができる。また、これらの高性能半導体モジュールを搭載したパッケージは、メモリ、IC、LSI、パワー半導体、通信用半導体、光デバイス、レーザー、LED、センサー等に用いることができる。
1…金属と添加金属及びダイヤモンドからなる合金複合体に金属層を形成した素材
2…上下する上電極
3…下電極
4…セラミック治具
5…溶接機電源
6…水
7…ダイヤモンド
8…金属層
9…放熱基板の断面拡大写真

Claims (22)

  1. 金属とダイヤモンドの粉末を主成分とする合金複合体の表面にメッキ処理を行って金属層を形成し、
    前記金属層が形成された前記合金複合体を、該金属層の融点以下かつ該合金複合体の融点以下で加熱及び加圧することにより前記金属層の欠陥を修復する
    ことを特徴とする放熱基板の製造方法。
  2. 前記加熱及び加圧を行った後に、Ni系メッキ処理を行う
    ことを特徴とする請求項1に記載の放熱基板の製造方法。
  3. 前記金属層が、Ag、Cu、Ni、及びこれらの合金のうちの少なくとも1種類からなり、該金属層の厚さが5μm以上200μm以下である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の放熱基板の製造方法。
  4. 前記金属層を形成する前に、
    前記合金複合体を研削又は/及び研磨し、
    前記研削又は/及び研磨した前記合金複合体の表面に、Ti、Cr、Au、Pt、及びこれらの合金のうちの少なくとも1種類を蒸着する
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の放熱基板の製造方法。
  5. 主金属、該主金属と異なる種類の添加金属、及びダイヤモンドの混合粉末を型押し、該型押しした混合粉末を液相焼結して前記合金複合体を作成する
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の放熱基板の製造方法。
  6. 前記ダイヤモンドの粉末のうちの95%以上が、粒径が10μm以上1000μm以下であるダイヤモンド粉末であり、
    前記主金属が、Ag、Cu、Al、及びこれらの合金のうちの少なくとも1種類であり、
    前記添加金属が、Ti、Cr、Co、Mn、Ni、Fe、B、Si、Mg、及びZnのうちの少なくとも1種類であり、その添加量が前記合金複合体の全体の1vol%以上15vol%以下である
    ことを特徴とする請求項5に記載の放熱基板の製造方法。
  7. 前記ダイヤモンドの粉末のうちの95%以上が、粒径が10μm以上1000μm以下であるダイヤモンド粉末であり、
    前記主金属がAg、Cu、及びこれらの合金のうちの少なくとも1種類であり、
    前記添加金属が、Ti、Cr、Co、Mn、Ni、Fe、及びBのうちの少なくとも1種類であり、その添加量が前記合金複合体の全体の1vol%以上5vol%以下である
    ことを特徴とする請求項5に記載の放熱基板の製造方法。
  8. 前記ダイヤモンドの粉末のうちの95%以上が、粒径が10μm以上1000μm以下であるダイヤモンド粉末であり、
    前記主金属がAl及びAl合金のうちの少なくとも1種類であり、
    前記添加金属がSiであり、その添加量が前記合金複合体の全体の5vol%以上15vol%以下である
    ことを特徴とする請求項5に記載の放熱基板の製造方法。
  9. さらに、1.0vol%のMgが添加されている
    ことを特徴とする請求項8に記載の放熱基板の製造方法。
  10. 真空雰囲気、減圧雰囲気、非酸化雰囲気、還元雰囲気、不活性ガス雰囲気、難燃性液体雰囲気、又は不燃性液体雰囲気において、前記主金属、及び前記主金属と前記添加金属の合金の融点以下の温度、50MPa以上500MPa以下の圧力で前記加熱及び加圧を行う
    ことを特徴とする請求項5から9のいずれかに記載の放熱基板の製造方法。
  11. 水中において、前記主金属、及び前記主金属と前記添加金属の合金の融点以下の温度、50MPa以上500MPa以下の圧力で通電焼結することにより前記加熱及び加圧を行う
    ことを特徴とする請求項5から9のいずれかに記載の放熱基板の製造方法。
  12. 主金属、該主金属と異なる種類の添加金属、及びダイヤモンドの粉末を主成分とする合金複合体と、該合金複合体の表面に形成された金属層を有し、
    線膨張係数が6.5ppm/K以上15ppm/K以下であり、熱伝導率が420W/m・K以上であり、前記金属層の表面における欠陥の割合が5%以下である
    ことを特徴とする放熱基板。
  13. 前記金属層の厚さが2μm以上である
    ことを特徴とする請求項12に記載の放熱基板。
  14. 前記主金属が、Ag、Cu、Al、及びこれらの合金のうちの少なくとも1種類であり、
    前記添加金属が、Ti、Cr、Co、Mn、Ni、Fe、B、Si、Mg、及びZnのうちの少なくとも1種類であり、その添加量が前記合金複合体の全体の1vol%以上15vol%以下である
    ことを特徴とする請求項12又は13に記載の放熱基板。
  15. 前記主金属がAg、Cu、及びこれらの合金のうちの少なくとも1種類であり、
    前記添加金属が、Ti、Cr、Co、Mn、Ni、Fe、及びBのうちの少なくとも1種類であり、その添加量が前記合金複合体の全体の1vol%以上5vol%以下である
    ことを特徴とする請求項12又は13に記載の放熱基板。
  16. 前記主金属がAl及びAl合金のうちの少なくとも1種類であり、
    前記添加金属がSiであり、その添加量が前記合金複合体の全体の5vol%以上15vol%以下である
    ことを特徴とする請求項12又は13に記載の放熱基板。
  17. さらに、1.0vol%のMgが添加されている
    ことを特徴とする請求項16に記載の放熱基板。
  18. 前記金属層が、Ag、Cu、Ni、及びこれらの合金のうちの少なくとも1種類からなり、その厚さが2μm以上である
    ことを特徴とする請求項12から17のいずれかに記載の放熱基板。
  19. 前記合金複合体と前記金属層の間に、Ti、Cr、Au、及びPtのうちの少なくとも1種類からなる層が形成されている
    ことを特徴とする請求項12から18のうちのいずれかに記載の放熱基板。
  20. 請求項12から19のいずれかに記載の放熱基板を備えることを特徴とする半導体用パッケージ。
  21. 請求項12から19のいずれかに記載の放熱基板を備えることを特徴とする半導体用モジュール。
  22. 前記金属層の表面にNi系メッキ及びハンダ付けが施されており、該ハンダ付けのボイド率が5%以下である
    ことを特徴とする請求項21に記載の半導体用モジュール。
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