JP2017098574A - 放熱基板及び該放熱基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】RT以上800℃以下における線膨張係数の最大値が10ppm/K以下であって、200℃における熱伝導率が250W/m・K以上である放熱基板を提供する。【解決手段】粗粒のMoまたは粗粒のWとCuからなるCuMoまたはCuWの合金複合体を緻密化処理した後、クロス圧延することにより、表面に平行な面内の任意の方向において室温以上800℃以下における線膨張係数の最大値が10ppm/K以下であって、温度200℃における熱伝導率が250W/m・K以上の放熱基板を製造する。【選択図】図2
Description
本発明は高性能な半導体モジュールの半導体パッケージ(以下、パッケージと略称し、ときにはPKGと略記する)に搭載するものであって(1)半導体モジュールに適した線膨張係数と、(2)大きな熱伝導率を有し、(3)表面に欠陥の少ない金属層を有するCuMoまたはCuWの放熱基板、及びその製造方法に関する。
半導体モジュールには、LSI、IGBTパワー半導体、電波・光通信用半導体、レーザー、LED、センサー等の用途があり、これらに必要な性能によって構造も多種多様である。半導体モジュールは、異なる線膨張係数と異なる熱伝導率の材料で構成された非常に高度な精密機器であり、そのPKGに使用される放熱基板も多様な複合材や多様な形状のものが多く提案されている。
半導体モジュールの放熱基板には、PKGの製作、半導体デバイスのハンダ付けにおいて、性能や寿命を確保するために、半導体モジュールに適した線膨張係数が必要である。熱伝導率についても、半導体デバイスの熱を冷却し性能や寿命を確保するために、高い値が必要である。他に各種部材や半導体デバイスを接合するために、良好なメッキを施し易いことも極めて重要である。
また放熱基板の形状を大別すると、厚さ3mm以下で数mm角のサブマウント、平板、ネジ止め平板、三次元形状等があり、これらの形状が得やすい製法が望まれる。
高性能の放熱基板には、当初はCuが用いられていたが、近年の半導体モジュールの高性能化に伴って発熱量が大きくなり、これまでのCuでは線膨張係数が大きすぎるために、PKGの製造工程と耐久性、さらに半導体デバイスの性能および寿命において問題が発生した。そのため、高性能半導体モジュールに対応した線膨張係数を有する放熱基板が求められるようになった。
この対策として、線膨張係数を変更・調整することができ、高性能半導体モジュールの線膨張係数に対応できるCuW系の放熱基板が開発され、また原価低減と高熱伝導率を目的としてCuMo系の放熱基板が開発された。更にPKG製作に銀ろう付けがなく軽量化が必要な場合の対応としてAlSiCが開発された。しかし、これらのいずれの複合材でも、半導体モジュールに適した線膨張係数を得ようとすると熱伝導率がCuより大幅に小さくなるという問題点があった。
CuW系放熱基板は室温25℃(以下RTと略記)以上800℃以下における最大線膨張係数が10ppm/K以下であり、半導体モジュール用として適した線膨張係数である。そのため、PKGの製作に際して、線膨張係数の異なる種々の部材と800℃もの高温下において銀ろう付けを施すことが可能であった。また半導体デバイス用として用いる際に、200℃以上400℃以下の温度においてハンダ付けを行うことにも問題がなく、更に、これまでの半導体モジュールに使用されてきたSiやGaAsデバイスのジャンクション温度にも対応することができた。このためCuWはIC、LSI、パワー半導体、通信用半導体、光デバイス、レーザー、センサー等の幅広い半導体モジュールに使用されている。
また、銀ろう付けの必要がない半導体モジュールの場合でも、半導体デバイスのハンダ付けと、ジャンクション温度においても適切な線膨張係数を有することが求められる。RT以上800℃以下の範囲の最大線膨張係数が10ppm/K以下のCuWであれば、線膨張係数に因る問題が発生しなかったので、CuWは更に幅広い半導体モジュールに拡大して使用されるようになった。
しかし、CuWはRTにおける熱伝導率が200W/m・K以下とCuにくらべ大幅に小さいという問題があり、熱伝導率の改善が進められた。Cuの割合を30wt%Cuに増やしたCuW(図1、表1)で熱伝導率を向上させるべく開発が行われたが、温度が高くなると線膨張係数が10ppm/Kを超えるという問題が生じ、実用化には至らなかった。
一方、CuMoはMoがWより比重が小さく粉末単価も安いという利点があるが、Cuとの濡れ性が悪いため溶浸法や焼結法で製造すると相対密度(原料粉末が完全に緻密化した状態を想定した理論密度に対する実際の密度の比)が小さくなり、放熱基板として要求される特性や品質を満足する材料が得られないという問題があった。このため、鍛造、ホットプレス(HP)、圧延等を施すことにより、相対密度が99%以上で熱伝導率200W/m・K以上の放熱基板を製造する技術が開発(表1)され実用化された。しかし、CuMoの場合も、Cuの割合を増やした50wt%Cu以上の高熱伝導率材(表1)では温度が高くなると線膨張係数が10ppm/Kを超えるという問題が生じた。
更に、半導体モジュールの技術進歩による高性能化でSiデバイスのジャンクション温度が125℃から175℃に上昇したことを受け、高温下で動作可能なGaN、SiCデバイスを採用する検討が進められた。しかし、放熱基板については、何度においてどの程度高い熱伝導率が必要なのか、明確な温度や値が公開されていなかった。放熱基板メーカーは、RTもしくは100℃において250W/m・K以上の熱伝導率を有し、また最終のNi系メッキ性の向上を図るべく、Cu/CuMo/Cu、Cu/Mo/Cu、多層Cu/Mo/Cuといったクラッド材を開発した。しかし、バイメタル現象のために反りが発生すること、この高熱伝導率材は100℃以上200℃以下の温度で線膨張係数に高いピーク(図1)が存在してその値が10ppm/Kを超えること、加えて断面に低熱伝導率のMo層があることで厚さ方向の熱伝導率が小さいことなどから、半導体モジュールの寿命や性能に問題があることが分かってきた。
これまでに開発されたCuW、CuMo、AlSiCの放熱基板を調査し必要な特性を調べた。
図1にCuW、CuMoの代表的な放熱基板の温度と線膨張係数の関係のグラフを示す。表1に既存の放熱基板のRTにおける線膨張係数と、RT以上800℃以下の範囲での最大線膨張係数と、RTにおける熱伝導率の関係を示す。
この調査結果から、放熱基板がRT以上800℃以下の範囲の最大線膨張係数が10ppm/K以上の場合にはPKG製造や半導体モジュールの性能に問題が生じることがあることが分かった。また、放熱基板の熱伝導率については、半導体デバイスがジャンクション温度に達した際の放熱基板の温度における値が高いことが必要なことが分かった。
他に、既存のCuW、CuMo、AlSiCのいずれの放熱基板材料も、RTよりも高温になると更に熱伝導率が小さくなるので、RT以上800℃以下の範囲における最大線膨張係数が10ppm/K以下であって、かつ100℃から200℃の範囲において250W/m・K以上である既存の放熱基板材料が存在しないことも分かった。
図1にCuW、CuMoの代表的な放熱基板の温度と線膨張係数の関係のグラフを示す。表1に既存の放熱基板のRTにおける線膨張係数と、RT以上800℃以下の範囲での最大線膨張係数と、RTにおける熱伝導率の関係を示す。
この調査結果から、放熱基板がRT以上800℃以下の範囲の最大線膨張係数が10ppm/K以上の場合にはPKG製造や半導体モジュールの性能に問題が生じることがあることが分かった。また、放熱基板の熱伝導率については、半導体デバイスがジャンクション温度に達した際の放熱基板の温度における値が高いことが必要なことが分かった。
他に、既存のCuW、CuMo、AlSiCのいずれの放熱基板材料も、RTよりも高温になると更に熱伝導率が小さくなるので、RT以上800℃以下の範囲における最大線膨張係数が10ppm/K以下であって、かつ100℃から200℃の範囲において250W/m・K以上である既存の放熱基板材料が存在しないことも分かった。
近年、ジャンクション温度が200〜225℃と高温になるGaN、SiCデバイスが本格的に使用されるようになってきている。これらに用いられる放熱基板は高熱伝導率で、かつ寸法が大きいので、放熱基板の温度は半導体デバイスの温度より低くなる。ジャンクション温度が225℃の場合は放熱基板の温度は200℃前後になるため、200℃における熱伝導率が高い放熱基板材料が必要であることが分かってきた。また、半導体モジュールの性能を確保するために、200℃における線膨張係数が10ppm/K以下である放熱基板が強く望まれるようになってきた。
半導体デバイスのGaNやSiCへの移行が進んだ結果、ジャンクション温度が200℃を超えた値になり、樹脂の使用限界温度を超えてきている。半導体モジュールの設計を工夫し大型の放熱基板を使用したPKGとすることにより樹脂の限界温度にならないようにした半導体モジュールも開発されているが、大型で高価になり経済的でないという問題がある。このためセラミック等の耐熱性の高い部材を銀ろう付けしたPKGが必要になってきている。CuWやCuMoはCu並みに銀ろう付け可能な耐熱性を持つが、Cuよりも熱伝導率が小さいという問題がある。そこで適切な線膨張係数とされる、RT以上800℃以下における最大線膨張係数が10ppm/K以下であるという要件を維持しつつ、200℃での熱伝導率が250W/m・K以上である放熱基板が望まれている。しかし、現在は、これに該当するCuWやCuMoの放熱基板材料が存在しない。
AlSiCは耐熱性が不足のため銀ろう付けが出来ず、また温度が高くなるにつれ主成分のSiCの熱伝導率が大幅に低下するので高性能半導体モジュールの放熱基板として問題がある。
他に金属ダイヤモンド系の放熱基板材料には要求特性を満たすものがあるがNi系メッキの品質確保が難しく、加えて価格があまりにも高く実用化には向かないという問題がある。
他に金属ダイヤモンド系の放熱基板材料には要求特性を満たすものがあるがNi系メッキの品質確保が難しく、加えて価格があまりにも高く実用化には向かないという問題がある。
他に、高性能モジュールの放熱基板については、半導体デバイスをハンダ付けした際にボイドが多いと冷却が阻害され、半導体デバイスの熱による破壊や剥離が起こるという問題がある。CuWやCuMo中のMoやWが露出した面は最終のNi系メッキとの密着性が良くないため、密着性を改善すべくメッキ毎に熱処理を施した多層のメッキ処理を施すことで問題の解決を図っている。このように放熱基板の表層に良好な最終のNi系メッキを行うため、既存のCuWやCuMoでは数回のメッキ処理と熱処理を施すことからメッキに高い費用が掛かるという問題がある。
(従来技術の調査)
これまでに、CuMoやCuWの熱伝導率の向上を図るための研究開発が行われ、報告がなされている。
これまでに、CuMoやCuWの熱伝導率の向上を図るための研究開発が行われ、報告がなされている。
特許文献1には、10wt%CuのCuWの放熱基板にNi-Pメッキを施してセラミックに銀ろう付けしたLSIの半導体モジュールが開示されている。
特許文献2には、溶浸法で製造した、相対密度100%の5〜22wt%CuのCuWにセラミックを接合した半導体モジュールが開示されている。また、Cuが少なくても多くても半導体モジュールの製造や性能に問題が生じることも記載されている。
特許文献3には、Cu量を増やし粗粒のW粉末を用いてスケルトンを形成し、Cuを溶浸したCuWにおいて熱伝導率を向上させた放熱基板が開示されている。
しかし、粗粒のW粉末を用いて相対密度の高いCuWを製作することは難度が高い。また、熱伝導率が大きい材質はCuが30wt%以上(図1)であるが、これまでの30wt%CuWと同様に、高温における線膨張係数が大きくなってしまうという問題がある。
しかし、粗粒のW粉末を用いて相対密度の高いCuWを製作することは難度が高い。また、熱伝導率が大きい材質はCuが30wt%以上(図1)であるが、これまでの30wt%CuWと同様に、高温における線膨張係数が大きくなってしまうという問題がある。
特許文献4には、焼結法で製造された相対密度90〜98%で10〜70wt%CuのCuMoを圧延加工した放熱基板が開示されている。
CuMoは、線膨張係数をCuWと同じにすると熱伝導率が劣り、また、適切な線膨張係数(半導体モジュールに適した線膨張係数)である10ppm/K以下にするために50wt%Cu以下の組成にすると、焼結法により相対密度90%以上の複合材を製作することが困難であるという問題がある。
CuMoは、線膨張係数をCuWと同じにすると熱伝導率が劣り、また、適切な線膨張係数(半導体モジュールに適した線膨張係数)である10ppm/K以下にするために50wt%Cu以下の組成にすると、焼結法により相対密度90%以上の複合材を製作することが困難であるという問題がある。
特許文献5には、Cu/Mo/CuやCu/W/Cuの放熱基板をホットプレス(以降HPと略記)で多段に製造する方法が開示されている。
特許文献6には、Cu/CuW/CuやCu/CuMo/Cuの放熱基板と、それを使用した半導体モジュールが開示されている。
特許文献7には、0.5〜8μmのMo粉末、50μmのCu粉末を用い、焼結法で相対密度90%以上の複合材を製造し、650℃以上で一軸と多軸で圧延した良好率の高い(クラックや破断の少ない)放熱基板の製造方法が開示されている。しかし、650℃以上での圧延は表層と内部でCuやMoの酸化が生じてクラックが入り必ずしも被圧延性が良くない。また熱伝導率も非常に不安定になるので放熱基板としては問題がある。
特許文献8には、焼結法で製造したCuMoを鍛造して相対密度を高くし、これを圧延することにより製造された、線膨張係数が12ppm/K以下であり200℃における熱伝導率が230W/m・K以上である放熱基板と、それを使用した半導体モジュールが開示されている。
しかし、相対密度が低いCuMoの複合材は冷間鍛造すると破断してしまう。また、熱間鍛造すると表層と内部のCuやMoが酸化してクラックが入り易く、必ずしも被圧延性が良くない。さらに、熱伝導率も非常に不安定になるので放熱基板としては問題がある。
しかし、相対密度が低いCuMoの複合材は冷間鍛造すると破断してしまう。また、熱間鍛造すると表層と内部のCuやMoが酸化してクラックが入り易く、必ずしも被圧延性が良くない。さらに、熱伝導率も非常に不安定になるので放熱基板としては問題がある。
特許文献9には、2〜6μmのMo粉末を用いてスケルトンを製作し、当該スケルトンにCuを含浸する溶浸法で作製した20〜60wt%CuのCuMoを、冷間もしくは温間にて圧延することにより製造された、打ち抜き加工や3D形状加工が可能で、線膨張係数が7〜12ppm/Kであり熱伝導率が170〜280W/m・Kである放熱基板が開示されている。
しかし、2〜6μmの範囲外のMo粉末、例えば1μm以下のMo粉末や6μmを超えるようなMo粒子では製造が困難であり製造可能な範囲が狭い。また、この製法では適切な線膨張係数とされる、RT以上800℃以下における最大線膨張係数が10ppm/K以下で、かつ温度200℃における熱伝導率が250W/m・K以上である放熱基板は得られていない。
しかし、2〜6μmの範囲外のMo粉末、例えば1μm以下のMo粉末や6μmを超えるようなMo粒子では製造が困難であり製造可能な範囲が狭い。また、この製法では適切な線膨張係数とされる、RT以上800℃以下における最大線膨張係数が10ppm/K以下で、かつ温度200℃における熱伝導率が250W/m・K以上である放熱基板は得られていない。
特許文献10には、Cu/Mo/Cu/Mo/Cu・・・・とCuとMoを積層したクラッドの放熱基板が開示されている。また、少ないMo量であっても小さな線膨張係数で大きな熱伝導率が得られ、また表層がCuのため被メッキ性に優れるとの報告がある。
しかし、高熱伝導率の材質では、高温での線膨張係数は小さな値であるが100〜200℃近辺に線膨張係数のピークが存在し、適切な線膨張係数である10ppm/Kを超えるという問題がある。また、平面方向に対し厚さ方向の熱伝導率が小さいという問題がある。更にクラッド材の上下のバランスがとれていない場合、温度が高くなると構造的にバイメタル効果で反りが生じるため性能および寿命に問題が生じる。
しかし、高熱伝導率の材質では、高温での線膨張係数は小さな値であるが100〜200℃近辺に線膨張係数のピークが存在し、適切な線膨張係数である10ppm/Kを超えるという問題がある。また、平面方向に対し厚さ方向の熱伝導率が小さいという問題がある。更にクラッド材の上下のバランスがとれていない場合、温度が高くなると構造的にバイメタル効果で反りが生じるため性能および寿命に問題が生じる。
半導体モジュールの高性能化が進んでおり、放熱基板として実績のあるCuMoまたはCuWにおいて、半導体モジュール用放熱基板として適した線膨張係数であるRT以上800℃以下の範囲の最大線膨張係数が10ppm/K以下であって、200℃における熱伝導率が250W/m・K以上である放熱基板が強く望まれている。
従来、CuWではCuの割合を増やすことや粗粒粉を使用することによる熱伝導率の向上が試みられたが、このような高熱伝導率材では高温での線膨張係数が放熱基板として適した値である10ppm/Kより大きくなる問題があって未だ実用化されていない。
また、CuMoにおいてもCuの割合を増やすことやクラッド材にすることで熱伝導率の向上が試みられたが、このような高熱伝導率材においても線膨張係数が放熱基板として適した値である10ppm/Kより大きくなるという問題があり、放熱基板としての用途が限定されている。
本発明者は、既存のCuMoおよびCuWの各種放熱基板の技術調査や測定を行った。表1に、RT以上800℃以下における最大線膨張係数とRTにおける熱伝導率の関係のグラフを示す。
熱伝導率が250W/m・K以上であるという要件を満たす材質は認められない。また、温度がRTから100℃に上昇するとより熱伝導率が小さくなる。さらに、200℃に達すると更に熱伝導率が小さくなる。そのため、従来、200℃において熱伝導率が250W/m・K 以上であることを満たす材質の可能性はないと思われてきた。
熱伝導率が250W/m・K以上であるという要件を満たす材質は認められない。また、温度がRTから100℃に上昇するとより熱伝導率が小さくなる。さらに、200℃に達すると更に熱伝導率が小さくなる。そのため、従来、200℃において熱伝導率が250W/m・K 以上であることを満たす材質の可能性はないと思われてきた。
本発明者はこうした問題を解決するために、粗粒のMo又はWと、CuからなるCuMo又はCuWの合金複合体を緻密化した後にクロス圧延することによって、表面に平行な面内の任意の方向においてRT以上800℃以下における線膨張係数の最大値が10ppm/K以下であって、200℃における熱伝導率が250W/m・K以上である放熱基板が得られることを見いだした。
即ち、本発明に係る放熱基板は、
Mo又はWと、Cuを主成分とする合金複合体を主体とし、
表面に平行な面内の任意の方向において25℃以上800℃以下における最大線膨張係数が10ppm/K以下であり、200℃における熱伝導率が250W/m・K以上である
ことを特徴とする。
Mo又はWと、Cuを主成分とする合金複合体を主体とし、
表面に平行な面内の任意の方向において25℃以上800℃以下における最大線膨張係数が10ppm/K以下であり、200℃における熱伝導率が250W/m・K以上である
ことを特徴とする。
また、本発明に係る放熱基板の製造方法は、
Mo又はWと、Cuの混合粒子を主成分とする合金複合体を作製し、
前記合金複合体を緻密化し、
前記緻密化後の合金複合体をクロス圧延する
ことを特徴とする。
Mo又はWと、Cuの混合粒子を主成分とする合金複合体を作製し、
前記合金複合体を緻密化し、
前記緻密化後の合金複合体をクロス圧延する
ことを特徴とする。
ここで、「合金複合体」とは、金属の粉体や粒子の混合物を押し固めたものや、金属の粉体群や粒子群に溶融金属を流し込んで固化させたもののように、一定の自立した形状を有するものをいう。本発明に係る合金複合体は、例えば、上記混合粒子を型押しして焼結することにより作製することできる。また、溶浸法等、他の方法により合金複合体を作製することもできる。
既に、MoやWの粗粒粉を使用して粉末冶金法により合金複合体を製造すると、電気伝導率や熱伝導率等の特性が向上することが知られている。しかし、粗粒のMoやWを用いて高い相対密度(原料粉末が完全に緻密化した状態を想定した理論密度に対する実際の合金複合体の密度の比)の合金複合体を製造することはあまりにも難しく、これまでは10μm以下の微粒子粉末を用い、製造条件の最適化を行って放熱基板を製作してきた。CuWの場合は、溶浸法により放熱基板として使用できる相対密度が99%以上の放熱基板を製造することが出来た。一方、CuMoではCuのMoへの濡れ性の悪さから相対密度が99%以上の放熱基板の製作が難しいので、先ず90%以上の合金複合体を作り、それを加熱し鍛造や圧延等することにより相対密度が99%以上の放熱基板を得てきた。
MoやWが粗粒になると、CuWの溶浸法でも相対密度の小さい合金複合体しか得られない。CuMoでは更に相対密度の小さい合金複合体しか得られないため、温間や熱間で圧延すると合金複合体の表層部や端部にクラックや破断が起こり、圧延材から得られる良好な部分の量が少なくなるという問題がある。これは、相対密度の小さい合金複合体に温間や熱間の圧延を行うと、強度不足によって、また、加熱時に表層や内部のCuやMo、Wが酸化することによって欠陥が生じるためである。
さらに、良好な圧延を行うための緻密な合金複合体を得るには、高温で高い圧力が必要であり、大型の装置が必要となって大きなサイズの合金複合体の製作難度が高くなるという問題がある。
さらに、良好な圧延を行うための緻密な合金複合体を得るには、高温で高い圧力が必要であり、大型の装置が必要となって大きなサイズの合金複合体の製作難度が高くなるという問題がある。
特に、CuMoはCuWに比べて軽く、またMo粉末は安価である。しかし、MoはWに比べCuへの濡れ性が悪く、粗粒のMo粉末では溶浸法、焼結法共に圧延し得る合金複合体が得にくい。そのため、圧延してもCuMoの方が製造する難度が高いという問題があった。しかし、CuWに比べCuMoの方がMoの原料費が安く、かつ放熱基板として軽量になり、最も使用実績があることから、CuMoにおいてRT以上800℃以下における線膨張係数の最大値が10ppm/K以下であって、200℃における熱伝導率が250W/m・K以上である放熱基板が強く求められている。一方、CuWは機械加工性に優れることから3D形状品に用いることができる放熱基板が求められている。
本発明者は60μmのMo粉末を使用して40wt%CuのCuMoを溶浸法と焼結法で製作し、それらの合金複合体の表層部を除去し、温間の450℃における低圧下率のクロス圧延を繰り返し、得られた圧延材の良好な部分から測定試料を切り出して線膨張係数と熱伝導率を測定した。その結果、溶浸法と焼結法で得られた合金複合体の測定値には有意な差が認められないことを確認した。
しかし、圧延体の内部におけるクラックや酸化のために、既存の40wt%CuのCuMoに比べて熱伝導率が大幅に小さかった。また被メッキ性の確認のため、既存のCuMoと同じように、この合金複合体を熱処理した後、5μmのNiメッキ処理、熱処理、3μmのNi-Bメッキ処理により多層メッキ処理をしたものと、合金複合体に単層メッキとしてダイレクトに3μmのNi-Bメッキ処理を行ったものの2種類のメッキに対して、大気中において400℃で30分保持を行うフクレテストを行ったところ多数のフクレが生じた。フクレの原因は、放熱基板の表層が酸化しており、熱処理の際にMoの脱落やささくれ等の欠陥が生じたためであることが判明した。
また、CuWでも溶浸法と焼結法で合金複合体を製作し、圧延後に確認したがCuMoと同様の結果になった。
また、CuWでも溶浸法と焼結法で合金複合体を製作し、圧延後に確認したがCuMoと同様の結果になった。
また、上記同様に、60μmのMo粉末を使用し、40wt%CuのCuMoを溶浸法と焼結法で製作した。それらの合金複合体の表層部を除去し、酸化防止のためステンレススチール(以下SUSと略記)製のケースでキャニングにより密封し(図2)、800℃でクロス圧延し相対密度99%以上の合金複合体を製作した。その合金複合体をSUSケースから取り出して水素中において、950℃で60分間の固相焼結を行うことによって酸化物を還元し圧延時の欠陥を修復した。その後に厚さ10μmのCuメッキを形成し、450℃において温間のクロス圧延を繰り返した。最後に水素中において、400℃で10分間の熱処理を行い、その後に軽い冷間圧延で表面を整えた。そして、溶浸法と焼結法で製作した材料からそれぞれ試料を切り出して線膨張係数と熱伝導率を測定した。線膨張係数は既存の40wt%CuのCuMoと大差なかったが、熱伝導率が大幅に向上していた。また、この合金複合体を熱処理した後、5μmのNiメッキ処理、熱処理、3μmのNi-Bメッキ処理により多層メッキを施したものと、合金複合体に単層メッキとしてダイレクトに3μmのNi-Bメッキ処理を行ったものの2種類のメッキに対して、大気中において400℃で30分保持を行うフクレテストを行ったところフクレは見られなかった。
また、CuWでも溶浸法と焼結法で合金複合体を製作し、緻密化してCuメッキ処理し、圧延後に確認したが、CuMoと同様の結果になった。
また、CuWでも溶浸法と焼結法で合金複合体を製作し、緻密化してCuメッキ処理し、圧延後に確認したが、CuMoと同様の結果になった。
本発明によれば、粗粒のMoやWと、CuからなるCuMoやCuWの緻密化した合金複合体を固相焼結後にクロス圧延することで、表面に平行な面内の任意の方向においてRT以上800℃以下における最大線膨張係数が10ppm/K以下であって、かつ200℃での熱伝導率が250W/m・K以上であるという要件を満たす材料が得られる。
また、最終のNi系メッキの品質についても、表面にCu層がある場合には、Cuの放熱基板と同様にダイレクトで最終のNi系メッキ処理が可能となって経済的である。
本発明に係る製造方法より、高熱伝導率で線膨張係数が小さく、かつメッキ処理が容易なCuMoとCuWの放熱基板が得られる。
また、最終のNi系メッキの品質についても、表面にCu層がある場合には、Cuの放熱基板と同様にダイレクトで最終のNi系メッキ処理が可能となって経済的である。
本発明に係る製造方法より、高熱伝導率で線膨張係数が小さく、かつメッキ処理が容易なCuMoとCuWの放熱基板が得られる。
本発明は、新しいアイデアとして、粗粒のMoやWの粉末を用いてなるCuMoやCuWをクロス圧延することによって、低熱膨張で高熱伝導率のCuMoやCuWの放熱基板を得るものである。
更に、銀ろう付けのないPKGを使用する半導体モジュールにおいてもハンダ付けやジャンクション温度への対応が必要である。本発明に係るCuMoとCuWの放熱基板は、これらに適した線膨張係数と大きな熱伝導率を有しているので、広範囲の半導体モジュールのメモリ、IC、LSI、パワー半導体、通信用半導体、光デバイス、レーザー、LED、センサー等に使用することが可能である。
(原料)
粗粒のMoやWを使用したCuMoやCuWにより、熱伝導率の大きい放熱基板の製作が可能になる。本実施形態では、MoやWの粒子の90%以上が15μm以上200μm以下の範囲の大きさであればよく、残りの10%にこの範囲外の大きさの粉末が含まれていても問題はない。15μm以下の大きさの粒子が10%以上含まれていると、適切な線膨張係数である10ppm/K以下で、温度200℃での熱伝導率が250W/m・K以上であることを達成できない。また、200μm以上の大きさの粒子が10%以上含まれていると、熱伝導率の向上効果が小さく、また粉末の価格も大幅に高くなってしまう。一方、Cu粉末には特に指定はないが、5μm以上10μm以下の電解銅粉が好適である。
粗粒のMoやWを使用したCuMoやCuWにより、熱伝導率の大きい放熱基板の製作が可能になる。本実施形態では、MoやWの粒子の90%以上が15μm以上200μm以下の範囲の大きさであればよく、残りの10%にこの範囲外の大きさの粉末が含まれていても問題はない。15μm以下の大きさの粒子が10%以上含まれていると、適切な線膨張係数である10ppm/K以下で、温度200℃での熱伝導率が250W/m・K以上であることを達成できない。また、200μm以上の大きさの粒子が10%以上含まれていると、熱伝導率の向上効果が小さく、また粉末の価格も大幅に高くなってしまう。一方、Cu粉末には特に指定はないが、5μm以上10μm以下の電解銅粉が好適である。
(組成)
CuMo、CuW共に、組成は(1)半導体モジュールに適した線膨張係数と、(2)大きな熱伝導率を有することを満たせば特に指定はない。また、WとMoが混合されていても線膨張係数と熱伝導率について要求される特性を満たせば構わない。
添加金属については、適当な金属の添加により溶浸性や焼結性が向上することが既に報告されており、(1)半導体モジュールに適した線膨張係数と、(2)大きな熱伝導率を有することを満たせば添加金属の元素や量については特に指定はない。但し、添加金属によって熱伝導率が低下するので金属の添加はあまり好ましくない。従って、本実施形態では、合金複合体の製作の難度は増すが、添加金属なしで高い熱伝導率を得ている。
CuMo、CuW共に、組成は(1)半導体モジュールに適した線膨張係数と、(2)大きな熱伝導率を有することを満たせば特に指定はない。また、WとMoが混合されていても線膨張係数と熱伝導率について要求される特性を満たせば構わない。
添加金属については、適当な金属の添加により溶浸性や焼結性が向上することが既に報告されており、(1)半導体モジュールに適した線膨張係数と、(2)大きな熱伝導率を有することを満たせば添加金属の元素や量については特に指定はない。但し、添加金属によって熱伝導率が低下するので金属の添加はあまり好ましくない。従って、本実施形態では、合金複合体の製作の難度は増すが、添加金属なしで高い熱伝導率を得ている。
(合金複合体)
粗粒のMo粉末やW粉末とCuを用いる場合、CuMoやCuWでは溶浸法と焼結法のどちらの製法でも、同程度の大きさのMo粉末やW粉末を用いて圧延後に相対密度が99%以上となる合金複合体が得られれば特性等には大差がないため、いずれの製法でもよく、経済的な方式を選べばよい。
粗粒のMo粉末やW粉末とCuを用いる場合、CuMoやCuWでは溶浸法と焼結法のどちらの製法でも、同程度の大きさのMo粉末やW粉末を用いて圧延後に相対密度が99%以上となる合金複合体が得られれば特性等には大差がないため、いずれの製法でもよく、経済的な方式を選べばよい。
(緻密化)
クロス圧延により放熱基板を得るためには、相対密度の高い緻密な合金複合体が必要であるが、緻密化の方法については特に指定はない。CuMoやCuWの相対密度を99%以上に緻密化するには、通常は高い温度と圧力が必要である。例えばホットプレスや鍛造といった方法を採ることができるが装置が大型になり経済的でない。また熱間鍛造では合金複合体の表層や内部のCu、Mo、Wの酸化が起こるので好ましくない。
クロス圧延により放熱基板を得るためには、相対密度の高い緻密な合金複合体が必要であるが、緻密化の方法については特に指定はない。CuMoやCuWの相対密度を99%以上に緻密化するには、通常は高い温度と圧力が必要である。例えばホットプレスや鍛造といった方法を採ることができるが装置が大型になり経済的でない。また熱間鍛造では合金複合体の表層や内部のCu、Mo、Wの酸化が起こるので好ましくない。
一方、加熱圧延後に固相焼結することにより合金複合体を緻密化する方式は、その後の製造工程も圧延(後述するクロス圧延)であるので有効な方法である。しかし、相対密度の低い合金複合体の場合は酸化を防止しなければ圧延時に表層や内部が酸化するという問題がある。そこで、酸化防止と外周割れ防止のためにSUSのケースに合金複合体を収容(キャニング)して脱気し、これを圧延することで、相対密度99%以上に緻密化され、その後のクロス圧延に適した合金複合体が得られる。なお、事前の実験により条件を最適化しておくことにより、相対密度が99%以上になる工程を管理することができる。更にキャニングすることで合金複合体の外周の割れや亀裂を最小限にできるので、クロス圧延での歩留まりを向上できる。更に、その合金複合体を水素中においてCuの融点以下の温度で固相焼結すれば、MoやWとCuの粒子面の剥離の修復や残存酸素により生じた酸化物の還元ができ、圧延に適した合金複合体になる。固相焼結の条件としては、水素中において、800℃以上Cuの融点未満(合金複合体の主成分である全ての金属の融点未満)の温度にて60分間保持することが好適である。この固相焼結により良好な圧延が可能となり、800℃の銀ろう付けの高温下でも合金複合体のメッキフクレ等の問題が起こらない緻密な放熱基板が得られる。
なお、相対密度の低い合金複合体を用い、これに低い圧下率の圧延と固相焼結を繰り返すことによって相対密度を99%以上とすることでクロス圧延に適した合金複合体を得る方法もあるが、この方法は手間がかかり、また経済的でない。
(表層のCuメッキ)
50%以下のMoや60%以下のWで残部がCuであるCuMoやCuWのように、Cuが多い組成の場合は、圧延する際に表層のCuメッキは必ずしも必要ではない。しかし、Cuが少なくなるとMoやWの粒子同士が接触している箇所や重なっている箇所が多くなり、圧延時にMoやWの粒子の脱落やささくれといった現象が起こる。この問題はCuメッキ処理を施してから圧延することで改善が可能である。経済的な面から考えるとメッキの厚さは10μm以下が好適であるが、3μm以下と薄すぎると効果が出ないことがある。圧延することでメッキ層は薄くなるが、最終的に全体に1μm程度のCu層が残っていれば最終のNiメッキには問題ない。
また、Cuメッキの厚さを増やすことでCu/CuMo/CuやCu/CuW/Cuと同じようなクラッド構造にすることも可能である。なお、クラッド構造とは、合金複合体の表面及び裏面にそれぞれ1乃至複数の金属層を形成した構造をいう。このようなクラッド構造の放熱基板を用いると、放熱基板の最終工程で施されるNi系メッキ処理への適合性(Ni系メッキの密着性)を高めることができ、高品質なNi系メッキが形成された放熱基板を製造することができる。
50%以下のMoや60%以下のWで残部がCuであるCuMoやCuWのように、Cuが多い組成の場合は、圧延する際に表層のCuメッキは必ずしも必要ではない。しかし、Cuが少なくなるとMoやWの粒子同士が接触している箇所や重なっている箇所が多くなり、圧延時にMoやWの粒子の脱落やささくれといった現象が起こる。この問題はCuメッキ処理を施してから圧延することで改善が可能である。経済的な面から考えるとメッキの厚さは10μm以下が好適であるが、3μm以下と薄すぎると効果が出ないことがある。圧延することでメッキ層は薄くなるが、最終的に全体に1μm程度のCu層が残っていれば最終のNiメッキには問題ない。
また、Cuメッキの厚さを増やすことでCu/CuMo/CuやCu/CuW/Cuと同じようなクラッド構造にすることも可能である。なお、クラッド構造とは、合金複合体の表面及び裏面にそれぞれ1乃至複数の金属層を形成した構造をいう。このようなクラッド構造の放熱基板を用いると、放熱基板の最終工程で施されるNi系メッキ処理への適合性(Ni系メッキの密着性)を高めることができ、高品質なNi系メッキが形成された放熱基板を製造することができる。
(クロス圧延)
クロス圧延では、非酸化もしくは還元雰囲気中において、300℃以上の温度に加熱した合金複合体をX軸方向とY軸方向(X軸及びY軸はいずれも表面に平行な面内で規定される軸であり、厚さ方向はZ軸と規定する)で交互に圧延する。このクロス圧延により、表面に平行な面内の任意の方向において(該面内の、クロス圧延を行うX軸とY軸以外の方向においても)RT以上800℃以下の範囲での最大線膨張係数が小さくなって安定し、熱伝導率も向上して安定する。圧延が一軸のみではクロス圧延を行った方向(例えばX軸方向)と、それに直交するY軸方向の線膨張係数の差が大きくなり、放熱基板として適さない。X軸方向とY軸方向でクロス圧延を交互に行うことが望ましい。このクロス圧延により、合金複合体の内部に分布するMo又はWの粒子は放熱基板の表面に平行な面内で円盤状に広がった扁平な形状になる。この段階での合金複合体の圧下率(即ち、緻密化及びクロス圧延の2工程による圧下率)は50%〜80%である。上述のとおり、MoやWの粒子の90%以上が15μm以上200μm以下の範囲の大きさである。従って、MoとWの粒子形状を球体(体積:4/3πr3。rは球の半径)と近似し、クロス圧延後(圧下率P)の粒子形状を円盤板状体(体積:r×(1-P)×πr'3。r'はクロス圧延後の円盤板状体の底面の円の半径)と近似すると、クロス圧延後の粒子は放熱基板の表面に平行な面内において約17μm(半径15μmの球状粒子を原料とし、圧下率50%でクロス圧延した場合の大きさ)〜約366μm(半径200μm球状粒子を原料とし、圧下率80%でクロス圧延した場合の大きさ)となる。
クロス圧延では、非酸化もしくは還元雰囲気中において、300℃以上の温度に加熱した合金複合体をX軸方向とY軸方向(X軸及びY軸はいずれも表面に平行な面内で規定される軸であり、厚さ方向はZ軸と規定する)で交互に圧延する。このクロス圧延により、表面に平行な面内の任意の方向において(該面内の、クロス圧延を行うX軸とY軸以外の方向においても)RT以上800℃以下の範囲での最大線膨張係数が小さくなって安定し、熱伝導率も向上して安定する。圧延が一軸のみではクロス圧延を行った方向(例えばX軸方向)と、それに直交するY軸方向の線膨張係数の差が大きくなり、放熱基板として適さない。X軸方向とY軸方向でクロス圧延を交互に行うことが望ましい。このクロス圧延により、合金複合体の内部に分布するMo又はWの粒子は放熱基板の表面に平行な面内で円盤状に広がった扁平な形状になる。この段階での合金複合体の圧下率(即ち、緻密化及びクロス圧延の2工程による圧下率)は50%〜80%である。上述のとおり、MoやWの粒子の90%以上が15μm以上200μm以下の範囲の大きさである。従って、MoとWの粒子形状を球体(体積:4/3πr3。rは球の半径)と近似し、クロス圧延後(圧下率P)の粒子形状を円盤板状体(体積:r×(1-P)×πr'3。r'はクロス圧延後の円盤板状体の底面の円の半径)と近似すると、クロス圧延後の粒子は放熱基板の表面に平行な面内において約17μm(半径15μmの球状粒子を原料とし、圧下率50%でクロス圧延した場合の大きさ)〜約366μm(半径200μm球状粒子を原料とし、圧下率80%でクロス圧延した場合の大きさ)となる。
過去の実績から、X軸方向とY軸方向の線膨張係数差が20%以下であれば使用上の問題はないが、それ以上の差が生じると使用上の制約が出てくる。材質と組成および使用するMoとWの粉末の形状を適切に選択し、クロス圧延条件の最適化を行うことによって要求特性を満たす放熱基板が得られる。
しかし、得られた放熱基板のX軸方向とY軸方向の線膨張係数の差が20%以下になるのであれば、クロス圧延におけるX軸方向とY軸方向の圧延順や圧延回数は問わない。また、本実施形態では直交する2方向(X軸方向とY軸方向)で圧延を行っているが、このクロス圧延の目的は表面に平行な面内の任意の方向における線膨張係数を10ppm/K以下に小さくするとともに、その異方性を小さくすることである。即ち、これを達成することができれば、非平行な複数の方向(即ち、交差する複数の方向)でのクロス圧延であってもよく、必ずしも直交する2方向でのクロス圧延のみには限定されない。
なお、相対密度99%以上の合金複合体においては、厚さが圧延前の1/5以下になると偏平化したMoやWが分断され、線膨張係数と熱伝導率にバラツキが生じることがあるので、圧延前の合金複合体の厚さの1/5を超える厚さまでで圧延を止めることが望ましい。
冷間、温間、及び熱間の圧延のいずれかは問わないが、冷間では高い圧下率が取れないので生産性が低い。CuMoは400℃前後の温間圧延が望ましく、CuWの場合は600℃前後の熱間圧延が望ましい。また、表層の酸化物除去を目的として圧延毎に酸洗い、還元処理、またはバフ掛け等を行うと被圧延性が改善される。水素中で熱処理後に冷間圧延することにより、表面状態が整った、放熱基板に適した状態の完成品が得られる。
(最終メッキ)
MoやWの被メッキ性は必ずしもよくないが、銀ろう付けやハンダ付けの際にCuMoやCuW中のCuが浸食されるという問題を防ぐために、最終のNi系のメッキが施される。高級品の場合は半導体デバイスのハンダ付け性を向上するためと商品価値を上げるために、最終のNi系のメッキの上にAuメッキ処理を施すこともある。なお、Ni系メッキとは、NiやNi合金のメッキを意味する。
MoやWの被メッキ性は必ずしもよくないが、銀ろう付けやハンダ付けの際にCuMoやCuW中のCuが浸食されるという問題を防ぐために、最終のNi系のメッキが施される。高級品の場合は半導体デバイスのハンダ付け性を向上するためと商品価値を上げるために、最終のNi系のメッキの上にAuメッキ処理を施すこともある。なお、Ni系メッキとは、NiやNi合金のメッキを意味する。
Cuの放熱基板の場合には熱処理なしの1回のダイレクトNi系メッキ処理で十分であるが、CuMoやCuWでは、MoやWの露出面での被メッキ性が良くないので、熱処理+Niメッキ+熱処理+Niメッキといった多層メッキ処理が行われるが、工程が長く納期やコストがかかる。本実施形態の放熱基板では、同様に多層メッキ処理を施すことも可能であるが、圧延前に施したCuメッキ層が残存している場合は、ダイレクトに1回の最終Ni系メッキ処理のみを施すことも可能である。
(その他)
半導体モジュールにおいては、放熱基板と半導体デバイスのハンダ接合部の品質が重要であり、厳しいボイド率が求められる。ハンダ材としては半導体デバイスの場合はPbフリー化と高温化に対応したAuSn(融点280℃)、AuSi(融点363℃)のハンダ材が主に使われ、200℃以上の半導体デバイスの場合は更なる高品質が望まれるのでAuメッキした放熱基板にハンダ付されることもある。
半導体モジュールにおいては、放熱基板と半導体デバイスのハンダ接合部の品質が重要であり、厳しいボイド率が求められる。ハンダ材としては半導体デバイスの場合はPbフリー化と高温化に対応したAuSn(融点280℃)、AuSi(融点363℃)のハンダ材が主に使われ、200℃以上の半導体デバイスの場合は更なる高品質が望まれるのでAuメッキした放熱基板にハンダ付されることもある。
既にCu、CuMo、CuWでは、これらに対応する最終のNi系のメッキが開発されており、本発明ではCuメッキ層がある場合にはダイレクトに最終の3μmのNi-Bメッキ処理を施し、そのフクレテストを行うことで品質の管理が可能である。しかし、従来のCuMo、CuWと同様に多層の最終Ni系メッキを望まれることも多く、その場合でもフクレテストで品質の確認と管理が可能である。フクレテストで問題なければAgろう付けやハンダ接合や使用上の問題が起こらないとの知見がある。
<放熱基板の評価>
(線膨張係数の測定)
上記クロス圧延後の合金複合体から放電加工(以下WEDMと略記)でX軸方向10mm×Y軸方向4mm×厚さ(Z軸方向)2〜2.5mmの試料を切り出し、線膨張係数測定装置(セイコーインスツル社製)を用いてRT〜800℃の範囲の線膨張係数の測定を行い、X軸とY軸での大きい方を値として採用した。
(線膨張係数の測定)
上記クロス圧延後の合金複合体から放電加工(以下WEDMと略記)でX軸方向10mm×Y軸方向4mm×厚さ(Z軸方向)2〜2.5mmの試料を切り出し、線膨張係数測定装置(セイコーインスツル社製)を用いてRT〜800℃の範囲の線膨張係数の測定を行い、X軸とY軸での大きい方を値として採用した。
(熱伝導率の測定)
上記クロス圧延後の合金複合体からWEDMでφ10mm×厚さ2〜2.5mmの試料を切り出し、レーザーフラッシュ法の熱伝導率測定装置(アルバック理工社製 TC-7000)を用いて水素中、200℃で熱伝導率の測定を行った。
上記クロス圧延後の合金複合体からWEDMでφ10mm×厚さ2〜2.5mmの試料を切り出し、レーザーフラッシュ法の熱伝導率測定装置(アルバック理工社製 TC-7000)を用いて水素中、200℃で熱伝導率の測定を行った。
(メッキのフクレテスト)
5mm×25mmの試料に多層のNiメッキ処理と単層のダイレクトメッキ処理を行い、それらを大気中で400℃、30分間保持し、実体顕微鏡を用いて10倍の倍率で外観観察した。そして、金属層のメッキのフクレがない場合はOKと判断し、大小にかかわらずフクレが認められた場合にはNGと判断した。
5mm×25mmの試料に多層のNiメッキ処理と単層のダイレクトメッキ処理を行い、それらを大気中で400℃、30分間保持し、実体顕微鏡を用いて10倍の倍率で外観観察した。そして、金属層のメッキのフクレがない場合はOKと判断し、大小にかかわらずフクレが認められた場合にはNGと判断した。
(実施例1;40wt%CuのCuMo、溶浸法・緻密化・圧延、試料No. 6)
平均粒度60μmのMo粉末に、10μmの電解Cu粉末3wt%、及びパラフィンワックス1wt%を混合し、得られた混合粉末を50mm×50mmの金型でプレス成型し、その成型体を水素中において600℃にて60分間加熱して脱ワックスを行った。更に水素中において1000℃に加熱してスケルトンを製作した。このスケルトンにCu板を載せ、水素中において1250℃にて60分間加熱することによりCuを溶浸した。このようにして40wt%Cuで50mm×50mm×6mmのCuMo合金複合体を製作した。合金複合体の表層に残存した余剰の溶浸Cuや表層の欠陥を切削で除去した。その合金複合体をSUSのケースに入れて脱気した後に端部を溶接しキャニングした。それを800℃においてクロス圧延し、合金複合体の相対密度が99%以上になったところで取り出し、水素中において950℃にて60分間の固相焼結を行った。固相焼結後(緻密化後)の合金複合体に10μmのCuメッキ処理を施したのち400℃において温間のクロス圧延を行い、厚さを2mmにした。即ち、二度のクロス圧延による合金複合体の圧下率(=(6mm-2mm)/6mm)は66.6%である。
さらに、それを水素中で450℃において15分間の熱処理を行った後に冷間圧延して表面を整えた。
その放熱基板に多層のNi系のメッキ処理を施したものと、ダイレクトの単層Niメッキ処理を施したものとで、それぞれフクレテストを行った。
併せて線膨張係数と熱伝導率の測定を行った。
結果を表2に示す。
平均粒度60μmのMo粉末に、10μmの電解Cu粉末3wt%、及びパラフィンワックス1wt%を混合し、得られた混合粉末を50mm×50mmの金型でプレス成型し、その成型体を水素中において600℃にて60分間加熱して脱ワックスを行った。更に水素中において1000℃に加熱してスケルトンを製作した。このスケルトンにCu板を載せ、水素中において1250℃にて60分間加熱することによりCuを溶浸した。このようにして40wt%Cuで50mm×50mm×6mmのCuMo合金複合体を製作した。合金複合体の表層に残存した余剰の溶浸Cuや表層の欠陥を切削で除去した。その合金複合体をSUSのケースに入れて脱気した後に端部を溶接しキャニングした。それを800℃においてクロス圧延し、合金複合体の相対密度が99%以上になったところで取り出し、水素中において950℃にて60分間の固相焼結を行った。固相焼結後(緻密化後)の合金複合体に10μmのCuメッキ処理を施したのち400℃において温間のクロス圧延を行い、厚さを2mmにした。即ち、二度のクロス圧延による合金複合体の圧下率(=(6mm-2mm)/6mm)は66.6%である。
さらに、それを水素中で450℃において15分間の熱処理を行った後に冷間圧延して表面を整えた。
その放熱基板に多層のNi系のメッキ処理を施したものと、ダイレクトの単層Niメッキ処理を施したものとで、それぞれフクレテストを行った。
併せて線膨張係数と熱伝導率の測定を行った。
結果を表2に示す。
(実施例2;40wt%CuのCuMo、焼結法・緻密化・圧延、試料No. 7)
平均粒度60μmのMo粉末および10μmの電解Cu粉末を用い、40wt%のCuと残部Moの配合比率で粉末を混合し、得られた混合粉末を50mm×50mmの金型でプレス成型した。得られた成型体を水素中において1250℃にて60分間、液相焼結して、50mm×50mm×6mmのCuMo合金複合体を製作した。合金複合体の表層の欠陥を切削で除去し、その合金複合体をSUSのケースに入れ脱気した後に端部を溶接しキャニングした。それを800℃にてクロス圧延し、合金複合体が相対密度99%以上になったところで取り出し、水素中において950℃にて60分間加熱して固相焼結を行った。その合金複合体に10μmのCuメッキ処理を施したのちに400℃にてクロス圧延を行い、厚さ2mmの板材を得た。即ち、二度のクロス圧延による合金複合体の圧下率(=(6mm-2mm)/6mm)は66.6%である。その板材を水素中において450℃にて15分間の熱処理を行い、その後に冷間圧延を行って表面を整えた。
その放熱基板にNi系の多層メッキ処理を施したものと、単層のダイレクトメッキ処理を施したものに、それぞれフクレテストを行った。
併せて線膨張係数と熱伝導率の測定を行った。
結果を表2に示す。
平均粒度60μmのMo粉末および10μmの電解Cu粉末を用い、40wt%のCuと残部Moの配合比率で粉末を混合し、得られた混合粉末を50mm×50mmの金型でプレス成型した。得られた成型体を水素中において1250℃にて60分間、液相焼結して、50mm×50mm×6mmのCuMo合金複合体を製作した。合金複合体の表層の欠陥を切削で除去し、その合金複合体をSUSのケースに入れ脱気した後に端部を溶接しキャニングした。それを800℃にてクロス圧延し、合金複合体が相対密度99%以上になったところで取り出し、水素中において950℃にて60分間加熱して固相焼結を行った。その合金複合体に10μmのCuメッキ処理を施したのちに400℃にてクロス圧延を行い、厚さ2mmの板材を得た。即ち、二度のクロス圧延による合金複合体の圧下率(=(6mm-2mm)/6mm)は66.6%である。その板材を水素中において450℃にて15分間の熱処理を行い、その後に冷間圧延を行って表面を整えた。
その放熱基板にNi系の多層メッキ処理を施したものと、単層のダイレクトメッキ処理を施したものに、それぞれフクレテストを行った。
併せて線膨張係数と熱伝導率の測定を行った。
結果を表2に示す。
(実施例3;45wt%CuのCuW、焼結法・圧延、試料No. 20)
平均粒度60μmのW粉末および10μmの電解Cu粉末を用いて45wt%のCuと残部Wの配合比率で粉末を混合し、得られた混合粉末を50mm×50mmの金型でプレス成型を行った。その成型体を水素中において、1250℃にて60分間液相焼結し、50mm×50mm×6mmのCuW合金複合体を得た。
合金複合体の表層の欠陥を切削で除去し、その合金複合体をSUSのケースに入れ脱気した後に端部を溶接しキャニングした。それを800℃でクロス圧延し、合金複合体が相対密度99%以上になったところで取り出し、水素中において1000℃にて60分間の固相焼結を行った。その合金複合体に10μmのCuメッキ処理を施したのち、600℃にてクロス圧延を行い、厚さを2mmにした。即ち、二度のクロス圧延による複合体の圧下率(=(6mm-2mm)/6mm)は66.6%である。
その放熱基板にNi系の多層メッキ処理を施したものと、単層のダイレクトメッキ処理を施したものに、それぞれフクレテストを行った。
併せて線膨張係数と熱伝導率の測定を行った。
結果を表2に示す。
平均粒度60μmのW粉末および10μmの電解Cu粉末を用いて45wt%のCuと残部Wの配合比率で粉末を混合し、得られた混合粉末を50mm×50mmの金型でプレス成型を行った。その成型体を水素中において、1250℃にて60分間液相焼結し、50mm×50mm×6mmのCuW合金複合体を得た。
合金複合体の表層の欠陥を切削で除去し、その合金複合体をSUSのケースに入れ脱気した後に端部を溶接しキャニングした。それを800℃でクロス圧延し、合金複合体が相対密度99%以上になったところで取り出し、水素中において1000℃にて60分間の固相焼結を行った。その合金複合体に10μmのCuメッキ処理を施したのち、600℃にてクロス圧延を行い、厚さを2mmにした。即ち、二度のクロス圧延による複合体の圧下率(=(6mm-2mm)/6mm)は66.6%である。
その放熱基板にNi系の多層メッキ処理を施したものと、単層のダイレクトメッキ処理を施したものに、それぞれフクレテストを行った。
併せて線膨張係数と熱伝導率の測定を行った。
結果を表2に示す。
(実施例4;PKGの放熱基板に半導体デバイスを搭載した半導体モジュールの評価)
実施例2の、線膨張係数9.1ppm/Kで熱伝導率293W/m・Kの放熱基板にセラミックとコバール等の部材を水素中において800℃にて銀ろう付けしてPKGを製作した。そのPKGに剥離や割れのない事を確認し、それに10mm×10mm×0.7mmのSiデバイスの金属電極層を高温AuSi(融点363℃)ハンダにより400℃で接合して半導体モジュールを製作した。そして、超音波でハンダ付け部のボイド面積が3%以下であることを確認した。一般に、最終のメッキが3μmのNi-Bである場合には、SnAgCu(融点218℃)ハンダの評価は非常に厳しく、超音波測定でボイド率5%以下を合格すれば銀ろう付、他のハンダ付け、樹脂付等で問題が起こらない知見がある。ハンダ付けにおいて生じるボイドは、最終のNi系メッキ処理を行う前の放熱基板の表面のピンホールを反映している。即ち、表面のピンホール(欠陥)が5%以下である放熱基板を用いることにより、SnAgCu(融点218℃)ハンダの評価条件を満たすことができる。実施例4では、ハンダ付け部のボイド面積が3%以下であり、上記要件を全て満たしている。
実施例2の、線膨張係数9.1ppm/Kで熱伝導率293W/m・Kの放熱基板にセラミックとコバール等の部材を水素中において800℃にて銀ろう付けしてPKGを製作した。そのPKGに剥離や割れのない事を確認し、それに10mm×10mm×0.7mmのSiデバイスの金属電極層を高温AuSi(融点363℃)ハンダにより400℃で接合して半導体モジュールを製作した。そして、超音波でハンダ付け部のボイド面積が3%以下であることを確認した。一般に、最終のメッキが3μmのNi-Bである場合には、SnAgCu(融点218℃)ハンダの評価は非常に厳しく、超音波測定でボイド率5%以下を合格すれば銀ろう付、他のハンダ付け、樹脂付等で問題が起こらない知見がある。ハンダ付けにおいて生じるボイドは、最終のNi系メッキ処理を行う前の放熱基板の表面のピンホールを反映している。即ち、表面のピンホール(欠陥)が5%以下である放熱基板を用いることにより、SnAgCu(融点218℃)ハンダの評価条件を満たすことができる。実施例4では、ハンダ付け部のボイド面積が3%以下であり、上記要件を全て満たしている。
また、その半導体モジュールに対してヒートサイクルテスト(-40〜225℃、3000回)を行った。併せて、比較のため、同寸法の実施例2と線膨張係数の値が同じ9.1ppm/Kで熱伝導率が213W/m・Kの既存の40wt%CuのCuMoの放熱基板で同じPKGを作り、デバイスを搭載した上でヒートサイクルテスト(-40〜225℃、3000回)を行った。
その結果、いずれの試料においても剥離や割れ等の問題は起こらなかった。
その結果、いずれの試料においても剥離や割れ等の問題は起こらなかった。
(今回開示の解釈-1)
本発明により将来的な高性能半導体モジュール用としての要求を満たす高性能放熱基板を得ることができる。
本発明により将来的な高性能半導体モジュール用としての要求を満たす高性能放熱基板を得ることができる。
(今回開示の解釈-2)
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で変形した形態も本発明に含まれる。本発明を実施する際の具体的な構造や実施形態等は本発明の目的を達成できる範囲内で他のものでもよい。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で変形した形態も本発明に含まれる。本発明を実施する際の具体的な構造や実施形態等は本発明の目的を達成できる範囲内で他のものでもよい。
(今回開示の解釈-3)
今回開示された実施形態及び実施例はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。上記した説明に限定されるものではなく請求の範囲によって示される。
今回開示された実施形態及び実施例はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。上記した説明に限定されるものではなく請求の範囲によって示される。
1…溶浸法または焼結法で製作された合金複合体
2…SUSキャニングケース
3…全周溶接した接合部
2…SUSキャニングケース
3…全周溶接した接合部
Claims (5)
- Cuの内部にMo又はWの粒子が分布しており、該Mo又はWの粒子の90wt%以上が前記放熱基板の表面に平行な面内に扁平であって該面内における最大径が17μm以上366μm以下である本体と、
前記本体の表面に形成された厚さ1〜10μmの金属層と、
を備え、
表面に平行な面内において、25℃以上800℃以下における最大線膨張係数が10ppm/K以下、かつ200℃における熱伝導率が250W/m・K以上であり、
前記金属層の表面にMo又はWの露出がなく、該表面における欠陥部の面積の割合が5%以下である
ことを特徴とする放熱基板。 - 表面及び裏面のそれぞれに、前記金属層とは別の1乃至複数の金属層が形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の放熱基板。 - 請求項1又は2に記載の放熱基板を備える
ことを特徴とする半導体用パッケージ。 - 請求項1又は2のいずれかに記載の放熱基板を備える
ことを特徴とする半導体用モジュール。 - 請求項1又は2のいずれかに記載の放熱基板の表面にNi系メッキを介して施されたハンダ付けのボイド率が5%以下である
ことを特徴とする半導体モジュール。
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