JP6980161B1 - 複合材料、ヒートシンク及び半導体装置 - Google Patents
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Abstract
Description
複数のダイヤモンド粒子と、
銅と、
珪素、クロム、コバルト、ニッケル、モリブデン、チタン、バナジウム、ニオブ、タンタル及びタングステンからなる群より選ばれる少なくとも1種の第1元素と、を含み、
前記銅及び前記第1元素の合計質量に対する前記第1元素の含有率は50ppm以上2000ppm以下である、複合材料である。
上記の複合材料と、
前記複合材料の表面の少なくとも一部に設けられた金属めっき層と、を含むヒートシンクである。
上記のヒートシンクを備える半導体装置である。
特許文献1の複合材料は、金属マトリックスと4族元素、5族元素及び6族元素の合計に対する4族元素、5族元素及び6族元素の含有割合が質量基準で1%〜30%程度であり、ダイヤモンドと銅とが、4族元素、5族元素及び6族元素の炭化物を介して密着した構造となっている。しかし、4族元素、5族元素及び6族元素は、銅に比べて熱伝導率が低いため、複合材料の熱伝導率を低下させる一因となっている。従って、複合材料の熱伝導率の向上が望まれている。
[本開示の効果]
本開示の半導体装置は、優れた性能を維持したまま、長い寿命を有することができる。
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
複数のダイヤモンド粒子と、
銅と、
珪素、クロム、コバルト、ニッケル、モリブデン、チタン、バナジウム、ニオブ、タンタル、タングステンからなる群より選ばれる少なくとも1種の第1元素と、を含み、
前記銅及び前記第1元素の合計質量に対する前記第1元素の含有率は50ppm以上2000ppm以下である、複合材料である。
上記に記載の複合材料と、
前記複合材料の表面の少なくとも一部に設けられた金属めっき層と、を含むヒートシンクである。
本開示のヒートシンクは、高い熱伝導率、及び、高い強度を有することができる。
[本開示の実施形態の詳細]
本発明者らは、高温超高圧焼結法で作製された従来の複合材料に電気ニッケルめっき処理を行った場合に、電気ニッケルめっき処理後の複合材料の熱伝導率及び強度が低下する原因について検討した。
本開示の複合材料は、複数のダイヤモンド粒子と、銅と、珪素、クロム、コバルト、ニッケル、モリブデン、チタン、バナジウム、ニオブ、タンタル、タングステン及びアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の第1元素と、を含み、銅及び第1元素の合計質量に対する第1元素の含有率は50ppm以上2000ppm以下である、複合材料である。
本開示の複合材料はダイヤモンド粒子を含む。これにより、本開示の複合材料は、優れた熱伝導性を有することができる。
本開示の複合材料は銅を含む。これにより、本開示の複合材料は、優れた熱伝導性を有することができる。
複合材料は、珪素、クロム、コバルト、ニッケル、モリブデン、チタン、バナジウム、ニオブ、タンタル、タングステン及びアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の第1元素を含み、銅及び第1元素の合計質量に対する第1元素の含有率(以下、「第1元素の含有率」とも記す。)は50ppm以上2000ppm以下である。これによると、複合材料は電気ニッケルめっき処理後においても、高い熱伝導率、及び、高い強度を有することができる。
複合材料の電気ニッケルめっき処理後の室温(23℃)における熱伝導率は、400W/mK以上が好ましく、430W/mK以上がより好ましく、450W/mK以上が更に好ましい。複合材料の熱伝導率は、レーザーフラッシュ法により測定される。例えば、市販の測定器(NETZSCH社製「LFA467」)により測定される。
本開示の複合材料の代表的な形状は、平板状が挙げられる。製造時に用いる成形型の形状や、切削加工などによって所望の平面形状、三次元形状の複合材料にすることができる。複合材料などの大きさ(厚さ、幅、長さなど)は適宜選択できる。厚さが薄いと(例えば5mm以下、3mm以下、更に2.5mm以下)、軽量で薄型の複合材料とすることができる。
実施形態1の複合材料の製造方法は、例えば、ダイヤモンド粉末と、銅粉末と、珪素、クロム、コバルト、ニッケル、モリブデン、チタン、バナジウム、ニオブ、タンタル、タングステン及びアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の第1元素の粉末(以下、「第1元素粉末」とも記す。)とを混合して第1混合粉末を得る工程(以下、「第1混合粉末準備工程」とも記す。)と、第1混合粉末とダイヤモンド粉末とを混合して、第2混合粉末を得る工程(以下、「第2混合粉末準備工程」とも記す。)と、第2混合粉末を高温超高圧条件下で焼結させて複合材料を得る工程(以下、「焼結工程」とも記す。)とを備えることができる。下記に各工程の詳細について説明する。
まず、銅粉末と、珪素、クロム、コバルト、ニッケル、モリブデン、チタン、バナジウム、ニオブ、タンタル、タングステン及びアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の第1元素の粉末とを混合することにより、第1混合粉末を得る。
次に、第1混合粉末とダイヤモンド粉末とを混合して、第2混合粉末を得る。
次に、第2混合粉末を高温超高圧条件下で焼結させて複合材料を得る。例えば、まず、第2混合粉末をモリブデン製の容器に充填し、2t/cm2の荷重でプレスし、厚さ2mmの圧粉体にする。この圧粉体を装填した容器にろう材を介してモリブデン製の蓋をし、真空中で加熱することにより容器と蓋とをろう付け封止する。
本開示のヒートシンクについて、図3を用いて説明する。図3に示されるように、ヒートシンク3は、実施形態1の複合材料1と、該複合材料1の表面の少なくとも一部に設けられた金属めっき層2とを含む。該ヒートシンクは、高い熱伝導率、及び、高い強度を有することができる。
ヒートシンク3に含まれる複合材料1としては、実施の形態1に記載の複合材料を用いることができる。
ヒートシンクは、図3に示されるように、複合材料1の表面の少なくとも一部に設けられた金属めっき層2を含む。複合材料が金属めっき層を含むと、複合材料1と半導体素子等とを半田やロウ材などで接合する場合に、金属めっき層と半田やろう材などの金属とが十分に濡れて、複合材料と半導体素子等とを強固に接合することができる。
実施形態2のヒートシンクの製造方法は、例えば、実施形態1の複合材料を準備する工程(以下、「複合材料準備工程」とも記す。)と、複合材料に金属めっき処理を行い、複合材料の表面の少なくとも一部に金属めっき層を形成してヒートシンクを得る工程(以下、「金属めっき層形成工程」とも記す。)とを備えることができる。下記に各工程の詳細について説明する。
複合材料準備工程では、実施形態1に記載の複合材料の製造方法と同一の方法を用いて複合材料を作製することができる。具体的な方法は実施形態1に記載されているため、その説明は繰り返さない。
次に、複合材料に金属めっき処理を行い、複合材料の表面の少なくとも一部に金属めっき層を形成してヒートシンクを得る。金属めっき処理は、公知の金属めっき処理液を用いて、公知の方法で行うことができる。
本開示の半導体装置について、図4を用いて説明する。図4に示されるように、半導体装置5は、実施形態2に記載のヒートシンク3を備える。図4では、ヒートシンク3上に半導体素子4が設けられ、半導体装置5を構成している。該半導体装置は、優れた性能を維持したまま、長い寿命を有することができる。
<複合材料の作製>
(第1混合粉末準備工程)
銅粉(平均粒径5μm、純度99.99%)と、表1〜表4の「第1混合粉末」の「第1元素の種類」欄に記載の種類の第1元素粉末(例えば、試料1−1では、Si(珪素)粉末)とを混合して第1混合粉末を得た。第1混合粉末中の第1元素粉末の含有率は表1〜表4の「第1混合粉末」の「第1元素の含有率(ppm)」欄に記載の量とした(例えば。試料1−1では、55ppm)。
次に、第1混合粉末とダイヤモンド粉末とを、第2混合粉末中のそれぞれの含有割合が表1〜表4の「第2混合粉末」の「ダイヤモンド粉末(体積%)」及び「第1混合粉末(銅粉末)(体積%)」欄に記載の割合となるように混合して第2混合粉末を得た(例えば、試料1−1では、ダイヤモンド粉末72体積%、第1混合粉末28体積%の割合で混合した。)。なお、第1混合粉末中には第1元素粉末が含まれているが、第1元素粉末は微量であるため、その体積割合は考慮しないものとする。
次に、第2混合粉末を内径25mm、深さ5mmのモリブデン製容器に充填し、2t/cm2の荷重でプレスし、厚さ2mmの圧粉体にした。この圧粉体を装填した容器にろう材を介してモリブデン製の蓋をし、真空中で加熱することにより容器と蓋とをろう付け封止した。
(金属めっき層形成工程)
各試料の複合材料からなる個片に、電気ニッケルめっき処理を行い、個片の全面に厚さ3μmのニッケル層(金属めっき層)を形成して各試料のヒートシンクを得た。めっき処理液は、WATT浴(組成:硫酸ニッケル250g/L,塩化ニッケル60g/L,ホウ酸40mL/L)を用いた。
(複合材料の組成)
各試料の複合材料からなる個片について、ダイヤモンド粒子の含有率、銅の含有率を測定した。具体的な測定方法は実施形態1に記載されている方法と同一であるため、その説明は繰り返さない。結果を表1〜表4の「複合材料」の「ダイヤモンド粒子(体積%)」及び「銅(体積%)」欄に示す。
各試料の複合材料からなる個片について、銅及び第1元素の合計質量に対する第1元素の含有率を測定した。具体的な測定方法は実施形態1に記載されている方法と同一であるため、その説明は繰り返さない。結果を表1〜表4の「複合材料」の「銅及び第1元素の合計質量に対する第1元素の含有率(ppm)」欄に示す。
各試料の複合材料からなる個片について、ダイヤモンド粒子と銅との界面において第1元素の濃化の有無を確認した。具体的な確認方法は実施形態1に記載されている方法と同一であるため、その説明は繰り返さない。結果を表1〜表4の「複合材料」の「第1元素の濃化」欄に示す。第1元素の濃化が確認された場合は「あり」、確認されない場合は「なし」と記載される。
各試料の複合材料からなる個片について、熱膨張係数を熱機械分析(測定装置:島津製作所製「TMA−60D」(商標))により測定した。結果を表1〜表4の「複合材料」の「熱膨張係数(ppm/K)」欄に示す。
各試料のヒートシンクについて、図5に示されるせん断試験装置10を用いて強度を測定した。せん断試験装置10の第1の固定台11a及び第2の固定台11bの間に各試料のヒートシンクからなる試験片14を固定する。試験片は高さ5mmの位置まで第1の固定台11a及び第2の固定台11bで固定される。固定台11aからの露出高さが5cmの位置に端子12を配置し、矢印aで示される方向に荷重を加え、試験片が破断した時の荷重を荷重センサー13で測定した。該荷重が強度に該当する。結果を表1〜表4の「ヒートシンク」の「強度(MPa)」欄に示す。
各試料のヒートシンクについて、レーザーフラッシュ法(測定装置:NETZSCH社製「LFA467」(商標))にて熱伝導率を測定した。結果を表1〜表4の「ヒートシンク」の「熱伝導率(W/mK)」欄に示す。
試料1−1〜試料1−6、試料2−1〜試料2−6、試料3−1〜試料3−6、試料4−1〜試料4−10は実施例に該当する。
Claims (6)
- 複数のダイヤモンド粒子と、
銅と、
珪素、クロム、コバルト、ニッケル、モリブデン、チタン、バナジウム、ニオブ、タンタル及びタングステンからなる群より選ばれる少なくとも1種の第1元素と、を含み、
前記銅及び前記第1元素の合計質量に対する前記第1元素の含有率は50ppm以上2000ppm以下である、複合材料。 - 前記複合材料は、前記ダイヤモンド粒子を60体積%以上90体積%以下、かつ、前記銅を10体積%以上40体積%以下含む、請求項1に記載の複合材料。
- 前記銅及び前記第1元素の合計質量に対する前記第1元素の含有率は200ppm以上800ppm以下である、請求項1又は請求項2に記載の複合材料。
- 前記第1元素は、前記ダイヤモンド粒子と前記銅との界面において濃化している、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の複合材料。
- 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の複合材料と、
前記複合材料の表面の少なくとも一部に設けられた金属めっき層と、を含むヒートシンク。 - 請求項5に記載のヒートシンクを備える半導体装置。
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