JP2017075072A - 炭化珪素エピタキシャル基板 - Google Patents

炭化珪素エピタキシャル基板 Download PDF

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Abstract

【課題】チャッキング不良の発生を抑制可能な炭化珪素エピタキシャル基板を提供する。
【解決手段】炭化珪素エピタキシャル基板10は、炭化珪素単結晶基板1と、炭化珪素層2とを備える。炭化珪素単結晶基板1は、第1主面3と、当該第1主面3と反対側の第2主面4とを有する。炭化珪素層2は、第1主面3上にある。炭化珪素単結晶基板1は第2主面4において歪層を有していない。基板温度が室温のときの反り量を第1の反り量とし、当該基板温度が350℃以上600℃以下であるときの反り量を第2の反り量としたときに、第1の反り量は25μm以下である。また、第1の反り量と第2の反り量との差の絶対値は25μm以下である。
【選択図】図1

Description

本開示は、炭化珪素エピタキシャル基板に関する。
特開2015−32788号公報(特許文献1)には、炭化珪素基板の裏面側に変形抑制層を備えた炭化珪素エピタキシャル基板が開示されている。
特開2015−032788号公報
本開示の目的は、チャッキング不良の発生を抑制可能な炭化珪素エピタキシャル基板を提供することである。
本開示に係る炭化珪素エピタキシャル基板は、炭化珪素単結晶基板と、炭化珪素層とを備える。炭化珪素単結晶基板は、第1主面と、当該第1主面と反対側の第2主面とを有する。炭化珪素層は、第1主面上にある。炭化珪素単結晶基板は第2主面において歪層を有していない。基板温度が室温のときの反り量を第1の反り量とし、当該基板温度が350℃以上600℃以下であるときの反り量を第2の反り量としたときに、第1の反り量は25μm以下である。また、第1の反り量と第2の反り量との差の絶対値は25μm以下である。
本開示によれば、チャッキング不良の発生を抑制可能な炭化珪素エピタキシャル基板を提供することができる。
本実施形態に係る炭化珪素エピタキシャル基板を示す斜視模式図である。 図1の線分II−IIにおける断面模式図である。 炭化珪素エピタキシャル基板の反りの測定方法を説明するための模式図である。 炭化珪素エピタキシャル基板の反りを説明するための模式図である。 本実施形態に係る炭化珪素エピタキシャル基板の製造方法の概略を示すフローチャートである。
[本開示の実施形態の説明]
以下の説明では、同一または対応する要素には同一の符号を付し、それらについて同じ説明は繰り返さない。本明細書の結晶学的記載においては、個別方位を[]、集合方位を<>、個別面を()、集合面を{}でそれぞれ示す。結晶学上の指数が負であることは、通常、数字の上に”−”(バー)を付すことによって表現されるが、本明細書では数字の前に負の符号を付すことによって結晶学上の負の指数を表現する。また以下の説明では、炭化珪素(SiC)の結晶面に関し、(000−1)面を「C(カーボン)面」、(0001)面を「Si(シリコン)面」と記す場合がある。
(1)本開示に係る炭化珪素エピタキシャル基板10は、炭化珪素単結晶基板1と、炭化珪素層2とを備える。炭化珪素単結晶基板1は、第1主面3と、当該第1主面3と反対側の第2主面4とを有する。炭化珪素層2は、第1主面3上にある。炭化珪素単結晶基板1は第2主面4において歪層を有していない。基板温度が室温のときの反り量を第1の反り量とし、当該基板温度が350℃以上600℃以下であるときの反り量を第2の反り量としたときに、第1の反り量は25μm以下である。また、第1の反り量と第2の反り量との差の絶対値は25μm以下である。
このようにすれば、基板温度が室温である場合および350℃以上600℃以下という高温である場合の両方において、炭化珪素エピタキシャル基板10の反り量が十分に小さい値となっている。そのため、炭化珪素単結晶基板1上に炭化珪素層2を形成する時や、炭化珪素エピタキシャル基板10を用いて炭化珪素半導体装置を製造するときに、たとえば成膜装置やイオン注入装置などの製造装置における基板のチャッキングステージに炭化珪素単結晶基板または当該炭化珪素エピタキシャル基板を固定する場合、当該基板の反り量が大きいことに起因するチャッキング不良の発生を抑制できる。この結果、チャッキング不良に起因する製造工程での品質不良の発生を抑制できる。
ここで、歪層とは、炭化珪素単結晶基板1の第2主面4に対して機械研磨などの加工を行ったときに第2主面4において発生するダメージ層であって、具体的には結晶格子に乱れなどが発生している層を意味する。この歪層の有無はたとえば後述するEBSD(Electron Back Scatter Diffraction Patterns)法を用いて判別することができる。また、基板温度としては、たとえば炭化珪素エピタキシャル基板10の炭化珪素層の表面温度を任意の測定手段で測定した値を用いてもよいし、炭化珪素単結晶基板の第2主面の温度を任意の測定手段で測定した値を用いてもよい。測定手段としてはたとえば放射温度計を用いることができる。
(2)上記(1)に係る炭化珪素エピタキシャル基板10において、炭化珪素単結晶基板1と炭化珪素層2との合計厚さは300μm以上550μm以下であってもよい。
(3)上記(1)または(2)に係る炭化珪素エピタキシャル基板10において、炭化珪素単結晶基板1の最大径は110mm以上150mm以下であってもよい。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに係る炭化珪素エピタキシャル基板10において、第2主面4の三次元表面粗さ測定における算術平均粗さSaは0.3nm以下であってもよい。
ここで「算術平均粗さSa」は、国際規格ISO25178に規定される三次元表面性状パラメータであり、たとえば白色干渉顕微鏡等を用いて測定することができる。白色干渉顕微鏡の測定面積は、たとえば255μm角である。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに係る炭化珪素エピタキシャル基板10において、上記基板温度が600℃超え1200℃以下であるときの反り量を第3の反り量としたときに、第1の反り量と第3の反り量との差の絶対値は25μm以下であってもよい。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに係る炭化珪素エピタキシャル基板10において、炭化珪素層2の厚さは5μm以上50μm以下であってもよい。
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の一実施形態(以下「本実施形態」とも記す)について説明する。ただし本実施形態はこれらに限定されるものではない。
(炭化珪素エピタキシャル基板)
図1および図2に示されるように、本実施形態に係る炭化珪素エピタキシャル基板10は、炭化珪素単結晶基板1と、炭化珪素層2とを有している。炭化珪素単結晶基板1は、第1主面3と、第1主面3と反対側の第2主面4とを含む。炭化珪素層2は、炭化珪素単結晶基板1と接する第3主面5と、第3主面5と反対側の第4主面6を含む。
炭化珪素単結晶基板1は第2主面4において歪層を有していない。第2主面4における歪層の有無に関する測定は、たとえばEBSD法を用いることができる。歪層の測定方法の詳細は後述する。また、上記炭化珪素エピタキシャル基板10は、炭化珪素エピタキシャル基板10の基板温度が室温のときの反り量を第1の反り量とし、当該基板温度が350℃以上600℃以下であるときの反り量を第2の反り量としたときに、第1の反り量は25μm以下である。また、第1の反り量と第2の反り量との差の絶対値は25μm以下である。また、基板温度が600℃超え1200℃以下であるときの反り量を第3の反り量としたときに、第1の反り量と第3の反り量との差の絶対値は25μm以下であってもよい。このような反り量の測定方法の詳細は後述する。
なお、第1の反り量は20μm以下でもよいし、15μm以下でもよい。第1の反り量の下限はたとえば5μmであってもよい。また、上記第1の反り量と第2の反り量との差の絶対値は20μm以下でもよいし、15μm以下でもよい。当該差の絶対値の下限はたとえば5μmであってもよい。
また、上記第1の反り量と第3の反り量との差の絶対値は20μm以下でもよいし、15μm以下でもよい。当該差の絶対値の下限はたとえば5μmであってもよい。
炭化珪素エピタキシャル基板10の厚さは、たとえば炭化珪素単結晶基板1と炭化珪素層2との合計厚さである。当該合計厚さはたとえば300μm以上である。上記合計厚さは350μm以上でもよいし、400μm以上でもよい。上記合計厚さの上限は特に限定されない。上記合計厚さの上限はたとえば550μmであってもよい。
また、炭化珪素単結晶基板1の最大径(直径)はたとえば110mm以上である。当該最大径は150mm以上でもよいし、200mm以上でもよいし、250mm以上でもよい。上記最大径の上限は特に限定されない。上記最大径の上限はたとえば300mmであってもよい。
上記炭化珪素エピタキシャル基板10において、第2主面4の三次元表面粗さ測定における算術平均粗さSaは0.3nm以下である。当該算術平均粗さSaは0.2nm以下でもよいし、0.15nm以下でもよいし、0.1nm以下でもよい。当該算術平均粗さSaの下限はたとえば0.03nmであってもよい。
炭化珪素単結晶基板1(以下「単結晶基板」と略記する場合がある)は、炭化珪素単結晶から構成される。当該炭化珪素単結晶のポリタイプは、たとえば4H−SiCである。4H−SiCは、電子移動度、絶縁破壊電界強度等において他のポリタイプより優れている。炭化珪素単結晶基板1は、たとえば窒素などのn型不純物を含んでいる。炭化珪素単結晶基板1の導電型は、たとえばn型である。第1主面3は、たとえば{0001}面もしくは{0001}面から8°以下傾斜した面である。第1主面3が{0001}面から傾斜している場合、第1主面3の法線の傾斜方向は、たとえば<11−20>方向である。
炭化珪素層2は、炭化珪素単結晶基板1上に形成されたエピタキシャル層である。炭化珪素層2は、第1主面3上にある。炭化珪素層2は、第1主面3に接している。炭化珪素層2は、たとえば窒素などのn型不純物を含んでいる。炭化珪素層2の導電型は、たとえばn型である。炭化珪素層2が含むn型不純物の濃度は、炭化珪素単結晶基板1が含むn型不純物の濃度よりも高くてもよい。炭化珪素層2の厚さは、たとえば5μm以上である。炭化珪素層2の厚さは10μm以上でもよいし、15μm以上でもよいし、20μm以上でもよい。炭化珪素層2の厚さの上限は、特に限定されない。炭化珪素層2の厚さの上限は、たとえば50μmであってもよい。
図2に示す第4主面6は、たとえば{0001}面もしくは{0001}面から8°以下傾斜した面であってもよい。具体的には、第4主面6は、(0001)面もしくは(0001)面から8°以下傾斜した面であってもよい。第4主面6の法線の傾斜方向(オフ方向)は、たとえば<11−20>方向であってもよい。{0001}面からの傾斜角(オフ角)は、1°以上であってもよいし、2°以上であってもよい。オフ角は、7°以下であってもよいし、6°以下であってもよい。
(歪層の測定)
歪層の有無については、EBSD法を用いて判別することができる。具体的には、炭化珪素単結晶基板1の第2主面4の中央と端部とにおいてEBSD法により面方位を測定することにより、歪層の存在を判断する。
(反り量の測定)
図3に示す測定装置を用いて、炭化珪素エピタキシャル基板10の反り量を測定する。以下具体的に説明する。
図3に示す測定装置は、加熱ステージ20が底部に配置された測定容器22と、レーザ光源24と、ミラー25と検出器27とを主に備える。加熱ステージ20の上部表面上には支持ピン21が複数配置されている。支持ピン21の数はたとえば3つでもよい。支持ピン21上に、測定対象である炭化珪素エピタキシャル基板10が搭載される。なお、測定容器22の上部には開口部があり、当該開口部を塞ぐように蓋体23を配置してもよい。蓋体23としてはたとえばガラス板を用いることができる。蓋体23はレーザ光を透過できれば任意の材料により構成してもよい。
測定容器22の上部にはミラー25および検出器27が配置されている。ミラー25は、レーザ光源24から出射されたレーザ光を反射して加熱ステージ20上の炭化珪素エピタキシャル基板10に当該レーザ光を照射する。照射された当該レーザ光は、炭化珪素エピタキシャル基板10の表面において反射される。当該表面において反射されたレーザ光は検出器27により検出される。ここで、炭化珪素エピタキシャル基板10の全体にレーザ光を照射するため、ミラー25は矢印26に示す加熱ステージ20の上部表面に沿った方向に移動可能になっている。また、ミラー25の移動に伴って、検出器27も移動可能になっている。
このようにすれば、ミラー25と検出器27との位置関係および検出器27におけるレーザ光の検出位置から炭化珪素エピタキシャル基板10の表面におけるレーザ光の反射角度を検出できる。また、当該検出角度に基づき炭化珪素エピタキシャル基板10の表面の鉛直方向における位置を求めることができる。
また、加熱ステージ20は伝熱ヒータなど任意の構成を加熱装置を含む。加熱ステージ20により炭化珪素エピタキシャル基板10を加熱することにより、炭化珪素エピタキシャル基板10の基板温度を任意の温度に設定することができる。そして、炭化珪素エピタキシャル基板10の基板温度を任意に設定した状態で、上述のようにレーザ光を炭化珪素エピタキシャル基板10の表面に照射して反射したレーザ光を検出する。このようにすれば、任意の基板温度において、炭化珪素エピタキシャル基板10の表面の鉛直方向における位置を求めることができる。
ここで、炭化珪素エピタキシャル基板10の反り量とは、図4に示すように炭化珪素エピタキシャル基板10を架台30などの平坦面31上に載置したときの、炭化珪素エピタキシャル基板10の主面において当該平坦面31に対して最も高い位置と最も低い位置との間の高さの差Hとして規定することができる。このため、図3に示した装置により測定された炭化珪素エピタキシャル基板10の表面の鉛直方向における位置のデータから、図4の差Hに対応する値を求めることができる。
(基板温度が350℃以上600℃以下であるときの反り量の測定方法)
図3に示した測定装置を用いて、炭化珪素エピタキシャル基板10に関して基板温度が350℃以上600℃以下であるときの反り量を測定する。具体的には、所定の温度差、たとえば50℃の温度差を有する複数の基板温度で反り量を測定する。たとえば、基板温度を350℃、400℃、450℃、500℃、550℃、600℃とした状態で、それぞれ上述した方法によって反り量を測定してもよい。上述した350℃以上600℃以下の範囲における上記それぞれの基板温度での反り量のうち最大の反り量を第2の反り量としてもよい。
(基板温度が600℃超え1200℃以下であるときの反り量の測定方法)
図3に示した測定装置を用いて、炭化珪素エピタキシャル基板10に関して基板温度が600℃超え1200℃以下であるときの反り量を測定する。具体的には、所定の温度差、たとえば50℃の温度差を有する複数の基板温度で反り量を測定する。たとえば、基板温度を650℃、700℃、750℃、800℃、850℃、900℃、950℃、1000℃、1050℃、1100℃、1150℃、1200℃とした状態で、それぞれ上述した方法によって反り量を測定してもよい。上述した600℃超え1200℃以下の範囲における上記それぞれの基板温度での反り量のうち最大の反り量を第3の反り量としてもよい。
(炭化珪素エピタキシャル基板の製造方法)
次に、本実施形態に係る炭化珪素エピタキシャル基板の製造方法について説明する。
まず、図5に示すように基板を準備する工程(S10)を実施する。具体的には、たとえば昇華法により、炭化珪素単結晶が製造される。当該炭化珪素単結晶を、たとえばワイヤーソーによってスライスすることにより炭化珪素単結晶基板となるべき基板を得る。
次に、図5に示すように、基板を加工する工程(S20)を行う。具体的には、まず当該基板に対して端部の面取り加工を行う(S21)。面取り加工の加工方法は従来周知の任意の方法を用いることができる。次に、基板において、炭化珪素単結晶基板における第1主面および第2主面となるべき面に研削加工を施す(S22)。研削加工の方法としては任意の方法を用いることができる。
次に、当該第1主面および第2主面となるべき面を機械研磨する(S23)。機械研磨の方法は任意の方法を用いることができるが、たとえば砥粒を少なくとも含む液体を基板表面に供給しながら研磨布を用いて機械研磨を行ってもよい。また、上記2つの面を同時に研磨してもよい。なお、この機械研磨により、基板の第2面となるべき面の表面には歪層が形成される。機械研磨で用いる砥粒の粒径は、たとえば0.2μm以上3.0μm以下としてもよい。
次に、基板の第2主面(裏面)となるべき面に対して、化学機械研磨(CMP)加工を行う(S24)。CMP加工において使用する砥粒や添加剤などのプロセス条件は従来周知の条件から適宜選択できる。ただし、このCMP工程における研磨量は、上述した機械研磨において用いた砥粒の径の3倍以上とする。このようにすることで、炭化珪素結晶基板の第2面における歪層を除去することができる。なお、CMP工程において用いる砥粒の粒径はたとえば1nm以上200nm以下としてもよい。
次に、基板の第1主面となるべき面に対して、CMP加工を行う(S25)。CMP加工において使用する砥粒や添加剤などのプロセス条件は従来周知の条件から適宜選択できる。このようにして、炭化珪素エピタキシャル基板10を構成する炭化珪素単結晶基板1を得る。
次に、図5に示すように、エピタキシャル層を形成する工程(S30)を実施する。具体的には、炭化珪素単結晶基板1の第1主面上に炭化珪素層2をエピタキシャル成長させる。当該炭化珪素層2を成長させる方法は、従来周知の任意の方法を用いることができる。このようにして、図1に示す炭化珪素エピタキシャル基板を得ることができる。
なお、このエピタキシャル層を形成する工程(S30)では、炭化珪素単結晶基板1が成膜装置のサセプタなどに搭載され、加熱される。本実施形態に係る炭化珪素単結晶基板1では、第2主面において歪層を有していないので、上述のような加熱時に炭化珪素単結晶基板1の反り量が大きくなってチャッキング不良などの問題が発生することを抑制し得る。
(実施例)
<試料>
以下のようなNo.1〜No.7の試料として直径6インチ、厚さが350μmの炭化珪素単結晶基板を準備した。
No.1の試料:
図5に示した工程(S10)および工程(S21)〜工程(S23)、工程(S25)を実施して試料No.1としての炭化珪素単結晶基板を得た。なお工程(S23)における機械研磨では砥粒として粒径が1μmのダイヤモンドからなる砥粒を用いた。
No.2の試料:
図5に示した工程(S10)および工程(S21)〜工程(S25)を実施して、試料No.2としての炭化珪素単結晶基板を得た。工程(S10)、工程(S21)〜工程(S23)、工程(S25)についてはNo.1の試料の製造プロセスと同様の条件とした。また、工程(S24)におけるCMPの条件としては、砥粒としてコロイダルシリカを、添加剤としてトリイソシアヌル酸ナトリウムおよび水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)を超純水に含有させたスラリーを用いた。また、この工程(S24)におけるCMPで用いた研磨布としては、スエードまたは不織布を用いた。不織布としては、アスカーA硬度が30〜70であってもよく、30〜50であってもよい。この工程(S24)における研磨量は1μmとした。
No.3の試料:
図5に示した工程(S10)および工程(S21)〜工程(S25)を実施して、試料No.3としての炭化珪素単結晶基板を得た。工程(S10)、工程(S21)〜工程(S25)についてはNo.2の試料の製造プロセスと同様の条件とした。ただし、工程(S24)におけるCMPでの研磨量は3μmとした。
No.4の試料:
図5に示した工程(S10)および工程(S21)〜工程(S25)を実施して、試料No.4としての炭化珪素単結晶基板を得た。工程(S10)、工程(S21)〜工程(S25)についてはNo.2の試料の製造プロセスと同様の条件とした。ただし、工程(S24)におけるCMPでの研磨量は5μmとした。
No.5の試料:
図5に示した工程(S10)および工程(S21)〜工程(S25)を実施して、試料No.5としての炭化珪素単結晶基板を得た。工程(S10)、工程(S21)〜工程(S23)、工程(S25)についてはNo.1の試料の製造プロセスと同様の条件とした。また、工程(S24)におけるCMPの条件としては、砥粒としてコロイダルシリカを、添加剤としてジクロロイソシアヌル酸ナトリウムを超純水に含有させたスラリーを用いた。この工程(S24)における研磨量は3μmとした。
No.6の試料:
図5に示した工程(S10)および工程(S21)〜工程(S25)を実施して、試料No.6としての炭化珪素単結晶基板を得た。工程(S10)、工程(S21)〜工程(S23)、工程(S25)についてはNo.1の試料の製造プロセスと同様の条件とした。また、工程(S24)におけるCMPの条件としては、砥粒として酸化ジルコニウムを、添加剤として硝酸および過マンガン酸ナトリウムを超純水に含有させたスラリーを用いた。この工程(S24)における研磨量は3μmとした。
No.7の試料:
図5に示した工程(S10)および工程(S21)〜工程(S25)を実施して、試料No.7としての炭化珪素単結晶基板を得た。工程(S10)、工程(S21)〜工程(S23)、工程(S25)についてはNo.1の試料の製造プロセスと同様の条件とした。また、工程(S24)におけるCMPの条件としては、砥粒として酸化クロムを、添加剤として次亜塩素酸ナトリウムおよびリンゴ酸を超純水に含有させたスラリーを用いた。この工程(S24)における研磨量は3μmとした。
<測定>
表面の算術平均粗さSaの測定:
各試料の第1主面(表面)および第2主面(裏面)について、算術平均粗さSa(以下、表面粗さSaと呼ぶこともある)を測定した。測定方法としては、白色干渉顕微鏡等を用いて測定した。白色干渉顕微鏡の測定面積は、たとえば255μm角とし、測定位置はそれぞれの面における中央、および中央から外周に向けて30mmの位置であって周方向に等間隔に配置された4カ所の合計5点について算術平均粗さSaを測定し、当該測定データの平均値を各面の算術平均粗さSaとした。
歪層の測定:
各試料の第2主面(裏面)について、歪層(ダメージ層と呼ぶこともある)の深さを測定した。歪層の測定方法としては、EBSD法を用いた。具体的には、各試料の第2主面の中央と端部とにおいてEBSD法により面方位を測定することにより、歪層の存在を判断した。
加熱時の基板の反りの測定:
図3に示した装置を用いて、基板温度を450℃にしたときに各試料の反り量を測定した。
<結果>
結果を表1に示す。なお、表1中、裏面のCMP研磨量とは上述した工程(S24)における研磨量を示す。また、裏面粗さSaとは第2主面での算術平均粗さSaを示す。表面粗さSaとは、第1主面での算術平均粗さSaを示す。EBSD裏面ダメージ深さとは、第2面でのEBSD法により測定した歪層の深さを示す。また、450℃における基板反りの評価の欄については、反り量が25μmという閾値未満である場合をOK、当該閾値以上となった場合をNGと表示している。
Figure 2017075072
表1に示すように、試料No.1および試料No.2については、第2主面に対するCMP研磨量が少なかったことから第2主面に歪層が残存していたため、450℃での反り量が相対的に大きくなった。一方、試料No.3〜7については、第2主面において歪層が残存していなかったため、450℃での反り量が相対的に小さくなっていた。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 炭化珪素単結晶基板
2 炭化珪素層
3 第1主面
4 第2主面
5 第3主面
6 第4主面
10 炭化珪素エピタキシャル基板
20 加熱ステージ
21 支持ピン
22 測定容器
23 蓋体(ガラス板)
24 レーザ光源
25 ミラー
26 矢印
27 検出器
30 架台
31 平坦面

Claims (6)

  1. 第1主面と、前記第1主面と反対側の第2主面とを有する炭化珪素単結晶基板と、
    前記第1主面上の炭化珪素層とを備え、
    前記炭化珪素単結晶基板は前記第2主面において歪層を有しておらず、
    基板温度が室温のときの反り量を第1の反り量とし、前記基板温度が350℃以上600℃以下であるときの反り量を第2の反り量としたときに、前記第1の反り量は25μm以下であり、前記第1の反り量と前記第2の反り量との差の絶対値は25μm以下である、炭化珪素エピタキシャル基板。
  2. 前記炭化珪素単結晶基板と前記炭化珪素層との合計厚さが300μm以上550μm以下である、請求項1に記載の炭化珪素エピタキシャル基板。
  3. 前記炭化珪素単結晶基板の最大径は110mm以上150mm以下である、請求項1または請求項2に記載の炭化珪素エピタキシャル基板。
  4. 前記第2主面の三次元表面粗さ測定における算術平均粗さSaは0.3nm以下である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の炭化珪素エピタキシャル基板。
  5. 前記基板温度が600℃超え1200℃以下であるときの反り量を第3の反り量としたときに、前記第1の反り量と前記第3の反り量との差の絶対値は25μm以下である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の炭化珪素エピタキシャル基板。
  6. 前記炭化珪素層の厚さは5μm以上50μm以下である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の炭化珪素エピタキシャル基板。
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