JP2017074927A - スタッダブルタイヤ、及び、スタッダブルタイヤのトレッドにおけるトップゴム層を形成するゴム及びベースゴム層を形成するゴムの選定方法 - Google Patents

スタッダブルタイヤ、及び、スタッダブルタイヤのトレッドにおけるトップゴム層を形成するゴム及びベースゴム層を形成するゴムの選定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】スタッドのエッジ性能、耐スタッド抜け性能等の性能を長期間維持できるスタッダブルタイヤ等を提供する。【解決手段】スタッドが取付穴に取付けられてピン部がトレッドの表面よりも突出するように構成されたスタッダブルタイヤにおいて、トレッドのトップゴム層を形成するゴム及びベースゴム層を形成するゴムが、以下の評価式(1)、0.5≦スタッドの摩耗量/トップゴム層のゴムの摩耗量=k×(ベースゴム層のゴムの室温時の弾性率×トップゴム層のゴムの室温時の弾性率)≦1.5…(1)、但し、スタッドの摩耗量=スタッドの摩耗後の高さ−スタッドの摩耗前の高さ、トップゴム層のゴムの摩耗量=トレッドの摩耗後の層厚−トレッドの摩耗後の層厚、(kは定数)を満たすゴムであることを特徴とする。【選択図】図2

Description

本発明は、スタッダブルタイヤ、及び、スタッダブルタイヤのトレッドにおけるトップゴム層を形成するゴム及びベースゴム層を形成するゴムを選定する方法に関する。
スタッダブルタイヤは、トレッドの表面側にスタッドを取り付けるための取付穴が形成されたタイヤと、当該タイヤの取付穴内に嵌め込まれて取付けられたスタッドとを備えた構成である。取付穴は、タイヤのトレッドの表面に開口するように形成されている。スタッドは、ボディ部と、ボディ部の中心軸に沿った方向の一端に設けられたピン部と、ボディ部の中心軸に沿った方向の他端に設けられたフランジ部とを備えている。
そして、スタッダブルタイヤは、スタッドのフランジ部及びボディ部が取付穴に取付けられてピン部がトレッドの表面よりも突出するように構成されている。尚、ボディ部の一端側もトレッドの表面から突出するように構成されている場合もある(特許文献1等参照)。
特開2010−70052号公報
スタッドのピン部は、アスファルト路面を走行した場合に削れて氷路面を走行した場合に氷に突き刺さるように、アスファルトよりも柔らかくて氷よりも硬い部材(例えばタングステンカーバイト等)により形成されているのに対して、スタッドのボディ部は、ピン部よりも柔らかい部材(例えばアルミニウム等)により形成されている。
よって、従来のスタッダブルタイヤで氷路面を走行した場合の摩耗の進行具合は、トレッドの表面側のゴムから先に摩耗していってピン部があまり摩耗せずに残るようになってしまう傾向があった。
即ち、従来のスタッダブルタイヤは、トレッドの表面側のゴムから先に摩耗していってピン部があまり摩耗せずに残るようになってしまう傾向があるため、スタッドが取付穴から抜け易くなり、スタッドのエッジ性能、耐スタッド抜け性能等が発揮されなくなってしまうという課題があった。
しかしながら、トレッドの表面側のゴムの耐摩耗性を向上させるために、トレッドの表面側のゴムの弾性率を大きくすると、トレッドの表面側のゴムの摩耗は減少するが、ピン部やボディ部を強く路面に押し付けてしまい、ピン部やスタッド全体の耐摩耗が悪化してしまうことがわかった。
また、ゴム部分に合わせてピン部やスタッドも早めに摩耗するようにピン部の部材の硬さを柔らかくすると、必要な氷路面での氷上性能が得られない問題があった。
そこで、発明者は鋭意検討を行った結果、トレッドゴムを表面層を形成するトップゴム層と当該トップゴム層に隣接するベースゴム層との2層構造とし、トップゴム層でのゴムの弾性率を大きくすることで、トレッドゴムの耐摩耗性を向上させるとともに、ベースゴム層のゴムの弾性率を小さくすることで、ピン部の部材の硬さを柔らかくすることなく、ピン部の耐摩耗性を適度に低下させることができることがわかった。さらに、スタッドのピン部やスタッドの部材の硬さを変化させることなく、トレッドゴムのトップゴム層及びベースゴム層の弾性率タフネスTF又は弾性率E’の比を最適にすることで、ピン部やスタッド全体とトレッドゴムの摩耗が進行していく程度をほぼ同じに制御できることがわかった。
本発明は、スタッドのエッジ性能、耐スタッド抜け性能等の性能を長期間維持できるスタッダブルタイヤ、及び、スタッダブルタイヤのトレッドにおけるトップゴム層を形成するゴム及びベースゴム層を形成するゴムの選定方法を提供することを目的とする。
本発明に係るスタッダブルタイヤは、トレッドの表面側にスタッドを取り付けるための取付穴が形成されたタイヤと、当該タイヤの取付穴内に取付けられたスタッドとを備え、トレッドが、トレッドの表面層を形成するトップゴム層と、トップゴム層よりもタイヤ径方向内側に位置されてトップゴム層と隣接するベースゴム層とを備え、スタッドが、ボディ部と、ボディ部の中心軸に沿った方向の一端に設けられたピン部と、ボディ部の中心軸に沿った方向の他端に設けられたフランジ部とを備え、スタッドが取付穴に取付けられてピン部がトレッドの表面よりも突出するように構成されたスタッダブルタイヤにおいて、トレッドのトップゴム層を形成するゴム及びベースゴム層を形成するゴムが、以下の評価式(1)、0.5≦スタッドの摩耗量/トップゴム層のゴムの摩耗量=k×(ベースゴム層のゴムの室温時の弾性率×トップゴム層のゴムの室温時の弾性率)≦1.5…(1)、但し、スタッドの摩耗量=スタッドの摩耗後の高さ−スタッドの摩耗前の高さ、トップゴム層のゴムの摩耗量=トレッドの摩耗後の層厚−トレッドの摩耗後の層厚、(kは定数)を満たすゴムであるので、トレッドの表面側のゴムから先に摩耗していってピン部があまり摩耗せずに残る傾向を抑制できて、スタッドが取付穴から抜け難くなり、スタッドのエッジ性能、耐スタッド抜け性能等の性能を長期間維持できるスタッダブルタイヤを提供できる。
また、前記ベースゴム層のゴムの室温時の弾性率及び前記トップゴム層のゴムの室温時の弾性率がタフネスTFであって、弾性率TFにおける定数kがk=4.3×10−5〜34.1×10−5(1/(N・m)2)を満たすので、上述したようにスタッドのエッジ性能、耐スタッド抜け性能等の性能を長期間維持できるスタッダブルタイヤを提供できる。
また、前記ベースゴム層のゴムの室温時の弾性率及び前記トップゴム層のゴムの室温時の弾性率が動的引張弾性率E’であって、弾性率E’における定数kがk=7.0×10−3〜56.2×10−3(1/(MPa)2)を満たすので、上述したようにスタッドのエッジ性能、耐スタッド抜け性能等の性能を長期間維持できるスタッダブルタイヤを提供できる。
また、取付穴は、取付穴の中心軸に沿った方向の一方側に設けられてトレッド表面に開口する開口側部と、取付穴の中心軸に沿った方向の他方側に設けられた底側部とを備え、ベースゴム層を形成するゴムの室温時の弾性率と加硫時の弾性率との比がトップゴム層を形成するゴムの室温時の弾性率と加硫時の弾性率との比よりも大きく、トップゴム層とベースゴム層との境界面が、取付穴の開口側部と底側部との境界位置よりもトレッドの表面に近い位置に形成されたので、ベースゴム層を形成するゴムが、トップゴム層を形成するゴムと比べて、室温時に硬く、加硫時に柔らかくなる特性を有するため、加硫時である脱型時の脱型性能が向上するとともに、室温時であるスタッダブルタイヤの使用時の耐スタッド抜け性能が向上し、さらに、脱型時及びスタッダブルタイヤの使用時において境界面に大きな歪が発生しないようになり、境界面でゴムが破壊されにくくなるので、脱型性能及び耐スタッド抜け性能が向上する。
尚、上述したゴムの室温時の弾性率と加硫時の弾性率は、50%モジュラス(M50)、300%モジュラス(M300)、タフネスTF、動的引張弾性率E’、破断時の引張強さTB、破断時の伸びEBであっても成立する。また、ベースゴム層を形成するゴムもトップゴム層を形成するゴムも、室温時の温度は23℃、加硫時の温度は100℃のときを測定している。
また、取付穴の中心軸に沿った方向における境界面と境界位置との間の距離は、取付穴の底側部の中心軸に沿った方向の高さ寸法よりも小さいので、脱型時及びスタッダブルタイヤの使用時において境界面に大きな歪が発生しないようになり、境界面でゴムが破壊されにくくなるので、脱型性能及び耐スタッド抜け性能が向上する。
本発明に係るスタッダブルタイヤのトレッドにおけるトップゴム層を形成するゴム及びベースゴム層を形成するゴムの選定方法は、トレッドの表面側にスタッドを取り付けるための取付穴が形成されたタイヤと、当該タイヤの取付穴内に取付けられたスタッドとを備え、トレッドが、トレッドの表面層を形成するトップゴム層と、トップゴム層よりもタイヤ径方向内側に位置されてトップゴム層と隣接するベースゴム層とを備え、スタッドが、ボディ部と、ボディ部の中心軸に沿った方向の一端に設けられたピン部と、ボディ部の中心軸に沿った方向の他端に設けられたフランジ部とを備え、スタッドが取付穴に取付けられてピン部がトレッドの表面よりも突出するように構成されたスタッダブルタイヤにおけるトレッドのトップゴム層を形成するゴム及びベースゴム層を形成するゴムの選定方法であって、以下の評価式(1)、0.5≦スタッドの摩耗量/トップゴム層のゴムの摩耗量=k×(ベースゴム層のゴムの室温時の弾性率×トップゴム層のゴムの室温時の弾性率)≦1.5…(1)、但し、スタッドの摩耗量=スタッドの摩耗後の高さ−スタッドの摩耗前の高さ、トップゴム層のゴムの摩耗量=トレッドの摩耗後の層厚−トレッドの摩耗後の層厚、(kは定数)に基づいて、トレッドのトップゴム層を形成するゴム及びベースゴム層を形成するゴムを選定したので、トレッドの表面側のゴム及びボディ部の一端側から先に摩耗していってピン部があまり摩耗せずに残る傾向を抑制できて、スタッドが取付穴から抜け難くなり、スタッドのエッジ性能、耐スタッド抜け性能等の性能を長期間維持できるスタッダブルタイヤを製造できるが、弾性率が23℃のタフネス、又は、弾性率が23℃の動的引張弾性率のときが最もスタッドとゴムとの摩耗の進行を制御できることがわかった。
また、前記ベースゴム層のゴムの室温時の弾性率及び前記トップゴム層のゴムの室温時の弾性率がタフネスTFであって、弾性率TFにおける定数kがk=4.3×10−5〜34.1×10−5(1/(N・m)2)を満たすので、上述したようにスタッドのエッジ性能、耐スタッド抜け性能等の性能を長期間維持できるスタッダブルタイヤを提供できる。
また、前記ベースゴム層のゴムの室温時の弾性率及び前記トップゴム層のゴムの室温時の弾性率が動的引張弾性率E’であって、弾性率E’における定数kがk=7.0×10−3〜56.2×10−3(1/(MPa)2)を満たすので、上述したようにスタッドのエッジ性能、耐スタッド抜け性能等の性能を長期間維持できるスタッダブルタイヤを提供できる。
なお、前記発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、特徴群を構成する個々の構成もまた発明となり得る。
(a)摩耗前のスタッダブルタイヤのスタッド部分を示す断面図、(b)は摩耗後のスタッダブルタイヤのスタッド部分を示す断面図。 実験結果を示す図表。 実験結果を示す図表。 (a)は取付穴の平面図、(b)は取付穴の縦断面図。 (a)はスタッドの平面図、(b)はスタッドの正面図。 スタッダブルタイヤを示す断面図。 スタッドの取付方法を示す図。 実験結果を示す図表。 実験結果を示す図表。 実験結果を示す図表。
以下、実施形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明される特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1乃至図7を参照し、スタッダブルタイヤ(スパイクタイヤと呼ばれる場合もある)10の構成を説明する。
図6に示すように、スタッダブルタイヤ10は、トレッド14の表面14a側にスタッド2(スパイクピンと呼ばれる場合もある)を取り付けるための取付穴3が形成されたタイヤ1と、タイヤ1の取付穴3内に嵌め込まれて取付けられたスタッド2とを備えた構成である。取付穴3は、タイヤ1のトレッド14の表面14aに開口するように形成されている。
タイヤ1は、ビード部11、ビードコア11C、カーカス層12、ベルト層13a,13b、トレッド14、サイドトレッド15、取付穴3を備える。
カーカス層12は、ビード部11に配置された1対のビードコア11Cにトロイド状をなして跨るように設けられた、当該タイヤ1の骨格を成す部材で、このカーカス層12のクラウン部のタイヤ径方向外側に内側のベルト層13a及び外側のベルト層13bが配置されている。当該ベルト層13a,13bは、それぞれ、スチールコードもしくは有機繊維を撚ったコードを、タイヤの赤道方向に対して例えば20°〜70°の角度で交錯するように配置したもので、タイヤ径方向内側に配置されるベルト層13aのコードの延長方向とタイヤ径方向外側に配置されるベルト層13bのコードの延長方向とは互いに交錯している。
トレッド14はベルト層13a,13bのタイヤ径方向外側に配置されたゴム部材(トレッドゴム)である。
トレッド14は、図1,図4に示すように、ベルト層13a,13bのタイヤ径方向外側に設けられたベースゴム層14Bと、当該ベースゴム層14B上に積層されてトレッド14の表面層を形成するトップゴム層14Tとを備える。即ち、トレッド14は、トレッド14の表面層を形成するトップゴム層14Tと、トップゴム層14Tよりもタイヤ径方向内側に位置されてトップゴム層14Tと隣接するベースゴム層14Bとを備えた構成である。
図6に示すように、トレッド14の表面14aには、タイヤ周方向及びタイヤ巾方向に沿って傾斜し延長するように設けられた傾斜ラグ主溝16が形成されており、これらの傾斜ラグ主溝16により複数の陸部(ブロック)17A,17B,18が区画される。陸部17Aはタイヤセンター部に位置する中央陸部で、陸部17Bは上記中央陸部17Aのタイヤ幅方向の両外側に位置する外側陸部、陸部18は上記外側陸部17Bのタイヤ幅方向の両外側に位置するショルダー側陸部である。
各陸部17A,17B,18の表面には、複数のサイプ19が形成されている。
サイドトレッド15はトレッド14の端部からタイヤのサイド部に延長してカーカス層12を覆うゴム部材である。
トレッド14と外側のベルト層13bとの間には、スタッド2下(タイヤ径方向内側)のゴムのへたりにより、スタッド2が陥没して外側のベルト層13bに突き刺さるのを防止するためのベルト保護層13cが設けられる。ベルト保護層13cは、有機繊維等から成るコードを備えた構成である。
取付穴3は、例えばショルダー側陸部18と外側陸部17Bとに設けられる。
図5に示すように、スタッド2は、ボディ部21と、ボディ部21の中心軸に沿った方向の一端に設けられたピン部(チップと呼ばれる場合もある)22と、ボディ部21の中心軸に沿った方向の他端に設けられたフランジ部23とを備えて構成された、ボディ部21の中心軸に沿った方向に長い円柱状部材である。
スタッド2は、ボディ部21の中心軸とピン部22の中心軸とフランジ部23の中心軸とが、連続する一直線により形成され、当該連続する一直線がスタッド2の中心軸2C(以下、単に「中心軸2C」という)を形成する。
ボディ部21は、中心軸2Cに沿った方向の一端側に位置されるアッパー部21Aと、中心軸2Cに沿った方向の他端側に位置されるローアー部21Bと、アッパー部21Aとローアー部21Bとを繋ぐミドル部21Cと、を備える。
アッパー部21Aは、中心軸2Cと直交する断面形状が中心軸2Cに沿った全長に亘って等しい円柱体に形成される。
ローアー部21Bは、中心軸2Cと直交する断面形状が中心軸2Cに沿った全長に亘って等しい円柱体に形成される。
アッパー部21Aの断面径とローアー部21Bの断面径との関係は、アッパー部21Aの断面径>ローアー部21Bの断面径である。
ミドル部21Cは、中心軸2Cと直交する断面形状の径が、アッパー部21A側からローアー部21B側に近づくに従って徐々に小さくなる逆円錐状柱体により形成される。
ボディ部21の先端面21tは、例えば、中心軸2Cと直交する平面、又は、中心軸2Cに沿った方向の一端に向けて突出するように湾曲する湾曲面、又は、中心軸2Cに沿った方向の他端に向けて窪むように湾曲する湾曲面に形成されている。
ピン部22は、中心軸2Cと直交する断面形状が中心軸2Cに沿った全長に亘って等しい円柱体に形成される。
ピン部22の先端面22tは、例えば、中心軸2Cと直交する平面、又は、中心軸2Cに沿った方向の一端に向けて突出するように湾曲する湾曲面、又は、中心軸2Cに沿った方向の他端に向けて窪むように湾曲する湾曲面に形成されている。
フランジ部23は、外周面24が拡径した後に中心軸2Cに沿った方向の一端側から他端側に向けて縮径して他端面25に繋がるように形成され、フランジ部23の外周面24の最大外周径位置24Mが中心軸2Cに沿った方向であるフランジ部厚さ方向の厚さ寸法Tの1/2の位置よりもピン部22側に位置するように構成されている。
図外の打込みマシンにより、図7に示すように、スタッド2がタイヤ1のトレッド14の表面14a側に形成された取付穴3にスタッド2の他端側であるフランジ部23側から嵌め込まれる。
スタッド2の高さ寸法は取付穴3の深さ寸法よりも長く形成され、スタッド2の一端側であるピン部22がトレッド14の表面14aより突出するようにスタッド2がトレッド14の表面14a側に埋込まれてスタッダブルタイヤ10が構成される。
即ち、スタッダブルタイヤ10は、スタッド2のフランジ部23及びボディ部21が取付穴3に取付けられてピン部22がトレッド14の表面14aよりも突出するように構成されている。尚、ボディ部21の一端側もトレッド14の表面14aから突出するように構成されている場合もある(図7(b)参照)。
スタッダブルタイヤ10のスタッド2のピン部22は、アスファルト路面を走行した場合に削れて氷路面を走行した場合に氷に突き刺さるように、アスファルトよりも柔らかくて氷よりも硬い材料(例えばタングステンカーバイト等)により形成されているのに対して、スタッド2のボディ部21は、ピン部22よりも柔らかい材料(例えばアルミニウム等)により形成される。
従って、スタッダブルタイヤ10は、トレッド14を形成するゴムによっては、トレッド14の表面14a側のゴム及びボディ部21の一端側から先に摩耗していってピン部22があまり摩耗せずに残るようになってしまう傾向が強くなる。この場合、スタッド2が取付穴3から抜け易くなり、スタッダブルタイヤ10のエッジ性能、耐スタッド抜け性能等が発揮されなくなってしまう可能性がある。
そこで、実施形態では、トレッド14の表面14a側のゴム及びボディ部21の一端側から先に摩耗していってピン部22があまり摩耗せずに残る傾向を抑制できるようにするために、スタッドの摩耗量と関係するベースゴム層14Bのゴムの弾性に関する特性値、及び、トップゴム層14Tのゴムの摩耗量と関係するトップゴム層14Tのゴムの弾性に関する特性値を用いた評価式に基づいて、トレッド14のトップゴム層14Tを形成するゴム及びベースゴム層14Bを形成するゴムとして、適切なゴムを選定するようにした。
実施形態では、スタッダブルタイヤ10を装着した車両が路面を走行した場合、トレッド14の表面14aよりも突出するスタッドの摩耗量は、スタッドを路面に押し付けるベースゴム層14Bのゴムの弾性率であるタフネスTF(ゴムの破断時の引張強さTBと破断時の伸びEBの積分値)に比例するとともに、トップゴム層14Tのゴムの摩耗量は、トップゴム層14TのゴムのタフネスTFに反比例するとして、
スタッドの摩耗量(PO−PB)=ks×(ベースゴム層のゴムのタフネスTF)…(1)
トップゴム層のゴムの摩耗量(GO−GB)=kt×(1/トップゴム層のゴムのタフネスTF)…(2)
とした。
但し、
スタッドの摩耗量(PO−PB)=スタッドの摩耗前の高さPO−スタッドの摩耗後の高さPB
トップゴム層のゴムの摩耗量(GO−GB)=トップゴム層のゴムの摩耗前の層厚GO−トップゴム層のゴムの摩耗後の層厚GB
s,ktは定数。
尚、POはスタッド2の他端面からスタッドの摩耗前(初期状態)の一端(先端)面までの高さ寸法(図1(a)参照)、PBはスタッド2の他端面からスタッドの摩耗後の一端面までの高さ寸法(図1(b)参照)、GOはベースゴム層14Bの他端面(ベルト層との境界面)から摩耗前(初期状態)のトップゴム層14Tの一端面(表面)までのトレッド14の層厚寸法(図1(a)参照)、GBはベースゴム層14Bの他端面から摩耗後のトップゴム層14Tの一端面までのトレッド14の層厚寸法(図1(b)参照)である。
そして、式(1),(2)を変形して、
スタッドの摩耗量/トップゴム層のゴムの摩耗量=k×(ベースゴム層のゴムの室温時のタフネスTF×トップゴム層のゴムの室温時のタフネスTF)…(3)
但し、kは定数。
とし、トップゴム層14Tを形成するゴム及びベースゴム層14Bを形成するゴムとして、当該式(3)が、1に近い値になるようなゴムを用いるようにした。
例えば、スタッダブルタイヤ10のトレッド14におけるトップゴム層14Tを形成するゴム及びベースゴム層14Bを形成するゴムを選定するに際し、評価式(1)として、
0.5≦スタッドの摩耗量/トップゴム層のゴムの摩耗量=k×(ベースゴム層のゴムの室温時のタフネスTF×トップゴム層のゴムの室温時のタフネスTF)≦1.5…(1)
を用い、当該評価式(1)を満たすゴムを、スタッダブルタイヤ10のトレッド14のトップゴム層14Tを形成するゴム及びベースゴム層14Bを形成するゴムとして用いるようにした。
当該評価式(1)を満たすゴムを用いて形成されたトレッド14を備えたスタッダブルタイヤ10によれば、スタッドの摩耗量(PO−PB)とトレッド14のトップゴム層14Tのゴムの摩耗量(GO−GB)との差を小さくできて、トレッド14の表面14a側のゴムから先に摩耗していってピン部22があまり摩耗せずに残る傾向を抑制でき、性能を長期間維持できるようになる。
即ち、当該評価式(1)を満たすトップゴム層14Tを形成するゴム及びベースゴム層14Bを形成するゴムを用いて形成されたスタッダブルタイヤ10によれば、スタッドの摩耗量(PO−PB)とトレッド14のトップゴム層14Tのゴムの摩耗量(GO−GB)との差を小さくできること、つまり、トレッド14の表面14a側のゴムの摩耗の進み具合とスタッドの一端側の摩耗の進み具合との差を近付けることが可能となる。
よって、当該スタッダブルタイヤ10によれば、従来と比べて、トレッド14の表面14a側のゴムから先に摩耗していってスタッドがあまり摩耗せずに残る傾向が抑制されて、スタッド2が取付穴3から抜け難くなり、スタッダブルタイヤ10のエッジ性能、耐スタッド抜け性能等の性能を長期間維持できるようになる。
図2にタフネスと摩耗量との関係を示す。即ち、ベースゴム層のゴムのタフネスTFとトップゴム層のゴムのタフネスTFとの組み合わせが異なる複数のスタッダブルタイヤを作製し、各スタッダブルタイヤにおける実際のスタッドの摩耗量/トップゴム層のゴムの摩耗量の値、及び、各スタッダブルタイヤにおけるkの最小値及びkの最大値の計算値を図2に示した。
即ち、図2に示した各実施例及び各比較例のスタッダブルタイヤにおいて、0.5=k×(ベースゴム層のゴムの室温時のタフネスTF×トップゴム層のゴムの室温時のタフネスTF)を満たすkの最小値を算出するとともに、1.5=k×(ベースゴム層のゴムの室温時(23℃)のタフネスTF×トップゴム層のゴムの室温時(23℃)のタフネスTF)を満たすkの最小値を算出した。
そして、実際のスタッドの摩耗量/トップゴム層のゴムの摩耗量の値が、0.5から1.5の範囲内で好ましいスタッダブルタイヤである実施例1〜実施例5のスタッダブルタイヤにおいて、kの最小値及びkの最大値を求めた。即ち、kの最小値=4.3×10−5とし、kの最大値=34.1×10−5とした。
つまり、実験により得られたスタッドの摩耗量/トップゴム層のゴムの摩耗量の値が0.5以上1.5以下である実施例1乃至実施例5のスタッダブルタイヤにおいて、0.5=k×(ベースゴム層のゴムの室温時のタフネスTF×トップゴム層のゴムの室温時のタフネスTF)を満たすkの最小値=4.3×10−5と、1.5=k×(ベースゴム層のゴムの室温時のタフネスTF×トップゴム層のゴムの室温時のタフネスTF)を満たすkの最小値=34.1×10−5とを求め、当該k=4.3×10−5〜34.1×10−5を用いて評価式(1)からベースゴム層のゴムとトップゴム層のゴムとを選定することによって、トレッド14の表面14a側のゴムの摩耗の進み具合とスタッドの一端側の摩耗の進み具合との差が少なく、エッジ性能、耐スタッド抜け性能等の性能を長期間維持できるスタッダブルタイヤを得ることができるようにした。
即ち、スタッドの摩耗量/トップゴム層のゴムの摩耗量を、評価式、k×(ベースゴム層のゴムの室温時のタフネスTF×トップゴム層のゴムの室温時のタフネスTF)に置き換えて、0.5≦k×(ベースゴム層のゴムの室温時のタフネスTF×トップゴム層のゴムの室温時のタフネスTF)≦1.5を満たすようなベースゴム層のゴムとトップゴム層のゴムとを選定するようにしたことで、トレッド14の表面14a側のゴムの摩耗の進み具合とスタッドの一端側の摩耗の進み具合との差を近付けることができて、エッジ性能、耐スタッド抜け性能等の性能を長期間維持できるスタッダブルタイヤを得ることができるようにした。
特に、評価式のkをk=4.3×10−5〜34.1×10−5(1/(N・m)2)として、ベースゴム層のゴムとトップゴム層のゴムとを選定することによって、トレッド14の表面14a側のゴムの摩耗の進み具合とスタッドの一端側の摩耗の進み具合との差をより近付けることができて、エッジ性能、耐スタッド抜け性能等の性能を長期間維持できるスタッダブルタイヤを得ることができる。
また、スタッダブルタイヤ10を装着した車両が路面を走行した場合、トレッド14の表面14aよりも突出するスタッドの摩耗量は、ピン部22を路面に押し付けるベースゴム層14Bのゴムの動的引張弾性率(ヤング率)E’に比例するとともに、トップゴム層14Tのゴムの摩耗量は、トップゴム層14Tのゴムの動的引張弾性率E’に反比例するとして、
スタッドの摩耗量(PO−PB)=ks×(ベースゴム層のゴムの室温時の動的引張弾性率E’)…(1)’
トップゴム層のゴムの摩耗量(GO−GB)=kt×(1/トップゴム層のゴムの室温時の動的引張弾性率E’)…(2)’
としてもよい。但し、ks,ktは定数。
そして、式(1)’,(2)’を変形して、
スタッドの摩耗量/トップゴム層のゴムの摩耗量=k×(ベースゴム層のゴムの室温時の動的引張弾性率E’×トップゴム層のゴムの室温時の動的引張弾性率E’)…(3)’
但し、kは定数。
とし、トップゴム層14Tを形成するゴム及びベースゴム層14Bを形成するゴムとして、当該式(3)’が、1に近い値になるようなゴムを用いるようにした。
例えば、スタッダブルタイヤ10のトレッド14におけるトップゴム層14Tを形成するゴム及びベースゴム層14Bを形成するゴムを選定するに際し、評価式(1)’として、
0.5≦スタッドの摩耗量/トップゴム層のゴムの摩耗量=k×(ベースゴム層のゴムの室温時の動的引張弾性率E’×トップゴム層のゴムの室温時の動的引張弾性率E’)≦1.5…(1)’
を用い、当該評価式(1)’を満たすゴムを、スタッダブルタイヤ10のトレッド14のトップゴム層14Tを形成するゴム及びベースゴム層14Bを形成するゴムとして用いるようにした。
当該評価式(1)’を満たすゴムを用いて形成されたトレッド14を備えたスタッダブルタイヤ10によれば、スタッドの摩耗量(PO−PB)とトレッド14のトップゴム層14Tのゴムの摩耗量(GO−GB)との差を小さくできて、トレッド14の表面14a側のゴムから先に摩耗していってスタッドがあまり摩耗せずに残る傾向を抑制でき、性能を長期間維持できるようになる。
即ち、当該評価式(1)’を満たすトップゴム層14Tを形成するゴム及びベースゴム層14Bを形成するゴムを用いて形成されたスタッダブルタイヤ10によれば、スタッドの摩耗量(PO−PB)とトレッド14のトップゴム層14Tのゴムの摩耗量(GO−GB)との差を小さくできること、つまり、トレッド14の表面14a側のゴムの摩耗の進み具合とスタッドの一端側の摩耗の進み具合との差を近付けることが可能となる。
よって、当該スタッダブルタイヤ10によれば、従来と比べて、トレッド14の表面14a側のゴムから先に摩耗していってスタッドがあまり摩耗せずに残る傾向が抑制されて、スタッド2が取付穴3から抜け難くなり、スタッダブルタイヤ10のエッジ性能、耐スタッド抜け性能等の性能を長期間維持できるようになる。
図3に動的引張弾性率E’と摩耗量との関係を示す。即ち、ベースゴム層のゴムの動的引張弾性率E’とトップゴム層のゴムの動的引張弾性率E’との組み合わせが異なる複数のスタッダブルタイヤを作製し、各スタッダブルタイヤにおける実際のスタッドの摩耗量/トップゴム層のゴムの摩耗量の値、及び、各スタッダブルタイヤにおけるkの最小値及びkの最大値の計算値を図3に示した。
即ち、図3に示した各実施例及び各比較例のスタッダブルタイヤにおいて、0.5=k×(ベースゴム層のゴムの室温時(23℃)の動的引張弾性率E’×トップゴム層のゴムの室温時(23℃)の動的引張弾性率E’)を満たすkの最小値を算出するとともに、1.5=k×(ベースゴム層のゴムの室温時の動的引張弾性率E’×トップゴム層のゴムの室温時の動的引張弾性率E’)を満たすkの最小値を算出した。
そして、実際のスタッドの摩耗量/トップゴム層のゴムの摩耗量の値が、0.5から1.5の範囲内で好ましいスタッダブルタイヤである実施例1〜実施例5のスタッダブルタイヤにおいて、kの最小値及びkの最大値を求めた。即ち、kの最小値=7.0×10−3とし、kの最大値=56.2×10−3とした。
つまり、実験により得られたスタッドの摩耗量/トップゴム層のゴムの摩耗量の値が0.5以上1.5以下である実施例1乃至実施例5のスタッダブルタイヤにおいて、0.5=k×(ベースゴム層のゴムの室温時の動的引張弾性率E’×トップゴム層のゴムの室温時の動的引張弾性率E’)を満たすkの最小値=7.0×10−3と、1.5=k×(ベースゴム層のゴムの室温時の動的引張弾性率E’×トップゴム層のゴムの室温時の動的引張弾性率E’)を満たすkの最大値=56.2×10−3とを求め、当該k=7.0×10−3〜56.2×10−3を用いて評価式(1)’からベースゴム層のゴムとトップゴム層のゴムとを選定することによって、トレッド14の表面14a側のゴムの摩耗の進み具合とスタッドの一端側の摩耗の進み具合との差が少なく、エッジ性能、耐スタッド抜け性能等の性能を長期間維持できるスタッダブルタイヤを得ることができるようにした。
即ち、スタッドの摩耗量/トップゴム層のゴムの摩耗量を、評価式、k×(ベースゴム層のゴムの室温時の動的引張弾性率E’×トップゴム層のゴムの室温時の動的引張弾性率E’)に置き換えて、0.5≦k×(ベースゴム層のゴムの室温時の動的引張弾性率E’×トップゴム層のゴムの室温時の動的引張弾性率E’)≦1.5を満たすようなベースゴム層のゴムとトップゴム層のゴムとを選定するようにしたことで、トレッド14の表面14a側のゴムの摩耗の進み具合とスタッドの一端側の摩耗の進み具合との差を近付けることができて、エッジ性能、耐スタッド抜け性能等の性能を長期間維持できるスタッダブルタイヤを得ることができるようにした。
特に、評価式のkをk=7.0×10−3〜56.2×10−3(1/(MPa)2)として、ベースゴム層のゴムとトップゴム層のゴムとを選定することによって、トレッド14の表面14a側のゴムの摩耗の進み具合とスタッドの一端側の摩耗の進み具合との差をより近付けることができて、エッジ性能、耐スタッド抜け性能等の性能を長期間維持できるスタッダブルタイヤを得ることができる。
尚、50%モジュラス、300%モジュラス、破断時の引張強さTB、破断時の伸びEB、破断時のタフネスTF、動的引張弾性率E’せん断弾性率G’、圧縮弾性率K’、その他の多数の弾性率を、温度−50℃から加硫時の最高温度200℃まで検討したところ、室温23℃におけるタフネスTFの弾性率又は動的引張弾性率E’について最適な範囲にすれば、トレッドゴムとスタッドの摩耗の進行を最も的確に制御できることがわかった。
また、タフネスTFによる制御が望ましいが、タフネスTFは、ゴムの破断時の引張強さTBと破断時の伸びEBの積分値であるため、硬くすれば伸びなくなり、柔らかくすれば伸びるので、タフネスTFは大きく変わらないため制御は容易ではなく、制御のしやすさでは動的引張弾性率E’が制御しやすい。
即ち、上述したように、トレッド14のトップゴム層14Tを形成するゴム及びベースゴム層14Bを形成するゴムを選定する際に、k×(ベースゴム層のゴムの室温時の弾性率×トップゴム層のゴムの室温時の弾性率)を計算し、当該計算式の値が1に近い値になるようなゴムの組み合わせを良好な組み合わせであると推定するようにした。つまり、ベースゴム層のゴムの室温時の弾性率×トップゴム層のゴムの室温時の弾性率の値がどのように変わろうと、当該値に一定の数値範囲の係数kを掛けて0.5〜1.5になれば当該ベースゴム層とトップゴム層との組み合わせが良好であると推定するようにした。
例えば、新規にスタッダブルタイヤを設計する際において、実際のスタッドの摩耗量及びトップゴム層のゴムの摩耗量がわからなくても、タイヤを形成するベースゴム層のゴムの室温時の弾性率とトップゴム層のゴムの室温時の弾性率とがわかれば、k×(ベースゴム層のゴムの室温時の弾性率×トップゴム層のゴムの室温時の弾性率)を計算した値Xが、0.5≦X≦1.5を満たすようなベースゴム層のゴムとトップゴム層のゴムとの組み合わせを選定することによって、スタッドの摩耗量(PO−PB)とトレッド14のトップゴム層14Tのゴムの摩耗量(GO−GB)との差を小さくでき、エッジ性能、耐スタッド抜け性能等の性能を長期間維持できるスタッダブルタイヤを容易に設計できる。
また、タイヤ1は、図外のタイヤ金型から突出するように設けられたスタッド取付穴形成用突起を加硫前のタイヤにおけるトレッドの表面側からトレッドの内側に挿入した状態でタイヤを加硫し、タイヤを加硫した後にスタッド取付穴形成用突起をトレッドから脱型して取付穴3が形成される。このスタッド取付穴形成用突起をトレッドから脱型する場合、スタッド取付穴形成用突起をトレッドから引き抜く際の引き抜き抵抗によって取付穴3の内周面からトレッドゴムにクラック(亀裂)が生じる虞がある。そこで、スタッド取付穴形成用突起の形状を脱型しやすい形状にすることが考えられる。
しかしながら、スタッド取付穴形成用突起を脱型しやすい形状にすれば取付穴3に取付けられたスタッド2も抜けやすくなる可能性がある。
即ち、スタッダブルタイヤ10は、使用時においては、スタッド2が抜け難いこと、即ち、耐スタッド抜け性能が高いことが望ましいが、タイヤの加硫の際には、スタッド取付穴形成用突起がトレッド14から脱型しやすいようにして、脱型時にトレッドゴムにクラックを発生させないこと、即ち、脱型性能が高いことが望ましい。
しかしながら、耐スタッド抜け性能と脱型性能とは背反した性能であるため、これら性能を両立させることは困難であった。
そこで、実施形態1では、耐スタッド抜け性能と脱型性能とを両立させるために、取付穴3の形状を以下のように構成した。
図4(b)に示すように、取付穴3は、タイヤ1のトレッド14の表面14aからタイヤ1の円の中心(タイヤ1の回転中心軸)に向けて延長する穴により形成される。
取付穴3は、取付穴3の中心軸3Cに沿った方向の一方側に設けられてトレッド14の表面14aに開口する開口側部31と、取付穴3の中心軸3Cに沿った方向の他方側に設けられた底側部32とを備える。
尚、取付穴3の中心軸3Cとは、スタッド2が取り付けられる穴のタイヤ半径方向又はタイヤ半径方向に傾斜して穴が延在する方向の穴の中心軸、つまり、タイヤ径方向に直交する穴の断面の形状における重心(実際には穴内は空間であるので断面形状における仮想の重心)を通る中心軸をいう。
開口側部31は、漏斗形状の穴により形成される。即ち、開口側部31は、トレッド14の表面14aから取付穴3の穴底面35に向けて径寸法が徐々に小さくなる逆円錐形状に形成された穴入口側部34と、穴入口側部34と底側部32とを繋ぐ円筒状の穴中間側部33とを備える。
取付穴3の中心軸3Cと直交する平面と交わる取付穴3の内周面36の断面形状は円形である。
また、取付穴3の内周面(内壁面)36と取付穴3の穴底面35との境界が曲面により形成されている。
取付穴3の穴底面35は、取付穴3の底部の平面を形成する面であり、取付穴3の深さ方向の最深位置において中心軸3Cと直交する平面に形成されている。
トレッド14の表面14aに開口する穴入口側部34の開口3tの開口径、穴中間側部33の断面径、底側部32の断面径の大小関係は、穴入口側部34の開口3tの開口径>底側部32の断面径>穴中間側部33の断面径である。
取付穴3は、取付穴3の形状に対応した図外のスタッド取付穴形成用突起を加硫前のタイヤにおけるトレッドの表面側からトレッドの内側に挿入した状態でタイヤを加硫し、タイヤを加硫した後に当該スタッド取付穴形成用突起をトレッドから脱型することにより形成される。
底側部32の内周面36における取付穴3の中心軸3Cに沿った面は、取付穴3の中心軸3Cに沿って中心軸3Cから離れる方向に突出する曲面により形成される。
そして、取付穴3の中心軸3Cと直交する平面と交わる底側部32の内周面36の断面における最大径Cの位置36Mが、開口側部31と底側部32との境界位置37と穴底面35との間の中間位置39よりも穴底面35に近い位置に形成されている。
また、底側部32の内周面36において、前記最大径Cの位置36Mと前記境界位置37との間に位置する取付穴3の中心軸3Cに沿って湾曲する曲面である開口側曲面41の曲率半径R1が、前記最大径Cの位置36Mと底側部32の穴底面35との間に位置する取付穴3の中心軸3Cに沿って湾曲する曲面である穴底側曲面42の曲率半径R2よりも大きくなるように形成されている。
言い換えれば、穴底側曲面42の曲率が開口側曲面41の曲率よりも大きい(穴底側曲面42の曲がり具合が開口側曲面41の曲がり具合よりもきつい)構成となっている。
尚、内周面や曲面の曲率半径とは、取付穴3の中心軸3Cに沿った方向の中心軸3Cを含む取付穴3の断面を、取付穴3の深さ方向に側面視した場合の側方側の面を形成する線分の曲率半径をいう。
このように、底側部32の内周面36の最大径Cの位置36Mが、開口側部31と底側部32との境界位置37と穴底面35との間の中間位置39よりも穴底面35に近い位置に形成されているため、取付穴3の底側部32における開口側部31に近い側の内周面36において前記境界位置37と最大径Cの位置36Mとを繋ぐように最大径Cの位置36Mと境界位置37との間に位置する取付穴3の中心軸3Cに沿った曲面(開口側曲面41)の曲率半径R1を、取付穴3の穴底面35と最大径Cの位置36Mとを繋ぐように最大径Cの位置36Mと穴底面35との間に位置する取付穴3の中心軸3Cに沿った曲面(穴底側曲面42)の曲率半径R2よりも大きくできるようになる。このため、最大径Cの位置36Mと境界位置37との間に位置する取付穴3の中心軸3Cに沿った曲率半径の大きい開口側曲面41からのスタッド取付穴形成用突起51の引き抜き抵抗を小さくできて、スタッド取付穴形成用突起51が脱型しやすくなって、トレッド14にクラックが発生することを抑えることができる一方で、最大径Cの位置36Mと穴底面35との間に位置する取付穴3の中心軸3Cに沿った曲率半径の小さい穴底側曲面42により、当該取付穴3に取付けられたスタッド2のフランジ部23を拘束する拘束力が大きくなるため、スタッダブルタイヤ10の使用時においてはスタッド2が取付穴3から抜け難くなる。即ち、脱型性能と耐スタッド抜け性能とを両立できる取付穴を備えたタイヤを提供できる。言い換えれば、脱型性能に優れたスタッド取付穴形成用突起を用いて形成された耐スタッド抜け性能に優れた取付穴3を備えたタイヤ1を得ることができる。
尚、穴底面35と前記境界位置37との間の距離、即ち底側部32の高さ寸法をdとし、前記境界位置37と最大径Cの位置36Mとの間の距離をd1とし、穴底面35と最大径Cの位置36Mとの間の距離をd2とした場合、最大径Cの位置36M=d2=d1/dの位置範囲を、0.5<d1/d<0.9、好ましくは、0.5<d1/d<0.7としたことで、脱型性能と耐スタッド抜け性能とを両立できる取付穴3を形成できる。
また、底側部32の最大径Cと穴中間側部33の径Bとの比=C/Bの数値の範囲を、1.0≦C/B≦1.6としたので、脱型性能と耐スタッド抜け性能とを両立できる取付穴3を形成できる。C/Bが小さすぎると耐スタッド抜け性能が低下し、C/Bが大きすぎると脱型性能が低下する。C/Bが1.0よりも小さいと耐スタッド抜け性能が低下し、C/Bが1.6よりも大きいと脱型性能が低下したため、実施形態においては、C/Bを、1.0≦C/B≦1.6とした。
開口側曲面41の曲率半径R1と穴底側曲面42の曲率半径R2との比=R1/R2の数値の範囲は、1.5≦R1/R2≦100、好ましくは、2≦R1/R2≦10とした。
穴底側曲面42の曲率半径R2は、小さくても脱型性能に影響を与え難いが、曲率半径R2を小さくしすぎれば、穴底側曲面42が鋭角な角部になってしまい、当該角部からクラックが発生しやすくなる。一方、穴底側曲面42の曲率半径R2を大きくしすぎれば、スタッド2のフランジ部23を拘束する拘束力が不足して耐スタッド抜け性能が低下する。
そこで、脱型性能が向上するように開口側曲面41の曲率半径R1を設定するとともに、当該曲率半径R1との関係において、R1/R2の数値の範囲を、1.5≦R1/R2≦100、好ましくは、2≦R1/R2≦10としたことで、脱型性能と耐スタッド抜け性能とを両立できる取付穴3を形成した。
即ち、R1/R2を1.5よりも小さくした場合、耐スタッド抜け性能が低下し、R1/R2を100よりも大きくした場合、穴底側曲面42が鋭角な角部になって当該角部からクラックが発生しやすくなるので、R1/R2の数値の範囲を、1.5≦R1/R2≦100とした。そして、耐スタッド抜け性能の向上とクラックの発生をより抑制できる取付穴3とするため、R1/R2の数値の範囲を、2≦R1/R2≦10とした。
また、穴底面35を中心軸3Cと直交する平面に形成したので、加硫前のトレッドに対するスタッド取付穴形成用突起の設置安定性が良くなり、取付穴3の成型精度が向上する。
さらに、ベースゴム層14Bを形成するゴム(ベースゴム)の室温時の弾性率Mn1と加硫時の弾性率Mn2との比=Mn2/Mn1を、トップゴム層14Tを形成するゴム(トップゴム)の室温時の弾性率Mn3と加硫時の弾性率Mn4との比=Mn4/Mn3よりも小さくした。つまり、評価値=(Mn2/Mn1)/(Mn4/Mn3)が1よりも小さくなることで、ベースゴムの室温時の弾性率Mn1に比べてベースゴムの加硫時の弾性率Mn2が小さくなり、脱型性能が向上する。
即ち、ベースゴム層14Bを形成するゴムを、トップゴム層14Tを形成するゴムと比べて、室温時に硬く、加硫時に柔らかくなる特性を有したゴムにより形成した。
尚、室温時とは、10℃〜40℃のことをいい、ここでは23℃である。当該温度は、氷雪路面での通常のタイヤの使用状態における温度のことであり、耐スタッド抜け性能に最も関係のある温度だからである。
また、加硫時とは、100℃〜200℃のことをいい、ここでは100℃である。未加硫ゴムが加硫された直後の温度のことであり、脱型性能に最も関係のある温度だからである。
評価値=ベースゴムの加硫時(100℃)の弾性率/ベースゴムの室温時(23℃)の弾性率/トップゴムの加硫時(100℃)の弾性率/トップゴムの室温時(23℃)の弾性率=(Mn2/Mn1)/(Mn4/Mn3)の値が異なる複数のタイヤを作製し、これら複数のタイヤに取付穴3を形成した際の脱型(脱釜)性能、及び、これら複数のタイヤの取付穴3にスタッド2を取付けて作製した複数のスタッダブルタイヤの耐スタッド抜け性能を実験した。
弾性率Mn1〜Mn4として、50%モジュラス(M50)を用いた場合の実験結果を図8(a)に示し、弾性率Mn1〜Mn4として、300%モジュラス(M300)を用いた場合の実験結果を図8(b)に示し、弾性率Mn1〜Mn4として、タフネスTFを用いた場合の実験結果を図9(a)に示し、弾性率Mn1〜Mn4として、動的引張弾性率(ヤング率)E’を用いた場合の実験結果を図9(b)に示し、弾性率Mn1〜Mn4として、破断時の引張強さTBを用いた場合の実験結果を図10(a)に示し、弾性率Mn1〜Mn4として、破断時の伸びEBを用いた場合の実験結果を図10(b)に示す。
尚、図8乃至図10における脱型性能及び耐スタッド抜け性能は、比較例2のタイヤの脱型性能及び耐スタッド抜け性能の評価結果を100とした場合の相対評価となる指数を比較例1及び実施例1乃至実施例3のタイヤの各々で算出したものであり、指数が大きいほど、脱型性能、耐スタッド抜け性能が高いことを示す。
実験結果から、評価値=(Mn2/Mn1)/(Mn4/Mn3)が1よりも大きい比較例1のタイヤでは、脱型性能が比較例2のタイヤよりも悪化したのに対し、評価値=(Mn2/Mn1)/(Mn4/Mn3)が1よりも小さい実施例1乃至実施例3のタイヤでは、脱型性能が比較例2のタイヤに比べて向上することが判明した。
尚、弾性率として50%モジュラス(M50)を用いて評価値=(Mn2/Mn1)/(Mn4/Mn3)を評価することで、脱型性能を最も的確に制御できる。
また、動的引張弾性率E’は、上島製作所株式会社製スペクトロメーターを用いて、動歪1%、周波数52Hzの条件下で測定した。この動的引張弾性率E’の数値が大きい程、高弾性であることを示す。
さらに、50%モジュラス(M50)は、JIS K6251−2010に基づき、50%の引張応力(50%モジュラス)をJIS K6250−6.1(試験室の標準温度)の23℃で室温時の弾性率を測定し、JIS K6250−11.2.2(その他の試験温度)から選択した100℃で加硫時の弾性率を測定した。
また、トップゴム層14Tとベースゴム層14Bとの境界面14Xを、取付穴3の開口側部31と底側部32との境界位置37よりもトレッド14の表面14aに近い位置に形成した。
具体的には、前記境界面14Xの位置を、穴底面35と前記境界位置37との間の距離を距離dとした場合に、穴底面35からトレッド14の表面14aに向けて距離dだけ離れた位置X1と穴底面35からトレッド14の表面14aに向けて距離dの2倍だけ離れた位置X2との間に設けた。
言い換えれば、取付穴3の穴底面35から底側部32の高さ寸法(=距離d)の位置X1よりもトレッド14の表面14a側で、かつ、取付穴3の穴底面35から底側部32の高さ寸法dの2倍だけトレッド14の表面14a側に位置する位置X2よりも位置X1に近い位置に、トップゴム層14Tとベースゴム層14Bとの境界面14Xを設けた。
即ち、取付穴3の中心軸3Cに沿った方向における前記境界面14Xと前記境界位置37との間の距離d3は、取付穴3の底側部32の中心軸3Cに沿った方向の高さ寸法(=距離d)よりも小さい構成とした。
即ち、ベースゴム層14Bを形成するゴムを、トップゴム層14Tを形成するゴムと比べて、低温時に硬く、高温時に柔らかくなる特性を有したゴムにより形成したので、室温時であるスタッダブルタイヤ10の使用時の耐スタッド抜け性能が維持されるとともに、加硫時である脱型時の脱型性能が向上する。
また、スタッド2が取付穴3に取付けられたスタッダブルタイヤ10の使用時において最も大きい歪がかかる部位は、取付穴3の開口側部31と底側部32との境界位置37である。実施形態においては、トップゴム層14Tとベースゴム層14Bとの境界面14Xが、取付穴3の開口側部31と底側部32との境界位置37よりもトレッド14の表面14aに近い位置に形成されている。即ち、境界面14Xが、スタッダブルタイヤ10の使用時において最も大きい歪がかかる境界位置37に位置されず、当該境界面14Xに大きな歪が発生しないようになるので、境界面14Xでゴムが破壊されにくくなり、耐スタッド抜け性能が向上する。
また、脱型時において最も大きい歪がかかる部位は、取付穴3の開口側部31と底側部32との境界位置37から底側部32の高さ寸法dだけ離れた位置X2よりも取付穴3の開口3tに近い位置であり、当該位置に、境界面14Xが位置されず、脱型時に当該境界面14Xに大きな歪が発生しないようになるので、境界面14Xでゴムが破壊されにくくなり、脱型性能が向上する。
実際に、脱型時において最も大きい歪がかかる部位は、位置X2付近である。そこで、実施形態では、位置X2と位置X1との間において、位置X2と位置X1との中間位置よりも位置X1に近い側に境界面14Xを位置させたことにより、境界面14Xにおいてゴムがより破壊されにくくなり、脱型性能がより向上する。
以上の説明から明らかなように、本発明に係るタイヤ1の好ましい態様は、トレッド14の表面14a側に設けられたスタッド取付用の取付穴3が、トレッド14の表面14aに開口する開口側部31と底側部32とを備え、底側部32の最大径Cと開口側部31における穴中間側部33の径Bとの比=C/Bの数値の範囲が、1.3≦C/B≦1.6であり、底側部32の最大径Cの位置36Mが、開口側部31と底側部32との境界位置37と穴底面35との間の中間位置39よりも穴底面35に近い位置に形成されており、内周面(内壁面)36と穴底面35との境界が曲面に形成され、境界位置37と最大径Cの位置36Mとを繋ぐ取付穴3の中心軸3Cに沿った開口側曲面41の曲率半径R1が、穴底面35と最大径Cの位置36Mとを繋ぐ取付穴3の中心軸3Cに沿った穴底側曲面42の曲率半径R2よりも大きく形成されており、かつ、トレッド14を構成するベースゴム層14Bと当該ベースゴム層14B上に積層されたトップゴム層14Tとの境界面14Xが、取付穴3の開口側部31と底側部32との境界位置37よりもトレッド14の表面14aに近い位置に形成されていて、ベースゴム層14Bを形成するゴムが、トップゴム層14Tを形成するゴムと比べて、室温時に硬く、加硫時に柔らかくなる特性を有したゴムにより形成された構成である。
尚、実施形態1では、中心軸3Cと直交する平面と交わる内周面36の断面形状が円形に形成された取付穴3を例にして説明したが、当該断面形状が円形以外の形状に形成された取付穴であってもよい。例えば、当該断面形状が、楕円形状、三角形状、四角形状、その他の形状に形成された取付穴であってもよく、特に限定されない。
また、取付穴3の中心軸3Cに沿った断面(取付穴3を取付穴3の中心軸3Cを含む平面で切断した断面)の形状は、中心軸3Cを中心とした左右で異なった形状であってもよい。
また、スタッドは、中心軸と直交する断面形状が、取付穴の断面形状に対応して形成されたスタッドを用いればよい。
また、トップゴム層も、ベースゴム層も、1種のゴムからなる1つの層でなく、複数種のゴムからなる層であってもかまわない。トップゴム層とベースゴム層との境界面での隣接するトップゴム層とベースゴム層との弾性率と位置の関係を満たせば本発明の構成は成立するからである。
また、開口側曲面の曲率半径、穴底側曲面の曲率半径は、1つの曲率半径である必要はない。即ち、上述した開口側曲面、穴底側曲面は、複数の曲率半径を有した曲面であってもよいし、一部(例えば途中や始点、終点等)に直線部分を含む曲面であってもよい。
1 タイヤ、2 スタッド、2C 中心軸、3 取付穴、3C 中心軸、3t 開口、
10 スタッダブルタイヤ、14 トレッド、14a トレッドの表面、
14B ベースゴム層、14T トップゴム層、14X 境界面、21 ボディ部、
22 ピン部、23 フランジ部、31 開口側部、32 底側部、37 境界位置、
d 距離。

Claims (8)

  1. トレッドの表面側にスタッドを取り付けるための取付穴が形成されたタイヤと、当該タイヤの取付穴内に取付けられたスタッドとを備え、
    トレッドが、トレッドの表面層を形成するトップゴム層と、トップゴム層よりもタイヤ径方向内側に位置されてトップゴム層と隣接するベースゴム層とを備え、
    スタッドが、ボディ部と、ボディ部の中心軸に沿った方向の一端に設けられたピン部と、ボディ部の中心軸に沿った方向の他端に設けられたフランジ部とを備え、
    スタッドが取付穴に取付けられてピン部がトレッドの表面よりも突出するように構成されたスタッダブルタイヤにおいて、
    トレッドのトップゴム層を形成するゴム及びベースゴム層を形成するゴムが、以下の評価式(1)、
    0.5≦スタッドの摩耗量/トップゴム層のゴムの摩耗量=k×(ベースゴム層のゴムの室温時の弾性率×トップゴム層のゴムの室温時の弾性率)≦1.5…(1)
    但し、
    スタッドの摩耗量=スタッドの摩耗後の高さ−スタッドの摩耗前の高さ
    トップゴム層のゴムの摩耗量=トレッドの摩耗後の層厚−トレッドの摩耗後の層厚
    (kは定数)
    を満たすゴムであることを特徴とするスタッダブルタイヤ。
  2. 前記ベースゴム層のゴムの室温時の弾性率及び前記トップゴム層のゴムの室温時の弾性率がタフネスTFであって、弾性率TFにおける定数kがk=4.3×10−5〜34.1×10−5(1/(N・m)2)を満たすことを特徴とする請求項1に記載のスタッダブルタイヤ。
  3. 前記ベースゴム層のゴムの室温時の弾性率及び前記トップゴム層のゴムの室温時の弾性率が動的引張弾性率E’であって、弾性率E’における定数kがk=7.0×10−3〜56.2×10−3(1/(MPa)2)を満たすことを特徴とする請求項1に記載のスタッダブルタイヤ。
  4. 取付穴は、取付穴の中心軸に沿った方向の一方側に設けられてトレッド表面に開口する開口側部と、取付穴の中心軸に沿った方向の他方側に設けられた底側部とを備え、
    ベースゴム層を形成するゴムの室温時の弾性率と加硫時の弾性率との比がトップゴム層を形成するゴムの室温時の弾性率と加硫時の弾性率との比よりも大きく、
    トップゴム層とベースゴム層との境界面が、取付穴の開口側部と底側部との境界位置よりもトレッドの表面に近い位置に形成されたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のスタッダブルタイヤ。
  5. 取付穴の中心軸に沿った方向における前記境界面と前記境界位置との間の距離は、取付穴の底側部の中心軸に沿った方向の高さ寸法よりも小さいことを特徴とする請求項4に記載のスタッダブルタイヤ。
  6. トレッドの表面側にスタッドを取り付けるための取付穴が形成されたタイヤと、当該タイヤの取付穴内に取付けられたスタッドとを備え、
    トレッドが、トレッドの表面層を形成するトップゴム層と、トップゴム層よりもタイヤ径方向内側に位置されてトップゴム層と隣接するベースゴム層とを備え、
    スタッドが、ボディ部と、ボディ部の中心軸に沿った方向の一端に設けられたピン部と、ボディ部の中心軸に沿った方向の他端に設けられたフランジ部とを備え、
    スタッドが取付穴に取付けられてピン部がトレッドの表面よりも突出するように構成されたスタッダブルタイヤにおけるトレッドのトップゴム層を形成するゴム及びベースゴム層を形成するゴムの選定方法であって、
    以下の評価式(1)、
    0.5≦スタッドの摩耗量/トップゴム層のゴムの摩耗量=k×(ベースゴム層のゴムの室温時の弾性率×トップゴム層のゴムの室温時の弾性率)≦1.5…(1)
    但し、
    スタッドの摩耗量=スタッドの摩耗後の高さ−スタッドの摩耗前の高さ
    トップゴム層のゴムの摩耗量=トレッドの摩耗後の層厚−トレッドの摩耗後の層厚
    (kは定数)
    に基づいて、トレッドのトップゴム層を形成するゴム及びベースゴム層を形成するゴムを選定したことを特徴とするスタッダブルタイヤのトレッドにおけるトップゴム層を形成するゴム及びベースゴム層を形成するゴムの選定方法。
  7. 前記ベースゴム層のゴムの室温時の弾性率及び前記トップゴム層のゴムの室温時の弾性率がタフネスTFであって、弾性率TFにおける定数kがk=4.3×10−5〜34.1×10−5(1/(N・m)2)を満たすことを特徴とする請求項6に記載のスタッダブルタイヤのトレッドにおけるトップゴム層を形成するゴム及びベースゴム層を形成するゴムの選定方法。
  8. 前記ベースゴム層のゴムの室温時の弾性率及び前記トップゴム層のゴムの室温時の弾性率が動的引張弾性率E’であって、弾性率E’における定数kがk=7.0×10−3〜56.2×10−3(1/(MPa)2)を満たすことを特徴とする請求項6に記載のスタッダブルタイヤのトレッドにおけるトップゴム層を形成するゴム及びベースゴム層を形成するゴムの選定方法。
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