JP2017074598A - 銅粒子を用いた低温接合方法 - Google Patents

銅粒子を用いた低温接合方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2017074598A
JP2017074598A JP2015202741A JP2015202741A JP2017074598A JP 2017074598 A JP2017074598 A JP 2017074598A JP 2015202741 A JP2015202741 A JP 2015202741A JP 2015202741 A JP2015202741 A JP 2015202741A JP 2017074598 A JP2017074598 A JP 2017074598A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
copper
particles
bonding
copper particles
low
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015202741A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6659026B2 (ja
Inventor
西川 宏
Hiroshi Nishikawa
宏 西川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Osaka University NUC
Original Assignee
Osaka University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Osaka University NUC filed Critical Osaka University NUC
Priority to JP2015202741A priority Critical patent/JP6659026B2/ja
Publication of JP2017074598A publication Critical patent/JP2017074598A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6659026B2 publication Critical patent/JP6659026B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Pressure Welding/Diffusion-Bonding (AREA)

Abstract

【課題】接合層内の残留有機成分及び結晶粒界を低減することができ、熱伝導性、電気伝導性及び機械的特性に優れた接合部を得ることができる安価かつ簡便な接合方法を提供する。【解決手段】銅粒子を用いた金属材の接合方法であって、銅粒子の平均粒径が1〜50μmであり、銅粒子を酸化させて表面酸化銅粒子を得る第一工程と、接合すべき2つの金属部材の間に表面酸化銅粒子を介在させた後、還元雰囲気下で加熱する第二工程と、を含むこと、を特徴とする金属材の低温接合方法。【選択図】図1

Description

本発明は銅粒子を用いた接合方法に関し、より具体的には、取り扱いが容易なマイクロサイズの銅粒子を用いた低温接合方法に関する。
金属部品と金属部品とを機械的及び/又は電気的及び又は熱的に接合するために、従来より、はんだ、導電性接着剤、銀ペースト及び異方導電性フィルム等が用いられている。これら導電性接着剤、銀ペースト及び異方導電性フィルム等は、金属部品だけでなく、セラミック部品や樹脂部品等を接合する場合に用いられることもある。例えば、LED等の発光素子の基板への接合、半導体チップの基板への接合、及びこれらの基板の更に放熱部材への接合等が挙げられる。
なかでも、はんだ並びに金属からなる導電フィラーを含む接着剤、ペースト及びフィルムは、電気的な接続を必要とする部分の接合に用いられている。更には、金属は一般的に熱伝導性が高いため、これらはんだ並びに導電フィラーを含む接着剤、ペースト及びフィルムは、放熱性を上げるために使用される場合もある。
一方、例えば、LED等の発光素子を用いて高輝度の照明デバイスや発光デバイスを作製する場合、或いは、パワーデバイスと言われる高温で高効率の動作をする半導体素子を用いて半導体デバイスを作製する場合等には、発熱量が上がる傾向にある。デバイスや素子の効率を向上させて発熱を減らす試みも行われているが、現状では十分な成果が出ておらず、デバイスや素子の使用温度が上がっているのが実情である。
また、接合時におけるデバイスの損傷を防ぐという観点からは、低い接合温度(例えば350℃以下)で十分な接合強度を確保できる接合材が求められている。したがって、デバイスや素子等を接合するための接合材に対しては、接合温度の低下とともに、接合後におけるデバイスの動作による使用温度の上昇に耐えて十分な接合強度を維持できる耐熱性が求められているが、従来からの接合材では十分な対応ができないことが多い。例えば、はんだは、金属を融点以上に加熱する工程(リフロー工程)を経て部材同士を接合するが、一般的に融点はその組成に固有であるため、耐熱温度を上げようとすると加熱(接合)温度も上がってしまう。
更に、はんだを用いて素子や基板を数層重ね合わせて接合する場合、重ね合わせる層の数だけ加熱工程を経る必要であり、既に接合した部分の溶融を防ぐためには、次の接合に用いるはんだの融点(接合温度)を下げる必要があり、また、重ね合わせる層の数だけはんだ組成の種類が必要になり、取扱いが煩雑になる。
他方、導電性接着剤、銀ペースト及び異方導電性フィルムでは、含有するエポキシ樹脂等の熱硬化を利用して部材同士を接合するが、得られたデバイスや素子の使用温度が上がると樹脂成分が分解、劣化することがある。例えば、特許文献1(特開2008−63688号公報)においては、接合材の主材として用いて被接合部材同士を接合した時により高い接合強度が得られるようにした微粒子が提案されているが、使用温度上昇時における樹脂成分の分解、劣化の問題は解消されていない。
また、高い使用温度において用いられる高温はんだには、従来より鉛を含むはんだが用いられている。鉛は有毒性があるため、はんだは鉛フリー化への流れが顕著である。高温はんだには他に良い代替材料が存在しないため、依然として鉛はんだが使用されているが、環境問題の観点から、鉛を使用しない接合材が切望されている。
近年、高温はんだの代替材料として、銀、金などの貴金属を中心とする金属ナノ粒子を用いた接合材が開発されている(例えば、特開2012−046779)。しかしながら、金属ナノ粒子は高価であるだけでなく、金属ナノ粒子の焼結によって得られる接合層には金属ナノ粒子の分散剤や溶媒として使用される有機物が残留してしまう。また、金属ナノ粒子の焼結によって得られる接合層では結晶粒界の割合が大きくなってしまい、熱伝導性及び電気伝導性を低下させる原因となる。加えて、金属ナノ粒子を接合に用いる場合は有機物の蒸発により、接合中の体積変化が大きくなってしまうという問題が存在する。
特開2008−63688号公報 特開2012−046779号公報
以上のような状況に鑑み、本発明の目的は、接合層内の残留有機成分及び結晶粒界を低減することができ、熱伝導性、電気伝導性及び機械的特性に優れた接合部を得ることができる安価かつ簡便な接合方法を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成すべく低温接合方法について鋭意研究を重ねた結果、適当な条件で酸化させたマイクロサイズの銅粒子を被接合面に介在させた状態で還元させること等が上記目的を達成する上で極めて有効であることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は、
銅粒子を用いた接合方法であって、
前記銅粒子の平均粒径が1〜50μmであり、
前記銅粒子を酸化させて表面酸化銅粒子を得る第一工程と、
2つの被接合部材の間に前記表面酸化銅粒子を介在させた後、還元雰囲気下で加熱する第二工程と、を含むこと、
を特徴とする低温接合方法を提供する。
ここで、第一工程と第二工程は連続的に施してもよく、その場合は平均粒径が1〜50μmの銅粒子を2つの被接合部材の間に介在させた後、当該第一工程及び当該第二工程を施せばよい。
本発明の低温接合方法においては、平均粒径が1〜50μmであるマイクロサイズの銅粒子を使用することで、金属ナノ粒子を用いた従来の接合用組成物で必須であった金属ナノ粒子の分散性を確保するための有機被覆層が不要となり、接合層内の在留有機成分及び接合プロセス中の接合層の体積変化を大幅に低減することができる。なお、接合すべき2つの金属部材の間に表面酸化銅粒子のみを配置してもよく、表面酸化銅粒子をテルピネオール等の適当な分散媒に分散させて接合用組成物とし、当該接合用組成物を被接合面に塗布してもよい。
また、マイクロサイズの銅粒子を用いることで、ナノサイズの金属粒子と比較して接合層内の結晶粒界の割合を低下させることができるため、熱伝導性及び電気伝導性に優れた接合部を得ることができる。更に、マイクロサイズの銅粒子は一般的な金属ナノ粒子と比較して安価に製造することができるため、接合にかかるコストを大幅に低減することができる。
本発明者は、マイクロサイズの銅粒子の表面を酸化すると、当該表面がナノサイズの酸化銅粒子で被覆されることを見出した。一般的な銅板や銅箔等を酸化した場合、薄膜状の酸化被膜が形成されるところ、銅粒子の表面がナノサイズの酸化銅粒子で被覆される理由は必ずしも明らかになっていないが、銅粒子の表面エネルギー状態や幾何学的形状等が影響していると考えられる。
更に、本発明者は、酸化銅で被覆された銅粒子を還元すると、銅ナノ粒子で被覆されたマイクロ銅粒子が得られることを見出し、被接合界面において当該銅ナノ粒子被覆マイクロ銅粒子をその場合成することによって低温接合方法を達成するという着想に至った。接合界面において生成した銅ナノ粒子同士の焼結が連続的に進行することで、良好な接合体を得ることができる。
本発明の金属材の低温接合方法においては、前記第二工程において、マイクロ銅粒子表面の酸化銅粒子を還元する必要がある。ここで、当該酸化銅粒子を還元して銅ナノ粒子が形成される限りにおいて、還元雰囲気及び処理温度等は特に限定されず、還元雰囲気としてはギ酸雰囲気や水素を含む雰囲気等を用いることができるが、還元雰囲気をギ酸雰囲気とすることが好ましく、表面酸化銅粒子を150〜350℃のギ酸雰囲気下に1〜60分間保持すること、がより好ましい。表面酸化銅粒子を150〜350℃のギ酸雰囲気下に1〜60分間保持することで、マイクロ銅粒子の表面を被覆している酸化銅粒子を効率的かつ簡便に還元することができ、銅ナノ粒子被覆マイクロ銅粒子を得ることができる。また、水素を含む雰囲気ではなくギ酸雰囲気を用いることで、安全性を担保することができる。
また、本発明の銅粒子を用いた低温接合方法においては、前記第二工程を自重圧下で行うこと、が好ましい。従来の金属ナノ粒子を用いた接合方法においては、金属ナノ粒子焼結体によって接合層が形成されるため、十分な密度を得るためには加圧を伴った焼成プロセスが必要であり、加圧の印加は当該接合方法の適用範囲を大きく制限していた。これに対し、本発明の低温接合方法においては接合層の大部分をマイクロ銅粒子が占めることに加え、生成した銅ナノ粒子同士が速やかに焼成していくことから、無加圧下(自重圧下)においても良好な接合層を得ることができる。
更に、本発明の低温接合方法においては、前記第一工程において、前記銅粒子を200〜400℃の大気中に1〜60分間保持すること、が好ましい。マイクロ銅粒子表面における酸化反応が進行し過ぎた場合は緻密な酸化被膜が形成してしまい、接合用途に用いることができない。また、酸化反応が不十分な場合は酸化銅粒子を形成することができず、接合用途に用いることができない。これに対し、マイクロ銅粒子を200〜400℃の大気中に1〜60分間保持することで、第二工程における還元プロセスによって銅ナノ粒子となる酸化銅ナノ粒子で表面を被覆されたマイクロ銅粒子を得ることができる。
また、本発明は、
銅粒子の表面の少なくとも一部が酸化銅粒子で被覆されており、
前記銅粒子の平均粒径が1〜50μmであり、
前記酸化銅粒子の平均粒径が1〜300nmであること、
を特徴とする低温接合用銅粒子も提供する。
本発明の低温接合銅粒子は本発明の低温接合方法に好適に用いることができ、当該低温接合用銅粒子を用いることで本発明の低温接合方法の第一工程を省略することができる。つまり、接合すべき2つの金属部材の間に低温接合用銅粒子を介在させた後、還元雰囲気下で加熱することで、良好な接合体を得ることができる。
本発明の低温接合用銅粒子は、前記銅粒子が扁平状であること、が好ましい。扁平状の銅粒子を用いることで、被接合界面において銅粒子が水平方向に配向して密に充填されるため、緻密な接合層を容易に得ることができる。なお、銅粒子が扁平状の場合、平均粒径は直径の最大値に関する平均値となる。
本発明の低温接合用銅粒子は、例えば、平均粒径が1〜50μmの銅粒子を200〜400℃の大気中に1〜60分間保持すること、で得ることができる。一般的な銅板等を酸化させた場合は表面に緻密な酸化被膜が形成されるが、平均粒径が1〜50μmの銅粒子を酸化することで、多数の酸化銅ナノ粒子で被覆されたマイクロ銅粒子を得ることができる。
本発明によれば、接合層内の残留有機成分及び結晶粒界を低減することができ、熱伝導性、電気伝導性及び機械的特性に優れた接合部を得ることができる安価かつ簡便な接合方法を提供することができる。
本発明の低温接合方法の工程図である。 本発明の低温接合用銅粒子の概略断面図である。 実施例及び比較例で用いた扁平状銅粒子のSEM写真である。 実施例における表面酸化銅粒子のSEM写真(低倍)である。 実施例における表面酸化銅粒子のSEM写真(高倍)である。 実施例における低温接合用銅粒子のSEM写真(低倍)である。 実施例における低温接合用銅粒子のSEM写真(高倍)である。 実施例における還元処理前の表面酸化銅粒子のSEM−EDSスペクトルである。 実施例における還元処理後の表面酸化銅粒子のSEM−EDSスペクトルである。 実施例における還元処理前後の表面酸化銅粒子のXRDパターンである。 実施例及び比較例で用いた接合試験片の概略図である。 実施例で得られた接合層断面のSEM写真である。 実施例及び比較例で得られた接合継手のせん断強度を示すグラフである。 比較例における酸化処理後の銅粒子のSEM写真である。 比較例における還元処理後の銅粒子のSEM写真である。 比較例における酸化処理後及び還元処理後の銅粒子のXRDパターンである。 比較例で得られた接合層断面のSEM写真である。
以下、本発明の金属材の低温接合方法及び低温接合用銅粒子の好適な一実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、本発明の一実施形態を示すに過ぎず、これらによって本発明が限定されるものではなく、また、重複する説明は省略することがある。
≪低温接合方法≫
図1は、本発明の低温接合方法の工程図である。本発明の低温接合方法は、銅粒子の酸化及び還元を利用して接合を達成する方法であり、銅粒子を酸化させる第一工程(S01)と、表面酸化銅粒子を還元すると共に接合を行う第二工程(S02)と、を含むものである。
(1)第一工程(S01:銅粒子への酸化処理)
第一工程(S01)は、平均粒径が1〜50μmの銅粒子(マイクロ銅粒子)に酸化処理を施すことで、表面酸化銅粒子を得る工程である。マイクロ銅粒子に対して酸化処理を施すことで、表面に酸化銅ナノ粒子を形成することができる。
マイクロ銅粒子への酸化処理によって酸化銅ナノ粒子被覆マイクロ銅粒子が得られる理由は必ずしも明らかにはなっていないが、マイクロ銅粒子の表面エネルギー状態及び幾何学的形状等により酸化銅ナノ粒子の生成サイトがマイクロ銅粒子の表面に多数存在することが原因の一つであると考えられる。
銅粒子の平均粒径を1μm以上とすることで粒子同士の凝集を防止することができ、金属ナノ粒子を用いた従来の接合用組成物で必須であった金属ナノ粒子の分散性を確保するための有機被覆層が不要となり、接合層内の残留有機成分及び接合プロセス中の接合層の体積変化を大幅に低減することができる。加えて、金属ナノ粒子と比較して接合層内の結晶粒界の割合を低下させることができるため、熱伝導性及び電気伝導性に優れた接合部を得ることができる。更に、金属ナノ粒子と比較して製造が容易であり、安価に購入することができる。
また、銅粒子の平均粒径を50μm以下とすることで、接合層を緻密な組織とすることができることに加え、微小な部材を接合する必要がある電子デバイスの製造に好適に用いることができる。なお、銅粒子の平均粒径は、レーザー方式のパーティクルカウンターにより測定することができるし、あるいは電子顕微鏡写真から実測することもでき、さらには、当該電子顕微鏡写真から、画像処理装置を用いて算出することもできる。
なお、銅粒子の平均粒径は5〜40μmであることがより好ましく、10〜30μmであることが最も好ましい。銅粒子の平均粒径をこれらの範囲とすることで、上述の効果をより明確に発現することができる。
本発明の低温接合方法に用いる銅粒子の形状は特に限定されないが、扁平状であることが好ましい。扁平状の銅粒子を用いることで、被接合界面において銅粒子が水平方向に配向して密に充填されるため、緻密な接合層を容易に得ることができる。なお、銅粒子が扁平状の場合、平均粒径は直径の最大値に関する平均値となる。
マイクロ銅粒子の表面に、銅ナノ粒子を包含する酸化銅ナノ粒子を形成できる限りにおいて、酸化処理の方法は特に限定されないが、マイクロ銅粒子を200〜400℃の大気中に1〜60分間保持することが好ましい。酸化温度を200℃以上とすることでマイクロ銅粒子表面の酸化を確実に進行させることができ、400℃以下とすることで緻密な酸化被膜の形成を抑制することができる。また、保持時間を1分以上とすることでマイクロ銅粒子表面の少なくとも一部分を酸化銅ナノ粒子で被覆することができ、60分以下とすることでマイクロ銅粒子表面への緻密な酸化被膜の形成を防止することができる。
なお、第一工程(S01)は第二工程(S02)と連続的に施してもよく、その場合は2つの被接合部材の間にマイクロ銅粒子を介在させた後、第一工程(S01)及び第二工程(S02)を施せばよい。
(2)第二工程(S02:表面酸化銅粒子の還元及び接合)
第二工程(S02)は、第一工程(S01)で得られた表面酸化銅粒子を還元して銅ナノ粒子で被覆されたマイクロ銅粒子を生成すると共に接合を行う工程である。
第一工程(S01)で得られた表面酸化銅粒子を被接合界面に配置し、当該表面酸化銅粒子の還元によって銅ナノ粒子被覆マイクロ銅粒子を生成しつつ当該銅ナノ粒子同士を焼結することで、良好な接合層を得ることができる。
ここで、被接合界面への配置(塗布)を容易にするために、表面酸化銅粒子を従来公知の種々の分散媒に分散させた接合用組成物を調整し、当該接合用組成物を用いてもよい。分散媒としては、例えば、ターピネオール等を用いることができる。
被接合界面への「塗布」とは、表面酸化銅粒子又は接合用組成物を面状に塗布する場合も線状に塗布(描画)する場合も含む概念である。塗布されて、加熱により焼成される前の状態の表面酸化銅粒子又は接合用組成物からなる塗膜の形状は、所望する形状にすることが可能である。したがって、加熱による焼成後の本実施形態の接合体では、面状の接合層及び線状の接合層のいずれも含む概念であり、これら面状の接合層及び線状の接合層は、連続していても不連続であってもよく、連続する部分と不連続の部分とを含んでいてもよい。
なお、上述のとおり、本発明者は、表面がナノサイズの酸化銅粒子で被覆されたマイクロ銅粒子を還元すると、銅ナノ粒子で被覆されたマイクロ銅粒子が得られることを見出し、被接合界面において当該銅ナノ粒子被覆マイクロ銅粒子をその場合成することによる金属材の低温接合方法を着想するに至った。接合界面において生成した銅ナノ粒子同士の焼結が連続的に進行することで、良好な接合体を得ることができる。
第一工程(S01)で得られた表面酸化銅粒子を適当な条件で還元すると、銅ナノ粒子で被覆されたマイクロ銅粒子を得ることができる。マイクロ銅粒子の表面を被覆する酸化銅ナノ粒子を還元でき、当該酸化銅ナノ粒子を銅ナノ粒子とすることができる限りにおいて、還元条件は限定されず、還元雰囲気としてはギ酸雰囲気や水素を含む雰囲気等を用いることができるが、還元雰囲気をギ酸雰囲気とすることが好ましく、表面酸化銅粒子を150〜350℃のギ酸雰囲気下に1〜60分間保持すること、がより好ましい。
還元雰囲気としてギ酸雰囲気を用いることで、作業の安全性を担保することができることに加え、銅ナノ粒子の生成に好適な還元速度等を容易に実現することができる。
ギ酸雰囲気下における保持温度を150℃以上とすることで、表面酸化銅粒子の還元を進めることができ、350℃以下とすることで、酸化銅ナノ粒子の還元によって生成した銅ナノ粒子の部分的かつ急激な粒成長に起因する、接合層における空隙の形成等を抑制することができる。更に、保持温度を150℃以上とすることで銅ナノ粒子の焼成プロセスを進行させることができ、350℃以下とすることで、各種電子デバイスの接合用途に好適に用いることができる。
また、本発明の低温接合方法においては、第二工程(S02)を自重圧下で行うこと、が好ましい。従来の金属ナノ粒子を用いた接合方法においては、金属ナノ粒子焼結体によって接合層が形成されるため、十分な密度を得るためには加圧を伴った焼成プロセスが必要であり、加圧の印加は当該接合方法の適用範囲を大きく制限していた。これに対し、本発明の低温接合方法においては接合層の大部分をマイクロ銅粒子が占めることに加え、生成した銅ナノ粒子同士が速やかに焼成していくことから、無加圧下(自重圧下)においても良好な接合層を得ることができる。
本実施形態において用いることのできる被接合部材としては、接合用組成物を塗布して加熱により焼成して接合することのできるものであればよく、特に制限はないが、接合時の温度により損傷しない程度の耐熱性を具備した部材であるのが好ましい。
被接合部材を構成する材料としては、例えば、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、ビニル樹脂、フッ素樹脂、液晶ポリマー、セラミクス、ガラス又は金属等を挙げることができるが、なかでも、金属製の被接合部材が好ましい。金属製の被接合部材が好ましいのは、耐熱性に優れているとともに、銅粒子との親和性に優れているからである。金属製の被接合部材としては、例えば、アルミニウム及びアルミニウム合金、鉄及び鉄合金、チタン及びチタン合金、ステンレス、銅及び銅合金等を挙げることができるが、なかでも、電導性・熱伝導性・展延性に優れているという理由から、銅及び銅合金を用いることが好ましい。
また、被接合部材は、例えば板状又はストリップ状等の種々の形状であってよく、リジッドでもフレキシブルでもよい。基材の厚さも適宜選択することができる。接着性若しくは密着性の向上又はその他の目的ために、表面層が形成された部材や親水化処理等の表面処理を施した部材を用いてもよい。
表面酸化銅粒子又は接合用組成物を被接合部材に塗布する工程では、種々の方法を用いることが可能であるが、上述のように、例えば、ディッピング、スクリーン印刷、スプレー式、バーコート式、スピンコート式、インクジェット式、ディスペンサー式、ピントランスファー法、刷毛による塗布方式、流延式、フレキソ式、グラビア式、又はシリンジ式等のなかから適宜選択して用いることができる。
上記のように塗布した後の塗膜を、被接合部材を損傷させない範囲で、例えば350℃以下の温度に加熱することにより焼成し、本実施形態の接合体を得ることができる。本実施形態においては、先に述べたように、本実施形態の表面酸化銅粒子又は接合用組成物を用いるため、被接合部材に対して優れた密着性を有する接合層が得られ、強い接合強度がより確実に得られる。
本実施形態においては、接合用組成物がバインダー成分を含む場合は、接合層の強度向上及び被接合部材間の接合強度向上等の観点から、バインダー成分も焼結することになるが、場合によっては、各種印刷法へ適用するために接合用組成物の粘度を調整することをバインダー成分の主目的として、焼成条件を制御してバインダー成分を全て除去してもよい。
上記焼成を行う方法は特に限定されるものではなく、例えば従来公知のオーブン等を用いて、被接合部材上に塗布又は描画した上記表面酸化銅粒子又は接合用組成物の温度が、例えば150〜350℃となるように焼成することによって接合することができる。ここで、上記焼成後の接合用組成物においては、なるべく高い接合強度を得るという点で、有機物の残存量は少ないほうがよいが、本発明の効果を損なわない範囲で有機物の一部が残存していても構わない。
なお、本発明の接合方法で用いる接合用組成物には、有機物が含まれているが、従来の例えばエポキシ樹脂等の熱硬化を利用したものと異なり、有機物の作用によって焼成後の接合強度を得るものではなく、前述したように銅粒子の融着によって十分な接合強度が得られるものである。このため、接合後において、接合温度よりも高温の使用環境に置かれて残存した有機物が劣化ないし分解・消失した場合であっても、接合強度の低下するおそれはなく、したがって耐熱性に優れている。
本発明の接合方法で用いる表面酸化銅粒子又は接合用組成物によれば、例えば150〜350℃程度の低温加熱による焼成でも高い導電性を発現する接合層を有する接合を実現することができるため、比較的熱に弱い被接合部材同士を接合することができる。また、焼成時間は特に限定されるものではなく、焼成温度に応じて、接合できる焼成時間であればよい。
本実施形態においては、上記被接合部材と接合層との密着性を更に高めるため、上記被接合部材の表面処理を行ってもよい。上記表面処理方法としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、UV処理、電子線処理等のドライ処理を行う方法、基材上にあらかじめプライマー層や導電性ペースト受容層を設ける方法等が挙げられる。
≪低温接合用銅粒子≫
図2は、本発明の低温接合用銅粒子の概略断面図である。本発明の低温接合用銅粒子2は、銅粒子4の表面が酸化銅粒子6で被覆されていること、を特徴としている。低温接合用銅粒子2を被接合界面に配置し、適当な還元雰囲気下で保持することで接合を達成することができる。なお、酸化銅粒子6は銅粒子4の表面に担持されていることから低温接合用銅粒子2の取り扱いが容易であり、被接合界面において銅粒子4と酸化銅粒子6とを均一に分散(配置)することができる。換言すると、金属ナノ粒子を用いた従来の接合用組成物で問題となっている金属ナノ粒子等の凝集及び偏在を解消することができる。
還元によって酸化銅粒子6から銅ナノ粒子が生成し、当該銅ナノ粒子同士の焼結によって接合層が形成される接合条件を用いることで良好な接合体を得ることができる。当該接合条件としては、例えば、本発明の低温接合方法の第二工程(S02)を用いることができる。
銅粒子4の平均粒径は1〜50μmであり、平均粒径が1μm以上となっていることから低温接合用銅粒子2同士の凝集を防止することができ、金属ナノ粒子を用いた従来の接合用組成物で必須であった金属ナノ粒子の分散性を確保するための有機被覆層が不要となり、接合層内の残留有機成分及び接合プロセス中の接合層の体積変化を大幅に低減することができる。加えて、金属ナノ粒子と比較して接合層内の結晶粒界の割合を低下させることができるため、熱伝導性及び電気伝導性に優れた接合部を得ることができる。更に、金属ナノ粒子と比較して製造が容易であり、安価に購入することができる。
また、銅粒子4の平均粒径を50μm以下とすることで、接合層を緻密な組織とすることができることに加え、微小な部材を接合する必要がある電子デバイスの製造に好適に用いることができる。なお、銅粒子4の平均粒径は、レーザー方式のパーティクルカウンターにより測定することができるし、あるいは電子顕微鏡写真から実測することもでき、さらには、当該電子顕微鏡写真から、画像処理装置を用いて算出することもできる。なお、銅粒子4の平均粒径は5〜40μmであることがより好ましく、10〜30μmであることが最も好ましい。
銅粒子4の形状は特に限定されないが、扁平状であることが好ましい。扁平状の銅粒子4を用いることで、被接合界面において銅粒子4が水平方向に配向して密に充填されるため、緻密な接合層を容易に得ることができる。なお、銅粒子4が扁平状の場合、平均粒径は直径の最大値に関する平均値となる。
酸化銅粒子6の平均粒径は1〜300nmであり、平均粒径を1nm以上とすることで還元によって酸化銅粒子6から銅ナノ粒子を生成することができ、平均粒径を300nm以下とすることで低温(例えば、150〜350℃)における良好な焼結性を担保することができる。酸化銅粒子6の平均粒径は、電子顕微鏡写真やガス吸着を用いた粒子径分布測定法を用いて実測することができ、さらには、当該電子顕微鏡写真から、画像処理装置を用いて算出することもできる。
なお、本発明の低温接合用銅粒子2は、上述の本発明の低温接合方法の第一工程(S01)によって、容易に得ることができる。
また、本発明の低温接合用銅粒子2を用いる場合の接合条件としては、上述の本発明の低温接合方法の第二工程(S02)に記載の条件を好適に用いることができる。
本発明の低温接合用銅粒子2はそのまま接合材として用いることができるが、必要に応じてその他の成分と混合して接合用組成物としてもよい。以下において、接合用組成物の調整に用いることができる各成分について説明する。
低温接合用銅粒子2を分散させる有機溶媒は、本発明の効果を損なわない範囲で種々の有機溶媒を用いることができる。有機溶剤としては、例えば、テルペン系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、脂肪族炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、セロソルブ系溶剤、カルビトール系溶剤等が挙げられる。より具体的には、ターピネオール、メチルエチルケトン、アセトン、イソプロパノール、ブチルカービトール、デカン、ウンデカン、テトラデカン、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ジエチルエーテル、ケロシン等の有機溶媒を用いることができる。
本実施形態の接合用組成物には、上記の成分に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、使用目的に応じた適度な粘性、密着性、乾燥性又は印刷性等の機能を付与するために、分散媒や、例えばバインダーとしての役割を果たすオリゴマー成分、樹脂成分、有機溶剤(固形分の一部を溶解又は分散していてよい。)、界面活性剤、増粘剤又は表面張力調整剤等の任意成分を添加してもよい。かかる任意成分としては、特に限定されない。
任意成分のうちの分散媒としては、本発明の効果を損なわない範囲で種々のものを使用可能であり、例えば炭化水素及びアルコール等が挙げられる。
炭化水素としては、脂肪族炭化水素、環状炭化水素及び脂環式炭化水素等が挙げられ、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
脂肪族炭化水素としては、例えば、テトラデカン、オクタデカン、ヘプタメチルノナン、テトラメチルペンタデカン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、トリデカン、メチルペンタン、ノルマルパラフィン、イソパラフィン等の飽和又は不飽和脂肪族炭化水素が挙げられる。
環状炭化水素としては、例えば、トルエン、キシレン等が挙げられる。
更に、脂環式炭化水素としては、例えば、リモネン、ジペンテン、テルピネン、ターピネン(テルピネンともいう。)、ネソール、シネン、オレンジフレーバー、テルピノレン、ターピノレン(テルピノレンともいう。)、フェランドレン、メンタジエン、テレベン、ジヒドロサイメン、モスレン、イソテルピネン、イソターピネン(イソテルピネンともいう。)、クリトメン、カウツシン、カジェプテン、オイリメン、ピネン、テレビン、メンタン、ピナン、テルペン、シクロヘキサン等が挙げられる。
また、アルコールは、OH基を分子構造中に1つ以上含む化合物であり、脂肪族アルコール、環状アルコール及び脂環式アルコールが挙げられ、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、OH基の一部は、本発明の効果を損なわない範囲でアセトキシ基等に誘導されていてもよい。
脂肪族アルコールとしては、例えば、ヘプタノール、オクタノール(1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール等)、デカノール(1−デカノール等)、ラウリルアルコール、テトラデシルアルコール、セチルアルコール、2−エチル−1−ヘキサノール、オクタデシルアルコール、ヘキサデセノール、オレイルアルコール等の飽和又は不飽和C6−30脂肪族アルコール等が挙げられる。
環状アルコールとしては、例えば、クレゾール、オイゲノール等が挙げられる。
更に、脂環式アルコールとしては、例えば、シクロヘキサノール等のシクロアルカノール、テルピネオール(α、β、γ異性体、又はこれらの任意の混合物を含む。)、ジヒドロテルピネオール等のテルペンアルコール(モノテルペンアルコール等)、ジヒドロターピネオール、ミルテノール、ソブレロール、メントール、カルベオール、ペリリルアルコール、ピノカルベオール、ソブレロール、ベルベノール等が挙げられる。
本実施形態の接合用組成物中に分散媒を含有させる場合の含有量は、粘度などの所望の特性によって調整すれば良く、接合用組成物中の分散媒の含有量は、1〜30質量%であるのが好ましい。分散媒の含有量が1〜30質量%であれば、接合用組成物として使いやすい範囲で粘度を調整する効果を得ることができる。分散媒のより好ましい含有量は1〜20質量%であり、更に好ましい含有量は1〜15質量%である。
樹脂成分としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ブロックドイソシアネート等のポリウレタン系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、メラミン系樹脂又はテルペン系樹脂等を挙げることができ、これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
有機溶剤としては、上記の分散媒として挙げられたものを除き、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1−エトキシ−2−プロパノール、2−ブトキシエタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、重量平均分子量が200以上1,000以下の範囲内であるポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、重量平均分子量が300以上1,000以下の範囲内であるポリプロピレングリコール、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、グリセリン又はアセトン等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
増粘剤としては、例えば、クレイ、ベントナイト又はヘクトライト等の粘土鉱物、例えば、ポリエステル系エマルジョン樹脂、アクリル系エマルジョン樹脂、ポリウレタン系エマルジョン樹脂又はブロックドイソシアネート等のエマルジョン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体、キサンタンガム又はグアーガム等の多糖類等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、上記有機成分とは異なる界面活性剤を添加してもよい。多成分溶媒系の金属コロイド分散液においては、乾燥時の揮発速度の違いによる被膜表面の荒れ及び固形分の偏りが生じ易い。本実施形態の接合用組成物に界面活性剤を添加することによってこれらの不利益を抑制し、均一な導電性被膜を形成することができる接合用組成物が得られる。
本実施形態において用いることのできる界面活性剤としては、特に限定されず、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤の何れを用いることができ、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、4級アンモニウム塩等が挙げられる。少量の添加量で効果が得られるので、フッ素系界面活性剤が好ましい。
なお、有機成分量を所定の範囲に調整する方法は、加熱を行って調整するのが簡便である。また、導電粉を作製する際に添加する有機成分の量を調整することで行ってもよい。加熱はオーブンやエバポレーターなどで行うことができ、減圧下で行ってもよい。常圧下で行う場合は、大気中でも不活性雰囲気中でも行うことができる。更に、有機成分量の微調整のために、アミン(及びカルボン酸)を後で加えることもできる。
本実施形態の接合用組成物の粘度は、固形分の濃度は本発明の効果を損なわない範囲で適宜調整すればよいが、例えば0.01〜5000Pa・Sの粘度範囲であればよく、0.1〜1000Pa・Sの粘度範囲がより好ましく、1〜100Pa・Sの粘度範囲であることが特に好ましい。当該粘度範囲とすることにより、被接合材に接合用組成物を塗布する方法として幅広い方法を適用することができる。
粘度の調整は、導電粉の粒径の調整、有機物の含有量の調整、分散媒その他の成分の添加量の調整、各成分の配合比の調整、増粘剤の添加等によって行うことができる。金属接合用組成物の粘度は、例えば、コーンプレート型粘度計(例えばアントンパール社製のレオメーターMCR301)により測定することができる。
本実施形態の接合用組成物は、低温接合用銅粒子2及び上述の有機溶媒等を従来公知の種々の方法で均一に混合することにより得ることができる。なお、混合方法は、乾式混合であっても良いし、溶媒等を用いて湿式混合を実施しても良い。
以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、導電粉として低温接合用粒子2のみを使用した場合について説明したが、例えば、接合用組成物にその他の金属ナノ粒子等を適宜添加して使用することもできる。
以下、実施例において本発明の低温接合方法及び低温接合用銅粒子について更に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
≪実施例≫
図3に示す平均粒径8μmの扁平状の銅粒子(三井金属鉱業株式会社製のフレーク状銅粉:1400YP)を300℃の大気中に20分間保持し、表面酸化銅粒子を得た(第一工程(S01))。当該表面酸化銅粒子のSEM写真を図4及び図5に示す。なお、図5は図4において破線で囲まれた領域の高倍率写真である。酸化処理によって、銅粒子の表面に平均粒径が約200nmの粒子が生成していることが分かる。SEM観察には株式会社日立ハイテクノロジーズの超高分解能分析走査電子顕微鏡SU−70を用いた。
次に、表面酸化銅粒子を300℃のギ酸雰囲気下に10分間保持し、表面酸化銅粒子を還元することで低温接合用粒子を得た(表面酸化銅粒子を被接合部材の間に配置すれば、第二工程(S02)に相当)。当該低温接合用銅粒子のSEM写真を図6及び図7に示す。なお、図7は図6において破線で囲まれた領域の高倍率写真である。還元処理によって、銅粒子の表面に平均粒径が約150nmの粒子が生成していることが分かる。
図8及び図9に、還元処理前後における表面酸化銅粒子からのSEM−EDSスペクトルを示す。図8では酸素に起因するピークが観察されているが、図9では当該ピークが消失していることから、上記酸化処理によって銅粒子の表面が酸化され、上記還元処理によって酸化物が還元されていることが分かる。なお、SEM−EDS測定には株式会社日立ハイテクノロジーズの超高分解能分析走査電子顕微鏡SU−70に備え付けたOxford Instruments社製のINCA Penta FETx3を用いた。
図10に、還元処理前後における表面酸化銅粒子からのXRDパターンを示す。還元処理前のパターンには酸化銅(CuO及びCuO)に起因するピークが確認できるが、還元処理後のパターンにおいては銅(Cu)に起因するパターンのみとなっている。なお、XRD測定には株式会社リガク社製のUltimaIVを用い、加速電圧を40kKとしてCu−Kα線(λ=1.5405Å)を用いた。
以上の結果から、酸化処理(第一工程(S01))によって銅粒子の表面に酸化銅ナノ粒子が生成し、還元処理(第二工程(S02))によって、銅ナノ粒子で被覆された銅粒子が得られていることが分かる。
次に、図3に示す銅粒子を用いて無酸素銅同士の接合を行った。接合試験に用いた無酸素銅からなる接合試験片の形状を図11に示す。それぞれの試験片の接合面はRmax=3.2Sとなるように旋盤加工により仕上げ、アセトン中での超音波洗浄と塩酸中での酸洗いを行った後、水洗と乾燥を経て試験に供した。大きい方の円板試験片の接合面にターピネオールと銅粒子を混合して得られた接合用組成物(銅粒子:80質量%)を一定量塗布し、小さい方の試験片を重ねて軽く圧しつけながら接合用組成物が接合面全体に広がるように接合試験片を調整した。当該試験片を300℃の大気中で20分間保持(第一工程(S01))した後、300℃のギ酸雰囲気下で10分間保持(第二工程(S02))して接合を行った。なお、接合に際しては加圧を行うことなく、無加圧(接合試験片の自重のみ)条件とした。試験後は直ちに試験片を空冷した。
得られた接合体に関し、接合層断面のSEM写真を図12に示す。接合界面に扁平状の銅粒子が配向して高充填されており、緻密な接合層が得られていることが分かる。図12の右上に拡大写真を示しているが、銅粒子の周囲で銅ナノ粒子の焼結が進行している様子が観察できる。
接合試験により得られた接合体について、ボンドテスターを用いてせん断試験を行い、接合強度を求めた。得られたせん断強度を図13に示す。なお、接合体は3つ作製し、それぞれの接合体についてせん断試験を行った。せん断試験機には株式会社レスカ社製の継手強度試験機(STR−1000)を用い、せん断速度:1mm/min及びせん断高さ:0.2mmの条件で試験を行った。
接合体のせん断強度は約30MPaであり、実用上十分に高い強度を有していることが分かる。加えて、各接合継手における強度のばらつきも小さく、信頼性の高い接合体が得られている。
≪比較例≫
図3に示す銅粒子を130℃の大気中で5分間保持して酸化処理を施した後、300℃のギ酸雰囲気下で60分間保持して還元処理を施した。酸化処理後及び還元処理後の銅粒子のSEM写真を図14及び図15にそれぞれ示す。酸化処理後及び還元処理後の銅粒子の表面は平滑な状況となっており、酸化銅粒子及び銅ナノ粒子の生成は認められない。
酸化処理後及び還元処理後の銅粒子のXRDパターンを図16に示す。何れの場合も銅(Cu)に起因するピークのみとなっており、銅粒子への酸化処理条件が適切でない場合は酸化銅粒子が生成しないことが分かる。
図3に示す銅粒子を130℃の大気中で5分間保持して酸化処理を施した後、300℃のギ酸雰囲気下で60分間保持して還元処理を施したものと、ターピネオールと、を混合して接合用組成物を調整した以外は実施例と同様にして接合体を得た。
実施例と同様にして測定した接合体の接合強度及び接合層断面のSEM写真を、図13及び図17にそれぞれ示す。せん断強度は10MPa弱であり、本発明の低温接合方法を用いて得られた接合体と比較すると大幅に低い値となっている。また、接合層の緻密化が殆ど進行しておらず、銅粒子同士の接合力が不十分であることから断面試料作製時に銅粒子が部分的に脱落している。以上の結果から、表面が銅ナノ粒子で被覆されていない銅粒子のみを用いても、良好な接合体が得られないことが分かる。
2・・・低温接合用銅粒子、
4・・・銅粒子、
6・・・酸化銅粒子。

Claims (7)

  1. 銅粒子を用いた接合方法であって、
    前記銅粒子の平均粒径が1〜50μmであり、
    前記銅粒子を酸化させて表面酸化銅粒子を得る第一工程と、
    2つの被接合部材の間に前記表面酸化銅粒子を介在させた後、還元雰囲気下で加熱する第二工程と、を含むこと、
    を特徴とする低温接合方法。
  2. 前記第二工程において、還元雰囲気をギ酸雰囲気とすること、
    を特徴とする請求項1に記載の低温接合方法。
  3. 前記第二工程において、前記表面酸化銅粒子を150〜350℃で1〜60分間保持すること、
    を特徴とする請求項1又は2に記載の低温接合方法。
  4. 前記第二工程を自重圧下で行うこと、
    を特徴とする請求項1〜3のうちのいずれかに記載の低温接合方法。
  5. 前記第一工程において、前記銅粒子を200〜400℃の大気中に1〜60分間保持すること、
    を特徴とする請求項1〜4のうちのいずれかに記載の低温接合方法。
  6. 銅粒子の表面の少なくとも一部が酸化銅粒子で被覆されており、
    前記銅粒子の平均粒径が1〜50μmであり、
    前記酸化銅粒子の平均粒径が1〜300nmであること、
    を特徴とする低温接合用銅粒子。
  7. 前記銅粒子が扁平状であること、
    を特徴とする請求項6に記載の低温接合用銅粒子。
JP2015202741A 2015-10-14 2015-10-14 銅粒子を用いた低温接合方法 Active JP6659026B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015202741A JP6659026B2 (ja) 2015-10-14 2015-10-14 銅粒子を用いた低温接合方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015202741A JP6659026B2 (ja) 2015-10-14 2015-10-14 銅粒子を用いた低温接合方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017074598A true JP2017074598A (ja) 2017-04-20
JP6659026B2 JP6659026B2 (ja) 2020-03-04

Family

ID=58549729

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015202741A Active JP6659026B2 (ja) 2015-10-14 2015-10-14 銅粒子を用いた低温接合方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6659026B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109483092A (zh) * 2018-12-12 2019-03-19 中国矿业大学 一种基于铜纳米颗粒的高导热导电高连接性能焊接材料的制备方法
WO2019188511A1 (ja) 2018-03-29 2019-10-03 ハリマ化成株式会社 銅ペースト、接合方法および接合体の製造方法
CN110369911A (zh) * 2019-06-27 2019-10-25 上海三一重机股份有限公司 一种铜纳米焊接材料及其制备方法
CN111295741A (zh) * 2017-11-08 2020-06-16 日立化成株式会社 接合体的制造方法及接合材料
CN111375774A (zh) * 2020-04-29 2020-07-07 西安稀有金属材料研究院有限公司 一种电子封装用石墨-铜钼基复合材料的制备方法
WO2020196299A1 (ja) 2019-03-22 2020-10-01 ハリマ化成株式会社 金属ペースト、接合方法及び接合体の製造方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11217680A (ja) * 1998-01-30 1999-08-10 Mitsubishi Materials Corp 銅多孔質層を有する銅管の製造方法
JP2010131669A (ja) * 2008-10-29 2010-06-17 Nippon Handa Kk 金属製部材用接合剤、金属製部材接合体の製造方法、金属製部材接合体および電気回路接続用バンプの製造方法
WO2013125022A1 (ja) * 2012-02-24 2013-08-29 株式会社日立製作所 半導体装置
US20140096884A1 (en) * 2012-10-05 2014-04-10 Subtron Technologiy Co., Ltd. Method for bonding heat-conducting substrate and metal layer

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11217680A (ja) * 1998-01-30 1999-08-10 Mitsubishi Materials Corp 銅多孔質層を有する銅管の製造方法
JP2010131669A (ja) * 2008-10-29 2010-06-17 Nippon Handa Kk 金属製部材用接合剤、金属製部材接合体の製造方法、金属製部材接合体および電気回路接続用バンプの製造方法
WO2013125022A1 (ja) * 2012-02-24 2013-08-29 株式会社日立製作所 半導体装置
US20140096884A1 (en) * 2012-10-05 2014-04-10 Subtron Technologiy Co., Ltd. Method for bonding heat-conducting substrate and metal layer

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111295741A (zh) * 2017-11-08 2020-06-16 日立化成株式会社 接合体的制造方法及接合材料
WO2019188511A1 (ja) 2018-03-29 2019-10-03 ハリマ化成株式会社 銅ペースト、接合方法および接合体の製造方法
CN109483092A (zh) * 2018-12-12 2019-03-19 中国矿业大学 一种基于铜纳米颗粒的高导热导电高连接性能焊接材料的制备方法
WO2020196299A1 (ja) 2019-03-22 2020-10-01 ハリマ化成株式会社 金属ペースト、接合方法及び接合体の製造方法
CN113613811A (zh) * 2019-03-22 2021-11-05 哈利玛化成株式会社 金属糊剂、接合方法及接合体的制造方法
CN110369911A (zh) * 2019-06-27 2019-10-25 上海三一重机股份有限公司 一种铜纳米焊接材料及其制备方法
CN111375774A (zh) * 2020-04-29 2020-07-07 西安稀有金属材料研究院有限公司 一种电子封装用石墨-铜钼基复合材料的制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6659026B2 (ja) 2020-03-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6659026B2 (ja) 銅粒子を用いた低温接合方法
TWI651149B (zh) 金屬接合用組成物
JP6766160B2 (ja) 金属接合用組成物
JP6736782B2 (ja) 接合用組成物
JP6262139B2 (ja) 接合用組成物
JP6467114B1 (ja) 金属接合積層体の製造方法
TW201542731A (zh) 接合用組成物及使用該組成物之金屬接合體
JP2017155166A (ja) 接合用組成物
TWI744372B (zh) 接合用組成物及其製造方法、接合體以及被覆銀奈米粒子
JP6380791B2 (ja) マイクロサイズ銀粒子を用いた接合方法
WO2017006531A1 (ja) 接合用組成物及び接合方法
JP6163616B1 (ja) 接合用組成物
JP6347385B2 (ja) 銅材の接合方法
JPWO2016067599A1 (ja) 接合用組成物
JP6406546B2 (ja) 接合方法
JP6669420B2 (ja) 接合用組成物
JP6433324B2 (ja) 接合方法
JP6085724B2 (ja) 接合用組成物
JP2022001666A (ja) マイクロサイズ粒子を用いた接合方法及び接合体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180910

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190410

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190514

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190704

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200107

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200129

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6659026

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250